(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052540
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】基板処理装置及び基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/306 20060101AFI20240404BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
H01L21/306 R
H01L21/304 643A
H01L21/304 651L
H01L21/304 651M
H01L21/304 648L
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023130354
(22)【出願日】2023-08-09
(31)【優先権主張番号】P 2022158339
(32)【優先日】2022-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002428
【氏名又は名称】芝浦メカトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】土持 鷹彬
【テーマコード(参考)】
5F043
5F157
【Fターム(参考)】
5F043BB23
5F043DD13
5F043EE07
5F043EE08
5F043EE10
5F043EE12
5F043EE37
5F157AA43
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB33
5F157AB90
5F157AC01
5F157AC13
5F157BB22
5F157BH18
5F157CE61
5F157CF14
5F157CF16
5F157CF22
5F157CF42
5F157CF44
5F157CF60
5F157CF99
5F157DB02
5F157DB37
(57)【要約】 (修正有)
【課題】処理液の温度を測定し、測定温度に応じて加熱部の温度を制御することにより、処理液を所望の温度に維持して、所望のエッチングレートで基板を処理できる基板処理装置及び基板処理方法を提供する。
【解決手段】実施形態の基板処理装置1は、基板Wを回転させる回転体10、処理液Lを供給する供給部40、基板Wに接離する方向に移動可能なプレート50、処理液Lを加熱する加熱部60、プレート50の設置孔51に収容され、基板Wの被処理面に供給された処理液Lの温度を非接触で測定する温度計70、設置孔51の内側壁における温度計70よりも下側に開口し、温度計70の下方に不活性ガスGを供給する給気口52、温度計70よりも下側に開口し、給気口52から供給された不活性ガスGを排出する排気口55及び温度計70により測定された温度に応じて、加熱部60を制御する制御部90を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持部により保持された基板を回転させる回転体と、
前記基板の被処理面に、加熱された処理液を供給する供給部と、
前記被処理面に対向する位置に設けられ、前記基板に接離する方向に移動可能なプレートと、
前記プレートを前記基板に対して進退させる駆動部と、
前記プレートに設けられ、前記基板の前記被処理面に供給された前記処理液を加熱する加熱部と、
前記プレートに形成されて前記被処理面側に開口した設置孔に収容され、前記基板の前記被処理面に供給された前記処理液の温度を非接触で測定する温度計と、
前記設置孔の内側壁における前記温度計よりも下側に開口し、前記温度計の下方に不活性ガスを供給する給気口と、
前記設置孔の前記内側壁における前記給気口と異なる位置であって、前記温度計よりも下側に開口し、前記給気口から供給された前記不活性ガスを排出する排気口と、
前記温度計により測定された温度に応じて、前記加熱部を制御する制御部と、
を有することを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記加熱部は、前記プレートの径方向の異なる位置に複数設けられ、
前記温度計は、前記プレートの径方向の異なる位置に複数設けられていることを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記排気口は、前記給気口よりも下方に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記給気口は、前記温度計と上下方向に間隔を空けて設けられていることを特徴とする請求項3記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記不活性ガスは、水蒸気より軽いガスであることを特徴とする請求項4記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記給気口に接続され、前記温度計の周囲を、隙間を空けて覆う筒状の給気路を有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記給気口に前記不活性ガスを供給する給気部と、
前記排気口から前記不活性ガスを排気する排気部と、
