(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052432
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】冷凍サイクル装置
(51)【国際特許分類】
F25B 49/02 20060101AFI20240404BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
F25B49/02 520Z
F25B1/00 341R
F25B1/00 351T
F25B1/00 351K
F25B1/00 351N
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159134
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】吉見 学
(72)【発明者】
【氏名】酒井 利幸
(57)【要約】
【課題】冷媒漏洩の判定に要する時間を短縮化させることが可能な冷凍サイクル装置を提供する。
【解決手段】冷媒回路(10)と、冷媒回路(10)に充填された冷媒と、冷媒回路(10)の運転を制御する室外制御部(20e)および室内制御部(34)と、を備え、室外制御部(20e)および室内制御部(34)は、冷房起動制御により開始され、冷媒回路(10)において冷凍サイクル運転を行う冷房起動後制御と、漏洩検知起動制御により開始され、冷媒回路(10)における冷媒の漏洩を検知する冷媒漏洩検知運転を行う漏洩検知起動後制御と、を行い、漏洩検知起動制御の仕様は、冷房起動制御の仕様とは異なる、冷凍サイクル装置(1)。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒回路(10)と、
前記冷媒回路に充填された冷媒と、
前記冷媒回路の運転を制御する制御部(20e、34)と、
を備え、
前記制御部は、第1起動制御により開始され、前記冷媒回路において冷凍サイクル運転を行う通常制御と、第2起動制御により開始され、前記冷媒回路における前記冷媒の漏洩を検知する運転を行う漏洩検知制御と、を行い、
前記第2起動制御の仕様は、前記第1起動制御の仕様とは異なる、
冷凍サイクル装置(1)。
【請求項2】
前記第2起動制御に要する時間が、前記第1起動制御に要する時間よりも短い、
請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項3】
前記冷媒回路は、圧縮機(21)を有しており、
前記第1起動制御と前記第2起動制御は、前記圧縮機の回転数の制御が異なる、
請求項1または2に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項4】
前記冷媒回路は、減圧部(24)を有しており、
前記第1起動制御と前記第2起動制御は、前記減圧部における減圧度合いの制御が異なる、
請求項1または2に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項5】
前記冷媒回路は、圧縮機(21)と減圧部(24)とを有しており、
前記第1起動制御と前記第2起動制御とで、前記圧縮機の回転数の制御および前記減圧部における減圧度合いの制御が異なる、
請求項1または2に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項6】
前記冷媒回路は、室内熱交換器(31)を有しており、
前記室内熱交換器に対して空気流れを供給する室内ファン(32)をさらに備え、
前記第2起動制御では、前記室内ファンの風量を強制制御する、
請求項1または2に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項7】
前記冷媒回路は、室外熱交換器(23)を有しており、
前記室外熱交換器に対して空気流れを供給する室外ファン(25)をさらに備え、
前記第1起動制御と前記第2起動制御とで、前記室外ファンの風量の制御が異なる、
請求項1または2に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項8】
前記冷媒回路は、圧縮機(21)と、前記圧縮機の吐出側と前記圧縮機の吸入側とを接続するバイパス流路(27)と、を有しており、
前記第2起動制御は、前記第1起動制御と比べて、前記バイパス流路に流れる冷媒量が多い、
請求項1または2に記載の冷凍サイクル装置(1a)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷凍サイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、冷媒回路に充填された冷媒を用いて冷凍サイクルを冷凍サイクル装置において、冷媒回路からの冷媒の漏洩を検知するために、所定の運転状態とする漏洩検知運転が行われている。
【0003】
例えば、特許文献1(国際公開第2015/004747号)によれば、液配管の出口の冷媒の乾き度を制御した漏洩検知運転を行うことで、運転時の運転状態量に基づいて冷媒回路内の冷媒量を正確に算出することが提案されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような冷媒の漏洩検知は、所定の頻度で行われることが求められる場合がある。このため、冷媒漏洩の判定に要する時間を短縮化させることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1観点に係る冷凍サイクル装置は、冷媒回路と、冷媒回路に充填された冷媒と、制御部と、を備える。制御部は、冷媒回路の運転を制御する。制御部は、通常制御と、漏洩検知制御と、を行う。通常制御では、第1起動制御により開始され、冷媒回路において冷凍サイクル運転を行う。漏洩検知制御では、第2起動制御により開始され、冷媒回路における冷媒の漏洩を検知する運転を行う。第2起動制御の仕様は、第1起動制御の仕様とは異なる。
【0006】
この冷凍サイクル装置は、漏洩検知制御における第2起動制御の仕様を通常制御の第1起動制御の仕様とは異なる仕様とすることで、第2起動制御に要する時間と第1起動制御に要する時間を違えることができる。これにより、冷媒回路における冷媒の漏洩を検知する運転において起動に要する時間を短縮化させることが可能になる。
【0007】
第2観点に係る冷凍サイクル装置は、第1観点の冷凍サイクル装置であって、第2起動制御に要する時間が、第1起動制御に要する時間よりも短い。
【0008】
この冷凍サイクル装置は、冷媒回路における冷媒の漏洩を検知する運転において起動に要する時間を短縮化させることが可能になる。
【0009】
第3観点に係る冷凍サイクル装置は、第1観点または第2観点の冷凍サイクル装置であって、冷媒回路は、圧縮機を有している。第1起動制御と第2起動制御は、圧縮機の回転数の制御が異なる。
【0010】
この冷凍サイクル装置は、第1起動制御の圧縮機の回転数の制御と、第2起動制御の圧縮機の回転数の制御と、を違えることにより、圧縮機の回転数を短時間で所望の状態にして、冷媒回路における高圧部分と低圧部分との圧力差を迅速に確保することが可能となり、漏洩検知制御における第2起動制御を短時間で終えやすくなる。
【0011】
第4観点に係る冷凍サイクル装置は、第1観点から第3観点のいずれかの冷凍サイクル装置であって、冷媒回路は、減圧部を有している。第1起動制御と第2起動制御は、減圧部における減圧度合いの制御が異なる。
【0012】
この冷凍サイクル装置は、第1起動制御の減圧部における減圧度合いの制御と、第2起動制御の減圧部における減圧度合いの制御と、を違えることにより、冷媒回路における高圧部分と低圧部分との圧力差を迅速に確保することが可能となり、漏洩検知制御における第2起動制御を短時間で終えやすくなる。
【0013】
第5観点に係る冷凍サイクル装置は、第1観点から第4観点のいずれかの冷凍サイクル装置であって、冷媒回路は、圧縮機と減圧部とを有している。第1起動制御と第2起動制御とで、圧縮機の回転数の制御および減圧部における減圧度合いの制御が異なる。
