(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052482
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】車両の内装材
(51)【国際特許分類】
B60R 13/02 20060101AFI20240404BHJP
B60J 5/00 20060101ALI20240404BHJP
B60Q 3/217 20170101ALI20240404BHJP
B60Q 3/54 20170101ALI20240404BHJP
B60H 1/00 20060101ALI20240404BHJP
B60H 1/34 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
B60R13/02 B
B60J5/00 501Z
B60Q3/217
B60Q3/54
B60H1/00 102U
B60H1/34 651Z
B60H1/34 631
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034985
(22)【出願日】2023-03-07
(31)【優先権主張番号】63/377,917
(32)【優先日】2022-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小堀 建一
【テーマコード(参考)】
3D023
3K040
3L211
【Fターム(参考)】
3D023BA01
3D023BB08
3D023BC01
3D023BD03
3D023BE24
3K040AA02
3K040CA05
3K040DA03
3K040DA05
3K040DB01
3K040EA04
3K040GA04
3K040GB08
3K040GC14
3L211BA57
3L211DA14
(57)【要約】
【課題】 車両の内装材において、空気の吹出口を開閉可能にすることにより意匠性を向上させる。
【解決手段】 車両の内装材3であって、空気を送り出すためのブロア12と、ブロアに一端側において接続されたダクト13と、ダクトの他端側に接続され、空気を車室へ供給するべく上方に向けて開口した吹出口38と、吹出口を開閉する平板状の蓋本体51を備えた蓋部14と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の内装材であって、
空気を送り出すためのブロアと、
前記ブロアに一端側において接続されたダクトと、
前記ダクトの他端側に接続され、前記空気を車室へ供給するべく上方に向けて開口した吹出口と、
前記吹出口を開閉する平板状の蓋本体を備えた蓋部と、を有する車両の内装材。
【請求項2】
前記吹出口の縁部には、前記吹出口を照明する第1発光部を備えた照明装置が設けられている請求項1に記載の車両の内装材。
【請求項3】
前記蓋部は、前記縁部に対する前記蓋本体の位置を変位させるアクチュエータを有し、
前記蓋本体は、前記吹出口を閉じる閉位置と、前記吹出口を開く開位置との間で変位可能に構成され、
前記ブロア、前記照明装置及び前記アクチュエータに制御装置が接続され、
前記制御装置は、前記ブロアが作動していない場合に前記照明装置を制御して前記第1発光部の発光を禁止し、かつ前記アクチュエータを制御して前記蓋本体を前記閉位置に維持し、前記ブロアが作動している場合に前記照明装置を制御して前記第1発光部を発光させ、かつ前記アクチュエータを制御して前記蓋本体を前記開位置に維持する請求項2に記載の車両の内装材。
【請求項4】
前記ダクトの内部には、前記空気を冷却する冷却装置が設けられている請求項1に記載の車両の内装材。
【請求項5】
前記ダクトの内部には、前記空気を加熱する温熱装置が設けられている請求項1に記載の車両の内装材。
【請求項6】
前記照明装置は、前記第1発光部の下方に設けられた第2発光部を有し、
前記第2発光部より前記車室側には前記第2発光部からの光を透過させる加飾パネルが設けられている請求項3に記載の車両の内装材。
【請求項7】
前記第2発光部は、前記ブロアの側方に設けられている請求項6に記載の車両の内装材。
【請求項8】
前記第2発光部と前記ブロアとの間には、熱の伝達を抑制する断熱部材が設けられている請求項6に記載の車両の内装材。
【請求項9】
前記内装材は前記車両のドアトリムを構成し、
前記ドアトリムの前部かつ上部には前記車両のドアを開閉するためのインナハンドルが設けられ、
前記ブロアは前記ドア内の前記インナハンドルの下方かつ前方の部分に設けられ、
前記吹出口は前記ドアトリムの後部かつ上部に設けられ、
