(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052459
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】熱源ユニット及び空気調和装置
(51)【国際特許分類】
F25B 45/00 20060101AFI20240404BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20240404BHJP
F25B 41/40 20210101ALI20240404BHJP
F25B 13/00 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
F25B45/00 Z
F25B1/00 396D
F25B41/40 E
F25B1/00 385Z
F25B1/00 391
F25B13/00 Q
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181659
(22)【出願日】2022-11-14
(31)【優先権主張番号】P 2022158181
(32)【優先日】2022-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】安藤 弘毅
(72)【発明者】
【氏名】東 翔太
(72)【発明者】
【氏名】松岡 弘宗
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 誠将
【テーマコード(参考)】
3L092
【Fターム(参考)】
3L092AA11
3L092BA21
(57)【要約】
【課題】充填された二酸化炭素冷媒が超臨界となることに起因する、冷媒流路内における圧力異常の発生を抑制する空気調和装置の熱源ユニットを提案する。
【解決手段】熱源ユニットは、利用ユニットに接続され空気調和装置を構成する。熱源ユニットは、圧縮機と、熱源熱交換器と、第1閉鎖弁と、第2閉鎖弁と、冷媒流路と、冷媒とを備える。冷媒流路は、圧縮機、熱源熱交換器、第1閉鎖弁、及び第2閉鎖弁が冷媒配管で接続された流路である。冷媒は、冷媒流路に充填される。冷媒は、二酸化炭素である。冷媒流路に充填されている冷媒の充填量V1(kg)、冷媒流路の容積V2(L)、冷媒流路の設計圧力P(MPa)は、次の関係を満たす。V1×a≦V2≦V1×b、a=0.078×P
2-2.111×P+15.771、b=0.055×P
2-1.768×P+16.144
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用ユニット(3)に接続され空気調和装置(1、1a)を構成する熱源ユニット(2、2a)であって、
圧縮機(21)と、
熱源熱交換器(23)と、
第1閉鎖弁(25)と、
第2閉鎖弁(26)と、
前記圧縮機、前記熱源熱交換器、前記第1閉鎖弁、及び前記第2閉鎖弁が冷媒配管で接続された冷媒流路(20)と、
前記冷媒流路に充填された冷媒と
を備え、
前記冷媒は、
二酸化炭素であって、
前記冷媒流路に充填されている前記冷媒の充填量V1(kg)、前記冷媒流路の容積V2(L)、前記冷媒流路の設計圧力P(MPa)は、
V1×a≦V2≦V1×b
a=0.078×P2-2.111×P+15.771
b=0.055×P2-1.768×P+16.144
の関係を満たす、
熱源ユニット。
【請求項2】
前記設計圧力Pは、
10MPa以上14MPa以下である、
請求項1に記載の熱源ユニット。
【請求項3】
前記冷媒を貯留する冷媒貯留容器(27、28a)をさらに備え、
前記冷媒貯留容器の容積V3(L)は、
0.4×V2≦V3<0.9×V2、
の関係を満たす、
請求項1に記載の熱源ユニット。
【請求項4】
前記冷媒流路において前記冷媒が流れる方向を切り換える流路切換機構(22)と、
前記冷媒を貯留する冷媒貯留容器(27、28a)と
をさらに備える、
請求項1に記載の熱源ユニット。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の前記熱源ユニットと、
接続配管(6、7)を介して前記熱源ユニットに接続される前記利用ユニットと、
を備え、
前記接続配管は、
前記熱源ユニットと前記利用ユニットとの設置位置に応じて、長さを変更され、
前記熱源ユニット及び前記利用ユニットが前記接続配管を介して接続されることで形成される冷媒回路(10)への前記冷媒の追加充填が不要な第1長さ(L1)を有し、
前記熱源ユニットは、
前記接続配管が前記第1長さである場合の前記冷媒回路における必要冷媒量に応じた量の前記冷媒が充填されている、
空気調和装置。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか1項に記載の前記熱源ユニットと、
接続配管(6、7)を介して前記熱源ユニットに接続される前記利用ユニットと
を備え、
前記接続配管は、
前記熱源ユニットと前記利用ユニットとの設置位置に応じて、長さを変更され、
前記熱源ユニットの前記冷媒流路に充填されている冷媒の充填量は、
