(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052490
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】電動二輪車
(51)【国際特許分類】
B62J 43/23 20200101AFI20240404BHJP
B62J 43/16 20200101ALI20240404BHJP
【FI】
B62J43/23
B62J43/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055125
(22)【出願日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】63/377913
(32)【優先日】2022-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古和 宗高
(72)【発明者】
【氏名】志田 隼人
(72)【発明者】
【氏名】松本 未希
(72)【発明者】
【氏名】小島 琢人
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大貴
(57)【要約】
【課題】電動二輪車において、バッテリの交換作業を容易にする。
【解決手段】充電可能なバッテリ6の電力により走行する電動二輪車1は、車体フレーム10と、車体フレームに支持された前輪12及び後輪14と、車体フレームに設けられ、バッテリを受容するための凹部であるバッテリ受容部22とを有する。また電動二輪車は、バッテリをバッテリ受容部の開口側に移動させるためのアシスト装置32を有する。バッテリ受容部は、後輪の左右外方に配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電可能なバッテリの電力により走行する電動二輪車であって、
車体フレームと、
前記車体フレームに支持された前輪及び後輪と、
前記車体フレームに設けられ、前記バッテリを受容するための凹部であるバッテリ受容部と、
前記バッテリを前記バッテリ受容部の開口側に移動させるためのアシスト装置とを有し、
前記バッテリ受容部は、前記後輪の左右外方に配置される電動二輪車。
【請求項2】
前記車体フレームには、前記バッテリ受容部を開閉する蓋部が設けられ、
前記蓋部が前記バッテリ受容部を閉じた閉状態において、前記アシスト装置は前記バッテリの移動を規制し、
前記蓋部が前記バッテリ受容部を開く開状態において、前記アシスト装置は前記バッテリを前記開口側に移動させる請求項1に記載の電動二輪車。
【請求項3】
前記バッテリ受容部は上方に向けて開口し、
前記蓋部に、使用者が着座するためのシートが設けられる請求項2に記載の電動二輪車。
【請求項4】
前記蓋部は、該電動二輪車が走行しているとき、前記閉状態を維持する請求項2又は請求項3に記載の電動二輪車。
【請求項5】
前記蓋部が前記開状態であるとき、前記バッテリの少なくとも一部が、前記バッテリ受容部の前記開口側から外方に向けて突出する請求項2又は請求項3に記載の電動二輪車。
【請求項6】
前記バッテリ受容部と一体に形成され、前記バッテリ受容部の上に設けられた収納部を更に有する請求項5に記載の電動二輪車。
【請求項7】
前記バッテリ受容部と前記収納部とを区画し、前記車体フレームに対して着脱可能な中蓋を更に有する請求項6に記載の電動二輪車。
【請求項8】
前記蓋部の側には、前記アシスト装置の移動の操作を受け付けるスイッチ部が設けられている請求項2又は請求項3に記載の電動二輪車。
【請求項9】
前記アシスト装置の動作を制御するための制御装置と、
前記蓋部の前記閉状態及び前記開状態を検知するセンサ部とを更に有し、
前記制御装置は、前記蓋部の前記閉状態では、前記アシスト装置の動作を抑制し、前記蓋部の前記開状態では、前記アシスト装置の動作を許容する請求項8に記載の電動二輪車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動二輪車に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の電動二輪車では、バッテリを受容するためのバッテリボックス(バッテリ受容部)は、フットボードからシートの下方に亘って配置されている。
【0003】
近年では、電動二輪車を使用する複数の使用者同士でバッテリを共同で利用するためのバッテリ共同利用サービス(いわゆる、バッテリシェアサービス)の展開が検討されている。このようなバッテリシェアサービスでは、複数のバッテリを充電及び保管した充電ステーションが複数箇所に設置されている。電動二輪車に接続されたバッテリは、使用者によって随時交換されることにより、電動二輪車の走行が継続できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-114157号公報
【特許文献2】特開2022-16516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の電動二輪車では、使用者はバッテリを交換するために、かがむ動作又はしゃがむ動作を行う。そのため、バッテリの交換作業が煩雑になる。
【0006】
