(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052427
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】システム及びプログラム等
(51)【国際特許分類】
A61J 7/04 20060101AFI20240404BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
A61J7/04 B
G08B25/04 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159129
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】391001848
【氏名又は名称】株式会社ユピテル
(74)【代理人】
【識別番号】100092598
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 伸一
(72)【発明者】
【氏名】豊辻 大士
【テーマコード(参考)】
4C047
5C087
【Fターム(参考)】
4C047NN02
4C047NN09
4C047NN10
4C047NN11
4C047NN20
5C087AA11
5C087AA19
5C087AA21
5C087AA32
5C087AA37
5C087DD03
5C087FF01
5C087FF02
5C087GG08
5C087GG09
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG83
5C087GG84
(57)【要約】
【課題】従来の問題を低減させること
【解決手段】 キャラクターを表示(例えば外観形状で表現)する情報処理装置1は、周辺にいる人(見守りの対象TW)に対して、所定の入力に応じた出力を、キャラクターを利用して行う。キャラクターを表示することで、周辺にいる人は、システムに愛着や親しみを感じやすくなる効果が期待でき、キャラクターを利用した所定の出力を受け入れるやすくなる効果が期待できる。情報処理装置は、人の健康又は安全な暮らしを支援する機能を備え、システムを使用する人の健康又は安全な暮らしが支援できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャラクターを表示するシステムであって、
所定の入力を受け付ける受付部と、
その受け付けた前記所定の入力に応じて、前記キャラクターを利用した所定の出力を行う所定の機能を備える
システム。
【請求項2】
前記所定の機能は、人の健康又は安全な暮らしを支援する機能を有する請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
登録したスケジュールを報知するカレンダー機能を備え、
そのカレンダー機能と前記人の健康又は安全な暮らしを支援する機能が連携して動作する請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記人の健康又は安全な暮らしを支援する機能は、前記スケジュールに基づきユーザの健康のための健康情報を報知する請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記カレンダー機能は、ユーザが決まったタイミングで行う行為についてそのタイミングを特定する情報とともに登録する機能を備え、
前記人の健康又は安全な暮らしを支援する機能は、登録されたタイミングに基づき、前記行為を促す報知をする
請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
周囲を撮影する撮影部を備え、
前記人の健康又は安全な暮らしを支援する機能は、設定した日時に前記撮影部で撮影した画像を記憶部に記憶する
請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
本体の周辺の動体を検知する動体検知部を備え、
前記人の健康又は安全な暮らしを支援する機能は、登録されたスケジュール情報に基づき、前記動体を検知するモードとして第1のモード及び第2のモードのいずれかに設定する
請求項3に記載のシステム。
【請求項8】
人を検知する人検知部を備え、
前記カレンダー機能は、登録されたスケジュール情報が外出予定のときの前記人検知部の検知結果に基づき所定の報知を行う
請求項3に記載のシステム。
【請求項9】
本体を構成する第1の筐体と、その第1の筐体と別体の第2の筐体を備え、
前記第1の筐体は、前記所定の機能と、人を検知する第1の人検知部を備え、
前記第2の筐体は、人を検知する第2の人検知部を備え、
使用状態では前記第1の筐体と前記第2の筐体を離れた位置に設置し、前記第1の人検知部と前記第2の人検知部は異なるエリアを検知するようにし、
前記所定の機能は、前記第1の人検知部の検知結果と前記第2の人検知部の検知結果を取得し、その取得した情報に基づき所定の出力を行う
請求項2に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1の筐体と、前記第2の筐体は、同種のキャラクターの外観を有する
請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
外部電源から電力供給を受けて動作するシステムであって、
撮影部と、
前記撮影部が撮影した撮影画像を記録部に記録する処理部と、
電源断の場合に前記撮影部と前記処理部に電源供給する補助電源とを備え、
空間領域を防犯目的で確認するための防犯モードで動作中に電源を切られた場合、前記補助電源からの電源供給により画像を記録する
請求項2に記載のシステム。
【請求項12】
電源供給のオンオフを制御する操作部を有し、
前記防犯モードで動作中は、前記操作部の操作を無効にする
請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
本体の周辺の動体を検知する動体検知部と、
前記所定の機能としての防犯機能を備え、
前記防犯機能は、前記防犯モードの動作中の前記動体検知部からの検知出力に基づき、侵入者に対するメッセージを報知する
請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記侵入者を特定する侵入者情報を取得する情報取得部を備え、
前記防犯機能は、前記防犯モードの動作中の前記動体検知部の検知出力に基づき、前記侵入者を呼び寄せる報知を行い、
前記情報取得部が、その呼び寄せた前記侵入者から前記侵入者情報を取得する請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記情報取得部は、前記侵入者を撮影する第2の撮影部であり、
前記防犯機能は、前記第2の撮影部で撮影した画像を記憶する
請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記情報取得部は、表示画面に配置した指紋採取部であり、
前記防犯機能は、前記表示画面に、前記指紋採取部に前記侵入者がタッチするのを促す表示を行う
請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
ユーザにアクションを促す報知を行う報知部と、
前記ユーザのアクションの有無に基づき見守り情報を遠隔地にいる別のユーザに通知する通知部を備える
請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
伝言する音声を記憶する音声記憶部と、
前記所定の機能として、伝言機能を備え、
前記伝言機能は、人を検知すると、前記音声記憶部に記憶された音声に基づく音声情報を出力する
請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記伝言機能は、人を検知すると前記音声が記憶されていることを通知し、伝言再生条件を満たした場合に前記音声情報を出力する
請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記伝言機能は、前記記憶された音声を前記キャラクターの声で発話する
請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
前記キャラクターの映像を表示する表示部と、
前記表示部に表示された前記キャラクターの所定部位をユーザがタッチしたことを検知するタッチセンサと、
前記所定の機能としてエクササイズ機能を備え、
前記エクササイズ機能は、前記キャラクターがエクササイズの見本の動きをする映像を前記表示部に出力し、前記ユーザがエクササイズを行うのを促す前記キャラクターの所定部位を報知し、前記タッチセンサで所定部位をタッチしたことを確認する
請求項18に記載のシステム。
【請求項22】
請求項1から21のいずれか1項に記載のシステムの機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システム及びプログラム等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カメラ等を用いて、自宅や公共の場所等の空間領域の状況を確認できるようにしたシステムが知られている。例えば特許文献1には、施設の入居者及びスタッフの居室にセンサーボックスを設置した見守りシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的の一つは、従来の課題を解決することである。
【0005】
本願の発明の目的はこれに限定されず、本明細書及び図面等に開示される構成の部分から奏する効果を得ることを目的とする構成についても分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。例えば本明細書において「~できる」と記載した箇所を「~が課題である」と読み替えた課題が本明細書には開示されている。課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、この課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。課題が明細書の記載から黙字的に把握されるものであっても、本出願人は本明細書に記載の構成の一部を補正又は分割出願にて特許請求の範囲とする意思を有する。またこれら独立の課題を組み合わせた課題も開示されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)キャラクターを表示するシステムであって、所定の入力を受け付ける受付部と、その受け付けた前記所定の入力に応じて、前記キャラクターを利用した所定の出力を行う所定の機能を備えるシステムが提供されるとよい。
【0007】
このようにすると、キャラクターを表示するシステムに対する入力に応じて、キャラクターを利用した出力により所定の機能を実現することができる。
【0008】
キャラクターの表示は、例えば映像、描画、形状などにより表現するとよく、例えば、所定のディスプレイ等の表示部にキャラクターの映像を出力することで表現し、周囲の人に見える状態でキャラクターを描いた絵などで表現し、外観形状でキャラクターを表現するものなどとするとよい。所定の入力を受け付ける受付部は、例えば、周囲の映像や音を受け付けるもの、人や動体を検知するもの、人の動作等を検出するものなど各種のものなど、何らかの入力を受け付けるものとするとよい。システムは、例えば、単一或いは複数の装置・電子機器から構成するとよい。
【0009】
(2)前記所定の機能は、人の健康又は安全な暮らしを支援する機能を有するとよい。このようにすると、ユーザはキャラクターを通じて、システムを使用する人の健康又は安全な暮らしを支援する機能に接することができる。人としては、当該人の健康又は安全な暮らしを支援する機能に接することのできる人であるが、情報処理装置のユーザとすると特に良い。情報処理装置のユーザとしては、情報処理装置により状況が確認される対象とすると特に良い。人の健康又は安全な暮らしを支援する機能としては、人の健康又は安全な暮らしを支援するための情報を出力する機能を有するとよい。このような情報は、人の健康又は安全な暮らしに直接的または間接的に資する情報を出力であると特に良い。このような情報は、情報処理装置から出力され、又は情報処理装置が通信可能な他の装置から出力され、健康又は安全な暮らしを支援する機能に接することのできる人向けに出力されると特に良い。
【0010】
この支援は、キャラクターを使って、また、キャラクターを使った演出により実行されることで、愛着や親しみを感じやすくなる効果が期待できる。人の健康又は安全な暮らしを支援する機能は、例えば、見守りを行う機能等が含まれる。また、安全な暮らしを支援する機能は、例えば防犯目的の機能などが含まれる。見守りは、例えばそのシステムを設置した場所で利用する人等の見守りの対象をシステム自体が見守る場合、システムの設置した場所から離れた地点にいる別の人が通信に利用してシステムにアクセスし、システムを設置した場所にいる人等の見守りの対象を見守る場合などがある。
【0011】
(3)登録したスケジュールを報知するカレンダー機能を備え、そのカレンダー機能と前記人の健康又は安全な暮らしを支援する機能が連携して動作するとよい。
【0012】
このようにすると、カレンダー機能と連携して人の健康又は安全な暮らしを支援することができる。例えば、登録したスケジュールに基づき、ユーザの活動予定等に応じた適切な支援を行うことができる。
【0013】
(4)前記人の健康又は安全な暮らしを支援する機能は、前記スケジュールに基づきユーザの健康のための健康情報を報知するとよい。
【0014】
このようにすると、ユーザはスケジュールに基づき健康情報を知ることができ、健康又は安全な暮らしが支援できる。報知タイミングのもとになるスケジュールは、例えば、毎日何時、毎週○曜日の何時のように定期的に実行するものや、特定の日時のように不定期的に実行するものなどとするとよい。健康情報は、例えば、病気その他の体調が悪い場合に元の健康な状態に戻すための情報や、健康を維持するための情報や、体力向上・免疫力向上などしてより健康になるための情報などとするとよい。
【0015】
(5)前記カレンダー機能は、ユーザが決まったタイミングで行う行為についてそのタイミングを特定する情報とともに登録する機能を備え、前記人の健康又は安全な暮らしを支援する機能は、登録されたタイミングに基づき、前記行為を促す報知をするとよい。
【0016】
このようにすると、登録されたタイミングに合わせて行為を促す報知が行われ、タイミングが決まっているユーザの行為をリマイドすることができる。報知を受けたユーザは、行為を行うタイミングであることを知ることができ、所定のタイミングで忘れずに所定の行為を行うことができる。決まったタイミングで行う行為は、例えば、定期的に行われる医薬品・医薬部外品(薬事法適用)を服用する行為や、例えば健康補助食品、栄養補助食品等と称されるサプリメントを摂取する行為などとするとよい。これらについて報知をすると、ユーザは、当該物を飲み忘れなどすること無くなり、健康を図ることができる。また、行為は、例えば毎日決まった時刻に行う運動、散歩などの健康促進のため行為や、決まった時刻に行う家の戸締まりや防犯のための点検などの安全な暮らしを図るため行為などとするとよい。
行為の促す報知としては、行う行為がわかるように音声や、テキスト・画像表示等を用いて行うとよい。画像表示を用いる場合、例えば薬の画像、運動に使う物(例えば、ダンベル)、点検内容を表す画像などを表示するとよい。
【0017】
(6)周囲を撮影する撮影部を備え、前記人の健康又は安全な暮らしを支援する機能は、設定した日時に前記撮影部で撮影した画像を記憶部に記憶するとよい。
【0018】
このようにすると、設定した日時に周囲の状況を撮影し記録することができる。例えば、設定した日時を1日に複数回設定すると、1日の様子が履歴として残るので、記憶された画像を遠隔或いは現地に行って確認することで、精度の高い見守りができる。また、事故等が発生した場合、○○時までは問題が無かったなどの確認・検証を行える。また、特定の日時を事前に設定しておくことで、録画予約を行うことができ、例えば外出中の適宜のタイミングで周囲の状況を録画したいような場合に、設定のし忘れを防ぎ、例えば防犯目的で監視録画したい場合に適切に行える。
【0019】
(7)本体の周辺の動体を検知する動体検知部を備え、前記カレンダー機能に登録されたスケジュール情報に基づき、前記動体を検知するモードとして第1のモード及び第2のモードのいずれかに設定するとよい。
【0020】
このようにすると、スケジュールの内容に合わせて第1のモードと第2のモードを設定し、適切なモードで動作することができる。第1のモードと第2のモードを手動で設定する機能を備えるとよいが、設定するのを忘れる可能性があるのでそれを防止することができる。また、都度手動で設定するのが煩雑で面倒と感じるユーザにとっては自動的に設定されるので煩わしさがなくなる。例えば、ユーザが在宅中等は第1のモード(例えば、在宅者を見守る見守りモード等)、不在・留守中等は第2のモード(例えば留守宅中の様子を監視等する防犯モード等)で動作するのが適している場合、例えば、スケジュールに外出予定が入っている場合は第2のモードに設定し、来客予定が入っているときなどは第1のモードに設定するとよい。また、在宅であることをスケジュールに登録しない場合があるので、外出予定が入っていない所定の期間は第1のモードに設定するとよい。スケジュールに基づく第1のモードと第2のモードの設定は、上記例示した在宅か否かにより行うものに限らず、例えば、在宅中での活動状況、例えば、就寝中と起きている期間で切り換えたり、予め設定した時間帯に基づき自動で設定を変えたりするなどとするとよい。
【0021】
(8)人を検知する人検知部を備え、前記カレンダー機能は、登録されたスケジュール情報が外出予定のときの前記人検知部の検知結果に基づき所定の報知を行うとよい。
【0022】
このようにすると、システムは、外出予定中にシステムの設置した空間領域内へ人の存在を検知すると、所定の報知を行う。所定の報知は、外出予定を忘れているユーザ向きの外出を促すメッセージや留守中の侵入者向けの警報等とするとよい。設置した空間領域内にいた人がユーザの場合、外出予定を思い出し、外出したり所定の連絡をしたりすることができる。また、設置した空間領域内にいた人が侵入者であれば、警報を発することで撃退させたりすることができる。人検知部は、例えば、カメラ等の撮影装置や、ドップラーセンサ等の動きを検知するものなどを用いるとよい。
【0023】
(9)本体を構成する第1の筐体と、その第1の筐体と別体の第2の筐体を備え、前記第1の筐体は前記所定の機能と、人を検知する第1の人検知部を備え、前記第2の筐体は、人を検知する第2の人検知部を備え、使用状態では前記第1の筐体と前記第2の筐体を離れた位置に設置し、前記第1の人検知部と前記第2の人検知部は異なるエリアを検知するようにし、前記所定の機能は、前記第1の人検知部の検知結果と、前記第2の人検知部の検知結果を取得し、その取得した情報に基づき所定の出力を行うとよい。
【0024】
第2の人検知部を備える第2の筐体は、本体を構成する第1の筐体と、別体で構成されるため、本体から離れた箇所に設置可能となり、使用状態ではそれらの筐体を離して設置することで、本体が備える第1の人検知部では検知できないエリアの人の存在も検知可能となる。所定の機能は、第1の人検知部の検知結果と、本体の設置場所から離れた第2の人検知部の検知結果を取得するので、広い範囲で人の有無を検知でき、状況に応じたより精度の高い出力を行うことができる。
【0025】
例えば、システムを住居に設置する場合、本体をリビング等のユーザの滞在時間が長い部屋に設置し、第2の筐体を他の部屋や玄関、廊下の屋内の適宜位置や、庭等の屋外等に設置するとよい。例えば、本体を設置している部屋以外に第2の筐体を設置することで、第2の筐体を設置したエリアでも何らかの人の動きを検知でき、例えばより精度の高い生存確認ができる。また、カレンダー機能と連携し、登録されたスケジュールに外出予定が登録されている場合に、予定の時間になってもいずれかの人検知部で人を検知し、出かけていない場合などに通知を行うことで、例えば外出予定を忘れているユーザに対し確実に外出を促すことができる。この場合に、人が感知できない場合は通知を行わないとよい。また、第2の人検知部が、庭等の建物の外部空間を検知エリアに含むように第2の筐体を設置した場合、外出予定を忘れて庭で作業しているユーザに促すことができる。また、防犯目的にも適する。
【0026】
(10)前記第1の筐体と、前記第2の筐体は、同種のキャラクターの外観を有するとよい。このようにすると、ユーザは、第2の筐体が、本体と関係のある装置・機器であることが直感的に理解でき、また、同種のキャラクターの外観を有することが親しみがわき、第2の筐体が適宜の位置にあっても違和感なく受け入れることができる。
【0027】
(11)外部電源から電力供給を受けて動作するシステムであって、撮影部と、前記撮影部が撮影した撮影画像を記録部に記録する処理部と、電源断の場合に前記撮影部と前記処理部に電源供給する補助電源とを備え、空間領域を防犯目的で確認するための防犯モードで動作中に電源を切られた場合、前記補助電源からの電源供給により画像を記録するとよい。
【0028】
このようにすると、システムが防犯モードで動作中に泥棒等の侵入者が撮影部の存在に気づき、システムの電源を切られたとしても、補助電源から継続して電源供給がされ、動画や画像を撮り続け、記録することができる。
【0029】
また、例えば電源断があった場合、撮影した画像は、本体とは別の場所にある記録媒体に転送もしくは保管するとよい。この場合に転送等する対象画像は、少なくとも電源断が生じた後に撮影した画像と、生じる前の所定期間に記憶部に記憶した画像とするとよい。
【0030】
(12)電源供給のオンオフを制御する操作部を有し、前記防犯モードで動作中は、前記操作部の操作を無効にするとよい。
このようにすると、例えば侵入者が操作部を操作して電源をオフにしようとしても、操作が受け付けられず電源がオン状態のままとなり、例えば継続して動画や画像を撮り続け、記録することができる。
【0031】
(13)本体の周辺の動体を検知する動体検知部と、前記所定の機能としての防犯機能を備え、前記防犯機能は、前記防犯モードの動作中の前記動体検知部からの検知出力に基づき、侵入者に対するメッセージを報知するとよい。
【0032】
このようにすると、侵入者を検知した場合にその侵入者に対してメッセージを報知することができる。メッセージは、侵入者が窃盗・器物破損その他の犯行を留まるような内容のものとするとよい。係るメッセージの一例としては、「証拠画像を保存しました」、「110番通報します」、「警備会社に通報しました」などとするとよく、通報に関しては、実際に行ってもよいが、行わずにメッセージを出力するとよい。
【0033】
(14)前記侵入者を特定する侵入者情報を取得する情報取得部を備え、前記防犯機能は、前記防犯モードの動作中の前記動体検知部の検知出力に基づき、前記侵入者を呼び寄せる報知を行い、前記情報取得部が、その呼び寄せた前記侵入者から前記侵入者情報を取得するとよい。
【0034】
呼び寄せる報知を行うことで、侵入者にシステムの存在を気が付かせることができる。気が付いた侵入者は、証拠を消したいという犯罪心理からシステムに近づき、動作を停止させようとすることが行われやすい。情報取得部は、呼び寄せることで接近或いは接触した侵入者から侵入者情報を取得することができ、侵入者逮捕のため有益な情報を取得できる。侵入者を呼び寄せる報知は、例えば、音声によるメッセージや、アラームなどの音を用いた報知、発光による警告・威嚇等、存在を知らせる報知とするとよい。例えば、ディスプレイなどの表示部を備えている場合、所定のメッセージを文字や画像で表示出力するとよい。このようにすると、存在を気が付いた侵入者が表示された所定のメッセージを見ようとして近づくことを促すことができる。
【0035】
(15)前記情報取得部は、前記侵入者を撮影する第2の撮影部であり、前記防犯機能は、前記第2の撮影部で撮影した画像を記憶するとよい。
【0036】
このようにすると、第2の撮影部が、報知に基づき近づいてきた侵入者を撮影することができる。この撮影した画像は、システムが備える記憶部に記憶したり、外部の記録媒体に記憶すべく転送したりするとよい。撮影した画像は、侵入者を特定することができる画像とするとよく、例えば、侵入者の顔写真や、侵入者が歩行している状況を一定期間撮影した動画などとするとよい。第2の撮影部は、(11)の撮影部と別部材として構成するとよいが、同一部材で兼用する構成とするとよい。
【0037】
(16)前記情報取得部は、表示画面に配置した指紋採取部であり、前記防犯機能は、前記表示画面に、前記指紋採取部に前記侵入者がタッチするのを促す表示を行うとよい。
【0038】
このようにすると、報知に促されて近づいてきた侵入者は、表示画面の表示を見て、指紋採取部にタッチする。このタッチに基づき、指紋採取部は侵入者の指紋を採取することかできる。
【0039】
(17)ユーザにアクションを促す報知を行う報知部と、前記ユーザのアクションの有無に基づき見守り情報を遠隔地にいる別のユーザに通知する通知部を備えるとよい。
【0040】
このようにすると、システムを設置した箇所にいるユーザは、報知部の報知に促されて、アクションを行うことができる。アクションの有無に基づく見守り情報が、遠隔地にいる別のユーザに通知される。通知を受けた別のユーザは、アクションの有無に基づきユーザの生存確認ができる。生存確認ができれば、ユーザが健康又は安全な暮らしを行っていることを別のユーザが知ることができ、また、生存確認ができない場合には、別のユーザは自ら或いは第三者にユーザのもとに会いに行き、状況を確認し、ユーザが健康又は安全な暮らしを行うための必要な処置を行うことが早期に行うことができる。よって、システムは、人の健康又は安全な暮らしを支援することができる。報知部は、実施形態では、所定のメッセージの音声出力をするスピーカ装置56等に対応し、通知部は、実施形態では、通信端末250に向けて生存確認通知を出力する通信部37等に対応する。
【0041】
ユーザは、自発的に生存確認のための情報を第2のユーザに通知するのは煩雑であったり、忘れたりすることがあるが、報知部の報知に促されて所定のアクションを行うことで、別のユーザはスムーズかつ簡易にユーザの生存確認を行うことができる。アクションは、例えばシステムの本体に近接或いは接触すると言った簡単な動作とするとよく、接触の場合、軽くタッチしたり、なでたりするとよい。システムは、キャラクターが表示されているため、軽くタッチしたりなでたりするのは、違和感なく行うことができる。所定のアクションをなでる行為にする場合、特に、本体を構成する筐体が、キャラクターの外観を有するものとするとよい。
【0042】
また、促す報知は、キャラクターからの呼び掛けとし、ユーザのアクションは、それ呼び掛けに対する返事とするよい。このようにすると、ユーザは、キャラクターと会話することで、別のユーザは生存確認の通知を受けることができる。
【0043】
(18)伝言する音声を記憶する音声記憶部と、前記所定の機能として、伝言機能を備え、前記伝言機能は、人を検知すると、前記音声記憶部に記憶された音声に基づく音声情報を出力するとよい。
【0044】
このようにすると、人を検知した場合に伝言された音声情報が出力される。当該人は、伝言の内容を聞くことができる。例えばある人が別の人に何かお願いごとをするときや伝えたいことがあるときに、伝言を音声で残せ、別の人に伝えることができる。人の検知は、例えば、カメラ等の撮影装置や、ドップラーセンサ等の動きを検知するものなどを用いるとよい。音声に基づく音声情報は、録音した音声そのものでもよいし、適宜加工したものでもよい。加工した音声情報は、例えば記憶した音声を再生する際に変調したり、音質・音色を替えたりする等の記憶した音声をベースに変更するとよい。また、記憶した伝言メッセージと同一の内容を、別の人・キャラクターの声で発話するものとするとよい。
【0045】
上記の例で、伝言を聞く人は、例えばシステムを設置した場所にいる人とするとよく、伝言する音声を入力する人は、例えばシステムを設置した場所にいる同居人等や、遠隔地にいる人とするとよい。同居人等の場合、例えばシステムを操作して伝言する音声を入力して記憶するとよく、遠隔地にいる人の場合、所定のネットワーク等を利用してシステムと通信を確立し、音声を記憶するとよい。
【0046】
(19)前記伝言機能は、人を検知すると前記音声が記憶されていることを通知し、伝言再生条件を満たした場合に前記音声情報を出力するとよい。
【0047】
このようにすると、人を検知すると伝言があることの通知を行うため、システムのそばにいる人は、伝言があることを知ることができる。伝言再生条件を満たした場合に伝言が出力されるので、違った人に伝言が再生されてしまうことを可及的に抑制できる。伝言再生条件は、例えば、再生指示を受け付けた場合、正しいパスワードを受け付けた場合、撮影装置で撮影した画像に基づき人を認識し、対象の人物を判別して伝言対象の特定の人である場合など各種のものとするとよい。
【0048】
(20)前記伝言機能は、前記記憶された音声を前記キャラクターの声で発話するとよい。
【0049】
このようにすると、伝言を入力した人の音声ではなく、キャラクターの声を用いて伝言することができる。例えば、伝言を入力したユーザが自分の声が再生されるのが恥ずかしい場合、キャラクターの声を用いた方が相手に伝わりやすい場合などに好ましい。再生は、設定により伝言を入力した人の音声と、キャラクターの声を選択できるようにするとよい。
【0050】
(21)前記キャラクターの映像を表示する表示部と、前記表示部に表示された前記キャラクターの所定部位をユーザがタッチしたことを検知するタッチセンサと、前記所定の機能としてエクササイズ機能を備え、前記エクササイズ機能は、前記キャラクターがエクササイズの見本の動きをする映像を前記表示部に出力し、前記ユーザがエクササイズを行うのを促す前記キャラクターの所定部位を報知し、前記タッチセンサで所定部位をタッチしたことを確認するとよい。
【0051】
このようにすると、表示部にエクササイズの見本の動きをキャラクターが表示されるので、ユーザは、表示されたキャラクターを見ながら同じように動くことで、所定の運動を行い、健康増進、体力・免疫力の向上を図ることができる。ユーザは、報知されたキャラクターの所定部位をタッチしながらエクササイズを行うことができる。ユーザは、キャラクターと一体感を得ながら、エクササイズができ、エクササイズを行おうとする意欲が高まる。よって、システムは、世の中の健康志向に沿い、人の健康又は安全な暮らしの支援を行うことができる。エクササイズは、例えばダンスなどとするとよい。
【0052】
(22)上記いずれかのシステムの機能をコンピュータに実現させるためのプログラムが提供されるとよい。
【0053】
