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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052433
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】温湯循環システム及び農業施設
(51)【国際特許分類】
   F24H 15/355 20220101AFI20240404BHJP
   F24H 15/156 20220101ALI20240404BHJP
   F24H 15/215 20220101ALI20240404BHJP
   A01G 9/24 20060101ALI20240404BHJP
   F24H 15/325 20220101ALI20240404BHJP
【FI】
F24H15/355
F24H15/156
F24H15/215
A01G9/24 P
F24H15/325
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159147
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】390010814
【氏名又は名称】株式会社誠和
(74)【代理人】
【識別番号】100101742
【弁理士】
【氏名又は名称】麦島 隆
(72)【発明者】
【氏名】中村 祐貴
(72)【発明者】
【氏名】栗田 晋吾
【テーマコード(参考)】
2B029
【Fターム(参考)】
2B029JA04
2B029SA04
(57)【要約】
【課題】給湯器を利用した農業用ハウスに付設される温湯循環システムを提供する。
【解決手段】温湯供給源として、複数台の給湯器121を有する給湯器群120を用いると共に、農業用ハウス200内の温湯管110を経て再び給湯器群120に戻る際、給湯器群120を通過させる入水流量を調整し、加温された温湯を、その出湯後、給湯器群120を通過させなかった温湯と合流させて所定の循環温度に調整して循環させる。農業用ハウス200に付設される温湯循環システム100の温湯管110は、常に一定量の温湯が循環しているが、給湯器群120に戻る際の温湯の温度によって給湯器群120への入水流量を制御することで、給湯器121の稼働台数を調整でき、必要最小限の稼働台数で所定の循環温度に調整できる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
農業用ハウス内に設けられる温湯管と、前記温湯管に温湯を供給する温湯供給源とを有し、前記温湯供給源と前記温湯管との間で前記温湯を循環させる温湯循環システムであって、
前記温湯供給源が、複数台の給湯器を備え、入水流量に基づき前記給湯器の稼働台数が制御される給湯器群を有して構成され、
前記温湯管を経て帰湯する前記温湯が前記給湯器群に入水される手前に設けられる入水流量調整弁を有し、前記給湯器群への入水流量を調整すると共に、前記給湯器群へ入水されない前記温湯を前記給湯器群の出湯側で合流させる入水条件調整機構と
を有し、
前記入水条件調整機構による前記入水流量の調整により、前記給湯器の稼働台数が調整され、前記温湯管を循環する温湯の循環温度が調整される構成であることを特徴とする温湯循環システム。
【請求項2】
前記入水条件調整機構は、
前記入水流量調整弁に加え、
前記入水流量調整弁と、前記給湯器群の出湯側に位置する前記温湯管の部位とを結ぶバイパス管と、
前記入水流量調整弁を制御することにより、前記バイパス管に流入させる前記温湯のバイパス流量と前記給湯器群へ入水させる前記温湯の入水流量を制御する制御部と
を有し、
前記バイパス管を経由した加温されない前記温湯と、前記給湯器群により加温された前記温湯とが前記出湯側で合流して所定の循環温度に調整され、前記温湯管を循環する構成である請求項1記載の温湯循環システム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記入水流量調整弁を通過する手前の前記温湯の測定帰湯温度と、前記給湯器群への目標入水温度及び目標とする前記循環温度とに基づき、前記入水流量調整弁を制御し、前記バイパス流量と前記入水流量を調整する請求項2記載の温湯循環システム。
【請求項4】
農業用ハウス内に設けられる温湯管と、前記温湯管に温湯を供給する温湯供給源とを有し、前記温湯供給源と前記温湯管との間で前記温湯を循環させる温湯循環システムであって、
前記温湯供給源が、複数台の給湯器を備え、入水流量に基づき前記給湯器の稼働台数が制御される給湯器群を有して構成され、
前記温湯管を経て帰湯する前記温湯が前記給湯器群に入水される手前に設けられる入水流量調整弁を有し、前記給湯器群への入水流量を調整すると共に、前記給湯器群へ入水されない前記温湯を前記給湯器群の出湯側で合流させる入水条件調整機構と、
前記給湯器群の各給湯器の稼働により発生する二酸化炭素を前記農業用ハウス内に供給する二酸化炭素供給系と
を有し、
前記入水条件調整機構による前記入水流量の調整により、前記給湯器の稼働台数が調整され、前記二酸化炭素供給系から供給される二酸化炭素の供給量が調整される構成であることを特徴とする温湯循環システム。
