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特開2024-52576感光性樹脂組成物、感光性樹脂シート、硬化物、硬化物の製造方法、半導体装置、表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052576
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】感光性樹脂組成物、感光性樹脂シート、硬化物、硬化物の製造方法、半導体装置、表示装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/039 20060101AFI20240404BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20240404BHJP
   C08G 73/10 20060101ALI20240404BHJP
   C08G 73/22 20060101ALI20240404BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
G03F7/039 601
G03F7/004 501
C08G73/10
C08G73/22
G03F7/20 521
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023151913
(22)【出願日】2023-09-20
(31)【優先権主張番号】P 2022157509
(32)【優先日】2022-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田中 進
(72)【発明者】
【氏名】鴨川 政雄
(72)【発明者】
【氏名】亀本 聡
(72)【発明者】
【氏名】弓場 智之
【テーマコード(参考)】
2H197
2H225
4J043
【Fターム(参考)】
2H197CA03
2H197CA04
2H197CA05
2H197CE10
2H197HA02
2H197HA03
2H197HA04
2H225AC08
2H225AF83P
2H225AH02
2H225AK08
2H225AN41P
2H225AN54P
2H225AN63P
2H225AN64P
2H225AN65P
2H225AN84P
2H225CA11
2H225CB06
2H225CC03
2H225CC15
4J043PA04
4J043PA05
4J043PA06
4J043PA19
4J043PB23
4J043QB15
4J043QB23
4J043QB26
4J043QB31
4J043QB33
4J043QB45
4J043RA35
4J043RA52
4J043SA71
4J043SB01
4J043SB03
4J043TA02
4J043TA47
4J043TA58
4J043UA031
4J043UA121
4J043UA131
4J043UA132
4J043UA151
4J043UA152
4J043UA211
4J043UA231
4J043UA632
4J043UA672
4J043UB011
4J043UB012
4J043UB021
4J043UB022
4J043UB121
4J043UB122
4J043UB401
4J043UB402
4J043VA021
4J043VA022
4J043VA062
4J043XA03
4J043XA16
4J043XB07
4J043XB09
4J043ZA20
4J043ZA21
4J043ZA51
4J043ZB22
(57)【要約】
【課題】アルカリ現像時の膜減少量が小さく、かつ露光時間を短縮できる、高感度な感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリアミドおよびそれらの共重合体からなる群より選択される一種以上の樹脂、
(B)光酸発生剤、および
(C)複素環式アミン化合物を含有し、
前記(A)成分が、式(1)で表される構成単位を含む、感光性樹脂組成物。
【化1】
(式(1)中、Rは、炭素数3~30の3~12価の有機基を示し、Rは、炭素数3~20の1価のオキシメチル基である。mは0~4、nは1~4の整数を示す。*は結合部位を示し、aおよびbは、それぞれ独立に、1または2の整数を示す。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリアミドおよびそれらの共重合体からなる群より選択される一種以上の樹脂、
(B)光酸発生剤、および
(C)複素環式アミン化合物を含有し、
前記(A)成分が、式(1)で表される構成単位を含む、感光性樹脂組成物。
【化1】
(式(1)中、Rは、炭素数3~30の3~12価の有機基を示し、Rは、炭素数3~20の1価のオキシメチル基である。mは0~4、nは1~4の整数を示す。*は結合部位を示し、aおよびbは、それぞれ独立に、1または2の整数を示す。)
【請求項2】
前記(A)成分が、ポリイミドを含有する、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記(C)成分が、共役酸のpKaが10以下である複素環式アミン化合物を含有する、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記(C)成分が、式(2)で表される複素環式アミン化合物を含有する、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【化2】
(式(2)中、Rは炭素数1~4のアルキル基を表す。pは0~5の整数を表す。)
【請求項5】
前記(C)成分が、前記式(2)中、前記Rは窒素原子に対してα位に位置する炭素に結合しており、pは1または2である化合物を含む、請求項4に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
感光性樹脂組成物中に含まれる全樹脂の総量を100質量%とした時の、該全樹脂におけるフッ素原子含有量が15質量%より大きい、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を支持体上にシート状に形成した感光性樹脂シート。
【請求項8】
請求項1~6のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を硬化した硬化物。
【請求項9】
a)請求項1~6のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を基材上に塗布、乾燥して感光性樹脂膜を形成する工程、または、請求項7に記載の感光性樹脂シートを基材上に熱圧着する工程、
b)該感光性樹脂膜または該熱圧着された感光性樹脂シートを露光する工程、
c)該露光された感光性樹脂膜の露光部または該露光された熱圧着された感光性樹脂シートの露光部をアルカリ水溶液で溶出または除去して現像する工程、および、
d)該現像された感光性樹脂膜または該現像された熱圧着された感光性樹脂シートを加熱処理する工程を含む、硬化物の製造方法。
【請求項10】
請求項8に記載の硬化物が、半導体素子の表面保護膜または配線層間の層間絶縁膜として配置された、半導体装置。
【請求項11】
前記配線層と前記層間絶縁膜が2~10層繰り返し配置された、請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
基板上に形成された、第一電極と、第一電極を部分的に露光せしめるように第一電極上に形成された絶縁層と、第一電極に対向して設けられた第二電極とを含む表示装置であって、
前記絶縁層が請求項8に記載の硬化物を含む表示装置。
【請求項13】
薄膜トランジスタ(TFT)が形成された基板上の凹凸を覆う状態で設けられた平坦化膜を備えてなる表示素子であって、前記平坦化膜が請求項8に記載の硬化物を含む表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物、感光性樹脂シート、硬化物、硬化物の製造方法、半導体装置、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置に用いられる表面保護膜や層間絶縁膜、有機電界発光素子の絶縁層やTFT(薄膜トランジスタ)基板の平坦化膜には、耐熱性や電気絶縁性、機械特性に優れるポリイミドやポリベンゾオキサゾール等が広く用いられている。近年、これらの樹脂自身あるいはその前駆体に感光特性を付与した感光性樹脂組成物が用いられてきている(以後、これらの感光性樹脂組成物をポリイミド系感光性樹脂組成物と称する)。ポリイミド系感光性樹脂組成物を用いることにより、パターン加工工程が簡略化でき、煩雑な製造工程の短縮が行うことができる。
【0003】
ポリイミド系感光性樹脂組成物は、露光部が現像液に易溶となりパターン加工することができるポジ型、および組成物自身を易溶性とし露光部が現像液に不溶となるネガ型材料が提案されている。
【0004】
ポリイミド系感光性樹脂組成物としては、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミド前駆体またはポリベンゾオキサゾール前駆体にキノンジアジド化合物を添加したもの(例えば、特許文献1参照)や、酸の存在下で脱離可能な保護基を含むポリアミドに光酸発生剤を添加したもの(例えば、特許文献2参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-180473号公報
【特許文献2】特開2011-221173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、使用する基板サイズの大型化や生産性向上などの理由から、露光時間の短縮、さらには現像後の開口率や膜厚の面内均一性を向上させるために現像時における未露光部の膜減少量を少なくすることが課題となっている。