そこで、本発明は以上の背景に鑑み、電動二輪車において、バッテリの交換作業を容易にすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、充電可能なバッテリ(6)の電力により走行する電動二輪車(1)であって、車体フレーム(10)と、前記車体フレームに支持された前輪(12)及び後輪(14)と、前記車体フレームに設けられ、前記バッテリを受容するための凹部であるバッテリ受容部(22)と、前記バッテリを前記バッテリ受容部の開口側に移動させるためのアシスト装置(32)とを有し、前記バッテリ受容部は、前記後輪の左右外方に配置される。
【0008】
この態様によれば、使用者がバッテリを取り出す際に、アシスト装置によりバッテリがバッテリ受容部の上方に配置される。即ち使用者のかがむ動作又はしゃがむ動作が抑えられる。したがってバッテリの交換作業が容易になる。
【0009】
上記の態様において、前記車体フレームには、前記バッテリ受容部を開閉する蓋部(26)が設けられ、前記蓋部が前記バッテリ受容部を閉じた閉状態において、前記アシスト装置は前記バッテリの移動を規制し、前記蓋部が前記バッテリ受容部を開く開状態において、前記アシスト装置は前記バッテリを前記開口側に移動させてもよい。
【0010】
この態様によれば、電動二輪車の走行中において、使用者の意図しないアシスト装置の作動が抑制される。
【0011】
上記の態様において、前記バッテリ受容部は上方に向けて開口し、前記蓋部に、使用者が着座するためのシート(3)が設けられてもよい。
【0012】
この態様によれば、電動二輪車の走行中において、使用者がシートに着座することにより蓋部が閉状態をとる。したがって使用者の意図しないアシスト装置の作動が抑制される。
【0013】
上記の態様において、前記蓋部は、当該電動二輪車が走行しているとき、前記閉状態を維持してもよい。
【0014】
この態様によれば、電動二輪車の走行中において、使用者の意図しないアシスト装置の作動が抑制される。
【0015】
上記の態様において、前記蓋部が前記開状態であるとき、前記バッテリの少なくとも一部が、前記バッテリ受容部の前記開口側から外方に向けて突出してもよい。
【0016】
この態様によれば、使用者のかがむ動作又はしゃがむ動作が抑えられる。したがってバッテリの交換作業が容易になる。
【0017】
上記の態様において、当該電動二輪車は前記バッテリ受容部と一体に形成され、前記バッテリ受容部の上に設けられた収納部(24)を更に有してもよい。
【0018】
この態様によれば、収納部には工具等が収納される。
【0019】
上記の態様において、当該電動二輪車は前記バッテリ受容部と前記収納部とを区画し、前記車体フレームに対して着脱可能な中蓋(25)を更に有してもよい。
【0020】
この態様によれば、小物収納部に収納された工具等がバッテリに当接しない。したがって小物収納部に収納された工具等の自重によるバッテリを下方に押し込み、延いては載置部材とバッテリ受容部との係止の解除が抑制される。
【0021】
上記の態様において、前記蓋部の側には、前記アシスト装置の移動の操作を受け付けるスイッチ部(41)が設けられてもよい。
【0022】
この態様によれば、バッテリをバッテリ受容部に受容させる作業及びバッテリをバッテリ受容部から取り出す作業において、使用者のかがむ動作又はしゃがむ動作が抑えられる。したがってバッテリの電動二輪車に対する着脱作業が容易になる。
【0023】
上記の態様において、前記アシスト装置の動作を制御するための制御装置(44)と、前記蓋部の前記閉状態及び前記開状態を検知するセンサ部(46)とを更に有し、前記制御装置は、前記蓋部の前記閉状態では、前記アシスト装置の動作を抑制し、前記蓋部の前記開状態では、前記アシスト装置の動作を許容してもよい。
【0024】
この態様によれば、電動二輪車の走行中において、使用者の意図しないアシスト装置の作動が抑制される。また、小物収納部に収納された工具等によるスイッチ部の押圧が抑制される。
【発明の効果】
【0025】
上記課題を解決するために、本発明は、充電可能なバッテリ(6)の電力により走行する電動二輪車(1)であって、車体フレーム(10)と、前記車体フレームに支持された前輪(12)及び後輪(14)と、前記車体フレームに設けられ、前記バッテリを受容するための凹部であるバッテリ受容部(22)と、前記バッテリを前記バッテリ受容部の開口側に移動させるためのアシスト装置(32)とを有し、前記バッテリ受容部は、前記後輪の左右外方に配置される。
【0026】
この態様によれば、使用者がバッテリを取り出す際に、アシスト装置によりバッテリがバッテリ受容部の上方に配置される。即ち使用者のかがむ動作又はしゃがむ動作が抑えられる。したがってバッテリの交換作業が容易になる。
【0027】
上記の態様において、前記車体フレームには、前記バッテリ受容部を開閉する蓋部(26)が設けられ、前記蓋部が前記バッテリ受容部を閉じた閉状態において、前記アシスト装置は前記バッテリの移動を規制し、前記蓋部が前記バッテリ受容部を開く開状態において、前記アシスト装置は前記バッテリを前記開口側に移動させてもよい。
【0028】
この態様によれば、電動二輪車の走行中において、使用者の意図しないアシスト装置の作動が抑制される。
