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特開2024-52332作業現場の検出システム及び作業現場の検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052332
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】作業現場の検出システム及び作業現場の検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/931 20200101AFI20240404BHJP
   E02F 3/84 20060101ALI20240404BHJP
   G01S 13/86 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
G01S13/931
E02F3/84 A
G01S13/86
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158987
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 将崇
(72)【発明者】
【氏名】尾▲崎▼ 亮太
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 匠真
【テーマコード(参考)】
2D003
5J070
【Fターム(参考)】
2D003AA02
2D003AA05
2D003AB01
2D003BA02
2D003DA04
2D003FA02
5J070AC01
5J070AC02
5J070AE07
5J070AE20
5J070AF02
5J070AK13
5J070BE03
(57)【要約】
【課題】作業機械の作業性の低下を抑制すること。
【解決手段】作業現場の検出システムは、作業機械が稼働する作業現場の現況地形データを記憶する現況地形データ記憶部と、作業機械の周辺を検出する第1センサの検出データを取得する第1検出データ取得部と、現況地形データに基づいて、第1センサが検出した特定データがノイズであるか障害物であるかを判定する判定部と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械が稼働する作業現場の現況地形データを記憶する現況地形データ記憶部と、
前記作業機械の周辺を検出する第1センサの検出データを取得する第1検出データ取得部と、
前記現況地形データに基づいて、前記第1センサが検出した特定データがノイズであるか障害物であるかを判定する判定部と、を備える、
作業現場の検出システム。
【請求項2】
前記作業現場の3次元形状を検出する第2センサの検出データを取得する第2検出データ取得部と、
前記第2センサの検出データに基づいて、前記現況地形データを作成する現況地形データ作成部と、を備える、
請求項1に記載の作業現場の検出システム。
【請求項3】
前記判定部により前記特定データが障害物であると判定された場合、
前記現況地形データ作成部は、前記特定データに対応する3次元データの一部に前記障害物の属性を付与する、
請求項2に記載の作業現場の検出システム。
【請求項4】
前記3次元データは、前記作業現場の地形の表面に規定される複数の検出点のそれぞれの高さデータを含み、
前記現況地形データ作成部は、前記特定データに対応する前記検出点に前記障害物の属性を付与する、
請求項3に記載の作業現場の検出システム。
【請求項5】
前記作業機械は、ブルドーザであり、
前記第1センサは、前記周辺のうち前記作業機械の進行方向の一部の領域を検出するレーダセンサであり、
前記第2センサは、前記周辺のうち前記作業機械の進行方向の一部の領域を検出するレーザセンサである、
請求項2に記載の作業現場の検出システム。
【請求項6】
作業機械が稼働する作業現場の現況地形データを記憶することと、
前記作業機械の周辺を検出する第1センサの検出データを取得することと、
前記現況地形データに基づいて、前記第1センサが検出した特定データがノイズであるか障害物であるかを判定することと、を含む、
作業現場の検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業現場の検出システム及び作業現場の検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械に係る技術分野において、特許文献1に開示されているような、障害物を検出する物体検出装置を備える作業機械が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-028266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業機械の周辺の障害物をセンサで検出する場合、センサの検出データにノイズが含まれる可能性がある。障害物がないにもかかわらず障害物があると誤検出してしまうと、作業機械の作業性が低下する可能性がある。