【0007】
特許文献1に記載の技術は、アルカリ可溶性樹脂とキノンジアジド化合物を組み合わせた技術である。キノンジアジド化合物は、アルカリ可溶性樹脂と相互作用し組成物のアルカリ現像液に対する溶解性を低下させる。一方で、露光による光化学反応によりインデンカルボン酸化合物になりアルカリ現像液に対して溶解促進剤として働くため、未露光物と露光部で溶解コントラストが発現し、パターン加工することができる。そのため、感度はキノンジアジド化合物の添加量に依存する。しかしながら、キノンジアジド化合物の添加量を多くすると、キノンジアジド化合物自身の光吸収により、光化学反応率が低下する。そのため、露光時間の短縮と少ない膜減少量の両立は困難である。
【0008】
特許文献2の技術は、アルカリ可溶性ポリアミド中のヒドロキシ基の水素原子をtert-ブトキシカルボニル基(以下、t-Boc基とも称する)で置換しアルカリ不溶性の樹脂とし、これと光酸発生剤を組み合わせた技術である。この技術は、露光部において光酸発生剤から酸が発生し、この酸が、前記t-Boc基と反応し、該t-Boc基をポリアミドから脱離させ(以後、脱保護と称する)、このポリアミドをアルカリ不溶性からアルカリ可溶性に変えることができる。そのため、露光部と未露光部の溶解コントラストが生じ、パターン加工を可能とする技術である。この技術においては、t-Boc基と酸の反応率が低く、露光時間の短縮ができない課題がある。
【0009】
また組成物を塗布した後、周囲の雰囲気からの吸湿やアミンの影響により、膜厚減少量や感度が悪化する課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下の通りである。
(1)(A)ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリアミドおよびそれらの共重合体からなる群より選択される一種以上の樹脂、
(B)光酸発生剤、および
(C)複素環式アミン化合物を含有し、
前記(A)成分が、式(1)で表される構成単位を含む、感光性樹脂組成物。
【0011】
【化1】
【0012】
(式(1)中、Rは、炭素数3~30の3~12価の有機基を示し、Rは、炭素数3~20の1価のオキシメチル基である。mは0~4、nは1~4の整数を示す。*は結合部位を示し、aおよびbは、それぞれ独立に、1または2の整数を示す。)
(2)前記(A)成分が、ポリイミドを含有する、(1)に記載の感光性樹脂組成物。
(3)前記(C)成分が、共役酸のpKaが10以下である複素環式アミン化合物を含有する、(1)または(2)に記載の感光性樹脂組成物。
(4)前記(C)成分が、式(2)で表される複素環式アミン化合物を含有する、(1)~(3)のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【0013】
【化2】
【0014】
(式(2)中、Rは炭素数1~4のアルキル基を表す。pは0~5の整数を表す。)
(5)前記(C)成分が、前記式(2)中、前記Rは窒素原子に対してα位に位置する炭素に結合しており、pは1または2である化合物を含む、(4)に記載の感光性樹脂組成物。
(6)感光性樹脂組成物中に含まれる全樹脂の総量を100質量%とした時の、該全樹脂におけるフッ素原子含有量が15質量%より大きい、(1)~(5)のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
(7)(1)~(6)のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を支持体上にシート状に形成した感光性樹脂シート。
(8)(1)~(6)のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を硬化した硬化物。
(9)a)(1)~(6)のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を基材上に塗布、乾燥して感光性樹脂膜を形成する工程、または、(7)に記載の感光性樹脂シートを基材上に熱圧着する工程、
b)該感光性樹脂膜または該熱圧着された感光性樹脂シートを露光する工程、
c)該露光された感光性樹脂膜の露光部または該露光された熱圧着された感光性樹脂シートの露光部をアルカリ水溶液で溶出または除去して現像する工程、および、
d)該現像された感光性樹脂膜または該現像された熱圧着された感光性樹脂シートを加熱処理する工程を含む、硬化物の製造方法。
(10)(8)に記載の硬化物が、半導体素子の表面保護膜または配線層間の層間絶縁膜として配置された、半導体装置。
(11)前記配線層と前記層間絶縁膜が2~10層繰り返し配置された、(10)に記載の半導体装置。
(12)基板上に形成された、第一電極と、第一電極を部分的に露光せしめるように第一電極上に形成された絶縁層と、第一電極に対向して設けられた第二電極とを含む表示装置であって、前記絶縁層が(8)に記載の硬化物を含む表示装置。
(13)薄膜トランジスタ(TFT)が形成された基板上の凹凸を覆う状態で設けられた平坦化膜を備えてなる表示素子であって、前記平坦化膜が(8)に記載の硬化物を含む表示装置。
【発明の効果】
【0015】
本発明の感光性組成物は、露光前の保管安定性に優れる。さらに高感度であるため露光時間を短縮でき、かつ現像時の膜減少量が少ない。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の感光性樹脂組成物は、
(A)ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリアミドおよびそれらの共重合体からなる群より選択される一種以上の樹脂、
(B)光酸発生剤、および
(C)複素環式アミン化合物を含有し、
前記(A)成分が、式(1)で表される構成単位を含む、感光性樹脂組成物である。
【0017】
【化3】
【0018】
式(1)中、Rは、炭素数3~30の3~12価の有機基を示し、Rは、炭素数3~20の1価のオキシメチル基である。mは0~4、nは1~4の整数を示す。*は結合部位を示し、aおよびbは、それぞれ独立に、1または2の整数を示す。
【0019】
本発明の感光性樹脂組成物は、(B)光酸発生剤を含むことにより、含有する光酸発生剤に対応した露光光を照射することで、組成物中に酸を発生させることができる。発生した酸は、式(1)で表される構成単位を含む、(A)ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリアミドおよびそれらの共重合体からなる群から選ばれる一種以上の樹脂中のR-O-Rの構造中のO-R間の結合に作用し、R-OHに変換することができる。R-OHはアルカリ水溶液に対して溶解性基として働く。そのため、本発明の感光性樹脂組成物は、未露光部と露光部でアルカリ水溶液に対する溶解コントラストを発現させることができるため、露光部が溶解しレリーフパターンを形成することができる。
【0020】
このため本明細書においてはRを「酸分解性基」と称することがある。また、O-Rの構造を酸の作用により水酸基に変換することができるため、O-Rの構造を「酸分解性基で保護された水酸基」と称することがある。さらに、R-O-RがR-OHに変換されることを「脱保護」、保護反応前のR-OHのうち保護剤との反応でR-OHからR-O-Rに変換された割合を「保護率」と称することがある。
【0021】
<(A)式(1)で表される構成単位を有するポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリアミドおよびそれらの共重合体からなる群より選択される一種以上の樹脂>
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリアミドおよびそれらの共重合体からなる群より選択される一種以上の樹脂((A)成分)を含む。中でも、(A)成分がポリイミドを含有することが好ましい。
【0022】
ポリイミドとは、繰り返し単位にイミド結合を含む高分子である。前記ポリイミドは公知の方法で合成することができる。例えば、テトラカルボン酸、対応するテトラカルボン酸二無水物またはテトラカルボン酸ジエステル二塩化物などと、ジアミン、対応するジイソシアネート化合物またはトリメチルシリル化ジアミンなどを反応させることによって得られる反応物を加熱または酸もしくは塩基などの触媒を用いた反応により、脱水閉環させることによって得られる。従って、前記ポリイミドはテトラカルボン酸及び/又はその誘導体残基と、ジアミン及び/又はその誘導体残基を有する。
【0023】
脱水閉環させる前の反応物をポリイミド前駆体と称し、脱水閉環しイミド結合を形成することをイミド化と称する。320℃で1時間キュアした場合にイミド化が100%進行したとし、それを基準にポリイミドおよび前記ポリイミド前駆体中に存在するイミド構造の割合をイミド化率とした。
【0024】
本願において、ポリイミドとはイミド化率80%以上のものを表す。高温下におけるアウトガス量の低減や後述する硬化物の信頼性を向上の観点から、イミド化率は90%以上が好ましく、さらに好ましくは95%以上である。
【0025】
ポリベンゾオキサゾールとは、繰り返し単位にベンゾオキサゾール構造を含む高分子である。前記ポリベンゾオキサゾールは公知の方法で合成することができる。例えば、ビスアミノフェノール化合物とジカルボン酸や対応するジカルボン酸クロリドやジカルボン酸活性エステルなどを反応させて得られる反応物を加熱又は酸、塩基、無水酢酸若しくはカルボジイミド化合物などを用いた反応により、脱水閉環させることによって得られる。従って、ジカルボン酸残基とビスアミノフェノール残基を有する。
【0026】
脱水閉環させる前の反応物をポリベンゾオキサゾール前駆体と称し、脱水閉環しオキサゾール構造を形成することをオキサゾール化と称する。320℃で1時間キュアした場合にオキサゾール化が100%進行したとし、それを基準としポリベンゾオキサゾールおよび前記ポリベンゾオキサゾール前駆体中に存在するオキサゾール構造の割合をオキサゾール化率とした。
