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特開2024-52492物流システム、物流システム制御方法、物流システム制御プログラム、及び、記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052492
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】物流システム、物流システム制御方法、物流システム制御プログラム、及び、記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
B65G1/137 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058504
(22)【出願日】2023-03-31
(31)【優先権主張番号】P 2022157886
(32)【優先日】2022-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000110011
【氏名又は名称】トーヨーカネツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003454
【氏名又は名称】弁理士法人友野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】頓所 知己
(72)【発明者】
【氏名】恩幣 直輝
【テーマコード(参考)】
3F522
【Fターム(参考)】
3F522AA02
3F522BB35
3F522CC01
3F522GG23
3F522GG25
3F522JJ02
3F522KK02
3F522LL10
3F522LL19
3F522LL23
3F522LL57
(57)【要約】
【課題】
集品する各商品の頻度分類(高頻度、中頻度、低頻度等)毎の集品回数の相対比率が変化しても、あるいは商品の品種数が変化しても、ピッキングゾーン数や対応する作業員数や集品ルート等のシステム構成全体を変更することなく、ピッキング作業の効率化と設備の有効活用を図ることにより、コスト増を抑制しつつ迅速化や省人化や省力化を可能にすることである。
【解決手段】
集品の作業員が前記集品の対象とする商品の前記集品を行うための1以上のピッキングゾーンを備え、前記ピッキングゾーンは、前記商品をそれぞれ1種類以上含むアイテムを単位として、複数種類の前記アイテムの種類毎に所定の間口から、前記作業員が前記商品のそれぞれを取出可能なピッキングラックを有し、前記複数種類のアイテムは、前記商品を複数種類集めた複種アイテムを1種以上含む、物流システム。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集品の作業員が前記集品の対象とする商品の前記集品を行うための1以上のピッキングゾーンを備え、
前記ピッキングゾーンは、前記商品をそれぞれ1種類以上含むアイテムを単位として、複数種類の前記アイテムの種類毎に所定の間口から、前記作業員が前記アイテムのそれぞれを取出可能なピッキングラックを有し、
前記複数種類のアイテムは、前記商品を複数種類集めた複種アイテムを1種以上含む、
物流システム。
【請求項2】
前記複数種類のアイテムは、前記複種アイテムとして、頻度分類が低頻度に該当する商品を1種以上含む複種アイテムを含む、請求項1に記載の物流システム。
【請求項3】
前記複数種類のアイテムは、前記複種アイテムとして、使用物量の少ない商品を1種以上含む複種アイテムを含む、請求項1に記載の物流システム。
【請求項4】
前記複数種類のアイテムは、前記複種アイテムとして、注文物量の少ない客先からの商品を1種以上含む複種アイテムを含む、請求項1に記載の物流システム。
【請求項5】
前記複数種類のアイテムは、前記集品を指示するオーダのうちの少なくとも一部を予め実行して前記商品を複数種類集めた複種アイテムを1種以上含む、請求項1に記載の物流システム。
【請求項6】
前記集品を指示する単一のオーダ内の、同一種類の商品のみを集めた単種アイテム対応の間口から取出不可の商品のみを集めたアイテムを、そのオーダに対応するオーダ対応アイテムとし、
前記オーダ対応アイテムをオーダ順に取出可能に並べて、前記複種アイテムの一種として、前記複種アイテム用の間口の1以上に割り当てる、請求項1に記載の物流システム。
【請求項7】
集品の対象となる入荷品を複数種類入荷する入荷部と、
ピッキング作業により前記集品を行うための集品部と、
配送のために出荷対象となる出荷品を出荷する出荷部と、
前記入荷部、前記集品部および前記出荷部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記複数種類のアイテムに前記複種アイテムを1種以上含ませるように、前記入荷部の制御を実行する、
請求項1に記載の物流システム。
【請求項8】
前記入荷部は、
入荷品を入荷する作業を行う入荷作業部と、
入荷した入荷品をそれぞれ1種類以上含むアイテムを複数種類保管するアイテム保管部と、
前記集品部での集品に必要になる複数種類のアイテムを、前記集品部に補充するアイテム補充部と、
を有し、
前記制御部は、前記入荷部を制御する入荷制御工程を実行し、
前記入荷制御工程では、
前記入荷作業部を制御する入荷作業制御工程と、
前記アイテム保管部を制御するアイテム保管制御工程と、
前記アイテム補充部を制御するアイテム補充制御工程と、
を実行する、請求項7に記載の物流システム。
【請求項9】
前記アイテム保管制御工程では、
前記入荷品のうちの同一種類の商品のみを集めた単種アイテムの種類数と、前記ピッキングラックの所定の間口の間口数とを比較する数比較工程と、
前記比較の結果に基づいて、前記単種アイテムおよび前記複種アイテムについて、前記集品のために前記所定の間口に供するアイテム種類数を設定するアイテム種類数設定工程と、
前記アイテム種類数の制限内に入るように、複数の前記単種アイテムを組み合わせて複種アイテムとする設定を行うアイテム組合せ設定工程と、
設定された組合せの前記複種アイテムとするための集品を行って、その複種アイテムを改めて1種類のアイテムとして前記アイテム保管部に保管する複種アイテム保管工程と、
を実行する、請求項8に記載の物流システム。
【請求項10】
前記アイテム組合せ設定工程は、
同じオーダ内で集品される前記複数の前記単種アイテムの組合せの抽出を実行するオーダ分析工程を有し、
抽出された前記単種アイテムの組合せを前記複種アイテムとして設定する、請求項9に記載の物流システム。
【請求項11】
前記アイテム保管制御工程では、
前記入荷品のうちの同一種類の商品のみを集めた単種アイテムの種類数と、前記ピッキングラックの所定の間口の間口数とを比較する数比較工程と、
前記比較の結果に基づいて、前記単種アイテムおよび前記複種アイテムについて、前記集品のために前記所定の間口に供するアイテム種類数を設定するアイテム種類数設定工程と、
前記アイテム種類数の制限内に入るように、同じオーダ内で集品される複数の前記単種アイテムの組合せを抽出して、抽出された前記単種アイテムの組合せを前記複種アイテムとして設定するオーダ分析後アイテム組合せ設定工程と、
設定された組合せの前記複種アイテムとするための集品を行って、その複種アイテムを改めて1種類のアイテムとして前記アイテム保管部に保管する複種アイテム保管工程と、
を実行する、請求項8に記載の物流システム。
【請求項12】
集品の対象となる入荷品を複数種類入荷して、前記入荷品をそれぞれ1種類以上含むアイテムを複数種類保管するアイテム保管部を有する入荷部と、
前記入荷部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記入荷部を制御して、
前記入荷品のうちの同一種類の商品のみを集めた単種アイテムの種類数と、前記ピッキングラックの所定の間口の間口数とを比較する数比較工程と、
前記比較の結果に基づいて、前記単種アイテムおよび前記複種アイテムについて、前記集品のために前記所定の間口に供するアイテム種類数を設定するアイテム種類数設定工程と、
前記アイテム種類数の制限内に入るように、複数の前記単種アイテムを組み合わせて複種アイテムとする設定を行うアイテム組合せ設定工程と、
設定された組合せの前記複種アイテムとするための集品を行って、その複種アイテムを改めて1種類のアイテムとして前記アイテム保管部に保管する複種アイテム保管工程と、
を実行する、請求項1に記載の物流システム。
【請求項13】
前記アイテム組合せ設定工程は、
同じオーダ内で集品される前記複数の前記単種アイテムの組合せの抽出を実行するオーダ分析工程を有し、
抽出された前記単種アイテムの組合せを前記複種アイテムとして設定する、請求項12に記載の物流システム。
【請求項14】
集品の対象となる入荷品を複数種類入荷して、前記入荷品をそれぞれ1種類以上含むアイテムを複数種類保管するアイテム保管部を有する入荷部と、
前記入荷部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記入荷部を制御して、
