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特開2024-52440情報処理装置,情報処理方法及び情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052440
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】情報処理装置,情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/93 20190101AFI20240404BHJP
【FI】
G06F16/93
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159154
(22)【出願日】2022-09-30
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)令和4年9月20日に株式会社大塚商会に提供した (2)令和4年9月20日にリコージャパン株式会社に提供した
(71)【出願人】
【識別番号】596166623
【氏名又は名称】株式会社OSK
(74)【代理人】
【識別番号】100134706
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】松浦 英明
(72)【発明者】
【氏名】中島 洋
【テーマコード(参考)】
5B175
【Fターム(参考)】
5B175DA01
(57)【要約】
【課題】情報処理システム上で複数の機能を併存させる場合に一の機能が他の機能に与え得る悪影響を抑制する。
【解決手段】本発明の一態様である情報処理装置(例えば、文書管理サーバ11)は、対象領域にある情報(例えば、電子文書)から派生情報(例えば、プレビューデータ)が生成される第1処理の終了後に、該対象領域に係る該第1処理の進捗を示す進捗情報を更新する更新手段(例えば、更新部322)と、前記対象領域にある情報(例えば、電子文書)が代替情報(例えば、台紙文書)に置換される第2処理の開始の可否を、前記進捗情報が示す該対象領域に係る前記第1処理の進捗に応じて判定する判定手段(例えば、判定部331)と、を備える。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象領域にある情報から派生情報が生成される第1処理の終了後に、該対象領域に係る該第1処理の進捗を示す第1情報を更新する更新手段と、
前記対象領域にある情報が代替情報に置換される第2処理の開始の可否を、前記第1情報が示す該対象領域に係る前記第1処理の進捗に応じて判定する判定手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記第1処理において、保管要求に基づき前記対象領域にて保管される電子ファイルの元要素から、ファイルの一覧画面におけるプレ表示に用いる前記派生情報が自動的に生成され、
前記第2処理において、前記元要素をもつ電子ファイルが該元要素に由来する表示要素をもたない電子ファイルである前記代替情報に置換される、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1処理において、ファイル検索の結果が一覧表示される前記一覧画面における前記プレ表示に用いる前記派生情報が前記元要素から自動的に生成され、
前記第2処理において、さらに、前記元要素をもつ電子ファイルがPDF形式の電子ファイルである前記代替情報に添付され、かつ、該代替情報に認証情報が付加される、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記判定手段が、前記対象領域に係る前記第1処理が未了である場合を除き、該対象領域に係る前記第2処理の開始が可能であると判定する、
請求項1から請求項3までのいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記判定手段が、前記対象領域に係る前記第1処理において前記派生情報が未生成である場合を除き、該対象領域に係る前記第2処理の開始が可能であると判定する、
請求項1から請求項3までのいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記対象領域に係る前記第2処理の終了後に、該第2処理の進捗を示す第2情報を更新する手段と、
前記第2情報が示す前記対象領域に係る前記第2処理が完了済みである場合に、ユーザの指示に基づく前記第1処理の再実行を抑制する手段と、
をさらに備える、請求項1から請求項3までのいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項7】
対象領域にある情報から派生情報が生成される第1処理の終了後に、該対象領域に係る該第1処理の進捗を示す第1情報を更新する更新処理と、
前記対象領域にある情報が代替情報に置換される第2処理の開始の可否を、前記第1情報が示す該対象領域に係る前記第1処理の進捗に応じて判定する判定処理と、
を単数又は複数のコンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項8】
対象領域にある情報から派生情報が生成される第1処理の終了後に、該対象領域に係る該第1処理の進捗を示す第1情報を更新する更新処理と、
前記対象領域にある情報が代替情報に置換される第2処理の開始の可否を、前記第1情報が示す該対象領域に係る前記第1処理の進捗に応じて判定する判定処理と、
を単数又は複数のコンピュータに実行させる情報処理プログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置,情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルデータの内容証明機能を提供するデジタルデータ内容証明システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1記載のシステムは、証明事項を記載したPDFファイルを用意し、証明対象であるデジタルデータ(原本)を当該PDFファイルに添付するとともに日時保証情報を当該PDFファイルに付加して、内容証明用のPDFファイルを生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-034329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
