(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052531
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】原子炉中性子反射体
(51)【国際特許分類】
G21C 7/28 20060101AFI20240404BHJP
G21F 3/04 20060101ALI20240404BHJP
G21F 3/00 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
G21C7/28
G21F3/04
G21F3/00 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023124135
(22)【出願日】2023-07-31
(31)【優先権主張番号】17/958,363
(32)【優先日】2022-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519461772
【氏名又は名称】エックス-エナジー, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー ライアン ルーカス
(72)【発明者】
【氏名】マイケル サイッタ
(72)【発明者】
【氏名】グウェナエル ベイナールト
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ピーター ヴァン シュターデン
(57)【要約】 (修正有)
【解決手段】中性子反射体の設計であって、内側および外側反射体部材の境界面において、内側反射体部材を半径方向に隣接する外側反射体部材で支持することにより内側反射体部材の応力を低減し、個々の内側反射体部材が、直下の反射体アセンブリの層の内側反射体部材により支持されず、内側反射体部材が直上の反射体アセンブリの層の内側反射体部材からの荷重を支える必要がないようにする。
【効果】この個々に部材を支持する配置によって個々の内側反射体部材が負担する荷重が低減されることにより、原子炉炉心に隣接する高放射束環境において増大し、応力による反射体損傷が低減される。内側反射部材は、外側反射部材を取り外す必要なく、交換のために取り外し可能である。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側反射体ブロックと、
内側反射体ブロックと、を備える中性子反射体であって、
前記外側反射体ブロックの内側表面は、前記中性子反射体の設置位置にあるときに、前記内側反射体ブロックの上面が垂直荷重を支持せず、前記内側反射体ブロックの外側表面で前記内側反射体ブロックを支持するように構成されている、中性子反射体。
【請求項2】
前記外側反射体ブロックは外周面を有し、前記外周面は、前記外側反射体ブロックが前記中性子反射体の設置位置にあるとき、前記外側反射体ブロックの前記外周面が他の外側反射体ブロックの外周面に当接して、第1のリングを形成するように構成され、
前記内側反射体ブロックは外周面を有し、前記外周面は、前記内側反射体ブロックが前記中性子反射体の設置位置にあるとき、前記内側反射体ブロックの前記外周面が他の内側反射体ブロックの外周面に当接して、前記第1のリングの内側に同心円状に第2のリングを形成するように構成されている、請求項1に記載の中性子反射体。
【請求項3】
第1のリングに配置された複数の外側反射体ブロックと、
第2のリングに配置された複数の内側反射体ブロックと、を備える中性子反射体であって、
前記複数の外側反射体ブロックのそれぞれの内側表面が前記第1のリングの中心を向き、
前記複数の外側反射体ブロックの外周面が前記第1のリングの周方向を向き、前記複数の外側反射体ブロックのうちの周方向に隣接するものの前記外周面に当接して、前記第1のリングの円弧を形成するように構成され、
前記複数の内側反射体ブロックのそれぞれの外側表面が前記第1のリングの中心を向き、
