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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052344
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】光治療装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/067 20060101AFI20240404BHJP
   A61M 25/10 20130101ALI20240404BHJP
【FI】
A61N5/067
A61M25/10 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159003
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】518055877
【氏名又は名称】ラクテン・メディカル,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100149249
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】藤間 大貴
(72)【発明者】
【氏名】末原 達
【テーマコード(参考)】
4C082
4C267
【Fターム(参考)】
4C082PG13
4C082PL03
4C082RA02
4C082RE17
4C082RE36
4C267AA06
4C267BB29
4C267BB47
4C267BB63
4C267CC25
4C267DD04
(57)【要約】
【課題】例えば婦人科がんを治療する場合に、子宮口付近に光を照射すると同時に膣壁には周方向に限定的に光を照射でき、照射範囲内での照射ムラを抑制できる光治療装置を提供する。
【解決手段】長手方向と前記長手方向に延びる中心軸線とを規定し前記中心軸線の径方向に光を出射する発光体と、前記発光体を配置される内部空間を形成する中空体と、を有し、前記発光体が、前記中空体の軸心上に配置され、前記中空体が、前記光を前記内部空間に向けて反射する反射体と、前記反射体がないことによって前記光を前記内部空間の外側に向けて透過させる窓部と、を有し、前記窓部が、前記軸心に沿う軸方向における前記中空体の一方の端部の側に位置する前記窓部の一方の端部から、前記中空体のもう一方の端部に向けて延び、前記軸方向における前記窓部のもう一方の端部が、前記軸心の周方向において、全周に亘らない限定された角度範囲に亘って設けられ、前記発光体が、前記径方向に見て前記窓部に重ならないように配置される、光治療装置。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向と前記長手方向に延びる中心軸線とを規定し前記中心軸線の径方向に光を出射する発光体と、
前記発光体を配置される内部空間を形成する中空体と、を有し、
前記発光体が、前記中空体の軸心上に配置され、
前記中空体が、前記光を前記内部空間に向けて反射する反射体と、前記反射体がないことによって前記光を前記内部空間の外側に向けて透過させる窓部と、を有し、
前記窓部が、前記軸心に沿う軸方向における前記中空体の一方の端部の側に位置する前記窓部の一方の端部から、前記中空体のもう一方の端部に向けて延び、
前記軸方向における前記窓部のもう一方の端部が、前記軸心の周方向において、全周に亘らない限定された角度範囲に亘って設けられ、
前記発光体が、前記径方向に見て前記窓部に重ならないように配置される、光治療装置。
【請求項2】
前記窓部の前記一方の端部が、前記中空体の前記一方の端部に位置する、請求項1に記載の光治療装置。
【請求項3】
前記発光体の移動経路となるルーメンを有する、請求項1に記載の光治療装置。
【請求項4】
前記発光体が、前記発光体の移動経路となる前記ルーメン内で前記中空体の前記もう一方の端部を通って前記内部空間に導入される、請求項3に記載の光治療装置。
【請求項5】
前記発光体の移動経路となる前記ルーメンを形成するチューブを有し、前記チューブが、前記発光体を配置すべき位置を示すマーカーを有する、請求項3に記載の光治療装置。
【請求項6】