前記ダクトは、前記ブロアから前記吹出口に向けて前後に延びている請求項1に記載の車両の内装材。
【請求項10】
前記ドア内の前記ダクトの下方部分にはドアポケットが設けられ、
前記ドアポケットは、前記ドア内に位置する収納位置と、前記収納位置よりも車内側に変位した使用位置との間で変位可能に構成され、かつ前記使用位置において前記車室に向けて開口する凹部を有する請求項9に記載の車両の内装材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の内装材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ドアトリムを備えた車両を開示している。ドアトリムには、空気の吸込口と、空気の吹出口と、吸込口及び吹出口を接続するダクトとが設けられている。吸込口には、車両のダッシュボードに設けられた空調装置に接続された接続口が対向している。これにより、空調装置から送られる空気が接続口を介して吸込口に吸い込まれ、ドアトリムの吹出口から車室内に吹き出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のドアトリムに設けられた空気の吹出口は車室に向けて開口しているため、美観上好ましくないという問題がある。
【0005】
本発明は、以上の背景を鑑み、車両の内装材において、空気の吹出口を開閉可能にすることにより意匠性を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、車両の内装材(3)であって、空気を送り出すためのブロア(12)と、前記ブロアに一端側において接続されたダクト(13)と、前記ダクトの他端側に接続され、前記空気を車室へ供給するべく上方に向けて開口した吹出口(38)と、前記吹出口を開閉する平板状の蓋本体(51)を備えた蓋部(14)と、を有する。
【0007】
この態様によれば、車両の内装材において、空気の吹出口を開閉可能にすることにより意匠性を向上させることができる。
【0008】
上記の態様において、前記吹出口の縁部には、前記吹出口を照明する第1発光部(55)を備えた照明装置(15)が設けられているとよい。
【0009】
この態様によれば、吹出口が視認され易くなる。
【0010】
上記の態様において、前記蓋部は、前記縁部に対する前記蓋本体の位置を変位させるアクチュエータ(53)を有し、前記蓋本体は、前記吹出口を閉じる閉位置と、前記吹出口を開く開位置との間で変位可能に構成され、前記ブロア、前記照明装置及び前記アクチュエータに制御装置(16)が接続され、前記制御装置は、前記ブロアが作動していない場合に前記照明装置を制御して前記第1発光部の発光を禁止し、かつ前記アクチュエータを制御して前記蓋本体を前記第1位置に維持し、前記ブロアが作動している場合に前記照明装置を制御して前記第1発光部を発光させ、かつ前記アクチュエータを制御して前記蓋本体を前記第2位置に維持するとよい。
【0011】
この態様によれば、蓋本体の位置及び第1発光部の発光によって、ブロアが作動していることが認識可能になる。また、ブロアが作動していないときには蓋本体が吹出口を閉じ、第1発光部が発光しないため、内装材を視覚的にシンプルに構成することができる。
【0012】
上記の態様において、前記ダクトの内部には、前記空気を冷却する冷却装置(44)が設けられているとよい。
【0013】
この態様によれば、吹出口から冷却された空気を送ることができる。
【0014】
上記の態様において、前記ダクトの内部には、前記空気を加熱する温熱装置(43)が設けられているとよい。
【0015】
この態様によれば、吹出口から加熱された空気を送ることができる。
【0016】
上記の態様において、前記照明装置は、前記第1発光部の下方に設けられた第2発光部(56)を有し、前記第2発光部より車室側には前記第2発光部からの光を透過させる加飾パネル(61)が設けられているとよい。
【0017】
この態様によれば、第2発光部からの光によって加飾パネルを加飾することができる。また、第1発光部と第2発光体部とをコンパクトに配置することができる。
【0018】
上記の態様において、前記第2発光部は、前記ブロアの側方に設けられているとよい。
【0019】
この態様によれば、第2発光部とブロアとを上下方向においてコンパクトに配置することができる。
【0020】
上記の態様において、前記第2発光部と前記ブロアとの間には、熱の伝達を抑制する断熱部材(60)が設けられているとよい。
【0021】
この態様によれば、第2発光部及びブロアを、互いから発生する熱から保護することができる。
【0022】
