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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052298
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】移動体位置表示方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/20 20060101AFI20240404BHJP
   G01S 7/56 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
G01S5/20
G01S7/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158905
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】390001454
【氏名又は名称】NECネッツエスアイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100007983
【弁理士】
【氏名又は名称】笹川 拓
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 博之
(72)【発明者】
【氏名】福井 恵
(72)【発明者】
【氏名】毛利 晃大
(72)【発明者】
【氏名】藤波 こはる
(72)【発明者】
【氏名】前多 敏幸
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 隆行
(72)【発明者】
【氏名】小松 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】坂梨 知司
【テーマコード(参考)】
5J083
【Fターム(参考)】
5J083AA04
5J083AB14
5J083AC07
5J083AD02
5J083AD03
5J083AD04
5J083AE08
5J083AF01
5J083AF14
5J083BA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】移動体の位置表示において、隣り合う測定グループ間の境界を超える際の移動体の位置飛びや移動体軌跡の不連続を防止することが可能な移動体位置表示方法を提供する。
【解決手段】移動体18が重複測定エリア70内に進入している場合、第1群61による移動体の測定位置座標(xa,ya)と第2群65による移動体の測定位置座標(xb,yb)に対して、第1群による測定位置座標(xa,ya)への重みづけ係数α、第2群による測定位置座標(xb,yb)への重みづけ係数βとして、重みづけ係数α及び重みづけ係数βの和が1となる関係で移動体の位置座標(X,Y)を表示位置座標として(αxa+βxb,αya+βyb)で表示し、重みづけ係数α及びβは、重複測定エリア内における第1のエリア寄りの位置ではα>β、第2のエリア寄りの位置ではα<βの関係となる線形又は非線形に漸次変化する値である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの固定体として設置位置が予め特定された固定式発信機及び1つの移動体としての移動式受信機との間で、各々の前記固定式発信機から発信された信号の前記移動式受信機への到達時間から三辺測位により前記移動体の位置を測定、
又は、少なくとも2つの固定体としての設置位置が予め特定された固定式受信機及び1つの移動体としての移動式発信機との間で、当該移動式発信機から発信された信号の各々の前記固定式受信機への到達時間から三辺測位により前記移動体の位置を測定して当該移動体の位置を表示可能な移動体位置表示方法であって、
少なくとも2つの前記固定体及び1つの前記移動体からなる第1群によって前記移動体の位置を測定して表示可能な第1のエリアと、第2群として少なくとも2つの他の固定体及び前記第1のエリアと共用される前記移動体によって当該移動体の位置を測定して表示可能な第2のエリアとを備え、
前記第1のエリアと前記第2のエリアは互いに測定可能な重複範囲として重複測定エリアを有し、
前記移動体が当該重複測定エリア内に進入している場合、前記第1群による前記移動体の測定位置座標(xa,ya)と前記第2群による当該移動体の測定位置座標(xb,yb)に対して、前記第1群による測定位置座標(xa,ya)への重みづけ係数α、前記第2群による測定位置座標(xb,yb)への重みづけ係数βとして、当該重みづけ係数α及び当該重みづけ係数βの和が1となる関係で前記移動体の位置座標(X,Y)を表示位置座標として(αxa+βxb,αya+βyb)で表示し、
前記重みづけ係数α及びβは、前記重複測定エリア内における前記第1のエリア寄りの位置ではα>β、前記第2のエリア寄りの位置ではα<βの関係となる線形又は非線形に漸次変化する値であることを特徴とする移動体位置表示方法。
【請求項2】
前記信号は超音波からなることを特徴とする請求項1に記載の移動体位置表示方法。
【請求項3】
前記第1のエリア及び前記第2のエリアは、前記重複測定エリアの他に、各々が互いに測定範囲が重複しない非重複測定エリアからなり、
前記移動体が前記第1のエリアの前記非重複測定エリアから前記重複測定エリアに入ったかどうかの判定は前記測定位置座標(xa,ya)を用いて行い、
前記移動体が前記第2のエリアの前記非重複測定エリアから前記重複測定エリアに入ったかどうかの判定は前記測定位置座標(xb,yb)を用いて行うことを特徴とする請求項1に記載の移動体位置表示方法。
【請求項4】
前記移動体が当該重複測定エリア内に進入している場合、前記測定位置座標(xa,ya)と前記測定位置座標(xb,yb)との差分が所定の値以上である場合は、進入元のエリアの前記測定位置座標(xa,ya)又は(xb,yb)を表示位置座標として用いて前記移動体の位置を表示することを特徴とする請求項1に記載の移動体位置表示方法。
【請求項5】
前記移動体が当該重複測定エリア内に進入している場合、現在の測定位置座標として前記測定位置座標(xa,ya)と前記測定位置座標(xb,yb)に対して連続する所定回数の過去の表示位置座標について、
互いに隣り合って連続する表示位置座標間の移動距離の平均値としての移動距離平均と、
互いに隣り合って連続する表示位置座標間のベクトルと互いに隣り合う過去側のベクトルとの絶対値からなる角度差の平均値としての移動角度差平均とを算出し、
前記移動体の前回の表示位置座標に対する前記測定位置座標(xa,ya)と前記測定位置座標(xb,yb)の移動距離がともに、前記移動距離平均に対して1倍以上で設定された所定の値以下、
かつ、前記移動体の前回の表示位置座標に対する前記測定位置座標(xa,ya)と前記測定位置座標(xb,yb)の移動角度がともに、前記移動角度差平均に対して1倍以上で設定された所定の値以下である場合、
前記重みづけ係数α及び前記重みづけ係数βを用いて前記移動体の位置座標(X,Y)を表示位置座標として(αxa+βxb,αya+βyb)で表示することを特徴とする請求項1に記載の移動体位置表示方法。
【請求項6】
前記移動体が当該重複測定エリア内に進入している場合、現在の測定位置座標として前記測定位置座標(xa,ya)と前記測定位置座標(xb,yb)に対して連続する所定回数の過去の表示位置座標について、
互いに隣り合って連続する表示位置座標間の移動距離の平均値としての移動距離平均と、
互いに隣り合って連続する表示位置座標間のベクトルと互いに隣り合う過去側のベクトルとの絶対値からなる角度差の平均値としての移動角度差平均と、
前記所定回数の前記過去の測定位置座標の各々について、前記第1群による測定位置座標と前記第2群による測定位置座標との間の距離の平均値としての他群間距離平均とを算出し、
前記移動体の前回の表示位置座標に対する前記測定位置座標(xa,ya)と前記測定位置座標(xb,yb)の移動距離がともに、前記移動距離平均に対して1倍以上で設定された所定の値以下、
前記移動体の前回の表示位置座標に対する前記測定位置座標(xa,ya)と前記測定位置座標(xb,yb)の移動角度がともに、前記移動角度差平均に対して1倍以上で設定された所定の値を超えて、
かつ、前記測定位置座標(xa,ya)と前記測定位置座標(xb,yb)との間の距離が、前記他群間距離平均に対して1倍以上で設定された所定の値以下である場合、
前記重みづけ係数α及び前記重みづけ係数βを用いて前記移動体の位置座標(X,Y)を表示位置座標として(αxa+βxb,αya+βyb)で表示することを特徴とする請求項1に記載の移動体位置表示方法。
【請求項7】
前記移動体が当該重複測定エリア内に進入している場合、現在の測定位置座標として前記測定位置座標(xa,ya)と前記測定位置座標(xb,yb)に対して連続する所定回数の過去の表示位置座標について、
互いに隣り合って連続する表示位置座標間の移動距離の平均値としての移動距離平均と、
互いに隣り合って連続する表示位置座標間のベクトルと互いに隣り合う過去側のベクトルとの絶対値からなる角度差の平均値としての移動角度差平均と、
前記所定回数の前記過去の測定位置座標の各々について、前記第1群による測定位置座標と前記第2群による測定位置座標との間の距離の平均値としての他群間距離平均とを算出し、
前記移動体の前回の表示位置座標に対する前記測定位置座標(xa,ya)と前記測定位置座標(xb,yb)の移動距離がともに、前記移動距離平均に対して1倍以上で設定された所定の値以下、
前記移動体の前回の表示位置座標に対する前記測定位置座標(xa,ya)と前記測定位置座標(xb,yb)の移動角度がともに、前記移動角度差平均に対して1倍以上で設定された所定の値を超えて、
かつ、前記測定位置座標(xa,ya)と前記測定位置座標(xb,yb)との間の距離が、前記他群間距離平均に対して1倍以上で設定された所定の値を超える場合、
前記測定位置座標(xa,ya)又は前記測定位置座標(xb,yb)において、前記前回の表示位置座標により近い測定位置座標を表示位置座標として表示することを特徴とする請求項1に記載の移動体位置表示方法。
【請求項8】
前記移動体が当該重複測定エリア内に進入している場合、現在の測定位置座標として前記測定位置座標(xa,ya)と前記測定位置座標(xb,yb)に対して連続する所定回数の過去の表示位置座標について、
互いに隣り合って連続する表示位置座標間の移動距離の平均値としての移動距離平均と、
互いに隣り合って連続する表示位置座標間のベクトルと互いに隣り合う過去側のベクトルとの絶対値からなる角度差の平均値としての移動角度差平均とを算出し、
前記移動体の前回の表示位置座標に対する前記測定位置座標(xa,ya)と前記測定位置座標(xb,yb)の一方の移動距離が、前記移動距離平均に対して1倍以上で設定された所定の値以下、
かつ、前記移動体の前回の表示位置座標に対する前記測定位置座標(xa,ya)と前記測定位置座標(xb,yb)の前記一方の移動角度が、前記移動角度差平均に対して1倍以上で設定された所定の値以下である場合、
当該一方の前記測定位置座標(xa,ya)又は前記測定位置座標(xb,yb)を表示位置座標として表示することを特徴とする請求項1に記載の移動体位置表示方法。
【請求項9】
前記移動体が当該重複測定エリア内に進入している場合、現在の測定位置座標として前記測定位置座標(xa,ya)と前記測定位置座標(xb,yb)に対して連続する所定回数の過去の表示位置座標について、
互いに隣り合って連続する表示位置座標間の移動距離の平均値としての移動距離平均を算出し、
前記移動体の前回の表示位置座標に対する前記測定位置座標(xa,ya)と前記測定位置座標(xb,yb)の移動距離がともに、前記移動距離平均に対して1倍以上で設定された所定の値を超える場合、
前記測定位置座標(xa,ya)又は前記測定位置座標(xb,yb)において、前記前回の表示位置座標により近い測定位置座標を表示位置座標として表示することを特徴とする請求項1に記載の移動体位置表示方法。
【請求項10】
前記移動体位置表示方法は、第3群として少なくとも2つのさらに他の固定体と、前記第1のエリア及び前記第2のエリアと共用される前記移動体とによって当該移動体の位置を測定して表示可能な第3のエリアとをさらに備え、
前記第2のエリアと前記第3のエリアは互いに測定可能な重複範囲として他の重複測定エリアを有し、
当該他の重複測定エリアのn箇所(nは1以外の整数)で前記第2群による前記移動体の測定位置座標と前記第3群による当該移動体の測定位置座標との差分として測位差をn箇所分求めて平均値を算出することで、前記第2のエリアを基準とした前記第3のエリアのオフセット移動値(xob,yob)とし、
当該第3のエリアを当該オフセット移動値(xob,yob)の分だけ補正して、前記第3群による測定位置座標(xc,yc)に対して前記移動体の位置座標(X,Y)を表示位置座標として(xc+xob,yc+yob)で表示することを特徴とする請求項1乃至請求項9のうち、いずれか1に記載の移動体位置表示方法。
【請求項11】
前記移動体位置表示方法は、第4群として少なくとも2つのまたさらに他の固定体と、前記第1のエリア、前記第2のエリア及び前記第3のエリアと共用される前記移動体とによって当該移動体の位置を測定して表示可能な第4のエリアとをさらに備え、
前記第3のエリアと前記第4のエリアは互いに測定可能な重複範囲としてさらに他の重複測定エリアを有し、
当該さらに他の重複測定エリアのn箇所(nは1以外の整数)で前記第3群による前記移動体の測定位置座標と前記第4群による当該移動体の測定位置座標との差分として測位差をn箇所分求めて平均値を算出することで、前記第3のエリアを基準とした前記第4のエリアのオフセット移動値(xoc,yoc)とし、
当該第4のエリアを、前記第2のエリアを基準とした前記第3のエリアの前記オフセット移動値(xob,yob)と前記第3のエリアを基準とした前記第4のエリアのオフセット移動値(xoc,yoc)との和((xob+xoc),(yob+yoc))の分だけ補正して、前記第4群による測定位置座標(xd,yd)に対して前記移動体の位置座標(X,Y)を表示位置座標として(xd+xob+xoc,yd+yob+yoc)で表示することを特徴とする請求項10に記載の移動体位置表示方法。
【請求項12】
前記移動体位置表示方法は、第3群として少なくとも2つのさらに他の固定体と、前記第1のエリア及び前記第2のエリアと共用される前記移動体とによって当該移動体の位置を測定して表示可能な第3のエリアとをさらに備え、
前記第2のエリアと前記第3のエリアは互いに測定可能な重複範囲として他の重複測定エリアを有し、