前記発光体の移動経路となる前記ルーメン内での前記発光体の導入方向の移動を前記発光体を配置すべき位置で規制するストッパ部を有する、請求項3に記載の光治療装置。
【請求項7】
前記窓部の前記一方の端部の極端が、前記中空体の前記一方の端部の極端に位置する、請求項1に記載の光治療装置。
【請求項8】
前記中空体が、収縮形態から展開形態に変形可能なバルーンである、請求項1に記載の光治療装置。
【請求項9】
前記中空体を前記収縮形態から前記展開形態に変形させる流体の移動経路となるルーメンを有する、請求項8に記載の光治療装置。
【請求項10】
前記流体が、前記流体の移動経路となる前記ルーメン内で前記中空体の前記もう一方の端部を通って前記内部空間に導入される、請求項9に記載の光治療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は光治療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
治療用の光を異常組織に照射するために用いられる光治療装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4122323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光治療装置は光を異常組織にはできるだけ均一に照射でき、正常組織にはできるだけ照射しないことが望ましい。
【0005】
本開示は、例えば婦人科がんを治療する場合に、子宮口付近に光を照射すると同時に膣壁には周方向に限定的に光を照射でき、照射範囲内での照射ムラを抑制できる光治療装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は以下のとおりである。
【0007】
[1]
長手方向と前記長手方向に延びる中心軸線とを規定し前記中心軸線の径方向に光を出射する発光体と、
前記発光体を配置される内部空間を形成する中空体と、を有し、
前記発光体が、前記中空体の軸心上に配置され、
前記中空体が、前記光を前記内部空間に向けて反射する反射体と、前記反射体がないことによって前記光を前記内部空間の外側に向けて透過させる窓部と、を有し、
前記窓部が、前記軸心に沿う軸方向における前記中空体の一方の端部の側に位置する前記窓部の一方の端部から、前記中空体のもう一方の端部に向けて延び、
前記軸方向における前記窓部のもう一方の端部が、前記軸心の周方向において、全周に亘らない限定された角度範囲に亘って設けられ、
前記発光体が、前記径方向に見て前記窓部に重ならないように配置される、光治療装置。
【0008】
[2]
前記窓部の前記一方の端部が、前記中空体の前記一方の端部に位置する、[1]に記載の光治療装置。
【0009】
[3]
前記発光体の移動経路となるルーメンを有する、[1]又は[2]に記載の光治療装置。
【0010】
[4]
前記発光体が、前記発光体の移動経路となる前記ルーメン内で前記中空体の前記もう一方の端部を通って前記内部空間に導入される、[3]に記載の光治療装置。
【0011】
[5]
前記発光体の移動経路となる前記ルーメンを形成するチューブを有し、前記チューブが、前記発光体を配置すべき位置を示すマーカーを有する、[3]又は[4]に記載の光治療装置。
【0012】
[6]
前記発光体の移動経路となる前記ルーメン内での前記発光体の導入方向の移動を前記発光体を配置すべき位置で規制するストッパ部を有する、[3]又は[4]に記載の光治療装置。
【0013】
[7]
前記窓部の前記一方の端部の極端が、前記中空体の前記一方の端部の極端に位置する、[1]~[6]の何れか1項に記載の光治療装置。
【0014】
[8]
前記中空体が、収縮形態から展開形態に変形可能なバルーンである、[1]~[7]の何れか1項に記載の光治療装置。
【0015】
[9]
前記中空体を前記収縮形態から前記展開形態に変形させる流体の移動経路となるルーメンを有する、[8]に記載の光治療装置。
【0016】
[10]
