IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社吉野工業所の特許一覧

<>
  • 特開-吐出容器 図1
  • 特開-吐出容器 図2
  • 特開-吐出容器 図3
  • 特開-吐出容器 図4
  • 特開-吐出容器 図5
  • 特開-吐出容器 図6
  • 特開-吐出容器 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052461
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】吐出容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/34 20060101AFI20240404BHJP
   F04B 9/14 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
B65D47/34 110
F04B9/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192266
(22)【出願日】2022-11-30
(31)【優先権主張番号】P 2022158313
(32)【優先日】2022-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】坂本 智
(72)【発明者】
【氏名】砂川 貴之
(72)【発明者】
【氏名】藤原 宏太郎
【テーマコード(参考)】
3E084
3H075
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB01
3E084BA02
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB12
3E084DC03
3E084FA09
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084HA03
3E084HD01
3E084KB01
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD22
3E084LD25
3H075AA01
3H075BB03
3H075CC26
3H075DA03
3H075DA04
3H075DB13
3H075DB14
3H075DB40
(57)【要約】
【課題】吐出動作の際に容器本体内の内容物の残量を少なくできる吐出容器を提供すること。
【解決手段】吐出容器1は、容器本体2と、内容物を吐出する吐出孔3aを有するポンプ機構3と、を備え、ポンプ機構3は、上方付勢状態で下方移動可能に配設され、内部が吐出孔3aに連通するステム32と、下端に貫通孔33aを有するシリンダ33と、シリンダ33内に上下摺動可能に嵌合され、ステム32の上下動に連係するピストン34と、シリンダ33の外周面と貫通孔33aとを覆い、容器本体2内に向けて開口した吸入開口43が設けられたシリンダカバー37と、を有し、シリンダ33の外周面とシリンダカバー37の内面との間に、吸入開口43と貫通孔33aとを連通する連通路Sが設けられ、吸入開口43は、貫通孔33aよりも上方に位置する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される容器本体と、
前記容器本体の口部に装着され、内容物を吐出する吐出孔を有するポンプ機構と、を備え、
前記ポンプ機構は、
上方付勢状態で下方移動可能に配設され、内部が前記吐出孔に連通するステムと、
下端に貫通孔を有するシリンダと、
前記シリンダ内に上下摺動可能に嵌合され、前記ステムの上下動に連係するピストンと、
前記シリンダの外周面と前記貫通孔とを覆い、前記容器本体内に向けて開口した吸入開口が設けられたシリンダカバーと、を有し、
前記シリンダの外周面と前記シリンダカバーの内面との間に、前記吸入開口と前記貫通孔とを連通する連通路が設けられ、
前記吸入開口は、前記貫通孔よりも上方に位置する、吐出容器。
【請求項2】
前記吸入開口は、前記容器本体の口部内に位置している、請求項1に記載の吐出容器。
【請求項3】
前記容器本体は、
内容物が収容されると共に内容物の減少に伴い減容する内容器と、
前記内容器が内装され、前記内容器との間に外気を吸入する外気導入孔が設けられた外容器と、を備える、請求項1又は2に記載の吐出容器。
【請求項4】
前記シリンダは、外気が導入される外気導入孔を有し、
前記シリンダカバーは、前記外気導入孔を介して導入された外気を前記容器本体内に向けて流通させる外気連通孔を有し、
前記シリンダの外周面と前記シリンダカバーの内面との間に、前記外気導入孔と前記外気連通孔とを連通する外気路が設けられ、
前記外気連通孔は、前記吸入開口よりも小さい開口面積を有し、
前記外気路は、前記連通路よりも小さい流路断面積を有する、請求項1又は2に記載の吐出容器。
【請求項5】
前記シリンダは、外気が導入される外気導入孔を有し、
前記シリンダカバーは、前記外気導入孔を介して導入された外気を前記容器本体内に向けて流通させる外気連通孔を有し、
前記シリンダの外周面と前記シリンダカバーの内面との間に、前記外気導入孔と前記外気連通孔とを連通する外気路が設けられ、
前記ポンプ機構は、前記シリンダカバーに外装された外装筒部を有し、
前記外装筒部は、前記外気連通孔に連通し前記容器本体内に向けて開口した開口部を有し、
前記開口部には、前記外装筒部内から前記容器本体内への流体の流通を許容し前記容器本体内から前記外装筒部内への流体の流通を規制する弁が設けられる、請求項1又は2に記載の吐出容器。