上記の態様において、前記内装材は前記車両のドアトリム(3)を構成し、前記ドアトリムの前部かつ上部には前記車両のドアを開閉するためのインナハンドル(24)が設けられ、前記ブロアは前記ドア内の前記インナハンドルの下方かつ前方の部分に設けられ、前記吹出口は前記ドアトリムの後部かつ上部に設けられ、前記ダクトは、前記ブロアから前記吹出口に向けて前後に延びているとよい。
【0023】
この態様によれば、車両のドアトリムにブロアを設けることができる。
【0024】
上記の態様において、前記ドア内の前記ダクトの下方部分にはドアポケット(27)が設けられ、前記ドアポケットは、前記ドア内に位置する収納位置と、前記収納位置よりも車内側に変位した使用位置との間で変位可能に構成され、かつ前記使用位置において前記車室に向けて開口する凹部(31)を有するとよい。
【0025】
この態様によれば、ドアポケットを使用していないときにはドアポケットをドアトリム内に収納することができる。よって、ドアトリムを視覚的にシンプルに構成することができる。
【発明の効果】
【0026】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、車両の内装材(3)であって、空気を送り出すためのブロア(12)と、前記ブロアに一端側において接続されたダクト(13)と、前記ダクトの他端側に接続され、前記空気を車室へ供給するべく上方に向けて開口した吹出口(38)と、前記吹出口を開閉する平板状の蓋本体(51)を備えた蓋部(14)と、を有する。
【0027】
この態様によれば、車両の内装材において、空気の吹出口を開閉可能にすることにより意匠性を向上させることができる。
【0028】
上記の態様において、前記吹出口の縁部には、前記吹出口を照明する第1発光部(55)を備えた照明装置(15)が設けられているとよい。
【0029】
この態様によれば、吹出口が視認され易くなる。
【0030】
上記の態様において、前記蓋部は、前記縁部に対する前記蓋本体の位置を変位させるアクチュエータ(53)を有し、前記蓋本体は、前記吹出口を閉じる閉位置と、前記吹出口を開く開位置との間で変位可能に構成され、前記ブロア、前記照明装置及び前記アクチュエータに制御装置(16)が接続され、前記制御装置は、前記ブロアが作動していない場合に前記照明装置を制御して前記第1発光部の発光を禁止し、かつ前記アクチュエータを制御して前記蓋本体を前記第1位置に維持し、前記ブロアが作動している場合に前記照明装置を制御して前記第1発光部を発光させ、かつ前記アクチュエータを制御して前記蓋本体を前記第2位置に維持するとよい。
【0031】
この態様によれば、蓋本体の位置及び第1発光部の発光によって、ブロアが作動していることが認識可能になる。また、ブロアが作動していないときには蓋本体が吹出口を閉じ、第1発光部が発光しないため、内装材を視覚的にシンプルに構成することができる。
【0032】
上記の態様において、前記ダクトの内部には、前記空気を冷却する冷却装置(44)が設けられているとよい。
【0033】
この態様によれば、吹出口から冷却された空気を送ることができる。
【0034】
上記の態様において、前記ダクトの内部には、前記空気を加熱する温熱装置(43)が設けられているとよい。
【0035】
この態様によれば、吹出口から加熱された空気を送ることができる。
【0036】
上記の態様において、前記照明装置は、前記第1発光部の下方に設けられた第2発光部(56)を有し、前記第2発光部より車室側には前記第2発光部からの光を透過させる加飾パネル(61)が設けられているとよい。
【0037】
この態様によれば、第2発光部からの光によって加飾パネルを加飾することができる。また、第1発光部と第2発光体部とをコンパクトに配置することができる。
【0038】
上記の態様において、前記第2発光部は、前記ブロアの側方に設けられているとよい。
【0039】
この態様によれば、第2発光部とブロアとを上下方向においてコンパクトに配置することができる。
【0040】
上記の態様において、前記第2発光部と前記ブロアとの間には、熱の伝達を抑制する断熱部材(60)が設けられているとよい。
【0041】
この態様によれば、第2発光部及びブロアを、互いから発生する熱から保護することができる。
【0042】
上記の態様において、前記内装材は前記車両のドアトリム(3)を構成し、前記ドアトリムの前部かつ上部には前記車両のドアを開閉するためのインナハンドル(24)が設けられ、前記ブロアは前記ドア内の前記インナハンドルの下方かつ前方の部分に設けられ、前記吹出口は前記ドアトリムの後部かつ上部に設けられ、前記ダクトは、前記ブロアから前記吹出口に向けて前後に延びているとよい。