業務システム等の大規模な情報処理システムの中には、複数の機能を提供するものがある。この種のシステムでは、一の機能が他の機能に影響を与え当該システムの一部又は全体で不具合が発生する潜在的な可能性がある。
【0005】
例えば、ある機能(既存機能)が正常に稼働している情報処理システムに新たな機能(追加機能)が不用意に追加されると、既存機能が追加機能の影響を受け不具合が発生する可能性がある。一例として、既存の文書管理システムに特許文献1記載の内容証明機能に関連するタイムスタンプ付与機能が不用意に追加されると、文書管理システム上の既存の機能が想定外の結果をもたらし得る。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、情報処理システム上で複数の機能を併存させる場合に一の機能が他の機能に与え得る悪影響を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、対象領域にある情報から派生情報が生成される第1処理の終了後に、該対象領域に係る該第1処理の進捗を示す進捗情報(第1情報)を更新するとともに、前記対象領域にある情報が代替情報に置換される第2処理の開始の可否を、前記進捗情報が示す該対象領域に係る前記第1処理の進捗に応じて判定する。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、対象領域にある情報から派生情報が生成される第1処理と、当該対象領域にある情報が代替情報に置換される第2処理と、がこの順序で実行されるように制御することにより、第1処理において代替情報から派生情報が生成される不具合を回避する。この点において、情報処理システム上で複数の機能を併存させる場合に一の機能が他の機能に与え得る悪影響が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】業務システム1のネットワーク構成の説明図である。(実施形態)
図2】文書管理サーバ11の電気的構成の説明図である。(実施形態)
図3】文書管理システム10の機能的構成の説明図である。(実施形態)
図4】文書管理データのデータ構成の説明図である。(実施形態)
図5】PDF形式である電子文書に対するタイムスタンプ付与手順の説明図である。(実施形態)
図6】PDF形式でない電子文書に対するタイムスタンプ付与手順の説明図である。(実施形態)
【発明を実施するための形態】
【0010】
[1.実施形態]
[1-1.業務システムの概要]
[1-1-1.ネットワーク構成]
図1は、業務システム1のネットワーク構成を例示する。業務システム1は、文書管理サービスを提供する文書管理システム10(情報処理システム)と、ユーザが使用するユーザ端末20と、タイムスタンプサービスを提供するタイムスタンプ管理システム30(以下「TS管理システム30」)と、を含む。
【0011】
文書管理システム10は、文書管理サービスに関する各種の処理を実行する文書管理サーバ11(情報処理装置)と、文書管理サービスに関する各種の情報を記憶するストレージ12と、を含む。TS管理システム30は、タイムスタンプサービスを管理するサーバ(以下「TS管理サーバ」)(図示せず)と、タイムスタンプを発行するタイムスタンプ局(TS局)のサーバ(以下「TS局サーバ」)(図示せず)と、TS局等に対して発行された電子証明書を管理する認証局のサーバ(以下「認証局サーバ」)(図示せず)と、を含む。
【0012】
文書管理システム10とユーザ端末20及びTS管理システム30とは、それぞれ、通信ネットワーク40を通じてデータの授受が可能である。通信ネットワーク40は、インターネット(Internet),携帯電話網,無線WAN(Wireless Wide Area Network),無線LAN(Wireless Local Area Network),イーサネット(Ethernet)(登録商標)等の既存のネットワークのうち少なくともいずれかを含んでいてよい。
【0013】
なお、文書管理システム10は、オンプレミス形態でもよいし、クラウド形態でもよい。すなわち、文書管理システム10は、非公開のネットワーク内に設置され当該ネットワークに接続されるユーザ端末20のみにサービスを提供するように構成されてもよいし、公開のネットワークに設置され当該ネットワークに接続されるユーザ端末20にサービスを提供するように構成されてもよい。また、TS管理サーバの機能のうち少なくとも一部は、文書管理システム10と同じネットワークに設置されるサーバ(図示せず)により提供されてもよい。
【0014】
[1-1-2.文書管理サービスの概要]
(1)基本機能
文書管理サービスでは、文書保管のリクエスト(保管要求)を受けて、アップロードされた電子文書が保管される。電子文書は、任意の視聴覚的コンテンツを有し当該コンテンツが示す内容の再現(出力,再生)が可能な電子ファイルである。
【0015】
視聴覚的コンテンツは、視覚的コンテンツ(表示要素),聴覚的コンテンツ,及びこれらの結合を含んでいてよい。視覚的コンテンツは、静的な視覚的コンテンツ,動的な視覚的コンテンツ,及びこれらの結合を含んでいてよい。静的な視覚的コンテンツは、例えば、文字データ,記号データ,図形データ,静止画像データ,写真データである。動的な視覚的コンテンツは、例えば、映像データ,動画像データである。聴覚的コンテンツは、例えば、音声データである。静的な視覚的コンテンツが示す内容は、例えば、規程書類,業務書類,取引書類である。業務書類は、例えば、議事録や報告書である。取引書類は、例えば、契約書類や、依頼書,納品書,請求書,領収書,伝票等の証憑書類である。
【0016】
保管対象の電子文書は、階層構造を成す領域群にて管理される。領域群は、「ファイル」,「文書」,「フォルダ」の各領域を含む。「ファイル」は、1のファイルキーにより特定される領域であり、1の電子文書を格納する。「文書」は、任意数の「ファイル」を包含し得る。「フォルダ」は、それぞれ任意数の「文書」及び他の「フォルダ」(サブフォルダ)を包含し得る。「ファイル」に格納されている電子文書は、必要に応じて他の電子文書への差替え(置換)が可能である。「ファイル」において電子文書の差替えがなされる場合、設定に応じて、差替え前の電子文書が更新履歴として残されたり、差替えがなされた事実が更新ログに記録されたりする。
