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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052585
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】プレス成形装置及びプレス成形方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 24/12 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
B21D24/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023159978
(22)【出願日】2023-09-25
(31)【優先権主張番号】202211209968.6
(32)【優先日】2022-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】蔭山 直佑
(72)【発明者】
【氏名】松谷 健司
(72)【発明者】
【氏名】江川 奨
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 宗喜
(72)【発明者】
【氏名】牧野 剛身
【テーマコード(参考)】
4E137
【Fターム(参考)】
4E137AA10
4E137BB01
4E137CA09
4E137CB01
4E137EA01
4E137EA23
4E137EA40
4E137GA01
4E137GB02
4E137HA10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】プレス装置が異なる場合であっても、金型内の所定部位に対して、精度よく荷重を付与できる技術を提供する。
【解決手段】一定荷重の付与が求められる荷重制御領域を含むワークをプレス成形するプレス成形装置10及びプレス成形方法は、ワークを挟み込む上型18及び下型16を有する金型14と、上型18を保持するスライダ20と、下型16を保持するボルスタ22と、スライダ20を複数の加圧ポイント26でボルスタ22に向けて加圧する加圧機構24と、金型14の周囲であって、ボルスタ22とスライダ20との間に配置された1又は複数の支持ブロック30と、を備え、支持ブロック30は、加圧ポイント26よりも外側であって、荷重制御領域の端部の基準点を加圧ポイント26の配列方向に延ばした線の上に配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定荷重の付与が求められる荷重制御領域を含むワークをプレス成形するプレス成形装置であって、
前記ワークを挟み込む上型及び下型を有する金型と、
前記上型を保持するスライダと、
前記下型を保持するボルスタと、
前記スライダを複数の加圧ポイントで前記ボルスタに向けて加圧する加圧機構と、
前記金型の周囲であって、前記ボルスタと前記スライダとの間に配置された1又は複数の支持ブロックと、を備え、
前記支持ブロックは、前記加圧ポイントよりも外側であって、前記荷重制御領域の端部の基準点を前記加圧ポイントの配列方向に延ばした線の上に配置される、
プレス成形装置。
【請求項2】
請求項1記載のプレス成形装置であって、
前記加圧ポイントは、矩形領域の4隅に配列され、
少なくとも1つの前記支持ブロックは、
前記荷重制御領域の中で前記矩形領域の長手方向の中央線と交差する部位又は前記荷重制御領域の中で前記中央線に最も近い端部に設定された第1基準点から前記長手方向に延ばした線の上に配置される、
プレス成形装置。
【請求項3】
請求項2記載のプレス成形装置であって、
前記荷重制御領域は、前記長手方向に延在し、
前記支持ブロックは、
前記第1基準点を、前記長手方向に延ばした線の上に配置される第1支持ブロックを有する、
プレス成形装置。
【請求項4】
請求項2記載のプレス成形装置であって、
前記荷重制御領域は、前記長手方向に対して傾斜して延在し、
前記支持ブロックは、
前記第1基準点から前記長手方向に延ばした線の上に配置される第1支持ブロックと、
前記荷重制御領域の中で、前記中央線から最も離れた端部に設定された第2基準点から前記長手方向に延ばした線の上に配置される第2支持ブロックと、を有する、
プレス成形装置。
【請求項5】
請求項3又は4記載のプレス成形装置であって、
さらに追加の前記支持ブロックが、
前記第1基準点から前記矩形領域の短手方向に延ばした線の上と、
前記荷重制御領域の中で、前記中央線から最も離れた端部に設定された第2基準点から前記短手方向に延ばした線の上と、
前記第1支持ブロックから前記短手方向に延ばした線の上と、
にさらに配置される、
プレス成形装置。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1項に記載のプレス成形装置であって、
前記下型は矩形の一部を切欠いた非矩形形状を有し、
前記下型の切欠いた部分を補う仮想矩形の角部に補助ブロックが配置されている、
プレス成形装置。
【請求項7】