前記接続配管が所定の第1長さ(L1)よりも短い場合の、前記熱源ユニット及び前記利用ユニットが前記接続配管を介して接続されることで形成される冷媒回路(10)における必要冷媒量よりも多い、
空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
熱源ユニット及び空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化炭素を冷媒に用いた空気調和装置が知られている。特許文献1(特開2008-045769号公報)は、空気調和装置の設置作業の効率化を目的とした、二酸化炭素冷媒の充填方法を開示している。
【0003】
空気調和装置の設置作業のさらなる効率化を図るため、製造工場において熱源ユニット(室外機)に冷媒をあらかじめ充填し、設置場所において熱源ユニットと利用ユニット(室内機)とを接続することで冷媒回路に冷媒を充填する技術が知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
室外機にあらかじめ充填する冷媒として二酸化炭素を用いた場合、外気温度の上昇に起因して冷媒流路内の冷媒が超臨界となることがある。超臨界となった冷媒は圧力が急激に増加するため、冷媒流路内において圧力異常が発生するおそれがある。
【0005】
本開示は、充填された二酸化炭素冷媒が超臨界となることに起因する、冷媒流路内における圧力異常の発生を抑制する空気調和装置の熱源ユニットを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1観点の熱源ユニットは、利用ユニットに接続され空気調和装置を構成する。熱源ユニットは、圧縮機と、熱源熱交換器と、第1閉鎖弁と、第2閉鎖弁と、冷媒流路と、冷媒とを備える。冷媒流路は、圧縮機、熱源熱交換器、第1閉鎖弁、及び第2閉鎖弁が冷媒配管で接続された流路である。冷媒は、冷媒流路に充填される。冷媒は、二酸化炭素である。
【0007】
冷媒流路に充填されている冷媒の充填量V1(kg)、冷媒流路の容積V2(L)、冷媒流路の設計圧力P(MPa)は、次の関係を満たす。
V1×a≦V2≦V1×b
a=0.078×P2-2.111×P+15.771
b=0.055×P2-1.768×P+16.144
【0008】
本熱源ユニットによれば、充填された二酸化炭素冷媒が超臨界となることに起因する、冷媒流路内における圧力異常の発生が抑制される。
【0009】
第2観点の熱源ユニットは、第1観点の熱源ユニットであって、設計圧力Pが、10MPa以上14MPa以下である。
【0010】
第3観点の熱源ユニットは、第1観点又は第2観点の熱源ユニットであって、冷媒を貯留する冷媒貯留容器をさらに備える。
【0011】
冷媒貯留容器の容積V3(L)は、次の関係を満たす。
0.4×V2≦V3<0.9×V2
【0012】
熱源ユニットは、冷媒流路において、冷媒流路だけでなく冷媒貯留容器にも冷媒を貯留できるため、容積V2を十分に確保して効果的に冷媒流路内における圧力異常の発生を抑制できる。
【0013】
第4観点の熱源ユニットは、第1観点から第3観点のいずれかの熱源ユニットであって、流路切換機構と、冷媒貯留容器とをさらに備える。流路切換機構は、冷媒流路において冷媒が流れる方向を切り換える。冷媒貯留容器は、冷媒を貯留する容器である。
【0014】
冷媒貯留容器は、充填された冷媒を貯留するだけでなく、冷房運転と暖房運転との間で生じる運転負荷の変動等に起因して生じる余剰冷媒を貯留できる。
【0015】
第5観点の空気調和装置は、第1観点から第4観点のいずれかの熱源ユニットと、利用ユニットとを備える。利用ユニットは、接続配管を介して熱源ユニットに接続される。接続配管は、熱源ユニットと利用ユニットとの設置位置に応じて、長さを変更され、熱源ユニット及び利用ユニットが接続配管を介して接続されることで形成される冷媒回路への冷媒の追加充填が不要な第1長さを有する。熱源ユニットは、前記接続配管が前記第1長さである場合の冷媒回路における必要冷媒量に応じた量の冷媒が充填されている。
【0016】
第6観点の空気調和装置は、第1観点から第4観点のいずれかの熱源ユニットと、利用ユニットとを備える。利用ユニットは、接続配管を介して熱源ユニットに接続される。接続配管は、熱源ユニットと利用ユニットとの設置位置に応じて、長さを変更される。熱源ユニットの冷媒流路に充填されている冷媒の充填量は、接続配管が所定の第1長さよりも短い場合の、熱源ユニット及び利用ユニットが接続配管を介して接続されることで形成される冷媒回路における必要冷媒量よりも多い。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1実施形態に係る熱源ユニット2を備える空気調和装置1の概略構成図である。
【
図4】第2実施形態に係る熱源ユニット2aを備える空気調和装置1aの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1実施形態>
(1)全体構成
