(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052442
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】流体移送装置及び、流体移送装置兼用の発電装置
(51)【国際特許分類】
F04D 3/02 20060101AFI20240404BHJP
H02K 7/14 20060101ALI20240404BHJP
F04D 29/00 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
F04D3/02 A
H02K7/14 B
F04D29/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159157
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】517221310
【氏名又は名称】コアレスモータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108947
【弁理士】
【氏名又は名称】涌井 謙一
(74)【代理人】
【識別番号】100117086
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典弘
(74)【代理人】
【識別番号】100124383
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一永
(74)【代理人】
【識別番号】100173392
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 貴宏
(74)【代理人】
【識別番号】100189290
【弁理士】
【氏名又は名称】三井 直人
(72)【発明者】
【氏名】白木 学
(72)【発明者】
【氏名】土屋 一郎
【テーマコード(参考)】
3H130
5H607
【Fターム(参考)】
3H130AA02
3H130AA12
3H130AB22
3H130AB53
3H130AC03
3H130BA66C
3H130BA97C
3H130CB12
3H130DA02X
3H130DB01Z
3H130DD06X
3H130EA06C
3H130EA07C
3H130EB04C
3H130EC13C
3H130ED02C
5H607AA12
5H607BB01
5H607BB07
5H607BB14
5H607BB26
5H607CC01
5H607CC05
5H607CC09
5H607DD16
5H607FF06
(57)【要約】
【課題】筒状体からなる流体移送管の内部を流動する流体に対して流動方向への推進力を与える流体移送装置。
【解決手段】断面環状の磁界を形成する磁石体と、磁石体による断面環状の磁界の中を流動方向に伸びる円筒状コイルとを備えている。磁界は、円筒状コイルを半径方向で互いの間に挟んで流動方向に伸びる円筒状のステータ部と円筒状のロータ部との間に形成される。磁石体は、円筒状コイルを間に挟んでステータ部に対向するロータ部の周壁面に配備されている複数個の磁石からなる。ロータの円周方向で互いの間に所定の間隔を空けて流動方向に並行に伸びる複数の磁石列が流動方向に対して斜交する方向で周壁面に配備されて複数個の前記磁石が構成される。円周方向で隣接する磁石列同士の間を流動方向に斜交して伸びる線分と流動方向との間に形成される角度θが5度~85度の範囲である。円筒状コイルに通電することで磁石体を構成する複数個の磁石が円周方向に回転して推進力が付与される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状体からなる流体移送管の内部を流動する流体に対して流動方向への推進力を与える流体移送装置であって、
断面環状の磁界を形成する磁石体と、前記磁石体による断面環状の前記磁界の中を前記流動方向に伸びる円筒状コイルとを備えていて、
断面環状の前記磁界は、前記円筒状コイルを半径方向で互いの間に挟んで前記流動方向に伸びる円筒状のステータ部と円筒状のロータ部との間に形成され、
前記磁石体は、前記円筒状コイルを間に挟んで前記ステータ部に対向する前記ロータ部の周壁面に配備されている複数個の磁石からなり、
前記ロータの円周方向で互いの間に所定の間隔を空けて前記流動方向に並行に伸びる複数の磁石列が、前記流動方向に対して斜交する方向で前記周壁面に配備されて複数個の前記磁石が構成され、
前記円周方向で隣接する前記磁石列同士の間を、前記流動方向に斜交して伸びる線分と、前記流動方向との間に形成される角度θが5度~85度の範囲で、
前記円筒状コイルに通電することで前記磁石体を構成する複数個の前記磁石が前記円周方向に回転して前記推進力が付与される
流体移送装置。
【請求項2】
前記磁石列のそれぞれは互いに同一の形状、大きさである請求項1記載の流体移送装置。
【請求項3】
前記磁石列のそれぞれは複数個の磁石が前記流動方向で隣接する磁石との間に所定の間隔を空けて配備されて形成されている
請求項2記載の流体移送装置。
【請求項4】
前記ロータの円周方向で互いの間に所定の間隔を空けて前記流動方向に対して斜交する方向で前記周壁面に配備されている複数個の前記磁石の中の円周方向で隣接する磁石同士の間に溝が形成されておらず、
前記流動方向で隣接する磁石同士の間に所定の間隔を空けて配備されている複数個の前記磁石の中の前記流動方向で隣接する磁石同士の間形成されている溝は残っていて、これにより、前記流動方向に対して斜交する方向で伸びる溝条が前記ロータの前記周壁面に形成されている
請求項3記載の流体移送装置。
【請求項5】
半前記ロータ部と前記磁石との間に、前記磁石の半径方向における位置を嵩上げする支持材が介在している請求項3又は4記載の流体移送装置。
【請求項6】
前記円筒状コイルを構成するコイル巻線は、前記磁石列が前記流動方向に対して傾斜している方向と同一の傾斜方向で前記流体の前記流動方向に対して斜交して巻回されている請求項1~5のいずれか一項に記載の流体移送装置。
【請求項7】
複数の前記磁石列はそれぞれ前記ロータ部の周壁面にねじ止めされている請求項1又は2記載の流体移送装置。
【請求項8】
筒状体からなる流体移送管の内部を流動する流体に対して流動方向への推進力を与える流体移送装置であって、
断面環状の磁界を形成する磁石体と、前記磁石体による断面環状の前記磁界の中を前記流動方向に伸びる円筒状コイルとを備えていて、
断面環状の前記磁界は、前記円筒状コイルを半径方向で互いの間に挟んで前記流動方向に伸びる円筒状の外側ヨークと円筒状の内側ヨークとの間に形成され、
前記磁石体は、前記円筒状コイルを間に挟んで互いに対向する前記外側ヨークの内周壁面又は前記内側ヨークの外周壁面又は前記外側ヨークの内周壁面と前記内側ヨークの外周壁面との双方に配置されている複数個の磁石からなり、
前記外側ヨークの内周壁面に前記外側ヨークの円周方向で互いの間に所定の間隔を空けて前記流動方向に並行に伸びる複数の磁石列が、前記流動方向に対して斜交する方向で前記外側ヨークの内周壁面に配備されて複数個の前記磁石が構成される、又は、
前記内側ヨークの外周壁面に前記内側ヨークの円周方向で互いの間に所定の間隔を空けて前記流動方向に並行に伸びる複数の磁石列が、前記流動方向に対して斜交する方向で前記内側ヨークの外周壁面に配備されて複数個の前記磁石が構成される、又は
前記外側ヨークの内周壁面に前記外側ヨークの円周方向で互いの間に所定の間隔を空けて前記流動方向に並行に伸びる複数の磁石列が、前記流動方向に対して斜交する方向で前記外側ヨークの内周壁面に配備されていると共に、前記内側ヨークの外周壁面に前記内側ヨークの円周方向で互いの間に所定の間隔を空けて前記流動方向に並行に伸びる複数の磁石列が、前記流動方向に対して斜交する方向で前記内側ヨークの外周壁面に配備されて複数個の前記磁石が構成され、
前記円周方向で隣接する前記磁石列同士の間を、前記流動方向に斜交して伸びる線分と、前記流動方向との間に形成される角度θが5度~85度の範囲で、
前記円筒状コイルに通電することで前記磁石体を構成する複数個の前記磁石が前記円周方向に回転して前記推進力が付与される
流体移送装置。
【請求項9】