【0027】
本願において、ポリベンゾオキサゾールとはオキサゾール化率80%以上のものを表す。高温下におけるアウトガス量の低減や後述する硬化物の信頼性を向上の観点から、オキサゾール化率は90%以上が好ましく、さらに好ましくは95%以上である。
【0028】
ポリアミドとは、繰り返し単位にアミド結合を含む高分子である。ポリアミドは公知の方法で合成することができる。
【0029】
前記ポリアミドは、ポリイミド前駆体またはポリベンゾオキサゾール前駆体であることが好ましい。ポリイミド前駆体は、加熱によりポリイミドに転化しうるポリアミドであり、本願においてはイミド化率が80%未満のものを示す。ポリアミドがポリイミド前駆体であることにより、耐熱性の高い樹脂膜とすることができる。ポリイミド前駆体は公知の方法で合成することができる。例えば、テトラカルボン酸、対応するテトラカルボン酸二無水物又はテトラカルボン酸ジエステル二塩化物などと、ジアミン、対応するジイソシアネート化合物又はトリメチルシリル化ジアミンなどを反応させることによって得られる。前記ポリベンゾオキサゾール前駆体は、加熱によりポリポリベンゾオキサゾールに転化しうるポリアミドであり、本願においてはオキサゾール化率が80%未満のものを示す。ポリアミドがポリベンゾオキサゾール前駆体であることにより、耐熱性の高い樹脂膜とすることができる。ポリベンゾオキサゾール前駆体は公知の方法で合成することができる。例えば、ビスアミノフェノール化合物とジカルボン酸や対応するジカルボン酸クロリドやジカルボン酸活性エステルなどを反応させて得られる。
【0030】
それらの共重合体とは、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、および、ポリアミドからなる群より選ばれる2種以上の共重合体を指す。
【0031】
本発明の感光性樹脂組成物に含まれる、(A)成分は、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、および、ポリアミドの群から選ばれる2種以上の共重合体であることが好ましい。共重合体とすることにより、耐熱性、溶剤溶解性、およびアルカリ溶解性の両立が容易となる。
【0032】
本発明の感光性樹脂組成物に含まれる、(A)成分は、主鎖末端が公知のモノアミン、酸無水物、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物、モノ活性エステル化合物などの末端封止剤で封止されていることが好ましい。主鎖末端が末端封止剤で封止されていることにより、感光性樹脂組成物の保管安定性を向上させることができる。末端封止剤として用いられるモノアミンの導入割合は、全アミン成分に対して、好ましくは0.1モル%以上、特に好ましくは5モル%以上であり、好ましくは60モル%以下、特に好ましくは50モル%以下である。末端封止剤として用いられる酸無水物、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物またはモノ活性エステル化合物の導入割合は、ジアミン成分に対して、好ましくは0.1モル%以上、特に好ましくは5モル%以上であり、好ましくは100モル%以下、特に好ましくは90モル%以下である。複数の末端封止剤を反応させることにより、複数の異なる末端基を導入してもよい。
【0033】
(A)成分の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算で3,000~200,000が好ましく、より好ましくは5,000~100,000であり、さらに好ましくは7,000~60,000である。重量平均分子量を上記範囲とすることにより、良好な溶剤溶解性、良好な現像液への溶解性、高い機械強度を全て満たしやすくすることができる。本発明において、重量平均分子量は後述の方法により求められる。
【0034】
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリアミドおよびそれらの共重合体からなる群から選ばれる一種以上の樹脂を含み、該(A)成分が、式(1)で表される構成単位を含む。
【0035】
【化4】
【0036】
式(1)中、Rは、炭素数3~30の3~12価の有機基を示し、Rは、炭素数3~20の1価のオキシメチル基である。mは0~4、nは1~4の整数を示す。*は結合部位を示し、aおよびbは、それぞれ独立に、1または2の整数を示す。
【0037】
<Rの説明>
式(1)中、Rは、炭素数3~30の3~12価の有機基である。前記炭素数3~30の3~12価の有機基は、本発明の効果を損なわない範囲で公知のものを使用することができる。
【0038】
前記Rが、芳香環を有し、該芳香環基がOH基あるいはOR基と直結していることが好ましい。Rがこのような構造をとることで、OH基あるいはOR基が脱保護したOH基の酸解離定数(pKa)が高くなり、アルカリ溶解性溶解性が向上する。そのため、残渣が少ないレリーフパターンを得ることが容易となる。前記芳香環は、フェニル基あるいはナフチル基であることが好ましい。
【0039】
が、フェニル基あるいはナフチル基を有し、該フェニル基あるいはナフチル基がOH基あるいはOR基と直結している好ましい一般式(1)の具体例として、次の構造が挙げられる。
【0040】
【化5】
【0041】
上記構造中、R、a、および、bは、前記式(1)中の同一の記号と同一の意味を示す。m、m、nはそれぞれ独立に0~2の整数、nは1~2の整数を示す。m+m=m、n+n=nを示し、m、nは、前記式(1)中の同一の記号と同一の意味を示す。
【0042】
式(1)中、mは0~4、nは1~4の整数を示す。樹脂の耐熱性の観点からm+nの値が1~4の整数であることが好ましく、1~2の整数であることがより好ましく、2であることがさらに好ましい。
【0043】
式(1)中、*は結合部位を示し、aおよびbは、それぞれ独立に、1または2の整数を示す。樹脂の耐熱性の観点からa=b=1または、a=b=2であることが好ましく、a=b=1であることがより好ましい。
【0044】
式(1)で表される構造は、例えば、ヒドロキシ基含有酸二無水物あるいはヒドロキシ基含有ジアミンを用いて、前記ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリアミドおよびそれらの共重合体からなる群から選ばれる一種以上の樹脂を合成し、該樹脂のOH基の一部または全部をOR基に改質させることによって得られる。
【0045】
特に(A)式(1)で表される構成単位を含むポリアミドにおいては、OH基あるいはOR基がアミド基の窒素に対してオルソ位にあると、熱による脱水閉環でポリベンゾオキサゾールに転化され、耐熱性が増すため好ましい。
【0046】
ヒドロキシ基含有酸二無水物としては、例えば、6,6’-メチレンビス(5-ヒドロキシイソベンゾフラン-1,3-ジオン)、N,N’-(4,4’-ジヒドロキシ-[1,1’-ビフェニル]-3,3’-ジイル)ビス(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-カルボキサミド)、N,N’-(プロパン-2,2’-ジイルビス(6-ヒドロキシ-3,1-フェニレン))ビス(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-カルボキサミド)、N,N’-((パーフルオロプロパン-2,2-ジイル)ビス(6-ヒドロキシ-3,1-フェニレン))ビス(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-カルボキサミド)などが挙げられるが、これらに限定されない。
ヒドロキシ基含有ジアミンとしては、例えば、2,4-ジアミノフェノール、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシ)ビフェニル、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)フルオレンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
前記式(1)が、式(3)であることが好ましい。
【0048】
【化6】
【0049】
式(3)中、R、a、および、bは、前記式(1)中の同一の記号と同一の意味を示す。Lは、直接結合、-C(CH-、9H-フルオレン-1,9-ジイル基を示す。より好ましくは-C(CH-、9H-フルオレン-1,9-ジイル基である。m、m、nおよびnは、それぞれ独立に、0~2の整数を示す。ただし、1≦(n+n)≦4を満たす。*は結合部位を示す。
【0050】
前記9H-フルオレン-1,9-ジイル基とは、下記式で表される基である。
【0051】
【化7】
【0052】
*は結合部位を示す。
【0053】
前記式(1)が式(3)であることで、R-O-RがR-OHに変換する、すなわち脱保護する活性化エネルギーを小さくすることができる。そのため、露光部の脱保護率が高い高感度感光性樹脂組成物とすることができる。R-O-RがR-OHに変換する、すなわち脱保護する活性化エネルギーを小さくすることができる
前記(A)成分が、式(4)で表される構造単位を含むことが好ましい。
【0054】
【化8】
【0055】
式(4)中、Xは、炭素数4~50の4価の有機基、または、前記式(1)の構成単位を示す。Yは炭素数6~30の2価の有機基、または、前記式(1)の構成単位を示す。ただし、XとYの少なくとも一つは、前記式(1)の構成単位であり、Xが、前記式(1)の構成単位をとる場合は、a=b=2であり、Yが、前記式(1)の構成単位をとる場合は、a+b=2である。
【0056】
式(4)で表される構造は、耐熱性の高いイミド構造を有する。そのため、式(4)で表される構造を有することにより、耐熱性が高い感光性樹脂組成物とすることができる。