ワークを挟み込む上型及び下型を有する金型と、前記上型を保持するスライダと、前記下型を保持するボルスタと、前記スライダを複数の加圧ポイントで前記ボルスタに向けて加圧する加圧機構と、を備えたプレス成形装置を用いて、一定荷重の付与が求められる荷重制御領域を含む前記ワークをプレス成形するプレス成形方法であって、
前記金型の周囲であって、前記ボルスタと前記スライダとの間に1又は複数の支持ブロックを配置するステップと、
前記加圧機構で前記金型とともに前記支持ブロックを加圧して前記ワークを成形するステップと、を有し、
前記支持ブロックを配置するステップは、前記加圧ポイントよりも外側であって、前記荷重制御領域の端部の基準点を前記加圧ポイントの配列方向に延ばした線の上に配置する工程を有する、
プレス成形方法。
【請求項8】
請求項7記載のプレス成形方法であって、
前記加圧ポイントは、矩形領域の4隅に配列され、
少なくとも1つの前記支持ブロックは、
前記荷重制御領域の中で前記矩形領域の長手方向の中央線と交差する部位又は前記荷重制御領域の中で前記中央線に最も近い端部に設定された第1基準点から、前記長手方向に延ばした線の上に配置される、
プレス成形方法。
【請求項9】
請求項8記載のプレス成形方法であって、
前記荷重制御領域は、前記長手方向に延在し、
前記支持ブロックは、
前記第1基準点から、前記長手方向に延ばした線の上に配置される第1支持ブロックを有する、
プレス成形方法。
【請求項10】
請求項8記載のプレス成形方法であって、
前記荷重制御領域は、前記長手方向に対して傾斜して延在し、
前記支持ブロックは、
前記第1基準点から前記長手方向に延ばした線の上に配置される第1支持ブロックと、
前記荷重制御領域の中で、前記中央線から最も離れた端部に設定された第2基準点から前記長手方向に延ばした線の上に配置される第2支持ブロックと、を有する、
プレス成形方法。
【請求項11】
請求項9又は10記載のプレス成形方法であって、
さらに追加の前記支持ブロックを、
前記第1基準点から前記矩形領域の短手方向に延ばした線の上と、
前記荷重制御領域の中で、前記中央線から最も離れた端部に設定された第2基準点を前記短手方向に延ばした線の上と、
前記第1支持ブロックを前記短手方向に延ばした線の上と、
に配置する、
プレス成形方法。
【請求項12】
請求項7~10のいずれか1項に記載のプレス成形方法であって、
前記下型は矩形の一部を切欠いた非矩形形状を有し、
前記下型の切欠いた部分を補う仮想矩形の角部に補助ブロックが配置されている、
プレス成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレス成形装置及びプレス成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プレス成形は、プレス装置のボルスタとスライダとの間に金型を配置し、金型でワークを挟み込んで荷重を加えることで、ワークを所定形状に成形する。ワークの形状が同じであれば、複数の製造拠点で使用されるプレス装置で同一形状の金型が使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
プレス装置は、製造拠点によって異なるものが使用される場合がある。ところが、プレス装置によって、金型を加圧する加圧ポイントの位置が異なっている場合がある。加圧ポイントの位置の相違は、金型のたわみ量の相違を生じさせる。その結果、同じ金型を使用した場合であっても、プレス装置によって荷重分布が変わってしまい、成形品のバラツキが生じる。
【0004】
例えば、自動車のアウタパネルには、キャラクターラインと呼ばれる小さなエッジ半径を有する稜線部が形成される場合がある。このようなエッジ半径の小さな稜線部を形成する場合には、稜線部の全体に一定の荷重を加える必要がある。プレス装置の相違によって、荷重分布が変わると、荷重制御が求められる成形品の製造が困難となる。
【0005】
そのため、プレス装置が異なる場合であっても、金型内の所定部位に対して、精度よく荷重を付与できる手法が求められている。
【0006】
本発明は、上記した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下の開示の一観点は、一定荷重の付与が求められる荷重制御領域を含むワークをプレス成形するプレス成形装置であって、前記ワークを挟み込む上型及び下型を有する金型と、前記上型を保持するスライダと、前記下型を保持するボルスタと、前記スライダを複数の加圧ポイントで前記ボルスタに向けて加圧する加圧機構と、前記金型の周囲であって、前記ボルスタと前記スライダとの間に配置された1又は複数の支持ブロックと、を備え、前記支持ブロックは、前記加圧ポイントよりも外側であって、前記荷重制御領域の端部の基準点を前記加圧ポイントの配列方向に延ばした線の上に配置される、プレス成形装置にある。
【0008】
別の一観点は、ワークを挟み込む上型及び下型を有する金型と、前記上型を保持するスライダと、前記下型を保持するボルスタと、前記スライダを複数の加圧ポイントで前記ボルスタに向けて加圧する加圧機構と、を備えたプレス成形装置を用いて、一定荷重の付与が求められる荷重制御領域を含む前記ワークをプレス成形するプレス成形方法であって、前記金型の周囲であって、前記ボルスタと前記スライダとの間に1又は複数の支持ブロックを配置するステップと、前記加圧機構で前記金型とともに前記支持ブロックを加圧して前記ワークを成形するステップと、を有し、前記支持ブロックを配置するステップは、前記加圧ポイントよりも外側であって、前記荷重制御領域の端部の基準点を前記加圧ポイントの配列方向に延ばした線の上に配置する工程を有する、プレス成形方法にある。