前記入荷品のうちの同一種類の商品のみを集めた単種アイテムの種類数と、前記ピッキングラックの所定の間口の間口数とを比較する数比較工程と、
前記比較の結果に基づいて、前記単種アイテムおよび前記複種アイテムについて、前記集品のために前記所定の間口に供するアイテム種類数を設定するアイテム種類数設定工程と、
前記アイテム種類数の制限内に入るように、同じオーダ内で集品される複数の前記単種アイテムの組合せを抽出して、抽出された前記単種アイテムの組合せを前記複種アイテムとして設定するオーダ分析後アイテム組合せ設定工程と、
設定された組合せの前記複種アイテムとするための集品を行って、その複種アイテムを改めて1種類のアイテムとして前記アイテム保管部に保管する複種アイテム保管工程と、
を実行する、請求項1に記載の物流システム。
【請求項15】
集品の作業員が前記集品の対象とする商品の前記集品を行うための1以上のピッキングゾーンを備え、前記ピッキングゾーンが、前記商品をそれぞれ1種類以上含むアイテムを単位として、複数種類の前記アイテムの種類毎に所定の間口から、前記作業員が前記アイテムのそれぞれを取出可能なピッキングラックを有する物流システムに対して、
前記複数種類のアイテムが、前記商品を複数種類集めた複種アイテムを1種以上含むように制御する物流システム制御方法。
【請求項16】
前記複数種類のアイテムは、前記複種アイテムとして、頻度分類が低頻度に該当する商品を1種以上含む複種アイテムを含む、請求項15に記載の物流システム制御方法。
【請求項17】
前記複数種類のアイテムは、前記複種アイテムとして、使用物量の少ない商品を1種以上含む複種アイテムを含む、請求項15に記載の物流システム制御方法。
【請求項18】
前記複数種類のアイテムは、前記複種アイテムとして、注文物量の少ない客先からの商品を1種以上含む複種アイテムを含む、請求項15に記載の物流システム制御方法。
【請求項19】
前記複数種類のアイテムは、前記集品を指示するオーダのうちの少なくとも一部を予め実行して前記商品を複数種類集めた複種アイテムを1種以上含む、請求項15に記載の物流システム制御方法。
【請求項20】
前記集品を指示する単一のオーダ内で指示される、同一種類の商品のみを集めた単種アイテム対応の間口から取出不可の商品のみを集めたアイテムを、そのオーダに対応するオーダ対応アイテムとし、
前記オーダ対応アイテムをオーダ順に取出可能に並べて、前記複種アイテムの一種として、前記複種アイテム用の間口の1以上に割り当てるように制御する、請求項15に記載の物流システム制御方法。
【請求項21】
集品の作業員が前記集品の対象とする商品の前記集品を行うための1以上のピッキングゾーンを備え、
前記ピッキングゾーンは、前記商品をそれぞれ1種類以上含むアイテムを単位として、複数種類の前記アイテムの種類毎に所定の間口から、前記作業員が前記アイテムのそれぞれを取出可能なピッキングラックを有し、
前記複数種類のアイテムは、前記商品を複数種類集めた複種アイテムを1種以上含む、物流システムにおいて、
前記物流システムを制御するコンピュータを、
前記複数種類のアイテムが、前記商品を複数種類集めた複種アイテムを1種以上含むように制御する制御部
として機能させることを特徴とする物流システム制御プログラム。
【請求項22】
請求項21に記載の物流システム制御プログラムが記憶された記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物流システム、物流システム制御方法、物流システム制御プログラムおよび記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、世帯人数の減少等に伴い、注文数の減少及びオーダ傾向の変化が起こっている。例えば、単身世帯の増加等に伴うピッキング(集品)1箱当たりの商品点数の減少や品種の多様化により、各商品の集品作業でのヒット率(頻度:集品商品全体の集品回数に対する同一商品の集品回数の比率)が低下し、集品生産性を悪化させ、既存のシステムの限界が生じている。
【0003】
一方、物流ビジネス全体としては、個人向けの宅配ビジネスの需要がますます増加し、物流各社は物流センターの増加等で需要増大に対応しようとしているが、人口減少や希望職種の偏移等により、ピッキング作業員等の人員確保は困難な状況となっている。
【0004】
この種の課題に対し、各商品の集品作業でのヒット率(各商品の頻度)を考慮して、それに適合した構成を、例えばピッキングゾーンと担当する作業員等の構成を、各商品の頻度分類(集品・出荷頻度の分類:例えば、高頻度、中頻度、低頻度等)に応じた数だけ揃え、各商品の頻度分類に応じて集品ルートを切り替えて、各商品の頻度分類とピッキングゾーン数(すなわち作業員数)とをバランス良く適合させることにより、負荷分散や省人化や省力化を推進可能なシステムが提案されている(特許文献1、特許文献2)。
【0005】
また、上述の集品生産性の悪化や作業員確保の困難化等の課題を解決する重要な要素として、ピッキング作業の効率化がある。一般的には、平均的なオーダ内容の場合に効率的であると考えられるピッキング方式として、トータルピッキングとオーダピッキングとがあり、各種条件に応じて優劣があるので、その各種条件に応じて効率の良い方を適宜決定することも提案されている(特許文献3、特許文献4)。
【0006】
ここで、オーダピッキングは、オーダ単位に各商品をピッキングして一つの出荷単位にまとめる方式であり、摘み取り方式とも呼ばれる。また、トータルピッキングは、所定の条件(時刻制限等)毎に同一商品のオーダを集計し、商品毎に集計数だけピッキングして、それをオーダ先ごとに分ける方法であり、バッチピッキングや種蒔き方式とも呼ばれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2022-099021号公報
【特許文献2】特開2005-247554号公報
【特許文献3】特開2004-001933号公報
【特許文献4】特開2007-039181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、集品する商品のカテゴリー等によっては、例えば生鮮食料品等の商品等では、季節等により扱う商品が変化し、各商品の頻度分類(高頻度、中頻度、低頻度等)毎の集品回数の相対比率も変化する。また、商品の品種数も増減するので、必要となるピッキングゾーン数(作業員数)も増減する。
【0009】
このため、この種の商品を扱う場合、上述の集品ルートを切り替える方法では、変化する各商品の頻度分類とバランス良く適合させて効率を維持するために、ピッキングゾーン数(作業員数)の頻度分類別の集品ルート毎の数やシステム全体での数を、例えば季節ごとに変更させる必要があり、設備やその制御が煩雑になるとともに、季節によっては余剰となる構成(設備:ピッキングゾーン、人員:作業員)が必要になって、全体としてコスト高になる。
【0010】
また、他方のピッキング方式を切り替える方法では、システム全体として、両方のピッキング方式に対応可能なシステム構成を備える必要があり、機構的にも制御的にも煩雑となり且つコスト高になる。
【0011】
本発明の目的は、集品する各商品の頻度分類(高頻度、中頻度、低頻度等)毎の集品回数の相対比率が変化しても、あるいは商品の品種数が変化しても、ピッキングゾーン数や対応する作業員数や集品ルート等のシステム構成全体を変更することなく、ピッキング作業の効率化と設備の有効活用を図ることにより、コスト増を抑制しつつ迅速化や省人化や省力化を可能にする物流システム、ピッキング制御方法、プログラムおよび記憶媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の1の態様の物流システムは、集品の作業員が前記集品の対象とする商品の前記集品を行うための1以上のピッキングゾーンを備え、前記ピッキングゾーンは、前記商品をそれぞれ1種類以上含むアイテムを単位として、複数種類の前記アイテムの種類毎に所定の間口から、前記作業員が前記商品のそれぞれを取出可能なピッキングラックを有し、前記複数種類のアイテムは、前記商品を複数種類集めた複種アイテムを1種以上含むことを特徴とする。
【0013】
また、この態様のピッキング制御方法は、集品の作業員が前記集品の対象とする商品の前記集品を行うための1以上のピッキングゾーンを備え、前記ピッキングゾーンが、前記商品をそれぞれ1種類以上含むアイテムを単位として、複数種類の前記アイテムの種類毎に所定の間口から、前記作業員が前記商品のそれぞれを取出可能なピッキングラックを有する物流システムに対して、前記複数種類のアイテムが、前記商品を複数種類集めた複種アイテムを1種以上含むように制御する。
【0014】
また、この態様のプログラムは、上述の物流システムに、上述のピッキング制御方法を実行させる。
【0015】
また、この態様のプログラム記憶媒体は、上述のプログラムを、上述の物流システムにより利用可能に記憶する。
【0016】