前記複数の内側反射体ブロックの外周面が前記第2のリングの周方向を向き、前記複数の内側反射体ブロックのうちの周方向に隣接するものの前記外周面に当接して、前記第2のリングの円弧を形成するように構成され、
前記複数の外側反射体ブロックの前記内側表面が、前記中性子反射体の設置位置にあるときに、前記内側反射体ブロックの上面が垂直荷重を支持せず、前記内側反射体ブロックの前記外側表面で前記複数の内側反射体ブロックを支持するように構成され、中性子反射体。
【請求項4】
前記複数の外側反射体ブロックでの前記複数の内側反射体ブロックの前記支持は、前記複数の外側反射体ブロックの少なくとも一部の前記内側表面の対応する表面機構と協働するように構成された表面機構を有する、前記複数の内側反射体ブロックの少なくとも一部の前記外側表面を含む、請求項3に記載の中性子反射体。
【請求項5】
前記表面機構は、対応する溝および突起である、請求項4に記載の中性子反射体。
【請求項6】
前記内側反射体ブロックの前記一部の前記外側表面の前記表面機構は、前記突起の少なくとも1つを含み、前記外側反射体ブロックの前記一部の前記内側表面の前記表面機構は、前記溝の少なくとも1つを含み、または、
前記外側反射体ブロックの前記一部の前記内側表面の前記表面機構は、前記突起の少なくとも1つを含み、前記内側反射体ブロックの前記一部の前記外側表面の前記表面機構は、前記溝の少なくとも1つを含む、請求項5に記載の中性子反射体。
【請求項7】
前記表面機構は、前記中性子反射体の組み立て時に前記表面機構が連結するように構成されている、請求項6に記載の中性子反射体。
【請求項8】
前記複数の内側反射体ブロックの前記一部および前記複数の外側反射体ブロックの前記一部は、前記中性子反射体の組み立て時に、前記複数の内側反射体ブロックの前記一部が、前記複数の外側反射体ブロックの前記一部に対して垂直に移動可能であるように構成されている、請求項4に記載の中性子反射体。
【請求項9】
前記対応する溝および突起は、前記複数の内側反射体ブロックおよび前記複数の外側反射体ブロックが協働して、前記外側反射体ブロックに対して前記内側反射体ブロックを所定の高さで支持するように構成されている、請求項5に記載の中性子反射体。
【請求項10】
前記所定の高さは、前記複数の内側反射体ブロックの前記一部が、前記複数の外側反射体ブロックの前記一部によって、前記複数の内側反射体ブロックの前記一部の底面でのさらなる支持を必要とせずに支持される高さである、請求項9に記載の中性子反射体。
【請求項11】
前記複数の内側反射体ブロックの前記一部のそれぞれの前記外側表面と、前記複数の外側反射体ブロックの前記一部のそれぞれの前記内側表面とが協働して貫通路を形成する、請求項10に記載の中性子反射体。
【請求項12】
前記複数の外側反射体ブロックおよび前記複数の内側反射体ブロックのうちの少なくとも一方が黒鉛から形成されている、請求項4に記載の中性子反射体。
【請求項13】
前記中性子反射体は、前記複数の外側反射体ブロックから形成された複数の第1のリング層を含み、
前記第1のリング層のそれぞれは、前記複数の内側反射体ブロックから形成された複数の第2のリング層の各1つを支持し、
前記層は、前記複数の第1のリング層が互いに積み重ねられ、前記複数の第2のリング層のそれぞれが、前記第1のリング層の前記複数の外側反射体ブロックのうちの隣接する1つでのみ支持されている状態で配置されるように構成されている、請求項12に記載の中性子反射体。
【請求項14】
複数のインサート要素をさらに備え、
前記複数のインサート要素のそれぞれは、前記複数の内側反射体ブロックのうちの1つまたは前記複数の外側反射体ブロックのうちの1つの貫通路に配置されるように構成され、
前記複数のインサート要素の少なくとも一部は、反射体層のうちのより高位にあるものの前記複数のインサート要素の別の1つの下端と協働して垂直通路を形成し、前記反射体層のうちのより低位にあるものの前記複数のインサート要素の別の1つの上端と協働して前記垂直通路を形成するように構成されている、請求項4に記載の中性子反射体。
【請求項15】