前記流体が、前記流体の移動経路となる前記ルーメン内で前記中空体の前記もう一方の端部を通って前記内部空間に導入される、[9]に記載の光治療装置。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、例えば婦人科がんを治療する場合に、子宮口付近に光を照射すると同時に膣壁には周方向に限定的に光を照射でき、照射範囲内での照射ムラを抑制できる光治療装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施形態に係る光治療装置の展開形態での斜視図である。
図2図1に示す光治療装置の径方向から見た平面図である。
図3図1に示す光治療装置の長手方向から見た平面図である。
図4図3のA-A断面図である。
図5図1に示す光治療装置の収縮形態での径方向から見た平面図である。
図6図1に示す光治療装置の収縮形態での長手方向から見た平面図である。
図7】ストッパ部の一例を示す断面図である。
図8】ストッパ部の一例を示す断面図である。
図9】第2実施形態に係る光治療装置の斜視図である。
図10図9に示す光治療装置の径方向から見た平面図である。
図11図10と周方向に90°異なる角度から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本開示の実施形態を詳細に例示説明する。
【0020】
図1図6に示す本開示の一実施形態に係る光治療装置1は、光免疫療法(photoimmunotherapy:PIT)、光線力学療法(photodynamic therapy:PDT)などの光治療法において、治療用の光を異常組織に照射するために用いられる。光は例えばレーザ光である。
【0021】
光治療装置1は、長手方向と長手方向に延びる中心軸線Oとを規定する発光体2aを有する発光装置2と、発光体2aを配置される内部空間3を形成し中空体4と、発光体2aの移動経路となるルーメン5(以下、光ルーメン5ともいう)と、を有する。
【0022】
発光体2aは所定方向に細長く、所定方向として長手方向を規定する。なお、中心軸線Oに垂直な直線に沿う方向を中心軸線Oの径方向、又は単に径方向ともいい、中心軸線Oを周回する方向を中心軸線Oの周方向、又は単に周方向ともいう。
【0023】
中空体4は、軸心Pに沿って細長く、軸心Pに沿う方向(以下、軸方向ともいう)の両端部が閉塞した筒状をなす。発光体2aは内部空間3において中空体4の軸心P上に配置され、好ましくは発光体2aの軸方向の全長に亘る部分が軸心P上に配置され、より好ましくは軸心Pに一致するように配置される。
【0024】
中空体4は、図5図6に示す収縮形態から図1図4に示す展開形態に変形可能なバルーンであり、光治療装置1は、バルーンを収縮形態から展開形態に変形させる流体の移動経路となるルーメン6(以下、流体ルーメン6ともいう)をさらに有する。中空体4は、流体ルーメン6内を移動して内部空間3内に入る流体の圧力によって収縮形態から展開形態に変形することができる。中空体4(バルーン)は、流体以外の手段によって収縮形態から展開形態に変形可能な構成としてもよい。
【0025】
中空体4は、展開形態において、軸心Pを中心とし軸方向の両端部が閉塞した円筒状をなす。より具体的には、中空体4は、展開形態で円筒状をなす周壁7aと、周壁7aの一方の端部に連なり展開形態で軸方向の外側に突出する凸曲面状をなす一方の端部壁7bと、周壁7aのもう一方の端部に連なり展開形態で軸方向の外側に突出する凸曲面状をなすもう一方の端部壁7bと、を有する。
【0026】
中空体4は、両方又はいずれか一方の端部壁7bが展開形態で凸曲面状以外の凸状をなす構成としてもよい。中空体4は、周壁7aが展開形態で楕円筒状など、円筒状以外の筒状をなす構成としてもよい。つまり中空体4は、展開形態において軸心Pを中心とし軸方向の両端部が閉塞した、円筒状以外の筒状をなす構成としてもよい。
【0027】
収縮形態は、展開形態から内部空間3が縮小するように中空体4が所定形状に畳まれた形態である。所定形状は、複数の襞8が周方向に並ぶように形成された形状であってもよく、例えば図5図6に示すように4つの襞8が形成された形状であってもよい。
【0028】
中空体4は、収縮形態から展開形態に変形可能なバルーンである構成に限らず、例えば、常に上記の展開形態に相当する形態をなす構成としてもよい。
【0029】