当該他の重複測定エリアの任意の1箇所で前記第2群による前記移動体の測定位置座標と前記第3群による当該移動体の測定位置座標との差分として測位差を求め、前記第2のエリアを基準とした前記第3のエリアのオフセット移動値(xob,yob)とし、
当該第3のエリアを当該オフセット移動値(xob,yob)の分だけ補正して、前記第3群による測定位置座標(xc,yc)に対して前記移動体の位置座標(X,Y)を表示位置座標として(xc+xob,yc+yob)で表示することを特徴とする請求項1乃至請求項9のうち、いずれか1に記載の移動体位置表示方法。
【請求項13】
前記移動体位置表示方法は、第4群として少なくとも2つのまたさらに他の固定体と、前記第1のエリア、前記第2のエリア及び前記第3のエリアと共用される前記移動体とによって当該移動体の位置を測定して表示可能な第4のエリアとをさらに備え、
前記第3のエリアと前記第4のエリアは互いに測定可能な重複範囲としてさらに他の重複測定エリアを有し、
当該さらに他の重複測定エリアの任意の1箇所で前記第3群による前記移動体の測定位置座標と前記第4群による当該移動体の測定位置座標との差分として測位差を求め、前記第3のエリアを基準とした前記第4のエリアのオフセット移動値(xoc,yoc)とし、
当該第4のエリアを、前記第2のエリアを基準とした前記第3のエリアの前記オフセット移動値(xob,yob)と前記第3のエリアを基準とした前記第4のエリアのオフセット移動値(xoc,yoc)との和((xob+xoc),(yob+yoc))の分だけ補正して、前記第4群による測定位置座標(xd,yd)に対して前記移動体の位置座標(X,Y)を表示位置座標として(xd+xob+xoc,yd+yob+yoc)で表示することを特徴とする請求項12に記載の移動体位置表示方法。
【請求項14】
前記固定体は異なる群との間において少なくとも一つが共有されることを特徴とする請求項1乃至請求項9のうち、いずれか1に記載の移動体位置表示方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体位置表示方法に関し、特に、移動体の位置を測定する第1のエリアと第2のエリアとの重複測定エリアにおける移動体の位置を補正して表示する移動体位置表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
屋外、屋内での作業者、自走ロボット等の移動体の位置情報の取得、確認のニーズが増大している。例えば、センサ装置の位置情報を取得し、センサ装置を装着している作業者や自走ロボット等の位置を地図上に表示することにより、移動体の位置、経路、活動状況等を把握することができる。
【0003】
屋外では、GNSS(Global Navigation Satellite System(全球測位衛星システム))からの電波を受信し、受信した電波による測位で移動体の位置情報を取得することが可能である。表示装置に表示された地図上に取得した位置情報をプロットすることにより、移動体の位置を確認することが可能となる。
【0004】
また、屋内では、移動体の測位方法としてBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)ビーコンが知られている。
【0005】
BLEビーコンによる測位方法は、移動体が有するBLEビーコンが発する電波の受信電界強度(レベル)を測定し、電波のレベルからビーコンまでの距離を推定するものである。位置の測位には少なくとも2種のビーコン信号が必要となる。また、電波のレベルによる位置推定は誤差が大きいため、2種を超える複数のビーコンを用いることが多い。
【0006】
さらにBluetooth(登録商標)は、微弱電波を利用している為、発信源の位置を正確に特定することが難しかった。このため、特許文献1には、Bluetooth(登録商標)などの微弱な電波を発信する無線通信の技術を用いて、電波発信装置の位置精度を向上することができる電波発信位置算出装置が開示されている。
【0007】
また、移動体の測位方法として近距離無線通信用に使用されるUWB(Ultra Wide Band)を用いたUWB方式が知られている。UWB方式はUWBビーコンと移動体間の伝搬遅延を測定することで移動体の位置を測位する。UWB方式の原理は、GNSSから信号を受信して測位を行うRTK測位と同様な方法であり、3種のビーコンを用いることで、3次元測位が可能となる。また、WiFiを利用した測位も同様な方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4064336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
BLEビーコンを用いることによりシンプルな構成で測位システムを構築することが可能である。しかしながら、BLEビーコンを用いた測位システムは測位誤差が5~6mと大きく、測位精度が要求される分野には適さない恐れがある。
【0010】
また、UWB方式による測位方法は、測位誤差が数cm(センチメートル)と高い精度であるため、産業分野における工場等の生産部門での利用が可能である。しかしながら、UWB方式による測位システムは、システム構成が複雑であり、これにより装置が高価となってしまう恐れがある。工場等の産業分野での利用で精度を維持するためには、UWBビーコンを正確な位置に設置する必要がある。また、設備等のレイアウト変更時は、UWBビーコンの設置位置の見直しも必要となる。
【0011】
このため、BLEビーコンやUWB方式等の電波による測位に代わるものとして超音波を利用した測位が注目されている。超音波による測位は、伝搬速度が音速である超音波を利用するため、精度の高い位置測位が可能である。
【0012】
超音波による測位システムは、1つの測定のエリアにおいて設置位置が予め特定された2つの固定式発信機及び移動体に設けられた1つの移動式受信機との間で、各々の固定式発信機から発信された信号の移動式受信機への到達時間から三辺測位により測定のエリア内の移動体の位置を測定する。また、2つの測定のエリアが隣り合っている場合には一方の測定のエリアを2つの固定式発信機と1つの移動式受信機からなる一方の測定グループにより測定のエリア内の移動体の位置を測定し、他方の測定のエリアを2つの他の固定式発信機と、共用される1つの移動式受信機とからなる他方の測定グループにより他の測定のエリア内の移動体の位置を測定する。
【0013】
しかしながら、超音波による2つの固定式発信機を用いた三辺測位方式の測定グループにおいては、隣り合う測定グループ間の境界を超える際、測定グループの切替時に移動体の位置飛び(軌跡の不連続性)が発生することがある。これは、測定グループ毎の機器のバラツキ等により、隣り合う測定グループ間の測位誤差として発生するためである。これにより、測定グループの切り替わり時に、移動体の位置表示で移動体の位置飛びが発生し、移動体の軌跡が不連続になってしまい、移動体の位置を正確に表示できないことがある。
【0014】
このため、移動体の位置表示において、隣り合う測定グループ間の境界を超える際の移動体の位置飛びや移動体の軌跡の不連続を防止することが求められている。
【0015】
そこで、本発明は、2つの固定式発信機及び移動体に設けた1つの移動式受信機を用いて三辺測位により移動体の位置を測定して移動体の位置を表示する移動体位置表示方法において、移動体が隣り合う測定グループ間の境界を超える際に、隣り合う測定グループが重なる重複測定エリアでの移動体の測定位置座標に重みづけ処理を行って表示位置座標として表示することにより、移動体の位置表示における移動体の位置飛び(軌跡の不連続性)を防止し、移動体のスムーズな移動の軌跡を表示することが可能な移動体位置表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的達成のため、本発明に係る移動体位置表示方法は、少なくとも2つの固定体として設置位置が予め特定された固定式発信機及び1つの移動体としての移動式受信機との間で、各々の前記固定式発信機から発信された信号の前記移動式受信機への到達時間から三辺測位により前記移動体の位置を測定、又は、少なくとも2つの固定体としての設置位置が予め特定された固定式受信機及び1つの移動体としての移動式発信機との間で、当該移動式発信機から発信された信号の各々の前記固定式受信機への到達時間から三辺測位により前記移動体の位置を測定して当該移動体の位置を表示可能な移動体位置表示方法であって、少なくとも2つの前記固定体及び1つの前記移動体からなる第1群によって前記移動体の位置を測定して表示可能な第1のエリアと、第2群として少なくとも2つの他の固定体及び前記第1のエリアと共用される前記移動体によって当該移動体の位置を測定して表示可能な第2のエリアとを備え、前記第1のエリアと前記第2のエリアは互いに測定可能な重複範囲として重複測定エリアを有し、前記移動体が当該重複測定エリア内に進入している場合、前記第1群による前記移動体の測定位置座標(xa,ya)と前記第2群による当該移動体の測定位置座標(xb,yb)に対して、前記第1群による測定位置座標(xa,ya)への重みづけ係数α、前記第2群による測定位置座標(xb,yb)への重みづけ係数βとして、当該重みづけ係数α及び当該重みづけ係数βの和が1となる関係で前記移動体の位置座標(X,Y)を表示位置座標として(αxa+βxb,αya+βyb)で表示し、前記重みづけ係数α及びβは、前記重複測定エリア内における前記第1のエリア寄りの位置ではα>β、前記第2のエリア寄りの位置ではα<βの関係となる線形又は非線形に漸次変化する値であることを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る移動体位置表示方法の前記信号は超音波からなることを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る移動体位置表示方法の前記第1のエリア及び前記第2のエリアは、前記重複測定エリアの他に、各々が互いに測定範囲が重複しない非重複測定エリアからなり、前記移動体が前記第1のエリアの前記非重複測定エリアから前記重複測定エリアに入ったかどうかの判定は前記測定位置座標(xa,ya)を用いて行い、前記移動体が前記第2のエリアの前記非重複測定エリアから前記重複測定エリアに入ったかどうかの判定は前記測定位置座標(xb,yb)を用いて行うことを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る移動体位置表示方法の前記移動体が当該重複測定エリア内に進入している場合、前記測定位置座標(xa,ya)と前記測定位置座標(xb,yb)との差分が所定の値以上である場合は、進入元のエリアの前記測定位置座標(xa,ya)又は(xb,yb)を表示位置座標として用いて前記移動体の位置を表示することを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係る移動体位置表示方法の前記移動体が当該重複測定エリア内に進入している場合、現在の測定位置座標として前記測定位置座標(xa,ya)と前記測定位置座標(xb,yb)に対して連続する所定回数の過去の表示位置座標について、互いに隣り合って連続する表示位置座標間の移動距離の平均値としての移動距離平均と、互いに隣り合って連続する表示位置座標間のベクトルと互いに隣り合う過去側のベクトルとの絶対値からなる角度差の平均値としての移動角度差平均とを算出し、 前記移動体の前回の表示位置座標に対する前記測定位置座標(xa,ya)と前記測定位置座標(xb,yb)の移動距離がともに、前記移動距離平均に対して1倍以上で設定された所定の値以下、かつ、前記移動体の前回の表示位置座標に対する前記測定位置座標(xa,ya)と前記測定位置座標(xb,yb)の移動角度がともに、前記移動角度差平均に対して1倍以上で設定された所定の値以下である場合、 前記重みづけ係数α及び前記重みづけ係数βを用いて前記移動体の位置座標(X,Y)を表示位置座標として(αxa+βxb,αya+βyb)で表示することを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係る移動体位置表示方法の前記移動体が当該重複測定エリア内に進入している場合、現在の測定位置座標として前記測定位置座標(xa,ya)と前記測定位置座標(xb,yb)に対して連続する所定回数の過去の表示位置座標について、互いに隣り合って連続する表示位置座標間の移動距離の平均値としての移動距離平均と、互いに隣り合って連続する表示位置座標間のベクトルと互いに隣り合う過去側のベクトルとの絶対値からなる角度差の平均値としての移動角度差平均と、前記所定回数の前記過去の測定位置座標の各々について、前記第1群による測定位置座標と前記第2群による測定位置座標との間の距離の平均値としての他群間距離平均とを算出し、前記移動体の前回の表示位置座標に対する前記測定位置座標(xa,ya)と前記測定位置座標(xb,yb)の移動距離がともに、前記移動距離平均に対して1倍以上で設定された所定の値以下、前記移動体の前回の表示位置座標に対する前記測定位置座標(xa,ya)と前記測定位置座標(xb,yb)の移動角度がともに、前記移動角度差平均に対して1倍以上で設定された所定の値を超えて、かつ、前記測定位置座標(xa,ya)と前記測定位置座標(xb,yb)との間の距離が、前記他群間距離平均に対して1倍以上で設定された所定の値以下である場合、前記重みづけ係数α及び前記重みづけ係数βを用いて前記移動体の位置座標(X,Y)を表示位置座標として(αxa+βxb,αya+βyb)で表示することを特徴とする。
【0022】
また、本発明に係る移動体位置表示方法の前記移動体が当該重複測定エリア内に進入している場合、現在の測定位置座標として前記測定位置座標(xa,ya)と前記測定位置座標(xb,yb)に対して連続する所定回数の過去の表示位置座標について、互いに隣り合って連続する表示位置座標間の移動距離の平均値としての移動距離平均と、互いに隣り合って連続する表示位置座標間のベクトルと互いに隣り合う過去側のベクトルとの絶対値からなる角度差の平均値としての移動角度差平均と、前記所定回数の前記過去の測定位置座標の各々について、前記第1群による測定位置座標と前記第2群による測定位置座標との間の距離の平均値としての他群間距離平均とを算出し、前記移動体の前回の表示位置座標に対する前記測定位置座標(xa,ya)と前記測定位置座標(xb,yb)の移動距離がともに、前記移動距離平均に対して1倍以上で設定された所定の値以下、前記移動体の前回の表示位置座標に対する前記測定位置座標(xa,ya)と前記測定位置座標(xb,yb)の移動角度がともに、前記移動角度差平均に対して1倍以上で設定された所定の値を超えて、かつ、前記測定位置座標(xa,ya)と前記測定位置座標(xb,yb)との間の距離が、前記他群間距離平均に対して1倍以上で設定された所定の値を超える場合、前記測定位置座標(xa,ya)又は前記測定位置座標(xb,yb)において、前記前回の表示位置座標により近い測定位置座標を表示位置座標として表示することを特徴とする。
