(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052431
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】冷媒漏洩点検システム及び冷媒漏洩点検方法
(51)【国際特許分類】
F25B 49/02 20060101AFI20240404BHJP
F24F 11/36 20180101ALI20240404BHJP
F24F 11/50 20180101ALI20240404BHJP
F24F 140/00 20180101ALN20240404BHJP
【FI】
F25B49/02 520K
F24F11/36
F24F11/50
F25B49/02 520H
F24F140:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159133
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】吉見 学
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AB01
3L260BA52
3L260DA11
3L260FB01
3L260FC32
3L260FC33
3L260GA17
3L260HA06
(57)【要約】
【課題】一定期間内に冷媒漏洩点検を少なくとも1回実施する、冷媒漏洩点検方法及びその方法によって冷媒漏洩の点検を行う冷媒漏洩点検システムを提供する。
【解決手段】冷媒漏洩点検システム100は、冷凍サイクル装置の冷媒漏洩検知を実施するシステムであって、第1時刻において、冷媒漏洩検知が実施されていない場合に、冷凍サイクル装置を運転させて冷媒漏洩検知を実施する実施部34a、を備える。第1時刻とは、一定期間の終了時刻から冷媒漏洩検知に要する時間を引いた限界開始時刻、あるいは、それよりも前の時刻である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1時刻において、冷媒漏洩検知が実施されていない場合に、冷凍サイクル装置を運転させて前記冷媒漏洩検知を実施する実施部(34a)、
を備え、
前記第1時刻は、一定期間の終了時刻から前記冷媒漏洩検知に要する時間を引いた限界開始時刻、あるいは、それよりも前の時刻である、
冷媒漏洩点検システム(100)。
【請求項2】
第1時刻において、冷媒漏洩検知が実施されていない場合に、冷凍サイクル装置を運転させて前記冷媒漏洩検知を実施する実施部(334a)、
を備え、
前記第1時刻は、直近の前記冷媒漏洩検知の終了時刻から一定期間が経過する時刻から、前記冷媒漏洩検知に要する時間を引いた限界開始時刻、あるいは、それよりも前の時刻である、
冷媒漏洩点検システム(300)。
【請求項3】
前記冷媒漏洩検知の結果を記憶する記憶部(35、335)、をさらに備える、
請求項1又は請求項2に記載の冷媒漏洩点検システム。
【請求項4】
前記冷媒漏洩検知の結果を管理者、あるいは、ユーザーに通知する通知部(34b)、をさらに備える、
請求項1又は請求項2に記載の冷媒漏洩点検システム。
【請求項5】
前記実施部は、
前記冷凍サイクル装置を運転させて前記冷媒漏洩検知を実施した後、実施済フラグを記憶し、
前記一定期間の終了後に、前記実施済フラグを消去する、
請求項1に記載の冷媒漏洩点検システム。
【請求項6】
前記実施部は、前記第1時刻に前記実施済フラグが記憶されていない場合は、前記冷凍サイクル装置を運転させて前記冷媒漏洩検知を実施する、
請求項5に記載の冷媒漏洩点検システム。
【請求項7】
前記一定期間において、前記第1時刻に前記冷媒漏洩検知の予約を行うことのできるスケジュール部(234c)、をさらに備え、
前記スケジュール部は、予約時刻以前に前記実施済フラグが記憶されている場合は、前記予約を取り消す、
請求項5に記載の冷媒漏洩点検システム(200)。
【請求項8】
第1時刻において、冷媒漏洩検知が実施されていない場合に、冷凍サイクル装置を運転させて前記冷媒漏洩検知を実施するステップ、
を備え、
前記第1時刻は、一定期間の終了時刻から前記冷媒漏洩検知に要する時間を引いた限界開始時刻、あるいは、それよりも前の時刻である、
冷媒漏洩点検方法。
【請求項9】
第1時刻において、冷媒漏洩検知が実施されていない場合に、冷凍サイクル装置を運転させて前記冷媒漏洩検知を実施するステップ、
を備え、
前記第1時刻は、直近の前記冷媒漏洩検知の終了時刻から一定期間が経過する時刻から、前記冷媒漏洩検知に要する時間を引いた限界開始時刻、あるいは、それよりも前の時刻である、
冷媒漏洩点検方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
冷媒漏洩点検システム及び冷媒漏洩点検方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、冷凍サイクル装置の冷媒回路内における冷媒漏れを検知するために、冷媒漏洩検知機能を有する冷凍サイクル装置が普及している。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2007-163099号公報)に開示されている、冷凍サイクル装置としての空気調和装置では、定期的に、冷媒が冷媒回路から外部に漏洩しているか否かを検知する冷媒漏洩検知運転の機能を有する。この空気調和装置では、冷房運転や暖房運転のような通常運転モードから冷媒漏洩検知運転モードに切り換えて、高精度な冷媒量判定運転を行なう。特許文献2(特開2021-156528号公報)に開示されている空気調和機と空気調和システムでは、空気調和機の運転状態量を用いて冷媒量を予測する推定モデルを利用し、通常の冷房運転や暖房運転時に高精度で冷媒量を判定する機能を有する。また、特許文献3(特許第6257801号公報)に開示されている冷凍サイクル装置は、停止中の冷凍サイクル装置内部の圧力や温度に基づいて冷媒漏洩を検知する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、環境保護の観点から、冷媒漏洩検知に関する法的規制が整備されている。規制によっては、冷媒検知頻度や冷媒検知精度に関するシステム要件がある。検知頻度の要件では、例えば、少なくとも1日1回は冷媒漏洩検知を実施し、検知結果を一定期間残すことを義務付けている。検知精度の要件では、例えば、定められた運転条件下で、規定量の冷媒が充填された冷凍サイクル装置から、冷媒量が規定量減少するまでに、冷媒漏洩を検知することが求められている。
【0005】
