IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジーイー・アビエイション・システムズ・エルエルシーの特許一覧

特開2024-52637正確かつ高速なパワーモジュール特性アセスメント
<>
  • 特開-正確かつ高速なパワーモジュール特性アセスメント 図1
  • 特開-正確かつ高速なパワーモジュール特性アセスメント 図2
  • 特開-正確かつ高速なパワーモジュール特性アセスメント 図3
  • 特開-正確かつ高速なパワーモジュール特性アセスメント 図4
  • 特開-正確かつ高速なパワーモジュール特性アセスメント 図5
  • 特開-正確かつ高速なパワーモジュール特性アセスメント 図6
  • 特開-正確かつ高速なパワーモジュール特性アセスメント 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052637
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】正確かつ高速なパワーモジュール特性アセスメント
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20240404BHJP
   H01L 23/58 20060101ALI20240404BHJP
   G01K 1/16 20060101ALI20240404BHJP
   G01K 1/14 20210101ALI20240404BHJP
   G01R 15/00 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H01L23/56 D
G01K1/16
G01K1/14 L
G01R15/00 500
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023170199
(22)【出願日】2023-09-29
(31)【優先権主張番号】17/957,333
(32)【優先日】2022-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506388923
【氏名又は名称】ジーイー・アビエイション・システムズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(74)【代理人】
【識別番号】100207158
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 研二
(72)【発明者】
【氏名】シュン・イク・リー
(72)【発明者】
【氏名】リチャン・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ダレル・エル・グライムス
(72)【発明者】
【氏名】ヒュンミン・チョ
【テーマコード(参考)】
2F056
2G025
【Fターム(参考)】
2F056CL07
2F056DA02
2G025AB05
(57)【要約】
【課題】パワーモジュールのためのジャンクション温度の正確かつ高速な測定のためのシステムおよび方法が提供される。
【解決手段】そのようなシステムおよび方法は、伝導性オーバーレイがその上部に配置され、伝導性オーバーレイに電気的に結合されているそれぞれのダイ表面をそれぞれが有する1つ以上のパワートランジスタを含む。温度センサは、前記1つ以上のパワートランジスタに直接温度測定を提供するために前記伝導性オーバーレイの上面に物理的に接着される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれがそれぞれのダイ表面を有する1つ以上のパワートランジスタ;
前記1つ以上のパワートランジスタのそれぞれに電気的に結合した、それらの前記それぞれのダイ表面上部の伝導性オーバーレイ;および
前記1つ以上のパワートランジスタに直接温度測定を提供するために前記伝導性オーバーレイの上面に結合した温度センサを含む、パワーモジュール。
【請求項2】
前記1つ以上のパワートランジスタのうちの2つの間の電流フローを測定するために前記伝導性オーバーレイに物理的および電気的に結合した電流センサをさらに含む、請求項1に記載のパワーモジュール。
【請求項3】
前記電流センサが電流計測シャントを含む、請求項2に記載のパワーモジュール。
【請求項4】
前記1つ以上のパワートランジスタ、前記温度センサおよび前記電流センサに電気的に結合した制御回路をさらに含み、
前記制御回路は前記温度センサからの前記直接温度測定および前記電流フローの測定に基づいて前記1つ以上のパワートランジスタの動作を調整するように構成されている、請求項2に記載のパワーモジュール。
【請求項5】
