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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052339
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】光治療装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/06 20060101AFI20240404BHJP
   A61N 5/067 20060101ALI20240404BHJP
   A61M 36/10 20060101ALI20240404BHJP
   A61M 25/10 20130101ALI20240404BHJP
【FI】
A61N5/06 Z
A61N5/067
A61M36/10
A61M25/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】28
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158998
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】518055877
【氏名又は名称】ラクテン・メディカル,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100149249
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】藤間 大貴
(72)【発明者】
【氏名】末原 達
(72)【発明者】
【氏名】秦 まゆ
【テーマコード(参考)】
4C082
4C267
【Fターム(参考)】
4C082PA06
4C082PC10
4C082PE10
4C082PG11
4C082PG13
4C082PG17
4C082RA02
4C082RC00
4C082RE17
4C082RE35
4C082RE56
4C082RG03
4C267AA06
4C267BB06
4C267BB28
4C267BB47
4C267BB48
4C267CC25
(57)【要約】
【課題】例えば婦人科がんを治療する場合に、子宮口付近に光を照射すると同時に膣壁には周方向に限定的に光を照射できる光治療装置を提供する。
【解決手段】発光体を配置される内部領域を囲繞し長手方向と前記長手方向に延びる軸線とを規定する囲繞体を有し、前記囲繞体が、前記発光体から出射された光を前記内部領域に向けて反射する反射体と、前記反射体がないことによって前記光を前記内部領域の外側に向けて透過させる窓部と、を有し、前記窓部が、前記長手方向における前記囲繞体の一方の端部に位置する前記窓部の一方の端部から、前記囲繞体のもう一方の端部に向けて延び、前記長手方向における前記窓部のもう一方の端部が、前記軸線の周方向において、全周に亘らない限定された角度範囲に亘って設けられる、光治療装置。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光体を配置される内部領域を囲繞し長手方向と前記長手方向に延びる軸線とを規定する囲繞体を有し、
前記囲繞体が、前記発光体から出射された光を前記内部領域に向けて反射する反射体と、前記反射体がないことによって前記光を前記内部領域の外側に向けて透過させる窓部と、を有し、
前記窓部が、前記長手方向における前記囲繞体の一方の端部に位置する前記窓部の一方の端部から、前記囲繞体のもう一方の端部に向けて延び、
前記長手方向における前記窓部のもう一方の端部が、前記軸線の周方向において、全周に亘らない限定された角度範囲に亘って設けられる、光治療装置。
【請求項2】
前記窓部の前記一方の端部の極端が、前記囲繞体の前記一方の端部の極端に位置する、請求項1に記載の光治療装置。
【請求項3】
前記発光体の移動経路となるルーメンを有する、請求項1に記載の光治療装置。
【請求項4】
前記発光体が、前記発光体の移動経路となる前記ルーメン内で前記囲繞体の前記もう一方の端部を通って前記内部領域に導入される、請求項3に記載の光治療装置。
【請求項5】
前記窓部の前記もう一方の端部が前記長手方向に対して垂直に直線によって規定される、請求項1に記載の光治療装置。
【請求項6】
前記囲繞体が、前記発光体から出射されて前記囲繞体を透過した後に前記囲繞体に外側から入射する前記光を少なくとも部分的に吸収する吸収体を有する、請求項1に記載の光治療装置。
【請求項7】
前記囲繞体の前記もう一方の端部が、前記周方向における前記窓部の向きを示す標識体を有する、請求項1に記載の光治療装置。
【請求項8】
前記囲繞体が、収縮形態から拡張形態に変形可能なバルーンである、請求項1に記載の光治療装置。
【請求項9】
前記囲繞体を前記収縮形態から前記拡張形態に変形させる流体の移動経路となるルーメンを有する、請求項8に記載の光治療装置。
【請求項10】
前記流体が、前記流体の移動経路となる前記ルーメン内で前記囲繞体の前記もう一方の端部を通って前記内部領域に導入される、請求項9に記載の光治療装置。
【請求項11】
前記囲繞体を体腔内に挿入する挿入ステップと、
腫瘍の位置に合わせて前記囲繞体を前記周方向に回転させる回転ステップと、
前記囲繞体から前記窓部を通して前記光を照射する照射ステップと、
前記体腔から前記囲繞体を抜去する抜去ステップと、を有する、請求項1に記載の光治療装置を用いる光治療方法。
【請求項12】
前記囲繞体としてのバルーンを拡張させる拡張ステップを有する、請求項11に記載の光治療方法。
【請求項13】
前記バルーンを収縮させる収縮ステップを有し、
前記照射ステップよりも後で且つ前記抜去ステップよりも前に前記収縮ステップを行う、請求項12に記載の光治療方法。
【請求項14】
膣鏡又はその他の視認用器具で子宮口及び患部を視認する視認ステップと、
前記視認用器具を前記膣内から抜去する視認用器具抜去ステップと、を有し、
前記挿入ステップ、前記回転ステップ、前記照射ステップ、前記抜去ステップ及び前記拡張ステップよりも前に前記視認ステップを行い、
前記挿入ステップよりも後で且つ前記照射ステップよりも前に前記視認用器具抜去ステップを行う、請求項11に記載の光治療方法。
【請求項15】
前記挿入ステップによって前記囲繞体を膣の最奥部に突き当てたことを確認する確認ステップを有する、請求項11に記載の光治療方法。
