(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052598
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】スリップ添加剤を有する海底電力ケーブル
(51)【国際特許分類】
H01B 7/14 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
H01B7/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023166622
(22)【出願日】2023-09-28
(31)【優先権主張番号】22199220
(32)【優先日】2022-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】519099829
【氏名又は名称】エヌケーティー エイチブイ ケーブルズ エービー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】トーバルドソン, ヘンリク
(72)【発明者】
【氏名】ティルバーグ, アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンソン, トミー
(72)【発明者】
【氏名】ジャヤント, デニー
【テーマコード(参考)】
5G311
【Fターム(参考)】
5G311FA01
5G311FB05
5G311FC03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電力コアの歪みが最小限に抑えられるように応力を分散し、動的海底電力ケーブルの機械的観点からの平均寿命を延ばす海底電力ケーブルを提供する。
【解決手段】海底電力ケーブル(1)において、各電力コア(11a、11b、11c)は、導体(5a、5b、5c)と、導体の周りに配置された絶縁システム(7a、7b、7c)と、絶縁システムの周りに配置された第1のポリマー材料を含むポリマーシース(9a、9b、9c)とを備える、複数の細長い要素と、第2のポリマー材料を含む複数のフィラープロファイルであって、各フィラープロファイルは、複数の細長い要素のうちの2つの細長い要素の間のそれぞれの間隙に配置された、複数のフィラープロファイルとを備える海底電力ケーブル(1)であって、第1のポリマー材料および/または第2のポリマー材料はスリップ添加剤を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撚線構成で配置された複数の細長い要素であって、前記細長い要素のうちの少なくとも2つは電力コア(3a、3b、3c)であり、各電力コア(3a、3b、3c)は、導体(5a、5b、5c)と、前記導体(5a、5b、5c)の周りに配置された絶縁システム(7a、7b、7c)と、前記絶縁システム(7a、7b、7c)の周りに配置された第1のポリマー材料を含むポリマーシース(9a、9b、9c)とを備える、複数の細長い要素と、
第2のポリマー材料を含む複数のフィラープロファイル(11a、11b、11c)であって、各フィラープロファイル(11a、11b、11c)は、前記複数の細長い要素のうちの2つの細長い要素の間のそれぞれの間隙に配置された、複数のフィラープロファイルと
を備える海底電力ケーブル(1)であって、
前記第1のポリマー材料および/または前記第2のポリマー材料はスリップ添加剤を含む、海底電力ケーブル(1)。
【請求項2】
前記第1のポリマー材料は前記スリップ添加剤を含み、前記第1のポリマー材料は、前記第1のポリマー材料の総重量の0.01~5重量%の範囲で前記スリップ添加剤を含む、請求項1に記載の海底電力ケーブル(1)。
【請求項3】
前記第2のポリマー材料は前記スリップ添加剤を含み、前記第2のポリマー材料は、前記第2のポリマー材料の総重量の0.01~5重量%の範囲で前記スリップ添加剤を含む、請求項1または2に記載の海底電力ケーブル(1)。
【請求項4】
前記スリップ添加剤はアミドを含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の海底電力ケーブル(1)。
【請求項5】
前記アミドは、エルカミドまたはオレアミドである、請求項4に記載の海底電力ケーブル(1)。
【請求項6】
前記スリップ添加剤はタルクを含む、請求項4または5に記載の海底電力ケーブル(1)。
【請求項7】