前記1つ以上のパワートランジスタの動作の調整が、前記直接温度測定および前記電流フローの測定のうちの少なくとも1つが閾値を超えた際に、前記1つ以上のパワートランジスタの動作を停止させることを含む、請求項4に記載のパワーモジュール。
【請求項6】
前記1つ以上のパワートランジスタの動作の調整が、前記直接温度測定および前記電流フローの測定のうちの少なくとも1つが閾値を超えた際に、前記1つ以上のパワートランジスタの動作を制限することを含む、請求項4に記載のパワーモジュール。
【請求項7】
前記1つ以上のパワートランジスタが炭化ケイ素(SiC)MOSFETを含む、請求項1に記載のパワーモジュール。
【請求項8】
前記伝導性オーバーレイが前記1つ以上のパワートランジスタのそれぞれの前記それぞれのダイ表面からある距離だけ離隔され、
前記伝導性オーバーレイが、前記伝導性オーバーレイを前記1つ以上のパワートランジスタのそれぞれに電気的に結合するために前記距離を橋架けする伝導性ビアを含む、請求項1に記載のパワーモジュール。
【請求項9】
前記温度センサが非伝導性ハウジングを有する測温抵抗体を含む、請求項1に記載のパワーモジュール。
【請求項10】
前記温度センサが熱伝導性エポキシによって前記伝導性オーバーレイに接着されている、請求項1に記載のパワーモジュール。
【請求項11】
前記1つ以上のパワートランジスタおよび前記温度センサに電気的に結合した制御回路をさらに含み、
前記制御回路は、前記温度センサからの前記直接温度測定に基づいて前記1つ以上のパワートランジスタの動作を調整するよう構成されている、請求項1に記載のパワーモジュール。
【請求項12】
前記1つ以上のパワートランジスタの動作の調整が、前記直接温度測定が閾値を超えた際に前記1つ以上のパワートランジスタの動作を停止させることを含む、請求項11に記載のパワーモジュール。
【請求項13】
前記1つ以上のパワートランジスタの動作の調整が、前記直接温度測定が閾値を超えた際に前記1つ以上のパワートランジスタの動作を制限することを含む、請求項11に記載のパワーモジュール。
【請求項14】
前記伝導性オーバーレイが前記1つ以上のパワートランジスタのそれぞれの前記それぞれのダイ表面からある距離だけ離隔され、
少なくとも1つの焼結層が前記距離を橋架けし、前記伝導性オーバーレイを前記1つ以上のパワートランジスタのそれぞれに電気的に結合する、請求項1に記載のパワーモジュール。
【請求項15】
伝導性オーバーレイの上面に結合した温度センサによって前記伝導性オーバーレイの表面温度を直接測定するステップであって、前記伝導性オーバーレイは1つ以上のパワートランジスタに、それらのそれぞれのダイ表面の上部で電気的に結合されている、ステップと、;
前記1つ以上のパワートランジスタに電気的に結合した制御回路によって前記1つ以上のパワートランジスタの動作を調整するステップであって、前記調整は前記表面温度の前記直接測定に基づくステップと、を含む、方法。
【請求項16】
1つ以上のパワートランジスタの第1の表面上に伝導性オーバーレイを形成するステップと;
前記伝導性オーバーレイの上面に温度センサを結合させるステップと、を含む、パワーモジュールの製造方法。
【請求項17】
前記1つ以上のパワートランジスタのうちの2つの異なるものの間の位置で、前記伝導性オーバーレイに電流センサを物理的および電気的に結合させるステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
粘着性層を介して非伝導性層を前記1つ以上のパワートランジスタの前記第1の表面に結合させるステップと;
前記非伝導性層および前記粘着性層を通って前記1つ以上のパワートランジスタの前記第1の表面まで延在するビアを有する前記非伝導性層の上部に前記伝導性オーバーレイを形成するステップと、をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記温度センサを制御回路に電気的に結合させるステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
これらの教示は全体としてパワーモジュール、および、より具体的にはパワーモジュールのジャンクション温度測定に関係する。
【背景技術】
【0002】
パワーモジュールは、航空機および類似の高性能システムでの使用を含む多様な用途のための安定的かつ信頼できるパワーを出力するためにトランジスタを用いる。また、パワーモジュールの動作はかなりの量の熱を生み出すことがあり、もし適切に管理されなければパワーモジュールに損傷を与え、ならびに/または信頼性の低い動作状態およびパワー出力を生み出す可能性がある。したがって、パワーモジュールを動作させる際に温度を考慮するため制御回路がしばしば用いられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