【請求項16】
前記挿入ステップ、前記拡張ステップ、前記回転ステップ、前記照射ステップ及び前記抜去ステップをこの順に行う、請求項12に記載の光治療方法。
【請求項17】
前記挿入ステップ、前記回転ステップ、前記拡張ステップ、前記照射ステップ及び前記抜去ステップをこの順に行う、請求項12に記載の光治療方法。
【請求項18】
前記回転ステップ、前記挿入ステップ、前記拡張ステップ、前記照射ステップ及び前記抜去ステップをこの順に行う、請求項12に記載の光治療方法。
【請求項19】
前記拡張ステップ、前記挿入ステップ、前記回転ステップ、前記照射ステップ及び前記抜去ステップをこの順に行う、請求項12に記載の光治療方法。
【請求項20】
前記拡張ステップ、前記回転ステップ、前記挿入ステップ、前記照射ステップ及び前記抜去ステップをこの順に行う、請求項12に記載の光治療方法。
【請求項21】
保護シースを前記体腔内から抜去するシース抜去ステップを有し、
収縮形態の前記バルーンを前記保護シースで保護した状態で前記挿入ステップを行い、前記挿入ステップよりも後に前記シース抜去ステップを行い、前記シース抜去ステップよりも後に前記拡張ステップを行う、請求項12に記載の光治療方法。
【請求項22】
前記体腔内全体を前記照射ステップでの出力よりも小さい出力の前記光で照射する全体照射ステップを有し、
前記照射ステップよりも後に前記全体照射ステップを行う、請求項11に記載の光治療方法。
【請求項23】
前記バルーンが拡張したことを超音波を用いて確認する拡張確認ステップを有し、
前記挿入ステップよりも後に前記拡張ステップを行い、前記拡張ステップよりも後に前記拡張確認ステップを行う、請求項12に記載の光治療方法。
【請求項24】
前記照射ステップよりも後に前記体腔内の被照射範囲の位置を変更して前記光を再照射する再照射ステップを有する、請求項11に記載の光治療方法。
【請求項25】
前記囲繞体を前記周方向に回転又は前記長手方向に移動させる位置変更ステップを有し、
前記照射ステップよりも後で且つ前記再照射ステップよりも前に前記位置変更ステップを行う、請求項24に記載の光治療方法。
【請求項26】
前記照射ステップよりも後に、前記位置変更ステップと前記再照射ステップをこの順に複数回繰り返す繰り返し照射ステップを有する、請求項25に記載の光治療方法。
【請求項27】
前記光治療装置としての第1光治療装置であって、第1発光体を配置される第1内部領域を囲繞し第1長手方向と前記第1長手方向に延びる第1軸線とを規定する第1囲繞体を有し、前記第1囲繞体が、前記第1発光体から出射された第1光を前記第1内部領域に向けて反射する第1反射体と、前記第1反射体がないことによって前記第1光を前記第1内部領域の外側に向けて透過させる第1窓部と、を有し、前記第1窓部が、前記第1長手方向における前記第1囲繞体の一方の端部に位置する前記第1窓部の一方の端部から、前記第1囲繞体のもう一方の端部に向けて延び、前記第1長手方向における前記第1窓部のもう一方の端部が、前記第1軸線の周方向において、全周に亘らない限定された角度範囲に亘って設けられる、第1光治療装置と、
第2光治療装置であって、第2発光体を配置される第2内部領域を囲繞し第2長手方向と前記第2長手方向に延びる第2軸線とを規定する第2囲繞体を有し、前記第2囲繞体が、前記第2発光体から出射された第2光を前記第2内部領域に向けて反射する第2反射体と、前記第2反射体がないことによって前記第2光を前記第2内部領域の外側に向けて透過させる第2窓部と、を有し、前記第2窓部が、前記第2長手方向における前記第2囲繞体の両端部以外の部分に設けられる、第2光治療装置と、を用い、
前記挿入ステップとしての、前記第1囲繞体を前記体腔内に挿入する第1光治療装置挿入ステップと、
前記回転ステップとしての、前記腫瘍の位置に合わせて前記第1囲繞体を前記第1周方向に回転させる第1光治療装置回転ステップと、
前記照射ステップとしての、前記第1囲繞体から前記第1窓部を通して前記第1光を照射する第1光治療装置照射ステップと、
前記抜去ステップとしての、前記体腔から前記第1囲繞体を抜去する第1光治療装置抜去ステップと、
前記第2囲繞体を前記体腔内に挿入する第2光治療装置挿入ステップと、
前記腫瘍の位置に合わせて前記第2囲繞体を前記第2周方向に回転させる第2光治療装置回転ステップと、
前記第2囲繞体から前記第2窓部を通して前記第2光を照射する第2光治療装置照射ステップと、
前記体腔から前記第2囲繞体を抜去する第2光治療装置抜去ステップと、を有する、請求項11に記載の光治療方法。
【請求項28】
前記第1光治療装置挿入ステップ、前記第1光治療装置回転ステップ、前記第1光治療装置照射ステップ及び前記第1光治療装置抜去ステップよりも後に、前記第2光治療装置挿入ステップ、前記第2光治療装置回転ステップ、前記第2光治療装置照射ステップ及び前記第2光治療装置抜去ステップを行う、請求項27に記載の光治療方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は光治療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
治療用の光を異常組織に照射するために用いられる光治療装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4122323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光治療装置は光をできるだけ正常組織に照射しないことが望ましい。
【0005】
本開示は、例えば婦人科がんを治療する場合に、子宮口付近に光を照射すると同時に膣壁には周方向に限定的に光を照射できる光治療装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は以下のとおりである。
【0007】
[1]
発光体を配置される内部領域を囲繞し長手方向と前記長手方向に延びる軸線とを規定する囲繞体を有し、
前記囲繞体が、前記発光体から出射された光を前記内部領域に向けて反射する反射体と、前記反射体がないことによって前記光を前記内部領域の外側に向けて透過させる窓部と、を有し、
前記窓部が、前記長手方向における前記囲繞体の一方の端部に位置する前記窓部の一方の端部から、前記囲繞体のもう一方の端部に向けて延び、