【0023】
また、本発明に係る移動体位置表示方法の前記移動体が当該重複測定エリア内に進入している場合、現在の測定位置座標として前記測定位置座標(xa,ya)と前記測定位置座標(xb,yb)に対して連続する所定回数の過去の表示位置座標について、互いに隣り合って連続する表示位置座標間の移動距離の平均値としての移動距離平均と、互いに隣り合って連続する表示位置座標間のベクトルと互いに隣り合う過去側のベクトルとの絶対値からなる角度差の平均値としての移動角度差平均とを算出し、前記移動体の前回の表示位置座標に対する前記測定位置座標(xa,ya)と前記測定位置座標(xb,yb)の一方の移動距離が、前記移動距離平均に対して1倍以上で設定された所定の値以下、かつ、前記移動体の前回の表示位置座標に対する前記測定位置座標(xa,ya)と前記測定位置座標(xb,yb)の前記一方の移動角度が、前記移動角度差平均に対して1倍以上で設定された所定の値以下である場合、当該一方の前記測定位置座標(xa,ya)又は前記測定位置座標(xb,yb)を表示位置座標として表示することを特徴とする。
【0024】
また、本発明に係る移動体位置表示方法の前記移動体が当該重複測定エリア内に進入している場合、現在の測定位置座標として前記測定位置座標(xa,ya)と前記測定位置座標(xb,yb)に対して連続する所定回数の過去の表示位置座標について、互いに隣り合って連続する表示位置座標間の移動距離の平均値としての移動距離平均を算出し、 前記移動体の前回の表示位置座標に対する前記測定位置座標(xa,ya)と前記測定位置座標(xb,yb)の移動距離がともに、前記移動距離平均に対して1倍以上で設定された所定の値を超える場合、前記測定位置座標(xa,ya)又は前記測定位置座標(xb,yb)において、前記前回の表示位置座標により近い測定位置座標を表示位置座標として表示することを特徴とする。
【0025】
また、本発明に係る移動体位置表示方法の前記移動体位置表示方法は、第3群として少なくとも2つのさらに他の固定体と、前記第1のエリア及び前記第2のエリアと共用される前記移動体とによって当該移動体の位置を測定して表示可能な第3のエリアとをさらに備え、前記第2のエリアと前記第3のエリアは互いに測定可能な重複範囲として他の重複測定エリアを有し、当該他の重複測定エリアのn箇所(nは1以外の整数)で前記第2群による前記移動体の測定位置座標と前記第3群による当該移動体の測定位置座標との差分として測位差をn箇所分求めて平均値を算出することで、前記第2のエリアを基準とした前記第3のエリアのオフセット移動値(xob,yob)とし、当該第3のエリアを当該オフセット移動値(xob,yob)の分だけ補正して、前記第3群による測定位置座標(xc,yc)に対して前記移動体の位置座標(X,Y)を表示位置座標として(xc+xob,yc+yob)で表示することを特徴とする。
【0026】
また、本発明に係る移動体位置表示方法の前記移動体位置表示方法は、第4群として少なくとも2つのまたさらに他の固定体と、前記第1のエリア、前記第2のエリア及び前記第3のエリアと共用される前記移動体とによって当該移動体の位置を測定して表示可能な第4のエリアとをさらに備え、前記第3のエリアと前記第4のエリアは互いに測定可能な重複範囲としてさらに他の重複測定エリアを有し、当該さらに他の重複測定エリアのn箇所(nは1以外の整数)で前記第3群による前記移動体の測定位置座標と前記第4群による当該移動体の測定位置座標との差分として測位差をn箇所分求めて平均値を算出することで、前記第3のエリアを基準とした前記第4のエリアのオフセット移動値(xoc,yoc)とし、当該第4のエリアを、前記第2のエリアを基準とした前記第3のエリアの前記オフセット移動値(xob,yob)と前記第3のエリアを基準とした前記第4のエリアのオフセット移動値(xoc,yoc)との和((xob+xoc),(yob+yoc))の分だけ補正して、前記第4群による測定位置座標(xd,yd)に対して前記移動体の位置座標(X,Y)を表示位置座標として(xd+xob+xoc,yd+yob+yoc)で表示することを特徴とする。
【0027】
また、本発明に係る移動体位置表示方法の前記移動体位置表示方法は、第3群として少なくとも2つのさらに他の固定体と、前記第1のエリア及び前記第2のエリアと共用される前記移動体とによって当該移動体の位置を測定して表示可能な第3のエリアとをさらに備え、前記第2のエリアと前記第3のエリアは互いに測定可能な重複範囲として他の重複測定エリアを有し、当該他の重複測定エリアの任意の1箇所で前記第2群による前記移動体の測定位置座標と前記第3群による当該移動体の測定位置座標との差分として測位差を求め、前記第2のエリアを基準とした前記第3のエリアのオフセット移動値(xob,yob)とし、当該第3のエリアを当該オフセット移動値(xob,yob)の分だけ補正して、前記第3群による測定位置座標(xc,yc)に対して前記移動体の位置座標(X,Y)を表示位置座標として(xc+xob,yc+yob)で表示することを特徴とする。
【0028】
また、本発明に係る移動体位置表示方法の前記移動体位置表示方法は、第4群として少なくとも2つのまたさらに他の固定体と、前記第1のエリア、前記第2のエリア及び前記第3のエリアと共用される前記移動体とによって当該移動体の位置を測定して表示可能な第4のエリアとをさらに備え、前記第3のエリアと前記第4のエリアは互いに測定可能な重複範囲としてさらに他の重複測定エリアを有し、当該さらに他の重複測定エリアの任意の1箇所で前記第3群による前記移動体の測定位置座標と前記第4群による当該移動体の測定位置座標との差分として測位差を求め、前記第3のエリアを基準とした前記第4のエリアのオフセット移動値(xoc,yoc)とし、当該第4のエリアを、前記第2のエリアを基準とした前記第3のエリアの前記オフセット移動値(xob,yob)と前記第3のエリアを基準とした前記第4のエリアのオフセット移動値(xoc,yoc)との和((xob+xoc),(yob+yoc))の分だけ補正して、前記第4群による測定位置座標(xd,yd)に対して前記移動体の位置座標(X,Y)を表示位置座標として(xd+xob+xoc,yd+yob+yoc)で表示することを特徴とする。
【0029】
また、本発明に係る移動体位置表示方法の前記固定体は異なる群との間において少なくとも一つが共有されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、2つの固定式発信機を用いて三辺測位により移動体の位置を測定して移動体の位置を表示する移動体位置表示方法において、移動体が第1群及び第2群の測定グループ間の隣り合う境界を超える際に、隣り合う測定グループの測定エリアが重なる重複測定エリアでの移動体の測定位置座標に重みづけ処理を行って表示位置座標を表示することにより、移動体の位置表示における移動体の位置飛び(軌跡の不連続性)を防止し、移動体のスムーズな軌跡を表示することが可能となる。
【0031】
また、本発明によれば、固定式発信機から発信された超音波信号の移動式受信機への到達時間から三辺測位によって移動体の位置を測定することにより、測定精度を向上させることが可能であり、また、移動体からの反射波を使用していないため、移動体の位置を正確に表示することができる。
【0032】
また、本発明によれば、移動体が重複測定エリア内に進入している場合、第1群による移動体の測定位置座標と第2群による移動体の測定位置座標との差分が所定の値以上である場合は、進入元のエリアの測定位置座標を表示位置座標として用いて移動体の位置を表示することにより、移動体の不連続表示を防止することができる。
【0033】
また、本発明によれば、移動体が重複測定エリア内に進入している場合、移動体の前回の表示位置座標に対する第1群による測定位置座標と第2群による測定位置座標の移動距離がともに、移動距離平均に対して1倍以上で設定された所定の値以下、かつ、移動体の前回の表示位置座標に対する第1群による測定位置座標と第2群による測定位置座標の移動角度がともに、移動角度差平均に対して1倍以上で設定された所定の値以下である場合、重みづけ係数を用いて移動体の位置座標を表示位置座標として表示することにより、移動体の位置を適切に補正して表示することが可能である。
【0034】
また、本発明によれば、移動体が重複測定エリア内に進入している場合、移動体の前回の表示位置座標に対する第1群による測定位置座標と第2群による測定位置座標の移動距離がともに、移動距離平均に対して1倍以上で設定された所定の値以下、移動体の前回の表示位置座標に対する第1群による測定位置座標と第2群による測定位置座標の移動角度がともに、移動角度差平均に対して1倍以上で設定された所定の値を超えて、かつ、第1群による測定位置座標と第2群による測定位置座標との間の距離が、他群間距離平均に対して1倍以上で設定された所定の値以下である場合、重みづけ係数を用いて移動体の位置座標を表示位置座標として表示することにより、移動体の位置飛びを防止することができ移動体の位置を適切に補正して表示することが可能である。
【0035】
また、本発明によれば、移動体が重複測定エリア内に進入している場合、移動体の前回の表示位置座標に対する第1群による測定位置座標と第2群による測定位置座標の移動距離がともに、移動距離平均に対して1倍以上で設定された所定の値以下、移動体の前回の表示位置座標に対する第1群による測定位置座標と第2群による測定位置座標の移動角度がともに、移動角度差平均に対して1倍以上で設定された所定の値を超えて、かつ、第1群による測定位置座標と第2群による測定位置座標との間の距離が、他群間距離平均に対して1倍以上で設定された所定の値を超える場合、第1群による測定位置座標又は第2群による測定位置座標において、前回の表示位置座標により近い測定位置座標を表示位置座標として補正して表示することにより、移動体の位置飛びを防止することができ移動体の位置を適切に表示することが可能である。
【0036】
また、本発明によれば、移動体が重複測定エリア内に進入している場合、移動体の前回の表示位置座標に対する第1群による測定位置座標と第2群による測定位置座標の一方の移動距離が、移動距離平均に対して1倍以上で設定された所定の値以下、かつ、移動体の前回の表示位置座標に対する第1群による測定位置座標と第2群による測定位置座標の一方の移動角度が、移動角度差平均に対して1倍以上で設定された所定の値以下である場合、一方の第1群による測定位置座標又は第2群による測定位置座標を表示位置座標として補正して表示することにより、移動体の位置飛びを防止することができ移動体の位置を適切に表示することが可能である。
【0037】
また、本発明によれば、移動体が重複測定エリア内に進入している場合、移動体の前回の表示位置座標に対して、移動体の前回の表示位置座標に対する第1群による測定位置座標と第2群による測定位置座標の移動距離がともに、移動距離平均に対して1倍以上で設定された所定の値を超える場合、第1群による測定位置座標又は第2群による測定位置座標において、前回の表示位置座標により近い測定位置座標を表示位置座標として補正して表示することにより、移動体の位置飛びを防止することができ移動体の位置を適切に表示することが可能である。
【0038】
また、本発明によれば、第2のエリアと第3のエリアは互いに測定可能な重複範囲として他の重複測定エリアを有し、他の重複測定エリアのn箇所(nは1以外の整数)で第2群による移動体の測定位置座標と第3群による移動体の測定位置座標との差分として測位差をn箇所分求めて平均値を算出することで、第2のエリアを基準とした第3のエリアのオフセット移動値とし、第3のエリアをオフセット移動値の分だけ補正して、第3群による測定位置座標に対して移動体の位置座標を表示位置座標とすることにより、エリア間のずれを校正することができるため、移動体の位置を適切に表示することが可能である。
【0039】
また、本発明によれば、固定体は異なる群との間において少なくとも一つが共有されることができるため、複数のエリアにおいては、固定体の設置数を減らすことができるため、移動体位置表示システムの構成を簡素化することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】第1の測定グループによって移動体の位置を測定して表示可能な第1のエリアと、第2の測定グループによって移動体の位置を測定して表示可能な第2のエリアと、第1のエリア及び第2のエリアの重複測定エリアとを示す図である。
図2】移動体位置表示方法における非重複測定エリア及び他の非重複測定エリアが隣り合う重複測定エリアでの移動体の位置及び移動体の軌跡の表示を実施するための第1の実施形態に係る移動体位置表示システムの構成を示すブロック図である。
図3】移動体位置表示方法における非重複測定エリア及び他の非重複測定エリアが隣り合う重複測定エリアでの移動体の位置及び移動体の軌跡の表示を実施するための第2の実施形態に係る移動体位置表示システムの構成を示すブロック図である。
図4】移動体の位置飛び(軌跡の不連続性)を説明する図であり、(a)は、第1のエリアと、第2のエリアと、第1のエリア及び第2のエリアの重複測定エリアからなる測定エリアに設定した座標軸、測定エリアの長さを示す図、(b)は、移動体位置表示システムにおける移動体の位置飛び(軌跡の不連続性)を説明する図である。
図5】重みづけ係数及び重みづけ係数で合成した表示位置座標を説明する図であり、(a)は東西方向に対する重みづけ係数が線形をなして変化する状態を示す図、(b)は、重みづけ係数が線形をなしている場合の、測定位置座標を重みづけ係数で合成して算出した表示位置座標と、測定位置座標との一例を示す図である。
図6】重みづけ係数及び重みづけ係数で合成した表示位置座標を説明する図であり、(a)は、東西方向に対する重みづけ係数が非線形である標準正規分布曲線をなして変化する状態を示す図、(b)は、重みづけ係数が標準正規分布曲線をなしている場合の、測定位置座標を重みづけ係数で合成して算出した表示位置座標と、測定位置座標との一例を示す図である。
図7】重複測定エリアに関する正規化を説明する図であり、(a)は、第1のエリアと第2のエリアがX軸方向に隣り合って接している重複測定エリアを示し、(b)は第1のエリアと、第1のエリアと逆L字形状をなす第2のエリアと、第1のエリア及び第2のエリアの重複測定エリアとを示す図である。
