(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052643
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】ロック保持器
(51)【国際特許分類】
E05B 85/04 20140101AFI20240404BHJP
B60J 5/00 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
E05B85/04
B60J5/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023170523
(22)【出願日】2023-09-29
(31)【優先権主張番号】10 2022 125 412.7
(32)【優先日】2022-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】523029238
【氏名又は名称】ミネベア・アクセスソリューションズ・フランス・エス・アー・エス
【氏名又は名称原語表記】MINEBEA ACCESSSOLUTIONS FRANCE S.A.S.
【住所又は居所原語表記】5 RUE CHARLES DE GAULLE, 94140 ALFORTVILLE, FRANCE
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】フランソワ・ドゥブルーク
(72)【発明者】
【氏名】ローラン・デュリエ
(72)【発明者】
【氏名】ロビン・ドゥヴォシェル
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250HH01
2E250PP10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】従来のロック保持器の欠点は、ロック保持器が一体型の構造であるため、異なるロック保持器には、それらの様々なロック保持器を製造するために、異なる用具が必要になる課題を解決できるロック保持器を提供すること。
【解決手段】自動車両ロックのためのロック保持器であって、ロック保持器は、支持板3とシャックル2とからなっており、シャックル2は、2つの脚部7と接続ウェブ8とによってU字の形状を有しており、シャックル2は、様々な断面を有しており、脚部7の少なくとも一部は、円形断面11を有しており、回転ラッチ12の一部が円形断面11に係合できるようになっており、シャックル2の開放端に止め具10が設けられており、止め具10は、シャックル2の2つの脚部7を互いに接続している。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車両ロックのためのロック保持器(1)であって、
ロック保持器(1)は、支持板(3)とシャックル(2)とからなっており、前記シャックル(2)は、2つの脚部(7)と接続ウェブ(8)とによってU字の形状を有しており、
前記シャックル(2)は、様々な断面を有しており、一方の前記脚部(7)の少なくとも一部は、円形断面(11)を有しており、回転ラッチ(12)の一部が前記円形断面(11)に係合できるようになっており、
前記シャックル(2)の開放端(9)に止め具(10)が設けられており、前記止め具(10)は、前記シャックル(2)の2つの前記脚部(7)を互いに接続していることを特徴とする、ロック保持器(1)。
【請求項2】
前記止め具(10)が2つの前記脚部(7)を越えて突出していることを特徴とする、請求項1に記載のロック保持器(1)。
【請求項3】
前記止め具(10)の下方に、少なくとも1つの取り付け部(6)が設けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載のロック保持器(1)。
【請求項4】
前記取り付け部(6)が、円形、長円形、または多角形の断面を有していることを特徴とする、請求項3に記載のロック保持器(1)。
【請求項5】
前記取り付け部(6)が様々な断面を有していることを特徴とする、請求項3または4に記載のロック保持器(1)。
【請求項6】
前記取り付け部(6)は、その真正面において、断面積が、それに隣接する各領域よりも大きいことを特徴とする、請求項3から5のいずれか1項に記載のロック保持器(1)。
【請求項7】
前記止め具(10)は、断面積が、前記接続ウェブ(8)よりも大きいことを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載のロック保持器(1)。
【請求項8】