しかしながら、特許文献1の冷凍装置管理システムでは、検知精度の要件は満たすが、検知頻度の要件である、一定期間内に1回以上の冷媒漏洩検知を実施し、検知結果を残すための具体的な方法が開示されていない。また、特許文献2の空気調和機では、毎日運転される場合は、検知頻度と検知精度の両要件を満たすが、休日や春、秋の中間期に終日停止する場合は、検知頻度要件を満たすことができない。このように冷凍サイクル装置が終日停止する状況では、特許文献3の検知方法の適用が考えられる。しかしながら、停止中の冷凍サイクル装置の圧力と温度の変化から漏洩を検知する手法は、検知精度が低く、検知精度要件を満たすことは困難である。
【0006】
本開示は、法的規制の検知頻度と検知精度要件に従って、冷凍サイクル装置が通常運転しているか停止しているかの運転状況にかかわりなく、要求される検知精度で、一定期間内に冷媒漏洩点検を少なくとも1回実施するための冷媒漏洩点検方法及びその方法によって冷媒漏洩の点検を行う冷媒漏洩点検システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1観点の冷媒漏洩点検システムは、第1時刻において、冷媒漏洩検知が実施されていない場合に、冷凍サイクル装置を運転させて冷媒漏洩検知を実施する実施部、を備える。第1時刻は、一定期間の終了時刻から冷媒漏洩検知に要する時間を引いた限界開始時刻、あるいは、それよりも前の時刻である。
【0008】
第1観点の冷媒漏洩点検システムでは、このような構成により、一定期間内に必ず1回以上の冷媒漏洩検知を実施することができる。
【0009】
第2観点の冷媒漏洩点検システムは、第1時刻において、冷媒漏洩検知が実施されていない場合に、冷凍サイクル装置を運転させて冷媒漏洩検知を実施する実施部、を備える。第1時刻は、直近の冷媒漏洩検知の終了時刻から一定期間が経過する時刻から、冷媒漏洩検知に要する時間を引いた限界開始時刻、あるいは、それよりも前の時刻である。
【0010】
第2観点の冷媒漏洩点検システムでは、このような構成により、直近の冷媒漏洩検知の終了時刻から一定期間内に、必ず1回以上の冷媒漏洩検知を実施することができる。
【0011】
第3観点の冷媒漏洩点検システムは、第1観点又は第2観点の冷媒漏洩点検システムであって、冷媒漏洩検知の結果を記憶する記憶部、をさらに備える。
【0012】
第3観点の冷媒漏洩点検システムでは、このような構成により、法的規制が定める一定期間内における冷媒漏洩検知結果の履歴を記憶しておくことができる。
【0013】
第4観点の冷媒漏洩点検システムは、第1観点又は第2観点の冷媒漏洩点検システムであって、冷媒漏洩検知の結果を管理者、あるいは、ユーザーに通知する通知部、をさらに備える。
【0014】
第4観点の冷媒漏洩点検システムでは、このような構成により、冷凍サイクル装置の管理者、あるいは、ユーザーが冷媒漏洩の疑いをいち早く知ることができる。
【0015】
第5観点の冷媒漏洩点検システムは、第1観点の冷媒漏洩点検システムであって、実施部は、冷凍サイクル装置を運転させて冷媒漏洩検知を実施した後、実施済フラグを記憶する。また、実施部は、一定期間の終了後に、前記実施済フラグを消去する。
【0016】
第6観点の冷媒漏洩点検システムは、第5観点の冷媒漏洩点検システムであって、実施部は、第1時刻に実施済フラグが記憶されていない場合は、冷凍サイクル装置を運転させて冷媒漏洩検知を実施する。
【0017】
第6観点の冷媒漏洩点検システムでは、このような構成により、一定期間内に必ず1回以上の冷媒漏洩検知を確実に実施することができる。また、不必要な冷媒漏洩検知の実施が行われることを抑制することができる。
【0018】
第7観点の冷媒漏洩点検システムは、第5観点の冷媒漏洩点検システムであって、一定期間において、第1時刻に冷媒漏洩検知の予約を行うことのできるスケジュール部、をさらに備える。スケジュール部は、予約時刻以前に実施済フラグが記憶されている場合は、予約を取り消す。
【0019】
第7観点の冷媒漏洩点検システムでは、このような構成により、一定期間内に必ず1回以上の冷媒漏洩検知を確実に実施することができる。また、不必要な冷媒漏洩検知の実施が行われることを抑制することができる。
【0020】
第8観点の冷媒漏洩点検方法は、第1時刻において、冷媒漏洩検知が実施されていない場合に、冷凍サイクル装置を運転させて冷媒漏洩検知を実施するステップ、を備える。第1時刻は、一定期間の終了時刻から冷媒漏洩検知に要する時間を引いた限界開始時刻、あるいは、それよりも前の時刻である。
【0021】
第8観点の冷媒漏洩点検方法では、このような構成により、一定期間内に必ず1回以上の冷媒漏洩検知を実施することができる。
【0022】
第9観点の冷媒漏洩点検方法は、第1時刻において、冷媒漏洩検知が実施されていない場合に、冷凍サイクル装置を運転させて冷媒漏洩検知を実施するステップ、を備える。第1時刻は、直近の冷媒漏洩検知の終了時刻から一定期間が経過する時刻から、冷媒漏洩検知に要する時間を引いた限界開始時刻、あるいは、それよりも前の時刻である。
【0023】
第9観点の冷媒漏洩点検方法では、このような構成により、直近の冷媒漏洩検知の終了時刻から一定期間内に、必ず1回以上の冷媒漏洩検知を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】冷媒漏洩点検システムの構成を示す図である。
【
図2】室内機、室外機、及びルータの構成を示す図である。
【
図4】第1実施形態に係る冷媒漏洩点検方法の具体的な実行例を示す図である。
【
図5】通常運転時の冷媒漏洩検知の処理の流れを示す図である。
【
図6】第1実施形態に係る冷媒漏洩点検方法の処理の流れを示す図である。
【
図7】第2実施形態に係る冷媒漏洩点検方法の処理の流れを示す図である。
【
図8】冷媒漏洩点検システムの別構成を示す図である。
【
図10】第3実施形態に係る冷媒漏洩点検方法の具体的な実行例を示す図である。
【
図11】第3実施形態に係る冷媒漏洩点検方法の処理の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本開示の一実施形態に係る冷媒漏洩点検方法及びその方法によって冷媒漏洩の点検を行う冷媒漏洩点検システムについて説明する。
【0026】
<第1実施形態>
(1)冷媒漏洩点検システムの全体構成
図1に示す冷媒漏洩点検システム100は、空気調和装置10の冷媒漏洩検知を実施するシステムである。空気調和装置10は、冷凍サイクル装置の一例である。冷媒漏洩点検システム100は、法的規制の要件に基づいて、例えば1日に必ず1回以上空気調和装置10を運転して、規定冷媒量の30%が減少したことを検知できる検知精度での冷媒漏洩検知を実施し、検知実施日と過去1年間分の冷媒漏洩検知結果を記憶する。また、冷媒漏洩点検システム100は、空気調和装置10の管理者に、冷媒漏洩検知結果を通知する。
