(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052493
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】物流システム、アイテム供給制御方法、物流システム制御プログラム、及び、記憶媒体
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
B65G1/137 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】28
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058505
(22)【出願日】2023-03-31
(31)【優先権主張番号】P 2022157887
(32)【優先日】2022-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000110011
【氏名又は名称】トーヨーカネツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003454
【氏名又は名称】弁理士法人友野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】頓所 知己
(72)【発明者】
【氏名】恩幣 直輝
【テーマコード(参考)】
3F522
【Fターム(参考)】
3F522AA02
3F522BB01
3F522BB06
3F522BB26
3F522BB35
3F522CC01
3F522DD03
3F522DD04
3F522DD32
3F522GG03
3F522GG25
3F522JJ04
3F522LL15
3F522LL57
3F522LL62
(57)【要約】
【課題】
本発明の目的は、ピッキング(集品)の開始から終了までの滞留時間の経過による品質低下が問題となる商品を集品対象として含む場合に、その品質低下を抑制可能にすることである。
【解決手段】
集品の作業員が前記集品の対象とする商品の前記集品を行うための1以上のピッキングゾーンを備え、
前記ピッキングゾーンは、前記商品をそれぞれ1種類以上含むアイテムを単位として、複数種類の前記アイテムの種類毎に所定の間口から、前記作業員が前記アイテムのそれぞれを取出可能なピッキングラックを有し、
前記アイテムのそれぞれが前記対応する間口に供給されてから集品されるまでの時間を滞留時間、およびその制限時間を滞留制限時間、と定義したときに、前記複数種類のアイテムが、前記滞留制限時間が規定された種類である滞留監視アイテムを1種以上含む、
物流システム。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集品の作業員が前記集品の対象とする商品の前記集品を行うための1以上のピッキングゾーンを備え、
前記ピッキングゾーンは、前記商品をそれぞれ1種類以上含むアイテムを単位として、複数種類の前記アイテムの種類毎に所定の間口から、前記作業員が前記アイテムのそれぞれを取出可能なピッキングラックを有し、
前記アイテムのそれぞれが前記対応する間口に供給されてから集品されるまでの時間を滞留時間、およびその制限時間を滞留制限時間、と定義したときに、前記複数種類のアイテムが、前記滞留制限時間が規定された種類である滞留監視アイテムを1種以上含む、
物流システム。
【請求項2】
前記滞留監視アイテムは、前記滞留制限時間内に集品終了となる規定数量に分割して供給される、請求項1に記載の物流システム。
【請求項3】
前記滞留監視アイテムは、所定期間内に要する全数量を前記規定数量で除算した回数だけ供給される、請求項2に記載の物流システム。
【請求項4】
2回目以降に供給される前記規定数量の前記滞留監視アイテムは、直前の回の供給タイミングから前記滞留制限時間分を経過する直前の供給タイミングで供給される、請求項3に記載の物流システム。
【請求項5】
前記滞留監視アイテムは、前記対応する間口に供給されてから前記滞留制限時間内に集品終了となる供給タイミングで必要数量のみ供給される、請求項1に記載の物流システム。
【請求項6】
前記滞留監視アイテムを集品対象とする集品オーダを滞留監視オーダと定義したときに、
前記供給タイミングは、所定の集品オーダのグループ内の前記滞留監視オーダを分析した結果に基づいて設定される、請求項5に記載の物流システム。
【請求項7】
前記必要数量は、前記供給タイミングに対応する前記滞留監視オーダによる集品に必要な数量に基づいて設定される、請求項6に記載の物流システム。
【請求項8】
集品の対象となる入荷品を複数種類入荷する入荷部と、
前記ピッキング作業により前記集品を行うための集品部と、
配送のために出荷対象となる出荷品を出荷する出荷部と、
前記入荷部、前記集品部および前記出荷部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記複数種類のアイテムに前記滞留監視アイテムを1種以上含ませるように、前記入荷部の制御を実行する、
請求項1に記載の物流システム。
【請求項9】
前記入荷部は、
入荷品を入荷する作業を行う入荷作業部と、
入荷した入荷品をそれぞれ1種類以上含むアイテムを複数種類保管するアイテム保管部と、
集品部での集品に必要になる複数種類のアイテムを、集品部に補充するアイテム補充部と、
を有し、
制御部は、前記入荷部を制御する入荷制御工程を実行し、
前記入荷制御工程では、
前記入荷作業部を制御する入荷作業制御工程と、
前記アイテム保管部を制御するアイテム保管制御工程と、
前記アイテム補充部を制御するアイテム補充制御工程と、
を実行する、請求項8に記載の物流システム。
【請求項10】
前記アイテム保管制御工程では、保管時滞留監視アイテム分割保管工程を実行し、
前記保管時滞留監視アイテム分割保管工程では、
前記アイテム保管部内の前記滞留監視アイテムの有無を判定する保管時滞留監視アイテム有無判定工程と、
前記滞留監視アイテムが有りと判定された場合に、その滞留監視アイテムの数量を分割するときの分割数と各分割における数量とを設定する保管時分割数量設定工程と、
設定された前記分割数と前記数量に基づいて、前記滞留監視アイテムの数量を分割して、分割された数量の複数の前記滞留監視アイテムのそれぞれを、前記アイテム保管部内に個別に保管する保管時分割個別保管工程と、
を実行する、請求項9に記載の物流システム。
【請求項11】
前記保管時分割数量設定工程では、
前記滞留監視アイテムについての所定期間内の集品に必要になる全数量を算出する全数量算出工程と、
前記所定期間と前記滞留制限時間とに基づいて、前記全数量を分割する分割数と、分割したときの各回に供給を要する供給数量を設定する分割供給数量設定工程と、
設定された前記分割数と前記供給数量に基づいて、分割された各回分として前記供給数量分の前記滞留監視アイテムを供給する供給タイミングを設定する保管時供給タイミング設定工程と、
を実行する、請求項10に記載の物流システム。
【請求項12】
前記アイテム補充制御工程では、補充時滞留監視アイテム分割保管工程を実行し、
前記補充時滞留監視アイテム分割保管工程では、
前記アイテム保管部内の前記滞留監視アイテムの有無を判定する補充時滞留監視アイテム有無判定工程と、
前記滞留監視アイテムが有りと判定された場合に、その滞留監視アイテムの数量を分割するときの分割数と各分割における数量とを設定する補充時分割数量設定工程と、
設定された前記分割数と前記数量に基づいて、前記滞留監視アイテムの数量を分割して、分割された数量の複数の前記滞留監視アイテムのそれぞれを、前記アイテム保管部内に個別に保管する補充時分割個別保管工程と、
を実行する、請求項9に記載の物流システム。
【請求項13】
前記補充時分割数量設定工程では、
前記滞留監視アイテムを集品対象とする集品オーダを滞留監視オーダと定義したときに、所定の集品オーダのグループ内の前記滞留監視オーダを分析する滞留監視オーダ分析工程と、
前記滞留監視オーダの分析結果に基づいて、前記滞留監視オーダに応じて供給する前記滞留監視アイテムの供給タイミングを設定するオーダ毎供給タイミング設定工程と、
前記滞留監視オーダの分析結果に基づいて、前記滞留監視オーダに応じて供給する前記滞留監視アイテムの数量を設定するオーダ毎数量設定工程と、
を実行する、請求項12に記載の物流システム。
【請求項14】
集品の対象となる入荷品を複数種類入荷するとともに、入荷した入荷品をそれぞれ1種類以上含むアイテムを複数種類保管するアイテム保管部を有する入荷部と、
前記入荷部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記入荷部を制御して、前記アイテム保管部を制御するアイテム保管制御工程として、
前記アイテム保管部内の前記滞留監視アイテムの有無を判定する保管時滞留監視アイテム有無判定工程と、
前記滞留監視アイテムが有りと判定された場合に、その滞留監視アイテムの数量を分割するときの分割数と各分割における数量とを設定する保管時分割数量設定工程と、
設定された前記分割数と前記数量に基づいて、前記滞留監視アイテムの数量を分割して、分割された数量の複数の前記滞留監視アイテムのそれぞれを、前記アイテム保管部内に個別に保管する保管時分割個別保管工程と、
を実行する、請求項1に記載の物流システム。
【請求項15】
前記保管時分割数量設定工程では、
前記滞留監視アイテムについての所定期間内の集品に必要になる全数量を算出する全数量算出工程と、
前記所定期間と前記滞留制限時間とに基づいて、前記全数量を分割する分割数と、分割したときの各回に供給を要する供給数量を設定する分割供給数量設定工程と、
設定された前記分割数と前記供給数量に基づいて、分割された各回分として前記供給数量分の前記滞留監視アイテムを供給する供給タイミングを設定する保管時供給タイミング設定工程と、
を実行する、請求項14に記載の物流システム。
【請求項16】
集品の対象となる入荷品を複数種類入荷するとともに、集品部での集品に必要になる複数種類のアイテムを、前記集品部に補充するアイテム補充部を有する入荷部と、
前記入荷部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記入荷部を制御して、前記アイテム補充部を制御するアイテム補充制御工程として、
前記アイテム保管部内の前記滞留監視アイテムの有無を判定する補充時滞留監視アイテム有無判定工程と、