【請求項5】
前記入水条件調整機構は、
前記入水流量調整弁に加え、
前記入水流量調整弁と、前記給湯器群の出湯側に位置する前記温湯管の部位とを結ぶバイパス管と、
前記入水流量調整弁を制御することにより、前記バイパス管に流入させる前記温湯のバイパス流量と前記給湯器群へ入水させる前記温湯の入水流量を制御する制御部と
を有し、
前記制御部は、前記農業用ハウス内の二酸化炭素濃度の目標値と測定値との差分に応じて、前記入水流量調整弁を制御し、前記バイパス流量と前記入水流量を調整する請求項4記載の温湯循環システム。
【請求項6】
前記給湯器群を構成する前記各給湯器は、入水温度により燃焼効率が制御される構成であり、
前記入水条件調整機構は、前記給湯器群への入水される温湯を冷却する入水冷却装置を備え、
前記制御部は、前記温湯管を経て帰湯する前記温湯の測定温度が目標入水温度より高い場合に、前記給湯器群への入水される温湯を前記入水冷却装置により冷却する請求項5記載の温湯循環システム。
【請求項7】
農業用ハウス内に設けられる温湯管と、前記温湯管に温湯を供給する温湯供給源とを有し、前記温湯供給源と前記温湯管との間で前記温湯を循環させる温湯循環システムであって、
前記温湯供給源が、複数台の給湯器を備えると共に、前記各給湯器が入水温度により燃焼効率が制御される構成であり、
前記温湯管を経て帰湯する前記温湯が前記給湯器群に入水される手前に設けられ、前記給湯器群への入水温度を調整する入水条件調整機構と、
前記給湯器群の各給湯器の稼働により発生する排気に含まれる二酸化炭素を前記農業用ハウス内に供給する二酸化炭素供給系と
を有し、
前記入水条件調整機構による前記入水温度の調整により、前記各給湯器の燃焼効率が調整されて、前記二酸化炭素の供給量が調整される構成であることを特徴とする温湯循環システム。
【請求項8】
前記入水条件調整機構は、
前記温湯管を経て帰湯する前記温湯の少なくとも一部を冷却する帰湯冷却装置と、前記帰湯冷却装置への入水流量を調整する冷却流量調整弁と
を有し、
前記農業用ハウス内の二酸化炭素濃度の目標値と測定値との差分に応じて、前記給湯器群へ入水される際の目標入水温度が設定され、前記冷却流量調整弁により、前記目標入水温度となるように、前記帰湯冷却装置によって冷却される流量が調整される請求項7記載の温湯循環システム。
【請求項9】
農業用ハウスと、前記農業用ハウス内に設けられる温湯管に温湯を循環させて暖房する温湯循環システムとを有する農業施設であって、
前記温湯循環システムとして、請求項1、請求項4及び請求項7にそれぞれ記載の温湯循環システムのうち、少なくとも一つが付設されていることを特徴とする農業施設。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業用ハウス内を暖房する温湯を循環させる温湯循環システム及びこの温湯循環システムを備えた農業施設に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び2に示されているように、農業用ハウス(温室)内における隣接する栽培ベッド間の通路等に温湯管が敷設され、温湯を通すことにより暖房を行う温湯循環システムが知られている。特許文献3では、温湯管に供給する温湯の熱源としてボイラーを用い、このボイラーの排ガスを熱交換器により冷却し、二酸化炭素を温室内に供給する排熱回収兼用炭酸ガス供給システムが開示されている。
【0003】
従来、このような温湯循環システムの温湯供給源は、大型のボイラーを用いている(特許文献2参照)。大型であるため所定規模の農業用ハウス1棟あたりにつき、暖房用に1台というように配備され、農業用ハウスとは別にボイラー室を設けている。暖房と二酸化炭素の供給との両方の運転を行う場合には、暖房用のボイラーに加え、二酸化炭素供給用のボイラーを別途追加設置している。
よって、従来の温湯循環システムは、大型のボイラーを1台又は複数台配備するボイラー室を設置するための敷地を、農業用ハウスとは別に確保する必要があり、敷地の確保、ボイラー室の建設費用等のコストが多大であった。
【0004】
一方、特許文献4では、所定の容積を有するサブタンクに、家庭用ヒートポンプ式給湯器を複数台接続し、サブタンク内に貯留される水の温度を所定の温度まで沸かし、温室内に敷設した配管に給湯する暖房装置が開示されている。この技術によれば、大型のボイラーが不要となる点で、上記のような問題を解消できる可能性がある。
【0005】
また、特許文献5及び6では、給湯器を複数台併設し、見かけ上の給湯能力を増大させ、ホテルや商業施設等において、通水量に応じて稼働台数を調整し給湯能力を変化させ、省力化を図る技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001-346427号公報
【特許文献2】特開2000-262160号公報
【特許文献3】特開2004-344154号公報
【特許文献4】特開2013-215182号公報
【特許文献5】特開平2-40446号公報
【特許文献6】特開2005-98638号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