この態様の物流システム若しくはピッキング制御方法では、またはこの態様のプログラム若しくはプログラム記憶媒体によれば、商品の個別種類のみのアイテム(以下「単種アイテム」)と同様に、商品を複数種類集めた複種アイテムを1種類のアイテムとして、ピッキングラックに用意する。このため、複種アイテムと単種アイテムとの種類数の合計を各ピッキングラックの間口数以下とすることにより、集品する各商品の頻度分類(高頻度、中頻度、低頻度等)毎の集品回数の相対比率や商品の品種数が変化しても、ピッキングゾーン数や対応する作業員数や集品ルート等のシステム構成全体を変更することなく、ピッキング作業の効率化と設備の有効活用を図ることができ、コスト増を抑制しつつ迅速化や省人化や省力化が可能になる。
【0017】
第2の態様に係る物流システムとして、第1の態様において、前記複数種類のアイテムは、前記複種アイテムとして、頻度分類が低頻度に該当する商品を1種以上含む複種アイテムを含むようにしてもよい。
【0018】
また、好ましい態様のピッキング制御方法によれば、前記複数種類のアイテムは、前記複種アイテムとして、頻度分類が低頻度に該当する商品を1種以上含む複種アイテムを含む。
【0019】
この態様の物流システム若しくはピッキング制御方法では、複種アイテムとして、頻度分類が低頻度に該当する商品を1種以上含む複種アイテムを含むので、他の頻度分類(高頻度や中頻度等)の(単種)アイテム対応の間口と区別して使用できるとともに、その低頻度の商品による間口の占有がなくなるため、ピッキング作業の効率化と設備の有効活用を図ることができ、コスト増を抑制しつつ迅速化や省人化や省力化が可能になる。
【0020】
第3の態様に係る物流システムとして、第1の態様において、前記複数種類のアイテムは、前記複種アイテムとして、使用物量の少ない商品を1種以上含む複種アイテムを含むようにしてもよい。
【0021】
また、好ましい態様のピッキング制御方法によれば、前記複数種類のアイテムは、前記複種アイテムとして、使用物量の少ない商品を1種以上含む複種アイテムを含む。
【0022】
この態様の物流システム若しくはピッキング制御方法では、複種アイテムとして、使用物量の少ない商品を1種以上含む複種アイテムを含むので、他の分類(使用物量が中程度以上)の(単種)アイテム対応の間口と区別して使用できるとともに、その使用物量の少ない商品による間口の占有がなくなるため、ピッキング作業の効率化と設備の有効活用を図ることができ、コスト増を抑制しつつ迅速化や省人化や省力化が可能になる。
【0023】
第4の態様に係る物流システムとして、第1の態様において、前記複数種類のアイテムは、前記複種アイテムとして、注文物量の少ない客先からの商品を1種以上含む複種アイテムを含むようにしてもよい。
【0024】
また、好ましい態様のピッキング制御方法によれば、前記複数種類のアイテムは、前記複種アイテムとして、注文物量の少ない客先からの商品を1種以上含む複種アイテムを含む。
【0025】
この態様の物流システム若しくはピッキング制御方法では、複種アイテムとして、注文物量の少ない客先からの商品を1種以上含む複種アイテムを含むので、他の分類(中口から大口の客先向け)の(単種)アイテム対応の間口と区別して使用できるとともに、その注文物量の少ない客先からの商品による間口の占有がなくなるため、ピッキング作業の効率化と設備の有効活用を図ることができ、コスト増を抑制しつつ迅速化や省人化や省力化が可能になる。
【0026】
第5の態様に係る物流システムとして、第1の態様において、前記複数種類のアイテムは、前記集品を指示するオーダのうちの少なくとも一部を予め実行して前記商品を複数種類集めた複種アイテムを1種以上含むようにしてもよい。
【0027】
また、好ましい態様のピッキング制御方法によれば、前記複数種類のアイテムは、前記集品を指示するオーダのうちの少なくとも一部を予め実行して前記商品を複数種類集めた複種アイテムを1種以上含む。
【0028】
従来の前述した集品ルートを切り替える方法では、ピッキングラックの各間口に対応する種類の商品を準備し、作業員が種類毎の各間口から必要な商品を集品箱にピッキング(集品)するので、基本的には前述のオーダピッキングに該当する。しかしながら、その前段のピッキングラックの各間口に対応する種類の商品を準備する段階では、所定条件(時刻制限等)毎に同一商品のオーダを集計し、商品毎に集計数だけ倉庫からピッキングしているので、その後のピッキングラックから先の作業がオーダ先毎に分ける方法に相当することを考慮すれば、システム全体では、トータルピッキングに該当するとも考えられる。
【0029】
そこで、この態様の物流システム若しくはピッキング制御方法では、オーダピッキングとトータルピッキングとを組み合わせて、トータルピッキングの前段に該当する、商品毎に集計数だけ倉庫からピッキングする作業の一部に、オーダピッキングを適用して、オーダピッキング済みの複種アイテムも事前に準備し、商品の個別種類のみの単種アイテムと同様に、1種類のアイテムとして、ピッキングラックに用意する。
【0030】
この複種アイテムと単種アイテムとの種類数の合計が各ピッキングラックの間口数以下であれば、システム全体でピッキングゾーン数(作業員数)を変更する必要は生じない。また、事前に複種アイテムを準備するので、その準備とその後のピッキングラック後のオーダピッキングの工数やスケジュールの調整により、ピッキング作業の効率化も図ることができる。すなわち、システム構成全体を変更することなく、ピッキング作業の効率化と設備の有効活用を図ることができ、コスト増を抑制しつつ迅速化や省人化や省力化が可能になる。
【0031】
また、前記集品を指示する単一のオーダ内で指示される、同一種類の商品のみを集めた単種アイテム対応の間口から取出不可の商品のみを集めたアイテムを、そのオーダに対応するオーダ対応アイテムとし、前記オーダ対応アイテムをオーダ順に取出可能に並べて、前記複種アイテムの一種として、前記複種アイテム用の間口の1以上に割り当てる。
【0032】
第6の態様に係る物流システムとして、第1の態様において、前記集品を指示する単一のオーダ内で指示される、同一種類の商品のみを集めた単種アイテム対応の間口から取出不可の商品のみを集めたアイテムを、そのオーダに対応するオーダ対応アイテムとし、前記オーダ対応アイテムをオーダ順に取出可能に並べて、前記複種アイテムの一種として、前記複種アイテム用の間口の1以上に割り当てるように制御するようにしてもよい。
【0033】
この態様の物流システム若しくはピッキング制御方法では、集品を指示する単一のオーダ内で指示される、同一種類の商品のみを集めた単種アイテム対応の間口から取出不可の商品のみを集めたアイテムを、そのオーダに対応するオーダ対応アイテムとし、オーダ対応アイテムをオーダ順に取出可能に並べて、複種アイテムの一種として、複種アイテム用の間口の1以上に割り当てる。
【0034】
これにより、ほぼ単発でのみ出現するような組合せであったとしても、マルチ(複種)アイテムの一種として、事前に準備(供給)できる。この場合、オーダ順、すなわち取出し順に並べて準備するので、集品作業の際の取出しにも支障が発生しない。これにより、システム構成全体を変更することなく、ピッキング作業の効率化と設備の有効活用を図ることができ、コスト増を抑制しつつ迅速化や省人化や省力化が可能になる。
【0035】
第7の態様に係る物流システムとして、第1の態様において、集品の対象となる入荷品を複数種類入荷する入荷部と、前記ピッキング作業により前記集品を行うための集品部と、配送のために出荷対象となる出荷品を出荷する出荷部と、前記入荷部、前記集品部および前記出荷部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記複数種類のアイテムに前記複種アイテムを1種以上含ませるように、前記入荷部の制御を実行するようにしてもよい。
【0036】
この態様の物流システムでは、入荷部、集品部、出荷部および制御部を備えたうちの、入荷部、集品部および出荷部を制御する制御部が、入荷部を制御して、複数種類のアイテムに複種アイテムを1種以上含ませるようにするので、入荷部から他部へとうまく連携させて制御しやすくなっている。
【0037】
ここで、および以下の説明において、「~部を制御する」とは、「~部をデータベース管理下とする」と言うことを指し、「~部において作業・処理対象となるアイテムのそれぞれについて、そのアイテムのID(以下「アイテムID」)に関連付けて、そのアイテムの各時点での状況を把握して更新し(データベースに記憶して状況に合わせて更新し)、後工程のための参照データとすること」を最小要件とする。ここでの「状況」には、各アイテムがどの工程まで作業・処理対象となったか等の情報が含まれる。この場合、この最小要件を満足すれば、少なくとも「参照データを得る」と言う点において、「自然法則の利用」に該当することになる。
【0038】
すなわち、後工程における制御のための参照データを得ることが最小要件なので、実際の作業・処理対象となるアイテムのそれぞれについて、その作業・処理を例えばプログラム制御により全自動で実施する場合はもちろんのこと、その作業・処理の一部または全部を作業員等の人手で実施したとしても、(自然法則に基づいて)参照データを得てシステム全体が作動するので、システム全体として、「自然法則の利用」に該当することになる。