前記給気部に設けられ、前記不活性ガスの流量を所定量とするバルブと、
前記不活性ガスの供給流量を測定する測定部と、
前記排気部に設けられ、前記不活性ガスの排気流量を調整する調整部と、
を有し、
前記制御部が、前記測定部による測定結果に応じて、前記排気流量を調整するように前記調整部を制御することを特徴とする請求項1または請求項2記載の基板処理装置。
【請求項8】
回転体が、保持部により保持された基板を回転させ、
前記基板の被処理面に対向する位置に設けられ、前記基板に接離する方向に移動可能なプレートに形成され、前記被処理面側に開口した設置孔に設けられた給気口から不活性ガスを供給し、
前記設置孔に設けられた排気口から前記不活性ガスを排出し、
前記プレートを前記基板に接近させて、供給部が前記基板の前記被処理面に加熱された処理液を供給し、
前記プレートに設けられた加熱部によって前記処理液を加熱し、
前記設置孔内に収容され、前記給気口及び前記排気口よりも上に設けられた温度計によって、前記処理液の温度を非接触で測定し、
制御部が、前記温度計により測定された温度に応じて、前記加熱部を制御する、
ことを特徴とする基板処理方法。
【請求項9】
前記給気口に前記不活性ガスを供給する給気部に設けられたバルブによって、前記不活性ガスの流量を所定量とし、
測定部によって、前記給気部の前記不活性ガスの供給流量を測定し、
前記制御部が、前記測定部による測定結果に応じて、前記排気口から前記不活性ガスを排気する排気路に設けられた調整部によって、前記不活性ガスの排気流量を制御する、
ことを特徴とする請求項8記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェーハなどの基板に積層された膜を、処理液によりエッチングするウェットエッチングの装置として、複数枚の基板を一括して処理液に浸漬させるバッチ式の基板処理装置が存在する。このようなバッチ式の基板処理装置は、複数枚を一括して処理できるので、生産性が高い。
【0003】
但し、バッチ式の基板処理装置は、複数枚の基板を共通の条件の処理液内に浸漬させるので、各基板に形成された膜厚等の相違に応じて、基板ごとにエッチングの深さ等を細かく調整することが難しい。そこで、基板を回転させながら、基板の回転中心付近にエッチング用の処理液を供給して、基板の表面に処理液を広げることにより、基板を一枚ずつ処理する枚葉式の基板処理装置が使用されている。
【0004】
エッチング用の処理液としては、フッ酸やリン酸、硫酸などの酸系の液体が用いられる。例えば、酸化膜と窒化膜が積層された基板において、窒化膜をエッチングする場合、処理液としてリン酸の水溶液(リン酸溶液)を利用する基板処理装置がある。リン酸溶液は、温度が高いほどエッチング性能が高く、リン酸溶液の温度が下がるとエッチング性能が低下してしまう。このため、所望のエッチングレートを得るには、リン酸溶液を高温に維持しなければならない。例えば、リン酸溶液を150℃~160℃に加熱して基板に供給することにより、窒化膜をエッチングしている。
【0005】
しかしながら、シリコンウェーハ等の基板は、熱伝導率が高い。すると、基板の表面に供給されたリン酸溶液は、その熱が基板を介して逃げてしまい、温度が低下しやすい。つまり、基板の回転中心付近に供給されたリン酸溶液は、回転中心付近では高温になっているが、基板の外周に向かって移動するに従って、放熱により温度が低下していくことになる。
【0006】
このように基板の表面上の位置によって、リン酸溶液の温度が相違すると、基板の表面上の位置によってエッチングレートに差が生じるため、基板の全体を均一に処理することが難しくなる。これに対処するため、基板の表面上のリン酸溶液の温度を維持しながら、エッチング処理する基板処理装置がある(特許文献1参照)。
【0007】
この基板処理装置は、基板表面の上方に、基板の表面を覆う程度の大きさのヒータプレートを設け、ヒータプレートを基板の表面に接近させて、ヒータプレートの中心付近に設けられた吐出口から高温のリン酸溶液を供給する。基板とヒータプレートとの間の距離は、数ミリ程度であり、リン酸溶液は加熱されながら基板表面上を流れることになる。これにより、リン酸溶液のエッチング性能を維持できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上のようなヒータプレートを用いた基板処理装置においては、所望のエッチングレートを得るために、処理中の処理液の温度を、所望の温度に維持する必要がある。そこで、従来は、ヒータプレートの温度を測定することで、測定温度に応じてヒータプレートの温度を制御して、処理液の温度を維持していた。しかしながら、ヒータプレートの温度を測定しても、処理液の温度を測定しているわけではないので、処理液が所望の温度を維持できているかどうかは正確にはわからない。
【0010】
処理液の温度を測定するための温度計としては、例えば、赤外線を用いて非接触で温度を測定する放射温度計がある。但し、処理中の基板は、ヒータプレートに覆われているので、処理液の温度を遠隔から測定することは難しい。これに対処するため、ヒータプレートの基板に対向する面に、温度計を設けることが考えられる。しかし、かかる温度計は、処理液に近接することになるので、温度計に高温の処理液の蒸気がかかることにより、温度計が破損する。すると、測定される温度が不正確になることや、温度測定ができなくなるため、処理液を所望の温度とすることが困難となる。
