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特開2024-52331作業現場の検出システム及び作業現場の検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052331
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】作業現場の検出システム及び作業現場の検出方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20240404BHJP
   E02F 3/84 20060101ALI20240404BHJP
   G05D 1/43 20240101ALI20240404BHJP
【FI】
G06Q50/08
E02F3/84 A
G05D1/02 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158986
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 将崇
(72)【発明者】
【氏名】峯後 俊秀
(72)【発明者】
【氏名】松田 豊久
【テーマコード(参考)】
2D003
5H301
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
2D003AA02
2D003AB01
2D003BA07
2D003BB07
2D003DA04
2D003DB04
2D003DB05
2D003FA02
5H301AA03
5H301BB02
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD07
5H301DD17
5H301GG07
5H301LL01
5H301LL03
5H301LL06
5H301LL08
5H301LL11
5L049CC07
5L050CC07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】作業現場に存在する崖を認識する作業現場の検出システム及び作業現場の検出方法を提供する。
【解決手段】作業現場の検出システム100において、作業機械の制御装置は、作業機械が稼働する作業現場の3次元データを取得する3次元データ取得部と、3次元データに基づいて作成された現況地形データと時刻とを対応付けて記憶する現況地形データ記憶部と、現況地形データ記憶部に記憶された記憶データに基づいて、作業現場に崖が存在するか否かを判定する判定部と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械が稼働する作業現場の3次元データを取得する3次元データ取得部と、
前記3次元データに基づいて作成された現況地形データと時刻とを対応付けて記憶する現況地形データ記憶部と、
前記現況地形データ記憶部に記憶された記憶データに基づいて、前記作業現場に崖が存在するか否かを判定する判定部と、を備える、
作業現場の検出システム。
【請求項2】
前記現況地形データ記憶部は、前記3次元データが前記3次元データ取得部により取得された場合に前記時刻を更新し、前記3次元データが前記3次元データ取得部により取得されない場合に前記時刻を更新せず、
前記判定部は、時刻が更新されない非更新期間が所定期間を超えた現況地形データに対応する作業現場に崖が存在すると判定する、
請求項1に記載の作業現場の検出システム。
【請求項3】
前記現況地形データは、前記作業現場の地形の表面に規定される複数の検出点のそれぞれの高さデータを含み、
前記判定部は、複数の前記検出点のそれぞれの高さデータが取得された時刻に基づいて、崖が存在するか否かを判定する、
請求項1に記載の作業現場の検出システム。
【請求項4】
前記現況地形データ記憶部は、前記検出点の高さデータが前記3次元データ取得部により取得された場合に前記検出点に対応する時刻を更新し、前記検出点の高さデータが前記3次元データ取得部により取得されない場合に前記検出点に対応する時刻を更新せず、
前記判定部は、時刻が更新されない非更新期間が所定期間を超えた検出点に対応する作業現場に崖が存在すると判定する、
請求項3に記載の作業現場の検出システム。
【請求項5】
前記判定部は、前記非更新期間が所定期間を超えてない検出点と前記非更新期間が所定期間を超えた検出点とに基づいて、崖の位置を特定する、
請求項4に記載の作業現場の検出システム。
【請求項6】
前記判定部は、複数の前記検出点から算出される前記作業現場の地形の斜度に基づいて、崖が存在するか否かを判定する、
請求項3に記載の作業現場の検出システム。
【請求項7】
前記作業機械は、前記作業現場の3次元形状を検出する3次元センサを有し、
前記3次元データ取得部は、前記3次元データとして前記3次元センサの検出データを取得する、