【0027】
冷媒漏洩点検システム100は、主として、空気調和装置10と、遠隔監視装置30と、ルータ20とから構成される。
図1では、1台のルータ20に複数系統の空気調和装置10が接続されているが、1系統の空気調和装置10に1台の専用ルータ20が接続されてもよい。
【0028】
空気調和装置10は、物件90に設置され、1系統の空気調和装置10は、少なくとも1台の室外機11と、少なくとも1台の室内機12と、から構成される。室外機11と室内機12とは、専用線70を介して接続される。
【0029】
遠隔監視装置30は、物件90の遠隔に位置する遠隔監視センター91に設けられるサーバである。遠隔監視装置30は、インターネット60を介して室外機11、室内機12と接続可能である。さらに、遠隔監視装置30は、物件90に設置されている複数の空気調和装置10以外に、物件90とは別の複数の物件に設置されている同様の空気調和装置を接続し、複数の物件に設置されている空気調和装置を同時に監視してもよい。冷媒漏洩点検システム100では、空気調和装置10から離れた場所に設置されている遠隔監視装置30が、空気調和装置10の冷媒漏洩検知実施状況を監視している。冷媒漏洩検知を実施させるため、必要とあらば停止中の空気調和装置10に強制運転指令を送信する。空気調和装置10で冷媒漏洩検知を実施する場合は、起動後の漏洩検知実施指令と実施後の結果報告指令を送信する。また、遠隔監視装置30で冷媒漏洩検知を実施することも可能である。その場合は、空気調和装置10の起動後の運転データをインターネット60を介して取得し、制御部34が冷媒漏洩検知を実施する。
【0030】
以下、冷媒漏洩点検システム100に含まれる各構成について説明する。
【0031】
(2)空気調和装置
図2の事例では、空気調和装置10は、1台の室外機11と複数台の室内機12を備える。室外機11及び複数台の室内機12は、図示しない冷媒配管を介して互いに接続され、これにより、空気調和装置10の冷媒回路が構成される。
【0032】
室内機12は、物件90内の空調対象空間に設置され、空調対象空間の冷房、暖房、及び除湿等の空調運転を行う。室外機11と複数台の室内機12とは、専用線70により、情報等の送受信が可能なように接続されている。
【0033】
(2-1)室内機
室内機12は、主として、通信部12a及び制御部12bを有する。通信部12aは、室外機11との間で通信を行うためのインターフェースである。制御部12bは、通信部12aを介して室外機11から制御指令(運転開始指令、運転停止指令等)を受信し、当該制御指令に基づいて室内機12を構成する各部を動作させる。また、制御部12bは、通信部12aを介して、室外機11に対して、後述する室内機12の運転データを送信する。
【0034】
また、複数の室内機12のうち一台の室内機12には、無線LANアダプタ13が外付けされている。あるいは、無線LANアダプタ13は、室内機12に内蔵されていてもよい。一台の室外機11と複数台の室内機12は、無線LANアダプタ13及びルータ20を介して、インターネット60経由で遠隔監視装置30に接続される。
【0035】
(2-2)室外機
室外機11は、主として、通信部11aと、出力部11bと、制御部11cと、記憶部11dと、を有する。
【0036】
(2-2-1)通信部
通信部11aは、上述したように、各室内機12との間で通信を行うためのインターフェースである。制御部11cは、通信部11aを介して、各室内機12から運転データを受信する。また、制御部11cは、通信部11aを介して、各室内機12に対して制御指令(運転開始指令、運転停止指令等)を送信する。
【0037】
さらに、通信部11aは、インターネット60を介して遠隔監視装置30との間で通信を行うためのインターフェースである。制御部11cは、通信部11aを介して、遠隔監視装置30からの制御指令を受信する。また、制御部11cは、通信部11aを介して、遠隔監視装置30に対して室外機11及び各室内機12の運転データを送信する。運転データについては後述する。
【0038】
(2-2-2)出力部
出力部11bは、点灯又は消灯する複数のLEDである。LEDは、図示しないプリント基板上に設けられている。出力部11bは、複数のLEDを点灯又は消灯させることにより、空気調和装置10の状態を示す。ここで、出力部11bによって示される空気調和装置10の状態とは、室外機11の運転モード、制御部11cで検知する異常発生の有無、発生した異常の種類等である。制御部11cで検知する異常に冷媒漏洩が含まれる場合は、漏洩判定結果も表示される。言い換えると、出力部11bは、空気調和装置10の状態に応じてLEDの点灯・消灯の態様を変化させる。
【0039】
(2-2-3)記憶部
記憶部11dは、主として、ROM、RAM、から構成されている。記憶部11dには、後述する制御部11cが読み出して実行可能なプログラムが記憶されている。実行可能なプログラムに冷媒漏洩検知機能が含まれてもよい。記憶部11dには、漏洩検知結果やその他のエラー情報が一時的に記憶される。
【0040】
(2-2-4)制御部
制御部11cは、CPU等の演算処理装置である。制御部11cは、記憶部11dに記憶されているプログラムを読み出して実行する。
【0041】
制御部11cは、各室内機12から送られてくる要求に基づいて、室外機11を構成する各部を動作させる。具体的に、制御部11cは、圧縮機の周波数、ファンの回転数及び各種弁の開度の調整等を行う。
【0042】
制御部11cは、遠隔監視装置30から送られる冷媒漏洩検知を実施させるための制御指令に基づいて、必要に応じて空気調和装置10を強制運転し冷媒漏洩検知を実施する。記憶部11dに実行可能な冷媒漏洩検知プログラムが記憶されている場合は、そのプログラムを読み出し、室外機11と室内機12の運転データを用いて冷媒漏洩検知を実施する。この場合、制御部11cは、冷媒漏洩検知を実施した日時、検知結果及びその他の発生したエラー等を、記憶部11dに一時的に記憶した後、通信部11aを介して、遠隔監視装置30に送信する。
【0043】
冷媒漏洩検知を実施する際の運転モードは、通常運転モードであってもよいし、冷媒漏洩検知モードであってもよい。冷媒漏洩検知モードとは、冷媒漏洩検知のための専用の運転モードであり、空気調和装置10の周辺温熱環境やユーザーの利用状況による影響を排除して検知精度を向上させるために、例えば、強制的に冷暖運転モード、室内機運転台数、圧縮機回転数、ファン風量、膨張弁開度等を固定し、冷媒回路内の冷媒の状態を安定させる運転モードである。
