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特開2024-52429易洗性連続通気型スポンジ、および易洗性化粧用パフ
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  • 特開-易洗性連続通気型スポンジ、および易洗性化粧用パフ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052429
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】易洗性連続通気型スポンジ、および易洗性化粧用パフ
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/00 20060101AFI20240404BHJP
   C08G 18/40 20060101ALI20240404BHJP
   C08G 18/76 20060101ALI20240404BHJP
   C08G 18/79 20060101ALI20240404BHJP
   C08G 18/66 20060101ALI20240404BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20240404BHJP
   C08G 18/42 20060101ALI20240404BHJP
   C08G 18/10 20060101ALI20240404BHJP
   C08G 18/72 20060101ALI20240404BHJP
   C08G 18/32 20060101ALI20240404BHJP
   C08G 18/65 20060101ALI20240404BHJP
   C08G 18/61 20060101ALI20240404BHJP
   A45D 33/34 20060101ALI20240404BHJP
   A45D 34/04 20060101ALI20240404BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20240404BHJP
【FI】
C08G18/00 F
C08G18/40 018
C08G18/76 057
C08G18/79 070
C08G18/66 040
C08G18/00 K
C08G18/00 M
C08G18/48
C08G18/42 088
C08G18/48 037
C08G18/10
C08G18/72 040
C08G18/32 006
C08G18/32 012
C08G18/66 074
C08G18/65 011
C08G18/61
C08G18/00 L
A45D33/34 G
A45D34/04 535C
C08G101:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159131
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 智之
(72)【発明者】
【氏名】世良 範幸
(72)【発明者】
【氏名】岩口 祐典
(72)【発明者】
【氏名】松田 伸也
(72)【発明者】
【氏名】杉山 剛正
(72)【発明者】
【氏名】草川 公一
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034BA07
4J034BA08
4J034CA04
4J034CB03
4J034CB07
4J034CC23
4J034CC26
4J034CC43
4J034CC45
4J034CC46
4J034CC52
4J034CC54
4J034CC61
4J034CC62
4J034CC65
4J034CC67
4J034CD04
4J034CE01
4J034DA01
4J034DB04
4J034DB05
4J034DB07
4J034DC50
4J034DF01
4J034DF16
4J034DF20
4J034DF27
4J034DG03
4J034DG04
4J034DG06
4J034DG08
4J034DG09
4J034DM01
4J034DM13
4J034HA01
4J034HA02
4J034HA07
4J034HB05
4J034HB07
4J034HB12
4J034HC12
4J034HC17
4J034HC22
4J034HC45
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034KA01
4J034KB05
4J034KC16
4J034KC17
4J034KC23
4J034KC35
4J034KD02
4J034KD03
4J034KD12
4J034KE02
4J034MA03
4J034MA22
4J034NA03
4J034NA08
4J034QB01
4J034QB15
4J034QB19
4J034QC01
4J034QC02
4J034RA02
4J034RA03
4J034RA05
4J034RA08
(57)【要約】
【課題】易洗性に優れる連続通気型スポンジ、および易洗性に優れる化粧用パフを提供すること。
【解決手段】ポリエーテルポリオールAと、ダイマー酸ポリエステルポリオールBと、ジフェニルメタンジイソシアネート系のイソシアネートCと、イソシアネートと反応する反応性基を有するシリコーン系整泡剤Dと、水Eと、触媒Fと、を含む組成物の発泡体で構成され、見掛け密度が100~300kg/mであり、通気度が0.05cm/cm・sec以上であり、独泡率が5%以下であり、50%圧縮硬度が10kPa以下であり、50%圧縮永久歪が10%以下である可撓性ポリウレタンフォームからなる易洗性連続通気型スポンジ、および、それを有する易洗性化粧用パフ。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエーテルポリオールAと、
ダイマー酸ポリエステルポリオールBと、
ジフェニルメタンジイソシアネート系のイソシアネートCと、
イソシアネートと反応する反応性基を有するシリコーン系整泡剤Dと、
水Eと、
触媒Fと、
を含む組成物の発泡体で構成され、
見掛け密度が100~300kg/mであり、通気度が0.05cm/cm・sec以上であり、独泡率が5%以下であり、50%圧縮硬度が10kPa以下であり、50%圧縮永久歪が10%以下である可撓性ポリウレタンフォームからなる易洗性連続通気型スポンジ。
【請求項2】
ポリエーテルポリオールAが、アルキレンオキサイド付加ポリオールであり、エチレンオキサイドのモル比率が5~30%である請求項1に記載の可撓性ポリウレタンフォームからなる易洗性連続通気型スポンジ。
【請求項3】
前記ポリエーテルポリオールAと前記ダイマー酸ポリエステルポリオールBとの質量比(ポリエーテルポリオールA/ダイマー酸ポリエステルポリオールB)が、1/9~9/1である請求項1に記載の可撓性ポリウレタンフォームからなる易洗性連続通気型スポンジ。
【請求項4】
前記イソシアネートCが、ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、及び、ポリオール変性ジフェニルメタンジイソシアネートよりなる群から選択される2種以上のイソシアネートである請求項1に記載の可撓性ポリウレタンフォームからなる易洗性連続通気型スポンジ。
【請求項5】
前記組成物が、脂肪族イソシアネートをさらに含む請求項1に記載の可撓性ポリウレタンフォームからなる易洗性連続通気型スポンジ。
【請求項6】
前記組成物が、分岐鎖を有する低分子ジオール、脂環構造を有するジオール、及び脂環構造を有するイソシアネートよりなる群から選択される少なくとも1種をさらに含む請求項1に記載の可撓性ポリウレタンフォームからなる易洗性連続通気型スポンジ。
【請求項7】
前記組成物が、無機フィラー、及び有機フィラーよりなる群から選択される1種以上のフィラーをさらに含む請求項1に記載の可撓性ポリウレタンフォームからなる易洗性連続通気型スポンジ。
【請求項8】
自己スキン層を有する請求項1に記載の可撓性ポリウレタンフォームからなる易洗性連続通気型スポンジ。
【請求項9】
易洗性が必要な用途に使用するスポンジである請求項1に記載の可撓性ポリウレタンフォームからなる易洗性連続通気型スポンジ。