上述した(1)から(22)に示した発明は、任意に組み合わせることができる。例えば、(1)に示した発明の全て又は一部の構成に、(2)以降の少なくとも1つの発明の少なくとも一部の構成を加える構成としてもよい。特に、(1)に示した発明に、(2)以降の少なくとも1つの発明の少なくとも一部の構成を加えた発明とするとよい。また、(1)から(22)に示した発明から任意の構成を抽出し、抽出された構成を組み合わせてもよい。本願の出願人は、これらの構成を含む発明について権利を取得する意思を有する。また「~の場合」「~のとき」という記載があったとしてもその場合やそのときに限られる構成として記載はしているものではない。これらの場合やときでない構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。また順番を伴った記載になっている箇所もこの順番に限らない。一部の箇所を削除したり、順番を入れ替えた構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。
【発明の効果】
【0054】
本発明によれば、従来の問題のいずれかを低減させることができる。本願の発明の効果はこれに限定されず、本明細書及び図面等に開示される構成の部分から奏する効果についても開示されており、当該効果を奏する構成についても分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。例えば本明細書において「~できる」と記載した箇所などは奏する効果を明示する記載であり、また「~できる」と記載がなくとも効果を示す部分が存在する。またこのような記載がなくとも当該構成よって把握される効果が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】本発明のシステムの第1実施形態の全体構成を示す図。
【
図2】同実施形態の情報処理装置の(a)は正面図(b)は背面図。
【
図3】同実施形態の情報処理装置の(a)は左側面図(b)は右側面図。
【
図4】同実施形態の情報処理装置の(a)は平面図(b)は底面図。
【
図5】同実施形態の情報処理装置の下方から見た斜視図。
【
図6】同実施形態の情報処理装置の
図1(a)のA-A線での縦断面図。
【
図7】同実施形態の情報処理装置の
図2(a)のB-B線での縦断面図。
【
図8】
図5において胴体部を仮想線で示したボディ内部を説明する説明図。
【
図9】同実施形態の情報処理装置の胴体部の固定部側の斜視図。
【
図10】(a)は可動部の表側斜視図、(b)は裏側斜視図。
【
図11】同実施形態の情報処理装置の頭部側の機構部を説明する説明図。
【
図12】同実施形態の情報処理装置の頭部側の分解斜視図。
【
図13】(a)~(c)は同実施形態の情報処理装置の左右方向の首振り可能な配置を説明する説明図。
【
図14】(a)及び(b)は同実施形態の情報処理装置の前後方向の首振りの説明図。
【
図15】同実施形態の情報処理装置の胴体部の固定部側から上方を見た裏面図。
【
図16】(a)は第3の回動の基部となる水平回動用ギアとベアリングセットの構造の説明図、(b)は第1の回動の基部となる顔部回動用ギアとベアリングセットの構造の説明図。
【
図17】同実施形態の他の例の情報処理装置の外観を示す図。
【
図19】同実施形態の他の例の情報処理装置の頭部側の機構部を示す図。
【
図20】同実施形態の他の例の情報処理装置のから固定部を除去した図。
【
図21】同実施形態の他の例の情報処理装置のから固定部を除去した図。
【
図22】同実施形態の他の例の情報処理装置が備える反射部材の構成を示す図。
【
図23】同実施形態の情報処理装置の電気的構成を説明するブロック図。
【
図24】同実施形態の通信端末の電気的な構成を示すブロック図。
【
図25】同実施形態の情報処理装置のモード毎の顔画像を示す図。
【
図26】同実施形態の情報処理装置の動作設定の手順を示す図。
【
図27】同実施形態の情報処理装置の実行する処理を示すフローチャート。
【
図28】同実施形態の情報処理装置の別のシステム構成の全体構成を示す図。
【
図29】同実施形態の情報処理装置の別のシステム構成の全体構成を示す図。
【
図30B】表示装置100に表示されるキャラクターの説明図である。
【
図30C】表示装置100に表示されるキャラクターの説明図である。
【
図31A】表示装置100の使用状態や使用環境等の説明図である。
【
図31B】表示装置100の使用方法の説明図である。
【
図33A】各方向から見た表示装置100の外観である。
【
図35A】各方向から見たフロントケース111の外観である。
【
図35B】
図6Aとは別の各方向から見たフロントケース111の外観である。
【
図37】表示装置100の異なる傾きの状態の説明図である。
【
図38】筐体110が傾いた状態の表示装置100とその表示装置100に接続されたケーブル910、920の関係の説明図である。
【
図41】フロントケース111、スピーカ1104及びスピーカエンクロージャの関係を説明する分解図である。
【
図42】スピーカエンクロージャの形状の説明図である。
【
図43】フロントケース111の下部の形状の斜視図である。
【
図44】表示装置100の電気的な構成要素の接続状態の説明図である。
【
図45】表示装置100の電気的な構成を説明するシステムブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
まず、本発明の第1実施形態を説明する。
[1.全体構成]
図1は、本発明の第1実施形態に係るシステムの全体構成を示す図である。システム2000は、情報処理装置1と、通信端末250とを備える。情報処理装置1と通信端末250とは、通信回線NWを介して通信する。情報処理装置1は、本実施形態では、顔部を有するロボット型の情報処理装置である。情報処理装置1は、その外観が仮想的なキャラクターを模した装置である。情報処理装置1の外観は、人や動物(例えば、犬や猫)等の実在する生物を模した外観とすることも可能である。情報処理装置1は、人が容易に持ち運ぶことができる程度の寸法、且つ重量である。例えば、情報処理装置1は、径方向の寸法が約165mmで、高さが約207mmである(ただし、突起部等の寸法を除く)。情報処理装置1の重量は、約1.2kgである。
【0057】
情報処理装置1は、所定の空間領域に配置され、その空間領域の状況を確認するための装置である。情報処理装置1は、例えば住居(例えば通信端末250のユーザUの自宅)やオフィス、その他の施設内の空間領域に配置される。情報処理装置1は、例えばその空間領域に設置された机や棚、その他の家具の上等の場所を設置面とし、その設置面に置かれた状態で使用される。情報処理装置1は、その正面を、状況を確認したい空間領域の方向に向けて配置される。情報処理装置1の正面は、
図1に示す標準状態(つまりデフォルト)で、顔部62が向いている方向である。情報処理装置1が配置された空間領域に居る人や動物等であって、情報処理装置1により状況が確認される対象を、以下「対象TG」と表す。対象TGは動体であり、例えば人である。この場合の対象TGは、例えば通信端末250を所持するユーザUの家族(例えば、両親・祖父母といったお年寄りや子供)である。対象TGは、ユーザUとは無関係の人の場合もあり、例えば空き巣等の空間領域への侵入者である。対象TGは、人以外の場合もあり、例えばユーザUが飼っているペット等の動物の場合もある。情報処理装置1は、通信端末250と通信回線NWを介して通信して、各種情報を通信端末250へ送信したり、通信端末250による遠隔操作に従って各種制御を行ったりする。
【0058】
通信端末250は、情報処理装置1と通信回線NWを介して通信して、遠隔地から、情報処理装置1の配置された空間領域の状況を確認するための通信端末である。通信端末250は、情報処理装置1から取得した情報に基づいて、各種情報を報知する。また、通信端末250は、情報処理装置1を遠隔操作する機能を有する。通信端末250は、本実施形態ではスマートフォンであるが、スマートフォン以外の通信端末であってもよい。例えば、通信端末250は、タブレット型端末やフィーチャーフォン、ウェアラブル端末等の携帯型の通信端末であってもよい。通信端末250は、デスクトップ型のパーソナル・コンピュータ等の据置型の通信端末であってもよい。
【0059】
通信回線NWの規格は特に問わないが、例えば、Wi-Fi(登録商標)その他の規格の無線通信LANや、LTE、4G、5Gその他の規格の公衆通信回線を含む。情報処理装置1と通信回線NWとの間の通信路、及び通信端末250と通信回線NWとの間の通信路は、それぞれ無線の通信路とするとよいが、有線の通信路を含んでいてもよい。
【0060】
[2.情報処理装置1]
<2-1.情報処理装置1の概要>
情報処理装置1は、一般家庭で使われる家庭用ロボットで、見守りロボットの一種に属する。例えば、情報処理装置1を赤ちゃんのそばにセットし、自分の手元に通信端末250を置いておくことで、いつでも赤ちゃんの様子を映像や音声で確認することができる。また、子どもが成長して学校や塾、習い事に通ったり、友達の家に遊びに行ったりするようになった場合には、情報処理装置1は動体検知機能を有しているから、玄関に置いておけば、子どもの帰宅時間には、通信端末250を用いて、出先から玄関の様子を確認することができる。また、昨今、高齢の両親と離れて暮らす世帯も増えている。この場合に、「本当はちょこちょこ様子を見に行きたいけど、遠方だからなかなか・・・」という方も珍しくない。そこで、情報処理装置1を高齢者の住まいに置いておけば、「あ。ちゃんと起きたんだな」「直接連絡はしていないけど、今日もいつもどおり元気そうだな」と、大切な人々の安否を、通信端末250を用いて確認することができる。また、情報処理装置1は、ペットの安否確認にも使える。情報処理装置1に搭載されたカメラでペットの様子をいつでもチェックできるので、「半日だけ家をあけてお出かけしたい・・・」というときも安心である。また、出先でちょっと気分を変えたくなった場合に、「かわいいペットの姿を見て癒やされる」という使い方もある。情報処理装置1はカメラの前にいる存在だけでなく、安心・安全も届けてくれるツールである。情報処理装置1は、かわいいフォルム(外観)をしており、「家族の様子を撮影・送信する機器」という枠を越えて、ペットのような愛着をもたらしてくれるメリットがある。「家族のことを見守りたいけど、“監視している”と思われるのは困るな」という場合にも、情報処理装置1は適している。また、情報処理装置1は、防犯目的での不在中の住居やオフィス、その他の施設内の様子の確認にも使える。情報処理装置1に搭載されたカメラで、設置された空間領域の様子をチェックできる。また、情報処理装置1は、動体検知機能を有しているから、例えば設置された留守宅等の不在となる所定の空間領域内に侵入者を検知することができ、その検知に伴い通信端末250に通知したり、カメラで撮影した撮影画像を記録したりできる。情報処理装置1は、各種の利用態様を採れ、人の健康又は安全な暮らしを支援する機能を有する。
【0061】
<2-2.情報処理装置1の物理的構成>
図2~
図4は、情報処理装置1の外観を示す図である。
図2(a)は正面図、
図2(b)は背面図、
図3(a)は右側面図、
図3(b)は左側面図、
図4(a)は平面図、
図4(b)は底面図である。
図5は、情報処理装置1を左斜め下方向から見た図である。
図6は、情報処理装置1の左右方向における中心で鉛直方向に情報処理装置1を切断した場合の断面図(
図2(a)のA-A断面図)である。
図7は、情報処理装置1の前後方向における中心で鉛直方向に情報処理装置1を切断した場合の断面図(
図3(a)のB-B断面図)である。
【0062】
情報処理装置1は、胴体部2と頭部3とを有する本体1Aを備える。胴体部2は、胴体の部分に対応する。頭部3は、胴体部2の上に配置された頭部に対応する。胴体部2及び頭部3の筐体は、それぞれ例えば樹脂を用いた材料で形成される。
【0063】
胴体部2は、固定部2Aと可動部2Bとを備える。固定部2Aは、情報処理装置1が置かれる配置面に接する。可動部2Bは、固定部2Aの上方に配置され、固定部2Aに対して相対的に回転する。固定部2Aは下半身側に対応し、可動部2Bは上半身側に対応する、と観念することもできる。
【0064】
固定部2Aは、下から上に向かって開いた碗状である。固定部2Aは、円形の底板部4と、底板部4周縁から立ち上がる壁部5とを備える。固定部2Aの上縁6は、真円形状で、同一平面上に存在する。固定部2Aの左右一対となる対向する側面位置には、後述するスピーカ装置56の音出口となるスリット7が形成されている。一方の(ここでは左方の)スリット7に隣接した上部位置には、電源スイッチ8と、スピーカ装置56の音量を調整するためのアップスイッチ9と、ダウンスイッチ10とがそれぞれ配置されている。
図3及び
図4に示すように、固定部2Aの後方位置には内側に窪んだ凹部12が形成されており、その奥位置には、USBのOTG(On-The-Go)用の端子13と、DC12V用の電源用ジャック14と、マイクロSDカード用ソケット(リーダー)15とが配置されている。底板部4の裏面には、滑り止め手段であり、かつクッション性の向上のための手段であるパッド16が配置されている。
【0065】
可動部2Bは、頭部3を上方に搭載して、頭部3とともに固定部2Aに対して水平方向(
図4(a)に示す矢印方向)に回転可能である。この回転は、
図5に示す第3の軸R回りの回転で、例えば標準状態から左右に170度ずつ回転できるようにするとよい。第3の軸Rは、情報処理装置1の中心軸(回転軸)に相当する。可動部2Bは、外壁部21と、外壁部21内側に重複状に形成された内壁部22とを備える。外壁部21と内壁部22とは同等の厚みである。外壁部21の上端と内壁部22上端とは一体化されて(本実施形態では連結されて)、可動部2Bの上端部23を形成している。可動部2Bの外壁部21の下縁24は、固定部2Aの上縁6と同じ曲率の真円形状のカーブで構成されている。下縁24端部は、同一平面上に存在する。下縁24の内周寄りには、下方に向かって延出されたリング状のガイドレール26が形成されている。ガイドレール26は、可動部2Bを固定部2A上に配置した際に固定部2A側に進出し、可動部2Bが固定部2A上で周回する際に案内をする。外壁部21の前方左右寄り位置と後方中央位置の120度ずつずれた同じ高さの3箇所の位置には、孔27が形成されている。孔27は、後述するマイクロフォン42が収音する音の経路となる。
【0066】
外壁部21の前方には、凹部28が形成されている。凹部28は、可動部2Bの同一平面上にある上端部23端面に対して、半円形状に切り欠かれた形状である。凹部28内周の曲率(カーブ)は、後述する頭部3に形成された顔部62の外周曲率に略一致する。凹部28は、内壁部22が球面で構成され下方側ほど外壁部21に対して離間するため、下方側ほど幅広に構成される。平面視では、
図4(a)のように、中央が広く三日月状に表れる。外壁部21の各孔27位置の裏面位置には、差し込みスロット29が形成されている。差し込みスロット29は、マイクロフォン42のモジュール46を収容する。
【0067】
可動部2Bの外壁部21の外面と、固定部2Aの壁部5の外面とは、三次元方向に連続的なカーブ面を構成している。可動部2Bが、固定部2A上に設置された状態で、胴体部2の外側面は半球状の下部形状から連続したほぼ円筒状の上方形状を備える。胴体部2は、固定部2Aと可動部2Bの接続部分とがもっとも大径に構成され、これらの接続部分を境界に上下方向に窄まっている。
【0068】
図6及び
図7に示すように、可動部2Bの内壁部22は、外に凹となる球面に形成されている。この球面の曲率(カーブ)は後述する頭部3の外面曲率に略一致する。内壁部22には内外に連通する通気孔としてのスリット30が形成されている。内壁部22に包囲された内部側の空間領域が、頭部3が収容される収容領域Sとされる。
【0069】
図10(a)に示すように、内壁部22の最下部中央の位置には接続部31が形成されている。接続部31は、可動部2Bを回転させるためのベースや頭部3を支持するためのベース等となる。接続部31は、種々の機構を連結させるための凹凸形状やネジ孔、給電や情報の送受信のための配線用の孔等から構成されている。接続部31の上面に後述するヘッドホルダー61を固定するための収容凹部32が形成されている。接続部31の裏面には後述するベアリングセット45の内ベアリング45aを連結するためのネジ孔33が形成されている。内壁部22の裏面には、後述するカウンターウェイト(釣り合い錘)55を取り付けるカウンターウェイト取り付け座48が形成されている。
【0070】
次に、
図6~
図9、
図15等に基づいて、胴体部2内部の機構について説明する。なお、図示において内部の配線については省略している。
【0071】
図8は、胴体部2を取り外した固定部2A内の機構配置の状態である。ベースフレーム35は、ヒートシンクを兼ねたアルミ合金製であり、固定部2Aに対して図示しないネジによって固定されている。ベースフレーム35は円板状の外形とされ、その外周には冷却用の多数のフィン36が一体形成されている。ベースフレーム35の表裏には、複数の機器制御基板が配置されている。ベースフレーム35の裏面に接する位置には、第1の基板38が配置されている。第1の基板38は、制御部MC(第1の制御部の一例)、及び通信部37(第1の通信部の一例)等の電子部品が実装された基板である。第1の基板38の下方には、バッテリー等を搭載した電源基板となる第2の基板39が配置されている。第1の基板38の裏面には、ドップラーセンサ34が搭載されたモジュール52が配置されている。制御部MCは、ドップラーセンサ34を用いて動体を検知する動体検知部として機能(動体検知機能)する。ベースフレーム35上方のベースフレーム35に隣接した位置には、音の到来方向を検知するための第3の基板40が配置されている。通信部37は、アンテナ部分の感度を向上させるため、ベースフレーム35のフィン36が切り欠かれた位置から側方外方に突出させられている。ベースフレーム35側方には、端子13、電源用ジャック14、及びマイクロSDカード用ソケット15等が実装された第4の基板41が配置されている。マイクロフォン42及びそのモジュール46は、差し込みスロット29内に収容されている。ベースフレーム35の裏面には、第1のモータ43が配置されている。第1のモータ43は、ステッピングモータであって正逆回転が可能となっている。
図9に示すように、第1のモータ43のモータ軸43aは、ベースフレーム35上方に突出させられている。モータ軸43a先端には、ピニオン44が固着されている。
【0072】
ベースフレーム35上には、プラスチック製のベアリングセット45が配置されている。
図6、
図7及び
図16(a)に示すように、ベアリングセット45は、内ベアリング45aと外ベアリング45bとを備える。内ベアリング45aは外ベアリング45bの内側に配置され、両者は内周面と外周面の関係で相対的に滑らかに回転可能とされている。内ベアリング45aと外ベアリング45bとの間には、より滑らかさを与えるためグリースが塗布されてもよい。内ベアリング45a(第1の回転部材の一例)は、相対的に硬く、強度の高い材料を用いて形成されることが望ましく、本実施形態では、リン青銅で例示される金属材料を用いて形成される。このようにするのは、内ベアリング45aの回転による破損(割れ)を抑制し、これを原因とした回転時の異音の発生を抑制するためである。外ベアリング45b(第2の回転部材の一例)は、樹脂材料のような内ベアリング45aと異なる材料で形成されてもよいし、内ベアリング45aと同じ材料で形成されてもよい。外ベアリング45bは、ベースフレーム35に対して、図示しないネジによって回転を阻止するように配置されている。ベアリングセット45には、プラスチック製の水平回転用ギア47が冠着されている。水平回転用ギア47は、内ベアリング45aとのみネジ49を介して回転軸が同軸となるように連結されている。つまり、内ベアリング45aと水平回転用ギア47とは一体的に同軸で回転し、かつベースフレーム35上に載置されてベースフレーム35に対しては回転自在とされている。水平回転用ギア47は、第1のモータ43のモータ軸43aのピニオン44と噛合されている。
【0073】
内ベアリング45aは、可動部2Bの接続部31の裏面(下面)に固着されている。内ベアリング45aは、
図10(b)に示す可動部2B側のネジ孔33に対して、
図9に示されるネジ49によって連結されている。内ベアリング45aの回転中心は、可動部2B(情報処理装置1の本体1A)の中心位置と一致する。つまり、可動部2Bと内ベアリング45aとは回転軸が同軸となるように連結されている。水平回転用ギア47の回転軸心方向は、
図5に示す第3の軸Rの軸心方向と一致する。
【0074】
第1のモータ43が駆動されると、その回転力はピニオン44から水平回転用ギア47に伝達され、次いで水平回転用ギア47と連結された内ベアリング45aに伝達される。更に、回転力は内ベアリング45aが連結固定された可動部2Bに伝達される。このような駆動伝達機構によって、固定部2Aに対して可動部2Bが水平方向に回転することとなる。その際には同径となる可動部2Bの下縁24が固定部2Aの上縁6上に載置され、一種のモノレールとしてガイドレール26によって脱落が防止された状態で左右方向に自在に周回する。
【0075】
図9に示すように、ベースフレーム35上であって水平回転用ギア47の外側位置には、上方に向かって第1の係合突起50が形成されている。
図10(b)に示すように、可動部2Bの裏面であって回転中心から第1の係合突起50と等距離となる位置には、第2の係合突起51が形成されている。可動部2Bが固定部2A上に配置され、かつ標準の位置(つまり、固定部2Aの前方側に可動部2Bの凹部28が配置された状態)において、第1の係合突起50と第2の係合突起51とは180度位相がずれた位置(つまり、回転中心をはさんだ対向位置)に配置される。可動部2Bを180度近く回転させると、第1の係合突起50と第2の係合突起51とが衝突してそれ以上の回転が防止される。
【0076】
また、
図9に示すように、ベースフレーム35上であって、第1の係合突起50の外側位置であって水平回転用ギア47の回転中心から等距離となる互いに隣接した位置には、2つのセンサ用突起53が形成されている。
図15に示すように、第3の基板40の裏面であって回転中心から突起53と等距離となる位置には、回転位置検出手段としての1つのマイクロスイッチ54が配置されている。マイクロスイッチ54は、突起53から180度位相がずれた位置(つまり、回転中心をはさんだ対向位置)に配置される。可動部2Bとともに、マイクロスイッチ54が左方あるいは右方に約180度(実際には2つの突起53間は10度離れているので約175度)回転してドグが突起53を検出することで、第1のモータ43の左右方向の回転初期位置の値を更新することができる。この更新された初期位置の値に基づいて、標準の位置を更新することができる。
図6に示すように、カウンターウェイト取り付け座48には、角形ワッシャーからなるカウンターウェイト55が配置されている。固定部2Aの底板部4の上面には、複数の(ここでは2つの)スピーカ装置56が配置されている。
【0077】
次に、頭部3と頭部3周辺の構成を説明する。
頭部3は(収容領域Sから外に露出される部分が)、球体の一部が1つの平面でカットされた残余である球欠状の形状に構成されている。カット状に形成された前面部分は、円形形状に現れ情報処理装置1の顔部62を構成する。頭部3は、ヘッドホルダー61によって支持され、可動部2B上に回転可能に配置されている。頭部3は、顔部62の向く方向(面方向)と平行となる略中央位置、つまり球体の直径付近で前後に分割され、それぞれ前側ケース3Aと後側ケース3Bとされている。頭部3は、前側ケース3A側によってヘッドホルダー61に支持されており、上部側機器はカウンターウェイト55を除いてすべて前側ケース3Aに配置されている。後側ケース3Bは、前側ケース3Aに対してネジ60によって着脱可能に固着されている。
【0078】
まず、前側ケース3A側について説明する。
図12に示すように、前側ケース3Aは、前面に顔部62を構成するための平面部63を備えている。平面部63の中央には、長方形形状の開口部64が形成されている。開口部64上方位置には、カメラ用孔65(
図6参照)が形成されている。開口部64下方位置には、マイクロフォン用の音取得口となる孔66が形成されている。開口部64内にはタッチパネル部67が配置される。タッチパネル部67は、ユーザインタフェース(UI)として機能する。タッチパネル部67は、具体的には、液晶ディスプレイ(LCD)で例示される表示部と、タッチセンサで例示される操作部とを有する。平面部63には薄い円板形状の透明なカバープレート68が配置されている。タッチパネル部67上にカバープレート68が配置された状態で、頭部3前面に顔部62が構成される。カバープレート68のタッチパネル部67と重複する部分以外(つまり、タッチパネル部67の周囲)は、スモーク状の不透明なパネルであり、タッチパネル部67背景とともに顔部62全体が統一された濃色の背景となっている(ただし、図示では塗りつぶさず描写している)。カバープレート68上部のカメラ用孔65位置に対応する位置には、透明パネル71が配置されている。カバープレート68下部位置には平面部63に形成された孔66に対応するマイクロフォン用の音取得口となる孔72が形成されている。
【0079】
前側ケース3Aの平面部63と面一となる上方左右斜め位置には、ケース外方に膨出した第1の収容部73と第2の収容部74とが形成されている。第1の収容部73内には、照明部77が収容されている。第2の収容部74内には、照明部78が収容されている。照明部77、78は、例えば発光ダイオード(LED)で例示される発光体を備える。照明部77、78は、例えば、それぞれ高輝度の白色光を発する。照明部77、78は、情報処理装置1の配置された空間領域を照らす。また、照明部77、78は、それぞれ発光輝度を変更可能に構成されている。第1の収容部73と第2の収容部74は頭部3を正面側から目視した際に、あたかも「耳」や「角」といった身体の部位のように理解される部分でもある。
【0080】
次に、後側ケース3B側について説明する。
図8、
図12~
図14等に示すように、半球状の外観に構成された後側ケース3Bは、下側に大きな切り欠き79が形成されている。ヘッドホルダー61は、切り欠き79から下方に突出させられている。ここでは、切り欠き79を通過して可動部2B上に立設されている。後側ケース3Bの裏面上部位置には、カウンターウェイト55を取り付けるカウンターウェイト取り付け座80が形成されている。カウンターウェイト取り付け座80は、ヘッドホルダー61と取り付けられたカウンターウェイト55と干渉しない位置に形成されている。頭部3は、可動部2Bの収容領域Sに収容される。収容状態において外壁部21の上端部23位置がちょうど球としての頭部3の直径位置に配置される。収容領域Sを構成する内壁部22と頭部3との曲率は略一致しており、かつ両者は近接して両者間には若干の隙間が形成される。
【0081】
次に、
図6、
図7、
図11~
図14等に基づいて頭部3内部の機構について説明する。尚、図示においては内部の配線は省略している。
【0082】
まず、
図5、
図13(b)に示す第2の軸Q回りの回転に関する機構から説明する。第2の軸Q回りの回転は、
図14の実線と仮想線のように、頭部3の前後方向への首振り回転動作となる。頭部3は、例えば標準状態から前に35度、後に5度回転できるようにするとよい。第2の軸Q回りの回転は、第2の回転となる。頭部3を支持するヘッドホルダー61は、直方体形状のベース部61aと、ベース部61aから上方に延出された長尺の脚部61bと、脚部61b上端に形成された左右一対の平行に配置された軸受けプレート61cとを備える。ヘッドホルダー61のベース部61aは、胴体部2(可動部2B)の収容凹部32内に配置されている。ヘッドホルダー61は、可動部2B裏面側から図示しないネジによって、ベース部61aを介して可動部2Bに対して固着されている。軸受けプレート61cの前方寄りには、軸受け孔82が形成されている。
【0083】
ヘッドホルダー61の前方には、ベースフレーム83が配置されている。ベースフレーム83は、略円形となる円板状の本体83aと、本体83aから後方に延出される一対のアーム83bとを備える。
図7に示すように、それぞれのアーム83bは後端寄り外側に軸部84が突設形成されている。
図7に示すように、ベースフレーム83は、左右のアーム83bの軸部84が軸受けプレート61cの軸受け孔82に嵌挿されることで、ヘッドホルダー61に回転可能に支持されている。
【0084】
一方、装置正面側から見て、右方(
図7では左方)に配置されたヘッドホルダー61の軸受けプレート61cの内側には、第2のモータ85が配置されている。第2のモータ85はステッピングモータであって正逆回転が可能となっている。
図11に示すように、第2のモータ85のモータ軸85aは軸受けプレート61c外側に突出させられている。モータ軸85a先端には、ピニオン86が固着されている。
【0085】
第2のモータ85が取り付けられた軸受けプレート61cの外面には、カム装置87が配置されている。カム装置87は、扇型歯車88を備えている。扇型歯車88は、ピニオン86に噛合されている。
図7及び
図11に示すように、カム装置87は、アーム83bの軸部84に対して、ネジ105によって固着されている。つまり、ネジ105は、カム軸の軸心方向であって、アーム83bの軸部84と一致する。この方向は第2の軸Qの軸心方向となる。第2のモータ85が駆動されると、その回転力はピニオン86から扇型歯車88に伝達され、カム軸(ネジ105)を回転させる。ネジ105と軸部84とは連れ回りし、軸部84の回転に伴ってベースフレーム83は回転する。この回転は、狭い範囲での回転であるため揺動ともいえる。
【0086】
カム装置87のネジ105の下方位置には、2つの係合突起90が形成されている。カム装置87の揺動に伴ってこの係合突起90と干渉する位置には、回転位置検出手段としての1つのマイクロスイッチ91が配置されている。2つの係合突起90は、カム装置87の揺動量に応じた最大と最小の振り幅位置に対応して配置されている。係合突起90がカム装置87の揺動(つまりベースフレーム83の揺動)に伴って移動する際に、マイクロスイッチ91のドグがその位置を検出することで、ベースフレーム83が揺動しすぎないように保護されている。また、時々第2のモータ85の駆動制御をして、マイクロスイッチ91に係合突起90を検出させることで、第2のモータ85の上下方向の回転初期位置の標準の位置を更新することができる。
【0087】
次に、
図5、
図14に示す第1の軸P回りの回転に関する機構について説明する。第1の軸P回りの回転は、時計回り方向への首振り回転であって第1の回転となる。第1の軸Pは顔部62中心を通過する。第1の軸P回りの回転は、頭部3を
図13(a)の向かって最も左に回転した状態と、
図13(c)の向かって最も右に回転した状態との間を揺動する。頭部3は、回転していない
図13(b)からそれぞれ等角度で左右に(実施の形態では15度ずつ)揺動する。なお、第3のモータ92の制御によってもっと大きく揺動させることも可能である。
【0088】
ベースフレーム83の後面には、第3のモータ92が配置されている。第3のモータ92はステッピングモータであって正逆回転が可能となっている。
図6、
図11等に示すように、第3のモータ92のモータ軸92aはベースフレーム83前方に突出させられている。モータ軸92a先端には、ピニオン97が固着されている。
【0089】
図11及び
図12に示すように、ベースフレーム83の前方には、ベースフレーム83側から順にベアリングセット93、顔部回転用ギア94、ケースホルダー95、及び第5の基板96等が重複状に配置されている。
【0090】
図6及び
