(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052572
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】送信装置を駆動する方法
(51)【国際特許分類】
A61B 8/14 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
A61B8/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023150735
(22)【出願日】2023-09-19
(31)【優先権主張番号】FR2210030
(32)【優先日】2022-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】508291928
【氏名又は名称】スーパー ソニック イマジン
【氏名又は名称原語表記】SUPER SONIC IMAGINE
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(72)【発明者】
【氏名】コルドニエ,ユベール
(72)【発明者】
【氏名】ラヴィル,ヴァンサン
(72)【発明者】
【氏名】マルタン,ジャン-アラン
(72)【発明者】
【氏名】マルティネス,ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】ルー,ギヨーム
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601DD23
4C601EE04
4C601EE24
4C601HH05
4C601HH06
4C601HH14
4C601HH25
(57)【要約】
【課題】送信装置を駆動する方法を提供する。
【解決手段】本開示は送信装置を駆動する方法に関し、送信装置は目標周波数(f0)を有して動作し、本方法は、目標周波数(f0)に依存して選択された様々な駆動周波数(f1,f2)を含む電気信号によって送信装置を駆動することを含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信装置(20)を駆動する方法であって、
上記送信装置は目標周波数(f0)を有して動作し、
上記方法は、上記目標周波数(f0)に依存して選択された様々な駆動周波数(f1,f2)を含む電気信号によって上記送信装置(20)を駆動することを含む、
方法。
【請求項2】
上記電気信号の複数の駆動周波数(f1,f2)のうちの少なくとも1つは、上記目標周波数(f0)とは異なる、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
上記複数の駆動周波数(f1,f2)は、それらの合計されたスペクトルフィールドが個別の駆動周波数のうちのいずれか1つのスペクトルフィールドを超過しないように、互いに十分に相違及び/又は離隔する、
請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
上記複数の駆動周波数(f1,f2)は、複数の上記駆動周波数(f1,f2)の組み合わせによって上記目標周波数(f0)に到達可能であるように選択される、
請求項1~3のうちの1つに記載の方法。
【請求項5】
上記電気信号は、各波形が周波数として上記駆動周波数(f1,f2)のうちの1つを有するように、連続した複数の波形(S1,S2,S3,S4)からなる、
請求項1~4のうちの1つに記載の方法。
【請求項6】
上記複数の波形(S1,S2,S3,S4)は繰り返され、及び/又は、上記複数の波形(S1,S2,S3,S4)は、各波形が部分的に中断されるように、互いに交替される、
請求項5記載の方法。
【請求項7】
各波形(S1,S2,S3,S4)は、目標電気信号に依存するインピーダンス及び/又は電流値によって重み付けられる、
請求項5又は6記載の方法。
【請求項8】
上記波形は、N1個の駆動周波数パルスf1と、それに続くN2個の駆動周波数パルスf2と、…それに続くNn個の駆動周波数パルスfnとからなる予め定義された時系列を形成し、N1,N2,…,Nnは1以上の整数である、
請求項5~7のうちの1つに記載の方法。
【請求項9】
上記波形は、複数の駆動周波数パルスからなるランダム時系列を形成する、
請求項5~8のうちの1つに記載の方法。
【請求項10】
上記波形及び/又は上記駆動周波数パルスは、超音波プローブの圧電素子を刺激するように構成される、
請求項8又は9記載の方法。
【請求項11】
上記装置(20)は、上記目標周波数(f0)を有する電気信号によって制御され、
上記複数の波形は、それらの集合が目標電気信号に到達できるように選択される、
請求項5~10のうちの1つに記載の方法。
【請求項12】
上記複数の波形(S1,S2,S3,S4)は、各波形の「Qピーク」と呼ばれる平均エネルギー(qp)が目標電気信号の平均エネルギー未満になるように選択される、
請求項5~11のうちの1つに記載の方法。
【請求項13】
上記方法は医療用及び/又は超音波方法であり、及び/又は、上記装置は医療用及び/又は超音波プローブである、
請求項1~12のうちの1つに記載の方法。
【請求項14】
上記送信装置は、媒体を処理及び/又は観察するために波を送信し、及び/又は、上記装置は、それが駆動されるとき、電磁波を送信するために送信する、
請求項1~13のうちの1つに記載の方法。
【請求項15】
コンピュータによってプログラムが実行されるときに、請求項1~14のうちの1つに記載の方法を上記コンピュータに実行させる命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項16】
送信装置(20)を駆動するためのシステム(10)であって、
上記送信装置は目標周波数(f0)を有して動作し、
上記システムは、目標周波数(f0)に依存して選択された様々な駆動周波数(f1,f2)を含む電気信号によって送信装置を駆動するように構成された、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、送信装置を駆動する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通信、イメージング、又はスキャンの目的で、例えば、医療用イメージング、レーダ、ソナー、地震学、無線通信、電波天文学、音響、及び生物医学の分野において、(例えば、アレイとして配置された)複数のトランスデューサ素子を備えるトランスデューサ装置のような送信装置を使用することが知られている。一例は超音波イメージングを含む。