前記複数の内側反射体ブロックのうちの1つまたは前記複数の外側反射体ブロックのうちの1つの貫通路に配置されるように構成されたインサート要素をさらに備え、
前記インサート要素は、前記内側反射体ブロックと協働して、前記内側反射体ブロックの前記外側反射体ブロックから離れる動きに抵抗するように構成されている、請求項4に記載の中性子反射体。
【請求項16】
前記複数の外側反射体ブロックのうちの前記少なくとも1つの隙間は、上面から底面まで、および前記外側反射体ブロックの内側表面から前記複数の外側反射体ブロックのうちの前記少なくとも1つの前記貫通路まで延び、
前記複数の外側反射体ブロックの前記少なくとも1つには前記隙間を埋める部分が存在しない、請求項15に記載の中性子反射体。
【請求項17】
複数のインサート要素をさらに備え、
前記複数のインサート要素の少なくとも一部は、前記複数の内側反射体ブロックのうちの1つの貫通路に配置されるように構成され、
前記複数のインサート要素のそれぞれは、複数の内側反射体ブロックの各1つと協働して、前記複数の内側反射体ブロックの前記各1つの前記複数の外側反射体ブロックの各1つから離れる動きに抵抗するように構成されている、請求項5に記載の中性子反射体。
【請求項18】
前記複数の内側反射体ブロックの前記一部のそれぞれの前記外周面は、前記複数の内側反射体ブロックの前記一部の隣接するものの対応する段差面と当接して、前記内側反射体ブロックの隣接するものの間の隙間を通る漏洩中性子束を抑制するように構成された段差面を含む、請求項5に記載の中性子反射体。
【請求項19】
前記複数の外側反射体ブロックの前記一部のそれぞれの前記外周面は、前記複数の外側反射体ブロックの前記一部の隣接するものの対応する段差面と当接して、前記外側反射体ブロックの隣接するものの間の隙間を通る漏洩中性子束を抑制するように構成された段差面を含む、請求項5に記載の中性子反射体。
【請求項20】
第1のリングに配置された複数の外側中性子反射手段と、
第2のリングに配置された複数の内側中性子反射手段と、を備える中性子反射体であって、
前記複数の外側中性子反射手段のそれぞれの内側表面が前記第1のリングの中心を向き、
前記複数の内側中性子反射手段のそれぞれの外側表面が前記第1のリングの中心を向き、
前記複数の外側中性子反射手段の前記内側表面が、前記中性子反射体の設置位置にあるときに、前記複数の内側中性子反射手段の上面が垂直荷重を支持せず、前記内側中性子反射手段の前記外側表面で前記複数の内側中性子反射手段を支持するための手段を含む、中性子反射体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー省から受注した契約番号DE-NE0009040に基づき政府の支援を受けてなされたものである。政府は本発明に一定の権利を有する。
【0002】
炭素は、主として黒鉛の形でガス冷却原子炉に使用されてきた。黒鉛は、炭素の異方性結晶形態であり、強く共有結合した炭素環の平面層が、層間の比較的弱いファンデルワールス相互作用によって結合している。より弱い結合は、比較的弱いせん断強度をもたらす。中性子を照射すると、いくつかの炭素原子が変位し、結晶格子に空孔が生じ、原子が格子間位置に入り込む。特に高温では、移動度が増加し、原子の移動により格子サイズの変化とそれに伴う一方向の膨張が生じる可能性がある。これは、より弱いファンデルワールス結合が、通常、平面層の強い共有結合の前に切断されるためである。炭素は、より高温での酸化によって分解することも知られており、これは、寸法変化の速度を増加させ、材料強度を実質的に低下させ得る。
【0003】
中性子反射構造、例えば黒鉛の形の炭素から形成されている構造は、核分裂事象において放出された中性子を反射して炉心内に戻すために、原子炉容器内に設置され得る。このように中性子を反射することで、炉心の外側の物質(例えば、原子炉容器の金属)への照射を低減でき、ある程度の中性子の減速を提供でき、核分裂性燃料を含有する炉心の領域において中性子束を増加させることができる。炉心の半径方向外側の領域における中性子束の増加は、(炉心中央の中性子束と比較して)炉心全体の中性子分布を平坦化することに役立ち、それによって炉心全体にわたる燃料のより均等な消費をもたらすことに有利であり得る。