前記長手方向における前記窓部のもう一方の端部が、前記軸線の周方向において、全周に亘らない限定された角度範囲に亘って設けられる、光治療装置。
【0008】
[2]
前記窓部の前記一方の端部の極端が、前記囲繞体の前記一方の端部の極端に位置する、[1]に記載の光治療装置。
【0009】
[3]
前記発光体の移動経路となるルーメンを有する、[1]又は[2]に記載の光治療装置。
【0010】
[4]
前記発光体が、前記発光体の移動経路となる前記ルーメン内で前記囲繞体の前記もう一方の端部を通って前記内部領域に導入される、[3]に記載の光治療装置。
【0011】
[5]
前記窓部の前記もう一方の端部が前記長手方向に対して垂直に直線によって規定される、[1]~[4]の何れか1項に記載の光治療装置。
【0012】
[6]
前記囲繞体が、前記発光体から出射されて前記囲繞体を透過した後に前記囲繞体に外側から入射する前記光を少なくとも部分的に吸収する吸収体を有する、[1]~[5]の何れか1項に記載の光治療装置。
【0013】
[7]
前記囲繞体の前記もう一方の端部が、前記周方向における前記窓部の向きを示す標識体を有する、[1]~[6]の何れか1項に記載の光治療装置。
【0014】
[8]
前記囲繞体が、収縮形態から拡張形態に変形可能なバルーンである、[1]~[7]の何れか1項に記載の光治療装置。
【0015】
[9]
前記囲繞体を前記収縮形態から前記拡張形態に変形させる流体の移動経路となるルーメンを有する、[8]に記載の光治療装置。
【0016】
[10]
前記流体が、前記流体の移動経路となる前記ルーメン内で前記囲繞体の前記もう一方の端部を通って前記内部領域に導入される、[9]に記載の光治療装置。
【0017】
[11]
前記囲繞体を体腔内に挿入する挿入ステップと、
腫瘍の位置に合わせて前記囲繞体を前記周方向に回転させる回転ステップと、
前記囲繞体から前記窓部を通して前記光を照射する照射ステップと、
前記体腔から前記囲繞体を抜去する抜去ステップと、を有する、[1]に記載の光治療装置を用いる光治療方法。
【0018】
[12]
前記囲繞体としてのバルーンを拡張させる拡張ステップを有する、[11]に記載の光治療方法。
【0019】
[13]
前記バルーンを収縮させる収縮ステップを有し、
前記照射ステップよりも後で且つ前記抜去ステップよりも前に前記収縮ステップを行う、[12]に記載の光治療方法。
【0020】
[14]
膣鏡又はその他の視認用器具で子宮口及び患部を視認する視認ステップと、
前記視認用器具を前記膣内から抜去する視認用器具抜去ステップと、を有し、
前記挿入ステップ、前記回転ステップ、前記照射ステップ、前記抜去ステップ及び前記拡張ステップよりも前に前記視認ステップを行い、
前記挿入ステップよりも後で且つ前記照射ステップよりも前に前記視認用器具抜去ステップを行う、[11]に記載の光治療方法。
【0021】
[15]
前記挿入ステップによって前記囲繞体を膣の最奥部に突き当てたことを確認する確認ステップを有する、[11]に記載の光治療方法。
【0022】
[16]
前記挿入ステップ、前記拡張ステップ、前記回転ステップ、前記照射ステップ及び前記抜去ステップをこの順に行う、[12]に記載の光治療方法。
【0023】
[17]
前記挿入ステップ、前記回転ステップ、前記拡張ステップ、前記照射ステップ及び前記抜去ステップをこの順に行う、[12]に記載の光治療方法。
【0024】
[18]
前記回転ステップ、前記挿入ステップ、前記拡張ステップ、前記照射ステップ及び前記抜去ステップをこの順に行う、[12]に記載の光治療方法。
【0025】
[19]
前記拡張ステップ、前記挿入ステップ、前記回転ステップ、前記照射ステップ及び前記抜去ステップをこの順に行う、[12]に記載の光治療方法。
【0026】
[20]
前記拡張ステップ、前記回転ステップ、前記挿入ステップ、前記照射ステップ及び前記抜去ステップをこの順に行う、[12]に記載の光治療方法。
【0027】
[21]
保護シースを前記体腔内から抜去するシース抜去ステップを有し、
収縮形態の前記バルーンを前記保護シースで保護した状態で前記挿入ステップを行い、前記挿入ステップよりも後に前記シース抜去ステップを行い、前記シース抜去ステップよりも後に前記拡張ステップを行う、[12]に記載の光治療方法。
【0028】
[22]
前記体腔内全体を前記照射ステップでの出力よりも小さい出力の前記光で照射する全体照射ステップを有し、
前記照射ステップよりも後に前記全体照射ステップを行う、[11]に記載の光治療方法。
【0029】
[23]
前記バルーンが拡張したことを超音波を用いて確認する拡張確認ステップを有し、
前記挿入ステップよりも後に前記拡張ステップを行い、前記拡張ステップよりも後に前記拡張確認ステップを行う、[12]に記載の光治療方法。
【0030】
[24]
前記照射ステップよりも後に前記体腔内の被照射範囲の位置を変更して前記光を再照射する再照射ステップを有する、[11]に記載の光治療方法。
【0031】
[25]
前記囲繞体を前記周方向に回転又は前記長手方向に移動させる位置変更ステップを有し、
前記照射ステップよりも後で且つ前記再照射ステップよりも前に前記位置変更ステップを行う、[24]に記載の光治療方法。
【0032】
[26]
前記照射ステップよりも後に、前記位置変更ステップと前記再照射ステップをこの順に複数回繰り返す繰り返し照射ステップを有する、[25]に記載の光治療方法。
【0033】
[27]
前記光治療装置としての第1光治療装置であって、第1発光体を配置される第1内部領域を囲繞し第1長手方向と前記第1長手方向に延びる第1軸線とを規定する第1囲繞体を有し、前記第1囲繞体が、前記第1発光体から出射された第1光を前記第1内部領域に向けて反射する第1反射体と、前記第1反射体がないことによって前記第1光を前記第1内部領域の外側に向けて透過させる第1窓部と、を有し、前記第1窓部が、前記第1長手方向における前記第1囲繞体の一方の端部に位置する前記第1窓部の一方の端部から、前記第1囲繞体のもう一方の端部に向けて延び、前記第1長手方向における前記第1窓部のもう一方の端部が、前記第1軸線の周方向において、全周に亘らない限定された角度範囲に亘って設けられる、第1光治療装置と、