特に図面と合わせて学ばれた時に、以下の詳細な説明において記述されるパワーモジュールの様々な特性の正確かつ高速なアセスメントまたは測定の提供を通して、様々なニーズが少なくとも部分的に満たされる。それらのベストモードを含む、本説明の態様の完全かつ実現可能な開示は、当業者に向けられ、以下の明細書に記載され、それは以下のような添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】これらの教示の様々な実施形態に従って構成されたパワーモジュールの概略図を含む図である。
図2】これらの教示の様々な実施形態に従って構成されたパワーモジュールの部分断面図を含む図である。
図3】これらの教示の様々な実施形態に従って構成されたパワーモジュールの概略図を含む図である。
図4】これらの教示の様々な実施形態に従って構成されたパワーモジュールの部分断面図を含む図である。
図5】これらの教示の様々な実施形態に従って構成されたパワーモジュールの概略図を含む図である。
図6】これらの教示の様々な実施形態に従って構成されたパワーモジュール用の制御回路の斜視図を含む図である。
図7】これらの教示の様々な実施形態に従った方法のフロー図を含む図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
図面内の要素は、単純さと明確さのために図示され、必ずしも縮尺通りに描かれていない。例えば、寸法および/または図中の要素のいくつかの相対的な位置は、本教示の様々な実施形態の理解を向上させるために他の要素に比べて強調されてもよい。また、商業的に実行可能な実施形態において有用であるかまたは必要である、一般的な、しかしよく知られた要素は、本教示のこれらの様々な実施形態の視界の妨げにならないようにしばしば描かれない。特定の動作および/またはステップは、発生の特定の順番で記述され、または描かれてもよいが、当業者は順序に関するそのような特定は実際には必要とされないことを理解するだろう。
【0006】
典型的なパワーモジュールは、トランジスタと制御回路とを共に相互接続するための、ダイ表面上の複数の表面ワイヤボンドを有する複数のトランジスタから組み立てられる。したがって、これらのモジュールはダイ表面上の直接温度計測のための領域を提供しない。むしろ、モジュールは、ボディダイオードの測定や高価な光学的方法などの間接的な方法を含む、プリント回路基板(PCB)制御回路からの代替的な温度計測を用いる。単純な直接温度測定方法の欠如は、オペレーションコストを増加させ、信頼性および安全性を制限する。
【0007】
一般的に言えば、本開示の様々な態様は、1つ以上のパワートランジスタと、1つ以上のパワートランジスタのそれぞれに、1つ以上のパワートランジスタのための直接温度測定方法を提供することができる温度センサなどのセンサのための直接の取り付け面を提供するための伝導性オーバーレイと、を含むパワーモジュールと共に用いられ得る。伝導性オーバーレイは、短距離金属接続によってパワートランジスタダイ表面に直接接続された、明確に定義された金属製かつ安定した表面を含むことができる。伝導性オーバーレイの追加の表面は、高速かつ正確な計測能力を提供し、モジュール動作の信頼性を向上させるために、温度センサを上部に位置させることを可能にする。このセンサは容易にPCBコントローラに配線されることができ、センサからのデータは信頼できるモジュール動作を提供するために、ゲートボードに提供されることができる。直接温度測定は、結果として、パワーモジュールを動作させる際の向上した信頼性および安全性をもたらす。
【0008】
本明細書で使用される用語および表現は、異なる特定の意味が別に本明細書において述べられている場合を除き、上述したように当業者によってそのような用語および表現に対し与えられるような通常の技術的な意味を有する。本明細書で使用されたとき、「または(or)」という言葉は、別に明確に示されない限り、接続的構造よりも離接的構造を有するとして解釈されるだろう。「結合された(coupled)」、「固定された(fixed)」、「取り付けられた(attached to)」などの用語は、本明細書において別に特定されない限り、直接の結合、固定または取り付け、および1つ以上の中間構成要素または特徴を介した間接の結合、固定または取り付けの両方を指す。
【0009】
単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈上明らかに別の指示がない限り、複数の参照を含む。
【0010】