【発明の概要】
【0004】
実施形態において、中性子反射体は、対応する内側反射体ブロックのリングの層の半径方向外側にくさび形の外側反射体ブロックのリングの層を含む。内側反射体ブロックは、外側反射体ブロックの部分的な遮蔽を提供して、外側ブロックの劣化の速度および量の低減を支援する。その配置上、内側反射体ブロックは、炉心からの中性子照射に最も多く曝露される。
【0005】
内側反射体ブロックは、それぞれの外側反射体ブロックによって個々に支持されており、垂直高さにおいて外側反射体ブロックよりもわずかに小さく、上下に隣接する内側反射体ブロック間に縦方向の隙間を確保する。これは、従来の反射体設計にあったような、上に配置されたブロックの自重による内側反射体ブロックへの負荷をなくすという大きな利点を有する。このアプローチでは、外側反射体ブロックを取り外す必要なく、内側反射体ブロックを交換のために取り外すことができるため、反射体の大部分を分解するのではなく、内側反射体ブロックを選択的に取り外して交換することがさらに可能になる。これは、反射体のメンテナンスを簡素化し、コストを低減する可能性があり、発電サイクルの間に原子炉を停止しなければならない時間を最小限に抑えることに役立ち得る。
【0006】
一実施形態では、内側反射体ブロックの半径方向外側表面には、くさび形の突出部または溝のような表面機構が設けられており、これらは外側反射体ブロックの半径方向内側表面の対応する表面機構と協働するように構成されている。相補的な表面機構は、好ましくは傾斜しており、内側反射体ブロックが外側反射体ブロックの半径方向内側の面の所定位置に降下されると、傾斜面が外側反射体ブロックに対して所望の垂直高さで内側反射体の動きを阻むように配置された表面を有する。この配置では、外側反射体ブロックは、それが支えている内側反射体ブロックの重量のみを支持する。これは、反射体アセンブリの上位層に垂直方向に配置された内側反射体ブロックが、下方の内側反射体ブロックに負担をかけなくなるためである(上位の内側反射体ブロックも各自の外側反射体ブロックに独立して支持されている)。この個々にブロックを支持するアプローチは、個々の内側反射体ブロックの負荷応力を完全には除去しないにしても実質的に低減し、ひいては、応力に起因して増大し、放射線によって引き起こされる内側反射体ブロックの劣化を著しく減少させる。
【0007】
外側反射体ブロックは、1つの内側反射体ブロックまたは複数の周方向に隣接する内側反射体ブロックを支持するような大きさであってもよい。上下区画外側反射体ブロックの半径方向内側を向く面が、組み合わされたときに、内側反射体ブロックの半径方向外側を向く面に適切な内側反射体ブロックの支持面機構を提供する限り、内側反射体ブロックは、2つ以上の上下区画外側反射体ブロックの積み重ねで支持されていてもよい。
【0008】
内側反射体ブロックには、計器または制御棒などの機器を収容する縦方向の貫通路が設けられていてもよい。好ましくは、貫通路にはインサート要素が設けられ、これは、好ましくは反射体ブロックの垂直高さに適合する垂直高さを有する概ね円筒状セグメントの形である。円筒状セグメントはさらに、その上端に円周フランジおよび/または横方向突出部を備えていてもよく、これらは内側反射体ブロックの相補的な凹部と協働して、反射体アセンブリの完成時に内側反射体ブロックの押さえ付けを支援するように構成され、結果としてアセンブリ内の管状セグメントの列が、外側反射体ブロックに対するそれぞれの内側反射体ブロックの上方への移動を抑制する。
【0009】