【0017】
文書管理サービスでは、領域ごとに、各種の制限を設定することができる。制限の態様は、例えば、パスワード保護,アクセス制御,セキュリティ保護である。セキュリティ保護が適用される電子文書は、例えば、印刷・複製・持出しのうち任意の項目が禁止される。ある領域に対する制限の設定は、当該領域に包含される下位の領域に自動的に適用されてもよい。
【0018】
文書管理サービスでは、文書提供のリクエスト(提供要求)を受けて、保管されている電子文書が提供される。提供の態様は、例えば、画面出力(コンテンツが示す内容の閲覧)やダウンロード(電子文書の複製)である。なお、セキュリティ保護の設定がなされている場合は、リクエストに係る電子文書(原本)から一時的な参照用のPDFファイルが自動的に生成され、当該PDFファイルが提供される場合がある。
【0019】
(2)プレビュー機能
文書管理サービスでは、複数の電子文書にそれぞれ対応する複数のプレビュー画像を簡易的な一覧表示(プレ表示)で画面上に提示するプレビュー機能が提供される。プレビュー機能は、設定に応じ、「文書」内の「ファイル」の一覧画面や、保管されている電子文書の検索結果の一覧画面で発動させるのが好適である。
【0020】
プレビュー画像は、「ファイル」に格納される電子文書の所定部分(元要素)から生成されるプレビューデータ(派生情報)に基づき再現(出力)される。プレビューデータは、例えば、サムネイル画像を再現可能なサムネイルデータ,ブックビュー画像を再現可能なブックビューデータである。サムネイル表示機能が有効である「文書」に電子文書を保管するリクエストを受けると、当該電子文書のサムネイルデータが自動的に生成される。同様に、ブックビュー機能が有効である「文書」に電子文書を保管するリクエストを受けると、当該電子文書のブックビューデータが自動的に生成される。
【0021】
サムネイル画像は、電子文書を代表する1枚の画像である。サムネイルデータは、例えば、電子文書において印刷設定がなされている部分(ページ,シート,スライド,フレーム)の最初の部分が変換された画像データである。ブックビュー画像は、電子文書を代表する複数枚の画像の集合である。ブックビューデータは、例えば、電子文書において印刷設定がなされている部分(ページ,シート,スライド,フレーム)の一部又は全部がそれぞれ変換された画像データ群である。
【0022】
(3)タイムスタンプ付与機能
文書管理サービスでは、保管対象の電子文書に対しタイムスタンプを付与するタイムスタンプ付与機能が提供される。タイムスタンプ付与機能では、TS管理システム30が提供する上記タイムスタンプサービスが利用される。タイムスタンプは、TS局が発行する認証情報である。認証情報は、要約データや時期データを含む認証データをTS局の秘密鍵で暗号化したものである。要約データは、電子文書から生成されるダイジェストデータ(ハッシュ値)である。時期データは、認証情報の発行時期を示すデータである。
【0023】
タイムスタンプは、電子文書の存在性と非改竄性を証明可能である。具体的には、ある電子文書に付与されているタイムスタンプは、認証局で管理されるTS局の公開鍵で当該タイムスタンプが正常に復号可能であり、かつ、当該電子文書から新たに生成される要約データが当該タイムスタンプに含まれる要約データと一致する限りにおいて、当該タイムスタンプに含まれる時期データが示す時期に当該電子文書が存在していた事実と、当該電子文書が当該時期以後に改竄されていない事実と、を保証する。
【0024】
本実施形態におけるタイムスタンプ付与機能は、PDFのタイムスタンプ機能(公知技術)を利用する。以下の説明では、PDF形式の電子文書にタイムスタンプが付与される実装例が示される。タイムスタンプ付与機能が対象とする電子文書の種類は、原則として、PDF形式とJPEG形式である。PDF形式の電子文書には、タイムスタンプが直接的に付与される。一方、JPEG形式の電子文書はPDF形式の電子文書に変換され、変換後の電子文書にタイムスタンプが直接的に付与される。
【0025】
タイムスタンプ付与機能の要否は、文書管理サービスの領域ごとに設定可能であるのが好ましい。以下では、「フォルダ」ごとに設定可能であるものとする。領域に対する設定は、例えば、保管の際に自動的に付与される「自動付与」,保管の際にユーザの選択に応じて付与され得る「手動付与」,付与対象から除外する「付与しない」の中から選択的に設定可能であるとよい。領域に対する設定は、当該領域が包含する下位の領域にも自動的に適用可能であるのが好ましい。「手動付与」が設定されている領域に電子文書が保管される場合は、当該電子文書に対するタイムスタンプ付与の要否をユーザに選択させるとよい。
【0026】
(4)タイムスタンプ付与機能の拡張オプション
タイムスタンプ付与機能では、PDF形式でもJPEG形式でもない電子ファイルはタイムスタンプ付与の対象外である。また、PDF形式であってもセキュリティ設定(閲覧パスワード設定や権限パスワード設定)がなされている電子ファイルには、タイムスタンプが付与されずエラー(付与エラー)となる。セキュリティ設定がなされているPDF形式の電子文書を更新するにはパスワードが必要であり、そのままでは当該電子文書にタイムスタンプを追加することができないからである。
【0027】
タイムスタンプ付与機能では、PDFのファイル添付機能(公知技術)を利用し、種々の形式の電子ファイルにタイムスタンプを間接的に付与する拡張オプションが利用可能である。拡張オプションは、タイムスタンプ付与機能ではタイムスタンプが付与されない電子文書を台紙文書に添付し、台紙文書にタイムスタンプを付与する。以下では、電子文書を台紙文書に添付することを「コンテナ化」といい、「コンテナ化」のための一連の処理を「コンテナ化処理」という。コンテナ化処理では、元の電子文書から台紙文書(代替情報)への差替え(置換)が必然的に発生する。
【0028】