【0011】
本発明の実施形態は、上述のような課題を解決するために提案されたものであり、その目的は、処理液の温度を測定し、測定温度に応じて加熱部の温度を制御することにより、処理液を所望の温度に維持して、所望のエッチングレートで基板を処理できる基板処理装置及び基板処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の実施形態の基板処理装置は、保持部により保持された基板を回転させる回転体と、前記基板の被処理面に、加熱された処理液を供給する供給部と、前記被処理面に対向する位置に設けられ、前記基板に接離する方向に移動可能なプレートと、前記プレートを前記基板に対して進退させる駆動部と、前記プレートに設けられ、前記基板の前記被処理面に供給された前記処理液を加熱する加熱部と、前記プレートに形成されて前記被処理面側に開口した設置孔に収容され、前記基板の前記被処理面に供給された前記処理液の温度を非接触で測定する温度計と、前記設置孔の内側壁における前記温度計よりも下側に開口し、前記温度計の下方に不活性ガスを供給する給気口と、前記設置孔の前記内側壁における前記給気口と異なる位置であって、前記温度計よりも下側に開口し、前記給気口から供給された前記不活性ガスを排出する排気口と、前記温度計により測定された温度に応じて、前記加熱部を制御する制御部と、を有する。
【0013】
本発明の実施形態の基板処理方法は、回転体が、保持部により保持された基板を回転させ、前記基板の被処理面に対向する位置に設けられ、前記基板に接離する方向に移動可能なプレートに形成され、前記被処理面側に開口した設置孔に設けられた給気口から不活性ガスを供給し、前記設置孔に設けられた排気口から前記不活性ガスを排出し、前記プレートを前記基板に接近させて、供給部が前記基板の前記被処理面に加熱された処理液を供給し、前記プレートに設けられた加熱部によって前記処理液を加熱し、前記設置孔内に収容され、前記給気口及び前記排気口よりも上に設けられた温度計によって、前記処理液の温度を非接触で測定し、制御部が、前記温度計により測定された温度に応じて、前記加熱部を制御する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の実施形態は、処理液の温度を測定し、測定温度に応じて加熱部の温度を制御することにより、処理液を所望の温度に維持して、所望のエッチングレートで基板を処理できる基板処理装置及び基板処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態の基板処理装置の構成を示す図である。
【
図2】
図1の設置孔に温度計を収容したプレートの内部構造を示す軸方向の断面図である。
【
図3】実施形態の基板処理装置の処理手順を示すフローチャートである。
【
図4】温度計を収容したプレートの比較例を示す断面図である。
【
図5】設置孔に温度計を収容したプレートの変形例を示す断面図である。
【
図6】不活性ガスの給排気制御の変形例を示す説明図である。
【0016】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
[概要]
本実施形態の基板処理装置1は、
図1に示すように、基板Wを回転体10とともに回転させながら、供給部40において加熱された処理液Lを、基板Wの一方の面(以下、被処理面とする)に供給することにより、被処理面を処理する。このとき、
図2に示すように、駆動部80が、加熱部60(ヒータ61)を有するプレート50を基板Wの被処理面に接近させて、プレート50と基板Wとの間の空間を狭めることにより、熱を逃げ難くするとともに加熱して、処理液Lの温度低下を抑制する。プレート50は、基板Wに非接触で、且つ基板Wに対して進退可能である。
【0017】
なお、本実施形態により処理される基板Wは、例えば、窒化膜が形成されたシリコンウェーハであり、処理液Lとしては、窒化膜をエッチングするためのリン酸溶液を用いる。
【0018】
[構成]
基板処理装置1は、
図1及び
図2に示すように、回転体10、回転機構20、保持部30、供給部40、プレート50、加熱部60、温度計70、駆動部80、制御部90を有する。
【0019】
(回転体)
回転体10は、保持部30に保持された基板Wを回転させる。回転体10は、保持部30に保持された基板Wに間隔を空けて対向するテーブル11を有する。回転体10は、一端がテーブル11によって塞がれた円筒形状である。テーブル11は、基板Wよりも大きな径の円形の面である。
【0020】
回転体10は、処理液Lに対して耐性を有する材料で形成されている。例えば、PTFE、PCTFEなどのフッ素系の樹脂により、回転体10を構成することが好ましい。なお、このような回転体10は、図示はしないが、設置面又は設置面に設置された架台に固定された固定ベース上に、後述する回転機構20によって回転可能に設けられている。
【0021】