請求項1に記載の作業現場の検出システム。
【請求項8】
前記作業機械の現況位置を示す位置データを取得する位置データ取得部を備え、
前記現況地形データ記憶部は、前記現況地形データと前記時刻と前記現況位置とを対応付けて記憶する、
請求項1に記載の作業現場の検出システム。
【請求項9】
作業機械が稼働する作業現場の3次元データを取得することと、
前記3次元データに基づいて作成された現況地形データと時刻とを対応付けて記憶することと、
前記記憶された記憶データに基づいて、前記作業現場に崖が存在するか否かを判定することと、を含む、
作業現場の検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業現場の検出システム及び作業現場の検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械に係る技術分野において、特許文献1に開示されているような作業車両が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-214868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
鉱山のような作業現場においては崖が存在する可能性がある。崖の存在を認識しないまま作業機械が作業を続けると、作業現場の生産性が低下する可能性がある。
【0005】
本開示は、作業現場に存在する崖を認識することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従えば、作業機械が稼働する作業現場の3次元データを取得する3次元データ取得部と、3次元データに基づいて作成された現況地形データと時刻とを対応付けて記憶する現況地形データ記憶部と、現況地形データ記憶部に記憶された記憶データに基づいて、作業現場に崖が存在するか否かを判定する判定部と、を備える、作業現場の検出システムが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、作業現場に存在する崖を認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る作業現場の管理システムを模式的に示す図である。
図2図2は、実施形態に係る作業機械を模式的に示す側面図である。
図3図3は、実施形態に係る3次元センサ及び障害物センサを模式的に示す平面図である。
図4図4は、実施形態に係る作業機械の動作の一例を模式的に示す図である。
図5図5は、実施形態に係る作業機械の検出システムを示すブロック図である。
図6図6は、実施形態に係る現況地形データ記憶部に記憶される記憶データを説明するための図である。
図7図7は、実施形態に係る判定部による崖の存否の判定方法を説明するための図である。
図8図8は、実施形態に係る判定部による崖の存否の判定方法を説明するための図である。
図9図9は、実施形態に係る判定部による崖の存否の判定方法を説明するための図である。
図10図10は、実施形態に係る判定部による崖の存否の判定方法を説明するための図である。
図11図11は、実施形態に係る作業現場の検出方法を示すフローチャートである。
図12図12は、実施形態に係るコンピュータシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示は実施形態に限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
[管理システム]
図1は、実施形態に係る作業現場の管理システム1を模式的に示す図である。実施形態において、作業現場は、鉱山である。鉱山とは、鉱物を採掘する場所又は事業所をいう。鉱山として、金属を採掘する金属鉱山、石灰石を採掘する非金属鉱山、又は石炭を採掘する石炭鉱山が例示される。作業現場において、複数の作業機械2が稼働する。実施形態において、作業機械2は、ブルドーザである。作業機械2は、作業現場において所定の作業を実施する。作業機械2が実施する作業として、掘削作業、押土作業、及び整地作業が例示される。
【0011】
管理システム1は、管理装置3と、通信システム4とを備える。管理装置3は、コンピュータシステムを含む。管理装置3は、作業機械2の外部に配置される。管理装置3は、作業現場の管制施設5に設置される。管理装置3は、作業現場及び作業機械2を管理する。管制施設5に管理者が存在する。通信システム4として、インターネット(internet)、携帯電話通信網、衛星通信網、又はローカルエリアネットワーク(LAN:Local Area Network)が例示される。ローカルエリアネットワークとして、無線LANの1つの規格であるWi-Fi(登録商標)が例示される。
【0012】