図1は、第1実施形態に係る熱源ユニット2を備える空気調和装置1の概略構成図である。空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行い、室内等の空調対象空間(図示省略)における空調運転(冷房運転及び暖房運転)を実行する。空気調和装置1は、1台の熱源ユニット2と、1台の利用ユニット3と、熱源ユニット2及び利用ユニット3を接続する第1接続配管6及び第2接続配管7とを備える。互いに接続された熱源ユニット2と、利用ユニット3と、接続配管6、7とは、冷媒回路10を構成する。冷媒回路10に充填された冷媒は、二酸化炭素である。なお、以下では、第1接続配管6及び第2接続配管7をまとめて接続配管6、7とも呼ぶ。
【0019】
詳細は後述するが、冷媒回路10に充填される冷媒は、製造工場等において熱源ユニット2に充填される。空気調和装置1の設置場所等において、熱源ユニット2と利用ユニット3とが接続配管6、7を介して接続されることで、熱源ユニット2に充填された冷媒は、冷媒回路10に充填される。
【0020】
(2)詳細構成
(2-1)利用ユニット
利用ユニット3は、空調対象空間に設置される。利用ユニット3は、冷媒回路10の一部を構成する利用側冷媒流路30を有する。利用側冷媒流路30は、利用側熱交換器31を含む。
【0021】
(2-1-1)利用側熱交換器
利用側熱交換器31は、内部を流れる冷媒と、空調対象空間の空気との間で熱交換を行わせる。利用側熱交換器31の一端は、冷媒配管30aを介して第1接続配管6に接続される。利用側熱交換器31の他端は、冷媒配管30aを介して第2接続配管7に接続される。
【0022】
(2-2)熱源ユニット
熱源ユニット2は、空調対象空間の外(屋外等)に設置される。熱源ユニット2は、冷媒回路10の一部を構成する熱源冷媒流路20を有する。熱源冷媒流路20は、圧縮機21と、流路切換機構22と、熱源熱交換器23と、熱源膨張機構24と、第1閉鎖弁25と、第2閉鎖弁26と、アキュムレータ27とを含む。圧縮機21と、流路切換機構22と、熱源熱交換器23と、熱源膨張機構24と、第1閉鎖弁25と、第2閉鎖弁26と、アキュムレータ27とは、互いに冷媒配管20aを介して接続されている。熱源冷媒流路20は、冷媒流路の一例である。
【0023】
(2-2-1)圧縮機
圧縮機21は、吸入管21aから冷凍サイクルにおける低圧の冷媒を吸入し圧縮機構(図示省略)で冷媒を圧縮して、圧縮した冷媒を高圧の冷媒として吐出管21bへと吐出する。本実施形態では、熱源ユニット2は、圧縮機21を1台だけ有するが、圧縮機21の台数は1台に限定されず、複数であってもよい。圧縮機21の起動、停止、及び容量の制御は、図示しない制御部が行うことができる。
【0024】
(2-2-2)流路切換機構
流路切換機構22は、冷媒の流れ方向を切り換え、冷媒回路10の状態を第1状態と第2状態との間で変更する。冷媒回路10が第1状態にある時には、熱源熱交換器23が冷媒の放熱器として機能し、利用側熱交換器31が冷媒の蒸発器として機能する。冷媒回路10が第2状態にあるときには、熱源熱交換器23が冷媒の蒸発器として機能し、利用側熱交換器31が冷媒の放熱器として機能する。流路切換機構22の状態の変更は、図示しない制御部が行うことができる。
【0025】
本実施形態では、流路切換機構22は4つのポートP1,P2,P3,P4を有する四路切換弁である。ポートP1は、熱源熱交換器23の一端に接続されている。ポートP2は、圧縮機21の吐出管21bに接続されている。ポートP3は、アキュムレータ27に接続されている。ポートP4は、第2閉鎖弁26に接続されている。第1状態において、ポートP1はポートP2と連通し、ポートP3はポートP4と連通する。第2状態において、ポートP1はポートP3と連通し、ポートP2はポートP4と連通する。
【0026】
流路切換機構22は四路切換弁に限られない。例えば、流路切換機構22は、複数の電磁弁及び冷媒管が上述のような冷媒の流れ方向の切り換えを実現できるように組み合わせられて構成されてもよい。
【0027】
(2-2-3)熱源熱交換器
熱源熱交換器23は、内部を流れる冷媒と熱源ユニット2の設置場所の空気(熱源空気)との間で熱交換を行わせる。熱源熱交換器23の一端は、流路切換機構22のポートP1に接続されている。熱源熱交換器23の他端は、熱源膨張機構24に接続されている。
【0028】
(2-2-4)熱源膨張機構
熱源膨張機構24は、開度が制御されることで、熱源冷媒流路20を流れる冷媒の流量の調節及び冷媒の減圧を行う。熱源膨張機構24の一端は、熱源熱交換器23に接続されている。熱源膨張機構24の他端は、第1閉鎖弁25に接続されている。熱源膨張機構24の開度は、図示しない制御部が制御できる。
【0029】
(2-2-5)第1閉鎖弁及び第2閉鎖弁
第1閉鎖弁25は、熱源冷媒流路20と第1接続配管6との接続部に設けられた弁である。第1閉鎖弁25が閉じられることで、熱源冷媒流路20と第1接続配管6との間での冷媒の流通が規制される。第1閉鎖弁25は、例えば、手動で操作される弁である。本実施形態では、第1閉鎖弁25は、冷媒回路10の外部と連通可能なサービスポートを備えた3方弁である。