【0029】
上記の態様において、前記バッテリ受容部は上方に向けて開口し、前記蓋部に、使用者が着座するためのシート(3)が設けられてもよい。
【0030】
この態様によれば、電動二輪車の走行中において、使用者がシートに着座することにより蓋部が閉状態をとる。したがって使用者の意図しないアシスト装置の作動が抑制される。
【0031】
上記の態様において、前記蓋部は、当該電動二輪車が走行しているとき、前記閉状態を維持してもよい。
【0032】
この態様によれば、電動二輪車の走行中において、使用者の意図しないアシスト装置の作動が抑制される。
【0033】
上記の態様において、前記蓋部が前記開状態であるとき、前記バッテリの少なくとも一部が、前記バッテリ受容部の前記開口側から外方に向けて突出してもよい。
【0034】
この態様によれば、使用者のかがむ動作又はしゃがむ動作が抑えられる。したがってバッテリの交換作業が容易になる。
【0035】
上記の態様において、当該電動二輪車は前記バッテリ受容部と一体に形成され、前記バッテリ受容部の上に設けられた収納部(24)を更に有してもよい。
【0036】
この態様によれば、収納部には工具等が収納される。
【0037】
上記の態様において、当該電動二輪車は前記バッテリ受容部と前記収納部とを区画し、前記車体フレームに対して着脱可能な中蓋(25)を更に有してもよい。
【0038】
この態様によれば、小物収納部に収納された工具等がバッテリに当接しない。したがって小物収納部に収納された工具等の自重によるバッテリを下方に押し込み、延いては載置部材とバッテリ受容部との係止の解除が抑制される。
【0039】
上記の態様において、前記蓋部の側には、前記アシスト装置の移動の操作を受け付けるスイッチ部(41)が設けられてもよい。
【0040】
この態様によれば、バッテリをバッテリ受容部に受容させる作業及びバッテリをバッテリ受容部から取り出す作業において、使用者のかがむ動作又はしゃがむ動作が抑えられる。したがってバッテリの電動二輪車に対する着脱作業が容易になる。
【0041】
上記の態様において、前記アシスト装置の動作を制御するための制御装置(44)と、前記蓋部の前記閉状態及び前記開状態を検知するセンサ部(46)とを更に有し、前記制御装置は、前記蓋部の前記閉状態では、前記アシスト装置の動作を抑制し、前記蓋部の前記開状態では、前記アシスト装置の動作を許容してもよい。
【0042】
この態様によれば、電動二輪車の走行中において、使用者の意図しないアシスト装置の作動が抑制される。また、小物収納部に収納された工具等によるスイッチ部の押圧が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図2】第1実施形態に係る電動二輪車を後ろから見た正面図
【
図3】第1実施形態に係る電動二輪車の第1バッテリがバッテリ受容部から上方に配置された状態を示す側面図
【
図4】第1実施形態に係る電動二輪車の第1バッテリがバッテリ受容部に配置された状態を示す側面図
【
図5】第2実施形態に係る電動二輪車の第1バッテリがバッテリ受容部に配置された状態を示す側面図
【
図6】第2実施形態に係る電動二輪車の第1バッテリがバッテリ受容部から上方に配置された状態を示す側面図
【
図7】第3実施形態に係る電動二輪車の第1バッテリがバッテリ受容部に配置された状態を示す側面図
【
図8】第3実施形態に係る電動二輪車の第1バッテリがバッテリ受容部から後方に配置された状態を示す側面図
【
図10】第4実施形態に係る電動二輪車を後ろから見た正面図
【
図11】第4実施形態に係る電動二輪車の第1バッテリがバッテリ受容部から上方に配置された状態を示す側面図
【
図12】第4実施形態に係る電動二輪車の第1バッテリがバッテリ受容部に配置された状態を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0044】
(第1実施形態)
以下、本発明の電動二輪車1について、図面を参照して説明する。以下、電動二輪車1の進行方向を前後方向と規定して、左右及び、上下の各方向を定めて説明する。
【0045】
図1に示すように、電動二輪車1はスクータ型電動二輪車であって、操作ハンドル2と、使用者が着座するためのシート3と、操作ハンドル2とシート3との間に設けられ、使用者が足を掛けるための足掛部4とを備えている。電動二輪車1の後側には、充電可能な複数の第1バッテリ6が配置されている。各第1バッテリ6は、電力を蓄電するリチウムイオンバッテリ等の二次電池であって、電動二輪車1に対して着脱可能に設けられている。電動二輪車1は、第1バッテリ6から供給される電力によって走行する。
【0046】
また電動二輪車1は、メータ7と第2バッテリ8とを有する。メータ7は例えば液晶ディスプレイ等の表示画面を有し、操作ハンドル2の近傍に設けられている。第2バッテリ8は足掛部4の内部に配置されている。メータ7と第2バッテリ8とは図示しない制御装置を介して接続され、第2バッテリ8から供給される電力により、メータ7は例えば電動二輪車1の速さ及び第1バッテリ6の残量等の電動二輪車1に関する種々情報を表示する。
【0047】