【0044】
(3)遠隔監視装置
遠隔監視装置30は、インターネット60を介して空気調和装置10を監視及び制御する機能を有する。また、遠隔監視装置30に冷媒漏洩検知機能を装備してもよい。
図3に示すように、遠隔監視装置30は、主として、通信部31、表示部32、入力部33、制御部34、及び、記憶部35を有する。遠隔監視装置30は、実際には、クラウド上に構築されたサーバである。本実施形態に係る遠隔監視装置30は、インターネット60を介して、空気調和装置10の冷媒漏洩検知を実施する。
【0045】
(3-1)通信部
通信部31は、インターネット60を介して室外機11及び室内機12との間で通信を行うためのインターフェースである。後述する実施部34aは、通信部31を介して、室外機11に対して、冷媒漏洩検知を実施させるために必要な制御指令を送信する。また、実施部34aは、通信部31を介して、室外機11から上述の運転データを取得する。
【0046】
さらに制御部34は、後述する通知部34bを介して、空気調和装置10の管理者に対して冷媒漏洩検知結果を通知する。通知の方法は、例えば、予め記憶部35に登録されている空気調和装置10の管理者のメールアドレスに対するメール送信である。
【0047】
(3-2)表示部
表示部32は、主として、ディスプレイから構成されている。表示部32には、空気調和装置10の管理画面が表示される。管理画面を用いて空気調和装置10の設定を行うことにより、物件90の遠隔から空気調和装置10の運転状況の監視及び空気調和装置10の制御が可能となる。
【0048】
(3-3)入力部
入力部33は、主として、マウス及びキーボードから構成されている。入力部33は、タッチパネル等であってもよい。入力部33は、遠隔監視装置30に対する各種入力を受け付ける。
【0049】
(3-4)記憶部
記憶部35は、主として、ROM、RAM、ハードディスク及びソリッド・ステート・ドライブ(SSD)から構成されている。記憶部35には、後述する制御部34が読み出して実行可能なプログラムが記憶されている。
【0050】
記憶部35は、運転データ、及び、実施済フラグ等を記憶する。運転データは、制御部34がインターネット60を介して、空気調和装置10から取得する。また、記憶部35は、冷媒漏洩検知の実施日時、検知結果、実施中に発生したエラーに関する情報も記憶する。
【0051】
(3-5)制御部
制御部34は、CPU等の演算処理装置である。制御部34は、記憶部35に記憶されているプログラムを読み出して実行する。制御部34は、実施部34a及び通知部34bを有する。
【0052】
(3-5-1)実施部
(3-5-1-1)制御指令の生成
実施部34aは、第1時刻において記憶部35に実施済フラグが記憶されていない場合、空気調和装置10に対して冷媒漏洩検知を実施するための強制運転指令を生成する。実施部34aは、インターネット60を介して、空気調和装置10に対して当該制御指令を送信し、空気調和装置10の冷媒漏洩検知を実施する。
【0053】
第1時刻とは、一定期間の終了時刻から冷媒漏洩検知に要する時間を引いた限界開始時刻である。言い換えると、第1時刻とは、第1時刻に冷媒漏洩検知の実施を開始した場合、一定期間の終了時刻までに冷媒漏洩検知が完了する時刻である。第1時刻及び一定期間の終了時刻は予め記憶部35に記憶されている。冷媒漏洩検知に要する時間は、過去の冷媒漏洩検知に要した時間から求めてもよいし、冷媒漏洩検知に要する一般的な時間から求めてもよい。
図4にこれらの経時的関係性を具体例で示す。この例では、一定期間を0時から24時までの24時間、冷媒漏洩検知に要する時間を15分とし、23:45となる限界開始時刻に対して、当日の23:40に第1時刻を設定している。検知時間が長くなる可能性を考慮して、このように第1時刻を限界開始時刻より前に設定してもよい。
【0054】
(3-5-1-2)運転データの取得
実施部34aは、インターネット60を介して、室外機11から上述の運転データを取得し、取得した運転データ、検知のために実施した計算結果、検知の判定結果を冷媒漏洩検知の実施日時と共に記憶部35に記憶する。検知の判定結果に関しては、少なくとも法的規制で指定された期間分のデータを記憶する。
【0055】
(3-5-1-3)冷媒漏洩の有無に関する判定
実施部34aは、記憶部35に記憶した運転データに基づいて、冷媒漏洩の有無を判定する。
【0056】
通常運転モードで冷媒漏洩検知を実施したときの運転データに基づいて冷媒漏洩の有無を判定する場合、実施部34aは、運転データの値、又は、運転データを回帰式や予測モデルに入力して求めた冷媒量予測値が、予め記憶部35に記憶された正常値の範囲に含まれるか否かで、冷媒漏洩の有無を判定してもよい。前記回帰式や予測モデルに入力する運転データは、冷媒量と相関が高いもの、冷媒量と相関はないが予測値の変動要因となるものを選択して使用する。例えば、冷凍サイクルの過冷却度、圧縮機吸入又は吐出過熱度、吐出温度、凝縮温度、蒸発温度、圧縮機回転数、膨張弁開度、外気温、室温等から選択する。また、空気調和装置10の初期の運転データと現在の運転データを比較することにより、冷媒漏洩の有無を判定してもよい。あるいは、記憶部35に記憶されている過去の冷媒量予測値と現在の冷媒予測値の傾向変化に基づいて冷媒漏洩の有無を判定してよい。
【0057】
また、実施部34aは、冷媒漏洩検知モードで冷媒漏洩検知を実施したときの運転データに基づいて、冷媒漏洩の有無を判定してもよい。
【0058】
さらに、実施部34aは、空気調和装置10が冷媒漏洩検知運転を停止した直後の運転データの値の遷移状態に基づいて、冷媒漏洩の有無を判定してもよい。
【0059】
また、実施部34aは、空気調和装置10で冷媒漏洩検知を実施する場合、室外機11から記憶部11dに一時的に記憶されている冷媒漏洩の有無に関する判定結果と冷媒漏洩検知の実施日時を取得し、少なくとも法的規制で指定された期間分のデータを記憶部35に記憶する。
【0060】
(3-5-1-4)実施済フラグの記憶及び削除
冷媒漏洩検知が完了すると、実施部34aは、記憶部35に実施済フラグを記憶する。
【0061】
また、実施部34aは、所定条件において、記憶部35に記憶されている実施済フラグを消去する。
図4の事例では、検知運転が終了する23:55までは実施済フラグはOFFの状態である。検知が終了すると実施済フラグがONの状態になり記憶部35に記憶される。その後、24:00に日付が変わる時点で実施済フラグはOFFの状態にリセットされ記憶部35から削除される。
【0062】
(3-5-2)通知部