前記磁石列のそれぞれは互いに同一の形状、大きさである請求項8記載の流体移送装置。
【請求項10】
前記磁石列のそれぞれは複数個の磁石が前記流動方向で隣接する磁石との間に所定の間隔を空けて配備されて形成されている
請求項9記載の流体移送装置。
【請求項11】
前記ロータの円周方向で互いの間に所定の間隔を空けて前記流動方向に対して斜交する方向で前記周壁面に配備されている複数個の前記磁石の中の円周方向で隣接する磁石同士の間に溝が形成されておらず、
前記流動方向で隣接する磁石同士の間に所定の間隔を空けて配備されている複数個の前記磁石の中の前記流動方向で隣接する磁石同士の間形成されている溝は残っていて、これにより、前記流動方向に対して斜交する方向で伸びる溝条が前記ロータの前記周壁面に形成されている
請求項10記載の流体移送装置。
【請求項12】
前記ロータ部と前記磁石との間に、前記磁石の半径方向における位置を嵩上げする支持材が介在している請求項10又は11記載の流体移送装置
【請求項13】
前記円筒状コイルを構成するコイル巻線は、前記磁石列が前記流動方向に対して傾斜している方向と同一の傾斜方向で前記流体の流動方向に対して斜交して巻回されている請求項7~10のいずれか一項に記載の流体移送装置。
【請求項14】
複数の前記磁石列は、それぞれ、
前記外側ヨークにねじ止めされている、又は、
前記内側ヨークにねじ止めされている、又は、
前記外側ヨークにねじ止めされていると共に前記内側ヨークにねじ止めされている
請求項7~10のいずれか一項に記載の流体移送装置。
【請求項15】
請求項1又は請求項8記載の構造を備えている流体移送装置兼用の発電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、流体移送管の内部を流動する液体、気体、等の流体に対して前記流動方向に流動する推進力を与える流体移送装置に関する。また、この発明は、前述した流体移送装置を兼用している発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
流体移送管の内部を流動する液体、等の流体に対して前記流動方向に流動する推進力を与える流体移送装置の一つとして軸流ポンプが知られている。軸流ポンプはその回転中心軸が伸びる方向に流体を送り出すもので、例えば、自動車用エンジンの冷却水を循環させることに使用されるものが知られている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1の軸流ポンプは、円筒形のケース内に配置された回転軸を駆動する電動モータから構成されている。前記電動モータは、円筒形のケースの外側に配置される円筒状のステータと、前記ケースの内側に回転可能に配置される円筒状のロータとを備えている。回転軸とロータとの間に配置されていて回転軸とロータとを接続している動翼がロータの回転に連れて回転することで円筒形の前記ケース内の流体に対して流動方向への推進力を付与する構成になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、流体移送管の内部を流動する液体、気体、等の流体に対して前記流動方向に流動する推進力を与える流体移送装置を提供することを目的にしている。また、前記のような流体移送装置であって発電装置としても使用される流体移送装置兼用の発電装置を提案することを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の流体移送装置は、液体、気体、等の流体が内部を移送されていく流体移送管の途中に配備されて使用される。
【0007】
前記流体移送装置は、内部を前記流体が移送されていく筒状体で、断面環状の磁界を形成する磁石体と、前記磁石体による断面環状の前記磁界の中を前記筒状体が伸びる方向に伸びる円筒状のコイルとを備えている。
【0008】
断面環状の前記磁界を形成する前記磁石体は、前記筒状体の中心を伸びる中心軸の周方向に互いの間に所定の間隔をあけて配備されている複数個の磁石から形成されている。
【0009】
円筒状の前記コイルに通電することで、モータの原理によって、前記磁石体を構成する複数の前記磁石が前記周方向に回転し、これによって前記流体に前記流動方向に流動する推進力が与えられる。
【0010】
内部を前記流体が移送されていく前記筒状体の前記中心軸の周方向に回転する複数個の磁石が、流体に対して流動方向に流動する推進力を与える羽根や、プロペラの役割を果たすものである。
【0011】
本発明の流体移送装置は次の態様に代表される。
〔1〕
筒状体からなる流体移送管の内部を流動する流体に対して流動方向への推進力を与える流体移送装置であって、
断面環状の磁界を形成する磁石体と、前記磁石体による断面環状の前記磁界の中を前記流動方向に伸びる円筒状コイルとを備えていて、
断面環状の前記磁界は、前記円筒状コイルを半径方向で互いの間に挟んで前記流動方向に伸びる円筒状のステータ部と円筒状のロータ部との間に形成され、
前記磁石体は、前記円筒状コイルを間に挟んで前記ステータ部に対向する前記ロータ部の周壁面に配備されている複数個の磁石からなり、
前記ロータの円周方向で互いの間に所定の間隔を空けて前記流動方向に並行に伸びる複数の磁石列が、前記流動方向に対して斜交する方向で前記周壁面に配備されて複数個の前記磁石が構成され、
前記円周方向で隣接する前記磁石列同士の間を、前記流動方向に斜交して伸びる線分と、前記流動方向との間に形成される角度θが5度~85度の範囲で、
前記円筒状コイルに通電することで前記磁石体を構成する複数個の前記磁石が前記円周方向に回転して前記推進力が付与される
流体移送装置。
【0012】
〔2〕
前記磁石列のそれぞれは互いに同一の形状、大きさである〔1〕の流体移送装置。
【0013】
〔3〕
前記磁石列のそれぞれは複数個の磁石が前記流動方向で隣接する磁石との間に所定の間隔を空けて配備されて形成されている〔2〕の流体移送装置。
【0014】
〔4〕
前記ロータの円周方向で互いの間に所定の間隔を空けて前記流動方向に対して斜交する方向で前記周壁面に配備されている複数個の前記磁石の中の円周方向で隣接する磁石同士の間に溝が形成されておらず、
前記流動方向で隣接する磁石同士の間に所定の間隔を空けて配備されている複数個の前記磁石の中の前記流動方向で隣接する磁石同士の間形成されている溝は残っていて、これにより、前記流動方向に対して斜交する方向で伸びる溝条が前記ロータの前記周壁面に形成されている〔3〕の流体移送装置。
【0015】
〔5〕
半前記ロータ部と前記磁石との間に、前記磁石の半径方向における位置を嵩上げする支持材が介在している〔3〕又は〔4〕の流体移送装置。
【0016】
〔6〕
前記円筒状コイルを構成するコイル巻線は、前記磁石列が前記流動方向に対して傾斜している方向と同一の傾斜方向で前記流体の前記流動方向に対して斜交して巻回されている〔1〕~〔5〕のいずれかの流体移送装置。
【0017】
〔7〕
複数の前記磁石列はそれぞれ前記ロータ部の周壁面にねじ止めされている〔2〕の流体移送装置。
【0018】
〔8〕
筒状体からなる流体移送管の内部を流動する流体に対して流動方向への推進力を与える流体移送装置であって、
断面環状の磁界を形成する磁石体と、前記磁石体による断面環状の前記磁界の中を前記流動方向に伸びる円筒状コイルとを備えていて、
断面環状の前記磁界は、前記円筒状コイルを半径方向で互いの間に挟んで前記流動方向に伸びる円筒状の外側ヨークと円筒状の内側ヨークとの間に形成され、
前記磁石体は、前記円筒状コイルを間に挟んで互いに対向する前記外側ヨークの内周壁面又は前記内側ヨークの外周壁面又は前記外側ヨークの内周壁面と前記内側ヨークの外周壁面との双方に配置されている複数個の磁石からなり、
前記外側ヨークの内周壁面に前記外側ヨークの円周方向で互いの間に所定の間隔を空けて前記流動方向に並行に伸びる複数の磁石列が、前記流動方向に対して斜交する方向で前記外側ヨークの内周壁面に配備されて複数個の前記磁石が構成される、又は、
前記内側ヨークの外周壁面に前記内側ヨークの円周方向で互いの間に所定の間隔を空けて前記流動方向に並行に伸びる複数の磁石列が、前記流動方向に対して斜交する方向で前記内側ヨークの外周壁面に配備されて複数個の前記磁石が構成される、又は