【請求項6】
前記シリンダは、外気が導入される外気導入孔を有し、
前記シリンダカバーは、前記外気導入孔を介して導入された外気を前記容器本体内に向けて流通させる外気連通孔を有し、
前記シリンダの外周面と前記シリンダカバーの内面との間に、前記外気導入孔と前記外気連通孔とを連通する外気路が設けられ、
前記ポンプ機構は、前記シリンダカバーに外装された外装筒部を有し、
前記外装筒部は、前記外気連通孔に連通し前記容器本体内に向けて開口した開口部を有し、
前記開口部は、前記外装筒部から前記容器本体の底部に向けて延伸する延伸筒部の端部に位置する、請求項1又は2に記載の吐出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるように、内容物が収容される容器本体と、容器本体の口部に装着され、内容物を吐出する吐出孔を有するポンプ機構と、を備え、ポンプ機構は、上方付勢状態で下方移動可能に配設され、内部が吐出孔に連通するステムと、下端に内容物の吸入孔を有するシリンダと、シリンダ内に上下摺動可能に嵌合され、ステムの上下動に連係するピストンと、を有する吐出容器が知られている。なお、吐出孔が容器本体よりも上方に位置する吐出容器の姿勢を正立状態と称し、この逆の姿勢、すなわち容器本体が吐出孔よりも上方に位置する吐出容器の姿勢を倒立状態と称する。倒立状態にある吐出容器の容器本体を、ポンプ機構に対して下方に相対移動させることで、ポンプ機構を動作させ、シリンダの吸入孔から吸い込まれた内容物をステムの内側を介して吐出孔から吐出させ、例えば吐出容器とは別の容器等に内容物を供給することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-1790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の吐出容器では、シリンダは容器本体内に配置されている。正立状態にある吐出容器のシリンダの下端に吸入孔が設けられているので、倒立状態においては、シリンダの上端に内容物の吸入孔が位置している。このため、容器本体の口部はシリンダの吸入孔よりも下方に位置しており、内容物の吐出を続け、内容物の液面が吸入孔よりも下がったときには、容器本体を下方に移動させても内容物を吐出容器から吐出することはできない。この時点で、容器本体内のうち、シリンダの吸入孔と容器本体の口部との間の領域には内容物が残っている。よって、従来の吐出容器には、容器本体内の内容物の残量を少なくするという点で改善の余地がある。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、容器本体内の内容物の残量を少なくできる吐出容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る吐出容器は、内容物が収容される容器本体と、前記容器本体の口部に装着され、内容物を吐出する吐出孔を有するポンプ機構と、を備え、前記ポンプ機構は、上方付勢状態で下方移動可能に配設され、内部が前記吐出孔に連通するステムと、下端に貫通孔を有するシリンダと、前記シリンダ内に上下摺動可能に嵌合され、前記ステムの上下動に連係するピストンと、前記シリンダの外周面と前記貫通孔とを覆い、前記容器本体内に向けて開口した吸入開口が設けられたシリンダカバーと、を有し、前記シリンダの外周面と前記シリンダカバーの内面との間に、前記吸入開口と前記貫通孔とを連通する連通路が設けられ、前記吸入開口は、前記貫通孔よりも上方に位置する。
【0007】
本発明に係る吐出容器によれば、正立状態にある吐出容器のシリンダカバーに設けられた吸入開口が、シリンダの下端に設けられた貫通孔よりも上方に位置する。このため、吐出容器の倒立状態においては、シリンダの上端よりも下方にシリンダカバーの吸入開口が位置している。倒立状態で内容物の吐出を続け、内容物の液面がシリンダの上端よりも下がったとしても、シリンダの上端の下方に吸入開口が位置しているので、容器本体内のうち、シリンダの上端と容器本体の口部との間の領域における内容物を、吸入開口から吸入し、連通路及びシリンダの貫通孔を介してシリンダ内に導入させて、ポンプ機構の吐出孔から吐出することができる。このような内容物の吐出は、容器本体内における内容物の液面が吸入開口よりも下方に位置するまで続けることができるので、吐出不可となったときの容器本体内の内容物の残量を従来よりも少なくできる。
【0008】
また、前記吸入開口は、前記容器本体の口部内に位置してもよい。
【0009】
この場合には、倒立状態の容器本体の口部は、容器本体のうちの最下方に位置しており、この口部内に吸入開口が位置しているため、口部内に収容されている内容物も吐出容器から吐出することができる。よって、吐出不可となったときの容器本体内の内容物の残量を大幅に少なくできる。
【0010】
また、前記容器本体は、内容物が収容されると共に内容物の減少に伴い減容する内容器と、前記内容器が内装され、前記内容器との間に外気を吸入する外気導入孔が設けられた外容器と、を備えてもよい。
【0011】
容器本体内からの内容物の吐出に伴い、内容器が次第に減容変形するが、容器本体の口部近傍は、それ以外の胴部等の部位よりも減容変形しにくくなっており、従来では、口部近傍が減容変形しないと、倒立状態にある吐出容器のうち、シリンダの上端と容器本体の口部との間の領域に内容物が残ってしまう。しかしながら、本発明では、吐出容器の倒立状態において、シリンダの上端よりも下方にシリンダカバーの吸入開口が位置しており、倒立状態で内容物の吐出を続け、口部近傍が減容変形しにくい状態で内容物の液面がシリンダの上端よりも下がったとしても、吸入開口から内容物を吸入してポンプ機構の吐出孔から吐出することができる。
