IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 杉本 幹生の特許一覧 ▶ 塚野 光男の特許一覧 ▶ 杉本 慧子の特許一覧 ▶ 山崎 千聖の特許一覧

<>
  • 特開-水の浄化装置、及び水の浄化方法 図1
  • 特開-水の浄化装置、及び水の浄化方法 図2
  • 特開-水の浄化装置、及び水の浄化方法 図3
  • 特開-水の浄化装置、及び水の浄化方法 図4
  • 特開-水の浄化装置、及び水の浄化方法 図5
  • 特開-水の浄化装置、及び水の浄化方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052470
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】水の浄化装置、及び水の浄化方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/58 20230101AFI20240404BHJP
   C02F 1/24 20230101ALN20240404BHJP
   C02F 1/52 20230101ALN20240404BHJP
【FI】
C02F1/58 A
C02F1/24 A
C02F1/52 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002014
(22)【出願日】2023-01-10
(31)【優先権主張番号】P 2022157236
(32)【優先日】2022-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】593035696
【氏名又は名称】杉本 幹生
(71)【出願人】
【識別番号】520341968
【氏名又は名称】塚野 光男
(71)【出願人】
【識別番号】303056151
【氏名又は名称】杉本 慧子
(71)【出願人】
【識別番号】522386895
【氏名又は名称】山崎 千聖
(74)【代理人】
【識別番号】100108604
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 義人
(72)【発明者】
【氏名】杉本 幹生
【テーマコード(参考)】
4D015
4D037
4D038
【Fターム(参考)】
4D015BA03
4D015BA19
4D015BB05
4D015CA14
4D015CA20
4D015DA19
4D015DC04
4D015EA33
4D037AA01
4D037AA05
4D037AA06
4D037AB02
4D037BA01
4D037BB09
4D037CA08
4D038AA01
4D038AB07
4D038BA02
4D038BB04
4D038BB18
(57)【要約】
【課題】水の中の有機物を除去する技術を、凝集した有機物が水に浮くように改良する。
【解決手段】浄化装置1は、流入管21と流出管22とを有するケース10を備える。ケース10の中には、金属マグネシウムでできたマグネシウム片51と、金属マグネシウムよりも電気陰性度が大きな金属でできた研磨片52とがそれぞれ多数収納されている。浄化装置1を水に沈めることで流入管21からケース10に水が入ってくると、マグネシウム片51と研磨片52とが動き回って互いに衝突し、金属マグネシウム粉とマグネシウムイオンが生じる。金属マグネシウム粉とマグネシウムイオンは水とともに、流出管22を介してケース10外に流出する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機物を除去する対象の水に水没させられるケースと、
前記ケースの内部に収納された金属マグネシウムでできている多数のマグネシウム片と、
前記マグネシウム片と衝突した場合に前記マグネシウム片から金属マグネシウム粉を生じる研磨材として機能する多数の研磨片と、
を含んでなる水の浄化装置であって、
前記ケースには、前記水を前記ケースの内部に導く開口である流入口と、前記ケース内部に導かれた前記水を前記ケースの外部に導く開口である流出口とが設けられているとともに、
前記マグネシウム片と前記研磨片とは、前記流入口から前記ケースの内部に導かれた前記水の流れによって動くことにより互いに衝突し合うようになっており、前記流出口から前記ケースの外部に導かれる水には、前記マグネシウム片から生じた前記金属マグネシウム粉が含まれるようになっている、
水の浄化装置。
【請求項2】
有機物を除去する対象の水に水没させられるケースと、
前記ケースの内部に収納された金属マグネシウムでできている多数のマグネシウム片と、
前記ケース内に設けられた、前記マグネシウム片と衝突した場合に前記マグネシウム片から金属マグネシウム粉を生じる研磨材として機能する多数の突起を有する研磨面と、
を含んでなる水の浄化装置であって、
前記ケースには、前記水を前記ケースの内部に導く開口である流入口と、前記ケース内部に導かれた前記水を前記ケースの外部に導く開口である流出口とが設けられているとともに、
前記マグネシウム片は、前記流入口から前記ケースの内部に導かれた前記水の流れによって動くことにより前記研磨面に衝突するようになっており、前記流出口から前記ケースの外部に導かれる水には、前記マグネシウム片から生じた前記金属マグネシウム粉が含まれるようになっている、
水の浄化装置。
【請求項3】
前記研磨片は、前記金属マグネシウムよりも電気陰性度が大きい金属でできている、
請求項1記載の水の浄化装置。
【請求項4】
前記突起は、前記金属マグネシウムよりも電気陰性度が大きい金属でできている、
請求項2記載の水の浄化装置。
【請求項5】
前記ケースの内面の少なくとも一部が、前記金属マグネシウムよりも電気陰性度が大きい金属でできている、
請求項1又は2記載の水の浄化装置。
【請求項6】
前記流入口には前記ケースの内部と連通する前記ケースから突出する管である流入管が接続されており、前記流出口には前記ケースの内部と連通する前記ケースから突出する管である流出管が接続されている、
請求項1又は2記載の水の浄化装置。
【請求項7】
前記流入口と前記流出口には、所定の大きさ以下の前記金属マグネシウム粉のみを通過させる大きさの目開きを有する濾材が設けられており、前記濾材を通過した前記金属マグネシウム粉のみが前記ケースの外側に流出するようになっている、
請求項1又は2記載の水の浄化装置。
【請求項8】
前記流入管と前記流出管の所定の位置には、所定の大きさ以下の前記金属マグネシウム粉のみを通過させる大きさの目開きを有する濾材が設けられており、前記濾材を通過した前記金属マグネシウム粉のみが前記ケースの外側に流出するようになっている、
請求項6記載の水の浄化装置。
【請求項9】
前記研磨面は、前記ケースの内面である、
請求項2又は4記載の水の浄化装置。
【請求項10】
前記流入口から前記ケースの内部に導かれた前記水に、前記ケース内で渦を作らせる形状の板である渦生成板が前記ケース内に設けられている、
請求項1又は2記載の水の浄化装置。
【請求項11】
前記流入口から前記ケースの内部に導かれた前記水に、前記ケース内で渦を作らせる形状の板である渦生成板が前記ケース内に設けられており、
前記研磨面は、前記渦生成板の表面に設けられている、
請求項2記載の水の浄化装置。
【請求項12】
前記渦生成板は、前記金属マグネシウムよりも電気陰性度が大きい金属でできている、
請求項10記載の水の浄化装置。
【請求項13】