図8】(a)は、重複測定エリアにおける表示位置座標を算出するための基準値である移動距離平均を説明する図、(b)は重複測定エリアにおける表示位置座標を算出するための基準値である移動角度差平均を説明する図、(c)は、重複測定エリアにおける表示位置座標を算出するための基準値である他群間距離平均を説明する図である。
図9】移動体が第1のエリアの非重複測定エリアから重複測定エリアに進入(移動)し、重複測定エリアにおける測定位置座標から表示位置座標を算出する処理を示すフローチャートである。
図10】(a)、(b)は、移動体が重複測定エリアに位置している状態でのケース1における表示位置座標の算出を説明する図である。
図11】移動体が重複測定エリアに位置している状態でのケース2における表示位置座標の算出を説明する図である。
図12】移動体が重複測定エリアに位置している状態でのケース3における表示位置座標の算出を説明する図である。
図13】移動体が重複測定エリアに位置している状態でのケース4における表示位置座標の算出を説明する図である。
図14】移動体が重複測定エリアに位置している状態でのケース5における表示位置座標の算出を説明する図である。
図15】第1のエリア、第2のエリア等のエリア間のずれ補正を説明する図である。
図16】第1のエリアを基準とした第2のエリアのオフセット移動値を説明する図である。
図17】測定エリアとして第1のエリアから第5のエリアにおけるエリア間のオフセット補正を示す図である。
図18】移動体位置表示システムにおける異なる測定グループとの間で固定式発信機を共有した形態を示す図である、
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下図面を参照して、本発明による移動体位置表示方法を実施するための形態について説明する。尚、本発明は、発信機から発信された信号の受信機への到達時間から三辺測位により移動体の位置を測定して移動体の位置を表示可能な移動体位置表示方法であって、少なくとも2つの固定体及び1つの移動体からなる第1群によって移動体の位置を測定して表示可能な第1のエリアと、第2群として少なくとも2つの他の固定体及び第1のエリアと共用される移動体によって移動体の位置を測定して表示可能な第2のエリアとを備え、第1のエリアと第2のエリアは互いに測定可能な重複範囲として重複測定エリアを有し、移動体が重複測定エリア内に進入している場合、移動体の測定位置座標に重みづけ処理を行って表示位置座標を算出して表示することにより、移動体の位置表示における移動体の位置飛び(軌跡の不連続性)を防止し、移動体のスムーズな軌跡を表示することを可能にしたものである。
【0042】
[移動体位置表示システムの構成]
最初に、移動体位置表示方法における重複測定エリアを有する測定エリアでの移動体の位置及び移動体の軌跡の表示を実施するための移動体位置表示システムの構成について図1及び図2を参照して詳述する。
【0043】
図1は、第1の測定グループによって移動体の位置を測定して表示可能な第1のエリアと、第2の測定グループによって移動体の位置を測定して表示可能な第2のエリアと、第1のエリア及び第2のエリアの重複測定エリアとを示す図である。図2は、移動体位置表示方法における非重複測定エリア及び他の非重複測定エリアが隣り合う重複測定エリアでの移動体の位置及び移動体の軌跡の表示を実施するための第1の実施形態に係る移動体位置表示システムの構成を示すブロック図である。
【0044】
尚、移動体とは、人、ロボット等の移動対象に装着した移動式発信機(発信用移動ビーコン)、移動式受信機(受信用移動ビーコン)を含む測定エリア内での位置を測定する移動対象物の総称をいう。移動対象物は、人、ロボット、物流の荷物、動物、建設機械や農機具のクレーンのアーム等の稼働部などである。移動体位置表示システムは、移動体である移動対象物の移動速度が時速30km(キロメートル)以下かつ移動距離が1km未満の車両、小舟、ドローン等に対しても移動体として使用することが可能である。
【0045】
図1に示すように、移動体位置表示システム1における測定エリア60は第1のエリア62及び第2のエリア67を有し、第1のエリア62は、2つの固定ビーコン2及び1つの移動体18が有する移動ビーコン19からなる第1群としての第1の測定グループ61によって移動体18の位置を測定し、第2のエリア67は、2つの他の固定ビーコン2及び第1のエリア62と共用される移動体18が有する移動ビーコン19からなる第2群としての第2の測定グループ65によって移動体18の位置を測定する。
【0046】
図1に示すように、第1のエリア62(第1のエリアを実線の枠で示す)及び第2のエリア67(第2のエリアを点線の枠で示す)は、それぞれ非重複測定エリアと重複測定エリアからなる。第1のエリア62と第2のエリア67は互いに測定可能な重複範囲として重複測定エリア70を有している。第1のエリア62は、第2のエリア67との測定範囲が重複しない非重複測定エリア63と重複測定エリア70とを有しており、第2のエリア67は、第1のエリア62との測定範囲が重複しない非重複測定エリア68と重複測定エリア70を有している。このように重複測定エリア70は、互いに測定可能な第1のエリア62と第2のエリア67との重複するエリアである。尚、測定エリア60は、第1のエリア62及び第2のエリア67に限定するものではなく、複数のエリアを有することも可能である。さらに、複数のエリアに応じて、隣り合うエリアの互いに測定可能な重複測定エリアを複数有することも可能である。尚、隣り合うエリアの互いに測定可能な重複測定エリアを複数有する場合には、例えば、第1のエリア62と第2のエリア67とが有している重複測定エリア70を第1第2の重複測定エリア70とも記す。
【0047】
図1に示すように、移動体18は、例えば矢印で示すように、第1のエリア62の非重複測定エリア63から重複測定エリア70を通り第2のエリア67の非重複測定エリア68に移動する。
【0048】
また、図1に示すように、移動体位置表示システム1における超音波の発信、受信を行うビーコンは、設置位置が固定された固定ビーコン2と移動体18と共に移動する移動ビーコン19からなる。固定ビーコン2は、超音波を受信する固定式受信機としての受信用固定ビーコン3(図2に示す)、超音波を発信する固定式発信機としての発信用固定ビーコン15(図3に示す)を有し、移動体位置表示システムにおける実施形態により、受信用固定ビーコン3又は発信用固定ビーコン15が用いられる。また、移動ビーコン19は、超音波を発信する移動式発信機としての発信用移動ビーコン20(図2に示す)、超音波を受信する移動式受信機としての受信用移動ビーコン30(図3に示す)を有し、移動体位置表示システムにおける実施形態により、発信用移動ビーコン20又は受信用移動ビーコン30が用いられる。
【0049】
図2に示すように、移動体位置表示システム1の第1の実施形態は、受信用固定ビーコン3、発信用移動ビーコン20、通信装置40、及びサーバ(PC)50を有している。尚、図2に示す移動体位置表示システム1は、固定式受信機としての2つの受信用固定ビーコン3及び1つの移動体に配した移動式発信機としての発信用移動ビーコン20からなる第1群としての第1の測定グループ61を示す。第2群としての第2の測定グループ65(図1に示す)は、第1群としての第1の測定グループ61と同一の構成をなす。尚、サーバ(PC)を以後サーバと記す。
【0050】
図2に示すように、移動体位置表示システム1における発信用移動ビーコン20は、移動体18(図1に示す)に装着されており、サーバ50から指定されたタイミングで距離測定用の超音波パルス信号を測定エリア60に発信する移動式発信機であり、超音波送信部21、演算部22、無線部23、制御部25、メモリ部26とバッテリー27を備えている。
【0051】
発信用移動ビーコン20の超音波送信部21は、制御部25からの制御により超音波パルス信号を測定エリア60に送信する。演算部22は、超音波送信部21で発信した超音波パルス信号等に関する演算を行う。無線部23は、無線アンテナ24を介して1GHz等の無線周波数で通信装置40を介してサーバ50と通信する。メモリ部26は、超音波パルス信号の送信に関するデータ等を記憶している。また、メモリ部26は制御部25と演算部22がCPUで構成されている場合には、CPUが実行する処理プログラムを内蔵している。制御部25は、超音波送信部21、演算部22と無線部23を制御する。発信用移動ビーコン20は、内蔵されたバッテリー27により電源が供給される。尚、演算部22は、制御部25に設けるようにしてもよい。また、発信用移動ビーコン20は、サーバ50が規定する無線回線のタイムスロットに同期もしくは問い合わせに対して応答する。また、サーバ50からの距離測定用の超音波パルス信号の送出タイミングの受信、超音波パルス信号の送出完了の通知等を行う。
【0052】
移動体位置表示システム1における受信用固定ビーコン3は、所定の位置に固定して設置され、超音波受信部4、演算部5、無線部6、制御部8、メモリ部9とバッテリー10を備えている。
【0053】
受信用固定ビーコン3の超音波受信部4は、発信用移動ビーコン20から発信された超音波パルス信号を受信する。超音波パルス信号の受信は、サーバ50から出力される発信用移動ビーコン20の超音波パルス信号の送出タイミングを受信し、送出タイミングを受信後に超音波パルス信号を受信する。受信した発信用移動ビーコン20の送出タイミングから超音波パルス信号を受信するまでの時間を測定して超音波パルス信号の伝搬時間から発信用移動ビーコン20と受信用固定ビーコン3間の距離を算出する。演算部5は、超音波パルス信号の伝搬時間から発信用移動ビーコン20と受信用固定ビーコン3間の距離を演算する。無線部6は、無線アンテナ7を介して1GHz等の無線周波数で通信装置40と通信する。メモリ部9は、受信用固定ビーコン3のID情報、超音波の受信に関するデータ等を記憶している。また、メモリ部9は制御部8と演算部5がCPUで構成されている場合には、CPUが実行する処理プログラムを内蔵している。制御部8は、超音波送受部4、演算部5と無線部6を制御する。受信用固定ビーコン3は、内蔵されたバッテリー10により電源が供給される。尚、演算部5は、制御部8に設けるようにしてもよい。また、受信用固定ビーコン3は、サーバ50から出力されるID情報によりサーバ50が規定する無線回線のタイムスロットに同期もしくは問い合わせに対して応答する。また、サーバ50からの距離測定用の超音波パルス信号の送出タイミングの受信、算出した発信用移動ビーコン20と受信用固定ビーコン3間の距離もしくは伝搬時間の送信等を行う。
【0054】
移動体位置表示システム1における通信装置40は、無線による受信用固定ビーコン3と発信用移動ビーコン20との通信、及びサーバ50との通信を行う装置であり、無線部41、通信部43、メモリ部44及び制御部45を備えている。
【0055】
通信装置40の無線部41は、受信用固定ビーコン3及び発信用移動ビーコン20の各無線部と無線アンテナ42を介して1GHz等の無線周波数で通信する。メモリ部44は、超音波の送信に関するデータ、受信用固定ビーコン3からのデータ等を一時的に記憶している。また、メモリ部44は制御部45がCPUで構成されている場合には、CPUが実行する処理プログラムを内蔵している。通信装置40の通信部43は、有線のLAN、USB等を介してサーバ50と通信を行う。通信装置40の電源は、PoEやサーバ50からのUSBバスパワーにより供給される。
【0056】
移動体位置表示システム1におけるサーバ50は、コンピュータで構成されており、移動体18の位置情報及び移動体18の軌跡等を表示する表示部51と、指示、データ等の入力操作等を行う操作部52とを有している。サーバ50は、メモリ部56に処理プログラムが格納されており、CPUからなる解析演算部53、制御部54は処理プログラムを実行して、通信装置40との通信により表示部51に移動体18の位置情報及び移動体18の軌跡等を表示する。
【0057】
サーバ50の通信部55は、LAN、USB等を介して通信装置40の通信部43と通信を行い、超音波の発信タイミング、超音波の受信データに関する送受信を行う。
【0058】
サーバ50の解析演算部53は、受信用固定ビーコン3で受信した超音波パルス信号の伝播時間等から移動体18に関する位置の演算を行う。メモリ部56は、測定エリア60に関するデータ、受信用固定ビーコン3の配置データ、超音波の送信、受信に関するデータ等を記憶している。サーバ50の制御部54は、解析演算部53と、表示部51と、操作部52と、通信部55とメモリ部56とを制御する。また、サーバ50は、電源部57から各部に電源が供給される。
【0059】
以下に、移動体位置表示システム1におけるサーバ50が有する機能について説明する。サーバ50は、最初に、測定エリア60に関するマップの登録処理、測定エリア60上に設置した固定ビーコン2の(自動)登録処理を行い、マップ上にユーザによる固定ビーコン2を設置した位置を設定し、固定ビーコン2で測定する測定エリア60、重複測定エリア70(ハンドオーバーエリア)を設定する。また、登録された固定ビーコン2を制御して、互いの距離を測定してその距離の登録処理を行う。
【0060】
また、サーバ50は、移動ビーコン19と受信用固定ビーコン3間の距離を測定するために以下の処理を行う。固定ビーコン2、移動ビーコン19の無線回線における送受信タイムスロットを送付し、移動ビーコン19の測定用の超音波パルス信号の送出タイミングの設定し、その情報を移動ビーコン19へ送出する。また、移動ビーコン19の測定用の超音波パルス信号の送出タイミング情報を固定ビーコン2へ送出し、移動ビーコン19から超音波パルス信号の送出完了信号を受信する。
【0061】
移動ビーコン19の伝搬時間(もしくは距離)を各固定ビーコン2から受信し、各固定ビーコン2から受信した移動ビーコン19の伝搬時間(もしくは距離)をリスト化する。各エリアに固定ビーコン2の設置時に自動測定した2台の固定ビーコン2間の距離と、固定ビーコン2の伝搬時間から算出した移動ビーコン19までの距離を用いて、2台の固定ビーコン2の相対位置から移動ビーコン19の位置を算出する。算出された移動ビーコン19の位置を表示部51のマップ上に表示する。
【0062】
さらに、サーバ50は、本発明に係る移動体位置表示方法における移動ビーコン19が重複測定エリア70に入った時点で、移動ビーコン19の位置に応じた重みづけ(線形補間、標準正規分布補間等)を算出し、算出した重みづけにより移動ビーコン19の位置を補正してマップ上に表示する。
【0063】
また、移動体18の位置測定で超音波パルス信号の伝達不良によって移動ビーコン19の位置に誤差が生じた場合には、移動体18の位置の補正処理を行う。なお、誤差を補正するための処理は、移動距離平均、移動角度差平均、2つの測定グループ間の距離平均である他群間距離平均、測定エリアにおける基準となるエリアの位置に合わせて他のエリアの位置を補正するエリア間のずれ補正である。