【請求項10】
他部材との熱溶着加工品、他部材との超音波融着加工品、又は他部材との高周波溶着加工品である請求項1に記載の可撓性ポリウレタンフォームからなる易洗性連続通気型スポンジ。
【請求項11】
請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の可撓性ポリウレタンフォームからなる易洗性連続通気型スポンジを有する易洗性化粧用パフ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、易洗性連続通気型スポンジ、および易洗性化粧用パフに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン発泡体で構成される連続通気型スポンジは、例えば、熱可塑性ポリウレタンを水可溶性溶媒(例えば、ジメチルホルムアミドなど)に溶解し、更に水可溶性の気孔生成剤(例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロースなど)を混合し、この混合物を型に注入後、水や水蒸気で、水溶性溶剤及び気孔生成剤を抽出し、多孔体を製造する、いわゆる「抽出除去法」が用いられている。
【0003】
この「抽出除去法」で得られるスポンジは、非常に微細なセルが得られ高級な用途にも採用されているが、大変煩雑な方法で製造されるため、高コストで、環境負荷が大きく、水を大量に使用するという問題がある(特許文献1)。
この「抽出除去法」を改良したのが、ポリオールとイソシアナート、整泡剤、触媒に窒素などの気体を機械的に攪拌混合し、連続通気型スポンジを製造する方法(いわゆる、メカニカルフロス法)である(特許文献2)
しかし、メカニカルフロス法では、ポリオールとしてポリオキシアルキレンポリオールを用いたウレタン原料を使用しているため、親水性が高く、フォームが水や湿気を吸収し易い問題が発生する。また、化粧用パフではリキッドファンデーションの吸い込み量が多くなるという問題が発生する。さらに、ウレタン原料に気体を混合し微細化するため、また泡の安定化のために、シリコーン系整泡剤を大量に用いる。それにより、整泡剤がスポンジの中に残存する。
【0004】
一方、植物油から得られるポリオールとMDI系イソシアナートを、水発泡法(通常のポリウレタンの発泡方法)で発泡させた発泡体から構成される化粧用パフも提案されている(特許文献3)。このような水発泡による発泡体は簡便な製造方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭58-189242号公報
【特許文献2】特開2014-227426号公報
【特許文献3】特開2007-54164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、メカニカルフロス法では、ウレタン原料に気体を混合し微細化するため、また泡の安定化のために、シリコーン系整泡剤を大量に用いる。それにより、整泡剤がスポンジの中に残存する。
そのため、スポンジが汚れ、スポンジを洗濯する場合、残存した整泡剤が石鹸の泡のように出でくる。整泡剤がごく少量残っていても、水を吸うと、起泡をして、整泡剤が完全には抜けきらない。
【0007】
また、植物油から得られるポリオールとMDI系イソシアナートを、水発泡法(通常のポリウレタンの発泡方法)で発泡させた発泡体は、独立気泡になりやすいため、あえてセルを荒らして連泡化する必要がある。そのため、微細セルは得られ難く、化粧用パフとしては肌ざわりの良いものではない。
それに加え、発泡体中に整泡剤が残存するため、やはり、起泡をして整泡剤が完全には抜けきらない。
【0008】
身に着けるスポンジ(及び加工品)や人体の近傍で使用するスポンジは、汚れた時洗浄して清潔にすることで繰り返して使用する場合が多い。繰り返して使用することは、廃棄物の削減に繋がり、地球環境面で好ましい。
この、洗浄や洗濯を行ない繰返し使用するスポンジにおいては、易洗性に優れることが必要である。
【0009】
ここで、「易洗性に優れる」とは、以下の内容が考えられる。
(1)揉み洗いや洗濯ができる。つまり、容易に圧縮でき、水洗時に裂け難く、またスポンジ内部まで水が入り洗浄可能なこと。
(2)汚れ落ちし易い。つまり、汚れが付き難く、また付いた汚れが洗浄により容易に落ちること。
(3)泡切れが良い。つまり、漱ぎが容易であること。また、泡立つ添加物がなく、素材が水をはじき易く、尚且つスポンジ内部に水が浸透し易いこと。
(4)乾燥し易い。つまり、素材自体が水を吸収し難く、また通気性が高いこと。早期に元の寸法に戻ること。
【0010】
このように、易洗性に優れる微細セルからなる可撓性スポンジが要望されているが、これを満足する可撓性ポリウレタンフォームからなるスポンジが無いのが現状である。
【0011】
そこで、本発明の課題は、易洗性に優れる連続通気型スポンジ、および易洗性に優れる化粧用パフを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題は、以下の手段により解決される。
【0013】
<1>
ポリエーテルポリオールAと、
ダイマー酸ポリエステルポリオールBと、
ジフェニルメタンジイソシアネート系のイソシアネートCと、
イソシアネートと反応する反応性基を有するシリコーン系整泡剤Dと、
水Eと、
触媒Fと、
を含む組成物の発泡体で構成され、
見掛け密度が100~300kg/mであり、通気度が0.05cm/cm・sec以上であり、独泡率が5%以下であり、50%圧縮硬度が10kPa以下であり、50%圧縮永久歪が10%以下である可撓性ポリウレタンフォームからなる易洗性連続通気型スポンジ。
<2>
ポリエーテルポリオールAが、アルキレンオキサイド付加ポリオールであり、エチレンオキサイドのモル比率が5~30%である<1>に記載の可撓性ポリウレタンフォームからなる易洗性連続通気型スポンジ。
<3>
前記ポリエーテルポリオールAと前記ダイマー酸ポリエステルポリオールBとの質量比(ポリエーテルポリオールA/ダイマー酸ポリエステルポリオールB)が、1/9~9/1である<1>又は<2>に記載の可撓性ポリウレタンフォームからなる易洗性連続通気型スポンジ。
<4>
前記イソシアネートCが、ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、及び、ポリオール変性ジフェニルメタンジイソシアネートよりなる群から選択される2種以上のイソシアネートである<1>~<3>のいずれか1項に記載の可撓性ポリウレタンフォームからなる易洗性連続通気型スポンジ。
<5>
前記組成物が、脂肪族イソシアネートをさらに含む<1>~<4>のいずれか1項に記載の可撓性ポリウレタンフォームからなる易洗性連続通気型スポンジ。
<6>
前記組成物が、分岐鎖を有する低分子ジオール、脂環構造を有するジオール、及び脂環構造を有するイソシアネートよりなる群から選択される少なくとも1種をさらに含む<1>~<5>のいずれか1項に記載の可撓性ポリウレタンフォームからなる易洗性連続通気型スポンジ。
<7>
前記組成物が、無機フィラー、及び有機フィラーよりなる群から選択される1種以上のフィラーをさらに含む<1>~<6>のいずれか1項に記載の可撓性ポリウレタンフォームからなる易洗性連続通気型スポンジ。
<8>
自己スキン層を有する<1>に記載の可撓性ポリウレタンフォームからなる易洗性連続通気型スポンジ。
<9>
易洗性が必要な用途に使用するスポンジである<1>~<8>のいずれか1項に記載の可撓性ポリウレタンフォームからなる易洗性連続通気型スポンジ。
<10>
他部材との熱溶着加工品、他部材との超音波融着加工品、又は他部材との高周波溶着加工品である<1>~<9>のいずれか1項に記載の可撓性ポリウレタンフォームからなる易洗性連続通気型スポンジ。
<11>
<1>~<10>のいずれか1項に記載の可撓性ポリウレタンフォームからなる連続通気型スポンジを有する易洗性易洗性化粧用パフ。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、易洗性に優れる易洗性連続通気型スポンジ、および易洗性に優れる易洗性化粧用パフが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態に係る易洗性連続通気型スポンジの製造方法を実施するための装置の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。