【0005】
本開示は、作業機械の周辺の障害物の誤検出を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従えば、作業機械が稼働する作業現場の現況地形データを記憶する現況地形データ記憶部と、作業機械の周辺を検出する第1センサの検出データを取得する第1検出データ取得部と、現況地形データに基づいて、第1センサが検出した特定データがノイズであるか障害物であるかを判定する判定部と、を備える、作業現場の検出システムが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、作業機械の周辺の障害物の誤検出を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る作業現場の管理システムを模式的に示す図である。
図2図2は、実施形態に係る作業機械を模式的に示す側面図である。
図3図3は、実施形態に係る3次元センサ及び障害物センサを模式的に示す平面図である。
図4図4は、実施形態に係る作業機械の動作の一例を模式的に示す図である。
図5図5は、実施形態に係る作業機械の検出システムを示すブロック図である。
図6図6は、実施形態に係る現況地形データ記憶部に記憶される記憶データを説明するための図である。
図7図7は、実施形態に係る判定部による障害物の判定方法を説明するための図である。
図8図8は、実施形態に係る作業現場の検出方法を示すフローチャートである。
図9図9は、実施形態に係るコンピュータシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示は実施形態に限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
[管理システム]
図1は、実施形態に係る作業現場の管理システム1を模式的に示す図である。実施形態において、作業現場は、鉱山である。鉱山とは、鉱物を採掘する場所又は事業所をいう。鉱山として、金属を採掘する金属鉱山、石灰石を採掘する非金属鉱山、又は石炭を採掘する石炭鉱山が例示される。作業現場において、複数の作業機械2が稼働する。実施形態において、作業機械2は、ブルドーザである。作業機械2は、作業現場において所定の作業を実施する。作業機械2が実施する作業として、掘削作業、押土作業、及び整地作業が例示される。
【0011】
管理システム1は、管理装置3と、通信システム4とを備える。管理装置3は、コンピュータシステムを含む。管理装置3は、作業機械2の外部に配置される。管理装置3は、作業現場の管制施設5に設置される。管理装置3は、作業現場及び作業機械2を管理する。管制施設5に管理者が存在する。通信システム4として、インターネット(internet)、携帯電話通信網、衛星通信網、又はローカルエリアネットワーク(LAN:Local Area Network)が例示される。ローカルエリアネットワークとして、無線LANの1つの規格であるWi-Fi(登録商標)が例示される。
【0012】
作業機械2は、制御装置6と、無線通信機4Aとを有する。制御装置6は、コンピュータシステムを含む。無線通信機4Aは、制御装置6に接続される。通信システム4は、制御装置6に接続される無線通信機4Aと、管理装置3に接続される無線通信機4Bとを含む。管理装置3と作業機械2の制御装置6とは、通信システム4を介して無線通信する。
【0013】
[作業機械]
図2は、実施形態に係る作業機械2を模式的に示す側面図である。図2に示すように、作業機械2は、車体7と、走行装置8と、掘削作業機9と、リッパ作業機10と、位置センサ11と、傾斜センサ12と、3次元センサ13と、障害物センサ14とを備える。車体7は、エンジン室15を有する。エンジン室15にエンジン16が収容される。エンジン16は、作業機械2の駆動源である。走行装置8は、車体7を支持して走行する。走行装置8は、一対の履帯17を有する。履帯17が回転することにより、作業機械2が走行する。
【0014】
掘削作業機9は、作業対象の掘削作業、押土作業、又は整地作業を実施する。掘削作業機9は、車体7に取り付けられる。掘削作業機9の少なくとも一部は、車体7の前方に配置される。掘削作業機9は、掘削ブレード18と、リフトフレーム19と、チルトシリンダ20と、リフトシリンダ21とを有する。
【0015】
掘削ブレード18は、車体7の前方に配置される。掘削ブレード18は、切刃18Aを有する。リフトフレーム19は、掘削ブレード18を支持する。リフトフレーム19の一端部は、回動機構を介して掘削ブレード18の背面に連結される。リフトフレーム19の他端部は、回動機構を介して車体7に連結される。なお、リフトフレーム19の他端部は、回動機構を介して走行装置8に連結されてもよい。
