IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイキン工業株式会社の特許一覧

特開2024-52647表示装置、端末、空気調和機及び暖房機
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052647
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】表示装置、端末、空気調和機及び暖房機
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/52 20180101AFI20240404BHJP
   F24H 15/414 20220101ALI20240404BHJP
   F24H 15/20 20220101ALI20240404BHJP
   F24H 15/395 20220101ALI20240404BHJP
   F24H 15/254 20220101ALI20240404BHJP
   G09F 13/00 20060101ALI20240404BHJP
   G09F 13/04 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
F24F11/52
F24H15/414
F24H15/20
F24H15/395
F24H15/254
G09F13/00 W
G09F13/04 J
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023170657
(22)【出願日】2023-09-29
(31)【優先権主張番号】P 2022158938
(32)【優先日】2022-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】久木田 知美
(72)【発明者】
【氏名】片田 千晴
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 由美
(72)【発明者】
【氏名】村井 雄一
【テーマコード(参考)】
3L260
5C096
【Fターム(参考)】
3L260BA73
3L260CA17
3L260GA11
5C096AA01
5C096BA04
5C096CA02
5C096CB01
5C096CC06
5C096DC03
5C096DC04
5C096DC05
5C096DC10
5C096DC30
5C096FA03
5C096FA12
5C096FA17
(57)【要約】
【課題】空気質の状態を認知させることが可能な表示装置、端末及び空気調和機を提供すること。
【解決手段】表示面に表示する単色の標章の明るさを空気質の変化に応じて変更する制御部を備え、前記空気質が第1状態よりも悪い状態を第2状態とするとき、前記制御部は、前記第1状態での前記標章を、前記第2状態での前記標章に比べて明るくする、表示装置。当該表示装置を備え、前記空気質を調整する空気調和機と直接又は間接的に通信可能な端末。当該表示装置を備え、前記空気質を調整する空気調和機。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示面に表示する単色の標章の明るさを空気質の変化に応じて変更する制御部を備え、
前記空気質が第1状態よりも悪い状態を第2状態とするとき、
前記制御部は、前記第1状態での前記標章を、前記第2状態での前記標章に比べて明るくする、表示装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記標章の明るさを、前記第1状態を表す第1の明るさから前記第2状態を表す第2の明るさに漸減し、前記第2状態を表す第2の明るさから前記第1状態を表す第1の明るさに漸増する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2状態において、前記標章の明るさを一定にする、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記単色は、青色である、請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1状態において、前記標章の明るさの増減を繰り返す、請求項1から4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記制御部は、光源を含み、