【0014】
この冷凍サイクル装置は、第1起動制御の圧縮機の回転数の制御と第2起動制御の圧縮機の回転数の制御とを違えつつ、第1起動制御の減圧部における減圧度合いの制御と第2起動制御の減圧部における減圧度合いの制御とを違えることにより、冷媒回路における高圧部分と低圧部分との圧力差をより確実に迅速に確保することが可能となり、漏洩検知制御における第2起動制御を短時間で終えやすくなる。
【0015】
第6観点に係る冷凍サイクル装置は、第1観点から第5観点のいずれかの冷凍サイクル装置であって、冷媒回路は、室内熱交換器を有している。冷凍サイクル装置は、室内ファンをさらに備える。室内ファンは、室内熱交換器に対して空気流れを供給する。第2起動制御では、室内ファンの風量を強制制御する。
【0016】
この冷凍サイクル装置は、室内ファンの風量を強制制御することにより、冷媒回路における高圧部分と低圧部分との圧力差を迅速に確保することが可能となり、漏洩検知制御における第2起動制御を短時間で終えやすくなる。
【0017】
第7観点に係る冷凍サイクル装置は、第1観点から第6観点のいずれかの冷凍サイクル装置であって、冷媒回路は、室外熱交換器を有している。冷凍サイクル装置は、室外ファンを備えている。室外ファンは、室外熱交換器に対して空気流れを供給する。第1起動制御と第2起動制御とで、室外ファンの風量の制御が異なる。
【0018】
この冷凍サイクル装置は、第1起動制御の室外ファンの制御と、第2起動制御の室外ファンの制御と、を違えることにより、冷媒回路における高圧部分と低圧部分との圧力差を迅速に確保することが可能となり、漏洩検知制御における第2起動制御を短時間で終えやすくなる。
【0019】
第8観点に係る冷凍サイクル装置は、第1観点から第7観点のいずれかの冷凍サイクル装置であって、冷媒回路は、圧縮機と、バイパス流路と、を有している。バイパス流路は、圧縮機の吐出側と圧縮機の吸入側とを接続する。第2起動制御は、第1起動制御と比べて、バイパス流路に流れる冷媒量が多い。
【0020】
この冷凍サイクル装置は、第2起動制御時にバイパス流路に流れる冷媒量を多くすることで、圧縮機における冷媒温度を迅速に上げて、圧縮機に貯留している冷凍機油の温度を早期に上昇させることで、冷凍機油に溶け込んでいる冷媒を冷凍機油から迅速に分離させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態に係る管理システムの構成を示す図である。
【
図2】冷凍サイクル装置の機能ブロック構成を示す図である。
【
図3】冷凍サイクル装置の概略構成を示す図である。
【
図4】冷媒漏洩検知運転に係る処理の流れを示す図である。
【
図5】漏洩検知起動制御と冷房起動制御の高低差圧の経時変化を示す図である。
【
図6】漏洩検知起動制御と冷房起動制御の圧縮機の回転数の経時変化を示す図である。
【
図7】漏洩検知起動制御と冷房起動制御の室外ファンの回転数を示す図である。
【
図8】漏洩検知起動制御と冷房起動制御の膨張弁の弁開度の経時変化を示す図である。
【
図9】他の実施形態に係る冷凍サイクル装置の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る管理システム100について説明する。
【0023】
(1)管理システムの全体構成
図1に示す管理システム100は、物件91に設置された空気調和装置等の冷凍サイクル装置1を管理するためのシステムである。具体的には、管理システム100は、冷凍サイクル装置1の設置場所から離れた場所で、冷凍サイクル装置1を監視・制御し、冷凍サイクル装置1の冷媒漏洩の有無を検知するシステムである。
【0024】
管理システム100は、冷凍サイクル装置1と、集中コントローラ40と、遠隔管理装置80とを備えている。一の冷凍サイクル装置1は、一台の室外ユニット20と、複数の室内ユニット30とを有している。本実施形態では、一の物件91に複数の冷凍サイクル装置1が設置されている。集中コントローラ40は、複数の冷凍サイクル装置1を監視および制御する機能を有する。集中コントローラ40は、物件91の管理人室等に設置される。集中コントローラ40には、複数の冷凍サイクル装置1が接続されている。集中コントローラ40と冷凍サイクル装置1とは、ローカル通信回線97によって通信可能に接続されている。集中コントローラ40は、複数の室外ユニット20と、各室外ユニット20に接続された複数の室内ユニット30とを制御する。遠隔管理装置80は、物件91の遠隔に位置する遠隔管理センター94に設けられるサーバである。遠隔管理装置80は、インターネットなどの通信回線99を介して集中コントローラ40と通信可能に接続されている。
【0025】
管理システム100では、冷凍サイクル装置1に対して、室外ユニット20から離れた場所に設置されている集中コントローラ40または遠隔管理装置80のいずれかから、冷媒漏洩検知運転を実行させるための指令が送信される。冷媒漏洩検知運転とは、冷媒漏洩の有無を検知するための運転モードである。冷媒漏洩検知運転は、対象となる室外ユニット20に接続されている全ての室内ユニット30を所定の時間、強制的に所定の冷凍サイクルを行わせる運転である。例えば、冷媒漏洩検知運転では、対象となる室外ユニット20に接続されている全ての室内ユニット30を冷房運転させ、冷媒回路10内を循環する冷媒の状態を安定させ、冷媒回路10内の冷媒量を演算する。
【0026】
以下、管理システム100に含まれる各構成について説明する。
【0027】
(2)冷凍サイクル装置
冷凍サイクル装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行うことで、対象空間の熱負荷を処理する装置であって、例えば、対象空間の空気を調和させる空気調和装置等である。
図2および
図3に示すように、冷凍サイクル装置1は、一台の室外ユニット20と、複数の室内ユニット30と、室外ユニット20と複数の室内ユニット30とを接続する液側冷媒連絡配管6およびガス側冷媒連絡配管5と、リモコン35と、冷凍サイクル装置1の管理や制御を行う集中コントローラ40と、を有している。
【0028】
冷凍サイクル装置1では、冷媒回路10内に封入された冷媒が、圧縮され、冷却又は凝縮され、減圧され、加熱又は蒸発された後に、再び圧縮される、という冷凍サイクルが行われる。本実施形態では、冷媒回路10には、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行うための冷媒が充填されている。冷媒回路10に充填されている冷媒としては、特に限定されず、例えば、R32等が充填される。なお、冷媒回路10には、上述の冷媒と共に冷凍機油が充填される。室外ユニット20と室内ユニット30とは、ローカル通信回線97を介して通信可能に接続されている。
【0029】
(3)室外ユニット
室外ユニット20は、液側冷媒連絡配管6およびガス側冷媒連絡配管5を介して室内ユニット30と接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。室外ユニット20は、主として、圧縮機21と、四路切換弁22と、室外熱交換器23と、膨張弁24と、室外ファン25と、レシーバ26と、ガス側閉鎖弁28と、液側閉鎖弁29と、第1冷媒配管11~第7冷媒配管17と、を有している。
【0030】
圧縮機21は、冷凍サイクルにおける低圧の冷媒を高圧になるまで圧縮する機器である。ここでは、圧縮機21としては、ロータリ式やスクロール式等の容積式の圧縮要素が圧縮機モータによって回転駆動される密閉式構造の圧縮機を用いることができる。圧縮機モータは、容量を変化させるためのものであり、インバータにより運転周波数の制御が可能である。圧縮機21の吸入側には、吸入管である第7冷媒配管17が接続されている。圧縮機21の吐出側には、吐出管である第1冷媒配管11が接続されている。
【0031】