【0003】
この目的のために、送信装置は、電気信号によって動作してもよく、又は、駆動されてもよい。従来、上記電気信号は、予め定義された周波数を有する。この周波数は、例えば、送信装置の使用に依存して選択されてもよい。
【0004】
例えば、超音波イメージングの目的は、媒体の反射率を推定することであってもよい。従って、予め定義された周波数は、媒体(例えばヒト組織)の特徴に依存して選択されてもよい。
【0005】
従来の超音波イメージング方法において、超音波トランスデューサ装置(超音波プローブとも呼ばれる)は、1組の超音波トランスデューサ素子とともに使用されてもよい。この方法において、電気的エネルギーを超音波に変換するために1つ又は複数のトランスデューサが使用される。特に、トランスデューサは、1つの超音波ビーム又は連続的なより多くの超音波ビームを媒体へ送信してもよく、このことが送信動作に対応する。続いて、受信動作において、同じ又は他の1組のトランスデューサ素子によって、媒体から1組の後方散乱エコー信号が受信される。特に、トランスデューサ素子の各々は、例えば、受信されたエコー信号を電気信号に変換する。信号は、続いて、超音波システムによって、又は、任意の関連付けられた(専用)システムによって、処理されてもよい。例えば、それらは増幅、フィルタリング、ディジタル化されてもよく、及び/又は、信号調節動作が実行されてもよい。トランスデューサ素子は、複数のトランスデューサからなる直線として、又は、複数のトランスデューサからなるアレイとして、又は、他の任意の構成として配置されてもよい。
【0006】
概して、送信装置が電気信号により動作する場合、装置は電磁(EM)波を送信する。従って、送信装置はEM送信装置と呼ばれることもある。
【0007】
電気装置の電磁放射の認可されたレベルを制限する様々な標準、例えば、IEC 60601-1-2標準、NF EN 55011/CISPR 11標準、及びIEC 61000-4-3標準が存在する。
【0008】
特に、CISPR 11標準(例えば、2019-01の6.2版を参照)は、様々な周波数範囲に関する認可された限界(すなわち、電磁放射の準尖頭値)を定義する。従って、装置によって生じた電界のエネルギーは、これらの限界を越えてはならない。例えば、CISPR 11標準の表6は、試験場において測定される、クラスAグループ1機器の電磁放射妨害限界に関する。さらに、CISPR 11標準の表2は、試験場において測定される、クラスAグループ1機器の妨害電圧限界に関する。例えば超音波プローブのような医療用装置は、それが非家庭用機器に関するので、典型的にはクラスAである。
【0009】
さらに、IEC 61000-4-3/EN 61000-4-3は電磁両立性(electromagnetic compatibility:EMC)標準に関し、特に、第4-3部は、試験及び測定技術と、放射された無線周波数の電磁界免疫テストとを扱っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許第EP1546757B1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本願において説明する方法及びシステムは、制限されたレベルの電磁放射を送信装置によって生じる場合であっても、性能及び/又は動作品質を向上させうる、送信装置の動作又は駆動を最適化するための技術に関する。
【0012】
特に、標準に従うために、電磁放射のレベルを制限することが望ましい可能性がある。さらに、送信装置に関して所望される動作性能に対していかなる影響を与えることもなく、電磁放射のレベルを制限することが望ましい可能性がある。
【0013】
例えば、送信装置が超音波プローブである場合、性能及び/又は音響エネルギー(及び/又は音響パワー)が、制限されたレベルの電磁放射の場合であっても、最適化及び/又は増大されうることが望ましい可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
従って、本開示の実施形態の特定の実施例によれば、送信装置を駆動するための方法が提供される。本方法は、目標周波数に依存して選択された様々な駆動周波数を含む電気信号によって送信装置を駆動することを含む。
【0015】
そのような方法を提供することによって、制限されたレベルの電磁放射を送信装置によって生じる場合であっても、性能及び/又は動作品質を向上できるようになる。
【0016】
本方法は、単に、電気信号を変更することを必要とする。従って、本方法は、付加的な装置を必要とすること及び/又はシステム又は装置の構造的変更を必要とすることなく、既存のシステム及び送信装置において容易に実施されうる。従って、本方法を実施するためのコストを低減しうる。
【0017】
さらに、動作性能の向上は、任意のタイプの動作するモードにおいて達成されうる。超音波プローブの形式を有する送信装置の様々な動作するモードの例は、Bモード(すなわち、輝度(brightness)モード)、ドップラーモード、又はSWEモード(すなわち、剪断波エラストグラフィ(shear wave elastography)モード)を含んでもよい。言いかえると、性能を向上させるために特定の動作モードを変更又は修正することは不要であり、動作モードの選択に無関係に向上が達成される。
【0018】
本開示に係る方法は、特に下記の実施形態におて、別々に又は組み合わせて採用されてもよい他の複数の特徴を含んでもよい。
【0019】
特定の実施例によれば、目標周波数は、送信装置を駆動するために従来使用される電気信号の周波数に対応する。
【0020】
特定の実施例によれば、電気信号の複数の駆動周波数のうちの少なくとも1つは、目標周波数とは異なる。従って、複数の駆動周波数は互いに異なっていてもよい。
【0021】
特定の実施例によれば、複数の駆動周波数は、それらの合計されたスペクトルフィールドが個別の駆動周波数のうちのいずれか1つのスペクトルフィールドを超過しないように、互いに十分に相違及び/又は離隔する。従って、合計スペクトルフィールドによって定義される最大値は、様々な周波数のスペクトル電界の最大限を超過しない。