電子文書が添付される台紙文書は、当該電子文書に由来する視覚的コンテンツを有しないPDF形式の電子文書である。台紙文書は、文書管理システム10側で用意され、拡張オプションの導入時に文書管理サーバ11の補助記憶装置に格納される。なお、文書管理サービスを利用する組織のシステム管理者や個々のユーザが独自に用意するPDF形式の電子文書を台紙文書として利用できるように構成してもよい。また、オンラインで入手可能な任意のPDF形式の電子文書を台紙文書として利用できるように構成してもよい。
【0029】
[1-1-3.文書管理サービスの特徴]
(1)課題
文書管理システム10が提供する文書管理サービスでは、プレビュー機能とタイムスタンプ付与機能の拡張オプションとが併用される場合がある。例えば、プレビュー機能と拡張オプションが同時期に導入される場合(同時導入)や、一方が導入済みの環境に新たに他方が導入される場合(順次導入)が想定される。順次導入では、プレビュー機能やタイムスタンプ付与機能が正常に稼働している環境に新たに拡張オプションが導入される場合や、タイムスタンプ付与機能や拡張オプションが正常に稼働している環境に新たにプレビュー機能が導入される場合が考えられる。
【0030】
いずれの場合にも、一方が他方の影響を受け不具合が発生する可能性がある。具体的には、プレビュー機能によるプレビューデータの生成処理が拡張オプションによるコンテナ化処理より後になると、電子文書に由来する視覚的コンテンツを有しない台紙文書からプレビューデータが生成されることとなり、プレビュー画像が電子文書の内容を反映しない不具合が発生してしまう。
【0031】
(2)解決手段
文書管理サービスでは、あるファイルキーにより特定される「ファイル」(対象領域)に格納されている電子文書からプレビューデータ(派生情報)が生成される処理(第1処理)と、上記ファイルキーにより特定される「ファイル」に格納されている電子文書が台紙文書(代替情報)に置換される処理(第2処理)と、がこの順序で実行されるように制御される。その結果、台紙文書からプレビューデータが生成されることに起因してプレビュー画像が電子文書の内容を反映しない不具合の発生が回避される。
【0032】
[1-2.業務システムの構成]
[1-2-1.文書管理システム]
(1)システム構成
図1に例示されるように、文書管理システム10は文書管理サーバ11とストレージ12を含む。文書管理サーバ11は、所定プログラム(情報処理プログラム)がインストールされたサーバ装置(コンピュータ)である。また、文書管理システム10では、コンテナ化処理用のモジュールが稼働する。ストレージ12は、データを記憶する記憶装置である。文書管理サーバ11は、要求元から取得したデータを文書管理サーバ11に記憶させる。また、文書管理サーバ11は、要求に応じてストレージ12に記憶されるデータを抽出し、要求元に提供する。本実施形態では、文書管理サービスにおける保管対象の電子文書がストレージ12に記憶される。
【0033】
なお、複数のサーバ装置を連携させてサーバシステムを構成し、文書管理サーバ11の機能を分担させたり、文書管理サーバ11にかかる負荷を分散させたりしてもよい。また、複数の記憶装置を用意し、ストレージ12が記憶するデータを分散的に記憶させたり、複数の記憶装置に冗長的に記憶させたりしてもよい。
【0034】
(2)文書管理サーバの電気的構成
図2は、文書管理サーバ11の電気的構成を例示する。各種プログラムがインストールされて文書管理サーバ11を構成するサーバ装置は、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)を含む制御処理装置210と、RAM(Random Access Memory)を含む主記憶装置220と、HDD(Hard Disc Drive)を含む補助記憶装置230と、マウスやキーボードを含む入力装置240と、ディスプレイやスピーカを含む出力装置250と、ネットワークカード(Network Interface Card)を含む通信制御装置260と、を有する。
【0035】
主記憶装置220、補助記憶装置230、入力装置240、出力装置250及び通信制御装置260は、バスラインを介して制御処理装置210とそれぞれ接続される。制御処理装置210は、(1)補助記憶装置230に記憶されたプログラムを主記憶装置220上に読み込み、(2)プログラムの指示に従って入力装置240と補助記憶装置230と通信制御装置260の少なくともいずれかからデータを取得し、(3)取得したデータをプログラムに規定される手順で演算・加工した上で、(4)演算済み・加工済みのデータを補助記憶装置230と出力装置250と通信制御装置260の少なくともいずれかに出力する。
【0036】
(3)文書管理システムの機能的構成
(3-1)概要
図3は、文書管理システム10の機能的構成を例示する。図3には、文書管理サービスの特徴に関連する部分のみが例示されている。文書管理システム10は、データを記憶する記憶部310と、プレビュー機能を提供する第1機能部320と、タイムスタンプ付与機能を提供する第2機能部330と、を含む。記憶部310は格納部311と保持部312を含む。第1機能部320は生成部321と更新部322を含む。第2機能部330は判定部331と置換部332を含む。
【0037】
格納部311は、ストレージ12を含んで構成される。保持部312は、文書管理サーバ11の補助記憶装置230を含んで構成される。生成部321,更新部322,判定部331,置換部332は、文書管理サーバ11の制御処理装置210や通信制御装置260を含んで構成される。
【0038】
文書管理サーバ11の機能は、サーバ装置向けOS(Operating System)と当該OS上で動作する所定プログラム(情報処理プログラム)がサーバ装置にそれぞれインストールされることにより実現される。置換部332のうちコンテナ化処理の機能は、OS上で動作するコンテナ化モジュールが呼び出されることにより実現される。サーバ装置向けOS及びサーバ装置にインストールされるべきプログラムは、通信ネットワーク40を介し搬送波に重畳させてサーバ装置に供給されてもよいし、CD(Compact Disc),DVD(Digital Versatile Disk),MOディスク(Magneto-Optical disk),フラッシュメモリ(flash memory)等の記録媒体に記録された状態で配布され当該記録媒体からサーバ装置に読み込まれてもよい。