【0030】
第2閉鎖弁26は、熱源冷媒流路20と第2接続配管7との接続部に設けられた弁である。第2閉鎖弁26が閉じられることで、熱源冷媒流路20と第2接続配管7との間での冷媒の流通が規制される。第2閉鎖弁26は、例えば、手動で操作される弁である。本実施形態では、第2閉鎖弁26は、冷媒回路10の外部と連通可能なサービスポートを備えた3方弁である。
【0031】
第1閉鎖弁25及び第2閉鎖弁26は、製造工場での出荷時に閉状態とされ、空気調和装置1の設置作業が終了すると開状態とされる。設置作業の終了後は、通常、第1閉鎖弁25及び第2閉鎖弁26は、開状態が維持される。
【0032】
(2-2-6)アキュムレータ
アキュムレータ27は、利用ユニット3の運転負荷の変動等に応じて冷媒回路10内に発生する余剰冷媒を溜める容器である。流路切換機構22のポートP3と圧縮機21の吸入管21aとの間に設けられている。アキュムレータ27は、冷媒貯留容器の一例である。
【0033】
(2-2-7)冷媒の充填量と熱源冷媒流路の容積との関係
熱源ユニット2は、利用ユニット3及び接続配管6、7のいずれにも接続されていない単体の状態で、冷媒が熱源冷媒流路20に充填されている。熱源冷媒流路20に充填される冷媒の量は、冷媒回路10に充填されることで空気調和装置1が必要な能力の冷凍サイクル運転を実行できる量である。より詳細には、熱源冷媒流路20に充填されている冷媒の充填量V1(kg)は、熱源冷媒流路20の容積V2(L)、熱源冷媒流路20の設計圧力P(MPa)との間で、次の(数1)の関係を満たす。
(数1)
V1×a≦V2≦V1×b ・・・(1)
a=0.078×P2-2.111×P+15.771 ・・・(2)
b=0.055×P2-1.768×P+16.144 ・・・(3)
【0034】
熱源冷媒流路20の容積であるV2は、圧縮機21と、流路切換機構22と、熱源熱交換器23と、熱源膨張機構24と、第1閉鎖弁25と、第2閉鎖弁26と、アキュムレータ27とが冷媒配管20aを用いて互いに接続され、第1閉鎖弁25及び第2閉鎖弁26で外部から閉塞された空間の容積である。
【0035】
本実施形態では、熱源冷媒流路20の設計圧力P(MPa)は、10MPa以上14MPa以下である。
【0036】
また、アキュムレータ27の容積V3(L)は、熱源冷媒流路20の容積V2(L)との間で、次の(数2)の関係を満たしてもよい。
(数2)
0.4×V2≦V3<0.9×V2
【0037】
熱源冷媒流路20への冷媒の充填は、典型的には、熱源ユニット2の製造工場において行われる。冷媒の充填が行われた後に第1閉鎖弁25及び第2閉鎖弁が閉状態とされることで、熱源ユニット2が製造工場から出荷されてから空気調和装置1が設置されるまでに、冷媒が熱源冷媒流路20から漏出することが抑制される。
【0038】
(2-3)接続配管
接続配管6、7は、熱源冷媒流路20及び利用側冷媒流路30(言い換えると、熱源ユニット2及び利用ユニット3)を接続する連絡管である。熱源冷媒流路20と、利用側冷媒流路30と、第1接続配管6と、第2接続配管7とが接続されることにより、冷媒回路10が構成される。
【0039】
接続配管6、7のそれぞれの長さは、上限100m程度を目処に、熱源ユニット2と利用ユニット3との間の距離等に応じて任意に変更される。
【0040】
(3)空気調和装置の動作
次に、空調運転における空気調和装置1の各部の動作について説明する。
【0041】
(3-1)冷房運転
冷房運転時では、流路切換機構22は、第1状態に制御される。また、熱源膨張機構24は、利用側熱交換器31の負荷に応じて開度が制御される。
【0042】
この状態において、圧縮機21が起動すると、冷凍サイクルにおける低圧の冷媒は、圧縮機21の吸入管21aから吸入された後、圧縮されて高圧の冷媒として吐出管21bから吐出される。圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、流路切換機構22を経由して熱源熱交換器23に送られて、熱源空気と熱交換を行って冷却される。言い換えると、熱源熱交換器23は、放熱器として機能する。熱源熱交換器23において冷却された高圧の冷媒は、熱源膨張機構24を通過する際に減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となる。低圧の気液二相状態の冷媒は、第1閉鎖弁25、及び第1接続配管6を経由して、利用ユニット3に送られる。利用ユニット3に送られた冷媒は、利用側熱交換器31において空調対象空間の空気と熱交換を行って加熱された結果、蒸発して低圧の冷媒となる。言い換えると、利用側熱交換器31は、蒸発器として機能する。利用側熱交換器31において加熱された低圧の冷媒は、第2接続配管7を経由して熱源ユニット2に送られ、第2閉鎖弁26及び流路切換機構22を経由して、アキュムレータ27に流入する。アキュムレータ27に流入した低圧の冷媒は、再び、圧縮機21に吸入される。
【0043】
(3-2)暖房運転