【0012】
また、前記シリンダは、外気が導入される外気導入孔を有し、前記シリンダカバーは、前記外気導入孔を介して導入された外気を前記容器本体内に向けて流通させる外気連通孔を有し、前記シリンダの外周面と前記シリンダカバーの内面との間に、前記外気導入孔と前記外気連通孔とを連通する外気路が設けられ、前記外気連通孔は、前記吸入開口よりも小さい開口面積を有し、前記外気路は、前記連通路よりも小さい流路断面積を有してもよい。
【0013】
この場合、外気連通孔は、吸入開口よりも小さい開口面積を有し、外気路は、連通路よりも小さい流路断面積を有しているので、外気連通孔及び外気路を介した流通抵抗を、吸入開口及び連通路を介した流通抵抗よりも大きくすることができる。このため、容器本体内の内容物が、外気連通孔及び外気路に比べて、吸入開口及び連通路に積極的に流入するようになり、外気連通孔及び外気路に内容物が侵入することを抑制できる。
【0014】
また、前記シリンダは、外気が導入される外気導入孔を有し、前記シリンダカバーは、前記外気導入孔を介して導入された外気を前記容器本体内に向けて流通させる外気連通孔を有し、前記シリンダの外周面と前記シリンダカバーの内面との間に、前記外気導入孔と前記外気連通孔とを連通する外気路が設けられ、前記ポンプ機構は、前記シリンダカバーに外装された外装筒部を有し、前記外装筒部は、前記外気連通孔に連通し前記容器本体内に向けて開口した開口部を有し、前記開口部には、前記外装筒部内から前記容器本体内への流体の流通を許容し前記容器本体内から前記外装筒部内への流体の流通を規制する弁が設けられてもよい。
【0015】
この場合、外装筒部の開口部には、容器本体内から外装筒部内への流体の流通を規制する弁が設けられているので、吐出容器の吐出動作の際に、容器本体内の内容物が、外気連通孔や外気導入孔を介して吐出容器の外部に漏出してしまうことを確実に防止できる。
【0016】
また、前記シリンダは、外気が導入される外気導入孔を有し、前記シリンダカバーは、前記外気導入孔を介して導入された外気を前記容器本体内に向けて流通させる外気連通孔を有し、前記シリンダの外周面と前記シリンダカバーの内面との間に、前記外気導入孔と前記外気連通孔とを連通する外気路が設けられ、前記ポンプ機構は、前記シリンダカバーに外装された外装筒部を有し、前記外装筒部は、前記外気連通孔に連通し前記容器本体内に向けて開口した開口部を有し、前記開口部は、前記外装筒部から前記容器本体の底部に向けて延伸する延伸筒部の端部に位置してもよい。
【0017】
この場合、倒立状態の吐出容器において、延伸筒部の上端を、容器本体内の内容物の液面よりも上方に位置させることができるので、吐出容器の吐出動作の際に、容器本体内の内容物が、外気連通孔や外気導入孔を介して吐出容器の外部に漏出してしまうことを適切に防止できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る吐出容器によれば、容器本体内の内容物の残量を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態に係る吐出容器の正立状態を示す縦断面図である。
図2図1のII-II線視断面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る吐出容器の倒立状態を示す縦断面図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る吐出容器の正立状態を示す縦断面図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る吐出容器の倒立状態を示す縦断面図である。
図6】本発明の第3実施形態に係る吐出容器の正立状態を示す縦断面図である。
図7】本発明の第4実施形態に係る吐出容器の正立状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る吐出容器の第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の吐出容器1は、図示しない内容物が収容される容器本体2と、容器本体2の口部2aに装着され、内容物を吐出する吐出孔3aを有するポンプ機構3と、ポンプ機構3に連結され、吐出容器1とは別の容器に離脱可能に装着される装着部4と、を備える。なお、吐出容器1の各構成部品は、特に説明がない限り、合成樹脂や金属等を用いて形成されている。内容物としては特に限定されるものではないが、例えば、食品、香料、薬品、化粧品、消毒剤、洗浄剤等の液体が挙げられる。
【0021】
容器本体2は、口部2a、肩部2b、胴部2c、および底部(不図示)を備え、これらが、それぞれの中心軸線を共通軸上に位置させた状態で、この順に連設された概略構成となっている。胴部2cの径は口部2aよりも大きい。口部2aの外周面には雄ネジ部が形成されている。
【0022】
以下、前記共通軸を軸線Oといい、軸線O方向に沿って口部2a側を上側、底部側を下側といい、軸線Oに沿う方向を上下方向といい、また、上下方向から見て軸線Oに交差する方向を径方向といい、上下方向から見て軸線O回りに周回する方向を周方向という。吐出孔3aが上方に、容器本体2が下方にそれぞれ位置する状態を正立状態という。
吐出容器1の構造の説明は、正立状態にある吐出容器1に基づいて行う。
【0023】