前記研磨面及び前記研磨面に含まれる前記突起は前記渦生成板と一体に構成されており、前記渦生成板は、前記金属マグネシウムよりも電気陰性度が大きい金属でできている、
請求項11記載の水の浄化装置。
【請求項14】
前記流入口、及び前記流出口を有する前記ケースと、前記研磨面とを備えており、
前記マグネシウム片と組合せて請求項2記載の前記水の浄化装置を構成する、
水の浄化器具。
【請求項15】
前記ケースは円筒形状であり、軸方向の一端側に前記流入口が、他端側に前記流出口がそれぞれ設けられている、
請求項14記載の水の浄化器具。
【請求項16】
前記流入口から前記ケースの内部に導かれた前記水に、前記ケース内で渦を作らせる形状の板である渦生成板が前記ケース内に設けられている、
請求項14又は15記載の水の浄化器具。
【請求項17】
有機物を除去する対象の水をその内部に導く開口である流入口と、その内部に導かれた前記水をその外部に導く開口である流出口とが設けられているケースの内部に、金属マグネシウムでできている多数のマグネシウム片と、前記マグネシウム片と衝突した場合に前記マグネシウム片から金属マグネシウム粉を生じる研磨材として機能する多数の研磨片とを収納する過程と、
前記ケースを前記水に水没させる過程と、
前記流入口から前記ケースの内部に導かれた前記水の流れにより前記マグネシウム片と前記研磨片とを動かすことによって互いに衝突させて前記マグネシウム片から前記金属マグネシウム粉を生じさせ、前記金属マグネシウム粉を含む水を前記流出口から前記ケースの外部に導く過程と、
を含む、水の浄化方法。
【請求項18】
有機物を除去する対象の水をその内部に導く開口である流入口と、その内部に導かれた前記水をその外部に導く開口である流出口とが設けられているとともに、その内部に多数の突起を有する研磨面を有するケースの内部に、金属マグネシウムでできている多数のマグネシウム片を収納する過程と、
前記ケースを前記水に水没させる過程と、
前記流入口から前記ケースの内部に導かれた前記水の流れにより前記マグネシウム片を動かすことによって、前記マグネシウム片と衝突する前記研磨面を前記マグネシウム片から金属マグネシウム粉を生じる研磨材として機能させて前記マグネシウム片から前記金属マグネシウム粉を生じさせ、前記金属マグネシウム粉を含む水を前記流出口から前記ケースの外部に導く過程と、
を含む、水の浄化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、海水、淡水の別を問わず水の中の有機物(有機汚濁物質と、赤潮、アオコ等の発生の原因となるプランクトンを含む)を除去することにより、水の浄化を行うための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
少なくとも日本では一時に比べれば多少状況は好転しているが、海水、淡水を問わず有機物による水の汚濁が問題となることがままある。
燐、窒素、硫黄或いはそれらを含む物質である有機汚濁物質が水の中で増えるとそれ自体が水を汚濁させるし、また有機汚濁物質を食料とするプランクトンが増えることにより水の汚濁は益々進むことがよく知られている。
有機物による汚染が進むと海では赤潮や青潮等が、湖沼、河川ではアオコ等が発生し、悪臭が生じたり、漁業被害が生じたりする。
【0003】
そのような被害を防ぐために、水の中の有機物を除去する技術が提案されている。
その中の1つとして、水酸化マグネシウム(Mg(OH))又は酸化マグネシウム(MgO)を主成分とした水質改良材が知られている。この水質改良材は、宇部マテリアルズ株式会社により「クリアウォーター(商標)」という製品名で販売され、既に多くの使用実績が存在する。この水質改良材は、有機物の除去の対象となる水に固体のまま散布するか、或いは水に溶かしてスラリー状にしてから散布することにより用いられる。
水質改良材中の酸化マグネシウムは、水の中で以下の反応を起こして結果としてMg(OH)となる。
MgO+HO→Mg(OH)
したがって、水質改良材の主成分が水酸化マグネシウムであるか酸化マグネシウムであるかによらず、有機物を除去する対象となる水には水酸化マグネシウムが撒かれた状態となる。
ここで、水酸化マグネシウムが水中に散布されると、有機物は水酸化マグネシウムによって凝集され、固体或いは半個体の塊(例えばヘドロ状の塊)の状態となって水中で沈降する。それにより、水中に散在していた有機物は海底等の底に溜まることになるから、有機物を含んでいた水の水質が改善され、例えばその透明度が増す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の水質改良材は既に述べたように実用化されており、一定の効果を上げている。
しかしながら、水酸化マグネシウムの効果によって凝集して海底等に沈んだ有機物の塊は、海底等に堆積する。水酸化マグネシウムによって海底等の付近がアルカリ性に保たれることによって硫酸還元菌の活動が抑制されるため、海底等に沈んだ有機物から悪臭が生じることは抑制されるものの、有機物の分解には長時間かかるし、悪臭の発生も完全に抑制されるというわけではない。
また、そのような課題を解決するために海底等に堆積した有機物の塊を浚おうとすると、手間、コストが過大となる。
【0005】
上述のような課題が生じる理由は、水酸化マグネシウムの効果によって凝集した有機物が水の中で沈降することに起因する。逆にいえば、そのような有機物が水に浮くのであれば上述のような課題は生じにくい。
しかしながら水酸化マグネシウムによって凝集した有機物が水に沈むというのは従来の常識であり、凝集した有機物を水に浮かせるような技術は存在していない。
【0006】
本願発明は、海水、淡水の別を問わず水の中の有機物を除去する技術を、凝集した有機物が水に浮くように改良することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するための本願発明は以下のようなものである。
本願発明は2つの発明に大別される。便宜上それらを第1発明、第2発明と称する。第1発明と第2発明とは、組合せて用いることができる。つまり、後述する研磨片と、研磨面及び突起とは、共存させることが可能である。
【0008】
第1発明は、有機物を除去する対象の水に水没させられるケースと、前記ケースの内部に収納された金属マグネシウムでできている多数のマグネシウム片と、前記マグネシウム片と衝突した場合に前記マグネシウム片から金属マグネシウム粉を生じる研磨材として機能する多数の研磨片と、を含んでなる水の浄化装置である。
前記ケースには、前記水を前記ケースの内部に導く開口である流入口と、前記ケース内部に導かれた前記水を前記ケースの外部に導く開口である流出口とが設けられているとともに、前記マグネシウム片と前記研磨片とは、前記流入口から前記ケースの内部に導かれた前記水の流れによって動くことにより互いに衝突し合うようになっており、前記流出口から前記ケースの外部に導かれる水には、前記マグネシウム片から生じた前記金属マグネシウム粉が含まれるようになっている。
【0009】
この水の浄化装置は、ケース内にマグネシウム片と、研磨片とを収納して構成される。マグネシウム片は金属マグネシウムでできている。研磨片は、マグネシウム片と衝突した場合にマグネシウム片から金属マグネシウム粉を生じるようなものであればその素材は問わない。研磨片は、例えば、金属、軽石その他の石、珪藻土等によりできている。金属でできている場合の研磨片は、金属マグネシウムよりも電気陰性度が大きい金属でできていてもよい。金属マグネシウムよりも電気陰性度が大きい金属の例として、鉄、銅、ステンレスを挙げることができる。ステンレスが含まれていることから理解できるように、本願でいう「金属マグネシウムよりも電気陰性度が大きい金属」は合金でも良い。研磨片を金属マグネシウムよりも電気陰性度が大きい金属でできているものとすると、後述するような利点が生じる。