暖房運転時では、流路切換機構22は、第2状態に制御される。また、熱源膨張機構24は、冷媒を熱源熱交換器23において蒸発させることが可能な圧力まで減圧できる開度に制御される。
【0044】
この状態において、圧縮機21が起動すると、冷凍サイクルにおける低圧の冷媒は、圧縮機21の吸入管21aから吸入された後、圧縮されて高圧の冷媒として吐出管21bから吐出される。圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、流路切換機構22、第2閉鎖弁26、及び第2接続配管7を経由して、利用ユニット3に送られる。利用ユニット3に送られた高圧の冷媒は、利用側熱交換器31において、空調対象空間の空気と熱交換を行って冷却される。言い換えると、利用側熱交換器31は、放熱器として機能する。利用側熱交換器31において冷却された高圧の冷媒は、第1接続配管6を経由して熱源ユニット2に送られる。熱源ユニット2に送られた冷媒は、第1閉鎖弁25を経由した後、熱源膨張機構24を通過する際に減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となり熱源熱交換器23に流入する。熱源熱交換器23に流入した低圧の気液二相状態の冷媒は、熱源空気と熱交換を行って加熱されることによって蒸発して低圧の冷媒となる。言い換えると、熱源熱交換器23は、蒸発器として機能する。熱源熱交換器23に加熱された低圧の冷媒は、流路切換機構22を経由してアキュムレータ27に流入する。アキュムレータ27に流入した低圧の冷媒は、再び、圧縮機21に吸入される。
【0045】
(4)冷媒充填方法
次に、空気調和装置1の設置作業における冷媒回路10への冷媒の充填方法について説明する。
【0046】
空気調和装置1の設置作業は、熱源ユニット2及び利用ユニット3がそれぞれ設置場所に据え付けられる工程と、接続配管6、7を介して熱源冷媒流路20及び利用側冷媒流路30が接続される工程とを有する。
【0047】
空気調和装置1では、熱源ユニット2の熱源冷媒流路20に冷媒が充填されているため、熱源冷媒流路20及び利用側冷媒流路30が接続配管6、7を介して接続されることで、熱源ユニット2に充填された冷媒が、接続配管6、7を通り利用ユニット3に送られることで冷媒回路10に充填される。このように、空気調和装置1の設置作業においては、接続配管6、7を介して熱源冷媒流路20及び利用側冷媒流路30が接続されことで冷媒回路10に冷媒が充填されるため、冷媒を冷媒回路10に外部から充填する作業が不要である。したがって、熱源ユニット2を備えた空気調和装置1によれば、効率的に設置作業が行われる。
【0048】
(5)特徴
(5-1)
熱源ユニット2は、利用ユニット3に接続され空気調和装置1を構成する。熱源ユニット2は、圧縮機21と、熱源熱交換器23と、第1閉鎖弁25と、第2閉鎖弁26と、熱源冷媒流路20と、冷媒とを備える。熱源冷媒流路20は、圧縮機21、熱源熱交換器23、第1閉鎖弁25、及び第2閉鎖弁26が冷媒配管20aで接続された流路である。冷媒は、熱源冷媒流路20に充填される。冷媒は、二酸化炭素である。
【0049】
熱源冷媒流路20に充填されている冷媒の充填量V1(kg)、熱源冷媒流路20の容積V2(L)、熱源冷媒流路20の設計圧力P(MPa)は、次の(数1)の関係を満たす。
(数1)
V1×a≦V2≦V1×b ・・・(1)
a=0.078×P2-2.111×P+15.771 ・・・(2)
b=0.055×P2-1.768×P+16.144 ・・・(3)
【0050】
二酸化炭素冷媒は、他の冷媒と比較して超臨界となった際の圧力の増加が急激であることが知られている。
図2は、R32のモリエル線図である。
図3は、二酸化炭素のモリエル線図である。
【0051】
図2に示されるように、気液二相の状態にあるR32は、非運転時の熱源ユニットに通常想定される外気温度や直射日光などによって上昇する冷媒温度の上限である70℃においても気液二相状態を維持することができ、その際の圧力は約5.0MPaである。
【0052】
これに対して、
図3に示されるように、気液二相状態にある二酸化炭素は、臨界点CP(臨界温度:約31.1℃、臨界圧力:約7.38MPa)超えた場合に、超臨界となる。超臨界となった二酸化炭素は、例えば、密度が500kg/m
3である場合、40℃において約9MPa(Pr1)であった圧力が通常想定される外気温度や直射日光などによって上昇する冷媒温度の上限である70℃において約14.9MPa(Pr2)まで急激に上昇する。このため、二酸化炭素冷媒が充填された熱源冷媒流路20では、外気温の上昇等にともない超臨界となった冷媒の圧力が熱源冷媒流路20の設計圧力Pを超える圧力異常が発生し、熱源冷媒流路20を構成する各部の破損の原因となるおそれがある。
【0053】
熱源ユニット2では、冷媒の充填量V1と、熱源冷媒流路20の容積V2との関係が、二酸化炭素冷媒の温度と圧力との間の特性及び想定される冷媒の温度範囲から得られた(数1)に基づいて設定される。ここで、想定される冷媒の温度範囲は、50℃以上70℃以下である。50℃は、熱源ユニット2が保管される倉庫等の場所において、夏季などに想定される温度(例えば、倉庫内の温度)である。また、70℃は、熱源ユニット2が保管される倉庫等の場所において外気温度や直射日光などによって上昇する冷媒温度の上限である。