前記第1のポリマー材料は、低密度、中密度、または高密度ポリエチレンなどのポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル系材料、またはポリ塩化ビニルを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の海底電力ケーブル(1)。
【請求項8】
前記第2のポリマー材料は、低密度、中密度、または高密度ポリエチレンなどのポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル系材料、またはポリ塩化ビニルを含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の海底電力ケーブル(1)。
【請求項9】
各電力コア(3a、3b、3c)は、金属遮水層を備え、前記ポリマーシース(9a、9b、9c)は、前記金属遮水層の半径方向外側に配置される、請求項1から8のいずれか1項に記載の海底電力ケーブル(1)。
【請求項10】
前記複数の細長い要素を囲む第1の下地層を備え、前記第1の下地層は、スリップ添加剤を含む第3のポリマー材料を含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の海底電力ケーブル(1)。
【請求項11】
前記第3のポリマー材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル系材料、またはポリ塩化ビニルを含む、請求項10に記載の海底電力ケーブル(1)。
【請求項12】
前記第1の下地層の周りに配置された装甲層と、前記装甲層の周りに配置された第2の下地層と、前記第2の下地層の周りに配置された第2の装甲層とを備え、前記第2の下地層は、スリップ添加剤を含む第4のポリマー材料を含む、請求項10または11に記載の海底電力ケーブル(1)。
【請求項13】
前記第4のポリマー材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル系材料、またはポリ塩化ビニルを含む、請求項12に記載の海底電力ケーブル(1)。
【請求項14】
各電力コア(3a、3b、3c)は、前記フィラープロファイル(11a、11b、11c)のうちの2つと直接接触する、請求項1から13のいずれか1項に記載の海底電力ケーブル(1)。
【請求項15】
前記海底電力ケーブル(1)は動的海底電力ケーブルである、請求項1から14のいずれか1項に記載の海底電力ケーブル(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、海底電力ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
海底電力ケーブルは、浮遊構造体から海底に吊り下げられたときに移動を受ける。これは、例えば、ケーブル敷設中により短い時間発生し得るが、海底電力ケーブルが動的海底電力ケーブル、すなわち、浮遊式プラットフォームから海底に吊り下げられ、波の動きによる一定の移動に耐えるように設計されたケーブルである場合には、設置後であり得る。
【0003】
一般に、動的海底電力ケーブルの機械的観点からの平均寿命は、ケーブルが移動中にどの程度応力を分散できるかに依存する。
【発明の概要】
【0004】
本開示の目的は、先行技術の問題を解決または少なくとも緩和する海底電力ケーブルを提供することである。
【0005】
したがって、海底電力ケーブルが提供され、海底電力ケーブルは、撚線構成で配置された複数の細長い要素であって、細長い要素のうちの少なくとも2つは電力コアであり、各電力コアは、導体と、導体の周りに配置された絶縁システムと、絶縁システムの周りに配置された第1のポリマー材料を含むポリマーシースとを備える、複数の細長い要素と、第2のポリマー材料を含む複数のフィラープロファイルであって、各フィラープロファイルは、複数の細長い要素のうちの2つの細長い要素の間のそれぞれの間隙に配置された、複数のフィラープロファイルとを備え、第1のポリマー材料および/または第2のポリマー材料はスリップ添加剤を含む。
【0006】
スリップ添加剤は、フィラープロファイルと電力コアのポリマーシースとの間など、海底電力ケーブル内の内部構成要素間の表面摩擦係数を低下させる。これは、海底電力ケーブル内のフィラープロファイルおよび/または電力コアの摺動を容易にする。したがって、波の動きの結果としての海底電力ケーブルの移動による応力は、電力コアの歪みが最小限に抑えられるように分散される。これにより、海底電力ケーブルの寿命を延ばすことができる。
【0007】
各電力コアの絶縁システムは、押出絶縁システムであってもよい。
【0008】
フィラープロファイルは、押出フィラープロファイルであってもよい。