第2光治療装置であって、第2発光体を配置される第2内部領域を囲繞し第2長手方向と前記第2長手方向に延びる第2軸線とを規定する第2囲繞体を有し、前記第2囲繞体が、前記第2発光体から出射された第2光を前記第2内部領域に向けて反射する第2反射体と、前記第2反射体がないことによって前記第2光を前記第2内部領域の外側に向けて透過させる第2窓部と、を有し、前記第2窓部が、前記第2長手方向における前記第2囲繞体の両端部以外の部分に設けられる、第2光治療装置と、を用い、
前記挿入ステップとしての、前記第1囲繞体を前記体腔内に挿入する第1光治療装置挿入ステップと、
前記回転ステップとしての、前記腫瘍の位置に合わせて前記第1囲繞体を前記第1周方向に回転させる第1光治療装置回転ステップと、
前記照射ステップとしての、前記第1囲繞体から前記第1窓部を通して前記第1光を照射する第1光治療装置照射ステップと、
前記抜去ステップとしての、前記体腔から前記第1囲繞体を抜去する第1光治療装置抜去ステップと、
前記第2囲繞体を前記体腔内に挿入する第2光治療装置挿入ステップと、
前記腫瘍の位置に合わせて前記第2囲繞体を前記第2周方向に回転させる第2光治療装置回転ステップと、
前記第2囲繞体から前記第2窓部を通して前記第2光を照射する第2光治療装置照射ステップと、
前記体腔から前記第2囲繞体を抜去する第2光治療装置抜去ステップと、を有する、[11]に記載の光治療方法。
【0034】
[28]
前記第1光治療装置挿入ステップ、前記第1光治療装置回転ステップ、前記第1光治療装置照射ステップ及び前記第1光治療装置抜去ステップよりも後に、前記第2光治療装置挿入ステップ、前記第2光治療装置回転ステップ、前記第2光治療装置照射ステップ及び前記第2光治療装置抜去ステップを行う、[27]に記載の光治療方法。
【発明の効果】
【0035】
本開示によれば、例えば婦人科がんを治療する場合に、子宮口付近に光を照射すると同時に膣壁には周方向に限定的に光を照射できる光治療装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】第1実施形態に係る光治療装置の拡張形態での斜視図である。
図2図1に示す光治療装置の径方向から見た平面図である。
図3図1に示す光治療装置の長手方向から見た平面図である。
図4図3のA-A断面図である。
図5図1に示す光治療装置の収縮形態での径方向から見た平面図である。
図6図1に示す光治療装置の収縮形態での長手方向から見た平面図である。
図7】第2実施形態に係る光治療装置の斜視図である。
図8図7に示す光治療装置の径方向から見た平面図である。
図9図8と周方向に90°異なる角度から見た平面図である。
図10】第3実施形態に係る光治療装置の斜視図である。
図11図10に示す光治療装置の径方向から見た平面図である。
図12図10に示す光治療装置と併用される光治療装置の斜視図である。
図13】第4実施形態に係る光治療装置の斜視図である。
図14図13に示す光治療装置の径方向から見た平面図である。
図15】第5実施形態に係る光治療装置の斜視図である。
図16】第6実施形態に係る光治療装置の斜視図である。
図17】一実施形態に係る光治療方法を説明するための説明図である。
図18図17に示す状態から囲繞体を体腔内に挿入した時の状態を示す。
図19図18に示す状態から囲繞体を拡張させた時の状態を示す。
図20図17で説明する光治療方法の手順を示すフロー図である。
図21図17で説明する光治療方法における再照射ステップの手順を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面を参照して本開示の実施形態を詳細に例示説明する。
【0038】
図1図6に示す本開示の第1実施形態に係る光治療装置1は、光免疫療法(photoimmunotherapy:PIT)、光線力学療法(photodynamic therapy:PDT)などの光治療法において、治療用の光を異常組織に照射するために用いられる。光は例えばレーザ光である。
【0039】
光治療装置1は、発光体2aを有する発光装置2と、発光体2aを配置される内部領域3を囲繞し長手方向と長手方向に延びる軸線Oとを規定する囲繞体4と、発光体2aの移動経路となるルーメン5(以下、光ルーメン5ともいう)と、を有する。なお、軸線Oに垂直な直線に沿う方向を軸線Oの径方向、又は単に径方向ともいい、軸線Oを周回する方向を軸線Oの周方向、又は単に周方向ともいう。本実施形態では、軸線Oは囲繞体4の中心軸線である。なお、軸線Oは中心軸線に限らない。
【0040】
囲繞体4は所定方向に細長く、所定方向として長手方向を規定する。また囲繞体4は、軸線Oを中心とし長手方向の両端部が閉塞した筒状をなす。発光体2aは内部領域3において軸線O上の所定位置に配置される。内部領域3内での長手方向における発光体2aの配置は適宜設定できる。
【0041】
囲繞体4は、図5図6に示す収縮形態から図1図4に示す拡張形態に変形可能なバルーンであり、光治療装置1は、バルーンを収縮形態から拡張形態に変形させる流体の移動経路となるルーメン6(以下、流体ルーメン6ともいう)をさらに有する。囲繞体4は、流体ルーメン6内を移動して内部領域3内に入る流体の圧力によって収縮形態から拡張形態に変形することができる。囲繞体4(バルーン)は、流体以外の手段によって収縮形態から拡張形態に変形可能な構成としてもよい。内部領域3は、収縮形態から拡張形態へのバルーンの変形時に流体を流入させる内部空間である。
【0042】
囲繞体4は、拡張形態において、軸線Oを中心とし長手方向の両端部が閉塞した円筒状をなす。より具体的には、囲繞体4は、拡張形態で円筒状をなす周壁7aと、周壁7aの一方の端部に連なり拡張形態で長手方向の外側に突出する凸曲面状をなす一方の端部壁7bと、周壁7aのもう一方の端部に連なり拡張形態で長手方向の外側に突出する凸曲面状をなすもう一方の端部壁7bと、を有する。
【0043】
囲繞体4は、両方又はいずれか一方の端部壁7bが拡張形態で凸曲面状以外の凸状をなす構成としてもよい。囲繞体4は、周壁7aが拡張形態で楕円筒状など、円筒状以外の筒状をなす構成としてもよい。つまり囲繞体4は、拡張形態において軸線Oを中心とし長手方向の両端部が閉塞した、円筒状以外の筒状をなす構成としてもよい。
【0044】
収縮形態は、拡張形態から内部領域3が縮小するように囲繞体4が所定形状に折り畳まれた形態である。所定形状は、複数の襞8が周方向に並ぶように形成された形状であってもよく、例えば図5図6に示すように4つの襞8が形成された形状であってもよい。
【0045】