【発明の効果】
【0009】
上記観点のプレス成形装置及びプレス成形方法は、最小限の支持ブロックを配置することで、プレス装置が異なる場合であっても、金型内の荷重制御領域に精度よく均一な荷重を付与できる。従って、上記観点のプレス成形装置及びプレス成形方法は、エッジ半径の小さな稜線部を含むワークを良好に成形できる。
【0010】
上記の目的、特徴及び利点は、添付した図面を参照して説明される以下の実施形態の説明から容易に了解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1Aは、実施形態に係るプレス成形装置の側面図であり、図1B図1Aのプレス成形装置のボルスタ、下型、及び加圧ポイントの配置関係を示す平面図である。
図2図2は、実施形態に係る支持ブロックの設定方法を示すフローチャートである。
図3図3Aは、第1例に係る下型及び加圧ポイントの配置関係を示す平面図であり、図3Bは、第2例に係る下型及び加圧ポイントの配置関係を示す平面図である。
図4図4Aは、図3Bの第2例の荷重制御領域に対する第1支持ブロックの基本設定例を示す平面図であり、図4B図4Aの第2例に対する支持ブロックの追加設定例を示す平面図である。
図5図5Aは、第3例の荷重制御領域に対する第1支持ブロック及び第2支持ブロックの基本設定例を示す平面図であり、図5B図5Aに対する支持ブロックの追加設定例を示す平面図である。
図6図6Aは、第4例に係る下型及び加圧ポイントの配置関係を示す平面図であり、図6Bは第5例に係る下型及び加圧ポイントの配置関係を示す平面図である。
図7図7Aは、図6Bの第5例の下型に対する仮想矩形の設定例を示す平面図であり、図7Bは第5例に対する補助ブロックの設定例を示す平面図である。
図8図8Aは、プレス装置の加圧ポイントの配置が変則的な一例を示す平面図であり、図8Bは、図8Aの加圧ポイントに対する仮想加圧ポイントの設定例を示す平面図である。
図9図9は、支持ブロックの設定方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1Aに示されるように、本実施形態に係るプレス成形装置10は、プレス装置12と金型14とを有する。プレス装置12は、金型14の下型16を支持するボルスタ22と、ボルスタ22の上方に配置され上型18を保持するスライダ20と、複数の加圧機構24とを有する。スライダ20は、加圧機構24によって駆動されて昇降する。加圧機構24は、例えば、油圧シリンダである。加圧機構24は、スライダ20をボルスタ22に向けて加圧することで、金型14に所定の荷重を付与する。金型14は、ボルスタ22に保持される下型16と、スライダ20に保持される上型18とを有する。金型14は、下型16と上型18との間に成形対象となるワークを挟み込む。プレス成形装置10は、プレス装置12で金型14に所定の荷重を付与することで、ワークを製品形状に成形する。
【0013】
図1Bに示されるように、プレス成形装置10において、金型14はボルスタ22の平面形状の範囲内に配置される。図示の例では、金型14は矩形状で図示されているが、これに限定されない。例えば、自動車のドアの外板を形成するための金型14は、ドアの平面形状を有している。特に図示はしないが、金型14の周囲には、金型14やスライダ20の移動を案内するガイド機構が配置される。
【0014】
加圧機構24がスライダ20を加圧する部位は、加圧ポイント26として図示されている。通常のプレス装置12では、加圧機構24は4つ配置されている。この場合、加圧ポイント26は、4つある。加圧ポイント26は、矩形状のスライダ20の4隅の近傍に配置されており、スライダ20の短手方向及び長手方向に揃う。以下、スライダ20の長手方向をX方向と呼び、スライダ20の短手方向をY方向と呼び、上下方向をZ方向とも呼ぶ。
【0015】
図1Bの例では、加圧ポイント26は、金型14のX方向及びY方向の外側に配置されている。そのため、プレス装置12は、スライダ20及び金型14に撓みを生じさせる。撓みは、X方向及びY方向に沿ったボルスタ22とスライダ20との間隙の変化である。加圧ポイント26の間隔が長いX方向の撓みは、Y方向の撓みよりも大きい。X方向の撓みに着目する。X方向の撓みは、X方向の端部付近でボルスタ22とスライダ20の距離が相対的に狭くなり、X方向の中心側で、ボルスタ22とのスライダ20の距離が相対的に大きくなる変形として現れる。金型14も、ボルスタ22とスライダ20の変形に習うように変形して撓む。その結果、金型14のX方向の中央付近では荷重が加わりにくくなり、金型14のX方向の両端部ではより大きな荷重が加わる。
【0016】
また、プレス装置12が変わると、加圧ポイント26の位置が変わるため、撓みの現れ方も変化する。従って、プレス装置12が変わった場合であっても、金型14の中で均一な荷重の付与が求められる部位である荷重制御領域28について、撓みを抑制することが望まれる。
【0017】