前記外側ヨークの内周壁面に前記外側ヨークの円周方向で互いの間に所定の間隔を空けて前記流動方向に並行に伸びる複数の磁石列が、前記流動方向に対して斜交する方向で前記外側ヨークの内周壁面に配備されていると共に、前記内側ヨークの外周壁面に前記内側ヨークの円周方向で互いの間に所定の間隔を空けて前記流動方向に並行に伸びる複数の磁石列が、前記流動方向に対して斜交する方向で前記内側ヨークの外周壁面に配備されて複数個の前記磁石が構成され、
前記円周方向で隣接する前記磁石列同士の間を、前記流動方向に斜交して伸びる線分と、前記流動方向との間に形成される角度θが5度~85度の範囲で、
前記円筒状コイルに通電することで前記磁石体を構成する複数個の前記磁石が前記円周方向に回転して前記推進力が付与される
流体移送装置。
【0019】
〔9〕
前記磁石列のそれぞれは互いに同一の形状、大きさである〔8〕の流体移送装置。
【0020】
〔10〕
前記磁石列のそれぞれは複数個の磁石が前記流動方向で隣接する磁石との間に所定の間隔を空けて配備されて形成されている〔9〕の流体移送装置。
【0021】
〔11〕
前記ロータの円周方向で互いの間に所定の間隔を空けて前記流動方向に対して斜交する方向で前記周壁面に配備されている複数個の前記磁石の中の円周方向で隣接する磁石同士の間に溝が形成されておらず、
前記流動方向で隣接する磁石同士の間に所定の間隔を空けて配備されている複数個の前記磁石の中の前記流動方向で隣接する磁石同士の間形成されている溝は残っていて、これにより、前記流動方向に対して斜交する方向で伸びる溝条が前記ロータの前記周壁面に形成されている〔10〕の流体移送装置。
【0022】
〔12〕
前記ロータ部と前記磁石との間に、前記磁石の半径方向における位置を嵩上げする支持材が介在している〔10〕又は〔11〕の流体移送装置。
【0023】
〔13〕
前記円筒状コイルを構成するコイル巻線は、前記磁石列が前記流動方向に対して傾斜している方向と同一の傾斜方向で前記流体の流動方向に対して斜交して巻回されている〔7〕~〔10〕いずれかの流体移送装置。
【0024】
〔14〕
複数の前記磁石列は、それぞれ、
前記外側ヨークにねじ止めされている、又は、
前記内側ヨークにねじ止めされている、又は、
前記外側ヨークにねじ止めされていると共に前記内側ヨークにねじ止めされている
〔7〕~〔10〕のいずれかの流体移送装置。
【0025】
〔15〕
〔1〕又は〔8〕の構造を備えている流体移送装置兼用の発電機。
【発明の効果】
【0026】
この発明によれば、流体移送管の内部を流動する液体、気体、等の流体に対して前記流動方向に流動する推進力を与える流体移送装置を提供することができる。また、この発明によれば、流体移送装置であって発電装置としても使用される流体移送装置兼用の発電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】この発明の一実施形態に係る流体移送装置の一部を省略した横断面図。
【
図2】
図1図示の流体移送装置を
図1の左側から右側に向かう方向(
図1に矢印41で示す方向)で見たときの一部を省略した内部構造を表す図。
【
図3】
図1図示の流体移送装置の内部構造を表す一部を省略した斜視図。
【
図4】
図1図示の流体移送装置の内部構造を表す一部を省略した他の斜視図。
【
図5】この発明の他の実施形態に係る流体移送装置の一部を省略した横断面図。
【
図6】
図5図示の流体移送装置の内部構造を表す一部を省略した斜視図。
【
図7】この発明の一実施形態に係る流体移送装置に採用される中空の円筒状コイルの一実施形態の概略構造を説明する一部を省略した斜視図。
【
図8】
図7図示の円筒状コイルを構成する複数のコイル単体における各コイル単体を形成する線材の断面構造の一例を表す図。
【
図9】
図7図示の円筒状コイルを構成する複数のコイル単体における各コイル単体の一実施形態を説明する、円筒状コイルの軸方向に直交する側面方向(半径方向の外側から内側に向かう方向)から見た図。
【
図10】(a)は
図9図示のコイル単体が巻回軸の周りに線材が螺旋状に複数回巻回されて形成されることを説明する一部を省略した図、(b)は
図10(a)とは異なる実施形態のコイル単体が巻回軸の周りに線材が螺旋状に複数回巻回されて形成されることを説明する一部を省略した図。
【
図11】複数のコイル単体から円筒状コイルが形成されるときにコイル単体が円周方向で次位の同相のコイル単体と電気的に接続される構造の一例を説明する図。
【
図12】周壁面の円周方向で互いの間に所定の間隔を空けて流体の流動方向に並行に伸びる複数の磁石列が前記流動方向に対して斜交する方向で配備されてなる複数個の磁石が、前記円周方向へ回転することで流体に対して流動方向に流動する推進力を与える羽根、プロペラの役割を果たす実施形態の一例を表す図であって(a)は斜視図、(b)は側面図。
【
図13】周壁面の円周方向で互いの間に所定の間隔を空けて流体の流動方向に並行に伸びる複数の磁石列が前記流動方向に対して斜交する方向で配備されてなる複数個の磁石が、前記円周方向へ回転することで流体に対して流動方向に流動する推進力を与える羽根、プロペラの役割を果たす実施形態の他の例を表す図であって(a)は斜視図、(b)は側面図。
【
図14】周壁面の円周方向で互いの間に所定の間隔を空けて流体の流動方向に並行に伸びる複数の磁石列が前記流動方向に対して斜交する方向で配備されてなる複数個の磁石が、前記円周方向へ回転することで流体に対して流動方向に流動する推進力を与える羽根、プロペラの役割を果たす実施形態の他の例を表す図であって(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)は流動方向から見た図。
【
図15】周壁面の円周方向で互いの間に所定の間隔を空けて流体の流動方向に並行に伸びる複数の磁石列が前記流動方向に対して斜交する方向で配備されてなる複数個の磁石が、前記円周方向へ回転することで流体に対して流動方向に流動する推進力を与える羽根、プロペラの役割を果たす実施形態の他の例を表す図であって(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)は流動方向から見た図。
【
図16】周壁面の円周方向で互いの間に所定の間隔を空けて流体の流動方向に並行に伸びる複数の磁石列が前記流動方向に対して斜交する方向で配備されてなる複数個の磁石が、前記円周方向へ回転することで流体に対して流動方向に流動する推進力を与える羽根、プロペラの役割を果たす実施形態の他の例を表す図であって(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)は流動方向から見た図。
【
図17】(a)この発明の一実施形態に係る流体移送装置において断面環状の磁界を形成する複数個の磁石が流体の流動方向に対して斜交して伸びて配置されていて、円筒状コイルを構成するコイル巻線は流体の流動方向に対して斜交しないで巻回されている構造を説明する一部を省略した概念図、(b)この発明の一実施形態に係る流体移送装置において断面環状の磁界を形成する複数個の磁石が流体の流動方向に対して斜交して伸びて配置されていて、円筒状コイルを構成するコイル巻線も流体の流動方向に対して斜交して巻回されている構造を説明する一部を省略した概念図。
【
図18】
図7図示の円筒状コイルを構成する
図10図示のコイル単体において、円筒状コイルの軸が伸びる方向に伸びる部分を構成する第一軸方向巻線部分、第二軸方向巻線部分が伸びる方向と、磁石が配置される方向との関係を説明する概念図であって、(a)は磁石も、第一軸方向巻線部分、第二軸方向巻線部分も、軸が伸びる方向に伸びている配置形態、(b)は
図18(a)の配置形態に比較して磁石だけが軸が伸びる方向に対して斜交して配置されている配置形態、(c)は
図18(a)の配置形態に比較して磁石も、第一軸方向巻線部分、第二軸方向巻線部分が伸びる方向も、軸が伸びる方向に対して斜交している配置形態を説明する概念図。
【
図19】この発明の一実施形態に係る流体移送装置におけるロータ部の構造の他の実施形態を説明する斜視図。
【
図20】この発明の一実施形態に係る流体移送装置におけるロータ部の構造の更に他の実施形態を説明する斜視図。