図7に示すように、ケースホルダー95は、ネジ89によって前側ケース3Aに連結固定されている。ケースホルダー95上部位置には、カメラ98が配置されている。カメラ98のレンズ位置は、カメラ用孔65と一致する。カメラ98は、情報処理装置1が配置された空間領域を撮影する撮影部に相当する。カメラ98は、例えば、CMOS及びCCDで例示される撮像素子及びレンズを有する。カメラ98は、少なくとも情報処理装置1の正面側を撮影する。カメラ98は、より広範囲を撮影できるように広角レンズを有してもよい。カメラ98は、魚眼カメラ、半天球カメラ等と呼ばれるものとすると、より広範囲を撮影できる。第5の基板96は、マイクロフォン99が搭載され、タッチパネル部67、及び照明部77、78、カメラ98を含む情報処理装置1の各部を制御する。第5の基板96は、前側ケース3Aに装着されている。
【0091】
図6、
図7及び
図16(b)に基づいて、第3のモータ92からの駆動をベアリングセット93、顔部回転用ギア94を介してケースホルダー95に伝達する駆動伝達機構について説明する。ベースフレーム83前面には、プラスチック製のベアリングセット93が配置されている。ベアリングセット93は、内ベアリング93aと外ベアリング93bとから構成されている。内ベアリング93aは、外ベアリング93bの内側に配置され、両者は内周面と外周面の関係で相対的に滑らかに回転可能とされている(より滑らかさを与えるためグリースが両者間に塗布されている)。外ベアリング93bは、ベースフレーム83に対して固着されている。ベアリングセット93前面には、プラスチック製の顔部回転用ギア94が冠着されている。
【0092】
顔部回転用ギア94は、内ベアリング93a及びケースホルダー95とネジ106を介して連結されている。つまり、内ベアリング93aと顔部回転用ギア94とは、一体的に同軸で回転し、かつベースフレーム35に対しては外ベアリング93bを介して回転自在とされている。顔部回転用ギア94は、第3のモータ92のモータ軸92aのピニオン97と噛合されている。
【0093】
第3のモータ92が駆動されると、その回転力はピニオン44から顔部回転用ギア94に伝達される。顔部回転用ギア94は、内ベアリング93aとケースホルダー95と一体的に連結されているため、この回転力はケースホルダー95に伝達される。ケースホルダー95は、ネジ106によって前側ケース3Aに連結固定されているため、このケースホルダー95の顔部62の回転(時計回り方向の左右の回転)は、頭部3の首をあたかもかしげるような回転動作となる(第1の回転)。
【0094】
ここで、
図7、
図12に示すように、ベースフレーム83前面であって上部左右位置には2つの第1の係合突起101が形成されている。一方、ベースフレーム83前面に対向するケースホルダー95の後面であって2つの第1の係合突起101の間には1つの第2の係合突起102が形成されている。固定されているベースフレーム83に対してケースホルダー95は時計回り方向に回転するが、第2の係合突起102は第1の係合突起101の内側に衝突してそれ以上の回転が防止される。つまり、ベースフレーム83は2つの第1の係合突起101によって規制された狭い範囲の(本実施の形態では30度の角度とされている)間を揺動する。
【0095】
また、
図6及び
図11等に示すように、ベースフレーム83上部には回転位置検出手段としての1つのマイクロスイッチ103が配置されている。
図6に示すように、前側ケース3Aの内部における上部位置には左右一対の補強リブを兼ねた係合片104が形成されている(
図5は断面図であるので一方の係合片104のみが図示される)。
【0096】
頭部3とともに(ケースホルダー95とともに)、マイクロスイッチ103が時計回りに左方あるいは右方に回転し、ドグが係合片104を検出することで第3のモータ92の時計回り方向の回転初期(デフォルト)位置の値を更新することができる。また、ドグが係合片104を検出することで、それ以上の回転が妨げられる。この更新された初期位置の値に基づいて標準の位置を更新することができる。係合片104の間隔は、第1の係合突起101よりもわずかに狭く第1の係合突起101と第2の係合突起102が衝突するよりもマイクロスイッチ103が先に係合片104を検出するため、通常の使用において外力が作用しない限りは、第1の係合突起101と第2の係合突起102の衝突はない。
【0097】
<2-3.情報処理装置1の物理的構成の他の例>
情報処理装置1の物理的構成は、以下のような構成としてもよい。以下、<2-2.情報処理装置1の物理的構成>の項で説明した要素と同じ要素は、同じ符号を用いて説明する。
【0098】
(2-3-1)情報処理装置1は、
図17及び
図18に示す構成としてもよい。
図17は、情報処理装置1の外観を示す図である。
図18は、情報処理装置1から前側ケース3Aを除去した図である。この例では、マイクロフォン用の音取得口となる孔72が、頭部3の頭頂部付近に配置されている。さらに、マイクロフォン201は、孔72から入射した音を検知する。マイクロフォン201は、マイクホルダ202によって保持されている。マイクホルダ202は、第6の基板203上に実装される。第6の基板203(マイクロフォン201)と第5の基板96とは電気的に接続されている。このようにすると、孔72が顔部62側のような正面側に設けられる場合に比べて、情報処理装置1の正面以外の方向からも、音を検知しやすくなる。情報処理装置1の後方や側方の音も検知する場合に望ましい構成である。
【0099】
(2-3-2)情報処理装置1は、
図19に示す構成としてもよい。情報処理装置1は、頭部3の回転可能な方向を上下方向とし、左右方向の回転をしないようにする。ただし、この場合も、可動部2Bが左右方向に回転することにより、顔部62の向く方向を左右方向に変更することは可能である。
図19の情報処理装置1の頭部3側の機構部に示すように、上述したベースフレーム83及びケースホルダー95に代えて、ベースフレーム204が設けられる。ベースフレーム204は、ヘッドホルダー61よりも正面側に配置されている。ベースフレーム204は、略円形となる円板状の本体204aと、本体204aから後方に延出される一対のアーム204bとを備える。それぞれのアーム204bは、後端寄り外側に軸部84が突設形成されている。ベースフレーム204は、左右のアーム204bの軸部84が軸受けプレート61cの軸受け孔82(
図6参照)に嵌挿されることで、ヘッドホルダー61に対して回転可能に支持されている。
【0100】
ベースフレーム204の正面側には、第5の基板96が支持されている。ベースフレーム204は、ネジによって前側ケース3Aに連結固定されている。ベースフレーム204上部位置にカメラ98が配置されている。カメラ98のレンズ位置はカメラ用孔65と一致する。カメラ98の上方には、第6の基板203、マイクホルダ202、及びマイクロフォン201が配置される。本構成によると、情報処理装置1において、頭部3の回転可能な方向は減るが、情報処理装置1を構成する部品数の削減になり、情報処理装置1の製造コストを低減させる効果が期待できる。
【0101】
(2-3-3)情報処理装置1は、
図20及び
図21に示す構成としてもよい。
図20、
図21は、情報処理装置1から固定部2Aを除去した図である。
図20及び
図21に示すように、ドップラーセンサ34が搭載されたモジュール52の正面側に、反射体210が設けられる。反射体210は、例えば金属材料を用いて形成した反射性の部材で、ドップラーセンサ34からのマイクロ波(電磁波の一例)の一部を反射する。反射体210は、正面側から見たときにドップラーセンサ34を挟んだ両側に位置するように配置されている。このようにするのは、情報処理装置1の正面側以外の方向についても、動体の検知精度を向上させるためである。
【0102】
図22に示すように、反射体210は、第1の部位211と、第2の部位212と、第3の部位213とを有する。第1の部位211、第2の部位212、及び第3の部位213の各部位は板状である。第3の部位213は、板面が水平又はほぼ水平となるように配置される。第1の部位211及び第2の部位212は、第3の部位213のうちの情報処理装置1の正面側の辺と連結している。第1の部位211及び第2の部位212は、第3の部位213に対して直交又はほぼ直交するように折り曲げられた部位である。情報処理装置1の正面側から見て、第1の部位211と第2の部位212との間には隙間Gが設けられている。ドップラーセンサ34が出射したマイクロ波は、例えば隙間Gを通過して、情報処理装置1の正面側に伝搬する。一方、第1の部位211又は第2の部位212で反射したマイクロ波の反射波は、情報処理装置1の正面側以外の方向に伝搬する。このようにすると、情報処理装置1から見て、方向による人の検知精度のばらつきが低減されるという知見を発明者らは得た。なお、反射体210の具体的構成はこれに限らない。
【0103】
(2-3-4)頭部3に設けられた基板(例えば第5の基板96)と、胴体部2に設けられた基板(第1の基板38、第2の基板39、第3の基板40、及び第4の基板41の少なくともいずれか)とを配線(ケーブル)を用いて電気的に接続する場合において、当該配線が内ベアリング45aの内側を通過するときは、捻じれに対する強度の高い配線とすることが望ましい。例えば、これ以外の部位の配線は、内ベアリング45aの内側を通過する配線よりもねじれに対する強度が低くすることも可能である。このようにすると、胴体部2の回転によって、内ベアリング45aの内側を通過する配線が捻じれてしまい、断線してしまう可能性を低減できる。その結果、情報処理装置1の耐久性が向上する。
【0104】
<2-4.情報処理装置1の電気的構成>
図23は、情報処理装置1の電気的な構成を示すブロック図である。制御部MCには上記の第1~第3のモータ43、85、92、ドップラーセンサ34、マイクロフォン42、マイクロフォン99、タッチパネル部67、照明部77、78、カメラ98、スピーカ装置56、通信部37、端子13、マイクロSDカード用ソケット15、マイクロスイッチ54、91、103等がそれぞれ接続されている。
【0105】
制御部MCは、CPUやROM及びRAM、SSD等の記憶手段としてのメモリ、バス、リアルタイムクロック(RTC)等を備え、情報処理装置1の各部を制御する。制御部MCのROM内には、情報処理装置1の各種機能を実行させるための各種プログラムが記憶されている。
【0106】
タッチパネル部67は、ユーザインタフェース(UI)として機能するもので、上述したとおりの構成とするとよい。制御部MCは、例えば情報処理装置1の顔を表す画像である顔画像を、タッチパネル部67に表示させる。顔画像は、顔の少なくとも一部を表す画像である。また、制御部MCは、顔画像107以外にも、各種動作設定を行うための画像や、カメラ98により撮影された画像、通信端末250から取得した情報に基づく画像等を表示させる。カメラ98は、顔部62の近くに設けられているため、情報処理装置1が見ている画像を撮影している画像、と観念することもできる。制御部MCは、照明部77及び78を所定の輝度で発光させる制御を行う。照明部77及び78は、情報処理装置1の周辺が暗い場合に、明るく照らすために使用される。マイクロフォン99は、音を検知し、検知した音を示す音声信号を制御部MCに出力する。マイクロSDカード用ソケット15は、挿入されるmicroSDカードのデータの読み取り及び書き換えをする。通信部37は、例えば通信回路及びアンテナを有し、通信回線NWと通信する。ドップラーセンサ34は、マイクロ波を使用したセンサであって、電磁波としてのマイクロ波を発射し、反射してきたマイクロ波の周波数と、発射した電磁波の周波数とを比較し、人等の動体が存在するかどうかを検知する。制御部MCは、第1~第3のモータ43、85、92(駆動手段の一例)を制御し、これらに所定のパルス電力を与えることで、頭部3や可動部2Bを回転させる。
【0107】
マイクロフォン42は、三角形の頂点に配置される3つのマイクロフォン42を同時に使用することで、これらの間での音の到達時間の差によって音源方向を特定することができる方向検知部として機能する。マイクロフォン42による音源方向を特定する原理について概要を説明する。原理的に複数のマイクロフォンを使用し、音源(例えば、人の声)からの音の到達時間差Tdiffに基づいて音源方向を特定することができる。音は平面波とみなす。2つのマイクロフォンでも可能であるが、同一直線上にない3つのマイクロフォンを使用することがより正確である。本実施の形態では、3つの正三角形かつ水平面に配置されたマイクロフォン42を使用する。音源方向の計算上このような配置がよい。本実施の形態では制御部MCは、各マイクロフォン42の取得した電気信号の位相差から到達時間差Tdiffを求める。制御部MCは到達時間差Tdiffに基づいて基準方向に対する音源角度を算出する。制御部MCは一定の繰り返しタイミングで算出ルーチンを行う。このように音の到来方向が確定すると、制御部MCはその方向に顔部62を向ける制御を行う機能を有する。
【0108】
[3.通信端末250の電気的構成]
図24は、通信端末250の電気的構成を示すブロック図である。
図24に示すように、通信端末250は、制御部301と、音声入出力部302と、通信部303と、UI(User Interface)部304と、記憶部305とを備える。
【0109】
制御部301は、CPU、ROM及びRAMを有するコンピュータを備える(第1の制御部の一例)。CPUは、ROMや記憶部305に記憶されたプログラムをRAMに読み出して実行することにより、通信端末250の各部を制御する。音声入出力部302は、マイクロフォンやスピーカを有し、通信端末250において音声の入出力に関わる機能を実現する。音声入出力部302は、例えば、後述する通話機能における音声の入出力を行う。通信部303は、例えば無線通信回路やアンテナを備え、通信回線NWに接続するためのインタフェースである。UI部304は、例えばタッチパネル部を備え、ユーザUからの操作を受け付けるとともに、画像の表示により情報を報知する。記憶部305は、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)を備え、制御部301が実行するプログラムとして、OSやこのOS上で動作するアプリケーション305Aを記憶する。アプリケーション305Aは、情報処理装置1と通信して各種機能を実現するためのアプリケーションプログラムである。アプリケーション305Aの機能は、ファームウェアやアプリケーションプログラム以外のプログラムで実現されてもよい。
【0110】
[4.システム2000の機能]
システム2000においては、主として、「見守りモード」(第1のモードの一例)と「防犯モード」(第2のモードの一例)とが選択的に実行される。
【0111】
<4-1.見守りモード>
「見守りモード」は、情報処理装置1が配置された空間領域に居るお年寄りや子供、動物(例えばペット)といったユーザU以外である対象TGを見守るためのモードである。見守りモードの動作中、例えば人の健康又は安全な暮らしを支援する機能を発揮する。見守りモードの設定中は、情報処理装置1の周辺に動体が検知されることが正常を示す状態である。例えば所定期間継続して動体が検知されない(例えば、人が動かない)場合には、見守りの対象となる対象TGの異常(例えば、健康上の異常)の可能性が推測される。そこで、情報処理装置1は、所定期間継続して動体が検知されない場合には、その検知結果に応じて通信端末250に対して通知(第1の通知の一例)を行う機能を有する。
【0112】
情報処理装置1の制御部MCは、見守りモードの設定中は、例えば
図25(a)に示す顔画像107Aをタッチパネル部67に表示させる。
図25(a)に示すように、顔画像107Aは柔和で穏やかな表情を表しており、対象TGが安心感を覚えるような表情となっており、情報処理装置1に対する愛着や親しみを持ちやすくなる。また、顔画像107Aの表示を手掛かりとして、対象TGが見守りモードに設定中であることを把握することもできる。顔画像107Aは、静止画像でもよいが、瞬きをするアニメーション表示をする等の動画としてもよい。
【0113】
<4-2.防犯モード>
「防犯モード」は、情報処理装置1が配置された空間領域を防犯目的で確認するためのモードである。防犯モードの動作中、例えば安全な暮らしを支援する機能を発揮する。防犯モードの設定中は、情報処理装置1の周辺に動体が検知されないことが正常を示す状態である。例えば情報処理装置1がユーザUの自宅の部屋など配置され、ユーザUの不在中に動体が検知された場合には、対象TGとして、空き巣等の侵入者が侵入した可能性がある。例えば、動体の最大の検知距離は、例えば、約15mである。そこで、情報処理装置1は、動体が検知された場合には、その検知結果に応じて通信端末250に対して通知(第2の通知の一例)を行う機能を有する。
【0114】
情報処理装置1の制御部MCは、防犯モードの設定中は、例えば
図25(b)に示す顔画像107Bをタッチパネル部67に表示させる。
図25(b)に示すように、顔画像107Bは顔画像107Aの表情と異なり、やや釣り目をした表情となっている。これは、情報処理装置1が配置された空間領域を監視している又は見張っている印象をも表す。また、このような顔画像107Bを継続的に表示させておけば、仮に侵入者が侵入した場合でも、この者に対して威嚇するといった付加的な効果を期待することができる。また、ユーザUが空間領域に居る場合には、顔画像107Bの表示を手掛かりとして、防犯モードに設定中であることを把握することもできる。顔画像107Aは、静止画像でもよいが、瞬きをするアニメーション表示をする等の動画としてもよい。ただし、空間領域を監視している又は見張っている印象をも表す場合に、顔画像107Aよりも瞬きの頻度を減らす等、顔画像107Bとは動きが異なるようにすることもあり得る。
【0115】
<4-3.モード切換え機能>
見守りモードと防犯モードの切換え設定は、例えば情報処理装置1の動作設定機能を用いて行う。例えば、
図26(a)に示す顔画像107Aの表示中に、タッチパネル部67に指を触れさせるタッチ操作が行われると、制御部MCは、
図26(b)に示す画面をタッチパネル部67に表示させる。この画面は、
図26(a)に示すように、「スマホに通話」という文字列が付されたソフトボタンB1と、「設定画面を表示」という文字列が付されたソフトボタンB2とが顔画像107Aに重ねて配置されている。
図26(b)に示した画面のソフトボタンB2へのタッチ操作を受け付けると、制御部MCは、動作設定に係る設定画面をタッチパネル部67に表示させる。この設定画面は、動作設定のメニュー画面であり、例えば
図26(c)に示すような画面構成となる。
図26(c)は、設定画面の一部であり、ユーザ設定可能な項目がリスト表示される。複数画面或いは連続した一枚の長尺の画面から構成され、クリック操作或いはフリック操作による画面のスクロールにより異なる項目の画面を表示可能となる。
【0116】
図26(c)に表示されたメニュー「動作モード切り替え」は、情報処理装置1のモードを設定する(切り替える)ためのメニューである。このメニューへのタッチ操作を受けると、制御部MCは、
図26(d)に示す画面をタッチパネル部67に表示させる。この画面には、「見守りモード」という文字列とこれに関連付けられたソフトボタンB4と、「防犯モード」という文字列とこれに関連付けられたソフトボタンB5とが配置されている。ソフトボタンB4、B5は、ここではラジオボタン形式である。ユーザは「見守りモード」に設定したい場合は、ソフトボタンB4へのタッチ操作を行い、「防犯モード」に設定したい場合は、ソフトボタンB5へのタッチ操作を行う。制御部MCは、タッチ操作を受け付けたソフトボタンに応じたモードに設定する。なお、標準状態ではどちらのモードに設定されていてもよい。このように、本実施形態では、タッチパネル部67に対するタッチ操作による手動操作により、「見守りモード」と「防犯モード」の設定を切り換える。
【0117】
[5.情報処理装置1の機能]
上述した物理的構成並びに電気的構成を備える情報処理装置1は、以下に示す各種の機能を備える。各種の機能は、人の健康又は安全な暮らしを支援する機能、或いはそれと関連する機能とするとよい。このようにすると、ユーザはキャラクターを通じて、システムを使用する人の健康又は安全な暮らしを支援する機能に接することができる。人としては、当該人の健康又は安全な暮らしを支援する機能に接することのできる人であるが、情報処理装置1のユーザとすると特に良い。情報処理装置のユーザとしては、情報処理装置1により状況が確認される対象とすると特に良い。人の健康又は安全な暮らしを支援する機能としては、人の健康又は安全な暮らしを支援するための情報を出力する機能を有するとよい。このような情報は、人の健康又は安全な暮らしに直接的または間接的に資する情報を出力であると特に良い。このような情報は、情報処理装置1から出力され、又は情報処理装置1が通信可能な他の装置から出力され、健康又は安全な暮らしを支援する機能に接することのできる人向けに出力されると特に良い。このような支援は、キャラクターを使って、また、使った演出により実行されることで、愛着や親しみを感じやすくなる効果が期待できる。人の健康又は安全な暮らしを支援する機能は、例えば、見守りを行う機能等が含まれる。また、安全な暮らしを支援する機能は、例えば防犯目的の機能などが含まれる。見守りは、例えばそのシステムの設置場所で利用するユーザをシステム自体が見守る場合、システムの設置場所から離れた地点にいる人が通信に利用してシステムにアクセスし、ユーザを見守る場合などがある。
【0118】
人の健康又は安全な暮らしを支援する機能としては、SDGs(持続可能な開発目標)で提唱されている目標を達するのに直接または間接的に貢献する機能とするとよいが、それ以外の機能としてもよい。以下、支援する機能に関して具体例を挙げながら説明する。
【0119】
<5-1.伝言機能>
伝言機能は、例えば情報処理装置1が配置された空間領域にいる対象TGに対して、対象TG以外の人が何かお願いごとをするときや伝えたいことがあるときに、情報処理装置1に伝言を音声で残すことのできる機能である。
【0120】
情報処理装置1は、記録された伝言の音声に基づく音声情報を出力することで、対象TGは伝言の内容を確認できる。伝言は、例えば、「○○やっといて」のような作業指示や、お祝いの言葉をかけるときや、その他何か伝えておくことがあるときなどに話す所定のメッセージとするとよい。例えば、リアルタイムで対面した状態で話す時間がないとか、直接話すのが恥ずかしい場合などに適して利用する。また、文章を読んだり書いたりするのが難しいお年寄り等の場合、音声のほうが伝わる可能性が高いので、係るケースに利用するメリットがある。また、音声で伝えることで、文章では伝わりにくい気持ちや感情なども伝わりやすい。なお、便宜上、伝言を聞く人を対象TGとし、対象TG以外の人が伝言を登録する人としたが、その役割は逆でもよい。伝言機能により、例えば、夫婦仲を家族間の仲を良くすることができる等、生活環境をより一層良くすることにも貢献し得る。
【0121】
(5-1-1.伝言受け付け処理)
図27(a)は、情報処理装置1が実行する伝言機能に関する録音動作を示すフローチャートである。例えば、タッチパネル部67への所定のタッチ操作に基づき伝言録音モードが起動すると、制御部MCは、録音開始か否かを判定する(ステップS11)。録音開始か否かの判定は、例えば、制御部MCがタッチパネル部67に「録音開始」という文字列が付されたソフトボタン(図示省略)を表示し、そのソフトボタンへのタッチ操作の有無に基づき行うとよい。そのソフトボタンへのタッチ操作を受け付けた場合(ステップS11;YES)、伝言の録音処理を行う(ステップS12)。制御部MCは、マイクロフォン99から出力される検知した音を示す音声信号を取得し、取得した音声情報を音声記憶部の一例である所定の記録媒体、例えばマイクロSDカード用ソケット15に挿入されたmicroSDカードに記憶する。
【0122】
制御部MCは、録音終了か否かを判定する(ステップS13)。この録音終了か否かの判定は、例えば、録音開始から設定時間経過したか否か、無音状態が所定時間継続したか否か、録音終了のソフトボタンに対するタッチ操作があったか否かなどにより行うとよい。制御部MCは、録音終了でない場合(ステップS13;No)、マイクロフォン99で検知した音を、継続してmicroSDカード等の記録媒体に記憶する。制御部MCは、録音終了の場合(ステップS13;Yes)、マイクロフォン99から出力される音声情報のmicroSDカード等への記憶処理を終了する。
【0123】
伝言録音モードの起動は、例えば、上述した設定画面のメニュー項目の一つに用意し、所定のメニュー項目へのタッチ操作に基づいてもよいが、例えば、各種の設定の際に行う画面タッチ(例えば比較的長時間押し続ける長押し)と異なる操作処理(例えば比較的短い時間タッチする短押し)があった場合に起動し、また、その異なる操作処理があると各種用意された機能のリストの表示するメニュー画面をタッチパネル部67に表示し、タッチ操作の受付に基づき行ったりするとよい。また、音声認識機能を実装し、マイクロフォン99から入力された所定の言葉「伝言して」などの音声認識を契機として起動するようにするとよい。
【0124】
また、伝言機能は、伝言を録音する人を特定する情報や、伝言の宛先等の関連情報の登録の受付を行うとよく、制御部MCは、それらの関連情報を受け付けると、記録した音声情報のファイルと関連付けて記憶するとよい。
【0125】
(5-1-2.伝言再生機能(伝言のあることを通知後、再生))
音声記憶部の一例であるmicroSDカードに伝言の音声が記憶されている場合、制御部MCは、
図27(b)に示すフローチャートを実行する。制御部MCは、情報処理装置1が設置された空間領域に人が検知されたかを判定する(ステップS21)。この人の検知判定は、例えばドップラーセンサ34の出力に基づいて行うとよく、また、空間領域を撮影するカメラ98で撮影した画像に基づいて行うとよく、両者を組み合わせて判定するとよりよい。また、この人の検知判定は、情報処理装置1に上記の<4-1.見守りモード>と<4-2.防犯モード>を備える場合、見守りモードの動作中は人の検知判定を行い、防犯モードの動作中では人の検知判定を行わないようにするとよい。
【0126】
人が検知された場合(ステップS21;Yes)、制御部MCは、伝言のメッセージが届いていることを通知する(ステップS22)。この通知処理は、例えば、スピーカ装置56を用いた音声、タッチパネル部67の表示部を用いた文字や画像等による表示等とするとよい。人を検知すると、伝言があることの通知を行うため、情報処理装置1のそばにいる人は、伝言があることを知ることができる。特に音声による通知を行う場合、空間領域にいる人は、情報処理装置1から少し離れていても伝言があることをタイミングよく知ることができ、それを契機に情報処理装置1に近づき記憶されている伝言のメッセージを聞くことができる。また、タッチパネル部67の表示による通知を行う場合も、人が検知された場合に表示することで、その人が空間領域に入ってきたときに表示の変化があるので、当該人は何かしら表示が変わったことを理解できる。よって、それに伴い情報処理装置1に近づき、タッチパネル部67に表示された内容を確認することで、伝言のメッセージがあることを確実に知ることができる。
【0127】
また、記録された伝言に関連情報が登録されている場合、関連情報をあわせて出力するとよい。関連情報を出力すると、伝言を受ける対象者が容易に理解でき、通知を受けた人は自分宛の伝言か否かが直感的に理解できる。
【0128】
制御部MCは、開封指示の有無を判定し(ステップS23)、開封指示を受け付けた場合(ステップS23;Yes)、制御部MCは、microSDカードに記憶された伝言のメッセージを読み出し、伝言をした人が録音した音声情報をそのままスピーカ装置56を用いて再生出力する(ステップS24)。開封指示の有無は、例えば、制御部MCがタッチパネル部67に開封指示を入力するためのソフトボタンを表示し、そのソフトボタンへのタッチ操作を受け付けると開封指示ありと判定するとよい。
【0129】
伝言メッセージがある旨の通知を行ってから一定時間経過しても開封指示がない場合や、キャンセルを入力するためのソフトボタンへのタッチ操作の受け付けた場合には開封指示を受け付けない(ステップS23;No)として、処理を終了する。
【0130】
開封指示を受け付けるという伝言再生条件を満たした場合に伝言が出力されるので、違った人に向けて伝言が再生されてしまうことを可及的に抑制できる。また、伝言にパスワードロックをかけ、開封指示の受付の際にパスワードを入力させ、メッセージを開封できる人を限定するとよい。このようにすると、伝言を聞かせたい人に聞かせ、違った人に伝言を聞かせてしまうことを可及的に抑制できる。伝言を聞く人の特定は、パスワードに限ることはなく、例えば、カメラ98で撮影した画像に対して画像認識処理を行い、対象の人物を判別して伝言対象の特定の人である場合に伝言を出力するとよい。
【0131】
制御部MCは、伝言を再生した場合、その再生した伝言のファイルに再生済みのフラグを付けたり、再生済みのフォルダーに移すなど、未再生の伝言と再生した伝言が区別可能に記憶するとよい。制御部MCは、再生済みの伝言については、それ以降は、上記の伝言がある旨の通知の対象から除外するとよい。また、開封指示を受け付けず、再生されなかった伝言は、未再生の伝言として処理する。このようにすると、伝言が再生されなかったものについては、それ以降の人の検知に基づき再度通知をすることができる。例えば、検知された人が伝言を聞く対象者でなく、再生指示をしなかった場合などにおいて、その後に伝言対象者が空間領域に入ってきたときに、伝言があることの通知をすることで、伝言対象者が適切なタイミングで通知を受け、伝言を聞くことができる。
【0132】
開封指示を受け付けずに処理を終了した場合、一定期間或いは継続して人を検知している期間は、その終了した対象の伝言に対する新たな通知は行わないようにするとよい。このようにすると、開封指示をしなかった人に対して繰り返し通知をすることを抑制することができる。
【0133】
(5-1-3.伝言再生機能(伝言のあることを通知することなく再生))
図27(b)に示すフローチャートからステップS22、S23をなくし、人を検知した場合に伝言された音声情報を出力するようにするとよい。このようにすると、例えば人が空間領域に入ると伝言が出力されるため、当該人は伝言を確実に聞くことができる。伝言があることの通知を見落として伝言を聞かないという事態の発生を抑制できる。伝言を受ける人は、開封指示などの入力も不要で、伝言を簡単に聞くことができる。
【0134】
この場合に、目的外の人に伝言を聞かせてしまう事態の発生を抑制するため、例えば、人の検知は、カメラ98で撮影した画像に基づき顔認証を行い、空間領域にいる人を特定し、対象の人物を判別して伝言対象の特定の人である場合に伝言を出力するとよい。
【0135】
(5-1-4.伝言再生機能(特定の日時に再生))
伝言をリアルタイムではなく、特定の日時に行いたい場合、伝言を登録する際に、再生する日時を指定する機能を備えるとよい。この再生する日時情報は、例えば上述した関連情報と同様に伝言の音声情報のファイルに関連付けて登録するとよい。
【0136】