作業機械2は、制御装置6と、無線通信機4Aとを有する。制御装置6は、コンピュータシステムを含む。無線通信機4Aは、制御装置6に接続される。通信システム4は、制御装置6に接続される無線通信機4Aと、管理装置3に接続される無線通信機4Bとを含む。管理装置3と作業機械2の制御装置6とは、通信システム4を介して無線通信する。
【0013】
[作業機械]
図2は、実施形態に係る作業機械2を模式的に示す側面図である。図2に示すように、作業機械2は、車体7と、走行装置8と、掘削作業機9と、リッパ作業機10と、位置センサ11と、傾斜センサ12と、3次元センサ13と、障害物センサ14とを備える。車体7は、エンジン室15を有する。エンジン室15にエンジン16が収容される。エンジン16は、作業機械2の駆動源である。走行装置8は、車体7を支持して走行する。走行装置8は、一対の履帯17を有する。履帯17が回転することにより、作業機械2が走行する。
【0014】
掘削作業機9は、作業対象の掘削作業、押土作業、又は整地作業を実施する。掘削作業機9は、車体7に取り付けられる。掘削作業機9の少なくとも一部は、車体7の前方に配置される。掘削作業機9は、掘削ブレード18と、リフトフレーム19と、チルトシリンダ20と、リフトシリンダ21とを有する。
【0015】
掘削ブレード18は、車体7の前方に配置される。掘削ブレード18は、切刃18Aを有する。リフトフレーム19は、掘削ブレード18を支持する。リフトフレーム19の一端部は、回動機構を介して掘削ブレード18の背面に連結される。リフトフレーム19の他端部は、回動機構を介して車体7に連結される。なお、リフトフレーム19の他端部は、回動機構を介して走行装置8に連結されてもよい。
【0016】
チルトシリンダ20及びリフトシリンダ21のそれぞれは、掘削ブレード18を動作させる。チルトシリンダ20は、掘削ブレード18をチルト動作させるために駆動する。リフトシリンダ21は、掘削ブレード18を上下動作させるために駆動する。チルトシリンダ20の一端部は、回動機構を介して掘削ブレード18の背面に連結される。チルトシリンダ20の他端部は、リフトフレーム19の上面に接続される。チルトシリンダ20が伸縮することにより、掘削ブレード18のチルト角が変化する。リフトシリンダ21の一端部は、回動機構を介してリフトフレーム19に連結される。リフトシリンダ21の他端部は、回動機構を介して車体7に接続される。リフトシリンダ21が伸縮することにより、掘削ブレード18が上下方向に移動する。
【0017】
リッパ作業機10は、作業対象の切削又は破砕を含むリッピング作業を実施する。リッパ作業機10は、車体7に取り付けられる。リッパ作業機10の少なくとも一部は、車体7の後方に配置される。リッパ作業機10は、シャンク22と、リッパアーム23と、チルトシリンダ24と、リフトシリンダ25と、ビーム26とを有する。シャンク22は、車体7の後方に配置される。シャンク22は、リッパポイント22Aを有する。リッパポイント22Aは、シャンク22の先端部に設けられる。リッパアーム23は、シャンク22を支持する。リッパアーム23は、車体7とシャンク22とを連結する。リッパアーム23の一端部は、回動機構を介して車体7の後部に連結される。リッパアーム23の他端部は、ビーム26に連結される。ビーム26は、リッパアーム23に回動可能に連結される。シャンク22は、ビーム26を介してリッパアーム23に連結される。
【0018】
チルトシリンダ24及びリフトシリンダ25のそれぞれは、シャンク22を動作させる。チルトシリンダ24及びリフトシリンダ25のそれぞれは、車体7に連結される。チルトシリンダ24は、シャンク22をチルト動作させるために駆動する。リフトシリンダ25は、シャンク22を上下動作させるために駆動する。チルトシリンダ24の一端部は、回動機構を介してビーム26に連結される。チルトシリンダ24の他端部は、車体7の後部に連結される。チルトシリンダ24が伸縮することにより、シャンク22のチルト角が変化する。チルトシリンダ24は、シャンク22を前後方向に移動させる。リフトシリンダ25の一端部は、回動機構を介してビーム26に連結される。リフトシリンダ25の他端部は、車体7の後部に連結される。リフトシリンダ25が伸縮することにより、シャンク22が上下方向に移動する。リフトシリンダ25は、シャンク22を上下方向に移動させる。
【0019】
リッパ作業機10は、リッパポイント22Aを作業対象に突き刺す。リッパポイント22Aが作業対象に突き刺された状態で走行装置8が走行することにより、作業対象が切削又は破砕される。走行装置8が走行中に、シャンク22が上下方向及び前後方向に移動されてもよい。
【0020】