【0043】
この態様によれば、車両のドアトリムにブロアを設けることができる。
【0044】
上記の態様において、前記ドア内の前記ダクトの下方部分にはドアポケット(27)が設けられ、前記ドアポケットは、前記ドア内に位置する収納位置と、前記収納位置よりも車内側に変位した使用位置との間で変位可能に構成され、かつ前記使用位置において前記車室に向けて開口する凹部(31)を有するとよい。
【0045】
この態様によれば、ドアポケットを使用していないときにはドアポケットをドアトリム内に収納することができる。よって、ドアトリムを視覚的にシンプルに構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、図面を参照して、本発明に係る車両の内装材を車両のフロントドアのドアトリムに適用した実施形態について説明する。本明細書においては、前後方向、左右方向、及び、上下方向を、車両の向きを基準として定める。
【0048】
図1に示すように、車両のフロントドア1は、骨格部材としてのドアパネル2と、ドアパネル2の車室側の側面に設けられたドアトリム3とを備えている。
【0049】
ドアパネル2は、インナパネルとアウタパネルとを有する。アウタパネルは車体の外面を構成する。インナパネルは、アウタパネルに対して車室側(車内側)に配置されている。インナパネルは、上縁を除く、前縁、下縁、及び後縁においてアウタパネルに結合され、中央部に空間を形成している。
【0050】
インナパネル及びアウタパネルの間には、サイドウインドウガラス5及びその昇降装置(不図示)が配置される。サイドウインドウガラス5は、インナパネル及びアウタパネルの上縁間に形成された開口を通過して上下に移動する。
【0051】
ドアトリム3は、ドアトリム本体11と、ドアトリム本体11に設けられたブロア12、ダクト13、蓋部14、照明装置15(
図5)及び制御装置16(
図5)と、を有する。
【0052】
ドアトリム本体11は板状をなす部材であり、ドアパネル2に対して車内側に配置されている。ドアトリム本体11は左右を向く面を有する主部20と、主部20の周縁からドアパネル2側に延び、ドアパネル2の車内側面に結合された縁壁部22とを有する。主部20及び縁壁部22の車外側部分は、インナパネルとの間に空間23を形成する。
【0053】
主部20における前側かつ上側の部分には、フロントドア1を開閉するためのインナハンドル24が設けられている。主部20における前側かつ下側の部分にはスピーカー25が設けられている。主部20における後側かつ下側の部分には、衝撃吸収体26が設けられている。主部20の下部であってスピーカー25の後方かつ衝撃吸収体26より前方に位置する部分には、ドアポケット27が設けられている。
【0054】
衝撃吸収体26は、空間23に配置され、主部20の車外側面(インナパネル側を向く面)に支持されている。衝撃吸収体26は、樹脂材料や金属材料等の様々な材料から形成することができる。樹脂材料は、例えばポリプロピレンやポリエチレン、炭素やガラス、ナノセルロース等の繊維を含む繊維強化樹脂であってよい。
【0055】
図1及び
図2に示すように、ドアポケット27は、ポケット本体30を有する。ポケット本体30は、内部に物品を収容可能に形成された凹部31を画定する。ポケット本体30には、回動軸32及び溝部33が設けられている。
【0056】
回動軸32は、ポケット本体30の下部に設けられ、前後に延びている。ポケット本体30は、回動軸32を中心に回動可能に構成されている。
【0057】
溝部33は、凹部31を画定する2つの面であって、前方及び後方を向く面にそれぞれ形成されている。溝部33は、前後に貫通しかつ左右に延びる長穴である。溝部33には、ドアトリム本体11に設けられ、かつ前後に延びる棒状のピン34が挿通されている。ピン34は溝部33に対して摺動可能となっている。溝部33は、ピン34を受容することにより、ポケット本体30の回動範囲を規制する。
【0058】
ドアポケット27は、ポケット本体30が回動軸32を中心に回動することにより、収納位置と、使用位置との間で変位可能に構成されている。収納位置において、ポケット本体30はフロントドア1内に位置する。使用位置において、ポケット本体30は収納位置よりも車内側に変位し、凹部31は車室に向けて上方に開口する。
【0059】
本実施形態では、ドアポケット27は、モータ35(
図5)によって回動軸32を中心に回動するように駆動される。すなわち、モータ35により、ドアポケット27は、収納位置と使用位置との間で変位可能となっている。
【0060】