【0057】
前記式(4)中、Xが、炭素数4以上の脂肪族骨格を含む、炭素数4~50の4価の有機基であることが好ましい。前記式(4)中、Xが、炭素数4以上の脂肪族骨格を含む、炭素数4~50の4価の有機基であることにより、樹脂の疎水性を低く抑えることができ、アルカリ現像液に対して溶解性が高い樹脂とすることができる。そのため、露光、現像時に残渣の少ない良好なレリーフパターンを形成することができる。炭素数4以上の脂肪族骨格を含む、炭素数4~50の4価の有機基は、次のような構造が挙げられる。
【0058】
【化9】
【0059】
*は、結合部位を示す。
【0060】
<Rの説明>
前記式(1)中、Rは、炭素数3~20の1価のオキシメチル基である。炭素数3~20の1価のオキシメチル基とは、結合部位から順に炭素-酸素が単結合で結合した構造を有する炭素数3~20の1価の基である。前記炭素数3~20の1価のオキシメチル基は、具体的に、次のような構造で表すことができる。
【0061】
【化10】
【0062】
上記構造中、R~R、R11は1価の有機基を示し、R10およびR12は2価の有機基を示す。*は結合部位を示す。構造中の炭素数は3~20である。
【0063】
1価の有機基としては、炭素数1~6のアルキル基、炭素数5~10の環状アルキル基、炭素数2~8のアルコキシアルキル基、または、炭素数6~16のアルコキシ環状アルキル基などが挙げられる。
2価の有機基としては、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,3-ジイル基、ペンタン-1,3-ジイル基や、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,3-ジイル基およびペンタン-1,3-ジイル基からなる群より選ばれる基の水素原子が、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基および炭素数2~8のアルコキシアルキル基からなる群より選ばれる基で置換された基などが挙げられる。
【0064】
前記Rが前記炭素数3~20の1価のオキシメチル基であることにより、組成物中で発生した酸が、R-O-Rの構造中のO-R間の結合に作用し、R-O-RをR-OHに変換することができる。そのため、本発明の感光性樹脂組成物は、未露光部と露光部でアルカリ水溶液に対する溶解コントラストを発現させることができるため、露光部が溶解し、レリーフパターンを形成することができる。
【0065】
前記Rは、式(1)中、少なくとも1つのRが、式(5)で表される基であることが好ましい。
【0066】
【化11】
【0067】
式(5)中、R13は、炭素数1~6のアルキル基、または、炭素数2~8のアルコキシアルキル基を示す。R14およびR15は、炭素数1~6のアルキル基、炭素数5~10の環状アルキル基、炭素数2~8のアルコキシアルキル基、または、炭素数6~16のアルコキシ環状アルキル基を示す。R16は、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数5~10の環状アルキル基、炭素数2~8のアルコキシアルキル基、または、炭素数6~16のアルコキシ環状アルキル基を示す。また、R14、R15およびR16は、互いが結合し環化していてもよい。*は結合部位を示す。
【0068】
炭素数1~6のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などが挙げられる。
【0069】
炭素数2~8のアルコキシアルキル基の具体例としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基、メトキシブチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、エトキシプロピル基、エトキシブチル基、プロポキシメチル基、プロポキシエチル基、プロポキシプロピル基、プロポキシブチル基などが挙げられる。
【0070】
炭素数5~10の環状アルキル基の具体例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロへプチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロへプチルエチル基、シクロペンチルプロピル基、シクロヘキシルプロピル基、シクロペプチルプロピル基などが挙げられる。
【0071】
炭素数6~16のアルコキシ環状アルキル基の具体例としては、メトキシペンチル基、エトキシペンチル基、プロポキシペンチル基、ジメトキシペンチル基、ジエトキシペンチル基、ジプロポキシペンチル基、トリメトキシペンチル基、トリエトキシペンチル基、トリプロポキシペンチル基、メトキシヘキシル基、エトキシヘキシル基、プロポキシヘキシル基、ジメトキシヘキシル基、ジエトキシヘキシル基、ジプロポキシヘキシル基、トリメトキシヘキシル基、トリエトキシヘキシル基、トリプロポキシヘキシル基、メトキシへプチル基、エトキシへプチル基、プロポキシへプチル基、ジメトキシへプチル基、ジエトキシへプチル基、ジプロポキシへプチル基、トリメトキシへプチル基、トリエトキシへプチル基、トリプロポキシへプチル基などが挙げられる。
【0072】
炭素数1~6のアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキソキシ基などが挙げられる。
【0073】
式(5)は、R-O-Rの構造中のO-Rのα位が分岐した構造である。前記Rの少なくとも一つが、式(5)で表される基であることにより、R-O-RがR-OHに変換する、すなわち脱保護する活性化エネルギーを小さくすることができる。そのため、露光により感光性組成物中に発生する酸が少ない場合でも、脱保護することができ、高感度な感光性樹脂組成物とすることできる。具体的にRには式(6)~(8)で表される基が好ましく用いられ、特に好ましくは式(6)で表される基が用いられる。
【0074】
【化12】
【0075】
式(6)~(8)中、*は結合部位を表す。
【0076】
-O-Rは、R-OHを有する樹脂と保護剤とを反応させることによって得られる。例えば、無溶剤又はトルエン、ヘキサン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロペンタノン等の溶剤中で、R-OHを有する樹脂と保護剤とを、酸、または、塩基の存在下、反応温度-20~50℃で反応させることにより、R-O-Rを有する樹脂、すなわち(A)成分を得ることができる。
【0077】
保護剤として、水酸基を保護することが可能な公知の保護剤を用いることができる。保護剤として、例えば、Rが1-エトキシエチル基の場合はエチルビニルエーテル、2-テトラヒドロピラニル基の場合は、3,4-ジヒドロー2H-ピランなどを用いることができる。
【0078】
酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸などの無機酸、および、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸が挙げられる。また、p-トルエンスルホン酸ピリジニウムなどの有機酸塩も好ましく用いることができる。
【0079】
塩基としては、ピリジン、N,N-ジエチル-4-アミノピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン等のアミン化合物が挙げられる。
【0080】
<フッ素原子含有量>
感光性樹脂組成物を室温で放置した後の感度変化が小さいという観点より、本発明の感光性樹脂組成物は、感光性樹脂組成物中に含まれる全樹脂の総量を100質量%とした時の、該全樹脂におけるフッ素原子含有量が15質量%より大きいことが好ましい。フッ素原子含有量増大に伴い、疎水性が増し、膜形成後の周囲雰囲気からの水分子やアミンの取り込みを避けることができ経時での感度変化を抑制することができる。
【0081】
感光性樹脂組成物中に含まれる全樹脂の総量を100質量%とした時の、該全樹脂におけるフッ素原子含有量は、以下の方法で分析することができる。
まず感光性樹脂組成物から樹脂を分離する。分離した樹脂を試料として精秤する。自動試料燃焼装置を用いて、分析装置の燃焼管内で燃焼させ、発生したガスを溶液に吸収後、吸収液の一部をイオンクロマト法による分析する。吸収液としてはH 0.036質量%を用いることができる。
【0082】
<(B)光酸発生剤>
本発明の感光性樹脂組成物は、(B)光酸発生剤を含有する。光酸発生剤とは、露光によって酸を発生する機能を有する化合物である。前記(B)光酸発生剤は本発明の効果を損なわない範囲で公知のものを使用することができる。
【0083】
前記(B)光酸発生剤として、オニウム塩型のイオン性光酸発生剤や非イオン性光酸発生剤が挙げられる。オニウム塩とは、化学結合に関与しない電子対を有する化合物が、当該電子対によって、他の陽イオン形の化合物と配位結合して生ずる化合物を指す。前記イオン性光酸発生剤は、オニウム塩のカチオン部位が光化学特性(モル吸光係数・吸収波長・量子収率)、アニオン部位が生成する酸の強さを決定する。一方、非イオン性光酸発生剤は、光を吸収する部位と酸がエステル結合を介して光酸発生剤である。
【0084】
前記イオン性化合物としては、イオン性化合物としては、重金属、ハロゲンイオンを含まないものが好ましく、トリオルガノスルホニウム塩系化合物がより好ましい。トリオルガノスルホニウム塩系化合物の具体例としては、例えば、トリフェニルスルホニウムの、メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩、4-トルエンスルホン酸塩、パーフルオロ-1-ブタンスルホン酸塩(「SP-056」、商品名、ADEKA社製);ジメチル-1-ナフチルスルホニウムの前記スルホン酸塩;ジメチル(4-ヒドロキシ-1-ナフチル)スルホニウムの、前記スルホン酸塩;ジメチル(4,7-ジヒドロキシ-1-ナフチル)スルホニウムの、前記スルホン酸塩;ジフェニルヨードニウムの前記スルホン酸塩などが挙げられる。