【0009】
海底電力ケーブルは、2つ以上の細長い要素を備え得る。
【0010】
海底電力ケーブルは、3つの電力コアを備え得る。あるいは、海底電力ケーブルは、2つの電力コアのみを備えてもよい。
【0011】
スリップ添加剤は、1つまたは複数の成分を含んでもよい。
【0012】
第1のポリマー材料および第2のポリマー材料の両方がスリップ添加剤を含む場合、スリップ添加剤は、第1のポリマー材料および第2のポリマー材料の両方において同じであってもよい。あるいは、第1のポリマー材料に含有されるスリップ添加剤は、第2のポリマー材料に含有されるスリップ添加剤と異なっていてもよい。
【0013】
一実施形態によれば、第1のポリマー材料はスリップ添加剤を含み、第1のポリマー材料は、第1のポリマー材料の総重量の0.01~5重量%の範囲でスリップ添加剤を含む。
【0014】
一実施形態によれば、第2のポリマー材料はスリップ添加剤を含み、第2のポリマー材料は、第2のポリマー材料の総重量の0.01~5重量%の範囲でスリップ添加剤を含む。
【0015】
一実施形態によれば、スリップ添加剤はアミドを含む。
【0016】
一実施形態によれば、アミドは、エルカミドまたはオレアミドである。
【0017】
第1のポリマー材料は、第1のポリマー材料の総重量の0.02~0.2重量%の範囲などの、0.01~0.3重量%の範囲でエルカミドまたはオレアミドを含んでもよい。
【0018】
第2のポリマー材料は、第2のポリマー材料の総重量の0.02~0.2重量%の範囲などの、0.01~0.3重量%の範囲でエルカミドまたはオレアミドを含んでもよい。
【0019】
アミドは、一例によれば、エチレンビス(ステアラミド)であり得る。
【0020】
一実施形態によれば、スリップ添加剤はタルクを含む。スリップ添加剤としてのエルカミドまたはオレアミドとタルクとの組合せは、ポリマー材料の摩擦係数が、エルカミド、オレアミド、またはタルクのうちの1つのみをスリップ添加剤として使用する場合よりも低くなるため、相乗的であることが示されている。
【0021】
一実施形態によれば、第1のポリマー材料は、低密度、中密度、または高密度ポリエチレンなどのポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル系材料、またはポリ塩化ビニルを含む。
【0022】
一実施形態によれば、第2のポリマー材料は、低密度、中密度、または高密度ポリエチレンなどのポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル系材料、またはポリ塩化ビニルを含む。
【0023】
一実施形態によれば、各電力コアは、金属遮水層を備え、ポリマーシースは、金属遮水層の半径方向外側に配置される。
【0024】
一実施形態は、複数の細長い要素を囲む第1の下地層を備え、第1の下地層は、スリップ添加剤を含む第3のポリマー材料を含む。
【0025】
第1の下地層は、装甲の第1の下地層であってもよい。
【0026】
一例によれば、第3のポリマー材料に含有されるスリップ添加剤は、第3のポリマー材料の総重量の0.01~5重量%の範囲にあってもよい。
【0027】
一例によれば、第3のポリマー材料に含有されるスリップ添加剤は、アミドを含む。
【0028】
一例によれば、第3のポリマー材料に含有されるアミドは、エルカミドまたはオレアミドである。
【0029】
第3のポリマー材料は、第3のポリマー材料の総重量の0.02~0.2重量%の範囲などの、0.01~0.3重量%の範囲でエルカミドまたはオレアミドを含んでもよい。
【0030】
一例によれば、第3のポリマー材料に含有されるスリップ添加剤は、タルクを含む。
【0031】
一実施形態によれば、第3のポリマー材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル系材料、またはポリ塩化ビニルを含む。
【0032】
一実施形態は、第1の下地層の周りに配置された装甲層と、装甲層の周りに配置された第2の下地層と、第2の下地層の周りに配置された第2の装甲層とを備え、第2の下地層は、スリップ添加剤を含む第4のポリマー材料を含む。
【0033】
一実施形態によれば、第4のポリマー材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル系材料、またはポリ塩化ビニルを含む。
【0034】
一例によれば、第4のポリマー材料に含有されるスリップ添加剤は、第3のポリマー材料の総重量の0.01~5重量%の範囲にあってもよい。
【0035】
一例によれば、第4のポリマー材料に含有されるスリップ添加剤は、アミドを含む。