前記制御部は、前記空気質の変化に応じて前記光源の輝度を変化させることで、前記標章の明るさを変更する、請求項1から4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記光源は、一つの発光素子である、請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記光源は、前記標章の下部に配置される、請求項6に記載の表示装置。
【請求項9】
前記標章は、重心のずれた二つの環を含み、
前記制御部は、前記二つの環の隙間の明るさを前記空気質の変化に応じて変更する、請求項1から4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記空気質は、空気の汚れ具合を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項11】
前記空気の汚れ具合は、微粒子、臭気成分、粉塵又は二酸化炭素の濃度を含む、請求項10に記載の表示装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記空気質の変化に応じて、前記標章の明るさを部分的に変更する、請求項1から4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記空気質の変化に応じて、前記標章の中の最も明るい部分の位置を変更する、請求項12に記載の表示装置。
【請求項14】
前記空気質は、温度又は湿度を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記温度又は湿度の到達度に応じて、前記標章の明るさを変更する、請求項14に記載の表示装置。
【請求項16】
前記制御部は、前記空気質を調整する空気調和機の状態に応じて、前記標章の明るさを変更する、請求項1から4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項17】
請求項1から4のいずれか一項に記載の表示装置を備え、
前記空気質を調整する空気調和機と直接又は間接的に通信可能な端末。
【請求項18】
請求項1から4のいずれか一項に記載の表示装置を備え、前記空気質を調整する空気調和機。
【請求項19】
請求項1から3のいずれか一項に記載の表示装置を備え、
前記制御部は、暖房温度の変化に応じて、青色のみの色相で前記標章の明るさを変更する、暖房機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置、端末、空気調和機及び暖房機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、居室の清浄度を表現する青色を発光する第1の発光体と、居室の汚れ具合を表現するオレンジ色を発光する第2の発光体とを備える空気調和機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-74951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の空気調和機は、空気質の状態に応じてライトを異なる色に変化させる。例えば、空気質が良好であれば、ライトは緑に点灯し、空気質が汚れていれば、ライトは赤に点灯する。しかしながら、人の色覚特性によっては色の識別が難しく、空気質の状態を認知することが容易でない場合がある。
【0005】
本開示は、空気質の状態を認知させることが可能な表示装置、端末、空気調和機及び暖房機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1態様は、
表示面に表示する単色の標章の明るさを空気質の変化に応じて変更する制御部を備え、
前記空気質が第1状態よりも悪い状態を第2状態とするとき、
前記制御部は、前記第1状態での前記標章を、前記第2状態での前記標章に比べて明るくする、表示装置である。
【0007】
第1態様によれば、前記空気質の変化は、表示面に表示する単色の標章の明るさの変化によって表現されるので、色覚特性にほとんど影響されずに、前記空気質の状態を認知させることが可能な表示装置を提供できる。そして、第1態様によれば、前記標章が明るいとき、前記標章が暗いときに比べて前記空気質が良い状態であることを、または、前記標章が暗いとき、前記標章が明るいときに比べて前記空気質が悪い状態であることを、ユーザに認知させることができる。
【0008】