容器本体2は、内容物が収容されると共に内容物の減少に伴い減容する内容器21と、内容器21が内装され、内容器21との間に外気を吸入する外気導入孔(不図示)が設けられた外容器22と、を備える。なお、容器本体2の不図示の底部に形成されたピンチオフ部における内容器21と外容器22との隙間が、外気導入孔となっている。内容器21は、可撓性の材料で形成され、内容器21の外面が外容器22の内面に剥離可能に積層されている。内容器21内から内容物が吐出されると、外容器22の外部から前記外気導入孔を介して内容器21と外容器22との間に外気が導入され、内容器21は前記外気導入孔の近傍の外容器22から剥離し、内容器21は収縮する。内容器21の、口部2a近傍における剥離は、その他の胴部2cや底部等の部位における剥離よりも起こりにくくなっている。
【0024】
ポンプ機構3は、容器本体2の口部2aに装着された装着キャップ31と、上方付勢状態で下方移動可能に配設され、内部が吐出孔3aに連通するステム32と、下端に貫通孔33aを有するシリンダ33と、シリンダ33内に上下摺動可能に嵌合され、ステム32の上下動に連係するピストン34と、ステム32との間でピストン34を保持する保持筒35と、ステム32を上方付勢する付勢部材36と、シリンダ33の外周面と貫通孔33aとを覆い、容器本体2内に向けて開口した吸入開口43が設けられたシリンダカバー37と、を有する。
【0025】
装着キャップ31は、有頂筒状に形成され、その周壁の内周面には、容器本体2の口部2aの雄ネジ部に螺合する雌ネジ部が形成されている。装着キャップ31の頂壁部の中央には、上下方向に貫通する挿通孔が形成され、この挿通孔にステム32が隙間を空けて挿通されている。装着キャップ31の頂壁部の上面には、上方に向けて立設されたガイド筒38が一体に形成されている。ガイド筒38は、装着キャップ31の頂壁部における前記挿通孔の開口周縁部よりも径方向外側に配置されている。ガイド筒38は、後述する装着部4を案内する部材であり、ガイド筒38の内周面には、上下方向に延びるガイド溝38aが周方向に間隔を空けて複数形成されている。
【0026】
ステム32は、容器本体2内の内容物を吐出孔3aに向けて流通させる筒状部材である。ステム32は、軸線Oと同軸に配置されている。ステム32の上端部は、後述する装着部4のノズル筒45の下端部に外嵌され、ステム32はノズル筒45と一体となって上下動可能である。ステム32の下端部はそれより上方の部位に比べて拡径されている。
【0027】
シリンダ33は、有底筒状に形成され、その底壁部には上下方向に貫通する貫通孔33aが形成されている。貫通孔33aには、シリンダ33の外部から内部に向かう内容物の流れを許容し、シリンダ33の内部から外部に向かう内容物の流れを規制する逆止弁39が設けられている。本実施形態の逆止弁39は3点弁であるが、他の構造の弁体を用いてもよい。シリンダ33の底壁部の下面には係合筒33bが形成され、係合筒33bは、貫通孔33aの開口周縁部から下方に向けて延びている。係合筒33bはシリンダカバー37に係合している。シリンダ33の上端開口縁には、径方向外側に延びるフランジ部33cが形成されている。フランジ部33cは、弾性部材によって形成されたパッキン40と共に、装着キャップ31の頂壁部と口部2aの上端開口縁との間に挟持されており、これによってシリンダ33は容器本体2内に保持されている。
【0028】
保持筒35は、有底筒状に形成され、その上端部がステム32内に嵌合されており、ステム32と一体となって上下動可能である。保持筒35の周壁には、径方向に貫通する孔部35aが周方向に間隔を空けて複数形成されている。保持筒35の下端部の外周面には、軸線Oと同軸に配置された環状の保持部35bが形成されている。保持部35bと、ステム32の下端開口縁との間に、ピストン34が配設されている。
ピストン34は、保持部35bと、ステム32の下端開口縁との間で、ステム32及び保持筒35に対して上下方向に相対移動可能となっており、ピストン34が保持筒35の保持部35bに接している際には、ステム32内からシリンダ33内に向かう内容物の流れを規制し、ピストン34がステム32の下端開口縁に接している際には、シリンダ33内からステム32内に向かう内容物の流れを許容するように構成されている。
【0029】
シリンダ33の上端部内には、第1環状部材41が嵌合されている。第1環状部材41は径方向外側に突出するフランジ部41aを有しており、フランジ部41aが、シリンダ33のフランジ部33cと、装着キャップ31の頂壁部との間に挟持されていることで、第1環状部材41はシリンダ33に固定されている。第1環状部材41の内側には、上下摺動可能にステム32が挿入されている。第1環状部材41の下方に向く面に、ステム32の下端部における拡径部が上下方向に対向しており、第1環状部材41は、ステム32が第1環状部材41よりも上方に抜けることを規制している。
【0030】
ステム32の上端部の外周面には、第2環状部材42が係合されており、第2環状部材42はステム32と一体となって上下動可能である。
付勢部材36はコイルばねであって、軸線Oと同軸に配置されている。付勢部材36は、上下方向において第1環状部材41と第2環状部材42との間に配設されている。
【0031】
シリンダカバー37は、有底筒状に形成され、その下端部は、それよりも上方の部位に比べて縮径された縮径部となっており、この縮径部の内面にシリンダ33の係合筒33bが係合することで、シリンダカバー37はシリンダ33に固定されている。シリンダカバー37は、シリンダ33の外周面と貫通孔33aが形成された底面とを外方から覆っている。シリンダカバー37の上端開口縁は、シリンダ33のフランジ部33cの下方に配置されると共に、口部2a内に位置している。シリンダカバー37の底壁部は、係合筒33bの下端開口縁から下方に離間している。
【0032】