そこで、本実施形態のプレス成形装置10は、図1Aに示されるように、金型14の周囲に配置された支持ブロック30を有する。支持ブロック30は、加圧ポイント26よりも外側に配置される。支持ブロック30は、金型14の荷重制御領域28に加わるモーメントを考慮して設定される。詳細は後述するが、少なくとも1つの支持ブロック30は、荷重制御領域28のX方向の端部のY方向の中心位置を維持しつつ、X方向に加圧ポイント26の外側に移動させた位置に配置される。支持ブロック30の配置位置の設定を支援するため、プレス成形装置10は計算機36を有してもよい。計算機36は、図2に示される処理を行うことで、適切な支持ブロック30の配置位置を算出する。なお、図1Aでは、下型16に支持ブロック30を設ける構成としたが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、支持ブロック30は、下型16ではなくボルスタ22に配置されてもよい。
【0018】
以下、支持ブロック30の設定方法について説明する。
【0019】
まず、図2のステップS10において、計算機36は、プレス装置12の加圧ポイント26の位置座標、下型16の形状データ、荷重制御領域28の形状データ及びボルスタ22の形状データを読み込む。
【0020】
ステップS20では、計算機36は、支持ブロック30の要否判断を行う。支持ブロック30の要否判断は、金型14の下型16の位置と、加圧ポイント26との位置関に基づいて行われる。撓みは、加圧ポイント26の長手方向の中央を中心として生じる。そこで、本実施形態では、4つの加圧ポイント26のX方向の中央線52を設定し、その中央線52からX1方向の領域及びX2方向の領域について、それぞれ要否判断が行われる。なお、以下の処理の説明では、X1方向の領域を例示して説明する。X2方向の領域の処理の説明は、基本的にX1方向の領域と左右対称である以外は同様であるため省略される。
【0021】
計算機36は、X1方向の領域において、加圧ポイント26が下型16のX1方向の端部の位置よりも内側に位置し中間線により近い場合には、支持ブロック30は不要(ステップS20:NO)と判断する。例えば、図3Aの第1例の場合には、下型16は、X1方向の2つの加圧ポイント26の外側にまで延在する。第1例では、2つの加圧ポイント26のX方向の位置が下型16のX1方向の端部よりも内側に位置する(LX0>L2)。このような場合には、スライダ20及び金型14の撓みはほとんど発生しない。従って、図3Aの場合には、計算機36は、支持ブロック30が不要(ステップS20:NO)と判断して処理を終了する。
【0022】
また、例えば、図3Bの第2例の場合には、下型16のX方向の寸法が第1例よりも小さい。下型16のX1方向の端部は、加圧ポイント26よりも内側に位置する(LX0<L2)。従って、図3Bの第2例の場合には、計算機36は、支持ブロック30が必要(ステップS20:YES)と判断する。
【0023】
ステップS20は、下型16の形状が矩形でない場合であっても同様に行われる。例えば、図6A及び図6Bに示される第4例、第5例の下型16は、舟形の形状を有しており矩形ではない。第4例の下型16は、そのX1方向の端部が、加圧ポイント26の外側に位置する(LX0>L2)。従って、図6Aの第4例の場合は、加圧ポイント26が下型16の端部よりも内側に位置するため、計算機36は支持ブロック30が不要(ステップS20:NO)と判断して処理を終了する。
【0024】
また、図6Bに示される第5例の下型16は、舟形の形状を有し、非矩形である。第5例の下型16は、X1方向の端部が加圧ポイント26よりも内側に位置する(LX0<L2)。従って、図6Bの第5例の場合は、加圧ポイント26が下型16の端部よりも外方に位置するため、計算機36は支持ブロック30が必要(ステップS20:YES)と判断する。
【0025】
ステップS20において計算機36がYESと判断した場合には、処理はステップS30に移行する。
【0026】
ステップS30において、計算機36は下型16の形状が矩形か否かを判断する。下型16が矩形ではないと判断された場合(ステップS30:NO)には、処理はステップS40に移行する。下型16が矩形であると判断された場合(ステップS30:YES)には、処理はステップS50に移行する。
【0027】
例えば、図3B図5B(第1例~第3例)に示される下型16の形状は矩形である。従って、第1例~第4例の場合について、計算機36は矩形である(ステップS30:YES)と判断する。ステップS30で計算機36がYESと判断した場合には、処理はステップS50に進む。
【0028】
また、例えば、図6B(第5例)に示される下型16の形状は非矩形である。従って、第5例について、計算機36は、矩形ではない(ステップS30:NO)と判断する。ステップS30で計算機36がNOと判断した場合には、処理は図2のステップS40に進む。
【0029】