【0039】
第8の態様に係る物流システムとして、第7の態様において、前記入荷部は、入荷品を入荷する作業を行う入荷作業部と、入荷した入荷品をそれぞれ1種類以上含むアイテムを複数種類保管するアイテム保管部と、集品部での集品に必要になる複数種類のアイテムを、集品部に補充するアイテム補充部とを有し、制御部は、前記入荷部を制御する入荷制御工程を実行し、前記入荷制御工程では、前記入荷作業部を制御する入荷作業制御工程と、前記アイテム保管部を制御するアイテム保管制御工程と、前記アイテム補充部を制御するアイテム補充制御工程とを実行するようにしてもよい。
【0040】
この態様の物流システムでは、制御部が、入荷部を制御する際に、入荷作業部の制御、アイテム保管部の制御およびアイテム補充部の制御のそれぞれに分けてきめ細かく制御できるので、入荷部の制御を迅速かつ正確に制御しやすくなっている。
【0041】
第9の態様に係る物流システムとして、第8の態様において、前記アイテム保管制御工程では、前記入荷品のうちの同一種類の商品のみを集めた単種アイテムの種類数と、前記ピッキングラックの所定の間口の間口数とを比較する数比較工程と、前記比較の結果に基づいて、前記単種アイテムおよび前記複種アイテムについて、前記集品のために前記所定の間口に供するアイテム種類数を設定するアイテム種類数設定工程と、前記アイテム種類数の制限内に入るように、複数の前記単種アイテムを組み合わせて複種アイテムとする設定を行うアイテム組合せ設定工程と、設定された組合せの前記複種アイテムとするための集品を行って、その複種アイテムを改めて1種類のアイテムとして前記アイテム保管部に保管する複種アイテム保管工程とを実行するようにしてもよい。
【0042】
また、好ましい態様の物流システムによれば、集品の対象となる入荷品を複数種類入荷して、前記入荷品をそれぞれ1種類以上含むアイテムを複数種類保管するアイテム保管部を有する入荷部と、前記入荷部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記入荷部を制御して、前記入荷品のうちの同一種類の商品のみを集めた単種アイテムの種類数と、前記ピッキングラックの所定の間口の間口数とを比較する数比較工程と、前記比較の結果に基づいて、前記単種アイテムおよび前記複種アイテムについて、前記集品のために前記所定の間口に供するアイテム種類数を設定するアイテム種類数設定工程と、前記アイテム種類数の制限内に入るように、複数の前記単種アイテムを組み合わせて複種アイテムとする設定を行うアイテム組合せ設定工程と、設定された組合せの前記複種アイテムとするための集品を行って、その複種アイテムを改めて1種類のアイテムとして前記アイテム保管部に保管する複種アイテム保管工程と、を実行する。
【0043】
これらの態様の物流システムでは、アイテム保管部に保管された入荷品のうちの同一種類の商品のみを集めた単種アイテムの種類数とピッキングラックの所定の間口の間口数とを比較して、所定の間口に供するアイテム種類数を設定し、アイテム種類数の制限内に入るように、単種アイテムを組み合わせた複種アイテムを設定し、その設定に合わせて集品した複種アイテムを、1種類のアイテムとしてアイテム保管部に保管する。
【0044】
この場合、複種アイテムと単種アイテムとの種類数の合計を各ピッキングラックの間口数以下とすることにより、集品する各商品の頻度分類(高頻度、中頻度、低頻度等)毎の集品回数の相対比率や商品の品種数が変化しても、ピッキングゾーン数や対応する作業員数や集品ルート等のシステム構成全体を変更することなく、ピッキング作業の効率化と設備の有効活用を図ることができ、コスト増を抑制しつつ迅速化や省人化や省力化が可能になる。
【0045】
第10の態様に係る物流システムとして、第9の態様において、前記アイテム組合せ設定工程は、同じオーダ内で集品される前記複数の前記単種アイテムの組合せの抽出を実行するオーダ分析工程を有し、抽出された前記単種アイテムの組合せを前記複種アイテムとして設定するようにしてもよい。
【0046】
第11の態様に係る物流システムとして、第8の態様において、前記アイテム保管制御工程では、前記入荷品のうちの同一種類の商品のみを集めた単種アイテムの種類数と、前記ピッキングラックの所定の間口の間口数とを比較する数比較工程と、前記比較の結果に基づいて、前記単種アイテムおよび前記複種アイテムについて、前記集品のために前記所定の間口に供するアイテム種類数を設定するアイテム種類数設定工程と、前記アイテム種類数の制限内に入るように、同じオーダ内で集品される複数の前記単種アイテムの組合せを抽出して、抽出された前記単種アイテムの組合せを前記複種アイテムとして設定するオーダ分析後アイテム組合せ設定工程と、設定された組合せの前記複種アイテムとするための集品を行って、その複種アイテムを改めて1種類のアイテムとして前記アイテム保管部に保管する複種アイテム保管工程とを実行するようにしてもよい。
【0047】
第12の態様に係る物流システムとして、第1の態様において、集品の対象となる入荷品を複数種類入荷して、前記入荷品をそれぞれ1種類以上含むアイテムを複数種類保管するアイテム保管部を有する入荷部と、前記入荷部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記入荷部を制御して、前記入荷品のうちの同一種類の商品のみを集めた単種アイテムの種類数と、前記ピッキングラックの所定の間口の間口数とを比較する数比較工程と、前記比較の結果に基づいて、前記単種アイテムおよび前記複種アイテムについて、前記集品のために前記所定の間口に供するアイテム種類数を設定するアイテム種類数設定工程と、前記アイテム種類数の制限内に入るように、同じオーダ内で集品される複数の前記単種アイテムの組合せを抽出して、抽出された前記単種アイテムの組合せを前記複種アイテムとして設定するオーダ分析後アイテム組合せ設定工程と、設定された組合せの前記複種アイテムとするための集品を行って、その複種アイテムを改めて1種類のアイテムとして前記アイテム保管部に保管する複種アイテム保管工程とを実行するようにしてもよい。
【0048】
これらの態様の物流システムでは、マルチアイテム商品組合せ設定に先んじて、オーダ分析を行い(オーダ分析工程)、同じオーダ内で集品箱に集められる組合せの商品をマルチ(複種)アイテムとして設定することにより、次のマルチ(複種)アイテム保管工程では、アイテム保管部からピッキング(集品)して、マルチアイテムとして改めてアイテム保管部に保管できる。
【0049】
このマルチアイテムの組合せが、後続の他のオーダでも頻繁に出現するのであれば、このマルチアイテムの準備は、間口の有効利用という目的達成以外に、ピッキング作業全体の効率化にも寄与する。また、頻繁に出現しないまでも、例えばその半分程度(中程度)の頻度で出現するマルチアイテムであっても、同質の効率化に寄与する。さらには、ほぼ単発でのみ出現するようなマルチアイテムであっても、間口の有効活用に寄与し、続いて必要になる集品作業を事前に実行するので、その後のピッキングラック後のオーダピッキングの工数やスケジュールの調整により、ピッキング作業の効率化も図ることができる。すなわち、システム構成全体を変更することなく、ピッキング作業の効率化と設備の有効活用を図ることができ、コスト増を抑制しつつ迅速化や省人化や省力化が可能になる。
【0050】
第13の態様に係る物流システムとして、第12の態様において、前記アイテム組合せ設定工程は、同じオーダ内で集品される前記複数の前記単種アイテムの組合せの抽出を実行するオーダ分析工程を有し、抽出された前記単種アイテムの組合せを前記複種アイテムとして設定するようにしてもよい。
【0051】
第14の態様に係る物流システムとして、第1の態様において、集品の対象となる入荷品を複数種類入荷して、前記入荷品をそれぞれ1種類以上含むアイテムを複数種類保管するアイテム保管部を有する入荷部と、前記入荷部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記入荷部を制御して、前記入荷品のうちの同一種類の商品のみを集めた単種アイテムの種類数と、前記ピッキングラックの所定の間口の間口数とを比較する数比較工程と、前記比較の結果に基づいて、前記単種アイテムおよび前記複種アイテムについて、前記集品のために前記所定の間口に供するアイテム種類数を設定するアイテム種類数設定工程と、前記アイテム種類数の制限内に入るように、同じオーダ内で集品される複数の前記単種アイテムの組合せを抽出して、抽出された前記単種アイテムの組合せを前記複種アイテムとして設定するオーダ分析後アイテム組合せ設定工程と、設定された組合せの前記複種アイテムとするための集品を行って、その複種アイテムを改めて1種類のアイテムとして前記アイテム保管部に保管する複種アイテム保管工程とを実行するようにしてもよい。
【0052】