四路切換弁22は、図示しない弁体が移動制御されることにより流路が切り換えられる弁であり、冷媒回路10を冷房接続状態と暖房接続状態とに切り換える弁である。具体的には、四路切換弁22は、冷房接続状態では、圧縮機21の吐出側に接続された第1冷媒配管11と、室外熱交換器23に接続された第2冷媒配管12とを接続しつつ、圧縮機21の吸入側に接続された第7冷媒配管17とレシーバ26と第6冷媒配管16と、ガス側閉鎖弁28に接続された第5冷媒配管15とを接続する状態に切り換えられる。また、四路切換弁22は、暖房接続状態では、圧縮機21の吐出側に接続された第1冷媒配管11と、ガス側閉鎖弁28に接続された第5冷媒配管15とを接続しつつ、圧縮機21の吸入側に接続された第7冷媒配管17とレシーバ26と第6冷媒配管16と、室外熱交換器23に接続された第2冷媒配管12とを接続する状態に切り換えられる。
【0032】
室外熱交換器23は、冷房運転時には冷凍サイクルにおける高圧の冷媒の放熱器または凝縮器として機能し、暖房運転時には冷凍サイクルにおける低圧の冷媒の蒸発器として機能する熱交換器である。室外熱交換器23のガス側端部は、第2冷媒配管12を介して四路切換弁22と接続されている。室外熱交換器23の液側端部は、第3冷媒配管13を介して膨張弁24と接続されている。
【0033】
膨張弁24は、冷媒回路10における室外熱交換器23の液側出口から液側閉鎖弁29までの間に設けられている。膨張弁24は、図示しない弁座に対して図示しない弁体が移動制御されることで弁開度を調節可能な電動膨張弁である。膨張弁24と液側閉鎖弁29とは、第4冷媒配管14を介して接続されている。
【0034】
室外ファン25は、室外ユニット20内に室外の空気を吸入して、室外熱交換器23において冷媒と熱交換させた後に、外部に排出するための空気流れを生じさせる。室外ファン25は、室外ファンモータによって回転駆動される。
【0035】
レシーバ26は、圧縮機21の吸入側と四路切換弁22の接続ポートの1つとの間に設けられており、冷媒回路10における余剰冷媒を液冷媒として貯留することが可能な冷媒容器である。レシーバ26の入口側は、第6冷媒配管16を介して四路切換弁22と接続されている。レシーバ26の出口側は、第7冷媒配管17を介して圧縮機21の吸入側に接続されている。
【0036】
液側閉鎖弁29は、室外ユニット20における液側冷媒連絡配管6との接続部分に配置された手動弁である。ガス側閉鎖弁28は、室外ユニット20におけるとガス側冷媒連絡配管5との接続部分に配置された手動弁である。
【0037】
室外ユニット20には、吐出圧力センサ61、吐出温度センサ62、吸入圧力センサ63、吸入温度センサ64、液側温度センサ65、外気温度センサ66等が設けられている。吐出圧力センサ61は、圧縮機21の吐出側と四路切換弁22の接続ポートの1つとを接続する吐出管である第1冷媒配管11を流れる冷媒の圧力を検出する。吐出温度センサ62は、吐出管である第1冷媒配管11を流れる冷媒の温度を検出する。吸入圧力センサ63は、圧縮機21の吸入側とレシーバ26とを接続する吸入配管である第7冷媒配管17を流れる冷媒の圧力を検出する。吸入温度センサ64は、吸入配管である第7冷媒配管17を流れる冷媒の温度を検出する。液側温度センサ65は、室外熱交換器23のうち四路切換弁22が接続されている側とは反対側である液側の出口を流れる冷媒の温度を検出する。外気温度センサ66は、室外熱交換器23を通過する前の屋外の空気温度を検出する。これらの各センサは、後述の室外制御部20eと電気的に接続されており、室外制御部20eに対して検出信号を送信する。
【0038】
室外ユニット20は、室外通信部20aと、室外出力部20bと、室外入力部20cと、室外記憶部20dと、室外ユニット20を構成する各部の動作を制御する室外制御部20eと、を有している。
【0039】
室外通信部20aは、室内ユニット30との間で通信を行うためのインターフェースである。また、室外通信部20aは、集中コントローラ40との間で通信を行うためのインターフェースでもある。
【0040】
室外出力部20bは、点灯または消灯する複数のLEDである。室外出力部20bは、異常発生の有無、発生した異常の種類、および冷媒漏洩の有無等の室外ユニット20の状態に応じて複数のLEDを点灯または消灯させることにより、冷凍サイクル装置1の状態を示す。
【0041】
室外入力部20cは、保守作業員から、冷媒漏洩検知運転実行の指令を受け付けるボタンである。室外入力部20cによって冷媒漏洩検知運転実行の指令が受け付けられると、室外制御部20eによって冷媒漏洩検知運転が実行される。
【0042】
室外記憶部20dは、ROM、RAM、およびハードディスク等を有している。室外記憶部20dには、室外制御部20eが読み出して実行可能なプログラムが記憶されている。また、室外記憶部20dには、運転データ、初期量データ、および現在量データが記憶される。
【0043】
運転データには、室外ユニット20の運転データと室内ユニット30の運転データとが含まれる。室外ユニット20の運転データとは、室外ユニット20に含まれる各種部品の状態値や、室外ユニット20で検知される外気温度および外気湿度を意味する。室外ユニット20に含まれる各種部品の状態値とは、例えば、圧縮機21の周波数、室外ファン25の回転数、冷媒回路10の所定の位置における冷媒の温度および圧力等である。室内ユニット30の運転データには、室内ユニット30の運転パラメータ、室内温度、室内湿度、室内ユニット30に含まれる各種部品の状態値が含まれる。室内ユニット30の運転パラメータとは、例えば、室内ユニット30の起動または停止の状態、設定温度、設定湿度、設定風量、設定風向、および冷房運転、暖房運転、送風運転、除湿運転等の運転モードである。また、室内ユニット30に含まれる各種部品の状態値とは、例えば、室内ファン32の回転数、冷媒回路10の所定の位置における冷媒の温度および圧力である。また、運転データには、冷凍サイクル装置1が運転中、点検中、緊急停止中のいずれの状態であるかを識別可能なデータや、冷凍サイクル装置1の正常または異常を識別可能なデータが含まれる。
【0044】
初期量データとは、冷凍サイクル装置1の設置当初に実施された冷媒の自動充填運転によって充填された冷媒量に関するデータであって、冷凍サイクル装置1の設置当初、冷凍サイクル装置1の構成に応じて冷媒回路10に対して充填された冷媒量に関するデータである。初期量データは、基準となる冷媒量である。初期量データは、第1回目の冷媒の自動充填運転の実施時に、実施日時と共に初期量データとして室外記憶部20dに記憶される。
【0045】
現在量データとは、現時点で冷媒回路10に充填されている冷媒量に関するデータである。現在量データは、冷媒漏洩検知運転の実施により得られるデータである。現在量データは、最新の冷媒漏洩検知運転の実施により得られた冷媒量に関する最新のデータである。現在量データは、冷媒漏洩検知運転が実施された後、冷媒漏洩検知運転の実施日時と共に室外記憶部20dに記憶される。
【0046】
室外制御部20eは、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを有している。室外制御部20eは、室外記憶部20dに記憶されているプログラムを読み出して実行する。室外制御部20eは、集中コントローラ40から送られた各種制御指令を受け付ける操作入力部として機能する。室外制御部20eは、受け付けた制御指令に基づいて、冷凍サイクル装置1を動作させる。なお、室外制御部20eは、集中コントローラ40から後述の所定の規制指令を受け付けた後、後述の所定の解除指令を受け付けるまでの間、電源OFFの操作、運転停止の操作、運転モード変更の操作等の所定の操作に関する入力を無効にする。
【0047】
また、室外制御部20eは、集中コントローラ40から送られる、室内ユニット30の起動、停止、設定温度、設定湿度、設定風量、または設定風向、運転モード等の制御指令に従って、室外ユニット20を構成する各部を動作させる。具体的には、室外制御部20eは、圧縮機21の周波数、室外ファン25の回転数、膨張弁24の開度の調整等を行わせるための制御指令を生成する。