なお、回転体10の周囲には、セパレータ12、カップ13が設けられている。セパレータ12、カップ13は、上部の径が窄まるように屈曲された筒状体であり、セパレータ12は内側、カップ13は外側となるように同心円状に配置されている。セパレータ12及びカップ13の底面には、それぞれ処理液Lを排液するための排液口12a、13aが設けられている。セパレータ12、カップ13は、回転する基板Wから飛散する各種の処理液Lを、基板Wの周囲から受ける。セパレータ12が受けた処理液Lは、排液口12aを介して図示しない回収経路に排出され、カップ13が受けた処理液Lは、排液口13aを介して図示しない排液経路に排出される。
【0022】
(回転機構)
回転機構20は、回転体10を回転させる機構である。回転機構20は、駆動源21を有する。駆動源21、固定ベースに固定され、中空の回転子とこれを回転させる固定子を有する中空モータである。駆動源21は、固定子のコイルに通電することにより、回転子とともに回転体10を回転させる。
【0023】
(保持部)
保持部30は、テーブル11と平行に且つ間隔を空けて、基板Wを保持する。保持部30は、保持ピン31を有する。保持ピン31は、図示しない駆動機構によって回転体10の軸と平行な軸を中心に、偏心回転することにより、基板Wの縁部に接して基板Wを保持する保持位置と、基板Wの縁部から離れることにより基板Wを解放する解放位置との間を移動する。
【0024】
(供給部)
供給部40は、
図1に示すように、基板Wの被処理面、つまり保持部30に保持された基板Wのテーブル11と反対側の面に、処理液Lを供給する。供給部40は、2種の処理液Lを供給する処理液供給機構411、412を有する。
【0025】
処理液供給機構411は、処理液Lとしてリン酸(H3PO4)を含む水溶液(以下、リン酸溶液とする)を供給する。処理液供給機構412は、処理液Lとして純水(H2О)を供給する。処理液供給機構411、412は、それぞれの処理液Lを貯留する処理液槽41aを有している。
【0026】
各処理液槽41aは、それぞれ処理液供給管41bに接続されている。処理液供給管41bは、その先端部が保持部30に保持された基板Wに対向している。これにより、各処理液槽41aからの処理液Lは、処理液供給管41bを介して、基板Wの表面に供給される。
【0027】
各処理液供給管41bには、それぞれバルブ41c、流量計41dが設けられている。バルブ41cは、流量の調節機能とОN/OFF機能を有している。各バルブ41cが、対応する処理液槽41aから処理液供給管41bに流れ込む処理液Lの量を調整する。各処理液供給管41bを流れる処理液Lの量は、対応する流量計41dにより検出される。なお、各処理液槽41aに貯留される処理液Lの生成設備及び生成方法は特定のものには限定されない。
【0028】
(プレート)
プレート50は、基板Wの被処理面に対向する位置に設けられ、基板Wに接離する方向に移動可能な部材である。プレート50は、基板Wよりも大径の円形である。プレート50の上部の周縁には、外方に拡径したフランジ50bが形成されている。プレート50は、石英により形成されている。なお、プレート50は、耐熱性と耐液性を両立させるため、二重構造となっていてもよい。つまり、耐熱性を有する材料によって基体が形成され、その周囲が処理液Lに対して耐性のある材料で覆われている。例えば、石英を基体として、その周囲にPTFE、PCTFEなどのフッ素系の樹脂のカバーを形成することにより、プレート50が構成されていてもよい。
【0029】
プレート50には、2つの処理液供給管41bの先端が挿通されて、基板W側に露出する2つの吐出口50aが形成されている。2つの吐出口50aは、回転体10の回転の軸からずれている。これは、基板Wの回転に伴って、基板Wにおける吐出口50aとの対向部分が逐次変化することにより、処理液Lの温度の均一化に寄与するためである。さらに、プレート50には、後述するように、設置孔51、給気口52、排気口55が設けられている。
【0030】
(加熱部)
加熱部60は、プレート50に設けられ、基板Wの被処理面に供給された処理液Lを加熱する。本実施形態の加熱部60は、通電により発熱するヒータ61である。ヒータ61は、プレート50の水平方向の異なる位置に複数設けられている。例えば、ヒータ61は、発熱量を個別に制御可能な、例えば、3つのヒータ片によって構成されている。つまり、円形状のヒータ片の外側に、円環状の2つのヒータ片が同心で配置されている。このようなヒータ61によれば、同心で配置された3つのヒータ片の発熱量を個別に制御することで、同心状の部分毎に処理液Lの温度を変えることができる。なお、加熱部60の径は、基板Wの外周側の温度低下を抑制するために、基板Wの径以上、つまり同等かより大きな径であることが好ましい。
【0031】
(温度計)
温度計70は、基板Wの被処理面に供給された処理液Lの温度を非接触で測定する。温度計70は、プレート50に形成された設置孔51に収容されている。設置孔51は、円柱形状の貫通孔である。設置孔51は、プレート50の厚み方向(上下方向)に貫通している。温度計70は、設置孔51の上端に挿入されている。設置孔51の被処理面側の端部は開口51aとなっている。温度計70としては、例えば、測定対象の発する赤外線の放射量に基づいて、温度を測定する放射温度計を用いる。温度計70は、設置孔51の開口51aを介して赤外線を感知できるように、検出面が被処理面に向かっている。
【0032】