【0039】
(3-2)記憶部
格納部311は、文書管理サービスにおける保管対象の電子文書(電子ファイル)を格納する。保持部312は、文書管理サービスにおいて保管対象の電子文書を管理するための文書管理データを保持する。文書管理データは、ファイル種類情報(図4(A))と、フォルダ設定情報(図4(B))と、文書設定情報(図4(C))と、ファイル設定情報(図4(D))と、ファイル進捗情報(図4(E))と、を含む。
【0040】
図4(A)は、ファイル種類情報のデータ項目を例示する。ファイル種類情報は、キー項目である「ファイル種類ID」に、「PDFへ変換区分」と「台紙PDFへ変換区分」とをそれぞれ関連付ける。
「PDFへ変換区分」(変換しない/変換する)は、タイムスタンプ付与に先立ってPDF形式の電子文書に変換する種類のファイルであるか否かを示す。「台紙PDFへ変換区分」(コンテナ化しない/コンテナ化する)は、タイムスタンプ付与に先立ってコンテナ化する種類のファイルであるか否かを示す。
【0041】
本実施形態では、JPEG形式のファイルがPDFへの変換の対象である。また、PDF形式でもJPEG形式でもない所定形式のファイルが台紙PDFへの変換対象である。
【0042】
図4(B)は、フォルダ設定情報のデータ項目を例示する。フォルダ設定情報は、キー項目である「フォルダキー」(フォルダパス)に、「文書履歴管理区分」と「セキュリティPDF使用区分」と「サムネイル使用区分」と「ブックビュー使用区分」と「タイムスタンプ機能区分」と「自動付与区分」とをそれぞれ関連付ける。
【0043】
「文書履歴管理区分」(管理しない/管理する)は、下位の領域に適用される履歴管理の要否を示す。「セキュリティPDF使用区分」(使用しない/使用する)は、下位の領域に適用されるセキュリティ設定の要否を示す。「サムネイル使用区分」(使用しない/使用する)は、下位の領域に適用されるサムネイル表示の要否を示す。「ブックビュー使用区分」(使用しない/使用する)は、下位の領域に適用されるブックビュー表示の要否を示す。「タイムスタンプ機能区分」(使用しない/使用する)は、下位の領域(「ファイル」)に適用されるタイムスタンプ付与の要否を示す。「自動付与区分」(自動付与しない/自動付与する)は、配下の領域に適用されるタイムスタンプ自動付与の要否を示す。
【0044】
図4(C)は、文書設定情報のデータ項目を例示する。文書設定情報は、複合キーである「フォルダキー」と「文書キー」の組に、「書類種別」と「更新履歴」と「更新ログ」とをそれぞれ関連付ける。
【0045】
「書類種別」(一般書類/重要書類/電子取引/その他)は、当該「文書」の重要性の判定等に利用される。「更新履歴」は、文書の更新履歴の内容を示すテキスト又はその内容を示すファイルのパスである。更新履歴は、差替前の電子文書のパスを含む。「更新ログ」は、文書の更新ログの内容を示すテキスト又はその内容を示すファイルのパスである。更新ログは、差替前の電子文書のパスを含まない。
【0046】
図4(D)は、ファイル設定情報のデータ項目を例示する。ファイル設定情報は、複合キーである「フォルダキー」と「文書キー」と「ファイルキー」の組に、「ファイル種類ID」と「タイムスタンプ付与区分」と「PDF変換区分」とをそれぞれ関連付ける。
【0047】
「ファイル種類ID」は、ファイル設定情報をファイル種類情報に関連付ける。「タイムスタンプ付与区分」(付与しない/付与する)は、タイムスタンプ付与の対象であるか否かを示す。「PDF変換区分」(変換しない/変換する)は、タイムスタンプ付与に先立つPDFへの変換の対象であるか否かを示す。
【0048】
本実施形態では、下記いずれかの場合に「タイムスタンプ付与区分」が「付与する」に設定される。
・「フォルダキー」により特定されるフォルダ設定情報の「タイムスタンプ機能区分」が「使用する」を示し、かつ、同情報の「自動付与区分」が「自動付与する」を示す場合
・「フォルダキー」により特定されるフォルダ設定情報の「タイムスタンプ機能区分」が「使用する」を示し、かつ、同情報の「自動付与区分」が「自動付与しない」を示し、かつ、文書保管の要求時に個別に手動付与の設定がなされた場合
【0049】
本実施形態では、下記いずれかの場合に「PDF変換区分」が「変換する」に設定される。
・「ファイル種類ID」により特定されるファイル種類情報の「PDFへ変換区分」が「変換する」を示す場合
・「ファイル種類ID」により特定されるファイル種類情報の「コンテナ化PDFへ変換区分」が「コンテナ化する」を示すかのいずれかの場合に、
【0050】
図4(E)は、ファイル進捗情報のデータ項目を例示する。ファイル進捗情報は、複合キーである「フォルダキー」と「文書キー」と「ファイルキー」の組に、「サムネイル進捗」と「ブックビュー進捗」と「PDF変換進捗」と「タイムスタンプ進捗」とをそれぞれ関連付ける。
【0051】
「サムネイル進捗」(初期状態/作成待ち/作成中/作成成功/作成失敗/削除待ち)は、電子文書からサムネイルデータを生成する処理の進捗を示す。「ブックビュー進捗」(初期状態/作成待ち/作成中/作成成功/作成失敗/削除待ち)は、電子文書からブックビューを生成する処理の進捗を示す。「PDF変換進捗」(初期状態/作成待ち/作成中/作成成功/作成失敗/削除待ち)は、電子文書をPDFファイルに変換する処理の進捗を示す。「タイムスタンプ進捗」(対象外/タイムスタンプなし/タイムスタンプ付与中/タイムスタンプ付与済み/タイムスタンプ検証中/タイムスタンプ検証済み/タイムスタンプ付与エラー)は、電子文書に対するタイムスタンプ付与の状態(ステータス)を示す。
【0052】
(3-3)第1機能部
生成部321は、対象のファイルキー(対象キー)により特定される領域(対象領域)にある電子文書の視覚的コンテンツ(元要素)からプレビューデータ(派生情報)を生成する生成処理(第1処理)を実行する。
【0053】
更新部322は、対象領域に係る生成処理の終了後に、対象領域に係る生成処理の進捗を示す進捗情報(第1情報)を更新する。具体的には、サムネイルデータが生成された場合に上記「サムネイル進捗」が更新され、ブックビューデータが生成された場合に上記「ブックビュー進捗」が更新される。
【0054】