位置センサ11は、作業機械2の位置を検出する。作業機械2の位置は、全地球航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)を利用して検出される。全地球航法衛星システムは、全地球測位システム(GPS:Global Positioning System)を含む。全地球航法衛星システムは、緯度、経度、及び高度の座標データで規定されるグローバル座標系の位置を検出する。グローバル座標系とは、地球に固定された座標系をいう。位置センサ11は、GNSS受信機を含む。位置センサ11は、グローバル座標系における作業機械2の位置を検出する。位置センサ11は、車体7に配置される。
【0021】
傾斜センサ12は、車体7の傾きを検出する。傾斜センサ12は、水平面に対する車体7の傾斜角度を検出する。傾斜センサ12は、慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)を含む。傾斜センサ12は、車体7に配置される。
【0022】
3次元センサ13は、検出対象の3次元形状を検出する。3次元センサ13は、検出対象に非接触で検出対象の3次元形状を検出する。3次元センサ13の検出対象は、作業現場を含む。3次元センサ13は、作業現場の3次元形状を検出する。作業現場の3次元形状は、作業現場の地形を含む。3次元センサ13は、検出対象の表面までの距離を検出する。3次元センサ13は、検出対象の表面の複数の検出点のそれぞれとの相対距離を検出することにより、検出対象の表面の3次元形状を検出する。検出対象の3次元形状を示す3次元データは、複数の検出点からなる点群データを含む。3次元データは、3次元センサ13と検出対象に規定される複数の検出点のそれぞれとの相対距離及び相対位置を含む。3次元データは、複数の検出点のそれぞれの高さデータを含む。3次元センサ13として、レーザ光を射出することにより検出対象を検出するレーザセンサ(LIDAR:Light Detection and Ranging)が例示される。なお、3次元センサ13は、ステレオカメラのような3次元カメラでもよい。3次元センサ13は、車体7に配置される。
【0023】
障害物センサ14は、作業現場に存在する作業機械2の障害物を検出する。障害物センサ14は、障害物に非接触で障害物を検出する。障害物センサ14として、電波を射出することにより障害物を検出するレーダセンサ(RADAR:Radio Detection and Ranging)が例示される。なお、障害物センサ14は、赤外光を射出することにより障害物を検出する赤外線センサでもよい。障害物センサ14は、車体7に配置される。
【0024】
図3は、実施形態に係る3次元センサ13及び障害物センサ14を模式的に示す平面図である。図3に示すように、3次元センサ13は、検出範囲130を有する。3次元センサ13は、検出範囲130に配置された検出対象の3次元データを検出する。実施形態において、3次元センサ13は、車体7の前方の3次元データを検出する3次元センサ13Fと、車体7の後方の3次元データを検出する3次元センサ13Bとを含む。3次元センサ13の検出範囲130は、3次元センサ13Fの検出範囲130Fと、3次元センサ13Bの検出範囲130Bとを含む。検出範囲130Fの少なくとも一部は、掘削作業機9よりも前方に規定される。検出範囲130Bの少なくとも一部は、リッパ作業機10よりも後方に規定される。
【0025】
図3に示すように、障害物センサ14は、検出範囲140を有する。障害物センサ14は、検出範囲140に配置された障害物を検出する。実施形態において、障害物センサ14は、車体7の後方の障害物を検出する。障害物センサ14は、左右方向において車体7の中心よりも左側に配置される障害物センサ14Lと、右側に配置される障害物センサ14Rとを含む。障害物センサ14の検出範囲140は、障害物センサ14Lの検出範囲140Lと、障害物センサ14Rの検出範囲140Rとを含む。検出範囲140Lの少なくとも一部及び検出範囲140Rの少なくとも一部は、車体7の後方に規定される。検出範囲140Lの少なくとも一部は、車体7よりも左方に規定される。検出範囲140Rの少なくとも一部は、車体7よりも右方に規定される。
【0026】
[作業機械の動作]
図4は、実施形態に係る作業機械2の動作の一例を模式的に示す図である。実施形態において、作業機械2は、スロットドージング(slot dozing)を実施することができる。スロットドージングとは、作業対象に形成されたスロット状の掘削レーンに沿って作業機械2が前進と後進とを繰り返しながら作業対象を掘削する施工法をいう。実施形態において、作業機械2は、自動制御によりスロットドージングを実施する。図4に示すように、作業機械2は、現況地形が最終設計面27Zに沿った形状になるように、スロットドージングする。図4に示す例において、作業機械2は、第1回目の掘削において、現況地形が第1中間設計面27Aに沿った形状になるように、掘削開始点27Sから前進しながら掘削作業機9で作業対象を掘削する。第1回目の掘削が終了した後、作業機械2は、掘削開始点27Sに戻るために後進する。作業機械2は、第2回目の掘削において、現況地形が第2中間設計面27Bに沿った形状になるように、掘削開始点27Sから前進しながら掘削作業機9で作業対象を掘削する。作業機械2は、現況地形が最終設計面27Zに沿って形状になるまで、前進と後進とを繰り返す。