【0022】
スペクトルフィールドは、電界及び/又は電磁界であってもよい(又はそれを含んでもよい)。
【0023】
合計されたスペクトルフィールドは、複数の周波数及びそれらの高調波からなってもよい。例えば、個々の駆動周波数及びそれらの高調波のうちのいずれのスペクトルフィールドも超過しないように、合計されたスペクトルフィールドを選択することができる。
【0024】
特定の実施例によれば、複数の駆動周波数は、複数の駆動周波数の組み合わせによって目標周波数に到達可能であるように選択される。
【0025】
従って、送信装置を駆動するために、目標周波数の代わりに様々な駆動周波数を使用可能である。従って、目標周波数を有する電気信号によって駆動されるかのように、送信装置は動作する。
【0026】
特定の実施例によれば、電気信号は、各波形が周波数として駆動周波数のうちの1つを有するように、連続した複数の波形からなってもよい。
【0027】
本開示の意味において、波形は、時間領域における信号の要素であってもよい。従って、波形もまた、時間成分と呼ばれることがある。
【0028】
特定の実施例によれば、複数の波形は(例えば周期的に)繰り返され、及び/又は、複数の波形は、各波形が部分的に中断されるように、互いに交替される。
【0029】
特定の実施例によれば、各波形は、目標電気信号に依存するインピーダンス及び/又は電流値によって重み付けられる。
【0030】
特定の実施例によれば、波形は、N1個の駆動周波数パルスf1と、それに続くN2個の駆動周波数パルスf2と、…それに続くNn個の駆動周波数パルスfnとからなる予め定義された時系列を形成し、N1,N2,…,Nnは1以上の整数である、
【0031】
しかしながら、波形は、複数の駆動周波数パルスからなるランダム時系列を形成してもよい。
【0032】
特定の実施例によれば、波形及び/又は駆動周波数パルスは、超音波プローブ(又は他のタイプのトランスデューサ装置)の圧電素子(又は他のタイプのトランスデューサ素子)を刺激するように構成される。
【0033】
特定の実施例によれば、本装置は、目標周波数を有する電気信号によって駆動され(又は駆動されるように構成され)、複数の波形は、それらの集合が目標電気信号に到達(及び/又は接近及び/又は近似)できるように選択される、従って、送信装置は、装置の目標周波数が与えられた場合、最終的に、装置に適応化された電気信号により動作してもよい。
【0034】
特定の実施例によれば、複数の波形は、各波形の「Qピーク」と呼ばれる平均エネルギーが目標電気信号の平均エネルギー未満になるように選択される。
【0035】
従って、決定論的な(又は予め定義された)時系列は、例えば、N1個の周波数パルスf1と、それに続くN2個の周波数パルスf2と、…それに続くNn個の周波数パルスfnとを含んでもよい。N1,N2,…,Nnは、1以上の整数であってもよく、また、Qピークの平均エネルギーを複数の周波数の各々に対して同一にするために、周波数f1,f2,…,fnにおける送信装置のインピーダンス又は電流の値(例えば、事前に測定され、オプションで自動的に測定される)によって重み付けされてもよい。
【0036】
特定の実施例によれば、本方法は医療用及び/又は超音波方法であり、及び/又は、本装置は医療用及び/又は超音波プローブである。
【0037】
しかしながら、送信装置は、概して、電気信号によって動作する及び/又は電磁波を送信する任意の装置であってもよい。
【0038】
特定の実施例によれば、送信装置は、各目標周波数に依存して選択された様々な駆動周波数をそれぞれ含む複数の電気信号によって駆動される(又は駆動されるように構成される)。例えば、送信装置が、複数のトランスデューサ素子を備えたトランスデューサ装置である場合、各トランスデューサ素子は、各電気信号によって動作してもよく、又は、駆動されてもよい。従って、本方法は、各複数のトランスデューサ素子のための複数の電気信号を提供しうる。
【0039】
従って、送信装置の複数のトランスデューサ素子のそれぞれは、各目標周波数(例えば同じ目標周波数)を有してもよい。
【0040】
特定の実施例によれば、本装置は、媒体を処理及び/又は観察するために波を送信する(又は送信するように構成される)。
【0041】
特定の実施例によれば、本装置は、駆動されるとき、電磁波を送信する(又は送信するように構成される)。
【0042】
本開示はまた、コンピュータによってプログラムが実行されるときに、先行する態様のうちの1つに記載の方法をコンピュータに実行させる命令を含むコンピュータプログラムに関連してもよい。
【0043】
特定の実施形態に係る本開示はまた、送信装置を駆動するためのシステムに関連する。送信装置は目標周波数を有して動作する。本システムは、目標周波数に依存して選択された様々な駆動周波数を含む電気信号によって送信装置を駆動するように構成される。
【0044】
本システムは、本開示に係る方法の動作に対応する機能を有してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】本開示の実施例に係る送信装置を駆動するためのシステムの概略図を示す。
【
図2】本開示の実施例に係る超音波イメージングシステムの概略図を示す。
【
図3】送信装置の従来の駆動を示す時間図及びスペクトル図を概略的に示す。
【
図4】本開示の実施例に係る送信装置の駆動を示す時間図及びスペクトル図を概略的に示す。
【
図5】選択された駆動周波数と、送信装置によって生じた電界に起因するスペクトルエネルギー分布との関係の第1の例を概略的に示す。
【
図6】選択された駆動周波数と、本開示の実施例に係る送信装置によって生じた電界に起因するスペクトルエネルギー分布との関係の第2の例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本開示の特徴及び利点は、非限定的な実施例によってのみ与えられ、添付された図面を参照して下記の説明を読むことで明らかになるであろう。特に、有意な矛盾がない限り、図面に示した複数の実施例は組み合わされてもよい。
【0047】
本開示の他の特徴及び利点は、添付の
図1~
図6を参照し、本開示の実施形態の特定の非限定的な実施例についての下記の説明を読むことで明らかになるであろう。