前記滞留監視アイテムが有りと判定された場合に、その滞留監視アイテムの数量を分割するときの分割数と各分割における数量とを設定する補充時分割数量設定工程と、
設定された前記分割数と前記数量に基づいて、前記滞留監視アイテムの数量を分割して、分割された数量の複数の前記滞留監視アイテムのそれぞれを、前記アイテム保管部内に個別に保管する補充時分割個別保管工程と、
を実行する、請求項1に記載の物流システム。
【請求項17】
前記補充時分割数量設定工程では、
前記滞留監視アイテムを集品対象とする集品オーダを滞留監視オーダと定義したときに、所定の集品オーダのグループ内の前記滞留監視オーダを分析する滞留監視オーダ分析工程と、
前記滞留監視オーダの分析結果に基づいて、前記滞留監視オーダに応じて供給する前記滞留監視アイテムの供給タイミングを設定するオーダ毎供給タイミング設定工程と、
前記滞留監視オーダの分析結果に基づいて、前記滞留監視オーダに応じて供給する前記滞留監視アイテムの数量を設定するオーダ毎数量設定工程と、
を実行する、請求項16に記載の物流システム。
【請求項18】
集品の対象となる入荷品を複数種類入荷するとともに、入荷した入荷品をそれぞれ1種類以上含むアイテムを複数種類保管するアイテム保管部を有する入荷部と、
前記入荷部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記入荷部を制御して、前記アイテム保管部を制御するアイテム保管制御工程として、
前記アイテム保管部内の前記滞留監視アイテムの有無を判定する保管時滞留監視アイテム有無判定工程と、
前記滞留監視アイテムが有りと判定された場合に、その滞留監視アイテムの数量を分割するときの分割数と各分割における数量とを設定する保管時分割数量設定工程と、
設定された前記分割数と前記数量に基づいて、前記滞留監視アイテムの数量を分割して、分割された数量の複数の前記滞留監視アイテムのそれぞれを、前記アイテム保管部内に個別に保管する保管時分割個別保管工程と、
を実行し、
前記保管時分割数量設定工程では、
前記滞留監視アイテムについての所定期間内の集品に必要になる全数量を算出する全数量算出工程と、
前記所定期間と前記滞留制限時間とに基づいて、前記全数量を分割する分割数と、分割したときの各回に供給を要する供給数量を設定する分割供給数量設定工程と、
設定された前記分割数と前記供給数量に基づいて、分割された各回分として前記供給数量分の前記滞留監視アイテムを供給する供給タイミングを設定する保管時供給タイミング設定工程と、
を実行する、請求項1に記載の物流システム。
【請求項19】
集品の対象となる入荷品を複数種類入荷するとともに、集品部での集品に必要になる複数種類のアイテムを、前記集品部に補充するアイテム補充部を有する入荷部と、
前記入荷部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記入荷部を制御して、前記アイテム補充部を制御するアイテム補充制御工程として、
前記アイテム保管部内の前記滞留監視アイテムの有無を判定する補充時滞留監視アイテム有無判定工程と、
前記滞留監視アイテムが有りと判定された場合に、その滞留監視アイテムの数量を分割するときの分割数と各分割における数量とを設定する補充時分割数量設定工程と、
設定された前記分割数と前記数量に基づいて、前記滞留監視アイテムの数量を分割して、分割された数量の複数の前記滞留監視アイテムのそれぞれを、前記アイテム保管部内に個別に保管する補充時分割個別保管工程と、
を実行し、
前記補充時分割数量設定工程では、
前記滞留監視アイテムを集品対象とする集品オーダを滞留監視オーダと定義したときに、所定の集品オーダのグループ内の前記滞留監視オーダを分析する滞留監視オーダ分析工程と、
前記滞留監視オーダの分析結果に基づいて、前記滞留監視オーダに応じて供給する前記滞留監視アイテムの供給タイミングを設定するオーダ毎供給タイミング設定工程と、
前記滞留監視オーダの分析結果に基づいて、前記滞留監視オーダに応じて供給する前記滞留監視アイテムの数量を設定するオーダ毎数量設定工程と、
を実行する、請求項1に記載の物流システム。
【請求項20】
集品の作業員が前記集品の対象とする商品の前記集品を行うための1以上のピッキングゾーンを備え、
前記ピッキングゾーンは、前記商品をそれぞれ1種類以上含むアイテムを単位として、複数種類の前記アイテムの種類毎に所定の間口から、前記作業員が前記アイテムのそれぞれを取出可能なピッキングラックを有する、
物流システムにおいて、
前記アイテムのそれぞれが前記対応する間口に供給されてから集品されるまでの時間を滞留時間、およびその制限時間を滞留制限時間、と定義したときに、前記ピッキングラックに対して、前記複数種類のアイテムが、前記滞留制限時間が規定された種類である滞留監視アイテムを1種以上含むように、前記複数種類のアイテムの供給を制御するアイテム供給制御方法。
【請求項21】
前記滞留監視アイテムは、前記滞留制限時間内に集品終了となる規定数量に分割して供給される、請求項20に記載のアイテム供給制御方法。
【請求項22】
前記滞留監視アイテムは、所定期間内に要する全数量を前記規定数量で除算した回数だけ供給される、請求項21に記載のアイテム供給制御方法。
【請求項23】
2回目以降に供給される前記規定数量の前記滞留監視アイテムは、直前の回の供給タイミングから前記滞留制限時間分を経過する前の供給タイミングで供給される、請求項22に記載のアイテム供給制御方法。
【請求項24】
前記滞留監視アイテムは、前記対応する間口に供給されてから前記滞留制限時間内に集品終了となる供給タイミングで必要数量のみ供給される、請求項20に記載のアイテム供給制御方法。
【請求項25】
前記滞留監視アイテムを集品対象とする集品オーダを滞留監視オーダと定義したときに、
前記供給タイミングは、所定の集品オーダのグループ内の前記滞留監視オーダを分析した結果に基づいて設定される、請求項24に記載のアイテム供給制御方法。
【請求項26】
前記必要数量は、前記供給タイミングに対応する前記滞留監視オーダによる集品に必要な数量に基づいて設定される、請求項25に記載のアイテム供給制御方法。
【請求項27】
集品の作業員が前記集品の対象とする商品の前記集品を行うための1以上のピッキングゾーンを備え、
前記ピッキングゾーンは、前記商品をそれぞれ1種類以上含むアイテムを単位として、複数種類の前記アイテムの種類毎に所定の間口から、前記作業員が前記アイテムのそれぞれを取出可能なピッキングラックを有し、
前記アイテムのそれぞれが前記対応する間口に供給されてから集品されるまでの時間を滞留時間、およびその制限時間を滞留制限時間、と定義したときに、前記複数種類のアイテムが、前記滞留制限時間が規定された種類である滞留監視アイテムを1種以上含む、物流システムにおいて、
前記物流システムを制御するコンピュータを、
前記アイテムのそれぞれが前記対応する間口に供給されてから集品されるまでの時間を滞留時間、およびその制限時間を滞留制限時間、と定義したときに、前記ピッキングラックに対して、前記複数種類のアイテムが、前記滞留制限時間が規定された種類である滞留監視アイテムを1種以上含むように、前記複数種類のアイテムの供給を制御する制御部
として機能させることを特徴とする物流システム制御プログラム。
【請求項28】
請求項27に記載の物流システム制御プログラムを、前記物流システムにより利用可能に記憶する記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物流システム、アイテム供給制御方法、物流システム制御プログラム、及び、記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、世帯人数の減少等に伴い、注文数の減少及びオーダ傾向の変化が起こっている。例えば、単身世帯の増加等に伴うピッキング(集品)1箱当たりの商品点数の減少や品種の多様化により、各商品の集品作業でのヒット率(頻度:集品商品全体の集品回数に対する同一商品の集品回数の比率)が低下し、集品生産性を悪化させ、既存のシステムの限界が生じている。なお、詳細は後述するが、以下では、集品対象の商品を1種以上含む集品対象の単位を適宜「アイテム」と称する。
【0003】
一方、物流ビジネス全体としては、個人向けの宅配ビジネスの需要がますます増加し、物流各社は物流センターの増加等で需要増大に対応しようとしているが、人口減少や希望職種の偏移等により、ピッキング作業員等の人員確保は困難な状況となっている。
【0004】
この種の課題に対し、各商品の集品作業でのヒット率(各商品の頻度)を考慮して、それに適合した構成を、例えばピッキングゾーンと担当する作業員等の構成を、各商品の頻度分類(集品・出荷頻度の分類:例えば、高頻度、中頻度、低頻度等)に応じた数だけ揃え、各商品の頻度分類に応じて集品ルートを切り替えて、各商品の頻度分類とピッキングゾーン数(すなわち作業員数)とをバランス良く適合させることにより、負荷分散や省人化や省力化を推進可能なシステムが提案されている(特許文献1、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-099021号公報
【特許文献2】特開2005-247554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、集品対象の商品の中には、温度や湿度等の周囲環境によって、時間経過に従って、品質が低下する商品がある。例えばアイスクリーム、魚卵、豆腐、納豆、ヨーグルトなどのいわゆる要冷蔵品や要冷凍品等が該当する。これらの商品の場合、基本的には各商品の頻度分類に関わらず、集品開始から集品終了までの時間を個別に監視しておく必要がある。低頻度であれば、なおさら滞留する可能性が高くなるので、より注意深い監視が必要となる。この点、上述した各商品の頻度分類にのみ着目したシステムでは、管理が不十分にならざるを得ない。
【0007】
本発明の目的は、ピッキング(集品)の開始から終了までの滞留時間の経過による品質低下が問題となる商品を集品対象として含む場合に、その品質低下を抑制可能にする物流システム、アイテム供給制御方法、プログラムおよび記憶媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1の態様に係る物流システムは、集品の作業員が前記集品の対象とする商品の前記集品を行うための1以上のピッキングゾーンを備え、前記ピッキングゾーンは、前記商品をそれぞれ1種類以上含むアイテムを単位として、複数種類の前記アイテムの種類毎に所定の間口から、前記作業員が前記アイテムのそれぞれを取出可能なピッキングラックを有し、前記アイテムのそれぞれが前記対応する間口に供給されてから集品されるまでの時間を滞留時間、およびその制限時間を滞留制限時間、と定義したときに、前記複数種類のアイテムが、前記滞留制限時間が規定された種類である滞留監視アイテムを1種以上含むことを特徴とする。