【0064】
また、サーバ50は、移動体位置表示システム1に関する各種データを格納しており、データベース機能を有している。移動体位置表示システム1に関するデータは、固定ビーコン2の個別情報(IDや設置位置)、移動ビーコン19の個別情報(ID)、移動ビーコン19を所持した移動体対象の情報、測定エリア60の情報(第1のエリア62、第2のエリア67、重複測定エリア70の距離・面積等)、重みづけデータ、エリア間の測定誤差(オフセット)情報 マップ情報、各種ログ情報等である。
【0065】
このように、移動体位置表示システム1における移動体18に装着された発信用移動ビーコン20からの超音波パルス信号は、受信用固定ビーコン3で受信される。これにより超音波発信機としての発信用移動ビーコン20及び超音波受信機としての受信用固定ビーコン3は、超音波センサを構成している。受信用固定ビーコン3は、測定エリア60に少なくとも2個設置されており、設置位置が予め特定されている。
【0066】
また、固定体として2つの受信用固定ビーコン3及び移動体18として1つの発信用移動ビーコン20により移動体18の位置を測定する第1の実施形態における移動体位置表示システム1について述べたが、第2の実施形態に係る移動体位置表示システム35は、固定体としての設置位置が予め特定された少なくとも2つの固定式発信機としての発信用固定ビーコン15及び1つの移動体18としての移動式受信機としての受信用移動ビーコン30を有するようにしてもよい。
【0067】
図3は、移動体位置表示方法における非重複測定エリア及び他の非重複測定エリアが隣り合う重複測定エリアでの移動体の位置及び移動体の軌跡の表示を実施するための第2の実施形態に係る移動体位置表示システムの構成を示すブロック図である。図3に示すように、移動体位置表示システム35の受信用移動ビーコン30は、超音波受信部31を備え、発信用固定ビーコン15は、超音波送信部16を備えている。受信用移動ビーコン30は、図2に示す発信用移動ビーコン20の超音波送信部21以外は同一構成であり、発信用固定ビーコン15は、図2に示す受信用固定ビーコン3の超音波受信部4以外は同一構成であり、第1の測定グループ61Aを構成する。このように受信用移動ビーコン30と発信用固定ビーコン15との間で、発信用固定ビーコン15から発信された超音波パルス信号の受信用移動ビーコン30までの到達時間から三辺測位により移動体18の位置を測定することも可能である。
【0068】
[超音波による移動体の位置測定]
図2に示す超音波センサである受信用固定ビーコン3及び発信用移動ビーコン20は、発信用移動ビーコン20で発信された超音波パルス信号が受信用固定ビーコン3に到達して受信するまでの時間である伝達時間を測定して、移動体18の位置を測定する。即ち、所定の位置に設置された2個のうちの一方の受信用固定ビーコン3から移動体18までの距離が算出される。さらに、所定の位置に設置された他方の受信用固定ビーコン3から移動体18までの距離が算出される。1個の受信用固定ビーコン3による測定は移動体18までの距離のみであり、受信用固定ビーコン3を中心とする距離を半径とした半円の外周上のどこかの位置に移動体18が存在し、1個の受信用固定ビーコン3からは、移動体18の位置する方向が未定である。
【0069】
このため、所定の位置に固定されて設置された2個の固定式の受信用固定ビーコン3のそれぞれの移動体18までの距離を示す半円の大きさから、半円の交わる交点を算出し三辺測位によって移動体18の位置を確定する。
【0070】
このように移動体位置表示システム1は、固定体として設置位置が予め特定された少なくとも2つの受信用固定ビーコン3及び1つの移動体18としての発信用移動ビーコン20との間で、発信用移動ビーコン20から発信された超音波パルス信号の各々の受信用固定ビーコン3への到達時間から三辺測位により移動体18の位置を測定する。
【0071】
[移動体の表示における位置飛び防止]
次に、測定エリアの切り替わり時での移動体の表示における位置飛びを防止するための処理について説明する。尚、以下の説明では移動体位置表示システム1の第1の実施形態を用いて説明を行う。前述したように、測定グループの発信用移動ビーコン20から発信した超音波パルス信号が2つの受信用固定ビーコン3に到達するまでの到達時間から三辺測位方式により移動体18の位置を測定する。しかしながら、移動体18が隣り合う測定グループ間の境界を超える際、使用する測定グループの切替時に移動体の位置飛び(移動体の位置軌跡の不連続性)が発生する。
【0072】
このため移動体18における位置飛びの防止は、隣り合う測定のエリアの重複測定エリア(ハンドオーバーエリアともいう)での測定で、それぞれの測定結果に測定地点に応じた重みづけの処理を行って測定のエリア間の移動体18の軌跡をシームレスに表示させることにより行われる。図4(a)は、第1のエリアと、第2のエリアと、第1のエリア及び第2のエリアの重複測定エリアからなる測定エリアに設定した座標軸、測定エリアの長さを示す図である。
【0073】
図4(a)に示すように、非重複測定エリア63と重複測定エリア70を有する第1のエリア62、及び非重複測定エリア68と重複測定エリア70を有する第2のエリア67からなる測定エリア60には、移動体18の位置算出、表示を行うための座標軸が設定されている。測定エリア60は、座標軸の原点o(オー)を第1のエリア62の左下のコーナーの位置に設け、横軸をX軸、縦軸をY軸とする。図4(a)に示す第1のエリア62の大きさ(実線で示す枠)は、X軸方向にL2、Y軸方向にL4の長さを有している。また、第2のエリア67の大きさ(点線で示す枠)は、X軸方向に(L3-L1)、Y軸方向にL4の長さを有している。さらに第1のエリア62と第2のエリア67との重複測定エリア70の大きさはX軸方向に(L2-L1)、Y軸方向にL4の長さを有している。尚、X軸方向を東西方向、Y軸方向を南北方向とも記す。また、図4(a)に示す測定エリア60における座標軸の設定は一例であり、これに限定するものではない。
【0074】
図4(a)、図4(b)において、第1の測定グループ61によって測定される移動体を18aと記し、第2の測定グループ65によって測定される移動体を18bと記す。図4(a)に示すように、重複測定エリア70における移動体18の位置は、第1のエリア62における第1の測定グループ61(図1に示す)の2つの受信用固定ビーコン3により測定された移動体18aの位置を原点o(オー)からの測定位置座標(xa,ya)で示され、第2のエリア67における第2の測定グループ65(図1に示す)の2つの受信用固定ビーコン3により測定された移動体18bの位置を原点o(オー)からの測定位置座標(xb,yb)で示される。
【0075】
図4(a)に示すように、重複測定エリア70における第1の測定グループ61によって測定された移動体18aの位置と第2の測定グループ65によって測定された移動体18bの位置とにずれが発生している。
【0076】
図4(b)は、移動体位置表示システム1における移動体の位置飛び(軌跡の不連続性)を説明する図である。図4(b)に示すように、重複測定エリア70の上部右側に丸印で示す領域で第1の測定グループ61(図1に示す)によって測定される移動体は18aであり、第2の測定グループ65(図1に示す)によって測定される移動体は18bである。これにより重複測定エリア70から第2のエリア67の非重複測定エリア68に移動した際に、第2の測定グループ65によって測定されて移動体は18bの位置が表示される。このとき、移動体を18aから18bに切り替わり時での表示において位置飛び(軌跡の不連続性)が発生する。例えば、重複測定エリア70の上部右側に丸印で示す領域での第2のエリア67の非重複測定エリア68を第1の測定グループ61によって測定されると仮定した場合、移動体18aは、点線で示す位置となる。
【0077】
また、重複測定エリア70の下部左側に丸印で示す領域で重複測定エリア70から第1のエリア62の非重複測定エリア63に移動体18bが移動した際に、第1の測定グループ61によって測定されて移動体18aの位置が表示される。このとき、移動体を18bから18aに切り替わり時での表示において位置飛び(軌跡の不連続性)が発生する。例えば、重複測定エリア70の下部左側に丸印で示す領域での第1のエリア62の非重複測定エリア63を第2の測定グループ65によって測定されると仮定した場合、移動体18bは、点線で示す位置となる。このように、重複測定エリア70上では第1の測定グループ61と第2の測定グループ65によって測定された移動体の位置がずれてしまうことがある。
【0078】
このため、移動体18が重複測定エリア70内に進入している場合、第1の測定グループ61による移動体18の測定位置座標(xa,ya)と第2の測定グループ65による移動体18の測定位置座標(xb,yb)に対して、第1の測定グループ61による測定位置座標(xa,ya)への重みづけ係数α、第2の測定グループ65による測定位置座標(xb,yb)への重みづけ係数βを設定する。重みづけ係数α及び重みづけ係数βの値は、重複測定エリア70内における測定位置座標の位置に応じて決定され、重みづけ係数α及び重みづけ係数βの和が1となる関係となっている。即ち、重みづけ係数α、βのいずれか一方が決まると、他方の重みづけ係数が決定する。重複測定エリア70内の移動体18の位置座標(X,Y)は、第1の測定グループ61及び第2の測定グループ65による移動体18の測定位置座標を重みづけの処理により表示位置座標として算出される。移動体18の位置は、算出された表示位置座標に基づきサーバ50の表示部51(図2に示す)に表示されるマップの重複測定エリア上にマーク等で表示される。
【0079】
即ち、第1の測定グループ61による移動体18の測定位置座標(xa,ya)と第2の測定グループ65による移動体18の測定位置座標(xb,yb)に対して、表示位置座標として(αxa+βxb,αya+βyb)で移動体18の位置座標を表示し、重みづけ係数α及びβは、重複測定エリア70内における第1のエリア62寄りの位置ではα>β、第2のエリア67寄りの位置ではα<βの関係となる線形又は非線形に漸次変化する値からなる。
【0080】
重複測定エリアのX軸方向である東西方向に対する第1の測定グループ61及び第2の測定グループ65における重みづけ係数の変化を図5及び図6に示す。図5(a)は、東西方向に対する第1の測定グループ61及び第2の測定グループ65における重みづけ係数が線形をなして変化する状態を示す図、図5(b)は、重複測定エリアにおける第1の測定グループ61及び第2の測定グループ65における重みづけ係数が線形をなしている場合の、移動体18の第1の測定グループ61及び第2の測定グループ65における測定位置座標を重みづけ係数で合成して線形補間で算出した表示位置座標と、第1の測定グループ61の測定位置座標と、第2の測定グループ65の測定位置座標との一例を示す図である。
【0081】
図6(a)は、東西方向に対する第1の測定グループ61及び第2の測定グループ65における重みづけ係数が非線形である標準正規分布曲線をなして変化する状態を示す図、図6(b)は、重複測定エリアにおける第1の測定グループ61及び第2の測定グループ65における重みづけ係数が標準正規分布曲線をなしている場合の、移動体18の第1の測定グループ61及び第2の測定グループ65における測定位置座標を重みづけ係数で合成して標準正規分布補間で算出した表示位置座標と、第1の測定グループ61の測定位置座標と、第2の測定グループ65の測定位置座標との一例を示す図である。尚、図5及び図6に示すaは、第1の測定グループ61の重みづけ係数αの変化、bは第2の測定グループ65の重みづけ係数βの変化を示す。
【0082】
重みづけ係数の一例として図5(a)、図6(a)に示すように、X軸に示す東西方向は中心位置から東方向に3m(メートル)、西方向に3m(メートル)の長さを有しており、図4(a)に示す重複測定エリア70のX軸方向の長さに相当する。重複測定エリア70の中心位置、即ち図5(a)、図6(a)に示す0(ゼロ)mにおける第1の測定グループ61の重みづけ係数α及び第2の測定グループ65の重みづけ係数βは、それぞれ0.5となっている。また、図5(a)、図6(a)に示す-3m、即ち重複測定エリア70の第1のエリア62に接した位置では、第1の測定グループ61の重みづけ係数αは1、第2の測定グループ65の重みづけ係数βは0となっている。一方、図5(a)、図6(a)に示す3m、即ち重複測定エリア70の第2のエリア67に接した位置では、第1の測定グループ61の重みづけ係数αは0、第2の測定グループ65の重みづけ係数βは1となっている。
【0083】
このように、重複測定エリア70内における第1のエリア62寄りの位置では重みづけ係数αが大きな値となり、第2のエリア67寄りの位置では重みづけ係数βが大きな値となっている。
【0084】
また、図5(a)に示す重みづけ係数は、東西方向の一端から他端に沿って線形に変化している。さらに、図6(a)に示す重みづけ係数は、東西方向の一端から他端に沿って標準正規分布をなしている。
【0085】
図5(b)に示すように、重複測定エリア70における第1の測定グループ61及び第2の測定グループ65における重みづけ係数が線形をなしている場合には、移動体18の第1の測定グループ61及び第2の測定グループ65における測定位置座標を重みづけ係数で合成して算出した表示位置座標(Pで示す)は、重複測定エリア70の第1のエリア62の非重複測定エリア63に接した位置での第1の測定グループ61の測定位置座標(Aで示す)から重複測定エリア70の第2のエリア67の非重複測定エリア68に接した位置での第2の測定グループ65の測定位置座標(Bで示す)との間で線形をなして変化している。
【0086】
また、図6(b)に示すように、重複測定エリア70における第1の測定グループ61及び第2の測定グループ65における重みづけ係数が標準正規分布曲線をなしている場合には、移動体18の第1の測定グループ61及び第2の測定グループ65における測定位置座標を重みづけ係数で合成して算出した表示位置座標(Pで示す)は、重複測定エリア70の第1のエリア62の非重複測定エリア63に接した位置での第1の測定グループ61の測定位置座標(Aで示す)から重複測定エリア70の第2のエリア67の非重複測定エリア68に接した位置での第2の測定グループ65の測定位置座標(Bで示す)との間で非線形をなして変化している。このように、重複測定エリア70において測定位置座標を重みづけ係数によって合成して表示位置座標することにより、測定グループの切り替わり時の移動体18の位置飛びを防止することができる。
【0087】