図2のステップS40において、計算機36は、補助ブロック38の設定処理を行う。補助ブロック38は、下型16の近くに配置される支持部材である。補助ブロック38は、矩形でない下型16の周囲の荷重分布を整えて、下型16を矩形として扱えるようにする。例えば、図7Aの第5例の場合には、下型16が矩形の1つの隅を切欠いた形状を有する。この場合には、計算機36は、切欠部分40に隣接する2つの側辺を延長した2本の直交する仮想線42a、42bを引き、これらの仮想線42a、42bの交点を仮想矩形44の角部46として求める。その後、図7Bに示される様に、計算機36は、角部46に補助ブロック38を設定する。補助ブロック38が設定された下型16は、仮想矩形44の形状を有する下型16と同等の荷重分布となるため、矩形の下型16として扱える。その後、処理は仮想矩形44を有する下型16として、ステップS50に移行する。
【0030】
ステップS50において、計算機36は、支持ブロック30の配置を行う。ステップS50は、計算機36が、荷重制御領域28の荷重のバラツキを抑制できる支持ブロック30の配置位置を求める処理である。まず、図9のステップS500において、計算機36は、荷重制御領域28に加わる荷重f1を算出する。荷重f1は、ワークに荷重を負荷する際の理想的な面圧σh(kgf/mm2)と、荷重制御領域28の面積Sとの積によって求められる。
【0031】
例えば、図4Aに示される第2例の場合には、荷重制御領域28は、X方向の寸法がD1で、Y方向の寸法がD2の矩形状となっている。従って、第2例の荷重制御領域28の荷重は、f1=σh×D1×D2により求まる。
【0032】
次に、図9のステップS502において、計算機36は、第1基準点48及び第2基準点50を設定する。第1基準点48は、荷重制御領域28がスライダ20のX方向の中央線52を横切って延在する場合には、荷重制御領域28が中央線52を区切る部分のY方向の中心として求める。また、荷重制御領域28が、中央線52を横切らない場合には、荷重制御領域28において最も中央線52に近い端部に第1基準点48が設定される。第1基準点48は、X1方向の加圧ポイント26から荷重制御領域28においてX方向に最も離れた部位であり、加圧ポイント26から最も大きなモーメントを受ける部分である。第2基準点50は、荷重制御領域28の外側(中央線52から離れた側)の端部のY方向の中心として求められる。
【0033】
次に、処理はステップS504に進む。ステップS504において、計算機36は、支持ブロック30の基本設定を行う。ステップS504では、計算機36は、第1基準点48と第2基準点50とのY方向位置が同じ場合(図4A参照)には、第1支持ブロック32のみ求める。また、計算機36は、第1基準点48及び第2基準点50のY方向位置が異なっている場合(図5A参照)には、第1支持ブロック32及び第2支持ブロック34の配置位置を求める。
【0034】
第1支持ブロック32は、第1基準点48を通りX方向に延びる直線の上に設定される。すなわち、第1支持ブロック32は、第1基準点48とY方向に同じ位置に設定される。また、第1支持ブロック32のX方向の位置は、第1基準点48に対する加圧ポイント26のモーメントM1が釣り合う位置に配置される。モーメントM1は、2つの加圧ポイント26を結ぶY方向の軸線を中心とした第1基準点48に働くモーメントである。第1支持ブロック32は、モーメントM1が0となる条件をみたすように設定される。
【0035】
すなわち、加圧ポイント26からの荷重をF、第1支持ブロック32に加わる荷重をfとする。また、加圧ポイント26と第1基準点48とのX方向の距離をL2とし、第1支持ブロック32と第1基準点48との距離をLX1とする。さらに、荷重制御領域28に加わる荷重をf1とし、荷重制御領域28の中心線とX方向との角度をθとする。この場合に、第1基準点48のモーメントM1は、以下の式で表される。
M1=2F×L2-(f1×L2×cosθ)-(f×LX1)
撓みを抑制するためには、第1基準点48に働くモーメントM1が0となればよいから、上記の式の左辺を0としてLX1について解くことにより、第1支持ブロック32の位置が求まる。
【0036】
図4Aに示される第2例の場合には、荷重制御領域28の中心線とX方向との角度をθは0°であり、cosθは1となる。その結果、図示の位置に第1支持ブロック32が設定される。また、図5Aに示される第3例の場合には、図示の位置に、第1支持ブロック32が配置される。
【0037】
第2基準点50のY方向の位置が第1基準点48のY方向の位置と異なる場合には、計算機36は、さらに第2支持ブロック34の配置位置を求める。第2支持ブロック34の位置は、第2基準点50及び第1支持ブロック32の位置に基づいて求められる。すなわち、第2基準点50を通りX方向に延びる直線と、第1支持ブロック32を通りY方向に延びる直線の交点を、第2支持ブロック34の配置位置として求める。
【0038】
次に、処理はステップS506に進む。ステップS506において、計算機36は、ステップS504で求めた支持ブロック30の検証を行う。計算機36は、支持ブロック30の断面積Saと材質の引張強度σaとを乗じた破断限界力faを求める。そして、第1支持ブロック32(及び第2支持ブロック34)に加わる荷重fが破断限界力faを超える場合には、第1支持ブロック32(及び第2支持ブロック34)のみでは強度が不足するため、追加の支持ブロック30を設定するべく、ステップS508に進む。
【0039】