【0054】
式1の(2)は、冷媒の温度が50℃である場合に、設計圧力Pである熱源冷媒流路20を構成する各部が圧力上昇で破損することが抑制される比容積を求める。
【0055】
式1の(3)は、冷媒の温度が70℃である場合に、設計圧力Pである熱源冷媒流路20の容積が必要以上に大きくなる熱源冷媒流路20の大型化が抑制される比容積を求める。
【0056】
任意の冷媒量V1において、熱源冷媒流路20の設計圧力Pを任意に選択した場合に、熱源冷媒流路20の容積V2が、式1の(1)左辺で算出される容積V1×a以上、かつ、式1の(1)右辺で算出される容積V1×b以下を満たすように設定されることで、熱源冷媒流路20の大型化を抑制しながら、熱源冷媒流路20に充填された二酸化炭素冷媒が超臨界となることに起因する、冷媒流路内における圧力異常の発生が抑制される。
【0057】
したがって、熱源ユニット2によれば、熱源冷媒流路20の大型化を抑制しながら、熱源冷媒流路20に充填された二酸化炭素冷媒が超臨界となることに起因する、冷媒流路内における圧力異常の発生が抑制される。
【0058】
(5-2)
設計圧力Pは、10MPa以上14MPa以下である。
【0059】
冷媒の圧力が14MPaとなった場合に式1の(2)で算出される点は、
図3の第1点Paとなり、式1の(3)で算出される点は、
図3の第2点Pbとなる。さらに冷媒の圧力が10MPaとなった場合に式1の(2)で算出される点は、
図3の第3点Pcとなり、式1の(3)で算出される点は、
図3の第4点Pdとなる。そして、熱源冷媒流路20の容積V2が式1の(1)を満たすことで、熱源冷媒流路20に充填された冷媒は、
図3の斜線ハッチングで示した範囲に含まれる。
【0060】
(5-3)
アキュムレータ27の容積V3(L)は、熱源冷媒流路20の容積V2(L)との間で、次の(数2)の関係を満たすことが好ましい。
(数2)
0.4×V2≦V3<0.9×V2
【0061】
熱源ユニット2は、熱源冷媒流路20において、熱源冷媒流路20だけでなくアキュムレータ27にも冷媒を貯留できるため、容積V2を十分に確保して効果的に冷媒流路内における圧力異常の発生を抑制できる。
【0062】
(5-4)
熱源ユニット2は、熱源冷媒流路20において冷媒が流れる方向を切り換える流路切換機構22と、冷媒を貯留するアキュムレータ27とをさらに備える。
【0063】
アキュムレータ27は、充填された冷媒を貯留するだけでなく、冷房運転と暖房運転との間で生じる運転負荷の変動等に起因して生じる余剰冷媒を貯留できる。
【0064】
(6)変形例
(6-1)変形例A1
空気調和装置1は、1台の熱源ユニット2と、複数台の利用ユニット3とにより構成されるマルチタイプの空気調和装置であってもよい。
【0065】
(6-2)変形例A2
空気調和装置1は、流路切換機構22を有さず、空調運転として冷房運転及び暖房運転のいずれかのみを実行可能であってもよい。
【0066】
(6-3)変形例A3
空気調和装置1の設置作業は、接続配管6、7を介して熱源ユニット2及び利用ユニット3が接続される工程の後に、冷媒の追加充填工程をさらに有してもよい。冷媒の追加充填工程は、熱源ユニット2及び利用ユニット3の接続に用いられる接続配管6、7の長さが所定の第1長さL1以上である場合に行われる。
【0067】
上述したように、熱源ユニット2の熱源冷媒流路20には、冷媒回路10に充填されることで空気調和装置1が必要な能力の冷凍サイクル運転を実行できる量(以下、必要冷媒量ともいう)の冷媒が充填されている。しかしながら、熱源ユニット2及び利用ユニット3が互いに離れた位置に配置される場合等に、通常よりも長い接続配管6、7を用いて熱源ユニット2及び利用ユニット3を接続する必要が生じる。このような場合、冷媒回路10の容量が当初の想定よりも大きくなり、熱源ユニット2の熱源冷媒流路20に充填された冷媒が、必要冷媒量に対して不足するおそれがある。そこで、変形例A3に係る空気調和装置1では、熱源冷媒流路20に充填された冷媒が、必要冷媒量未満とならない最大の長さが第1長さL1としてあらかじめ設定される。言い換えると、接続配管6、7は、熱源ユニット2と利用ユニット3との設置位置に応じて、長さを変更される。接続配管6、7は、熱源ユニット2及び利用ユニット3が接続配管6、7を介して接続されることで形成される冷媒回路10への冷媒の追加充填が不要である第1長さL1を長さのバリエーションの1つとして有する。熱源ユニット2は、接続配管6、7が第1長さL1である場合の冷媒回路10における必要冷媒量に応じた量の冷媒が充填されている。
【0068】
これにより、空気調和装置1の設置作業を行う作業者等は、空気調和装置1の設置作業に際して必要となる接続配管6、7の長さが第1長さL1以上であるか否かを判断する。
【0069】