【0085】
前記非イオン性の光酸発生剤としては、ジアゾメタン化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、カルボン酸エステル化合物、スルホンイミド化合物、リン酸エステル化合物、スルホンベンゾトリアゾール化合物などを用いることができる。
【0086】
ジアゾメタン化合物の具体例としては、例えば、ビス(4-メチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン(「WPAG-199」、商品名、富士フイルム和光純薬製))などが挙げられる。
【0087】
スルホン化合物の具体例としては、例えば、β-ケトスルホン化合物、β-スルホニルスルホン化合物などが挙げられる。好ましいスルホン化合物としては、2-(p-トルエンスルホニル)アセトフェノン、ビス(フェニルスルホニル)メタンなどが挙げられる。
【0088】
スルホン酸エステル化合物の具体例としては、例えば、アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホン酸エステル化合物などが挙げられる。好ましい具体例としては、例えば、ベンゾイン-4-トリルスルホネート、ピロガロールトリス(メチルスルホネート)、ニトロベンジル-9,10-ジエトキシアンスリル-2-スルホネート、2,6-(ジニトロベンジル)フェニルスルホネートなどが挙げられる。
【0089】
カルボン酸エステル化合物の具体例としては、例えば、カルボン酸2-ニトロベンジルエステルなどが挙げられる。
【0090】
前記(B)光酸発生剤が、非イオン性光酸発生剤を含むことが好ましい。前記(B)光酸発生剤が非イオン性光酸発生剤を有することにより、より高感度な感光性樹脂組成物とすることができる。
【0091】
前記(B)光酸発生剤が、光により発生する酸性基の酸解離定数(pKa)が-14~2の範囲である光酸発生剤を含むことがより好ましい。光酸発生剤が、光により発生する酸性基の酸解離定数(pKa)が上記の範囲であることにより、光により発生する酸性基が酸として効率よくR-O-Rの構造に作用することができる。そのため、脱保護がより進行し、高感度な感光性樹脂組成物とすることができる。前記光により発生する酸性基の酸解離定数(pKa)が-14~2の範囲である光酸発生剤の具体例としては、光により発生する酸が、トリフルオロメタンスルホン酸(pKa=-14)、ノナフルオロブタンスルホン酸(pKa=-3.57)、p-トルエンスルホン酸(pKa=-2.8)、メタンスルホン酸(pKa=-2.6)などである光酸発生剤が挙げられる。
【0092】
前記(B)光酸発生剤が、オキシムスルホネート化合物および/またはイミドスルホネート化合物を含むことがさらに好ましい。オキシムスルホネート化合物およびイミドスルホネート化合物は、非イオン性光酸発生剤であり、光により発生する酸性基がスルホ基であるため、酸解離定数(pKa)が高く、より高感度な感光性樹脂組成物とすることができる。
【0093】
前記オキシムスルホネート化合物は以下の構造で表すことができる。
【0094】
【化13】
【0095】
17は炭素数1~12の1価の有機基である。炭素数1~12の1価の有機基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、トリフルオロメタンスルホン酸基、ノナフルオロブチル基、パーフルオロオクチル基、(7,7-ジメチル-2-オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル)メチル基、ベンジル基、フェニル基、トシル基、ナフチル基などが挙げられる。
【0096】
18およびR19は炭素数1~30の1価の有機基である。R18およびR19はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。炭素数1~30の1価の有機基の具体例としては、シアノ基、トリフルオロメチル基、ヘキサフルオロプロピル基、ペンタフルオロブチル基、ドデカフルオロヘキシル基、フェニル基、4-メトキシフェニル基、2-フルオレニル基、4-(3-(4-(2,2,2-トリフルオロ-1-(((プロピルスルホニル)オキシ)イミノ)エチル)フェノキシ)プロポキシ)フェニル基などが挙げられる。
【0097】
20は炭素数3~30の1価の有機基である。炭素数3~30の1価の有機基の具体例としては、以下の構造が挙げられる。
【0098】
【化14】
【0099】
*は結合部位を示す。
【0100】
前記オキシムスルホネートの具体例としては、“Irgacure”(登録商標) PAG-103(ベンゼンアセトニトリル,2-メチル-α-[[(プロピルスルホニル)オキシ]イミノ]-3(2H)-チエニリデン)、PAG-121(ベンゼンアセトニトリル,2-メチル-α-[[(4-メチルフェニル)オキシ]イミノ]-3(2H)-チエニリデン)、PAG-108(ベンゼンアセトニトリル,2-メチル-α-[[(n-オクチル)オキシ]イミノ]-3(2H)-チエニリデン)、PAG-203(以上、いずれもBASFジャパン社製)、PAI-101((Z)-4-メトキシ-N-(トシロキシ)ベンズイミドイルシアニド、みどり化学社製)などが挙げられる。
【0101】
前記イミドスルホネート化合物は以下の構造で表すことができる。
【0102】
【化15】
【0103】
21は炭素数1~12の1価の有機基である。炭素数1~12の1価の有機基の具体例としては、R17の具体例として挙げた基などが挙げられる。
【0104】
22およびR23は炭素数1~30の1価の有機基である。R22およびR23はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。炭素数1~30の1価の有機基の具体例としては、R18およびR19の具体例として挙げた基などが挙げられる。
【0105】
24は炭素数3~30の1価の有機基である。炭素数3~30の2価の有機基の具体例としては、以下の構造が挙げられる。
【0106】
【化16】
【0107】
25は炭素数1~12の1価の有機基である。tは0~2の整数を示す。炭素数1~12の1価の有機基の具体例としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、2-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、ドデカニル基、1-(ヘキシ-1-エン-1-イル)基、1-(4-ブトキシフェネチル)基などが挙げられる。*は結合部位を示す。
【0108】
イミドスルホネート化合物としては、N-ヒドロキシナフタルイミドトリフラート、“アデカアークルズ”(登録商標) SP-606(4-ブチル-N-ヒドロキシ-ナフタルイミドトリフラート、ADEKA社製)、NA-101(N-ヒドロキシナフタルイミド-p-トルエンスルホネート)、NA-106(N-ヒドロキシナフタルイミドカンファースルホネート、以上、いずれもみどり化学社製)などが挙げられる。
【0109】
本発明において、(B)光酸発生剤の含有量は感光性樹脂組成物中の全樹脂100質量部に対して0.1~20質量部が好ましく、0.2~10質量部がより好ましい。(B)光酸発生剤が上記の範囲であることで、高感度な感光性樹脂組成物とすることができる。
【0110】
<(C)複素環式アミン化合物>
本発明の感光性樹脂組成物は、複素環式アミン化合物を含む。複素環式アミンとしては、例えば、ピリジン、α-ピコリン、β-ピコリン、γ-ピコリン、2,6-ルチジン、2-エチルピリジン、3-エチルピリジン、4-エチルピリジン、2,6-ジエチルピリジン、2-ノルマルプロピルピリジン、3-ノルマルプロピルピリジン、4-ノルマルプロピルピリジン、2,6-ジノルマルプロピルピリジン、2-イソプロピルピリジン、3-イソプロピルピリジン、4-イソプロピルピリジン、2,6-ジイソプロピルピリジン、2-ノルマルブチルピリジン、3-ノルマルブチルピリジン、4-ノルマルブチルピリジン、2,6-ジノルマルブチルピリジン、2-イソブチルピリジン、3-イソブチルピリジン、4-イソブチルピリジン、2,6-ジイソブチルピリジン、2-tert-ブチルピリジン、3-tert-ブチルピリジン、4-tert-ブチルピリジン、2,6-ジ-tert-ブチルピリジン、2-フェニルピリジン、3-フェニルピリジン、4-フェニルピリジン、N-メチル-4-フェニルピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、イミダゾール、N-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、ベンズイミダゾール、2-フェニルベンズイミダゾール、2,4,5-トリフェニルイミダゾール、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、8-オキシキノリン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、4-メチルモルホリン、4-フェニルモルホリンN-シクロヘキシル-N’-[2-(4-モルホリニル)エチル]チオ尿素、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノネン、1,8-ジアザビシクロ[5.3.0]-7-ウンデセンなどが挙げられる。
【0111】
現像時の膜減少量を小さくする、感光性樹脂組成物を室温で放置した後の感度変化が小さいという観点から、前記(C)成分が、共役酸のpKaが10以下である複素環式アミン化合物を含有する、ことがより好ましい。共役酸のpKaが上記の範囲であるアミン化合物として、ピリジン(pKa=5.25)、α-ピコリン(pKa=5.97)、2,6-ルチジン(pKa=6.75)、イミダゾール(pKa=6.95)、N-メチルモルホリン(pKa=7.38)、モルホリン(pKa=8.36)などが挙げられる。