また、図5及び図6ではX軸に重複測定エリアの長さを使用したが、重複測定エリアに関して正規化した値を使用することも可能である。
【0088】
図7(a)は、第1のエリア62と第2のエリア67がX軸方向に隣り合って接している場合の重複測定エリア70を示し、重複測定エリア70における移動体18の位置を原点o1からのX軸の距離をx1とすると、正規化値Nは、N=x1/Lxとなる。但し、Lxは、重複測定エリア70におけるX軸方向における長さを示す。
【0089】
図7(b)に示すように、第1のエリア62と第2のエリア67とが逆L字形状をなし、第1のエリア62と第2のエリア67の重複測定エリア70がコーナー部分に位置している場合には、原点o2からの重複測定エリア70の第1のエリア62側の辺と移動体18とのなす角度を算出し、算出した角度を正規化して重みづけ係数を求めることもできる。例えば、第1のエリア62側の辺と移動体18とのなす角度をθ、正規化値をNとすると、角度θ、正規化値Nは、
θ=tan-1(x3/y3) N=θ/(π/2)
である。但し、移動体18の位置座標を原点o2から(x3、y3)とする。このように、重複測定エリア70を正規化し、正規化値から重みづけ係数を求めることも可能である。
[重複測定エリアの入退出の判定]
【0090】
また、移動体18が第1のエリア62の非重複測定エリア63から重複測定エリア70に入ったかどうかの判定は測定位置座標(xa,ya)を用いて行い、移動体18が第2のエリア67の非重複測定エリア68から重複測定エリア70に入ったかどうかの判定は測定位置座標(xb,yb)を用いて行うようにする。
【0091】
一方、移動体18が重複測定エリア70から第1のエリア62の非重複測定エリア63に入ったかどうかの判定は測定位置座標(xa,ya)を用いて行い、移動体18が重複測定エリア70から第2のエリア67の非重複測定エリア68に入ったかどうかの判定は測定位置座標(xb,yb)を用いて行うようにする。
【0092】
また、移動体18が重複測定エリア70内に進入している場合、測定位置座標(xa,ya)と測定位置座標(xb,yb)との差分が所定の値以上である場合は、進入元のエリアの測定位置座標(xa,ya)又は(xb,yb)を表示位置座標として用いて移動体18の位置を表示するようにする。
【0093】
[表示位置座標を算出処理]
次に、移動体18が第1のエリア62の非重複測定エリア63から重複測定エリア70に進入(移動)し、重複測定エリア70における測定位置座標から表示位置座標を算出する処理について説明する。
【0094】
最初に、重複測定エリア70における表示位置座標を算出するための基準値について説明する。基準値は、移動距離平均、移動角度差平均及び他群間距離平均からなり、移動距離平均と移動角度差平均とを用いて重複測定エリア70における第1の測定グループ61による測定位置座標(xa,ya)と第2の測定グループ65による測定位置座標(xb,yb)との位置関係を判定し、必要により他群間距離平均を用いて測定位置座標(xa,ya)と測定位置座標(xb,yb)との位置関係を判定する。
【0095】
図8(a)は、重複測定エリア70における表示位置座標を算出するための基準値である移動距離平均を説明する図である。移動距離平均とは、移動体18が重複測定エリア70内に進入している場合において、現在の測定位置座標として第1の測定グループ61による測定位置座標(xa,ya)と第2の測定グループ65による測定位置座標(xb,yb)に対して、互いに隣り合って連続する所定回数の過去の表示位置座標間の移動距離の平均値をいう。
【0096】
図8(a)に示すように、移動距離平均は、現在の測定位置座標の位置から連続する所定回数(例えば回数が5)の過去の表示位置座標の位置P4、P3、P2、P1、P0について、互いに隣り合って連続する表示位置座標間の移動距離であるP4からP3間の移動距離p34と、P3からP2間の移動距離p23と、P2からP1間の移動距離p12と、P1からP0間の移動距離p01とから算出した平均値である。尚、移動距離平均では、測定位置座標の測定を所定のタイミングで行ったものである。例えば、移動体位置表示システム1は一定周期毎に移動体の位置測定を行うようにする。
【0097】
移動角度差平均は、互いに隣り合って連続する所定回数の表示位置座標間のベクトルと互いに隣り合う過去側のベクトルとの絶対値からなる角度差の平均値をいう。
【0098】
図8(b)は、重複測定エリア70における表示位置座標を算出するための基準値である移動角度差平均を説明する図である。
【0099】
図8(b)に示すように、移動角度差平均は、所定回数(例えば回数が5)の表示位置座標の位置P0、P1、P2、P3、P4間の太線で示すベクトルP12、ベクトルP23、ベクトルP34と互いに隣り合う過去側のベクトルP01、ベクトルP12、ベクトルP23との絶対値からなる角度差、即ち、位置P0のベクトルP01を延長したベクトル(点線で示す)を基準としたときの位置P1のベクトルP12がなす角度差の絶対値Δa12、位置P1のベクトルP12を延長したベクトル(点線で示す)を基準としたときの位置P2のベクトルP23がなす角度差の絶対値Δa23、位置P2のベクトルP23を延長したベクトル(点線で示す)を基準としたときの位置P3のベクトルP34がなす角度差の絶対値Δa34から算出した平均値である。
【0100】
他群間距離平均は、所定回数の過去の測定位置座標の各々について、第1の測定グループ61による測定位置座標と第2の測定グループ65による測定位置座標との間の距離の平均値をいう。
【0101】
図8(c)は、重複測定エリア70における表示位置座標を算出するための基準値である他群間距離平均を説明する図である。
【0102】
図8(c)に示すように、他群間距離平均は、所定回数(例えば回数が5)の過去の第1の測定グループ61による移動体18aの位置A0、A1、A2、A3、A4における測定位置座標と、第1の測定グループ61と同一位置での第2の測定グループ65による移動体18bの位置B0、B1、B2、B3、B4における測定位置座標の各々について、第1の測定グループ61による測定位置座標と第2の測定グループ65による測定位置座標間の距離ab0、ab1、ab2、ab3、ab4から算出した平均値である。
【0103】
[表示位置座標を算出する処理のフローチャート]
次に、移動体18が第1のエリア62の非重複測定エリア63から重複測定エリア70に移動し、重複測定エリア70における測定位置座標から表示位置座標を算出する処理について図1図4及び図9に示すフローチャートを参照して説明する。以下に示すフローチャートの処理は、サーバ50によって実行される。尚、以下の説明では、移動体18は図1に示す第1のエリア62、重複測定エリア70及び第2のエリア67を移動するものとする。
【0104】
図9に示すように、最初に、移動体位置表示システム1は、移動体18が第1のエリア62の非重複測定エリア63から重複測定エリア70に進入したかをチェックする。第1のエリア62に位置する第1の測定グループ61によって移動体18aの位置を測定して、位置座標(xa、ya)を取得する。また、第2のエリア67に位置する第2の測定グループ65によって移動体18bの位置を測定して測定位置座標(xb,yb)を取得する(ステップS1)。
【0105】
移動体位置表示システム1は、移動体18の測定位置座標を取得後、移動体18が重複測定エリア70に進入して重複測定エリア70に位置しているかチェックする(ステップS2)。移動体18が重複測定エリア70に位置しているかの確認は、第1の測定グループ61による移動体18aの測定位置座標(xa、ya)のxaが、図4(a)に示すL1未満であり、かつyaがL4以下の場合には移動体18は第1のエリア62の非重複測定エリア63に位置していると判断し(ステップS2のNo)、第1の測定グループ61による測定位置座標(xa、ya)を移動体18の表示位置座標として表示部51に表示する(ステップS3)。その後、ステップS1に移行する。
【0106】
一方、移動体18の測定位置座標(xa、ya)のxaがL1以上でかつyaがL4以下の場合には、移動体18は重複測定エリア70に位置していると判断する(ステップS2のYes)。
【0107】
次に、移動体18が重複測定エリア70に位置していると判断した場合には、第1の測定グループ61による測定位置座標(xa、ya)及び第2の測定グループ65による測定位置座標(xb、yb)に対する基準値、即ち移動距離平均、移動角度差平均を算出する。また、所定回数の過去の測定位置座標の各々について、第1の測定グループ61による測定位置座標と第2の測定グループ65による測定位置座標間の距離の平均値である他群間距離平均を算出する(ステップS4)。
【0108】
次に、移動距離平均、移動角度差平均及び他群間距離平均を算出後に、移動距離平均に対して1倍以上の1.5倍で設定された第1の所定の値としての移動距離判定値Mdと、移動角度差平均に対して1倍以上の1.5倍で設定された第2の所定の値としての移動角度差判定値Maと、他群間距離平均に対して1倍以上の1.5倍で設定された第3の所定の値としての他群間距離判定値Mgとを算出する(ステップS5)。尚、移動距離平均、移動角度差平均及び他群間距離平均に対して設定される1倍以上の値は1.5倍に限定するものではなく、他の値であってもよい。
【0109】
その後、移動体18が重複測定エリア70に位置している状態についてケース1からケース5の5種類に分類して、それぞれのケースにおける測定位置座標から表示位置座標を算出する。
【0110】
最初に、移動体18が重複測定エリア70に位置している状態がケース1であるかを判断する(ステップS6)。図10(a)及び図10(b)は、移動体18が重複測定エリア70に位置している状態でのケース1における表示位置座標の算出を説明する図である。
【0111】
図10(a)に示すように、XY座標上に表示位置座標P3と表示位置座標P4との表示位置座標間ベクトルP34の延長線上の点線で示すベクトル(VP34と記す)と、前回の表示位置座標P4を中心として、移動距離判定値Mdを半径とする円(点線で示す)を設定する。図10(a)は、第1の測定グループ61により測定した測定位置座標による移動体18aの位置と第2の測定グループ65により測定した測定位置座標による移動体18bの位置を示した図である。
【0112】
図10(b)は、図10(a)に示すベクトルP34の延長線上のベクトルVP34が表示位置座標P4を原点として設定したy軸と一致するように表示位置座標P4を中心として、反時計方向にθ度回転した図である。図10(b)に示す進行ベクトルVPは、図10(a)に示すベクトルP34を基本ベクトルとしたものであり、進行ベクトルVPの大きさ(長さ)は移動距離判定値Mdであり、方向はY軸と平行をなしている。尚、図10(b)に示す移動角度差判定値Maは、進行ベクトルVPを中心として±移動角度差平均の値を1.5倍した値であり、そのため、移動角度差判定値Maの絶対量は、1.5倍した移動角度差平均を2倍にした値であり、これにより移動角度差平均を3倍した値となる.。また、表示位置座標P4を中心とし、進行ベクトルVPを含む移動角度差判定値Ma内の扇型の領域を所望エリアDaと称す。
【0113】
尚、以下のケース1からケース5では、図10(b)に示すベクトルP34の延長線上のベクトルVP34がy軸と一致するように回転した図を参照して説明する。
【0114】
図10(b)に示すように、移動体18の前回の表示位置座標P4に対する移動体18aの測定位置座標(xa,ya)と移動体18bの測定位置座標(xb,yb)の移動距離がともに、移動距離平均に対して1倍以上で設定された第1の所定の値としての移動距離判定値Md以下、かつ、移動体18の前回の表示位置座標P4に対する測定位置座標(xa,ya)と測定位置座標(xb,yb)の移動角度がともに、移動角度差平均に対して1倍以上で設定された第2の所定の値としての移動角度差判定値Ma以下である場合、即ち、測定位置座標(xa,ya)と測定位置座標(xb,yb)が所望エリアDa内に位置している場合にはケース1と判断して(ステップS6でYes)、重複測定エリア70での測定位置座標から重みづけ係数α及び重みづけ係数βを決定する。その後、重みづけ係数α及び重みづけ係数βを用いて移動体18の位置座標(X,Y)を表示位置座標として(αxa+βxb,αya+βyb)で表示部51に表示する(ステップS7)。尚、重みづけ係数は、図5図6に示す線形又は非線型を用いて決定する。
【0115】
次に、移動体が重複測定エリアに位置している状態がケース1でない場合に(ステップS6でNo)、ケース2であるかを判断する(ステップS8)。図11は、移動体が重複測定エリア70に位置している状態でのケース2における表示位置座標の算出を説明する図である。
【0116】
図11に示すように、移動体18の前回の表示位置座標P4に対する移動体18aの測定位置座標(xa,ya)と移動体18bの測定位置座標(xb,yb)の移動距離がともに、移動距離平均に対して1倍以上で設定された第1の所定の値としての移動距離判定値Md以下、移動体18の前回の表示位置座標P4に対する移動体18aの測定位置座標(xa,ya)と移動体18bの測定位置座標(xb,yb)の移動角度がともに、移動角度差平均に対して1倍以上で設定された第2の所定の値としての移動角度差判定値Maを超えて、かつ、移動体18aの測定位置座標(xa,ya)と移動体18bの測定位置座標(xb,yb)との間の距離sabが、他群間距離平均に対して1倍以上で設定された第3の所定の値としての他群間距離判定値Mg以下である場合にはケース2と判断して(ステップS8でYes)、重複測定エリア70での測定位置座標から重みづけ係数α及び重みづけ係数βを決定する。その後、重みづけ係数α及び重みづけ係数βを用いて移動体の位置座標(X,Y)を表示位置座標として(αxa+βxb,αya+βyb)で表示する(ステップS7)。尚、図11に示すケース2では移動体18の前回の表示位置座標P4に対する移動体18aの測定位置座標と移動体18bの測定位置座標の移動角度がともに、第2の所定の値としての移動角度差判定値Maを超えているため、移動体18が表示位置座標P4からの移動中に方向転換したと判断することが可能である。
【0117】
次に、移動体が重複測定エリア70に位置している状態がケース2でない場合に(ステップS8でNo)、ケース3であるかを判断する(ステップS9)。図12は、移動体18が重複測定エリア70に位置している状態でのケース3における測定位置座標の算出を説明する図である。
【0118】