【0048】
例示として提供した様々な図面において、同じ参照番号は同一又は同様の構成要素を示す。
【0049】
図1は、本開示の実施例に係る送信装置20を駆動するためのシステム10の概略図を示す。
【0050】
システム10はまた、送信装置を備えてもよい。さらに、本装置は本システムの外部にあってもよい。例えば、装置20は、ケーブルによって本システムに接続されてもよく、又は、無線通信してもよい。後者の場合、装置20は、例えば、バッテリーを備えてもよく、電気信号を表す本システムからの通信信号(例えば、電気信号に含まれる駆動周波数及び/又は任意の情報)を受信してもよい。次いで、装置20は、内部において電気信号を生成してもよい。
【0051】
本システムは従来のシステムであってもよく、及び/又は、送信装置20は従来の送信装置であってもよい。従って、本開示に係る唯一の差は、本システムによって送信装置が使用される方法にありうる。しかしながら、本開示に係るシステム及び送信装置と、既知のシステム及び送信装置との間に構造上の差は存在しない可能性がある。
【0052】
本システムは、固定されていてもよく、又は、可動であってもよい。送信装置もまた、固定されていてもよく、又は、可動であってもよい。例えば、本システムは、固定されたシステム(例えば、後述するように、処理装置及びディスプレイ装置を備える)であってもよく、送信装置は可動(例えば、センサ装置、計測装置、又はより詳しくはプローブ)であってもよい。それにもかかわらず、送信装置が本システムへ一体化され、本システムが可動システムであることもまた可能である。例えば、本システムは、例えば包含されたバッテリーにより、自律的に駆動されるように構成されてもよい。他の実施例を下記に説明する。
【0053】
送信装置は、周波数f0を含む電気信号により動作するように構成されてもよい。従って、送信装置20は、周波数f0を有して従来通りに動作してもよい。
【0054】
送信装置20は、典型的には、その駆動に起因して電磁EM放射を生じさせる。上記電磁(EM)放射は、例えば標準によって定義される、最大EMしきい値未満であることを必要とする可能性がある。
【0055】
本システムは、電気信号Sにより送信装置20を駆動するように構成される。電気信号Sは、様々な駆動周波数f1,f2を備える。駆動周波数f1,f2は、周波数f0に依存して選択される。この理由で、周波数f0は、目標周波数と呼ばれることもある。
【0056】
例えば、本システムは、電気信号Sを生成するように構成された電力制御装置12を備えてもよい。従って、上記電力制御装置12は、本開示に係る様々な駆動周波数f1,f2を有するように電気信号を変調するように構成されてもよい。電力制御装置12は、例えば、電子的パルサー又は単に「パルサー」(すなわち、電子パルス生成器)であってもよく、又は、それを含んでもよい。本システムはまた、処理装置11を備えてもよい。処理装置は、例えば、電力制御装置12を制御するように構成されてもよい。例えば、処理装置11は、目標周波数f0に依存して駆動周波数f1,f2を計算してもよい。
【0057】
処理装置はさらに、例えば電気信号Sを制御することで、送信装置を制御するように構成されてもよい。
【0058】
他の実施例によれば、システム10は、少なくとも1つの処理装置(又はプロセッサ)11と、さらにメモリ(図示せず)とを備えてもよい。実施例では、処理装置及びメモリは、
図1に示すようなシステムに組み込まれてもよく、又は、それに通信可能に接続されたコンピュータ又は計算装置であってもよい。計算装置の厳密な構成及びタイプに従って、メモリ(超音波データを評価すること、又は、本願で説明する方法を実行することを可能にする命令を格納する)は、揮発性(例えばRAM)、不揮発性(例えば、RAM、フラッシュメモリなど)、又は2つの組み合わせであってもよい。さらに、システム10は、磁気又は光ディスク又はテープを含むがこれらに限定されない、記憶装置(着脱可能及び/又は着脱不可能)を備えてもよい。同様に、システム10はまた、キーボード、マウス、ペン、音声入力などのような1つ又は複数の入力装置、及び/又は、画面、ラウドスピーカ、プリンタなどのような1つ又は複数の出力装置を含んでもよい。環境はまた、LAN、WAN、ポイントツーポイントなどのような1つ又は複数の通信接続を備えてもよい。所定の実施形態では、接続は、ポイントツーポイント通信、コネクション指向通信、コネクションレス通信などを確立するために使用されてもよい。
【0059】
システム10はさらに、少なくとも1つの所定の形式のコンピュータ可読媒体を備えてもよい。コンピュータ可読媒体は、動作環境を備える処理装置(又はプロセッサ)又は他の装置がアクセスしうる、任意の利用可能な媒体であってもよい。限定ではなく例示として、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体及び通信媒体を備えてもよい。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、又は他のデータのような、任意の情報記憶技術又は方法で実装された、着脱可能及び着脱不可の揮発性及び不揮発性媒体を含んでもよい。コンピュータ記憶媒体は通信媒体を含まない。
【0060】
通信媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、又は他のデータを、搬送波又は他の転送メカニズムのような変調されたデータ信号(に一体化し、情報を提供する任意の媒体を含む。「変調されたデータ信号」という表現は、情報を信号に符号化するように固定又は変更された1つ又は複数の特徴を有する信号を示す。限定ではなく例示として、通信媒体は、有線ネットワーク又は直接有線接続のような有線媒体と、音響、RF、赤外線、マイクロ波媒体、及び他の無線媒体のような無線媒体とを含む。上述した要素のうちのいずれかの組み合わせもまた、コンピュータ可読媒体の応用分野に含まれるはずである。
【0061】