図1及び図2に示すように、シリンダカバー37の内周面には、上下方向に延びる凹溝37aが形成されている。凹溝37aは、シリンダカバー37の底壁部の上面から、シリンダカバー37の上端開口縁まで延びている。凹溝37aは平面視で円弧状に形成されている。凹溝37aによって、容器本体2内に向けて開口した吸入開口43がシリンダカバー37に設けられている。言い換えれば、吸入開口43は、凹溝37aによって、シリンダ33の外周面とシリンダカバー37の内周面との間に設けられている。また、凹溝37aによって、吸入開口43とシリンダ33の貫通孔33aとを連通する連通路Sが設けられている。すなわち、凹溝37aによって、シリンダ33の外周面とシリンダカバー37の内面との間に、吸入開口43とシリンダ33の貫通孔33aとを連通する連通路Sが設けられている。
シリンダカバー37の底壁部には、上方に向けて突出すると共に、係合筒33bの内周面から離間している柱部37bが一体に形成されている。
【0033】
図1に示すように、装着部4は、軸線Oと同軸に配設された有底筒状に形成され、後述する第2容器本体5の口部5aに装着可能に構成されている。装着部4の内周面には雌ネジ部等は形成されていないため、装着部4は、軸線O回りに回転させることなく第2容器本体5の口部5aに装着可能となっている。装着部4の下端部の内周面には、上下方向及び径方向の双方向に延びるリブ4aが、周方向に間隔を空けて複数形成されている。なお、リブ4aに代えて、装着部4の下端部の内周面に、周方向に延びる環状の段部を設けてもよい。
【0034】
装着部4の底壁部には、当該底壁部を上下方向に貫通するようにノズル筒45が設けられている。すなわち、ノズル筒45の上下方向における中間部の外周面に、装着部4の底壁部が一体に接続されている。ノズル筒45の上端には吐出孔3aが形成されている。ノズル筒45の下端部は、ステム32の上端部内に嵌合され、ステム32の上端開口縁と、第2環状部材42の上面とは、いずれも装着部4の底壁部の下面に当接している。付勢部材36から受ける上方への付勢力は、第2環状部材42を介して装着部4の底壁部に伝えられる。
【0035】
装着部4の底壁部には、下方に向けて突出し、且つノズル筒45を径方向外側から囲む囲繞筒46が一体に形成されている。囲繞筒46の下端部の外周面には、径方向外側に突出する係合爪46aが周方向に間隔を空けて複数形成されている。複数の係合爪46aは、ガイド筒38における複数のガイド溝38aに、上下方向に摺動可能に嵌合している。このため、ポンプ機構3と装着部4は、軸線O回りで互いに相対回転することなく、上下方向に相対移動可能となっている。
【0036】
続いて、吐出容器1の動作を説明する。
図3に示すように、吐出容器1から内容物を吐出し、吐出容器1とは別の第2容器本体5内に内容物を供給する際の動作は、軸線Oに沿って容器本体2が上方に、吐出孔3aが下方にそれぞれ位置する倒立状態で行う。以下、吐出容器1の動作の説明に際し、上下の関係は倒立状態にある吐出容器1に基づいて説明する。
なお、本実施形態では口部5aを有する第2容器本体5内に内容物を供給する動作態様について説明するが、これに限定されるものではなく、例えば口部を持たないコップ等の容器に内容物を供給する態様であってもよい。また、本実施形態の吐出容器1を、容器本体2に収容された第1の内容物を第2容器本体5内に供給して、第2容器本体5に収容された第2の内容物と混合させる、二液混合容器として用いてもよい。本実施形態の吐出容器1を、容器本体2に収容された内容物を、空の第2容器本体5に詰め替える等、別容器に内容物を供給するために用いてもよい。
【0037】
最初に、倒立状態にした吐出容器1における装着部4を使用者が把持して、口部5aが上方に配置された正立状態の第2容器本体5の口部5aに装着する。このとき、口部5aの上端開口縁は装着部4のリブ4aの下端部に当接する。
【0038】
容器本体2内に内容物が収容され、シリンダ33内に内容物が貯留された状態で、使用者が容器本体2を、付勢部材36の付勢力に抗して押し下げると、ポンプ機構3の装着キャップ31は容器本体2の口部2aに螺着されているので、容器本体2の下方移動と共に、装着キャップ31や、装着キャップ31によって口部2aに固定されているシリンダ33が下方に移動する。ガイド筒38のガイド溝38aに、装着部4における囲繞筒46の係合爪46aが係合しているので、ポンプ機構3及び容器本体2は、装着部4に対して軸線O回りに相対回転することなく、装着部4に対して相対的に下方移動する。
【0039】
先述の通り、容器本体2の下方移動と共に、シリンダ33が下方に移動する一方、ステム32の下端開口縁(正立状態における上端開口縁)が、装着部4の頂壁部における上面(正立状態における底壁部の下面)に当接しているので、ステム32の下方移動は規制され、シリンダ33の下方移動に伴い、ステム32やピストン34は、シリンダ33に対して上方に向けて相対移動する。また、逆止弁39は、シリンダ33内から容器本体2内に向かう内容物の流れを規制するため、ピストン34の、シリンダ33に対する相対的な上昇移動によって、シリンダ33の内部空間が減少し、その内圧が上昇する。
【0040】
ここで、シリンダ33の下方移動によって、シリンダ33の内周面とピストン34とが互いに摺動することで摩擦力が生じ、この摩擦力によってピストン34は、ステム32や保持筒35に対して下方に向けて僅かに相対移動し、よってピストン34が保持筒35の保持部35bから離間し隙間が形成される。このため、内圧が上昇したシリンダ33内の内容物が、ピストン34と保持部35bとの間の隙間、孔部35a、保持筒35の内部、ステム32の内部、及びノズル筒45の内部を介して、吐出孔3aから吐出容器1の外部に向けて吐出される。吐出孔3aから吐出された内容物は、口部5aを介して第2容器本体5内に供給される。