また、ステップS506において、計算機36は、ステップS504で求めた支持ブロック30の配置位置が、ボルスタ22のX方向の端部を超えていないか判断する。ブロックの配置位置がボルスタ22のX方向の端部を超えている場合には、第1支持ブロック32(及び第2支持ブロック34)のみではモーメントを打ち消すことができない。そのため、追加の支持ブロック30を設定するべく、処理はステップS508に進む。
【0040】
一方、ステップS506で、計算機36が、第1支持ブロック32(及び第2支持ブロック34)が、上記の条件を満たすと判断した場合(ステップS506:YES)には、処理を終了する。
【0041】
ステップS508において、計算機36は、追加の支持ブロック30の設定を行う。計算機36は、加圧ポイント26を通り、図5Bに示されるように、X方向に延びる追加設定線56を求める。次に、計算機36は、第1基準点48を通りY方向に延びる線と追加設定線56との交点と、第2基準点50を通りY方向に延びる線と追加設定線56との交点と、第1支持ブロック32を通りY方向に延びる線と追加設定線56との交点とに、それぞれ追加の支持ブロック30を設定する。この場合、第1基準点48を通るX方向の軸線に対するモーメントの釣り合いを取るために、荷重制御領域28のY方向の両側(Y1方向及びY2方向)に支持ブロック30が追加される。すなわち、計算機36は、Y方向に離れた2つの加圧ポイント26の各々に追加設定線56を求め、それぞれの追加設定線56に沿って、支持ブロック30を設定する。
【0042】
その上で、第1基準点48に作用するモーメントMx及びモーメントMyのそれぞれが釣り合うように支持ブロック30の位置を再度求める。例えば、図4Bの第2例の場合には、支持ブロック30の位置は、以下の式を満たす条件から求められる。
Mx=2F×L2-f1×LX2-f×(3LX1+2LX2)=0
My=LY2×(F+3f)-LY3×(F+3f)=0
2×L1=LY2+LY3
ここで、LX2は、第1基準点48と第2基準点50とのX方向の距離である。LY2は、第1基準点48とY1方向の追加設定線56とのY方向の距離であり、LY3は、第1基準点48とY2方向の追加設定線56とのY方向の距離である。L1は、矩形領域のY方向寸法の半分の値である。
【0043】
また、例えば、図5Bの第3例の場合には、以下の式を満たす条件から求められる。
Mx=2F×L2-f1×D1×cosθ-f×(4LX1+2LX2)=0
My=LY2×(F+4f)+f1×D1×sinθ-LY3×(F+3f)=0
2×L1=LY2+LY3
【0044】
ステップS508の結果、図4Bの第2例の場合には、第1支持ブロック32と、6つ追加の支持ブロック30とが設定される。また、図5Bの第3例の場合には、第1支持ブロック32と、第2支持ブロック34と、6つの追加の支持ブロック30とが設定される。
【0045】
以上により、支持ブロック30の設定処理が終了する。
【0046】
その後、プレス成形装置10には、スライダ20とボルスタ22との間に、第1支持ブロック32と、必要に応じて第2支持ブロック34と、追加の支持ブロック30とが配置され、金型14を用いたワークのプレス成形が行われる。本実施形態のプレス成形装置10を用いたプレス成形方法は、荷重制御領域28の撓みを抑制して荷重制御領域28に均一な荷重を付与できる。
【0047】
(実施形態の変形例)
上記の例では、プレス装置12は、加圧ポイント26が矩形領域の角部46に配置される例を挙げて説明したが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、図8Aに示されるように、加圧ポイント26が変則的に配置されている場合には、図8Bに示すように、4つの仮想加圧ポイントP4を設定することにより、図2の支持ブロック30の設定処理(ステップS50)を行うことができる。
【0048】
以下、図8Aを例に、加圧ポイント26の配置が変則的な場合の仮想加圧ポイントP4の設定方法について説明する。なお、以下の説明では、プレス装置12のX方向の中央からX1方向側について示すが、X2方向の部分も左右対称となる以外は同様である。
【0049】
図示の例では、X1方向の領域に3つの加圧ポイントP1、P2、P3が含まれる。本変形例では、3つの加圧ポイントP1、P2、P3の荷重に基づいて、2つの仮想加圧ポイントP4の設定が行われる。ここで、加圧ポイントP1、P2、P3の荷重をそれぞれFp1、Fp2、Fp3とする。荷重Fp1、Fp2、Fp3を加算して2で割ることにより、仮想加圧ポイントP4の荷重Fp4を求める。
Fp4=(Fp1+Fp2+Fp3)/2
【0050】
次に、スライダ20のX方向の中央線52及びY方向の中央線54を基準としたモーメントに基づいて、加圧ポイントP1、P2、P3のそれぞれとスライダ20のX方向の中央線52とのX方向の距離をそれぞれLpx1、Lpx2、Lpx3とする。仮想加圧ポイントP4のX方向の中央線52からのX方向の距離Lpx4は、以下の式により求められる。
Lpx4=(Fp1×Lpx1+Fp2×Lpx2+Fp3×Lpx3)/2×Fp4
【0051】
また、加圧ポイントP1、P2、P3のそれぞれとスライダ20のY方向の中央線54とのY方向の距離をそれぞれLpy1、Lpy2、Lpy3とする。仮想加圧ポイントP4のY方向の中央線54からY方向の距離Lpy4は、以下の式により求められる。