有機物を除去する対象の水は、海水でも淡水でもよい。本願発明におけるケース或いは水の浄化装置(以降、「水の浄化装置」を単に「浄化装置」という場合がある。)は、有機物を除去する対象となる水に水没した状態で用いられる。例えば、浄化装置は、海、湖沼等に沈めて用いられる。浄化装置は、海底、湖底等に単純に沈めて用いられても良いし、船により海中、湖中で牽引されながら用いられても良い。
ケースには、流入口と流出口があり、流入口から有機物を除去する対象となる水がケース内に導かれ、流出口からケース内に導かれた水がケース外に導かれるようになっている。第2発明の場合もそうであるが、それが可能であればケースの形状は不問である。例えば、前記ケースは円筒形状であり、軸方向の一端側に前記流入口が、他端側に前記流出口がそれぞれ設けられていてもよい。
ケース内には、水の流れが生じる。その水の流れにより、ケース内においてマグネシウム片と研磨片とは動くことになり(水の流れの状態如何によっては、乱舞するように動き回り)、互いに衝突し、それによりマグネシウム片から、細かな金属マグネシウム粉が生じることになる。したがって、流出口からケース外に導かれる水には、金属マグネシウム粉が含まれることになる。しかも、本願発明の浄化装置による金属マグネシウム粉の水中への散布は、長期間にわたって少しずつ行うことができる。
ここで、散布された金属マグネシウム粉は水中で以下の反応を起こす。
Mg+2HO→Mg(OH)+H
このようにして生じた水酸化マグネシウム(Mg(OH))は、背景技術の欄で述べたように、有機物を凝集させ、固体或いは半個体の塊(例えば、ヘドロ状の塊)の状態とする。この塊はそのままでは水の中を沈降する。ここで、大きな役割を果たすのが、金属マグネシウムが水と反応して水酸化マグネシウムを生じるときに生じる気体である水素(H)である。気体である水素は、水の中で生じた上述の塊に泡となって付着して有機物の塊に浮力を与える。それにより、本願発明の浄化装置を用いて金属マグネシウム粉を水の中に散布すると、それによって生じた有機物の塊は水の中で沈降することなく、水に浮く。水に浮いた有機物の塊は、例えば船舶を用いて速やかに回収することもできるし、或いは陸地に打ち上げられたのであれば陸から回収することも可能となる。しかも気体の水素は、水への溶解度が低く、また、水との反応性が低いため、有機物の塊に泡の状態で付着した水素は長期間残存する。したがって、有機物の塊は長期間水に浮いた状態となるので、その処理が容易である。
本願発明の浄化装置では、金属マグネシウム粉を発生させるためのエネルギーとして、ケース内に導かれた水の運動エネルギーを用いる。したがって、例えば、マグネシウム片と研磨片とをバネによって押圧させるような場合と異なり、マグネシウム片の摩耗によってバネの弾性力が変化することに基づく金属マグネシウム粉の大きさのばらつきが生じることもない。
【0010】
第2発明は、以下のようなものである。
第2発明は、有機物を除去する対象の水に水没させられるケースと、前記ケースの内部に収納された金属マグネシウムでできている多数のマグネシウム片と、前記ケース内に設けられた、前記マグネシウム片と衝突した場合に前記マグネシウム片から金属マグネシウム粉を生じる研磨材として機能する多数の突起を有する研磨面と、を含んでなる水の浄化装置である。
そして、この浄化装置における前記ケースには、前記水を前記ケースの内部に導く開口である流入口と、前記ケース内部に導かれた前記水を前記ケースの外部に導く開口である流出口とが設けられているとともに、前記マグネシウム片は、前記流入口から前記ケースの内部に導かれた前記水の流れによって動くことにより前記研磨面に衝突するようになっており、前記流出口から前記ケースの外部に導かれる水には、前記マグネシウム片から生じた前記金属マグネシウム粉が含まれるようになっている。
【0011】
第2発明の浄化装置は、第1発明の浄化装置と同じく、流入口と流出口とを備えたケースの中に、マグネシウム片が収納されて構成される。第2発明でも、浄化装置は、有機物を除去する対象の水に水没させた状態で使用される。
第2発明の浄化装置のケースの中には、第1発明の浄化装置とは異なり、研磨片は収納されない。その代わりに、第2発明の浄化装置のケースの中には、マグネシウム片と衝突した場合にマグネシウム片から金属マグネシウム粉を生じる研磨材として機能する多数の突起を有する研磨面が設けられている。
第1発明では、ケース内で水の流れによって動いたマグネシウム片と研磨片とが衝突することにより、マグネシウム片から金属マグネシウム粉が生じた。そして、第2発明では、ケース内で水の流れによって動いたマグネシウム片が研磨面に衝突することにより、マグネシウム片から金属マグネシウム粉が生じる。
したがって、第2発明の浄化装置でも、流出口から外に流出する水には、金属マグネシウム粉が含まれることになる。
それにより、第2発明の浄化装置でも第1発明の浄化装置で得られるのと同様の効果が生じる。つまり、第2発明の浄化装置を用いると、水の中の有機物を水酸化マグネシウムの機能により凝集させることができ、更には水酸化マグネシウムの機能によって凝集させられた有機物の塊は、付着した水素の泡によって与えられた浮力によって水に浮く。
【0012】
これは第1発明に妥当するが、前記研磨片は、前記金属マグネシウムよりも電気陰性度が大きい金属でできていてもよい。
そうすることにより、以下の効果が生じる。
第1発明による水の浄化装置のケース内では、マグネシウム片と研磨片とが水中で接触することになる。マグネシウム片と研磨片とが水中で接触すると、マグネシウム片に含まれる金属マグネシウムと、研磨片に含まれる金属マグネシウムよりも電気陰性度が大きい金属との接点では、それらの間の電位差から局部電池が形成され、マグネシウムイオン(Mg2+)が溶出する。したがって、ケース内から流出口を通してケース外へ導かれる水には、金属マグネシウム粉に加えて、マグネシウムイオンが含まれることになる。マグネシウムイオンの流出も長期間にわたって少しずつなされる。水中でマグネシウムイオンは更に、以下の反応を生じる。
Mg2++2HO→Mg(OH)+2H
つまり、研磨片を金属マグネシウムよりも電気陰性度が大きい金属で構成することにより、本願の浄化装置内では、金属マグネシウム粉由来の水酸化マグネシウムのみならず、局部電池から生じるマグネシウムイオン由来の水酸化マグネシウムが生じる。
それにより、より多くの水酸化マグネシウムによって、水中の有機物の凝集が促進されるため、研磨片に含まれる金属を金属マグネシウムよりも電気陰性度が大きい金属とすることにより、有機物の凝集の効果を増すことができる。
前記突起を、前記金属マグネシウムよりも電気陰性度が大きい金属により構成することとすれば、第2発明でも同様の効果を得ることができる。
第2発明による水の浄化装置のケース内では、マグネシウム片と研磨面中の突起とが水中で接触することになる。突起が金属マグネシウムよりも電気陰性度が大きい金属によりできていれば、その接触時に突起とマグネシウム片との接点にて局部電池が発生し、マグネシウム片からマグネシウムイオンが生じる。したがって、この場合にも、ケース内から流出口を通してケース外へ導かれる水には、金属マグネシウム粉に加えて、マグネシウムイオンが含まれることになるため、突起を金属マグネシウムよりも電気陰性度が大きい金属により構成すれば、第1発明の場合と同様に、有機物の凝集の効果を増すことができるのである。