明細書および特許請求の範囲を通してここで使用される時、近似的な言い回しは、それが関係する基本的な機能に変化をもたらさずに差し支えなく変化し得る任意の定量的な表現を修飾するために適用される。したがって、「約(about)」、「およそ(approximately)」および「実質的に(substantially)」などの用語によって修飾された値は、特定された正確な値に限定されない。少なくともいくつかの例において、近似的な言い回しは、値を測定するための機器の正確さ、または構成要素および/もしくはシステムを構成もしくは製造するための方法もしくは機械の正確さに相当することができる。例えば、近似的な言い回しは10パーセントのマージンの内であることを言及してもよい。
【0011】
以下の詳細な説明の全体のレビューおよび研究を行う場合、前述した利点および他の利点は明確になることができる。ここで図面、特に図1を参照すると、パワーモジュール100が示されている。パワーモジュール100は、その上面に粘着または接着された温度センサ104を有する伝導性オーバーレイ102を含むことができる。いくつかの実施形態において、伝導性オーバーレイ102は、温度センサ104に結合表面を提供するのに十分な、銅または他の伝導性材料のパワーオーバーレイ(POL)を含むことができる。そのようなPOL形状は、様々なシステムが入力および出力し、外部デバイスが1つ以上のパワートランジスタ108(図2参照)とインタフェースすることができる平面の相互接続領域を提供することができる。本明細書に記載される伝導性オーバーレイ102を形成することができるPOLの例は米国特許第10,269,688号明細書において提供され、その全体が参照により組み込まれる。しかし、本明細書に記載された実施形態は、銅クリップ、多層有機PCB等、ならびにフリップチップおよびチップインポリマー技術などの代替的な平面相互接続技術に関しても適用可能であることが認識されるだろう。
【0012】
ここで図2を見ると、パワーモジュール100の部分断面図が示されている。パワーモジュール100は、伝導性オーバーレイ102に温度センサ104を接着するための熱伝導性エポキシ106をさらに含むことができる。熱伝導エポキシ106は、温度センサ104が一貫した、正確な示度をそこから得るように、伝導性オーバーレイ102の上面と温度センサ104との間の熱伝導媒体として働くことができる。温度センサ104は、伝導性オーバーレイ102の幅広く、明確に定義され、金属製で、かつ安定した表面上に熱伝導性エポキシ106によって取り付けられることができる。さらに、温度センサ104の位置は、伝導性オーバーレイ102上の最も高い温度の位置に一致することができる。いくつかの実施形態において、最も高い温度の位置はパワーモジュール100の動作をモデリングすることによって特定され得る。いくつかの実施形態において、温度センサ104は、モデリングおよびテストがパワーモジュール100について最も熱い位置として示す、1つ以上のパワートランジスタ108のうちの中央の1つの上部で伝導性オーバーレイ102に取り付けられ得る。しかしながら、他の位置もまた予期され、いくつかの実施形態においては同じ大体の位置のすぐ近くに複数の温度センサが位置してもよいことが認識されるだろう。
【0013】
温度センサ104は、非伝導性ハウジングを有する熱電対および/または測温抵抗体(resistance temperature detector)を含むことができる。
【0014】
1つ以上のパワートランジスタ108は、その上部に伝導性オーバーレイ102が位置し得るそれぞれのダイ表面を有する。パワートランジスタ108は炭化ケイ素(SiC)MOSFETまたは類似の当分野で知られたパワートランジスタを含むことができる。
【0015】
非伝導性層114および粘着性層112は、伝導性オーバーレイ102と1つ以上のパワートランジスタ108との間に位置することができる。非伝導性層114は、パワートランジスタ108のそれぞれのダイ表面と伝導性オーバーレイ102との間の誘電体層として機能することができる。非伝導性層114はカプトン(登録商標)または他の類似の材料を含むことができる。
【0016】
また、伝導性オーバーレイ102は、伝導性オーバーレイ102を1つ以上のパワートランジスタ108に電気的に結合させるビア110を含むことができる。これらの実施形態において、ビア110は非伝導性層114および粘着性層112を通過して、伝導性オーバーレイ102と1つ以上のパワートランジスタ108との間の直接の金属接続を提供することができる。付加的に、または代替的に、いくつかの実施形態において、伝導性オーバーレイ102を1つ以上のパワートランジスタの表面に相互接続するために1つ以上の焼結層が利用され得る。
【0017】
ここで図3を見ると、パワーモジュール100の別の概略図が示されている。図3において見られるように、いくつかの実施形態において、パワーモジュール100は伝導性オーバーレイ102に結合した追加のセンサを含むことができる。追加のセンサは、1つ以上のパワートランジスタ108のうちの2つまたはパワーモジュール100の他の要素の間の電流フローを測定するための、伝導性オーバーレイ102に物理的に接着され、電気的に結合した複数の電流センサ116を含むことができる。