接続配管6、7の長さが第1長さL1よりも短い場合は、熱源冷媒流路20に充填された冷媒が必要冷媒量よりも多いため、冷媒の追加充填工程は不要である。したがって、冷媒の追加充填工程は行われずに、接続配管6、7を介して熱源ユニット2及び利用ユニット3が接続される工程が行われた後、設置作業は終了する。言い換えると、熱源ユニット2の熱源冷媒流路20に充填されている冷媒の充填量は、接続配管6、7が第1長さL1よりも短い場合の、熱源ユニット2及び利用ユニット3が接続配管6、7を介して接続されることで形成される冷媒回路10における必要冷媒量よりも多い。
【0070】
他方、接続配管6、7の長さが第1長さL1以上である場合は、熱源冷媒流路20に充填された冷媒が必要冷媒量に足りないため、冷媒の追加充填工程が必要となる。したがって、冷媒の追加充填工程が行われ、接続配管6、7の長さに応じた量の冷媒が冷媒回路10へ追加充填される。冷媒は、例えば、第1閉鎖弁25又は第2閉鎖弁26のサービスポートから追加充填される。
【0071】
空気調和装置1が1台の熱源ユニット2と、1台の利用ユニット3とを備えるペア型の空気調和装置である場合は、第1長さL1は、例えば、15m程度である。空気調和装置1が1台の熱源ユニット2と、複数台の利用ユニット3とを備えるマルチ型の空気調和装置である場合は、第1長さL1は、例えば、30mから70m程度である。
【0072】
(6-4)変形例A4
熱源ユニット2の熱源冷媒流路20は、余剰冷媒を貯留するレシーバをさらに有してもよい。この場合、V3は、アキュムレータ27の容積に加えてレシーバの容積も含む。
【0073】
<第2実施形態>
(1)全体構成
第2実施形態に係る熱源ユニット2aについて熱源ユニット2との相違点を中心に説明する。熱源ユニット2aも、熱源ユニット2と同様に、第1接続配管6及び第2接続配管7を用いて1台以上の利用ユニット3に接続され空気調和装置1aを構成する。以下では、第1実施形態と同じ又は対応する特徴については、同一の符号を付して説明を省略する
図4は、第2実施形態に係る熱源ユニット2aを備える空気調和装置1aの概略構成図である。
【0074】
熱源ユニット2aの熱源ユニット2との間の主な相違点は、熱源ユニット2aが冷媒量調整部28をさらに備える点である。冷媒量調整部28は、空気調和装置1aの設置作業において充填する冷媒を貯留するとともに、利用ユニット3の運転負荷の変動等に応じて冷媒回路10内に発生する余剰冷媒を溜める。冷媒量調整部28は、熱源ユニット2aの熱源冷媒流路20に含まれる。これにより、熱源ユニット2aでは、熱源ユニット2と比べて多くの冷媒が熱源冷媒流路20に充填される。冷媒量調整部28は、冷媒貯留容器28aと、圧力調整弁28bと、逆止弁28cと、電磁弁28dと、膨張機構28eとを有する。
【0075】
(2)詳細構成
(2-1)冷媒貯留容器
冷媒貯留容器28aは、熱源冷媒流路20に充填される冷媒の少なくとも一部を貯留するとともに、冷媒回路10内に発生する余剰冷媒を溜める容器(タンク)である。冷媒貯留容器28aは、第1ポート28aaと、第2ポート28abとを有する。冷媒貯留容器28aは、冷媒貯留容器の一例である。
【0076】
第1ポート28aaは、冷媒貯留容器28aの内部の圧力を調整するために設けられたポートである。第1ポート28aaは、流路切換機構22のポートP3とアキュムレータ27と接続する冷媒配管20a及び圧縮機21の吐出管21bに圧力調整用配管20bを介して接続されている。
【0077】
第2ポート28abは、冷媒が流通するポートである。第2ポート28abは、圧縮機21の吸入管21aに冷媒配管20aを介して接続されている。
【0078】
(2-2)圧力調整弁
圧力調整弁28bは、冷媒貯留容器28a内の冷媒の圧力が高くなり過ぎることを抑制する弁である。圧力調整弁28bは、流路切換機構22のポートP3とアキュムレータ27と接続する冷媒配管20aに接続された圧力調整用配管20bに設けられる。圧力調整弁28bは、冷媒貯留容器28a内の冷媒の圧力が所定の値以上となると開き、高圧の冷媒をアキュムレータ27へ逃がす。
【0079】
(2-3)逆止弁及び電磁弁
逆止弁28c及び電磁弁28dは、冷媒貯留容器28a内の冷媒の圧力を増加させる際に用いられる弁である。逆止弁28c及び電磁弁28dは、圧縮機21の吐出管21bに接続された圧力調整用配管20bに設けられる。圧縮機21の運転中に電磁弁28dが開くと、圧縮機21から吐出された高圧の冷媒が冷媒貯留容器28aに送られる。電磁弁28dは、典型的には、冷媒貯留容器28aの冷媒を冷媒回路10に充填する際に開かれる。逆止弁28cは、冷媒貯留容器28aから圧縮機21の吐出管21bへ冷媒が流れることを抑制する。電磁弁28dの開閉は、図示しない制御部が行うことができる。なお、逆止弁28c及び電磁弁28dは電動弁を含む流量調整機構であってもよい。
【0080】
(2-4)膨張機構
膨張機構28eは、圧縮機21の吸入管21aと冷媒貯留容器28aとの間を接続する冷媒配管20aを流れる冷媒の流量の調節及び冷媒の減圧を行う。膨張機構28eの開度は、図示しない制御部が行うことができる。
【0081】