【0048】
さらに、室外制御部20eは、集中コントローラ40から送られる制御指令に応じて、室内ユニット30から運転データを取得し、取得した室内ユニット30の運転データを集中コントローラ40に送信する。また、室外制御部20eは、集中コントローラ40から送られる制御指令に応じて、室外ユニット20についての運転データや検知関連データを室外記憶部20dから取得し、取得した室外ユニット20の運転データや検知関連データを集中コントローラ40に送信する。
【0049】
さらに、室外制御部20eは、室外入力部20cで受け付けた制御指令または集中コントローラ40から送られた制御指令に基づいて、冷媒漏洩検知運転を実行する。具体的には、室外ユニット20と同一の冷媒系統を構成する全ての室内ユニット30に対して強制的に冷房運転を実施させ、冷媒回路内の冷媒の状態を安定させて冷媒回路内の冷媒量を演算する。室外制御部20eは、演算により得られた現在の冷媒量、冷媒漏洩検知運転を実行した日時、および冷媒漏洩検知運転中に発生したエラー等を、室外記憶部20dに記憶する。
【0050】
(4)室内ユニット
室内ユニット30は、例えば、対象空間である室内の壁面や天井等に設置される。室内ユニット30は、液側冷媒連絡配管6およびガス側冷媒連絡配管5を介して室外ユニット20と接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。なお、本実施形態の冷凍サイクル装置1では、1台の室外ユニット20に対して複数台の室内ユニット30が互いに並列に接続されている。各室内ユニット30は互いに同様の構成であるため、以下に1つの室内ユニット30について説明する。
【0051】
室内ユニット30は、室内熱交換器31と、第8冷媒配管18と、第9冷媒配管19と、室内ファン32を有している。
【0052】
室内熱交換器31は、液側が、第8冷媒配管18を介して液側冷媒連絡配管6と接続され、ガス側端が、第9冷媒配管19を介してガス側冷媒連絡配管5と接続されている。室内熱交換器31は、冷房運転時には冷凍サイクルにおける低圧の冷媒の蒸発器として機能し、暖房運転時には冷凍サイクルにおける高圧の冷媒の凝縮器として機能する熱交換器である。
【0053】
室内ファン32は、室内ユニット30内に室内の空気を吸入して、室内熱交換器31において冷媒と熱交換させた後に、外部に排出するための空気流れを生じさせる。室内ファン32は、室内ファンモータによって回転駆動される。室内ファン32は、リモコン35から受け付けた設定風量で駆動させることができる。
【0054】
室内ユニット30には、室内液側熱交温度センサ71、室内空気温度センサ72等が設けられている。室内液側熱交温度センサ71は、室内熱交換器31の液冷媒側の出口を流れる冷媒の温度を検出する。室内空気温度センサ72は、室内熱交換器31を通過する前の室内の空気温度を検出する。これらの各センサは、後述の室内制御部34と電気的に接続されており、室内制御部34に対して検出信号を送信する。
【0055】
室内ユニット30は、室内ユニット30を構成する各部の動作を制御する室内制御部34および室内通信部33を有している。室内通信部33は、室外ユニット20との間で通信を行うためのインターフェースである。室内制御部34は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサやメモリ等を含むマイクロコンピュータを有している。室内制御部34は、室内通信部33を介して室外ユニット20から制御信号を受け付け、制御信号に基づいて室内ユニット30を構成する各部を動作させる。また、室内制御部34は、室内通信部33を介して室外ユニット20に対してON/OFF状態、吸込み温度等の運転状態に関連するデータを送る。
【0056】
各室内ユニット30には、各室内ユニット30に対する操作入力を受け付けるリモコン35が別途取り付けられる。リモコン35は、各室内ユニット30に対する制御指令を受け付ける入力部と、各室内ユニット30の運転状況を表示する表示部と、を有する。リモコン35の表示部に表示される運転状況には、冷房運転中、暖房運転中、点検中、冷媒漏洩検知運転中等の運転状態を示す情報や、設定温度、風量、風向き等の情報が含まれる。入力部は、集中コントローラ40から後述の所定の規制指令を受け付けた後、後述の所定の解除指令を受け付けるまでの間、所定の操作に関する入力を無効にする。所定の操作とは、電源OFFの操作、運転停止の操作、運転モード変更の操作等である。
【0057】
(5)集中コントローラ
図1を参照しつつ、集中コントローラ40について説明する。集中コントローラ40は、冷凍サイクル装置1を監視および制御する機能を有する。集中コントローラ40は、集中通信部41と、集中表示部42と、集中入力部43と、集中記憶部44と、集中制御部45とから構成される。
【0058】
集中通信部41は、集中コントローラ40を通信回線99および冷凍サイクル装置1に接続可能にするインターフェースである。集中表示部42は、主として、ディスプレイから構成されている。集中入力部43は、集中コントローラ40に対する各種設定を受け付ける。集中入力部43は、ディスプレイを覆うタッチパネルから構成されている。集中表示部42には、ユーザ等が利用する冷凍サイクル装置1の運転状況等の情報、保守作業員等が利用する冷媒漏洩検知運転に関する情報、および冷媒漏洩検知運転の検知結果が表示される。
【0059】
集中記憶部44は、ROM、RAM、およびハードディスク等を有している。集中記憶部44には、集中制御部45が読み出して実行可能なプログラムが記憶されている。また、集中記憶部44は、運転データ、および検知関連データ等を有する。
【0060】
運転データは、冷凍サイクル装置1から取得した冷凍サイクル装置1の運転データであり、室外ユニット20の運転データと室内ユニット30の運転データとが含まれる。具体的には、室外ユニット20の運転データには、室外ユニット20に含まれる各種部品の状態値や、室外ユニット20で検知される外気温度および外気湿度が含まれ、室内ユニット30の運転データには、室内ユニット30の運転パラメータ、室内温度、室内湿度、室内ユニット30に含まれる各種部品の状態値が含まれる。
【0061】
検知関連データは、冷凍サイクル装置1から取得した初期量データと現在量データとが含まれる。また、検知関連データには、冷媒漏洩検知運転を行うことで判定された結果と、冷媒漏洩検知運転を実行した日時と、が関連付けられたデータが含まれる。
【0062】
集中制御部45は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを有しており、集中記憶部44に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、制御指令の生成、冷媒漏洩の判定、情報の送受信等を行う。
【0063】
集中制御部45は、1分間等の所定の時間間隔で、各冷凍サイクル装置1の運転データを収集する。具体的には、集中制御部45は、各室外ユニット20の室外制御部20eから室外ユニット20の運転データを取得する。集中制御部45は、室外ユニット20を介して、室内ユニット30の運転データを収集する。集中制御部45は収集した運転データは、集中記憶部44に記憶される。
【0064】
また、集中制御部45は、冷凍サイクル装置1から初期量データを取得する。具体的には、集中制御部45は、室外ユニット20に対し、室外記憶部20dに記憶されている初期量データを要求する。集中制御部45は、取得した初期量データを集中記憶部44に記憶させる。
【0065】