制御部MCは、音声情報のファイルに関連付けられた日時情報を取得し、現在の日時が関連付けられた日時或いはそれ以降であることを条件に、上述した各処理を行うとよい。各処理は、例えば人の検知に基づき伝言があることの通知を行ったり、係る通知を行うことなく人を検知すると伝言を再生したりするとよい。例えば、再生する日時として、伝言を聞かせたい人の誕生日その他の記念日を指定すると、その記念日にお祝いのメッセージを伝えることができる。
【0137】
(5-1-5.伝言再生機能(キャラクターの声で出力))
制御部MCは、伝言を再生する際に、記憶された音声をキャラクターの声で発話するとよい。伝言を入力した人の音声ではなく、キャラクターの声を用いて伝言することができる。例えば、伝言を入力したユーザが自分の声が再生されるのが恥ずかしい場合、キャラクターの声を用いた方が相手に伝わりやすい場合などに好ましい。
【0138】
このようにキャラクターの声で発話するためには、例えば、伝言受け付け処理で記録媒体に伝言の音声を記憶する際、或いはその後の適宜のタイミングで、記憶した音声情報に対して音声認識処理を行い、テキストデータを作成し、それを関連付けて記憶するとよい。キャラクターの声で発話する場合、制御部MCは、関連付け記憶したテキストデータを読み出し、キャラクターの声でテキストを読み上げるとよい。
【0139】
再生は、設定により伝言を入力した人の音声と、キャラクターの声を選択できるようにするとよく、声の選択は、伝言を登録する人と、伝言を聞く人の何れもが行えるとよい。
【0140】
<5-2.カレンダー機能>
情報処理装置1は、登録したスケジュールを報知するカレンダー機能を備える。制御部MCは、タッチパネル部67にスケジュールの登録画面(図示省略)を表示し、スケジュールの登録を受け付ける。登録画面は、少なくとも日時と予定の内容の登録エリアを有する。制御部MCは、スケジュールの登録を受け付けると、内部メモリや所定の記録媒体の所定エリアに記憶する。
【0141】
このスケジュールの登録画面の表示は、上記の(5-1-1.伝言受け付け処理)の項で説明した伝言録音モードの起動と同様に、設定画面のメニュー項目の一つに用意された所定のメニュー項目へのタッチ操作や、機能のリストの表示するメニュー画面に対するタッチ操作に基づいて表示するとよく、この点については、以下に示す各機能についても同様にするとよい。
【0142】
制御部MCは、現在時刻と登録されたスケジュールとに基づき、当日や前日などの適宜のタイミングでスケジュールの内容を通知する。この通知は、例えば、制御部MCが、キャラクターの声で発話し、また、タッチパネル部67にキャラクターを表示しそのキャラクターが伝える演出を行う等をするとよい。キャラクターの声や表示といったキャラクターの演出により予定が通知されると認識しやすく、またそれを見聞きした人は内容を受け入れやすいため、予定を忘れることを抑止できる。また、情報処理装置1は、例えば基本的に常時ONになっていて、設置した空間領域にいる人とのコミュニケーションを取ることが日常的に行われるものとすると、設置した空間領域にいる人はそのコミュニケーションの一環でスケジュールの通知を認識することができ、より確実に予定を確認し、予定を忘れることを防止できる。例えばスマートフォンのカレンダーアプリに予定を入れていても、通知機能をOFFにしていたり通知が来ても見なかったりして予定を忘れることがあるが、本実施形態ではそのようなことがなくなる。
【0143】
また、このカレンダー機能が、人の健康又は安全な暮らしを支援する機能と連携して動作するとよい。これにより、カレンダー機能と連携して人の健康又は安全な暮らしを支援することができる。人の健康又は安全な暮らしを支援する機能は、例えば、登録したスケジュールに基づき、ユーザの活動予定等に応じた適切な支援を行うことができる。
【0144】
また、上述した実施形態では、カレンダー機能は、スケジュールの登録を受け付け、記憶するようにしたが、例えば、スケジュールの受付や記憶管理は行わず、スマートフォンのカレンダーアプリ等と連携させるとよい。このようにすると、情報処理装置1を利用する人は、スマートフォンと、情報処理装置1に対し二重にスケジュールの登録を行わなくて済む。制御部MCは、例えば予め登録したスマートフォンとの間で定期的或いは適宜のタイミングで通信を確立し、スマートフォンに登録された当日や明日以降の直近のスケジュール情報を取得し、取得したスケジュール情報に基づいて通知する。このとき、キャラクターの演出を利用した通知を行うとよい。
【0145】
(5-2-1.健康情報の報知)
制御部MCは、健康情報の報知タイミングを受け付け、カレンダー機能のスケジュールの1つとして登録する。登録するスケジュールは、例えば毎日何時、毎週○曜日の何時のように定期的なものや、特定の日時のように不定期的なものなどとするとよい。また、報知を受けたい健康情報の種類・内容等を合わせてとろくするとよい。
【0146】
制御部MCは、登録されたスケジュールに従い、現在の日時が報知タイミングに一致すると、健康のための健康情報を報知する。このようにすると、ユーザはスケジュールに基づき定期的・不定期的に健康情報を知ることができ、健康又は安全な暮らしが支援される。健康情報は、例えば、病気その他の体調が悪い場合に元の健康な状態に戻すための情報や、健康を維持するための情報や、体力向上・免疫力向上などしてより健康になるための情報などがあり、例えば情報処理装置1が健康情報として予め用意したものからランダム或いは既設やその日の天候等にあったものを選択したものを報知するとよい。また、情報処理装置1がインターネットの検索サイトや、健康情報を公開しているサイトにアクセスし、報知するとよい。このようにすると、そのときのタイムリーな健康情報を報知可能となる。このようにすることは、お年寄り、高齢者、その他の対象TGたる人の健康的な生活を支援し、健康的な生活を確保することにも貢献し得るものである。
【0147】
(5-2-2.薬等の登録・報知)
情報処理装置1は、設置された空間領域に居住する人、例えば、対象TGが服用している薬などを飲むタイミングを登録する機能を備えるとよい。制御部MCは、タッチパネル部67に、薬等の登録画面を表示し、当該人に薬を飲むタイミングの登録を促す。例えば、処方薬の場合、例えば1日3回、朝晩の2回、1日1回だが同じ時刻など、服用する回数が決まっており、さらに、食前、食後、食間など薬の種類により服用するタイミングも決まっているものがある。また、薬の種類によっては、1日4回や、就寝前に服用するものもある。そこで、登録画面は、例えば、朝食・昼食・夕食・就寝前を選択するソフトボタン、さらには食前、食後、食間を選択するソフトボタンを用意し、タッチ操作に基づいて受け付けるとよい。登録作業は、対象TGが行ってもよいが、誤入力を防止するためユーザUなど対象TG以外の人が行うとよい。ユーザUが登録を行う場合、情報処理装置1は、通信端末250の操作に基づく遠隔で情報の入力を受け付ける機能を備えるとい。例えば情報処理装置1は、通信端末250のUI部304の表示画面に上記の登録画面を表示し、UI部304のタッチパネル部に対するタッチ操作を受け付けることで、薬等を飲むタイミングの登録を受け付けるとよい。
【0148】
制御部MCは、薬等の飲むタイミングのスケジュールが登録されている場合、現在時刻に基づき適宜のタイミングで薬等の服用を促す報知を行う。また食事時間は、人により異なるので、登録画面で朝食・昼食・夕食を選択する際に、各食事をとるおおよその時刻を合わせて登録するとよい。また、対象TGが、お年寄り、高齢者の場合、一日の行動を時刻に応じて行い、食事も本人の空腹具合と関係なく、決まった時刻になると食事をとることが多い。そこで、例えば、設定画面等から対象TGの朝食・昼食・夕食をとる時刻を登録し、それ登録した時刻に基づいて報知をするとよい。また、食事の時刻は、例えば平日と週末や祝日で変動し、特定の曜日はデイサービスや習い事のため外出するなどにより変動することがあるので、曜日毎等で食事時刻を登録する機能を備えるとよい。
【0149】
このようにすると、対象TGが薬等の飲み忘れをしてしまうことを可及的に抑制でき、病気を治したり、健康の維持を図ったりして、人の健康を支援すすることができる。
【0150】
また、薬などを飲むタイミングの登録にあわせて薬を特定する特定情報を登録する機能を備えるとよい。制御部MCは、受け付けた特定情報を薬等の飲むタイミングのスケジュールに関連付けて記憶し、薬等を飲むタイミングの報知では、特定情報も合わせて報知する。これにより、報知を受けた対象TGは、薬等を飲むタイミングが来たことに加え、飲むべき薬等の種類もわかるので、薬の飲み間違いの発生を可及的に抑制でき、正しい服用を促し、より健康な暮らしを支援することができる。さらに、特定情報には、薬を特定する情報に加え、複数する個数を登録し、報知するとよい。
【0151】
薬は、同時に複数種類を服用することがあり、薬により一日に服用する回数が異なったり、種類毎に服用する個数が違ったりすることがある。特定情報を合わせて報知することで、誤飲を防止し、適量を食することができる。
【0152】
登録する特定情報は、薬等の名前でもよいが、名前と共に或いは名前に変えて画像を用いるとよい。画像は、例えば、カメラ98で薬を撮影し、その撮影画像を記憶するとよい。制御部MCは、記憶した薬の撮影画像をタッチパネル部67に表示する。これにより、タッチパネル部67に表示された画像と、手元にある薬を対比することで、今回飲む薬を容易に特定でき、飲み間違いをより確実に防止できる。このようにすることは、対象TGが薬を飲む行為を適切に行えるよう支援し、対象TGたる人の健康的な生活を確保することにも貢献し得るものである。
【0153】
処方薬が錠剤やカプセルの場合、複数の薬が1個ずつ個包装されたシート状の包装体で提供されることが多いため、その包装体に収納された状態のまま撮影した画像とするとよく、包装体の外部から薬が視認できる場合には薬が見えるように撮影した画像とするとよい。また、処方薬が顆粒を含む粉薬の場合には、一回分ずつ包装袋に収納されているため、その包装袋を撮影した画像を用いるとよい。
【0154】
また、このように定期的に健康のために体内に取り入れるものは、例えばユーザが服用している処方薬以外にも、市販されている各種の医薬品・医薬部外品(薬事法適用)や、サプリメントなど各種のものがあり、それぞれを登録するとよい。サプリメントの場合、蓋付きの容器(パッケージ)に多数錠が収納されている場合がある。この場合、サプリメント自体の画像を登録してもよいが、そのパッケージを撮影した画像とするとよい。また、一回に摂取する数量に関する情報は、数値を入力して登録してもよいが、一度に飲んだり食したりする個数がわかるように撮影した画像を用いるとよい。
【0155】
また、上記の例では、タッチパネル部67を用いて報知したが、例えば対象TGが持つスマートフォンその他の携帯端末等を利用して報知するとよい。対象TGが携帯端末等を携帯しない可能性もあるため、タッチパネル部67を用いた報知が好ましい。
【0156】
また、薬等の画像を登録する場合、例えばインターネット等に公開されている画像を取得し利用してもよいが、カメラ98で撮影した画像を用いると、簡単に登録でき、しかも実際に対象TGが扱うものと同じ物なのでわかりやすくよい。
【0157】
(5-2-3.決まった日時に写真や動画を撮影する機能)
制御部MCは、カメラで撮影する決まった日時の登録を受け付け、記憶する機能を備える。制御部MCは、現在の日時情報が記憶した決まった日時になると、カメラで撮影した写真・静止画や動画を、マイクロSDカード用ソケット15に挿入されるmicroSDカード等の所定の記録媒体に記憶するとよい。これにより、設定した日時に周囲の状況を撮影し記録することができる。例えば、設定した日時を1日に複数回設定すると、1日の様子が履歴として残る。情報処理装置1を設置した住居等にいないユーザU等は、通信端末250を操作し、また、現地に行って情報処理装置1を直接操作することで、記憶された画像を確認することができる。このように映像を決まった日時に撮影して記録することで、精度の高い見守りができる。例えば情報処理装置1を見守りモードに設定し、通信端末250を用いてリアルタイムで情報処理装置1を設置した空間領域の状況をカメラ98で撮影中の画像で確認することができるとしても、常時見続けることは難しい場合があるが、記憶した画像や動画を遠隔から操作して通信端末250で確認することで、履歴の状況から、すぐに現地に行ったり、所定の連絡先に連絡したりする必要の有無等、問題発生の有無の確認を精度良く行える。また、事故等が発生した場合、○○時までは問題が無かったなどの確認・検証を行える。
【0158】
また、防犯モード動作している場合にも、空間領域を撮影した画像等の履歴情報から、状況確認し、例えば、リアルタイムでの見落としがあっても、事後確認することで精度の高い防犯が行える。見守りや防犯の何れの場合も、従来のこの種の装置では、問題があったときに通知が行くのみのものがあるが、1日の様子が履歴として残ることでより精度の高い見守りができる。このようにすることは、対象TGの自宅等の空間領域の防犯効果を高め、ひいては、安心・安全に住み続けられるまちづくりを実現することにも貢献し得るものである。
【0159】
(5-2-4.撮影、録画予約機能)
制御部MCは、カメラで撮影する特定の日時の登録を受け付け事前に記憶する機能を備える。制御部MCは、現在の日時情報が記憶した決まった日時になると、カメラで撮影した写真・静止画や動画を、マイクロSDカード用ソケット15に挿入されるmicroSDカード等の所定の記録媒体に記憶するとよい。特定の日時にカメラ98で撮影した画像や動画を残せる。事前に設定しておくことで設定忘れを防ぐことができる。特定の日時を事前に設定し録画予約を行うことができ、例えば外出中の適宜のタイミングで周囲の状況を録画したいような場合に、設定忘れを防ぎ、例えば防犯目的で監視録画したい場合に適切に行える。
【0160】
(5-2-5.防犯モード・見守りモードの自動切換え機能)
制御部MCは、カレンダー機能に登録されたスケジュール情報に基づき、「見守りモード」(第1のモードの一例)と「防犯モード」(第2のモードの一例)の選択を自動的に行う機能を備える。例えば制御部MCは、スケジュールに外出予定が入っているときなどは、自動で防犯モードに切り替わるように設定する。制御部MCは、例えばスケジュールに来客予定が入っているときなどは、自動で見守りモードに切り替わるように設定する。また、外出予定が入っていない場合には、見守りモードに設定するようにするとよい。在宅であることはスケジュールに登録しないことが多いことから、上記のように設定するとスケジュールに基づき適切にモードの切り替えが行える。このように自動で動作モードが適切に切り替えるため、モードの切り替え作業が不要で、設定ミスもなく、適切なモードで動作させることができる。これにより、在宅中等は見守りモード、不在・留守中等は防犯モードで動作することができる。上記の<4-3.モード切換え機能>の項に記載した手動操作に基づき防犯モードと見守りモードを切り替えることはできるが、毎回手動で切り替えるのが面倒である。自動切り替え機能を用いることで、係る面倒で煩わしい作業が不要となる。
【0161】
また、外出の有無のような具体的なスケジュールの内容に基づくものに限ることなく、例えば、あらかじめ防犯モードの時間帯と見守りモードの時間帯などを設定し、時間に基づいて自動でモードが切り替わるようにするとよい。さらに、防犯モードにする日時を予約できるようにするとよい。設定するのを忘れる可能性があるのでそれを防止する。
【0162】
また、<4-1.見守りモード>と<4-2.防犯モード>は、情報処理装置1と通信端末250を備えるシステム2000の機能として説明したが、この自動モード切替の見守りモードと防犯モードは、必ずしも通信端末250の構成を必要とせず、情報処理装置1が単体で動作する見守りモードや防犯モードとするとよい。例えば、上述した伝言機能や、薬その他の健康情報の報知や、スケジュールに基づく撮影や録画する機能等は、情報処理装置1を設置した空間領域にいる人の健康又は安全な暮らしを支援しており、その人を見守る「見守りモード」の一例である。後述する各機能は、情報処理装置1が行う「見守りモード」や「防犯モード」の一例を構成するものがある。
【0163】
(5-2-6.外出予定中の報知機能)
制御部MCは、登録されたスケジュールの内容が外出に関する場合、人の検知の有無に基づき所定の報知を行う機能を備える。所定の報知は、例えば、外出予定を忘れているユーザ向けの外出を促すメッセージや、留守中の侵入者向けの警報等とするとよい。情報処理装置1を設置した空間領域内にいた人が対象TGの場合、外出予定を思い出し、外出したり所定の連絡をしたりすることができる。また、設置した空間領域内にいた人が侵入者であれば、警報を発することで撃退させたりすることができる。
【0164】
撮影装置を用いて撮影した画像に基づき、顔認証などにより登録されたユーザか否かを認識する機能を備え、認識結果に基づいて報知する内容を変えるとよい。また、そのような認識する機能を備えていない場合、例えばユーザ用と侵入者用のいずれか或いは両方を報知するとよい。また、ユーザ用と侵入者用のいずれか一方を報知する場合、予め設定した方或いはランダムで決定した方とするとよいが、侵入者用とするのがよい。侵入者に対して外出を促すメッセージを報知すると、居住者は外出予定がありしばらくきたくしないことを知らせることになるので、侵入者か否かが不明な場合には、侵入者用の警報のみを報知するとよい。また、見守りモードと防犯モードを備えている場合、見守りモードが設定されている場合に、外出を促すメッセージを報知するとよい。
【0165】
<5-3.メッセージ機能>
図28に示すように、情報処理装置1を設置する空間領域にいる人、例えば対象TGが携帯するスマートフォンなどの第2通信端末260にメッセージが届いたことを制御部MCが検知すると、制御部MCは、メッセージが届いたことを通知し、そのメッセージの内容を読み上げる機能を備える。係る通知や読み上げ処理は、情報処理装置1のタッチパネル部67やスピーカ装置56等を用いるとよい。対象TGとなる高齢親達世代は、スマートフォンは持っていてもあまり見ることがなく、例えば他の人がスマートフォンなどにメッセージを送ってもなかなか見ないということがあり、また、返信が次の日になることもある。本実施形態のように情報処理装置1が、メッセージが届いたときに代わりにメッセージかあることを通知したり、メッセージの内容を読み上げをしてくれるとよい。情報処理装置1と第2通信端末260を接続する通信回線NWは、例えば、Wi-Fi(登録商標)その他の規格の無線通信LANやBluetooth(登録商標)等を用いるとよい。
【0166】
また、メッセージが届いたことの通知は、人の検知に基づいて行うとよい。この人の検知判定は、例えばドップラーセンサ34の出力に基づいて行うとよく、また、空間領域を撮影するカメラ98で撮影した画像に基づいて行うとよく、両者を組み合わせて判定するとよりよい。また、メッセージの再生は、パスワードロックをかけて、メッセージを開封できる人を限定するとよい。
【0167】
<5-4.子機カメラ増設>
図29に示すように、情報処理装置1とは別体に構成される子機カメラ500を1個或いは複数個備え、子機カメラ500を情報処理装置1が設置された空間領域K1とは別の第2の空間領域K2に設置するとよい。子機カメラ500を複数設置する場合、それぞれの子機カメラ500が、相互に異なる空間領域に設置されるとよい。また、子機カメラ500は、所定の通信回線NWを介して情報処理装置1と通信接続可能となり、子機カメラ500で撮影した画像を情報処理装置1に転送し、制御部MCは、転送されてきた画像と、カメラ98が撮影した画像に基づき所定の処理を行うとよい。通信回線NWは、例えば、Wi-Fi(登録商標)その他の規格の無線通信LANやBluetooth(登録商標)等を用いるとよい。
【0168】
このようにすると、例えば情報処理装置1をリビング等の滞在時間が長い部屋に設置し、子機カメラ500を子供部屋やその他の部屋、玄関、廊下の屋内の適宜位置や、庭等の屋外が撮影エリアはいる場所等に設置するとよい。これにより、リビング以外の場所で撮影された画像を取得でき、制御部MCは、広い範囲で人の有無を検知でき、見守りや防犯を行う範囲を広げることができる。上述した各実施形態では、見守りや防犯を行う範囲は、情報処理装置1の本体を設置している空間領域K1の環境に限られるが、子機カメラ500を設けることで情報処理装置1のカメラ98では撮影できない第2の空間領域K2における人の存在も検知可能となり、家の他の部屋の状況も見られるようになる。
【0169】
例えば子機カメラ500を設置したエリアでも何らかの人の動きを検知でき、例えばより精度の高い生存確認ができる。また、カレンダー機能と連携し、登録されたスケジュールに外出予定が登録されている場合に、予定の時間になってもいずれかの人検知部で人を検知し、出かけていない場合などに通知を行うとよい。この場合に、人が感知できない場合は通知を行わないとよい。また、第2の人検知部が、庭等の建物の外部空間を検知エリアに含むように第2の筐体を設置した場合、特に防犯目的に適する。このようにすることは、対象TGの自宅等の空間領域の防犯効果をより一層高め、ひいては、安心・安全に住み続けられるまちづくりを実現することにも貢献し得るものである。
【0170】
また、子機カメラ500は、カメラに加え上記の通信回線NWに接続し通信を行う通信インタフェースや所定の処理を実行する制御部や内蔵するカメラで撮影した画像を記憶する記録媒体等を備えるとよい。この記録媒体には、子機カメラ500で撮影した画像に加え、或いはそれに替えて情報処理装置1で撮影した画像を記憶可能に構成するとよい。
【0171】
また、人の検知は、カメラで撮影した画像に基づいて行うようにしたが、本発明はこれに限ることは無く、ドップラーセンサその他の物体の移動や接近を検知する各種のセンサを用いるとよく、設置数も任意で複数設けるとよい。また情報処理装置1に実装する人検知部と、子機カメラ500に実装する人検知部は、同じでもよいし異なるものとしてもよい。
【0172】
また、子機カメラ500の筐体は、情報処理装置1の筐体と同種のキャラクターの外観を有するとよい。このようにすると、ユーザは、子機カメラ500が、情報処理装置1と関係のある装置・機器であることが直感的に理解でき、また、同種のキャラクターの外観を有することで親しみがわき、子機カメラ500が建物内の適宜の位置にあっても違和感なく受け入れられる。また、大きさについては、子機カメラ500を小さくするとよい。同種のキャラクターは、同一とするとよいが、異なる場合でも仲間や関連性があることがわかるものとするとよい。また、同一キャラクターの場合、相似形とするとよいが、例えば子機カメラ500の外観形状を簡略化する場合でもほぼ同じにするのがよい。
【0173】
また、情報処理装置1は、伝言再生機能による伝言の再生、又は薬その他の健康情報の報知を、カレンダー機能において予定が入っていない時間であって、子機カメラ500に人が映っていないときに行うようにするとよい。このようにすると、伝言再生機能による伝言の再生や、薬その他の健康情報の報知が、情報処理装置1の周辺に対象TGが居るタイミングで行いやすくすることができる。
【0174】
<5-5.生存確認機能>
(5-5-1.タッチパネル部へのタッチ操作に基づく生存確認通知)
制御部MCは、1日の中で決まった時間、例えば設定した時間にタッチパネル部67に対するタッチ操作を受け付けると、この通知等をした後、タッチを受け付けると、制御部MCは、見守りを行っている家族、例えばユーザUに生存確認の通知を送る機能を備える。これにより、例えばユーザUが対象TGから離れた地域に居住しているような場合でも、対象TGの生存を確認し安心することができる。タッチ操作というアクションが加わることで、生存確認の精度が上がる。
【0175】
新聞屋などが、家屋の新聞受けに新聞が溜まっていたら何かあったとして連絡するような見守りと同じような感覚で、ユーザUは何も通知がこなければ何かあったのではないかと疑うことができ、様子をうかがうためのアクションを起こすことができる。
【0176】
制御部MCは、1日の中で決まった時間、例えば設定した時間に画面タッチを促すような通知やアラーム等を出力するとよい。係る通知を発するか否かにかかわらず、タッチパネル部67に対するタッチ操作がなければ「押してください」というようなことを、キャラクターの声でしゃべるようにするとよい。キャラクターの演出によるタッチを促すことで、対象TGがタッチ操作をする可能性が高まる。
【0177】
情報処理装置1を設置した空間領域にいる対象TGは、報知に促されて、アクション、例えばタッチパネル部67へのタッチを行う。このアクションの有無に基づき見守り情報である生存確認通知が、遠隔地にいるユーザUの通信端末250に通知される。通知を受けたユーザUは、アクションの有無に基づきユーザの生存確認ができる。生存確認ができれば、ユーザが健康又は安全な暮らしを行っていることをユーザUが知ることができ、また、生存確認ができない場合には、通信端末250から対象TGの状況を見守り確認し、またユーザUは自ら或いは第三者に対象TGのものに会いに行って状況を確認し、対象TGが健康又は安全な暮らしを行うための必要な処置を行うことが早期に行える。よって、本システムは、人の健康又は安全な暮らしを支援することができる。
【0178】
また、<4-1.見守りモード>に示す見守りは、主導が見守る側のユーザUにあり、例えば、最初のうちは、こまめに見守り機能でスマートフォン等の通信端末250から空間領域を覗いて対象TGの様子をうかがったりするか、そのうち見守る側も慣れてしまってあまり見なくなる可能性がある。本実施形態のように生存確認の通知を送ることで、ユーザUは安心し、通知がないと心配になりスマートフォン等の通信端末250を操作して様子をうかがう契機付けとなる。これは以下に示す各例でも同様である。
【0179】
(5-5-2.タッチパネル部以外の部位への接触に基づく生存確認通知)
情報処理装置1を触る場所は、タッチパネル部67に限ることは無く、例えば、頭部3や胴体部2など、各種の場所とするとよい。頭部3や胴体部2への接触に基づき生存確認通知を行う場合、例えば、頭部3や胴体部2の接触を検知するためのセンサ、例えば、接触検知センサや近接センサや振動センサなどを検知可能な位置に実装し、制御部MCは、センサの出力に基づいて頭部3や胴体部2に対する接触の有無を判定するとよい。
【0180】
タッチパネル部67には、通常時はロボットの顔部62の構成要素の一部となり、目などが表示されていることから、触るのを躊躇するおそれもある。これに対し、情報処理装置1はロボットタイプであり、頭部3をなでたり、胴体部2を軽くタッチしたりすることなどは、小さい子供やペット等をかわいがるときに行う動作の1つであるため、対象TGも違和感なく行いやすいといえる。そこで、制御部MCは、情報処理装置1の頭部3や胴体部2等をなでるなど接触したことを契機として生存確認の通知を送るとよい。
【0181】
また、なでるなどの接触行為が検出されない場合、制御部MCは、キャラクターの声で所定のメッセージを発話し、対象TGのアクションを促すとよい。所定のメッセージは、例えば、「今日はまだなでてもらってないよ」など、なでるなどの所定のアクションを促す内容とするとよい。このようにキャラクターの演出により、所定のアクションを行いやすくなる。
【0182】
生存確認のためにタッチパネル部67へのタッチ操作を行わせる場合、押したくなるような画面表示に切り替えるとよい。例えば、顔部62の表示を、目を閉じた態様にして触ることへの抵抗感を低減し触りやすくしたり、顔の表示を消してタッチ操作に抵抗がないか、触りたい欲求が出る画像を表示したりするとよい。
【0183】
対象TGは、自発的に生存確認のための情報をユーザUに通知したり、情報処理装置1に対して所定のアクションを行うのが煩雑であったり、忘れたりすることがあるが、情報処理装置1からの報知に促されて所定のアクションを行うことで、スムーズかつ簡易に生存確認が行える。
【0184】
(5-5-3.会話等に基づく生存確認通知)
生存確認を行うためのアクションは、情報処理装置1に対する接触行為に限られず、例えば、「おはよう」、「こんにちは」など音声に対し、対象TGが音声で返事をするなどのように、キャラクターとの会話行為に基づくもの、目覚ましのようにアラームがなった場合に、そのアラームを消す行為などの、情報処理装置1が持っている機能に対して対象TGから応答とするとよい。このようにすると、ロボットタイプの情報処理装置1に対して対象TGが通常行う行為をすることで、生存確認を行うことができる。
【0185】
上記の各例において、制御部MCは、対象TGが一度でもタッチパネル部67へのタッチ操作、頭部3等への接触、所定の応対等、所定のアクションを行ったら生存確認の通知を送るようにするとよい。
【0186】
(5-5-4.対象TGの検出等に基づく通知)
1日の間に対象TGが確実に通る場所や、各種の扉などの開閉する場所に検出手段を設置し、その検出手段の検出出力があった場合、制御部MCは、生存確認の通知を出力するとよい。このようにすると、対象TGは、特に意識をすることなく通常の生活を送ると、生存確認通知が出力される。検出手段は、例えば、情報処理装置1のカメラ98、子機カメラ500等の撮影装置や、ドップラーセンサ34や近接センサ、赤外線センサ等の物体の移動や通過を検知するものや、開閉に伴いオンオフするスイッチ等とするとよい。通る場所に設置した検出手段は対象TGを直接的に検出し、開閉を検出する検出手段は対象TGを間接的に検出する。また、家庭内の家電のリモコンの操作情報、家電のON、OFFなどの情報を取得し、係る操作を検出した場合に制御部MCは、生存確認の通知を送るとよい。
【0187】
<5-6.緊急通知機能>
情報処理装置1は、リモコンよる操作(リモコン操作ともいう。)に従って自装置の動作を制御するとよい。リモコンは、情報処理装置1が自装置の筐体の外部に備える構成、例えば情報処理装置1の付属品としてもよいが、情報処理装置1の外部の通信端末としてもよい。そのような通信端末としては、スマートフォン、タブレット型コンピュータ等の汎用的に使用される通信端末がある。リモコンは、少なくとも緊急時に予め登録した通知先に通知するための操作部を備える。その操作部が操作されると、制御部MCは、見守りを行っている家族、例えばユーザUに確認を促す通知を行う。守られている側例えば対象TGが、ちょっと見てほしいときに、見守られる側が操作部を操作することで、その意思が見守っているユーザUに伝わる。これにともない、ユーザUは、通信端末250を操作して情報処理装置1から様子を見たり、自ら或いは近くの人が現地に駆けつけたり、ユーザU側から対象TGに対して連絡を取ったり、警察・消防署へ緊急連絡をしたりするなど所定の行為を迅速に行える。これにより、例えば何らかの緊急状態に陥った対象TGは、早期に適切な対処がなされ、その人の健康又は安全な暮らしを支援できる。
【0188】
操作部は、ワンタッチ、ワンクリックなど簡単な操作で指示入力ができる構成とするとよい。簡単な操作をすることで、迅速に緊急状態にあることを知らせることができる。緊急時に何階層かある操作をして電話をかけるなどはなかなか難しいが、例えば1アクションで通知が行って、相手側から連絡させるような機能となるのでよい。
【0189】
例えば情報処理装置1に緊急通報ボタンを設け、その緊急通報ボタンを対象TGがタッチする構成としてもよいが、対象TGが情報処理装置1から離れた位置で緊急事態となった場合に情報処理装置1の設置位置まで対象TGが到達できない場合がある。このような場合でも、対象TGがリモコンを携帯し、その操作部を1アクションすることで所定の連絡先に通知が行くようにすることで、より迅速かつ確実に通知を行うことができる。