第15の態様に係る物流システム制御方法は、集品の作業員が前記集品の対象とする商品の前記集品を行うための1以上のピッキングゾーンを備え、前記ピッキングゾーンが、前記商品をそれぞれ1種類以上含むアイテムを単位として、複数種類の前記アイテムの種類毎に所定の間口から、前記作業員が前記アイテムのそれぞれを取出可能なピッキングラックを有する物流システムに対して、前記複数種類のアイテムが、前記商品を複数種類集めた複種アイテムを1種以上含むように制御することを特徴とする。
【0053】
第16の態様に係る物流システム制御方法として、第15の態様において、前記複数種類のアイテムは、前記複種アイテムとして、頻度分類が低頻度に該当する商品を1種以上含む複種アイテムを含むようにしてもよい。
【0054】
第17の態様に係る物流システム制御方法として、請求項15の態様において、前記複数種類のアイテムは、前記複種アイテムとして、使用物量の少ない商品を1種以上含む複種アイテムを含むようにしてもよい。
【0055】
第18の態様に係る物流システム制御方法として、請求項15の態様において、前記複数種類のアイテムは、前記複種アイテムとして、注文物量の少ない客先からの商品を1種以上含む複種アイテムを含むようにしてもよい。
【0056】
第19の態様に係る物流システム制御方法として、請求項15の態様において、前記複数種類のアイテムは、前記集品を指示するオーダのうちの少なくとも一部を予め実行して前記商品を複数種類集めた複種アイテムを1種以上含むようにしてもよい。
【0057】
第20の態様に係る物流システム制御方法として、請求項15の態様において、前記集品を指示する単一のオーダ内で指示される、同一種類の商品のみを集めた単種アイテム対応の間口から取出不可の商品のみを集めたアイテムを、そのオーダに対応するオーダ対応アイテムとし、前記オーダ対応アイテムをオーダ順に取出可能に並べて、前記複種アイテムの一種として、前記複種アイテム用の間口の1以上に割り当てるように制御するようにしてもよい。
【0058】
第21の態様に係る物流システム制御プログラムは、集品の作業員が前記集品の対象とする商品の前記集品を行うための1以上のピッキングゾーンを備え、前記ピッキングゾーンは、前記商品をそれぞれ1種類以上含むアイテムを単位として、複数種類の前記アイテムの種類毎に所定の間口から、前記作業員が前記アイテムのそれぞれを取出可能なピッキングラックを有し、前記複数種類のアイテムは、前記商品を複数種類集めた複種アイテムを1種以上含む、物流システムにおいて、前記物流システムを制御するコンピュータを、前記複数種類のアイテムが、前記商品を複数種類集めた複種アイテムを1種以上含むように制御する制御部として機能させることを特徴とする。
【0059】
第22の態様は、第21の態様に記載の物流システム制御プログラムが記憶された記憶媒体を特徴とする。
【発明の効果】
【0060】
本発明によれば、集品する各商品の頻度分類(高頻度、中頻度、低頻度等)毎の集品回数の相対比率が変化しても、あるいは商品の品種数が変化しても、ピッキングゾーン数や対応する作業員数や集品ルート等のシステム構成全体を変更することなく、ピッキング作業の効率化と設備の有効活用を図ることにより、コスト増を抑制しつつ迅速化や省人化や省力化を可能にできる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1】実施形態による物流システムの構成図である。
図2】ピッキングエリアの構成を簡易化して示すピッキングエリアの模式図である。
図3】ピッキングエリア内のピッキング作業エリアを構成する複数のピッキングゾーンを簡略化して説明する際の、簡略化の内容を示す説明図である。
図4】ピッキングエリア内の複数のピッキングゾーンについて、図3の簡略化を適用して示す説明図である。
図5】実施形態の物流システムの概略制御フローを簡略化して含む機能ブロック図である。
図6図5の概略制御フロー内のアイテム保管制御で利用される内部モジュールの「マルチアイテム事前準備・保管」のフローチャートである。
図7図6のフローチャートに基づくアイテム事前準備の具体例を示す図である。
図8図6および図7で説明した内容を一般化して、図4に適用して示す説明図である。
図9図8のピッキングラックの複種アイテム用の間口側から奥側に順次補充された一例のアイテムの様子を簡略化して示す説明図である。
図10】別の例についての図9と同様の説明図である。
図11】さらに別の例についての図9と同様の説明図である。
図12】オーダ分析の結果を利用する例を示す、図6と同様の「マルチアイテム事前準備・保管」のフローチャートである。
図13図12の「マルチアイテム事前準備・保管」のモジュールを実行した場合の一例についての、図9と同様の説明図である。
図14】別の例についての、図13と同様の説明図である。
図15】さらに別の例についての、図13と同様の説明図である。
図16】多種多様なマルチアイテムの例について、イメージを総括した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
本発明の概念は、本発明の概念の特定の実施形態が示されている添付の図面を参照して、以下でより完全に説明される。しかしながら、この発明の概念は、多くの異なる形態で具体化でき、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、本発明の概念の範囲を当業者に完全に伝えるように、例として提供される。同様の番号は、説明全体で同様の要素を指す。
【0063】
以下の実施するための形態では、ピッキングを主に例にとって説明している場合があるが、本技術思想はピッキングに対してのみ適用されるべきものとして限定的に解釈すべきではない。すなわち、本発明は入荷、保管、補充、集品、ピッキング、アソート、搬送、出荷を含む物流システム全体に対して適用可能なものである。
【0064】
以下、[1.システム構成例]、[2.課題解決ポイントの例示]、[3.その他の適用・応用例]について、順に説明する。
【0065】
[1.システム構成例]
図1は、本明細書に提示された実施形態による物流システムの構成図である。同図に示すように、物流システム1は、原料の入荷(入庫)から集配物の出荷(出庫)に向けて利用される順に、入荷(入庫)エリア10A、ピッキングエリア20A、出荷準備エリア40A、出荷待ちエリア50A、出荷(出庫)エリア30Aを備えている。
【0066】
入荷(入庫)エリア10Aは、原料の入荷(入庫)品を積載して入荷バースに駐車された貨物トラック等からの入荷品を荷捌きする環境温度10℃設定の入荷荷捌きエリア(図示符号無し)と、その原料を種類別に環境温度5℃設定の原料冷蔵庫(図示符号無し)および環境温度-25℃設定の原料冷凍庫(図示符号無し)に分けてケースで保管するケース自動倉庫設備と、を備え、原料ケース自動補充設備を介して、ピッキングエリア20Aに対して、ピッキング(集品)対象品を供給する。
【0067】
逆に、出荷側において、出荷(出庫)エリア30Aは、配送対象の出荷(出庫)品を貨物トラックに積載するための環境温度10℃設定の出荷バース310を有し、その前段階を担当する出荷待ちエリア50Aは、出荷品となる製品等の種類別に環境温度5℃設定の製品冷蔵庫(図示符号無し)および環境温度-25℃設定の製品冷凍庫(図示符号無し)に分けて出荷を待つように構成(制御)されている。
【0068】
さらにその前段階を担当する出荷準備エリア40Aは、さらにその前段階を担当するピッキングエリア20Aにおいてピッキング(集品)されて集品箱に収められ、搬送ロボット走行エリア60を介して搬送ロボットRにより搬送された集品箱、あるいはパーキングエリア601に一時駐車して待機していた搬送ロボットRにより搬送された集品箱、を受領し、出荷に合わせて全ての出荷対象品を揃え、荷造りやラベル貼付などの出荷前最終準備を実施するように構成(制御)されている。
【0069】
ここで、上述のパーキングエリア601には、図示の上側と下側のそれぞれにグリッド状に並んだ40台分の駐車スペースがあり、それぞれに搬送ロボットRが待機中に電力供給を受け得る充電設備が備えられている。なお、駐車スペース毎ではなく、待機中の搬送ロボットRが適宜アクセスできるように、パーキングエリア601内の所定個所に充電設備を備えても良い。また、これらの場合の充電方式としては、有線式や接触式でも可能ではあるが、手間や安全性(メンテナンスフリー)の観点から非接触式(ワイヤレス)が好ましい。
【0070】
図2は、ピッキングエリア20Aの構成を、理解の容易化のため模式的に簡易化して示すピッキングエリアの模式図である。図1も参照しつつ図2に示すように、ピッキングエリア20Aは、ピッキング(集品)対象品を供給するための原料ケース自動補充設備と、ピッキング(フロー)ラック200と、複数の作業台(作業テーブル)Tと、その手前側で搬送ロボットRが自由軌道(平面走行自在)で走行するための搬送ロボット走行エリア60と、を備えている。
【0071】
ピッキング(フロー)ラック200は、原料ケース自動補充設備側(背面側)からピックアップ用の間口側(前面側)にかけて下がっていて、いわゆるフローラック(flow rack)構成のピッキングラックであり、環境温度-15℃に設定されている。このピッキング(フロー)ラック200の間口から集品可能な各種アイテムを、集品を担当する複数の作業員Mが、それぞれが担当する作業台T(作業テーブル)において、それぞれが担当する集品箱にピッキング(集品)を行う。