(3-4)第2機能部
判定部331は、対象領域に係るコンテナ化処理(第2処理)の開始の可否を、上記進捗情報が示す対象領域に係る生成処理の進捗に応じて判定する。一例として、対象領域に係るプレビューデータの生成処理が未了である場合を除き、対象領域に係るコンテナ化処理の開始が可能であると判定される。具体的には、上記「サムネイル進捗」(図4(E))が「作成成功」又は「作成失敗」である場合に、サムネイルデータの生成処理は終了している。同様に、上記「ブックビュー進捗」(図4(E))が「作成成功」又は「作成失敗」である場合に、ブックビューデータの生成処理は終了している。
【0055】
他の例として、対象領域に係るプレビューデータが未生成である場合を除き、対象領域に係るコンテナ化処理の開始が可能であると判定されてもよい。具体的には、上記「サムネイル進捗」(図4(E))が「作成成功」である場合に、サムネイルデータは生成済みである。同様に、上記「ブックビュー進捗」(図4(E))が「作成成功」である場合に、ブックビューデータは生成済みである。
【0056】
置換部332は、対象領域にある電子文書をコンテナ化する。コンテナ化により、当該電子文書は当該電子文書の視覚的コンテンツ(元要素)に由来するコンテンツ(表示要素)をもたない台紙文書(代替情報)に置換され、当該台紙文書に当該電子文書が添付される。
【0057】
[1-2-2.ユーザ端末]
ユーザ端末20は、Webブラウザがインストールされたユーザ装置(コンピュータ)である。本実施形態では、ユーザ装置として、汎用の処理装置(例えば、PC(personal computer)など)や汎用の携帯装置(例えば、携帯電話,スマートフォン(smartphone),タブレット(tablet)端末,タブレットPC,ウェアラブルデバイス(wearable device)など)を用いることができる。
【0058】
[1-2-3.タイムスタンプ管理システム(TS管理システム)]
TS管理システム30は、TS管理サーバと、TS局サーバと、認証局サーバと、を含む。TS管理サーバは、要求元から対象の電子文書(PDF形式の電子ファイル)を受領し、当該電子文書から要約データを生成し、当該要約データに対するタイムスタンプ付与をTS局サーバに要求し、返戻されたデータを対象の電子文書に付加して、これを要求元に返戻する。TS局サーバは、要求元から要約データを受領し、これにタイムスタンプを付与して、これを要求元に返戻する。
【0059】
[1-3.タイムスタンプ付与手順]
[1-3-1.PDF形式である電子文書に対するタイムスタンプ付与手順]
(1)概要
図5は、PDF形式である電子文書に対するタイムスタンプ付与手順を例示する。図5に例示される手順では、まずタイムスタンプの直接的な付与が試行される。当該試行でエラーが発生した場合を除き、タイムスタンプが更新される。当該試行でエラーが発生した場合は、コンテナ化が試行される。
【0060】
コンテナ化の試行に先立って、プレビューデータを生成する処理の進捗が確認される。当該処理が未了である場合を除き、電子文書がコンテナ化された後にタイムスタンプの付与が試行される。当該処理が未了である場合は、当該処理の完了を待つため、コンテナ化が省略(スキップ)される。これにより、対象の電子文書からプレビューデータが生成される処理と、対象の電子文書が台紙文書に置換される処理と、が常にこの順序で実行されることとなり、置換後の電子文書(すなわち、台紙文書)からプレビューデータが生成されることに起因してプレビュー画像が置換前の電子文書の視覚的コンテンツを反映しない不具合の発生が回避される。
【0061】
(2)詳細
ステップS505では、対象の電子文書を取得する。ここでは、対象のファイルキーにより特定される「ファイル」に格納されているPDF形式の電子文書が取得される。
【0062】
ステップS510では、タイムスタンプ付与処理を実行する。本実施形態では、外部サービスであるタイムスタンプサービスが利用される。具体的には、タイムスタンプの付与を依頼するため、対象の電子文書がTS管理システム30に送信される。
【0063】
ステップS515では、付与エラーが発生したか否かを判定する。付与エラーが発生していないと判定された場合は、ステップS555に進む。付与エラーが発生したと判定された場合は、ステップS520に進む。この段階では、「タイムスタンプ進捗」(図4(E))は「作成失敗」に更新されない。
【0064】
ステップS520では、対象の電子文書をコンテナ化するか否かを判定する。コンテナ化しないと判定された場合は、ステップS560に進む。コンテナ化すると判定された場合は、ステップS525に進む。本実施形態では、拡張オプションを導入する設定がなされており、かつ、下記全ての条件を満たす「文書」に含まれる「ファイル」に格納されている電子文書がコンテナ化すると判定される。
・「文書履歴管理区分」(図4(B))が「管理する」に設定されている「フォルダ」に包含される。
・「セキュリティPDF使用区分」(図4(B))が「使用しない」に設定されている「フォルダ」に包含される。
・「書類種別」(図4(C))が「電子取引」又は「その他」に設定されている。
【0065】
ステップS525では、プレビューデータ生成処理が完了しているか否かを判定する。完了していないと判定した場合は、以降の処理を省略(スキップ)する。完了していると判定された場合は、ステップS530に進む。具体的には、「サムネイル進捗」(図4(E))が「作成成功」又は「作成失敗」であり、かつ、「ブックビュー進捗」(図4(E))が「作成成功」又は「作成失敗」であれば、プレビューデータ生成処理が完了していると判定される。
【0066】
ステップS530では、コンテナ化処理を実行する。本実施形態では、「11」上で稼働するコンテナ化モジュールを利用することにより、対象の電子文書が所定の台紙文書に添付され、かつ、当該電子文書が当該台紙文書に差し替えられる。
【0067】
ステップS535では、コンテナ化エラーが発生したか否かを判定する。コンテナ化エラーが発生したと判定された場合は、ステップS560に進む。コンテナ化エラーが発生していないと判定された場合は、ステップS540に進む。
【0068】
ステップS540では、進捗情報を更新する。具体的には、「PDF変換進捗」(図4(E))が「作成成功」に更新される。