前記止め具(10)が切り抜き(15)を含んでいることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載のロック保持器(1)。
【請求項9】
2つの前記脚部(7)の間、および/または、前記止め具(10)と少なくとも一方の前記脚部(7)との間に、少なくとも1つの剛化のための支材(16)が設けられていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載のロック保持器(1)。
【請求項10】
前記シャックル(2)と前記止め具(10)とが一体的に形成されていることを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載のロック保持器(1)。
【請求項11】
前記支持板(3)が、2つの取り付け穴(4)と、前記取り付け部(6)を受けるための少なくとも1つの接続穴(5)と、を有していることを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載のロック保持器(1)。
【請求項12】
前記接続穴(5)が前記取り付け部(6)と同一の形状を有していることを特徴とする、請求項11に記載のロック保持器(1)。
【請求項13】
自動車両ロックのためのロック保持器(1)を製造する方法であって、
前記ロック保持器(1)は、支持板(3)とシャックル(2)とからなっており、前記シャックル(2)は、2つの脚部(7)と接続ウェブ(8)とによってU字の形状を有しており、
前記シャックル(2)は、様々な断面を有しており、一方の前記脚部(7)の少なくとも一部は、円形断面(11)を有しており、回転ラッチ(12)の一部が前記円形断面(11)に係合できるようになっており、
前記シャックル(2)を金属板から切り出し、続いて、押圧して前記円形断面(11)を形成することを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車両ロックのためのロック保持器であって、ロック保持器は、支持板とシャックルとからなっており、シャックルは、2つの脚部と接続ウェブとによってU字の形状を有しており、シャックルは、様々な断面を有しており、脚部の少なくとも一部は、円形断面を有しており、回転ラッチの一部が円形断面の部分に係合できるようになっているロック保持器に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術では、例えば、EP 2 031 158 A1が、様々な断面厚さを有する固体部品としての、自動車両ロックシステムのための一体型のロック保持器を開示している。本ロック保持器は、ウェブが、平坦化された側部を有するほぼ矩形の断面形状を有しており、断面積が基部に向かうにつれて大きくなっている。
【0003】
このロック保持器の欠点は、その一体型の構造である。この理由で、異なるロック保持器には、それらの様々なロック保持器を製造するために、異なる用具が必要である。特に、冷間成形の場合、異なるロック保持器のためには適切な金型を用いた押圧が必要となり、その結果、製造が非常に複雑かつ費用のかかるものになる。
【0004】
したがって、本発明は、前記公知の欠点を取り除き、それにより、公知のロック保持器を改良することを課題とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2031158A1号明細書
【発明の概要】
【0006】
初めに言及した種類のロック保持器では、この課題は、以下のように達成される。すなわち、シャックルの開放端に止め具が設けられており、止め具は、シャックルの2つの脚部を互いに接続している。これにより、シャックルは非常に高い剛性を有し、シャックルすなわちロック保持器は、例えば、側面からの衝撃があった場合等の、非常に高い負荷を受けても変形することなく、車両のドアを閉じた状態に確実に保持できる。
【0007】
更なる構成では、止め具が2つの脚部を越えて突出している。これにより、シャックルのための止め具の面がより大きくなり、支持板は変形できない。
【0008】
更なる構成では、止め具の下方に少なくとも1つの取り付け部が設けられている。取り付け部は、円形、長円形、または多角形の断面を有していてもよい。好ましくは、取り付け部は、様々な断面を有しており、特に、取り付け部は、断面積が、真正面において、それに隣接する各領域よりも大きい。これにより、取り付け部が支持板から外れることを確実に防止できる。
【0009】