囲繞体4は、収縮形態から拡張形態に変形可能なバルーンである構成に限らず、例えば、常に上記の拡張形態に相当する形態をなす構成としてもよい。またこの場合、内部領域3は空間に限らず、例えば樹脂などの透光性材料からなる領域として構成してもよい。
【0046】
図4に示すように、発光装置2は、光源(不図示)と、光源から出射された光を発光体2aまで伝える長尺状の導光部2bと、をさらに有する。導光部2bは例えば光ファイバなどの導光体で構成され、一方の端部において光源に連なり、もう一方の端部において発光体2aに連なる。また導光部2bは、導光体に連なり光源に着脱可能な光コネクタを有してもよい。
【0047】
発光体2aは、軸心に沿って長尺状に延び、光源から導光部2bを介して伝わる光を軸心に沿う方向の所定幅に亘る部分から軸心の径方向に出射可能に構成される。より具体的には、発光体2aは、軸心の周方向の全域に向けて光を出射可能である。
【0048】
囲繞体4は、発光体2aから出射された光を内部領域3に向けて反射する反射体9と、反射体9がないことによって光を内部領域3の外側に向けて透過させる窓部10と、を有する。より具体的には、囲繞体4は、周壁7aと2つの端部壁7bとを有する本体部7と、本体部7の外面の一部を被覆する反射体9と、を有し、本体部7における反射体9に被覆されない部分で窓部10が構成される。本体部7は光透過性材料で形成され、反射体9は光反射性材料で形成される。本体部7は例えば樹脂材料で形成することができ、なかでもポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン又はナイロンなどで形成することが好ましい。反射体9は例えば各種金属材料(例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、銀、アルミなど)で形成することができる。反射体9の厚みは、1~500um、より具体的には10~450umであることが好ましい。反射体9によれば、発光体2aから出射された光を集めて窓部10を通して限定された範囲に効率的に照射することができる。
【0049】
反射体9の形成方法は特に限定されず、例えば本体部7への塗布によって形成することができる。塗布方法は特に限定されず、例えば、ディッピング法、スプレーコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法、真空蒸着法、低真空スパッタリング法などを用いることができる。なお、反射体9は本体部7の外面の一部を被覆する構成に限らず、例えば、本体部7の内面の一部を被覆する構成としてもよい。
【0050】
窓部10は、長手方向における囲繞体4の一方の端部(以下、遠位端部4aともいう)に位置する窓部10の一方の端部(以下、遠位端部10aともいう)から、囲繞体4のもう一方の端部(以下、近位端部4bともいう)に向けて延びる。また、窓部10の遠位端部10aの極端10cは、囲繞体4の遠位端部4aの極端4cに位置する。つまり、窓部10は、長手方向に見た時の囲繞体4の中心を含む領域に設けられる。
【0051】
また、長手方向における窓部10のもう一方の端部(以下、近位端部10bともいう)は、軸線Oの周方向において、全周に亘らない限定された角度範囲に亘って設けられる。つまり、窓部10の近位端部10bは周方向の一部のみに設けられる。窓部10が設けられる角度範囲は、窓部10の遠位端部10aから近位端部10bに向かうにつれて徐々に狭くなるように設定される。また、窓部10の近位端部10bの極端10dは周壁7aに位置する。より具体的には、窓部10の近位端部10bの極端10dは、長手方向における囲繞体4の中心よりも近位端側に位置する。極端10dでの軸線Oの周方向の角度範囲は、45~180度、より具体的には60~120度、好ましくは90度である。
【0052】
発光体2aは、光ルーメン5内で囲繞体4の近位端部4bの極端4dを通って内部領域3に導入される。光ルーメン5は軸線Oと同軸に配置されるチューブ11(以下、光チューブ11ともいう)によって形成され、光チューブ11は囲繞体4の近位端部4bと遠位端部4aを通る。より具体的には、光チューブ11は囲繞体4の近位端部4bにおいて端部壁7bに接着され、囲繞体4の遠位端部4aにおいて端部壁7bに接着される。また光チューブ11は囲繞体4の遠位端部4aにおいて閉塞部材12によって閉塞される。光チューブ11は光透過性を有する。
【0053】
光チューブ11は、発光体2aを上記所定位置に配置するための目印となるX線不透過性を有する造影マーカーなどのマーカーを有してもよい。あるいは光チューブ11は、光ルーメン5内での発光体2aの導入方向の移動を上記所定位置で発光体2aに突き当たることで規制するストッパ部(不図示)を有してもよい。ストッパ部は、光チューブ11に設ける縮径部で構成してもよいし、光チューブ11内に配置する部材で構成してもよい。
【0054】
流体は、囲繞体4を収縮形態から拡張形態に変形させるために流体ルーメン6内で囲繞体4の近位端部4bを通って内部領域3に導入される。流体としては例えば、空気、水又は生理食塩水などを用いることができる。流体ルーメン6は光チューブ11に隣接して並列に配置されるチューブ13(以下、流体チューブ13ともいう)によって形成され、流体チューブ13は囲繞体4の近位端部4bを通る。より具体的には、流体チューブ13は囲繞体4の近位端部4bにおいて端部壁7bに接着される。また流体チューブ13は内部領域3内で開口する。
【0055】
流体ルーメン6は光ルーメン5に並列に設けられる構成に限らず、例えば、光ルーメン5と同軸に光ルーメン5の径方向外側に設けられる構成としてもよいし、流体ルーメン6としても光ルーメン5としても利用可能な共用のルーメンで構成してもよい。
【0056】
本実施形態の光治療装置1によれば、例えば婦人科がんを治療する場合に、子宮口の手前で囲繞体4を収縮形態から拡張形態に変形させて、子宮口付近に窓部10の遠位端部10aから広く光を照射すると同時に、膣壁には窓部10の残りの部分から周方向に限定的に光を照射することができる。したがって、膣壁の正常部位への光の照射を抑制しながら、異常部位の治療を行うことができる。このような光治療装置1によれば、婦人科がんの一定のケースで安全に治療することができる。
【0057】