農業用ハウスに用いられる温湯循環システムは、特許文献1~3に示されているように、ハウス内に敷設される温湯管とボイラーとの間を、温湯が常に一定量循環する構成となっている。特許文献4の技術において、サブタンク内に貯留された水温に応じて給湯器の稼働台数が調整されるといっても、特許文献1~3に示されているような、温湯が常に一定量循環する構成の温湯循環システムに直接適用できるものではなく、サブタンクを新たに設け、このサブタンクに給湯器を接続しなければならない。このようなサブタンクは温湯管に密閉で接続することはできないことから、サブタンクを設ける構成とすると大気開放となり、当該サブタンク及び温湯管内にさびを発生させ、故障頻度を増大させる可能性がある。また、この種の給湯器においては、水温に応じて燃焼効率が変化する設定は標準的な機能であるものの、特許文献4のようにサブタンク内の水温を検知して稼働台数を制御していたのでは、常に循環している温湯水の温度を速やかにかつ精度よく制御することはできない。また、特許文献4の技術では、給湯器の設置数はサブタンクの大きさに左右されることになり、給湯器の設置数をより多くしようとすればサブタンクはより大型なものにならざるを得ず、結果的に相当広大な設置面積を要することになる。
【0008】
特許文献5及び6に示された給湯器を複数台接続する技術は、通水量に応じて稼働台数が速やかに変化していくため、通水温度を目標値に精度よく誘導しやすい点で優れている。また、小型の給湯器を温湯の供給経路に接続すればよいため、大型のボイラーを設置する場合と比較して低コストで設置できる。しかしながら、給湯器の稼働台数が通水量により変化するため、特許文献1~3の温湯循環システムのように、温湯管を循環する温湯の通水量が常に一定のシステムでは、そのまま適用しても稼働台数が常に一定となってしまい温湯の温度制御ができない。一方、農業用ハウス内に二酸化炭素を供給する場合、特許文献3のように、排ガスを利用するための専用のボイラーを設置する必要があったが、これも小型の給湯器を利用できれば便利であり、設置コスト、運転コスト等の低減に寄与できる。
【0009】
本発明は上記に鑑みなされたものであり、複数台の給湯器を利用することにより、設置コスト、運転コスト等の低減を図ると共に、常に循環している温湯の温度制御を迅速かつ精度よく行うことができ、さらに、二酸化炭素の供給も可能とする温湯循環システム及びこの温湯循環システムを備えた農業施設を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した課題を解決するため、本発明の温湯循環システムは、
農業用ハウス内に設けられる温湯管と、前記温湯管に温湯を供給する温湯供給源とを有し、前記温湯供給源と前記温湯管との間で前記温湯を循環させる温湯循環システムであって、
前記温湯供給源が、複数台の給湯器を備え、入水流量に基づき前記給湯器の稼働台数が制御される給湯器群を有して構成され、
前記温湯管を経て帰湯する前記温湯が前記給湯器群に入水される手前に設けられる入水流量調整弁を有し、前記給湯器群への入水流量を調整すると共に、前記給湯器群へ入水されない前記温湯を前記給湯器群の出湯側で合流させる入水条件調整機構と
を有し、
前記入水条件調整機構による前記入水流量の調整により、前記給湯器の稼働台数が調整され、前記温湯管を循環する温湯の循環温度が調整される構成であることを特徴とする。
【0011】
前記入水条件調整機構は、
前記入水流量調整弁に加え、
前記入水流量調整弁と、前記給湯器群の出湯側に位置する前記温湯管の部位とを結ぶバイパス管と、
前記入水流量調整弁を制御することにより、前記バイパス管に流入させる前記温湯のバイパス流量と前記給湯器群へ入水させる前記温湯の入水流量を制御する制御部と
を有し、
前記バイパス管を経由した加温されない前記温湯と、前記給湯器群により加温された前記温湯とが前記出湯側で合流して所定の循環温度に調整され、前記温湯管を循環する構成であることが好ましい。
【0012】
前記制御部は、
前記入水流量調整弁を通過する手前の前記温湯の測定帰湯温度と、前記給湯器群への目標入水温度及び目標とする前記循環温度とに基づき、前記入水流量調整弁を制御し、前記バイパス流量と前記入水流量を調整する構成であることが好ましい。
【0013】
また、本発明は、農業用ハウス内に設けられる温湯管と、前記温湯管に温湯を供給する温湯供給源とを有し、前記温湯供給源と前記温湯管との間で前記温湯を循環させる温湯循環システムであって、
前記温湯供給源が、複数台の給湯器を備え、入水流量に基づき前記給湯器の稼働台数が制御される給湯器群を有して構成され、
前記温湯管を経て帰湯する前記温湯が前記給湯器群に入水される手前に設けられる入水流量調整弁を有し、前記給湯器群への入水流量を調整すると共に、前記給湯器群へ入水されない前記温湯を前記給湯器群の出湯側で合流させる入水条件調整機構と、
前記給湯器群の各給湯器の稼働により発生する二酸化炭素を前記農業用ハウス内に供給する二酸化炭素供給系と
を有し、
前記入水条件調整機構による前記入水流量の調整により、前記給湯器の稼働台数が調整され、前記二酸化炭素供給系から供給される二酸化炭素の供給量が調整される構成であることを特徴とする温湯循環システムを提供する。