【0190】
通知の連絡先は、情報処理装置1に接続して外部から見守りをすることのできるユーザUとするとよいが、ユーザU以外としてもよい。ユーザU以外の通知先としては、例えば、情報処理装置1を設置した住居等の近くにいる人、その他の緊急連絡先とすると、通知を受けた人がすぐに対象TGのもとにうかがえるのでよい。
【0191】
<5-7.バックアップ機能>
情報処理装置1は、通常時は電源用ジャック14にACアダプタ付の電源コードを装着し、商用電源からの電源供給を受けて動作する。また、補助電源の一例である内部バッテリーを搭載し、例えば外部からの電源供給が遮断された場合、少なくとも制御部MC、カメラ98,マイクロSDカード用ソケット15,通信部37等に電源供給を継続し、カメラ98で空間領域を撮影し、所定の記録媒体に記憶したり、通信部37を用いて画像を外部に転送したりするなどといったバックアップに必要な処理を実行可能にする。係る処理は、情報処理装置1が防犯モードに設定されている場合に行われ、見守りモードに設定されている場合には行われないようにするとよい。
【0192】
このようにすると、例えば防犯モードで動作中に電源コードが抜かれ、外部からの電源供給を受けられずに電源断になっても、内部バッテリーからの電源供給を受けて少なくとも映像の記録に必要な機器は動作し、カメラ98で撮影した画像を継続して記録できる。例えば防犯モードで動作しているときに泥棒等の侵入者が入り、情報処理装置1のカメラで録画していることに気づくと、侵入者は例えば情報処理装置1の電源を切って動作を停止させたり、カメラ98のレンズを隠したりすることが予想される。そして電源スイッチ8を見つけるのは煩雑であることから、電源コードを抜いて電源断にすることが予想される。
【0193】
本実施形態では、情報処理装置1は、防犯モードが働いているときに電源を切られた場合、内部バッテリーなどでしばらく駆動して動画や画像を撮り続け、記録することができる。また、情報処理装置1は、電源断となった場合、撮影した画像は、情報処理装置1とは別の場所にある記録媒体に転送もしくは保管するとよい。この場合に転送等する対象画像は、少なくとも電源断が生じた後に撮影した画像と、生じる前の所定期間に撮影して記憶した画像とするとよい。別の場所にある記録媒体は、例えば、上述した子機カメラ500に記録媒体を実装している場合、情報処理装置1は、その子機カメラ500の記録媒体に転送するとよい。侵入者が情報処理装置1を持ち去ったとしても、侵入者を記録した画像は子機カメラ500に残る。特に、上述した例では、子機カメラ500は、情報処理装置1を設置した空間領域K1と異なる場所である第2の空間領域K2に設置しているため、子機カメラ500の存在を気がつかれにくく、子機カメラ500まで持ち去られる可能性は少ない。また、転送先は子機カメラ500に限ることは無く、例えば、ユーザUの通信端末250としたり、それとは別の記憶装置としたりするとよい。また、電源スイッチ8による操作により電源OFFになった場合も同様に内部バッテリーにより撮影・記憶が継続して行える動作するとよい。
【0194】
また、情報処理装置1は、防犯モードのときは、電源スイッチ8の操作を無効にし、電源スイッチ8の操作に基づいて電源が切れないように構成されているとよい。例えば、電源スイッチ8のオン/オフの状態に応じて、制御部MCが情報処理装置1の電源をオン/オフする電源制御を行う機能を有し、電源スイッチ8をオフする操作の信号を受け取った場合でも、防犯モードのときには電源をオフしないように、言い換えると電源オンの状態を維持するように、電源制御を行うとよい。このようにすると、情報処理装置1は、防犯モードのときには、仮に意図しない電源オフの操作が行われたとしても、継続して動作することができる。
【0195】
またカメラ98をふさがれると証拠が残せないため、例えば情報処理装置1と同室に子機カメラも設置し、情報処理装置1のカメラ98の撮影領域と重複する領域を子機カメラで撮影可能に設定するとよい。そして、情報処理装置1は、少なくとも防犯モードで動作中は、子機カメラで撮影した画像を内部メモリに保存したり、スマートフォン等の外部の記録媒体に転送し保存したりするとよい。また、子機カメラでの撮影並びに保存は、防犯モードの動作中に常時行うことなく、情報処理装置1の動作と同期させ、カメラ98で撮影した画像を記憶している間は子機カメラでも記憶するとよい。
【0196】
また子機カメラ500と相違し、本実施形態に用いる子機カメラ500の筐体は、情報処理装置1と同種のキャラクターの外観にせず、異なるキャラクターとしたり、シンプルで目立たない形状としたりするとよい。
【0197】
<5-8.防犯モード時犯人撃退メッセージ発話機能>
情報処理装置1は、防犯モード時にドップラーセンサ34やカメラ98などの人検知手段により侵入者・犯人を検知した場合、制御部MCは侵入者に対してメッセージを報知する機能を備えるとよい。このようにすると、侵入者を検知した場合にその侵入者に対してメッセージを報知することができる。メッセージは、侵入者が窃盗・器物破損その他の犯行を留まるような内容のものとするとよい。係るメッセージの一例としては、「証拠画像を保存しました」、「110番通報します」、「警備会社に通報しました」などとするとよい。係るメッセージを聞いた侵入者は、警察や警備員が到着する前に逃げることが予測でき、情報処理装置1が侵入者を撃退し、防犯機能を発揮する。
【0198】
通報に関しては、実際に行ってもよいが、行わずに侵入者への威嚇を目的としたダミーのメッセージを出力するとよい。特に110番のように警察への通報は、実際に行わないようにするとよい。防犯モードの場合、不在のため仮に警察官が駆けつけても対応できず、警察官に迷惑を掛けるおそれが高いためである。
【0199】
<5-9.防犯モード時に犯人に声掛け機能>
防犯モードの動作中にドップラーセンサ34やカメラ98等の人検知手段により侵入者・犯人を検出すると、制御部MCは、侵入者に対して声掛けをし、侵入者・犯人をおびき寄せてカメラ98で顔写真をとり、所定の記録媒体に記憶する機能を備えるとよい。
【0200】
声掛けは、例えば、「こっち来い」などと単純に呼び寄せる報知を行うとよく、侵入者に情報処理装置1の存在を気が付かせ、情報処理装置1が防犯機器であること認識させることができるものとするとよい。特に本実施形態の情報処理装置1は、キャラクターの外観を有し、癒やしを目的としたロボット等で防犯機器と認識されにくいので、積極的に声かけをするとよい。侵入者を呼び寄せる報知は、例えば、上記のように音声によるメッセージの他、アラームなどの音を用いた報知、発光による警告・威嚇等、存在を知らせる報知とするとよい。例えば、ディスプレイなどの表示部を備えている場合、所定のメッセージを文字や画像で表示出力するとよい。このようにすると、存在を気が付いた侵入者が表示された所定のメッセージを見ようとして近づくことを促すことができる。
【0201】
防犯機器であることを気が付いた侵入者は、証拠を消したいという犯罪心理から情報処理装置1に近づき、動作を停止させようとすることが行われやすい。制御部MCは、呼び寄せることで接近或いは接触した侵入者を撮影し、侵入者情報の一例である顔写真を撮影し、記憶する。これにより侵入者逮捕のため有益な情報を取得できる。この撮影した顔写真等は、情報処理装置1が備える内部メモリや所定の記録媒体に記憶したり、外部の記録媒体に記憶すべく転送したりするとよい。
【0202】
また、このよう呼び寄せる声掛けは、侵入者を検知すると常に行ってもよいが、例えば既に近くにいる場合には報知せずにそのまま撮影し、遠い場合には呼び掛けるとよい。
【0203】
<5-10.防犯モード時に指紋を取得する機能>
情報処理装置1は、指紋採取部を備えるとよい。指紋採取部は、例えばタッチパネル部67の所定領域に撮影部を配置し、所定領域に指が触れた場合に、その指の表面を撮影し、指紋情報取得するように構成するとよい。
【0204】
また制御部MCは、指紋採取部を配置した所定領域に侵入者が指をタッチするような報知を行うとよい。このようにすると、報知に促されて近づいてきた侵入者は、表示画面の表示を見て、タッチパネル部67の所定領域をタッチする。このタッチに基づき、制御部MCは、侵入者の指紋を採取する。
【0205】
制御部MCが行う報知は、例えば防犯モード時に人の侵入を感知したときにアラームが鳴りだし、画面に「アラームオフします」のようなメッセージとともにアラーム消すためのボタンを指紋採取部の所定領域に表示するなど、アラームを消すための画面タッチを促すとよい。侵入者は、犯罪心理からアラームのような大きな音が鳴り続けるのを嫌うため、アラームを消す操作を行いがちである。そして侵入者は、上記の促しに応じて画面をタッチすると指紋が取得できる。アラームの音は、緊急時・非常時にならす警報音のような音としてもよいが、目覚まし時計や予定を通知する際に出力する音と同じにするとよい。警報音のような音を鳴らすと、上記の<5-8.防犯モード時犯人撃退メッセージ発話機能>の項で説明したように、威嚇することでそのまま犯人が逃げることも考えられるが、通常の目覚まし時計等で出力される音の場合、侵入者は逃げるよりも音を消そうと考え行動する可能性が高くなる。
【0206】
また、指紋を採取するための報知等は、上記のようなアラームに限ることなく、指でタッチしたくなるような報知・行為をするとよい。
【0207】
上述した実施形態の情報処理装置1は、単独の装置として本発明のシステムの一実施形態を構成する。また、例えば情報処理装置1と通信端末250を備えたシステム2000や、情報処理装置1と所定数の子機カメラ500を備えるシステムや、リモコンと情報処理装置1を備えるシステムなども本発明のシステムの一実施形態を構成する。
【0208】
次に第2実施形態を説明する。第2実施形態は、システムの一例として表示装置に適用した例である。
[6.表示装置100の概要]
図30は、一実施形態に係る表示装置100の概要を説明する図である。表示装置100は、ユピテルのマスコットキャラクターである霧島レイ(以下、「レイ」と称する。)をホログラム(表示装置100では、2Dホログラム)のように映し出し、ユーザがレイとの会話や映像を楽しむことができる。レイが表示されている画面において、レイは瞬きする。以下の説明では、表示装置100は、待受画面においてレイを表示する場合を説明する。待受画面は、表示装置100の電源がONされた状態での平常時の画面である。
【0209】
図30Aは、表示装置100の斜視図である。
図30A(a)は、表示装置100の斜視図であり、表示装置100が空中画像130を表示していない状態を図示している。
図30A(b)は、空中画像130を表示した状態の表示装置100の斜視図であり、表示装置100に空中画像130が表示された状態を図示している。
図30A(c)は、
図30A(a)に記載の表示装置100に空中画像130の結像面140を追記した表示装置100の正面図である。結像面140は破線で示されている。
図30A(d)は、
図30A(b)に記載の表示装置100に空中画像130の結像面140を追記した表示装置100の正面図である。結像面140は破線で示されている。
図30B及び
図30Cは、表示装置100に表示されるキャラクターを説明する図である。
【0210】
表示装置100は、出願人である株式会社ユピテルのマスコットキャラクターである霧島レイを、ホログラムのように映し出し、ユーザがキャラクターとの会話やキャラクターの映像を楽しむことができるようにすることをコンセプトとした表示装置である。表示装置100は、キャラクター(後述するキャラクター131)を空中画像130により表示させることにより、そのキャラクターがホログラムのよう空間に浮かび上がらせるようにしている。その意味で、空中画像130は、ユーザが視認したときに浮遊感を得ることのできる浮遊映像として把握されてもよい。このように、表示装置100は、ユーザが立体感を得ることのできるキャラクターが存在すると認識することができるように空中画像130を表示する。その意味で、表示装置100は、バーチャルフィギュア、バーチャルサイネージ等と呼んでもよい。
【0211】
表示装置100は、構造の特徴として、例えば以下の特徴を有する。
・ホログラムのように映し出されたキャラクターを空中画像130により表示し、ユーザがキャラクターと向かい合い(例えば正対し)、キャラクターに触れられるようにすること。
・非接触操作を検知する非接触センサを搭載し、ユーザによる空中画像130にタッチして操作(後述する、空中操作又はジェスチャー操作)を検知すること。
【0212】
また、表示装置100は、キャラクターとユーザとの間で、疑似的なコミュニケーションを実現する機能を実行する。このようなコミュニケーションに関する機能は、例えば、ユーザがキャラクターと会話をしたり、ユーザがキャラクターの身体に手で触れ、それに対してキャラクターが反応したりする、といったコミュニケーションを実現する機能である。
【0213】
コミュニケーションに関する機能に関する特徴として、例えば、以下の特徴を有する。
・キャラクターが時刻をお知らせする機能。
・無線LAN等を介してインターネット回線に接続し、所定のサーバ装置と通信することで、天気をキャラクター教えてくれる機能。
・音声認識機能(例えば、ローカル音声認識)を搭載し、ユーザがキャラクターとの会話、対話をする機能。
・会話、対話の内容や、ユーザによるタッチ操作により、ユーザとキャラクターとの関係、例えば、キャラクターのユーザに対する感情が変化すること。
・ユーザとキャラクターとの関係に応じて、キャラクターの動きやフレーズが変わり、ヒューマニティあふれるキャラクターとの共同生活を楽しめるようにすること。
・家電等の外部機器を制御する機能。
ただし、表示装置100は、これらの全ての機能を有することを必須とするものではなく、少なくとも一部の機能を有しなくてもよいし、これら以外の機能を有してもよい。
【0214】
次に、第1のキャラクターの一例であるレイについて、
図30B及び
図30Cを参照して説明する。キャラクター131は、レイの外観(容姿)を表示した映像である。以下の説明において、「キャラクター」と称する場合、表示装置100に表示されたキャラクターの映像を指す場合もあれば、キャラクター自身(例えば、レイ自身、レイそのもの)のことを指す場合もある。レイの一日についての概要が、
図30Bに示されている。サイバネティック少女であるレイは、現実の時間と連動して、着替えたり、睡眠をとったりする。
図30B(a)、及び
図30B(b)は、レイが起きているときに表示されるキャラクター131の一例を示す図である。レイは、早起きであり、5時00分に起床する。レイが起きている時間帯のうち、8時00分~20時00分の時間帯は、
図30B(a)に示すように、スカート姿のキャラクター131として表示される。レイが起きている時間帯のうちのそれ以外の時間帯、つまり、5時00分~8時00分、及び20時00分~0時00分までの時間帯は、
図30B(b)に示すように、別の衣装であるパジャマを着用した姿のキャラクター131として表示される。レイは、夜間(0時00分~5時00分)は眠っている。この時間帯においては、
図30B(c)に示すように、パジャマを着用して眠っている様子のキャラクター131として表示される。レイが起きている時間帯は、ユーザ200はレイと対話することができるが、レイが眠っている時間帯は、レイとのやりとりが制限される。この時間帯においては、ユーザは、レイに代わって、レイが飼っている猫のキャラクターであるテル(第2のキャラクターの一例)と対話することができる場合がある。テルは、例えば、
図30B(d)に示すキャラクター150として表示される。ユーザは、レイが起きている時間帯においても、所定の状況下においては、テルと対面し、コミュニケーションをとることがある。
【0215】
レイは、感情を変化させることがある。レイが嫌がる行為をユーザがした場合には、レイが怒ってしまう(つまり、不機嫌になってしまう)ことがある。この場合、レイが、例えば、拗ねてしまって不機嫌な受け答えをしたり、受け答えができなくなってしまったりすることがある。
図30C(a)は、レイの機嫌が悪くない状態、つまり通常の状態のときに表示されるキャラクター131を示す。
図30C(b)は、レイが不機嫌な状態、つまり、怒っている状態のときに表示されるキャラクター131を示す。レイが不機嫌であるときには、ユーザが名前を呼んで謝ってみると許してくれることがある。また、レイは一晩寝たら昨日のことなんかもしかしたら忘れて機嫌が直ることがあるという性格である。
【0216】
[7.表示装置100の構成]
次に、表示装置100の構成を説明する。
【0217】
図30Aに従う実施形態では、ユーザ(
図31Aに示すユーザ200)は、空中画像130を空間上に浮かび上がっているような感覚で視認することができ、特に、表示装置100は、ユーザが立体感を得ることのできる立体視画像として、空中画像130を表示させる。表示装置100は、ユーザ200側に開口した筐体110を有し、その内部の空間に空中画像130を表示させる。
【0218】
ユーザ200は、筐体110に具現化された箱の中からユーザ200側(正面側)に飛び出してきた、立体感を得ることのできる空中画像130を視認することができる。詳しくは後述するが、筐体110の内部は比較的暗い環境に維持されていることも、キャラクターが浮かび上がっているような感覚をユーザ200が得られることに寄与している。このようにして、表示装置100においては、ユーザ200は、空中画像130で表示される対象を、3次元的な対象として認識しやすくなるようにしている(特に
図30A(d)参照)。このように表示することも、ユーザ200が、空中画像130の対象に対してより親近感や愛着を抱きやすくなることに寄与している。
【0219】
図30A(b)、
図30A(d)からは、表示装置100が空中画像130としてキャラクターの画像を表示させていることが見て取れる。表示装置100は、さらに、上述したコミュニケーションに関する機能を実行するように構成されている。それによりユーザ200は、キャラクターと向き合ってコミュニケーションをとっているような感覚を得ることができる。
【0220】
図30A(d)に破線で示されている結像面140は、空中画像130の結像位置を示している。結像面140と、空中画像130とは、同一の面上に存在している。言い換えれば、空中画像130が結像される位置が、結像面140である。結像面140は、仮想的な画像の表示面としても把握することができる。そのことが明確となるように、つまり、空中画像130が、結像面140の前方でも後方でもなく、まさに結像面140そのものにあることが明確となるように、
図30A(d)では、結像面140を表す一方の斜線は空中画像130よりも正面側を通り、他方の斜線は空中画像130の背面側を通るように描写されている。
【0221】
表示装置100は、ユーザ200が片手で把持して持ち運びできる程度の寸法かつ重量の表示装置である。表示装置100は、幅方向(つまり、左右方向)よりも高さ方向(つまり、上下方向)に長い縦長筐体構造である。本実施形態では、表示装置100の外観は、直方体形状である。表示装置100の寸法は、例えば、高さ方向に171.5mm、幅方向に97mm、奥行方向に93mmである。表示装置100の重量は、例えば、約565gである。ユーザ200は、机230の上や台の上等の平らな面(以下「接地面」という。)に表示装置100を置いて、表示装置100を使用する。
【0222】
表示装置100は、ユーザ200側へ表示される空中画像130の表示の傾きを変更できるように構成されている。表示装置100は、空中画像130のユーザ200側に対する表示の傾きを変更できるように構成されている。ユーザ200側に対する表示の傾きは、例えば、ユーザ200の目線の方向に対する空中画像130又は結像面140の傾きをいうとよい。表示装置100は、特に前後方向に表示の傾きを変更できるように構成されるとよく、特に、空中画像130がユーザ200の目線に対して正対するように変更できるように構成されているとよい。
【0223】
表示装置100は、空中画像130の表示の傾きの有無やその傾きの大きさを、ユーザ200が調整できるように構成されている。なお、空中画像130は、平面的に表示される画像に限らず、曲面或いは立体像であってもよい。空中画像の別の表示方式については、後で説明する。また、本実施形態では、「空中画像130の表示の傾き」は、「空中画像130の結像面140の傾き」或いは「開口面700の傾き」(
図36参照。開口面700については後述する)等と読み替えてもよい。
【0224】
それにより、ユーザ200の眼の高さと表示装置100の設置位置の高さとが異なる状態でも、空中画像130の表示の傾きを調整することで、ユーザ200は、正対して空中画像130を見ることができる。この点については
図31Aを用いてより具体的に説明する。
【0225】
空中画像130は、特には
図30A(a)、
図30A(d)の実施形態では、アニメーションベースの女性の人物キャラクターであるが、例えば、男性の人物キャラクター、人間以外の動物(例えば、猫や犬など)、ロボット、仮想的なキャラクター等のキャラクターであってもよい。また、それらの空中画像130は、アニメーションベースとするとよいが、これに限られず、写真ベースであっても、CG(コンピュータグラフィック)ベースであっても、あるいは、それらを組み合わせたものであってもよい。また、空中画像130として、二体以上のキャラクターが同時に表示されてもよい。空中画像130は、何らかの動き(モーション)を伴う動画形式の画像とするとよいが、静止画形式の画像であってもよい。
【0226】
図30A(c)、
図30A(d)では、結像面140は、表示装置100の正面側(ユーザ200側)に設けられた開口面700(
図36参照)の位置に、開口面700とほぼ同じ大きさ(同じ大きさでもよい。)で構成されている。そのため、表示装置100は、ユーザ200が結像面140に対して正対して見た状態で、開口面700の範囲内に空中画像130を表示するように構成となっている。
【0227】
結像面140は、後述するように、開口面700で開口する凹状の空間(後述する第1の空間300)内において、開口面700の位置又はその近傍に表示されるとよいが、これとは前後にずれた位置に表示されていてもよい。ただし、第1の空間300内に結像面140がある方が、それよりもユーザ200側に結像面140がある場合に比べて、空中画像130の立体感を得やすいことを、発明者は確認した。結像面140の大きさは、開口面700の範囲の大きさと異なっていてもよい。「結像面140」は、適宜、「空中画像130」と読み替えられてもよい。
【0228】
筐体110の内部の第1の空間300のユーザ200に近い側の開口面700の位置又はその近傍に、空中画像130を表示させることで、その第1の空間300と相まって、ユーザ200が得られる空中画像130の立体感としてキャラクターの浮遊感や浮き出し感をより高められる効果があるという知見を発明者は得た。浮き出し感は、漆黒の筐体からキャラクターとしての像が浮き出して見えるような感覚をいうとよい。また、空中画像130が、開口面700の位置又はその近傍に表示されると、ユーザ200が自身に近い位置に空中画像130を視認できることになる。そのため、キャラクターとのコミュニケーション等、表示装置100の使用における没入感を高める上で望ましい。
【0229】
なお、近傍とは、例えば、後述するレンズプレート1001から結像面までの距離の前後10%以内程度の範囲内であるとよい。
【0230】
図30A(a)からは、表示装置100の筐体110のフロントケース111及びリアケース112、及び、傾き変更部120の配色が異なっていることが見て取れる。
【0231】
フロントケース111は、例えば黒等の明度の低い色をしているとよい。それにより、
図30A(b)に示されている空中画像130に対してユーザ200が感じる浮遊感を向上させることができる。さらに、フロントケース111は、光の反射を抑える加工として、例えばシボ加工又はマット加工による表面処理(つまり、つや消し)がなされている。それにより、ユーザ200が空中画像130を見るときに、自身の顔が映り込んでしまうのを抑えることができ、例えば、表示装置100の使用における没入感を高めることができる。
【0232】
リアケース112は、フロントケース111に比べてより高い明度の色をしているとよく、例えば、光沢感のある白やシルバー等の色をしているとよい。また、リアケース112は、例えば磨き加工がなされており、艶のある表面となっている。それにより、ユーザ200は、表示装置100に対して高級感や近未来的な感覚を感じやすくなり、また、空中画像130という表示技術の稀有さ、新しさなどを感じ取りやすくなる。
【0233】
図31Aは、一実施形態に係る表示装置100の使用状態や使用環境等を説明する図である。
図31Aでは、表示装置100は、机230上に配置されている。表示装置100は、椅子220に着席したユーザ200に向かって、空中画像130の表示を傾かせた状態で配置されている。ユーザ200が、好ましくは、空中画像130の表示面(つまり、結像面140)から35cm以上離れた位置から見て、かつ空中画像130に正対してこれを視認できるように、表示装置100の筐体110の傾きを変更することができる構成が採用されるとよい。
【0234】
特に、筐体110は、連続的に(例えばシームレスに)或いは無段階的にその傾きを変更できるように構成されるとよい。このようにすると、ユーザ200は、表示装置100を机230に置いたまま、筐体110を好みの傾きに調整しやすくなる。ユーザ200は、筐体110の傾きを調整するときには、例えば、両手で上部をつかむようにして持って、調整するとよい。筐体110の傾きの調整後の傾きは、持続的に維持される。表示装置100は、筐体110の傾きの変化に連動して、表示装置100の内部に備えられた表示ユニット1000の傾きが変更させられることで、ユーザ200側に表示される空中画像130の表示の傾きを調整することができる構成とするとよい。なお、本明細書中における「表示ユニット」とは、「画像表示部」の一例である。
【0235】
例えば、傾き変更部120は、筐体110の下方に位置し、筐体110の傾きを変更する。傾き変更部120の傾きは、机230上に設置された状態では固定されており(つまり、不変であり)、傾き変更部120に対する筐体110の相対的な傾きが変化させられる。傾き変更部120は、ユーザ200の目線に対して正対するように空中画像130を表示できるように、筐体110の前後の傾きを変更可能に構成されているよい。例えば、空中画像130の表示の傾きは水平方向Dhを基準(0度とする。)として、後ろ側に所定の角度範囲で変更できるように構成されるとよい。
【0236】
筐体110を後ろ側に傾かせることは、筐体110の上部が下部よりも後方側となるように傾かせることをいうとよい。筐体110は、例えば0度から25度の角度範囲のいずれかの角度に変更できるように構成されるとよい。ユーザ200の目と空中画像130との相対的な位置関係は、表示装置100の設置位置の高さと、ユーザ200の目の位置といった設置環境によって変化するものであるところ、このようにすると、様々な設置環境でもユーザ200は、空中画像130に正対してこれを見ることができ、ユーザ200による表示装置100の使用における没入感を高めることができる。
【0237】
図31Aの実施形態では、ユーザ200は水平方向Dhに対して俯角Auで、表示装置100に視線を向けており、ユーザ200の視線方向Duは、表示装置100の空中画像130に対する垂線Lvと一致している。この状態では、ユーザ200は、正対して空中画像130を視認することができる。そして、ユーザ200が自身の姿勢を整えたり、前後に身体をずらしたりしても、ユーザ200の視線方向Duは、おおよそ好ましい空中画像130の視野角の範囲Apに収まるので、ユーザ200は違和感なく空中画像130を認識し続けることができる。範囲Apは、例えば、垂線Lvを中心として上下に10度ずつの角度範囲を有する、20度の角度範囲である。
【0238】
図31Aに示す、ユーザ200、椅子220、机230等の大きさや、それらの相対的な位置関係等は、例示に過ぎない。表示装置100の配置位置や筐体110の傾きを変更することで、ユーザ200は、様々な使用環境において、所望の場所に表示装置100を設置し、これを違和感なく使用することができる。
【0239】
表示装置100は、上述した寸法及び重量でコンパクトな構成であるので、机230の他にも、例えば、棚、シェルフ等の家具、デスクトップコンピュータのケース、モニター台、等の上を接地面として配置することもできる。
【0240】
図31Bは、表示装置100の使用方法を説明する図である。
表示装置100は、ユーザからの入力として、非接触の操作を受け付ける。非接触の操作としては、結像面140(空中画像130と読み替えてもよい)における位置を指定する操作がある。このようなユーザの非接触の操作は、後述する非接触センサ1102を用いて検知される。非接触センサ1102は、ユーザの手指(
図31B(a)では指F)の位置や動きを検知する。非接触センサ1102の構成については詳しくは後述する。非接触センサ1102で検知されるのは、典型的には、ユーザの手指に代表されるユーザの身体の部位であるが、例えば、ペンデバイス等の指示体が用いられてもよい。ユーザからの入力としては、これに限られず、物理ボタンの操作による入力(例えば、メインスイッチ310の押下)や、ユーザの音声(典型的には、ユーザの声)による入力等の方法がある。
【0241】
図31B(b)に示すように、ユーザの非接触の操作としては、例えば、タッチ操作、及びジェスチャー操作がある。タッチ操作は、物理的な面に触れる操作ではなく、仮想的な空中画像130(結像面140といってもよい。)の位置に手指(
図31B(b)では指F)を触れさせてから離す操作である。ジェスチャー操作は、手指を動かして行う操作であり、本実施形態では、フリック操作(フリックともいう。)を想定する。フリック操作は、空中画像130(結像面140といってもよい。)に手指(
図31B(b)では指F)を触れさせて、その触れさせた指Fを払うようにして動かす操作である。
図31B(b)には、フリック操作として、指Fを上下に動かす操作が示されているが、左右や斜めといった方向に動かす操作もフリック操作として検知されるとよい。
このような非接触での操作を可能にする構成は、空中画像130にタッチする操作を可能にするほか、例えばタッチパネルへの指紋の付着というものがなく、衛生面においても望ましい。例えば表示装置100が複数人によって共用される場合でも、表示装置100への接触を通じて他人に菌やウィルスが伝搬する可能性を軽減させることができ、伝染病によるリスクを軽減させる上でも望ましいものである。
【0242】
図32は、一実施形態に係る表示装置100の斜視図である。
図32(a)は、ユーザ200側(正面側)に対して右斜め方向から見た表示装置100の斜視図である。
図32(b)は、背面側に対して左斜め方向から見た表示装置100の斜視図である。
【0243】
表示装置100は、前述の通り、開口面700を通じてユーザ200側へ開口した、凹状の空間として第1の空間300を有している。表示装置100は、更に、ユーザ200が開口面700を介して第1の空間300内へ手指を入れたときに、その手指が到達することができる位置に、メインスイッチ310を有している。メインスイッチ310は、表示装置100が有する操作部のうち、ユーザ200が特に見やすく、かつ操作しやすい位置に設けられた操作部である。メインスイッチ310は、ユーザからの入力を受け付ける受付部の一例である。