本発明の反射体ブロックの配置はまた、反射体の組み立て時間および労力を著しく削減し得る。従来の反射体の設計では、反射体はその支持構造(例えば、炉心バレルの底部付近の支持体)上に組み立てられ、ブロックを積み重ねる工程において層ごとに積み上げる必要があった。なぜなら、それぞれの新しいブロックの層はその下の層により支持されていたためである。個々の内側反射体カーボンブロックを外側カーボン反射体ブロックで支持するこのアプローチでは、任意の数のブロック層を組み立てて、反射体ブロック層のサブアセンブリまたはセグメントを形成してもよい。これにより、原子炉容器から離れた場所で反射体ブロック層のサブセットを事前に組み立てた後、原子炉容器内に複数のセグメントを1つずつ迅速に配置して中性子反射体を構築することが可能になる。好ましい実施形態では、炉心バレルがセグメントで形成されてもよく、各セグメントは、セグメント内に所望の数の反射体ブロック層を収容する大きさとされている。炉心バレルおよび反射体ブロックのセグメントを原子炉容器から離れて遠隔で組み立てることにより、事前に組み立てられたセグメントの炉心バレルおよび反射体が並行して迅速に構築され得るため、原子炉組み立て時の時間およびコストのさらなる削減につながる可能性があり、潜在的に軽量となるサブアセンブリが、原子炉を整備するために必要なクレーン容量を低減させ得る。
【0010】
上記は、上記の発明の概要または以下の詳細な説明に限定されない。例えば、炭素から形成された反射体ブロックに限定されるものではない。さらに、支持構造の相補的な配置は記載された溝および突起に限定されず、内側反射体ブロックが上に重なるブロックからの荷重を支えたり下から支持されたりする必要なく、外側反射体ブロックが内側反射体ブロックを支持することを可能にする任意の構造配置を含む。
【0011】
他の目的、利点、および新規な特徴は、添付の図面と併せて考慮すると、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】
図1Aおよび1Bは、原子炉容器内に反射体ブロックを積み重ねるための従来のアプローチを概略的に示す。
【
図1B】
図1Aおよび1Bは、原子炉容器内に反射体ブロックを積み重ねるための従来のアプローチを概略的に示す。
【
図2A】
図2A~2Dは、それぞれ実施形態の斜視図および平面図を示す。
【
図2B】
図2A~2Dは、それぞれ実施形態の斜視図および平面図を示す。
【
図2C】
図2A~2Dは、それぞれ実施形態の斜視図および平面図を示す。
【
図2D】
図2A~2Dは、それぞれ実施形態の斜視図および平面図を示す。
【
図3A】
図3Aおよび3Bは、内側反射体ブロックの実施形態の斜視図を示す。
【
図3B】
図3Aおよび3Bは、内側反射体ブロックの実施形態の斜視図を示す。
【
図4】
図3Aおよび3Bの内側反射体ブロックの半径方向内側表面の立面図を示す。
【
図5】
図3Aおよび3Bの内側反射体ブロックの半径方向外側表面の立面図を示す。
【
図6】
図3Aおよび3Bの内側反射体ブロックの周方向側面の立面図を示す。
【
図7A】
図7Aおよび7Bは、それぞれ
図3Aおよび3Bの内側反射体ブロックの上面および下面の平面図を示す。
【
図7B】
図7Aおよび7Bは、それぞれ
図3Aおよび3Bの内側反射体ブロックの上面および下面の平面図を示す。
【
図8A】
図8A、8Bおよび8Cは、半径方向内側表面に円状窪みのそれぞれの部分を有する内側反射体の他の実施形態および円状窪みの全ての部分を一緒に含むサブアセンブリの斜視図を示す。
【
図8B】
図8A、8Bおよび8Cは、半径方向内側表面に円状窪みのそれぞれの部分を有する内側反射体の他の実施形態および円状窪みの全ての部分を一緒に含むサブアセンブリの斜視図を示す。
【
図8C】
図8A、8Bおよび8Cは、半径方向内側表面に円状窪みのそれぞれの部分を有する内側反射体の他の実施形態および円状窪みの全ての部分を一緒に含むサブアセンブリの斜視図を示す。
【
図9】内側反射体ブロックの別の実施形態の半径方向内側側面の立面図を示す。
【
図10】内側および外側反射体ブロックの別の実施形態の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