更なる構成では、止め具は、断面積が、接続ウェブよりも大きい。これにより、ロック保持器は、部品を故障させることなく、最も高い機械的な負荷に耐えることができる。そのうえ、これにより、ロック保持器の形状を自由に設計できる。好ましくは、ロック保持器またはシャックルは、角のある形状、好ましくは、矩形または台形である。軽量化のために、止め具は、切り抜きを含んでいてもよい。これらの切り抜きは、円形または多角形の切り抜きであってもよい。そのうえ、切り抜きは、厚みの薄い部分であってもよく、厚みの薄い部分の領域では、断面積が、周囲の領域よりも小さい。
【0010】
更なる構成では、2つの脚部の間、および/または、止め具と少なくとも一方の脚部との間に、少なくとも1つの剛化のための支材が設けられている。これにより、止め具の断面積を小さくでき、重量をさらに最適化するとともに、負荷に合わせたより良い形状を選択できる。
【0011】
更なる構成では、シャックルと止め具とは一体的に形成されている。加えて、少なくとも1つの剛化のための支材は、シャックルおよび止め具と一体的に設計されていてもよい。結果として、本部品は、2つの部分からなる構成よりも故障しづらく、強度がより高い。
【0012】
更なる構成では、支持板は、2つの取り付け穴と、取り付け部を受けるための少なくとも1つの接続穴と、を有している。2つの取り付け穴は、例えば、BピラーまたはCピラー等の、自動車両の構造的要素に支持板を取り付けるためのものである。接続穴は、好ましくは、取り付け部と同一の形状を有している。特に、取り付け部と少なくとも1つの接続穴とが長円形または多角形である場合、ロック保持器を組み立てる際に配向の助けとすることができ、その結果、シャックルと支持板との配向が設置中、常に正しくなる。
【0013】
自動車両ロックのためのロック保持器を製造する方法をさらに提供する。本方法では、ロック保持器は、支持板とシャックルとからなっており、シャックルは、2つの脚部と接続ウェブとによってU字の形状を有しており、シャックルは、様々な断面を有しており、一方の脚部の少なくとも一部は、円形断面を有しており、回転ラッチの一部が円形断面の部分に係合できるようになっており、シャックルを金属板から切り出し、引き続いて、押圧して円形断面を形成する。金属板の厚さは、好ましくは、部品厚さ、特にシャックルおよび/または止め具の厚さに対応する。
【0014】
好ましくは、シャックルと止め具とを、例えば、ガス切断、プラズマ切断、薄切断(Duennschneiden)、またはレーザー切断等の切断方法を用いて、金属板から切り出し、引き続いて、円形断面を、例えば、押圧プロセス等の冷間成形プロセスによって形成する。切断プロセスを用いることで、形状設計の自由度が確実に高まり、多数の異なるロック保持器を、各ロック保持器のための特別な金型を準備することなく、1つの用具で製造できる。そのうえ、ロック保持器が2つの要素からなっていることにより、モジュラー構造が可能となり、例えば、支持板は常に同一の形状および/または同一の構造を有し、シャックルのみを異なる車両に適応させればよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の更なる特徴および利点は、下の記載および以下で参照する添付の図面から明らかになる。
【
図2】シャックルと止め具と取り付け部との斜視図である。
【
図3】シャックルと止め具と取り付け部と支持板との更なる斜視図である。
【
図4】衝撃保護部を有するロック保持器の更なる斜視図である。
【
図5】ロック保持器の製造の模式的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、自動車両のための、本発明に係るロック保持器1の斜視図を示す。ロック保持器1は、シャックル2と支持板3とからなっている。支持板は、2つの取り付け穴4と、2つの接続穴5とを有している。2つの取り付け穴4は、支持板3を、例えばBピラーやCピラー等の自動車両の構造的要素に取り付けるためのものである。接続穴5は、好ましくは、シャックル2の取り付け部6と同一の形状を有している。特に、取り付け部6と接続穴5とが長円形または多角形である場合、ロック保持器1の組立てに際して、配向の助けとすることができ、その結果、シャックル2と支持板3との配向が設置中、常に正しくなる。
【0017】
支持板3は、好ましくは高まり部13を含む。高まり部13は、一方では、支持板3を追加的に補強し、他方では、シャックル2を受ける領域を形成する。好ましくは、高まり部13は、平坦な支持板3から、例えば押圧プロセスまたは深絞りプロセスによって形成する。これにより、支持板3をシャックル2に接続する様々な固定選択肢のための空間が得られ、支持板3を構造的要素に対して面一で静置させることができる。