システム10は、1つ以上の遠隔のコンピュータに対する論理接続を用いて、ネットワーク環境において動作する単一のコンピュータであってもよい。遠隔のコンピュータは、パーソナルコンピュータ、サーバ、ルータ、ネットワークPC、承認された装置、又は他の共用されるネットワークノードであってもよく、概して、上述した要素の複数又はすべてを含んでもよく、言及していない他のものを含んでもよい。論理接続は、利用可能な通信媒体によってサポートされた任意の方法を含んでもよい。そのようなネットワーキング環境は、オフィス、企業コンピュータネットワーク、イントラネット、及びインターネットにおいて一般的である。
【0062】
システム10は、医療システム、例えば超音波システムであってもよい。従って、送信装置20は、医療用及び/又は超音波プローブであってもよい。
【0063】
例えば、本システムは、媒体から、例えば、生体組織、及び/又は、特にある人物のヒト組織から超音波データを収集するための、超音波プローブ20に関連付けられてもよい。
【0064】
超音波プローブ20は、例えば、システム10から受信された電気信号を超音波に変換するようにそれぞれ構成された1つ又は複数のトランスデューサ素子(
図1には図示せず)を備えてもよい。トランスデューサ素子は、(a)媒体へ波を送信するように、及び/又は、オプションで送信(a)に応答して、(b)媒体から複数の超音波信号を受信するように構成されてもよい。複数のトランスデューサ素子を備えるトランスデューサのアレイが使用されてもよい。パルスを送信して応答を受信するために1つ又は複数の同じトランスデューサ素子が使用されてもよく、又は、送信及び受信のために異なるトランスデューサ素子が使用されてもよい。1つ又は複数の送信トランスデューサ素子と、複数の受信トランスデューサ素子とが存在してもよい。他の変形例では、単一のトランスデューサ素子が使用されてもよい。トランスデューサ素子は、圧電結晶、及び/又は、信号を発生、記録、及び/又は受信するように構成されうる他の構成要素を備えてもよい。
【0065】
超音波プローブ20は、トランスデューサ素子を制御してそこから信号を取得する電子制御装置(
図1に図示せず)をさらに備えてもよい。電子制御装置は、プローブの一部を形成してもよい。変形例として、電子制御装置は、プローブの外部にあってもよく(例えば、電力制御装置12の一部を形成する)、又は、部分的にプローブの一部を形成して部分的にその外部にある複数の装置からなってもよい。
【0066】
さらに、処理装置11は、送信装置20からデータを受信し、データを処理し、及び/又は、外部装置にデータを送信するように構成されてもよい。外部装置は、例えば、ディスプレイ装置、サーバ、人工知能アルゴリズム(IA)が実行されるコンピュータ、専用ワークステーション、又は他の任意の外部装置を含む。
【0067】
それにもかかわらず、本システムは任意のタイプの電子装置であってもよい。例えば、本システムはまた、超音波イメージングシステム以外のある種の医療システムであってもよい。従って、送信装置20は、超音波以外の波(例えば、超音波の波長とは異なる波長を有する波、及び/又は、音波でない波)を用いる、任意のタイプのイメージング装置又はセンサであってもよい。
【0068】
他の実施例によれば、本システム及び/又は送信装置は、例えば、医療用イメージング、レーダ、ソナー、地震学、無線通信、電波天文学、音響、及び生物医学の分野において、通信、イメージング、又はスキャンの目的で構成される。
【0069】
医療用イメージングシステムの例は、超音波イメージングシステム、X線イメージングシステムX(特にマンモグラフィー用)、及びMRI(核磁気共鳴映像法)システムを含む。
【0070】
図2は、本開示の実施例に係る超音波イメージングシステム10の概略図を示す。超音波イメージングシステム10は、
図1のコンテキストにおいて説明したような、送信装置10を駆動するためのシステムの実施例であってもよい。
【0071】
超音波イメージングシステム10は、
- プローブ20(例えば、
図1の送信装置20に対応する)と、
- プローブによって受信された信号に基づいて画像を処理するための処理装置30(例えば、
図1の処理装置11に対応する)と、
- 処理装置に接続された制御パネル40であって、少なくともキー41及びタッチパッド42を備える上記制御パネルと、
- 画像を視覚化するための画面50と
を備えてもよい。
【0072】
プローブ20は、ケーブル21によって、又は、無線接続によって処理装置30に接続されてもよく、それは、超音波Wを媒体Mへ送信し、媒体Mから超音波Wを受信することができ、上記受信された超音波は、上記媒体内に拡散する粒子に対して送信された上記超音波の反射の結果として、又は、それに起因して得られる。プローブ20は、電気信号を振動にそれぞれ変換し、また、その逆にそれぞれ変換する、複数のトランスデューサを備えるトランスデューサのアレイであってもよい。トランスデューサは、例えば圧電素子である。トランスデューサのアレイは、100個以上のトランスデューサを備えてもよい。トランスデューサのアレイは、直線上又は曲線上にあり、また、媒体に連結され、振動し、超音波Wを送信又は受信するように、媒体Mの外表面に配置される。
【0073】
処理装置30は、プローブ20から受信された信号を増幅及び/又はフィルタリングする受信装置と、信号を、信号を表すデータに変換するコンバータ(アナログ/ディジタル変換器及びディジタル/アナログ変換器)とを備えてもよい。データは、処理装置のメモリに格納されてもよく、又は、中間の処理されたデータ(ビーム形成データ)を計算するために直接的に処理されてもよい。処理装置30は、プローブから受信された信号に基づいて画像を処理する任意の既知の処理方法、例えばビーム形成を使用してもよい。処理された超音波画像データは、
- 媒体内の器官を視覚化するための、概してグレースケールの、媒体の簡単な画像(Bモードの画像)、又は、
- 例えば、媒体における血管を視覚化するのに有用である、媒体における速度又は流れを示す画像(色付き画像)、又は、
- 例えば、媒体内の腫瘍を識別するのに有用である、媒体の力学的特徴(弾性)を示す画像(例えば、後述するようなShearWave(商標)エラストグラフィ(SWE)画像データ)
であってもよい。
【0074】
ディスプレイ画面50は、処理装置30によって処理された画像を視覚化するための画面であってもよい。ディスプレイ画面50はまた、画像において使用されるスケールのような他の情報、又は、処理のための構成情報、又は、タッチパッド42のヘルプ情報又はコンテキストヘルプのための任意の情報を視覚化してもよい。
【0075】