【0017】
(連続通気型スポンジ)
本実施形態に係る易洗性連続通気型スポンジ(以下、単に「連続通気型スポンジ」とも称する)は、
ポリエーテルポリオールAと、
ダイマー酸ポリエステルポリオールBと、
ジフェニルメタンジイソシアネート系のイソシアネートC(以下「MDI系イソシアネートC」とも称する)と、
イソシアネートと反応する反応性基を有するシリコーン系整泡剤D(以下「反応性シリコーン系整泡剤D」とも称する。)と、
水Eと、
触媒Fと、
を含む組成物の発泡体で構成され、
見掛け密度が100~300kg/mであり、通気度が0.05cm/cm・sec以上であり、独泡率が5%以下であり、50%圧縮硬度が10kPa以下であり、50%圧縮永久歪が10%以下である可撓性ポリウレタンフォームからなる。
なお、発泡体を形成するための組成物(以下「ウレタン原料液」とも称する)は、上記成分以外に、その他成分を含んでもよい。
【0018】
本実施形態に係る連続通気型スポンジは、上記構成により、易洗性に優れる連続気泡型スポンジとなる。その理由は、次の通り推測される。
【0019】
まず、整泡剤として、反応性シリコーン系整泡剤Dを適用するため、整泡剤は、反応性基の反応により、スポンジ中に固定化される。固定化されたシリコーン系整泡剤は、スポンジを構成するセル内壁界面に偏在するので、疎水度が高まり、汚れが付き難くなる。それに加え、一般的なポリウレタンフォームよりも高い見掛け密度にすることで微細セルを達成し、低い独泡率と高い通気度、及び低い圧縮永久歪を合わせ持つことで、本実施形態に係る連続通気型スポンジの疎水性組成と相まって、繰り返し洗濯し易く、型崩れし難く、易洗性に優れる。
また、反応性シリコーン系整泡剤Dを適用すると、極めて微細セルの発泡体が得られるが、そのため独立気泡になり発泡後は収縮しやすい。しかし、ポリオールとしてポリエーテルポリオールA及びダイマー酸ポリエステルポリオールBと、イソシアネートとしてMDI系イソシアネートCとを使用することで、微細セルを達成しつつ、発泡後に収縮せず良好な発泡体となる。そして、反応性シリコーン系整泡剤Dおよびダイマー酸ポリエステルポリオールBが疎水性のため、得られる発泡体は撥水性となる。
それにより、微細な連続気泡を有しつつ、汚れが付着し難く、かつ付着しても除去されやすい。それに加え、スポンジが汚れ、洗濯しても、整泡剤に起因する起泡の発生が抑制される。
それに加え、一般的な可撓性ポリウレタンフォームよりも高い見掛け密度(100~300kg/m)にすることで微細セルを達成し、低い独泡率(5%以下)、高い通気度(0.05cm/cm・sec以上)、低い50%圧縮硬度(10kPa以下)および低い50%圧縮永久歪(10%以下)を合わせ持つことで、本実施形態のスポンジの疎水性組成と相まって、繰り返し洗濯しても、型崩れし難く、易洗性に優れる。
【0020】
以上から、本実施形態に係る連続通気型スポンジは、易洗性に優れる連続通気型スポンジとなると推測される。
【0021】
以下、本実施形態に係る連続通気型スポンジの詳細について説明する。
【0022】
まず、ウレタン原料液の各成分について説明する。
【0023】
(ポリエーテルポリオールA)
ポリエーテルポリオールAとしては、アルキレンオキサイド付加ポリエーテルポリオール等が挙げられる。
これらの中でも、ポリエーテルポリオールAとしては、アルキレンオキサイド付加ポリエーテルポリオールが好ましい。
【0024】
アルキレンオキサイド付加ポリエーテルポリオールは、低分子アルコール(エチレングリコ-ル、グリセリン、トリメチロ-ルプロパン等)にアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合物、テトラメチレンオキシド(テトラヒドロフラン、THF)等)を付加重合した化合物である。
アルキレンオキサイド付加ポリエーテルポリオールとしては、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリエチレングリコール(PEG)、PPGとPEGの共重合物、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)等が好ましい。
【0025】
特に、ポリエーテルポリオールAとしては、低分子アルコールにプロピレンオキサイド及びエチレンオキサイドが付加されたアルキレンオキサイド付加ポリオールで、エチレンオキサイドのモル比率が5~30%(好ましくは、10~30%)であるポリエーテルポリオールが好ましい。
エチレンオキサイドのモル比率が5%未満であると、ダイマー酸ポリエステルポリオールBとの相溶性が良くなり、破泡効果が生じ難く、スポンジが独立気泡型となることがある。また、エチレンオキサイドのモル比率が30%を超えると、ダイマー酸ポリエステルポリオールBとの相溶性が過度に悪化するので、破泡効果が良くなるが、親水性が高まり、汚れが落ち難く、洗濯するときに裂け易く、また、乾燥し難くなることがある。
なお、エチレンオキサイドのモル比率は、2種以上のポリエーテルポリオールAを混合して、5~30%の範囲に調整してもよい。
【0026】
ポリエーテルポリオールAの官能基数fは、低圧縮硬度及び低圧縮永久歪の観点から、2~3が好ましい。
【0027】
ポリエーテルポリオールAの数平均分子量Mnは、低圧縮硬度の観点から、1,000~10,000が好ましく、より好ましくは3,000~8,000である。
ここで、数平均分子量は、JIS K 0070-1992による水酸基価の測定値と、官能基数より求めた場合の分子量とする。なお、他の成分の数平均分子量も同様に測定する。
【0028】
(ダイマー酸ポリエステルポリオールB)
ダイマー酸ポリエステルポリオールBとしては、ダイマー酸とグリコールとを縮合させたポリエステルポリオール等が挙げられる。
具体的には、例えば、ダイマー酸ポリエステルポリオールBとしては、ダイマー酸(b-1)と低分子ジオール(b-2)とを縮合させたポリエステルポリオール、当該ポリエステルポリオールに低分子トリオール(b-3)をさらに縮合させたポリエステルポリオール等が挙げられる。
ダイマー酸(b-1)と低分子ジオール(b-2)とを縮合させたポリエステルポリオールに、低分子トリオール(b-3)をさらに縮合させたポリエステルポリオールは、官能基数を上げたいとき使用することが好ましい。
【0029】
ダイマー酸(b-1)とは、二塩基性酸であって、二つの一塩基性脂肪酸が炭素-炭素共有結合により、二分子結合して得られる、結合前一塩基性脂肪酸に対して分子量が2倍である二塩基性酸を指す。通常は、ダイマー酸を構成する一塩基性脂肪酸として、炭素数が18前後の脂肪酸を有するものが使用される。ダイマー酸の代表的な化合物としては、リノール酸、オレイン酸を加熱することによって得られる二塩基酸が挙げられる。
【0030】
通常、ダイマー酸の工業的製法では、ダイマー酸以外のモノマー酸、三塩基酸および重合酸が副生物として含まれている。ダイマー酸ポリエステルポリオールBの作製に際しては、ダイマー酸の純度が高い方が好ましいが、これらの副生物が混合された状態で使用されてもよい。なお、ダイマー酸は植物由来の原料から製造される為、カーボンニュートラルであり、地球環境面で優れる。
【0031】
低分子ジオール(b-2)としては、低分子量の化合物であって、-OH基を二つ有する化合物であれば特に制限はなく使用される。低分子ジオールとは、全炭素数が2つ以上であり、且つ、2つの-OH基の間に存在する炭素数が2~10であるものを指し、炭素数が4~6であることがより好ましい。
より具体的には、低分子ジオール(b-2)としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等が好適に挙げられる。
【0032】
低分子トリオール(b-3)における低分子とは、前記低分子ジオールにおいて示したのと同様に、3つの水酸基が結合する炭化水素基部分における炭素数が3~10であるものを指し、炭素数が3~6であることがより好ましい。炭化水素基部分は直鎖状であっても、分岐鎖を有するものであってもよい。