中性子を反射するための1つのアプローチは、円筒形の反射体内の炉心の周りに同心円状にカーボンブロックを積み重ねることによって、炉心の周りに周方向に炭素を配置することであり、これは、典型的には、炉心と、原子炉容器への核および熱照射を低減するために原子炉容器内に設置された円筒状の金属遮蔽体(「炉心バレル」としても知られる)との間に配置される。従来の「積み重ね」配置の例が
図1Aおよび1Bに概略的に示されており、それぞれ、カーボンブロックが、垂直整列で、またはオフセットして、直接積み重ねられている。図示を明確にするため、
図1Aおよび1Bでは、カーボンブロックの中および周囲の関連する構造は省略されている。
図1Bの「架橋」ブロック配置は好ましくない。なぜならブロックの劣化またはブロックの移動の他の原因が、ブロックに不均等な負荷をもたらす可能性があり、高位のブロックの自重荷重を低位のブロックの一部のみに集中させるからである。この高い局所的荷重は、反射体ブロックのより重荷重の部分にかかるより高い応力、およびブロックのより重荷重の部分と軽荷重の部分との間のせん断応力を増加させる荷重差の両方から生じる亀裂によるブロック破損の可能性を増大させ得る。
【0014】
炉心の周囲の中性子反射アレイ内にカーボンブロックを配置する従来のアプローチは、いくつかの不利な点を有する。カーボンブロックは、原子炉容器内部の高温かつ高放射線環境に配置されているため、セメント接着または他の方法で結合することができない。したがって、カーボンブロックは互いの上に積み重ねる必要があり、その結果、積み重ねたものの中の下位のブロックは、反射体アセンブリ内のそれらの上に積み重ねられた全てのカーボンブロックの自重荷重を負担しなければならない。原子炉環境では、これにより反射体ブロックの耐用年数が大幅に縮小する可能性がある。これは、機械的応力レベルが高いほど、高温かつ高中性子照射環境におけるカーボンブロックの劣化速度を増加させ得るためである。このような構成はまた、原子炉の整備事象の際にカーボンブロックを交換するために、反射体構造を垂直に通過する様々な構造(例えば、計装管、制御棒、および冷却材貫通ライナー)の全てを除去することを含む、大量の分解作業が必要とされるという不利な点を有し、下位の反射体ブロックを除去し得る前に、下位の反射体ブロックの上にある反射体の積み重ねのカーボンブロックの自重の全てを除去する必要がある。
【0015】
図2Aに示されている実施形態は、内側反射体ブロック30が外側反射体ブロック20により支持されている斜視図である。このサブアセンブリの上面の平面図が
図2Bに示されている。本実施形態の反射体ブロックは、黒鉛から形成されているが、この特定の材料に限定されない。
【0016】
図2Aに見ることができるのは、上下方向に配置された3層の外側反射体ブロック20であり、各層が2つの内側反射体ブロック30を支持している。最下層の外側反射体ブロック20は1ピースのブロック23であるが、中間および上部の外側反射体ブロック20は両方とも2つの上下区画外側反射体ブロック24、25から形成されている。これらの外側反射体ブロックは単なる例示であり、1ピースおよび複数ピースの外側反射体ブロックの任意の組み合わせが反射体アセンブリ層に使用されていてもよいし、単一種類の外側反射体ブロックが全ての層に使用されていてもよい。
【0017】
図2Aおよび2Bの両方に示されるように、内側反射体ブロック30は、内側反射体ブロック30のくさび形突起31の形の表面機構および外側反射体ブロック20の溝21の形の相補的な表面機構によって、外側反射体ブロック20に支持されている。内側および外側反射体ブロックはまた、協働して縦方向の貫通路5を形成するように形作られており、本実施形態では、計器または制御棒(インサート要素は以下でさらに説明する)などの機器を収容するためのインサート要素6(内側ライナーセグメントとしても知られる)を有する円筒状の通路である。他の実施形態では、貫通路が内側または外側反射体ブロックのいずれかの中に完全に含まれていてもよいし、通路が存在しなくてもよい。
【0018】