【0041】
使用者による、容器本体2の押し下げを解除すると、付勢部材36の付勢力が、第1環状部材41を介してシリンダ33に伝わり、シリンダ33はステム32等に対して相対的に上昇移動する。このとき、シリンダ33の内周面とピストン34とが互いに摺動することで摩擦力が生じ、この摩擦力によってピストン34は、ステム32や保持筒35に対して上方に向けて僅かに相対移動し、よってピストン34が保持筒35の保持部35bに当接する。この状態で、シリンダ33がピストン34に対して相対的にさらに上昇移動すると、ピストン34はシリンダ33に対して相対的に下方移動し、よってシリンダ33の内圧が低下し負圧となる。
【0042】
シリンダ33内が負圧になると、逆止弁39が貫通孔33aから離間して開弁する。ここで、シリンダカバー37が、シリンダ33の外周面と、貫通孔33aが形成された頂壁部(正立状態における底壁部)とを覆っているので、シリンダ33内が負圧になることで、容器本体2内の内容物が、吸入開口43介して連通路Sに流入し、さらに貫通孔33aを通ってシリンダ33内に供給される。
【0043】
ここで、倒立状態にある吐出容器1のシリンダカバー37に設けられた吸入開口43は、シリンダ33の上端に設けられた貫通孔33aよりも下方に位置している。倒立状態で内容物の吐出を続け、内容物の液面がシリンダ33の上端よりも下がったとしても、シリンダ33の上端の下方に吸入開口43が位置しているので、容器本体2内のうち、シリンダ33の上端と容器本体2の口部2aとの間の領域における内容物を、吸入開口43から吸入し、連通路S及びシリンダ33の貫通孔33aを介してシリンダ33内に導入させることができ、再度容器本体2を押し下げることで、ポンプ機構3の吐出孔3aから再び吐出させることができる。このような内容物の吐出は、容器本体2内における内容物の液面が吸入開口43よりも下方に位置するまで続けることができるので、吐出不可となったときの容器本体2内の内容物の残量を従来よりも少なくすることができる。
【0044】
以上説明したように、本実施形態の吐出容器1によれば、吐出動作の際に容器本体2内の内容物の残量を従来よりも少なくできる。
【0045】
また、吸入開口43が、容器本体2の口部2a内に位置しているので、倒立状態の容器本体2の口部2aは、容器本体2のうちの最下方に位置しており、この口部2a内に吸入開口43が位置しているため、口部2a内に収容されている内容物も吐出容器1から吐出することができる。よって、吐出不可となったときの容器本体2内の内容物の残量を大幅に少なくできる。
【0046】
また、容器本体2は、内容物が収容されると共に内容物の減少に伴い減容する内容器21と、内容器21が内装され、内容器21との間に外気を吸入する外気導入孔が設けられた外容器22と、を備えている。容器本体2内からの内容物の吐出に伴い、内容器21が外容器22から次第に剥離するが、容器本体2の口部2a近傍の剥離は、それ以外の胴部2c等の部位の剥離よりも起こりにくくなっており、口部2a近傍の剥離がなされないと、倒立状態にある吐出容器1のうち、シリンダ33の上端と容器本体2の口部2aとの間の領域に内容物が残ってしまう。しかしながら、本実施形態の吐出容器1によれば、吐出容器1の倒立状態において、シリンダ33の上端よりも下方にシリンダカバー37の吸入開口43が位置しており、倒立状態で内容物の吐出を続け、口部2a近傍の内容器21が剥離しにくい状態で内容物の液面がシリンダ33の上端よりも下がったとしても、吸入開口43から内容物を吸入してポンプ機構3の吐出孔3aから吐出することができる。よって、吐出容器1から吐出不可となったときの容器本体2内の内容物の残量を従来よりも少なくできる。
【0047】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る吐出容器1Aについて説明する。吐出容器1Aの前記第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。吐出容器1Aの構造の説明は、吐出孔3aが上方に、容器本体2が下方にそれぞれ位置する正立状態にある吐出容器1Aに基づいて行う。
【0048】
図4に示すように、本実施形態の容器本体2には、内容物の減少に伴い減容する内容器は設けられていない。
シリンダ33の下端部の内周面には、貫通孔33aの上方の位置で、上下方向及び径方向の双方向に延びるリブが、周方向に間隔を空けて複数設けられている。シリンダ33内には、上下方向に延びる軸状の弁体47が配置されている。弁体47の下端部は、その上方の部位に比べて拡径しており、シリンダ33の前記リブの内側に、相対的に上下動可能に挿入されている。
本実施形態の保持筒35における保持部35bの中央には、上下方向に貫通する貫通孔が形成されており、この貫通孔に、弁体47の上部が上下摺動可能に密接に挿入されている。
【0049】
本実施形態の付勢部材36は、シリンダ33内に配置されており、上下方向において、保持筒35の保持部35bと、シリンダ33の下端部との間に配設されている。このため、付勢部材36は、保持部35bとシリンダ33とが互いに離間する方向の付勢力を各々に付与可能である。
本実施形態のステム32の上端部は、装着部4におけるノズル筒45の内側に嵌合されている。本実施形態の装着キャップ31におけるガイド筒38は、装着部4の囲繞筒46の径方向内側に位置し、囲繞筒46とノズル筒45との間の隙間に上下方向で挿脱可能となっている。
【0050】