【0016】
チルトシリンダ20及びリフトシリンダ21のそれぞれは、掘削ブレード18を動作させる。チルトシリンダ20は、掘削ブレード18をチルト動作させるために駆動する。リフトシリンダ21は、掘削ブレード18を上下動作させるために駆動する。チルトシリンダ20の一端部は、回動機構を介して掘削ブレード18の背面に連結される。チルトシリンダ20の他端部は、リフトフレーム19の上面に接続される。チルトシリンダ20が伸縮することにより、掘削ブレード18のチルト角が変化する。リフトシリンダ21の一端部は、回動機構を介してリフトフレーム19に連結される。リフトシリンダ21の他端部は、回動機構を介して車体7に接続される。リフトシリンダ21が伸縮することにより、掘削ブレード18が上下方向に移動する。
【0017】
リッパ作業機10は、作業対象の切削又は破砕を含むリッピング作業を実施する。リッパ作業機10は、車体7に取り付けられる。リッパ作業機10の少なくとも一部は、車体7の後方に配置される。リッパ作業機10は、シャンク22と、リッパアーム23と、チルトシリンダ24と、リフトシリンダ25と、ビーム26とを有する。シャンク22は、車体7の後方に配置される。シャンク22は、リッパポイント22Aを有する。リッパポイント22Aは、シャンク22の先端部に設けられる。リッパアーム23は、シャンク22を支持する。リッパアーム23は、車体7とシャンク22とを連結する。リッパアーム23の一端部は、回動機構を介して車体7の後部に連結される。リッパアーム23の他端部は、ビーム26に連結される。ビーム26は、リッパアーム23に回動可能に連結される。シャンク22は、ビーム26を介してリッパアーム23に連結される。
【0018】
チルトシリンダ24及びリフトシリンダ25のそれぞれは、シャンク22を動作させる。チルトシリンダ24及びリフトシリンダ25のそれぞれは、車体7に連結される。チルトシリンダ24は、シャンク22をチルト動作させるために駆動する。リフトシリンダ25は、シャンク22を上下動作させるために駆動する。チルトシリンダ24の一端部は、回動機構を介してビーム26に連結される。チルトシリンダ24の他端部は、車体7の後部に連結される。チルトシリンダ24が伸縮することにより、シャンク22のチルト角が変化する。チルトシリンダ24は、シャンク22を前後方向に移動させる。リフトシリンダ25の一端部は、回動機構を介してビーム26に連結される。リフトシリンダ25の他端部は、車体7の後部に連結される。リフトシリンダ25が伸縮することにより、シャンク22が上下方向に移動する。リフトシリンダ25は、シャンク22を上下方向に移動させる。
【0019】
リッパ作業機10は、リッパポイント22Aを作業対象に突き刺す。リッパポイント22Aが作業対象に突き刺された状態で走行装置8が走行することにより、作業対象が切削又は破砕される。走行装置8が走行中に、シャンク22が上下方向及び前後方向に移動されてもよい。
【0020】
位置センサ11は、作業機械2の位置を検出する。作業機械2の位置は、全地球航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)を利用して検出される。全地球航法衛星システムは、全地球測位システム(GPS:Global Positioning System)を含む。全地球航法衛星システムは、緯度、経度、及び高度の座標データで規定されるグローバル座標系の位置を検出する。グローバル座標系とは、地球に固定された座標系をいう。位置センサ11は、GNSS受信機を含む。位置センサ11は、グローバル座標系における作業機械2の位置を検出する。位置センサ11は、車体7に配置される。
【0021】
傾斜センサ12は、車体7の傾きを検出する。傾斜センサ12は、水平面に対する車体7の傾斜角度を検出する。傾斜センサ12は、慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)を含む。傾斜センサ12は、車体7に配置される。
【0022】
3次元センサ13は、検出対象の3次元形状を検出する。3次元センサ13は、検出対象に非接触で検出対象の3次元形状を検出する。3次元センサ13の検出対象は、作業現場を含む。3次元センサ13は、作業現場の3次元形状を検出する。作業現場の3次元形状は、作業現場の地形を含む。3次元センサ13は、検出対象の表面までの距離を検出する。3次元センサ13は、検出対象の表面の複数の検出点のそれぞれとの相対距離を検出することにより、検出対象の表面の3次元形状を検出する。検出対象の3次元形状を示す3次元データは、複数の検出点からなる点群データを含む。3次元データは、3次元センサ13と検出対象に規定される複数の検出点のそれぞれとの相対距離及び相対位置を含む。3次元データは、複数の検出点のそれぞれの高さデータを含む。3次元センサ13として、レーザ光を射出することにより検出対象を検出するレーザセンサ(LIDAR:Light Detection and Ranging)が例示される。なお、3次元センサ13は、ステレオカメラのような3次元カメラでもよい。3次元センサ13は、車体7に配置される。