【0014】
前記入水条件調整機構は、
前記入水流量調整弁に加え、
前記入水流量調整弁と、前記給湯器群の出湯側に位置する前記温湯管の部位とを結ぶバイパス管と、
前記入水流量調整弁を制御することにより、前記バイパス管に流入させる前記温湯のバイパス流量と前記給湯器群へ入水させる前記温湯の入水流量を制御する制御部と
を有し、
前記制御部は、前記農業用ハウス内の二酸化炭素濃度の目標値と測定値との差分に応じて、前記入水流量調整弁を制御し、前記バイパス流量と前記入水流量を調整する構成であることが好ましい。
【0015】
前記給湯器群を構成する前記各給湯器は、入水温度により燃焼効率が制御される構成であり、
前記入水条件調整機構は、前記給湯器群への入水される温湯を冷却する入水冷却装置を備え、
前記制御部は、前記温湯管を経て帰湯する前記温湯の測定温度が目標入水温度より高い場合に、前記給湯器群への入水される温湯を前記入水冷却装置により冷却することが好ましい。
【0016】
また、本発明は、農業用ハウス内に設けられる温湯管と、前記温湯管に温湯を供給する温湯供給源とを有し、前記温湯供給源と前記温湯管との間で前記温湯を循環させる温湯循環システムであって、
前記温湯供給源が、複数台の給湯器を備えると共に、前記各給湯器が入水温度により燃焼効率が制御される構成であり、
前記温湯管を経て帰湯する前記温湯が前記給湯器群に入水される手前に設けられ、前記給湯器群への入水温度を調整する入水条件調整機構と、
前記給湯器群の各給湯器の稼働により発生する排気に含まれる二酸化炭素を前記農業用ハウス内に供給する二酸化炭素供給系と
を有し、
前記入水条件調整機構による前記入水温度の調整により、前記各給湯器の燃焼効率が調整されて、前記二酸化炭素の供給量が調整される構成であることを特徴とする温湯循環システムを提供する。
【0017】
前記入水条件調整機構は、
前記温湯管を経て帰湯する前記温湯の少なくとも一部を冷却する帰湯冷却装置と、前記帰湯冷却装置への入水流量を調整する冷却流量調整弁と
を有し、
前記農業用ハウス内の二酸化炭素濃度の目標値と測定値との差分に応じて、前記給湯器群へ入水される際の目標入水温度が設定され、前記冷却流量調整弁により、前記目標入水温度となるように、前記帰湯冷却装置によって冷却される流量が調整される構成であることが好ましい。
【0018】
また、本発明は、農業用ハウスと、前記農業用ハウス内に設けられる温湯管に温湯を循環させて暖房する温湯循環システムとを有する農業施設であって、
前記温湯循環システムとして、前記の温湯循環システムのうち、少なくとも一つが付設されていることを特徴とする農業施設を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、温湯供給源として、複数台の給湯器を有する給湯器群を用いると共に、農業用ハウス内の温湯管を経て再び給湯器群に戻る際、給湯器群を通過させる入水流量を調整し、加温された温湯を、その出湯後、給湯器群を通過させなかった温湯と合流させて所定の循環温度に調整し、循環させる構成である。農業用ハウスに付設される温湯循環システムの温湯管は、常に一定量の温湯が循環しているが、給湯器群に戻る際の温湯の温度によって給湯器群への入水流量を制御することで、給湯器の稼働台数を調整でき、必要最小限の稼働台数で所定の循環温度に調整できる。複数台の給湯器を有する給湯器群を採用することにより、大型のボイラーを設置する場合よりも設置コスト、運転コスト等を低減できる。
【0020】
また、給湯器群への入水流量を調整できる構成とした上で、その入水流量を温室内の二酸化炭素濃度の変化に基づいて調整できる構成とすれば、給湯器群から発生する二酸化炭素量を調整でき、それに伴い、農業用ハウス内への二酸化炭素供給量を制御できる。
【0021】
また、給湯器群を構成する各給湯器として、入水温度によって燃焼効率が制御される構成のものを採用すると共に、この給湯器群への入水温度を調整する機構を設けた構成とすることにより、給湯器群から発生する二酸化炭素量を調整でき、それに伴い、農業用ハウス内への二酸化炭素供給量を制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の第1の実施形態に係る温湯循環システムを農業用ハウスに適用した農業施設の概略構成を示した図である。
図2図2は、図1の温湯循環システムを模式的に示した図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る温湯循環システムによる暖房工程を説明するためのフローチャートである。
図4図4は、本発明の第2の実施形態に係る温湯循環システムを農業用ハウスに適用した農業施設の概略構成を示した図である。
図5図5は、図4の温湯循環システムを模式的に示した図である。
図6図6は、第2の実施形態に係る温湯循環システムによる二酸化炭素供給工程を説明するためのフローチャートである。
図7図7は、本発明の第3の実施形態に係る温湯循環システムを農業用ハウスに適用した農業施設の概略構成を示した図である。
図8図8は、図7の温湯循環システムを模式的に示した図である。