温度計70は、プレート50の径方向の異なる位置に複数設けられている。つまり、設置孔51は、プレート50の径方向の異なる位置に複数設けられ、温度計70は、それぞれの設置孔51に設置されている。例えば、設置孔51が、3つのヒータ片に対応して3か所設けられ、それぞれの上端に温度計70が挿入されている。設置孔51内の温度計70の下方には、不活性ガスGを溜めるための空間51bが形成される。
【0033】
各設置孔51の内側壁には、給気口52及び排気口55が設けられている。給気口52は、温度計70よりも下側に開口し、温度計70の下方の空間51bに不活性ガスGを供給する。プレート50には、給気口52に不活性ガスGを供給する給気路53が設けられている。給気路53には、給気部54が接続されている。給気部54は、給気装置54a、マスフローコントローラ(以下、MFCとする)54bを含み、図示しない配管を介して給気路53に接続されている。
【0034】
給気装置54aは、不活性ガスGの供給源である。不活性ガスGとしては、Heを用いることが好ましい。Heの比重は水蒸気(H2)よりも軽いため、Heは、開口51aから侵入して温度計70の方に上昇する水蒸気(以下、蒸気Vとする)よりも上方に位置する。このため、処理液Lから上昇して来る蒸気Vと温度計70との間に、Heが介在することになり、温度計70が保護される。但し、不活性ガスGとして、N2を用いてもよい。
【0035】
MFC54bは、給気装置54aと給気路53との間に接続された配管に設けられ、不活性ガスGの単位時間当たりの供給流量を調整する調整部である。MFC54bは、流体の流量を計測する質量流量計と流量を制御する電磁弁を有する。
【0036】
排気口55は、温度計70よりも下側に開口し、給気口52と異なる位置に設けられ、給気口52から供給された不活性ガスGを排出する。異なる位置とは、平面視で重ならない位置及び高さ位置が異なる位置の一方又は双方を含む。本実施形態では、平面視で温度計70を挟んで給気口52と対向する位置に、排気口55が設けられている。これにより、給気口52から供給された不活性ガスGが、温度計70の検出面を覆うように通過して、排気口55から排出される。また、排気口55は、給気口52よりも開口51a側(給気口52よりも下方)に設けられている。給気口52は、温度計70の下部に間隔を空けつつ近い位置に設置されることが好ましい。これにより、給気口52から供給された不活性ガスGが、開口51a側に寄った排気口55に向かって下方に流れるので、開口51aから蒸気Vがより侵入し難くなる。
【0037】
本実施形態においては、
図1及び
図2に示すように、温度計70の下方に設けられた給気口52が、温度計70とは上下方向に間隔を空けて設けられている。これにより、給気口52から比重の軽い不活性ガスGを供給したときに、設置孔51内の温度計70の下方に不活性ガスGが滞留する空間(滞留空間)が形成される。このように、温度計70の下方に不活性ガスGが滞留することで、温度計70を蒸気Vから保護できる。
図2の設置孔51内における滞留空間を明確にするために、滞留空間の上下方向の間隔をRSで示す。
【0038】
また、本実施形態においては、
図1及び
図2に示すように、給気口52と排気口55とは、設置孔51において、温度計70に寄った位置に設けられている。つまり、給気口52及び排気口55は、上下方向において、温度計70との距離よりも、開口51aとの距離の方が大きい。このように、給気口52よりも排気口55の方が下方に設けられ、排気口55が、設置孔51において温度計70に寄った位置に設けられることで、排気口55の下部から開口51aまでの空間が、排気口55の下部から温度計70までの空間よりも大きくなる。すると、給気口52からの不活性ガスGの供給と、排気口55からの不活性ガスGの排出とによって、排気口55の下方の空間では気体の流れが僅かになる。これにより、開口51aから蒸気Vが侵入することを防止でき、温度計70を蒸気から保護できる。
図2における設置孔51内の排気口55を境界とする上下の空間を明確にするため、排気口55の下部から開口51aまでの空間の上下方向の間隔をLS、排気口55の下部から温度計70までの空間の上下方向の間隔をUSで示す。
【0039】
プレート50には、排気口55から不活性ガスGを排気する排気路56が設けられている。排気路56には、排気部57が接続されている。排気部57は、排気装置57a、マスフローコントローラ(以下、MFCとする)57bを含み、図示しない配管を介して排気路56に接続されている。
【0040】
排気装置57aは、不活性ガスGを吸引する装置である。MFC57bは、排気装置57aと排気路56との間に接続された配管に設けられ、排気装置57aによる単位時間当たりの排気流量を調整する調整部である。MFC57bは、流体の流量を計測する質量流量計と流量を制御する電磁弁を有する。
【0041】
駆動部80は、プレート50を、基板Wに対して進退させる機構である。駆動部80は、支持部81、アーム82、昇降機構83を有する。支持部81は、リング状の部材であり、その内側にプレート50が挿通され、上部にフランジ50bが当接することにより、プレート50を水平に支持する。アーム82は、一端が支持部81に固定された水平方向に延びた部材である。
【0042】