【0018】
図4の、パワーモジュール100の追加の部分断面図に見られるように、電流センサ116はソルダー117によって伝導性オーバーレイ102に接着され得、伝導性オーバーレイ102のセクションの間のギャップの上部を橋架けし得る。電流センサ116は、パワーモジュール100の組立プロセスの間に伝導性オーバーレイ102に取り付けられた電流計測シャントを含むことができる。電流センサ116は、局所電流値を提供するため、他の電流もしくは温度センサの間または伝導性オーバーレイ102の上部銅セクションの間に位置することができる。
【0019】
いくつかの実施形態において、伝導性オーバーレイ102は、複数のトランジスタ108のそれぞれの各ダイ表面からある距離だけ離隔され得、それにより伝導性オーバーレイ102の上面に結合した温度センサ104および/または複数の電流センサ116もまた複数のトランジスタ108のそれぞれの各ダイ表面から前記距離だけ離隔される。ビア110は前記距離を橋架けして、伝導性オーバーレイ102を1つ以上のパワートランジスタ108のそれぞれに電気的に結合させることができる。
【0020】
温度センサ104およびソルダー電流センサ116が結合される伝導性オーバーレイ102の上面と、パワートランジスタ108の上面との間の距離は、およそ150μmであり得、ここで、前記距離のうち100μmは伝導性オーバーレイ102の厚さから生じ、前記距離のうち50μmはビア110の厚さから生じる。パワートランジスタ108に上面と、温度センサ104が結合した伝導性オーバーレイ102の上面との間の短い距離は、他の間接的な温度測定方法と比較した場合の温度測定の正確さを向上させる。特に、近い距離は、温度センサ104によって読み取られる前の熱の放散を距離が制限し、および/または温度センサ104によって読み取られる温度値への他の熱源の影響を制限するので、温度示度がパワートランジスタ108の上面の実際の温度とほぼ一致することを確実にするのに役立つ。
【0021】
ここで、図5を見ると、パワーモジュール100の別の概略図が示されている。図5において見られるように、温度センサ104および複数の電流センサ116は、それぞれワイヤおよびソルダーの120および122を介して制御回路118に電気的に結合されることができる。
【0022】
図6において見られるように、制御回路118は、パワーモジュール100の残りを含むハウジング内に設置できるプリント回路基板を含むことができる。制御回路118は、1つ以上のパワートランジスタ108の動作の制御を支援するために制御回路118に接続されたゲートボードに信号を渡すことができる。
【0023】
図1図6に示されたパワーモジュール100の実施形態は、1つ以上のパワートランジスタ108の2つのグループまたはセットに結合した2つの伝導性オーバーレイ102を描いているが、より多いまたはより少ない伝導性オーバーレイ102を有する実施形態が予期されることが理解されるだろう。
【0024】
ここで、図7を見ると、本明細書に記載される実施形態は、制御回路118を使用するパワーモジュール100の制御の方法200にも向けられている。方法200のステップ202によると、温度センサ104は伝導性オーバーレイ102の表面温度を直接測定し、および/または電流センサ116は電流フローを測定する。方法200のステップ204によると、制御回路118は、制御回路118に電気的に結合されている1つ以上のパワートランジスタ108の動作を調整する。
【0025】
パワートランジスタ108の動作の調整は、温度センサ104による表面温度の直接測定および複数の電流センサ116からの電流フローの測定のうちの1つ以上に基づくことができる。また、パワートランジスタ108の動作の調整は、直接温度測定および/または電流測定があらかじめ設定された閾値を超える際の、1つ以上のパワートランジスタ108のうちの1つ、複数、または全ての動作の停止を含むことができる。さらに、パワートランジスタ108の動作の調整は、直接温度測定および/または電流測定が追加的にあらかじめ設定された閾値を超える際の、1つ以上のパワートランジスタ108のうちの1つ、複数、または全ての動作の制限を含むことができる。動作の制限は1つ以上のパワートランジスタ108のうちのいくつかのみをシャットダウンすること、および/またはスイッチング周波数、入力電力などの動作パラメータを、温度および/または電流測定値がパワーモジュール100の通常の安全な動作に一致する水準まで低下するように変化させることを含むことができる。
【0026】