【
図21】この発明の一実施形態に係る流体移送装置において円周方向で隣接する磁石列同士の間を流動方向に斜交して伸びる線分と、流動方向との間に形成される角度θを説明する概念図。
【
図22】この発明の一実施形態に係る流体移送装置の他の実施形態を説明する図であって、(a)は一部を断面して表した斜視図、(b)はロータ部の構造を説明する一部を省略した斜視図。
【
図23】この発明の一実施形態に係る流体移送装置の更に他の実施形態を説明する図であって、(a)は一部を断面して表した斜視図、(b)はロータ部の構造を説明する一部を省略した斜視図、(c)はロータ部を
図23(b)とは異なる方向から見た一部を省略した斜視図。
【
図24】この発明の一実施形態に係る流体移送装置兼用の発電機が使用される一例を説明する概念図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第一の実施形態)
図1~
図4を参照して本発明の流体移送装置の一実施形態を説明する。
【0029】
図1図示の流体移送装置1は筒状体からなる流体移送管の内部を流動する流体に対して流動方向への推進力を与えるものである。図示を省略しているが、
図1中、円筒状部2aの左側及び、円筒状部2bの右側に筒状体からなる不図示の流体移送管が連続している。
【0030】
この実施形態の流体移送装置は、断面環状の磁界を形成する磁石体と、前記磁石体による断面環状の前記磁界の中を前記筒状体が伸びる方向、すなわち前記流体の流動方向に伸びる円筒状コイルとを備えている。
【0031】
図示の実施形態では、円筒状部2aと円筒状部2bとに挟まれている円筒状部がステータ部3になっていて、ステータ部3の内側に同軸的に円筒状のロータ部5が配備されている。
【0032】
ステータ部3とロータ部5との間に断面環状の磁界が形成され、この断面環状の磁界の中を、
図1図示のように、円筒状コイル4が、流体移送管を構成する筒状体が伸びる方向、すなわち前記流体の流動方向に伸びている。ステータ部3は磁力の抜けないもので形成することができ、例えば、ステンレス製などとすることができる。ロータ部5には磁性体を採用することができる。
【0033】
図示の実施形態では、ステータ部3の内周壁面に対向するロータ部5の外周壁面に磁石体が配備されている。これによって、ステータ部3とロータ部5との間に断面環状の磁界が磁石体によって形成されている。
【0034】
図示していないが、
図1の円筒状部2aと円筒状部2bとが連続して筒状体からなる流体移送管を構成し、流体移送装置1を構成する円筒状のステータ部3は、流体移送管の内周壁から半径方向内側に向かって延びる支持椀によって支持されて流体移送管の内側に配備される構成にすることもできる。
【0035】
ステータ部3の半径方向で内側に、ステータ部3と同軸的に配備されているロータ部5は、ステータ部3に対して円周方向に回転可能に配備されている。
【0036】
図示の実施形態では円筒状部2bの内周壁面から半径方向内側に向かって延びる支持腕8a、8b、・・・によってステータ部3の中心を前記流体の流動方向に伸びる回転支持軸9が支持されている。この明細書、図面において、支持腕8a、8b、・・・を総称して支持腕8と表すことがある。
【0037】
回転支持軸9の先端側にロータ支持軸11が回転可能に支持されている。ロータ部5は、半径方向内側がロータ支持軸11に支持されているロータ支持腕11a、11b、11cの半径方向外側部11dに支持され、これによって回転支持軸9、ロータ支持軸11を中心として
図2に矢印40で示すように円周方向に回転可能になっている。
【0038】
ロータ部5の外周壁面に配備されていて上述した断面環状の磁界を形成する磁石体は、図示の実施形態では、円周方向に互いの間に所定の間隔をあけて配置されている複数個の磁石6a、6b、6c、6d、6e、6f、6g、6hから構成されている(
図2、
図3)。ロータ部5の円周方向で互いの間に所定の間隔を空けて流動方向に並行に伸びる複数の磁石列が、流動方向に対して斜交する方向でロータ部5の外周壁面に配備されることで複数個の磁石6a~6hが構成されている(
図3)。複数個の磁石6a~6hを構成する各磁石列は、ロータ部5の円周方向に、互いの間に所定の間隔をあけてS極磁石、N極磁石が交互に配置されている構成になる。各磁石列の間には
図3図示のように溝条36a、36b、37c、・・・が形成される。上述したように、磁石6a~6hは流動方向に対して斜交する方向でロータ部5の外周壁面に配備されていることから各磁石列の間に形成されている溝条36a、36b、37c、・・・も
図3図示のように流動方向に対して斜交する方向でロータ部5の外周壁面に形成される。
【0039】
複数個の磁石6a~6hを構成する各磁石列のそれぞれは、
図3、
図12~
図14図示のように、互いに同一の形状、大きさとすることができる。
【0040】
また、
図15、
図16図示のように、複数個の磁石6a~6hを構成する各磁石列のそれぞれは、複数個の磁石が流体が流動する方向で隣接する磁石との間に所定の間隔を空けて配備されて形成される構成にすることもできる。
【0041】
以下、本明細書、図面において、各磁石列を構成する磁石6a~6hを総称して単に磁石6と表すことがある。
【0042】
また、各磁石列の間に形成されている溝条36a、36b、36c、・・・を総称して溝条36、あるいは、流動方向に対して斜交する方向でロータ部5の外周壁面に形成されることから斜めにskewして形成されていることからスキュー溝36と表すことがある。
【0043】
ステータ部3とロータ部5との間に形成されている断面環状の磁界の中を流体移送管を構成する筒状体が伸びる方向に伸びている円筒状コイル4は、
図1図示のように、ステータ部3、ロータ部5に対して同軸的に配置されている。円筒状部2aの内周壁面から半径方向内側に向かって延びるコイル支持部7a、7b、7cによって、円筒状コイル4が、ステータ部3、ロータ部5に対して同軸的に配置されている構成にすることができる。この明細書、図面において、コイル支持部7a、7b、7cを総称してコイル支持部7と表すことがある。
【0044】
円筒状コイル4の一例を
図7~
図11を用いて説明する。円筒状コイル4は中空状で、複数個のコイル単体50から形成することができる(
図7)。この場合、複数個のコイル単体50が、円筒状コイル4の円周方向に連続的に配置されることで円筒状コイル4の周壁4aが形成される。
【0045】
円筒状コイル4としては、モータや発電機などに使用される中空の円筒型のコイルを採用することができる。
【0046】
モータや発電機などに使用される中空の円筒状のコイルとしては、特許第3704044号公報に提案されているものがある。導電性の板状体(例えば、銅板)をエッチングすることによって導電帯がパターン形成された2枚の薄い金属板をそれぞれ円筒体とし、2つの円筒体を内側円筒体及び外側円筒体として同心に重ねて配置することによって形成される中空で円筒状のコイル体である。
【0047】
また、特開2017-70140号公報には、複数の導電帯を有する導電シートを折り曲げ、折り曲げられた導電シートを円筒形状にすることによって形成された中空で円筒状のコイル体が提案されている。
【0048】
本願出願人による特許第6948748号公報、特許第6989204号公報では、回転電機の回転軸に対して同心円状に配置される、線材を巻回してなる中空で円筒状のコイルを提案している。このコイルは、回転軸に直交する径方向に伸びる巻回軸の周りに線材が、螺旋状に複数回巻回されてなる平板状のコイル体が、円筒状コイル体の円周方向に複数個連続的に配置されて回転電機の回転軸を取り囲む構成になっている。前記の線材は、例えば、外周がエナメル層などで覆われている導電線が複数本で束にされた上でガラス繊維のような繊維状物で覆われてなるものである。
【0049】
ここでは、回転電機の回転軸に対して同心円状に配置される、線材を巻回してなる中空で円筒状のコイルを円筒状コイル4として採用する実施形態を説明する。
【0050】
円筒状コイル4は中空状で、複数個のコイル単体50から形成することができる(
図7)。この場合、複数個のコイル単体50が、円筒状コイル4の円周方向に連続的に配置されることで円筒型コイル4の周壁4aが形成される。