昇降機構83は、架台に立設され、アーム82を介してプレート50を昇降させる機構である。昇降機構83は、回転体10の軸に平行な方向に移動する可動部を有し、可動部に支持部81の他端が取り付けられている。昇降機構83は、例えば、シリンダ、ボールねじ機構など、可動部を移動させる種々の機構を適用可能であるが、詳細は省略する。昇降機構83は、プレート50を、基板Wの表面との間に間隔dが形成される位置まで下降させる。この間隔dは、例えば、4mm以下であるが、処理液Lとの間に2mm程度の隙間が空くように維持される。
【0043】
なお、処理液Lは、供給部40における図示しない加熱装置によって予め設定された温度まで加熱されており、基板Wに供給されて加熱部60により加熱される。これにより、基板Wに供給された処理液Lを、予め設定された温度を維持したまま基板Wの全面に行き渡らせることができる。特に、外周側のヒータ61を高温とすることにより、温度低下しやすい基板Wの外周側の温度を上げる効果が得られる。
【0044】
(制御部)
制御部90は、基板処理装置1の各部を制御する。制御部90は、基板処理装置1の各種の機能を実現するべく、プログラムを実行するプロセッサと、プログラムや動作条件などの各種情報を記憶するメモリ、各要素を駆動する駆動回路を有する。つまり、制御部90は、回転機構20、保持部30、供給部40、MFC54b、57b、加熱部60、駆動部80などを制御する機構制御部91を有する。
【0045】
また、本実施形態の制御部90は、加熱制御部92、流量制御部93を有する。加熱制御部92は、温度計70により測定された温度に応じて、加熱部60の温度を制御する。つまり、加熱制御部92は、処理液Lの温度に応じてヒータ61の出力を制御するフィードバック制御を行う。例えば、温度計70により測定された温度が所定の温度よりも低い場合に、当該温度計70に対応するヒータ61の温度を上昇させる。例えば、各温度計70に対して、プレート50の中心側に隣接するヒータ61が対応している。
【0046】
流量制御部93は、設置孔51内に不活性ガスGが満たされつつ、開口51aから流出しないように、MFC54b、57bによって、設置孔51に対する不活性ガスGの供給流量及び排気流量を制御する。不活性ガスGの供給流量が多すぎると、設置孔51から漏れて処理液Lの温度が低下する。不活性ガスGの排気流量が多すぎると、蒸気Vを吸ってしまうので、温度計70に影響を与えるとともに、基板Wの被処理面上の処理液Lの周囲の雰囲気を吸うことにより、処理液Lの温度が低下する。このため、基本的には、不活性ガスGの供給流量と排気流量が同等になるように制御することが好ましい。
【0047】
[動作]
以上のような本実施形態の基板処理装置1の動作を、上記の
図1及び
図2に加えて、
図3のフローチャートを参照して説明する。なお、以下のような手順により基板Wを処理する基板処理方法、処理基板製造方法も、本実施形態の一態様である。
【0048】
まず、
図1に示すように、プレート50は上方の待機位置にある。このとき、プレート50とテーブル11との間には、図示しない搬送ロボットのハンドに支持された基板Wが搬入可能となる間隔が設けられている。
【0049】
また、予め加熱部60のヒータ61に通電することにより、プレート50の基板Wに対向する面が加熱され、所定温度(例えば、温度範囲180℃~225℃内の温度)に保持されている。なお、例えば、基板Wの外周領域は放熱により最も温度が低下するため、外周領域のヒータ61が、他の領域よりも高温となるように加熱してもよい。
【0050】
この状態で、搬送ロボットのハンドに搭載された基板Wが、プレート50と回転体10との間に搬入され、その周縁が複数の保持ピン31に支持されることにより、回転体10のテーブル11上に保持される(ステップS01)。このとき、基板Wの中心と回転体10の回転の軸とが合致するように位置決めされる。
【0051】
給気部54が、給気口52から設置孔51への不活性ガスGの供給を開始することにより、空間51bに不活性ガスGを充満させる(ステップS02)。次いで、排気部57によって、排気口55からの不活性ガスGの排気を開始する(ステップS03)。空間51bに不活性ガスGが常に存在するとともに、開口51aから不活性ガスGが漏れ出すことがないように、MFC54b、57bは、不活性ガスGの供給流量と排気流量を調整する。
【0052】
回転体10が、比較的低速な所定速度(例えば、50rpm程度)にて回転する。これにより、基板Wが保持部30とともに前記所定速度にて回転する(ステップS04)。そして、プレート50が、基板Wの被処理面との間に所定の間隔d(例えば、4mm以下)が形成される位置まで下降する(ステップS05)
【0053】
処理液供給機構411がリン酸溶液を基板Wの被処理面に供給するとともに、温度計70によるリン酸溶液の温度測定が開始する(ステップS06)。リン酸溶液を供給している間は、常時温度測定が行われる。上記のように、リン酸溶液は、予め供給部40において加熱されている。リン酸溶液は、回転する基板Wの外周に向けて順次移動することにより、基板Wの表面の純水がリン酸溶液によって置換されつつ、エッチングにより窒化膜が除去される。
【0054】
基板Wの中心付近に供給されたリン酸溶液は、基板Wの外周へ移動するに従って熱が逃げ易くなるが、本実施形態においては、プレート50が基板Wへ間隔dにまで接近しているため、ヒータ61によりリン酸溶液が加熱され、温度低下による処理レートの低下が抑制される。例えば、リン酸溶液の温度は、150~160℃程度に維持されることが好ましい。