いくつかの実施形態において、電流センサ116は、伝導性オーバーレイ102上の異なる位置からの電流を並列に測定することができる。これらの実施形態において、それぞれの位置からの電流における増分差がモニターされ得、1つの位置における電流値が、他の電流値からあらかじめ設定された量よりも大きくずれる際に、制御回路118は、破滅的な故障を避けるためにパワートランジスタ108の動作を調整することができる。例えば、そのような調整はパワートランジスタ108のいくつかまたは全ての動作のシャットダウンを含むことができる。また、いくつかの実施形態において、制御回路はパワートランジスタ108のうち、その電流値があらかじめ設定された閾値を超えた電流センサにつながったパワートランジスタのみをシャットダウンすることができる。
【0027】
本発明のさらなる態様は、以下の項の主題によって提供される。
【0028】
それぞれがそれぞれのダイ表面を有する1つ以上のパワートランジスタ;前記1つ以上のパワートランジスタのそれぞれに電気的に結合した、それらの前記それぞれのダイ表面上部の伝導性オーバーレイ;および前記1つ以上のパワートランジスタに直接温度測定を提供するために前記伝導性オーバーレイの上面に結合した温度センサを含む、パワーモジュール。
【0029】
前記1つ以上のパワートランジスタのうちの2つの間の電流フローを測定するために前記伝導性オーバーレイに物理的に接着され、電気的に結合した電流センサをさらに含む、任意の前項に記載のパワーモジュール。
【0030】
前記電流センサが電流計測シャントを含む、任意の前項に記載のパワーモジュール。
【0031】
前記1つ以上のパワートランジスタ、前記温度センサおよび前記電流センサに電気的に結合した制御回路をさらに含み、前記制御回路は、前記温度センサからの前記直接温度測定および前記電流フローの測定に基づいて前記1つ以上のパワートランジスタの動作を調整するように構成されている、任意の前項に記載のパワーモジュール。
【0032】
前記1つ以上のパワートランジスタの動作の調整が、前記直接温度測定および前記電流フローの測定のうちの少なくとも1つが閾値を超えた際に、前記1つ以上のパワートランジスタの動作を停止させることを含む、任意の前項に記載のパワーモジュール。
【0033】
前記1つ以上のパワートランジスタの動作の調整が、前記直接温度測定および前記電流フローの測定のうちの少なくとも1つが閾値を超えた際に、前記1つ以上のパワートランジスタの動作を制限することを含む、任意の前項に記載のパワーモジュール。
【0034】
前記1つ以上のパワートランジスタが炭化ケイ素(SiC)MOSFETを含む、任意の前項に記載のパワーモジュール。
【0035】
伝導性オーバーレイが前記複数のトランジスタのそれぞれの前記それぞれのダイ表面からある距離だけ離隔され、前記伝導性オーバーレイが、前記伝導性オーバーレイを前記1つ以上のパワートランジスタのそれぞれに電気的に結合するために前記距離を橋架けする伝導性ビアを含む、任意の前項に記載のパワーモジュール。
【0036】
前記温度センサが非伝導性ハウジングを有する測温抵抗体を含む、任意の前項に記載のパワーモジュール。
【0037】
前記温度センサが熱伝導性エポキシによって前記伝導性オーバーレイに接着されている、任意の前項に記載のパワーモジュール。
【0038】
前記1つ以上のパワートランジスタおよび前記温度センサに電気的に結合した制御回路をさらに含み、前記制御回路は、前記温度センサからの前記直接温度測定に基づいて前記1つ以上のパワートランジスタの動作を調整するよう構成されている、任意の前項に記載のパワーモジュール。
【0039】
前記1つ以上のパワートランジスタの動作の調整が、前記直接温度測定が閾値を超えた際に前記1つ以上のパワートランジスタの動作を停止させることを含む、任意の前項に記載のパワーモジュール。
【0040】
前記1つ以上のパワートランジスタの動作の調整が、前記直接温度測定が閾値を超えた際に前記1つ以上のパワートランジスタの動作を制限することを含む、任意の前項に記載のパワーモジュール。
【0041】
それぞれがそれぞれのダイ表面を有する1つ以上のパワートランジスタ;前記1つ以上のパワートランジスタの第1の群に電気的に結合した、それらの前記それぞれのダイ表面上部の第1の伝導性オーバーレイ;前記1つ以上のパワートランジスタの第2の群に電気的に結合した、それらの前記それぞれのダイ表面上部の第2の伝導性オーバーレイ;前記1つ以上のパワートランジスタの第1の群に直接温度測定を提供するために、前記第1の伝導性オーバーレイの上面に物理的に接着された第1の温度センサ;前記1つ以上のパワートランジスタの第2の群に直接温度測定を提供するために、前記第2の伝導性オーバーレイの上面に物理的に接着された第2の温度センサ;前記第1の伝導性オーバーレイまたは前記第2の伝導性オーバーレイに物理的に接着され、電気的に結合した複数の電流センサであって、前記複数の電流センサのそれぞれは前記1つ以上のパワートランジスタのうちの2つの間の電流フローを測定するように構成されている電流センサ;および前記1つ以上のパワートランジスタ、前記第1および第2の温度センサならびに前記複数の電流センサに電気的に結合した制御回路であって、前記制御回路は前記第1および第2の温度センサからの前記直接温度測定ならびに前記複数の電流センサからの前記電流フローの測定に基づいて前記1つ以上のパワートランジスタの動作を調整するように構成されている制御回路を含む、パワーモジュール。