電動二輪車1は、その骨格を形成する車体フレーム10と、車体フレーム10に支持された前輪12及び後輪14とを有する。前輪12は、車体フレーム10の前側をなすフロントフォーク15に支持されている。後輪14は、車体フレーム10の後側に設けられたドライブユニット16を介して支持されている。また電動二輪車1には、車体を形成するための車体カバー18が車体フレーム10を覆うように配置されている。
【0048】
ドライブユニット16には図示しない電動モータが設けられている。電動モータは、図示しないワイヤーハーネス及びコネクタ36を介して第1バッテリ6と電気的に接続される。電動モータは、第1バッテリ6から電力が供給されることにより回転駆動する。電動モータの回転駆動はドライブユニット16を介して後輪14に伝達される。これにより、電動二輪車1が走行する。
【0049】
電動二輪車1の後輪14の側には、収納ボックス20が設けられている。収納ボックス20は、車体フレーム10により骨格が形成され、車体フレーム10を覆う車体カバー18によって上方が開かれた箱状をなす。収納ボックス20は、左右のそれぞれの側の底部が中央の底部よりも下方に突出した正面視で凹状をなす。
図2と併せて示すように、収納ボックス20の中央部は、正面視で後輪14に整合する。したがって収納ボックス20の左右のそれぞれの側の底部は、側面視で後輪14の上部と整合する。収納ボックス20は、車体カバー18の各内面によって画定された収納空間を有する。
【0050】
収納ボックス20は、第1バッテリ6を受容するための凹部であるバッテリ受容部22と、バッテリ受容部22と一体に形成され、バッテリ受容部22の上に設けられた小物収納部24(収納部)とを有する。具体的には
図2と併せて示すように、バッテリ受容部22が収納ボックス20の下部(底部側)に対応し、小物収納部24が収納ボックス20の上部に対応する。
【0051】
バッテリ受容部22は収納ボックス20の左右のそれぞれの側の底部に対応する。即ちバッテリ受容部22は後輪14の左右外方に配置されている。各バッテリ受容部22は上方に向けて開口している。これによりバッテリ受容部22の収納空間(第1バッテリ6を収納するための空間)と小物収納部24の収納空間とが連通している。各バッテリ受容部22の深さは、対応する第1バッテリ6の厚さと等しく設けられるとよい。これにより、各第1バッテリ6が対応するバッテリ受容部22に受容されたとき、各第1バッテリ6の上面は収納ボックス20の中央部の内面と同一平面上に配置される。
【0052】
電動二輪車1は、各バッテリ受容部22と小物収納部24とを区画し、車体フレーム10に対して着脱可能な中蓋25を有する。中蓋25は板状をなし、中蓋25の前後の長さは、小物収納部24の前後の内側の長さに等しく、中蓋25の左右の幅は、小物収納部24の左右の内側の幅に等しい。中蓋25は収納ボックス20の内部の所定の位置に設けられ、且つ内方に向けて突出した図示しないリブによって支持されている。リブは小物収納部24の下側、且つ各バッテリ受容部22の開口の上側に設けられるとよい。これにより中蓋25は各バッテリ受容部22の開口を閉じるようにバッテリ受容部22の上方に配置される。
【0053】
中蓋25は小物収納部24の底として機能する。即ち中蓋25の上方には上方が開かれた小物収納部24の収納空間が画定される。この収納空間には工具等が収納される。中蓋25は小物収納部24の底として機能するため、収納された工具等が第1バッテリ6に当接しない。したがって第1バッテリ6の損傷が抑制される。
【0054】
車体フレーム10には、収納ボックス20の上方を開閉可能にする第1蓋部26(蓋部)が設けられている。第1蓋部26は板状の部材であってよく、金属製のフレームに可撓性を有する樹脂、天然皮革又は合成皮革皮等からなる表皮材等が被覆されることにより形成されてもよい。即ち第1蓋部26は収納ボックス20の内部の側を向く下面と、下面に対向し外方を向く上面とを有する。
【0055】
第1蓋部26の前端には下方に突出する左右一対の突片27が設けられている。各突片27には左右方向に貫通する貫通孔28が設けられている。各貫通孔28には、車体フレーム10の一部であって、且つ収納ボックス20の前部の上部に配置された左右に延びる棒状の枢支軸29が貫通している。これにより第1蓋部26が車体フレーム10に設けられている。第1蓋部26は枢支軸29を回転軸として回動可能に設けられている。したがって第1蓋部26は収納ボックス20の内部の空間を閉じる閉状態と、収納ボックス20の内部の空間を開く開状態との間で変位する。中蓋25が配置されていなくとも、第1蓋部26の回動により第1蓋部26がバッテリ受容部22を閉じた状態とバッテリ受容部22を開いた状態との間で遷移する。
【0056】
第1蓋部26にはシート3が設けられている。即ち第1蓋部26の上面は、乗員が着座するための着座面に対応する。第1蓋部26が閉状態にあるとき、使用者は着座可能である。換言すれば、使用者が着座して電動二輪を走行させているとき、第1蓋部26は閉状態を維持する。
【0057】