窓部10は、図7図9に示す第2実施形態のように、窓部10の近位端部10bが長手方向に対して垂直な直線によって規定される構成(窓部10の近位端部10bの極端10dが周方向に沿って延びる構成)としてもよい。このような構成によれば、窓部10の近位端部10bの極端10dにおいて周方向に一定の幅をもって光を照射することができるので、婦人科がんの一定のケースで効率的な光の照射を可能にすることができる。
【0058】
窓部10は、図10図11に示す第3実施形態のように、窓部10の近位端部10bの極端10dが、長手方向における囲繞体4の中心よりも遠位端側に位置する構成としてもよい。このような構成によれば、例えば図12に示すような周壁7aのみに窓部10を有する径方向照射用の他の光治療装置1を併用することで、婦人科がんの一定のケースで効率的な治療を可能にすることができる。図12の窓部10が設けられる角度範囲は、軸線Oの周方向において、45~270度、より具体的には90~180度が好ましい。
【0059】
窓部10は、図13図14に示す第4実施形態のように、窓部10が設けられる角度範囲が、窓部10の遠位端部10aから近位端部10bの極端10dまで一定となるように設定される構成としてもよい。窓部10が設けられる軸線Oの周方向における角度範囲は45~180度、より具体的には60~120度、好ましくは90度である。このような構成によれば、窓部10の遠位端部10aから近位端部10bの極端10dまでにおいて周方向に一定の幅をもって光を照射することができるので、婦人科がんの一定のケースで効率的な治療を可能にすることができる。
【0060】
囲繞体4は、図15に示す第5実施形態のように、反射体9で反射されずに部分的に反射体9を透過する光や、発光体2aから出射されて囲繞体4を透過した後に囲繞体4に外側から入射する光(例えば、窓部10を透過する光)を少なくとも部分的に吸収する吸収体14を有する構成としてもよい。吸収体14は光吸収性材料で形成される。光吸収性材料としては例えば、黒鉛;カーボンブラック;四酸化三鉄、銅・クロム・亜鉛複合酸化物、などの酸化物系黒色顔料;又は;特定波長領域を吸収する各種顔料などを用いることができる。吸収体14は、図示するように反射体9の外面の一部を被覆する構成としてもよいし、反射体9の外面の全部を被覆する構成としてもよい。吸収体14によれば、囲繞体4の外部での反射による正常組織への光の入射を抑制し易くすることができる。吸光体14の厚さは1~100um、より具体的には5~35umが好ましい。
【0061】
囲繞体4は、図16に示す第6実施形態のように、囲繞体4の近位端部4bが、周方向における窓部10の向きを示す標識体15を有する構成としてもよい。標識体15は例えば、囲繞体4の近位端部4bの外面の一部を所定の色で覆う着色部で形成してもよい。また標識体15は吸収体14の近位端部で構成してもよい。図示する例では吸収体14が囲繞体4の遠位端部4aから近位端部4bまでに跨って設けられ、吸収体14が設けられる角度範囲は、窓部10を避け且つ囲繞体4の遠位端部4aから近位端部4bまで一定となるように設定される。標識体15によれば、窓部10を通して光を異常組織に照射する際に、標識体15の視認により窓部10の周方向の位置を確認し易くすることができる。
【0062】
前述したいずれか又はいくつかの実施形態に係る光治療装置1を用いて、以下に述べるような一実施形態に係る光治療方法を行ってもよい。
【0063】
本実施形態に係る光治療方法は、図17図18に示すように囲繞体4を体腔内に挿入する挿入ステップS1と、腫瘍の位置に合わせて囲繞体4を周方向に回転させる回転ステップS2と、図19に示すように囲繞体4から窓部10を通して光を照射する照射ステップS3と、体腔から囲繞体4を抜去する抜去ステップS4と、を有する。
【0064】
なお、抜去ステップS4は挿入ステップS1よりも後に行い、回転ステップS2と照射ステップS3は抜去ステップS4の完了よりも前に行う。回転ステップS2は挿入ステップS1よりも前に行ってもよいし、挿入ステップS1よりも後に行ってもよい。例えば、挿入ステップS1、回転ステップS2、照射ステップS3、抜去ステップS4の順に行ってもよいし、回転ステップS2、挿入ステップS1、照射ステップS3、抜去ステップS4の順に行ってもよい。
【0065】
本実施形態では体腔は膣腔である。なお、本実施形態に係る光治療方法は、膣腔以外の体腔に適用してもよい。
【0066】
また本実施形態に係る光治療方法は、囲繞体4としてのバルーンを拡張させる拡張ステップS5を有する。なお本実施形態に係る光治療方法は、囲繞体4をバルーンとして構成せずに、常に拡張形態に相当する形態をなす構成とし、拡張ステップS5を有さない構成としてもよい。
【0067】
本実施形態に係る光治療方法は、バルーンを収縮させる収縮ステップS6を有し、照射ステップS3よりも後で且つ抜去ステップS4よりも前に収縮ステップS6を行う構成としてもよい。
【0068】
本実施形態に係る光治療方法は、膣鏡又はその他の視認用器具16で子宮口及び患部を視認する視認ステップS7と、視認用器具16を膣内から抜去する視認用器具抜去ステップS8と、を有し、挿入ステップS1、回転ステップS2、照射ステップS3、抜去ステップS4及び拡張ステップS5よりも前に視認ステップS7を行い、挿入ステップS1よりも後で且つ照射ステップS3よりも前に視認用器具抜去ステップS8を行う。なお、本実施形態に係る光治療方法は、視認ステップS7と視認用器具抜去ステップS8を有さない構成としてもよい。
【0069】
本実施形態に係る光治療方法は、挿入ステップS1によって囲繞体4を膣の最奥部に突き当てたことを確認する確認ステップS9を有する。なお、本実施形態に係る光治療方法は確認ステップS9を有さない構成としてもよい。
【0070】
本実施形態に係る光治療方法は、図20にパターン(a)として示すように、挿入ステップS1、拡張ステップS5、回転ステップS2、照射ステップS3及び抜去ステップS4をこの順に行う構成としてもよい。
【0071】
本実施形態に係る光治療方法は、図20にパターン(b)として示すように、挿入ステップS1、回転ステップS2、拡張ステップS5、照射ステップS3及び抜去ステップS4をこの順に行う構成としてもよい。
【0072】
本実施形態に係る光治療方法は、図20にパターン(c)として示すように、回転ステップS2、挿入ステップS1、拡張ステップS5、照射ステップS3及び抜去ステップS4をこの順に行う構成としてもよい。
【0073】