【0027】
なお、作業機械2の自動制御は、操作者による手動操作と合わせて実施される半自動制御でもよいし、手動操作無しで実施される完全自動制御でもよい。半自動制御の場合、手動操作のための操作装置が作業機械2に搭載され、作業機械2に搭乗した操作者により搭乗操作されてもよい。手動操作のための操作装置が作業機械2の外部に配置され、作業機械2の外部に存在する操作者により遠隔操作されてもよい。
【0028】
[検出システム]
図5は、実施形態に係る作業機械2の検出システム100を示すブロック図である。管理システム1は、検出システム100を含む。検出システム100は、作業現場に存在する崖を検出する。検出システム100は、制御装置6と、位置センサ11と、傾斜センサ12と、3次元センサ13とを有する。制御装置6は、位置データ取得部61と、3次元データ取得部62と、現況地形データ作成部63と、現況地形データ記憶部64と、判定部65とを有する。
【0029】
位置データ取得部61は、作業機械2の現況位置を示す位置データを取得する。作業機械2の現況位置は、位置センサ11の検出データを含む。位置データ取得部61は、位置データとして、位置センサ11の検出データを取得する。位置データ取得部61は、作業機械2の姿勢を示す姿勢データを取得する。作業機械2の姿勢は、傾斜センサ12の検出データを含む。位置データ取得部61は、姿勢データとして、傾斜センサ12の検出データを取得する。
【0030】
3次元データ取得部62は、作業機械2が稼働する作業現場の3次元形状を示す3次元データを取得する。作業現場の3次元データは、3次元センサ13の検出データを含む。3次元データ取得部62は、3次元データとして、3次元センサ13の検出データを取得する。
【0031】
現況地形データ作成部63は、3次元データ取得部62により取得された3次元データ、位置データ取得部61により取得された作業機械2の現況位置を示す位置データ、及び位置データ取得部61により取得された作業機械2の姿勢を示す姿勢データに基づいて、作業現場の現況地形データを作成する。現況地形データ作成部63は、3次元センサ13の検出データ、位置センサ11の検出データ、及び傾斜センサ12の検出データに基づいて、作業現場の現況地形データを作成する。
【0032】
現況地形データ記憶部64は、現況地形データ作成部63により作成された作業現場の現況地形データを記憶する。現況地形データ記憶部64は、現況地形データと時刻とを対応付けて記憶する。また、現況地形データ記憶部64は、位置データ取得部61により取得された作業機械2の現況位置を示す位置データに基づいて、現況地形データと時刻と作業機械2の現況位置とを対応付けて記憶する。現況地形データに対応付けられる時刻は、3次元センサ13が検出対象を検出した時刻、又は位置データ取得部61が位置データを取得した時刻である。現況地形データに対応付けられる作業機械2の現況位置は、3次元センサ13が検出対象を検出したときの作業機械2の現況位置、又は位置データ取得部61が位置データを取得したときの作業機械2の現況位置である。
【0033】
判定部65は、現況地形データ記憶部64に記憶された記憶データに基づいて、作業現場に崖が存在するか否かを判定する。
【0034】
現況地形データ記憶部64は、3次元データが3次元データ取得部62により取得された場合に、現況地形データに対応する時刻を更新する。現況地形データ記憶部64は、位置データが位置データ取得部61により取得された場合に、現況地形データに対応する時刻を更新する。現況地形データ記憶部64は、3次元データが3次元データ取得部62により取得されない場合又は位置データが位置データ取得部61により取得されない場合に、現況地形データに対応する時刻を更新しない。判定部65は、時刻が更新されない非更新期間が予め定められた所定期間を超えた現況地形データに対応する作業現場に崖が存在すると判定する。
【0035】
管理装置3は、現況地形データ作成部31と、現況地形データ記憶部32とを有する。上述のように、作業現場に複数の作業機械2が存在する。複数の作業機械2のそれぞれは、現況地形データ記憶部64に記憶されている現況地形データを、通信システム4を介して管理装置3に送信する。現況地形データ作成部31は、複数の作業機械2のそれぞれから送信された現況地形データを統合して、作業現場の現況地形データを作成する。現況地形データ記憶部32は、現況地形データ作成部31により作成された現況地形データを記憶する。複数の作業機械2のそれぞれは、現況地形データを所定の時間間隔で管理装置3に送信する。複数の作業機械2のそれぞれは、例えば1秒ごとに現況地形データを管理装置3に送信する。現況地形データ作成部31は、現況地形データを受信する度に現況地形データを作成する。現況地形データ作成部31が現況地形データを作成する度に、現況地形データ記憶部32に記憶される現況地形データが更新される。