図9図9は、第3の実施形態に係る温湯循環システムによる二酸化炭素供給工程を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、実施形態に基づき本発明をさらに詳細に説明する。図1~3は、本発明の第1の実施形態を示す。本実施形態では、温湯循環システム100と農業用ハウス200を備えた農業施設であり、温湯循環システム100は、温湯管110、給湯器群120を有して構成される。
【0024】
温湯管110は、農業用ハウス200内において例えば隣接する栽培ベッド間の通路等に敷設され、その内部を温湯が循環する。循環する温湯は、温湯管110の中途に配設された給湯器群120を構成する各給湯器121により加温される。従って、給湯器群120から出湯する温湯は、温湯管110を介して、所定の循環温度で、当該給湯器群120と農業用ハウス200内を行き来する。なお、説明の便宜上、場合により、温湯管110のうち、農業用ハウス200内で栽培ベッド間の通路等に位置し、農業用ハウス200内を暖房する範囲をハウス内循環部111と呼び、給湯器群120全体の出湯側からハウス内循環部111までの範囲を出湯側管部112と呼び、ハウス内管部111から給湯器群120へ戻る管部であって、後述の入水流量調整弁が配設されている部位まで範囲を帰湯側管部113と呼び、入水流量調整弁から給湯器群120全体に入水されるまでの範囲を入水側管部114と呼ぶ。なお、これらは全て直接連通されて一本の温湯管110を構成している。
【0025】
給湯器群120は、本実施形態の温湯循環システム100の?水供給源であり、複数台の給湯器121を備えて構成される。ここでいう給湯器121は、ガス式、電気式等のいずれであってもよいが、上記の特許文献5及び6に開示されているような、水を湯に変換して供給する、小型で一般家庭で湯を作りだすために使用されているものである。特許文献1~3に開示されているような、大型で工場などで使用されることが多いボイラーとは異なる。また、給湯器121は、温湯循環システム100においては温湯が常に循環していることから、貯湯式ではなく、瞬間式のものが好ましい。給湯器群120の設置場所は、各給湯器121から排気ガスが発生するため、農業用ハウス200の外部に設けることが好ましい。各給湯器121は小型であるため、複数台(例えば、2~30台程度)を配置したとしても、農業用ハウス200に隣接して設けることができ、従来のボイラーを採用するタイプのようにボイラー室を別途設けたりする必要はない。また、小型であるため、各給湯器121の排気ガスを外部に排出する適当な排出経路(図示せず)を設けることで、農業用ハウス200の規模によっては、当該農業用ハウス200内に設置することも可能である。
【0026】
各給湯器121は並列接続される。給湯器群120全体の入水側に位置する入水側管部114と出湯側に位置する出湯側管部112とは上記のように直接連通しているが、その間に位置する温湯管110の部位に、給湯器群120を構成する各給湯器121の入水及び出湯のための接続管121aが電磁弁121bを介して接続されている。この給湯器群120は、給湯器群120全体への入水流量により、稼働する給湯器121の台数が調整される。すなわち、入水側管部114からの入水流量に応じて、上記の電磁弁121bが開閉制御され、電磁弁121bが開放している給湯器121のみに通水がなされ、稼働する。
【0027】
本実施形態の温湯循環システム100は、上記のように温湯管110内を常に温湯が循環している。そのため、そのまま給湯器群120の各給湯器121を接続したのでは、給湯器群120への入水流量が変化せず、各給湯器121の稼働台数制御を行うことができない。そこで、このようないわば閉回路となっている温湯管110において、入水流量を変化させるため、入水条件調整機構130を設けている。
【0028】
本実施形態の入水条件調整機構130は、入水流量調整弁131、バイパス管132及び制御部133を有している。入水流量調整弁131は、温湯管110中、ハウス内循環部111を経て給湯器群120に入水される手前に設けられる。バイパス管132は、入水流量調整弁131と給湯器群120全体の出湯側に位置する温湯管110の部位(上記の出湯側管部112の範囲)に接続される。入水流量調整弁131により、帰湯側管部113を経た温湯のうちの一部は、給湯器群120の入水側管部114に流入することなく、バイパス管132に流入する。従って、入水流量調整弁131の開度が調整されることにより、温湯管110内を常に一定量の温湯が流れる温湯循環システム100において、給湯器群120に入水される入水流量を変化させることが可能となる。この結果、給湯器群120への入水流量の変化に応じて、各給湯器121への通水を制御する温湯管110との間の電磁弁121bが上記のように開閉され、燃焼動作する稼働台数が調整されることになる。
【0029】