【0072】
ここで、アイテムとは、入荷した入荷品をそれぞれ1種類以上含む作業対象の単位を指し、前述のケース自動倉庫設備ではケース単位で作業処理の対象単位とされ、前述の原料ケース自動補充設備を介して、そのアイテム毎に対応して定められたピッキング(フロー)ラック200の間口に対して、ケース単位、すなわちアイテム単位で供給(補充)される。
【0073】
図3は、ピッキングエリア20A内で、ピッキング作業エリア210を構成する複数のピッキングゾーンを、理解の容易化のため簡略化して説明する際の、簡略化の内容を示す説明図である。
【0074】
図2で前述のピッキング(フロー)ラック200は、実際には、各作業員が担当する作業台Tと対応して区分けされていて、その区分けされた作業領域であるピッキングゾーンZにおいて、図3に示すように、各担当の作業員Mによって、アイテム対応の所定の間口から集品対象の各アイテムが取り出される。
【0075】
以下の説明では、主に、図3(a)内左側に示す、アイテム毎に間口に区分けされたピッキング(フロー)ラック200を、先入れ先出し(FIFO)のフローラック構成の奥行方向(アイテムの取出し順に区分けされた方向)を水平断面のイメージで簡略化して、同図内右側のように示す。
【0076】
また、図1の詳細部分を拡大すると判明するが、図3(b)内左側に示すように、実際の作業台Tは、作業員Mに対して左右対称の2台の作業台で構成され、作業箱Bを搭載した搬送ロボットRは、左右両端に到着(アクセス)して、左右それぞれアクセスした作業台Tに作業箱Bを供給し、それらの作業箱Bが作業台Tの作動で、作業員Mがいる中央部に運ばれ、作業員Mは、中央部に運ばれてきた作業箱Bに対して、必要な集品作業を行う。
【0077】
しかし、以下の説明では、主に、同図内右側に示すように、作業台Tを1台に簡略化する。すなわち、集品箱を搭載(搬送)して来た搬送ロボットRは、図示右端に到着(アクセス)して作業台Tに集品箱を供給し、その集品箱が作業台Tの作動で作業員Mがいる中央部に運ばれ、作業員Mは、中央部に運ばれてきた集品箱に対して、必要な集品作業を行う。目的の集品を終了した集品箱は、図示左端にアクセスしている搬送ロボットRに引き渡され、次のアクセス先まで搬送される。
【0078】
図4は、ピッキングエリア20A内の複数のピッキングゾーンZ1、Z2について、図3の簡略化を適用して示す説明図である。同図に示すように、ピッキングゾーンZ1では、ピッキング(フロー)ラック201の間口から集品可能な各種アイテムについて、担当の作業員Mが、作業台Tにおいて、担当する集品箱に集品を行う。同様に、ピッキングゾーンZ2では、ピッキング(フロー)ラック202の間口から集品可能な各種アイテムについて、担当の作業員Mが、作業台Tにおいて、担当する集品箱に集品を行う。なお、前述の図2の作業員Mと作業台Tも、この簡略化されたイメージで示してある。
【0079】
図5は、実施形態の物流システム1の概略制御フローを簡略化して含む機能ブロック図である。同図において、太幅2重線構成の点線矢印は、物(アイテム等)の流れ方向を示し、単線の点線矢印は、制御の流れ方向を示す、
【0080】
同図に示すように、物流システム1は、集品の対象となる入荷品を複数種類入荷する入荷部10(入荷(入庫)エリア10Aに対応)と、集品を行うための集品部20(ピッキングエリア20Aに対応)と、配送のために出荷対象となる出荷品を出荷する出荷部30(出荷準備エリア40A+出荷待ちエリア50A+出荷(出庫)エリア30Aに対応)と、入荷部10、集品部20および出荷部30を制御する制御部Cと、を備えている。
【0081】
制御部Cは、上記の入荷部10、集品部20および出荷部30に対応して、入荷部10を制御する入荷制御(入荷制御工程)10C、集品部20を制御する集品制御(集品制御工程)20C、および、出荷部30を制御する出荷制御(出荷制御工程)30Cを行う。
【0082】
ここで、および以下の説明において、「~部を制御する」とは、「~部をデータベース管理下とする」と言うことを指し、「~部において作業・処理対象となるアイテムのそれぞれについて、そのアイテムのID(以下「アイテムID」)に関連付けて、そのアイテムの各時点での状況を把握して更新し(データベースに記憶して状況に合わせて更新し)、後工程のための参照データとすること」を最小要件とする。ここでの「状況」には、各アイテムがどの工程まで作業・処理対象となったか等の情報が含まれる。この場合、この最小要件を満足すれば、少なくとも「参照データを得る」と言う点において、「自然法則の利用」に該当することになる。
【0083】
すなわち、後工程における制御のための参照データを得ることが最小要件なので、実際の作業・処理対象となるアイテムのそれぞれについて、その作業・処理を例えばプログラム制御により全自動で実施する場合はもちろんのこと、その作業・処理の一部または全部を作業員等の人手で実施したとしても、(自然法則に基づいて)参照データを得てシステム全体が作動するので、システム全体として、「自然法則の利用」に該当することになる。
【0084】
なお、上記のアイテムIDは、例えば入荷時点でデータベースに登録され、あるいは事前に登録済みの情報を示すものであり、例えば入荷品に付される所定の番号の他に、品種名を含む種類、数量、産地、消費期限、賞味期限等の特性を示す。このデータベースへの登録は、例えば入荷品に付されたバーコードの読み取り、入荷品の箱に内蔵されたIC内の情報の読み取り、その他、各種タグ、各種貼付、付帯品からの情報取得によって行われる。
【0085】
図5の説明に戻り、同図に示すように、入荷部10は、入荷品を入荷する作業を行う入荷作業部11(入荷荷捌きエリアに対応)と、入荷した入荷品をそれぞれ1種類以上含むアイテムを複数種類保管するアイテム保管部12(ケース自動倉庫設備に対応)と、集品部20での集品に必要になる複数種類のアイテムを、集品部20に補充するアイテム補充部13(原料ケース自動補充設備に対応)と、を有する。
【0086】
これに対して、制御部Cでは、入荷部10を制御する入荷制御(入荷制御工程)10Cとして、入荷作業部11(入荷荷捌きエリアに対応)を制御する入荷作業制御(入荷作業制御工程)11Cと、アイテム保管部12(ケース自動倉庫設備に対応)を制御するアイテム保管制御(アイテム保管制御工程)12Cと、アイテム補充部13(原料ケース自動補充設備に対応)を制御するアイテム補充制御(アイテム補充制御工程)13Cと、を行う。
【0087】
集品部20は、アイテム補充部13により補充されたアイテムを集品のために一時保管する集品準備部21(ピッキング(フロー)ラック200に対応)と、集品担当の作業員が集品準備部21のアイテムを集品箱に集品する集品作業を行って、出荷品となるアイテムを集品した集品箱の準備を進める集品作業部22(ピッキング作業エリア210に対応)と、集品作業に供する集品箱を搬送するために、搬送ロボットRが自由軌道(平面走行自在)で走行し、出荷部30のパーキングエリア601(図1参照)まで延びて存在(延在)する搬送走行部23(搬送ロボット走行エリア60に対応)と、を有する。
【0088】
これに対して、制御部Cでは、集品部20を制御する集品制御(集品制御工程)20Cとして、集品準備部21(ピッキング(フロー)ラック200に対応)を制御する集品準備制御(集品準備制御工程)21Cと、集品作業部22(ピッキング作業エリア210に対応)を制御する集品作業制御(集品作業制御工程)22Cと、搬送走行部23(搬送ロボット走行エリア60に対応)を制御する搬送走行制御(搬送走行制御工程)23Cと、を行う。
【0089】
出荷部30は、集品部20で集品された集品箱を受領して、配送対象となる出荷品となる出荷態様に纏める出荷準備部31(出荷準備エリア40Aに対応)と、出荷態様の出荷品に含まれるアイテムの種類別特性に合わせて保管する出荷品保管部32(出荷待ちエリア50Aに対応)と、配送等のために出荷品を揃える作業を行う出荷作業部33(出荷(出庫)エリア30Aに対応)と、を有する。
【0090】
これに対して、制御部Cでは、出荷部30を制御する出荷制御(出荷制御工程)30Cとして、出荷準備部31(出荷準備エリア40Aに対応)を制御する出荷準備制御(出荷準備制御工程)31Cと、出荷品保管部32(出荷待ちエリア50Aに対応)を制御する出荷品保管制御(出荷品保管制御工程)32Cと、出荷作業部33(出荷(出庫)エリア30Aに対応)を制御する出荷作業制御(出荷作業制御工程)33Cと、を行う。
【0091】
[2.課題解決ポイントの例示]
図6は、名称「マルチアイテム事前準備・保管」で呼び出されるプログラムモジュールのフローチャートであり、図5で示した概略制御フローの一部であるアイテム保管制御(アイテム保管制御工程)12Cの内部で呼び出されて利用される内部モジュールの1つである。このモジュール(12C-10)では、名称通り、「マルチアイテム事前準備・保管」を行う。理解を助けるため、図6のフローチャートに基づくアイテム事前準備の具体例を、図7に示す。