電動二輪車1は、第1バッテリ6をバッテリ受容部22の開口側に移動させるためのアシスト装置32を有する。アシスト装置32は、上下方向に変位可能な複数の弾性部材33と、複数の弾性部材33のそれぞれに接続された載置部材34と、弾性部材33の付勢力に抗して載置部材34を係止するための係止手段35とを有する従来公知のプッシュプッシュ機構であってよい。弾性部材33はコイルばねであって、その付勢力が上方に向かうように配置されている。弾性部材33の下端はバッテリ受容部22の下部に接続され、弾性部材33の上端は載置部材34に接続されている。載置部材34は板状をなし、その主面が上下方向を向くように配置されている。載置部材34の上面は、第1バッテリ6を載置するための載置面をなす。弾性部材33の付勢力が作用していないとき、載置部材34はバッテリ受容部22の開口よりも上方に配置されているとよい。
【0058】
係止手段35はバッテリ受容部22に設けられている。載置部材34が下方に押圧されたとき、載置部材34は係止手段35によって係止される。これにより載置部材34は弾性部材33の付勢力に抗した状態でバッテリ受容部22の下部に配置される。この状態で再度載置部材34が下方に押圧されたとき、載置部材34と収納ボックス20との係止が解除され、弾性部材33の付勢力が作用して、載置部材34はバッテリ受容部22の開口側に向けて上方に移動する。
【0059】
載置部材34には、コネクタ36が設けられている。第1バッテリ6が載置部材34に載置されることにより、第1バッテリ6はコネクタ36に接続される。これにより、第1バッテリ6は電動二輪車1に対して電気的に接続される。
【0060】
本実施形態ではアシスト装置32は各第1バッテリ6に対して設けられているが、第1バッテリ6の数は特に限定されない。したがってアシスト装置32も第1バッテリ6の数に応じて適宜変更することができる。
【0061】
第1バッテリ6をバッテリ受容部22に受容させる作業では、まず使用者は、
図3に示すように第1蓋部26を開状態にして、収納ボックス20の上方を開く。このとき載置部材34は、バッテリ受容部22の開口側に向けて上方に配置された状態である。次に使用者は、第1バッテリ6を載置部材34の上に載置する。このとき載置部材34はバッテリ受容部22の開口側に配置された状態である。その後使用者は、第1バッテリ6を下方に向けて押し込む。第1バッテリ6が押し込まれることにより載置部材34も下方に押し込まれる。載置部材34が所定の位置まで押し込まれると、
図4に示すように載置部材34は係止手段35によってバッテリ受容部22に係止される。これにより、載置部材34は弾性部材33の付勢力に抗してバッテリ受容部22の下部に配置される。したがって第1バッテリ6はバッテリ受容部22に受容される。その後使用者は、
図1に示すように第1蓋部26を閉状態にして、収納ボックス20の上方を閉じることにより、使用者はシート3に着座できる。
【0062】
第1バッテリ6をバッテリ受容部22から取り出す作業では、まず使用者は、
図4に示すように第1蓋部26を開状態にして、収納ボックス20の上方を開く。次に使用者は、第1バッテリ6を下方に押し込む。第1バッテリ6が押し込まれることにより載置部材34も下方に押し込まれる。これにより、載置部材34と係止手段35との係止が解除される。このとき、
図3に示すように弾性部材33の付勢力が作用して、載置部材34はバッテリ受容部22の下部から上部に向けて移動すると共に、第1バッテリ6もバッテリ受容部22から上方に押し出される。弾性部材33の付勢力が作用していないとき、載置部材34はバッテリ受容部22の開口よりも上方に配置されているため、第1バッテリ6はバッテリ受容部22の開口よりも上方に配置される。
【0063】
第1バッテリ6をバッテリ受容部22に受容させる作業、及び第1バッテリ6をバッテリ受容部22から取り出す作業では、中蓋25は収容ボックスから予め取り外されている。使用者は第1バッテリ6をバッテリ受容部22に受容させた後、中蓋25を収容ボックスに取り付けるとよい。
【0064】
図1及び
図2に示すようにバッテリ受容部22は、後輪14の左右外方に配置されている。また第1バッテリ6を取り出すとき、アシスト装置32は第1バッテリ6を上方に移動させる。これらにより使用者が第1バッテリ6を取り出す際に、アシスト装置32により第1バッテリ6がバッテリ受容部22の上方に配置される。即ち使用者のかがむ動作又はしゃがむ動作が抑えられる。したがって第1バッテリ6の交換作業が容易になる。
【0065】
図3及び
図4に示すように第1蓋部26は、収納ボックス20の上方を開閉可能に設けられている。第1蓋部26が収納ボックス20の上方を閉じる閉状態であるとき、使用者はシート3に着座して電動二輪車1を走行させることができる。これにより電動二輪車1の走行中において、使用者の意図しないアシスト装置32の作動が抑制される。
【0066】
中蓋25は、各バッテリ受容部22と小物収納部24とを区画すると共に、各バッテリ受容部22の開口を閉じる。これにより小物収納部24に収納された工具等が第1バッテリ6に当接しない。したがって小物収納部24に収納された工具等の自重による第1バッテリ6を下方に押し込み、延いては載置部材34と係止手段35との係止の解除が抑制される。
【0067】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る電動二輪車1は、第1実施形態に係る電動二輪車1と比較して、アシスト装置32の構成のみが異なる。第1実施形態に係る電動二輪車1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0068】