【0042】
前記1つ以上のパワートランジスタの動作の調整が、前記直接温度測定のいずれかが閾値を超えた際に前記1つ以上のパワートランジスタの動作を停止させることを含む、任意の前項に記載のパワーモジュール。
【0043】
前記1つ以上のパワートランジスタの動作の調整が、前記直接温度測定のいずれかが閾値を超えた際に前記1つ以上のパワートランジスタの動作を制限することを含む、任意の前項に記載のパワーモジュール。
【0044】
前記1つ以上のパワートランジスタが炭化ケイ素(SiC)MOSFETを含む、任意の前項に記載のパワーモジュール。
【0045】
前記第1および第2の伝導性オーバーレイが前記1つ以上のパワートランジスタのそれぞれの前記それぞれのダイ表面からある距離だけ離隔され、前記第1および第2の伝導性オーバーレイが、前記第1および第2の伝導性オーバーレイを前記1つ以上のパワートランジスタのそれぞれに電気的に結合するために前記距離を橋架けする伝導性ビアを含む、任意の前項に記載のパワーモジュール。
【0046】
前記第1および第2の温度センサが非伝導性ハウジングを有する測温抵抗体を含む、任意の前項に記載のパワーモジュール。
【0047】
伝導性オーバーレイの上面に物理的に接着された温度センサによって前記伝導性オーバーレイの表面温度を直接測定するステップであって、前記伝導性オーバーレイは1つ以上のパワートランジスタに電気的に結合されており、それらのそれぞれのダイ表面の上部にある、ステップと、;前記1つ以上のパワートランジスタに電気的に結合した制御回路によって前記1つ以上のパワートランジスタの動作を調整するステップであって、前記調整は前記表面温度の直接測定に基づく、ステップと、を含む、方法。
【0048】
前記伝導性オーバーレイが前記複数のトランジスタのそれぞれの前記それぞれのダイ表面からある距離だけ離隔され、少なくとも1つの焼結層が、前記伝導性オーバーレイを前記1つ以上のパワートランジスタのそれぞれに電気的に結合するために前記距離を橋架けする、任意の前項に記載のパワーモジュール。
【0049】
1つ以上のパワートランジスタの第1の表面上に伝導性オーバーレイを形成するステップと;前記伝導性オーバーレイの上面に温度センサを結合させるステップと、を含む、パワーモジュールの製造方法。
【0050】
前記1つ以上のパワートランジスタのうちの2つの異なるものの間の位置で、前記伝導性オーバーレイに電流センサを物理的および電気的に結合させるステップをさらに含む、任意の前項に記載の方法。
【0051】
粘着性層を介して非伝導性層を前記1つ以上のパワートランジスタの前記第1の表面に結合させるステップと;前記非伝導性層および前記粘着性層を通って前記1つ以上のパワートランジスタの前記第1の表面まで延在するビアを有する前記非伝導性層の上部に前記伝導性オーバーレイを形成するステップと、をさらに含む、任意の前項に記載の方法。
【0052】
前記温度センサを制御回路に電気的に結合させるステップをさらに含む、任意の前項に記載の方法。
【0053】
前記伝導性オーバーレイが前記1つ以上のパワートランジスタのそれぞれの前記それぞれのダイ表面からある距離だけ離隔され、少なくとも1つの焼結層が前記距離を橋架けし、前記伝導性オーバーレイを前記1つ以上のパワートランジスタのそれぞれに電気的に結合する、任意の前項に記載のパワーモジュール。
【0054】
本発明のさらなる態様は、以下の項の主題によって提供される。
【0055】
[項1]それぞれがそれぞれのダイ表面を有する1つ以上のパワートランジスタ;前記1つ以上のパワートランジスタのそれぞれに電気的に結合した、それらの前記それぞれのダイ表面上部の伝導性オーバーレイ;および前記1つ以上のパワートランジスタに直接温度測定を提供するために前記伝導性オーバーレイの上面に結合した温度センサを含む、パワーモジュール。
【0056】
[項2]前記1つ以上のパワートランジスタのうちの2つの間の電流フローを測定するために前記伝導性オーバーレイに物理的および電気的に結合した電流センサをさらに含む、任意の前項に記載のパワーモジュール。
【0057】
[項3]前記電流センサが電流計測シャントを含む、任意の前項に記載のパワーモジュール。
【0058】