【0051】
コイル単体50は、一例として、周囲が絶縁処理されている導電性の線材51から構成される(
図8)。
図8図示の線材51は、外周をエナメル層52で覆われている銅線53が複数本で束にされ、これがガラス繊維のような繊維状物54で覆われている。
【0052】
中空の円筒状コイル4の周壁4aを形成するように複数個のコイル単体50が円筒状コイル4の円周方向に連続的に配置される前のコイル単体50は
図9に例示するように平板状のコイル体である。
【0053】
平板状のコイル単体50は、線材51が、円筒状のコイル4の軸60(
図7)が延びる方向と直交する巻回軸61(
図9、
図10)の周りに、巻回軸61の側に中空部59を残しつつ、螺旋状に複数回巻回されて形成されている。
【0054】
図9、
図10では、第一軸方向巻線部分55、第二軸方向巻線部分56、第一周方向巻線部分57、第二周方向巻線部分58を備えている形態の平板状のコイル単体50を図示して説明している。
【0055】
第一軸方向巻線部分55、第二軸方向巻線部分56は、円筒状のコイル4の軸60が延びる方向の部分を形成している。第一周方向巻線部分57は、第一軸方向巻線部分55の軸60が延びる方向における一方の側(
図9の上側)と第二軸方向巻線部分56の前記一方の側との間に形成されている。第二周方向巻線部分58は、第一軸方向巻線部分55の軸60が延びる方向における他方の側(
図9の下側)と第二軸方向巻線部分56の他方の側との間を形成している。
【0056】
図9、
図10図示の実施形態では、第一軸方向巻線部分55と第二軸方向巻線部分56とは、円筒型コイル4の軸60(
図7)が延びる方向で直線的に延びている。このような構造、形態に限られず、
図9、
図10でそれぞれ左右方向に曲線状に凸湾する形態で軸60(
図7)が延びる方向に延びている構造、形態も採用可能である。この場合には、
図9、
図10において上下方向に軸方向巻線部分からなる長径、左右方向に周方向巻線部分からなる短径を有する楕円形状や、長円形状になる。
【0057】
流体移送装置1が、例えば、三相モータで構成される場合、円筒状コイル4の円周方向に複数個配置されるコイル単体50は、それぞれ、U相、V相、W相のいずれかを構成するコイル体になる。
【0058】
この場合、
図11図示のように、円筒状コイル4の円周方向に連続的に配置されて円筒状コイル4の周壁4aを形成する複数個のコイル単体50は円周方向で次位の同相のコイル単体50と電気的に接続される。
【0059】
図11は、この電気的な接続形態の一例を説明するものである。図中、符号50a~50dで示されているものはそれぞれコイル単体50からなり、円筒状のコイル4において、例えば、U相を形成する。図示のように、U相を形成するコイル単体50aはコイル単体50aを構成している線材51aを介して円周方向で次位に位置し、同じくU相を形成するコイル単体50bと電気的に接続される。コイル単体50bはこれを構成している線材51bを介して円周方向で次位に位置し、同じくU相を形成するコイル単体50cと電気的に接続される。V相、W相についても同様の構造になる。
【0060】
円筒状部2aには制御、駆動用の導線を取り入れる取入部12が形成されており(
図1)、ここを介して不図示の制御信号ケーブル、電源ケーブルが接続される。なお、各図面において、制御、駆動用の導線などの図示は省略している。
【0061】
上述したように、円筒状コイル4を半径方向で互いの間に挟んでいるステータ部3とロータ部5との間に断面環状の磁界が形成されている下で、円筒状コイル4に通電することで、モータの原理によってロータ部5は回転支持軸9を中心として
図2に矢印40で示す周方向に回転する。
【0062】
これにより、複数個の磁石6a~6hも回転支持軸9を中心として円周方向に回転し、これによって、流体移送管の内部を流動する液体や気体、等の流体に対して
図3に矢印42で示す流動方向への推進力が付与される。
図1では図面の左側から右側に向かう流動方向への推進力が付与されることになる。
【0063】
ロータ部5の回転に連れて一緒にロータ部5の周方向に回転する複数個の磁石6a~6hが、流体に対して流動方向に流動する推進力を与える羽根、プロペラの役割を果たすものである。
【0064】
流体移送管の内部を流動する液体や気体、等の流体が
図3に矢印42で示す方向とは反対の方向に流動している場合、円筒状コイル4への駆動電流を制御してロータ部5を矢印40と反対の周方向に回転させることで、同様に、流体移送管の内部を流動する液体や気体、等の流体に対して流動方向への推進力を付与することができる。
【0065】
円筒状のロータ部5の円周方向に互いの間に所定の間隔をあけて複数個配備される磁石6a~6hは上述したように、流体移送管の内部を流動する流体に対して流動方向に流動する推進力を与える羽根、プロペラの役割を果たす。
【0066】
そこで、磁石6は、ロータ部5の外周壁面にその円周方向で互いの間に所定の間隔を空けて流体が流動する方向に並行に伸びる複数の磁石列が流体の流動方向に対して斜交する方向でロータ部5の外周壁面に配備されている形態で構成することができる。
図3、
図12~
図16は、このような磁石6の配置形式の一例を説明するものである。磁石6a~6hは、流体が流動する方向(
図3の右側から左側に向かう方向)に対して、
図3図示のように斜交して伸びてロータ部5の外周壁面に配備されている。
【0067】
図12~
図16は、ロータ部5の周壁面に流体の流動方向に対して斜交して伸びて配置されている複数個の磁石6a~6hが、ロータ部5の回転に連れて流体に対して流動方向に流動する推進力を与える羽根、プロペラの役割を果たす実施形態の種々の変形例を示すものである。
【0068】
ロータ部5がその回転中心軸43に対して矢印44の方向に回転することで、矢印45で示す方向への流動推進力が流体に対して付与される。
【0069】
上述した実施形態では、ロータ部5は管状であるので、上述したように流動推進力が流体に対して付与されて流動する流体は、ロータ部5の内部でも同一の流動方向に向かう流体の流動が生じることになる。
【0070】
図19は、管状のロータ部5に替えて、充実している円筒状の磁性体からなるロータ部5aの外周に、流動方向に対して斜交する方向で複数個の磁石6a、6b、6c、6d、6e、・・・が配備されている例を示すものである。
【0071】
円筒状のロータ部5aの外周に円周方向で互いの間に所定の間隔を空けて配備されている磁石6a、6b、6c、6d、6e、・・・同士の間に形成されているスキュー溝36が深くなれば、流体に対する推進力を付与するトルクを大きくすることができる。
【0072】
図15、
図16図示の実施例では、各磁石6a~6hは、流体の流動方向において、磁石6a1と磁石6a2、磁石6b1と磁石6b2、磁石6c1と磁石6c2のように二分割されている。流体の流動方向に二分割されている磁石6a1と磁石6a2との間に形成されている溝部38は、円周方向に隣接している磁石6a1と磁石6b1との間に形成されている溝部37と同様に、流体の流動を促進する構造になる。
【0073】
図20は、
図15、
図16図示のように、ロータ5の円周方向で互いの間に所定の間隔を空けて流動方向に並行に伸びる複数の磁石列が流動方向に対して斜交する方向で周壁面に配備されて複数個の磁石が、流体の流動方向において、磁石6a
1、磁石6a
2、磁石6a
3、磁石6b
1、磁石6b
2、磁石6b
3、・・のように分割されている実施形態における他の実施例を表すものである。
【0074】
ロータ部5の円周方向で互いの間に所定の間隔を空けて流体の流動方向に対して斜交する方向でロータ部5の周壁面に配備されている複数個の磁石6の中の円周方向で隣接する磁石同士の間にはスキュー溝は形成されていない。
【0075】
一方、流体の流動方向で隣接する磁石同士の間に所定の間隔を空けて配備されている複数個の磁石6の中の流動方向で隣接する磁石同士の間形成されているスキュー溝は残っていて、これにより、流体の流動方向に対して斜交する方向で伸びる溝条がロータ部5の周壁面に形成されている構造である。
【0076】
図15、
図16の実施形態では、円周方向で隣接する磁石6a
1と磁石6b