(2-5)冷媒の充填量と熱源冷媒流路の容積との関係
熱源ユニット2aも、熱源ユニット2と同様に、利用ユニット3及び接続配管6、7のいずれにも接続されていない単体の状態で、冷媒が熱源冷媒流路20に充填されている。熱源冷媒流路20に充填される冷媒の量は、冷媒回路10に充填されることで空気調和装置1aが必要な能力の冷凍サイクル運転を実行できる量である。この際、熱源冷媒流路20に充填されている冷媒の充填量V1(kg)は、熱源冷媒流路20の容積V2(L)、熱源冷媒流路20の設計圧力P(MPa)との間で、上述した(数1)の関係を満たす。
【0082】
また、熱源ユニット2aでは、V3は、アキュムレータ27の容積に加えて冷媒貯留容器28aの容積も含む。V3(L)は、熱源冷媒流路20の容積V2(L)との間で、上述した(数2)の関係を満たす。
【0083】
(3)空気調和装置の動作
冷房運転及び暖房運転のいずれにおいても、膨張機構28eと電磁弁28dは、冷媒供給時は全開又は全開近くまで開度が制御される。膨張機構28eと電磁弁28dは、冷媒供給が終わると全閉又は全閉近くまで開度が制御される。これにより、空気調和装置1aの冷媒回路10内に必要な冷媒が供給される。また、冷媒貯留容器28aにあらかじめ充填されていた冷媒の内、余剰となる冷媒は、冷媒回路10内に供給されることなく冷媒貯蔵容器28aに貯蓄される。
【0084】
空調運転における空気調和装置1aのこれ以外の各部の動作については、空気調和装置1と同様であるため説明を省略する。
【0085】
(4)冷媒充填方法
空気調和装置1aの設置作業は、熱源ユニット2及び利用ユニット3がそれぞれ設置場所に据え付けられる工程と、接続配管6、7を介して熱源ユニット2及び利用ユニット3が接続される工程とに加えて、冷媒貯留容器28aに貯留された冷媒が冷媒回路10に送り出される工程をさらに有する。
【0086】
冷媒貯留容器28aに貯留された冷媒が冷媒回路10に送り出される工程では、熱源膨張機構24、電磁弁28d、及び膨張機構28eは、全開又は全開近くまで開度が制御される。この状態で、圧縮機21が起動すると、圧縮機21から吐出された高圧の冷媒が第1ポート28aaを通過して冷媒貯留容器28aに貯留された冷媒を第2ポート28abから押し出す。この結果、膨張機構28eを通過した冷媒は、圧縮機21の吸入管21aから吸入されることで、冷媒回路10に充填される。圧縮機21が停止することで、本工程が終了する。
【0087】
空気調和装置1aでは、熱源ユニット2aが冷媒量調整部28をさらに含むため、熱源ユニット2と比べて多くの冷媒が熱源冷媒流路20に充填される。このため、熱源ユニット2aを備えた空気調和装置1aによれば、複数の利用ユニット3を備える場合でも、熱源ユニット2aは必要冷媒量を十分に熱源冷媒流路20に貯留できる。
【0088】
(5)特徴
(5-1)
熱源ユニット2aは、利用ユニット3に接続され空気調和装置1aを構成する。熱源ユニット2aは、圧縮機21と、熱源熱交換器23と、第1閉鎖弁25と、第2閉鎖弁26と、熱源冷媒流路20と、冷媒とを備える。熱源ユニット2aの熱源冷媒流路20は、圧縮機21、熱源熱交換器23、第1閉鎖弁25、第2閉鎖弁26、及び、冷媒量調整部28が冷媒配管20aで接続された流路である。冷媒は、熱源冷媒流路20に充填される。冷媒は、二酸化炭素である。
【0089】
熱源冷媒流路20に充填されている冷媒の充填量V1(kg)、熱源冷媒流路20の容積V2(L)、熱源冷媒流路20の設計圧力P(MPa)は、上述した(数1)の関係を満たす。
【0090】
したがって、熱源ユニット2aによっても、熱源冷媒流路20の大型化を抑制しながら、充填された二酸化炭素冷媒が超臨界となることに起因する、冷媒流路内における圧力異常の発生が抑制される。
【0091】
(5-2)
アキュムレータ27及び冷媒貯留容器28aの容積V3(L)は、熱源冷媒流路20の容積V2(L)との間で、上述した(数3)の関係を満たすことが好ましい。
【0092】
熱源ユニット2aは、熱源冷媒流路20において、熱源冷媒流路20だけでなくアキュムレータ27及び冷媒貯留容器28aにも冷媒を貯留できるため、容積V2を十分に確保して効果的に冷媒流路内における圧力異常の発生を抑制できる。
【0093】
(6)変形例
空気調和装置1a及び熱源冷媒流路20も、上述した変形例A1から変形例A5の特徴を有してもよい。
【0094】
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0095】
1、1a:空気調和装置
2、2a:熱源ユニット
3 :利用ユニット
6 :第1接続配管(接続配管)
7 :第2接続配管(接続配管)
10 :冷媒回路
20 :熱源冷媒流路(冷媒流路)
20a :冷媒配管
21 :圧縮機
22 :流路切換機構
23 :熱源熱交換器
25 :第1閉鎖弁
26 :第2閉鎖弁
27 :アキュムレータ(冷媒貯留容器)
28 :冷媒量調整部
28a :冷媒貯留容器
L1 :第1長さ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0096】