図2Aおよび2Bの反射体ブロックは、反射体ブロックのリングの円弧状部分を形成する。これらの図は、反射体ブロックの周方向側面27、37も示しており、これらは、隣接する反射体ブロックが当接し、互いに協働してリングを形成するように、反射体ブロックのリングの中心軸からの半径に概ね沿って角度が付けられている。外側反射体ブロックは、原子炉容器内の異なる場所の間にヘリウムガスのような冷却媒体を伝導する等の様々な目的のために、貫通路28のような貫通路を収容していてもよい。外側反射体ブロックの貫通路には、流体密封のインサート要素7(外側ライナー要素としても知られる)が設けられていることが好ましい。
【0019】
本実施形態には、キー29を収容する、外側反射体ブロックの周方向側面の縦方向のスロットも示されている。キー29は隣接する外側反射体ブロックの間の隙間を通る中性子の漏れを最小限に抑えるために使用され得ると同時に、外側反射体ブロックの整列をそれらの耐用年数にわたって維持することに役立つ。
【0020】
本実施形態では、内側反射体ブロック30の周方向側面37には段差面38が設けられ、これは、周方向に隣接する内側反射体ブロックの対応する段差面と協働するように構成されている。これらの相補的な配置の例は
図2Bに見ることができる。
【0021】
図2Cは、外側反射体ブロックの貫通路28を有する外側反射体ブロック20の斜視図を示す。また、外側反射体ブロック20の半径方向内側表面22の曲面機構も示され、これは、内側反射体ブロック30の半径方向外側表面32の対応する曲面と協働して、貫通路5を形成する。本実施形態では、上下区画外側反射体ブロック24内の貫通路28の上端は環状凹部を有しており、これはインサート要素7の上端の環状フランジの少なくとも一部を収容する。
【0022】
外側反射体ブロックの貫通路28から半径方向内側表面22に延びているのは、隙間8である。これらの隙間はまた、外側反射体ブロック20の上から下まで延びており、外側反射体ブロックのいかなる材料も隙間を埋めていない。隙間8は、適切な工具によって、例えば外側反射体ブロックを縦に切断する鋸刃を用いて形成され得る。隙間8は、照射により蓄積される応力を減少させるために設けられており、これは、有利には、より大きな外側反射体ブロック20の使用を許容し、外側反射体ブロックのリングの周囲の半径方向の隙間の数を減らすことによって冷却媒体(例えば、ヘリウム)の半径方向の漏れを低減する。より大きな外側反射体ブロックの使用はまた、中性子反射体を構築するのに必要な部品の数を減らすことによって、コストおよび組み立ての複雑さを低減させ得る。
【0023】
図2Dは、ライナーセグメント6の上端に横フランジ63が設けられた代替的な実施形態を示す。ライナーセグメント6は、ひいてはアセンブリ内でその上にある反射体アセンブリ要素(例えば、直上にある別のライナーセグメント6)により押さえ付けられ、横フランジ63は、内側反射体ブロック30の上面の対応する凹部66に嵌合するように形作られ、内側反射体ブロックの上下方向の移動を阻止する役割を果たす。
【0024】
図3Aおよび3Bは、内側反射体ブロック30の実施形態に焦点を当てた斜視図である。内側反射体ブロック30は、設置位置にあるときに炉心に面する半径方向内側表面33と、半径方向外側表面32とを有する。
図4~6および
図7A~7Bは、それぞれ、
図3Aおよび3Bの内側反射体の実施形態における半径方向内側、半径方向外側、円周側、上側および底部側の図である。
【0025】
本実施形態における内側反射体ブロック30の半径方向外側表面32は、くさび形突起31を含み、これは、外側反射体ブロックの半径方向内側表面の相補的な溝と協働するように構成されている。本実施形態では、くさび形突起31は、傾斜した停止面36を下端に有し、これは、内側反射体ブロックの重量を外側反射体ブロックで支える、外側反射体ブロックの半径方向内側表面の相補的な傾斜面26と協働する。停止面は図示されている角度に限定されず、異なる形状を有していてもよい。例えば、停止面は、それぞれの外側反射体ブロックから突出する相補的な段部に載置される水平な段部であってもよい。他の実施形態は、例えば、
図10に示されるような凹状の角を有する水平な段部を含む。