第2態様は、第1態様の表示装置であって、
前記制御部は、前記標章の明るさを、前記第1状態を表す第1の明るさから前記第2状態を表す第2の明るさに漸減し、前記第2状態を表す第2の明るさから前記第1状態を表す第1の明るさに漸増する。
【0009】
第2態様によれば、前記第1状態から前記第2状態への前記空気質の変化、又は、前記第2状態から前記第1状態への前記空気質の変化を、ユーザに認知させることができる。
【0010】
第3態様は、第1又は第2態様の表示装置であって、
前記制御部は、前記第2状態において、前記標章の明るさを一定にする。
【0011】
第3態様によれば、前記第2状態において、前記標章の明るさが一定になることで、前記空気質が悪い状態が継続していることを、ユーザに認知させることができる。
【0012】
第4態様は、第1から第3のいずれか一の態様の表示装置であって、
前記単色は、青色である。
【0013】
第4態様によれば、前記空気質の変化は、青色一色の標章の明るさの変化によって表現されるので、色覚特性にほとんど影響されずに、前記空気質の状態を認知させることができる。
【0014】
第5態様は、第1から第4態様のいずれか一つの態様の表示装置であって、
前記制御部は、前記第1状態において、前記標章の明るさの増減を繰り返す。
【0015】
第5態様によれば、前記標章の明るさの増減の繰り返しによって、前記空気質が良い状態が継続していることを、ユーザに認知させることができる。
【0016】
第6態様は、第1から第5態様のいずれか一つの態様の表示装置であって、
前記制御部は、光源を含み、
前記制御部は、前記空気質の変化に応じて前記光源の輝度を変化させることで、前記標章の明るさを変更する。
【0017】
第6態様によれば、前記空気質の変化を光源の輝度の変化により表現できる。
【0018】
第7態様は、第6態様の表示装置であって、
前記光源は、一つの発光素子である。
【0019】
第7態様によれば、前記空気質の変化を一つの発光素子の輝度の変化により表現できる。
【0020】
第8態様は、第6又は第7態様の表示装置であって、
前記光源は、前記標章の下部に配置される。
【0021】
第8態様によれば、前記光源が前記標章の下部に配置されることで、前記標章の全体の明るさが一様にならないので、前記光源の輝度変化により前記標章の明るさに生ずる違いを強調することができる。
【0022】
第9態様は、第1から第8態様のいずれか一つの態様の表示装置であって、
前記標章は、重心のずれた二つの環を含み、
前記制御部は、前記二つの環の隙間の明るさを前記空気質の変化に応じて変更する。
【0023】
第9態様によれば、重心のずれた二つの環の隙間の明るさの変化によって前記空気質の変化が表現されるので、色覚特性にほとんど影響されずに、前記空気質の状態を認知させることができる。
【0024】
第10態様は、第1から第9態様のいずれか一つの態様の表示装置であって、
前記空気質は、空気の汚れ具合を含む。
【0025】
第10態様によれば、空気の汚れ具合の変化は、表示面に表示する単色の標章の明るさの変化によって表現されるので、色覚特性にほとんど影響されずに、空気の汚れ具合を認知させることができる。
【0026】
第11態様は、第10態様の表示装置であって、
前記空気の汚れ具合は、微粒子、臭気成分、粉塵又は二酸化炭素の濃度を含む。
【0027】
第11態様によれば、微粒子、臭気成分、粉塵又は二酸化炭素の濃度の変化は、表示面に表示する単色の標章の明るさの変化によって表現されるので、色覚特性にほとんど影響されずに、微粒子、臭気成分、粉塵又は二酸化炭素の濃度の変化を認知させることができる。
【0028】
第12態様は、第1から第11態様のいずれか一つの態様の表示装置であって、
前記制御部は、前記空気質の変化に応じて、前記標章の明るさを部分的に変更する。
【0029】
第12態様によれば、前記空気質の変化は、表示面に表示する単色の標章の明るさの部分的な変化によって表現されるので、色覚特性にほとんど影響されずに、前記空気質の状態を認知させることができる。
【0030】
第13態様は、第12態様の表示装置であって、
前記制御部は、前記空気質の変化に応じて、前記標章の中の最も明るい部分の位置を変更する。
【0031】
第13態様によれば、前記空気質の変化は、表示面に表示する単色の標章の中の最も明るい部分の位置の変化によって表現されるので、色覚特性にほとんど影響されずに、前記空気質の状態を認知させることができる。
【0032】