【0244】
メインスイッチ310は、表示装置100が有する機能に関する所定の操作を行うための操作部であるが、特に、表示装置100にとって主要な機能の制御が割り当てられているとよい。このような機能として、ユーザ200がキャラクターに話しかけるための機能があり、換言すると、上述したコミュニケーションに関する機能において用いられる音声認識機能の開始(つまり、オン)を指示する機能がある。なお、メインスイッチ310は、それ以外の機能が割り当てられてもよく、例えば、表示装置100の起動や終了といった、使用する機会が相対的に高い機能が割り当てられていてもよい。また、メインスイッチ310は、空中画像130の表示を変更するための機能が割り当てられていてもよい。
なお、本明細書中における「メインスイッチ」とは、「操作部」の一例である。
【0245】
表示装置100(つまり、筐体110)の外周面のうち、表示装置100の右側面(つまり、ユーザ200側から見た右側の側面)には、サブスイッチ320が設けられている。サブスイッチ320は、筐体110、正面側から背面側へ向かう奥行き方向で、少なくとも中心よりも背面側に設けられた、音量制御用の操作部であると6%よい。別の実施形態では、サブスイッチ320は、音量制御用スイッチに代えて又は音量制御用スイッチに追加して、例えば表示輝度調整等のための別の調整スイッチ、各種ボタン、等として機能してもよい。
なお、本明細書中における「サブスイッチ」とは、「第2操作部」の一例である。
【0246】
更に、サブスイッチ320に加えてセンサ窓を介して各種のパラメータを検知するセンサ類(以下では単にセンサということがある。)330が設けられている。
【0247】
具体的には、表示装置100の右側側面には、音量制御用のサブスイッチ320よりも更に背面側には、少なくとも1つのセンサ330用のセンサ窓が設けられている。
【0248】
図32の実施形態では、センサ類330として温度センサ1631(
図45参照)及び照度センサ1632(
図45参照)が用いられている。少なくとも1つのセンサ330として、代替的に又は追加的に、例えば、湿度センサ、圧力センサ(気圧センサ)、二酸化炭素濃度センサ、一酸化炭素濃度センサ、TVOC(総揮発性有機化合物量)センサ、PM2.5センサ、オゾンセンサ等を用いることもできる。
なお、本明細書中における「センサ類」や「センサ」とは、「センサ部」の一例である。
【0249】
また、センサ類としては、例えば各種の環境パラメータ等を検知や検出するいわゆる「センサ」として構成及び実装された構成要素に加えて、センサの用途として利用可能な構成要素を用いることも可能である。例えば、マイクは本来、ユーザ200の声を入力するための構成要素であるが、マイクを外界音検知センサとして利用することもできる。
【0250】
表示装置100は、センサ類330から得られた情報に基づいて、ユーザ200に向けて情報を出力する機能を有するとよく、例えば、コミュニケーションに関する機能に関する制御に用いるとよい。表示装置100は、例えば、センサ類330から得られた情報をユーザ200に対して通知する構成を備えるとよい。表示装置100は、例えば、センサ類330として温度センサが用いられる場合、温度情報に基づいて、「暑いよ~」や「寒いよ~」といった気温に関するフレーズをキャラクターが発するようにするとよい。
【0251】
表示装置100は、気温に応じてキャラクターの衣装が変わる等の演出を行ってもよい。表示装置100は、例えば、センサ類330として照度センサが用いられる場合、照度センサにより測定された照度に応じて、空中画像130の表示の明るさ(例えば、LCD1003の発光輝度)を変更してもよい。また、表示装置100は、後述するように、センサ類330から得られた情報に基づいて、表示装置100と接続された装置を制御する構成を備えるとよい。
【0252】
表示装置100は、表示装置100(つまり、筐体110)の外周面のうち、後ろ側の側面である背面に、電源スイッチ340を有している。電源スイッチ340が、正面側に位置するユーザ200からは視認することのできない背面側に近い位置に設けられていることで、ユーザ200側から視認される表示装置100の外観は簡潔化されている。
【0253】
図32の実施形態では、ユーザ200側から視認されやすい表示装置100の正面側及び上面からメインスイッチ310以外の操作要素を排除した構成である。そのため、ユーザ200は、空中画像130を視認している状態では、その他のサブスイッチ320やセンサ類330、及び電源スイッチ340の存在を知覚しなくなる又は知覚しにくくなるので、空中画像130の視認に集中しやすくすることができる。このようにすると、ユーザ200による表示装置100の使用における没入感を高めることができる。
【0254】
また、
図32の実施形態では、サブスイッチ320やセンサ類330を、表示装置100の外周面に上記のように配置することに伴い、表示装置100の上部をより軽量且つコンパクトな構成とすることができる。例えば、仮に表示装置100の上部に電子部品を収納するための大きな収納空間を確保しようとすると、表示装置100の頭部が肥大化したような印象を与えてしまうおそれがありうる。これに対し、表示装置100においては、頭部をコンパクト化した印象をユーザ200に与えられるようになっており、表示装置100の外観の美観を確保したり、ユーザ200による表示装置100の使用における没入感を高めたりすることができる。
【0255】
更に、
図32の実施形態では、サブスイッチ320がセンサ類330に比べてユーザ200側に存在するので、ユーザ200がサブスイッチ320を操作中でも、センサ窓がユーザ200の手指で覆われにくいので、センサ330による検知に悪影響が及びにくい。
【0256】
図33A、各方向から見た一実施形態に係る表示装置100の外観である。
図33Bは、
図33Aとは別の各方向から見た一実施形態に係る表示装置100の外観である。
図33A(a)は、表示装置100の上面図(平面図)である。
図33A(b)は、表示装置100の左側面図である。
図33A(c)は、表示装置100の正面図である。
図33B(d)は、表示装置100の右側面図である。
図33B(e)は、表示装置100の背面図である。
図33B(f)は、表示装置100の底面図である。
図33A(a)からは、表示装置100の正面幅Wfと背面幅Wbの長さが異なっており、背面幅Wbが正面幅Wfよりも小さいことが見て取れる。更に、表示装置100の上面は、スイッチ等の操作要素を有しておらず、簡潔な外観となっている。そのため、表示装置100の上面は、全体として非常に平滑な構成である。表示装置100の上部から機械的な構成要素を排除したことにより、表示装置100は、上部が軽い構成とすることができる。
【0257】
図33A(a)からは更に、右側面からスイッチが突出していること、及び、スイッチが設けられている位置での表示装置100の幅とスイッチの突出幅の和が、正面幅Wfを超えないことも見て取れる。
【0258】
上記の構成により、ユーザ200が空中画像130に正対して、表示装置100をユーザ200側(正面側)から見た場合に、表示装置100の右側面に設けられたサブスイッチ320やセンサ類330の存在をユーザ200が視認することができない、又は、それらの存在を非常に視認し難いように構成している。
【0259】
それにより、ユーザ200から見て、筐体110の位置で露出したに余計なスイッチ(ボタン)が見えず又は見えにくく、すっきりとした印象を与える。またユーザ200は、表示装置100の外周から外観に関する必要以上の情報を得にくくなり、表示される空中画像130を見ることに集中し、表示装置100の使用への没入感が高まりやすくなる。
【0260】
図33A(b)では、表示装置100の外周面のうち、左側面にはスイッチ等の操作要素が設けられておらず、表示装置100の左側面は全体として非常に平滑な構成である。
図33A(c)では、表示装置100の外周面のうち、表示装置100の正面側(ユーザ200側)において、4つの内壁部400で取り囲まれた第1の空間300が形成されている。この実施形態では、4つの内壁部400は平面状の構成であり、互いにほぼ直交(直交でもよい。)している。ただし、4つの内壁部400のそれぞれの接続部は湾曲していてもよい。更に、内壁部400は、例えば円形状や楕円形状等の連続的に湾曲した1つの内壁部400で構成されてもよい。
【0261】
この実施形態では、内壁部400が正面側(ユーザ200側)から背面側に向かって、中央に向かって傾斜している。そのため、第1の空間300は、開口面700を底面とした、四角錐台状の形状を有している。
【0262】
この構成については、図を用いてより詳細に説明する。
図33B(d)では、表示装置100の外周面のうち、右側面にサブスイッチ320及びセンサ類330が設けられている。これらの構成については、
図32との関連で既に説明した構成と同様である。
【0263】
図33B(e)では、表示装置100の外周面のうち、背面側で露出する位置に、電源スイッチ340と2つの接続口が設けられている。この実施形態では、接続口の一方は、電源ケーブル910を挿入するための電源ジャックであり、接続口の他方は、例えばデバッグ用ケーブル等を接続するためのものである。
【0264】
図33B(f)では、表示装置100の外周面のうち、底面1020に、4つの滑り止め(符号はそれらのうち1つにのみ付している)及び脚部810(
図37参照)が設けられている。
【0265】
滑り止めは、底面1020のその他の領域を構成する材料(例えばプラスチック)よりもより高い摩擦力を有する、例えばゴム等の物質から構成されているとよい。滑り止めは、底面1020のその他の領域からわずかに突出していると、表示装置100の重量が突出した滑り止めに集中し、接地面に対する滑り止めの摩擦力が増加するため、滑りや転倒を防ぐことができるのでよりよい。
【0266】
この実施形態では、脚部810は、表示装置100の接地面側へ向かって突出可能に構成されている。脚部810は、例えば、ユーザ200が底面領域に収容された状態から、回転軸の周りで回動させられることにより、接地面側へ向かって突出するチルトスタンドとして構成されるとよい。また、別の実施形態では、脚部810は、底面領域内に収容された状態でユーザ200が更に押し込むことで、外側(例えば下方側)へ突出するプッシュつまみ状の脚部であってもよい。
【0267】
脚部810は、段階的に又は連続的(例えばシームレス)に突出幅を調整できると、ユーザ200は表示装置100の傾きをより柔軟に調整できるのでよい。
【0268】
図34は、フロントケース111の斜視図である。
図34(a)は、フロントケース111を前方から見た斜視図である。
図34(b)は、フロントケース111を後方から見た斜視図である。
図34は、表示装置100の外周面の正面を形成するフロントケース111の斜視図を示している。
【0269】
フロントケース111は、上記の通り、開口面700を通じてユーザ200側へ開口した、凹状の第1の空間300を取り囲む4つの内壁部400を有している。4つの内壁部400は、上部の内壁部510、左側の内壁部520、下部の内壁部530、及び、右側の内壁部540で構成される。上部の内壁部510、左側の内壁部520、下部の内壁部530、及び、右側の内壁部540の正面側の縁は、第1の空間300の正面側の開口面700を画定している。第1の空間300の背面側の開口面710は、例えば後述のフロントパネル1101により塞がれる。
【0270】
4つの内壁部400は、開口面700(
図36参照)から表示装置100の背面側への距離の増加に従い互いに対向する内壁部400同士の間隔が縮小するように、傾斜している。内壁部400が表示装置100の背面側へ向かって徐々に狭まっていく構成により、ユーザ200が第1の空間300について認識する遠近感が強調される。
【0271】
上記の構成により、ユーザ200は、開口面700の範囲に表示される空中画像130と共に内壁部400を目視しやすくなり、且つ、筐体110の内部の第1の空間300の奥行き感をより感じやすくなる。その結果、ユーザ200は、空中画像130が自身に近い位置に存在する感覚を得やすくなり、筐体110の内部の第1の空間300と相まって、ユーザ200は空中画像130のより強い立体感を得やすくなる。
【0272】
左側の内壁部520には、スリット状の開口部が形成されている。以降、本明細書ではそのような開口部を非接触センサ用開口部550と称するが、これは「開口部」の一例である。
【0273】
左側の内壁部520には、非接触センサ用開口部550に並列して、非接触センサ用開口部550よりも表示装置100の背面側(奥側)で左側の内壁部520に沿って延びるダミー溝570L、が形成されている。ダミー溝570Lと連続して、上部の内壁部510にはダミー溝570(570T)が形成されている。ダミー溝570(570T)と連続して、右側の内壁部540にもダミー溝570(570R)が形成されている。
【0274】
非接触センサ用開口部550に並列して延びるダミー溝570が左側の内壁部520、上部の内壁部510、及び、右側の内壁部540に沿って形成されている構成により、ユーザ200が、非接触センサ用開口部550を内壁面のデザインとして認識しやすくなる。特に、下部の内壁部530は、左側の内壁部520、及び右側の内壁部540と同様、ユーザ200によって比較的視認されやい内壁部であるが、下部の内壁部530には、ダミー溝570は延びていない。そのため、ダミー溝570は、非接触センサ用開口部550と相まって、左右対称のデザインとして認識されやすい。なお、別の実施形態では、左側の内壁部520、上部の内壁部510、及び、右側の内壁部540に設けられたダミー溝570と連続するように、下部の内壁部530にもダミー溝が設けられていてもよい。
【0275】
なお、ダミー溝570は、上部の内壁部510において相対的に上側に凹んだ部位であり、左側の内壁部520において相対的に左側に凹んだ部位であり、右側の内壁部540において相対的に右側に凹んだ部位である。これらの凹みがユーザ200の視覚によって段差として認識されることにより、非接触センサ用開口部550とダミー溝570とが相まって内壁面のデザインとして認識されやすくなる。そのため、別の実施形態では、上述したダミー溝570に代えて又はそれに追加して、同様に段差とし認識されるステップ状の段差を設けることでも同様の、又は、より強化あるいは改善された、視覚的な効果をもたらすことができる。例えば上述したダミー溝570に代えて、ステップ状の段差を設ける構成では、段差をユーザ200が視覚的に認識することができるように、ステップ状の段差は、表示装置100における奥側のほうが正面側よりも、内壁部400で囲まれた第1の空間300の側に突き出ているように、上部の内壁部510、左側の内壁部520、及び右側の内壁部540のそれぞれに形成されているとよい。また、それぞれの内壁部(上側の内壁部510、左側の内壁部520、下側の内壁部530、及び、右側の内壁部540)の傾きを、段差の前後で一定に設計することで、表示装置の外観を簡潔にすることができることに加え、製造コストを下げることができる。
【0276】
それぞれの内壁部の傾きを段差の前後で変更する構成では、例えば後述する非接触センサが放射する光の内壁部の表面での反射方向を、より柔軟に設計することができる。
【0277】
また、更に別の実施形態では、例えば上述したダミー溝570に代えて段差を設け、段差よりも正面側では、上側の内壁部510と下側の内壁部530、及び、左側の内壁部520と右側の内壁部540を、それぞれ平行に設計してもよい。
【0278】
また、スピーカ1104からの音声を放音するための複数の開口部からなる放音孔640が、左側の内壁部520の前縁に対して傾斜した状態で形成されている。放音孔640は、音を透過させる音透過部の一例である。音透過部は、例えばメッシュ状の部材を用いる等して、左側の内壁部520よりも音を透過させやすい部位であるとよい。この実施形態における非接触センサ1102は、例えばAirタッチセンサ等とも称され、空中でのユーザ200の手指の動き等の非接触で行う操作を検知することができるものである。非接触センサ用開口部550は、非接触センサ1102の検知領域の一辺の長さに対応し、非接触センサ1102からの光が通過する。非接触センサ1102は、ユーザからの入力を受け付ける受付部の一例である。
【0279】
左側の内壁部520と同様に、右側の内壁部540にも、スピーカ1104用の放音孔640が右側の内壁部540の前縁に対して傾斜した状態で形成されている。この放音孔640も、音を透過させる音透過部の一例である。音透過部は、例えばメッシュ状の部材を用いる等して、右側の内壁部540よりも音を透過させやすい部位であるとよい。
下部の内壁部530には、メインスイッチ用開口部560が形成されている。
【0280】
後述するように、
図5の実施形態のフロントケース111は、左側の内壁部520の上下方向に沿って非接触センサ1102を有する構成であるが、外観上の統一感のために、右側の内壁部540に同様のスリット状の開口部をダミー開口部として形成することも可能である。
【0281】
また、別の実施形態では、左側の内壁部520、上部の内壁部510、及び、右側の内壁部540に、1本の連続したスリット状の開口部が、非接触センサ用開口部550及びダミー開口部を一体化した開口部として、形成されていてもよい。
【0282】
フロントケース111の互いに対向する内壁部同士の間隔が、ユーザ200側の開口面700からフロントケース111の背面側の開口面710へ向かって、徐々に狭まっていく形状により、ユーザ200に対して、ユーザ200側の開口面700付近に表示される空中画像130に対して、その周りのフレーム(フロントケース111の4つの内壁部400(510、520、530、540))は、より遠近感が強調された視覚効果を与えることができる。
【0283】
それによりユーザ200は、表示される空中画像130が、より浮き上がっているような感覚や実際よりも長い奥行きを超えてユーザ側へより接近しているような感覚を得やすくなく。
【0284】
図35Aは、各方向から見たフロントケース111の外観の例である。
図35Bは、
図35Aとは別の各方向から見たフロントケース111の外観の例である。
図35A(a)は、フロントケース111の上面図(平面図)の例である。
図35A(b)は、フロントケース111の左側面図である。
図35A(c)は、フロントケース111の正面図である。
図35B(d)は、フロントケース111の右側面図である。
図35B(e)は、フロントケース111の背面図である。
図35B(f)は、フロントケース111の底面図である。
図35(a)では、フロントケース111の上部の内壁部510には、より具体的には、表示装置100のユーザ側へ開口した第1の空間300を取り囲む内壁部400(510、520、530、540)の内壁面とは反対側(以下、単に「内壁部400の内壁面とは反対側」という。つまり内壁部の裏側である。)には、マイクロホン(以下「マイク」と称する)1040用の集音孔620及びマイク収容部610が形成されている。集音孔620は、音を透過させる音透過部の一例である。音透過部は、例えばメッシュ状の部材を用いる等して、上部の内壁部510よりも音を透過させやすい部位であるとよい。
【0285】
図35A(b)では、フロントケース111の左側の内壁部520には、より具体的には内壁部の内壁面とは反対側に、非接触センサ用開口部550、センサ収容部630、放音孔640、及び、スピーカエンクロージャ650が形成されている。
【0286】
図35A(c)のその他の構成は、既に、
図33A(c)、
図5(a)との関連で説明したものと同様である。ダミー溝570は左側の内壁部520、上部の内壁部510、及び、右側の内壁部540に沿って形成されている。
【0287】
なお、
図35A(c)に記載の破線B-B’は、
図36(a)の断面図との関連を説明するための仮想の線であり、実際に視認できるものではない。
【0288】
図35B(d)では、フロントケース111の右側の内壁部540に、より具体的には内壁部400の内壁面とは反対側に、
図35A(b)のフロントケース111の左側の内壁部520と同様に、放音孔640、及び、スピーカエンクロージャ650が形成されている。
【0289】
図35B(d)に図示されるフロントケース111の右側の内壁部540には、
図35A(b)のフロントケース111の左側の内壁部520とは異なり、非接触センサ用開口部550及びセンサ収容部は設けられていない。但し、
図35B(d)に示す様に、フロントケース111の右側の内壁部540の、左側の内壁部520の非接触センサ用開口部550に対応する破線の位置に、ユーザ200側から見て左右対称な外観となる様に、ダミー開口部660を設けてもよい。
【0290】
このようなダミー溝等の段差を設けた実施形態では、表示装置100をユーザ200側から見たとき、左右双方の内壁部400に、同様のスリット状の開口部が存在するので、左右対象な外観となり、ユーザ200が視覚的な違和感を感じ取ることを回避しやすくすることができる。
【0291】
図35の実施形態では、フロントケース111は、左側の内壁部520に1つのセンサを設けることを想定した構成であるが、別の実施形態では、上部の内壁部510又は下部の内壁部530にセンサを設けてもよいし、右側の内壁部540にセンサを設けてもよい。更に、2つ以上のセンサを設けることで、検知精度や検知できるジェスチャーの種類を増加させることも可能である。
【0292】
例えば、左側の内壁部520と右側の内壁部540の、開口面700(
図36参照)からの距離が異なる位置のそれぞれにセンサを設けることで、又は、上部の内壁部510と右側の内壁部540の、開口面700からの距離が異なる位置のそれぞれにセンサを設けることで、ユーザ200の指の奥行き方向への押し込み具合(例えば、押し込み量(長さ)、押し込みの速度)、例えば表示装置100の前後方向へ波打つような押し込み操作、等を検知できる構成とすることも可能である。
【0293】
図35B(e)からは、フロントケース111を背面側から正面側へ向かって見た状態が見て取れる。
図35(a)と同様に、フロントケース111の上部の内壁部510にはマイク収容部610が、そして、フロントケース111の下部の内壁部530にはメインスイッチ用開口部560が、それぞれ設けられている。
【0294】
図35B(e)からは更に、フロントケース111の内壁部400(510、520、530、540)により囲まれる第1の空間300の背面側の開口面710を見て取れる。
【0295】
なお、
図35B(e)に記載の破線C-C’は、
図36(b)の断面図との関連を説明するための仮想の線であり、実際に視認できるものではない。
【0296】
図35B(f)からは、フロントケース111の下部の内壁部530には、より具体的には内壁部400の内壁面とは反対側には、
図35B(e)と同様に、メインスイッチ用開口部560が形成されていることが見て取れる。
【0297】
図35の実施形態では、放音孔640は、左側の内壁部520及び右側の内壁部540の下部領域に設けられているが、別の実施形態では、例えば左側の内壁部520及び右側の内壁部540の中央領域や上部領域に設けられていてもよい。左側の内壁部520及び右側の内壁部540の中央領域にスピーカ1104用の放音孔640を設ける構成では、スピーカ1104用の放音孔640は、センサ収容部630よりも奥側(つまり、表示装置100の背面側)に配置される。
【0298】
スピーカ1104から発せられる音声が表示装置100の第1の空間300の開口面700からユーザ200側へと伝播するように、スピーカ1104はフロントケース111に取り付けられる。この点については、
図11を用いてより詳細に説明する。
【0299】
図36は、フロントケース111の断面図である。
図36(a)は、
図35A(c)の破線B-B’に沿って見たフロントケース111の断面図である。
図36(b)は、
図35A(e)の破線C-C’に沿って見たフロントケース111の断面図である。
【0300】
図36(a)では、上部の内壁部510が、表示装置100の正面側から背面側へ向かって、フロントケース111の内壁部400(510、520、530、540)により囲まれた第1の空間300が縮小するように、上部の内壁部510の傾斜角度Atで傾斜している。また、下部の内壁部530が、正面側から背面側へ向かって、フロントケース111の内壁部400(510、520、530、540)により囲まれた第1の空間300が縮小するように、下部の内壁部530の傾斜角度Atで傾斜している。
【0301】
図36(a)の実施形態では、上部の内壁部510の傾斜角度Atは下部の内壁部530の傾斜角度Atよりも小さいが、上部の内壁部510の傾斜角度Atと下部の内壁部530の傾斜角度Atを等しくすることも、上部の内壁部510の傾斜角度Atを下部の内壁部530の傾斜角度Atよりも大きくすることも可能である。
【0302】
別の実施形態では、例えば、上部の内壁部510の傾斜角度Atと下部の内壁部530の傾斜角度Atの和が例えば使用されるLCD1003の視野角のような所定の値以下の範囲となるように、上部の内壁部510の傾斜角度Atと下部の内壁部530の傾斜角度Atを調整すると、ユーザ200の視線方向Duを自然と視野角内に誘導することができるのでよい。
【0303】
更に、本願の発明者は、
図39を用いて説明する空間節約的な構成と関連して、下部の内壁部530の傾斜角度Atが45度から50度の間、特には48.5度程度であると、非常にコンパクトな構成を達成できることを発見した。
【0304】
図36(b)では、左側の内壁部520及び右側の内壁部540が、正面側から背面側へ向かって、フロントケース111の内壁部400(510、520、530、540)により囲まれた第1の空間300が縮小するように、左側の内壁部520の傾斜角度Al、右側の内壁部540の傾斜角度Arで傾斜している。
【0305】
図36(b)の実施形態では、左側の内壁部520の傾斜角度Al、右側の内壁部540の傾斜角度Arの大きさは互いに等しいが、左側の内壁部520及び右側の内壁部540は互いに異なる角度で傾斜していてもよい。
【0306】
別の実施形態では、例えば、左側の内壁部520の傾斜角度Al、右側の内壁部540の傾斜角度Arの大きさの和が例えば使用されるLCD1003の視野角のような所定の値以下の範囲となるように、左側の内壁部520の傾斜角度Al、右側の内壁部540の傾斜角度Arを調整すると、ユーザ200の視線方向Duを自然と視野角内に誘導することができるのでよい。
【0307】
図37は、一実施形態に係る表示装置100の異なる傾き状態を説明する図である。
図37(a)は、直立状態の表示装置100の例である。
図37(b)は、傾き変更部120の第1の傾き変更機構により最大(25°)まで傾けられた表示装置100の例である。
図37(c)は、傾き変更部120の第2の傾き変更機構により所定の角度(5°)傾けられた表示装置100の例である。
図37(d)は、第1の傾き変更機構及び第2の傾き変更機構の双方を用いて最大(25°+5°=30°)まで傾けられた表示装置100の例である。
図37の実施形態では、表示装置100の傾き変更部120は、第1の傾き変更機構及び第2の傾き変更機構を有している。
なお、第2の傾き変更機構は、第2の傾き変更部の一例である。
【0308】
図11を用いてより具体的に説明するように、第1の傾き変更機構は、マウントベース800の支持面1110、及び筐体110が有するボトムケース1010から構成されている。第2の傾き変更機構は、マウントベース800の底面1020に設けられた脚部810から構成されている。
【0309】
第1の傾き変更機構及び第2の傾き変更機構は互いに独立した傾き変更機構であり、例えば、第1の傾き変更機構を最大限傾かせた後、第2の傾き変更機構を用いて、表示装置100をユーザ200側から見て更に後方側に傾かせることができる。
【0310】
なお、マウントベース800、脚部810及び底面1020は、フロントケース111と同様、光の反射を抑える加工として、例えばシボ加工又はマット加工による表面処理(つまり、つや消し)がなされている。
【0311】
図37の実施形態等では、マウントベース800の底面1020は同時に表示装置100の底面1020でもある。なお、マウントベース800はベースの一部であり、マウントベース自体をベースと呼ぶこともある。
【0312】
図37(a)において、ユーザ200は紙面に向かって左側に位置し、紙面に向かって右側の方向に向かって表示装置100を覗き込む。この場合
図37(a)の紙面に向かって右側が、「ユーザ200側から見て後方側」であり、「表示装置100の背面側」である。また紙面に向かって左側が「表示装置100の正面側」である。
【0313】
第1の傾き変更機構は、
図37(a)の直立状態から
図37(b)の最大の傾きの状態まで連続的に(例えば、シームレスに)に、マウントベース800或いは接地面に対する筐体110の傾きを変更することができる。なお、第1の傾き変更機構を最大の傾き状態まで傾けたときに、クリック感やクリック音が生じる構成とすると、ユーザ200がそれ以上無理に力を加えることが避けやすくなるので好ましい。
【0314】
なお、この場合の筐体110の傾きとは、表示装置100の接地面に対して垂直な直線に対する、開口面700或いは空中画像130の結像面140の傾きである。
【0315】
図37の実施形態では、ユーザ200は第2の傾き変更機構を用いて、筐体110の傾きの状態を、
図37(a)の直立状態から
図37(c)の傾きの状態へ、容易に調整することができる。
【0316】
図37(c)の実施形態では、第2の傾き変更機構は、固定の角度(5°)の傾き調整を可能とするものであるが、より大きな角度やより小さな角度に設定することもできる。また、多段階的な角度調整や、シームレスで連続的な角度調整が可能な構成を採用することもできる。
【0317】
表示装置100が、第1の傾き変更機構及び第2の傾き変更機構を有していることにより、表示装置100の限られた設計空間を有効に利用し、幅広い角度調整範囲を実現することができる。そのため、ユーザ200は、自身の使用環境に応じて、容易に且つより広い調整範囲で、空中画像130の表示を所望の傾きへ調整することを実現することができる。
【0318】
図37(c)、
図37(d)の第2の傾き変更機構である脚部810を展開した状態では、表示装置100は、その脚部810と、底面1020の背面側領域で、接地面と接触する。
【0319】
図33B(f)の滑り止めと同様に、
図37(c)、
図37(d)の状態で接地面と接触する部位も、ゴム等のより摩擦力の大きな素材で構成されていると、表示装置100をより安定的に設置することが可能となるのでよい。
【0320】
図37の実施形態では、筐体110の左右の両側面が、背面側へ向かうに連れて裾上がりになっている。それにより、マウントベース800に対して筐体110を傾むかせても、筐体110が、マウントベース800や机230や棚等の接地面と接触することを避けることができる。このような構成により、傾き変更部120を実現するための高さの増加を抑えることができる。このような構成により、例えば、ユーザ200に対して、表示装置100の設置に必要な空間に対して、比較的大きな空中画像130を表示することができる。