【0092】
図6に示すように、まず、「総シングルアイテム種類数>間口数」か否かを判断する(12C-11:数比較工程)。例えば図7の例では、ピッキングラックの間口の数は、4×4の16とする。
【0093】
同図左(図7(a))の例では、同一種の商品からなるアイテム(以下「単種アイテム」または「シングルアイテム」)はアイテムA~Pの16種類(すなわち総シングルアイテム種類数=16)であり、それぞれアイテムAは商品Aのみを集めたケース、~、アイテムPは商品Pのみを集めたケースで、ピッキングラックの16個のそれぞれ所定の間口から取り出せる(ピッキングできる)ように、割り当てられている。
【0094】
この場合、「総シングルアイテム種類数=間口数」であり、「総シングルアイテム種類数>間口数」ではない(12C-11:No(Nで図示))ので、アイテム事前準備は特に必要なく、そのまま処理を終了する(12C-15)。
【0095】
これに対して、例えば商品として商品A~H、J~L、N~PおよびU~Zの20種がある場合、すなわちそれぞれの商品をそのままシングルアイテムとして供給すれば20個の間口が必要な場合、16個の間口しか備えていないピッキングラックでは供給できない。
【0096】
このような場合、「総シングルアイテム種類数>間口数」に該当する(12C-11:Yes(Yで図示))ので、次に、マルチ/シングルアイテム種類数設定を行う(12C-12:アイテム種類数設定工程)。図7右(図7(b))の例では、間口数16に合わせて、複数種の商品からなるアイテム((以下「複種アイテム」または「マルチアイテム」)を2種と、シングルアイテムを14種と、の計16に設定する(12C-12)。
【0097】
続いて、マルチアイテム商品組合せ設定を行う(12C-13:アイテム組合せ設定工程)。図7(b)の例では、マルチアイテムを、商品(シングルアイテム)U、商品(シングルアイテム)V、および、商品(シングルアイテム)Wを組み合わせて集品したケースで補充される(マルチ)アイテムUと、商品(シングルアイテム)X、商品(シングルアイテム)Y、および、商品(シングルアイテム)Zを組み合わせて集品したケースで補充される(マルチ)アイテムXと、の2種に設定する(12C-13)。
【0098】
そして、次は、マルチアイテム向け集品~保管を行う(12C-14:複種アイテム保管工程)。ここでは、上述のマルチアイテム商品組合せ設定(12C-13)の設定に従って、実際に、商品(シングルアイテム)U、商品(シングルアイテム)V、商品(シングルアイテム)Wを、アイテム保管部12(ケース自動倉庫設備に対応)からケースにピッキング(集品)して、マルチアイテムUとして改めてアイテム保管部12に保管し、同様に、商品(シングルアイテム)X、商品(シングルアイテム)Y、商品(シングルアイテム)Zを、アイテム保管部12(ケース自動倉庫設備に対応)からケースにピッキング(集品)して、マルチアイテムXとして改めてアイテム保管部12に保管し(12C-14)、全ての必要な処理を終了する(12C-15)。
【0099】
図8は、図6および図7で説明した内容を一般化して、図4に適用して示す説明図である。ここでは、集品の作業員Mがそれぞれ担当の集品を行うための1以上(図示では2)のピッキングゾーンZ1、Z2があり、それぞれ集品の対象とする複数種類のアイテムのそれぞれを種類毎の所定の間口から取出可能なピッキングラック201、202を有する。
【0100】
複数種類のアイテムには、集品の対象となる商品を複数種類集めた複種アイテム(マルチアイテム)と、単一商品を集めた単種アイテム(シングルアイテム)が含まれる。図示のピッキングラック201、202の「複種アイテム用」の間口には複種アイテムが、「単種アイテム用」の間口には単種アイテムが、それぞれ対応して供給(補充)される。
【0101】
このようにして、複種アイテムと単種アイテムの種類数の合計を各ピッキングラックの間口数以下とすることにより、集品する各商品の頻度分類(高頻度、中頻度、低頻度等)毎の集品回数の相対比率や商品の品種数が変化しても、ピッキングゾーン数や対応する作業員数や集品ルート等のシステム構成全体を変更することなく、ピッキング作業の効率化と設備の有効活用を図ることができ、コスト増を抑制しつつ迅速化や省人化や省力化が可能になる。
【0102】
ここで、図6のマルチアイテム商品組合せ設定(12C-13)の設定の仕方(考え方、根拠等)について検討する。
【0103】
一つの例としては、例えば頻度分類が低頻度に該当する商品を1種以上含むようなマルチ(複種)アイテムとする。マルチアイテムに含まれる商品の全てが低頻度該当の商品であることが好ましい。この場合、他の頻度分類(高頻度や中頻度等)のシングル(単種)アイテム対応の間口と明確に区別して使用できるとともに、その低頻度の商品による間口の占有がなくなるため、ピッキング作業の効率化と設備の有効活用を図ることができ、コスト増を抑制しつつ迅速化や省人化や省力化が可能になる。
【0104】
同様の例として、例えば使用物量の少ない商品を1種以上含むようなマルチアイテムとする。この場合は、他の分類(使用物量が中程度以上)のシングル(単種)アイテム対応の間口と明確に区別して使用でき、その使用物量の少ない商品による間口の占有がなくなるため、ピッキング作業の効率化と設備の有効活用を図ることができ、コスト増を抑制しつつ迅速化や省人化や省力化が可能になる。
【0105】
さらに同様の例として、例えば注文物量の少ない客先からの商品を1種以上含むようなマルチアイテムとする。この場合も、他の分類(中口から大口の客先向け)のシングル(単種)アイテム対応の間口と明確に区別して使用でき、その注文物量の少ない客先からの商品による間口の占有がなくなるため、ピッキング作業の効率化と設備の有効活用を図ることができ、コスト増を抑制しつつ迅速化や省人化や省力化が可能になる。
【0106】
[3.その他の適用・応用例]
図9は、図8のピッキングラックの複種アイテム用の間口側(図示下側)からフローラックとして奥側(図示上側)に向かって順次供給(補充)された一例のアイテムの様子を簡略化して示す説明図である。
【0107】
同図は、図7(b)の例に対応していて、商品(シングルアイテム)U、商品(シングルアイテム)V、商品(シングルアイテム)Wの組合せのケースで補充されるマルチアイテムUと、商品(シングルアイテム)X、商品(シングルアイテム)Y、商品(シングルアイテム)Zの組合せでケース補充されるマルチアイテムXと、の2種のマルチアイテムが供給(補充)される(注目の間口以外の内容は省略:以降の図でも同様)。
【0108】
なお、上述の例では、複数(図示では2)のピッキングゾーンZ1、Z2の複種アイテム用の間口には、同じ図7(b)のマルチアイテムUとマルチアイテムXとを、同様に供給・補充した例を説明したが、これらは、ピッキングゾーン毎に別のマルチアイテムとしても良い。
【0109】
図10は、図9と同様の説明図ではあるが、ピッキングゾーン毎に別のマルチアイテムを担当する例のアイテムの様子を簡略化して示す説明図である。
【0110】
図10の例では、例えばピッキングゾーンZ1では、図9で上述と同様に、商品U、商品V、商品Wの組合せのマルチアイテムUと、商品X、商品Y、商品Zの組合せのマルチアイテムXを供給するが、ピッキングゾーンZ2では、例えば商品(シングルアイテム)Q、商品(シングルアイテム)I、および、商品(シングルアイテム)Mの組合せのマルチアイテムQと、商品(シングルアイテム)R、商品(シングルアイテム)S、および、商品(シングルアイテム)Tの組合せのマルチアイテムRを供給する。
【0111】
また、マルチ(複種)アイテムについて、ピッキングゾーン毎に別であっても、一部は重複していても良い。
【0112】
図11は、図9と同様の説明図ではあるが、ピッキングゾーン毎に別の、ただし一部は重複するマルチアイテムを担当する例のアイテムの様子を簡略化して示す説明図である。
【0113】
図11の例では、例えば複数(図示では2)のピッキングゾーンZ1、Z2に共通して、図9で上述の、商品U、商品V、商品Wの組合せのマルチアイテムUと、商品X、商品Y、商品Zの組合せのマルチアイテムXを供給するが、異なるアイテムとして、ピッキングゾーンZ1では、例えば商品(シングルアイテム)Q、商品(シングルアイテム)I、商品(シングルアイテム)Mの組合せのマルチアイテムQを供給し、ピッキングゾーンZ2では、商品(シングルアイテム)R、商品(シングルアイテム)S、商品(シングルアイテム)Tの組合せのマルチアイテムRを供給する。
【0114】
なお、上述の各例では、図6のマルチアイテム商品組合せ設定(12C-13)の仕方(考え方、根拠等)について、商品の頻度分類(高頻度、中頻度、低頻度等)や、使用物量や、客先毎の注文物量などに基づいて設定した。これらはいずれも、結果的にあまり集品対象とならない商品を適宜集めて、マルチ(複種)アイテムとしたものなので、商品の組合せの種類自体には、さほど重要な意味を持たない。すなわち、同等の頻度、使用物量、注文物量の2種類の商品であれば、その2種類を相互に交換しても、全体の作業効率に大きな影響を与えない。