1との間、磁石6a
2と磁石6b
2との間、磁石6a
3と磁石6b
3との間に形成されていたスキュー溝36が、
図20図示の実施形態では埋められている。一方、流動方向で分割されて隣接している磁石6a
1と磁石6a
2との間、磁石6a
2と磁石6a
3との間、流動方向で分割されて隣接している磁石6b
1と磁石6b
2との間、流動方向で分割されて隣接している磁石6b
2と磁石6b
3との間に形成されているスキュー溝38は形成されたままになっている。
【0077】
このような構造になっているので、
図20で符号39で示す箇所の部分ではスキュー溝は埋められていない。
【0078】
図20図示の実施形態では、スキュー溝38が、流体の流動を促進する構造になる。
【0079】
円周方向で隣接する磁石6a1と磁石6b1との間、磁石6a2と磁石6b2との間、磁石6a3と磁石6b3との間に形成されていたスキュー溝36を埋める部材70としては、透磁性を有している部材であれば種々のものを採用することができる。例えば、透磁性を有する合成樹脂、接着剤、セラミックス、アルミ材、等々を採用してスキュー溝36を埋めることができる。
【0080】
以上に説明したように、この実施形態の流体移送装置は、流体が流動する方向(
図3の右側から左側に向かう方向)に対して斜交して伸びてロータ部5の外周壁面に配備されている磁石が、ロータ部5の矢印40で示す周方向へ回転することで流体移送管の内部を
図3の右側から左側に向かって流動する流体に対する推進力を付与するものである。そこで、この実施形態の流体移送装置は、いわゆるスクリューポンプとしての機能を発揮する流体移送装置である。
【0081】
図3、
図12~
図16、
図19、
図20図示のように、磁石6が、流体が流動する方向(
図3の右側から左側に向かう方向)に対して斜交して伸びてロータ部5の外周壁面に配備されていることで、ロータ部5の矢印40で示す周方向への回転による流体移送管の内部を
図3の右側から左側に向かって流動する流体に対する推進力の付与がより効果的に与えられるようになる。
図3に例示した磁石6a~6hの配置形式になっていることで、ロータ部5の回転支持軸9を中心とした周方向への回転に伴って複数個の磁石6a~6hが周方向に回転することによる上述した推進力の付与をより効果的にすることができるものである。
【0082】
図21は、上述したように、ロータ部5の外周壁面にその円周方向で互いの間に所定の間隔を空けて流体が流動する方向に並行に伸びる複数の磁石列が流体の流動方向に対して斜交する方向でロータ部5の外周壁面に配備されている形態で構成されている磁石6の好ましい配備形態を説明する概念図である。
図21では、円周方向で隣接している磁石6a、6bの配備形態のみを概念的に説明している。
【0083】
矢印100で示す流体の流動方向に斜交して磁石6aと磁石6bとの間を伸びる線分101と、流体の流動方向50との間には、
図19にθで示す角度が形成される。
【0084】
本願発明者の検討によれば、角度θは5度~85度に設定することが望ましかった。角度θが小さくなる方が流体の流量を増加できるが、角度θが5度未満になるとポンプとしての機能が小さくなるので好ましくない、一方、角度θが大きくなると液流に対する圧力が大きくなる。角度θが85度を越えると液流に対する圧力が高くなって流れの方向が妨げられる状態になるので好ましくない。この観点から、角度θは10度~80度に設定することがより望ましい。
【0085】
なお、角度θが大きくなればなるほど流体から受ける流れの抵抗が大きくなる。一方、角度θが小さくなるほど流体から受ける流れの抵抗は小さくなる。
【0086】
そこで、流動させる対象になっている流体の物性を勘案して角度θを選定することでこの実施形態の流体移送装置による移送効果(ポンプ効果)を調整することができる。
【0087】
磁石6が、上述したように、ロータ部5の外周壁面にその円周方向で互いの間に所定の間隔を空けて流体が流動する方向に並行に伸びる複数の磁石列が流体の流動方向に対して斜交する方向でロータ部5の外周壁面に配備されている形態で構成されることが望ましいことに対応させて、円筒状コイル4を構成するコイル巻線も、流体が流動する方向に対して斜交して巻回されている形態にすることができる。
【0088】
図17(a)は、この発明の一実施形態に係る流体移送装置において断面環状の磁界を形成する複数個の磁石6a~6hが、矢印45で示す流体の流動方向に対して斜交して伸びて配置されていて、円筒状のコイル4を構成するコイル巻線は流体の流動方向に対して斜交しないで巻回されている構造を説明する一部を省略した概念図である。磁石とコイルを回転中心軸から展開した状態で、磁石は、半周分のみを省略して表している。
図17(b)も同じく磁石とコイルを回転中心軸から展開した状態で、磁石は、半周分のみを省略して表しているものであるが、複数個の磁石6a~6hが矢印45で示す流体の流動方向に対して斜交して伸びて配置されていて、円筒状のコイル4を構成するコイル巻線も矢印45で示す流体の流動方向に対して斜交して巻回されている構造を説明する一部を省略した概念図である。
【0089】
図17(b)では、両者は、いずれも、矢印45で示す流体の流動方向に対して同一の方向へ傾斜していて、複数個の磁石6a~6hが矢印45で示す流体の流動方向に対して傾斜している角度と、円筒状のコイル4を構成するコイル巻線が矢印45で示す流体の流動方向に対して傾斜している角度とが同一であるようにしている。
【0090】
両者の傾斜が、矢印45で示す流体の流動方向に対して同一の方向への傾斜であるが、両者の傾斜している角度が異なっている配置形態にすることもできる。矢印45で示す流体の流動方向に対して同一の方向への傾斜であるが、両者の傾斜している角度を相違させることでロータ部5の矢印44で示す方向の回転をスムーズにさせることができる。
【0091】
図7~
図11で例示した円筒状のコイル4では、各コイル単体50における第一軸方向巻線部分55、第二軸方向巻線部分56が、円筒状のコイル4の軸60が伸びる方向、すなわち、流体移送管内を流体が流動する方向である回転支持軸9(
図1)が伸びる方向に伸びている。このような形態で、コイル4を構成するコイル巻線は、前記流体が流動する方向で巻回されている構造にすることができる。
【0092】
また、コイル4を構成するコイル巻線が、前記流体が流動する方向に対して斜交して巻回されている構造にすることもできる。第一軸方向巻線部分55、第二軸方向巻線部分56が伸びる方向が、流体が流動する方向に対して斜交して伸びるようにするものである。例えば、流体が流動する方向に対して0度から上述したように流体が流動する方向に対して磁石6が斜交して伸びている角度の範囲で、第一軸方向巻線部分55、第二軸方向巻線部分56が伸びる方向が、流体が流動する方向に対して斜交して伸びるようにすることができる。
図18は、
図7図示の中空円筒状の円筒状のコイル4を構成するコイル単体50(
図10)において、コイル4の軸60が伸びる方向、すなわち、流体移送管内を流体が流動する方向に伸びる部分を構成する第一軸方向巻線部分55、第二軸方向巻線部分56が伸びる方向と、磁石が配置される方向との関係を説明する概念図である。
【0093】
図18(a)の配置形態は、第一軸方向巻線部分55、第二軸方向巻線部分56も、磁石6a、6b、6cも、流体移送管内を流体が流動する方向に伸びている。最も基本的な配置形態で、磁石と、コイル単体とは同じ幅(電気角)になっている。
【0094】
図18(b)は、
図18(a)の配置形態に比較すると、磁石6a、6b、6cだけが、流体の流動方向に対して斜交して配置されている形態になっている。ロータ部5の回転に連れて回転する磁石6a、6b、6cが、流体に対して流動方向に流動する推進力を与える羽根、プロペラとしての役割を果たす上で有利な配置形態である。
【0095】
ただし、コイル単体50の第一軸方向巻線部分55、第二軸方向巻線部分56が伸びる方向に対する、磁石6a、6b、6cの配置形態としては、コイル単体50の第一軸方向巻線部分55、第二軸方向巻線部分56が伸びる方向に対して、磁石6a、6b、6cが斜交して配置されている配置形態になっている。
【0096】