図4に示すように、発光装置2は、光源(不図示)と、光源から出射された光を発光体2aまで伝える長尺状の導光部2bと、をさらに有する。導光部2bは例えば光ファイバなどの導光体で構成され、一方の端部において光源に連なり、もう一方の端部において発光体2aに連なる。また導光部2bは、導光体に連なり光源に着脱可能な光コネクタを有してもよい。
【0030】
発光体2aは、中心軸線Oに沿って長尺状に延び、光源から導光部2bを介して伝わる光を長手方向の所定幅に亘る部分から径方向に出射可能に構成される。より具体的には、発光体2aは、周方向の全域に向けて光を出射可能である。
【0031】
中空体4は、発光体2aから出射された光を内部空間3に向けて反射する反射体9と、反射体9がないことによって光を内部空間3の外側に向けて透過させる窓部10と、を有する。より具体的には、中空体4は、周壁7aと2つの端部壁7bとを有する本体部7と、本体部7の外面の一部を被覆する反射体9と、を有し、本体部7における反射体9に被覆されない部分で窓部10が構成される。本体部7は光透過性材料で形成され、反射体9は光反射性材料で形成される。本体部7は例えば樹脂材料で形成することができ、なかでもポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン又はナイロンなどで形成することが好ましい。反射体9によれば、発光体2aから出射された光を集めて窓部10を通して限定された範囲に効率的に照射することができる。
【0032】
反射体9の形成方法は特に限定されず、例えば本体部7への塗布によって形成することができる。塗布方法は特に限定されず、例えば、ディッピング法、スプレーコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法などを用いることができる。なお、反射体9は本体部7の外面の一部を被覆する構成に限らず、例えば、本体部7の内面の一部を被覆する構成としてもよい。
【0033】
窓部10は、軸方向における中空体4の一方の端部(以下、遠位端部4aともいう)に位置する窓部10の一方の端部(以下、遠位端部10aともいう)から、中空体4のもう一方の端部(以下、近位端部4bともいう)に向けて延びる。また、窓部10の遠位端部10aの極端10cは、中空体4の遠位端部4aの極端4cに位置する。つまり、窓部10は、軸方向に見た時の中空体4の中心を含む領域に設けられる。
【0034】
また、軸方向における窓部10のもう一方の端部(以下、近位端部10bともいう)は、軸心Pの周方向において、全周に亘らない限定された角度範囲に亘って設けられる。つまり、窓部10の近位端部10bは軸心Pの周方向の一部のみに設けられる。窓部10が設けられる角度範囲は、窓部10の遠位端部10aから近位端部10bに向かうにつれて徐々に狭くなるように設定される。また、窓部10の近位端部10bの極端10dは周壁7aに位置する。より具体的には、窓部10の近位端部10bの極端10dは、軸方向における中空体4の中心よりも近位端側に位置する。極端10cでの軸心Pの周方向の角度範囲は、180~360度、より具体的には360度が好ましく、遠位端部10aの極端10c近傍での軸心Pの周方向の角度範囲は、180~360度、より具体的には360度が好ましく、遠位端部10a近傍から極端10dに至る範囲のうち凸曲面状をなす先端側の端部壁7bに位置する部分における軸心Pの周方向の角度範囲は、45度~360度、より具体的には60~360度、好ましくは90~360度であり、極端10dでの軸心Pの周方向の角度範囲は、45~180度、より具体的には60~120度、好ましくは90度である。
【0035】
発光体2aは、光ルーメン5内で中空体4の近位端部4bの極端4dを通って内部空間3に導入される。光ルーメン5は軸心Pと同軸に配置されるチューブ11(以下、光チューブ11ともいう)によって形成され、光チューブ11は中空体4の近位端部4bと遠位端部4aを通る。より具体的には、光チューブ11は中空体4の近位端部4bにおいて端部壁7bに接着され、中空体4の遠位端部4aにおいて端部壁7bに接着される。また光チューブ11は中空体4の遠位端部4aにおいて閉塞部材12によって閉塞される。光チューブ11は光透過性を有する。
【0036】