通知部34bは、空気調和装置10の管理者に対して、冷媒漏洩検知結果を通知する。通知の方法は、例えば、記憶部35に登録されている空気調和装置10の管理者のメールアドレスに対するメール送信である。冷媒漏洩検知結果には、冷媒漏洩の有無に関する判定結果が含まれる。また、冷媒漏洩検知結果には、運転データが含まれてもよい。
【0063】
(4)処理の流れ
次に、
図5及び
図6を参照して、冷媒漏洩検知の実施に係る処理の流れについて説明する。
図5は、通常運転時に冷媒漏洩検知を実施する際の処理の流れを示す。
図6は、第1時刻に冷媒漏洩検知を実施する際の処理の流れを示す。
【0064】
(4-1)通常運転時の冷媒漏洩検知
図5を用いて、通常運転時に遠隔監視装置30で冷媒漏洩検知を実施する場合の処理の流れを説明する。冷媒漏洩点検システム100では、空気調和装置10が通常運転モードで稼働している状態であるときに、遠隔監視装置30は、インターネット60を介して室外機11と室内機12の運転データを取得し、記憶部35に保存している。
【0065】
ステップS10で、通常運転開始時に冷媒漏洩検知の実施済フラグがない場合、運転中に冷媒漏洩検知を実施する。
【0066】
ステップS11で、遠隔監視装置30は、空気調和装置10が起動して定常状態と判断した後に、記憶部35から検知に必要なデータを取得する。
【0067】
ステップS12で、遠隔監視装置30は、取得した運転データから計算に使用できない待機状態や過渡状態のデータを除去する前処理を行う。
【0068】
ステップS13で、遠隔監視装置30は、記憶部35に記憶されている冷媒漏洩検知プログラムを起動し、ステップS12で前処理したデータを用いて冷媒量予測値を計算する。
【0069】
ステップS14で、遠隔監視装置30は、ステップS13で計算した冷媒量予測値と記憶部35に保存されている過去の冷媒量予測値を比較して冷媒の漏洩を判定する。また、遠隔監視装置30は、判定結果を冷媒漏洩検知を実施した日時と関連付けて記憶部35に記憶する。
【0070】
冷媒漏洩検知が完了すると、ステップS15で、遠隔監視装置30は、記憶部35に実施済フラグを記憶する。
【0071】
ステップS16で、遠隔監視装置30は、空気調和装置10の管理者に対して、冷媒漏洩検知結果を通知する。
【0072】
(4-2)第1時刻における冷媒漏洩検知
図6を用いて、第1時刻における冷媒漏洩点検方法の処理の流れを説明する。この場合、
図4の事例では、空気調和装置10は、0時から停止状態が継続しており、実施済フラグもない状態が継続している状況である。
【0073】
ステップS20で、遠隔監視装置30は、実施済フラグの有無を確認し、実施済みフラグがあれば、ステップS30、なければステップS21に進む。
【0074】
ステップS21で、遠隔監視装置30は、上述の第1時刻と現在の時刻を比較し、現在の時刻が第1時刻か否かを判断する。第1時刻ではないと判断した場合、ステップS20に戻る。第1時刻と判断した場合、ステップS22に進む。
【0075】
ステップS22で、遠隔監視装置30は、停止している空気調和装置10に運転指令を送信して起動させ、ステップS23に進む。
【0076】
ステップS23からステップS26については、
図5のステップS11からS14と同様であるため、説明は省略する。
【0077】
ステップ26で冷媒漏洩判定が終了すると、ステップ27に進み、強制的に運転させた空気調和装置10を停止させ、ステップS28に進む。
【0078】
ステップS28からステップS29については、
図5のステップS15からS16と同様であるため、説明は省略する。
【0079】
次にステップS30で、遠隔監視装置30は、一定期間の終了時刻と現在の時刻を比較し、現在の時刻が一定期間の終了時刻か否かを判断する。終了時刻ではないと判断した場合、ステップS32に進み、実施済フラグを維持した状態でステップS30に戻る。
【0080】
一方、ステップS30で、遠隔監視装置30が、現在の時刻が一定期間の終了時刻であると判断した場合、ステップS31に進む。
【0081】
ステップS31では、遠隔監視装置30は、記憶部35に記憶されている実施済フラグを消去する。また、記憶部35に記憶されている一定期間の終了時刻を、次の一定期間の終了時刻に更新する。これにより、次の一定期間内に、再度空気調和装置10の冷媒漏洩検知を実施することができる。また
図4のタイムチャート事例は、上述のフローに従って処理を実行した結果となっている。
【0082】
(5)特徴
(5-1)
第1実施形態に係る冷媒漏洩点検システム100は、空気調和装置10と、遠隔監視装置30と、ルータ20とから構成され、空気調和装置10から離れた場所にある遠隔監視装置30から、空気調和装置10の冷媒漏洩検知を実施することができる。遠隔監視装置30の記憶部35には、予め第1時刻と一定期間の終了時刻が記憶されており、冷媒漏洩検知が実施されると実施済フラグが記憶される。第1時刻とは、一定期間の終了時刻から冷媒漏洩検知に要する時間を引いた限界開始時刻である。言い換えると、第1時刻とは、第1時刻に冷媒漏洩検知の実施を開始した場合、一定期間の終了時刻までに必ず冷媒漏洩検知が完了する時刻である。冷媒漏洩検知に要する時間は、過去の冷媒漏洩検知に要した時間から求めてもよいし、冷媒漏洩検知に要する一般的な時間から求めてもよい。
【0083】
遠隔監視装置30は、第1時刻において記憶部35に実施済フラグが記憶されていない場合、空気調和装置10に対して、冷媒漏洩検知を実施させるための強制運転指令を送信する。言い換えると、遠隔監視装置30は、第1時刻において空気調和装置10の冷媒漏洩検知が実施されていないと判断すると、空気調和装置10を強制的に運転して冷媒漏洩検知を実施する。
【0084】
遠隔監視装置30は、空気調和装置10の起動後に室外機11から運転データを取得し、取得した運転データに基づいて冷媒漏洩の有無を判定し、判定結果を記憶部35に記憶する。
【0085】
また、遠隔監視装置30は、一定期間の終了時刻を経過したと判断した場合、記憶部35に記憶されている実施済フラグを消去する。また、記憶部35に記憶されている一定期間の終了時刻を、次の一定期間の終了時刻に更新する。これにより、次の一定期間内に、再度空気調和装置10の冷媒漏洩検知を実施することができる。
【0086】
このような構成により、第1時刻において空気調和装置10の冷媒漏洩検知が実施されていない場合、冷媒漏洩点検システム100は、冷媒漏洩検知が未実施であることを自動で検知し、一定期間の終了時刻までに冷媒漏洩検知を実施することができる。その結果、冷媒漏洩点検システム100は、一定期間内に必ず1回以上の冷媒漏洩検知を実施することができる。
【0087】
(5-2)