低分子トリオール(a-3)としては、具体的には、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6-ヘキサントリオール、2-メチルプロパントリオール等が挙げられる。
【0033】
(MDI系イソシアネートC)
MDI系イソシアネートC(ジフェニルメタンジイソシアネート系のイソシアネートC)は、ジフェニルメタンジイソシアネート骨格を有するイソシアネートである。
【0034】
MDI系イソシアネートCとしては、4.4‘-ジフェニルメタンジイソシアネート(4.4’-MDI)、2.4’-MDI、2.2‘-MDI等のジフェニルメタンジイソシアネート(ピュアMDI)、粗製のMDI(cr-MDI)、カルボジイミド変性MDI、ポリオール変性MDIなどが挙げられる。
特に、MDI系イソシアネートCは、引張強さと伸び強度のバランスが良く、微細な連続通気型スポンジとする観点から、ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、及び、ポリオール変性ジフェニルメタンジイソシアネートよりなる群から選択される2種以上のイソシアネートを使用することが好ましい。単独使用の場合、反応が速かったり、逆に極端に遅かったりする為、反応のコントロールが難しい。また、カルボジイミド変性MDI単独(100%)やピュアMDI 単独(100%)においては、得られるスポンジが高い圧縮硬度、低い伸びのものになる。
【0035】
ここで、ポリオール変性イソシアネートとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-又は1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール及び1,10-デカンジオール等の炭素数2~18の2価のアルコール;PPG系グリコール;PTGM系グリコール;ポリカーボネート系グリコール等でMDI系イソシアネートが変性されたポリオール変性イソシアネートが挙げられる。このポリオール変性イソシアネートにおいて、MDI系イソシアネートの含有率は、強靭性及び反発弾性の観点から30質量%以上70質量%以下(好ましくは35質量%以上60質量%以下)であることがよい。
【0036】
(反応性シリコーン系整泡剤D)
反応性シリコーン系整泡剤D(イソシアネートと反応する反応性基を有するシリコーン系整泡剤D)は、イソシアネートと反応する反応性基と、ポリシロキサン鎖と、を有するシリコーン化合物である。
【0037】
反応性シリコーン系整泡剤Dの反応性基としては、-OH基、-NHR基(ただし、Rは一価の有機基(例えば炭素数1~10のアルキル基)を示す。)、-NH基、-SH基、エポキシ基等が挙げられる。なお、
特に、繰り返し洗濯性向上の観点から、反応性シリコーン系整泡剤Dとしては、反応性基として、-OH基、-NHR基(ただし、Rは一価の有機基(例えば炭素数1~10のアルキル基)を示す。)、-NH基、及び-SH基よりなる群から選択される1種以上の反応性基を有するシリコーン系整泡剤であることが好ましい。
【0038】
反応性シリコーン系整泡剤Dの代表的な例としては、一般式(D1)~(D5)で示される化合物が挙げられる。ただし、この化合物に限定されるわけではない。
【0039】
【化1】
【0040】
一般式(D1)~(D5)中、Xは、-OH基、-NHR基(ただし、Rは一価の有機基(例えば炭素数1~10のアルキル基)を示す。)、-NH基、-SH基、又はエポキシ基を表す。
は、二価の有機基(例えば、炭素数1~10のアルキレン基、ポリアルキレンオキサイド基)を表す。
、及びRは、各々独立に、一価の有機基(例えば、炭素数1~10のアルキル基、フェニル基)を表す。
nは2~4の整数を示す。
n1、n2は、各々、独立に、0又は1以上の整数(例えば、0又は1~100の整数を示す。
p、q、r、及びzは、各々独立に、1以上の整数(例えば、1~100の整数)
なお、一般式(D1)~(D5)中、各々、同じ符号を複数有する場合、複数の同じ符号は、同じ基(又は整数)を表してもよいし、異なる基(又は整数)を表してもよい。
【0041】
(水E)
水Eは、発泡剤として使用する。
水Eとしては、特に限定されず、例えば、蒸留水、イオン交換水、限外濾過水、純水等が挙げられる。
なお、発泡剤としては、水と共に、低沸点の有機溶媒(フッ化アルキル化合物、塩化アルキル化合物等)を併用してもよい。また、窒素ガス、空気等の気体を、ウレタン原料液に混合してもよい。
【0042】
(触媒F)
触媒Fとしては、有機金属化合物系触媒、アミン系触媒等が挙げられる。
有機金属化合物系触媒としては、錫系、チタン系、ビスマス系、ニッケル系等の有機金属系の触媒が挙げられ、例えば、有機スズ化合物のオクチル酸第1スズ、ジブチルチンジラウレートなどがある。
アミン系触媒としては、3級アミン類が好ましく、モノアミン類、ジアミン類、トリアミン類、環状アミン類、アルコールアミン類、エーテルアミン類等のアミン系触媒が挙げられ、例えば、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、n-メチルモルホリン、n-エチルホルモリン、N,N,N’,N’-テトラメチルブタンジアミンなどがある。
触媒は、1種単独して使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
【0043】
(その他成分)
その他成分としては、次の添加剤が挙げられる。
【0044】
その他成分としては、分岐鎖を有する低分子ジオール、脂環構造を有するジオール、及び脂環構造を有するイソシアネートよりなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
ここで、低分子ジオールとは、分子量は800以下(好ましくは60~300)のポリオールである。
【0045】
分岐鎖を有する低分子ジオールを使用すると、スポンジの柔軟性と伸び性が向上する。
分岐鎖を有する低分子ジオールとしては、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、3-メチル-1,5-ペンタンジオール(メチルペンタンジオール)、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-ヘプタンジオール、2,3-ヘプタンジオール、1,2-ノナンジオール、1,2-オクタンジオール、1,2-デカンジオール、1,2-ドデカンジオール等の炭素数3~20の脂肪族ジオールが挙げられる。
【0046】
脂環構造を有するジオールを使用すると、スポンジに手を触れたときの柔らかさが向上する。
脂環構造を有するジオールとしては、シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール、シクロヘプタンジオール、シクロオクタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ヒドロキシプロピルシクロヘキサノール、トリシクロ[5,2,1,02,6]デカン-ジメタノール、ビシクロ[4.3,0]-ノナンジオール、ジシクロヘキサンジオール、トリシクロ[5,3,1,1]ドデカンジオール、ビシクロ[4,3,0]ノナンジメタノール、トリシクロ[5,3,1,1]ドデカン-ジエタノール、ヒドロキシプロピルトリシクロ[5,3,1,1]ドデカノール、スピロ[3,4]オクタンジオール、ブチルシクロヘキサンジオール、1,1′-ビシクロヘキシリデンジオール、2,2-ビス-(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,3-アダマンタンジオール等が挙げられる。
【0047】
脂環構造を有するイソシアネートを使用すると、スポンジに手を触れたときの柔らかさが向上する。
脂環構造を有するイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水素添加MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水素添加TDI)、ビス(2-イソシアナトエチル)-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボキシレート、2,5-ノルボルナンジイソシアネート、2,6-ノルボルナンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート(H6XDI)等が挙げられる。