【0013】
以下は第1発明と第2発明との双方に妥当する。
即ち、前記ケースの内面の少なくとも一部が、前記金属マグネシウムよりも電気陰性度が大きい金属でできていてもよい。そうすることにより、ケース内で移動を行うマグネシウム片がケースの内面の金属マグネシウムよりも電気陰性度が大きい金属でできている部分と接触した場合においても、当該接触部位において局部電池が発生し、マグネシウム片からマグネシウムイオンが生じることになる。それにより、第1発明、第2発明による浄化装置で生成されるマグネシウムイオンの量を増やすことが可能となるため、有機物の凝集の効果を増すことができるようになる。
【0014】
これは第2発明に妥当するが、前記研磨面は、前記ケースの内面であってもよい。つまり、金属マグネシウムよりも電気陰性度が大きい金属でできており、マグネシウム片と衝突した場合にマグネシウム片から金属マグネシウム粉を生じる研磨材として機能する多数の突起は、ケースの内面の少なくとも一部に設けられていても良い。
その場合、ケースの全体、或いはケースの内面の少なくとも研磨面に該当する部分は、金属マグネシウムよりも電気陰性度が大きい金属でできていても良い。
【0015】
これは第1発明と、第2発明の双方に妥当するが、前記流入口と前記流出口には、所定の大きさ以下の前記金属マグネシウム粉のみを通過させる大きさの目開きを有する濾材が設けられており、前記濾材を通過した前記金属マグネシウム粉のみが前記ケースの外側に流出するようになっていてもよい。
これによれば、ケースの外に放出される金属マグネシウム粉を濾材を通過可能な小さなものに限定することができる。それによりケースの外に放出される金属マグネシウム粉の表面積を増やすことが可能となるため、水との反応により生成される水酸化マグネシウムの量を増やすことが可能となり、ひいては凝集させられる有機物の量を増やすことができるようになる。
これも第1発明と、第2発明の双方に妥当するが、前記流入口には前記ケースの内部と連通する前記ケースから突出する管である流入管が接続されており、前記流出口には前記ケースの内部と連通する前記ケースから突出する管である流出管が接続されていてもよい。
これも第1発明と第2発明の双方に妥当するが、流入口が流入管によって、流出口が流出管によって構成される場合、前記流入管と前記流出管の所定の位置には、所定の大きさ以下の前記金属マグネシウム粉のみを通過させる大きさの目開きを有する濾材が設けられており、前記濾材を通過した前記金属マグネシウム粉のみが前記ケースの外側に流出するようになっていてもよい。
これによれば、流入口に流入管が、流出口に流出管がそれぞれ接続されることによって構成される場合においても、ケースの外に放出される金属マグネシウム粉を濾材を通過可能な小さなものに限定することができる。
【0016】
これも第1発明と第2発明との双方に妥当するが、前記流入口から前記ケースの内部に導かれた前記水に、前記ケース内で渦を作らせる形状の板である渦生成板が前記ケース内に設けられていてもよい。
第1発明の場合、ケース内の水の流れによって移動するマグネシウム片と研磨片とが互いに衝突することでマグネシウム片から金属マグネシウム粉が生じる。第2発明の場合、ケース内の水の流れによって移動するマグネシウム片が研磨面に衝突することでマグネシウム片から金属マグネシウム粉が生じる。第1発明の場合にはマグネシウム片と研磨片の動きを大きくするのが、第2発明の場合にはマグネシウム片の動きを大きくするのが、金属マグネシウム粉の生成量を増やすためにそれぞれ有利であるが、いずれの場合でもケース内での水の流れを強くすれば金属マグネシウム粉の生成量を増やすために有利になるのは自明である。
渦生成板がケースの中に存在すれば、ケースの中に水の渦を生成することができるので、金属マグネシウム粉の生成量を増やす(場合によっては、マグネシウムイオンの生成量も増やす)ことが可能となる。
第1発明と第2発明の双方に妥当するが、マグネシウムイオンの生成量を更に増やすには、渦生成板を前記金属マグネシウムよりも電気陰性度が大きい金属で構成するのが簡単である。そうすると、渦生成版とマグネシウム片が衝突した場合にも、局部電池の発生に基づいてマグネシウム片からマグネシウムイオンが生じることになる。
【0017】
これは第2発明にのみ妥当するが、ケース内に渦生成板が存在する場合には、前記研磨面が、前記渦生成板の表面に設けられていてもよい。
こうすることにより、渦生成板の表面のうちの少なくとも一部に、上述した研磨面を兼ねさせることができるようになる。
この場合には渦生成板のうちの少なくとも研磨面が設けられる部分は、金属マグネシウムよりも電気陰性度が大きい金属でできていても良い。
更にいえば、前記研磨面及び前記研磨面に含まれる前記突起は前記渦生成板と一体に構成されており、前記渦生成板は、前記金属マグネシウムよりも電気陰性度が大きい金属でできていてもよい。これによれば、渦生成板にマグネシウム片が衝突した場合において、金属マグネシウム粉とマグネシウムイオンの双方が良く生成されるという効果を生じる渦生成板を簡易な構成とすることができ、また、その製造工程を簡単なものとすることができるようになる。
【0018】
本願発明者は、第2発明における水の浄化装置を構成する水の浄化器具をも第2発明の一態様として提案する。
一例となるその水の浄化器具は、前記流入口、及び前記流出口を有する前記ケースと、前記研磨面とを備えており、前記マグネシウム片と組合せて第2発明における水の浄化装置を構成する水の浄化器具である。
この場合においても、前記ケースは円筒形状であり、軸方向の一端側に前記流入口が、他端側に前記流出口がそれぞれ設けられていてもよい。
この場合においても、前記流入口から前記ケースの内部に導かれた前記水に、前記ケース内で渦を作らせる形状の板である渦生成板が前記ケース内に設けられていてもよい。
【0019】
本願発明者は、第1発明の他の態様として、以下の方法の発明をも提案する。その方法の効果は第1発明による浄化装置の効果に等しい。
一例となるその方法は、有機物を除去する対象の水をその内部に導く開口である流入口と、その内部に導かれた前記水をその外部に導く開口である流出口とが設けられているケースの内部に、金属マグネシウムでできている多数のマグネシウム片と、前記マグネシウム片と衝突した場合に前記マグネシウム片から金属マグネシウム粉を生じる研磨材として機能する多数の研磨片とを収納する過程と、前記ケースを前記水に水没させる過程と、前記流入口から前記ケースの内部に導かれた前記水の流れにより前記マグネシウム片と前記研磨片とを動かすことによって互いに衝突させて前記マグネシウム片から前記金属マグネシウム粉を生じさせ、前記金属マグネシウム粉を含む水を前記流出口から前記ケースの外部に導く過程と、を含む、水の浄化方法である。
【0020】
本願発明者は、第2発明の他の態様として、以下の方法の発明をも提案する。その方法の効果は第2発明による浄化装置の効果に等しい。
一例となるその方法は、有機物を除去する対象の水をその内部に導く開口である流入口と、その内部に導かれた前記水をその外部に導く開口である流出口とが設けられているとともに、その内部に多数の突起を有する研磨面を有するケースの内部に、金属マグネシウムでできている多数のマグネシウム片を収納する過程と、前記ケースを前記水に水没させる過程と、前記流入口から前記ケースの内部に導かれた前記水の流れにより前記マグネシウム片を動かすことによって、前記マグネシウム片と衝突する前記研磨面を前記マグネシウム片から金属マグネシウム粉を生じる研磨材として機能させて前記マグネシウム片から前記金属マグネシウム粉を生じさせ、前記金属マグネシウム粉を含む水を前記流出口から前記ケースの外部に導く過程と、を含む、水の浄化方法である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施形態による浄化装置の外観を示す斜視図。