図12に示すように、移動体18の前回の表示位置座標P4に対する移動体18aの測定位置座標(xa,ya)と移動体18bの測定位置座標(xb,yb)の移動距離がともに、移動距離平均に対して1倍以上で設定された第1の所定の値としての移動距離判定値Md以下、移動体18の前回の表示位置座標P4に対する測定位置座標(xa,ya)と測定位置座標(xb,yb)の移動角度がともに、移動角度差平均に対して1倍以上で設定された第2の所定の値としての移動角度差判定値Maを超えて、かつ、測定位置座標(xa,ya)と測定位置座標(xb,yb)との間の距離sabが、他群間距離平均に対して1倍以上で設定された第3の所定の値としての他群間距離判定値Mgを超える場合にはケース3と判断して(ステップS9でYes)、測定位置座標(xa,ya)又は測定位置座標(xb,yb)において、前回の表示位置座標により近い測定位置座標を表示位置座標として表示する(ステップS10)。図12に示すケース3の場合は、移動体18aの測定位置座標(xa,ya)が前回の表示位置座標P4により近いため、測定位置座標(xa,ya)が表示位置座標となる。
【0119】
次に、移動体18が重複測定エリア70に位置している状態がケース3でない場合に(ステップS9でNo)、ケース4であるかを判断する(ステップS11)。図13は、移動体18が重複測定エリア70に位置している状態でのケース4における測定位置座標の算出を説明する図である。
【0120】
図13に示すように、移動体18の前回の表示位置座標P4に対する移動体18aの測定位置座標(xa,ya)と移動体18bの測定位置座標(xb,yb)の一方の移動距離が、移動距離平均に対して1倍以上で設定された第1の所定の値としての移動距離判定値Md以下、かつ、移動体18の前回の表示位置座標P4に対する測定位置座標(xa,ya)と測定位置座標(xb,yb)の一方の移動角度が、移動角度差平均に対して1倍以上で設定された第2の所定の値としての移動角度差判定値Ma以下である場合、即ち、一方の移動体の測定位置座標が所望エリアDaに位置しているときにはケース4と判断して(ステップS11でYes)、一方の移動体18aの測定位置座標(xa,ya)又は移動体18bの測定位置座標(xb,yb)を表示位置座標として表示する(ステップS12)。図13に示すケース4の場合には、移動体18aの測定位置座標(xa,ya)を表示位置座標として表示するようにする。尚、図13に示すケース4では移動体18aが所望エリアDa内に位置し、移動体18bが所望エリアDa外に位置しているため、移動体18bの測定位置座標(xb,yb)は障害物等による誤測定であると判断することが可能である。
【0121】
次に、移動体18が重複測定エリア70に位置している状態がケース4でない場合に(ステップS11でNo)、ケース5であるかを判断する(ステップS13)。図14は、移動体18が重複測定エリア70に位置している状態でのケース5における測定位置座標の算出を説明する図である。
【0122】
図14に示すように、移動体18の前回の表示位置座標P4に対する移動体18aの測定位置座標(xa,ya)と移動体18bの測定位置座標(xb,yb)の移動距離がともに、移動距離平均に対して1倍以上で設定された第1の所定の値としての移動距離判定値Mdを超えている場合にはケース5と判断して(ステップS13でYes)、測定位置座標(xa,ya)又は測定位置座標(xb,yb)において、前回の表示位置座標により近い測定位置座標を表示位置座標として表示する(ステップS14)。図14に示すケース5の場合は、移動体18bの測定位置座標(xb,yb)が前回の表示位置座標P4により近いため、測定位置座標(xb,yb)が表示位置座標となる。
【0123】
また、移動体18が重複測定エリア70に位置している状態がステップ1からステップ5に該当しない場合には(ステップS15)、測定位置座標(xa,ya)又は測定位置座標(xb,yb)において、前回の表示位置座標により近い測定位置座標を表示位置座標として表示するようにする(ステップS14)。
【0124】
次に、第1のエリア62に位置する第1の測定グループ61によって移動体18aの位置を測定して、測定位置座標(xa、ya)を取得する。また、第2のエリア67に位置する第2の測定グループ65によって移動体18bの位置をそれぞれで測定して測定位置座標(xb,yb)を取得する(ステップS16)。
【0125】
移動体位置表示システム1は、移動体18の測定位置座標を取得後、移動体18が重複測定エリア70内に位置しているかチェックする(ステップS17)。移動体18が重複測定エリア70に位置していると判断した場合には(ステップS17のYes)、ステップS4に移行する。
【0126】
一方、移動体18が重複測定エリア70内に位置していない場合には(ステップS17のNo)、第1のエリア62に移動したかをチェックし(ステップS18)、移動体測定位置座標(xa、ya)のxaが図2に示すL1未満の場合には、第1のエリア62に移動したと判断して(ステップS18のYes)、ステップS1に移行する。また、ステップS18でNoのとき、即ち測定位置座標(xb,yb)のxbがL2を超える場合には、第2のエリア67に移動したと判断して(ステップS19)、処理を終了する。
【0127】
このように重複測定エリア70内での測定では、移動体18の表示における位置飛びを防ぐために第1の測定グループ61と第2の測定グループ65のそれぞれの測定位置座標の測定地点に応じて重みづけを付与するようにする。重複測定エリア70内での移動体18の表示を測定地点に応じた重みづけを付与することにより、測定グループ間での移動体18の軌跡をシームレスに表示させることが可能となる。重みづけは、線形でも標準正規分布等の非線形どちらを使用してもよい。
【0128】
また、ケース2のように移動体18が表示位置座標P4からの移動中に方向転換した際にも、重複測定エリア70内での移動体18の表示を測定地点に応じた重みづけを付与することにより、測定グループ間での移動体の軌跡をシームレスに表示させることが可能となる。また、ケース3のように、前回の表示位置座標により近い測定位置座標を表示位置座標として補正して表示することにより、測定グループ間での移動体18の軌跡をシームレスに表示させることが可能となる。さらに、ケース4のように、一方の測定位置座標を表示位置座標として補正して表示することにより、測定グループ間での移動体18の軌跡をシームレスに表示させることが可能となる。また、ケース5のように、移動体18の測定位置座標の移動距離がともに、移動距離判定値を超えるである場合には、前回の表示位置座標により近い測定位置座標を表示位置座標として表示する。このように、ケース1に該当しない場合でもケース2からケース5に分類して適切に補正することが可能であり、移動体18のスムーズな軌跡の表示が可能となる。
【0129】
以上述べたように、移動体に移動式受信機が設けられており、移動体の位置は、固定式発信機から発信された超音波パルス信号の移動式受信機への到達時間から測定するため、精度の高い位置検出が可能である。即ち移動体からの反射波を検知して位置を測定していないため、移動体周辺の影響を受けづらい。
【0130】
[エリア間のずれ補正方法]
次に、測定エリアのエリア間で発生する移動体の表示での位置飛びに関するずれ補正について説明する。尚、移動体位置表示方法における測定のエリア間の補正、移動体の位置及び移動体の軌跡の表示を実施するための移動体位置表示システムは、図2図3に示す構成と同一である。また、第1の測定グループ61によって移動体18aの位置を測定して表示可能な第1のエリア62と、第2の測定グループ65によって移動体18bの位置を測定して表示可能な第2のエリア67と、第1のエリア62と第2のエリア67の重複測定エリアは図1を示す配置と同一とする。
【0131】
前述したように、測定エリアである第1のエリア62と第2のエリア67が隣り合っている場合には、測定グループが切替わった時に移動体18の位置飛びが発生することがある。移動体18の位置飛びを防ぐためのエリア間のずれ補正は、エリア間の測定誤差をオフセットとして算出して、補正の対象となるエリアをオフセット分移動させることで、移動体18の表示における位置飛びを解消するものである。
【0132】
図15は、第1のエリア62と第2のエリア67とのエリア間のずれ補正を説明する図であり、第1のエリア62を基準とした第2のエリア67における移動体のオフセット移動値を算出するための差分を示す。オフセットの算出は、重複測定エリア70内にて複数の測定点で基準となる第1のエリア62の第1の測定グループ61と従属となる第2のエリア67の第2の測定グループ65の両測定グループで行い、それぞれの測定点での差分を算出し、所要の測定点分の差分を平均化して求める。平均化して得られたオフセットを使用して、従属エリア全体を移動させることで、移動体位置表示システムにおける測定エリア全体の統一化を図る。
【0133】
例えば、重複測定エリア70のn箇所の測定点(nは1以外の整数)で第1の測定グループ61による移動体の測定位置座標と第2の測定グループ65による移動体の測定位置座標との差分をn箇所分求めて平均値を算出する。図15は、重複測定エリア70の5箇所の差分を示し、最初に、第1のエリア62(実線で示す枠)の第1の測定グループ61で測定した重複測定エリア70における移動体の測定位置座標A1と第2のエリア67(点線で示す枠)の第2の測定グループ65で測定した測定位置座標B1との差分(x1,y1)を求め、順に重複測定エリア70に示す仮想の円に沿って移動体を移動させて、移動体の測定位置座標A2と測定位置座標B2との差分(x2,y2)、移動体の測定位置座標A3と測定位置座標B3との差分(x3,y3)、移動体の測定位置座標A4と測定位置座標B4との差分(x4,y4)、移動体の測定位置座標A5と移動体の測定位置座標B5との差分(x5,y5)までを求め、重複測定エリア70の5箇所の差分から平均値を算出し、平均値をオフセット移動値する。重複測定エリア70のn箇所における第1のエリア62を基準とした第2のエリア67のオフセット移動値を(xoa,yoa)とすると、オフセット移動値(xoa,yoa)は、
(xoa,yoa)=((x1十x2十x3十・・・十xn)/n,(y1十y2十y3十・・・十yn)/n)となる。
尚、図15では、オフセット移動値を算出するために移動体を円状に移動させた形態を示したが、移動体の移動は円に限定するものではなく、例えば多角形をなすように移動してもよい。尚、オフセット移動値の補正は重複測定エリア70の1箇所、即ちnが1の場合においても可能である。nが1の場合はオフセット移動値の平均値を求める必要がない。
【0134】
図16は、第1のエリア62を基準とした第2のエリア67のオフセット移動値(xoa,yoa)を説明する図である。尚、図16に実線で示す第2のエリア67は、第1のエリア62に対してオフセット移動値(xoa,yoa)を有しているものとする。図16に示すように、第1のエリア62の第1の測定グループ61で測定した移動体の測定位置座標A1は、表示位置座標P1と同一の座標であり、さらに、重複測定エリア70における第1のエリア62の第1の測定グループ61で測定した移動体の測定位置座標A2は、表示位置座標P2と同一の座標である。一方、重複測定エリア70における第2のエリア67の第2の測定グループ65で測定した移動体の測定位置座標B1は、測定位置座標A2に対してずれた位置となっている。第2のエリア67をオフセット移動値(xoa,yoa)で補正することにより点線で示すエリアにシフトし、測定位置座標B1は、表示位置座標P2の座標に移動する。同様に第2の測定グループ65で測定した移動体の測定位置座標B2及び測定位置座標B3は、オフセット移動値(xoa,yoa)で補正することにより第1のエリア62を基準とした表示位置座標P3及び表示位置座標P4となる。
【0135】
このように移動体の位置座標(X,Y)、第1のエリア62内の測定位置座標(xa,ya)、第2のエリア67内の測定位置座標(xb,yb)、オフセット移動値(xoa,yoa)とすると、第1のエリア62と第2のエリア67における移動体の位置座標(X,Y)は、
第1のエリア(X,Y)=(xa,ya)
第2のエリア(X,Y)=(xb十xoa,yb十yoa)
となり、第2のエリア67をオフセット移動値(xoa,yoa)の分だけ補正して、第2の測定グループ65による測定位置座標(xb,yb)に対して移動体の位置座標(X,Y)を表示位置座標として(xb+xoa,yb+yoa)で表示する。このように、第2のエリア67の全体をオフセット分移動させてエリア間の補正を行う。
【0136】
[測定エリア数が3以上の場合について]
測定エリアとして第1のエリアと第2のエリアについて述べたが、測定エリアは、3以上のエリアを有することも可能である。以下に3以上のエリアを有する測定エリアのオフセット補正について図17を参照して説明する。図17は、測定エリアとして第1のエリアから第5のエリアにおけるエリア間のオフセット補正を示す図である。
【0137】
図17に示すように、第1のエリア62と第2のエリア67との重複測定エリア(第1第2の重複測定エリア)70を有する測定エリア60においては、第1のエリア62を基準エリアとして第2のエリア67の表示位置座標P2は、第2の測定グループ65で測定された測定位置座標をオフセット移動値(xoa,yoa)の分だけ補正されたものである。これにより第2のエリア67は第1エリア62の従属エリアとなる。尚、第1のエリア62の表示位置座標P1は、第1の測定グループ61で測定された測定位置座標と同一値である。
【0138】
また、図17に示す第2のエリア67を基準エリアとして第3のエリア72をオフセット移動値(xob,yob)の分だけ補正することも可能である。2つの固定体としての固定式受信器と、第1のエリア62及び第2のエリア67と共用される移動体とによって移動体の位置を測定して表示可能な第3のエリア72からなる第3の測定グループ71をさらに備えており、第2のエリア67と第3のエリア72は互いに測定可能な重複範囲第2第3の重複測定エリア73を有する。重複測定エリアである第2第3の重複測定エリア73のn箇所(nは1以外の整数)で第2の測定グループ65による移動体の測定位置座標と第3の測定グループ71による移動体の測定位置座標との差分として測位差をn箇所分求めて平均値を算出することで、第2のエリア67を基準とした第3のエリア72のオフセット移動値(xob,yob)とし、第3のエリア72をオフセット移動値(xob,yob)の分だけ補正して、第3の測定グループ71による測定位置座標(xc,yc)に対して移動体の位置座標(X,Y)を表示位置座標P3として(xc+xob,yc+yob)で表示するようにする。このように、第3のエリア72の全体をオフセット分移動させてエリア間の補正を行う。
【0139】