遠隔監視装置30は、運転データ及び冷媒漏洩の有無に関する判定結果を、冷媒漏洩検知の実施日時と共に記憶部35に記憶する。このことにより、法的規制が定める一定期間内における冷媒漏洩検知結果の履歴を記憶することができる。
【0088】
(5-3)
遠隔監視装置30は、空気調和装置10の管理者に対して、冷媒漏洩検知結果を通知する。このことにより、空気調和装置10の管理者が、冷媒漏洩の疑いをいち早く知ることができる。
【0089】
<第2実施形態>
第1実施形態の冷媒漏洩点検システム100は、第1時刻において、空気調和装置10の冷媒漏洩検知が実施されているか否かを自主的に判断し、実施されていない場合は冷媒漏洩検知を実施する。しかし、冷媒漏洩点検システム200に、運転予約のためのスケジュール部234cを備え、第1時刻において空気調和装置10の運転予約を登録し、第1時刻で冷媒漏洩検知が未実施ならそのまま運転を開始し、冷媒漏洩検知が実施済みであれば運転予約を取り消すことで、冷媒漏洩検知を実施してもよい。ここでは、運転予約を利用する第2実施形態の冷媒漏洩点検システム200について、第1実施形態の冷媒漏洩点検システム100との相違点を中心に説明する。空気調和装置10は、第1実施形態と同様である。
【0090】
(1)遠隔監視装置
(1-1)表示部
表示部232は、主として、ディスプレイから構成されている。表示部232には、空気調和装置10の管理画面が表示される。管理画面には、冷媒漏洩検知運転に関する画面が含まれる。冷媒漏洩検知運転に関する画面には、予約データの入力を受け付ける画面が含まれる。予約データとは、冷媒漏洩検知を実施する日時を指定するデータである。
【0091】
(1-2)記憶部
記憶部235は、冷媒漏洩検知の予約データを記憶する。
【0092】
(1-3)制御部
制御部234は、スケジュール部234cをさらに有する。
【0093】
(1-3-1)スケジュール部
スケジュール部234cは、入力部233を介して入力された冷媒漏洩検知の予約データを記憶部235に記憶する。予約データとは、冷媒漏洩検知を実施する日時を指定するデータであり、通常予約時刻は第1時刻とする。第1時刻とは、一定期間の終了時刻から冷媒漏洩検知に要する時間を引いた限界開始時刻である。言い換えると、第1時刻とは、第1時刻に冷媒漏洩検知の実施を開始した場合、一定期間の終了時刻までに必ず冷媒漏洩検知が完了する時刻である。第1時刻及び一定期間の終了時刻は予め記憶部235に記憶されている。冷媒漏洩検知に要する時間は、過去の冷媒漏洩検知に要した時間から求めてもよいし、冷媒漏洩検知に要する一般的な時間から求めてもよい。ただし、ユーザーの都合に応じて、予約時刻を第1時刻とは別の時刻にしてもよい。
【0094】
また、スケジュール部234cは、予約時刻より前の時刻において、記憶部235に実施済フラグが記憶されている場合は、予約データを取り消す。言い換えると、既に冷媒漏洩検知が実施されていると判断した場合、重複して冷媒漏洩検知が実施されないように、スケジュール部234cは予約を取り消す。
【0095】
(1-3-2)実施部
(1-3-2-1)制御指令の生成
実施部234aは、実施すべき予約データが記憶部235に記憶されている場合、空気調和装置10に対して冷媒漏洩検知を実施するための強制運転指令を生成する。実施部234aは、インターネット60を介して、空気調和装置10に対して当該強制運転指令を送信し、空気調和装置10の冷媒漏洩点検を実施する。
【0096】
(2)処理の流れ
図7は、予約データに基づく冷媒漏洩点検方法の処理の流れを表す。
【0097】
ステップS40で、遠隔監視装置230は、実施済フラグの有無を確認し、実施済みフラグがあれば、ステップS41に進んで予約を取消し、さらにステップS51へ進む。実施済みフラグがなければ、ステップS42に進む。
【0098】
ステップS42で、遠隔監視装置230は、記憶部235に記憶された予約データを取得し、予約時刻と現在の時刻を比較し、現在の時刻が予約時刻か否かを判断する。予約時刻ではないと判断した場合、ステップS40に戻る。
【0099】
一方、ステップS42で、遠隔監視装置230が、現在の時刻が予約時刻であると判断した場合、ステップS43に進む。
【0100】
ステップS43からステップS53については、
図6のステップS22からS32と同様であるため、説明は省略する。
【0101】
(3)特徴
第2実施形態に係る冷媒漏洩点検システム200は、遠隔監視装置230の制御部234にスケジュール部234cをさらに有する。スケジュール部234cは、入力部233を介して入力された冷媒漏洩検知の予約データを記憶部235に記憶する。
【0102】
遠隔監視装置230は、実施すべき予約データが記憶部235に記憶されている場合、空気調和装置10に対して冷媒漏洩検知を実施するための強制運転指令を生成する。言い換えると、遠隔監視装置230は、予約時刻において、空気調和装置10の冷媒漏洩検知を実施する。
【0103】
また、スケジュール部234cは、予約時刻より前の時刻において、記憶部235に実施済フラグが記憶されている場合は、予約データを取り消す。言い換えると、既に冷媒漏洩検知が実施されていると判断した場合、重複して冷媒漏洩検知が実施されないように、スケジュール部234cは予約を取り消す。
【0104】
また、遠隔監視装置230は、一定期間の終了時刻を経過したと判断した場合、記憶部235に記憶されている実施済フラグを消去する。また、記憶部235に記憶されている一定期間の終了時刻を、次の一定期間の終了時刻に更新する。これにより、次の一定期間内に、再度空気調和装置10の冷媒漏洩検知を実施することができる。
【0105】
このような構成により、予約時刻において空気調和装置10の冷媒漏洩検知が実施されていない場合、冷媒漏洩点検システム200は、一定期間の終了時刻までに冷媒漏洩検知を実施することができる。また、既に冷媒漏洩検知が実施されている場合、冷媒漏洩点検システム200は、重複して冷媒漏洩検知が実施されないように、自動で予約を取り消すことができる。その結果、一定期間内に必ず1回以上の冷媒漏洩検知を実施することができる。
【0106】
<第3実施形態>
第3実施形態の冷媒漏洩点検システム300について、第1実施形態の冷媒漏洩点検システム100との相違点を中心に説明する。空気調和装置10は、第1実施形態と同様である。
【0107】
(1)遠隔監視装置
(1-1)制御部
(1-1-1)実施部
実施部334aは、第1時刻において記憶部335に実施済フラグが記憶されていない場合、空気調和装置10に対して冷媒漏洩検知を実施するための強制運転指令を生成する。実施部334aは、インターネット60を介して、空気調和装置10に対して当該強制運転指令を送信し、空気調和装置10の冷媒漏洩検知を実施する。