図2図1に示した浄化装置の側断面図。
図3図1に示した浄化装置の平面断面図。
図4】第2実施形態の浄化装置の側断面図。
図5】第2実施形態の浄化装置の平面断面図。
図6】第3実施形態の浄化装置の平面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の第1、第2、第3実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。各実施形態の説明において同一の対象には同一の符号を付すこととし、重複する説明は場合により省略するものとする。
【0023】
≪第1実施形態≫
第1実施形態における水の浄化装置1について説明する。図1は、この実施形態における浄化装置1の外観を示す斜視図、図2は同浄化装置1の側断面図、図3は同浄化装置1の平面断面図である。
この実施形態における浄化装置はケース10を備えている。
ケース10は中空である。ケース10内部には、詳細は追って説明するが、いずれも多数とされたマグネシウム片51と研磨片52が充填される。ケース10内部の空間はそれが可能な形状、大きさとされている。この実施形態におけるケース10は直方体形状とされているが、これは当然にこの限りではない。ケース10は例えば、円筒形状とすることも可能である。
ケース10は、金属製或いは樹脂製である。後述するように使用時において浄化装置1は有機物を除去する対象となる水に水没させて使用される。ケース10は水没させられて水と接触した場合に腐食しにくい素材でできているのが好ましい。ケース10はその全体、或いはその内面が、金属マグネシウムよりも電気陰性度が大きい金属でできていてもよい。そうすることにより、ケース10の内面にマグネシウム片51が触れた場合においても、マグネシウム片51からマグネシウムイオンを生じさせることが可能となる。金属マグネシウムよりも電気陰性度が大きい金属の例は、鉄、銅、ステンレスである。これには限られないがこの実施形態では、ケース10の全体が金属マグネシウムよりも電気陰性度が大きい金属である鉄でできているものとする。
【0024】
ケース10には、2種類の孔が設けられている。1つが、ケース10外の水をケース10内に導くための流入口11である。もう1つがケース10内に導かれた水をケース10外に導くための流出口12である。流入口11と流出口12はそのような機能が果たせるような孔であればその形状、大きさは問わない。この実施形態ではこれには限られないが、流入口11の形状も流出口12の形状も円形であり、これには限られないがそれらの直径が同じとされている。流入口11と流出口12のケース10に対する位置も上述の機能が果たせる限り任意の位置とすることができるが、この実施形態ではこれには限られないが流入口11と流出口12とは、直方体とされたケース10の対向する面の対応する位置にそれぞれ設けられている。
これには限られないが、この実施形態の浄化装置1では、流入口11には流入管21が、流出口12には流出管22がそれぞれ接続されている。流入管21はこれには限られないがその内面の直径が流入口11の直径と同じとされた円筒形の管であり、その基端が流入口11の縁に接続され、これには限られないがケース10の流入口11が設けられた面から垂直に突出している。流出口22はこれには限られないがその内面の直径が流出口12の直径と同じとされた円筒形の管であり、その基端が流出口12の縁に接続され、これには限られないがケース10の流出口12が設けられた面から垂直に突出している。流入管21、流出管22ともに断面円形である必要もないし、ケース10から垂直に突出している必要もない。
ケース10外の水は、原則として流入管21と流入口11の双方を通過してケース10内に導かれるようになっており、ケース10内の水は、原則として流出口12と流出管22の双方を通過してケース10外に導かれるようになっている。
なお、流出口12と流出管22はケース10内の水をケース10外に流出させる機能を有する。それを実現させるためには、流出管22は必ずしも必須ではないし、また、流出口12を必ずしも1つとする必要はない。例えば、ケース10の適宜の位置に複数の孔やスリットを設けておきそれら孔やスリットを流出口12とすることも可能である。その場合、流出口12としての各スリットや孔には後述する濾材を設けておくことが好ましい。
【0025】
これも必ずしもこの限りではないが、この実施形態の浄化装置1では、流入管21の途中の適当な位置、或いは流出管22の途中の適当な位置に、濾材23、24が設けられている。濾材23、24は、所定の目開きを有する濾材である。目開きはスリット状であっても良い。後述するように、この浄化装置1では、マグネシウム片51から金属マグネシウム粉が生じるが、一定以下の大きさの金属マグネシウム粉しか濾材23、24の目を通過することができない。
加えて、この実施形態では、濾材23は流入管21の長さ方向に垂直なある断面の全面を覆うようにして流入管21内に張り渡されている。また、濾材24は流出管22の長さ方向に垂直なある断面の全面を覆うようにして流出管22内に張り渡されている。したがって、浄化装置1から外部に金属マグネシウム粉が流れ出る場合、その金属マグネシウム粉は必ず濾材23、24を通過しているということになる。つまり、この浄化装置1では、濾材23、24を通過できる程小さい金属マグネシウム粉のみが、ケース10の外に流れ出るということになる。
なお、流入管21が存在しない場合には濾材23は流入口11の全面を覆うようにして配すことができ、流出管22が存在しない場合には濾材24は流出口12の全面を覆うようにして配することができる。それによっても、濾材23、24を通過できる程小さい金属マグネシウム粉のみが、ケース10の外に流れ出るという状況を作り出すことができる。
【0026】
必ずしも必須ではないが、この実施形態の浄化装置1では、ケース10の中には、渦生成板30が設けられている。
渦生成板30は、流入管21及び流入口11を介してケース10の外部からケース10の中に入ってきた水に渦を作らせる機能を有している。渦生成板30は、ケース10内の水が作る渦が、ケース10内のマグネシウム片51と研磨片52とを激しく運動させる(水の流れの状態如何によっては、乱舞するように動き回らせる)ようにするためのものである。その目的が達成されるように渦生成板30は構成される必要があるが、その目的が達成される限り渦生成板30はどのように構成されていても良い。
渦生成板30は金属、樹脂等によって構成することができる。渦生成板30の少なくとも、その表面の一部が金属マグネシウムよりも電気陰性度が大きい金属でできていてもよい。そうすることにより、渦生成板30のうちの当該部分にマグネシウム片51が触れた場合においても、マグネシウム片51からマグネシウムイオンを生じさせることが可能となる。これには限られないが、この実施形態では、渦生成板30の全体が金属マグネシウムよりも電気陰性度が大きい金属の一例である鉄でできている。
これには限られないが、この実施形態の渦生成板30は、図2図3に示されたように、矩形の板を側面視した場合にロール状になるように曲折して構成されている。流入管21、流入口11を介してケース10内に入ってきた水は、例えば、図2に示した矢印Xに沿った流れを作り、ケース10内に水の渦を作り出す。