図1に示すように、ブロア12は、車室内から空気を取り込み、取り込んだ空気を車室内に供給する。ブロア12は、ドアトリム本体11におけるインナハンドル24より下方かつ前方であって、スピーカー25より上方の部分に設けられている。ブロア12は、空間23に配置され、主部20の車外側面(インナパネル側を向く面)に支持されている。主部20であってブロア12に対して側方に位置する部分には、吸入口37が設けられている。吸入口37は、ブロア12が空気を吸い込むための貫通孔である。
【0061】
縁壁部22のうち、主部20の上側に位置する部分(以下、上縁壁部22A)には、貫通孔である吹出口38が設けられている。本実施形態では、上縁壁部22Aには前後に並ぶ3つの吹出口38が設けられている。以下、前側に位置する吹出口38を前吹出口38A、中央に位置する吹出口38を中央吹出口38B、後側に位置する吹出口38を後吹出口38Cと記載する。前吹出口38A、中央吹出口38B及び後吹出口38Cはそれぞれ、サイドウインドウガラス5の下端部に向けて上向きに開口するように形成されている。吹出口38は上面視で矩形をなしているとよい。
【0062】
ダクト13は、空間23に配置され、主部20の車外側面(インナパネル側を向く面)に支持されている。ダクト13は、硬質樹脂製の筒状部材である。ダクト13は、一端においてブロア12に接続し、三又に分岐し、他端でそれぞれ3つの吹出口38に接続している。ダクト13は、ブロア12から送られた空気を3つの吹出口38に導く。以下、ダクト13におけるブロア12から分岐地点までの部分を上流側筒部40、分岐地点からそれぞれの吹出口38の部分を下流側筒部41と記載する。
【0063】
上流側筒部40は一端側(上流端側)においてブロア12に接続され、他端側において、3つの下流側筒部41に接続されている。下流側筒部41は一端側において上流側筒部40に接続され、他端側において吹出口38にそれぞれ接続されている。
【0064】
上流側筒部40には温熱装置43及び冷却装置44が設けられている。温熱装置43は、ブロア12から送り出された空気を加熱する。温熱装置43は上流側筒部40の車内側の側面に設けられているとよい。冷却装置44は、ブロア12から送り出された空気を冷却する。冷却装置44は上流側筒部40の車外側の面に設けられているとよい。温熱装置43及び冷却装置44は、ブロア12とともに空調装置45(
図5)として機能する。
【0065】
上流側筒部40と下流側筒部41との接続部分には、それぞれ遮断装置46が設けられている。遮断装置46は、扉体48と、扉体48を駆動する扉体駆動装置(駆動装置49)(
図5)とを有している。
【0066】
扉体48は、上流側筒部40と下流側筒部41との間を選択的に遮断可能に設けられている。扉体48は、上流側筒部40と下流側筒部41との間を遮断する遮断位置と、上流側筒部40と下流側筒部41との間を遮断することのない非遮断位置とに変位可能に構成されている。扉体48が遮断位置にあるときには、上流側筒部40と下流側筒部41とが連通する。扉体48が非遮断位置にあるときには、上流側筒部40と下流側筒部41とが連通する。
【0067】
駆動装置49(
図5)は、扉体48を回動させることによって、扉体48を遮断位置及び非遮断位置に変位させる。駆動装置49は公知のモータによって構成されていてよい。
【0068】
図1及び
図3に示すように、蓋部14は、蓋本体51と、ヒンジ軸52と、アクチュエータ53(
図5)とを有する。蓋部14は、それぞれの吹出口38の縁部に設けられている。
【0069】
蓋本体51は、平板状をなし、吹出口38の縁部にヒンジ接続されている。蓋本体51はヒンジ軸52を中心として回動することにより吹出口38を開閉する。
【0070】
ヒンジ軸52は、吹出口38に対して車外側の縁部に設けられ、前後に延びている。
【0071】
アクチュエータ53は、吹出口38に対する蓋本体51の位置を変化させる。アクチュエータ53は、ヒンジ軸52を中心として蓋本体51を回動させることによって、蓋本体51を閉位置及び開位置に変位させる。閉位置において、蓋本体51は吹出口38を開いて露出させる。開位置において、蓋本体51は吹出口38を閉じて封じる。
【0072】
蓋本体51は、開位置において、吹出口38に対して所定の角度だけ回動した状態で維持されるとよい。所定の角度は、例えば30度から60度の範囲であるとよい。すなわち、開位置において、蓋本体51の主面は、下方かつ車内側を向いているとよい。これにより、ブロア12から吹出された空気を車室内の乗員に対して効率よく送ることができる。
【0073】