このため、ロータ部5の回転によって、流体移送管の内部を流動する流体に対して推進力を与える流体移送装置としては、
図18(a)図示の配置形態よりは効率が低下する。
【0097】
図18(c)は、
図18(a)の配置形態に比較すると、磁石6a、6b、6cも、コイル単体50の第一軸方向巻線部分55、第二軸方向巻線部分56が伸びる方向も、流体の流動方向に対して斜交している配置形態になっている。コイルを構成するコイル巻線が、磁石が流動方向に対して傾斜している方向と同一の傾斜方向で流体の流動方向に対して斜交して巻回されている構造である。
【0098】
図18(a)図示の配置形態のように、磁石と、コイル単体とを同じ幅(電気角)として、ロータ部5の回転によって、流体移送管の内部を流動する流体に対して推進力を与える流体移送装置としての効率を確保している。
【0099】
また、ロータ部5の回転に連れて回転する磁石6a、6b、6cが、流体に対して流動方向に流動する推進力を与える羽根、プロペラとしての役割を果たす上で有利な磁石の配置形態にしている。
【0100】
周壁に磁石6を備えているロータ部5と、磁石6によって形成される断面環状の磁界の中を流体が流動する方向でロータ部5に対して同軸的に伸びる中空の円筒状のコイル4とを備えて構成される本実施形態の流体移送装置が、コアレスモータからなる場合、上述したように、回転軸に対して同心円状に配置される、線材を巻回してなる中空で円筒状のコイルを採用することで、コイルを構成するコイル巻線が流体の流動方向に対して斜交して巻回されている構造を簡単かつ正確に準備することができる。
【0101】
一般的に、コアレスモータでは鉄心が無いことから、円筒状のコイルを構成するコイル巻線を、円筒状コイルが伸びる方向に対して斜交して巻きつけることは容易でなく、製造が難しい。これに対して、本実施形態では、
図7~
図11を用いて説明した構造の中空で円筒状のコイル4をすることで、コイルを構成するコイル巻線が流体の流動方向に対して斜交して巻回されている構造を簡単かつ正確に準備することができる。
【0102】
なお、各磁石6は、ロータ部5の外周壁面に接着固定することができるが、ねじ止め、等によってロータ部5に取り付ける構成にすることができる。ロータ部5の回転による遠心力によって磁石6をロータ部の周壁面から剥離させようとする力が働く場合、ねじ止めでの取り付けによって補強するものである。
【0103】
(第二の実施形態)
第一の実施の形態で
図19を用いて説明したように、円筒状のロータ部5aの外周に円周方向で互いの間に所定の間隔を空けて配備されている磁石6a、6b、6c、6d、6e、・・・同士の間に形成されているスキュー溝36が深くなれば、流体に対する推進力を付与するトルクを大きくすることができる。
【0104】
そこで、ロータ部5、5aの外周に配備される磁石6の半径方向の厚みのみによってスキュー溝の深さを規定するのではなく、ロータ部5、5aの外周に磁石6を支える、あるいは磁石6の土台部となる支持部を形成し、この支持部の半径方向外側にそれぞれ磁石が配備されている構造にすることができる。
【0105】
半径方向におけるロータ部5、5aの外周と、磁石6との間に磁路形成を可能にする磁性体(例えば、鉄)からなる支持部が介在していることで、いわば磁石6の半径方向における位置を嵩上げするものである。
【0106】
図1~
図4、
図7~
図21を用いて説明した第一の実施形態の流体移送装置と共通している部分違は共通している符号を用いてその説明を省略し、この実施形態における特徴的な部分のみを
図22(a)、(b)に図示してこの実施形態の一例を説明する。
【0107】
図22図示の実施形態ではステータ部3の内周に電磁鋼板からなる鉄管3aが配備されている。ステータ部3とロータ部5aとの間に断面環状の磁界を形成する上でこのような構造にすると有利であるが、電磁鋼板からなる鉄管3aがステータ部3の内周に配備されていない形態にすることもできる。
【0108】
図22(b)図示のように、ロータ部5aの外周と、磁石6との間に磁路形成を可能にする磁性体(例えば、鉄)からなる支持部71が介在している。
【0109】
これによってスキュー溝36、38の深さを大きくし、流体に対する推進力を付与するトルクを大きくでき、スクリューポンプとしての機能を発揮する第一の実施形態の流体移送装置をより有利なものにすることができる。
【0110】
図23は、この実施形態の他の例を説明するものである。
図22図示の実施形態では、スキュー溝37、スキュー溝38とも存在していたが、
図23図示の実施形態では、
図20図示の実施形態のように、スキュー溝36に相当する部分が
図20の実施形態で説明した部材70で埋められ、スキュー溝38のみが残っていて、流体の流動方向に対して斜交する方向で伸びる溝条を形成するスキュー溝38が、ロータ部5aの周壁面に形成されている構造になっている。
【0111】
この構造では、
図20図示の実施形態で説明したように、スキュー溝38によってロータ部5aの周壁面に形成されている、流体の流動方向に対して斜交する方向で伸びる溝条が、流体の流動を促進する構造になっている。
【0112】
(第三の実施形態)
図5~
図6を参照して本発明の流体移送装置の他の実施形態を説明する。
【0113】
図1~
図4、
図7~
図21、
図22を用いて説明した第一、第二の実施形態の流体移送装置と共通している部分違は共通している符号を用いてその説明を省略する。
【0114】
図5、
図6図示の流体移送装置も、筒状体からなる流体移送管の内部を流動する流体に対して流動方向への推進力を与えるもので、
図5図示の流体移送装置1は円筒状部20の内部に配備される形態になっている。図示を省略しているが、円筒状部20は、図中の左側及び右側でそれぞれ内部を流体が流動する筒状体からなる流体移送管に接続される構成になる。
【0115】
この実施形態の流体移送装置も、断面環状の磁界を形成する磁石体と、前記磁石体による断面環状の前記磁界の中を前記筒状体が伸びる方向に伸びる円筒状のコイルとを備えている。
【0116】
図示の実施形態では、流体移送装置を構成する筒状体が伸びる方向に伸びる円筒状の外側ヨーク27と、外側ヨーク27の半径方向内側で外側ヨーク27に対して同軸的に前記筒状体が伸びる方向に伸びる円筒状の内側ヨーク28との間に断面環状の磁界が形成され、この断面環状の磁界の中を、
図5図示のように、円筒状コイル4が、流体移送管を構成する筒状体が伸びる方向に伸びている。
【0117】
図示の実施形態では、内側ヨーク28に対向する外側ヨーク27の内周壁面に磁石体が配備されている。これによって、外側ヨーク27と内側ヨーク28との間に断面環状の磁界が磁石体によって形成されている。
【0118】
図示の実施形態では、円筒状部20の半径方向内側で、外側ヨーク27、円筒状コイル4、内側ヨーク28と同軸的に回転中心軸24が円筒状部20に対して回転可能に配備されている。
【0119】
回転中心軸24は軸方向の両端側で軸受け32a、32bを介して円筒状部20の内周壁面から半径方向内側に延びている支持部22、23の半径方向内側に回転可能に支持されている。
【0120】
内側ヨーク28は回転中心軸24から半径方向外側に向かって延びている支持腕30a、30b、・・・、30e、30fによって支持され、回転中心軸24と一緒に円筒状部20内で周方向に回転する。
【0121】
外側ヨーク27は、半径方向の内側が軸受け32cを介して回転中心軸24に回転可能に支持されている支持腕29の半径方向外側によって支持されている。
【0122】
内側ヨーク28に対向する外側ヨーク27の内周壁面に配備されていて、外側ヨーク27と内側ヨーク28との間に断面環状の磁界を構成する磁石体は、第一の実施形態と同様に、周方向に互いの間に所定の間隔をあけて配置されている複数個の磁石6a、6b、6c、6d、6e、6f、6g、6hから構成されている(
図6)。複数個の磁石6a~6hは周方向に互いの間に所定の間隔をあけてS極磁石、N極磁石が交互に配置されている構成である。
【0123】
外側ヨーク27と内側ヨーク28との間に形成されている断面環状の磁界の中を流体移送管を構成する筒状体が伸びる方向に伸びている円筒状コイル4は、第一の実施形態と同様に、外側ヨーク27、内側ヨーク28に対して同軸的に配置されている。円筒状部20の内周壁面から半径方向内側に向かって延びるコイル支持部25によって、円筒状コイル4が、外側ヨーク27、内側ヨーク28に対して同軸的に配置されている構成にすることができる。