【0036】
[記憶データ]
図6は、実施形態に係る現況地形データ記憶部64に記憶される記憶データを説明するための図である。図6に示すように、作業現場の3次元データは、作業現場の地形の表面に規定される複数の検出点28のそれぞれの高さデータを含む。3次元データが取得されたときの作業機械2の現況位置、作業機械2の姿勢、及び3次元データに基づいて、グローバル座標系における複数の検出点28のそれぞれの位置が定められる。なお、検出点28の位置は、グローバル座標系において規定されてもよいし、作業機械2に設定されたローカル座標系のような所定の座標系において規定されてもよい。複数の検出点28のそれぞれに、時刻を示す時刻データが付与される。時刻データが示す時刻とは、3次元データ取得部62が検出点28を取得した時刻、又は位置データ取得部61が検出点28に対応する位置データを取得した時刻をいう。なお、時刻データの時刻は、3次元センサ13が検出点28を検出した時刻とみなされてもよい。時刻データは、複数の検出点28のそれぞれに対応付けて記憶される。また、複数の検出点28のそれぞれに、属性を示す属性データが付与される。属性データが示す属性とは、検出点28の属性をいう。検出点28の属性は、作業現場の地形に係る属性及び作業現場に存在する障害物に係る属性を含む。属性データは、複数の検出点28のそれぞれに対応付けて記憶される。
【0037】
判定部65は、複数の検出点28のそれぞれの高さデータが3次元データ取得部62により取得された時刻、又は複数の検出点28のそれぞれに対応する位置データが位置データ取得部61により取得された時刻に基づいて、崖が存在するか否かを判定する。
【0038】
[崖の存否の判定方法]
図7図8図9、及び図10のそれぞれは、実施形態に係る判定部65による崖の存否の判定方法を説明するための図である。スロットドージングにおいて、作業機械2は、掘削レーンに沿って前進と後進とを繰り返しながら地面を掘削する。3次元センサ13は、作業機械2が走行する地面の3次元形状を検出する。検出点28に、その検出点28が3次元データ取得部62により取得されたときの時刻を示す時刻データが付与される。検出範囲130に配置される複数の検出点28は、同時に検出される。図7に示すように、作業現場に崖が存在しない場合、3次元データ取得部62は、検出範囲130に配置された複数の検出点28の高さデータのそれぞれを同時に取得する。図7は、時刻t1に3次元データ取得部62が検出点28の高さデータを取得した例を示す。複数の検出点28のそれぞれに、時刻データとして時刻t1が付与される。
【0039】
例えば崩落により作業現場に崖が生成される場合がある。図8に示すように、急峻な下り崖が生成された場合、3次元センサ13は、崖よりも手前の地面を検出することができるものの、崖を検出することができない。3次元センサ13がレーザセンサである場合、3次元センサ13から射出されたレーザ光は、崖よりも手前の地面に照射されるものの、崖に照射されないので、3次元センサ13は、崖を検出することができない。3次元データ取得部62は、崖よりも手前の地面の検出点28の高さデータを取得することができるものの、崖の検出点28の高さデータを取得することができない。崖が時刻t1よりも後に生成された場合、3次元データ取得部62は、崖よりも手前の地面の検出点28の高さデータを時刻t1よりも後の時刻t2に取得することができる。
【0040】
現況地形データ記憶部64は、検出点28の高さデータが3次元データ取得部62により取得された場合に検出点28に対応する時刻を更新し、検出点28の高さデータが3次元データ取得部62により取得されない場合に検出点28に対応する時刻を更新しない。すなわち、現況地形データ記憶部64は、検出点28の高さデータが3次元データ取得部62により取得された場合に検出点28に付与される時刻データを更新し、検出点28の高さデータが3次元データ取得部62により取得されない場合に検出点28に付与される時刻データを更新しない。図7及び図8に示す例においては、崖よりも手前の地面の検出点28の高さデータが3次元データ取得部62により取得される。崖の検出点28の高さデータは3次元データ取得部62により取得されない。現況地形データ記憶部64は、高さデータが3次元データ取得部62により取得された崖よりも手前の地面の検出点28に付与される時刻データを時刻t1から時刻t2に更新する。現況地形データ記憶部64は、高さデータが3次元データ取得部62により取得されない崖の検出点28に付与される時刻データを時刻t1から更新しない。
【0041】