集中制御部45は、集中入力部43で受け付けた設定および遠隔管理装置80で受け付けた設定に基づいて、冷凍サイクル装置1に実施させる各種制御指令を生成し、冷凍サイクル装置1に送信する。例えば、集中制御部45は、冷凍サイクル装置1に対して冷媒漏洩検知運転を実行させるための検知制御指令を生成し、冷凍サイクル装置1に送信する。検知制御指令は、冷凍サイクル装置1に含まれる全ての室内ユニット30を対象として冷媒漏洩検知運転を実行させ、現在量データを収集させる指令である。なお、検知制御指令には、冷凍サイクル装置1の各種表示部に特定表示を行わせる指令、および規制指令も含まれる。特定表示とは、冷媒漏洩検知運転に伴う表示であって、冷凍サイクル装置1が冷媒漏洩検知運転を実施している旨を示す表示である。規制指令とは、冷凍サイクル装置1の操作入力部が、電源OFFの操作、運転停止の操作、運転モード変更の操作等の所定の操作の入力を受け付けないように規制する指令である。集中制御部45は、冷凍サイクル装置1に対して検知制御指令を送信した後、所定の時間をかけて冷凍サイクル装置1に冷媒漏洩検知運転を実行させた上で、冷凍サイクル装置1の現在量データを取得する。検知制御指令を受けた室外ユニット20の室外制御部20eは、所定の時間かけて冷媒漏洩検知運転を実行し、冷媒回路10内の冷媒量を演算する。集中制御部45は、演算した結果である現在量データを取得し、集中記憶部44に記憶させる。その後、集中制御部45は、現在量データの取得を完了すると、特定表示を終了させる旨の指令と、操作の入力規制を解除するための所定の解除指令とを生成し、冷凍サイクル装置1に送信する。なお、集中制御部45は、遠隔管理装置80から送られた各種指令についても冷凍サイクル装置1に送信する。
【0066】
集中制御部45は、初期量データと現在量データとを比較して冷媒漏洩の有無を判定する。具体的には、集中制御部45は、冷凍サイクル装置1の設置時に冷媒回路10内に充填された初期冷媒量から、現在冷媒回路10に充填されている現在冷媒量を差し引いて、漏洩した冷媒量を演算する。集中制御部45は、判定された結果を、集中記憶部44に、冷媒漏洩検知運転を実行した日時と関連付けて記憶させる。
【0067】
また、集中制御部45は、例えば、30分毎等の所定の時間間隔で集中記憶部44に記憶された運転データや検知関連データ等を、遠隔管理装置80に向けて送信する。
【0068】
(6)遠隔管理装置
図1に示すように、遠隔管理装置80は、遠隔通信部81、遠隔表示部82、遠隔入力部83、遠隔記憶部84、および遠隔制御部85を有するサーバコンピュータである。遠隔管理装置80は、通信回線99を介した通信により、集中コントローラ40経由で冷凍サイクル装置1を監視および制御する機能を有している。
【0069】
遠隔通信部81は、遠隔管理装置80を通信回線99に接続可能にするネットワークインターフェースである。遠隔表示部82は、主として、ディスプレイから構成されている。遠隔表示部82には、冷凍サイクル装置1の管理画面が表示される。管理画面には、冷凍サイクル装置1の運転データが示されている。遠隔管理センター98では、遠隔表示部82に表示される管理画面を用いて冷凍サイクル装置1の設定を行うことで、物件91の遠隔から冷凍サイクル装置1の運転状況の監視および冷凍サイクル装置1の制御が可能となる。遠隔入力部83は、マウスおよびキーボードを有している。遠隔記憶部84は、ROM、RAM、およびハードディスク等を有している。遠隔記憶部84には、遠隔制御部85が読み出して実行可能なプログラムが記憶されている。遠隔記憶部84は、遠隔制御部85が集中コントローラ40を介して取得した冷凍サイクル装置1の運転データおよび検知関連データが記憶される。また、遠隔記憶部84は、遠隔入力部83を介して入力された各種設定を記憶する。なお、遠隔制御部85によって、集中コントローラ40から冷凍サイクル装置1の運転データや検知関連データ等、各種設定等の各種情報が取得されると、遠隔記憶部84に記憶されている情報のうち、対応する情報が当該情報によって上書きされる。
【0070】
遠隔制御部85は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを有している。遠隔制御部85は、遠隔記憶部84に記憶されているプログラムを読み出して実行する。遠隔制御部85は、遠隔入力部83によって入力された設定に基づいて制御指令を生成する。遠隔制御部85は、当該制御指令を、通信回線99経由で集中コントローラ40に送信する。また、遠隔制御部85は、集中コントローラ40から運転データ、各種設定等の各種情報を取得し、取得した情報を遠隔記憶部84に記憶させる。
【0071】
ここで、遠隔制御部85は、冷凍サイクル装置1の検知関連データが所定期間毎に遠隔記憶部84に記憶されているか否かを判断する。例えば、所定期間が1日である場合には、遠隔記憶部84に記憶されている冷凍サイクル装置1の検知関連データが1日に1度以上上書き保存されているか否かを判断する。遠隔制御部85は、例えば、所定期間が終了する時刻よりも漏洩検知に要する時間分だけ前の時刻において、検知関連データが上書き保存されているか否かを判断するようにしてもよい。例えば、冷媒漏洩検知運転に要する時間が15分である場合には、所定期間である一日が終了する15分前の23時45分に判断するようにしてもよい。仮に、当該時点で最新の検知関連データの上書きがなされていないと遠隔制御部85が判断した場合には、集中コントローラ40に対して、冷媒漏洩検知運転を実行させ、現在量データを収集させる指令を送信することができる。これにより、遠隔管理装置80では、所定期間に少なくとも一度は冷凍サイクル装置1における冷媒漏洩検知運転を行わせ、冷媒漏洩の判定を行わせることが可能となっている。
【0072】
(7)通常運転
冷凍サイクル装置1は、通常運転として、少なくとも冷房運転と暖房運転モードを実行可能である。
【0073】
冷凍サイクル装置1は、リモコン等から受け付けた指示に基づいて、室外制御部20eおよび室内制御部34が、冷房運転モードか暖房運転モードかを判断し、判断した運転モードを実行する。
【0074】
(7-1)冷房運転
冷房運転モードでは、冷房起動制御によって開始され、冷房起動制御を終えると、冷房起動後制御が行われる。
【0075】
(7-1-1)冷房起動制御
室外制御部20eは、圧縮機21等が停止しており冷凍サイクル装置1が停止している状態から冷房運転を開始させる制御である冷房起動制御を行う。冷房起動制御は、冷房運転において、冷房起動後制御が開始される前に行われる制御であり、停止状態の冷凍サイクル装置1について冷房起動後制御を効率的に行える状態に遷移させるための準備運転である。
【0076】
なお、冷房起動制御に要する時間は、冷凍サイクル装置1が停止している状態において冷媒回路10の圧縮機21、膨張弁24、室内ファン32、室外ファン25等のアクチュエータが動作を開始してから、冷房起動後制御が開始されるまでの時間である。
【0077】
冷房起動制御では、室外制御部20eは、圧縮機21、膨張弁24、室外ファン25について、例えば、以下のように制御を行う。
【0078】
なお、冷房起動制御では、室内ファン32については、リモコン35で受け付けた設定風量となるように風量が制御される。
【0079】
室外制御部20eは、冷媒回路10における高圧冷媒と低圧冷媒との圧力差が所定の目標値となるように、圧縮機21の回転数を制御する。具体的には、本実施形態では、吐出圧力センサ61と吸入圧力センサ63が検出する圧力差が所定の目標値となるように、室外制御部20eは、圧縮機21の回転数を制御する。
【0080】
室外制御部20eは、室内熱交換器31を流れる冷媒の蒸発温度が所定の目標値となるように、膨張弁24の弁開度を制御する。
【0081】
室外制御部20eは、室外熱交換器23を流れる冷媒の凝縮温度が所定の目標値となるように、室外ファン25の風量を制御する。
【0082】
冷房起動制御は、冷媒回路10における高圧冷媒と低圧冷媒との圧力差が所定時間継続して所定の目標範囲に維持されるという条件を満たし、室内熱交換器31を流れる冷媒の蒸発温度が所定時間継続して所定の目標範囲に維持されるというを満たし、室外熱交換器23を流れる冷媒の凝縮温度が所定時間継続して所定の目標範囲に維持されるという条件を満たす、という所定の冷房起動安定化条件を満たすと終了し、以下の冷房起動後制御に移行する。