これにより、第3のエリア72は、第1のエリア62を基準とした第2のエリア67のオフセット移動値(xoa,yoa)と第2のエリア67を基準とした第3のエリア72のオフセット移動値(xob,yob)との和((xoa+xob),(yoa+yob))の分だけ補正して、第3の測定グループ71による測定位置座標(xc,yc)に対して移動体の位置座標(X,Y)を表示位置座標P3として(xd+xoa+xob,yd+yoa+yob)で表示することも可能である。このように第2のエリア67が第1のエリア62の従属エリアとなっている場合には、第3のエリア72は第1のエリア62を基準エリアとする従属エリアとなる。すなわち、第2のエリア67及び第3のエリア72は第1のエリア62を基準とするエリアに統一することができる。
【0140】
また、図17に示す第3のエリア72を基準エリアとして第4のエリア75をオフセット移動値(xoc,yoc)の分だけ補正することも可能である。2つの固定体としての固定式受信器と、第1のエリア62、第2のエリア67及び第3のエリア72と共用される移動体とによって移動体の位置を測定して表示可能な第4のエリア75からなる第4の測定グループ74とをさらに備え、第3のエリア72と第4のエリア75は互いに測定可能な重複範囲として第3第4の重複測定エリア76を有し、第3第4の重複測定エリア76のn箇所(nは1以外の整数)で第3の測定グループ71による移動体の測定位置座標と第4の測定グループ74による移動体の測定位置座標との差分として測位差をn箇所分求めて平均値を算出することで、第3のエリア72を基準とした第4のエリア75のオフセット移動値(xoc,yoc)を算出することで、第3のエリア72を基準とした第4のエリア75のオフセット移動値(xoc,yoc)とし、第4のエリア75をオフセット移動値(xoc,yoc)の分だけ補正して、第4の測定グループ74による測定位置座標(xd,yd)に対して移動体の位置座標(X,Y)を表示位置座標P4として(xd+xoc,yd+yoc)で表示するようにする。
【0141】
これにより、第4のエリア75は、第1のエリア62を基準とした第2のエリア67のオフセット移動値(xoa,yoa)と第2のエリア67を基準とした第3のエリア72のオフセット移動値(xob,yob)と第3のエリア72を基準とした第4のエリア75のオフセット移動値(xoc,yoc)との和((xoa+xob+xoc),(yoa+yob+yoc))の分だけ補正して、第4の測定グループ74による測定位置座標(xd,yd)に対して移動体の位置座標(X,Y)を表示位置座標P4として(xd+xoa+xob+xoc,yd+yoa+yob+yoc)で表示することも可能である。このように、第2のエリア67、第3のエリア72及び第4のエリア75は第1のエリア62を基準とするエリアに統一することが可能である。尚、重複測定エリアの1箇所、即ちnが1の場合においてもオフセット移動値の補正は可能である。但しnが1の場合はオフセット移動値の平均値を求める必要がない。
【0142】
このようにして、基準エリアである第1のエリア62に従属エリアである第2のエリア67を補正して、従属エリアである第2のエリア67を新たな基準エリアとして隣の第3のエリア72を従属エリアとして第4のエリア75を同じ手順で補正することで、第2のエリア67、第3のエリア72及び第4のエリア75が第1のエリア62を基準エリアとすることが可能である。これにより、移動体位置表示システムの測定エリア60の統一化を図ることができる。尚、各重複測定エリアにおけるオフセット移動値は、前もって測定しておくようにする。
【0143】
また、移動体位置表示システムにおける複数の測定グループ間を補正して、全てのエリアを基準エリアに統一した場合に、末端のエリアでのオフセット移動値の誤差が大きくなることが予想されることがある。このような場合には、測定グループの精度に応じて、統一するエリアの最大数を決め、最大数以降は第1のエリア以外の他の測定グループのエリアを新たな基準エリアとして設定して移動体位置表示システムの統一化を図るようにしてもよい。図17は、測定エリア60は、第1のエリア62を基準エリアとして第2のエリア67、第3のエリア72及び第4のエリア75が従属エリアとして配置されているが、第5の測定グループ77の第5のエリア78は、新たな基準エリアとして配置されており、第5のエリア78以後の第6エリア(図示せず)からは、第5のエリア78が基準エリアとなり、図17に示す表示位置座標P5は、第5の測定グループ77の測定位置座標と同一の座標となる。これにより測定エリアのエリア間の位置飛びは、エリア間のずれ補正によって、最小限に押さえることが可能となる。
【0144】
[固定ビーコンの共有について]
また、移動体位置表示システムにおいては、異なる測定グループとの間において少なくとも一つの固定ビーコンを共有することも可能である。図18は、移動体位置表示システムにおける異なる測定グループとの間で受信用固定ビーコンを共有した形態を示す図である。図18に示すように、移動体位置表示システム58における第1の測定グループ85と第2の測定グループ87との間で、重複測定エリア70に配置されている受信用固定ビーコン3Aが共有されている。即ち、第1のエリア62に配置された受信用固定ビーコン3と受信用固定ビーコン3Aとが第1の測定グループ85をなす。他方、第2のエリア67に配置された受信用固定ビーコン3と受信用固定ビーコン3Aとが第2の測定グループ87をなしている。これにより、固定ビーコンは異なる測定グループとの間において少なくとも一つが共有することができるため、複数の測定グループにおいて、固定ビーコンの設置数を減らすことができる。このため、移動体位置表示システムの構成を簡素化することが可能である。尚、固定ビーコンは異なる測定グループとの間において、受信用移動ビーコン30(図3に示す)を使用して発信用固定ビーコン15(図3に示す)を共有するようにしてもよい。
【0145】
以上述べたように、 本発明によれば、2つの固定式発信機を用いて三辺測位により移動体の位置を測定して移動体の位置を表示する移動体位置表示方法において、移動体が第1群及び第2群の測定グループ間の隣り合う境界を超える際に、隣り合う測定グループの測定エリアが重なる重複測定エリアでの移動体の測定位置座標に重みづけ処理を行って表示位置座標を表示することにより、移動体の位置表示における移動体の位置飛び(軌跡の不連続性)を防止し、移動体のスムーズな軌跡を表示することが可能となる。
【0146】
また、本発明によれば、固定式発信機から発信された超音波信号の移動式受信機への到達時間から三辺測位によって移動体の位置を測定することにより、測定精度を向上させることが可能であり、また、移動体からの反射波を使用していないため、移動体の位置を正確に表示することができる。
【0147】
また、本発明によれば、移動体が重複測定エリア内に進入している場合、第1群による移動体の測定位置座標と第2群による移動体の測定位置座標との差分が所定の値以上である場合は、進入元のエリアの測定位置座標を表示位置座標として用いて移動体の位置を表示することにより、移動体の不連続表示を防止することができる。
【0148】
また、本発明によれば、移動体が重複測定エリア内に進入している場合、ケース1のように移動体の前回の表示位置座標に対する第1群による測定位置座標と第2群による測定位置座標の移動距離がともに、移動距離平均に対して1倍以上で設定された所定の値以下、かつ、移動体の前回の表示位置座標に対する第1群による測定位置座標と第2群による測定位置座標の移動角度がともに、移動角度差平均に対して1倍以上で設定された所定の値以下である場合、重みづけ係数を用いて移動体の位置座標を表示位置座標として表示することにより、移動体の位置を適切に補正して表示することが可能である。
【0149】
また、本発明によれば、移動体が重複測定エリア内に進入している場合、ケース2のように移動体の前回の表示位置座標に対する第1群による測定位置座標と第2群による測定位置座標の移動距離がともに、移動距離平均に対して1倍以上で設定された所定の値以下、移動体の前回の表示位置座標に対する第1群による測定位置座標と第2群による測定位置座標の移動角度がともに、移動角度差平均に対して1倍以上で設定された所定の値を超えて、かつ、第1群による測定位置座標と第2群による測定位置座標との間の距離が、他群間距離平均に対して1倍以上で設定された所定の値以下である場合、重みづけ係数を用いて移動体の位置座標を表示位置座標として表示することにより、移動体の位置飛びを防止することができ移動体の位置を適切に補正して表示することが可能である。
【0150】
また、本発明によれば、移動体が重複測定エリア内に進入している場合、ケース3のように移動体の前回の表示位置座標に対する第1群による測定位置座標と第2群による測定位置座標の移動距離がともに、移動距離平均に対して1倍以上で設定された所定の値以下、移動体の前回の表示位置座標に対する第1群による測定位置座標と第2群による測定位置座標の移動角度がともに、移動角度差平均に対して1倍以上で設定された所定の値を超えて、かつ、第1群による測定位置座標と第2群による測定位置座標との間の距離が、他群間距離平均に対して1倍以上で設定された所定の値を超える場合、第1群による測定位置座標又は第2群による測定位置座標において、前回の表示位置座標により近い測定位置座標を表示位置座標として補正して表示することにより、移動体の位置飛びを防止することができ移動体の位置を適切に表示することが可能である。
【0151】
また、本発明によれば、移動体が重複測定エリア内に進入している場合、ケース4のように移動体の前回の表示位置座標に対する第1群による測定位置座標と第2群による測定位置座標の一方の移動距離が、移動距離平均に対して1倍以上で設定された所定の値以下、かつ、移動体の前回の表示位置座標に対する第1群による測定位置座標と第2群による測定位置座標の一方の移動角度が、移動角度差平均に対して1倍以上で設定された所定の値以下である場合、一方の第1群による測定位置座標又は第2群による測定位置座標を表示位置座標として補正して表示することにより、移動体の位置飛びを防止することができ移動体の位置を適切に表示することが可能である。
【0152】
また、本発明によれば、移動体が重複測定エリア内に進入している場合、ケース5のように移動体の前回の表示位置座標に対して、移動体の前回の表示位置座標に対する第1群による測定位置座標と第2群による測定位置座標の移動距離がともに、移動距離平均に対して1倍以上で設定された所定の値を超える場合、第1群による測定位置座標又は第2群による測定位置座標において、前回の表示位置座標により近い測定位置座標を表示位置座標として補正して表示することにより、移動体の位置飛びを防止することができ移動体の位置を適切に表示することが可能である。
【0153】
また、本発明によれば、移動体が重複測定エリア内に進入している場合、ケース1に該当しない場合でもケース2からケース5に分類して適切に補正することが可能であり、移動体のスムーズな軌跡の表示が可能となる。
【0154】
また、本発明によれば、第2のエリアと第3のエリアは互いに測定可能な重複範囲として他の重複測定エリアを有し、他の重複測定エリアのn箇所(nは1以外の整数)で第2群による移動体の測定位置座標と第3群による移動体の測定位置座標との差分として測位差をn箇所分求めて平均値を算出することで、第2のエリアを基準とした第3のエリアのオフセット移動値とし、第3のエリアをオフセット移動値の分だけ補正して、第3群による測定位置座標に対して移動体の位置座標を表示位置座標とすることにより、エリア間のずれを校正することができるため、移動体の位置を適切に表示することが可能である。
【0155】
また、本発明によれば、固定体は異なる群としての測定グループとの間において少なくとも一つが共有されることができるため、複数の測定グループにおいては、固定体の設置数を減らすことができるため、移動体位置表示システムの構成を簡素化することが可能である。
【0156】
また、本発明によれば、受信用のビーコンを適宜設置することにより、移動体の3次元測位が可能となる。
【0157】
また、本発明によれば、GPSでの衛星からの電波を受信できない環境、例えば地下空間などの屋内エリアにおいても使用可能である。
【0158】
また、移動体の位置測定に超音波を用いた測定システムについて説明したが、本発明に係る移動体位置表示方法は、超音波を用いた測定システムに限らず、電波等を使用した測定システムに対しても使用することが可能である。
【0159】
この発明は、その本質的特性から逸脱することなく数多くの形式のものとして具体化することができる。よって、上述した実施形態は専ら説明上のものであり、本発明を制限するものではないことは言うまでもない。
【0160】
また、図2図3に示した機能ブロック図は、本発明の移動体位置表示方法における移動体位置表示システムの機能的構成を示すものであって、具体的な実装形態を制限しない。即ち、図中の機能ブロックに対応するハードウェアが実装される必要はなく、一つのプロセッサーがプログラムを実行することで複数の機能部の機能を実現する構成とすることも勿論可能である。また、実施形態においてソフトウェアで実現される機能の一部をハードウェアで実現してもよく、さらには、ハードウェアで実現される機能の一部をソフトウェアで実現してもよい。
【符号の説明】
【0161】
1、35、58 移動体位置表示システム
2 固定ビーコン
3、3A 受信用固定ビーコン(固定式受信機)
4 超音波受信部
5 演算部
6 無線部
7 無線アンテナ
8 制御部
9 メモリ部
10 バッテリー
15 発信用固定ビーコン(固定式発信機)
16 超音波送信部
18、18a、18b 移動体
19 移動ビーコン
20 発信用移動ビーコン(移動式発信機)
21 超音波送信部
22 演算部
23 無線部
24 無線アンテナ
25 制御部
26 メモリ部
27 バッテリー
30 受信用移動ビーコン(移動式受信機)
31 超音波受信部
40 通信装置
41 無線部
42 無線アンテナ
43 通信部
44 メモリ部
45 制御部
50 サーバ(PC)
51 表示部
52 操作部
53 解析演算部
54 制御部
55 通信部
56 メモリ部
57 電源部
60 測定エリア
61、61A、85 第1の測定グループ(第1群)
62 第1のエリア
63 非重複測定エリア
65、87 第2の測定グループ(第2群)
67 第2のエリア
68 非重複測定エリア
70 重複測定エリア(第1第2の重複測定エリア)
71 第3の測定グループ
72 第3のエリア
73 第2第3の重複測定エリア
74 第4の測定グループ
75 第4のエリア
76 第3第4の重複測定エリア
77 第5の測定グループ
78 第5のエリア
A、B 測定位置座標
P 表示位置座標

図1
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