【0112】
前記(C)成分が、式(2)で表される複素環式アミン化合物を含有することがより好ましい。
【0113】
【化17】
【0114】
式(2)中、Rは炭素数1~4のアルキル基を表す。pは0~5の整数を表す。
【0115】
置換基による立体障害を利用した、酸の過度な失活抑制の観点から、前記(C)成分が、前記式(2)中、前記Rは窒素原子に対してα位に位置する炭素に結合しており、pは1または2である化合物を含むことが、さらに好ましい。
【0116】
具体的には、α-ピコリン、2,6-ルチジン、2-エチルピリジン、2,6-ジエチルピリジン、2-ノルマルプロピルピリジン、2,6-ジノルマルプロピルピリジン、2-イソプロピルピリジン、2,6-ジイソプロピルピリジン、2-ノルマルブチルピリジン、2,6-ジノルマルブチルピリジン、2-イソブチルピリジン、2,6-ジイソブチルピリジン、2-tert-ブチルピリジン、2,6-ジ-tert-ブチルピリジン等が挙げられ、α-ピコリン、2,6-ルチジン、2-tert-ブチルピリジン、2,6-ジ-tert-ブチルピリジンが好ましく用いられ、その中でも、2,6-ルチジンが特に好ましく用いられる。本発明において、(C)アミン化合物の含有量は(A)成分100質量部に対して0.01~10質量部が好ましく、0.1~2質量部がより好ましい。(C)アミン化合物の含有量が上記の範囲であることで、膜減少量の少ない、高感度なポジ型感光性樹脂組成物とすることができる。
【0117】
本発明の感光性樹脂組成物は上記以外のその他の添加剤を含んでいてもよい。その他の添加剤として、溶剤、溶解促進剤、増感剤、シランカップリング剤、界面活性剤などが挙げられる。
【0118】
<硬化物>
本発明の硬化物は、本発明の感光性樹脂組成物を硬化した硬化物である。
【0119】
硬化条件としては、150℃~320℃の温度を加えて熱架橋反応を進行させ、耐熱性および耐薬品性を向上させる。この加熱処理は温度を選び、段階的に昇温するか、ある温度範囲を選び連続的に昇温しながら5分間~5時間実施すればよい。一例としては、130℃、200℃で各30分ずつ熱処理する。本発明においてのキュア条件の下限としては170℃以上が好ましいが、十分に硬化を進行させるために170℃以上であることがより好ましい。また、キュア条件の上限としては、280℃以下が好ましい。
【0120】
<硬化物の製造方法(1)>
本発明の硬化物の製造方法の1つの態様は、
a-1)本発明の感光性樹脂組成物を基材上に塗布、乾燥して感光性樹脂膜を形成する工程、
b-1)該感光性樹脂膜を露光する工程、
c-1)該露光された感光性樹脂膜の露光部をアルカリ水溶液で溶出または除去して現像する工程、および、
d-1)該現像された感光性樹脂膜を加熱処理する工程、を含む。
【0121】
このようにして得られた硬化物は、ポリイミドを主体とする硬化物であるため、耐熱性や電気絶縁性、機械特性に優れる。
【0122】
本発明の硬化物の製造方法は、本発明の感光性樹脂組成物を基材上に塗布して感光性樹脂膜を形成する工程、を含む。
【0123】
基材は特に限定されないが、ガラス、シリコンウェハー、セラミック堆積基板、金属めっき基板、サファイア、ガリウムヒ素からなる群から選ばれることが好ましい。
【0124】
本発明の感光性組成物を基材上に塗布する方法は公知の方法を用いることができる。塗布に用いる装置としては、スピンコーティング、ディップコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング若しくはスリットコーティング等の全面塗布装置又はスクリーン印刷、ロールコーティング、マイクログラビアコーティング若しくはインクジェット等の印刷装置が挙げられる。
【0125】
塗布後、乾燥して感光性樹脂膜を形成する。乾燥は、真空乾燥装置あるいは、ホットプレート、オーブン等の加熱装置を用いる。加熱装置を用いる場合、50以上150℃以下の温度範囲で30秒~30分間行うことが好ましい。前記感光性樹脂膜の膜厚は0.1以上100μm以下が好ましい。
【0126】
本発明の硬化物の製造方法は、該感光性樹脂膜を露光する工程、を含む。
【0127】
露光する工程において、前記感光性樹脂膜上に、所望のパターンを有するマスクを介して露光する。照射する露光光の波長は特に制限されず、例えば、g線(436nm)、i線(365nm)、及び、h線(405nm)等の300~450nmの波長を有する光が挙げられる。なかでも、365nmの波長を有する光を照射することが好ましい。露光工程において使用する光源としては、例えば、各種レーザー、発光ダイオード(LED)、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、及び、メタルハライドランプが挙げられる。また、必要に応じて長波長カットフィルター、短波長カットフィルター及びバンドパスフィルター等の分光フィルターを通して照射光の波長を調整してもよい。
【0128】
露光後、必要に応じて、露光後ベークをしても構わない。露光後ベークを行うことによって、現像後の解像度向上又は現像条件の許容幅増大などの効果が期待できる。露光後ベークは、オーブン、ホットプレート、赤外線、フラッシュアニール装置、レーザーアニール装置などを使用することができる。露光後ベーク温度としては、50~170℃が好ましく、60~150℃がより好ましい。露光後ベーク時間は、10秒~1時間が好ましく、30秒~30分であることがより好ましい。
【0129】
本発明の硬化物の製造方法は、該露光した感光性樹脂膜の露光部をアルカリ水溶液で溶出または除去して現像する工程、を含む。
【0130】
感光性樹脂組成物のパターンを形成するには、露光後、現像液を用いて露光部を除去する。現像に使用される現像液は、アルカリ水溶液可溶性重合体を溶解除去するものであり、典型的にはアルカリ化合物を溶解したアルカリ性水溶液である。アルカリ化合物としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムなどが挙げられる。また場合によっては、これらのアルカリ水溶液にN-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトン(GBL)、ジメチルアクリルアミドなどの極性溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、シクロペンタノン(CP)、シクロヘキサノン、イソブチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類などを単独あるいは数種を組み合わせたものを添加してもよい。
【0131】
現像後は、有機溶媒または水にてリンス処理をすることが好ましい。有機溶媒を用いる場合、上記の現像液に加え、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどが挙げられる。水を用いる場合、ここでもエタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類などを水に加えてリンス処理をしてもよい。
【0132】
本発明の硬化物の製造方法は、現像した感光性樹脂膜を加熱処理する工程、を含む。
【0133】
現像後、150℃~320℃の温度を加えて熱架橋反応を進行させ、耐熱性および耐薬品性を向上させる。この加熱処理は温度を選び、段階的に昇温するか、ある温度範囲を選び連続的に昇温しながら5分間~5時間実施する。一例としては、130℃、200℃で各30分ずつ熱処理する。本発明においてのキュア条件の下限としては170℃以上が好ましいが、十分に硬化を進行させるために180℃以上であることがより好ましい。また、キュア条件の上限としては、280℃以下が好ましい。
【0134】
<感光性樹脂シート>
本発明の感光性樹脂組成物は、その形状に制限はなく、例えばペースト状であってもシート状であってもよい。
【0135】
本発明の感光性樹脂シートは、本発明の感光性樹脂組成物を支持体上にシート状に形成した感光性樹脂シートである。本発明の感光性樹脂シートとは、本発明の感光性樹脂組成物を支持体上に塗布し、溶剤を揮発させることが可能な範囲の温度および時間で乾燥し、本発明の感光性樹脂組成物が、完全に硬化されていないシート状のもので、本発明の感光性樹脂組成物が、有機溶剤に可溶である状態のものを指す。
【0136】
支持体は特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリイミドフィルムなど、通常市販されている各種のフィルムが使用可能である。支持体と感光性樹脂組成物との接合面には、密着性と剥離性を向上させるために、シリコーン、シランカップリング剤、アルミキレート剤、ポリ尿素などの表面処理を施してもよい。また、支持体の厚みは特に限定されないが、作業性の観点から、10~100μmの範囲であることが好ましい。さらに塗布で得られた感光性樹脂組成物の膜表面を保護するために、膜表面上に保護フィルムを有してもよい。これにより、大気中のゴミやチリ等の汚染物質から感光性樹脂組成物の表面を保護することができる。
【0137】
感光性樹脂組成物を支持体に塗布する方法としてはスピンナーを用いたスピン塗布、スプレー塗布、ロールコーティング、スクリーン印刷、ブレードコーター、ダイコーター、カレンダーコーター、メニスカスコーター、バーコーター、ロールコーター、コンマロールコーター、グラビアコーター、スクリーンコーター、スリットダイコーターなどの方法が挙げられる。また、塗布膜厚は、塗布手法、組成物の固形分濃度、粘度などによって異なるが、通常、乾燥後の膜厚が、塗膜均一性などの観点から0.5μm以上100μm以下であることが好ましい。
【0138】