【0009】
また、この態様のアイテム供給制御方法は、集品の作業員が前記集品の対象とする商品の前記集品を行うための1以上のピッキングゾーンを備え、前記ピッキングゾーンは、前記商品をそれぞれ1種類以上含むアイテムを単位として、複数種類の前記アイテムの種類毎に所定の間口から、前記作業員が前記アイテムのそれぞれを取出可能なピッキングラックを有する、物流システムにおいて、前記アイテムのそれぞれが前記対応する間口に供給されてから集品されるまでの時間を滞留時間、およびその制限時間を滞留制限時間、と定義したときに、前記ピッキングラックに対して、前記複数種類のアイテムが、前記滞留制限時間が規定された種類である滞留監視アイテムを1種以上含むように、前記複数種類のアイテムの供給を制御する。
【0010】
また、この態様のプログラムは、上述の物流システムに、上述のアイテム供給制御方法を実行させる。
【0011】
また、この態様のプログラム記憶媒体は、上述のプログラムを、上述の物流システムにより利用可能に記憶する。
【0012】
この態様の物流システム若しくはアイテム供給制御方法では、またはこの態様のプログラム若しくはプログラム記憶媒体によれば、ピッキング(集品)の開始から終了までの滞留時間の経過による品質低下が問題となる商品を集品対象として含む場合に、それを含むアイテムを滞留監視アイテムとして、対応する所定の間口に供給する。このため、滞留時間が問題とならない他のアイテムと区別して管理可能となり、その品質低下の抑制が可能になる。
【0013】
第2の態様に係る物流システムとして、第1の態様において、前記滞留監視アイテムは、前記滞留制限時間内に集品終了となる規定数量に分割して供給されるようにしてもよい。
【0014】
また、好ましい態様のアイテム供給制御方法によれば、前記滞留監視アイテムは、前記滞留制限時間内に集品終了となる規定数量に分割して供給される。
【0015】
この態様の物流システム若しくはアイテム供給制御方法では、滞留監視アイテムは、滞留制限時間内に集品終了となる規定数量に分割して供給されるので、その品質低下の抑制が可能になる。
【0016】
第3の態様に係る物流システムとして、第2の態様において、好ましい態様の物流システムによれば、前記滞留監視アイテムは、所定期間内に要する全数量を前記規定数量で除算した回数だけ供給されるようにしてもよい。
【0017】
また、好ましい態様のアイテム供給制御方法によれば、前記滞留監視アイテムは、所定期間内に要する全数量を前記規定数量で除算した回数だけ供給される。
【0018】
この態様の物流システム若しくはアイテム供給制御方法では、滞留監視アイテムは、所定期間内に要する全数量を規定数量で除算した回数だけ供給されるので、全体として必要とする全数量を供給できる。
【0019】
第4の態様に係る物流システムとして、第3の態様において、2回目以降に供給される前記規定数量の前記滞留監視アイテムは、直前の回の供給タイミングから前記滞留制限時間分を経過する前の供給タイミングで供給されるようにしてもよい。
【0020】
また、好ましい態様のアイテム供給制御方法によれば、2回目以降に供給される前記規定数量の前記滞留監視アイテムは、直前の回の供給タイミングから前記滞留制限時間分を経過する前の供給タイミングで供給される。
【0021】
この態様の物流システム若しくはアイテム供給制御方法では、2回目以降に供給される規定数量の滞留監視アイテムは、直前の回の供給タイミングから滞留制限時間分を経過する前の供給タイミングで供給されるので、必要分の滞留監視アイテムの供給が止まることなく、且つ、余分な滞留時間により品質低下を生じることなく、安定して滞留監視アイテムを供給できる。
【0022】
第5の態様に係る物流システムとして、第1の態様において、前記滞留監視アイテムは、前記対応する間口に供給されてから前記滞留制限時間内に集品終了となる供給タイミングで必要数量のみ供給されるようにしてもよい。
【0023】
また、好ましい態様のアイテム供給制御方法によれば、前記滞留監視アイテムは、前記対応する間口に供給されてから前記滞留制限時間内に集品終了となる供給タイミングで必要数量のみ供給される。
【0024】
この態様の物流システム若しくはアイテム供給制御方法では、滞留監視アイテムは、対応する間口に供給されてから滞留制限時間内に集品終了となる供給タイミングで必要数量のみ供給されるので、必要分の滞留監視アイテムの供給が止まることなく、且つ、余分な滞留時間により品質低下を生じることなく、安定して滞留監視アイテムを供給できる。
【0025】
第6の態様に係る物流システムとして、第5の態様において、前記滞留監視アイテムを集品対象とする集品オーダを滞留監視オーダと定義したときに、前記供給タイミングは、所定の集品オーダのグループ内の前記滞留監視オーダを分析した結果に基づいて設定されるようにしてもよい。
【0026】
また、好ましい態様のアイテム供給制御方法によれば、前記滞留監視アイテムを集品対象とする集品オーダを滞留監視オーダと定義したときに、前記供給タイミングは、所定の集品オーダのグループ内の前記滞留監視オーダを分析した結果に基づいて設定される。
【0027】
この態様の物流システム若しくはアイテム供給制御方法では、滞留監視アイテムを集品対象とする集品オーダを滞留監視オーダと定義したときに、供給タイミングは、所定の集品オーダのグループ内の滞留監視オーダを分析した結果に基づいて設定されるので、余分な滞留時間により品質低下を生じることなく、滞留監視アイテムを集品する滞留監視オーダに応じて必要とする供給タイミングで、必要分の滞留監視アイテムを、安定して供給できる。
【0028】
なお、ここでの所定の集品オーダのグループとは、例えば配送先として関連する各単位の集品オーダのグループであり、例えば同じ方面の配送先への配送品を担当する配送トラックに一緒に搭載される配送品の配送先の単位としては、各個人宅向けの配送品を集めた個人宅単位や、複数の個人宅で一緒に注文等を行う複数宅グループ単位や、個人宅向けや複数宅向けを一緒にトラック等に積載するためのいわゆるかご車(カーゴ)単位や、同じ配送トラックで配送される複数の配送先のうちの各配送センタなどの店舗単位や、あるいはそれらをすべて含む配送トラック単位等が考えられる。
【0029】
第7の態様に係る物流システムとして、第6の態様において、前記必要数量は、前記供給タイミングに対応する前記滞留監視オーダによる集品に必要な数量に基づいて設定されるようにしてもよい。
【0030】
また、好ましい態様のアイテム供給制御方法によれば、前記必要数量は、前記供給タイミングに対応する前記滞留監視オーダによる集品に必要な数量に基づいて設定される。
【0031】
この態様の物流システム若しくはアイテム供給制御方法では、必要数量は、供給タイミングに対応する滞留監視オーダによる集品に必要な数量に基づいて設定されるので、滞留監視アイテムを集品する滞留監視オーダに応じて必要とする供給タイミングで、必要分の滞留監視アイテムを、安定して供給できる。
【0032】
第8の態様に係る物流システムとして、第1の態様において、集品の対象となる入荷品を複数種類入荷する入荷部と、ピッキング作業により前記集品を行うための集品部と、配送のために出荷対象となる出荷品を出荷する出荷部と、前記入荷部、前記集品部および前記出荷部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記複数種類のアイテムに前記滞留監視アイテムを1種以上含ませるように、前記入荷部の制御を実行するようにしてもよい。
【0033】
この態様の物流システムでは、入荷部、集品部、出荷部および制御部を備えたうちの、入荷部、集品部および出荷部を制御する制御部が、入荷部を制御して、複数種類のアイテムに滞留監視アイテムを1種以上含ませるようにするので、入荷部から他部へとうまく連携させて制御しやすくなっている。
【0034】
ここで、および以下の説明において、「~部を制御する」とは、「~部をデータベース管理下とする」と言うことを指し、「~部において作業・処理対象となるアイテムのそれぞれについて、そのアイテムのID(以下「アイテムID」)に関連付けて、そのアイテムの各時点での状況を把握して更新し(データベースに記憶して状況に合わせて更新し)、後工程のための参照データとすること」を最小要件とする。ここでの「状況」には、各アイテムがどの工程まで作業・処理対象となったか等の情報が含まれる。この場合、この最小要件を満足すれば、少なくとも「参照データを得る」と言う点において、「自然法則の利用」に該当することになる。
【0035】
すなわち、後工程における制御のための参照データを得ることが最小要件なので、実際の作業・処理対象となるアイテムのそれぞれについて、その作業・処理を例えばプログラム制御により全自動で実施する場合はもちろんのこと、その作業・処理の一部または全部を作業員等の人手で実施したとしても、(自然法則に基づいて)参照データを得てシステム全体が作動するので、システム全体として、「自然法則の利用」に該当することになる。
【0036】
第9の態様に係る物流システムとして、第8の態様において、前記入荷部は、入荷品を入荷する作業を行う入荷作業部と、入荷した入荷品をそれぞれ1種類以上含むアイテムを複数種類保管するアイテム保管部と、集品部での集品に必要になる複数種類のアイテムを、集品部に補充するアイテム補充部と、を有し、制御部は、前記入荷部を制御する入荷制御工程を実行し、前記入荷制御工程では、前記入荷作業部を制御する入荷作業制御工程と、前記アイテム保管部を制御するアイテム保管制御工程と、前記アイテム補充部を制御するアイテム補充制御工程とを実行するようにしてもよい。
【0037】
この態様の物流システムでは、制御部が、入荷部を制御する際に、入荷作業部の制御、アイテム保管部の制御およびアイテム補充部の制御のそれぞれに分けてきめ細かく制御できるので、入荷部の制御を迅速かつ正確に制御しやすくなっている。
【0038】