【0108】
第1時刻とは、直近の冷媒漏洩検知の終了時刻から一定期間が経過する時刻から、冷媒漏洩検知に要する時間を引いた限界開始時刻である。言い換えると、第1時刻とは、第1時刻に冷媒漏洩検知の実施を開始した場合、直近の冷媒漏洩検知の終了時刻から一定期間内に、次の冷媒漏洩検知が完了する時刻である。第1時刻及び直近の冷媒漏洩検知の終了時刻は予め記憶部35に記憶されている。冷媒漏洩検知に要する時間は、過去の冷媒漏洩検知に要した時間から求めてもよいし、冷媒漏洩検知に要する一般的な時間から求めてもよい。
図10にこれらの経時的関係性を具体例で示す。この例では、直近の検知終了時間を前日の23:30、一定期間を前日の23:30から当日の23:30までの24時間、冷媒漏洩検知に要する時間を15分とし、当日の23:15となる限界開始時刻に対して、当日の23:10に第1時刻を設定している。検知時間が長くなる可能性を考慮して、このように第1時刻を限界開始時刻より前に設定してもよい。
【0109】
(2)処理の流れ
図11は、直近の冷媒漏洩検知の終了時刻から一定期間内における、冷媒漏洩点検方法の処理の流れを表す。この場合、
図10の事例では、空気調和装置10は、前日の検知運転終了時刻である前日の23:30から停止状態が継続しており、実施済フラグもない状態が継続している状況である。
【0110】
ステップS60で、遠隔監視装置330は、実施済フラグの有無を確認し、実施済みフラグがあれば、ステップS70、なければステップS61に進む。
【0111】
ステップS61で、遠隔監視装置330は、上述の第1時刻と現在の時刻を比較し、現在の時刻が第1時刻か否かを判断する。第1時刻ではないと判断した場合、ステップS60に戻る。第1時刻であると判断した場合、ステップS62に進む。
【0112】
ステップS62からステップS69については、
図6のステップS22からS29と同様であるため、説明は省略する。
【0113】
次にステップS70で、遠隔監視装置330は、一定期間の終了時刻と現在の時刻を比較し、現在の時刻が一定期間の終了時刻か否かを判断する。終了時刻ではないと判断した場合、ステップS72に進み、実施済フラグを維持した状態でステップS70に戻る。
【0114】
一方、ステップS70で、遠隔監視装置330が、現在の時刻が一定期間の終了時刻であると判断した場合、ステップS71に進む。
【0115】
ステップS71では、遠隔監視装置330は、記憶部335に記憶されている実施済フラグを消去する。また、記憶部335に記憶されている一定期間の終了時刻を、次の一定期間の終了時刻に更新する。これにより、次の一定期間内に、再度空気調和装置10の冷媒漏洩検知を実施することができる。また
図10のタイムチャート事例は、上述のフローに従って処理を実行した結果となっている。
【0116】
(3)特徴
第3実施形態に係る冷媒漏洩点検システム300は、遠隔監視装置330の記憶部335には、第1時刻及び直近の冷媒漏洩検知の終了時刻が記憶される。第1時刻とは、直近の冷媒漏洩検知の終了時刻から一定期間が経過する時刻から、冷媒漏洩検知に要する時間を引いた限界開始時刻である。
【0117】
遠隔監視装置330は、第1時刻において、空気調和装置10に対して、冷媒漏洩検知を実施させるための強制運転指令を送信し、冷媒漏洩検知を実施する。
【0118】
このような構成により、冷媒漏洩点検システム300は、直近の冷媒漏洩検知の終了時刻から一定期間内に、必ず1回以上の冷媒漏洩検知を実施することができる。
【0119】
<変形例>
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示の具体的構成は、本開示の要旨を逸脱しない範囲内で変更可能である。次に、本実施形態の変形例について説明する。なお、矛盾しない範囲で、複数の変形例が組み合わされてもよい。
【0120】
(1)変形例A
第1実施形態、第2実施形態、及び第3実施形態に係る冷媒漏洩点検システム100、200、300は、主として、空気調和装置10と、遠隔監視装置30、230、330と、ルータ20とから構成されるが、
図8に示すように、さらにコントローラ40を備えてもよい。
【0121】
また、遠隔監視装置30、230、330から送信される制御指令は、コントローラ40を介して室外機11に送信してもよい。
【0122】
(1-1)コントローラ
コントローラ40は、複数の空気調和装置10を監視して集中管理する機能を有し、物件90の管理人室等に設置される。コントローラ40は、
図8に示すように、主として通信部41と、表示部42と、入力部43と、制御部44と、記憶部45と、から構成される。コントローラ40と空気調和装置10とは、専用線70によって接続されている。コントローラ40は、びルータ20を介して、インターネット60経由で遠隔監視装置30、230、330に接続される。
【0123】
(1-1-1)通信部
通信部41は、コントローラ40をインターネット60、空気調和装置10との間で通信を行うためのインターフェースである。
【0124】
(1-1-2)表示部
表示部42は、主として、ディスプレイから構成され、主に管理者が利用する空気調和装置10の管理画面、操作画面等が表示される。
【0125】
管理画面に表示される運転情報には、例えば、物件90に設置されている複数の空気調和装置10の停止・運転・異常・通信異常の状態が含まれる。運転情報は、後述する記憶部45に記憶されている。
【0126】
管理者用の操作画面には、冷媒漏洩検知に関する画面が含まれてもよい。
【0127】
(1-1-3)入力部
入力部43は、コントローラ40に対する各種設定を受け付ける。入力部43は、ディスプレイを覆うタッチパネルから構成されている。
【0128】
(1-1-4)記憶部
記憶部45は、主として、ROM、RAMから構成されている。記憶部45には、後述する制御部44が読み出して実行可能なプログラムが記憶されている。
【0129】
(1-1-5)制御部
制御部44は、CPU等の演算処理装置である。制御部44は、記憶部45に記憶されているプログラムを読み出して実行する。制御部44は、通信部41を介して受け付けられた制御指令に基づいて、空気調和装置10(室外機11及び室内機12)を動作させる。
【0130】
(1-2)室内機
通信部12aは、コントローラ40との間で通信を行うためのインターフェースでもある。
【0131】
(1-3)室外機
通信部11aは、コントローラ40との間で通信を行うためのインターフェースでもある。
【0132】
制御部11cは、コントローラ40から送られる制御指令(室内機12の起動/停止、設定温度、設定湿度、設定風量、又は設定風向、運転モード)に従って、室外機11を構成する各部を動作させる。