【0124】
第一の実施形態と同様に、円筒状コイル4を半径方向で互いの間に挟んでいる外側ヨーク27と内側ヨーク28との間に断面環状の磁界が形成されている下で、コイル4に通電することで、モータの原理によって外側ヨーク27は、回転中心軸24を中心として周方向に回転する。
【0125】
これにより、複数個の磁石6a~6hも回転中心軸24を中心として周方向に回転し、これによって、流体移送管の内部を流動する液体や気体、等の流体に対して流動方向への推進力が付与される。
【0126】
第一の実施の形態と同じく、外側ヨーク27の回転に連れて一緒に回転中心軸24を中心として周方向に回転する複数個の磁石6a~6hが、流体に対して流動方向に流動する推進力を与える羽根、プロペラの役割を果たすものである。
【0127】
図示の実施の形態では、回転中心軸24に対して周方向に回転する外側ヨーク27の内周壁面に磁石体が配備されていて、回転中心軸24に対して回転しない内側ヨーク28と外側ヨーク27との間に断面環状の磁界が形成されている。これに対して、図示していないが、半径方向の外側で内側ヨーク28を支持している支持腕30a、・・・30fの半径方向内側を軸受けを介して回転中心軸24に対して周方向に回転可能に支持させ、上述した断面環状の磁界を形成する磁石体を外側ヨーク27の内周壁面に対向する内側ヨーク28の外周壁面に配備する構成にすることもできる。
【0128】
このようにすれば、コイル4に通電したときに、モータの原理によって内側ヨーク28が、回転中心軸24を中心として周方向に回転し、内側ヨーク28の外周壁面に配備されている磁石体を構成する複数個の磁石6a~6hが回転中心軸24を中心として周方向に回転し、これによって、流体移送管の内部を流動する液体や気体、等の流体に対して流動方向への推進力が付与されるようになる。
【0129】
また、図示していないが、内側ヨーク28に対向する外側ヨーク27の内周壁面と、外側ヨーク27に対向する内側ヨーク28の外周壁面との双方に磁石体が配備されていることで、外側ヨーク27と内側ヨーク28との間に断面環状の磁界が形成されている構成にすることもできる。
【0130】
いずれの実施形態においても、外側ヨーク27と内側ヨーク28との間に断面環状の磁界が形成されている下で、外側ヨーク27と内側ヨーク28との間に挟まれている円筒状のコイル4に通電することでモータの原理によって、上述した磁界を形成していて、周方向で互いの間に間隔をあけて配備されている複数個の磁石6が、回転中心軸24を中心として周方向に回転する。これによって流体移送管の内部を流動する液体や気体、等の流体に対して流動方向への推進力が付与されるようになる。
【0131】
内周壁面に複数個の磁石6が配備されている外側ヨーク27が上述したようにモータの原理によって回転中心軸24を中心として周方向に回転する構成の場合、内側ヨーク28も回転中心軸24に対して周方向に回転可能に回転中心軸24に支持されている構成にすることができる。
【0132】
同様に、外周壁面に複数個の磁石6が配備されている内側ヨーク28が上述したようにモータの原理によって回転中心軸24を中心として周方向に回転する構成の場合、外側ヨーク27も回転中心軸24に対して周方向に回転可能に回転中心軸24に支持されている構成にすることができる。
【0133】
これらの場合、外側ヨーク27と内側ヨーク28との間に断面環状の磁界が形成されて磁気回路が形成されていることから、複数個の磁石6が配備されている外側ヨーク27あるいは、内側ヨーク28が、回転中心軸24を中心として周方向に回転すると、他方の内側ヨーク28あるいは、外側ヨーク27も、同一の周方向に、複数個の磁石6が配備されている外側ヨーク27あるいは、内側ヨーク28の回転速度よりは遅い回転速度で回転することになる。
【0134】
この実施の形態のおいても、上述した第一の実施の形態で説明したのと同じように、磁石6は、外側ヨーク27の内周壁や、内側ヨーク28の外周壁を、流体が流動する方向に対して斜交して伸びて、外側ヨーク27や内側ヨーク28の周方向に、互いの間に所定の間隔をあけて配備されている形態にすることで、上述した推進力の付与をより効果的にすることができる。
【0135】
また、
図21を用いて説明したように、円周方向で隣接する磁石列同士の間を流体の流動方向に斜交して伸びる線分と、流動方向との間に形成される角度θが5度~85度の範囲になるように設定することができる。
【0136】
また、第一の実施の形態で説明したのと同じように、コイル4を構成するコイル巻線も、流体が流動する方向に対して斜交して巻回されている形態にすることができる。
【0137】
また、各磁石6も、外側ヨーク27の内周壁や、内側ヨーク28の外周壁に接着固定するだけでなく、ねじ止め、等によって取り付けることができる。特に、内側ヨーク28の外周壁に磁石6をねじ止めしておくと内側ヨーク28の回転による遠心力によって磁石6を内側ヨーク28の外周壁から剥離させようとする力に対して、ねじ止めでの取り付けで補強することができる。
【0138】
(第四の実施形態)
第一の実施形態から第三の実施形態で説明した本願発明の流体移送装置、スクリューポンプは、内部を流体が移送されていく筒状体で、断面環状の磁界を形成する磁石体と、前記磁石体による断面環状の前記磁界の中を前記筒状体が伸びる方向に伸びる円筒状のコイルとを備えていて、前記磁石体は、前記筒状体の中心を伸びる中心軸の周方向に互いの間に所定の間隔をあけて配備されている複数個の磁石から形成され、前記コイルに通電することで、モータの原理によって、前記磁石体を構成する複数の前記磁石が前記周方向に回転し、この周方向に回転する磁石体が、流体に対して流動方向に流動する推進力を与える羽根や、プロペラの役割を果たして流体に対して流動方向に流動する推進力を与えるものである。
【0139】
このような流体移送装置、スクリューポンプの構造は、いわゆるコアレスモータの構造である。
【0140】
モータの構造は発電機の構造と基本的に同一である。第一の実施形態から第三の実施形態で説明した本願発明の流体移送装置、スクリューポンプを構成するコアレスモータの構造において、ロータ部5、5aが、入力された円周方向への回転力によって回転することで発電が行われるのが発電機である。
【0141】
そこで、本発明では、上述した構成、構造を有する、流体移送装置、スクリューポンプを兼用する発電機の実施形態にすることが可能である。
【0142】
図24は、このような、流体移送装置兼用の発電装置の一実施形態を説明する概念図である。
【0143】
低地に設置されている第一の水源80と、第一の水源80に対して高地に設置されている第二の水源81との間が切換え弁82が介装されている導水管83によって接続されている。また、切換え弁82と第一の水源80との間の導水管83に、第一の実施形態から第三の実施形態で説明した本願発明の流体移送装置、スクリューポンプ84が配備されている。
【0144】
第一の水源80から第二の水源81へ矢印85で示すように水を汲みあげる際には、導水管83の中を水が矢印85で示す方向に流動するように、第一の実施形態から第三の実施形態で説明した流体移送装置、スクリューポンプ84を作動させる。
【0145】
一方、第二の水源81から第一の水源80へ矢印86で示すように水を流下させる際には、導水管83内を流動する水によって、第一の実施形態から第三の実施形態で説明した流体移送装置、スクリューポンプ84のロータ部5、5aが円周方向に回転する。これによって、第一の実施形態から第三の実施形態で説明した流体移送装置、スクリューポンプ84を、発電を行う発電機として機能させることができる。
【0146】
このように、本発明によれば、流体移送装置、スクリューポンプと発電機とを兼用させることが可能になる。
【0147】
以上、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述した実施形態に限られることなく特許請求の範囲の記載から把握される技術的範囲において種々に変更可能である。