【0048】
その他成分としては、脂肪族イソシアネートも挙げられる。
脂肪族イソシアネートを少量添加すると、スポンジの独泡率を低下させることができ、また圧縮硬度を低下させる効果もある。
脂肪族イソシアネートとしては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6-ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2-イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2-イソシアナトエチル)カーボネート、2-イソシアナトエチル-2,6-ジイソシアナトヘキサノエート等が挙げられる。
【0049】
その他成分としては、フィラーも挙げられる。
フィラーとしては、無機フィラー、及び有機フィラーよりなる群から選択される1種以上が挙げられる。これらフィラーを添加することにより、高い平均セル数を実現できる。
無機フィラーとして、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、天然シリカ、合成シリカ、カオリン、クレー、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、ガラスビーズ、アルミナビーズ、カーボン等が挙げられる。
有機フィラーとしては、フェノールビーズ、スチレンビーズ、アクリルビーズ、樹脂バルーン、シリコーンパウダー、フッ素パウダー、ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー等が挙げられる。
フィラーとしては、その他、アクリルバルーン表面に炭酸カルシウムを添加処理した有機無機フィラー、ポリプロピレンポリオール中にサブミクロンの有機ポリマー(アクリロニトリル又はアクリロニトリル/スチレン共重合物等)を分散させたPOP(ポリマー分散ポリオール)も挙げられる。
【0050】
その他の成分としては、上記成分以外に、難燃剤、酸化防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、防菌剤、防カビ剤等の周知の添加剤が挙げられる。
【0051】
(ウレタン原料液の各成分の含有量)
-ポリエーテルポリオールAおよびダイマー酸ポリエステルポリオールBの含有量-
ポリエーテルポリオールAとダイマー酸ポリエステルポリオールBとの質量比(ポリエーテルポリオールA/ダイマー酸ポリエステルポリオールB)が、1/9~9/1が好ましく、3/7~7/3がより好ましい。
ポリエーテルポリオールAとダイマー酸ポリエステルポリオールBとの質量比を上記範囲にすると、互いのポリオールの適度な相溶性の低さから、スポンジが独立気泡構造となり難く、しかも微細なセルが達成でき、連続通気構造のスポンジが得られ易くなる。この質量比が、上記範囲よりも低い場合、スポンジが独立気泡構造となり易くなる一方で、上記範囲よりも高い場合、スポンジに汚れが付き易く、洗濯するとき裂け易く、かつ乾燥し難くなることがある。
【0052】
-反応性シリコーン系整泡剤Dの含有量-
反応性シリコーン系整泡剤Dの含有量は、ポリエーテルポリオールA及びダイマー酸ポリエステルポリオールBの合計100質量部に対して、0.5~3質量部が好ましく、1~2質量部がより好ましい。
【0053】
-水Fの含有量-
水の含有量は、発泡倍率によって適宜選択されるが、ポリエーテルポリオールA及びダイマー酸ポリエステルポリオールBの合計100質量部に対して、0.3~1.4質量部が好ましく、0.5~1.2質量部がより好ましい。
【0054】
-分岐鎖を有する低分子ジオールの含有量-
分岐鎖を有する低分子ジオールの含有量は、ポリエーテルポリオールA及びダイマー酸ポリエステルポリオールBの合計100質量部に対して、0.1~5質量部が好ましく、0.2~3質量部がより好ましい。
【0055】
-脂環構造を有するジオールの含有量-
脂環構造を有するジオールの含有量は、ポリエーテルポリオールA及びダイマー酸ポリエステルポリオールBの合計100質量部に対して、0.1~5質量部が好ましく、0.2~3質量部がより好ましい。
【0056】
-脂環構造を有するイソシアネートの含有量-
脂環構造を有するイソシアネートの含有量は、全イソシアネート重量に対して、0.1~5質量%が好ましく、0.2~3質量%がより好ましい。
【0057】
-脂肪族イソシアネートの含有量-
脂肪族イソシアネートの含有量は、全イソシアネート重量に対して、0.1~5質量%が好ましく、0.2~3質量%がより好ましい。
【0058】
-フィラーの含有量-
フィラーの含有量は、ポリエーテルポリオールA及びダイマー酸ポリエステルポリオールBの合計100質量部に対して、5~40質量部が好ましく、10~30質量部がより好ましい。
【0059】
(連続通気型スポンジの特性)
-自己スキン層-
本実施形態に係る連続通気型スポンジは、自己スキン層を有していてもよいし、有していなくてもよい。ただし、リキッドファンデーション用の化粧用パフなど水系液体の含浸・吸水を抑えたい場合は、自己スキン層を有することがよい。
【0060】
-見掛け密度-
本実施形態に係る連続通気型スポンジの見掛け密度は、機械的強度、特に使用時及び洗浄時の引裂き強さの観点、圧縮使用時の底当たり防止の観点から、また、化粧時の操作性の観点から、100~300kg/mである。見掛け密度は、好ましくは、100~200kg/m、より好ましくは、100~150kg/mである。
【0061】
見掛け密度は、次の方法により測定する。
まず、測定対象(概寸:縦100mm×横100mm×厚さ測定値)のサンプルを23±3℃の環境に用意する。次に、精密天秤にて、サンプルの重量を1/100g精度で測定する。次に、デジタルゲージを使用し、直径Φ10mmの測定子を用い荷重約0.6Nにて、サンプルの厚さ寸法を1/100mm精度で9個所測定し、平均値を求める。サンプルの縦寸法及び横寸法は、デジタルノギスを用いて、それぞれ3箇所測定し、平均を求める。得られた各寸法から、サンプルの体積を算出する。そして、式:見かけ密度=重量/体積にて、見かけ密度を求める。
【0062】
-通気度-
本実施形態に係る連続通気型スポンジの通気度は、揉み洗いが容易で、泡切れが良く、乾燥し易くする観点から、0.05cm/cm・sec以上であり、1.0m/cm・sec以上が好ましい。通気度は、より好ましくは、1cm/cm・sec以上である。
【0063】
通気度は、約10mm厚さのスポンジを織布通気度試験のフランジュール型法によりJIS L 1004(1972年)に準じて測定する。測定値は、10mm厚さに換算して通気度値とする。装置としては、例えば、東洋精機社製の通気性試験機No.8-6-9を使用して測定する。
【0064】
-独泡率-
本実施形態に係る連続通気型スポンジは、独泡率が5%以下のスポンジである。独泡率は、より好ましくは、1%以下である。
独泡率は、レミングトン法(ASTM D 1940-62T準拠)によって測定される。具体的には、水銀マノメーターを使い、サンプル室容積R1を測定する。次に、容積Vと重量Wを測定したサンプルをサンプル室に投入し密閉する。この状態で水銀マノメーターを使い、サンプル室容量R2を測定する。独立気泡率(%)は、下記の式で計算して求める。
(R1-R2-W/d)/(V-W/d)×100
R1;サンプル室容量(ブランク)(ml)
R2;サンプル室容量(サンプル入り)(ml)
W;サンプル重量(g)
d;真比重(g/cm3)
V;サンプル容量(見かけ体積)(cm
【0065】
-50%圧縮硬度-
本実施形態に係る連続通気型スポンジの50%圧縮硬度は、低硬度及び易洗性の観点から、10kPa以下である。50%圧縮硬度は、好ましくは、5kPa以下である。
50%圧縮硬度は、JIS K6400-2(2012年)に準じて測定する。