すなわち、実施形態において、3次元センサ13が高さデータを検出できた検出点28の時刻データは、最新の時刻に更新される。3次元センサ13が高さデータを検出できない検出点28の時刻データは、更新されず、過去の時刻に維持される。
【0042】
判定部65は、時刻が更新されない非更新期間が予め定められた所定期間を超えた検出点28に対応する作業現場に崖が存在すると判定する。スロットドージングにおいては、作業現場の同一エリアの3次元形状が3次元センサ13により複数回検出される。3次元センサ13は、崖を永続的に検出することができず、3次元データ取得部62は、崖の検出点28の高さデータを永続的に取得することができない。そのため、崖の検出点28の時刻データは、永続的に更新されない。判定部65は、時刻データが永続的に更新されない検出点28に対応する作業現場の位置に崖が存在すると判定することができる。判定部65は、第1の検出点28の時刻データと、第1の検出点28に隣接する第2の検出点28の時刻データとを比較する。判定部65は、第1の検出点28の時刻データが第2の検出点28の時刻データよりも所定期間古いと判定した場合、第1の検出点28に対応する作業現場に崖が存在すると判定してもよい。
【0043】
また、判定部65は、非更新期間が所定期間を超えていない検出点28と非更新期間が所定期間を超えた検出点28とに基づいて、崖の位置を特定することができる。図8に示す例において、判定部65は、時刻データが時刻t2に更新された検出点28と、時刻データが時刻t1のまま更新されない検出点28との境界に、崖が存在すると判定することができる。
【0044】
なお、作業現場の崖が上り崖の場合又は緩やかな下り崖の場合、3次元センサ13は、崖を検出することができる。判定部65は、複数の検出点から算出される作業現場の地形の斜度に基づいて、崖が存在するか否かを判定することができる。
【0045】
図9に示すように、作業機械2の前方に障害物として他の作業機械2Bが存在する場合、3次元センサ13は、他の作業機械2Bよりも奥側の地面を検出することができない。3次元データ取得部62は、他の作業機械2Bよりも手前の地面の検出点28の高さデータを取得することができるものの、他の作業機械2Bよりも奥側の地面の検出点28の高さデータを取得することができない。他の作業機械2Bよりも手前の地面の検出点28に付与される時刻データは、時刻t1から時刻t2に更新されるものの、他の作業機械2Bよりも奥側の地面の検出点28に付与される時刻データは、時刻t1に維持される。
【0046】
他の作業機械2Bは、移動可能な移動体である。図10に示すように、他の作業機械2Bが作業機械2の前方から退いた場合、3次元センサ13は、地面を検出することができる。他の作業機械2Bが退いた後、3次元センサ13が地面を時刻t3に検出した場合、図9において時刻t2が付与されていた検出点28の時刻データは、時刻t2から時刻t3に更新される。図9において時刻t1が付与されていた検出点28の時刻データは、時刻t1から時刻t3に更新される。判定部65は、非更新期間が所定期間以下である検出点28に対応する作業現場の位置に崖は存在しないと判定することができる。
【0047】
[検出方法]
図11は、実施形態に係る作業現場の検出方法を示すフローチャートである。判定部65は、3次元データ取得部62がある検出点28の高さデータを取得できたか否かを判定する(ステップS1)。ステップS1において、3次元データ取得部62が検出点28の高さデータを取得できたと判定された場合(ステップS1:Yes)、現況地形データ記憶部64は、高さデータを取得できた検出点の時刻を更新する(ステップS2)。ステップS1において、3次元データ取得部62が検出点28の高さデータを取得できないと判定された場合(ステップS1:No)、現況地形データ記憶部64は、高さデータを取得できなかった検出点28の時刻を更新しない(ステップS4)。判定部65は、時刻を更新されなかった検出点28の時刻の非更新期間が所定期間を超えたか否かを判定する(ステップS5)。ステップS5において、検出点28の時刻の非更新期間が所定期間を超えたと判定した場合(ステップS5:Yes)、判定部65は、検出点28に対応する位置に崖が存在すると判定する(ステップS6)。検出点28の時刻の非更新期間が所定期間を超えていないと判定した場合(ステップS5:No)、判定部65は、検出点28に対応する位置に崖が存在しないと判定する。ステップS2,S5,S6のいずれかの処理が終了した後、崖の検出処理を終了するか否かが判定される(ステップS3)。ステップS3において、崖の検出処理を終了しないと判定された場合(ステップS3:No)、ステップS1の処理に戻り、別の検出点28についてステップS1からステップS6の処理が実行される。ステップS3において、崖の検出処理を終了すると判定された場合(ステップS3:Yes)、崖の検出処理が終了する。
【0048】
[コンピュータシステム]