【0023】
障害物センサ14は、作業機械2の周辺を検出する。障害物センサ14は、作業現場に存在する作業機械2の障害物を検出する。障害物センサ14は、障害物に非接触で障害物を検出する。障害物センサ14として、電波を射出することにより障害物を検出するレーダセンサ(RADAR:Radio Detection and Ranging)が例示される。なお、障害物センサ14は、赤外光を射出することにより障害物を検出する赤外線センサでもよい。障害物センサ14は、車体7に配置される。
【0024】
図3は、実施形態に係る3次元センサ13及び障害物センサ14を模式的に示す平面図である。図3に示すように、3次元センサ13は、検出範囲130を有する。3次元センサ13は、検出範囲130に配置された検出対象の3次元データを検出する。実施形態において、3次元センサ13は、車体7の前方の3次元データを検出する3次元センサ13Fと、車体7の後方の3次元データを検出する3次元センサ13Bとを含む。3次元センサ13の検出範囲130は、3次元センサ13Fの検出範囲130Fと、3次元センサ13Bの検出範囲130Bとを含む。検出範囲130Fの少なくとも一部は、掘削作業機9よりも前方に規定される。検出範囲130Bの少なくとも一部は、リッパ作業機10よりも後方に規定される。
【0025】
図3に示すように、障害物センサ14は、検出範囲140を有する。障害物センサ14は、検出範囲140に配置された障害物を検出する。実施形態において、障害物センサ14は、車体7の後方の障害物を検出する。障害物センサ14は、左右方向において車体7の中心よりも左側に配置される障害物センサ14Lと、右側に配置される障害物センサ14Rとを含む。障害物センサ14の検出範囲140は、障害物センサ14Lの検出範囲140Lと、障害物センサ14Rの検出範囲140Rとを含む。検出範囲140Lの少なくとも一部及び検出範囲140Rの少なくとも一部は、車体7の後方に規定される。検出範囲140Lの少なくとも一部は、車体7よりも左方に規定される。検出範囲140Rの少なくとも一部は、車体7よりも右方に規定される。
【0026】
作業機械2が後進する場合、障害物センサ14は、作業機械2の周辺のうち作業機械2の進行方向である作業機械2の後方の一部の領域を検出する。作業機械2が後進する場合、3次元センサ13Bは、作業機械2の周辺のうち作業機械2の進行方向である作業機械2の後方の一部の領域を検出する。作業機械2が前進する場合、3次元センサ13Fは、作業機械2の周辺のうち作業機械2の進行方向である作業機械2の前方の一部の領域を検出する。
【0027】
[作業機械の動作]
図4は、実施形態に係る作業機械2の動作の一例を模式的に示す図である。実施形態において、作業機械2は、スロットドージング(slot dozing)を実施することができる。スロットドージングとは、作業対象に形成されたスロット状の掘削レーンに沿って作業機械2が前進と後進とを繰り返しながら作業対象を掘削する施工法をいう。実施形態において、作業機械2は、自動制御によりスロットドージングを実施する。図4に示すように、作業機械2は、現況地形が最終設計面27Zに沿った形状になるように、スロットドージングする。図4に示す例において、作業機械2は、第1回目の掘削において、現況地形が第1中間設計面27Aに沿った形状になるように、掘削開始点27Sから前進しながら掘削作業機9で作業対象を掘削する。第1回目の掘削が終了した後、作業機械2は、掘削開始点27Sに戻るために後進する。作業機械2は、第2回目の掘削において、現況地形が第2中間設計面27Bに沿った形状になるように、掘削開始点27Sから前進しながら掘削作業機9で作業対象を掘削する。作業機械2は、現況地形が最終設計面27Zに沿って形状になるまで、前進と後進とを繰り返す。
【0028】
なお、作業機械2の自動制御は、操作者による手動操作と合わせて実施される半自動制御でもよいし、手動操作無しで実施される完全自動制御でもよい。半自動制御の場合、手動操作のための操作装置が作業機械2に搭載され、作業機械2に搭乗した操作者により搭乗操作されてもよい。手動操作のための操作装置が作業機械2の外部に配置され、作業機械2の外部に存在する操作者により遠隔操作されてもよい。
【0029】
[検出システム]
図5は、実施形態に係る作業機械2の検出システム100を示すブロック図である。管理システム1は、検出システム100を含む。検出システム100は、作業現場に存在する崖を検出する。検出システム100は、制御装置6と、位置センサ11と、傾斜センサ12と、3次元センサ13と、障害物センサ14とを有する。制御装置6は、位置データ取得部61と、3次元データ取得部62と、現況地形データ作成部63と、現況地形データ記憶部64と、障害物データ取得部65と、判定部66と、走行制御部67とを有する。