図5に示すようにアシスト装置32は、テレスコープ状に連結された複数の筒体を有するケーシング40及び図示しない電動アクチュエータを含む公知の電動昇降機構である。ケーシング40は電動アクチュエータによって上下方向に移動可能であるようにバッテリ受容部22の下部に配置されている。最も外側にある筒体の下端は、バッテリ受容部22の下部に接続され、最も内側にある筒体の上端には、載置部材34が配置されている。
【0069】
アシスト装置32は、ケーシング40の上下方向の移動の操作を受け付けるためのスイッチ部41を有する。スイッチ部41はケーシング40を上方に移動させる操作を受け付けるための上スイッチ42と、ケーシング40を下方に移動させる操作を受け付けるための下スイッチ43とを有する。各スイッチ42、43はモーメンタリスイッチであってよく、第1蓋部26の裏側(下面側)に設けられている。スイッチ部41及びアシスト装置32は、制御装置44を介して電動二輪車1に設けられた第2バッテリ8と接続している。
【0070】
制御装置44は演算処理装置(CPU、MPU等のプロセッサ)、記憶装置(ROM、RAM等のメモリ)を備え、アシスト装置32の動作に必要な各種処理を実行するように構成されている。各種処理を実行するように構成されているとは、演算処理装置(プロセッサ)が、記憶装置(メモリ)から必要なデータ及びアプリケーションソフトウェアを読み取り、当該ソフトウェアにしたがって当該所定の演算処理を実行するようにプログラムされていることを意味する。制御装置44は1つのハードウェアとして構成されていてもよく、複数のハードウェアからなるユニットとして構成されていてもよい。
【0071】
使用者が各スイッチ42、43の何れかを押圧することにより、制御装置44は第2バッテリ8から供給される電力により押圧されたスイッチ部41の操作に応じて電動アクチュエータを介してケーシング40を動作させる。即ち上スイッチ42が押圧されたとき、制御装置44はケーシング40を上方に移動させる。下スイッチ43が押圧されたとき、制御装置44はケーシング40を下方に移動させる。
【0072】
第1蓋部26の裏側には、第1蓋部26の閉状態及び開状態を検知するセンサ部46が設けられている。センサ部46は特に限定されないが、光を検知する光センサであってよい。第1蓋部26が閉状態であるとき、収納ボックス20の内部の空間は閉じられているため、外部からの光が遮られている。一方、第1蓋部26が開状態であるとき、収納部の内部の空間は開かれるため、外部からの光が収納ボックス20の内部に入射する。したがってセンサ部46は、外部からの光が遮られている状態(光の強度が弱い状態)を閉状態として設定され、外部からの光が収納部の内部に入射する状態(光の強度が強い状態)を開状態として設定される。
【0073】
或いはセンサ部46は、図示しないキーシリンダと協働するものであってもよい。この場合キーシリンダがオンの状態であるとき、センサ部46は閉状態として設定され、キーシリンダがオフの状態であるとき、センサ部46は開状態として設定されてよい。
【0074】
センサ部46及びアシスト装置32は、制御装置44を介して接続されている。センサ部46が開状態であると検知したとき、制御装置44は各スイッチの操作に応じてアシスト装置32の動作を許容する。一方、センサ部46が開状態であると検知したとき、制御装置44は各スイッチの操作に関わらずアシスト装置32の動作を抑制する。
【0075】
第1バッテリ6をバッテリ受容部22に受容させる作業では、まず使用者は、
図6に示すように第1蓋部26を開状態にして、収納ボックス20の上方を開く。このときアシスト装置32のケーシング40は上方に延びた状態である。これにより、センサ部46が開状態を検知して、制御装置44はアシスト装置32の動作を許容する。次に使用者は、第1バッテリ6を載置部材34の上に載置する。このとき載置部材34はバッテリ受容部22の開口側に配置された状態である。その後使用者は下スイッチ43を押圧することにより、
図5に示すようにケーシング40を下方へ移動させる。この移動に協働して第1バッテリ6はバッテリ受容部22に受容される。
【0076】
第1バッテリ6をバッテリ受容部22から取り出す作業では、まず使用者は、
図5に示すように第1蓋部26を開状態にして、収納ボックス20の上方を開く。これにより、センサ部46が開状態を検知して、アシスト装置32の動作を許容する。次に使用者は、上スイッチ42を押圧することにより、
図6に示すようにケーシング40を上方へ移動させる。この移動に協働して第1バッテリ6もバッテリ受容部22から上方に押し出される。
【0077】
ケーシング40の上下方向の移動の操作を受け付けるためのスイッチ部41により第1バッテリ6をバッテリ受容部22に受容させる作業及び第1バッテリ6をバッテリ受容部22から取り出す作業において、使用者のかがむ動作又はしゃがむ動作が抑えられる。したがって第1バッテリ6の電動二輪車1に対する着脱作業が容易になる。スイッチ部41が第1蓋部26の裏側に設けられていることより、電動二輪車1の走行中において、使用者の意図しないアシスト装置32の作動が抑制される。
【0078】