図2図3に示された渦生成板30はもちろん例示であり、その形状大きさは渦生成板30の目的が達成できる範囲で変更可能である。例えば、図2図3に示された渦生成板30の幅はケース10内の空間の幅(図3における上下方向)よりも狭くなっていたが、渦生成板30の幅はケース10内の空間の幅一杯となっていても良い。また、図2図3に示された渦生成板30の高さはケース10の高さ(図2における上下方向)一杯には及んでいないが、渦生成板30の高さはケース10内の空間の高さ一杯となっていても良い。
なお、渦生成板30の適当な箇所には、流入口11からケース10内に入った水が流出口12に向かうことを過度に妨げないように、或いはマグネシウム片51が渦生成板30に当たるのを妨げないように、適宜の形状、大きさの孔或いはスリット(いずれも、マグネシウム片51が通過しないような形状、大きさのもので良い。)が適宜の位置に適宜の数だけ設けられていても構わない。そのような孔、スリットの存在により、水は矢印Yで示したように渦生成板30を乗り越える。
【0027】
ケース10の内部の空間には、マグネシウム片51と研磨片52が封入されている。
マグネシウム片51と研磨片52は例えば、流入口11と流出口12の一方からケース10の中に入れることができる。その作業を簡単に行えるようにするために、流入管21を流入口11に対して着脱自在としておくか、流出管22を流出口12に対して着脱自在としておくといった工夫をしておくのはもちろん可能である。ケース10のいずれかの位置に、ケース10の内部にマグネシウム片51と研磨片52を入れるための開閉自在な扉を設けておくという工夫ももちろん採用可能である。
【0028】
マグネシウム片51は、金属マグネシウムでできている。マグネシウム片51は、金属マグネシウムの小塊或いは粒である。マグネシウム片51は、ケース10内の水の流れによりマグネシウム片51が動く程度の小ささとしておくことが必要である。
マグネシウム片51の大きさ(例えば、平均直径)が大きければ、マグネシウム片51から金属マグネシウム粉(場合によっては、金属マグネシウム粉とマグネシウムイオン)が生成されるスピードが遅くなるが、マグネシウム片51から金属マグネシウム粉(場合によっては、金属マグネシウム粉とマグネシウムイオン)が生成される期間が長くなる。どの程度の量の金属マグネシウム粉(場合によっては、金属マグネシウム粉とマグネシウムイオン)が水の浄化のために必要であるか、またどの程度の期間水の浄化の効果を持続させる必要があるかといった点を勘案して、マグネシウム片51の大きさを決定することができる。
研磨片52は、水の流れにより動いてマグネシウム片51と衝突することで、マグネシウム片51に、後述するように金属マグネシウム粉を生成させることを目的とした小塊或いは粒である。その目的が達成できる限り、研磨片52の素材、大きさは自由に選択可能である。
研磨片52を構成する素材は、例えば、金属、軽石その他の石、珪藻土等とすることができる。異なる種類の素材でできた複数種類の研磨片52が、多数の研磨片52の中に含まれていても良い。他方、研磨片52を構成する素材を、金属マグネシウムよりも電気陰性度が大きい金属とすることができる。そのような金属の例は、既に述べたように、鉄、銅、ステンレスである。この実施形態では、研磨片52は、金属マグネシウムよりも電気陰性度が大きい金属の一例である銅でできているものとする。研磨片52は、ケース10内の水の流れにより研磨片52が動く程度の小ささとしておくことが必要である。
研磨片52とマグネシウム片51の大きさ(例えば、平均直径)は同じとすることもできるし、そうで無くとも良い。
マグネシウム片51と研磨片52は、ケース10内部の空間で動き回ることができる必要があるため、ケース10内部に隙間なく充填するのは好ましくない。マグネシウム片51と研磨片52の総容積は、ケース10内部の空間の容積の30~50%とするのが好ましい。
【0029】
この実施形態による浄化装置1の使用方法と動作について説明する。
上述した浄化装置1は、有機物を除去する対象の水に水没して使用される。有機物を除去する対象の水は、海水である場合も淡水である場合もあり得る。浄化装置1は、海、湖沼、河川等に沈めて使用することができる。また、浄化装置1は、それが水中に位置する状態を保ちつつ、船により例えば海中で牽引しながら利用することも可能である。
【0030】
浄化装置1を水中に沈めると、流入管21、流入口11を介してケース10の中に水が入ってくる。例えば、浄化装置1を船で牽引する場合や、一方向に流れる河川に浄化装置1を適当な向きで設置する場合には、流入管21を流れの上流に向けることで、流入管21、流入口11を介してケース10の中にケース10外の水が常時入ってくる状態を作ることができる。
他方、潮流や潮の満ち引きのある海のように、浄化装置1が沈められた水中において水の流れが変化する場合には、流入管21、流入口11を介してケース10の中に水が入ってくる場合以外に、流出管22、流出口12を介してケース10の中に水が入ってくる場合もありうる。しかしながら、少なくともある時間帯においては、流入管21、流入口11を介してケース10の中に水が入ってくるのでそれ以外の時間帯はこの実施形態では無視する。
また、湖沼のような水の流れがそもそも少ない場所に浄化装置1を沈めた場合には、例えば、浄化装置1は無関係に走行する船の引波等に起因して生じる流れによって流入管21、流入口11を介してケース10の中に水が入ってくる場合もあるが、流入管21、流入口11を介してケース10の中に入ってくる水の量を増やしたいのであれば、流入管21、流入口11を介してケース10の中に水を供給する図示を省略のポンプを浄化装置1と組合せて用いることも可能である。もちろんポンプは、浄化装置1と一体化させることもできる。
また、流入口11、流入管21を介して効率よくケース10内に水を導くために、流入管21の先端を例えばラッパ状に広げる等の工夫を行うことも可能である。流入管21の先端を例えばラッパ状に広げる(或いは、流入管21の基端側(ケース10側)を相対的に先細りさせる)ことは、ケース10内に導かれる水の流速を増すことにも繋がる。
【0031】
いずれにせよ、浄化装置1のケース10には、流入管21、流入口11を介して水が導かれる。
水はケース10内に充満するが、流入管21、流入口11を介してケース10内に導かれた水は、渦生成板30に当たり図2に示した矢印Xに沿って流れることにより、ケース10内に渦を作る。
そうすると、水の流れによって、ケース10内にあるマグネシウム片51と研磨片52とがケース10内で動く。マグネシウム片51と研磨片52は場合によっては乱舞するようにして、ケース10内で動き回る。
それにより、ケース10内でマグネシウム片51と研磨片52は衝突を繰り返す。
それにより、マグネシウム片51からは、金属マグネシウム粉が生じる。より詳細にいうと、浄化装置1を水没させる前の状態では、マグネシウム片51を構成する金属マグネシウムの表面は、空気中でマグネシウムが酸化されることによって生成された不動態である酸化マグネシウム(MgO)の被膜で覆われている。研磨片52の素材に関わらず、研磨片52がマグネシウム片51に衝突するたびに、マグネシウム片51の表面の被膜が削り取られ、その内部の金属マグネシウムが露出しつつ、マグネシウム片51から金属マグネシウム粉が生じる。ただし、生じる金属マグネシウム粉の大きさにはばらつきがある。