第10の態様に係る物流システムとして、第9の態様において、前記アイテム保管制御工程では、保管時滞留監視アイテム分割保管工程を実行し、前記保管時滞留監視アイテム分割保管工程では、前記アイテム保管部内の前記滞留監視アイテムの有無を判定する保管時滞留監視アイテム有無判定工程と、前記滞留監視アイテムが有りと判定された場合に、その滞留監視アイテムの数量を分割するときの分割数と各分割における数量とを設定する保管時分割数量設定工程と、設定された前記分割数と前記数量に基づいて、前記滞留監視アイテムの数量を分割して、分割された数量の複数の前記滞留監視アイテムのそれぞれを、前記アイテム保管部内に個別に保管する保管時分割個別保管工程とを実行するようにしてもよい。
【0039】
また、別の好ましい態様の物流システムによれば、集品の対象となる入荷品を複数種類入荷するとともに、入荷した入荷品をそれぞれ1種類以上含むアイテムを複数種類保管するアイテム保管部を有する入荷部と、前記入荷部を制御する制御部と、を備え、制御部は、前記入荷部を制御して、前記アイテム保管部を制御するアイテム保管制御工程として、前記アイテム保管部内の前記滞留監視アイテムの有無を判定する保管時滞留監視アイテム有無判定工程と、前記滞留監視アイテムが有りと判定された場合に、その滞留監視アイテムの数量を分割するときの分割数と各分割における数量とを設定する保管時分割数量設定工程と、設定された前記分割数と前記数量に基づいて、前記滞留監視アイテムの数量を分割して、分割された数量の複数の前記滞留監視アイテムのそれぞれを、前記アイテム保管部内に個別に保管する保管時分割個別保管工程と、を実行する。
【0040】
これらの態様の物流システムでは、アイテム保管制御工程の保管時滞留監視アイテム分割保管工程において、アイテム保管部内の滞留監視アイテムの有無を判定し、滞留監視アイテムが有りと判定された場合に、その滞留監視アイテムの数量を分割するときの分割数と各分割における数量とを設定し、設定された分割数と数量に基づいて、滞留監視アイテムの数量を分割して、分割された数量の複数の滞留監視アイテムのそれぞれを、アイテム保管部内に個別に保管する。
【0041】
この場合の保管された滞留監視アイテムの数量は、後続のアイテム補充制御工程において適切な供給タイミングで供給すれば、滞留制限時間内に集品終了となり得るものとなるので、滞留監視アイテムの品質低下の抑制が可能になる。
【0042】
第11の態様に係る物流システムとして、第10の態様において、前記保管時分割数量設定工程では、前記滞留監視アイテムについての所定期間内の集品に必要になる全数量を算出する全数量算出工程と、前記所定期間と前記滞留制限時間とに基づいて、前記全数量を分割する分割数と、分割したときの各回に供給を要する供給数量を設定する分割供給数量設定工程と、設定された前記分割数と前記供給数量に基づいて、分割された各回分として前記供給数量分の前記滞留監視アイテムを供給する供給タイミングを設定する保管時供給タイミング設定工程とを実行するようにしてもよい。
【0043】
また、別の好ましい態様の物流システムによれば、集品の対象となる入荷品を複数種類入荷するとともに、入荷した入荷品をそれぞれ1種類以上含むアイテムを複数種類保管するアイテム保管部を有する入荷部と、前記入荷部を制御する制御部と、を備え、制御部は、前記入荷部を制御して、前記アイテム保管部を制御するアイテム保管制御工程として、前記アイテム保管部内の前記滞留監視アイテムの有無を判定する保管時滞留監視アイテム有無判定工程と、前記滞留監視アイテムが有りと判定された場合に、その滞留監視アイテムの数量を分割するときの分割数と各分割における数量とを設定する保管時分割数量設定工程と、設定された前記分割数と前記数量に基づいて、前記滞留監視アイテムの数量を分割して、分割された数量の複数の前記滞留監視アイテムのそれぞれを、前記アイテム保管部内に個別に保管する保管時分割個別保管工程と、を実行し、前記保管時分割数量設定工程では、前記滞留監視アイテムについての所定期間内の集品に必要になる全数量を算出する全数量算出工程と、前記所定期間と前記滞留制限時間とに基づいて、前記全数量を分割する分割数と、分割したときの各回に供給を要する供給数量を設定する分割供給数量設定工程と、設定された前記分割数と前記供給数量に基づいて、分割された各回分として前記供給数量分の前記滞留監視アイテムを供給する供給タイミングを設定する保管時供給タイミング設定工程と、を実行する。
【0044】
これらの態様の物流システムでは、前記滞留監視アイテムについての所定期間内の集品に必要になる全数量を算出し、所定期間と滞留制限時間とに基づいて全数量を分割する分割数と、分割したときの各回に供給を要する供給数量を設定し、設定された分割数と供給数量に基づいて、各回分の供給数量分の滞留監視アイテムを供給する供給タイミングを設定する。
【0045】
この場合、分割供給される各回の供給数量分の滞留監視アイテムが分割数分だけ供給されるので、全体として必要とする全数量を供給できる。また、各回の供給数量は、後続のアイテム補充制御工程において適切な供給タイミングで供給すれば、滞留制限時間内に集品終了となり得るものとなり、且つ、ここでは、その適切な供給タイミングも設定するので、後続のアイテム補充制御工程では、ここで設定された供給数量と供給タイミングに従って制御を実行するだけで、滞留監視アイテムの品質低下の抑制が可能になる。
【0046】
第12の態様に係る物流システムとして、第9の態様において、前記アイテム補充制御工程では、補充時滞留監視アイテム分割保管工程を実行し、前記補充時滞留監視アイテム分割保管工程では、後続する集品のためのアイテム補充の制御に先立って、前記アイテム保管部内の前記滞留監視アイテムの有無を判定する補充時滞留監視アイテム有無判定工程と、前記滞留監視アイテムが有りと判定された場合に、その滞留監視アイテムの数量を分割するときの分割数と各分割における数量とを設定する補充時分割数量設定工程と、設定された前記分割数と前記数量に基づいて、前記滞留監視アイテムの数量を分割して、分割された数量の複数の前記滞留監視アイテムのそれぞれを、前記アイテム保管部内に個別に保管する補充時分割個別保管工程とを実行するようにしてもよい。
【0047】
また、別の好ましい態様の物流システムによれば、集品の対象となる入荷品を複数種類入荷するとともに、集品部での集品に必要になる複数種類のアイテムを、前記集品部に補充するアイテム補充部を有する入荷部と、前記入荷部を制御する制御部と、を備え、制御部は、前記入荷部を制御して、前記アイテム補充部を制御するアイテム補充制御工程として、前記アイテム保管部内の前記滞留監視アイテムの有無を判定する補充時滞留監視アイテム有無判定工程と、前記滞留監視アイテムが有りと判定された場合に、その滞留監視アイテムの数量を分割するときの分割数と各分割における数量とを設定する補充時分割数量設定工程と、設定された前記分割数と前記数量に基づいて、前記滞留監視アイテムの数量を分割して、分割された数量の複数の前記滞留監視アイテムのそれぞれを、前記アイテム保管部内に個別に保管する補充時分割個別保管工程と、を実行する。
【0048】
これらの態様の物流システムでは、アイテム補充制御工程の補充時滞留監視アイテム分割保管工程において、後続する集品のためのアイテム補充の制御に先立って、アイテム保管部内の滞留監視アイテムの有無を判定し、滞留監視アイテムが有りと判定された場合に、その滞留監視アイテムの数量を分割するときの分割数と各分割における数量とを設定し、設定された分割数と数量に基づいて、滞留監視アイテムの数量を分割して、分割された数量の複数の滞留監視アイテムのそれぞれを、アイテム保管部内に個別に保管する。
【0049】
この場合の保管された滞留監視アイテムの数量は、同じアイテム補充制御工程内で後続するアイテム補充の制御工程において適切な供給タイミングで供給すれば、滞留制限時間内に集品終了となり得るものとなるので、滞留監視アイテムの品質低下の抑制が可能になる。
【0050】
第13の態様に係る物流システムとして、第12の態様において、前記補充時分割数量設定工程では、前記滞留監視アイテムを集品対象とする集品オーダを滞留監視オーダと定義したときに、所定の集品オーダのグループ内の前記滞留監視オーダを分析する滞留監視オーダ分析工程と、前記滞留監視オーダの分析結果に基づいて、前記滞留監視オーダに応じて供給する前記滞留監視アイテムの供給タイミングを設定するオーダ毎供給タイミング設定工程と、前記滞留監視オーダの分析結果に基づいて、前記滞留監視オーダに応じて供給する前記滞留監視アイテムの数量を設定するオーダ毎数量設定工程とを実行するようにしてもよい。
【0051】
第14の態様に係る物流システムとして、第1の態様において、集品の対象となる入荷品を複数種類入荷するとともに、入荷した入荷品をそれぞれ1種類以上含むアイテムを複数種類保管するアイテム保管部を有する入荷部と、前記入荷部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記入荷部を制御して、前記アイテム保管部を制御するアイテム保管制御工程として、前記アイテム保管部内の前記滞留監視アイテムの有無を判定する保管時滞留監視アイテム有無判定工程と、前記滞留監視アイテムが有りと判定された場合に、その滞留監視アイテムの数量を分割するときの分割数と各分割における数量とを設定する保管時分割数量設定工程と、設定された前記分割数と前記数量に基づいて、前記滞留監視アイテムの数量を分割して、分割された数量の複数の前記滞留監視アイテムのそれぞれを、前記アイテム保管部内に個別に保管する保管時分割個別保管工程とを実行するようにしてもよい。
【0052】
第15の態様に係る物流システムとして、第14の態様において、前記保管時分割数量設定工程では、前記滞留監視アイテムについての所定期間内の集品に必要になる全数量を算出する全数量算出工程と、前記所定期間と前記滞留制限時間とに基づいて、前記全数量を分割する分割数と、分割したときの各回に供給を要する供給数量を設定する分割供給数量設定工程と、設定された前記分割数と前記供給数量に基づいて、分割された各回分として前記供給数量分の前記滞留監視アイテムを供給する供給タイミングを設定する保管時供給タイミング設定工程とを実行するようにしてもよい。
【0053】