第14態様は、第1から第13のいずれか一つの態様の表示装置であって、
前記空気質は、温度又は湿度を含む。
【0033】
第14態様によれば、温度又は湿度の変化は、表示面に表示する単色の標章の明るさの変化によって表現されるので、色覚特性にほとんど影響されずに、温度又は湿度の状態を認知させることができる。
【0034】
第15態様は、第14態様の表示装置であって、
前記制御部は、前記温度又は湿度の到達度に応じて、前記標章の明るさを変更する。
【0035】
第15態様によれば、前記温度又は湿度の到達度の変化は、表示面に表示する単色の標章の明るさの変化によって表現されるので、色覚特性にほとんど影響されずに、前記温度又は湿度の到達度の状態を認知させることができる。
【0036】
第16態様は、第1から第15のいずれか一つの態様の表示装置であって、
前記制御部は、前記空気質を調整する空気調和機の状態に応じて、前記標章の明るさを変更する。
【0037】
第16態様によれば、前記空気質の変化だけでなく、前記空気質を調整する空気調和機の状態も、表示面に表示する単色の標章の明るさで表現されるので、色覚特性にほとんど影響されずに、前記空気質及び前記空気調和機の状態を認知させることができる。
【0038】
第17態様は、第1から第16のいずれか一つの態様の表示装置を備え、前記空気質を調整する空気調和機と直接又は間接的に通信可能な端末である。
【0039】
第17態様によれば、前記空気質を調整する空気調和機と直接又は間接的に通信可能で、かつ、色覚特性にほとんど影響されずに、前記空気質の状態を認知させることが可能な端末を提供できる。
【0040】
第18態様は、第1から第16のいずれか一つの態様の表示装置を備え、前記空気質を調整する空気調和機である。
【0041】
第18態様によれば、色覚特性にほとんど影響されずに、前記空気質の状態を認知させることが可能な空気調和機を提供できる。
【0042】
第19態様は、第1から第16のいずれか一つの態様の表示装置を備え、前記制御部は、暖房温度の変化に応じて、青色のみの色相で前記標章の明るさを変更する、暖房機である。
【0043】
第19態様によれば、暖房温度の変化は、暖色ではなく寒色の一つである青色のみの色相での標章の明るさの変化によって表現される。これにより、暖房温度の変化を暖色ではなく青色のみの色相でユーザに認知させることができ、色覚特性にほとんど影響されずに、暖房温度の状態を認知させることが可能な暖房機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】空気調和機及び端末の一構成例を示す図である。
図2】制御部を備える表示装置の一構成例を示す図である。
図3】標章の明るさの第1制御例を示す図である。
図4】標章の明るさの第2制御例を示す図である。
図5】標章の明るさの第3制御例を示す図である。
図6】標章の明るさの第4制御例を示す図である。
図7】標章の明るさの第5制御例を示す図である。
図8】標章の明るさの第6制御例を示す図である。
図9】標章の一例を示す図である。
図10】標章の明るさのグラデーションの一例を示す図である。
図11A】ユーザ認知テスト(正誤評価1)の結果を示す表である。
図11B】ユーザ認知テスト(正誤評価1)の結果を示す表である。
図11C】ユーザ認知テスト(正誤評価1)の結果を示す表である。
図11D】ユーザ認知テスト(正誤評価1)の結果を示す表である。
図11E】ユーザ認知テスト(正誤評価1)の結果を示す表である。
図11F】ユーザ認知テスト(正誤評価1)の結果を示す表である。
図12】ユーザ認知テスト(正誤評価1)の結果を示す表である。
図13】ユーザ認知テスト(正誤評価2)の結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、実施形態を説明する。
【0046】
図1は、空気調和機及び端末の一構成例を示す図である。図1に示す空気調和機1は、室内の壁面等に設置され、操作装置(例えば、リモコン、操作パネルなど)から入力される各種指令に応じて、冷房、暖房、除湿、加湿、換気又は空気清浄などの運転を行う室内機である。空気調和機1は、当該運転を行うことで、空間の空気質(この例では、空気調和機1が配置された室内空間の空気質)を調整する。空気調和機1は、温度調整機能を有するエアコンに限られず、空気清浄機、送風機又は乾燥機でもよい。空気調和機1は、暖房機でもよい。暖房機は、暖房専用機でも、暖房機能を有する空気調和機でもよい。
【0047】