ディスプレイ画面は、ユーザのより良好な位置決めのために、サポートアーム51において関節を介して支持されてもよい。ディスプレイ画面は、概して、ユーザによる画像のより良好な可視化のための大きな画面(少なくとも20インチ)である。
【0076】
制御パネル40aは、例えば、システム31の筐体の一部であり、上記一部は、ユーザの手によって操作されるために、上記ユーザに向かって傾斜した実質的に平面を有するパネル筐体を備える。制御パネル40aは、ユーザのサイズに適応化されるように、ハンガーによって上方及び下方へ移動されてもよく、オプションで、ユーザの位置に適応化されるように、前方及び後方に移動されてもよい。
図1においてわかるように、制御パネル40aは、複数の構成情報を視覚化するために、制御パネル49のディスプレイ画面を備えてもよい。制御パネル49のこのディスプレイ画面もまた、制御パネルの表面とは異なる傾きで傾斜されるように、制御パネル48の筐体において関節を介して支持されてもよい。
【0077】
図3は、送信装置の従来の駆動を示す時間図及びスペクトル図を概略的に示す。特に、図d1は、送信装置を駆動するための従来の電気信号の時間図を示し、図d2は、従来の電気信号の各スペクトル図を示す。
【0078】
時間図d1に示すように、送信装置は、従来、駆動期間の全体にわたって、単一の周波数f0を含む電気信号により動作してもよい。周波数は、送信装置の目的に依存して選択されてもよい。例えば、送信装置が、媒体のイメージングのための超音波プローブである場合、周波数f0は、媒体の特徴に対応するように選択されてもよい。例えば、周波数はf0=5MHzであってもよい。
【0079】
例えば、ヒト又は動物組織のイメージングのための超音波を生成するために、約5MHz(又は、例えば1及び20MHzの間の任意の値)の周波数が選択されてもよい。この周波数範囲において組織によって生じる減衰が比較的に小さく、同時に、この範囲における超音波が、超音波トランスデューサ素子の圧電素子によって容易に生成されうるので、この値は本願には有利になりうる。従って、(圧電素子の有用な周波数帯における)低周波の超音波は、組織により深く浸透しうる。従って、そのような周波数(例えば5MHz)を選択することは、浸透深度と、圧電素子の電気音響効率との折衷案となりうる。
【0080】
図d1の例において、駆動時間は1msである。それにもかかわらず、駆動時間は、より長くてもよく、又は、より短くてもよい。駆動時間は、例えば、(送信装置によって送信される)超音波パルスを送信する時間に対応してもよい。さらに、電気信号は、例えば、V0=50Vの電圧を有してもよい。
【0081】
対応するスペクトル図d2は、周波数(f)に依存する、送信装置によって送信される電界(dBuV/m)(及び従って、電力及び/又はエネルギー)を示してもよい。スペクトル図d2において提示するように、電気信号は、周波数f0及び高調波3*f0、5*f0などを含んでもよい。瞬間のエネルギー及び/又は電力p(すなわちピーク電力)と、合計駆動期間にわたる平均エネルギー及び/又は電力qp(すなわち「準尖頭」)とは、類似している。本開示において、特定の時間(例えば1msのパルス)を考慮することで複数のパラメータが互いに対応しうるので、「平均エネルギー」及び「電力」が交換可能に使用されうることに注意すべきである。
【0082】
例えば、考慮すべきこの特定の時間は、
図3及び
図4の例では、1msであってもよい。従って、
図4の実施例では、各波長(例えばS1及びS3)の合計時間が、考慮された合計時間(例えば1ミリ秒)より短いので、単一の駆動周波数(例えばf1)において送信装置によって送信される平均エネルギーは低減される。
【0083】
送信装置の駆動に起因して生じた電磁放射は、平均エネルギー及び/又は電力によって定義されてもよい。従って、電磁放射の認可されたレベルを決定する標準は、平均エネルギー及び/又は電力を制限することを必要とすることがある。従って、
図3に示すような従来の駆動方法では、瞬間のエネルギー及び/又は電力もまたそれぞれ制限されなければならない。
【0084】
f0=5MHzの周波数を有する電気信号により超音波プローブが動作し、25MHzの高調波もまた考慮される、上述した例の場合、認可された電磁放射の準尖頭値は、40dBに制限されてもよい(例えば、上述したCISPR 11標準の表6を参照)。230MHzを超えると、認可された準尖頭値は、47dBに制限されてもよい。従って、超音波プローブの電磁放射は、特にこれらの標準を満たすために、これらの上限未満に設定されなければならない。
【0085】
図4は、本開示の実施例に係る送信装置の駆動を示す時間図及びスペクトル図を概略的に示す。
【0086】
図d3及び図d4は、主として、
図3の図d1及び図d2に対応する。しかしながら、本開示に係る方法は、送信装置を駆動することに適用される。特に、図d3は、本開示の実施例に係る送信装置を駆動するための電気信号の時間図を示し、図d4は、本開示の実施例に係る電気信号の各スペクトル図を示す。
【0087】
時間図d3に示すように、送信装置は、様々な駆動周波数f1,f2を含む電気信号により駆動される。2つよりも多くの駆動周波数が使用されてもよい。駆動周波数は、目標周波数f0に依存して選択される。目標周波数は、
図3の例において使用される周波数f0であってもよい。例えば、周波数はf0=5MHzであってもよい。従って、周波数f1は、例えば、f1=4.5MHzであってもよく、及び/又は、周波数f2は、例えば、f2=5.5MHzであってもよい。電気信号は、例えば、V0=50Vの電圧を有してもよい。
【0088】
概して、電気信号の複数の駆動周波数f1,f2のうちの少なくとも1つは、目標周波数とは異なってもよい。複数の駆動周波数は、好ましくは、複数の駆動周波数の組み合わせによって目標周波数に到達可能であるように選択される。
【0089】
従って、送信装置を駆動するために、目標周波数の代わりに様々な駆動周波数を使用可能である。従って、目標周波数を有する電気信号によって駆動されるかのように、送信装置は動作する。
【0090】
電気信号は、各波形が周波数として駆動周波数f1,f2のうちの1つを有するように、連続した複数の波形S1,S2,S3,S4からなってもよい。
【0091】
波形は、時間領域における信号の要素であってもよい。従って、波形もまた、時間成分と呼ばれることがある。