具体的には、測定対象から、50×50mmのサイズに試料を打ち抜く。厚みが10mm以下の場合は10mm以上になるように積層して試料を得る。そして、(株)オリオンテック製「テンシロン万能材料試験機UCT-500」を用いて、圧縮速度50mm/minにてサンプル厚みに対して50%圧縮を行って、50%圧縮硬度を測定する。
【0066】
-50%圧縮永久歪-
本実施形態に係る連続通気型スポンジの50%圧縮永久歪は、繰り返し洗濯後の型崩れ抑制の観点から、10%以下である。50%圧縮永久歪は、好ましくは、1%以下である。
【0067】
50%圧縮永久歪は、JIS K6400-4 A法(2004年)に準じて測定する。
具体的には、測定対象から、50×50mmのサイズに試料を打ち抜く。厚みが10mm以下の場合は10mm以上になるように積層して試料を得る。
次に、試料厚さt0(mm)の50%厚さのスペーサーを介して、金属板にて挿み固定する。この状態で、室温下で22時間保持する。
次に、金属板から解放後、放置30分後にサンプル厚さt1(mm)を測定する。
そして、下記式により、圧縮永久歪(%)を算出する。
圧縮永久歪(%)=(t0-t1)/t0 ×100
【0068】
-平均セル数-
本実施形態に係る連続通気型スポンジの平均セル数は、75個以上が好ましく、150個以上がより好ましい。
平均セル数は、JIS K 6400-1(2004年)附属書1に準じて10mm長さ毎のセル数を測定し、その数を2.5倍して、セル数(個/25mm)を算出する。なお、平均セル数は、光学顕微鏡にて拡大して計測する。試験体で、両面ともスキン層の場合は、製造時の下面スキン層を測定し、半裁加工した片面スキン層の場合は、半裁面を測定した。
【0069】
-体積吸水率(体積%)-
本実施形態に係る連続通気型スポンジの体積吸水率は、化粧料保持及び易洗性の観点から、1体積%以上10体積%以下が好ましい。
体積吸水率(体積%)の測定方法は以下の通りである。
まず、測定対象(概寸:縦100mm×横100mm×厚さmm)のサンプルを23±3℃の環境に用意する。次に、精密天秤にてサンプルの重量を1/1000g精度で測定する。この重量を、初期重量w0(g)とする。次に、デジタルゲージを使用し、直径Φ10mmの測定子を用い荷重約0.6Nにて、サンプルの厚さ寸法t(mm)を1/100mm精度で9個所測定し、平均値を求める。サンプルの縦寸法a(mm)及び横寸法b(mm)は、デジタルノギスを用いて、それぞれ3箇所測定し、平均を求める。
このサンプルを、23±3℃の環境で水に沈める。この時、サンプルの上面が水深100mmになる様に金網等で保持する。24時間この状態で保持したサンプルを静かに(外圧をなるべく与えずに)取り出し、キムタオル等で表面に存在する付着水を拭き取る。拭き取ったサンプルは、精密天秤にてサンプルの重量を1/1000g精度で測定する。この重量を、試験後重量w1(g)とする。
吸水率(体積%)は、以下の式で求める。
吸水率(体積%)=(w1-w0)/(t×a×b/1000)×100
【0070】
-引張強さ・伸び-
本実施形態に係る連続通気型スポンジの引張強さは、取扱いや加工及び易洗性の観点から、100kPa以上が好ましい。更に好ましくは、180kPa以上である。
本実施形態に係る連続通気型スポンジの伸びは、取扱いや加工及び易洗性の観点から、100%以上が好ましい。更に好ましくは、180%以上である。
引張強さ及び伸びは、JIS K 6400-5(2012年)に準じて測定する。具体的には、ダンベル状2号 形状に打抜いた試験片を、引張速度200mm/minで引っ張っていき、試験片破断時の最大応力と最大伸びを求める。
【0071】
-易洗性-
本実施形態に係る連続通気型スポンジは、易洗性に優れる。
本実施形態に係る連続通気型スポンジの易洗性は、下記基準にて評価する。
まず、測定対象(概寸:縦100mm×横100mm×厚さ測定値)のサンプルを23±3℃の環境に用意する。半日以上、同温度で維持した深さ20cm以上に水を保持した水槽を用意する。下記項目全てに合格した場合のみ、易洗性合格(表中「〇」と表記)とする。一方、1項目でも不合格の場合は、易洗濯不合格(表中「×」と表記)とする。
(1)水中にて軽い力で圧縮できること
(2)(1)の時、スポンジ内部に著しいエアー残りが発生しないこと
(3)(2)の状態から水中で開放した時、10秒以内に元形状に復元すること
(4)(1)~(3)を5回繰り返した時、泡立ちや泡立つ添加物がないこと
(5)(1)~(3)を5回繰り返した後、空中にて軽い力で圧縮し水切りができること
(6)以上の項目全てにおいて、スポンジの裂けが無いこと
【0072】
-フォーム外観(成型性)-
本実施形態に係る連続通気型スポンジは、フォーム外観(成型性)にも優れる。
本実施形態に係る連続通気型スポンジのフォーム外観(成型性)は、下記基準にて評価する。下記項目全てに合格した場合のみ、フォーム外観合格(表中「〇」と表記)とする。一方、1項目でも不合格の場合は、フォーム外観不合格(表中「×」と表記)とする。
(1)フォームの収縮が無いこと。
(2)フォーム内部及び外部に割れが無いこと。
(3)硬化不足により、フォーム表面や内部がベタベタしないこと。
(4)フォーム全体が著しく均一性に欠く事(たとえば、2層や3層状態)がないこと。
(5)フォームがスキン層を有する場合、スキン層の下部に欠陥を有さない(いわゆるルーズ状態にない)こと。
【0073】
(連続通気型スポンジの製造方法)
本実施形態に係る連続通気型スポンジの製造方法は、特に制限はない。例えば、本実施形態に係る連続通気型スポンジの製造方法としては、次の方法が挙げられる。
ウレタン原料液を第1の連続ウェブ(帯状体)上に連続的に塗布して塗布膜を形成する塗布工程と、第1の連続ウェブ上の塗布膜を加熱し硬化させて、連続通気構造の発泡体を形成する加熱工程と、を含む連続通気型スポンジの製造方法。
【0074】
一方、塗布工程の後、加熱工程の前に、第1の連続ウェブ(帯状体)上の塗布膜に第2の連続ウェブ(帯状体)を供給し、2枚の連続ウェブにより塗布膜を挟む第2連続ウェブ供給工程を含み、加熱工程は2枚の連続ウェブにより挟まれた状態で塗布膜を加熱し硬化させて、連続通気構造の発泡体を形成する工程は多数のメリットがある。
特に、2枚の離形性の連続ウェブにより挟まれた状態で、ウレタン原料液の塗布膜を加熱硬化し、連続通気構造の発泡体を形成すると、2枚の連続ウェブに挟まれた状態で発泡するので、発泡剤の飛散が無いので発泡倍率が高まり(低密度になる)、少ない水部数で高い連続通気構造の発泡体(つまりスポンジ)が得られるので耐汚れ性が良く、しかも、尿素結合が少なくなるため手感触もしっとり感が出る。両表面ともに薄く平滑なスキン層ができ、指へのなじみ(手感触がしっとり)がよく、質感が高い連続通気構造の発泡体(つまりスポンジ)が得られやすい事も大きな特徴である。
【0075】
以下、この態様の連続通気型スポンジの製造方法について図面を参照しつつ説明する。
【0076】
図1は、本実施形態に係る連続通気型スポンジの製造方法を実施するための装置構成の一例を示した概略図である。
図1に示すように、連続通気型スポンジの製造装置100は、第1の連続ウェブ14Aを送り出す第1ウェブロール14と、ウレタン原料液を第1の連続ウェブ14A上に塗布する塗布装置12と、第1ウェブロール14から送り出された第1の連続ウェブ14Aを塗布装置12の直下に導く大径ローラ18と、第2の連続ウェブ16Aを送り出す第2ウェブロール16、第2の連続ウェブ16Aを第1の連続ウェブ14A上の塗布膜10上に導くガイドローラ20と、2枚の連続ウェブ14A,16Aの間に挟まれたウレタン原料液の塗布膜10を加熱装置22に導くとともに加熱装置22により加熱して硬化した連続通気構造の発泡体(以下「発泡ウレタンシート」と称する)30を搬送する第2搬送ローラ28A,第1搬送ローラ28Bと、発泡ウレタンシート30から剥離された各連続ウェブ14A,16Aを巻き上げて回収する第1回収ローラ24,第2回収ローラ26と、を備えている。
【0077】
-塗布工程-
まず、原料成分を混合攪拌したウレタン原料液を第1の連続ウェブ14A上に連続的に塗布して塗布膜10を形成する。
【0078】
第1の連続ウェブ14としては、例えば樹脂フィルムまたは紙体が好ましく用いられる。