Lpy4=(Fp1×Lpy1+Fp2×Lpy2+Fp3×Lpy3)/2×Fp4
図8Bに示されるように、仮想加圧ポイントP4は、Y方向の中央線54のY1方向にLpy4離れた位置と、Y2方向にLpy4離れた位置とにそれぞれ設定される。
【0052】
以上のように設定された仮想加圧ポイントP4を用いることにより、図2に示す処理によって支持ブロック30を設定することができる。
【0053】
以上の開示に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0054】
(付記1)
一観点は、一定荷重の付与が求められる荷重制御領域(28)を含むワークをプレス成形するプレス成形装置(10)であって、前記ワークを挟み込む上型(18)及び下型(16)を有する金型(14)と、前記上型を保持するスライダ(20)と、前記下型を保持するボルスタ(22)と、前記スライダを複数の加圧ポイント(26)で前記ボルスタに向けて加圧する加圧機構(24)と、前記金型の周囲であって、前記ボルスタと前記スライダとの間に配置された1又は複数の支持ブロック(30)と、を備え、前記支持ブロックは、前記加圧ポイントよりも外側であって、前記荷重制御領域の端部の基準点を前記加圧ポイントの配列方向に延ばした線の上に配置される。
【0055】
上記のプレス成形装置によれば、荷重制御領域の撓みを抑制して荷重制御領域に均一な荷重を付与できるため、荷重制御領域の加工精度を高めることができる。従って、上記のプレス成形装置は、キャラクターラインを構成する稜線部等の均一な荷重付与が求められる成形品を精度よく形成できる。
【0056】
(付記2)
付記1記載のプレス成形装置において、前記加圧ポイントは、矩形領域の4隅に配列され、少なくとも1つの前記支持ブロックは、前記荷重制御領域の中で前記矩形領域の長手方向の中央線(52)と交差する部位又は前記荷重制御領域の中で前記中央線に最も近い端部に設定された第1基準点(48)から前記長手方向に延ばした線の上に配置されてもよい。このプレス成形装置は、支持ブロックの配置数を最小限とすることができるため、装置構成が簡素され、準備作業の工数を抑制できる。
【0057】
(付記3)
付記2記載のプレス成形装置において、前記荷重制御領域は、前記長手方向に延在し、前記支持ブロックは、前記第1基準点を、前記長手方向に延ばした線の上に配置される第1支持ブロック(32)を有してもよい。このプレス成形装置は、支持ブロックの配置数を最小限とすることができ、装置の準備作業の工数を抑制できる。
【0058】
(付記4)
付記2記載のプレス成形装置において、前記荷重制御領域は、前記長手方向に対して傾斜して延在し、前記支持ブロックは、前記第1基準点から前記長手方向に延ばした線の上に配置される第1支持ブロックと、前記荷重制御領域の中で、前記中央線から最も離れた端部に設定された第2基準点(50)から前記長手方向に延ばした線の上に配置される第2支持ブロック(34)と、を有してもよい。このプレス成形装置は、荷重制御領域が傾斜した場合であっても、荷重制御領域に均一な荷重を付与できる。
【0059】
(付記5)
付記3又は4記載のプレス成形装置において、さらに追加の前記支持ブロックが、前記第1基準点から前記矩形領域の短手方向に延ばした線の上と、前記荷重制御領域の中で、前記中央線から最も離れた端部に設定された第2基準点から前記短手方向に延ばした線の上と、前記第1支持ブロックを前記短手方向に延ばした線の上と、にさらに配置されてもよい。このプレス成形装置は、複数の支持ブロックで荷重を分散させることで、支持ブロックの破断を防ぐとともに、荷重制御領域の撓みを確実に防いで、荷重制御領域に均一な荷重の付与を可能とする。
【0060】
(付記6)
付記1~4のいずれか1に記載のプレス成形装置において、前記下型は矩形の一部を切欠いた非矩形形状を有し、前記下型の切欠いた部分を補う仮想矩形(44)の角部(46)に補助ブロック(38)が配置されてもよい。このプレス成形装置は、非矩形形状の下型を矩形状の下型と同様に取り扱うことを可能とし、支持ブロックの配置を容易にする。
【0061】
(付記7)
別の一観点は、ワークを挟み込む上型及び下型を有する金型と、前記上型を保持するスライダと、前記下型を保持するボルスタと、前記スライダを複数の加圧ポイントで前記ボルスタに向けて加圧する加圧機構と、を備えたプレス成形装置を用いて、一定荷重の付与が求められる荷重制御領域を含む前記ワークをプレス成形するプレス成形方法であって、前記金型の周囲であって、前記ボルスタと前記スライダとの間に1又は複数の支持ブロックを配置するステップ(S50)と、前記加圧機構で前記金型とともに前記支持ブロックを加圧して前記ワークを成形するステップと、を有し、前記支持ブロックを配置するステップは、前記加圧ポイントよりも外側であって、前記荷重制御領域の端部の基準点を前記加圧ポイントの配列方向に延ばした線の上に配置する工程を有してもよい。
【0062】
(付記8)
付記7記載のプレス成形方法において、前記加圧ポイントは、矩形領域の4隅に配列され、少なくとも1つの前記支持ブロックは、前記荷重制御領域の中で前記矩形領域の長手方向の中央線と交差する部位又は前記荷重制御領域の中で前記中央線に最も近い端部に設定された第1基準点から、前記長手方向に延ばした線の上に配置されてもよい。