【0092】
図4の実施例に示すように、複数の周波数に関する複数の波形は、例えば周期的に、繰り返されてもよい。さらに、複数の波形は、各波形が部分的に中断されるように、互いに交替されてもよい。
【0093】
特に、波形は、N1個の駆動周波数パルスf1と、それに続くN2個の駆動周波数パルスf2と、…それに続くNn個の駆動周波数パルスfnとからなる予め定義された時系列を形成してもよく、N1,N2,…,Nnは1以上の整数である。
【0094】
しかしながら、波形は、複数の駆動周波数パルスからなるランダム時系列を形成してもよい。
【0095】
各波形は、目標電気信号に依存するインピーダンス及び/又は電流値によって重み付けられてもよい。
【0096】
図d3の実施例において、駆動時間は1msである。それにもかかわらず、駆動時間は、より長くてもよく、又は、より短くてもよい。駆動時間は、例えば、(送信装置によって送信される)超音波パルスを送信する時間に対応してもよい。
【0097】
対応するスペクトル図d4に示すように、電気信号は、周波数f1,f2及び高調波3*f1,3*f2,5*f1,5*f2,…を含んでもよく、駆動時間全体(例えば1ミリ秒)にわたる平均エネルギー及び/又は電力qp(すなわち「準尖頭値」)は、瞬間のエネルギー及び/又は電力p(すなわち電力ピーク)未満であってもよい。この相違は、送信装置によって(例えば周波数f1の)特定の波形が使用されず、従って送信されない時間区間(図d3に示す)に起因する可能性がある。
【0098】
この相違は、周波数f1及びf2にもあてはまり、オプションで、それらの高調波のうちの1つ又は複数にもあてはまる。
【0099】
特に、波形(図d3に示す)は、各波形の平均エネルギー及び/又は電力(Qピーク)が目標電気信号の平均エネルギー及び/又は電力未満になるように選択されてもよい。
【0100】
従って、送信装置によって生じる電磁的放射が平均エネルギー及び/又は電力によって定義されうるならば、瞬間のエネルギー及び/又は電力がより高くなる場合であっても、電磁放射は低減されうる。
【0101】
例えば、電磁的放射の認可されたレベルを決定する標準は、制限された平均エネルギー及び/又は電力に準拠しうる。
【0102】
従って、本開示によれば、瞬間のエネルギー及び/又は電力は、この限界未満に制限される必要はない。従って、送信装置の性能は、1つ又は複数の標準によって必要とされる制限を守りながら増大されうるという優位点を有する。
【0103】
一実施例では、瞬間のエネルギー及び/又は電力と、平均エネルギー及び/又は電力との間の差D1は、D1=20*log(2)=(6dB)であってもよい。
【0104】
超音波プローブの形式を有する送信装置の動作モードは、例えば、SWEモードとも呼ばれるShearWave(商標)モードを含んでもよい。このモードは、例えば、同じ出願人による特許文献1に説明されるように、媒体において剪断波が生成される励振ステップを含む。励振ステップ(a)の間、弾性剪断波は、少なくとも1つの十分な強さを有する合焦された超音波(PUSH)を媒体に送信することにより生成される。例えば、合焦された超音波(PUSH)は、本開示に係る波形に対応してもよい。
【0105】
PUSHに関して使用される放射シーケンスは、所与の周波数における数千個の矩形波信号期間からなってもよい。本開示によれば、第1の周波数f1を有する矩形波信号期間と、第2の周波数f2を有する矩形波信号期間とを代替として使用することで、(例えば、電磁両立性(EMC)及び電磁干渉(EMI)の)電磁放射測定中における周波数スペクトルのピークを低減できるようになるという優位点を有する。
【0106】
本開示の精巧なバージョンは、任意のイメージングモードにおいて、任意の超音波プローブに関して、ランダムな時系列を有し、時間及び/又は振幅(電圧、周期比など)に関して重み付けされた、任意個数の中央周波数を使用してもよく、これにより、電磁放射測定中に送信される周波数スペクトルを拡大できるようになる。周波数のランダムシーケンスは、システムに固有の電気的ノイズを低減することを可能にし、従って、画像品質を向上させることを可能にする。重み付けは、標準の限界に関するマージン及び周波数帯全体におけるこれを維持するように、電磁放射測定中に送信される周波数スペクトルのピークの振幅を最適化することを可能にする。
【0107】
従って、本開示の一例に係る第1の変形例は、任意のイメージングモードにおいて、任意の超音波プローブに関して、決定論的な時系列を有し、任意個数の中央周波数を使用してもよく、これにより、標準に関してシステムを検証するためのEMC/EMIと呼ばれる測定中における周波数スペクトルのピークを低減できるようになる。
【0108】
本開示の一例に係る第2の変形例は、任意のイメージングモードにおいて、任意の超音波プローブに関して、ランダムな時系列を有し、任意個数の中央周波数を使用してもよく、これにより、EMC/EMI測定中における周波数スペクトルのピークを低減できるようになる。周波数のランダムシーケンスは、システムに固有の電気的ノイズを低減することを可能にし、従って、画像品質を向上させることを可能にする。
【0109】
本開示の一例に係る第3の変形例は、任意のイメージングモードにおいて、任意の超音波プローブに関して、時系列を有し、時間及び/又は振幅(電圧、周期比など)に関して重み付けされた、任意個数の中央周波数を使用してもよく、これにより、EMC/EMI測定中に送信される周波数スペクトルを拡大できるようになる。重み付けは、周波数帯全体においてEMC/EMI標準の限界に関するマージンを維持するように、EMC/EMI測定中に送信される周波数スペクトルのピークの振幅を最適化することを可能にする。
【0110】
図5は、選択された駆動周波数と、送信装置によって生じた電界(従って電磁放射)に起因するスペクトルエネルギー分布との関係に係る第1の例を概略的に示す。
【0111】
図d4aは、主として、
図4の図d3に対応する。従って、電気信号は、周波数f1,f2及び高調波3*f1,3*f2,5*f1,5*f2,などを含んでもよい。
図5の概略図を簡単化するために、周波数は、n*f1及びm*f2によって示され、ここで、n=1,2,3,…、及び/又は、m=1,2,3,…である。
【0112】