【0083】
(7-1-2)冷房起動後制御
冷房起動後制御は、冷房起動制御が終了した後に、冷房起動制御が終了した状態から開始される制御であり、室内等の空調対象空間を所望の状態に向けて変化させようとする制御である。
【0084】
室外制御部20eは、冷房起動後制御では、圧縮機21、膨張弁24、室外ファン25について、例えば、以下のように制御を行う。
【0085】
圧縮機21は、例えば、冷媒回路10における冷媒の蒸発温度が目標蒸発温度になるように、運転周波数が容量制御される。
【0086】
圧縮機21から吐出されたガス冷媒は、第1冷媒配管11、四路切換弁22、第2冷媒配管12を通過した後、室外熱交換器23において、室外ファン25からの空気流れを受けて、凝縮する。なお、室外ファン25は、室外熱交換器23を流れる冷媒の凝縮温度が所定の目標値となるように、風量が制御される。室外熱交換器23を流れた冷媒は、第3冷媒配管13を通過した後、膨張弁24を通過する際に減圧される。膨張弁24の弁開度は、例えば、圧縮機21が吸入する冷媒の過熱度が所定の目標値になるように制御される。
【0087】
膨張弁24で減圧された冷媒は、第4冷媒配管14を通過した後、液側閉鎖弁29を介して、液側冷媒連絡配管6を流れ、室内ユニット30に送られる。その後、冷媒は、第8冷媒配管18を通過した後、室内熱交換器31において、設定風量に制御されている室内ファン32からの空気流れを受けて蒸発し、第9冷媒配管19を通過した後、ガス側冷媒連絡配管5に流れていく。ガス側冷媒連絡配管5を流れた冷媒は、ガス側閉鎖弁28、第5冷媒配管15、四路切換弁22、第6冷媒配管16、レシーバ26、第7冷媒配管17を経て、再び、圧縮機21に吸入される。
【0088】
(7-2)暖房運転
暖房運転モードでは、暖房起動制御によって開始され、暖房起動制御を終えると、暖房起動後制御が行われる。
【0089】
(7-2-1)暖房起動制御
室外制御部20eは、圧縮機21等が停止しており冷凍サイクル装置1が停止している状態から暖房運転を開始させる制御である暖房起動制御を行う。暖房起動制御は、暖房転において、暖房動後制御が開始される前に行われる制御であり、停止状態の冷凍サイクル装置1について暖房起動後制御を効率的に行える状態に遷移させるための準備運転である。
【0090】
なお、暖房起動制御に要する時間は、冷凍サイクル装置1が停止している状態において冷媒回路10の圧縮機21、膨張弁24、室内ファン32、室外ファン25等のアクチュエータが動作を開始してから、暖房起動後制御が開始されるまでの時間である。
【0091】
暖房起動制御では、室外制御部20eは、圧縮機21、膨張弁24、室外ファン25について、例えば、以下のように制御を行う。
【0092】
なお、暖房起動制御では、室内ファン32については、リモコン35で受け付けた設定風量となるように風量が制御される。
【0093】
室外制御部20eは、冷媒回路10における高圧冷媒と低圧冷媒との圧力差が所定の目標値となるように、圧縮機21の回転数を制御する。具体的には、本実施形態では、吐出圧力センサ61と吸入圧力センサ63が検出する圧力差が所定の目標値となるように、室外制御部20eは、圧縮機21の回転数を制御する。
【0094】
室外制御部20eは、室外熱交換器23を流れる冷媒の蒸発温度が所定の目標値となるように、室外ファン25の風量を制御する。
【0095】
室外制御部20eは、室内熱交換器31を流れる冷媒の凝縮温度が所定の目標値となるように、膨張弁24の弁開度を制御する。
【0096】
暖房起動制御は、冷媒回路10における高圧冷媒と低圧冷媒との圧力差が所定時間継続して所定の目標範囲に維持されるという条件を満たし、室外熱交換器23を流れる冷媒の蒸発温度が所定時間継続して所定の目標範囲に維持されるという条件を満たし、室内熱交換器31を流れる冷媒の凝縮温度が所定時間継続して所定の目標範囲に維持されるという条件を満たす、という所定の暖房安定化条件を満たすと終了し、以下の暖房起動後制御に移行する。
【0097】
(7-2-2)暖房起動後制御
暖房起動後制御は、暖房起動制御が終了した後に、暖房起動制御が終了した状態から開始される制御であり、室内等の空調対象空間を所望の状態に向けて変化させようとする制御である。
【0098】
室外制御部20eは、暖房起動後制御では、室外制御部20eは、圧縮機21、膨張弁24、室外ファン25について、例えば、以下のように制御を行う。
【0099】
圧縮機21は、例えば、冷媒回路10における冷媒の凝縮温度が、目標凝縮温度になるように、運転周波数が容量制御される。
【0100】
圧縮機21から吐出されたガス冷媒は、第1冷媒配管11、四路切換弁22、第5冷媒配管15、ガス側冷媒連絡配管5を流れた後、室内ユニット30に送られる。その後、冷媒は、第9冷媒配管19を通過した後、室内熱交換器31のガス側端に流入し、室内熱交換器31において、設定風量に制御されている室内ファン32からの空気流れを受けて、凝縮または放熱する。室内熱交換器31において凝縮または放熱した冷媒は、第8冷媒配管18を通過した後、液側冷媒連絡配管6を流れて、室外ユニット20に流入する。
【0101】
室外ユニット20の液側閉鎖弁29を通過した冷媒は、第4冷媒配管14を通過した後、膨張弁24において減圧される。膨張弁24の弁開度は、例えば、圧縮機21が吸入する冷媒の過熱度が所定の目標値になるように制御される。膨張弁24で減圧された冷媒は、第3冷媒配管13を通過した後、室外熱交換器23において、室外ファン25からの空気流れを受けて蒸発する。室外ファン25は、室外熱交換器23を流れる冷媒の蒸発温度が所定の目標値となるように、風量が制御される。室外熱交換器23を通過した冷媒は、第2冷媒配管12、四路切換弁22、第6冷媒配管16、レシーバ26、第7冷媒配管17を経て、再び、圧縮機21に吸入される。
【0102】
(8)冷媒漏洩検知運転
冷凍サイクル装置1は、冷媒回路10を冷房運転の冷凍サイクルとして、冷媒回路10における冷媒の状態を所定の状態で安定化させた際の冷媒回路10における冷媒の状態量に基づいて、冷媒回路10に充填されている現在冷媒量を求める冷媒漏洩検知運転を行う。
【0103】
冷凍サイクル装置1は、冷媒漏洩検知運転を行うように指示を受けた場合に、
図4に示すフローチャートに従って、室外制御部20eおよび室内制御部34は、ステップS10、S11で示すように漏洩検知起動制御を開始し、ステップS12で示すように漏洩検知起動制御を終えると、ステップS13、S14、S15、S16で示すように漏洩検知起動後制御を行う。
【0104】
(8-1-1)漏洩検知起動制御
冷凍サイクル装置1は、圧縮機21等が停止しており冷凍サイクル装置1が停止している状態から冷媒漏洩検知運転を開始させる制御である漏洩検知起動制御を行う。漏洩検知起動制御は、冷媒漏洩検知運転において、漏洩検知起動後制御が開始される前に行われる制御であり、停止状態の冷凍サイクル装置1について漏洩検知起動後制御を効率的に行える状態に遷移させるための準備運転である。
【0105】
なお、漏洩検知起動制御に要する時間は、冷凍サイクル装置1が停止している状態において冷媒回路10の圧縮機21、膨張弁24、室内ファン32、室外ファン25等のアクチュエータが動作を開始してから、漏洩検知起動後制御が開始されるまでの時間である。
【0106】
漏洩検知起動制御では、室外制御部20eおよび室内制御部34は、四路切換弁22の接続状態を冷房運転の接続状態にした上で、圧縮機21、膨張弁24、室内ファン32、室外ファン25について、例えば、以下のように制御を行う。
【0107】
漏洩検知起動制御では、室外制御部20eは、冷媒回路10における高圧冷媒と低圧冷媒との圧力差が所定時間以内に所定の目標値となるように、圧縮機21の回転数を制御する。特に限定されないが、例えば、漏洩検知起動制御での圧縮機21の回転数の制御では、冷房起動制御での圧縮機21の回転数の制御と比べて、制御ゲインを大きくする。これにより、冷媒回路10における高圧冷媒と低圧冷媒との圧力差をより短時間で確保しやすくなる。