本実施形態では、発光体2aは、内部空間3内で、発光体2aが径方向に見て窓部10に重ならない所定位置に配置される。つまり、発光体2aが上記所定位置に配置された時、長手方向において、発光体2aの遠位端2c(つまり、軸方向において中空体4の近位端部4bから遠位端部4aに向かう側の極端)が窓部10の近位端部10bの極端10dよりも距離L(ただしL≧0)だけ中空体4の近位端部4bの側に引っ込んだ状態となる。
【0037】
窓部10が、中空体4の遠位端部4aに位置する窓部10の遠位端部10aから、中空体4の近位端部4bに向けて延び、窓部10の近位端部10bが軸心Pの周方向において全周に亘らない限定された角度範囲に亘って設けられる場合には、発光体2aを径方向に見て窓部10に重ならないように上記所定位置に配置することにより、窓部10を通した中空体4の外部への光の照射ムラを抑制することができる。
【0038】
発光体2aを上記所定位置に容易に配置できるようにするために、光チューブ11は、発光体2aを上記所定位置に配置するための目印となるX線不透過性を有する造影マーカーなどのマーカー13を有する。図示の例では、発光体2aは発光体2aの遠位端2cがマーカー13に一致するように配置される。
【0039】
あるいは光チューブ11は、図7図8に示すように、光ルーメン5内での発光体2aの導入方向の移動を上記所定位置で発光体2a(例えば遠位端2c)に突き当たることで規制するストッパ部14を有してもよい。ストッパ部14は、図7に示すように、光チューブ11に設ける縮径部14aで構成してもよいし、図8に示すように、光チューブ11内に配置する部材14bで構成してもよい。
【0040】
また本実施形態では、発光体2aが上記所定位置に配置された時、長手方向において、発光体2aの近位端2d(つまり、軸方向において中空体4の遠位端部4aから近位端部4bに向かう側の極端)が内部空間3の近位端3aに位置する状態となる。このような構成によれば、効率的な光の照射が可能となる。
【0041】
流体は、中空体4を収縮形態から展開形態に変形させるために流体ルーメン6内で中空体4の近位端部4bを通って内部空間3に導入される。流体ルーメン6は光チューブ11に隣接して並列に配置されるチューブ15(以下、流体チューブ15ともいう)によって形成され、流体チューブ15は中空体4の近位端部4bを通る。より具体的には、流体チューブ15は中空体4の近位端部4bにおいて端部壁7bに接着される。また流体チューブ15は内部空間3内で開口する。
【0042】
流体ルーメン6は光ルーメン5に並列に設けられる構成に限らず、例えば、光ルーメン5と同軸に光ルーメン5の径方向外側に設けられる構成としてもよいし、流体ルーメン6としても光ルーメン5としても利用可能な共用のルーメンで構成してもよい。
【0043】
本実施形態の光治療装置1によれば、例えば婦人科がんを治療する場合に、子宮口の手前で中空体4を収縮形態から展開形態に変形させて、子宮口付近に窓部10の遠位端部10aから広く光を照射すると同時に、膣壁には窓部10の残りの部分から周方向に限定的に光を照射することができる。したがって、膣壁の正常部位への光の照射を抑制しながら、異常部位の治療を行うことができる。またその際、子宮口付近から膣壁の異常部位に跨る領域に照射ムラを抑制しながら光を照射することができる。このような光治療装置1によれば、婦人科がんの一定のケースで安全に治療することができる。
【0044】
窓部10は、図9図11に示す第2実施形態のように、窓部10の近位端部10bの極端10dが周方向に沿って延びる構成としてもよい。なおこの場合も、発光体2aは径方向に見て窓部10に重ならないように上記所定位置に配置される。このような構成によれば、窓部10の近位端部10bの極端10dにおいて周方向に一定の幅をもって光を照射することができ、またその際、子宮口付近から膣壁の異常部位に跨る領域に照射ムラを抑制しながら光を照射することができるので、婦人科がんの一定のケースで効率的な光の照射を可能にすることができる。
【0045】
本開示は前述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0046】