第16の態様に係る物流システムとして、第1の態様において、集品の対象となる入荷品を複数種類入荷するとともに、集品部での集品に必要になる複数種類のアイテムを、前記集品部に補充するアイテム補充部を有する入荷部と、前記入荷部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記入荷部を制御して、前記アイテム補充部を制御するアイテム補充制御工程として、前記アイテム保管部内の前記滞留監視アイテムの有無を判定する補充時滞留監視アイテム有無判定工程と、前記滞留監視アイテムが有りと判定された場合に、その滞留監視アイテムの数量を分割するときの分割数と各分割における数量とを設定する補充時分割数量設定工程と、設定された前記分割数と前記数量に基づいて、前記滞留監視アイテムの数量を分割して、分割された数量の複数の前記滞留監視アイテムのそれぞれを、前記アイテム保管部内に個別に保管する補充時分割個別保管工程とを実行するようにしてもよい。
【0054】
第17の態様に係る物流システムとして、第16の態様において、前記補充時分割数量設定工程では、前記滞留監視アイテムを集品対象とする集品オーダを滞留監視オーダと定義したときに、所定の集品オーダのグループ内の前記滞留監視オーダを分析する滞留監視オーダ分析工程と、前記滞留監視オーダの分析結果に基づいて、前記滞留監視オーダに応じて供給する前記滞留監視アイテムの供給タイミングを設定するオーダ毎供給タイミング設定工程と、前記滞留監視オーダの分析結果に基づいて、前記滞留監視オーダに応じて供給する前記滞留監視アイテムの数量を設定するオーダ毎数量設定工程とを実行するようにしてもよい。
【0055】
第18の態様に係る物流システムとして、第1の態様において、集品の対象となる入荷品を複数種類入荷するとともに、入荷した入荷品をそれぞれ1種類以上含むアイテムを複数種類保管するアイテム保管部を有する入荷部と、前記入荷部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記入荷部を制御して、前記アイテム保管部を制御するアイテム保管制御工程として、前記アイテム保管部内の前記滞留監視アイテムの有無を判定する保管時滞留監視アイテム有無判定工程と、前記滞留監視アイテムが有りと判定された場合に、その滞留監視アイテムの数量を分割するときの分割数と各分割における数量とを設定する保管時分割数量設定工程と、設定された前記分割数と前記数量に基づいて、前記滞留監視アイテムの数量を分割して、分割された数量の複数の前記滞留監視アイテムのそれぞれを、前記アイテム保管部内に個別に保管する保管時分割個別保管工程とを実行し、前記保管時分割数量設定工程では、前記滞留監視アイテムについての所定期間内の集品に必要になる全数量を算出する全数量算出工程と、前記所定期間と前記滞留制限時間とに基づいて、前記全数量を分割する分割数と、分割したときの各回に供給を要する供給数量を設定する分割供給数量設定工程と、設定された前記分割数と前記供給数量に基づいて、分割された各回分として前記供給数量分の前記滞留監視アイテムを供給する供給タイミングを設定する保管時供給タイミング設定工程とを実行するようにしてもよい。
【0056】
第19の態様に係る物流システムとして、第1の態様において、集品の対象となる入荷品を複数種類入荷するとともに、集品部での集品に必要になる複数種類のアイテムを、前記集品部に補充するアイテム補充部を有する入荷部と、前記入荷部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記入荷部を制御して、前記アイテム補充部を制御するアイテム補充制御工程として、前記アイテム保管部内の前記滞留監視アイテムの有無を判定する補充時滞留監視アイテム有無判定工程と、前記滞留監視アイテムが有りと判定された場合に、その滞留監視アイテムの数量を分割するときの分割数と各分割における数量とを設定する補充時分割数量設定工程と、設定された前記分割数と前記数量に基づいて、前記滞留監視アイテムの数量を分割して、分割された数量の複数の前記滞留監視アイテムのそれぞれを、前記アイテム保管部内に個別に保管する補充時分割個別保管工程とを実行し、前記補充時分割数量設定工程では、前記滞留監視アイテムを集品対象とする集品オーダを滞留監視オーダと定義したときに、所定の集品オーダのグループ内の前記滞留監視オーダを分析する滞留監視オーダ分析工程と、前記滞留監視オーダの分析結果に基づいて、前記滞留監視オーダに応じて供給する前記滞留監視アイテムの供給タイミングを設定するオーダ毎供給タイミング設定工程と、前記滞留監視オーダの分析結果に基づいて、前記滞留監視オーダに応じて供給する前記滞留監視アイテムの数量を設定するオーダ毎数量設定工程とを実行するようにしてもよい。
【0057】
また、別の好ましい態様の物流システムによれば、集品の対象となる入荷品を複数種類入荷するとともに、集品部での集品に必要になる複数種類のアイテムを、前記集品部に補充するアイテム補充部を有する入荷部と、前記入荷部を制御する制御部と、を備え、制御部は、前記入荷部を制御して、前記アイテム補充部を制御するアイテム補充制御工程として、前記アイテム保管部内の前記滞留監視アイテムの有無を判定する補充時滞留監視アイテム有無判定工程と、前記滞留監視アイテムが有りと判定された場合に、その滞留監視アイテムの数量を分割するときの分割数と各分割における数量とを設定する補充時分割数量設定工程と、設定された前記分割数と前記数量に基づいて、前記滞留監視アイテムの数量を分割して、分割された数量の複数の前記滞留監視アイテムのそれぞれを、前記アイテム保管部内に個別に保管する補充時分割個別保管工程と、を実行し、前記補充時分割数量設定工程では、前記滞留監視アイテムを集品対象とする集品オーダを滞留監視オーダと定義したときに、所定の集品オーダのグループ内の前記滞留監視オーダを分析する滞留監視オーダ分析工程と、前記滞留監視オーダの分析結果に基づいて、前記滞留監視オーダに応じて供給する前記滞留監視アイテムの供給タイミングを設定するオーダ毎供給タイミング設定工程と、前記滞留監視オーダの分析結果に基づいて、前記滞留監視オーダに応じて供給する前記滞留監視アイテムの数量を設定するオーダ毎数量設定工程と、を実行する。
【0058】
これらの態様の物流システムでは、滞留監視アイテムを集品対象とする集品オーダを滞留監視オーダと定義したときに、所定の集品オーダのグループ内の滞留監視オーダを分析し、滞留監視オーダの分析結果に基づいて、滞留監視オーダに応じて供給する滞留監視アイテムの供給タイミングを設定するとともに、供給する前記滞留監視アイテムの数量を設定する。
【0059】
ここでの制御は、前述のように、後続する集品のためのアイテム補充の制御に先立って実行されるが、アイテム補充制御工程内での制御なので、ここでの制御が開始する前には、出荷のために集品するアイテムが決定されている。すなわち、出荷のための集品オーダがすでに発行されているため、その集品オーダの集合(グループ)に基づく「調整保管」が可能な状態であり、適切なオーダ分析が可能な状態で開始される。
【0060】
このオーダ分析後の時点では、集品オーダのグループ(全集品オーダ)内での滞留監視オーダの位置(すなわち全集品オーダ内での発行順)や各オーダで指定された必要数量が明確に判明しているので、その位置(順番等)や指定数量に基づいてオーダ対応(オーダ毎)の滞留監視アイテムの供給タイミングや必要数量を容易に設定できる。すなわち、対象となる全集品オーダ内での滞留監視アイテムを集品対象とする集品オーダを滞留監視オーダとして分析した結果に基づいて、必要とする供給タイミングで必要分の滞留監視アイテムを供給することにより、滞留監視アイテムを安定して供給でき、滞留監視アイテムの品質低下の抑制が可能になる。
【0061】
第20の態様に係るアイテム供給制御方法は、集品の作業員が前記集品の対象とする商品の前記集品を行うための1以上のピッキングゾーンを備え、前記ピッキングゾーンは、前記商品をそれぞれ1種類以上含むアイテムを単位として、複数種類の前記アイテムの種類毎に所定の間口から、前記作業員が前記アイテムのそれぞれを取出可能なピッキングラックを有する、物流システムにおいて、前記アイテムのそれぞれが前記対応する間口に供給されてから集品されるまでの時間を滞留時間、およびその制限時間を滞留制限時間、と定義したときに、前記ピッキングラックに対して、前記複数種類のアイテムが、前記滞留制限時間が規定された種類である滞留監視アイテムを1種以上含むように、前記複数種類のアイテムの供給を制御することを特徴とする。
【0062】
第21の態様に係るアイテム供給制御方法として、第20の態様において、前記滞留監視アイテムは、前記滞留制限時間内に集品終了となる規定数量に分割して供給されるようにしてもよい。
【0063】
第22の態様に係るアイテム供給制御方法として、第21の態様において、前記滞留監視アイテムは、所定期間内に要する全数量を前記規定数量で除算した回数だけ供給されるようにしてもよい。
【0064】
第23の態様に係るアイテム供給制御方法として、第22の態様において、2回目以降に供給される前記規定数量の前記滞留監視アイテムは、直前の回の供給タイミングから前記滞留制限時間分を経過する前の供給タイミングで供給されるようにしてもよい。
【0065】
第24の態様に係るアイテム供給制御方法として、第20の態様において、前記滞留監視アイテムは、前記対応する間口に供給されてから前記滞留制限時間内に集品終了となる供給タイミングで必要数量のみ供給されるようにしてもよい。
【0066】
第25の態様に係るアイテム供給制御方法として、第24の態様において、前記滞留監視アイテムを集品対象とする集品オーダを滞留監視オーダと定義したときに、前記供給タイミングは、所定の集品オーダのグループ内の前記滞留監視オーダを分析した結果に基づいて設定されるようにしてもよい。
【0067】
第26の態様に係るアイテム供給制御方法として、第25の態様において、前記必要数量は、前記供給タイミングに対応する前記滞留監視オーダによる集品に必要な数量に基づいて設定されるようにしてもよい。
【0068】
第27の態様に係る物流システム制御プログラムは、集品の作業員が前記集品の対象とする商品の前記集品を行うための1以上のピッキングゾーンを備え、前記ピッキングゾーンは、前記商品をそれぞれ1種類以上含むアイテムを単位として、複数種類の前記アイテムの種類毎に所定の間口から、前記作業員が前記アイテムのそれぞれを取出可能なピッキングラックを有し、前記アイテムのそれぞれが前記対応する間口に供給されてから集品されるまでの時間を滞留時間、およびその制限時間を滞留制限時間と定義したときに、前記複数種類のアイテムが、前記滞留制限時間が規定された種類である滞留監視アイテムを1種以上含む、物流システムにおいて、前記物流システムを制御するコンピュータを、前記アイテムのそれぞれが前記対応する間口に供給されてから集品されるまでの時間を滞留時間、およびその制限時間を滞留制限時間と定義したときに、前記ピッキングラックに対して、前記複数種類のアイテムが、前記滞留制限時間が規定された種類である滞留監視アイテムを1種以上含むように、前記複数種類のアイテムの供給を制御する制御部として機能させることを特徴とする。