他方、マグネシウム片51と、この実施形態では金属マグネシウムよりも電気陰性度が大きい金属の一例である銅でできた研磨片52とが水中で衝突時に接触すると、マグネシウム片51に含まれる金属マグネシウム(正確にいうなら、不動態の被膜から覗いた金属マグネシウム)と、研磨片52に含まれる金属マグネシウムよりも電気陰性度が大きい金属(この実施形態では、これには限られないが銅)との接点において電位差が生じるためそこに局部電池が形成され、マグネシウムイオン(Mg2+)が溶出する。ケース10の内面の少なくとも一部、渦生成板30の表面の少なくとも一部が金属マグネシウムよりも電気陰性度が大きい金属でできている場合、ケース10の内面又は渦生成板30の表面の金属マグネシウムよりも電気陰性度が大きい金属(この実施形態では、これには限られないがいずれも鉄)でできている部分とマグネシウム片51とが接触した場合にも同様に、マグネシウム片51からマグネシウムイオンが生じる。
【0032】
ケース10内に導かれた水は、その一部が矢印Yで示されたようにしてスリット又は孔を介して渦生成板30を通過した後に、流出口12、流出管22を介してケース10外に流出する。
ケース10外に流出する水には、ケース10内でマグネシウム片51から生じた金属マグネシウム粉とマグネシウムイオンとが含まれている。ただし、ケース10外に流出する金属マグネシウム粉は流出管22内にある濾材24を通過できるある程度小さいもののみとなる。もちろん、流出管22からマグネシウム片51と研磨片52が流出することも濾材24により防止される。なお、流入管21内にある濾材23により、流入口11、流入管21を通って大きな金属マグネシウム粉、マグネシウム片51、研磨片52が流出することも防止される。
濾材23、濾材24を通過できないある程度以上大きな金属マグネシウム粉は、その後研磨片52と衝突するなどして濾材23、濾材24を通過できる程度に小さくなってから、ケース10の外に流出することになる。
ケース10外に流出した金属マグネシウム粉中のマグネシウムは水の中で以下の反応を生じる。
Mg+2HO→Mg(OH)+H
また、ケース10外に流出したマグネシウムイオンは水中で以下の反応を生じる。
Mg2++2HO→Mg(OH)+2H
つまり、金属マグネシウム粉と、マグネシウムイオンからはともにMg(OH)つまり水酸化マグネシウムが生じる。
また、金属マグネシウム粉からは気体の水素が生じる。
水酸化マグネシウムは、水中の有機物を凝集させる。凝集した有機物は塊となり、例えば、ヘドロ状となる。凝集したその有機物の塊には泡となった水素が付着する。そして、その泡が与える浮力により、有機物の塊は浮いてくる。水に浮いた有機物の塊は、例えば船舶を用いて速やかに回収することもできるし、或いは陸地に打ち上げられたのであれば陸から回収することも可能となる。しかも気体の水素は、水への溶解度が低く、また、水との反応性が低いため、有機物の塊に泡の状態で付着した水素は長期間残存する。したがって、有機物の塊は長期間水に浮いた状態となるので、その処理が容易である。
【0033】
≪第2実施形態≫
第2実施形態における浄化装置2について説明する。
第2実施形態における浄化装置2は第1実施形態における浄化装置1と殆ど同じである。第2実施形態における浄化装置2は、第1実施形態における浄化装置1と、後述する相違する点を除いて、同じように構成することができる。
第2実施形態における浄化装置2は外観については、第1実施形態の浄化装置1と同じである。
しかしながらケース10の内部では、第2実施形態の浄化装置2と第1実施形態の浄化装置1とで若干の相違がある。
第2実施形態の浄化装置2の側断面図と平面断面図を、図4図5に示す。
【0034】
第2実施形態の浄化装置2のケース10の内部には第1実施形態の場合と異なり、研磨片52が存在せず、マグネシウム片51のみが存在する。もっとも、第2実施形態の浄化装置2のケース10内に、第1実施形態で説明したような研磨片52を入れることも可能である。ケース10内に研磨片52を入れないのであれば、ケース10内に入れられるマグネシウム片51の量を増やすことができ、例えば、水の浄化機能をより強く、或いはより長期間得ることが可能となる。
また、研磨片52が存在しない代わりに、第2実施形態の浄化装置2のケース10の内部には、研磨面が存在する。
研磨面は、ケース10の内部の適宜の場所に設けることができる。研磨面は、第1実施形態の浄化装置1における研磨片52が担っていた機能を担うものであり、マグネシウム片51と衝突した場合にマグネシウム片51から金属マグネシウム粉を生じる研磨材として機能する多数の突起(図示を省略)を有する。突起の形状、大きさは、上述の目的を達成できる限り自由であるが、マグネシウム片51から効率よく金属マグネシウム粉を生じさせるためには、突起は刃物状の鋭いものとするのが好ましい。研磨面は例えば、大根おろし器(おろし金)や、チーズ・グレーターのようなものとすることができる。研磨面は、また、波板状とすることも可能である。その場合には、波頭に相当する部分が上述の突起に相当することとなる。その場合における研磨面表面の断面は、波頭部分が鋭い形状となっているのが好ましい。
第2実施形態では、ケース10内で水の流れによって動いたマグネシウム片51が研磨面或いは研磨面に設けられた多数の突起に衝突することで金属マグネシウム粉を生じる。
研磨面は、ケース10の内部のどこに設けられていても良い。例えば、ケース10の内面の適宜の範囲に、或いは渦生成板30の表面の適宜の範囲に研磨面を設けることができる。この実施形態では、これには限られないが、ケース10の内面の全面、巻き込まれた渦生成板30の内側の表面の全面を研磨面としている。
渦生成板30には第1実施形態で説明した孔乃至スリット(図示を省略)を設けるべきである。
例えば、渦生成板30の表面の全面をおろし金の製造工程で行われるように目立てして加工したとすると、渦生成板30の表面には、多数の突起とともに第1実施形態で説明した孔乃至スリットが多数(突起の数と同数)形成されることになる。その孔乃至スリットは、第1実施形態で説明したように、流入口11からケース10内に入った水が流出口12に向かうことを過度に妨げないために、或いはマグネシウム片51が渦生成板30に当たるのを妨げないために役に立つ。渦生成板30における孔乃至スリットをマグネシウム片51が通過しないような形状、大きさのものとすることが可能であることは当然である。
研磨面は、また、金属マグネシウムよりも電気陰性度が大きい金属でできていてもよく、この実施形態ではそうされている。したがって、研磨面にマグネシウム片51が衝突した場合には、第1実施形態で説明したように局部電池が生成されることにより、マグネシウム片51からマグネシウムイオンが生じるようになっている。研磨面となっている部分におけるケース10内の表面、又は渦生成板30の表面は、金属マグネシウムよりも電気陰性度が大きい金属でできているものとすることができる。他方、ケース10の内面、又は渦生成板30の表面の研磨面でない部分が、金属マグネシウムよりも電気陰性度が大きい金属でできていてもよい。これには限られないが、この実施形態では、ケース10と渦生成板30の全体はそれぞれ、金属マグネシウムよりも電気陰性度が大きい金属の一例である鉄でできているものとする。
一応渦生成板30について言及すると、この実施形態の渦生成板30は、渦生成板30の表面の全面を、渦生成板30の内側の面に多数の突起が形成されるように目立ての加工をした鉄の一体物となっており、多数の貫通する孔を有したものとなっている。