制御部133は、入水流量調整弁131の動作を制御する。本実施形態では、入水流量調整弁131の手前の帰湯側管部113における温湯の実際の測定温度を測定帰湯温度Tr、給湯器群120へ入水側管部114から入水させる際の入水温度の目標値(目標入水温度cTr)及びハウス内循環部111を循環する際の目標値(目標循環温度cTs)に基づき、入水流量調整弁131に制御信号を出力する。目標循環温度cTsは、初期設定は入力により行われるが、その後は、所定時間毎に、実際の循環温度の測定値との差を基に、初期設定値に対して所定の範囲で自動設定される。目標入水温度cTrは、目標循環温度cTsから常に一定温度低い温度となるように設定される。所定以上低い温度で入水させることにより、各給湯器121の燃焼効率が一定以上となる。そして、このようにして定まる目標入水温度cTrと測定帰湯温度Trとの差分に基づき、入水流量調整弁131が制御され、給湯器群120により加温される入水流量とバイパス管132を通過するバイパス流量が決まり、給湯器群120によって加温されて出湯側管部112に出湯されると、バイパス管132を通過した加温されていない温湯が合流して混合され、混合された温湯が、目標循環温度cTsに近い循環温度でハウス内循環部111へと流れていく。
【0030】
本実施形態では、図3に示したように、暖房動作がONされると(S10)、給湯器群120の各給湯器121及びその他のポンプ等のONされる(S11)。次に、制御部133により、目標循環温度cTsから一定温度低い目標入水温度cTrと測定帰湯温度Trとの差が算出され、それに基づき、所定の係数Kpをかけて入水流量調整弁131の調整角度(開度)に変換し(S12)、その制御結果を反映する制御信号が入水流量調整弁131に送られ、その開度が制御される(S13)。それにより、所定の入水流量の温湯が給湯器群120に送られ、その入水流量に応じた台数の給湯器121が稼働する。入水流量が多くなるほど給湯器121の稼働台数は増加する。給湯器121により加温された高温の温湯は、出湯側管部112に流出する。その後、出湯側管部112に接続されたバイパス管132を経由した加温されない温湯(帰湯側管部113からバイパス管132に流入しているため、バイパス管132を経由した温湯は、測定帰湯温度Trとほぼ同じ温度)と混合され、目標循環温度cTsに近い温度に調整され、ハウス内循環部111へと流れていく。その後、暖房動作OFFされない限り(S14において「NO」)、上記工程が繰り返され、暖房動作がOFFになると(S14において「YES」)、給湯器121やポンプ等もOFFになり(S15)、入水流量調整弁131は閉弁する(S16)。
【0031】
なお、測定帰湯温度Trは所定時間毎に測定される。そのたびに、入水流量調整弁131が調整されて入水流量が調整され、給湯器121の稼働台数が調整される。所定時間毎というのは、数秒おきでもよいし、温湯の流速により、温湯管110内を一巡するタイミング毎でもよく、任意に設定できる。このように、給湯器121の稼働台数を制御する構成とすることにより、所定の循環温度にて温湯を循環させるための給湯器121の稼働台数を常に必要最小限とすることができ、運転コストの低減に資する。
【0032】
次に、図4~6に基づき、本発明の第2の実施形態を説明する。本実施形態は、温湯循環システム100を二酸化炭素の供給に用いるシステムである。本実施形態では、給湯器群120を構成する各給湯器121の排気を農協用ハウス200内に誘導することで二酸化炭素を供給する二酸化炭素供給系300が設けられている。二酸化炭素供給系300は、各供給器121に接続される排気誘導管301を備えて構成されている。図4では、排気誘導管301が農業用ハウス200の妻面に直接接続された図となっているが、排気がある程度高温であることから、各排気誘導管301を経由した排気に外気を混合して、農業用ハウス200内に供給する構成とすることが好ましい。
【0033】
また、本実施形態では、入水流量調整弁131より給湯器群120側に位置する入水側管部114中に、入水冷却装置134を介在させている。入水冷却装置134は、測定帰湯温度Trが目標入水温度cTrよりも高い場合に動作し、入水側管部114中の温湯を冷却する。給湯器121は、測定帰湯温度Trが目標入水温度cTrよりも高い場合には燃焼効率が低下するため、目標入水温度cTrに対して所定の差以内となるように冷却される。例えば、夏場の高温時期のように、温湯管110を循環しても温湯の温度がほとんど下がらないような場合に、入水冷却装置134を稼働させて冷却し、給湯器121の燃焼効率の低下を抑制する。本実施形態の温湯循環システム100の利用時期や農業用ハウス200の設置場所の気候条件等により、測定帰湯温度Trが目標入水温度cTrを上回ることがない場合には、入水冷却装置134の設置は必須ではない。但し、いずれにも対処できる点では、入水冷却装置134を有する構成が好ましい。
【0034】
その他のハード的構成は、第1の実施形態と同様であるが、入水流量調整弁131を制御する制御部133に設定される制御プログラムは異なる。本実施形態では、農業用ハウス200内の二酸化炭素濃度の目標値(cCO)と測定値(CO)との差分に応じて、入水流量調整弁131を制御し、バイパス管132を通過するバイパス流量と給湯器群120に入水される入水流量とを変化させている。すなわち、二酸化炭素濃度の目標値と測定値との差が大きい場合には、給湯器群120への入水流量が多くなるように入水流量調整弁131を制御すれば、給湯器121の稼働台数が増大して排気量が増加するため、排気誘導管301を介しての二酸化炭素の供給量が増加する。逆に、二酸化炭素濃度の目標値(cCO)と測定値(CO)との差が小さい場合には、給湯器群120への入水流量が少なくなるように入水流量調整弁131を制御して給湯器121の稼働台数を減らす。これにより、排気誘導管301を介しての二酸化炭素の供給量は少なくなる。