乾燥には、オーブン、ホットプレート、赤外線などを使用することができる。乾燥温度および乾燥時間は、溶媒を揮発させることが可能な範囲であればよく、感光性樹脂組成物が未硬化または半硬化状態となるような範囲を適宜設定することが好ましい。具体的には、40℃から150℃の範囲で1分から数十分行うことが好ましい。また、これらの温度を組み合わせて段階的に昇温してもよく、例えば、80℃、90℃で各2分ずつ熱処理してもよい。
【0139】
<硬化物の製造方法(2)>
本発明の硬化物の製造方法の別の態様は、
a-2)本発明の感光性樹脂シートを基材上に熱圧着する工程、
b-2)該熱圧着された感光性樹脂シートを露光する工程、
c-2)該露光された熱圧着された感光性樹脂シートの露光部をアルカリ水溶液で溶出または除去して現像する工程、および、
d-2)該現像された熱圧着された感光性樹脂シートを加熱処理する工程、を含む。
【0140】
このようにして得られた硬化物は、ポリイミドを主体とする硬化物であるため、耐熱性や電気絶縁性、機械特性に優れる。
【0141】
前記基材は、シリコンウェハー、セラミックス類、ガリウムヒ素、有機系回路基板、無機系回路基板、およびこれらの基板に回路の構成材料が配置されたものなどが挙げられるが、これらに限定されない。有機系回路基板の例としては、ガラス布・エポキシ銅張積層板などのガラス基材銅張積層板、ガラス不織布・エポキシ銅張積層板などのコンポジット銅張積層板、ポリエーテルイミド基板、ポリエーテルケトン基板、ポリサルフォン系基板などの耐熱・熱可塑性基板、ポリエステル銅張フィルム基板、ポリイミド銅張フィルム基板などのフレキシブル基板が挙げられる。また、無機系回路基板の例は、アルミナ基板、窒化アルミニウム基板、炭化ケイ素基板などのセラミック基板、アルミニウムベース基板、鉄ベース基板などの金属系基板が挙げられる。回路の構成材料の例は、銀、金、銅などの金属を含有する導体、無機系酸化物などを含有する抵抗体、ガラス系材料および/または樹脂などを含有する低誘電体、樹脂や高誘電率無機粒子などを含有する高誘電体、ガラス系材料などを含有する絶縁体などが挙げられる。
【0142】
前記感光性樹脂シートを前記基材上にラミネートする工程は特に限定されないが、公知の方法を用いることができる。例えば、前記感光性樹脂シートが、保護フィルムを有する場合には、保護フィルムを残したまま支持体を剥離し、保護フィルムの付いた感光性樹脂組成物と基板を対向させ、熱圧着により貼り合わせる。熱圧着は、熱プレス、熱ラミネート、熱真空ラミネート等によって行うことができる。中でも熱ラミネートが好ましい。貼り合わせ温度は、基板への密着性、埋め込み性の点から40℃以上が好ましい。また、貼り合わせ時に樹脂組成物フィルムが硬化し、露光・現像工程におけるパターン形成の解像度が悪くなることを防ぐために、貼り合わせ温度は150℃以下が好ましい。
【0143】
該感光性樹脂シートを露光する工程、該露光した感光性樹脂シートの露光部をアルカリ水溶液で溶出または除去して現像する工程、および、現像した感光性樹脂シートを加熱処理する工程については、特に制限はないが、前記感光性樹脂組成物を用いた硬化物の製造方法(1)と同様に行うことが好ましい。
【0144】
<半導体装置>
本発明の感光性樹脂組成物を硬化した硬化物は、半導体装置等の電子部品に使用することができる。本発明でいう半導体装置とは、半導体素子の特性を利用することで機能し得る装置全般を指す。半導体素子を基板に接続した電気光学装置や半導体回路基板、複数の半導体素子を積層したもの、並びにこれらを含む電子装置は、全て半導体装置に含まれる。また、半導体素子を接続するための多層配線板等の電子部品も半導体装置に含める。具体的には、半導体のパッシベーション膜、半導体素子の表面保護膜、半導体素子と再配線層の間の層間絶縁膜、複数の半導体素子の間の層間絶縁膜、高密度実装用多層配線の配線層間の層間絶縁膜、有機電界発光素子の絶縁層などの用途に好適に用いられるが、これに制限されず、様々な用途に用いることができる。
【0145】
本発明の半導体装置は、本発明の硬化物が半導体素子の表面保護膜または配線層間の層間絶縁膜として配置された、半導体装置である。前記感光性組成物の硬化膜が半導体素子の表面保護膜または配線層間の層間絶縁膜として配置されることにより、高信頼性の半導体装置とすることができる。
【0146】
本発明の半導体装置は、前記配線層と前記層間絶縁膜が2~10層繰り返し配置された、半導体装置であることが好ましい。前記配線層と前記層間絶縁膜が2~10層繰り返し配置されることにより、半導体装置の小型化ができる。
【0147】
<表示装置>
本発明の表示装置は、基板上に形成された、第一電極と、第一電極を部分的に露光せしめるように第一電極上に形成された絶縁層と、第一電極に対向して設けられた第二電極とを含む表示装置であって、前記絶縁層が本発明の硬化物を含む表示装置である。
【0148】
本発明の表示装置の別の態様は、薄膜トランジスタ(TFT)が形成された基板上の凹凸を覆う状態で設けられた平坦化膜を備えてなる表示素子であって、前記平坦化膜が本発明の硬化物を含む表示装置である。
【0149】
具体的には、基板上に、駆動回路、平坦化層、第1電極、絶縁層、発光層および第2電極を有し、平坦化層および/または絶縁層が前記硬化物を含む表示素子であることが好ましい。アクティブマトリックス型の表示素子を例に挙げると、ガラスや樹脂フィルムなどの基板上に、TFTと、TFTの側方部に位置しTFTと接続された配線とを有し、その上に凹凸を覆うようにして平坦化層を有し、さらに平坦化層上に表示素子が設けられている。表示素子と配線とは、平坦化層に形成されたコンタクトホールを介して接続される。本発明の感光性樹脂組成物を硬化した硬化物は、平坦化性とパターン寸法安定性に優れるため、平坦化層として表示装置に具備させることが好ましい。特に、近年、表示装置のフレキシブル化が主流になっており、前述の駆動回路を有する基板が樹脂フィルムからなる表示装置であってもよい。
【実施例0150】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの範囲に限定されない。なお、用いた化合物のうち略語を使用しているものについて、名称を以下に示す。
【0151】
(酸二無水物化合物)
TDA-100:1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-5(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)ナフト[1,2-c]フラン-1,3-ジオン
6FDA:4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物
(ジアミン化合物)
6FAP:2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン
ABPS:4,4’-スルホニルビス(2-アミノフェノール)
(酸二化合物)
ODBC:4,4’-オキシビス(ベンゾイルクロリド)
((B)光酸発生剤)
PAG-103:“Irgacure”(登録商標) PAG-103(ベンゼンアセトニトリル,2-メチル-α-[[(プロピルスルホニル)オキシ]イミノ]-3(2H)-チエニリデン、BASFジャパン社製)
(その他)
CP:シクロペンタノン
GBL:γ-ブチロラクトン
NMP:N-メチルピロリドン
IPVE:イソプロピルビニルエーテル。
【0152】
(1)ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリアミドの重量平均分子量
GPC分析装置を用い、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)を測定して求めた。なお、ポリイミドおよびポリベンゾオキサゾールの重量平均分子量は下記条件により測定した。
測定装置:Waters2695(Waters社製)
カラム温度:50℃
流速:0.4mL/min
検出器:2489 UV/Vis Detector(測定波長 260nm)
展開溶剤:NMP(塩化リチウム0.21重量%、リン酸0.48重量%含有)
ガードカラム:TOSOH TSK guard column(東ソー(株)製)
カラム:TOSOH TSK-GEL a-2500、
TOSOH TSK-GEL a-4000 直列(いずれも東ソー(株)製)。
【0153】
(2)閉環率
(2-1)イミド化率(%)
合成例で得られたポリイミド(PI-01~PI-04)およびポリイミド前駆体(PAA-01)を濃度35質量%になるようにGBLに溶解した。この溶液を4インチのシリコンウェハー上にスピンナー(ミカサ(株)製1H-DX)を用いてスピンコート法で塗布し、次いで120℃のホットプレートで3分ベークし、厚さ4~5μmの樹脂膜を作製した。この樹脂膜付きウエハを2分割し、一方をクリーンオーブン(光洋サーモシステム(株)製CLH-21CD-S)を用いて、窒素気流下(酸素濃度20ppm以下)において140℃で30分、次いでさらに昇温して320℃で1時間キュアして、イミド環を完全に閉環させた(サンプルIM02)。もう一方はそのまま用いた(サンプルIM01)。赤外分光光度計((株)堀場製作所製FT-720)を用いてキュア前後の樹脂膜(IM-01、IM-02)の透過赤外吸収スペクトルをそれぞれ測定し、ポリイミドに起因するイミド構造の吸収ピーク(1,780cm-1付近、1,377cm-1付近)の存在を確認の上、IM-01の1,377cm-1付近のピーク強度(S1)、IM-01の1,377cm-1付近のピーク強度(T1)を求めた。ピーク強度(S1)をピーク強度(T1)で割ったピーク強度比を算出し、熱処理前ポリイミドおよびポリイミド前駆体中のイミド基の含量、すなわちイミド化率とした。
【0154】
(2-2)オキサゾール化率(%)