樹脂フィルムは、ウレタン原料液の塗布及び加熱工程での加熱によって変形しないものであれば特に限定されないが、ウレタン原料液に対する耐性、耐熱性などの観点から、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのフィルムが好ましい。
必要であれば、樹脂フィルムの表面にコロナ放電処理、プラズマ処理などを施して発泡ウレタンシートとの接着性を向上させてもよい。
【0079】
また、発泡ウレタンシートを製造した後、樹脂フィルムを剥がし易いようにウレタン原料液の塗布膜を形成する面が離型性を有する樹脂フィルムを用いてもよい。
離型性を有する樹脂フィルムとしては、樹脂フィルムの片面にシリコーン離型剤を塗布する方法、ポリプロピレン樹脂やポリメチルペンテン樹脂などの離型性を有する樹脂フィルムをそのまま用いる方法、離型性を有する樹脂フィルムをポリエステルフィルム等にラミネートするなどの方法がある。また、紙体を用いる場合は、グラシン紙や上質紙の表面をポリエチレンやポリプロピレンでコートした紙体、又はその上から更にシリコーン離型剤を塗布した紙体などが用いられる。尚、離型フィルム又は紙体離型紙の表面をマット仕上げやシボ模様をつけて意匠性と質感を高める事も行える。
【0080】
本発明で用いる第1の連続ウェブ14Aとしては、片面にシリコーン離型剤を塗布した樹脂フィルム又は離型性を有する樹脂フィルムが、発泡体の固化速度が速く且つ厚み精度が高いため好ましい。
【0081】
第1の連続ウェブ14A上にウレタン原料液を塗布するための塗布装置12としては、ダイスコーター、ロールコーター、ナイフコーター、コンマコーターなどを用いることが好ましい。ウレタン原料液をミキシング装置で撹拌して吐出ノズルからトラバース(反復塗布)装置で吐出してロールコーター又はナイフコーターで薄塗りする方法や、ウレタン原料液を吐出ノズルからダイスコーターに導入して連続ウェブ上に塗工する方法も好ましい。
【0082】
塗布膜10の厚みは目的とする発泡体(連続通気型スポンジ)の用途に応じて決めればよいが、発泡ウレタンシートの発泡倍率、目的の厚みなどの観点から、0.5~5mmであることが好ましい。
【0083】
-第2連続ウェブ供給工程-
第1の連続ウェブ14A上の塗布膜10に第2の連続ウェブ16Aを供給して2枚の連続ウェブ14A,16Aにより塗布膜10を挟み込む。
第2の連続ウェブ16Aとしては、第1の連続ウェブ14Aの説明で例示した樹脂フィルム又は紙体を用いることができる。なお、加熱工程後、発泡ウレタンシート30の少なくとも片面の連続ウェブを剥離し易くする観点から、第1の連続ウェブ14A及び第2の連続ウェブ16Aの少なくとも一方の連続ウェブは、塗布膜10と接する面が離型性を有する連続ウェブを用いることが好ましい。
【0084】
第2の連続ウェブ16Aを巻いた第2ウェブロール16から第2の連続ウェブ16Aを連続的に巻き出して第1の連続ウェブ14A上の塗布膜10に被せる。これにより塗布膜10は2枚の連続ウェブ14A,16Aにより挟まれた状態となる。
【0085】
なお、図1に示す装置は2枚の連続ウェブ14A,16Aにより塗布膜10を挟むように構成されているが、第1の連続ウェブ14A上に塗布膜を形成した後、第2の連続ウェブ16Aを被せずに次の加熱工程に進んでもよい。
【0086】
-加熱工程-
塗布膜10は2枚の連続ウェブ14A,16Aで挟んだ状態で加熱装置22内に搬送され加熱により硬化される。
硬化のための加熱温度は80~120℃が好ましく、この範囲の温度で5~20分で硬化することが好ましい。
加熱装置22としては、赤外線ヒーター、電気ヒーター、ガス燃焼炉などを用いることができる。
【0087】
-剥離工程-
加熱工程により発泡硬化させた発泡ウレタンシート30を第2搬送ローラ28A及び第1搬送ローラ28Bでは搬送し、連続ウェブ14A,16Aが発泡ウレタンシート30に密着したまま巻き取ってもよいし、連続ウェブ14A,16Aが離型性ウェブである場合は、図1に示すように、発泡ウレタンシート30を第2搬送ローラ28A及び第1搬送ローラ28Bでは搬送しつつ、発泡ウレタンシート30から離型性ウェブを剥離して各回収ローラ24,26に巻き取って回収する。なお、各連続ウェブ14A,16Aを回収した第1回収ロール24及び第2回収ロール26は供給ロールである第1ウェブロール14,第2ウェブロール16として再利用することができる。
【0088】
上記工程を経て、発泡ウレタンシート(連続通気構造の発泡体)からなる連続通気型スポンジを連続的に製造することができる。
【0089】
本実施形態に係る連続通気型スポンジの製造方法は、上記以外に、スラブストック法、型内で成形するモールド法等の公知の方法が適用できる。
【0090】
なお、本明細書において、「工程」との用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されるのであれば、本用語に含まれる。
【0091】
(連続通気型スポンジの用途)
本実施形態に係る連続通気型スポンジは、化粧用パフ、ブラジャー用パッド、スポーツ衣料用パッド、膝又は肘当て用パッド、魚の目用等の医療用パッド、インソール、サポーター、止水シール材、化粧水等の液体含浸シートマスク等の用途に適用できる。
特に、本実施形態に係る連続通気型スポンジは、洗浄して繰返し使用するスポンジの用途に好適に適用できる。
【0092】
本実施形態に係る連続通気型スポンジは、整泡剤が反応性で有るため、ブリードアウトしない。その結果、熱融着、超音波融着及び高周波融着に好適で、スポンジの形状加工、他部材との貼合わせ加工、リボン付け加工等が容易にできる特長がある。
そのため、特に、本実施形態に係る連続通気型スポンジは、熱溶着加工、超音波融着加工、又は高周波溶着加工により、他部材との貼合わせ加工を行なったスポンジであってもよい。つまり、本実施形態に係る連続通気型スポンジは、他部材との熱溶着加工品、他部材との超音波融着加工品、又は他部材との高周波溶着加工品であってもよい。
ここで、他の部材としては、ラテックスゴムフォーム、他のポリウレタンフォーム、ポリエステル・ポリウレタン・ナイロンなどの熱可塑性樹脂からなるシート、合成繊維からなる織物、不織布・ワリフ・ネットなどの樹脂製シートなどが例示される。
【0093】
(化粧用パフ)
本実施形態に係る化粧用パフは、本実施形態に係る連続通気型スポンジを有する。それにより、本実施形態に係る化粧用パフは、リキッドファンデーションが過度に浸み込むことが抑えられる。それにより、リキッドファンデーションの消費量が低減される。それに加え、化粧用パフが汚れて、繰り返し洗濯しても、整泡剤に起因する起泡の発生が抑制され、易洗性に優れる。
【0094】
本実施形態に係る化粧用パフは、本実施形態に係る連続通気型スポンジの一層構造のパフであってもよいし、本実施形態に係る連続通気型スポンジを表皮材として有する複層構成のパフであってもよい。
【実施例0095】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、以下において「部」は特に断りのない限り質量基準である。
【0096】
<実施例1>
・ポリエーテルポリオールA:アクトコールEP-240(三井化学SKCポリウレタン(株)製、Mn=6,000、f=3、EO/PO=15/85、水酸基価OHv=23.7)50部
・ダイマー酸ポリエステルポリオールB:テスラック2458(昭和電工マテリアルズ(株)製、Mn=2,500、OHv=73.6)50部
・発泡剤(水)E: イオン交換水0.9部
・整泡剤D: 信越化学工業(株)製のF-342(水酸基含有側鎖型シリコーン変性体)1.0部
・触媒F1: 三菱ケミカル(株)製のスタノクト(ビス(2-エチルヘキサン酸)すず(II))(表中、「SO」と表記) 0.1部、
・触媒F2: エボニックジャパン(株)製のDABCO(R)33LV(トリエチレンジアミン(1/3)、ジプロピレングリコール(2/3))(表中、「33lv」と表記)0.1部
上記材料を撹拌混合し、ポリオール系溶液を得て、当該溶液を50℃に加温した。
【0097】
一方、イソシアネートC1~C2として、カルボジイミド変性MDI(NCO%=28.1、コスモネートLK、三井化学(株)製)、及びプレポリマーA(ポリオール変性MDI、NCO%=13.3)を、質量比50/50で撹拌混合し、イソシアネート混合液を得て、当該混合液を50℃に加温した。