シリンダ33には、その周壁を径方向に貫通する外気導入孔33dが形成されている。外気導入孔33dは、例えばステム32と第1環状部材41との間の隙間を介して、吐出容器1Aの外部と連通可能であり、外気を導入可能となっている。なお、外気の導入経路は特に限定されず、他の経路を介して外気導入孔33dに外気を導入してもよい。本実施形態において、吐出容器1Aの吐出動作を行う前の状態では、外気導入孔33dは、ピストン34によって径方向内側から覆われており、外気導入孔33dを介した流体の流通が規制されている。本実施形態の外気導入孔33dは、容器本体2の口部2a内に位置している。
【0051】
シリンダカバー37には、その周壁を径方向に貫通する外気連通孔37cが形成されている。外気連通孔37cは、容器本体2内に向けて開口している。すなわち、外気連通孔37cは、外気導入孔33dを介して導入された外気を容器本体2内に向けて流通可能となっている。外気連通孔37cは、外気導入孔33dよりも下方に位置している。外気連通孔37cは、吸入開口43よりも小さい開口面積を有している。
【0052】
シリンダ33の外周面とシリンダカバー37の内面との間に、外気導入孔33dと外気連通孔37cとを連通する外気路48が設けられている。本実施形態の外気路48は、シリンダ33の外周面に凹溝を設けることで形成されているが、シリンダカバー37の内面に凹溝を設けることで形成してもよい。外気路48は、連通路Sよりも小さい流路断面積を有している。
【0053】
続いて、吐出容器1Aの動作を説明する。吐出容器1Aの動作の説明に際し、上下の関係は、図5に示すように、容器本体2が上方に、吐出孔3aが下方にそれぞれ位置する倒立状態にある吐出容器1Aに基づいて説明する。
最初に、倒立状態にした吐出容器1Aにおける装着部4を使用者が把持して、口部5aが上方に配置された正立状態の第2容器本体5の口部5aに装着する。
【0054】
容器本体2内に内容物が収容され、シリンダ33内に内容物が貯留された状態で、使用者が容器本体2を、付勢部材36の付勢力に抗して押し下げると、シリンダ33が下方に移動する。シリンダ33の下方移動に伴い、ステム32、ピストン34、及び保持筒35は、シリンダ33に対して上方に向けて相対移動する。また、弁体47は保持部35bの貫通孔に密接に挿入されているので、両者の間の摩擦力を受けた弁体47は、シリンダ33に対して上方に相対移動し、弁体47の上端部がシリンダ33の貫通孔33aを閉塞する。さらにシリンダ33を押し下げると、ピストン34はシリンダ33に対して上方に相対移動するため、シリンダ33の内部空間が減少し、その内圧が上昇する。そして、内圧が上昇したシリンダ33内の内容物が、ステム32の内部等を介して、吐出孔3aから吐出容器1Aの外部に向けて吐出される。なお、シリンダ33の下方移動により、ピストン34はシリンダ33に対して上方に相対移動するため、ピストン34は外気導入孔33dから外れた位置に移動する。
【0055】
使用者による容器本体2の押し下げを解除すると、付勢部材36の付勢力によって、シリンダ33はピストン34等に対して上方に相対移動し、よってシリンダ33内は負圧となる。また、シリンダ33は弁体47に対しても上方に相対移動するため、弁体47は貫通孔33aから離間し、貫通孔33aは開放される。シリンダ33内が負圧になることで、容器本体2内の内容物が、吸入開口43介して連通路Sに流入し、さらに貫通孔33aを通ってシリンダ33内に供給される。なお、容器本体2の押し下げを解除した時点において、ピストン34は外気導入孔33dから外れた位置に移動しており、外気導入孔33dは開放されている。
【0056】
容器本体2内の内容物がシリンダ33内に供給されることで、容器本体2内が負圧となると、例えばステム32と第1環状部材41との間の隙間を介して、吐出容器1Aの外気が外気導入孔33dに導入され、さらに外気路48及び外気連通孔37cを介して、容器本体2内に導入される。容器本体2内が負圧になった際に外気が容器本体2に導入されるので、負圧を原因として容器本体2内の内容物がシリンダ33内に適切に供給できない等の不具合を防止でき、適切な吐出動作を維持することができる。
【0057】
ここで、外気連通孔37cは、吸入開口43よりも小さい開口面積を有し、外気路48は、連通路Sよりも小さい流路断面積を有しているので、外気連通孔37c及び外気路48を介した流通抵抗を、吸入開口43及び連通路Sを介した流通抵抗よりも大きくすることができる。このため、容器本体2内の内容物が、外気連通孔37c及び外気路48に比べて、吸入開口43及び連通路Sに積極的に流入するようになり、外気連通孔37c及び外気路48に内容物が侵入することを抑制できる。
【0058】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る吐出容器1Bについて説明する。吐出容器1Bの前記第2実施形態と同様の構成には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。吐出容器1Bの構造の説明は、吐出孔3aが上方に、容器本体2が下方にそれぞれ位置する正立状態にある吐出容器1Bに基づいて行う。
【0059】
図6に示すように、本実施形態のポンプ機構3は、シリンダカバー37に外装された有底筒状の外装筒部49を有している。外装筒部49は、シリンダカバー37の外周面と下面を覆っている。外装筒部49の上端部は、シリンダカバー37の外周面に密着して装着されており、外装筒部49の上端開口縁からその内部への流体の流入が防止されている。外装筒部49の上端部は、シリンダカバー37の外気連通孔37cよりも上方に位置している。外装筒部49の上端部よりも下方の内面と、シリンダカバー37の外周面との間には、僅かな隙間が形成されている。