【0055】
処理中のリン酸溶液の温度は、上記のように温度計70によって測定される。測定された温度に応じて、加熱制御部92が、ヒータ61の温度を制御する。つまり、温度が低下している領域に対応するヒータ61の温度を上げる。設置孔51の空間51bに不活性ガスGが満たされていることにより、温度計70の検出面が不活性ガスGで覆われるため、加熱されたリン酸溶液からの蒸気Vが検出面に付着することが防止できる。これにより、温度計70の性能を維持しつつ、正常に液温を測定できる。また、不活性ガスGが開口51aから漏れ出すことが無いので、不活性ガスGによってリン酸溶液の温度が低下することが防止される。
【0056】
所定の処理時間が経過すると(ステップS07)、処理液供給機構411がリン酸溶液の供給を停止するとともに、温度計70による温度測定も停止する(ステップS08)。
【0057】
次に、処理液供給機構412は、純水を基板Wの表面に供給する(ステップS09)。回転する基板Wの表面に純水が供給されると、その純水が基板Wの外周に向けて順次移動することにより、基板Wの表面のリン酸溶液が洗い流される。そして、所定の洗浄時間が経過すると(ステップS10)、処理液供給機構412は、純水の供給を停止する(ステップS11)。
【0058】
基板Wが回転を停止して(ステップS12)、プレート50が上昇する(ステップS13)。その後、給気部54による不活性ガスGの供給、排気部57による排気を停止する。(ステップS14)そして、搬送ロボットのハンドが基板Wの下に挿入され、保持部30による基板Wの保持が解放され、搬送ロボットのハンドによって基板Wが搬出される(ステップS15)。
【0059】
[効果]
(1)以上のような本実施形態の基板処理装置1は、保持部30により保持された基板Wを回転させる回転体10と、基板Wの被処理面に、加熱された処理液Lを供給する供給部40と、被処理面に対向する位置に設けられ、基板Wに接離する方向に移動可能なプレート50と、プレート50を基板Wに対して進退させる駆動部80と、プレート50に設けられ、基板Wの被処理面に供給された処理液Lを加熱する加熱部60と、プレート50に形成されて被処理面側に開口した設置孔51に収容され、基板Wの被処理面に供給された処理液Lの温度を非接触で測定する温度計70と、設置孔51の内側壁における温度計70よりも下側に開口し、温度計70の下方に不活性ガスGを供給する給気口52と、設置孔51の内側壁における給気口52と異なる位置であって、温度計70よりも下側に開口し、給気口52から供給された不活性ガスGを排出する排気口55と、温度計70により測定された温度に応じて、加熱部60を制御する制御部90と、を有する。
【0060】
本実施形態の基板処理方法は、回転体10が、保持部30により保持された基板Wを回転させ、基板Wの被処理面に対向する位置に設けられ、基板Wに接離する方向に移動可能なプレート50に形成され、被処理面側に開口した設置孔51に設けられた給気口52から不活性ガスGを供給し、設置孔51に設けられた排気口55から不活性ガスGを排出し、プレート50を基板Wに接近させて、給気部54が基板Wの被処理面に加熱された処理液Lを供給し、プレート50に設けられた加熱部60によって処理液Lを加熱し、設置孔51内に収容され、給気口52及び排気口55よりも上に設けられた温度計70によって、処理液Lの温度を非接触で測定し、制御部90が、温度計70により測定された温度に応じて、加熱部60を制御する。
【0061】
このため、プレート50の設置孔51に設けられた温度計70によって、処理液Lの温度を測定し、測定温度に応じて加熱部60の温度を制御することにより、処理液Lを所望の温度に維持して、所望のエッチングレートで基板Wを処理できる。特に、設置孔51内の不活性ガスGが温度計70を蒸気Vから保護することにより、処理液Lの温度を測定する温度計70の性能を維持できるとともに、設置孔51内の不活性ガスGが排気されるので、設置孔51からの不活性ガスGの流出を防いで、処理液Lの温度低下を抑制できる。
【0062】
ここで、例えば、
図4(A)に示すように、プレート50に形成した設置孔51に、単に温度計70を収容した場合、処理液Lからの蒸気Vが、設置孔51の開口51aから侵入する。このため、温度計70が高温の蒸気雰囲気に晒されることになり、変形や破損、測定精度の低下などを招く。また、
図4(B)に示すように、温度計70の周囲に隙間を設けた設置孔51に、不活性ガスGを供給して温度計70を保護したとしても、開口51aから漏れ出す不活性ガスGによって、処理液Lの温度が低下して、処理性能が低下する。
【0063】
一方、本実施形態は、設置孔51への高温の処理液Lの蒸気Vの侵入や、設置孔51から不活性ガスGが漏れだすことを防いで、処理液Lの温度を測定できる。つまり、不活性ガスGの供給によって、処理液Lの蒸気Vから温度計70を保護することにより、温度計70の変形や破損、測定性能の低下を防止して性能を維持できる。また、不活性ガスGの排気によって、不活性ガスGの漏れによる処理液Lの温度低下を防止して、基板Wの処理レートの低下を抑制し、高いプロセス性能と再現性を実現できる。
【0064】