【0035】
本実施形態では、図6に示したように、温湯循環システム100が二酸化炭素の供給モードとなるように設定されると(S20)、給湯器群120の各給湯器121及びその他のポンプ等のONされる(S21)。また、二酸化炭素供給系300の各排気誘導管301と農業用ハウス200との境界付近に設けられた二酸化炭素を農業用ハウス200内に送り込むためのダンパが開放状態となり、送風機がONされる(S22)。次に、制御部133により、測定帰湯温度Trと目標入水温度cTrが、「Tr>cTr」であるかが比較され(S23)、「YES」の場合には入水冷却装置134がONされる(S24)。季節によりまた外気温により、温湯管110を循環する温湯の温度の低下率が低い場合には、このように測定帰湯温度Trが高い場合がある。
【0036】
また、制御部133は、農業用ハウス200内の二酸化炭素濃度の最新の測定値(CO)を目標値(cCO)と比較し、両者の差分を求め、その差分に応じて入水流量調整弁131の開度を求める(S25)。これにより、バイパス管132を通過するバイパス流量と給湯器群120に入水される入水流量とが調整され、給湯器群120の入水流量に対応した数の給湯器121が稼働する。給湯器群121の総排気量は、給湯器121の稼働数により変化するため、この稼働数に対応する排気が二酸化炭素供給系300に送られ、排気誘導管301を経て農業用ハウス200内に二酸化炭素が供給される。これにより、農業用ハウス200内の二酸化炭素濃度は目標値(cCO)に近づいていく。
【0037】
なお、S23において、測定帰湯温度Trが目標入水温度cTr以下の場合には、入水冷却装置134はOFFに切り替えられ(S27)、温湯を冷却せずに給湯器群121に入水させる。
【0038】
二酸化炭素の供給動作を停止させるまでは、上記の工程が繰り返され(S28において「NO」の場合は、S21~S27を繰り返す)、二酸化炭素の供給動作を停止させると(S28において「YES])、送風機の動作はOFFとなりダンパは閉じられる(S29)。その後、給湯器121やポンプ等もOFFになり(S30)、入水流量調整弁131は閉弁する(S31)。なお、二酸化炭素の供給の停止は、農業用ハウス200内の二酸化炭素濃度が目標二酸化炭素濃度(cCO)に至った時点で自動停止するようにしてもよいし、時間設定で1日のうち、適宜の稼働時間において二酸化炭素の供給動作をするように設定することもできる。
【0039】
ここで、第2の実施形態は、二酸化炭素供給系300及び入水冷却装置134を有することと、制御部133に設定される制御プログラムが異なる点を除いては第1の実施形態と同様である。よって、第2の実施形態の構成において、制御部133として、第1の実施形態の制御プログラムを導入すれば、第1の実施形態で説明した温湯の循環温度を一定にする態様を実施できる。従って、農業用ハウス200に、第2の実施形態の構成を付設すれば、制御部133で実行する制御プログラムにより、温湯循環システム100を、第1の実施形態のように一定の循環温度に制御しての暖房と、第2の実施形態のような二酸化炭素の供給との両方を実施できる。また、一つの農業用ハウス200に付設される温湯管110に対して、第1の実施形態の給湯器群120等を配置すると共に、第2の実施形態の給湯器群120及び二酸化炭素供給系300等を配置し、一定の循環温度に制御する場合と二酸化炭素供給を行う場合とで切り替える構成とすることもできる。この場合、一定の循環温度に制御する構成は、第2の実施態様の構成でも制御プログラムの切り替えで実施可能であるため、一定の循環温度に制御する場合は、第1の実施形態用の給湯器群120等と共に、第2の実施形態用の給湯器群120等を併せて稼働することができる。
【0040】
図7~9は第3の実施形態を示した図である。本実施形態は、第2の実施形態と同様に二酸化炭素の供給制御を行う態様である。本実施形態では、給湯器群120の稼働台数の制御は行わない。給湯器121は、上記のように、入水温度により燃焼効率が変化し、入水温度が低くなるほど燃焼効率は上昇する。そこで、本実施形態では、二酸化炭素濃度を用いて入水温度を制御して給湯器121の燃焼効率を調整し、二酸化炭素の供給量を調整する。
【0041】
本実施形態の温湯循環システム100は、入水条件調整機構130として、帰湯側管部113に配設される帰湯冷却装置135と帰湯冷却装置135への流量を調整する冷却流量調整弁136を有している。制御部133に設定される制御プログラムは、給湯器群120への目標入水温度cTrと帰湯側管部113の帰湯温度Trとの差に基づき、冷却流量調整弁136を制御する。但し、目標入水温度cTrは、目標二酸化炭素濃度cCOと測定二酸化炭素濃度COとの差分に所定係数Kcをかけて温度換算した値を、初期目標入水温度oTrから引くことにより求められ、目標二酸化炭素濃度cCOと測定二酸化炭素濃度COとの差分が大きくなるほど、目標入水温度cTrは低くなる。帰湯温度Trを仮に同じとした場合には、目標入水温度cTrが低いほど、冷却流量調整弁136は、帰湯冷却装置135への流入量を増加させ、冷却しない温湯の量を減らすように開度を調整する。