また第1蓋部26の閉状態及び開状態を検知するセンサ部46が第1蓋部26の裏側に設けられている。センサ部46は制御装置44を介してアシスト装置32に接続されている。センサ部46が開状態であると検知したとき、制御装置44は各スイッチの操作に応じてアシスト装置32の動作を許容する。一方、センサ部46が開状態であると検知したとき、制御装置44は各スイッチの操作に関わらずアシスト装置32の動作を抑制する。これにより小物収納部24に収納された工具等によるスイッチ部41の押圧が抑制される。したがって使用者の意図しないアシスト装置32の作動が抑制される。
【0079】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る電動二輪車1は、第1実施形態に係る電動二輪車1と比較して、バッテリ受容部22及びアシスト装置32の構成のみが異なる。第1実施形態に係る電動二輪車1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0080】
図7に示すように、各バッテリ受容部22は、1つの第1バッテリ6を受容する。バッテリ受容部22の後方が開かれた箱状をなす。使用者は第1バッテリ6をバッテリ受容部22の後方から前方に移動させることにより、第1バッテリ6がバッテリ受容部22に受容される。このとき、第1バッテリ6の後端はバッテリ受容部22の後方の開口よりも前方に位置する。
【0081】
バッテリ受容部22の後方には、バッテリ受容部22の後方の開口を開閉可能にするための図示しない第2蓋部が設けられるとよい。第2蓋部は板状をなし、収納ボックス20に設けられた図示しない収納孔に上下方向に変位可能に設けられてよい。この場合第2蓋部が最も下方に変位したとき、第2蓋部はバッテリ受容部22の後方の開口を閉じる。第2蓋部が最も上方に変位したとき、第2蓋部は収納孔に収納され、バッテリ受容部22の後方が開かれる。
【0082】
アシスト装置32は、バッテリ受容部22の前部に設けられている。具体的には弾性部材33は前後方向に変位可能であるように、弾性部材33の前端がバッテリ受容部22の前端に接続されている。弾性部材33の後端には載置部材34が接続されている。このとき載置部材34の主面は前後方向を向く。係止手段35は、バッテリ受容部22の前端に設けられている。弾性部材33の付勢力が作用していないとき、載置部材34の位置は特に限定されないが第1バッテリ6収納部の中央部に配置されるとよい。
【0083】
載置部材34が前方に押圧されたとき、載置部材34は係止手段35によって係止される。これにより載置部材34は弾性部材33の付勢力に抗した状態でバッテリ受容部22の前側に配置される。この状態で再度載置部材34が前方に押圧されたとき、載置部材34と係止手段35との係止が解除され、弾性部材33の付勢力が作用して、載置部材34はバッテリ受容部22の開口側に向けて後方に移動する。
【0084】
第1バッテリ6をバッテリ受容部22に受容させる作業では、まず使用者は、第2蓋部を収納孔に収納することにより、バッテリ受容部22の後方を開く。このとき載置部材34は、第1バッテリ6収納部の中央部に配置された状態である。次に使用者は、
図8に示すように第1バッテリ6の前端を載置部材34に当接させる。このとき載置部材34はバッテリ受容部22の開口側に配置された状態である。その後使用者は、第1バッテリ6を前方に向けて押し込む。第1バッテリ6が押し込まれることにより載置部材34も前方に押し込まれる。載置部材34が所定の位置まで押し込まれると、載置部材34は係止手段35によってバッテリ受容部22に係止される。これにより、
図7に示すように載置部材34は弾性部材33の付勢力に抗してバッテリ受容部22の前部に配置される。したがって第1バッテリ6がバッテリ受容部22に受容される。その後使用者は、第2蓋部を収納孔から下方に移動させることにより、バッテリ受容部22の後方の開口を閉じる。
【0085】
第1バッテリ6をバッテリ受容部22から取り出す作業では、まず使用者は、第2蓋部を収納孔に収納させるように上方へ移動させる。これによりバッテリ受容部22の後方が開かれる。次に使用者は、
図7に示すように第1バッテリ6を前方に押し込む。第1バッテリ6が押し込まれることにより載置部材34も前方に押し込まれる。これにより、載置部材34と係止手段35との係止が解除される。このとき、弾性部材33の付勢力が作用して、載置部材34は
図8に示すようにバッテリ受容部22の前部から後部に向けて移動すると共に、第1バッテリ6もバッテリ受容部22から後方に押し出される。弾性部材33の付勢力が作用していない位置において、第1バッテリ6の後部がバッテリ受容部22の後方の開口より後方に突出する。これにより、第1バッテリ6を取り出す作業が容易になる。
【0086】
(第4実施形態)
第4実施形態に係る電動二輪車1は、第1実施形態に係る電動二輪車1と比較して、収納ボックス20及び第1蓋部26の構成のみが異なる。第1実施形態に係る電動二輪車1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0087】
図9及び