【0030】
位置データ取得部61は、作業機械2の現況位置を示す位置データを取得する。作業機械2の現況位置は、位置センサ11の検出データを含む。位置データ取得部61は、位置データとして、位置センサ11の検出データを取得する。位置データ取得部61は、作業機械2の姿勢を示す姿勢データを取得する。作業機械2の姿勢は、傾斜センサ12の検出データを含む。位置データ取得部61は、姿勢データとして、傾斜センサ12の検出データを取得する。
【0031】
3次元データ取得部62は、作業機械2が稼働する作業現場の3次元形状を示す3次元データを取得する。作業現場の3次元データは、3次元センサ13の検出データを含む。3次元データ取得部62は、3次元データとして、3次元センサ13の検出データを取得する。
【0032】
現況地形データ作成部63は、3次元データ取得部62により取得された3次元データ、位置データ取得部61により取得された作業機械2の現況位置を示す位置データ、及び位置データ取得部61により取得された作業機械2の姿勢を示す姿勢データに基づいて、作業現場の現況地形データを作成する。現況地形データ作成部63は、3次元センサ13の検出データ、位置センサ11の検出データ、及び傾斜センサ12の検出データに基づいて、作業現場の現況地形データを作成する。
【0033】
現況地形データ記憶部64は、現況地形データ作成部63により作成された作業現場の現況地形データを記憶する。
【0034】
障害物データ取得部65は、作業機械2の周辺に存在する障害物を示す障害物データを取得する。障害物データは、障害物センサ14の検出データを含む。障害物データ取得部65は、障害物データとして、障害物センサ14の検出データを取得する。
【0035】
判定部66は、現況地形データ記憶部64に記憶されている現況地形データに基づいて、障害物センサ14が検出した特定データがノイズであるか障害物であるかを判定する。
【0036】
走行制御部67は、障害物センサ14の検出データに基づいて、走行装置8を制御する。障害物センサ14が障害物を検出した場合、走行制御部67は、作業機械2と障害物との接触を抑制するために、走行装置8に設けられている自動ブレーキを作動させる。
【0037】
管理装置3は、現況地形データ作成部31と、現況地形データ記憶部32とを有する。上述のように、作業現場に複数の作業機械2が存在する。複数の作業機械2のそれぞれは、現況地形データ記憶部64に記憶されている現況地形データを、通信システム4を介して管理装置3に送信する。現況地形データ作成部31は、複数の作業機械2のそれぞれから送信された現況地形データを統合して、作業現場の現況地形データを作成する。現況地形データ記憶部32は、現況地形データ作成部31により作成された現況地形データを記憶する。複数の作業機械2のそれぞれは、現況地形データを所定の時間間隔で管理装置3に送信する。複数の作業機械2のそれぞれは、例えば1秒ごとに現況地形データを管理装置3に送信する。現況地形データ作成部31は、現況地形データを受信する度に現況地形データを作成する。現況地形データ作成部31が現況地形データを作成する度に、現況地形データ記憶部32に記憶される現況地形データが更新される。
【0038】
[記憶データ]
図6は、実施形態に係る現況地形データ記憶部64に記憶される記憶データを説明するための図である。図6に示すように、作業現場の現況地形データは、作業現場の地形の表面に規定される複数の検出点28のそれぞれの高さデータを含む。3次元データが取得されたときの作業機械2の現況位置、作業機械2の姿勢、及び3次元データに基づいて、グローバル座標系における複数の検出点28のそれぞれの位置が定められる。なお、検出点28の位置は、グローバル座標系において規定されてもよいし、作業機械2に設定されたローカル座標系のような所定の座標系において規定されてもよい。複数の検出点28のそれぞれに、時刻を示す時刻データが付与される。時刻データが示す時刻とは、3次元データ取得部62が検出点28を取得した時刻、又は位置データ取得部61が検出点28に対応する位置データを取得した時刻をいう。なお、時刻データの時刻は、3次元センサ13が検出点28を検出した時刻とみなされてもよい。時刻データは、複数の検出点28のそれぞれに対応付けて記憶される。また、複数の検出点28のそれぞれに、属性を示す属性データが付与される。属性データが示す属性とは、検出点28の属性をいう。検出点28の属性は、作業現場の地形に係る属性及び作業現場に存在する障害物に係る属性を含む。属性データは、複数の検出点28のそれぞれに対応付けて記憶される。
【0039】
[障害物の存否の判定方法]