【0036】
一例によれば、第4のポリマー材料に含有されるアミドは、エルカミドまたはオレアミドである。
【0037】
第4のポリマー材料は、第3のポリマー材料の総重量の0.02~0.2重量%の範囲などの、0.01~0.3重量%の範囲でエルカミドまたはオレアミドを含んでもよい。
【0038】
一例によれば、第4のポリマー材料に含有されるスリップ添加剤は、タルクを含む。
【0039】
一実施形態によれば、各電力コアは、フィラープロファイルのうちの2つと直接接触する。
【0040】
一実施形態によれば、海底電力ケーブルは動的海底電力ケーブルである。
【0041】
海底電力ケーブルは、中電圧または高電圧海底電力ケーブルであってもよい。
【0042】
海底電力ケーブルは、AC海底電力ケーブルまたはDC海底電力ケーブルであってもよい。
【0043】
一般に、特許請求の範囲で使用されるすべての用語は、本明細書で特に明示的に定義されない限り、技術分野におけるそれらの通常の意味に従って解釈されるべきである。「a/an/the element、apparatus、component、means」などへのすべての言及は、特に明記しない限り、要素、装置、構成要素、手段などの少なくとも1つの例を指すものとしてオープンに解釈されるべきである。
【0044】
ここで、添付の図面を参照して、本発明の概念の具体的な実施形態を例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】海底電力ケーブルの一例の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
ここで、例示的な実施形態が示されている添付の図面を参照して、本発明の概念を以下により完全に説明する。しかしながら、本発明の概念は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、本発明の概念の範囲を当業者に完全に伝えるように、例として提供される。説明全体を通して、同様の番号は同様の要素を指す。
【0047】
図1は、海底電力ケーブル1の一例の断面図を示す。海底電力ケーブル1は、撚線構成で配置された3つの細長い要素を備える。例によれば、各細長い要素は電力コア3a~3cである。これにより、電力コア3a、3b、3cが撚り合わされる。
【0048】
電力コア3a~3cは、AC電力コアまたはDC電力コアであってもよい。
【0049】
あるいは、細長い要素のうちの2つは電力コアであってもよく、3つの細長い要素のうちの1つは、電力コアと本質的に同じ直径、例えば、各電力コアの直径の±10%以内、または各電力コアと同じ直径を有するダミー要素であってもよい。
【0050】
各電力コア3a、3b、3cは、それぞれの導体5a、5b、5cと、導体5a、5b、5cの周りに配置されたそれぞれの絶縁システム7a、7b、7cと、絶縁システム7a、7b、7cの周りに配置されたそれぞれのポリマーシース9a、9b、9cとを備える。
【0051】
各絶縁システム7a、7b、7cは、導体5a、5b、5cの周りに配置されたそれぞれの内部半導体層と、内部半導体層の周りに配置された絶縁層と、絶縁層の周りに配置された外部半導体層とを備える。
【0052】
絶縁システム7a、7b、7cは、例えば、押出絶縁システム、または紙ベースの油含浸絶縁システムであってもよい。
【0053】
ポリマーシース9a、9b、9cは、第1のポリマー材料からなる。第1のポリマー材料は、例えば、低密度、中密度、または高密度ポリエチレンなどのポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル系材料、またはポリ塩化ビニルを含み得る。
【0054】
各電力コア3a、3b、3cは、任意選択的に、外側半導体層とポリマーシース9a、9b、9cとの間に配置されたそれぞれの金属遮水層を含んでもよい。金属遮水層は、例えば、鉛、銅、アルミニウム、またはステンレス鋼などの鋼を含んでもよい。金属遮水層は、波形であっても滑らかであってもよい。
【0055】
海底電力ケーブル1は、複数のフィラープロファイル11a~11cを備える。特に、海底電力ケーブル1は、3つのフィラープロファイル11a~11cを備える。各フィラープロファイル11a、11b、11cは、2つの隣接する電力コア3a、3b、3cの間の間隙に配置される。フィラープロファイル11a~11cは、電力コア3a~3cとともに撚り合わされる。
【0056】