【0069】
ステップS545では、タイムスタンプ付与処理を実行する。本実施形態では、外部サービスであるタイムスタンプサービスが利用される。具体的には、タイムスタンプの付与を依頼するため、対象の電子文書が添付された台紙文書がTS管理システム30に送信される。
【0070】
ステップS550では、付与エラーが発生したか否かを判定する。付与エラーが発生していないと判定された場合は、ステップS555に進む。付与エラーが発生したと判定された場合は、ステップS560に進む。
【0071】
ステップS555では、進捗情報を更新する。ステップS555は、タイムスタンプの付与が正常になされた場合の処理である。具体的には、「タイムスタンプ進捗」(図4(E))が「タイムスタンプ付与済み」に更新される。
【0072】
ステップS560では、進捗情報を更新する。ステップS560は、タイムスタンプの付与が正常になされなかった場合の処理である。具体的には、ステップS520でコンテナ化しないと判定された場合は、「タイムスタンプ進捗」(図4(E))が「タイムスタンプ付与エラー」に更新される。ステップS535でコンテナ化エラーが発生したと判定された場合は、「PDF変換進捗」(図4(E))が「作成失敗」に更新され、かつ、「タイムスタンプ進捗」(図4(E))が「タイムスタンプ付与エラー」に更新される。ステップS550で付与エラーが発生したと判定された場合は、「タイムスタンプ進捗」(図4(E))が「タイムスタンプ付与エラー」に更新される。
【0073】
[1-3-2.PDF形式でない電子文書に対するタイムスタンプ付与手順]
(1)概要
図6は、PDF形式でない電子文書に対するタイムスタンプ付与手順を例示する。本実施形態では、「PDFへ変換区分」(図4(A))が「変換する」に設定されている種類(形式)の電子文書と、「台紙PDFへ変換区分」(図4(A))が「変換する」に設定されている種類(形式)の電子文書と、が処理対象となる。図6に例示される手順では、PDF形式への変換対象であればPDF形式に変換された後にタイムスタンプの付与が試行され、PDF形式への変換対象でなければコンテナ化が試行される。なお、図6に例示される手順では、エラーが発生した場合のフローが省略されている。
【0074】
コンテナ化の試行に先立って、プレビューデータを生成する処理の進捗が確認される。当該処理が未了である場合を除き、電子文書がコンテナ化された後にタイムスタンプの付与が試行される。当該処理が未了である場合は、当該処理の完了を待つため、コンテナ化が省略(スキップ)される。これにより、対象の電子文書からプレビューデータが生成される処理と、対象の電子文書が台紙文書に置換される処理と、が常にこの順序で実行されることとなり、置換後の電子文書(すなわち、台紙文書)からプレビューデータが生成されることに起因してプレビュー画像が置換前の電子文書の視覚的コンテンツを反映しない不具合の発生が回避される。
【0075】
(2)詳細
ステップS605では、対象の電子文書を取得する。ここでは、対象のファイルキーにより特定される「ファイル」に格納されているPDF形式でない電子文書が取得される。
【0076】
ステップS610では、PDF形式への変換対象であるか否かを判定する。変換対象であると判定された場合は、ステップS615に進む。変換対象でないと判定された場合は、ステップS620に進む。具体的には、「PDFへ変換区分」(図4(A))が「変換する」に設定されている種類(形式)の電子文書が変換対象であると判定される。「PDFへ変換区分」(図4(A))が「変換しない」に設定されており、かつ、「台紙PDFへ変換区分」(図4(A))が「変換する」に設定されている種類(形式)の電子文書が変換対象でないと判定される。
【0077】
ステップS615では、PDF変換処理を実行する。本実施形態では、対象の電子文書の視覚的コンテンツ部分がPDF形式に変換され、かつ、当該電子文書が変換後のPDF形式の電子文書に差し替えられる。このとき、「PDF変換進捗」(図4(E))が「作成成功」に更新される。
【0078】
ステップS620では、プレビューデータ生成処理が完了しているか否かを判定する。完了していないと判定した場合は、以降の処理を省略(スキップ)する。完了していると判定された場合は、ステップS625に進む。具体的には、「サムネイル進捗」(図4(E))が「作成成功」又は「作成失敗」であり、かつ、「ブックビュー進捗」(図4(E))が「作成成功」又は「作成失敗」であれば、プレビューデータ生成処理が完了していると判定される。
【0079】
ステップS625では、コンテナ化処理を実行する。本実施形態では、「11」上で稼働するコンテナ化モジュールを利用することにより、対象の電子文書が所定の台紙文書に添付され、かつ、当該電子文書が当該台紙文書に差し替えられる。「PDF変換進捗」(図4(E))が「作成成功」に更新される。
【0080】
ステップS630では、タイムスタンプ付与処理を実行する。本実施形態では、外部サービスであるタイムスタンプサービスが利用される。具体的には、タイムスタンプの付与を依頼するため、対象の電子文書が添付された台紙文書がTS管理システム30に送信される。
【0081】
ステップS635では、進捗情報を更新する。ステップS635は、タイムスタンプの付与が正常になされた場合の処理である。具体的には、「タイムスタンプ進捗」(図4(E))が「タイムスタンプ付与済み」に更新される。
【0082】
[2.変形例]
[2-1.(変形例1)手動によるプレビューデータ再生成の抑制]
コンテナ化処理が完了済みである場合に、手動によるプレビューデータの再生成が抑制されてもよい。これにより、置換後の電子文書(すなわち、台紙文書)からプレビューデータが生成され従前の正常なプレビューデータが新たに生成されるプレビューデータに差し替えられることに起因してプレビュー画像が電子文書の視覚的コンテンツを反映しなくなる不具合の発生が予防される。
【0083】
具体的には、「台紙PDFへ変換区分」(図4(A))が「変換する」に設定されている種類(形式)であって、「PDF変換進捗」(図4(E))が「作成成功」である電子文書について、手動によるサムネイルやブックビューの再生成が抑制される。抑制の態様は、例えば、再生成を受け付けるための要素(コマンドメニュー、ボタン、リンク等)を表示しない又はグレイアウトする、再生成の指示を受け付けない、再生成の指示を受け付けた際に注意喚起メッセージを表示する、とうである。