【0069】
第28の態様は、第27の態様に記載の物流システム制御プログラムが記憶された記憶媒体を特徴とする。
【0070】
本発明の別の態様に係るプログラムは、集品の作業員が前記集品の対象とする商品の前記集品を行うための1以上のピッキングゾーンを備え、前記ピッキングゾーンは、前記商品をそれぞれ1種類以上含むアイテムを単位として、複数種類の前記アイテムの種類毎に所定の間口から、前記作業員が前記アイテムのそれぞれを取出可能なピッキングラックを有し、前記アイテムのそれぞれが前記対応する間口に供給されてから集品されるまでの時間を滞留時間、およびその制限時間を滞留制限時間、と定義したときに、前記複数種類のアイテムが、前記滞留制限時間が規定された種類である滞留監視アイテムを1種以上含む、物流システムにおいて、前記物流システムを制御するコンピュータを、前記アイテムのそれぞれが前記対応する間口に供給されてから集品されるまでの時間を滞留時間、およびその制限時間を滞留制限時間、と定義したときに、前記ピッキングラックに対して、前記複数種類のアイテムが、前記滞留制限時間が規定された種類である滞留監視アイテムを1種以上含むように、前記複数種類のアイテムの供給を制御する制御部として機能させることを特徴とする。
【0071】
本発明のさらに別の態様に係る記憶媒体は、上記別の態様に係るプログラムを、前記物流システムにより利用可能に記憶することを特徴とする。
【発明の効果】
【0072】
本発明によれば、ピッキング(集品)の開始から終了までの滞留時間の経過による品質低下が問題となる商品を集品対象として含む場合に、それを含むアイテムを滞留監視アイテムとして、滞留制限時間内に集品終了となる規定数量に分割して供給することにより、あるいは滞留監視アイテムを集品対象とする集品オーダを滞留監視オーダとして分析した結果に基づいて必要数量に分割して供給することにより、必要とする供給タイミングで、必要分の滞留監視アイテムを、安定して供給でき、滞留監視アイテムの品質低下の抑制が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【
図1】実施形態による物流システムの構成図である。
【
図2】ピッキングエリアの構成を簡易化して示すピッキングエリアの模式図である。
【
図3】ピッキングエリア内のピッキング作業エリアを構成する複数のピッキングゾーンを簡略化して説明する際の、簡略化の内容を示す説明図である。
【
図4】ピッキングエリア内の複数のピッキングゾーンについて、
図3の簡略化を適用して示す説明図である。
【
図5】実施形態の物流システムの概略制御フローを簡略化して含む機能ブロック図である。
【
図6】
図5の概略制御フロー内のアイテム保管制御で利用される内部モジュールの「品温管理アイテム分割・保管」のフローチャートである。
【
図7】
図6の制御を行う場合のピッキングラックの間口の使用例を一般化して、
図4に適用して示す説明図である。
【
図8】
図6のフローチャートに基づく品温管理アイテム分割の具体例を示す図である。
【
図9】
図6のフローチャート内のサブモジュールの「品温管理アイテム分割数量設定」の一例を示すフローチャートである。
【
図10】
図5の概略制御フロー内のアイテム補充制御で利用される内部モジュールの「品温管理アイテム分割・保管」のフローチャートである。
【
図11】
図10のフローチャート内のサブモジュールの「品温管理アイテム分割数量設定」の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0074】
本発明の概念は、本発明の概念の特定の実施形態が示されている添付の図面を参照して、以下でより完全に説明される。しかしながら、この発明の概念は、多くの異なる形態で具体化でき、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、本発明の概念の範囲を当業者に完全に伝えるように、例として提供される。同様の番号は、説明全体で同様の要素を指す。
【0075】
以下の実施するための形態では、ピッキングを主に例にとって説明している場合があるが、本技術思想はピッキングに対してのみ適用されるべきものとして限定的に解釈すべきではない。すなわち、本発明は入荷、保管、補充、集品、ピッキング、アソート、搬送、出荷を含む物流システム全体に対して適用可能なものである。
【0076】
以下、[1.システム構成例]、[2.課題解決ポイントの例示]、[3.その他の適用・応用例]について、順に説明する。
【0077】
[1.システム構成例]
図1は、本明細書に提示された実施形態による物流システムの構成図である。同図に示すように、物流システム1は、原料の入荷(入庫)から集配物の出荷(出庫)に向けて利用される順に、入荷(入庫)エリア10A、ピッキングエリア20A、出荷準備エリア40A、出荷待ちエリア50A、出荷(出庫)エリア30Aを備えている。
【0078】
入荷(入庫)エリア10Aは、原料の入荷(入庫)品を積載して入荷バースに駐車された貨物トラック等からの入荷品を荷捌きする環境温度10℃設定の入荷荷捌きエリア(図示符号無し)と、その原料を種類別に環境温度5℃設定の原料冷蔵庫(図示符号無し)および環境温度-25℃設定の原料冷凍庫(図示符号無し)に分けてケースで保管するケース自動倉庫設備と、を備え、原料ケース自動補充設備を介して、ピッキングエリア20Aに対して、ピッキング(集品)対象品を供給する。
【0079】
逆に、出荷側において、出荷(出庫)エリア30Aは、配送対象の出荷(出庫)品を貨物トラックに積載するための環境温度10℃設定の出荷バース310を有し、その前段階を担当する出荷待ちエリア50Aは、出荷品となる製品等の種類別に環境温度5℃設定の製品冷蔵庫(図示符号無し)および環境温度-25℃設定の製品冷凍庫(図示符号無し)に分けて出荷を待つように構成(制御)されている。
【0080】
さらにその前段階を担当する出荷準備エリア40Aは、さらにその前段階を担当するピッキングエリア20Aにおいてピッキング(集品)されて集品箱に収められ、搬送ロボット走行エリア60を介して搬送ロボットRにより搬送された集品箱、あるいはパーキングエリア601に一時駐車して待機していた搬送ロボットRにより搬送された集品箱、を受領し、出荷に合わせて全ての出荷対象品を揃え、荷造りやラベル貼付などの出荷前最終準備を実施するように構成(制御)されている。
【0081】
ここで、上述のパーキングエリア601には、図示の上側と下側のそれぞれにグリッド状に並んだ40台分の駐車スペースがあり、それぞれに搬送ロボットRが待機中に電力供給を受け得る充電設備が備えられている。なお、駐車スペース毎ではなく、待機中の搬送ロボットRが適宜アクセスできるように、パーキングエリア601内の所定個所に充電設備を備えても良い。また、これらの場合の充電方式としては、有線式や接触式でも可能ではあるが、手間や安全性(メンテナンスフリー)の観点から非接触式(ワイヤレス)が好ましい。
【0082】
図2は、ピッキングエリア20Aの構成を、理解の容易化のため模式的に簡易化して示すピッキングエリアの模式図である。
図1も参照しつつ
図2に示すように、ピッキングエリア20Aは、ピッキング(集品)対象品を供給するための原料ケース自動補充設備、ピッキング(フロー)ラック200と、複数の作業台(作業テーブル)Tと、その手前側で搬送ロボットRが自由軌道(平面走行自在)で走行するための搬送ロボット走行エリア60と、を備えている。
【0083】
ピッキング(フロー)ラック200は、原料ケース自動補充設備側(背面側)からピックアップ用の間口側(前面側)にかけて下がっていて、いわゆるフローラック(flow rack)構成のピッキングラックであり、環境温度-15℃に設定されている。このピッキング(フロー)ラック200の間口から集品可能な各種アイテムを、集品を担当する複数の作業員Mが、それぞれが担当する作業台T(作業テーブル)において、それぞれが担当する集品箱にピッキング(集品)を行う。
【0084】
ここで、アイテムとは、入荷した入荷品をそれぞれ1種類以上含む作業対象の単位を指し、前述のケース自動倉庫設備ではケース単位で作業処理の対象単位とされ、前述の原料ケース自動補充設備を介して、そのアイテム毎に対応して定められたピッキング(フロー)ラック200の間口に対して、ケース単位、すなわちアイテム単位で供給(補充)される。
【0085】
図3は、ピッキングエリア20A内で、ピッキング作業エリア210を構成する複数のピッキングゾーンを、理解の容易化のため簡略化して説明する際の、簡略化の内容を示す説明図である。
【0086】
図2で前述のピッキング(フロー)ラック200は、実際には、各作業員が担当する作業台Tと対応して区分けされていて、その区分けされた作業領域であるピッキングゾーンZにおいて、
図3に示すように、各担当の作業員Mによって、アイテム対応の所定の間口から集品対象の各アイテムが取り出される。
【0087】
以下の説明では、主に、
図3(a)内左側に示す、アイテム毎に間口に区分けされたピッキング(フロー)ラック200を、先入れ先出し(FIFO)のフローラック構成の奥行方向(アイテムの取出し順に区分けされた方向)を水平断面のイメージで簡略化して、同図内右側のように示す。
【0088】
また、
図1の詳細部分を拡大すると判明するが、
図3(b)内左側に示すように、実際の作業台Tは、作業員Mに対して左右対称の2台の作業台で構成され、作業箱Bを搭載した搬送ロボットRは、左右両端に到着(アクセス)して、左右それぞれアクセスした作業台Tに作業箱Bを供給し、それらの作業箱Bが作業台Tの作動で、作業員Mがいる中央部に運ばれ、作業員Mは、中央部に運ばれてきた作業箱Bに対して、必要な集品作業を行う。
【0089】
しかし、以下の説明では、主に、同図内右側に示すように、作業台Tを1台に簡略化する。すなわち、集品箱を搭載(搬送)して来た搬送ロボットRは、図示右端に到着(アクセス)して作業台Tに集品箱を供給し、その集品箱が作業台Tの作動で作業員Mがいる中央部に運ばれ、作業員Mは、中央部に運ばれてきた集品箱に対して、必要な集品作業を行う。目的の集品を終了した集品箱は、図示左端にアクセスしている搬送ロボットRに引き渡され、次のアクセス先まで搬送される。