合成例で得られたポリベンゾオキサゾール前駆体(PBO-01)を濃度35質量%になるようにGBLに溶解した。この溶液を4インチのシリコンウェハー上にスピンナー(ミカサ(株)製1H-DX)を用いてスピンコート法で塗布し、次いで120℃のホットプレートで3分ベークし、厚さ4~5μmの樹脂膜を作製した。この樹脂膜付きウエハを2分割し、一方をクリーンオーブン(光洋サーモシステム(株)製CLH-21CD-S)を用いて、窒素気流下(酸素濃度20ppm以下)において140℃で30分、次いでさらに昇温して320℃で1時間キュアして、オキサゾール環を完全に閉環させた(サンプルOX02)。もう一方はそのまま用いた(サンプルOX01)。赤外分光光度計((株)堀場製作所製FT-720)を用いてキュア前後の樹脂膜(OX-01、OX-02)の透過赤外吸収スペクトルをそれぞれ測定し、オキサゾールに起因する吸収ピーク(1,050cm-1付近、1,570cm-1付近)の存在を確認の上、上記吸収付近のOX-01のピーク強度(S2)、上記吸収付近のOX-02のピーク強度T2)を求めた。ピーク強度(S2)をピーク強度(T2)で割ったピーク強度比を算出し、熱処理前ポリベンゾオキサゾールおよびポリベンゾオキサゾール前駆体中のオキサゾール基の含量、すなわちオキサゾール化率を求めた。
【0155】
(3)感光性樹脂組成物中の全樹脂におけるフッ素原子含有量
樹脂または樹脂溶液を試料として精秤する。下記記載の自動試料燃焼装置を用いて、分析装置の燃焼管内で燃焼させ、発生したガスを溶液に吸収後、吸収液の一部をイオンクロマト法により分析した。樹脂溶液の場合は、得られた試料中の全フッ素原子含有量(質量%)を前記固形分濃度(質量%)で割ることにより、該樹脂におけるフッ素原子含有量(質量%)とした。
【0156】
<燃焼・吸収条件>
システム :AQF-2100H、GA-210(三菱化学(株)社製)
電気炉温度 :Inlet 900℃ Outlet 1000℃
ガス :Ar/O 200mL/分
:O/ 400mL/分
吸収液 :H 0.036質量%、内標 P 4μg/mL
吸収液量 :20mL
<イオンクロマトグラフィー・アニオン分析条件>
システム :ICS1600(DINONEX(株)社製)
移動相 :2.7mmol/L NaCO / 0.3mmol/L NaHCO
流速 :1.5mL/分
検出器 :電気伝導度検出器
注入量 :20μL。
【0157】
(4)保護率
保護率は、400MHz、1H-NMR(核磁気共鳴)装置(日本電子株式会社製 AL-400)を用いて測定した。具体的には、重水素化ジメチルスルホキシド溶液中、積算回数16回で測定した。5-6ppm付近に観測される保護基由来のメチン基(>CH-)のプロトンの積分値および9-11ppm付近に観測されるフェノール性水酸基のプロトンの積分値を算出し、メチン基のプロトンの積分値とフェノール性水酸基のプロトンの積分値の合計を100%としたときの、メチン基のプロトン積分値の割合を保護率(%)とした。
【0158】
(5)固形分濃度
固形分濃度は、以下の方法により求めた。アルミカップに溶液を1.500g秤取し、ホットプレートを用いて30分間加熱して液分を蒸発させた。加熱温度は溶剤の標準圧力下における沸点から50度を足した値で設定した。加熱後のアルミカップに残った固形分の重量を秤量して、加熱前の重量に対する割合から固形分濃度を求めた。
【0159】
(6)レリーフパターンの作製
各実施例および比較例により得られた感光性樹脂組成物を、塗布現像装置ACT-8(東京エレクトロン(株)製)を用いて、8インチシリコンウェハー上にスピンコート法により塗布し、100℃で2分間加熱をして膜厚4.0μmの感光性樹脂膜を作製した。なお、膜厚は、光干渉式膜厚測定装置ラムダエースSTM-602(SCREENホールディングス社製)を用いて、屈折率1.629の条件で測定した。その後、露光機i線ステッパーNSR-2005i9C(ニコン社製)を用いて、10μmのコンタクトホールのパターンを有するマスクを介して、露光量5~300mJ/cmの範囲で5mJ/cm毎に露光した。露光後、前記ACT-8の現像装置を用いて、2.38質量%のTMAH(多摩化学工業(株)製)を現像液として、80秒間現像した後、蒸留水でリンスを行い、振り切り乾燥し、レリーフパターンを得た。
【0160】
(6-1)現像膜減少量の算出
現像膜減少量は、未露光部における現像前の膜厚から、現像後の膜厚を引算し、算出した。下記のように結果を判定し、膜減少量が0.4μm未満である、AおよびBを合格とした。
【0161】
A:現像膜減少量が0.3μm未満
B:現像膜減少量が0.3μm以上0.4μm未満
C:現像膜減少量が0.4μm以上
(6-2)感度
感度は得られたレリーフパターンをFDP顕微鏡MX61(オリンパス(株)製)を用いて倍率20倍で観察し、コンタクトホールの開口径を測定した。コンタクトホールの開口径が10μmに達した最低露光量を求め、これを感度とした。下記のように結果を判定し、感度が200mJ/cm未満である、A~Bを合格とした。
【0162】
A:感度が85mJ/cm未満
:感度が85mJ/cm以上100mJ/cm未満
B:感度が100mJ/cm以上200mJ/cm未満
C:感度が200mJ/cm以上。
【0163】
(7)保管安定性(放置後の感度変化)
各実施例および比較例により得られた感光性樹脂組成物を、23℃、45%RHで5日間放置した後、(6)と同様の手順でレリーフパターンを作製した。
(6-2)と同様の評価で感度を求め、放置前の感度をEop(B)、放置後の感度をEop(A)としたとき、感度変化x(%)を以下の式で算出し、評価基準を下記のように定め、A~Bを合格とした。
【0164】
感度変化x(%)=Eop(A)/Eop(B)×100
A:xが102未満
:xが102以上105未満
:xが105以上112未満
B:xが112以上120未満
C:xが120以上。
【0165】
合成例1 ポリイミド(PI-01)の合成
乾燥窒素気流下、四口フラスコにジアミンとして6FAP 32.96g(90mmol)NMPを180g秤量して溶解させた。ここに酸二無水物としてTDA-100を30.03g(100mmol)、NMP 40.00gとともに加え、40℃で1時間攪拌した。次いで、モノアミンとしてアニリン1.863g(20mmol)をNMP 40.00gとともに加えて、40℃で1時間反応させ、次いで200℃で4時間攪拌した。撹拌終了後、溶液を純水2Lに投入して白色沈殿を得た。この沈殿を濾過で集めて、純水で3回洗浄した後、50℃の真空乾燥機で72時間乾燥し、ポリイミド(PI-01)の粉末を得た。得られた樹脂のMwは29,600、イミド化率は100%であった。評価結果を表1に記載した。
【0166】
合成例2~4 ポリイミド(PI-02~04)の合成
合成例1から、酸二無水物、モノアミン、ジアミンを表1に記載の種類および量に変更した以外は、合成例1と同様に合成した。評価結果を表1に記載した。
【0167】
【表1】
【0168】
合成例5 ポリベンゾオキサゾール前駆体(PBO-01)の合成
乾燥窒素気流下、6FAP 36.63g(100mmol)とフタル酸無水物7.405g(50mmol)をNMP75.00gに溶解させ、80℃で2時間攪拌した。その後、溶液の温度を-15℃まで冷却し、溶液の温度が-15℃になったことを確認した後、ODBC22.13g(75mmol)をNMP30gに溶解させた溶液を、反応系内の温度が0℃を越えないように滴下した。滴下終了後、6時間、20℃で撹拌を続けた。反応終了後、メタノールを10重量%含んだ純水3Lに上記溶液を投入して白色の沈殿を析出させた。この沈殿をろ過で集めて、純水で3回洗浄した後、50℃の真空乾燥機で72時間乾燥し、ポリベンゾオキサゾール(PBO-01)を得た。得られた樹脂のMwは10,100、オキサゾール化率は10%であった。評価結果を表2に記載した。
【0169】
【表2】
【0170】
合成例6 (A)式(1)で表される構成単位を含む樹脂
乾燥窒素気流下、三口フラスコにベースポリマーとして合成例1で合成したPI-01を10.00g、溶剤としてシクロペンタノン(CP)を30.00g秤量して溶解させた。ここに保護剤としてIPVEを1.750g加え、0℃で1時間攪拌した。次いで、触媒として、トリフルオロ酢酸を1.000×10-2g加え、0℃で3時間攪拌させた。攪拌終了後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で酸触媒を中和した後、水槽を除去した。さらに有機層を水で2回洗浄した。その後、未反応のIPVEを除去することを目的として、ロータリーエバポレーターを用いて低沸点残存物を除去した。その後、溶液の固形分濃度を測定し、固形分が40%となるようにシクロペンタノン(CP)を添加し、水酸基が酸分解性基である1-イソプロポキシエチル基で保護された樹脂(PI-01-PR25)の固形分40質量%溶液を得た。酸分解性基で保護されているフェノール性水酸基の割合は、10mol%であった。合成結果を表3に示す。
【0171】
合成例7~12
合成例6から、樹脂およびIPVEの添加量を表2のように変更した以外は、合成例6と同様に合成した。合成結果を表3に示す。
【0172】
【表3】
【0173】
実施例1
黄色灯下、(A)成分として、PI-01-PR25の固形分40%CP溶液を2.500g、(B)光酸発生剤としてPAG-103を5.000×10-2g、(C)アミン化合物としてルチジンを5.000×10-3g加え、攪拌した。その後、シクロペンタノンを1.500g加え濃度を調整し、感光性樹脂組成物とした。
【0174】
調製した感光性樹脂組成物の、(6)レリーフパターンの作製を行い、(6-1)現像膜減量、(6-2)感度および(7)保管安定性の評価を行った。評価結果を表4に示す。
【0175】
実施例2~9、比較例1~3
感光性樹脂組成物の各成分の配合を表4に記載のように変更した以外は、実施例(1)と同様に、評価を行った。評価結果を表4に示す。
【0176】
【表4】