図7は、実施形態に係る判定部66による障害物の判定方法を説明するための図である。スロットドージングにおいて、作業機械2は、掘削レーンに沿って前進と後進とを繰り返しながら地面を掘削する。障害物センサ14は、作業機械2の後方の障害物を検出する。障害物センサ14の検出範囲140において障害物の可能性がある特定データ29が検出される。判定部66は、現況地形データ記憶部64に記憶されている現況地形データと、障害物データ取得部65により取得された障害物センサ14の検出データとを照合して、障害物センサ14が検出した特定データ29がノイズであるか障害物であるかを判定する。現況地形データにおいて、特定データ29の位置に障害物に相当する物体が存在すると判定した場合、判定部66は、特定データ29が障害物であると判定する。現況地形データにおいて、特定データ29の位置に障害物に相当する物体が存在しないと判定した場合、判定部66は、特定データ29がノイズであると判定する。
【0040】
判定部66により特定データ29が障害物であると判定された場合、現況地形データ作成部63は、特定データ29に対応する現況地形データ(3次元データ)の一部に障害物の属性を付与する。図6を参照して説明したように、作業現場の現況地形データ(3次元データ)は、作業現場の地形の表面に規定される複数の検出点28のそれぞれの高さデータを含む。現況地形データ作成部63は、特定データ29に対応する検出点28に障害物の属性を付与する。
【0041】
[検出方法]
図8は、実施形態に係る作業現場の検出方法を示すフローチャートである。障害物データ取得部65は、障害物センサ14の検出データを取得する(ステップS1)。判定部66は、現況地形データ記憶部64に記憶されている現況地形データと、障害物データ取得部65により取得された障害物センサ14の検出データとを照合する(ステップS2)。障害物センサ14の検出データに障害物の可能性がある特定データ29が含まれている場合、判定部66は、ステップS2の照合に基づいて、障害物センサ14が検出した特定データ29がノイズであるか障害物であるかを判定する(ステップS3)。
【0042】
ステップS3において、特定データ29がノイズであると判定された場合(ステップS3:Yes)、障害物データ取得部65は、ノイズである特定データ29を除去する(ステップS4)。現況地形データ作成部63は、3次元データに基づいて現況地形データを作成する。現況地形データ作成部63により作成された現況地形データは、現況地形データ記憶部64に記憶される。現況地形データ作成部63により作成された現況地形データは、マップデータの作成のために管理装置3に送信される(ステップS5)。
【0043】
ステップS3において、特定データ29が障害物であると判定された場合(ステップS3:No)、現況地形データ作成部63は、特定データ29に対応する検出点28に障害物の属性を付与する(ステップS7)。現況地形データ作成部63は、障害物の属性が付与された3次元データに基づいて現況地形データを作成する。現況地形データ作成部63により作成された現況地形データは、現況地形データ記憶部64に記憶される。現況地形データ作成部63により作成された現況地形データは、マップデータの作成のために管理装置3に送信される(ステップS5)。
【0044】
障害物センサ14の検出データに障害物の可能性がある特定データ29が含まれている場合、その特定データ29を含む障害物センサ14の検出データが障害物データ取得部65から走行制御部67に送信される。走行制御部67は、特定データ29を含む障害物センサ14の検出データを走行制御用データとして記憶する(ステップS8)。走行制御部67は、走行制御用データに基づいて走行装置8を制御する。走行制御部67は、特定データ29に基づいて自動ブレーキを作動させる。
【0045】
ステップS5,S8のいずれかの処理が終了した後、障害物の検出処理を終了するか否かが判定される(ステップS6)。ステップS6において、障害物の検出処理を終了しないと判定された場合(ステップS6:No)、ステップS1の処理に戻る。ステップS6において、障害物の検出処理を終了すると判定された場合(ステップS3:Yes)、障害物の検出処理が終了する。
【0046】
[コンピュータシステム]
図9は、実施形態に係るコンピュータシステム1000を示すブロック図である。上述の管理装置3及び制御装置6のそれぞれは、コンピュータシステム1000を含む。コンピュータシステム1000は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ1001と、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリ及びRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含むメインメモリ1002と、ストレージ1003と、入出力回路を含むインターフェース1004とを有する。上述の管理装置3及び制御装置6のそれぞれの機能は、コンピュータプログラムとしてストレージ1003に記憶されている。プロセッサ1001は、コンピュータプログラムをストレージ1003から読み出してメインメモリ1002に展開し、プログラムに従って上述の処理を実行する。なお、コンピュータプログラムは、ネットワークを介してコンピュータシステム1000に配信されてもよい。