【0090】
図4は、ピッキングエリア20A内の複数のピッキングゾーンZ1、Z2について、
図3の簡略化を適用して示す説明図である。同図に示すように、ピッキングゾーンZ1では、ピッキング(フロー)ラック201の間口から集品可能な各種アイテムについて、担当の作業員Mが、作業台Tにおいて、担当する集品箱に集品を行う。同様に、ピッキングゾーンZ2では、ピッキング(フロー)ラック202の間口から集品可能な各種アイテムについて、担当の作業員Mが、作業台Tにおいて、担当する集品箱に集品を行う。なお、前述の
図2の作業員Mと作業台Tも、この簡略化されたイメージで示してある。
【0091】
図5は、実施形態の物流システム1の概略制御フローを簡略化して含む機能ブロック図である。同図において、太幅2重線構成の点線矢印は、物(アイテム等)の流れ方向を示し、単線の点線矢印は、制御の流れ方向を示す、
【0092】
同図に示すように、物流システム1は、集品の対象となる入荷品を複数種類入荷する入荷部10(入荷(入庫)エリア10Aに対応)と、集品を行うための集品部20(ピッキングエリア20Aに対応)と、配送のために出荷対象となる出荷品を出荷する出荷部30(出荷準備エリア40A+出荷待ちエリア50A+出荷(出庫)エリア30Aに対応)と、入荷部10、集品部20および出荷部30を制御する制御部Cと、を備えている。
【0093】
制御部Cは、上記の入荷部10、集品部20および出荷部30に対応して、入荷部10を制御する入荷制御(入荷制御工程)10C、集品部20を制御する集品制御(集品制御工程)20C、および、出荷部30を制御する出荷制御(出荷制御工程)30Cを行う。
【0094】
ここで、および以下の説明において、「~部を制御する」とは、「~部をデータベース管理下とする」と言うことを指し、「~部において作業・処理対象となるアイテムのそれぞれについて、そのアイテムのID(以下「アイテムID」)に関連付けて、そのアイテムの各時点での状況を把握して更新し(データベースに記憶して状況に合わせて更新し)、後工程のための参照データとすること」を最小要件とする。ここでの「状況」には、各アイテムがどの工程まで作業・処理対象となったか等の情報が含まれる。この場合、この最小要件を満足すれば、少なくとも「参照データを得る」と言う点において、「自然法則の利用」に該当することになる。
【0095】
すなわち、後工程における制御のための参照データを得ることが最小要件なので、実際の作業・処理対象となるアイテムのそれぞれについて、その作業・処理を例えばプログラム制御により全自動で実施する場合はもちろんのこと、その作業・処理の一部または全部を作業員等の人手で実施したとしても、(自然法則に基づいて)参照データを得てシステム全体が作動するので、システム全体として、「自然法則の利用」に該当することになる。
【0096】
なお、上記のアイテムIDは、例えば入荷時点でデータベースに登録され、あるいは事前に登録済みの情報を示すものであり、例えば入荷品に付される所定の番号の他に、品種名を含む種類、数量、産地、消費期限、賞味期限等の特性を示す。このデータベースへの登録は、例えば入荷品に付されたバーコードの読み取り、入荷品の箱に内蔵されたIC内の情報の読み取り、その他、各種タグ、各種貼付、付帯品からの情報取得によって行われる。
【0097】
図5の説明に戻り、同図に示すように、入荷部10は、入荷品を入荷する作業を行う入荷作業部11(入荷荷捌きエリアに対応)と、入荷した入荷品をそれぞれ1種類以上含むアイテムを複数種類保管するアイテム保管部12(ケース自動倉庫120に対応)と、集品部20での集品に必要になる複数種類のアイテムを、集品部20に補充するアイテム補充部13(原料ケース自動補充設備に対応)と、を有する。
【0098】
これに対して、制御部Cでは、入荷部10を制御する入荷制御(入荷制御工程)10Cとして、入荷作業部11(入荷荷捌きエリアに対応)を制御する入荷作業制御(入荷作業制御工程)11Cと、アイテム保管部12(ケース自動倉庫設備に対応)を制御するアイテム保管制御(アイテム保管制御工程)12Cと、アイテム補充部13(原料ケース自動補充設備に対応)を制御するアイテム補充制御(アイテム補充制御工程)13Cと、を行う。
【0099】
集品部20は、アイテム補充部13により補充されたアイテムを集品のために一時保管する集品準備部21(ピッキング(フロー)ラック200に対応)と、集品担当の作業員が集品準備部21のアイテムを集品箱に集品する集品作業を行って、出荷品となるアイテムを集品した集品箱の準備を進める集品作業部22(ピッキング作業エリア210に対応)と、集品作業に供する集品箱を搬送するために、搬送ロボットRが自由軌道(平面走行自在)で走行し、出荷部30のパーキングエリア601(
図1参照)まで延びて存在(延在)する搬送走行部23(搬送ロボット走行エリア60に対応)と、を有する。
【0100】
これに対して、制御部Cでは、集品部20を制御する集品制御(集品制御工程)20Cとして、集品準備部21(ピッキング(フロー)ラック200に対応)を制御する集品準備制御(集品準備制御工程)21Cと、集品作業部22(ピッキング作業エリア210に対応)を制御する集品作業制御(集品作業制御工程)22Cと、搬送走行部23(搬送ロボット走行エリア60に対応)を制御する搬送走行制御(搬送走行制御工程)23Cと、を行う。
【0101】
出荷部30は、集品部20で集品された集品箱を受領して、配送対象となる出荷品となる出荷態様に纏める出荷準備部31(出荷準備エリア40Aに対応)と、出荷態様の出荷品に含まれるアイテムの種類別特性に合わせて保管する出荷品保管部32(出荷待ちエリア50Aに対応)と、配送等のために出荷品を揃える作業を行う出荷作業部33(出荷(出庫)エリア30Aに対応)と、を有する。
【0102】
これに対して、制御部Cでは、出荷部30を制御する出荷制御(出荷制御工程)30Cとして、出荷準備部31(出荷準備エリア40Aに対応)を制御する出荷準備制御(出荷準備制御工程)31Cと、出荷品保管部32(出荷待ちエリア50Aに対応)を制御する出荷品保管制御(出荷品保管制御工程)32Cと、出荷作業部33(出荷(出庫)エリア30Aに対応)を制御する出荷作業制御(出荷作業制御工程)33Cと、を行う。
【0103】
[2.課題解決ポイントの例示]
図6は、名称「品温管理アイテム分割・保管」で呼び出されるプログラムモジュールのフローチャートであり、
図5で示した概略制御フローの一部であるアイテム保管制御(アイテム保管制御工程)12Cの内部で呼び出されて利用される内部モジュールの1つである。この「品温管理アイテム分割・保管」のモジュール(12C-10:保管時滞留監視アイテム分割保管工程)では、名称通り、「品温管理アイテム分割・保管」を行う。
【0104】
なお、ここでは、品質変化を生じさせる周囲環境として代表的な例として「周囲温度」の例を示している。また、品質維持のために温度管理を要するアイテムを「品温管理アイテム」と称する。また、周囲環境としては周囲湿度等もあるので、それらに起因する品質維持のために、例えば「品湿管理アイテム分割・保管」等のモジュールを用意して、同様に実行することもできる。
【0105】
なお、アイテム保管制御(アイテム保管制御工程)12Cでは、その前に実行される入荷作業制御(入荷作業制御工程)11Cが終了後、入荷品が材料あるいは商品が1種であるいわゆるシングルアイテム(単種アイテム)であればシングルアイテムとして、2種以上を含むマルチアイテム(複種アイテム)であればそのままマルチアイテムとして、入荷品を一旦そのままのアイテムの状態で保管し、その後、シングルアイテムを複合してマルチアイテムとして保管し直すなどの「調整保管」を行う。
【0106】
図6の「品温管理アイテム分割・保管」も、上述の「調整保管」の一種となるが、複合化とは逆に分割して保管し直す「調整保管」の一種に該当する。前述の「品湿管理アイテム分割・保管」等も同様に「調整保管」の一種に該当する。
【0107】
なお、これらの「品温管理アイテム」や「品湿管理アイテム」も、ピッキング(集品)のためには、ピッキングラックに対応する所定の間口が用意される必要がある。各アイテムが対応する間口に供給されてから集品されるまでの時間を以下「滞留時間」とし、その制限時間を以下「滞留制限時間」とする。上述の「品温管理アイテム」や「品湿管理アイテム」では、品質維持のためには、「滞留制限時間」を規定しておいて、それを遵守するために監視する必要がある。これらの「滞留制限時間が規定された種類」のアイテムを以下「滞留監視アイテム」とする。
【0108】
図7は、
図6の制御を行う場合のピッキングラックの間口の使用例を一般化して、
図4に適用して示す説明図である。集品対象のアイテムに「滞留監視アイテム」を含む場合、その集品のための所定の間口、例えば
図7に図示の「滞流監視」用の間口、を準備し、その間口への「滞留監視アイテム」の供給を適切な数量およびタイミングで行う必要がある。この準備のための「調整保管」の一例を
図6の例で示している。
【0109】
図6の説明に戻る。同図に示すように、まず、「品温管理アイテム有?」か否かを判断し(12C-11:保管時滞留監視アイテム有無判定工程)、無しの場合(12C-11:No(Nで図示))、本モジュールでの処理は不要なので、そのまま処理を終了する(12C-14)。一方、有りの場合(12C-11:Yes(Yで図示))、次に、品温管理アイテム分割数量設定を行い(12C-12:保管時分割数量設定工程)、続いて、その分割の設定に合わせて、品温管理アイテム分割~保管の「調整保管」を行って(12C-13:保管時分割個別保管工程)、処理を終了する(12C-14)。
【0110】
図8は、
図6のフローチャートに基づく品温管理アイテム分割の具体例を示す図である。図示の品温管理アイテム(滞留監視アイテム)では、調整保管をしない場合、例えば
図8左側に示すように、15ピースのままピッキングラックに供給すると、出荷のための集品オーダの内容にもよるが、通常の集配の状態では最大8時間ほど滞留する場合があり、このアイテムの品質維持のための滞留制限時間が4時間程度であるケースを考える。
【0111】
このケースの場合、例えば