ここで、プレポリマーAは、ピュアージフェニルメタンジイソシアネート(ピュアMDI、ミリオネートMT、東ソー(株)製)とポリオキシプロピレングリコール(Mw=700、f=2、ユニオールD-700、日油(株)製)とを、モル比率3.4/1で混合し、撹拌機付き反応容器中で、常圧下で窒素ガスを通じつつ、約80℃で反応させてプレポリマー化させたプレポリマーである。
【0098】
次に、ポリオール系溶液に、イソシアネートインデックス103相当のイソシアネート混合液(39.04部)を撹拌混合し、ウレタン混合液を得た。
【0099】
次に、得られた混合液を、表面を離型剤処理したPETフィルム(厚さ100μm)上に均一塗布した後、上から同じく表面を離型剤処理したPETフィルム(厚さ100μm)を被せ、ウレタン混合液を2つのPETフィルムで挟み込んだ。
この状態で、80℃のオーブン中で5分加熱した直後更に、120℃のオーブン中で10分加熱した。
加熱終了後、オーブンから取り出し、PETフィルムを取り外し、表面に自己スキンを有する、厚み8mmのポリウレタンフォームを作製した。
【0100】
<実施例2~7、比較例1~2>
発泡剤(水)Eの部数(表1中の数値は部数)を変更して、実施例1と同様にして、ポリウレタンフォームを得た。但し、イソシアネートインデックス103にする為、イソシアネートC1~C2の量は変化させた。また、必要に応じて、触媒F1の部数を調整した。
【0101】
<実施例8~12、比較例3>
整泡剤DをF-342以外の反応性タイプに変更して、実施例1と同様にして、ポリウレタンフォームを得た。但し、使用した整泡剤Dは、次の通りである。
実施例8;KF6106(ポリグリセリン変性(末端OH基)、信越化学工業(株)製)
比較例3;KF6001(両末端OH基、信越化学工業(株)製)
実施例9;X-22-170BX(片末端OH基、信越化学工業(株)製)
実施例10;X-22-176F(片末端OH基2個、信越化学工業(株)製)
実施例11;KF6000(両末端OH基、信越化学工業(株)製)
実施例12;X-22-1660B-3(末端アミノ基、信越化学工業(株)製)
【0102】
<比較例4~8>
整泡剤Dを非反応性タイプに変更して、実施例1と同様にして、ポリウレタンフォームを得た。但し、使用した整泡剤Dは、次の通りである。
比較例4;SZ1642(末端OR型、ダウ・東レ(株)製)
比較例5;SH193(末端OR型、ダウ・東レ(株)製)
比較例6;F―242T(末端OR型、信越化学工業(株)製
比較例7;L5614(非反応(AB)n型、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)
比較例8;SZ1952(非反応(AB)n型、ダウ・東レ(株)製)
【0103】
<実施例13~18、比較例9~10>
ポリエーテルポリオールA及びダイマー酸ポリエステルポリオールBの比率を変更して、実施例1と同様にして、ポリウレタンフォームを得た。
【0104】
<実施例19~22>
イソシアネートC1~C2の種類と比率を変更して、実施例1と同様にして、ポリウレタンフォームを得た。また、必要に応じて、触媒F1~F2の部数を調整した。
【0105】
<実施例23~28>
ポリエーテルポリオールAの種類と比率を変更して、実施例1と同様にして、ポリウレタンフォームを得た。但し、使用したポリエーテルポリオールAは、次の通りである。
実施例23;エクセノール4030(AGC(株)製、Mn=4,000、f=3、PO=100%、水酸基価OHv=42.0)
実施例24;アクトコールEP-505S(三井化学SKCポリウレタン(株)製、 Mn=3,300、f=3、EO/PO=70/30、水酸基価OHv=51.2)
実施例25;アクトコールEP-240とエクセノール4030とのブレンドにより 、エチレンオキサイドのモル比率5.2%としたポリオール)
実施例26;アクトコールEP-240とエクセノール4030とのブレンドにより 、エチレンオキサイドのモル比率10.0%としたポリオール)
実施例27;アクトコールEP-505Sとエクセノール4030とのブレンドによ り、エチレンオキサイドのモル比率29.7%としたポリオール)
実施例28;アクトコールEP-505Sとエクセノール4030とのブレンドによ り、エチレンオキサイドのモル比率37.9%としたポリオール)
【0106】
<実施例29~32>
脂肪族イソシアネート、分岐鎖を有する低分子ジオール、脂環構造を有するジオール、又は脂環構造を有するイソシアネートを使用して、実施例1と同様にして、ポリウレタンフォームを得た。
但し、使用した材料は、次の通りである。
実施例29;ヘキサメチレンジイソシアネート(東京化成工業(株)製、Mn=16 8、NCO%=50.0、ヘキサメチレンジイソシアネートを全イソシアネート中で2%使用)
実施例30;2-エチル―1,3―ヘキサンジオール(東京化成工業(株)製、Mn =767.3、f=2、水酸基価OHv=767.3)
実施例31;1,4―シクロヘキサンジメタノール(東京化成工業(株)製、Mn= 144、f=2、水酸基価OHv=778.6)
実施例32;イソホロンジイソシアネート(東京化成工業(株)製、Mn=222.2 9、NCO%=37.8、イソホロンジイソシアネートを全イソシアネート 中で2%使用)
【0107】
<実施例33~34>
無機フィラー、又は有機フィラーを追加して、実施例1と同様にして、ポリウレタンフォームを得た。但し、使用したフィラーは次の通りである。
実施例33;MCコートS-1(丸尾カルシウム(株)製、無機フィラー、表面処理 重炭酸カルシウム)
実施例34;MZ-10HN(S)(綜研化学(株)製、有機フィラー、メタクリル 酸エステル系共重合物)
【0108】
<実施例35~37>
実施例1、2、6を厚さの半分に裁断して、物性測定を行なった。なお、平均セル数は、スキン層面ではなく、半裁した面を測定した。
【0109】
<物性測定>
各例で得られたポリウレタンフォームの下記物性を、既述の方法に従って測定した。
・見掛け密度
・通気度
・独泡率
・50%圧縮硬度
・50%圧縮永久歪
・易洗性
・フォーム外観(成型性)
・平均セル数
・体積吸水率
・引張強さ
・伸び
【0110】
<評価>
各例で得られたポリウレタンフォームの物性測定の結果を表に記載した。
なお、総合評価は、次の基準で評価した。
◎:易洗性、フォーム外観(成型性)、見掛け密度、通気度、独泡率、50%圧縮硬さ、50%圧縮永久歪の全項目において合格で、尚且つ、平均セル数150個/25mm以上、体積吸水率1~10体積%、引張強さ180kPa以上、伸び180%以上の好適範囲である場合
○:易洗性、フォーム外観(成型性)、見掛け密度、通気度、独泡率、50%圧縮硬さ、50%圧縮永久歪の全項目において合格で、尚且つ、平均セル数150個/25mm以上、体積吸水率1~10体積%、引張強さ180kPa以上、伸び180%以上のいずれか1項目以上が好適範囲でない場合
△:易洗性、フォーム外観(成型性)、見掛け密度、通気度、独泡率、50%圧縮硬さ、50%圧縮永久歪の全項目において合格で、尚且つ、平均セル数75個/25mm未満、体積吸水率1~10体積%以外、引張強さ100kPa未満、伸び100%未満の範囲にいずれか1項目以上が該当する場合
×:易洗性、フォーム外観(成型性)、見掛け密度、通気度、独泡率、50%圧縮硬さ、50%圧縮永久歪のいずれか1項目以上が不合格の場合
【0111】
【表1】
【0112】
【表2】
【0113】
【表3】
【0114】
【表4】
【0115】
【表5】
【0116】
【表6】
【0117】
【表7】
【0118】
【表8】
【0119】
上記結果から、実施例のウレタンフォームは、比較例のウレタンフォームに比べ、易洗性、フォーム外観(成型性)に優れることがわかる。
【符号の説明】
【0120】
10 塗布膜
12 塗布装置
14 第1ウェブロール
14A 第1の連続ウェブ
16 第2ウェブロール
16A 第2の連続ウェブ
18 大径ローラ
20 ガイドローラ
22 加熱装置
24 第1回収ロール
26 第2回収ロール
28A 第2搬送ローラ
28B 第1搬送ローラ
30 連続通気構造の発泡体(発泡ウレタンシート)
100 連続通気型スポンジの製造装置
図1