【0063】
(付記9)
付記8記載のプレス成形方法において、前記荷重制御領域は、前記長手方向に延在し、前記支持ブロックは、前記第1基準点から、前記長手方向に延ばした線の上に配置される第1支持ブロックを有してもよい。
【0064】
(付記10)
付記8記載のプレス成形方法において、前記荷重制御領域は、前記長手方向に対して傾斜して延在し、前記支持ブロックは、前記第1基準点から前記長手方向に延ばした線の上に配置される第1支持ブロックと、前記荷重制御領域の中で、前記中央線から最も離れた端部に設定された第2基準点を前記長手方向に延ばした線の上に配置される第2支持ブロックと、を有してもよい。
【0065】
(付記11)
付記9又は10記載のプレス成形方法において、さらに追加の前記支持ブロックを、前記第1基準点から前記矩形領域の短手方向に延ばした線の上と、前記荷重制御領域の中で、前記中央線から最も離れた端部に設定された第2基準点を前記短手方向に延ばした線の上と、前記第1支持ブロックを前記短手方向に延ばした線の上と、に配置してもよい。
【0066】
(付記12)
付記7~10のいずれか1に記載のプレス成形方法において、前記下型は矩形の一部を切欠いた非矩形形状を有し、前記下型の切欠いた部分を補う仮想矩形の角部に補助ブロックが配置されてもよい。
【0067】
なお、本発明は、上記した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0068】
10…プレス成形装置 14…金型
16…下型 18…上型
20…スライダ 22…ボルスタ
24…加圧機構 26…加圧ポイント
28…荷重制御領域 30…支持ブロック
32…第1支持ブロック 34…第2支持ブロック
38…補助ブロック 44…仮想矩形
46…角部 48…第1基準点
50…第2基準点 52…中央線
P1、P2、P3…加圧ポイント
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-09-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
ステップS20では、計算機36は、支持ブロック30の要否判断を行う。支持ブロック30の要否判断は、金型14の下型16の位置と、加圧ポイント26との位置関係に基づいて行われる。撓みは、加圧ポイント26の長手方向の中央を中心として生じる。そこで、本実施形態では、4つの加圧ポイント26のX方向の中央線52を設定し、その中央線52からX1方向の領域及びX2方向の領域について、それぞれ要否判断が行われる。なお、以下の処理の説明では、X1方向の領域を例示して説明する。X2方向の領域の処理の説明は、基本的にX1方向の領域と左右対称である以外は同様であるため省略される。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
例えば、図3B図5B(第1例~第3例)に示される下型16の形状は矩形である。従って、第1例~第例の場合について、計算機36は矩形である(ステップS30:YES)と判断する。ステップS30で計算機36がYESと判断した場合には、処理はステップS50に進む。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
すなわち、加圧ポイント26からの荷重をF、第1支持ブロック32に加わる荷重をfとする。また、加圧ポイント26と第1基準点48とのX方向の距離をL2とし、第1支持ブロック32と第1基準点48との距離をLX1とする。さらに、荷重制御領域28に加わる荷重をf1とし、荷重制御領域28の中心線とX方向との角度をθとする。この場合に、第1基準点48のモーメントM1は、以下の式で表される。
M1=2F×L2-(f1×D1×cosθ)-(f×LX1)
撓みを抑制するためには、第1基準点48に働くモーメントM1が0となればよいから、上記の式の左辺を0としてLX1について解くことにより、第1支持ブロック32の位置が求まる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0050】
次に、スライダ20のX方向の中央線52及びY方向の中央線54を基準としたモーメントに基づいて、加圧ポイントP1、P2、P3のそれぞれとスライダ20のX方向の中央線52とのX方向の距離をそれぞれLpx1、Lpx2、Lpx3とする。仮想加圧ポイントP4のX方向の中央線52からのX方向の距離Lpx4は、以下の式により求められる。
Lpx4=(Fp1×Lpx1+Fp2×Lpx2+Fp3×Lpx3)/2×Fp4
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0051】
また、加圧ポイントP1、P2、P3のそれぞれとスライダ20のY方向の中央線54とのY方向の距離をそれぞれLpy1、Lpy2、Lpy3とする。仮想加圧ポイントP4のY方向の中央線54からY方向の距離Lpy4は、以下の式により求められる。
Lpy4=(Fp1×Lpy1+Fp2×Lpy2+Fp3×Lpy3)/2×Fp4
図8Bに示されるように、仮想加圧ポイントP4は、Y方向の中央線54のY1方向にLpy4離れた位置と、Y2方向にLpy4離れた位置とにそれぞれ設定される。