図8右側に示すように、5ピースずつの3分割をし、3分割された3分割アイテムの1つを、ピッキングラックの所定の間口に供給し、その3分割アイテムの平均2.7時間滞留の集品終了間近のタイミングで、次の3分割アイテムを供給すれば、4時間の滞留制限時間内で集配を終了できる可能性が高くなる。
【0112】
図9は、
図6のフローチャート内のサブモジュールの「品質管理アイテム分割数量設定」の一例を示すフローチャートである。このサブモジュール(12C-12:保管時分割数量設定工程)では、まず、所定期間内の全数量算出を行う(12C-121:全数量算出工程)。上述の
図8の例では、所定期間=8時間、全数量=15ピース、がそれぞれ相当する。
【0113】
続いて、各回供給の数量設定を行う(12C-122:分割供給数量設定工程)。上述の
図8の例では、所定期間=8時間で、滞留制限時間=4時間なので、2分割でもOKとなる可能性もあるが、品質維持のより完全な達成のため、余裕をもって3分割として、数量=5ピース、で設定している。
【0114】
続いて、各回の供給タイミング設定を行い(12C-123:保管時供給タイミング設定工程)、処理を終了する(12C-124)。上述の
図8の例では、平均滞留時間=2.7時間(=162分)なので、例えばそれが2.5時間(=150分)~2.9時間(=174分)の範囲だとすれば、少ない方の2.5時間(=150分)毎の供給タイミングとする。この場合、3回目の供給が5.0時間(=300分)後になり、元の最大滞留時間(所定期間)8時間(=480分)まで3時間(=180分)残ってしまうが、この場合でも、滞留制限時間=4時間までには、1時間(=60分)の余裕があるので、OKとする。
【0115】
上述のように、
図6~9で説明した本発明の1態様の実施形態においては、ピッキング(集品)の開始から終了までの滞留時間の経過による品質低下が問題となる商品を集品対象として含む場合に、それを含むアイテムを滞留監視アイテム(品温管理アイテム)として、対応する所定の間口に供給する。
【0116】
このため、滞留時間が問題とならない他のアイテムと区別して管理可能となり、具体的には滞留制限時間内に集品終了となる規定数量に分割して供給することにより、その品質低下の抑制が可能になる。
【0117】
また、複数回(
図8の例では3回)に亘って規定数量(5ピース)の滞留監視アイテム(品温管理アイテム)を供給するが、2回目以降に供給される規定数量の滞留監視アイテムは、直前の回の供給タイミングから滞留制限時間分(4時間)を経過する前(2.5時間)の供給タイミングで供給されるので、必要分の滞留監視アイテムの供給が止まることなく、且つ、余分な滞留時間により品質低下を生じることなく、安定して滞留監視アイテムを供給できる。
【0118】
[3.その他の適用・応用例]
図10は、
図5の概略制御フロー内のアイテム補充制御で利用される内部モジュールの「品温管理アイテム分割・保管」のフローチャートである。
【0119】
図10の基本構成(13C-10:補充時滞留監視アイテム分割保管工程)は前述の
図6と同様であり、図示のように、まず、「品温管理アイテム有?」か否かを判断し(13C-11:補充時滞留監視アイテム有無判定工程)、無しの場合(13C-11:No(Nで図示))、本モジュールでの処理は不要なので、そのまま処理を終了する(13C-14)。一方、有りの場合(13C-11:Yes(Yで図示))、次に、品温管理アイテム分割数量設定を行い(13C-12:補充時分割数量設定工程)、続いて、その分割の設定に合わせて、品温管理アイテム分割~保管の「調整保管」を行って(13C-13:補充時分割個別保管工程)、処理を終了する(13C-14)。
【0120】
ただし、
図6の「品温管理アイテム分割・保管」のモジュール(12C-10:保管時滞留監視アイテム分割保管工程)は、前述のように、入荷直後のアイテム保管制御(アイテム保管制御工程)12Cで利用される内部モジュールであり、入荷されて一旦保管されたアイテムに対する「調整保管」の一種であったが、
図10の「品温管理アイテム分割・保管」のモジュール(13C-10:補充時滞留監視アイテム分割保管工程)は、次の集品制御20Cのための事前準備を行うアイテム補充制御(アイテム補充制御工程)13Cで利用される内部モジュールであり、集品制御20Cを実行するために実際にピッキングラックへのアイテム補充を行う直前に処理(実行制御)される「調整保管」となる。
【0121】
このため、このモジュール(13C-10:補充時滞留監視アイテム分割保管工程)の開始前には、出荷のために集品するアイテムが決定されている。すなわち、出荷のための集品オーダがすでに発行されているため、その集品オーダの集合(グループ)に基づく「調整保管」が可能な状態で処理が開始される。
【0122】
図11は、
図10のフローチャート内のサブモジュールの「品温管理アイテム分割数量設定」の一例を示すフローチャートである。このサブモジュール(13C-12:補充時分割数量設定工程)では、
図9で前述の同名のサブモジュール(12C-12:保管時分割数量設定工程)とは異なり、まず、品温管理対象オーダ(滞留監視オーダ)分析を行う(13C-121:滞留監視オーダ分析工程)。このオーダ分析(13C-121:滞留監視オーダ分析工程)の分析対象は、所定の集品オーダのグループ内の品温管理対象オーダ(滞留監視オーダ)となる。
【0123】
なお、ここでの所定の集品オーダのグループとは、例えば配送先として関連する各単位の集品オーダのグループであり、例えば同じ方面の配送先への配送品を担当する配送トラックに一緒に搭載される配送品の配送先の単位としては、各個人宅向けの配送品を集めた個人宅単位や、複数の個人宅で一緒に注文等を行う複数宅グループ単位や、個人宅向けや複数宅向けを一緒にトラック等に積載するためのいわゆるかご車(カーゴ)単位や、同じ配送トラックで配送される複数の配送先のうちの各配送センタなどの店舗単位や、あるいはそれらをすべて含む配送トラック単位等が考えられる。
【0124】
品温管理対象オーダ(滞留監視オーダ)分析(13C-121:滞留監視オーダ分析工程)が終了すると、続いて、品温管理対象オーダ毎供給タイミング設定を行い(13C-122:オーダ毎供給タイミング設定工程)、さらに品温管理対象オーダ毎数量設定を行ってから(13C-123:オーダ毎数量設定工程)、処理を終了する(13C-124)。
【0125】
ここで、上述の供給タイミング設定(13C-122:オーダ毎供給タイミング設定工程)や数量設定(13C-123:オーダ毎数量設定工程)は、その前のオーダ分析(13C-121:滞留監視オーダ分析工程)による分析結果に基づいて実行される。オーダ分析(13C-121:滞留監視オーダ分析工程)後の時点では、集品オーダのグループ(全集品オーダ)内での品温管理対象オーダ(滞留監視オーダ)の位置(すなわち全集品オーダ内での発行順)や各オーダで指定された必要数量が明確に判明しているので、その位置(順番等)や指定数量に基づいてオーダ対応(オーダ毎)の品温管理アイテム(滞留監視アイテム)の供給タイミングや必要数量を容易に設定できる。
【0126】
図10および
図11で上述のように、品温管理アイテム(滞留監視アイテム)を集品対象とする集品オーダを品温管理対象オーダ(滞留監視オーダ)と定義したときに、配送先等で関連付けされた所定の集品オーダのグループ(全集品オーダ)内の品温管理対象オーダ(滞留監視オーダ)を分析した結果に基づいて、オーダ対応(オーダ毎)の品温管理アイテム(滞留監視アイテム)の供給タイミングや必要数量を容易に設定できる。これにより、余分な滞留時間により品質低下を生じることなく、品温管理対象オーダ(滞留監視オーダ)に応じて必要とする供給タイミングで、必要分の滞留監視アイテムを、安定して供給できる。
【0127】
上述のように、本発明の各態様に係る物流システムおよび各種制御では、ピッキング(集品)の開始から終了までの滞留時間の経過による品質低下が問題となる商品を集品対象として含む場合に、それを含むアイテムを滞留監視アイテムとして、対応する所定の間口に供給するため、滞留時間が問題とならない他のアイテムと区別して管理可能となり、滞留監視アイテムを滞留制限時間内に集品終了となる規定数量に分割して供給することにより、あるいは、対象となる全集品オーダ内での滞留監視アイテムを集品対象とする集品オーダを滞留監視オーダとして分析した結果に基づいて、必要とする供給タイミングで必要分の滞留監視アイテムを供給することにより、滞留監視アイテムを安定して供給でき、滞留監視アイテムの品質低下の抑制が可能になる。
【0128】
本発明の概念は、主に、いくつかの実施形態を参照して説明してきた。しかしながら、当業者によって容易に理解されるように、上述のもの以外の実施形態は、添付の特許請求の範囲によって定義されるように、本発明の概念の範囲内で等しく可能である。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明の各態様に係る物流システムおよび各種制御は、入荷・集品・出荷・搬送の対象となるアイテムをデータベース管理するシステムについてのものであり、その意味で自然法則を利用しており、プログラム制御でハードウェアを作動させる点で工業的価値を有し、また、搬送の行為(役務)やアイテム自体は商取引の対象である点で経済的価値を有しており、これらの各分野において、幅広い産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0130】
1 物流システム
10 入荷部
10A 入荷(入庫)エリア
10C 入荷制御(工程)
11 入荷作業部
11C 入荷作業制御(工程)
12 アイテム保管部
12C アイテム保管制御(工程)
13 アイテム補充部
13C アイテム補充制御(工程)
20 集品部
20A ピッキングエリア
20C 集品制御(工程)
21 集品準備部
21C 集品準備制御(工程)
22 集品作業部
22C 集品作業制御(工程)
23 搬送走行部
23C 搬送走行制御(工程)
30 出荷部
30A 出荷(出庫)エリア
30C 出荷制御(工程)
31 出荷準備部
31C 出荷準備制御(工程)
32 出荷品保管部
32C 出荷品保管制御(工程)
33 出荷作業部
33C 出荷作業制御(工程)
40A 出荷準備エリア
50A 出荷待ちエリア
60 搬送ロボット走行エリア
200、201、202 ピッキング(フロー)ラック
210 ピッキング作業エリア
310 出荷バース
601 パーキングエリア
B 集品箱
C 制御部
M 作業員
R 搬送ロボット(AMR)
T 作業台(作業テーブル)
Z、Z1、Z2 ピッキングゾーン