空気調和機1は、ファン4を収容する筐体2と、筐体2の前面に取り付けられるフロントパネル8と、を備える。筐体2の上部には吸込口2aが設けられ、筐体2の下部には吹出口2bが設けられている。例えば、冷房運転等では、ファン4が駆動することによって吸込口2aから吸い込まれた室内空気は、筐体2内の熱交換器を通過することによって熱交換されて、吹出口2bを介して室内に吹き出される。吹出口2bは、筐体2に設けられたフラップ5により開閉する。
【0048】
空気調和機1は、表示装置10を備える。表示装置10は、表示面13に表示する単色の標章11の明るさで空間の空気質を表現する制御部12を備える。制御部12は、空間の空気質の変化に応じて、単色の標章11の明るさを変更する。制御部12が空間の空気質の変化に応じて単色の標章11の明るさを変更することで、当該空間の空気質の変化は、単色の標章11の明るさの変化によって表現される。これにより、色覚特性にほとんど影響されずに、当該空間の空気質の状態を認知させることができる。また、当該空間の空気質の変化は、単色の標章11の明るさの変化によって表現されるので、当該空間の空気質を表現する際の美観を確保できる。
【0049】
次に、図11Aから図11F図12及び図13を参照して、空間の空気質の変化に応じて単色の標章11の明るさを変更することについて詳細に説明する。
【0050】
図11Aから図11Fは、ユーザ認知テスト(正誤評価1)の結果を示す表である。正誤評価1は、単色の標章11のモーション(明るさのパターン)を被験者に提示し、その提示したモーションが示す意味として当てはまるものを複数の選択肢の中から回答するテストである。図11Aから図11Fに示す各表において、「モーション」とは、標章11の明るさの変化のさせ方が互いに相違する複数のモーションの通し番号を表す。「明るさ」とは、そのモーションの最終時点での標章11の明るさの度合いを表す。「明」とは、そのモーションの最終時点での標章11が明るいことを表す。「暗」とは、そのモーションの最終時点での標章11が暗いことを表す。「中」とは、そのモーションの最終時点での標章11の明るさが「明」と「暗」との間の中程度であることを表す。
【0051】
図11Aから図11Fは、10人の被験者U1からU10に対して、各表の左列に記載のモーションを上から順に提示した後に、その提示したモーションが示す意味として当てはまるものを複数の選択肢の中から回答した結果を示す。複数の選択肢は、「初期設定操作」「電源のオン操作」「空気質が良い状態」「空気質が良い状態から悪い状態への遷移」「空気質が悪い状態」「空気質が悪い状態から良い状態への遷移」「運転操作に対するフィードバック反応」「電源のオフ操作」「エラー中」という9つの意味とする。図11Aから図11Fに示す各表の回答欄において、「良い」とは、「空気質が良い状態」と回答されたことを表す。「悪い」とは、「空気質が悪い状態」と回答されたことを表す。「それら以外」とは、「空気質が良い状態」及び「空気質が悪い状態」以外の意味と回答されたことを表す。
【0052】
図11Aから図11Fによれば、被験者U1からU10の全員が、相対的に明るい標章11は「空気質が良い状態」を意味すると回答し、相対的に暗い標章11は「空気質が悪い状態」を意味すると回答している。この評価結果によれば、「単色の標章が明るいとき、その標章が暗いときに比べて空気質が良い状態と感じ、または、単色の標章が暗いとき、その標章が明るいときに比べて空気質が悪い状態と感じる」という人間の生理的性質が新たに判明された。
【0053】
この生理的性質を利用し、空気質が第1状態よりも悪い状態を第2状態とするとき、制御部12(図1参照)は、第1状態での標章11を、第2状態での標章11に比べて明るくする。これにより、標章11が明るいとき、標章11が暗いときに比べて空気質が良い状態であることを、色覚特性にほとんど影響されずに、ユーザに認知させることができる。または、標章11が暗いとき、標章11が明るいときに比べて空気質が悪い状態であることを、色覚特性にほとんど影響されずに、ユーザに認知させることができる。
【0054】
図12は、ユーザ認知テスト(正誤評価1)の、上記とは異なる分析結果を示す表である。正誤評価1は、単色の標章のモーションを被験者に提示し、その提示したモーションが示す意味として当てはまるものを複数の選択肢の中から回答するテストである。正答率は、総被験者に対して、正答した被験者の割合を表す。複数の選択肢は、「初期設定操作」「電源のオン操作」「空気質が良い状態」「空気質が良い状態から悪い状態への遷移」「空気質が悪い状態」「空気質が悪い状態から良い状態への遷移」「運転操作に対するフィードバック反応」「電源のオフ操作」「エラー中」という9つの意味とする。