海底電力ケーブル1は、撚り合わされた電力コア3a~3cおよび撚り合わされたフィラープロファイル11a~11cの周りに配置されたバインダ層を備え得る。バインダ層は、例えば、テープから形成されてもよい。バインダ層は、電力コア3a~3cおよびフィラープロファイル11a~11cを一緒に撚線構成で保持する。特に、バインダ層は、撚り合わされた電力コア3a~3cおよびフィラープロファイル11a~11cの周りに追加の層が設けられる前に、撚り合わせプロセスにおける製造ラインにおいて撚り合わされた電力コア3a~3cおよび撚り合わされたフィラープロファイル11a~11cを一緒に保持する。
【0057】
各フィラープロファイル11a~11cは、2つの内側湾曲面13を有する。各内側湾曲面13は、1つの電力コア3a~3cのポリマーシース9a、9b、9cを部分的に受け入れてこれに当接するように構成される。したがって、各フィラープロファイル11a~11cは、2つの電力コア3a~3cと直接接触する。
【0058】
フィラープロファイル11a~11cは、第2のポリマー材料からなる。第2のポリマー材料は、例えば、低密度、中密度、または高密度ポリエチレンなどのポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル系材料、またはポリ塩化ビニルを含み得る。
【0059】
第1のポリマー材料は、スリップ添加剤を含んでもよい。代替的または追加的に、第2のポリマー材料は、スリップ添加剤を含んでもよい。
【0060】
スリップ添加剤は、移動スリップ添加剤であってもよい。したがって、スリップ添加剤の一部は、ポリマー材料の外面の摩擦係数を低減するために、それが含有されるポリマー材料の表面、すなわち第1のポリマー材料および/または第2のポリマー材料に移動している。
【0061】
第1のポリマー材料がスリップ添加剤を含む場合、第1のポリマー材料は、第1のポリマー材料の総重量の0.01~5重量%の範囲でスリップ添加剤を含み得る。
【0062】
第2のポリマー材料がスリップ添加剤を含む場合、第2のポリマー材料は、第2のポリマー材料の総重量の0.01~5重量%の範囲でスリップ添加剤を含み得る。
【0063】
ポリマー材料のいずれかに使用されるスリップ添加剤は、エルカミドまたはオレアミドなどのアミドを含んでもよい。
【0064】
ポリマー材料のいずれかに使用されるスリップ添加剤は、一例によれば、タルクを含んでもよい。
【0065】
スリップ添加剤は、ポリマーシース9a~9cおよび/またはフィラープロファイル11a~11cを押し出す前またはその間にベースポリマーに添加されてもよい。
【0066】
一例によれば、海底電力ケーブル1は、複数の細長い要素およびフィラープロファイル11a~11cの周りに配置された第1の下地層15を備える。第1の下地層15は、バインダ層の周りに配置されてもよい。第1の下地層15は、例えば、押出ポリマーシースであってもよく、または海底電力ケーブル1の長手方向に沿ってバインダ層の周りに螺旋状に巻き付けられた複数のポリマーヤーンから形成されてもよい。
【0067】
一例によれば、第1の下地層15は、スリップ添加剤を含む第3のポリマー材料を含む。スリップ添加剤は、第1のポリマー材料および/または第2のポリマー材料で使用されるのと同じスリップ添加剤であってもよい。第1の下地層15の一部は、バインダ層が存在しない領域において、フィラープロファイル11a~11cおよび/または細長い要素/電力コア3a~3cと直接接触してもよい。
【0068】
海底電力ケーブル1は、第1の下地層15の周りに配置された複数の装甲ワイヤ17を含む装甲層を備え得る。
【0069】
一例によれば、海底電力ケーブル1は、装甲層の周りに配置された第2の下地層と、第2の下地層の周りに配置された第2の装甲層とを備え得る。第2の下地層は、スリップ添加剤を含む第4のポリマー材料を含む。スリップ添加剤は、第1のポリマー材料および/または第2のポリマー材料で使用されるのと同じスリップ添加剤であってもよい。
【0070】
海底電力ケーブル1は、外側シースまたは外側サービング19を備える。外側シースは、押出ポリマー層であってもよい。外側サービングは、海底電力ケーブル1の長手方向に螺旋状に配置された複数のポリマーヤーンから形成されてもよい。
【0071】
海底電力ケーブル1は、追加の層を備えてもよく、例えば、各電力コアは、1つまたは複数の水膨潤性テープ層、および/またはスクリーン層を備えてもよい。
【0072】
本発明の概念は、主にいくつかの例を参照して上述されている。しかしながら、当業者によって容易に理解されるように、添付の特許請求の範囲によって定義されるように、上記で開示されたもの以外の他の実施形態も本発明の概念の範囲内で等しく可能である。
【外国語明細書】