[項4]前記1つ以上のパワートランジスタ、前記温度センサおよび前記電流センサに電気的に結合した制御回路をさらに含み、前記制御回路は前記温度センサからの前記直接温度測定および前記電流フローの測定に基づいて前記1つ以上のパワートランジスタの動作を調整するように構成されている、任意の前項に記載のパワーモジュール。
【0059】
[項5]前記1つ以上のパワートランジスタの動作の調整が、前記直接温度測定および前記電流フローの測定のうちの少なくとも1つが閾値を超えた際に、前記1つ以上のパワートランジスタの動作を停止させることを含む、任意の前項に記載のパワーモジュール。
【0060】
[項6]前記1つ以上のパワートランジスタの動作の調整が、前記直接温度測定および前記電流フローの測定のうちの少なくとも1つが閾値を超えた際に、前記1つ以上のパワートランジスタの動作を制限することを含む、任意の前項に記載のパワーモジュール。
【0061】
[項7]前記1つ以上のパワートランジスタが炭化ケイ素(SiC)MOSFETを含む、任意の前項に記載のパワーモジュール。
【0062】
[項8]前記伝導性オーバーレイが前記1つ以上のパワートランジスタのそれぞれの前記それぞれのダイ表面からある距離だけ離隔され、前記伝導性オーバーレイが、前記伝導性オーバーレイを前記1つ以上のパワートランジスタのそれぞれに電気的に結合するために前記距離を橋架けする伝導性ビアを含む、任意の前項に記載のパワーモジュール。
【0063】
[項9]前記温度センサが非伝導性ハウジングを有する測温抵抗体を含む、任意の前項に記載のパワーモジュール。
【0064】
[項10]前記温度センサが熱伝導性エポキシによって前記伝導性オーバーレイに接着されている、任意の前項に記載のパワーモジュール。
【0065】
[項11]前記1つ以上のパワートランジスタおよび前記温度センサに電気的に結合した制御回路をさらに含み、前記制御回路は、前記温度センサからの前記直接温度測定に基づいて前記1つ以上のパワートランジスタの動作を調整するよう構成されている、任意の前項に記載のパワーモジュール。
【0066】
[項12]前記1つ以上のパワートランジスタの動作の調整が、前記直接温度測定が閾値を超えた際に前記1つ以上のパワートランジスタの動作を停止させることを含む、任意の前項に記載のパワーモジュール。
【0067】
[項13]前記1つ以上のパワートランジスタの動作の調整が、前記直接温度測定が閾値を超えた際に前記1つ以上のパワートランジスタの動作を制限することを含む、任意の前項に記載のパワーモジュール。
【0068】
[項14]前記伝導性オーバーレイが前記1つ以上のパワートランジスタのそれぞれの前記それぞれのダイ表面からある距離だけ離隔され、
少なくとも1つの焼結層が前記距離を橋架けし、前記伝導性オーバーレイを前記1つ以上のパワートランジスタのそれぞれに電気的に結合する、任意の前項に記載のパワーモジュール。
【0069】
[項15]伝導性オーバーレイの上面に結合した温度センサによって前記伝導性オーバーレイの表面温度を直接測定するステップであって、前記伝導性オーバーレイは1つ以上のパワートランジスタに、それらのそれぞれのダイ表面の上部で電気的に結合されている、ステップと、;前記1つ以上のパワートランジスタに電気的に結合した制御回路によって前記1つ以上のパワートランジスタの動作を調整するステップであって、前記調整は前記表面温度の前記直接測定に基づくステップと、を含む、方法。
【0070】
[項16]1つ以上のパワートランジスタの第1の表面上に伝導性オーバーレイを形成するステップと;前記伝導性オーバーレイの上面に温度センサを結合させるステップと、を含む、パワーモジュールの製造方法。
【0071】
[項17]前記1つ以上のパワートランジスタのうちの2つの異なるものの間の位置で、前記伝導性オーバーレイに電流センサを物理的および電気的に結合させるステップをさらに含む、任意の前項に記載の方法。
【0072】
[項18]粘着性層を介して非伝導性層を前記1つ以上のパワートランジスタの前記第1の表面に結合させるステップと;前記非伝導性層および前記粘着性層を通って前記1つ以上のパワートランジスタの前記第1の表面まで延在するビアを有する前記非伝導性層の上部に前記伝導性オーバーレイを形成するステップと、をさらに含む、任意の前項に記載の方法。
【0073】
[項19]前記温度センサを制御回路に電気的に結合させるステップをさらに含む、任意の前項に記載の方法。
【符号の説明】
【0074】
100 パワーモジュール
102 伝導性オーバーレイ
104 温度センサ
106 熱伝導性エポキシ
108 パワートランジスタ
108 トランジスタ
110 ビア
112 粘着性層
114 非伝導性層
116 電流センサ
118 制御回路
200 方法
202 ステップ
204 ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】