特に、給気口52と排気口55を異なる位置とすることにより、温度計70の検出面を覆う流れが形成され易くなる。例えば、給気口52と排気口55を平面視で重ならない位置とすることにより、平面視で給気口52から供給された不活性ガスGが検出面の下部を通過して、排気口55へと向かう流れが生じ、これにより検出面が不活性ガスGにより覆われる。温度計70を収容する設置孔51は、比較的小さな径(例えば、10mm程度)となるため、このように給気と排気を異なる位置とすることで、不活性ガスGを温度計70の検出面の全体に行き渡らせることができる。また、不活性ガスGを設置孔51に供給し、設置孔51で不活性ガスGを滞留させてから、排気することにより、不活性ガスGによる保護層を形成できる。
【0065】
(2)加熱部60は、プレート50の径方向の異なる位置に複数設けられ、温度計70は、プレート50の径方向の異なる位置に複数設けられている。このため、被処理面上の処理液Lの温度分布の相違に応じて、制御部90が加熱部60の温度を調整して、処理レートの低下を防止できるので、良好な処理を行うことができる。なお、制御部90は、被処理面内での位置に応じて、処理レートを変えることもできる。
【0066】
(3)排気口55は、給気口52よりも下方に設けられている。このため、給気口52からの不活性ガスGが下方に流れる気流が生じるため、蒸気Vが上昇し難くなり、蒸気Vの侵入を防止できる。
【0067】
(4)不活性ガスGは、蒸気V(水蒸気)よりも比重が軽いガスである。このため、不活性ガスGが蒸気Vの上方に来るので、基板Wの被処理面上の処理液Lから上昇して来る蒸気Vと温度計70との間に、不活性ガスGが介在して、温度計70が保護される。
【0068】
(5)給気口52は、温度計70と上下方向に間隔RSを空けて設けられている。このため、設置孔51の温度計70の下方に、不活性ガスGが滞留する空間が形成される。従って、温度計70の下方に滞留した不活性ガスGの層によって、温度計70が保護される。
【0069】
(変形例)
(1)
図5に示すように、給気路53は、温度計70の周囲を隙間を空けて覆う筒状としてもよい。給気口52を水平方向に長いスリット状にすることにより、温度計70の検出面に不活性ガスGが行き渡り易くしてもよい。また、
図2に示した給気路53の径に対して給気口52の径を小さくする、
図5に示した給気路53及び給気口52と温度計70との隙間を、給気路53の部分よりも給気口52の部分を狭くすることにより、不活性ガスGの流速を上げてもよい。
【0070】
(2)給気部54に設けられ、不活性ガスGの流量を所定量とするバルブと、給気部54に設けられ、不活性ガスGの供給流量を測定する測定部と、不活性ガスGの流量を調整する調整部と、を有し、制御部90が、測定部による測定結果に応じて、排気流量を調整するように調整部を制御してもよい。例えば、
図6に示すように、給気装置54aのMFC54bに代えて、流量計54c(測定部)と、ニードルバルブ54d(バルブ)を設けてもよい。この場合、ニードルバルブ54dが不活性ガスGの流量を予め設定した所定量として、これを流量計54cで測定した値が制御部90に入力される。流量制御部93は、入力された測定値と同じ流量になるように、排気装置57aのMFC57bによって排気流量を調整する。これにより、制御構成を簡略化できるとともに、装置コストを低減できる。
【0071】
(3)加熱部60は、各ヒータ61が均熱板を含む構造であってもよい。また、加熱部60は、ハロゲンランプやLED等の光によって基板Wや処理液Lを直接加熱するものを用いてもよい。上記の態様では、複数の加熱部60に対応して、それぞれ温度計70を設けることにより、温度を測定した領域と、加熱する領域とを近似させていたが、加熱部60の数と、温度計70の数は必ずしも対応していなくてもよい。
【0072】
(4)基板処理装置1の処理は、処理液L及び基板Wの温度が処理レートに影響を与える処理であれば、処理の内容及び処理液Lは、上記で例示したものには限定されない。処理対象となる基板W及び膜についても、上記で例示したものには限定されない。
【0073】
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態及び各部の変形例を説明したが、この実施形態や各部の変形例は、一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上述したこれら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明に含まれる。
【符号の説明】
【0074】
1 基板処理装置
10 回転体
11 テーブル
12 セパレータ
12a、13a 排液口
13 カップ
20 回転機構
22 駆動源
30 保持部
31 保持ピン
40 供給部
41a 処理液槽
41b 処理液供給管
41c バルブ
41d、54c 流量計
50 プレート
50a 吐出口
50b フランジ
51 設置孔
51a 開口
51b 空間
52 給気口
53 給気路
54 給気部
54a 給気装置
54b、57b MFC
54d ニードルバルブ
55 排気口
56 排気路
57 排気部
57a 排気装置
60 加熱部
61 ヒータ
70 温度計
80 駆動部
81 支持部
82 アーム
83 昇降機構
90 制御部
91 機構制御部
92 加熱制御部
93 流量制御部
411、412 処理液供給機構