図d5aは、送信装置の電磁放射に起因するスペクトルエネルギー分布を概略的に示す。特に、図d5aは、周波数n*f1の電界C1と、m*f2のC2との和から得られる、合計電界(すなわち合計されたフィールド)CTを示す。
【0113】
図d5aに示すように、周波数n*f1及びm*f2の間の差は、合計フィールド(すなわち合計されたフィールド)CTと、従って各平均エネルギー及び電力との最大値Tに影響しうる。
【0114】
図5の例において、周波数n*f1及びm*f2の間の距離dfは、しきい値t1未満であってもよい。従って、周波数n*f1及びm*f2は、合計フィールド(すなわち合計された和)CTの最大値Tが、量deの電界C1及びC2の最大限を超過する程度に近接してもよい。従って、平均エネルギー及び/又は電力を低減しようとする効果が達成されないか、少なくとも小さくなる可能性があるので、このような周波数f1及びf2の選択はそれほど望ましくない。
【0115】
図6は、選択された駆動周波数と、本開示の実施例に係る送信装置によって生じた電界(従って電磁放射)に起因するスペクトルエネルギー分布との関係に係る第2の例を概略的に示す。
【0116】
図6の図d4b及び図d5bは、主として、
図6の図d4a及び図d5aに対応する。それにもかかわらず、
図6の例において、周波数n*f1及びm*f2は、合計フィールド(すなわち合計されたフィールド)CTの最大値Tが電界C1及びC2の最大限を超過しない(又は少なくとも実質的に超過しない)ように、十分に離れている。従って、平均エネルギー及び/又は電力を低減しようとする効果が達成されない可能性があるので、このような周波数f1及びf2の選択は望ましくない。
【0117】
従って、周波数f1及びf2の間の差dfは、最小しきい値t1を超過してもよい。
【0118】
例えば、最小しきい値t1は、合計電界の分布に依存して、特に、合計電界の最大値が、周波数f1,f2に関連する電界の最大限を超過しないように、選択されてもよい。
【0119】
従って、複数の駆動周波数は、それらの合計されたスペクトルフィールドが個別の駆動周波数のうちのいずれか1つのスペクトルフィールドを超過しないように、互いに十分に相違及び/又は離隔してもよい。
【0120】
従って、平均エネルギー及び/又は電力を低減する所望の効果が達成されるという優位点を有する。
【0121】
上述したようなこれらの実施形態及び他の実施例のすべては、純粋に非限定的な実施例によって提示され、本開示の範囲に従って組み合わされ、及び/又は、変更されてもよい。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信装置(20)を駆動する方法であって、
上記送信装置は目標周波数(f0)を有して動作し、
上記方法は、上記目標周波数(f0)に依存して選択された様々な駆動周波数(f1,f2)を含む電気信号によって上記送信装置(20)を駆動することを含む、
方法。
【請求項2】
上記電気信号の複数の駆動周波数(f1,f2)のうちの少なくとも1つは、上記目標周波数(f0)とは異なる、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
上記複数の駆動周波数(f1,f2)は、それらの合計されたスペクトルフィールドが個別の駆動周波数のうちのいずれか1つのスペクトルフィールドを超過しないように、互いに十分に相違及び/又は離隔する、
請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
上記複数の駆動周波数(f1,f2)は、複数の上記駆動周波数(f1,f2)の組み合わせによって上記目標周波数(f0)に到達可能であるように選択される、
請求項1又は2記載の方法。
【請求項5】
上記電気信号は、各波形が周波数として上記駆動周波数(f1,f2)のうちの1つを有するように、連続した複数の波形(S1,S2,S3,S4)からなる、
請求項1又は2記載の方法。
【請求項6】
上記複数の波形(S1,S2,S3,S4)は繰り返され、及び/又は、上記複数の波形(S1,S2,S3,S4)は、各波形が部分的に中断されるように、互いに交替される、
請求項5記載の方法。
【請求項7】
各波形(S1,S2,S3,S4)は、目標電気信号に依存するインピーダンス及び/又は電流値によって重み付けられる、
請求項5記載の方法。
【請求項8】
上記波形は、N1個の駆動周波数パルスf1と、それに続くN2個の駆動周波数パルスf2と、…それに続くNn個の駆動周波数パルスfnとからなる予め定義された時系列を形成し、N1,N2,…,Nnは1以上の整数である、
請求項5記載の方法。
【請求項9】
上記波形は、複数の駆動周波数パルスからなるランダム時系列を形成する、
請求項5記載の方法。
【請求項10】
上記波形及び/又は上記駆動周波数パルスは、超音波プローブの圧電素子を刺激するように構成される、
請求項8記載の方法。
【請求項11】
上記送信装置(20)は、上記目標周波数(f0)を有する電気信号によって制御され、
上記複数の波形は、それらの集合が目標電気信号に到達できるように選択される、
請求項5記載の方法。
【請求項12】
上記複数の波形(S1,S2,S3,S4)は、各波形の「Qピーク」と呼ばれる平均エネルギー(qp)が目標電気信号の平均エネルギー未満になるように選択される、
請求項5記載の方法。
【請求項13】
上記方法は医療用及び/又は超音波方法であり、及び/又は、上記送信装置は医療用及び/又は超音波プローブである、
請求項1又は2記載の方法。
【請求項14】
上記送信装置は、媒体を処理及び/又は観察するために波を送信し、及び/又は、上記送信装置は、それが駆動されるとき、電磁波を送信するために送信する、
請求項1又は2記載の方法。
【請求項15】
コンピュータによってプログラムが実行されるときに、請求項1又は2記載の方法を上記コンピュータに実行させる命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項16】
送信装置(20)を駆動するためのシステム(10)であって、
上記送信装置は目標周波数(f0)を有して動作し、
上記システムは、上記目標周波数(f0)に依存して選択された様々な駆動周波数(f1,f2)を含む電気信号によって上記送信装置を駆動するように構成された、
システム。
【外国語明細書】