したがって、前述した実施形態に係る光治療装置1は、長手方向と長手方向に延びる中心軸線Oとを規定し中心軸線Oの径方向に光を出射する発光体2aと、発光体2aを配置される内部空間3を形成する中空体4と、を有し、発光体2aが、中空体4の軸心P上に配置され、中空体4が、光を内部空間3に向けて反射する反射体9と、反射体9がないことによって光を内部空間3の外側に向けて透過させる窓部10と、を有し、窓部10が、軸心Pに沿う軸方向における中空体4の一方の端部の側に位置する窓部10の一方の端部から、中空体4のもう一方の端部に向けて延び、軸方向における窓部10のもう一方の端部が、軸心Pの周方向において、全周に亘らない限定された角度範囲に亘って設けられ、発光体2aが、径方向に見て窓部10に重ならないように配置される、光治療装置1である限り、種々変更可能である。
【0047】
例えば、発光体2aは、周方向の全域に向けて光を出射可能である構成に限らず、例えば、周方向の一部の領域のみに向けて光を出射可能な構成としてもよい。光治療装置1は、発光体2aが上記所定位置に配置された時、長手方向において、発光体2aの近位端2dが内部空間3の近位端3aに位置する構成に限らない。光治療装置1は、発光体2aを光ルーメン5内での移動によって中空体4の内部空間3内の上記所定位置に導入可能な構成に限らず、例えば、発光体2aを中空体4の内部空間3内の上記所定位置に内蔵した構成としてもよい。窓部10の近位端部10bの極端10dが軸方向における中空体4の中心よりも遠位端側に位置する構成としてもよい。窓部10は、窓部10の遠位端部10aが中空体4の遠位端部4aに位置する構成に限らず、窓部10の遠位端部10aが中空体4の遠位端部4aよりも近位側に位置する構成としてもよい。
【0048】
なお、前述した実施形態に係る光治療装置1は、窓部10の前記一方の端部が、中空体4の前記一方の端部に位置する、光治療装置1であることが好ましい。
【0049】
前述した実施形態に係る光治療装置1は、発光体2aの移動経路となるルーメン5を有する、光治療装置1であることが好ましい。
【0050】
前述した実施形態に係る光治療装置1は、発光体2aが、発光体2aの移動経路となるルーメン5内で中空体4の前記もう一方の端部を通って内部空間3に導入される、光治療装置1であることが好ましい。
【0051】
前述した実施形態に係る光治療装置1は、発光体2aの移動経路となるルーメン5を形成するチューブ11を有し、チューブ11が、発光体2aを配置すべき位置を示すマーカー13を有する、光治療装置1であることが好ましい。
【0052】
前述した実施形態に係る光治療装置1は、発光体2aの移動経路となるルーメン5内での発光体2aの導入方向の移動を発光体2aを配置すべき位置で規制するストッパ部14を有する、光治療装置1であることが好ましい。
【0053】
前述した実施形態に係る光治療装置1は、窓部10の前記一方の端部の極端10cが、中空体4の前記一方の端部の極端4cに位置する、光治療装置1であることが好ましい。
【0054】
前述した実施形態に係る光治療装置1は、中空体4が、収縮形態から展開形態に変形可能なバルーンである、光治療装置1であることが好ましい。
【0055】
前述した実施形態に係る光治療装置1は、中空体4を収縮形態から展開形態に変形させる流体の移動経路となるルーメン6を有する、光治療装置1であることが好ましい。
【0056】
前述した実施形態に係る光治療装置1は、流体が、流体の移動経路となるルーメン6内で中空体4の前記もう一方の端部を通って内部空間3に導入される、光治療装置1であることが好ましい。
【符号の説明】
【0057】
1 光治療装置
2 発光装置
2a 発光体
2b 導光部
2c 遠位端
2d 近位端
3 内部空間
3a 近位端
4 中空体
4a 遠位端部
4b 近位端部
4c 遠位端部の極端
4d 近位端部の極端
5 ルーメン(光ルーメン)
6 ルーメン(流体ルーメン)
7 本体部
7a 周壁
7b 端部壁
8 襞
9 反射体
10 窓部
10a 遠位端部
10b 近位端部
10c 遠位端部の極端
10d 近位端部の極端
11 チューブ(光チューブ)
12 閉塞部材
13 マーカー
14 ストッパ部
14a 縮径部
14b 部材
15 チューブ(流体チューブ)
L 距離
O 中心軸線
P 軸心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11