図12は、実施形態に係るコンピュータシステム1000を示すブロック図である。上述の管理装置3及び制御装置6のそれぞれは、コンピュータシステム1000を含む。コンピュータシステム1000は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ1001と、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリ及びRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含むメインメモリ1002と、ストレージ1003と、入出力回路を含むインターフェース1004とを有する。上述の管理装置3及び制御装置6のそれぞれの機能は、コンピュータプログラムとしてストレージ1003に記憶されている。プロセッサ1001は、コンピュータプログラムをストレージ1003から読み出してメインメモリ1002に展開し、プログラムに従って上述の処理を実行する。なお、コンピュータプログラムは、ネットワークを介してコンピュータシステム1000に配信されてもよい。
【0049】
コンピュータシステム1000又はコンピュータプログラムは、上述の実施形態に従って、作業機械2が稼働する作業現場の3次元データを取得することと、3次元データに基づいて作成された現況地形データと時刻とを対応付けて記憶することと、記憶された記憶データに基づいて、作業現場に崖が存在するか否かを判定することと、を実行することができる。
【0050】
[効果]
以上説明したように、実施形態に係る作業現場の検出システム100は、作業機械2が稼働する作業現場の3次元データを取得する3次元データ取得部62と、3次元データに基づいて作成された現況地形データと時刻とを対応付けて記憶する現況地形データ記憶部64と、現況地形データ記憶部64に記憶された記憶データに基づいて、作業現場に崖が存在するか否かを判定する判定部65と、を備える。3次元データは、複数の検出点28のそれぞれの高さデータを含む。判定部65は、複数の検出点28のそれぞれの高さデータが取得された時刻に基づいて、崖が存在するか否かを判定することができる。崖の存在を認識することができるので、作業現場の生産性の低下が抑制される。
【0051】
[その他の実施形態]
上述の実施形態において、現況地形データ作成部63は、少なくとも3次元データ取得部62により取得された3次元データに基づいて、作業現場の現況地形データを作成してもよい。また、現況地形データ作成部63は、少なくとも位置データ取得部61により取得された作業機械2の現況位置を示す位置データに基づいて、作業現場の現況地形データを作成してもよい。
【0052】
上述の実施形態において、制御装置6の機能の少なくとも一部が、管理装置3に設けられてもよい。管理装置3の機能の少なくとも一部が、制御装置6に設けられてもよい。
【0053】
上述の実施形態において、例えば、位置データ取得部61、3次元データ取得部62、現況地形データ作成部63、現況地形データ記憶部64、及び判定部65のそれぞれが、別々のハードウエアにより構成されてもよい。
【0054】
上述の実施形態において、作業機械2は、ブルドーザであることとした。作業機械2は油圧ショベル、ホイールローダ、モータグレーダ等の他の作業機械でもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…管理システム、2…作業機械、3…管理装置、4…通信システム、4A…無線通信機、4B…無線通信機、5…管制施設、6…制御装置、7…車体、8…走行装置、9…掘削作業機、10…リッパ作業機、11…位置センサ、12…傾斜センサ、13…3次元センサ、13F…3次元センサ、13B…3次元センサ、14…障害物センサ、14L…障害物センサ、14R…障害物センサ、15…エンジン室、16…エンジン、17…履帯、18…掘削ブレード、18A…切刃、19…リフトフレーム、20…チルトシリンダ、21…リフトシリンダ、22…シャンク、22A…リッパポイント、23…リッパアーム、24…チルトシリンダ、25…リフトシリンダ、26…ビーム、27A…第1中間設計面、27B…第2中間設計面、27S…掘削開始点、27Z…最終設計面、28…検出点、31…現況地形データ作成部、32…現況地形データ記憶部、61…位置データ取得部、62…3次元データ取得部、63…現況地形データ作成部、64…現況地形データ記憶部、65…判定部、100…検出システム、130…検出範囲、130F…検出範囲、130B…検出範囲、140…検出範囲、140L…検出範囲、140R…検出範囲、1000…コンピュータシステム、1001…プロセッサ、1002…メインメモリ、1003…ストレージ、1004…インターフェース。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12