【0108】
漏洩検知起動制御では、室外制御部20eは、室内熱交換器31を流れる冷媒の蒸発温度が所定時間以内に所定の目標値となるように、膨張弁24の弁開度を制御する。特に限定されないが、例えば、漏洩検知起動制御での膨張弁24の開度制御では、冷房起動制御での膨張弁24の開度制御と比べて、制御ゲインを大きくする。これにより、冷媒回路10における高圧冷媒と低圧冷媒との圧力差をより短時間で確保しやすくなる。
【0109】
漏洩検知起動制御では、室内ファン32についてはリモコン35で受け付けた設定風量が存在する場合であっても、当該設定風量に従った風量制御を行うのではなく、強制的な風量制御が行われる。具体的には、室外制御部20eは、冷媒回路10における高圧冷媒と低圧冷媒との圧力差が所定の目標値になるように室内ファン32の風量を強制的に制御する。これにより、ユーザによって室内ファン32の風量が大きめに設定されている状況であっても、室内ファン32による風量を強制的に小さく抑えることが可能となり、高圧冷媒と低圧冷媒との圧力差をより短時間で確保しやすくなる。なお、ここでは室内ファン32は、風量がゼロとなるように強制的に制御されてもよい。
【0110】
漏洩検知起動制御では、室外制御部20eは、室外熱交換器23を流れる冷媒の凝縮温度が所定時間以内に所定の目標値となるように、室外ファン25の風量を制御する。特に限定されないが、例えば、漏洩検知起動制御での室外ファン25の風量制御では、冷房起動制御での室外ファン25の風量制御と比べて、制御ゲインを大きくする。これにより、冷媒回路10における高圧冷媒と低圧冷媒との圧力差をより短時間で確保しやすくなる。
【0111】
漏洩検知起動制御は、冷媒回路10における高圧冷媒と低圧冷媒との圧力差が所定時間継続して所定の目標範囲に維持されるという条件を満たし、室内熱交換器31を流れる冷媒の蒸発温度が所定時間継続して所定の目標範囲に維持されるという条件を満たし、室外熱交換器23を流れる冷媒の凝縮温度が所定時間継続して所定の目標範囲に維持されるという条件を満たす、という所定の漏洩検知起動安定化条件を満たすと終了し、以下の漏洩検知起動後制御に移行する。
【0112】
(8-1-2)漏洩検知起動後制御
漏洩検知起動後制御は、漏洩検知起動制御が終了した後に、漏洩検知起動制御が終了した状態から開始される制御であり、冷媒回路10における冷媒量を把握するために冷媒回路10における各所の冷媒の状態を、冷媒量を判定しやすい所望の状態に向けて変化させようとする制御である。
【0113】
室外制御部20eおよび室内制御部34は、漏洩検知起動制御を終えた後に、例えば、以下のように漏洩検知起動後制御を行う。これにより、冷媒回路10における冷媒の分布状態を安定化させて、現在冷媒量を求める。
【0114】
漏洩検知起動後制御では、冷媒回路10における高圧が目標高圧になるように、高圧制御を行う。高圧制御では、冷媒回路10における高圧が目標高圧になるように、室外ファン25の回転数が制御される。なお、冷媒回路10における高圧は、吐出圧力センサ61によって検出される冷媒の圧力を用いることができる。この高圧制御を行うのは、冷媒回路10における高圧部分における冷媒量が、冷媒回路10における高圧に大きく影響するからである。
【0115】
漏洩検知起動後制御では、冷媒回路10における低圧が目標低圧になるように、低圧制御を行う。低圧制御では、冷媒回路10における低圧が目標低圧になるように、圧縮機21の回転数が制御される。なお、冷媒回路10における低圧は、吸入圧力センサ63によって検出される冷媒の圧力を用いることができる。
【0116】
漏洩検知起動後制御では、冷媒回路10における冷媒の過熱度が目標過熱度になるように過熱度制御を行う。過熱度制御では、室内熱交換器31のガス側から圧縮機21の吸入側の部分における冷媒の過熱度が目標過熱度になるように、膨張弁24の弁開度が制御される。なお、ここでの過熱度は、吸入圧力センサ63によって検出される冷媒の圧力を冷媒の飽和温度に換算し、この飽和温度から吸入温度センサ64によって検出される冷媒の温度を差し引いた温度差を用いることができる。
【0117】
なお、低圧制御および過熱度制御を行うのは、冷媒回路10における低圧部分における冷媒量が、冷媒回路10における低圧や冷媒の乾き度合いに大きく影響するからである。
【0118】
以上のように、漏洩検知起動後制御では、高圧制御、低圧制御および過熱度制御を行うことで、冷媒回路10内を循環する冷媒の状態を概ね安定化させることができる。これにより、冷媒回路10内の冷媒量の変化が、室外熱交換器23の液側における冷媒の過冷却度の変化として現れる傾向とすることが可能となる。なお、当該冷媒の過冷却度は、例えば、吐出圧力センサ61によって検出される冷媒の圧力を冷媒の飽和温度に換算し、この飽和温度を液側温度センサ65によって検出される冷媒の温度から差し引いた温度差を用いることができる。
【0119】
室外制御部20eは、このようにして求められた過冷却度に基づいて所定の演算を行うことで、冷媒回路10内部の現在冷媒量である現在量データを求める。そして、室外制御部20eは、現在量データを、冷媒の充填運転の実施時に冷媒回路10に充填された初期量データと比較することで、漏洩の有無、漏洩量を求め、実施日時と共に室外記憶部20dに検知関連データとして記憶させる。
【0120】
室外記憶部20dが記憶したこれらの運転データや検知関連データは、集中コントローラ40に送信される。そして、集中コントローラ40が受信したこれらの運転データや検知関連データは、遠隔管理装置80に向けて送信される。
【0121】
(9)本実施形態の特徴
本実施形態に係る管理システム100では、冷媒漏洩検知運転を行う場合には、冷房運転時の冷房起動制御とは異なる漏洩検知起動制御を行う。
【0122】
この漏洩検知起動制御では、
図6、
図7、
図8に示すように、冷房起動制御と比較して、圧縮機21の回転数と、室外ファン25の回転数に対応する風量と、膨張弁24の弁開度と、を早期に安定化させることが可能となる。このため、
図5に示すように、漏洩検知起動制御では、冷房起動制御と比較して、冷媒回路10における冷媒の高低差圧が早期に安定化する。これにより、冷媒回路10において冷媒が十分に安定的に循環している状態を早期に確保して漏洩検知起動制御を完了させるために要する時間を短くすることができるため、漏洩検知起動後制御を早期に開始させることが可能となる。これにより、冷媒漏洩検知運転による現在冷媒量の取得に要する時間を短縮化させることが可能となる。
【0123】
したがって、所定の頻度で定期的に冷媒漏洩検知運転を行うことが求められる場合であっても、冷凍サイクル装置1が冷媒漏洩検知運転を行っている時間を短縮化させることが可能となる。例えば、一日一回の漏洩検知を行うことが求められる場合であっても、冷媒漏洩検知運転を行っている時間を短縮化させることができるため、迅速な漏洩検知を迅速化させることができる。これにより、例えば、冷凍サイクル装置1を通常運転していない深夜等の時間帯に漏洩検知を完了させることも可能となる。また、冷凍サイクル装置1において通常運転を行えない時間帯を短くすることも可能となる。
【0124】
また、本実施形態の冷房起動制御では、冷房運転を行わせているユーザが不快に感じにくいように、室内ファン32がリモコン35で設定された風量となるように制御される等の制約を課している。これに対して、本実施形態の冷媒漏洩検知運転を行う時間帯として、空調対象空間の快適性が求められない時間帯が選ばれている場合には、ユーザに不快感を与えることもなく、上記制約を課さないようにすることで漏洩検知起動運転を早期に終了させることが可能となっている。
【0125】
(10)他の実施形態
(10-1)他の実施形態A
上記実施形態では、漏洩検知起動制御について、冷凍サイクル装置1が備える圧縮機21、膨張弁24、室外ファン25、室内ファン32の制御を、冷房起動制御の場合と変えることで、早期に起動制御を終える場合を例に挙げて説明した。