【0060】
外装筒部49の底壁部には、上下方向に貫通する開口部49aが形成されている。すなわち、外装筒部49は、シリンダカバー37の外気連通孔37cに連通し容器本体2内に向けて開口した開口部49aを有している。
開口部49aには、外装筒部49内から容器本体2内への流体の流通を許容し容器本体2内から外装筒部49内への流体の流通を規制する弁50が設けられている。本実施形態の弁50は3点弁であるが、他の構造の弁体を用いてもよい。
なお、外気連通孔37cは、吸入開口43よりも小さい開口面積を有しているが、これに限られず、外気連通孔37cの開口面積が、吸入開口43の開口面積以上であってもよい。外気路48は、連通路Sよりも小さい流路断面積を有しているが、これに限られず、外気路48の流路断面積が、連通路Sの流路断面積以上であってもよい。
【0061】
続いて、吐出容器1Bの動作を説明する。吐出容器1Bの動作の説明に際し、上下の関係は、容器本体2が上方に、吐出孔3aが下方にそれぞれ位置する倒立状態にある吐出容器1Bに基づいて説明する。
【0062】
容器本体2の押し下げが解除され、付勢部材36の付勢力によって、シリンダ33がステム32等に対して相対的に上昇移動すると、シリンダ33内が負圧となり、容器本体2内の内容物が吸入開口43等を介してシリンダ33内に供給される。容器本体2内の内容物がシリンダ33内に供給されることで、容器本体2内が負圧となると、吐出容器1Bの外気が外気導入孔33dに導入され、さらに外気路48、外気連通孔37c、及び開口部49aを介して、容器本体2内に導入される。弁50は、外装筒部49内から容器本体2内への流体の流通を許容するため、外気を容器本体2内へ適切に導入できる。
【0063】
また、外装筒部49の開口部49aには、容器本体2内から外装筒部49内への流体の流通を規制する弁50が設けられているので、吐出容器1Bの吐出動作の際に、容器本体2内の内容物が、外気連通孔37cや外気導入孔33dを介して吐出容器1Bの外部に漏出してしまうことを確実に防止できる。
【0064】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態に係る吐出容器1Cについて説明する。吐出容器1Cの前記第3実施形態と同様の構成には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。吐出容器1Cの構造の説明は、吐出孔3aが上方に、容器本体2が下方にそれぞれ位置する正立状態にある吐出容器1Cに基づいて行う。
【0065】
図7に示すように、本実施形態における外装筒部49の底壁部には、下方に延伸する延伸筒部51が一体に連結されている。延伸筒部51は、外装筒部49の開口部49aの開口周縁部から、容器本体2の底部(図7では図示せず)に向けて延伸している。本実施形態の開口部49aに、弁は設けられていない。
なお、外気連通孔37cは、吸入開口43よりも小さい開口面積を有しているが、これに限られず、外気連通孔37cの開口面積が、吸入開口43の開口面積以上であってもよい。外気路48は、連通路Sよりも小さい流路断面積を有しているが、これに限られず、外気路48の流路断面積が、連通路Sの流路断面積以上であってもよい。
【0066】
続いて、吐出容器1Cの動作を説明する。吐出容器1Cの動作の説明に際し、上下の関係は、容器本体2が上方に、吐出孔3aが下方にそれぞれ位置する倒立状態にある吐出容器1Cに基づいて説明する。
【0067】
容器本体2内には、内容物だけで無く空気等の気体も収容されているため、吐出容器1Cの倒立状態において、延伸筒部51の上端を、容器本体2内の内容物の液面よりも上方に位置させることが可能となる。このため、吐出容器1Cの吐出動作の際に、容器本体2内の内容物が、外気連通孔37cや外気導入孔33dを介して吐出容器1Cの外部に漏出してしまうことを適切に防止できる。
【0068】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【0069】
例えば、本実施形態の吐出容器1は、吸入開口43が、容器本体2の口部2a内に位置しているが、これに限定されない。正立状態において、吸入開口43が、容器本体2の口部2a内に位置しないが、貫通孔33aよりも上方に位置してもよい。この場合であっても、吐出不可となったときの容器本体2内の内容物の残量を従来よりも少なくすることができる。
【0070】
例えば前記第1実施形態では、容器本体2として、内容器21が外容器22の内面に剥離可能に積層された積層剥離型容器を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではなく、例えば内容器21と外容器22との間に隙間が確保された二重容器を採用しても構わない。
【0071】
吐出容器に対して前記第3及び第4実施形態をともに実施してよい。すなわち、第3実施形態の弁50と第4実施形態の延伸筒部51とをいずれも有する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 吐出容器
2 容器本体
2a 口部
3 ポンプ機構
3a 吐出孔
21 内容器
22 外容器
32 ステム
33 シリンダ
33d 外気導入孔
33a 貫通孔
34 ピストン
37 シリンダカバー
37c 外気連通孔
43 吸入開口
48 外気路
49 外装筒部
49a 開口部
50 弁
51 延伸筒部
O 軸線
S 連通路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7