【0115】
そこで、以下では、マルチアイテムを構成する商品の組合せを、より積極的に利用したマルチアイテム商品組合せ設定の仕方(考え方、根拠等)について、検討する。
【0116】
その例として、例えば任意の1のピッキングオーダ内に同時に出現する商品の組合せに着目する。すなわち、同じオーダ内で集品箱に集められる組合せの商品をマルチアイテムとして設定すれば、そのマルチアイテムは、いわばピッキングオーダで指示される集品作業の一部を予め実行したことと同等になる。以下の例では、この着想に基づいたマルチアイテム商品組合せ設定を利用する。
【0117】
図12は、図6のマルチアイテム商品組合せ設定(12C-13)の代わりに、オーダ分析~マルチアイテム商品組合せ設定(12C-13S)を行う場合の、図6と同様にアイテム保管制御で利用される内部モジュールの「マルチアイテム事前準備・保管」のフローチャートである。すなわち、マルチアイテム商品の組合せの設定に、オーダ分析の結果を利用する例を示す。
【0118】
図12に示すように、この場合の「マルチアイテム事前準備・保管」では、マルチアイテム商品組合せ設定に先んじて、オーダ分析を行い(オーダ分析工程)、同じオーダ内で集品箱に集められる組合せの商品をマルチアイテムとして設定する(12C-13S)。これにより、次のマルチアイテム向け集品~保管(12C-14)では、上述のマルチアイテム商品組合せ設定(12C-13S)の設定に従って、アイテム保管部12(ケース自動倉庫設備に対応)からケースにピッキング(集品)して、マルチアイテムとして改めてアイテム保管部12に保管し(12C-14)、「マルチアイテム事前準備・保管」のモジュール(12C-10S)での必要な全ての」処理を終了する(12C-15)。
【0119】
図13は、図12の「マルチアイテム事前準備・保管」のモジュールを実行した場合の一例についての、図9と同様の説明図である。
【0120】
図13では、ピッキングオーダの発行順に、オーダ1、2、3の集品を実行した場合の、オーダ1で集品される商品(シングルアイテム)のうち、他のシングルアイテム用の間口から集品(取出し)不可の商品(シングルアイテム)を、マルチアイテム向け集品~保管(12C-14)において、アイテム保管部12(ケース自動倉庫設備に対応)からケースにピッキング(集品)して、改めてアイテム保管部12に保管し、そのマルチ(複種)アイテムを、アイテム1として図示する。アイテム1は、丸1として図示する。(他のアイテム番号も以下同。)
【0121】
このマルチアイテム1の組合せが、後続の他のオーダでも頻繁に出現するのであれば、このマルチアイテム1の準備は、間口の有効利用という目的達成以外に、ピッキング作業全体の効率化にも寄与する。
【0122】
同様に、オーダ2のマルチアイテム2や、オーダ3のマルチアイテム3なども頻繁に出現する組合せのマルチアイテムであれば、図13に図示のように、間口に並べて準備することにより、システム構成全体を変更することなく、ピッキング作業の効率化と設備の有効活用を図ることができ、コスト増を抑制しつつ迅速化や省人化や省力化が可能になる。
【0123】
図14は、別の例についての、図13と同様の説明図であり、図12の「マルチアイテム事前準備・保管」のモジュールを実行した場合の、図13とは別の例についての、図9と同様の説明図である。
【0124】
図14に示すように、例えばオーダ3のマルチアイテム3や、オーダ4のマルチアイテム4が、上述の図13の例のようには頻繁に出現しないものの、例えばその半分程度(中程度)の頻度で出現するマルチアイテムであった場合の例である。この例に示すように、全ての、例えば複数(図示では2)のピッキングゾーンZ1、Z2に共通して用意するのではなく、例えば半数のピッキングゾーンに、例えば複数(図示では2)のピッキングゾーンZ1、Z2のいずれかのみに、準備(供給)することもできる。
【0125】
図15は、さらに別の例についての、図13と同様の説明図であり、図12の「マルチアイテム事前準備・保管」のモジュールを実行した場合の、図13図14とはさらに別の例についての、図9と同様の説明図である。
【0126】
図15に示すように、例えばオーダ3のマルチアイテム3や、オーダ4のマルチアイテム4が、ほぼ単発でのみ出現するようなマルチアイテムであった場合の例である。この場合の、オーダ3対応のマルチアイテム3や、オーダ4対応のマルチアイテム4を、マルチアイテムの1種として、オーダ対応アイテムとし、オーダ順に取出可能に並べて、準備(供給)することもできる。
【0127】
例えば図示の場合、ピッキングゾーンZ1では、奇数番のオーダ3のマルチアイテム3、オーダ5のマルチアイテム5、オーダ7のマルチアイテム7、オーダ9のマルチアイテム9、・・・、例えばオーダ19のマルチアイテム19を、オーダ順に取出可能に並べて、マルチ(複種)アイテム用の間口の1つに割り当てて、準備(供給)できる。
【0128】
同様に、ピッキングゾーンZ2では、偶数番のオーダ4のマルチアイテム4、オーダ6のマルチアイテム6、オーダ8のマルチアイテム8、オーダ10のマルチアイテム10、・・・、例えばオーダ20のマルチアイテム20を、オーダ順に取出可能に並べて、マルチ(複種)アイテム用の間口の1つに割り当てて、準備(供給)できる。
【0129】
上述のように、ほぼ単発でのみ出現するような組合せであったとしても、マルチ(複種)アイテムの一種として、事前に準備(供給)できる。この場合、オーダ順、すなわち取出し順に並べて準備するので、集品作業の際の取出しにも支障が発生しない。これにより、システム構成全体を変更することなく、ピッキング作業の効率化と設備の有効活用を図ることができ、コスト増を抑制しつつ迅速化や省人化や省力化が可能になる。
【0130】
図16は、上述してきた多種多様なマルチ(複種)アイテムの例について、イメージを総括した説明図である。
【0131】
上述のように、本発明の各態様に係る物流システムおよび各種制御では、商品の個別種類のみのアイテムであるシングル(単種)アイテムと同様に、商品を複数種類集めたマルチ(複種)アイテムを1種類のアイテムとして、ピッキングラックに用意する。この場合、マルチ(複種)アイテムとシングル(単種)アイテムとの種類数の合計を各ピッキングラックの間口数以下とすることにより、集品する商品毎の集品回数の相対比率や商品の品種数が変化しても、ピッキングゾーン数や対応する作業員数や集品ルート等のシステム構成全体を変更することなく、ピッキング作業の効率化と設備の有効活用を図ることができ、コスト増を抑制しつつ迅速化や省人化や省力化が可能になる。
【0132】
本発明の概念は、主に、いくつかの実施形態を参照して説明してきた。しかしながら、当業者によって容易に理解されるように、上述のもの以外の実施形態は、添付の特許請求の範囲によって定義されるように、本発明の概念の範囲内で等しく可能である。
【0133】
たとえば、本発明の概念を、本発明の概念に係る物流システムを制御するコンピュータに、上述した各機能を果たさせるプログラムとして実現することができ、また、同プログラムが記憶/記録された記憶媒体として実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明の各態様に係る物流システムおよび各種制御は、入荷・集品・出荷・搬送の対象となるアイテムをデータベース管理するシステムについてのものであり、その意味で自然法則を利用しており、プログラム制御でハードウェアを作動させる点で工業的価値を有し、また、搬送の行為(役務)やアイテム自体は商取引の対象である点で経済的価値を有しており、これらの技術分野において、幅広い産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0135】
1 物流システム
10 入荷部
10A 入荷(入庫)エリア
10C 入荷制御(工程)
11 入荷作業部
11C 入荷作業制御(工程)
12 アイテム保管部
12C アイテム保管制御(工程)
13 アイテム補充部
13C アイテム補充制御(工程)
20 集品部
20A ピッキングエリア
20C 集品制御(工程)
21 集品準備部
21C 集品準備制御(工程)
22 集品作業部
22C 集品作業制御(工程)
23 搬送走行部
23C 搬送走行制御(工程)
30 出荷部
30A 出荷(出庫)エリア
30C 出荷制御(工程)
31 出荷準備部
31C 出荷準備制御(工程)
32 出荷品保管部
32C 出荷品保管制御(工程)
33 出荷作業部
33C 出荷作業制御(工程)
40A 出荷準備エリア
50A 出荷待ちエリア
60 搬送ロボット走行エリア
200、201、202 ピッキング(フロー)ラック
210 ピッキング作業エリア
310 出荷バース
601 パーキングエリア
B 集品箱
C 制御部
M 作業員
R 搬送ロボット(AMR)
T 作業台(作業テーブル)
Z、Z1、Z2 ピッキングゾーン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16