本実施形態に係る光治療方法は、図20にパターン(d)として示すように、拡張ステップS5、挿入ステップS1、回転ステップS2、照射ステップS3及び抜去ステップS4をこの順に行う構成としてもよい。
【0074】
本実施形態に係る光治療方法は、図20にパターン(e)として示すように、拡張ステップS5、回転ステップS2、挿入ステップS1、照射ステップS3及び抜去ステップS4をこの順に行う構成としてもよい。
【0075】
本実施形態に係る光治療方法は、保護シースを体腔内から抜去するシース抜去ステップ(不図示)を有し、収縮形態のバルーンを保護シースで保護した状態で挿入ステップS1を行い、挿入ステップS1よりも後にシース抜去ステップを行い、シース抜去ステップよりも後に拡張ステップS5を行う構成としてもよい。
【0076】
本実施形態に係る光治療方法は、体腔内全体を照射ステップS3での出力よりも小さい出力の光で照射する全体照射ステップ(不図示)を有し、照射ステップS3よりも後に全体照射ステップを行う構成としてもよい。
【0077】
本実施形態に係る光治療方法は、バルーンが拡張したことを超音波を用いて確認する拡張確認ステップ(不図示)を有し、挿入ステップS1よりも後に拡張ステップS5を行い、拡張ステップS5よりも後に拡張確認ステップを行う構成としてもよい。
【0078】
本実施形態に係る光治療方法は、図21に示すように、照射ステップS3よりも後に体腔内の被照射範囲の位置を変更して光を再照射する再照射ステップS10を有する構成としてもよい。
【0079】
本実施形態に係る光治療方法は、囲繞体4を周方向に回転又は長手方向に移動(例えば奥側から手前側へ後退)させる位置変更ステップS11を有し、照射ステップS3よりも後で且つ再照射ステップS10よりも前に位置変更ステップS11を行う構成としてもよい。本実施形態に係る光治療方法は、バルーンを減圧又は収縮させる減圧/収縮ステップS13と、バルーンを加圧又は拡張させる加圧/拡張ステップS14と、を有し、照射ステップS3よりも後で且つ位置変更ステップS11よりも前に減圧/収縮ステップS13を行い、位置変更ステップS11よりも後で且つ再照射ステップS10よりも前に加圧/拡張ステップS14を行う構成としてもよい。
【0080】
本実施形態に係る光治療方法は、照射ステップS3よりも後に、位置変更ステップS11と再照射ステップS10をこの順に複数回繰り返す繰り返し照射ステップS12を有する構成としてもよい。繰り返し照射ステップS12は必要に応じて行えばよい。
【0081】
本実施形態に係る光治療方法は、(i)光治療装置1としての第1光治療装置1であって、第1発光体2aを配置される第1内部領域3を囲繞し第1長手方向と第1長手方向に延びる第1軸線Oとを規定する第1囲繞体4を有し、第1囲繞体4が、第1発光体2aから出射された第1光を第1内部領域3に向けて反射する第1反射体9と、第1反射体9がないことによって第1光を第1内部領域3の外側に向けて透過させる第1窓部10と、を有し、第1窓部10が、第1長手方向における第1囲繞体4の一方の端部4aに位置する第1窓部10の一方の端部10aから、第1囲繞体4のもう一方の端部4bに向けて延び、第1長手方向における第1窓部10のもう一方の端部10bが、第1軸線Oの周方向において、全周に亘らない限定された角度範囲に亘って設けられる、第1光治療装置1(例えば図11に示す光治療装置1)と、(ii)第2光治療装置であって、第2発光体を配置される第2内部領域を囲繞し第2長手方向と第2長手方向に延びる第2軸線とを規定する第2囲繞体を有し、第2囲繞体が、第2発光体から出射された第2光を第2内部領域に向けて反射する第2反射体と、第2反射体がないことによって第2光を第2内部領域の外側に向けて透過させる第2窓部と、を有し、第2窓部が、第2長手方向における第2囲繞体の両端部以外の部分に設けられる、第2光治療装置(例えば図12に示す光治療装置1)と、を用い、(iii)挿入ステップS1としての、第1囲繞体4を体腔内に挿入する第1光治療装置挿入ステップS1と、回転ステップS2としての、腫瘍の位置に合わせて第1囲繞体4を第1周方向に回転させる第1光治療装置回転ステップS2と、照射ステップS3としての、第1囲繞体4から第1窓部10を通して第1光を照射する第1光治療装置照射ステップS3と、抜去ステップS4としての、体腔から第1囲繞体4を抜去する第1光治療装置抜去ステップS4と、(iv)第2囲繞体を体腔内に挿入する第2光治療装置挿入ステップ(不図示)と、腫瘍の位置に合わせて第2囲繞体を第2周方向に回転させる第2光治療装置回転ステップ(不図示)と、第2囲繞体から第2窓部を通して第2光を照射する第2光治療装置照射ステップ(不図示)と、体腔から第2囲繞体を抜去する第2光治療装置抜去ステップ(不図示)と、を有する構成としてもよい。
【0082】
本実施形態に係る光治療方法は、第1光治療装置挿入ステップS1、第1光治療装置回転ステップS2、第1光治療装置照射ステップS3及び第1光治療装置抜去ステップS4よりも後に、第2光治療装置挿入ステップ、第2光治療装置回転ステップ、第2光治療装置照射ステップ及び第2光治療装置抜去ステップを行う構成としてもよい。本実施形態に係る光治療方法は、膣鏡又はその他の視認用器具16を体腔内に挿入する視認用器具挿入ステップ(不図示)を有し、第1光治療装置照射ステップS3よりも後で且つ第1光治療装置抜去ステップS4よりも前に、或いは、第1光治療装置抜去ステップS4よりも後で且つ第2光治療装置挿入ステップよりも前に、視認用器具挿入ステップを行う構成としてもよい。
【0083】
本実施形態に係る光治療方法は、第2光治療装置挿入ステップ、第2光治療装置回転ステップ、第2光治療装置照射ステップ及び第2光治療装置抜去ステップよりも後に、第1光治療装置挿入ステップS1、第1光治療装置回転ステップS2、第1光治療装置照射ステップS3及び第1光治療装置抜去ステップS4を行う構成としてもよい。本実施形態に係る光治療方法は、膣鏡又はその他の視認用器具16を体腔内に挿入する視認用器具挿入ステップ(不図示)を有し、第2光治療装置照射ステップよりも後で且つ第2光治療装置抜去ステップよりも前に、或いは、第2光治療装置抜去ステップよりも後で且つ第1光治療装置挿入ステップS1よりも前に、視認用器具挿入ステップを行う構成としてもよい。長手方向に長い(長手方向の窓部10の長さよりも長い)患部に対して照射する場合、第2光治療装置照射ステップでの照射は手元に近い部位に対して行い、第1光治療装置照射ステップS3は確認ステップS9で第1囲繞体4を膣の最奥部に突き当てたことを確認してから行ってもよい。