【0055】
図12の正誤評価1の結果によると、単色の標章の明るさが図5のように変化するモーションが、空気質が良い状態から悪い状態への遷移を意味すると回答した被験者の割合(正答率)は、90%である。図5は、単色の標章の明るさLを、空気質が良い第1状態を表す第1の明るさL3から空気質が悪い第2状態を表す第2の明るさLaに漸減する(徐々に下げる)ことを表す。一方、図12の正誤評価1の結果によると、単色の標章の明るさが図7のように変化するモーションが、空気質が悪い状態から良い状態への遷移を意味すると回答した被験者の割合(正答率)は、60%である。図7は、単色の標章の明るさLを、空気質が悪い第2状態を表す第2の明るさLaから空気質が良い第1状態を表す第1の明るさL3に漸増する(徐々に上げる)ことを表す。このように、いずれの場合も、正答率が過半数以上となる結果が得られた。図12の正誤評価1の結果によれば、単色の標章が明るいとき、当該標章が暗いときに比べて空気質が良い状態であることを、または、単色の標章が暗いとき、当該標章が明るいときに比べて空気質が悪い状態であることを、ユーザに認知させることができると言える。
【0056】
図13は、ユーザ認知テスト(正誤評価2)の結果を示す表である。正誤評価2は、一つの意味を被験者に提示し、その提示した意味に適したモーションとして当てはまるものを、単色の標章の複数の異なるモーションの中から回答するテストである。正答率は、総被験者に対して、正答した被験者の割合を表す。単色の標章の複数の異なるモーションには、一つの正解のモーションが含まれている。
【0057】
図13の正誤評価2の結果によると、「空気質が良い状態から悪い状態への遷移」という意味に適したモーションは、単色の標章の明るさが図5のように変化するモーションと回答した被験者の割合(正答率)は、50%である。「空気質が悪い状態から良い状態への遷移」という意味に適したモーションは、単色の標章の明るさが図7のように変化するモーションと回答した被験者の割合(正答率)は、70%である。このように、いずれの場合も、正答率が過半数以上となる結果が得られた。図13の正誤評価2の結果によれば、単色の標章が明るいとき、当該標章が暗いときに比べて空気質が良い状態であることを、または、単色の標章が暗いとき、当該標章が明るいときに比べて空気質が悪い状態であることを、ユーザに認知させることができると言える。
【0058】
そして、図12及び図13の評価結果によれば、「単色の標章が明るいとき、その標章が暗いときに比べて空気質が良い状態と感じ、または、単色の標章が暗いとき、その標章が明るいときに比べて空気質が悪い状態と感じる」という人間の生理的性質が新たに判明された。この生理的性質を利用し、制御部12は、標章11の明るさを、第1状態を表す第1の明るさから第2状態を表す第2の明るさに漸減し、第2状態を表す第2の明るさから第1状態を表す第1の明るさに漸増する。これにより、良い状態から悪い状態への空気質の変化、又は、悪い状態から良い状態への空気質の変化を、色覚特性にほとんど影響されずに、ユーザに認知させることができる。
【0059】
図1において、制御部12は、表示面13に表示する標章11の寒色の明るさで空間の空気質を表現してもよい。制御部12は、空間の空気質の変化に応じて、標章11の寒色の明るさを変更する。制御部12が空間の空気質の変化に応じて標章11の寒色の明るさを変更することで、当該空間の空気質の変化は、標章11の寒色の明るさの変化によって表現される。これにより、色覚特性にほとんど影響されずに、当該空間の空気質の状態を認知させることができる。また、当該空間の空気質の変化は、標章11の寒色の明るさの変化によって表現されるので、当該空間の空気質を表現する際の美観を確保できる。
【0060】
空気質の変化を、青色のような寒色とオレンジ色のような暖色とを組み合わせて表示する場合に比べて、青色のような寒色を単色で表示する場合の方が、視覚を通じてすっきりとした美観をユーザに起こさせることができる。その結果、デザイン性が向上し、空気調和機1の需要喚起効果が高まる。また、青色の単色で標章11の明るさを空気質の変化に応じて変更することで、赤を識別しにくいP型(Protanope)色覚者または緑を識別しにくいD型(Deuteranope)色覚者でも、一般のC型(Common)色覚者と同様に、空気質の状態変化を認知できる。