【0321】
また、例えば傾きの大きさが同じであっても、ユーザ200は設置位置の状態に応じて、
図37(a)、
図37(b)に従う表示装置100の底面1020で接地する第1の態様と、
図37(c)、
図37(d)に従う脚部810及び表示装置100の底面1020の背面側領域で接地する第2の態様と、を選択することができる。
図38は、一実施形態に係る傾いた状態の表示装置100とその表示装置100に接続されたケーブル910、920の関係を説明する図である。
図38(a)は、
図37(b)の傾いた状態の表示装置100を、表示装置100の底面に平行に、背面側から正面側に向かって見た図である。
図38(b)は、
図37(b)の傾いた状態の表示装置100を、表示装置100の上面に平行に、背面右側から正面左側に向かって見た図である。
図38では、表示装置100の底面1020が、マウントベース800により形成されており、表示装置100に2本のケーブル910、920が接続している。なお、上述したように、
図38の実施形態では、マウントベース800の底面1020(つまり傾き変更部120の底面1020)が、表示装置100の底面1020を兼ねている。ケーブル類は、
図38の実施形態では、電源線を有する給電用の電源ケーブル910と、信号線を有するデータの送受信用のデータケーブル920であるが、これら以外のケーブルであっても構わない。
【0322】
傾き変更部120は更に、背面側に凹部900を有している。本実施形態では、凹部900は、マウントベース800のうちの筐体110よりも背面側に設けられ、上方に向かって開放している。
【0323】
凹部900は、内部にケーブルのコネクタが位置しており、ケーブル910、920は、表示装置100のコネクタ部分に図中の矢印の方向で差し込まれるものであるが筐体110の傾きの状態によらず、表示装置100の背面側の凹部900よりもたらされる空所を通って挿入されるので、挿入時にマウントベース800と接触しない、若しくは接触しにくい構成となっている。
【0324】
同様に、表示装置100に接続されたケーブル910、920は、筐体110の傾きの状態によらず、傾き変更部120(例えば、凹部900の上面)に接触しない、若しくは接触しにくい構成となっている。例えば、表示装置100との接続部がほぼ変形しない(変形しないことを含む。)硬質な材料で形成されているので、ケーブル910、920は、一般的な使用環境下でケーブル910、920の接続部に加わる程度の力では、筐体110の傾きの状態によらず、表示装置100の背面側の凹部900よりもたらされる空所内で、傾き変更部120と非接触状態を維持することができる。
【0325】
ケーブル910、920の硬質部分は、筐体110の傾きの状態によらず、その硬質部分が背面側の凹部900から外側へ出る程度の長さを有しており、その後、柔軟なケーブル部分へと移行する構成であるとよい。そのような構成により、筐体110の傾きがどのように変更されても、ケーブル910、920や接続部(例えば、ジャック部)にストレスが加わるのを抑制することができ、ケーブル910、920の損傷が避けやすくなる。
【0326】
図39は、一実施形態に係る表示装置100の断面図である。
図39からは、
図33A(c)、
図33B(e)のA-A’線で見た表示装置100の断面図を見て取ることができる。
【0327】
表示装置100は、その外周面を構成する筐体110及び傾き変更部(第1の傾き変更機構及び第2の傾き変更機構)120を有している。筐体110は、ユーザ200から視認できる部材として、フロントケース111及びリアケース112を有している。筐体110は更に、第1の傾き変更機構の一部も兼ねた摺動部として機能するボトムケース1010を有している。
【0328】
図39の実施形態では、フロントケース111が、表示装置100の筐体110の正面側(ユーザ200側)を形成している。リアケース112が表示装置100の筐体110の上面、左右の両側面、及び、背面を形成している。ボトムケース1010が、筐体110の下面を形成している。フロントケース111、リアケース112、及び、ボトムケース1010が画定する筐体110の内部空間には、表示ユニット1000が収容されている。
【0329】
図39の実施形態では、表示ユニット1000は、レンズプレート1001、メイン基板1002、LCD(液晶ディスプレイ)1003、及びLCDホルダ1004を有する。なお、本明細書中における「メイン基板」とは、「制御基板」の一例であり、本明細書中における「LCD」とは、「ディスプレイ」の一例である。
【0330】
図39の実施形態では、LCD1003は、左右方向よりも上下方向の長い5インチの液晶ディスプレイである。ただし、ディスプレイとしては、画像光を発する表示面を有する構成であればよく、例えば、有機ELディスプレイやデジタルミラーデバイスを採用したディスプレイ等を用いてもよい。LCD1003は、「表示部」の一例である。
【0331】
図39の実施形態では、LCD1003の表面からレンズプレート1001の中心までの距離D1は、レンズプレート1001の中心から結像面140までの距離D2と等しい。また、
図39の実施形態では、結像面140の位置はフロントケース111の開口面700の位置とほぼ等しい。
【0332】
別の実施形態では、結像面140の位置は、フロントケース111の開口面700の位置からずらして設計されていてもよい。また、更に別の実施形態では、結像面140の位置は、フロントケース111における開口面700の位置から別の位置へ変更可能に設計されていてもよい。そのような構成では、ユーザ200は、より自身の好みに合わせた調整を行うことができる。
【0333】
図39の実施形態では、LCD1003表面からレンズプレート1001の中心までの距離D1及びレンズプレート1001の中心から結像面140までの距離D2は共に30mmから40mm程度の範囲で選択するとよい。上記の距離D1、D2を適切に選択することにより、空中画像130のエッヂやドットを目立たなくすること、空中画像130のボケを低減することができる。
【0334】
フロントケース111の内壁部400(510、520、530、540)の傾斜は、LCD1003の視野角以下の角度で変化するが、特に視野角と同程度であると、ユーザ200の視線を、空中画像130が良好に視認できる範囲に誘導することができるのでよい。それによりユーザ200が空中画像130を角度付けて見ることや、それにより像が見えにくいと感じる状況が発生することを効果的に減らすことができる。
【0335】
更に、フロントケース111の内壁部400(510、520、530、540)が内側へ傾斜していることにより、筐体110内に設けられたLCD1003の外側の枠(額縁領域とも呼ばれる。)等を、ユーザ200の死角に配置することができる。
【0336】
なお、本明細書中における「レンズプレート」とは、「光学系」の一例である。レンズプレート1001は、例えば微小なレンズが複数配列されたマイクロレンズアレイプレートとして構成されている。レンズプレート1001は、3Dレンズとも呼ばれる光学部材である。それぞれの微小なレンズは、LCD1003等のディスプレイが表示する画像や映像を、フロントケース111の開口部側へ結像させることで、ユーザ200側へ空中画像130を表示する。
【0337】
ディスプレイと光学系とを組み合わせた表示方式によって、ディスプレイの表示面とは異なる位置に空中画像を表示することが可能となる。
【0338】
本実施形態では、レンズプレート1001で構成される光学系と、空中画像130(結像面140)との間に、第1の空間300を設けることが可能となる。第1の空間300は、主に空中画像130の後方に存在するものであるが、
図34との関連で説明した強調した遠近感をユーザ200へ与えるためや、後述するスピーカ1104が出力する音声の伝搬空間として利用するため、タッチセンサとして形成されたメインスイッチ310等の操作部へアクセスするための経路として利用するため、表示装置100内部の構成要素を隠すための部材を設けるための空間として利用するため等の、多様な用途や効果を有している。
【0339】
また、光学系がレンズプレート1001で構成され、光学系がリフレクタを有しない構成であることは、表示装置100を直方体形状といった縦長筐体構造で成立させやすくことにも寄与している。
【0340】
LCD1003とレンズプレート1001を組み合わせた空中画像130の表示方式は、LCD1003が発する画像光(つまり、LCD1003が表示する画像)を、空中画像130へと変換する過程で、電気的、電子的な変換等を必要としないため、簡潔な構成で空中画像130を表示することが可能である。また、それに伴い、表示装置100全体の構成要素の総数、演算負荷、消費電力等を低減することができるので、製造コストや使用コストを低減することが可能である。
【0341】
図39の実施形態では、レンズプレート1001の中心から非接触センサ用開口部550の中心までの距離D3は、レンズプレート1001の中心から結像面140までの距離D2よりも短い。別の実施形態では、レンズプレート1001の中心から非接触センサ用開口部550の中心までの距離D3は、レンズプレート1001の中心から結像面140までの距離D2と等しく設計することも可能である。
【0342】
表示装置100の中央よりも背面側に設けられたメイン基板1002は、レンズプレート1001やLCD1003とほぼ平行(平行を含む。以下同じ。)に立てられた状態で配置されている。従って、本実施形態では制御基板は、空中画像130の結像面140よりも後方側に形成された空間に、その基板面が空中画像130の結像面140に対してほぼ平行となるように設けられている。
【0343】
メイン基板1002は、縦配置で、筐体110内に収容されている。メイン基板1002をレンズプレート1001やLCD1003とほぼ平行に配置することにより、表示装置100内での前後方向に延びて配置されることになる構成要素を減らすことが可能となり、空間をより柔軟に利用することが可能となる。
【0344】
本実施形態では、メイン基板1002を縦配置とすることで、ユーザ200側から見た表示装置100の寸法の肥大化を抑制しつつ、空中画像130の結像面140の大きさに応じて制御基板の大きさを大きくすることができる。
【0345】
なお、例えば、LCD1003の下部や上部にメイン基板1002を収容するための収容空間を形成して、そのような収容空間内に制御基板を設けることも可能であるが、この場合、表示装置100の前後方向及び左右方向により大きな空間を確保する必要があり、表示装置100のサイズが大きくなってしまう。また、これに対してメイン基板1002が縦配置で取り付けられた表示装置100では、上述したように頭部の肥大化を抑制でき、よりコンパクトな外観や、より好ましい外観上の美観な確保することができる。
【0346】
筐体110の内部空間には更に、ボトムケース1010上或いは上方に、そして、表示装置100の重心よりも下方に(ボトムケース1010の方向に)、おもり1030及び蓄電手段としてのスーパーキャパシタ1070(電気二重層コンデンサともいう。)を有している。
【0347】
図39の実施形態では、その他の構成要素に比べて比較的高い比重を有するおもり1030及びスーパーキャパシタ1070が表示装置100の下方に備えられていることにより、表示装置100全体の重心位置を下げ、安定性を向上させることができるので、表示装置100は、表示装置100の筐体110の傾きによらず、安定的な状態を保持することができる。これは転倒の防止にも役に立つ。
【0348】
スーパーキャパシタ1070は、不測の電源喪失時でもユーザ情報等を確実に保持し続けるための電力を供給し、このような事態が起こった場合にファイルを閉じるために利用することができる。スーパーキャパシタ1070の代わりにあるいはスーパーキャパシタ1070に追加して、充電池(バッテリ)を使用してもよい。スーパーキャパシタ1070は、おもり1030と同様に、表示装置100の下方に備えられている、そのため、スーパーキャパシタ1070は、表示装置100全体の重心位置を下げるおもりとしての機能も兼ね備えており、より表示装置100の姿勢の安定性を向上させることができる。
【0349】
更に、おもり1030及びスーパーキャパシタ1070は、表示装置100の重心よりも前方に(フロントケース111の方向に)設けると、表示装置100の筐体110の傾きによらず、表示装置100を更に安定的に設置することができる。
【0350】
筐体110の下方には、傾き変更部120が設けられている。より具体的には筐体110の一部であり傾き変更部120の一部でもあるボトムケース1010の下方に、ボトムケース1010と共に傾き変更部120の第1の傾き変更機構を構成するマウントベース800が設けられている。
【0351】
マウントベース800は、ベースの一例であり、
図39の実施形態では、マウントベース800上に、ボトムケース1010が取り付けられている。
【0352】
フロントケース111は、非接触センサ用開口部550を有している。非接触センサ用開口部550を通って、例えばIR(赤外線)センサや光電センサのような非接触センサ1102は、非接触センサ1102の検知範囲(以下「検知領域」とも称する)へ向かって光を発する。フロントケース111の表面処理は、非接触センサ1102の誤検知の低減の効果をもたらすように行うとよい。
【0353】
フロントケース111はさらに、メインスイッチ用開口部560を有している。
【0354】
メインスイッチ310は、非接触センサ1102の検知範囲と重ならない位置に設けられている。より具体的には、
図39の実施形態では、メインスイッチ310の上端位置1060は、非接触センサ1102の検知領域の下端位置1050よりも下方に位置している。
【0355】
この構成により、ユーザ200が、メインスイッチ310の操作を行おうとしたにも関わらず、非接触センサ1102が空中画像130に対する入力操作を検知する可能性を、有効に低減させることができる。
【0356】
非接触センサ1102は、フロントケース111の内側かつ手前側に設けられているので、表示装置100の左右方向は全体を検知対象としてカバーすることができる。表示装置100の上下方向は下部領域の一部を検知範囲外とし、例えばメインスイッチ310を押すときには、非接触センサ1102は反応しないように構成されている。なお、検知範囲外とする範囲の大きさは、表示装置100の更新(表示装置100に含まれる電子部品のファームウェア等の更新も含む。)やユーザによる設定によって、変更や調整できる構成であるとよい。追加的に又は代替的に、表示装置100の上下方向は下部領域だけでなく、上部領域についても、検知範囲外とすることができる構成であるとさらによい。
【0357】
図39のフロントケース111の下方に斜線で図示された領域では、下部の内壁部530がユーザ200側の開口面700から表示装置100の背面側へ向かうほど、底面1020と下部の内壁部530の間の空間は増加している。
【0358】
ボトムケース1010及びマウントベース800の湾曲面は、それぞれ、破線で囲まれた第2の空間1080(1080b)内でフロントケース111の下部の内壁部530の近傍まで延びている。傾き変更部120の第1の傾き変更機構の一部が第2の空間1080(1080b)内に収まることにより、表示装置100の空間節約的でコンパクトな構成を達成することができる。
【0359】
図39の実施形態では、マイク1040は、上部の内壁部510の左右方向の中央付近の領域に設けられている。この構成では、マイク1040は、筐体110の傾きの状態によらずマイク1040の指向性が水平よりも下へ向くように、取り付けられている。別の実施形態では、マイク1040は、上部の内壁部510の左右方向の中央付近の領域に設けられていてもよく、そのような構成では、マイク1040は、筐体110の傾きの状態によらずマイク1040の指向性が水平よりも上へ向くように、取り付けられている。
【0360】
上記のマイク1040は、
図39の実施形態では、感度良く集音できる楕円状の集音範囲を有しているとよい。別の実施形態では、マイク1040は、空中画像130の表示の傾きの変更に応じて、感度良く集音できる範囲の形状を、例えば楕円形状から円形状等に、変更してもよい。
【0361】
上記の構成により、表示装置100は、マイク1040を用いて、空中画像130を見るユーザ200の音声をより高精度に検知することができるようになる。より具体的には、空中画像130の表示の傾きによらないで、表示装置100を使用しているユーザ200の音声を集音しやすくなるとともに、それ以外の方向からの音声(例えば、雑音やユーザ200以外の人の音声)を集音しにくくなる。その結果、音声認識機能における誤認識の発生が抑えられ、ユーザ200とキャラクターとの会話・対話がスムーズになる。ただし、別の実施形態として、広範囲の音声を集音する意図がある場合には、指向性の広いマイク1040が用いられてもよい。
【0362】
更に別の実施形態では、空中画像130の表示の傾きに応じて、マイク1040の指向性がよりユーザ200側へ向くようにマイク1040の位置調整を行う駆動部が設けられていてもよい。それにより、空中画像130を見るユーザ200の音声をより明瞭に検知することが可能となる。
【0363】
なお、上記の構成はマイク1040に限らず、指向性を有するその他のセンサ類に対しても、同様に適用することが可能である。そのようなセンサ類としては、例えば、ユーザ200の視線や動きを検知するカメラ、省エネのためにユーザ200の有無によって表示の明度を変更する焦電センサ(人感センサの一例)、ユーザ200の体温を検知するサーモカメラ等であってもよい。
【0364】
図34を用いて説明したように、フロントケース111の内壁部400(510、520、530、540)は、ユーザ200側の開口面700から表示装置100の背面に向かって、開口面700からの距離が増加するほど、対向するそれぞれの内壁部400(510と530、520と540)の間の間隔が縮小するように、傾斜している。
【0365】
内壁部400と表示装置100の外周面(外壁部といってもよい。)との間に存在する第2の空間1080(1080t、1080b)は、対向するそれぞれの内壁部400(510と530、520と540)の間の間隔の縮小に応じて、ユーザ200側の開口面700から表示装置100の背面に向かって、開口面700からの距離が増加するほど、拡大する。そのような第2の空間1080(1080t、1080b)内に、表示装置100の構成要素を配置することで、非常にコンパクトで空間節約的な構成を達成することが可能となる。
【0366】
図39の実施形態では、上部に破線で図示されている第2の空間1080(1080t)にはマイク1040が配置されている。
【0367】
更に、下部に破線で図示されている第2の空間1080(1080b)にはメインスイッチユニットが配置されている。更に、傾き変更部120の一部も第2の空間1080(1080b)まで延伸している。例えば、後述のマウントベース800の支持面1110に形成された凸状のガイド1120やボトムケース1010に相補的に形成された不図示の凹状の切り欠き部が、第2の空間1080(1080b)まで延伸していてもよい。
【0368】
この構成により、傾斜する内壁部400(510、520、530、540)と表示装置100の外周面との間に確保された第2の空間1080内に、部品などの構成要素を効率よく配置することができ、表示装置100全体を小型化することができる。
【0369】
第2の空間1080は、更に、表示装置100の右側及び左側にも存在しており、非接触センサ1102やスピーカ1104等を配置するために利用されている。
【0370】
フロントケース111の内壁部400(510、520、530、540)が傾斜した上記の構成により、ユーザ200に対して空中画像130により奥行き感や、浮遊感を与えることが可能であることに加えて、空中画像130の表示を傾かせるための傾き変更部120を備えてなおコンパクトな表示装置100の構成を実現することができる。
【0371】
図38は、一実施形態に係る表示装置100の分解図である。
【0372】
図39の実施形態と同様に、筐体110はフロントケース111及びリアケース112から構成されており、表示ユニット1000は、レンズプレート1001、メイン基板1002、LCD1003、LCDホルダ1004から構成されており、そして、傾き変更部120は、ボトムケース1010及びマウントベース800から構成されている。
【0373】
図40の実施形態では、マウントベース800は、上部の湾曲面に支持面1110及びガイド1120を有しており、下部の底面1020には脚部810を有している。
【0374】
筐体110内の空間には、表示ユニット1000が収容されており、表示ユニット1000のメイン基板1002は、ネジを用いて表示装置100の背面側でリアケース112に固定されている。メイン基板1002がゴム等の樹脂で覆われていると、表示の傾きを調整する際に加わる物理的な力から保護することができるので好ましい。
【0375】
マウントベース800の支持面1110に形成された凸状のガイド1120は、ボトムケース1010に相補的に形成された不図示の凹状の切り欠き部に係合し、ボトムケース1010がマウントベース800の支持面1110上で、一方向(表示装置100の前後方向)のみで摺動することを補助する。
【0376】
図40では、筐体110内に、表示ユニット1000に加えて更に、おもり1030、非接触センサ1102、マイク1040、左右のスピーカ1104、ボタンユニット、スーパーキャパシタ1070等が収容されている。筐体110内に更に、例えば、温度センサ1631(
図45参照)、照度センサ1632(
図45参照)、湿度センサ、圧力センサ(気圧センサ)、二酸化炭素濃度センサ、一酸化炭素濃度センサ、TVOC(総揮発性有機化合物量)センサ、PM2.5センサ、オゾンセンサ、加速度センサ、カメラ等も収容することができる。
【0377】
おもり1030は、例えば両面テープを用いて、ボトムケース1010上又は上方で、表示装置100の重心より下方に配置されている。それにより、いずれの傾き姿勢でも、表示装置100をより安定した状態で設置することが可能となる。
【0378】
表示装置100の重量に対するおもり1030の重量の割合、ボトムケース1010及びマウントベース800の曲面の曲率、ボトムケース1010及びマウントベース800の材料特性、特には摩擦係数、凸状のガイド1120の幅と凹状の切り欠き部の幅、等を適宜選択することにより、筐体110のシームレスで無段階的ないずれの傾きの状態でも安定的な停止を実現することができる。例えば、おもり1030の重量は、表示装置100の重量の10%程度であるとよい。
【0379】
マウントベース800の凸状のガイド1120の幅及びボトムケース1010の凹状の切り欠き部の幅を、両者の間の摩擦力が所望の大きさになるように選択することで、筐体110の傾き安定的な停止をより確実に実現することができる。
【0380】
スピーカ1104及びマイク1040は、開口面700とレンズプレート1001との間且つ筐体110の内壁部400(510、520、530、540)と筐体110の外周面との間の空間に、収容されている。
図36(a)、
図36(b)との関連で詳述したように、フロントケース111の4つの内壁部400(510、520、530、540)が、正面側から背面側へ向かうほど、内側へ傾斜していることにより、内壁部400(510、520、530、540)の傾斜によって第1の空間300が徐々に減少することに応じて、対応的に増加する内壁部400(510、520、530、540)と筐体110の外周面の間の第2の空間1080が増加する。
【0381】
スピーカ1104及びマイク1040を、開口面700からの距離に増加に伴い増加する内壁部400(510、520、530、540)と表示装置100の外周面の間の第2の空間1080に配置することにより、表示装置100を格別に空間節約的且つコンパクトな構成とすることができる。
【0382】
スピーカ1104は、フロントケース111のスピーカエンクロージャ650とレンズプレート1001によって取り囲まれた密閉空間内に収容されていることによって、密閉型スピーカとして構成されている。スピーカ1104は、ダイナミックスピーカとするとよい。
【0383】
図40の実施形態のスピーカ1104から出力された音声の一部は、そのままユーザ200の方向へ伝播する。また、スピーカ1104から出力された音声の残りの一部は、フロントケース111の内壁部400(510、520、530、540)及びフロントケース111で少なくとも一度反射した後、ユーザ200の方向へ伝播する。反射した音声の少なくとも一部は結像面140を通過してユーザ200の方向へ伝播することになるので、ユーザ200は、結像面140に表示された例えばキャラクターなどの空中画像130から音声が出力されている感覚を得ることができる。
【0384】
図40の実施形態では、メインスイッチ310、LEDパネル1105、乳白色の導光板1106、第1のサブ基板(センサ基板ともいう。)1107等から、メインスイッチユニット(メインボタンユニット)が構成されている。メインスイッチユニットは、例えば静電容量式タッチセンサであり、その検知範囲は、LEDパネル1105により視認できる大きさとは異なった構成とすること、特にはLEDパネル1105により視認できる大きさよりも大きい構成とすること、も可能である。それにより、ユーザ200に対しては快適なタッチ操作の範囲を提供しつつ、表示装置100のデザインは柔軟に決定することが可能となる。
【0385】
メインスイッチユニットは、主要な所定の機能、例えば表示装置100の音声認識を制御するためのスイッチである。ユーザ200がメインスイッチ310を押すと(タッチすると)、表示装置100は音声認識を開始する。音声認識は、メイン基板1002に実装された音声認識エンジンを用いて行われるローカルの音声認識であるが、音声認識サーバに通信により接続して音声認識サーバ側で音声認識が行われてもよい。更に、表示装置100は、音声認識処理の状態に応じて、メインスイッチ310周辺の光の色を変化させる。それによりユーザ200は、容易に音声認識処理の状態を把握することができる。
【0386】
メインスイッチ310周辺の光の色は、例えば、後述する常時音声認識モードがOFF
の状態では緑色、常時音声認識モードがONしていたりメインスイッチ310が押下されたりして音声認識の待機状態では青色、音声認識の処理状態(例えば、音声認識中)では赤色、表示装置100からキャラクターの音声が出力されている状態(例えば、キャラクターが喋っている状態)では水色、等とするとよい。
【0387】
なお、メインスイッチユニットが制御する、主要な所定の機能としては、音声認識の制御機能に代えて、例えば、ジェスチャー認識の制御機能であってもよい、又は、音声認識の制御機能及びジェスチャー認識の制御機能とそれらの切り替え機能、とする機能であってもよい。
【0388】
ジェスチャー認識機能は、表示装置100に備えられたカメラを用いて、ユーザ200の手話や身振り手振り等のジェスチャーを認識するものであり、そのような構成では、発話が困難なユーザ200でも、表示装置100を十分に操作することができる。
【0389】
図40の実施形態では、レンズプレート1001のユーザ200側に、フロントパネル1101が取り付けられている。フロントパネル1101は、光を透過させる性質と遮光する性質を有する光学部材である。フロントパネル1101は、例えば、透過率が10%程度の遮光性を有する遮光シート(スモークパネル、スモークシートともいう。)であるとよく、透過率が6%程度の遮光性を有する遮光シートであると、LCD1003の額縁領域といった内部の部品がユーザ200によって認識されにくくなるとともに、空中画像130が浮かび上がった状態をユーザ200に認識させる上で更によい。フロントパネル1101の色はグレーであるが、それ以外の色でもよい。フロントパネル1101は、第1の空間300を暗い状態に維持するという目的で光学的な特性が選択されている。これは、ユーザ200に与える空中画像130の浮遊感に影響するからである。そのようなフロントパネル1101を用いることにより、ユーザ200が表示装置100内部に収容された部材を視認しにくい構成とすることができる。
なお、本明細書中における「フロントパネル」とは、「減光部材」の一例である。
【0390】
フロントパネル1101は、上述したように、マット加工又はシボ加工による表面処理(つまり、つや消し)が施されており、光の反射率が低減するので、ユーザ200自身の映り込みが避けられるのでよりよい。例えば、フロントパネル1101は、レンズプレート1001の鏡面反射光の反射率よりも鏡面反射光の反射率が低い部材から構成されているとよい。それにより、筐体110の内部に備えられたレンズプレート1001にユーザ200が映り込むことを低減することができるので、ユーザ200は空中画像130に集中しやすくなる。
【0391】
フロントパネル1101に対して直接表面処理を施す代わりに、フロントパネル1101に対して追加的に反射防止フィルムを貼る構成としてもよい。
【0392】
図41は、フロントケース111、スピーカ1104及びスピーカエンクロージャ650の関係を説明する分解図である。
図41(a)は、フロントケース111、スピーカ1104及びスピーカエンクロージャ650の拡大された分解図を正面側から見た斜視図である。
図41(b)は、フロントケース111、スピーカ1104及びスピーカエンクロージャ650の拡大された分解図を背面側から見た斜視図である。
図41(a)では、フロントケース111の内壁部400とは反対側(内壁部400の裏側)に、フロントケース111と一体に形成されたスピーカ収容部1210が形成されている。
図41(a)の実施形態では、スピーカ1104はスピーカ収容部1210に収容され、密閉プレート1103により覆われることで、密閉型のスピーカエンクロージャ650(スピーカボックス)が形成される。
【0393】
スピーカ1104は、スピーカ収容部1210において、磁石側が外周面側で、コーン側がその反対側(内壁部400側)を向くようにして、放音孔640側を放音方向として設けられてもよいが、磁石側が内壁部400側で、コーン側がその反対側(外周面側)を向くようにして、放音孔640側は異なる方向を放音方向とするように設けられてもよい。スピーカ1104及びスピーカエンクロージャ650は、上述したように密閉型スピーカを構成してもよいが、バスレフ型スピーカ、ケルトン型スピーカ等を構成してもよい。表示装置100の小型化等の目的で、スピーカ1104及びスピーカエンクロージャ650を確保するスペースに制約がある場合でも、十分なパワーで放音できることが望ましい。スピーカ1104及びスピーカエンクロージャ650は、キャラクターの音声や音楽といった表示装置100において出力するべき音の種類や特性を考慮して構成されるとよい。
【0394】
密閉プレート1103は、例えばプラスチック製のプレート状部材であり、接着剤や両面テープ等による接着に基づく固定、はめ込み等の形状に基づく固定、フロントケース111の対応箇所に密閉プレート1103を押し込むことで生じる摩擦力に基づく固定、等によって、フロントケース111と固定的に接続される。
【0395】