【0084】
[2-2.(変形例2)コンテナ化対象のカスタマイズ]
コンテナ化の対象を、文書管理サービスのユーザ(例えば、ユーザ企業のシステム管理者が個別ユーザ)に細かく指定させてもよい。例えば、コンテナ化の対象を下記のうち少なくともいずれかに限定してもよい。
・セキュリティ設定(閲覧パスワードや権限パスワードの設定)がなされているPDF形式の電子文書のみをコンテナ化の対象とする。
・特定の形式(種類、拡張子)の電子文書のみをコンテナ化の対象とする。
・特定の文字列を含むファイル名のファイルのみをコンテナ化の対象とする。
【0085】
[2-3.(変形例3)台紙文書のカスタマイズ]
上記実施形態では、台紙文書は文書管理システム10側で用意され、拡張オプションの導入時に文書管理サーバ11の補助記憶装置に格納される。これに対し、タイムスタンプの付与対象である電子文書から、台紙文書が動的に生成されてもよい。
【0086】
台紙文書が動的に生成される前提であれば、電子文書が添付される台紙文書が当該電子文書に由来する視覚的コンテンツを有することとなる。この場合、プレビュー機能によるプレビューデータの生成処理と拡張オプションによるコンテナ化処理の先後関係に関わらず、プレビュー画像が電子文書の内容を反映しない不具合は発生しない。
【0087】
[3.付記]
[3-1.概要]
(1)課題
本発明が解決しようとする課題は、情報処理システム上で複数の機能を併存させる場合に一の機能が他の機能に与え得る悪影響を抑制することである。
(2)手段
上記課題を解決するため、本発明は、対象領域にある情報から派生情報が生成される第1処理の終了後に、該対象領域に係る該第1処理の進捗を示す進捗情報(第1情報)を更新するとともに、前記対象領域にある情報が代替情報に置換される第2処理の開始の可否を、前記進捗情報が示す該対象領域に係る前記第1処理の進捗に応じて判定する。
(3)効果
本発明は、対象領域にある情報から派生情報が生成される第1処理と、当該対象領域にある情報が代替情報に置換される第2処理と、がこの順序で実行されるように制御することにより、第1処理において代替情報から派生情報が生成される不具合を回避する。よって、本発明によれば、情報処理システム上で複数の機能を併存させる場合に一の機能(上記第2処理を実行する機能)が他の機能(上記第1処理を実行する機能)に与え得る悪影響が抑制される。
[3-2.主要な形態]
本発明は、少なくとも下記の態様を包含する。
〔A〕対象領域にある情報から派生情報が生成される第1処理の終了後に、該対象領域に係る該第1処理の進捗を示す第1情報を更新する更新手段と、前記対象領域にある情報が代替情報に置換される第2処理の開始の可否を、前記第1情報が示す該対象領域に係る前記第1処理の進捗に応じて判定する判定手段と、を備える情報処理装置。
〔B〕対象領域にある情報から派生情報が生成される第1処理の終了後に、該対象領域に係る該第1処理の進捗を示す第1情報を更新する更新処理と、前記対象領域にある情報が代替情報に置換される第2処理の開始の可否を、前記第1情報が示す該対象領域に係る前記第1処理の進捗に応じて判定する判定処理と、を単数又は複数のコンピュータが実行する情報処理方法。
〔C〕対象領域にある情報から派生情報が生成される第1処理の終了後に、該対象領域に係る該第1処理の進捗を示す第1情報を更新する更新処理と、前記対象領域にある情報が代替情報に置換される第2処理の開始の可否を、前記第1情報が示す該対象領域に係る前記第1処理の進捗に応じて判定する判定処理と、を単数又は複数のコンピュータに実行させる情報処理プログラム。
〔D〕対象領域にある情報から派生情報が生成される第1処理の終了後に、該対象領域に係る該第1処理の進捗を示す第1情報を更新する更新処理と、前記対象領域にある情報が代替情報に置換される第2処理の開始の可否を、前記第1情報が示す該対象領域に係る前記第1処理の進捗に応じて判定する判定処理と、を単数又は複数のコンピュータに実行させる情報処理プログラムを記録した記録媒体。
[3-3.主要な限定]
上記〔A〕の「情報処理装置」には、下記の技術的限定を加えてもよい。また、同様の技術的限定を、上記〔B〕の「情報処理方法」,上記〔C〕の「情報処理プログラム」及び上記〔D〕の「記録媒体」にそれぞれ加えてもよい。
(1)前記第1処理において、保管要求に基づき前記対象領域にて保管される電子ファイルの元要素から、ファイルの一覧画面におけるプレ表示に用いる前記派生情報が自動的に生成され、前記第2処理において、前記元要素をもつ電子ファイルが該元要素に由来する表示要素をもたない電子ファイルである前記代替情報に置換される。
(2)前記第1処理において、ファイル検索の結果が一覧表示される前記一覧画面における前記プレ表示に用いる前記派生情報が前記元要素から自動的に生成され、前記第2処理において、さらに、前記元要素をもつ電子ファイルがPDF形式の電子ファイルである前記代替情報に添付され、かつ、該代替情報に認証情報が付加される。
(3)前記判定手段が、前記対象領域に係る前記第1処理が未了である場合を除き、該対象領域に係る前記第2処理の開始が可能であると判定する。
(4)前記判定手段が、前記対象領域に係る前記第1処理において前記派生情報が未生成である場合を除き、該対象領域に係る前記第2処理の開始が可能であると判定する。
(5)前記対象領域に係る前記第2処理の終了後に、該第2処理の進捗を示す第2情報を更新する手段と、前記第2情報が示す前記対象領域に係る前記第2処理が完了済みである場合に、ユーザの指示に基づく前記第1処理の再実行を抑制する手段と、をさらに備える。
【符号の説明】
【0088】
1 業務システム(情報処理システムの一例)
10 文書管理システム
11 文書管理サーバ(情報処理装置の一例)
12 ストレージ
20 ユーザ端末
30 タイムスタンプ管理システム(TS管理システム)
40 通信ネットワーク
310 記憶部
311 格納部
312 保持部
320 第1機能部
321 生成部
322 更新部(更新手段の一例)
330 第2機能部
331 判定部(判定手段の一例)
332 置換部

図1
図2
図3
図4
図5
図6