【0026】
なお、本実施例では、半径方向内側表面33は、半径方向内側表面33の右上隅に円状窪み34の1/4を含む。
図3Aおよび3Bの内側反射体ブロック30が、
図8A、8B、および8Cに示される円状窪み34の残りの4分の3を含む同様の内側反射体ブロックと隣接して積み重ねられると、
図2Aに示されるように、反射体アセンブリの炉心に面する表面に完全な円状窪みが形成される。円状窪みの目的は、ガス冷却ペブルベッド型原子炉における原子炉燃料の垂直運動を補助することである。これは任意選択的な特徴であり、省略されてもよい。
【0027】
内側反射体ブロック30の周方向側面37は、内側反射体ブロックのリングへの組み立てを容易にするために、反射体ブロックのリングの半径に沿ってテーパー状になっている。本実施形態における周方向側面37のそれぞれは、
図2Aに示されるように、周方向に隣接する内側反射体ブロックの逆向きの相補的な段部と協働するように構成された段部38を含み、これはブロックの隣接する外周面が平坦だった場合に存在するであろう隙間を通した中性子の漏れを抑制する障壁を提供する。
【0028】
本実施形態における内側反射体ブロック30の上面39および下面40は、概ね平面であるが、平らな形状にのみ限定されるものではない。例えば、底面40は、その下の反射体ブロック層の
図2Aおよび
図2Bのインサート要素の上部フランジを収容するように構成された凹部を含んでいてもよい。内側反射体ブロックは、表面が滑らかな半径方向内側表面を有することに限定されない。
図9に示す滑らかな表面の実施形態、または特定の所望の反射体アセンブリの内側表面を提供するように設計された可変の輪郭の表面等、他の表面構成が使用されてもよい。
【0029】
図3Aおよび3Bでは、内側反射体ブロック30は、概ね円筒状の反射体アセンブリにおいて、その様々な表面が隣接する反射体ブロックに密着するように、テーパー状である、および/または複数の方向に湾曲している。実施形態は図示されているテーパーに限定されず、代わりに、内側反射体ブロックが隣接する内側反射体ブロックと協働して反射体リング層を形成し、好ましくはブロック間の隙間を介した中性子の漏れを最小限に抑えるように、内側反射体ブロックの様々な側面が必要に応じて反射体アセンブリに適合するように成形されていてもよい。
【0030】
図10の実施形態は、内側反射体ブロック130および外側反射体ブロック120サブアセンブリの斜視図である。上述の実施形態と対照的に、外側反射体ブロックで内側反射体ブロックを支持する表面機構は、連結する突起および溝のような垂直配向の機構ではなく、代わりに水平な棚状突起126、136である。好ましくは、棚状突起は相補的な傾斜面を有し、これらは協働して、内側反射体ブロックを支持する垂直方向の止め具となるだけでなく、内側反射体ブロック130の上方への動きおよび/または外側反射体ブロック120から半径方向内側に離れる動きに抵抗する傾向がある。
【0031】
図10はまた、
図2Dに示されているようなライナーセグメントの横フランジを収容し、棚状突起126、136の傾斜面の傾斜に沿った垂直方向の上昇に対抗して内側反射体ブロック130を下向きに付勢するために設けられた凹部166を示す。
【0032】
外側反射体ブロックで個々の内側反射体ブロックを支持するための停止面の使用は、厳密に角度が付けられた、または水平に配向された表面機構に限定されるものではなく、外側反射体ブロックが内側反射体ブロックを個々に支持することができるように内側反射体ブロックが外側反射体ブロックに支持されていればよい。例えば、本実施形態の棚状突起は、「V」字型に配置された表面機構の相補的な側面または相補的な曲面を有していてもよい。
【0033】
上述の開示は、単に例示として説明されたものであり、限定することを意図したものではない。当業者が本発明の精神および内容を組み込んだ開示された実施形態の変更を思い付く可能性があるため、本発明は添付の請求項およびその均等物の範囲内の全てを含むものと解釈されるべきである。
【外国語明細書】