【0042】
給湯器群120への入水温度が低いほど、給湯器群120を構成する各給湯器121の燃焼効率が高くなるため、二酸化炭素供給系300に供給される排気量が増大し、排気誘導管301を経由して農業用ハウス200内に供給される二酸化炭素量も増大する。
【0043】
本実施形態では、図9に示したように、温湯循環システム100が二酸化炭素の供給モードとなるように設定されると(S40)、第2の実施形態と同様に、給湯器群120の各給湯器121及びその他のポンプ等のONされ(S41)、ダンパが開放状態となり、送風機がONされる(S42)。次に、制御部133により、農業用ハウス200内の二酸化炭素濃度の最新の測定値(CO)と目標値(cCO)との差分を求め、これに所定の係数Kcをかけて温度に対応させた差分に換算し、この値を、予め設定した初期目標入水温度oTrから差し引き、目標入水温度cTrを求める(S43)。次に、目標入水温度cTrを測定帰湯温度Trと比較する(S44)。「Tr>cTr」の場合(S44において「YES」の場合)は、帰湯冷却装置135がONされると共に(S45)、目標入水温度cTrを測定帰湯温度Trとの差分から、冷却流量調整弁136が開閉制御される(S46,S47)。そしてこの冷却流量調整弁136の開度に応じて、所定量の冷却水量が帰湯冷却装置135へ流入して冷却される。そして、給湯器群120に入水する前に、帰湯冷却装置135を通過しない温湯と冷却された温湯が合流し、所定の目標入水温度cTrに調整され、給湯器群120に入水される。
【0044】
本実施形態では、給湯器群120を構成する給湯器121の台数制御はされないが、二酸化炭素濃度に応じて決定された目標入水温度cTrで給湯器群120へ流入する。そのため、その入水温度に従った燃焼効率で各給湯器121が燃焼し、排気が二酸化炭素供給系300に送られ、排気誘導管301を経て農業用ハウス200内に二酸化炭素が供給される。これにより、農業用ハウス200内の二酸化炭素濃度は目標値(cCO)に近づいていく。
【0045】
なお、S44において「NO」の場合は、測定帰湯温度Trが目標入水温度cTr以下であるため、帰湯冷却装置135はOFFのままとする。この場合、冷却流量調整弁136は、帰湯側管部113を通過する温湯を冷却せずに給湯器群120に入水させるように調整される(S46,S47)。
【0046】
二酸化炭素の供給動作を停止させるまでは、上記の工程が繰り返され(S49において「NO」の場合は、S41~S48を繰り返す)、二酸化炭素の供給動作を停止させると(S49において「YES」)、送風機の動作はOFFとなりダンパは閉じられる(S50)。その後、給湯器121やポンプ等もOFFになり(S51)、冷却流量調整弁136は閉弁する(S52)。
【0047】
第3の実施形態は、給湯器群120への入水量の調整で給湯器121の稼働台数を調整する構成ではないため、循環温度の調整には利用できないが、農業用ハウス200に対して、上記の第1の実施形態の温湯循環システム100と併設した農業施設を構築することは可能である。この場合、温湯管110は、第1の実施形態の温湯管110とは別系統とし、第3の実施形態は、二酸化炭素供給専用とし、両システムの運転時間を調整して、農業用ハウス200内の暖房管理、二酸化炭素濃度管理を行うことができる。第3の実施形態を第2の実施形態と併用することも可能である。この場合には、両システムを同時に二酸化炭素の供給用に利用することもできる。また、第1の実施形態、第2の実施形態及び第3の実施形態を全て農業用ハウス200に併設した農業施設を提供することもできる。温湯管110は、各実施形態に対応したシステム毎に別々とすることもできるし、第1の実施形態と第2の実施形態では共用することもできる。いずれにしても、農業用ハウス200内を暖房管理する場合、二酸化炭素濃度管理をする場合のそれぞれに応じて、3つの実施形態のうちのいずれかのシステムのみを稼働させるか、このうち適宜の2つのシステムを組み合わせて稼働させるか、3つのシステムを組み合わせて稼働させるかは、農業用ハウス200の規模や、稼働効率等を考慮して適宜に設定することができる。
【0048】
上記各実施形態によれば、給湯器を複数台用いることで、農業用ハウス200内の暖房管理、二酸化炭素濃度管理を行うことができ、従来のような大型のボイラーの設置が不要で、ボイラー室を設ける必要もなくなり、施設の建設コスト、運転コスト、メンテナンスコストの低減に寄与できる。
【符号の説明】
【0049】
100 温湯循環システム
110 温湯管
111 ハウス内循環部
112 出湯側管部
113 帰湯側管部
114 入水側管部
120 給湯器群
121 給湯器
130 入水条件調整機構
131 入水流量調整弁
132 バイパス管
133 制御部
134 入水冷却装置
135 帰湯冷却装置
136 冷却流量調整弁
200 農業用ハウス
300 二酸化炭素供給系
301 排気誘導管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9