図41(b)からは、
図41(a)に図示された構成に加えて更に、スピーカエンクロージャ650が、フロントケース111の異なる2つの内壁部400、すなわち左側の内壁部520及び下部の内壁部530、及び、右側の内壁部540及び下部の内壁部530、に沿って延伸していることが見て取れる。右側の内壁部540及び下部の内壁部530は、互いに接続しており、互いに異なる方向を向いている2つの内壁部400の一例である。
【0396】
図41(b)には、スピーカエンクロージャ650の壁面に沿って、x軸、y軸及びz軸が追記されている。
図42は、スピーカエンクロージャ650の形状を説明する図である。
図42(a)は、
図41(b)のy-z面で見たスピーカエンクロージャ650の形状を説明する図である。
図42(b)は、
図41(b)のx-z面で見たスピーカエンクロージャ650の形状を説明する図である。
図42(a)では、スピーカエンクロージャ650の下部が、スピーカエンクロージャ650の上部よりも、背面側へより長く延びた形状を有している。
図42(b)では、スピーカエンクロージャ650の下部が、スピーカエンクロージャ650の上部よりも、下部の内壁部530の中心側(メインスイッチ用開口部560側)へより長く延びた、L字状の形状を有している。
【0397】
スピーカエンクロージャ650は互いに接続する2つの内壁部に沿って延びる形状で第3の空間1200を取り囲み、それにより、表示装置100内により大きな容積の密閉型のスピーカ1104を形成することができる。スピーカエンクロージャ650は、より広い第3の空間1200を確保する意味では、例えば、3つ以上の内壁部400、例えば左側の内壁部520、下部の内壁部530、右側の内壁部540、に沿って延びる形状としてもよい。
【0398】
図43は、フロントケース111の下部の形状の斜視図である。
図43(a)は、フロントケース111の下部を背面側から見た斜視図である。
図43(b)は、フロントケース111の下部を正面側から見た斜視図である。
図43(a)では、スピーカエンクロージャ650の下部が、スピーカエンクロージャ650の上部よりも、背面側へより長く延びていること、及び、スピーカエンクロージャ650の下部の背面側で、下部の内壁部530の内壁面とは反対側で下部の内壁部530の中心側(メインスイッチ用開口部560側)へより長く延びた形状になっている。
【0399】
図43(b)では、スピーカエンクロージャ650の上部が、スピーカ収容部1210を有していること、及び、スピーカ収容部1210の下方で第3の空間1200が下部の内壁部530の中心側(メインスイッチ用開口部560側)へより長く延びた、L字状の形状を有している。
【0400】
なお、スピーカ収容部1210は、第3の空間1200内に設けられた、スピーカ1104の収容空間である。
【0401】
図43の実施形態では、スピーカ収容部1210に収容されるスピーカ1104は、スピーカ収容部1210において、放音孔640が形成された部位に設けられるとよいが、これとは異なる位置に設けられてもよい。また、スピーカ1104は、表示装置100の左右の外周面とほぼ平行に取付けられているが、スピーカ収容部1210に収容されるスピーカ1104は、左側の内壁部520や右側の内壁部540の傾斜とほぼ平行に取り付けられてもよい。また、左側の内壁部520や右側の内壁部540等の素材の選択によって、これらが振動板と機能させて、音声出力のパワーを向上させるという応用も考えられる。
【0402】
図41から
図43を用いて説明した構成により、スピーカエンクロージャ650を単純な立方体形状や直方体形状等の形状で設計した構成に比べて、より空間的な設計で、より大きな容積のスピーカエンクロージャ650を配置することができる。この構成により、表示装置100の外形の寸法の肥大化を抑えつつ、従って筐体110の小型化を実現することができる。また、このスピーカエンクロージャ650により、スピーカ1104からの音質の向上や、低音域の音声出力のパワーを確保しやすくすることができる。
【0403】
また、左右の内壁部520、540が傾斜していることにより、左右の内壁部520、540から開口部に向かって音が出力され、中央で音波が合流することになり、表示装置100が空中画像130として表示するキャラクターの発話音を、より高音質で、また、あたかも実際に結像面140の中央に位置するキャラクター自身が発話しているかのように、出力することができる。その結果、ユーザ200は、より高い没入感で空中画像130を認識することができる。
【0404】
図44は、一実施形態に係る表示装置100の電気的な構成要素の接続状態を説明する図である。
【0405】
図44の実施形態では、メイン基板1002には、非接触センサ1102、マイク1040、スピーカ1104、第1のサブ基板(静電容量センサ用基板)1107、第2のサブ基板(タクトスイッチ用基板)1500、スーパーキャパシタ1070が接続されている。
【0406】
図40との関連で言及したように、メイン基板1002が縦配置で取り付けられていることで、特に表示装置100の上部及び下部では、その他の構成要素を比較的緩やかな空間的制限下で配置することが可能となり、設計上の自由度が向上する。上記の構成では更に、表示装置100の上部及び下部を省スペースでスリムな外観に設計することができる。
【0407】
図45は、一実施形態に係る表示装置100の電気的な構成を説明するシステムブロック図である。
【0408】
図45の実施形態では、メイン基板1002は、プロセッサモジュール1600、通信モジュール1650、eMMCメモリ1610(例えばフラッシュメモリ)、DDRメモリ1620、通信モジュール1650、及び各種のコネクタ等を有している。
【0409】
メイン基板1002には、コネクタを介して、非接触センサ1102、LCD1003、マイク1040、スピーカ1104、第2のサブ基板1500、アンテナ1660、電源アダプタ1640等が接続されている。
【0410】
プロセッサモジュール1600は、例えばCPU及びGPUを有しており、メイン基板1002の各部を制御する。プロセッサモジュール1600、又はそれを有するメイン基板1002は、表示装置100の制御を司る制御部として機能するため、表示装置100の制御部と読み替えてもよい。表示装置100は、さらに、2つ以上の第2のサブ基板1500を有するとよい。例えば、第1のサブ基板1107が、タッチキー回路1633等を有しており、第2のサブ基板1500が、温度センサ1631、照度センサ1632、タッチキー回路1633等を有しているような構成であってもよい。
【0411】
メイン基板1002、第1のサブ基板1107、及び第2のサブ基板1500は、例えばプリント基板アッセンブリ(PCBA(Printed Circuit Board Assembly))として実装されている。PCBAがゴム等の樹脂で覆われていると、表示の傾きを変更する際に加わる物理的な力からPCBAを保護することができるので好ましい。
【0412】
更に、メイン基板1002、第1のサブ基板1107、及び第2のサブ基板1500が、リジッド基板に加えて、少なくとも部分的に、柔軟なフレキシブル基板(FPC基板)やリジッドフレキシブル基板から構成される構成では、表示装置100の製造を容易にしたり、傾き変更部120の移動に伴う影響を低減させたりする効果が得られる。
【0413】
メイン基板1002は、時刻を計る手段として、RTC(リアルタイムクロック)1630を有している。RTC1630は、スーパーキャパシタ1070とは別に設けられたRTC用の電池を有しており、そのRTC用の電池からの電力の供給を受けて時刻を計る。例えば、表示装置100が、インターネットへの接続が前提となる構成である場合、NTPサーバから時刻を取得するまで(例えば、表示装置100の電源投入からインターネット、及びNTPサーバに接続するまで)の期間に、時刻を保持しておく必要がある。メイン基板1002は、例えば時刻お知らせ機能等で時刻を表示するので、オフラインでも時刻の情報を保持しておくためにRTC用の電池を有している。
【0414】
メイン基板1002がスーパーキャパシタ1070用いて行う制御を説明する。
スーパーキャパシタ1070が設けられていることにより、表示装置100においては、電源ケーブル910を介した外部からの電力の供給が途絶える電源断があったとしても、それによるファイルの破損等の動作不具合の発生を防止することができる。メイン基板1002は、電源断があった場合、スーパーキャパシタ1070からの電力の供給を受けて、ファイルシステム保護するための処理を行う機能を有するとよい。スーパーキャパシタ1070は、所定のタイミングで充電される。例えばメイン基板1002は、電源オン時等にスーパーキャパシタ1070を充電する電源制御を行うとよい。
【0415】
メイン基板1002は、例えば、キャラクターとユーザ200とのコミュニケーションに関する機能の実績等の、ユーザ200による表示装置100の使用実績に応じて、キャラクターとユーザ200とのコミュニケーションの内容を変化させる機能を備えるとよい。コミュニケーションの内容を変化させることは、特に、コミュニケーションのバリエーションを増やすこととしてもよい。メイン基板1002は、例えば、アニメーションにより表示するキャラクターの動作や、キャラクターが発するフレーズを変化させるとよい。
【0416】
メイン基板1002は、例えば、ユーザ200がキャラクターの好感度が上がる行為をしたのか、下がる行為をしたかに応じて、ユーザ200とキャラクターとの関係を示すパラメータを更新するとよい。ユーザ200とキャラクターとの関係としては、人間関係等の感情に関する要素を含むとよく、好感度合いや親密さに関するものとするとよいが、特に、ユーザに対するキャラクターの機嫌とするとよい。メイン基板1002は、このようなユーザ200とキャラクターとの関係を示すパラメータ(例えば親密度)を、フラッシュメモリとしてのeMMCメモリ1610(不揮発性メモリの一例)に記憶させて、そのパラメータを更新する機能を有するとよい。
【0417】
パラメータを更新する条件になり得るものとしては、それ以外にも、ユーザ200が表示装置100を使用開始してからの時間経過、ユーザ200が行った操作の実績、センサ類330を用いた周辺状況のセンシング等の少なくともいずれか1つを含むようにするとなおよい。
【0418】
メイン基板1002は、電源断があった場合には、最新の状況に基づいて、eMMCメモリ1610に記憶されたパラメータを更新するとよい。このようにすると、電源断によってデータが破損したりして、これまでのキャラクターとユーザ200とのコミュニケーションの実績といった、ユーザ200がキャラクターと積み重ねてきた時間(例えば、キャラクターを育ててきた時間)が巻き戻ってしまう、という動作不具合を抑えることができる。
【0419】
図45に図示されている電気的な構成要素は、一例に過ぎず、表示装置100は、
図38との関連で挙げたように、表示装置100は、温度センサ1631、照度センサ1632に加えて更に、又は、それらに代えて、湿度センサ、加速度センサ、カメラ等を有していてもよい。
【0420】
表示装置100がカメラを有する実施形態では、表示装置100は更に、当該カメラを用いて、ユーザ200の視線の検知や、動体検知、室内監視等の機能やそれらを利用したさらなる機能、を実行することも可能である。
【0421】
メイン基板1002は更に、デバッグ時の有線接続用のコネクタや、マイクロSDカード等の外部記憶装置用のソケット、PCやスマートフォン等との接続部を有していてもよい。
【0422】
[8.エクササイズ機能]
上述した構成の表示装置100は、キャラクター131を空中画像130により表示させ、そのキャラクター131がホログラムのように空間に浮かび上がせるようにしている。その表示されたキャラクター131を見たユーザは、立体感を得ることのできるキャラクターが存在すると認識することができるようにしている。本実施形態の空中画像130は、所定のキャラクター131の立体映像であり、表示装置100は、何らかの動き(モーション)を伴う動画形式のキャラクター131の画像を表示可能としている。
【0423】
表示装置100の1つの機能として、色々な動きを行う動画形式のデータを所定の記録媒体に多数記憶保持し、プロセッサモジュール1600は、ユーザからの指示を受け付けると記憶保持された中から指定された1つの動画形式のファイルを読み出し再生出力する。記録し再生する動画は、ダンス・トレーニングなどのエクササイズの見本の動きとするとよい。その動画を表示することで、キャラクター131がレクチャーするような流れでユーザ200は一緒にエクササイズに取り組むことができ、世の中の健康志向が昔に比べて強くなってきている状況、要求に合致する。ユーザは、表示されたキャラクターを見ながら同じように動くことで、所定の運動を行い、健康増進、体力・免疫力の向上を図ることができる。ユーザ200はキャラクター131と一緒にトレーニングできる感覚を得ることができ、自然と再生回数が増え、ユーザ200は、エクササイズを行う回数・時間が増加する。
【0424】
プロセッサモジュール1600は、トレーニングを含むエクササイズ等の再生回数や再生日時を記録し、記録した履歴情報に基づくメッセージを出力する。メッセージは、エクササイズ等の実施を促すものとするとよい。例えば、直近の一定期間、例えば1週間の再生回数が基準値以下のように再生回数が少ないと、「最近さぼっていませんか?」のようなメッセージを出力する。このようなメッセージの出力する基準は、上記のように直近の再生回数のように単純なものでもよいし、例えば、直近の一定期間の再生回数が、それ以前の基準日数あたりの再生回数に比べて少ない場合にメッセージを出力するというように過去の頻度・変遷の状況により判定するとよい。
【0425】
また、本実施形態の表示装置100は、Airタッチセンサ等の非接触センサ1102を搭載し、ユーザによる空中画像130へのタッチを検出可能としているため、係るセンサを利用し、キャラクター131を使った演出により、ユーザ200がエクササイズ等を行う報知を行うとよい。係る報知は、例えば、所定のポーズをとっているキャラクター131のタッチすべき所定部位を特定する表示を行うとよい。そして非接触センサ1102は、ユーザ200が所定部位を触れたことを検知する。プロセッサモジュール1600は、非接触センサ1102からの検出出力に基づき、所定の処理を実行する。所定の処理は、例えば、空間でのタッチがされるまで再生を一時停止しポージングをとったままにし、タッチを検知したら再生を開始する。このようにすると、ユーザが所定のポーズを行うことを促し、確実にそのポーズを行わせることができる。また、例えばタッチの有無にかかわらずキャラクター131の動画は再生し、正しい位置をタッチした回数や間違った位置をタッチした回数などをカウントし、ユーザ200の動作の評価を行うとよい。これらの処理を行うと、ユーザは、報知されたキャラクター131の所定部位をタッチしながらエクササイズを行うことができる。ユーザは、キャラクター131と一体感を得ながら、エクササイズができ、エクササイズを行おうとする意欲が高まる。このようにすることは、ユーザがエクササイズを積極的に行う動機づけとなり、ユーザの健康の増進、ひいてはユーザの健康的な生活を確保することにも寄与することができる。
【0426】
また、ユーザ200に対し、キャラクター131と同じ動きをさせながらキャラクター131の所定部位のタッチを促す場合、表示装置100は、例えばユーザ200と同程度の大きさのキャラクター131を表示できるような大型のものを用いるとよい。
【0427】
また、所定部位の報知は、例えばキャラクターとは別に、所定形状の枠をキャラクター131に重ねて表示したり、キャラクター131の所定部位の表示色を変えたりするとよい。
【0428】
また、ユーザ200に対してキャラクター131と同じ動きを促すのではなく、例えば、2人でやる共同ストレッチを行うようにするとよい。例えば、プロセッサモジュール1600は、ストレッチを行うべく所定の動きを行うキャラクター131を表示し、所定部位のへのタッチを促す報知を行う。例えば、キャラクター131は、座った状態で前屈している場合に、ユーザ200がキャラクター131の動きを補助すべく背中を押すための報知を行う。係る報知は、「後ろから押してください」みたいなメッセージを出したり、押す場所を枠で囲んだり色を変えたりするなどの各種の方式を採れる。
【0429】
[9.衣装・髪型変更機能]
時刻や天気に基づいてキャラクターの衣装を変更することについては、既に説明したとおりであるがその日の気分に基づいて衣装や髪型を変更する機能を備えるとよい。プロセッサモジュール1600は、その日の気分でキャラクター131の衣装・コスチュームや髪型を変更できることで飽きずに使用することができる。例えば、クリスマスやハロウィーンなど、時期限定の衣装などがあってもよい。また、限定衣装に関しては、販売されているものをダウンロード形式で購入等して取得するとよい。
【0430】
[10.ゲーム機能]
表示装置100は、表示するキャラクター131と行うゲーム機能を備えるとよい。ゲームアプリは、例えばじゃんけんなどのキャラクターとの対戦型のゲームとするとよい。対戦型のゲームは、キャラクターと遊ぶ感じが醸し出され、親密感がわく。じゃんけんゲームの場合、例えば1日1回じゃんけんを行い、所定回数、例えば10回勝てば限定のイベントやキャラクターの限定画像などを入手可能にするとよい。
【0431】
[11.キャラクターの性格変更機能]
表示装置100は、キャラクターの性格・キャラを複数用意し、設定条件に伴い複数の中の一つの性格の表現されるキャラクターを表示する機能を備える。各性格等に応じた衣装、顔つき、動作(アニメーション)、発話する文章等の性格形成情報を正確毎に作成し、所定の記憶媒体に記憶する。
【0432】
プロセッサモジュール1600は、例えばユーザからの指示を受け付けると、指示された性格に対応する性格形成情報を読み出し、その性格に合ったキャラクターを表示し、発話する出力を行う。ユーザ主導で好みのキャラに変えることができる。設定可能な性格・キャラは、例えばSキャラ、Mキャラ、甘えるキャラ、優しく構ってくれるキャラ、内気なキャラ、陽気なキャラなどとするとよい。
【0433】
このようにユーザ主導でキャラクターの性格・キャラが変更できるので、例えば、通常時は強気なSキャラでコミュニケーションを取っている状態において、ユーザの気分が落ち込んでいるときに、慰めてくれるような癒やしキャラなどに変更することができる。これにより、落ち込んでいるときに通常時と同様に強気なキャラで来られても困るという事態の発生を抑制できる。
【0434】
また、キャラクターによっては元々の性格が付いているような場合があり、その固まった性格・キャラと全く違う性格、例えばSキャラが定着しているキャラクターに対しMキャラを設定すると違和感が出て好ましくない事態が生じる。そこで、キャラクターに対し、変更可能な性格・キャラを設定し、その範囲内でユーザが設定するように構成するとよく、キャラクターによっては、性格・キャラの変更ができない設定とするとよい。変更可能な範囲は、元々のキャラのイメージがずれない範囲とするとよい。
【0435】
また、同じ性格・キャラの範囲内で、その度合い・レベルを変更可能にするとよい。例えば、Sキャラの場合、Sの程度・レベルを換えるとよい。かかる変更は、衣装の派手さや言葉遣いや動きの程度により表現するとよい。特に性格・キャラが変更できないキャラクターの場合、ユーザのその日の状況等にあった程度・レベルに変更できるのでよい。
【0436】
上述した実施形態では、通常モードと不機嫌モードがあり、例えばキャラクター131の胸部分などを触るといったセクハラ行為などがあった場合には不機嫌モードになり、毎日決まった時間(例えば夜10時など)に就寝し、朝起きると通常モードになる。このような気分の変更に変えて、或いはこれに加えて性格の変更を行う機能を備えるとよい。
また、性格・キャラの変更は、ユーザ設定に限らず、例えば、その日の天気や、前日までのユーザとのコミュニケーションとの撮り具合などに基づいて変更する機能や、ランダムに変える機能をそなえるとよい。
【0437】
[12.猫や犬などのペットを表示する機能]
表示装置100に表示するキャラクター131は、上述した実施形態の説明で図示したアニメーションベースの女性の人物キャラクターに限ることなく、例えば、男性の人物キャラクター、人間以外の動物(例えば、猫や犬など)、ロボット、仮想的なキャラクター等のキャラクターであってもよいことは既に説明した通りである。
【0438】
そして、プロセッサモジュール1600は、例えば空間画像と130として表示するキャラクター131を猫とした場合、猫の種類を色々選べるようになるとよい。また、表示する動物のキャラクターが犬などその他のペットとして飼われる愛玩動物の場合も同様で犬種等の種類を選択できるようにするとよい。例えばペットを買いたいけど買えないという人には、単純に猫や犬であればよいという人よりは、この猫や犬が飼いたいなど特定の種類の猫や犬を飼いたいという人がいるので、それらの人の要望に添うことができる。
【0439】
また、表示装置100の空間内で表示したペットを育成する機能を備えるとよい。育成は、例えば一日一回など所定の餌を与え、また、おやつを与えたり、なでたり、声かけしたりするなどのコミュニケーションの取り方などで成長する。そして、ある程度成長した段階で、猫種や犬種が決定するように構成するとよい。また、キャラクターを表示する表示装置100は、上述したものに限ることはなく、例えば特開2021-117478号公報に開示された表示装置など、異なる外観形状や表示方式の表示装置に上述した各種の機能を組み込むとよい。
【0440】
また、表示装置100にはカメラや人を検知する人検知部等を備えていないが、それらカメラや人検知部等を搭載するとよい。そして、それらを搭載した表示装置に、上述した情報処理装置1の機能を実装するとよい。このように、情報処理装置1と表示装置100に実装した各機能は、別の装置に実装して機能させることができ、その機能を実現するための装置・機器が元の装置に備えていない場合には、係る装置・機器を実装するとよい。
【0441】
[13.光学系の変形例]
上述した実施形態では、空中画像を表示(つまり、結像する)するための光学系が、複数のレンズを二次元配置したレンズプレート1001である場合を説明した。光学系については、例えば以下のようなものが採用されてもよい。
【0442】
例えば、筐体110内のフロントパネル1101よりも奥側の空間内に、中間光学部材が設けられる構成をしてもよい。この中間光学部材は、フロントパネル1101に密着させて配置されてもよいし、フロントパネル1101から離間して配置されてもよい。この中間光学部材は、2回反射を行う光学部材であり、積層したミラーを用いた2層直交リフレクタであるAIプレート、ナノインプリントのプレス成型で製造した光学素子であるDCRC、及び再帰反射シートのいずれかを用いるとよい。このように構成することによっても、空中画像130が得られる。
【0443】
光学系は、ディスプレイとしてのLCD1003とほぼ平行に配置する透過性のある板状の部材とすると特によい。この板状の部材は、リフレクタを有しない構成とするとよい。このような板状の部材として、レンズプレート1001のような、マイクロレンズを多数配置した、より具体的には、2次元配置したマイクロレンズアレイを用いるとよい。このように、ディスプレイとしてのLCD1003と、板状の部材としてのマイクロレンズアレイとをほぼ平行の配置とすることで、空中画像130をユーザ200側に位置するように表示させつつ、表示装置100の縦長筐体構造を成立させやすくなると考えられる。
【0444】
光学系は、ディスプレイに対して斜め配置されてもよい。例えば、ディスプレイとしてのLCD1003が、レンズプレート1001に対して斜めに配置されてもよい。あるいは、レンズプレートは、例えばリフレクタ構造(例えば、二面直交リフレクタのアレイ又は2面コーナーリフレクタのアレイ(Dihedral Corner Reflector Array: DCRA)等)を持つものとし、LCD1003はレンズプレートに対して斜めに配置してもよい。このようなレンズプレートは、例えば、ASKA3Dプレート(参考:https://aska3d.com/ja/index.html)、又はパリティミラー(参考:https://evort.jp/store/piq/product/paritymirror)等とするとよい。
【0445】
光学系は、再帰反射方式のものでもよい。例えば、LCD1003を下面に配置して、上方を表示面として配置しさらには、リフレクタを斜め配置して、再帰反射方式のシートを立てて配置するとよい(参考: https://www.carbide.co.jp/product/airial_display/)。この例では、LCD1003かから射出した画像光の一部が、ビームスプリッターに向かう。ビームスプリッターで反射した光は、リフレクタに向かう。リフレクタはビームスプリッターから到来した光をビームスプリッターへ再帰反射させる。ビームスプリッターを透過した光が集まって、空中画像が表示される。
【0446】
<13-1.空中画像の表示方式>
空中画像の表示は、LCD1003を3D液晶装置とすることで実現されてもよい。3D液晶装置としては、裸眼立体視ができる立体表示機能を備えたドットマトリックス表示装置や、裸眼立体視ができる透過型の視差バリア表示パネル、裸眼立体視ができる透過型の表示パネルにレンチキュラーレンズを備えたもの、又は3Dメガネで見る透過型の表示パネルに偏光フィルタを設けたもの(参考:https://osusumehulu.com/wp-content/uploads/2015/06/KS001508.jpg)が含まれる。
【0447】
上述したドットマトリックス表示装置の表示面側の表示パネル自体に、ハーフミラーが設けられてもよい。このハーフミラーは、液晶パネルの表面のガラス面に光が透過する程度のアルミニウムを蒸着させたものである。3D液晶装置の表示パネル自体の一部又は全体に、電気のオン・オフで透過度を制御できる部材が設けられてもよい。この実施形態では、電気により透過度を制御できる調光フィルムを表示パネルの前面に貼る構成とするとよい(参考:https://www.toppan.co.jp/electronics/new_products/lc_magic)。この調光フィルムの調光は、筐体110が白色ならば白色になっていくものであり、筐体110が黒色ならば黒色になっていくものなど筐体110の色と不透明時の色をあわせるとよい。
【0448】
3D液晶装置の表示パネルの一部又は全体に透過スクリーンが貼り付けられてもよい。この実施形態では、電気により透過度を制御できる調光フィルムを表示パネルの前面に貼る構成とするとよい(参考:http://www.hachinos.jp)。
【0449】
また、3D液晶装置の前面に、所定方向の視野を制限する視野制限シートが取り付けられてもよい。このように構成しても、3D液晶装置によって表示される3D画像の表示が阻害されない。
【0450】
このように3D液晶装置を用いることで、ユーザ200にとって見やすい3Dの空中画像が得られる。
【0451】
<13-2.他の形態の表示装置への適用例>
表示装置100は置型でなくてもよく、各種のデジタルサイネージとして実施することも可能である。また、表示装置100の寸法や重量、表示する空中画像の大きさについても、様々な変形が可能である。筐体110の形状は、直方体形状以外に形状でもよく、例えば、円筒形状、円錐形状、三角錐形状等としてもよい。例えば、不図示の実施形態は、駅、デパート、オフィス、工場等の建物の壁や柱や天井に取り付けられたデジタルサイネージ、として実施することも可能である。なお、デジタルサイネージとは、デジタル表示サイネージ、ダイナミック・サイネージ、インタラクティブ・サイネージ、デジタルPOP、デジタル掲示板、電子掲示板、電子ポスター、電子ボード、電子広告板などとも称されるものである。
【0452】
[14.その他]
なお、本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求の範囲とする意思を有する。
【0453】
本願発明は上述した実施の形態に記載の構成に限定されない。上述した各実施の形態や変形例の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また各実施の形態や変形例の任意の構成要素と、発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素又は発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成するとよい。これらについても本願の補正又は分割出願等において権利取得する意思を有する。「~の場合」「~のとき」という記載があったとしてもその場合やそのときに限られる構成として記載はしているものではない。これらの場合やときでない構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。また順番を伴った記載になっている箇所もこの順番に限らない。一部の箇所を削除したり、順番を入れ替えた構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。
【0454】
また、意匠登録出願への変更により、全体意匠又は部分意匠について権利取得する意思を有する。図面は本装置の全体を実線で描画しているが、全体意匠のみならず当該装置の一部の部分に対して請求する部分意匠も包含した図面である。例えば当該装置の一部の部材を部分意匠とすることはもちろんのこと、部材と関係なく当該装置の一部の部分を部分意匠として包含した図面である。当該装置の一部の部分としては、装置の一部の部材としてもよいし、その部材の部分としてもよい。全体意匠はもちろんのこと、図面の実線部分のうち任意の部分を破線部分とした部分意匠を、権利化する意思を有する。また、装置の筐体の内部のモジュール・部材・部品・画像等についても、図面に表示されているものは、いずれも独立して取引の対象となるものであって、同様に、意匠登録出願への変更を行って権利化を行う意思を有するものである。
【符号の説明】
【0455】
1 :情報処理装置
1A :本体
2 :胴体部
3 :頭部
34 :ドップラーセンサ
37 :通信部
38 :第1の基板
39 :第2の基板
40 :第3の基板
41 :第4の基板
42 :マイクロフォン
45 :ベアリングセット
45a :内ベアリング
45b :外ベアリング
52 :モジュール
56 :スピーカ装置
67 :タッチパネル部
77 :照明部
78 :照明部
96 :第5の基板
107 :顔画像
107A :顔画像
107B :顔画像
201 :マイクロフォン
202 :マイクホルダ
203 :第6の基板
204 :ベースフレーム
204a :本体
204b :アーム
205A :アプリケーション
210 :反射体
211 :第1の部位
212 :第2の部位
213 :第3の部位
300 :通信端末
301 :制御部
302 :音声入出力部
303 :通信部
304 :UI部
305 :記憶部
305A :アプリケーション
306 :カメラ画像取得部
400 :アプリ画面
401 :カメラ調整画面
470 :指示画像
480 :通話画面
481 :撮影画像表示領域
491 :通知画面
492 :通知画面
1000 :システム