図10に示すように、収納ボックス20は車体フレーム10により骨格が形成された後、車体フレーム10を覆う車体カバー18によって上方及び後方が開かれた箱状をなす。具体的には各バッテリ受容部22の上方をなす小物収納部24の後方に開口54が設けられている。
【0088】
第1蓋部26は、収納ボックス20の内部の空間を閉じる閉状態において、前後方向に延びる第1部材52と第1部材52の後端から下方に延びる第2部材53とを有する。第1部材52は収納ボックス20の内部の側を向く下面と、下面に対向し外方を向く上面とを有する。第2部材53は収納ボックス20の内部の側を向く前面と、前面に対向し外方を向く後面とを有する。
【0089】
収納ボックス20の内部の空間を閉じる閉状態において、第1部材52は収納ボックス20の上方を閉じ、第2部材53は収納ボックス20の後方に設けられた開口54を閉じるように配置される。
【0090】
各バッテリ受容部22は、1つの第1バッテリ6を受容する。載置部材34は板状をなし、バッテリ受容部22の前後方向及び左右方向の内寸法と等しく設けられている。載置部材34の前部及び後部のそれぞれには、上下方向に変位可能な弾性部材33が接続されている。係止手段35は、バッテリ受容部22の前部と後部のそれぞれに設けられている。
【0091】
各弾性部材33に付勢力が作用していないとき、載置部材34の後部に接続された弾性部材33の前端は、載置部材34の前部に接続された弾性部材33の前端よりも高い位置にあって、正面視で収納ボックス20の後方の開口の下部に整合する位置にある。即ち各弾性部材33に付勢力が作用していないとき、載置部材34は後方に向かって上方に傾斜した状態で配置される。
【0092】
第1バッテリ6をバッテリ受容部22に受容させる作業では、まず使用者は、
図11に示すように第1蓋部26を開状態にして、収納ボックス20の上方及び後方を開く。このとき載置部材34は後方に向かって上方に傾斜して配置された状態である。次に使用者は、第1バッテリ6を載置部材34の上に載置する。このとき載置部材34はバッテリ受容部22の開口側にあって、載置部材34は後方に向かって上方に傾斜した状態で配置されている。その後使用者は、第1バッテリ6を下方に向けて押し込む。第1バッテリ6が押し込まれることにより、載置部材34も下方に押し込まれる。載置部材34が所定の位置まで押し込まれることにより、
図12に示すように載置部材34は係止手段35によってバッテリ受容部22に係止される。これにより、載置部材34は弾性部材33の付勢力に抗してバッテリ受容部22の下部に配置される。したがって第1バッテリ6はバッテリ受容部22に受容される。その後、使用者は第1蓋部26を閉状態にして、収納ボックス20の上方を閉じることにより、使用者はシート3に着座できる。
【0093】
第1バッテリ6をバッテリ受容部22から取り出す作業では、まず使用者は、
図12に示すように第1蓋部26を開状態にして、収納ボックス20の上方及び後方を開く。次に使用者は、第1バッテリ6を下方に押し込む。第1バッテリ6が押し込まれることにより載置部材34も下方に押し込まれる。これにより、載置部材34と係止手段35との係止が解除される。このとき、各弾性部材33の付勢力が作用して、載置部材34はバッテリ受容部22の下部から上部に向けて移動すると共に、第1バッテリ6もバッテリ受容部22から上方に押し出される。各弾性部材33に付勢力が作用していないとき、載置部材34は後方に向かって上方に傾斜した状態であるため、
図11に示すように第1バッテリ6も後方に向かって上方に傾斜した状態で配置される。このとき第1バッテリ6の後端は、バッテリ受容部22の開口側よりも上方に配置される。
【0094】
第1バッテリ6をバッテリ受容部22に受容させる作業、及び第1バッテリ6をバッテリ受容部22から取り出す作業では、第1バッテリ6は上方に傾斜した状態をとる。第1バッテリ6をバッテリ受容部22に受容させる作業において、第1バッテリ6が載置部材34に載置されたとき、第1バッテリ6の自重の載置部材34の傾斜方向の成分が作用する。これにより使用者の第1バッテリ6を押し込む力が軽減される。また第1バッテリ6をバッテリ受容部22から取り出す作業において、収納ボックス20の上方及び後方が開かれているため、使用者は人間工学的に良好な姿勢で第1バッテリ6を取り出すことができる。これらにより、第1バッテリ6を取り出す作業が容易になる。
【0095】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。各実施形態では、第1蓋部26の前端が車体フレーム10に接続されているが、第1蓋部26の後端が車体フレーム10に接続されてもよい。また第1蓋部26の前端が車体フレーム10に接続されているとき、第1蓋部26の後端には車体フレーム10に係止する係止手段が設けられてもよい。これにより第1蓋部26が閉状態にあるとき、係止手段によって第1蓋部26が係止される。したがって使用者の意図しない第1蓋部26の開状態が抑制される。
【符号の説明】
【0096】
1 :電動二輪車
3 :シート
6 :第1バッテリ(バッテリ)
10 :車体フレーム
12 :前輪
14 :後輪
22 :バッテリ受容部
24 :小物収納部(収納部)
25 :中蓋
26 :第1蓋部(蓋部)
32 :アシスト装置
41 :スイッチ部
44 :制御装置
46 :センサ部