また、前吹出口38A、中央吹出口38B及び後吹出口38Cに設けられた蓋部14の蓋本体51は、開位置において、吹出口38に対してそれぞれ異なる角度で維持されてもよい。
【0074】
図1、
図3及び
図5に示すように、照明装置15は、電圧を印加されることにより発光する。照明装置15は、第1発光部55と、第2発光部56とを有する。
【0075】
第1発光部55は、吹出口38の縁部に設けられている。第1発光部55は、吹出口38を囲むように環状に設けられているとよい。第1発光部55は、吹出口38の縁部に設けられた複数の発光素子によって構成されていてもよい。第1発光部55は、吹出口38の縁部に設けられた発光素子と、吹出口38の発光素子からの光を導く導光体とによって構成されていてもよい。発光素子は、例えばLEDであるとよい。
【0076】
図1及び
図4に示すように、第2発光部56は、第1発光部55の下方に設けられ、ダクト13に沿って前後に延びている。第2発光部56は、第1発光部55と同様に、複数の発光素子によって構成されていてもよい。第2発光部56は、複数の発光素子と、発光素子からの光を導く導光体とによって構成されていてもよい。
【0077】
本実施形態では、第2発光部56は、主部20に形成された収容凹部57に収容されている。少なくとも収容凹部57の底部を画定する部分には、断熱部材60が設けられている。第2発光部56に対して車室側には、加飾パネル61が設けられている。
【0078】
断熱部材60は、熱の伝達を抑制する。断熱部材60は、セルロースファイバ等の繊維系断熱材や、ウレタンフォーム等の発泡プラスチック系断熱材などの、公知の断熱材料によって構成されている。本実施形態では、断熱部材60は、第2発光部56と温熱装置43との間に延在している。
【0079】
加飾パネル61は、板状の部材であり、収容凹部57を車室側から覆うように主部20に沿って配置されている。加飾パネル61は、第2発光部56からの光を車室内に透過させることにより、ドアトリム3を加飾する。加飾パネル61は、第2発光部56からの光を透過させる透光部と、第2発光部56からの光の透過を禁止する非透光部と、を有しているとよい。
【0080】
図5に示すように、制御装置16は、中央演算処理装置(CPU)、RAM、ROM及び、SSD等の記憶装置を有し、入力装置としてのスイッチ65に接続されている。
【0081】
スイッチ65は、第1スイッチ66及び第2スイッチ67を有する。
【0082】
図1に示すように、第1スイッチ66は上縁壁部22Aに設けられている。第1スイッチ66は吹出口38の近くに設けられているとよい。第1スイッチ66は静電容量式のタッチスイッチであるとよい。第1スイッチ66は押圧されることにより入力を受け付ける押しボタンスイッチや感圧スイッチであってもよい。
【0083】
図2に示すように、第2スイッチ67はポケット本体30の車内側を向く面における上部に設けられている。第2スイッチ67は静電容量式のタッチスイッチであるとよい。第2スイッチ67は押圧されることにより入力を受け付ける押しボタンスイッチや感圧スイッチであってもよい。
【0084】
図5に示すように、制御装置16は、スイッチ65、空調装置45、遮断装置46、照明装置15、蓋部14及びドアポケット27に接続されている。制御装置16は、スピーカー25に接続されていてもよい。
【0085】
制御装置16は、第1スイッチ66からの信号を取得し、取得した信号に基づいて空調装置45及び遮断装置46を制御するとともに、蓋部14及び照明装置15の制御を行う。
【0086】
本実施形態では、第1スイッチ66からの信号は、第1信号と、第2信号と、第3信号と、を含む。第1信号は、ブロア12の駆動又は停止を示す。第2信号は、温熱装置43及び冷却装置44の駆動又は停止を示す。第3信号は、ブロア12からの空気を送り出すべき吹出口38を特定する。
【0087】
制御装置16は、第1信号に基づいてブロア12を駆動又は停止する。制御装置16は、第2信号に基づいて温熱装置43及び冷却装置44を駆動又は停止する。制御装置16は、第3信号に基づいて遮断装置46を駆動する。
【0088】
例えば、制御装置16は、ブロア12の駆動を示す第1信号を取得したときには、ブロア12を駆動する。制御装置16は、温熱装置43の駆動を示す第2信号を取得したときには、温熱装置43を駆動するとともに冷却装置44を停止する。制御装置16は、空気を送り出すべき吹出口38が前吹出口38Aであることを特定する第3信号を取得したときには、前吹出口38Aに対応する遮断装置46の扉体48を非遮断位置に変位させるとともに、中央吹出口38B及び後吹出口38Cに対応する遮断装置46の扉体48を遮断位置に変位させる。
【0089】