【0133】
さらに、制御部11cは、コントローラ40から送られる制御指令に応じて、室内機12から運転データを取得し、取得した室内機12の運転データをコントローラ40に送信する。また、制御部11cは、コントローラ40から送られる制御指令に応じて、室外機11についての運転データを記憶部11dから取得し、取得した室外機11の運転データをコントローラ40に送信する。
【0134】
(2)変形例B
第1実施形態、第2実施形態、及び第3実施形態に係る冷媒漏洩点検システム100、200、300は、遠隔監視装置30、230、330が空気調和装置10の冷媒漏洩検知を実施するが、これに限定されるものではない。遠隔監視装置30、230、330と同様の機能が、コントローラ40に備わっていてもよい。このような構成により、コントローラ40が空気調和装置10の冷媒漏洩検知を実施することができる。その結果、インターネット60を介して外部の遠隔監視装置30、230、330に接続しなくても、物件90内部で空気調和装置10の冷媒漏洩検知を実施することができる。また、遠隔監視装置30、230、330に冷媒漏洩検知機能がない場合でも、遠隔監視センター91は、コントローラ40から空気調和装置10に関する漏洩検知結果を受信して接続するユーザーの冷媒漏洩履歴の管理が可能となる。
【0135】
(3)変形例C
第1実施形態、第2実施形態、及び第3実施形態に係る冷媒漏洩点検システム100、200、300は、遠隔監視装置30、230、330が空気調和装置10の冷媒漏洩検知を実施するが、これに限定されるものではない。遠隔監視装置30、230、330と同様の機能が、室外機11に備わっていてもよい。このような構成により、室外機11が空気調和装置10の冷媒漏洩検知を実施することができる。その結果、遠隔監視装置30、230、330やコントローラ40に接続せず、空気調和装置10を単体で運用する小規模な物件でも、空気調和装置10の冷媒漏洩検知を実施することができる。また、遠隔監視装置30、230、330やコントローラ40に冷媒漏洩検知機能がない場合でも、遠隔監視センター91は、空気調和装置10に関する漏洩検知結果を受信して、接続するユーザーの冷媒漏洩履歴の管理が可能となる。
【0136】
(4)変形例D
第1実施形態及び第2実施形態に係る冷媒漏洩点検システム100、200では、第1時刻は、一定期間の終了時刻から冷媒漏洩検知に要する時間を引いた限界開始時刻であるが、これに限定されるものではない。第1時刻は、限界開始時刻より前の時刻であってもよい。このことにより、より確実に、一定期間内に必ず1回以上の冷媒漏洩検知を実施することができる。
【0137】
(5)変形例E
第3実施形態に係る冷媒漏洩点検システム300では、第1時刻は、直近の冷媒漏洩検知の終了時刻から一定期間が経過する時刻から、冷媒漏洩検知に要する時間を引いた限界開始時刻であるが、これに限定されるものではない。第1時刻は、限界開始時刻より前の時刻であってもよい。このことにより、より確実に、一定期間内に必ず1回以上の冷媒漏洩検知を実施することができる。
【0138】
(6)変形例F
第1実施形態、第2実施形態、及び第3実施形態に係る冷媒漏洩点検システム100、200、300では、遠隔監視装置30、230、330は、冷媒漏洩検知の直後に、空気調和装置10の管理者に対して、冷媒漏洩検知結果を通知する。しかし、通知の頻度は毎日でもよく、冷媒漏洩が発生した時だけでもよい。別の通知規則に従ってもよい。
【0139】
(7)変形例G
第1実施形態、第2実施形態、及び第3実施形態に係る冷媒漏洩点検システム100、200、300では、遠隔監視装置30、230、330は、冷媒漏洩検知後に、空気調和装置10の管理者に対して、冷媒漏洩検知結果を通知する。しかし、遠隔監視装置30、230、330は、空気調和装置10のユーザーに対して冷媒漏洩検知結果を通知してもよい。このことにより、空気調和装置10のユーザーが、冷媒漏洩の疑いをいち早く知ることができる。
【0140】
(8)変形例H
第1実施形態及び第2実施形態に係る冷媒漏洩点検システム100,200では、遠隔監視装置30、230は、記憶部35、235に実施済フラグが記憶されているか否かで冷媒漏洩検知が実施済みであるか否か判断する。しかし、遠隔監視装置30、230は、記憶部35、235に一定期間内の冷媒漏洩検知の結果が記憶されているか否かで冷媒漏洩検知が実施済みであるか否か判断してもよい。
【0141】
(9)変形例I
第1実施形態、第2実施形態、及び第3実施形態に係る冷媒漏洩点検システム100、200、300では、空気調和装置10は、室内機12に接続される無線LANアダプタ13、無線LAN、ルータ20を介して、インターネット60に接続し、室外機11、室内機12の運転データ、冷媒漏洩検知結果やその関連情報を遠隔監視装置30、230、330に送信したり、遠隔監視装置30、230、330からの指令を受信している。しかし、空気調和装置10と遠隔監視装置30、230、330間のデータ送受信の方法は、これ以外の方法であってもよい。空気調和装置10と通信回線の接続場所は、室内機12に限定されるものではなく、室外機11でもよい。あるいは、室外機11と室内機12の両方が通信回線に接続してもよい。またデータの伝送には、有線LANを使用してもよい。また、インターネット60を経由することなく、固定電話回線や、LPWA(Low Power Wide Area)のような無線通信を利用して、空気調和装置10と遠隔監視装置30、230、330間のデータ送受信を行ってもよい。
【0142】
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0143】
10 空気調和装置
11 室外機
11a 通信部
11b 出力部
11c 制御部
11d 記憶部
12 室内機
12a 通信部
12b 制御部
20 ルータ
30 遠隔監視装置
31 通信部
32 表示部
33 入力部
34 制御部
34a 実施部
34b 通知部
35 記憶部
40 コントローラ
100 冷媒漏洩点検システム
200 冷媒漏洩点検システム
230 遠隔監視装置
232 表示部
233 入力部
234 制御部
234a 実施部
234c スケジュール部
235 記憶部
300 冷媒漏洩点検システム
334a 実施部
335 記憶部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0144】
【特許文献1】特開2007-163099号公報
【特許文献2】特開2021-156528号公報
【特許文献3】特許第6257801号公報