【0018】
図2は、シャックル2を示す。シャックル2は、2つの脚部7と接続ウェブ8とからなっている。2つの脚部7と接続ウェブ8とは、これらからなるU字の形状をなしている。シャックル2の開放端9、またはシャックル2の2つの脚部7を互いに接続する接続ウェブ8とは反対側の脚部7の端部には、止め具10が、設けられている。止め具10は、2つの脚部7を越えて突出することで、止め具10の両側で脚部7を越えて突出する少なくとも1つの翼部18、特に、2つの翼部18を形成する。その結果、止め具10は、2つの脚部7と接続ウェブ8とを有するシャックル2よりも長手方向Lに長い。好ましくは、取り付け部6は、止め具10の真正面から離れており、その結果、負荷が非常に大きい場合でも支持板3もシャックル2も曲がったり傾いたりしないようになっている。したがって、翼部18は、回転トルク支持体14と呼ぶこともできる。
【0019】
そのうえ、シャックル2は、様々な断面を有し、一方の脚部7の少なくとも一部は、円形断面11を有しており、回転ラッチ12の一部が円形断面11に係合できるようになっている。好ましくは、脚部7と接続ウェブ8との残りの部分は、多角形の断面を有している。特に、一方の脚部7は、他方の脚部7より長くてもよく、または、2つの脚部7は、互いに平行に延在しない。
【0020】
止め具10の下方には、2つの取り付け部6が設けられている。取り付け部6は、突出して支持板3の接続穴5を通り、続いて形状が変わり、特にリベット締めされて、ぴったりと接続する。止め具10は、ここでは軸方向の止め具10として機能し、ぴったりと合った接続が確立される際に、シャックル2を所定の位置に保持する。代わりに、材料結合、または摩擦結合を、支持板3とシャックル2との間に生じさせてもよい。
図2に示すように、取り付け部6は、四角形の断面を有している。シャックル2を支持板3に接続、特にぴったりと接続した後、取り付け部6は、断面積が、真正面において、それに隣接する各領域よりも大きい。特に、取り付け部6は、様々な断面を有している。
【0021】
好ましくは、止め具10は、断面積が、接続ウェブ8よりも大きい。
図2に示すように、止め具10は、脚部7の真下に設けられており、2つの脚部7を互いに接続している。
【0022】
図3に示すように、止め具10は、切り抜き15を含んでいてもよい。これによって、軽量化し、シャックル2を見込まれる負荷に関して最適化できる。切り抜き15によって、脚部7と止め具10との間に剛化のための支材16が形成される。
【0023】
図4は、ロック保持器1の更なる斜視図を示す。
図1から
図3と比較して、本図のロック保持器は、追加的な衝撃保護部17を含んでいる。衝撃保護部17は、例えば、側面からの衝突があった場合、シャックル2が、構造的要素に対して、特にBピラーまたはCピラーに対して、支持されるように機能する。衝撃保護部は、シャックル2の上側の半分、特に上側の3分の1に設けられるのが好ましい。シャックル2の上側の半分または上側の3分の1は、接続ウェブ8に接続しており、シャックル2の下側の半分または下側の3分の1よりも支持板3からさらに離れている。そのうえ、衝撃保護部17は、円形断面11の反対側の脚部7に設けられ、この脚部7を越えて構造的要素の方に突出していると有利である。
【0024】
各図に示すように、シャックル2と止め具10と取り付け部6とは、好ましくは一体的に形成する。加えて、剛化のための支材16と衝撃保護部17とは、シャックル2および/または止め具10と一体的に設計してもよい。
【0025】
本ロック保持器を製造するためには、第1工程S100で、シャックル2ならびに、特に止め具10および取り付け部6を、シャックル2または止め具10の部品厚さに対応する金属板から切り出す。続いて、工程S200で、押圧して円形断面を形成する。工程S200に続く工程S300で、シャックル2の取り付け部6を支持板3の接続穴5に挿入する。工程S400で、取り付け部6の形状を変化させて、取り付け部6すなわちシャックル2と支持板3とをぴったりと接続する。
【0026】
支持板3は、別の製造プロセスで製造してもよく、前記金属板から切り出してもよい。
【符号の説明】
【0027】
1 ロック保持器
2 シャックル
3 板
4 取り付け穴
5 接続穴
6 取り付け部
7 脚部
8 接続ウェブ
9 開放端
10 止め具
11 円形断面
12 回転ラッチ
13 高まり部
14 外側領域の止め具
15 切り抜き
16 剛化のための支材
17 衝撃保護部
【外国語明細書】