このとき、制御装置16は、第3信号に基づいて、前吹出口38Aに設けられた蓋部14を開位置に変位させ、前吹出口38Aに設けられた第1発光部55を発光させる。同時に、制御装置16は、中央吹出口38B及び後吹出口38Cに設けられた蓋部14を閉位置に変位させ、中央吹出口38B及び後吹出口38Cに設けられた第1発光部55の発光を禁止する。
【0090】
また、制御装置16は、第1信号がブロア12の停止を示している場合には、第2信号及び第3信号を無視して以下のような停止処理を行うとよい。すなわち、制御装置16は、ブロア12の停止を示す第1信号を取得したときには、ブロア12を停止する。更に、制御装置16は、温熱装置43及び冷却装置44を停止する。更に、制御装置16は、すべての吹出口38に対応する遮断装置46の扉体48を遮断位置に変位させるとともに、すべての吹出口38に設けられた蓋部14を閉位置に変位させ、すべての吹出口38に設けられた第1発光部55の発光を禁止する。
【0091】
制御装置16は、停止処理において遮断装置46の制御を省略してもよい。例えば、制御装置16は、停止処理においてブロア12を停止し、温熱装置43及び冷却装置44を停止し、すべての吹出口38に設けられた蓋部14を閉位置に変位させ、すべての吹出口38に設けられた第1発光部55の発光を禁止してもよい。
【0092】
また、制御装置16は、第1スイッチ66からの信号を取得し、取得した信号に基づいて第2発光部56を発光させるとよい。第2発光部56は、第1発光部55と連動して発光するように構成されていてもよく、第1発光部55とは独立して発光するように構成されていてもよい。
【0093】
また、制御装置16は、第2スイッチ67からの信号を取得し、取得した信号に基づいてドアポケット27のモータ35を制御し、ドアポケット27を収納位置又は使用位置に変位させるとよい。
【0094】
次に、本実施形態に係る車両の内装材(ドアトリム3)の効果について説明する。ドアトリム3は、空気を送り出すためのブロア12と、ブロア12に一端側において接続されたダクト13と、ダクト13の他端側に接続され、空気を車室へ供給するべく上方に向けて開口した吹出口38と、吹出口38を開閉する平板状の蓋本体51を備えた蓋部14と、を有する。
【0095】
この構成によれば、ブロア12をドアトリム3に設けることができる。また、蓋部14によって吹出口38を開閉可能にしたドアトリム3を提供することができる。これにより、ドアトリム3の意匠性を向上させることができる。
【0096】
また、吹出口38の縁部には、吹出口38を照明する第1発光部55を備えた照明装置15が設けられている。これにより、吹出口38が視認され易くなる。
【0097】
また、蓋部14は、縁部に対する蓋本体51の位置を変位させるアクチュエータ53を有する。蓋本体51は、吹出口38を閉じる閉位置と、吹出口38を開く開位置との間で変位可能に構成されている。ブロア12、照明装置15及びアクチュエータ53には制御装置16が接続されている。制御装置16は、ブロア12が作動していない場合に照明装置15を制御して第1発光部55の発光を禁止し、かつアクチュエータ53を制御して蓋本体51を閉位置に維持する。制御装置16は、ブロア12が作動している場合に照明装置15を制御して第1発光部55を発光させ、かつアクチュエータ53を制御して蓋本体51を開位置に維持する。
【0098】
この構成によれば、蓋本体51の位置及び第1発光部55の発光によって、ブロア12が作動していることが認識可能になる。また、ブロア12が作動していないときには蓋本体51が吹出口38を閉じ、第1発光部55が発光しないため、ドアトリム3を視覚的にシンプルに構成することができ、美観性が向上する。
【0099】
また、ダクト13の内部には、ブロア12によって送り出される空気を冷却する冷却装置44が設けられている。これにより、吹出口38から冷却された空気を送ることができる。
【0100】
また、ダクト13の内部には、ブロア12によって送り出される空気を加熱する温熱装置43が設けられている。これにより、吹出口38から加熱された空気を送ることができる。
【0101】
また、照明装置15は、第1発光部55の下方に設けられた第2発光部56を有する。第2発光部56より車室側には第2発光部56からの光を透過させる加飾パネル61が設けられている。
【0102】
この構成によれば、第2発光部56からの光によってドアトリム3を加飾することができる。また、第1発光部55と第2発光部56とをコンパクトに配置することができる。
【0103】