【0084】
本実施形態に係る光治療方法は、第2囲繞体としての第2バルーンを拡張させる第2光治療装置拡張ステップ(不図示)を有してもよい。本実施形態に係る光治療方法は、第2バルーンを収縮させる第2光治療装置収縮ステップ(不図示)を有し、第2光治療装置照射ステップよりも後で且つ第2光治療装置抜去ステップよりも前に第2光治療装置収縮ステップを行う構成としてもよい。
【0085】
本実施形態に係る光治療方法は、バルーン(囲繞体4)内の空気を、バルーンを拡張させるための流体としての生理食塩水などの液体に置換する液体置換ステップ(不図示)を有し、拡張ステップS5よりも前に液体置換ステップを行う構成としてもよい。
【0086】
本実施形態に係る光治療方法は、回転ステップS2によって囲繞体4の位置を決定した後に、照射ステップS3が終わるまで囲繞体4を決定した位置に固定する固定ステップ(不図示)を有する構成としてもよい。
【0087】
本実施形態に係る光治療方法は、患部が膣鏡の隙間から見えるように膣鏡を回転させる膣鏡回転ステップ(不図示)を有してもよい。回転ステップS2において、膣鏡の角度に合わせて囲繞体4を回転させてもよい。この場合、膣鏡の手元部に患部の角度を示すマーキングを行ってもよい。膣鏡のヒンジや把持部などの膣鏡の構造自体を囲繞体4を回転させる際の目印としてもよい。
【0088】
確認ステップS9において、超音波又は内視鏡を用いて、囲繞体4が膣の最奥部に突き当たっていることを確認してもよい。
【0089】
超音波、内視鏡、CT(Computed Tomography:コンピュータ断層撮影)又はMRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像)を用いて、照射範囲内に腫瘍が位置していることを確認してもよい。
【0090】
本開示は前述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0091】
したがって、前述した実施形態に係る光治療装置1は、発光体2aを配置される内部領域3を形成し長手方向と長手方向に延びる軸線Oとを規定する囲繞体4を有し、囲繞体4が、発光体2aから出射された光を内部領域3に向けて反射する反射体9と、反射体9がないことによって光を内部領域3の外側に向けて透過させる窓部10と、を有し、窓部10が、長手方向における囲繞体4の一方の端部に位置する窓部10の一方の端部から、囲繞体4のもう一方の端部に向けて延び、長手方向における窓部10のもう一方の端部が、軸線Oの周方向において、全周に亘らない限定された角度範囲に亘って設けられる、光治療装置1である限り、種々変更可能である。
【0092】
例えば、光治療装置1は、発光体2aが囲繞体4の内部領域3において軸線O上に配置される構成に限らない。発光体2aは、軸心の周方向の全域に向けて光を出射可能である構成に限らず、例えば、軸心の周方向の一部の領域のみに向けて光を出射可能な構成としてもよい。光治療装置1は、発光体2aを光ルーメン5内での移動によって囲繞体4の内部領域3に導入可能な構成に限らず、例えば、発光体2aを囲繞体4の内部領域3に内蔵した構成としてもよい。
【0093】
なお、前述した実施形態に係る光治療装置1は、窓部10の前記一方の端部の極端10cが、囲繞体4の前記一方の端部の極端4cに位置する、光治療装置1であることが好ましい。
【0094】
前述した実施形態に係る光治療装置1は、発光体2aの移動経路となるルーメン5を有する、光治療装置1であることが好ましい。
【0095】
前述した実施形態に係る光治療装置1は、発光体2aが、発光体2aの移動経路となるルーメン5内で囲繞体4の前記もう一方の端部を通って内部領域3に導入される、光治療装置1であることが好ましい。
【0096】
前述した実施形態に係る光治療装置1は、窓部10の前記もう一方の端部が長手方向に対して垂直に直線によって規定される、光治療装置1であることが好ましい。
【0097】
前述した実施形態に係る光治療装置1は、囲繞体4が、発光体2aから出射されて囲繞体4を透過した後に囲繞体4に外側から入射する光を少なくとも部分的に吸収する吸収体14を有する、光治療装置1であることが好ましい。
【0098】
前述した実施形態に係る光治療装置1は、囲繞体4の前記もう一方の端部が、周方向における窓部10の向きを示す標識体15を有する、光治療装置1であることが好ましい。
【0099】
前述した実施形態に係る光治療装置1は、記囲繞体4が、収縮形態から拡張形態に変形可能なバルーンである、光治療装置1であることが好ましい。
【0100】
前述した実施形態に係る光治療装置1は、囲繞体4を収縮形態から拡張形態に変形させる流体の移動経路となるルーメン6を有する、光治療装置1であることが好ましい。
【0101】
前述した実施形態に係る光治療装置1は、流体が、流体の移動経路となるルーメン6内で囲繞体4の前記もう一方の端部を通って内部領域3に導入される、光治療装置1であることが好ましい。
【0102】
前述した実施形態に係る光治療装置1は、前述した一実施形態に係る光治療方法に用いることが好ましい。
【符号の説明】
【0103】
1 光治療装置
2 発光装置
2a 発光体
2b 導光部
3 内部領域
4 囲繞体
4a 遠位端部
4b 近位端部
4c 遠位端部の極端
4d 近位端部の極端
5 ルーメン(光ルーメン)
6 ルーメン(流体ルーメン)
7 本体部
7a 周壁
7b 端部壁
8 襞
9 反射体
10 窓部
10a 遠位端部
10b 近位端部
10c 遠位端部の極端
10d 近位端部の極端
11 チューブ(光チューブ)
12 閉塞部材
13 チューブ(流体チューブ)
14 吸収体
15 標識体
16 視認用器具
O 軸線
S1 挿入ステップ
S2 回転ステップ
S3 照射ステップ
S4 抜去ステップ
S5 拡張ステップ
S6 収縮ステップ
S7 視認ステップ
S8 視認用器具抜去ステップ
S9 確認ステップ
S10 再照射ステップ
S11 位置変更ステップ
S12 繰り返し照射ステップ
S13 減圧/収縮ステップ
S14 加圧/拡張ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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