【0047】
コンピュータシステム1000又はコンピュータプログラムは、上述の実施形態に従って、作業機械2が稼働する作業現場の現況地形データを記憶することと、作業機械2の周辺を検出する障害物センサ14の検出データを取得することと、現況地形データに基づいて、障害物センサ14が検出した特定データ29がノイズであるか障害物であるかを判定することと、を実行することができる。
【0048】
[効果]
以上説明したように、実施形態に係る作業現場の検出システム100は、作業機械2が稼働する作業現場の現況地形データを記憶する現況地形データ記憶部64と、作業機械2の周辺を検出する障害物センサ14の検出データを取得する障害物データ取得部65と、現況地形データに基づいて、障害物センサ14が検出した特定データ29がノイズであるか障害物であるかを判定する判定部66と、を備える。障害物センサ14が検出した特定データ29には、雨、雪、霧、粉塵、及び外乱光等のノイズや、センサ特有の誤検知によるノイズが含まれている可能性がある。現況地形データにノイズが含まれている可能性が低く、現況地形データの信頼性が高い場合において、障害物センサ14の検出データに障害物の可能性がある特定データ29が含まれている場合、現況地形データと障害物センサ14の検出データとが照合されることにより、特定データ29がノイズであるか障害物であるかを判定することができる。特定データ29がノイズであるにもかかわらず、障害物であると誤検出されてしまうと、不正確なマップデータが作成される可能性がある。不正確なマップデータが作成されると、マップデータに基づいて自動制御される作業機械2の作業性が低下する可能性がある。実施形態によれば、作業機械2の周辺の障害物の誤検出が抑制されるので、作業機械2の作業性の低下が抑制される。
【0049】
[その他の実施形態]
上述の実施形態において、現況地形データ作成部63は、少なくとも3次元データ取得部62により取得された3次元データに基づいて、作業現場の現況地形データを作成してもよい。また、現況地形データ作成部63は、少なくとも位置データ取得部61により取得された作業機械2の現況位置を示す位置データに基づいて、作業現場の現況地形データを作成してもよい。
【0050】
上述の実施形態において、制御装置6の機能の少なくとも一部が、管理装置3に設けられてもよい。管理装置3の機能の少なくとも一部が、制御装置6に設けられてもよい。
【0051】
上述の実施形態において、例えば、位置データ取得部61、3次元データ取得部62、現況地形データ作成部63、現況地形データ記憶部64、障害物データ取得部65、判定部66、及び走行制御部67のそれぞれが、別々のハードウエアにより構成されてもよい。
【0052】
上述の実施形態において、作業機械2は、ブルドーザであることとした。作業機械2は油圧ショベル、ホイールローダ、モータグレーダ等の他の作業機械でもよい。
【符号の説明】
【0053】
1…管理システム、2…作業機械、3…管理装置、4…通信システム、4A…無線通信機、4B…無線通信機、5…管制施設、6…制御装置、7…車体、8…走行装置、9…掘削作業機、10…リッパ作業機、11…位置センサ、12…傾斜センサ、13…3次元センサ(第2センサ)、13F…3次元センサ、13B…3次元センサ、14…障害物センサ(第1センサ)、14L…障害物センサ、14R…障害物センサ、15…エンジン室、16…エンジン、17…履帯、18…掘削ブレード、18A…切刃、19…リフトフレーム、20…チルトシリンダ、21…リフトシリンダ、22…シャンク、22A…リッパポイント、23…リッパアーム、24…チルトシリンダ、25…リフトシリンダ、26…ビーム、27A…第1中間設計面、27B…第2中間設計面、27S…掘削開始点、27Z…最終設計面、28…検出点、29…特定データ、31…現況地形データ作成部、32…現況地形データ記憶部、61…位置データ取得部、62…3次元データ取得部(第2検出データ取得部)、63…現況地形データ作成部、64…現況地形データ記憶部、65…障害物データ取得部(第1検出データ取得部)、66…判定部、67…走行制御部、100…検出システム、130…検出範囲、130F…検出範囲、130B…検出範囲、140…検出範囲、140L…検出範囲、140R…検出範囲、1000…コンピュータシステム、1001…プロセッサ、1002…メインメモリ、1003…ストレージ、1004…インターフェース。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9