また、第2発光部56は、ブロア12の側方に設けられているとよい。これにより、第2発光部56とブロア12とを上下方向においてコンパクトに配置することができる。
【0104】
また、第2発光部56とブロア12との間には、熱の伝達を抑制する断熱部材60が設けられている。これにより、第2発光部56及びブロア12を、互いから発生する熱から保護することができる。
【0105】
また、内装材は車両のドアトリム3を構成し、ドアトリム3の前部かつ上部には車両のフロントドア1を開閉するためのインナハンドル24が設けられ、ブロア12はフロントドア1内のインナハンドル24の下方かつ前方の部分に設けられ、吹出口38はドアトリム3の後部かつ上部に設けられ、ダクト13は、ブロア12から吹出口38に向けて前後に延びている。
【0106】
この構成によれば、車両のドアトリム3にブロア12を設けることができる。
【0107】
また、フロントドア1内のダクト13の下方部分にはドアポケット27が設けられる。ドアポケット27は、フロントドア1内に位置する収納位置と、収納位置よりも車内側に変位した使用位置との間で変位可能に構成され、かつ使用位置において車室に向けて開口する凹部31を有する。
【0108】
この構成によれば、ドアポケット27を使用していないときにはドアポケット27をドアトリム3内に収納することができる。よって、ドアトリム3を視覚的にシンプルに構成することができる。また、ドアポケット27をコンパクトに構成することができる。
【0109】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。
【0110】
照明装置15は、第1スイッチ66によって独立して制御可能であってもよい。すなわち、第1スイッチ66を操作することにより、空調装置45、遮断装置46又は蓋部14の駆動又は停止とは独立して照明装置15を制御することが可能であってもよい。蓋部14は、第1スイッチ66によって独立して制御可能であってもよい。すなわち、第1スイッチ66を操作することにより、空調装置45、遮断装置46又は照明装置15の駆動又は停止とは独立して蓋部14を制御することが可能であってもよい。
【0111】
ブロア12とスピーカー25とは前後方向で同じ位置に配置されていてもよい。ブロア12とインナハンドル24とは前後方向で同じ位置に配置されていてもよい。第1発光部55と衝撃吸収体26とは前後方向で同じ位置に配置されていてもよい。ブロア12と加飾パネル61とは上下方向で同じ位置に配置されていてもよい。第2スイッチ67は、ドアポケット27が収納状態にあるときに、左右方向において第2発光部56と同じ位置に配置されていてもよい。
【0112】
また、下流側筒部41にはそれぞれ、空気の流量を検出する流量センサが設けられ、流量センサの検出結果に基づいて制御装置16が蓋部14及び照明装置15を制御してもよい。例えば、検出した流量が所定の閾値以上であるときに、対応する吹出口38に設けられた蓋部14を開位置に変位させ、かつ第1発光部55を発光させてもよい。
【0113】
また、制御装置16は、検出した流量が第1の閾値未満であるときに、対応する吹出口38に設けられた蓋部14を閉位置に変位させるとよい。制御装置16は、検出した流量が第2の閾値以上であるときに、対応する吹出口38に設けられた蓋部14を開位置に変位させるとよい。制御装置16は、検出した流量が第1の閾値以上かつ第2の閾値未満であるときに、対応する吹出口38に設けられた蓋部14を閉位置と開位置との間の第3の位置に変位させるとよい。また、制御装置16は、検出した流量に基づいて、対応する吹出口38に設けられた第1発光部55の明るさを制御してもよい。
【0114】
ブロア12は複数設けられていてもよい。ダクト13は、複数のブロア12をそれぞれ対応する吹出口38に接続していてもよい。例えば、第1のブロアが第1のダクトによって前吹出口38Aに接続され、第2のブロアが第2のダクトによって中央吹出口38Bに接続され、第3のブロアが第3のダクトによって後吹出口38Cに接続されていてもよい。温熱装置43及び冷却装置44はそれぞれのダクト13内に設けられていてもよく、いずれかのダクト13内にそれぞれ設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0115】
1 :フロントドア
3 :ドアトリム(内装材)
12 :ブロア
13 :ダクト
14 :蓋部
15 :照明装置
16 :制御装置
24 :インナハンドル
27 :ドアポケット
38 :吹出口
31 :凹部
43 :温熱装置
44 :冷却装置
51 :蓋本体
53 :アクチュエータ
55 :第1発光部
56 :第2発光部
60 :断熱部材
61 :加飾パネル