なお、研磨面が、ケース10の内面、又は渦生成板30の表面以外のケース10内に設けられた適宜の部材(例えば板材)の表面に設けられていても良い。
【0035】
第2実施形態における浄化装置2の使用方法と動作は、第1実施形態における浄化装置1におけるそれらと基本的に同じである。
特にその使用方法については両者にまったく違いはない。
第2実施形態の浄化装置2は第1実施形態の場合と同じく、有機物を除去する対象の水に水没して使用される。
浄化装置2を水中に沈めると、流入管21、流入口11を介してケース10の中に水が入ってくる。
水はケース10内に充満する。流入管21、流入口11を介してケース10内に導かれた水は、渦生成板30に当たり図4に示した矢印Xに沿って流れることにより、ケース10内に渦を作る。
そうすると、水の流れによって、ケース10内にあるマグネシウム片51がケース10内で動き、場合によっては乱舞するようにして、ケース10内で動き回る。
それにより、ケース10内でマグネシウム片51は、研磨面に衝突を繰り返す。渦生成板30に設けられた多数の孔を水が通ることにより、マグネシウム片51は渦生成板30に良く衝突するとともに、流入口11からケース10内に導かれた水が流出口12に向かうことが促進される。
それにより、第1実施形態でマグネシウム片51と研磨片52とが衝突した場合と同様に、マグネシウム片51からは、金属マグネシウム粉が生じるとともに、マグネシウムイオンが生じる。マグネシウムイオンは、マグネシウム片51が、研磨面以外の金属マグネシウムよりも電気陰性度が大きい金属でできたものの表面(例えばケース10の内面の当該金属でできた部分)と接触した場合にも生じる。
ケース10内に導かれた水は、矢印Yで示したようにその一部が渦生成板30を通過し、流出口12、流出管22を介してケース10外に流出する。ケース10外に流出する水には、ケース10内でマグネシウム片51から生じた金属マグネシウム粉とマグネシウムイオンとが含まれている。
以降は、第1実施形態で説明したのと同じである。
【0036】
≪第3実施形態≫
第3実施形態の浄化装置3は、第2実施形態の浄化装置2と概ね同じである。第3実施形態の浄化装置3も、第2実施形態の浄化装置2と同じく、必ずしもこの限りではないがケース10の内部に研磨片52を備えていない。
【0037】
第3実施形態の浄化装置3と、第2実施形態の浄化装置2とで異なるのは概ね、ケース10と渦生成板30の形状である。
図6は浄化装置3をケース10の軸を通る任意の平面で切断した状態を示す断面図である。
第3実施形態の浄化装置3のケース10は円筒形をしている。ケース10の軸方向は、図6における左右方向である。ケース10の両端はドーナツ型の板であるドーナツ板15によって閉ざされている。ドーナツ板15の中心の開口が、流入口11と、流出口12となる。
流入口11の縁には流入管21の基端側の縁が、流出口12の縁には流出管22の基端側の縁がそれぞれ接続されている。
ケース10の内部には、渦生成板30が配されている。渦生成板30は、図6に示したような断面形状をしており、流入口11に向かって開口している。渦生成板30の開口部の縁は、ケース10の軸に向けて緩やかに湾曲している。他方、渦生成板30の流出口12側は、ケース10の軸に垂直な断面の全面を覆うようになっており、結果としてこの実施形態では、ケース10の内部の空間は、渦生成板30によって、流入口11側と、流出口12側との2つの空間に分割された状態となっている。渦生成板30の、開口部と、ケース10の軸に垂直な断面の全面を覆う部分とを繋ぐ部分は、ケース10の内面に沿っており、溶接、ロウ付け、ネジ止め等の適宜の方法で、ケース10に対して固定されている。
この実施形態におけるケース10、ドーナツ板15、流入口11、流出口12、流入管21、流出管22、及び渦生成板30は、これには限られないが、ケース10の軸を中心とした回転体となっており、軸を中心に対称な形状となっている。
【0038】
渦生成板30は、これには限られないが金属マグネシウムよりも電気陰性度が大きい金属、より詳細には例えば鉄でできている。渦生成板30の内側面(流入口11側の空間に面する面)の少なくとも一部、これには限られないがこの実施形態では全面は、多数の突起(図示を省略)を有する研磨面となっている。また、渦生成板30の、ケース10の軸に垂直な断面の全面を覆い、ケース10内の2つの空間を2つの空間に分ける部分には、多数の孔又はスリット(いずれも図示を省略)が設けられている。この実施形態においては、かかる孔又はスリットが存在しないと、流入口11からケース10内に入ってきた水が渦生成板30に阻まれて流出口12から抜けないことになるので、上記孔又はスリットは必須となる。
これには限られないが、この実施形態では、渦生成板30の全面に対して目立て加工を行うことにより、渦生成板30の内側面の全面に、多数の突起を設けるとともに、渦生成板30の全面に突起と同数の多数の孔を設けることとしている。多数の孔のうち、渦生成板30の、開口部と、ケース10の軸に垂直な断面の全面を覆う部分とを繋ぐ部分における孔は、ケース10内の水をケース10内の流入口11側の空間から流出口12側の空間に流す役には立たないが、それは特に問題とはならない。
なお、「この実施形態におけるケース10、ドーナツ板15、流入口11、流出口12、流入管21、流出管22、及び渦生成板30は、ケース10の軸を中心とした回転体となっており、軸を中心に対称な形状となっている。」と上記したが、渦生成板30における突起と孔は、軸を中に対称となっている必要はない。
【0039】
第3実施形態における浄化装置3の使用方法と動作は、第2実施形態における浄化装置2におけるそれらと基本的に同じである。
特にその使用方法については両者にまったく違いはない。
第3実施形態の浄化装置3は第2実施形態の場合と同じく、有機物を除去する対象の水に水没して使用される。
浄化装置3を水中に沈めると、流入管21、流入口11を介してケース10の中に水が入ってくる。
水はケース10内に充満する。流入管21、流入口11を介してケース10内に導かれた水は、渦生成板30に当たり図6に示した矢印Xに沿って流れることにより、ケース10内に渦を作る。
そうすると、水の流れによって、ケース10内にあるマグネシウム片51がケース10内で動き、場合によっては乱舞するようにして、ケース10内で動き回る。
それにより、ケース10内でマグネシウム片51は、研磨面に衝突を繰り返す。渦生成板30に設けられた多数の孔を水が通ることにより、マグネシウム片51は渦生成板30に良く衝突するとともに、流入口11からケース10内に導かれた水が流出口12に向かうことが促進される。
それにより、第2実施形態の場合と同様に、マグネシウム片51からは、金属マグネシウム粉が生じるとともに、マグネシウムイオンが生じる。マグネシウムイオンは、マグネシウム片51が、研磨面以外の金属マグネシウムよりも電気陰性度が大きい金属でできたものの表面(例えばケース10の内面の当該金属でできた部分)と接触した場合にも生じる。
ケース10内に導かれた水は、矢印Yで示したように渦生成板30を通過し、流出口12、流出管22を介してケース10外に流出する。ケース10外に流出する水には、ケース10内でマグネシウム片51から生じた金属マグネシウム粉とマグネシウムイオンとが含まれている。
以降は、第1、第2実施形態で説明したのと同じである。
【符号の説明】
【0040】
1 浄化装置
2 浄化装置
10 ケース
11 流入口
12 流出口
21 流入管
22 流出管
23 濾材
24 濾材
30 渦生成板
51 マグネシウム片
52 研磨片
図1
図2
図3
図4
図5
図6