【0126】
これに対して、例えば、
図9に記載の圧縮機21の吐出側と吸入側とを接続するバイパス流路27を備える冷凍サイクル装置1aについて、漏洩検知起動制御では、冷房起動制御の場合よりもバイパス流路27を流れる冷媒量が多くなるように制御することで、早期に起動制御を終えるようにしてもよい。
【0127】
このバイパス流路27には、弁開度を制御可能なバイパス膨張弁27aが設けられている。バイパス流路27を流れる冷媒量は、このバイパス膨張弁27aの弁開度を制御することにより調節可能である。
【0128】
そして、バイパス膨張弁27aの弁開度は、漏洩検知起動制御の場合の方が冷房起動制御の場合よりも大きくなるように制御される。このため、漏洩検知起動制御時に圧縮機21から吐出した高温冷媒の一部を迅速に圧縮機21に吸入させることができる。これにより、圧縮機21における冷媒温度を迅速に上げて、圧縮機21に貯留している冷凍機油の温度を早期に上昇させることが可能になる。これにより、圧縮機21に貯留する冷凍機油に溶け込んでいる冷媒を、当該冷凍機油から迅速に分離させる、冷媒回路10を循環させることが可能になる。したがって、漏洩検知起動制御を早期に終了させることが可能となる。
【0129】
このバイパス流路27の冷媒流量制御は、単独で行ってもよいし、上記実施形態における漏洩検知起動制御の圧縮機21、膨張弁24、室外ファン25、室内ファン32のすくなくともいずれかの制御と組合せて行ってもよい。
【0130】
(10-2)他の実施形態B
上記実施形態の冷媒漏洩検知運転は、冷媒回路10における冷媒量の変化を、室外熱交換器23の液側における冷媒の過冷却度の変化として現れる状態とすることで、現在量データを把握し、冷媒の充填運転の実施時に冷媒回路10に充填された初期量データと比較することで、漏洩の検知、漏洩量の把握を行う場合を例に挙げて説明した。
【0131】
ここで、冷媒回路10からの冷媒の漏洩の有無を判断するための冷媒漏洩検知運転の例としては、これに限られるものではない。
【0132】
例えば、冷媒回路10において定格運転を行うかまたは所定の運転状態を実現させようとする際に把握される冷媒温度や冷媒圧力等の物理量と、漏洩が無い場合に予測される所定の冷媒温度や冷媒圧力等の物理量との差異が所定値以上である場合には、漏洩が生じていると判断するようにしてもよい。このような運転状態を実現させるための運転条件、予測される冷媒温度や冷媒圧力等の物理量は、例えば、室外記憶部20d、集中記憶部44等において、予め格納されていてもよい。
【0133】
また、例えば、冷媒の充填運転が行われた直後の冷媒回路10に初期冷媒量が充填されている状態での冷凍サイクル装置1の運転データと、現在の現在冷媒量が充填されている状態での冷凍サイクル装置1の運転データと、を比較することで、冷媒漏洩の有無を判断するようにしてもよい。例えば、冷凍サイクル装置1に同程度の冷房負荷を処理させる条件下において、圧縮機21の回転数の値を初期と現在とで比較することで、冷媒漏洩の有無を判断するようにしてもよい。
【0134】
また、例えば、冷凍サイクル装置1について所定の運転状態を実現させた後に、冷凍サイクル装置1の運転を停止させ、当該運転停止から所定時間経過した時の冷媒回路10の所定箇所における冷媒量に基づいて冷媒漏洩の有無を判断するようにしてもよい。例えば、冷媒回路10がレシーバやアキュムレータのような冷媒容器を備える場合に、運転停止から所定時間経過した時の冷媒容器に保持されている冷媒量に基づいて冷媒漏洩の有無を判断するようにしてもよい。
【0135】
なお、これらの冷媒量の判定においては、外気温度の影響や、室内ユニット30と室外ユニット20との設置位置の高低差の影響等を踏まえて、適宜補正処理を行うようにしてもよい。
【0136】
(10-3)他の実施形態C
上記実施形態では、室外入力部20cのボタンが保守作業員により操作されることで冷媒漏洩検知運転が実施させる場合や、遠隔管理装置80において所定期間中の冷媒漏洩検知運転が確認できない場合に遠隔管理装置80から冷媒漏洩検知運転が実施させる指令が送信される場合等を例に挙げて説明した。
【0137】
これに対して、冷凍サイクル装置1に冷媒漏洩検知運転を実行させる条件は、これらに限定されるものではない。例えば、予め定めた所定スケジュールに従って冷凍サイクル装置1に冷媒漏洩検知運転を実行させるようにしてもよい。
【0138】
(10-4)他の実施形態D
上記実施形態では、漏洩検知起動制御では、圧縮機21の回転数の制御、膨張弁24の弁開度を制御、室外ファン25の風量制御について、冷房起動制御と比較して、制御ゲインを大きくすることにより、所定の目標値で早期に安定化させる場合を例に挙げて説明した。
【0139】
これに対して、漏洩検知起動制御は、冷房起動制御と比較して制御ゲインを大きくする制御に限られない。
【0140】
例えば、漏洩検知起動制御時の圧縮機21の回転数の制御においては、高圧冷媒と低圧冷媒との圧力差の初期目標値が、冷房起動制御の圧力差の目標値よりも大きくなるように所定時間制御を行い、その後に、圧力差の目標値が冷房起動制御の圧力差の目標値と同程度となるように制御してもよい。
【0141】
また、漏洩検知起動制御時の圧縮機21の回転数の制御においては、高圧冷媒と低圧冷媒との圧力差が、起動制御初期において少なくとも一時的にオーバーシュートするように制御を行うようにしてもよい。
【0142】
また、洩検知起動制御時の膨張弁24の弁開度の制御においては、高圧冷媒と低圧冷媒との圧力差が、起動制御初期において少なくとも一時的にオーバーシュートするように制御を行うようにしてもよい。
【0143】
(10-5)他の実施形態E
上記実施形態では、冷媒漏洩検知運転について、漏洩検知起動制御は、所定の漏洩検知起動安定化条件を満たすと終了して、漏洩検知起動後制御が開始される場合を例に挙げて説明した。
【0144】
これに対して、漏洩検知起動制御を終了して漏洩検知起動後制御を開始させるための終了条件としては、これに限られるものではない。
【0145】
例えば、漏洩検知起動制御を開始した後、冷媒回路10における高圧冷媒と低圧冷媒との圧力差が所定の目標値に達することを終了条件としてもよい。
【0146】
また、例えば、漏洩検知起動制御を開始した後、室内熱交換器31を流れる冷媒の蒸発温度が所定の目標値に達することを終了条件としてもよい。
【0147】
また、例えば、漏洩検知起動制御を開始した後、室外熱交換器23を流れる冷媒の凝縮温度が所定の目標値に達することを終了条件としてもよい。
【0148】
(付記)
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0149】
1、1a :冷凍サイクル装置
5 :ガス側冷媒連絡配管
6 :液側冷媒連絡配管
10 :冷媒回路
11 :第1冷媒配管
12 :第2冷媒配管
13 :第3冷媒配管
14 :第4冷媒配管
15 :第5冷媒配管
16 :第6冷媒配管
17 :第7冷媒配管
18 :第8冷媒配管
19 :第9冷媒配管
20 :室外ユニット
20e :室外制御部(制御部)
21 :圧縮機
22 :四路切換弁
23 :室外熱交換器
24 :膨張弁(減圧部)
25 :室外ファン
26 :レシーバ
27 :バイパス流路
27 :バイパス膨張弁
28 :ガス側閉鎖弁
29 :液側閉鎖弁
30 :室内ユニット
31 :室内熱交換器
32 :室内ファン
34 :室内制御部(制御部)
35 :リモコン
40 :集中コントローラ
61 :吐出圧力センサ
62 :吐出温度センサ
63 :吸入圧力センサ
64 :吸入温度センサ
65 :液側温度センサ
66 :外気温度センサ
71 :室内液側熱交温度センサ
72 :室内空気温度センサ
80 :遠隔管理装置
91 :物件
97 :ローカル通信回線
98 :遠隔管理センター
99 :通信回線
100 :管理システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0150】