【0061】
標章11の寒色の色相は、例えば、青色である。青色は、空間になじむ優しい色であるので、美観を確保できる。しかし、標章11の寒色の色相は、青色に限られず、緑色などの他の色でもよい。なお、可視光の波長で定義すると、寒色とは、430nm以上570nm以下、青色とは、460nm以上500nm未満、緑色とは、500nm以上570nm以下に、ピーク波長がある場合をいう。
【0062】
青色は、マンセル表示系における三属性(色相、明度、彩度)によって定義されてもよい。詳細には、青色とは、色相が、青緑(BG)、青(B)または紫青(PB)の色と定義されてもよい。より詳細には、マンセル表示系で使用される色相の略号を用いると、青色とは、色相が2BG以上9PB以下の色と定義されてもよい。色は、明度または彩度の調整により無彩色になる。無彩色で、かつ、色相が青緑(BG)、青(B)または紫青(PB)の色は、青色の単色と定義されてもよい。
【0063】
標章とは、文字、図形、記号若しくは立体的形状又はこれらの結合と色彩との結合を含むものである。図1に例示する標章11は、青色等の寒色で発光する円状の図形標章であるが、この形態に限られない。例えば、標章は、アルファベット等の文字と青色等の寒色との結合標章、文字と記号と寒色との結合標章などでもよい。
【0064】
表示面13は、筐体2の前面に設けられているが、空気調和機1の視認可能な表面に設けられてもよく、例えば、筐体2の下面、側面等の他の表面でもよい。表示面13は、フロントパネル8又はフラップ5に設けられてもよい。標章11が表示される表示面13の数は、一つでも複数でもよい。表示面13に表示される標章11の数は、一つでも複数でもよい。
【0065】
表示面13は、一又は複数の光源から照射される光によって標章11を表示する。表示面13は、透明又は半透明なパネルでもよいし、標章11を画像として表示するディスプレイでもよい。
【0066】
空気調和機1又は表示装置10は、空間の空気質を検出するセンサ41を備える。制御部12は、例えば、センサ41により検出された空気質の変化に応じて、標章11の寒色の明るさを変更する。センサ41の具体例として、室内空気質(Indoor Air Quality)を検出するIAQセンサなどが挙げられる。
【0067】
空気質は、例えば、空気の汚れ具合を含む。空気質は、微粒子、臭気成分、粉塵又は二酸化炭素の濃度を含んでもよい。空気の汚れ具合は、これらの濃度によって評価される。微粒子とは、ウイルス又は細菌であるが、ウイルス又は細菌を含む塵埃などの微小物質でもよい。微粒子には、微小粒子状物質(PM2.5)が含まれてもよい。PM2.5とは、空気中に浮遊する粒子のうち、粒径が2.5μm以下の粒子をいう。空気質は、温度又は湿度を含んでもよい。
【0068】
センサ41により検出された空気質が第1状態よりも悪い状態を第2状態とするとき、制御部12は、第1状態での単色の標章11を、第2状態での単色の標章11に比べて明るくする。言い換えれば、制御部12は、第2状態での単色の標章11を、第1状態での単色の標章11に比べて暗くする。両者は、同義の相対的な関係である。
【0069】
制御部12がこのように単色の標章11の明るさを制御することにより、標章11が明るいとき、標章11が暗いときに比べて空気質が良い状態であることを、ユーザに認知させることができる。または、制御部12がこのように単色の標章11の明るさを制御することにより、標章11が暗いとき、標章11が明るいときに比べて空気質が悪い状態であることを、ユーザに認知させることができる。
【0070】
制御部12は、センサ41により検出された空気質が良い第1状態において、センサ41により検出された空気質が第1状態よりも悪い第2状態に比べて、標章11の寒色を明るくする。言い換えれば、制御部12は、センサ41により検出された空気質が悪い第2状態において、センサ41により検出された空気質が第2状態よりも良い第1状態に比べて、標章11の寒色を暗くする。両者は、同義の相対的な関係である。
【0071】
制御部12がこのように標章11の寒色の明るさを制御することにより、標章11の寒色が明るくなることで、標章11の寒色が暗いときに比べて空気質が良い状態であることを、美観が確保されたままユーザに認知させることができる。または、制御部12がこのように標章11の寒色の明るさを制御することにより、標章11の寒色が暗くなることで、標章11の寒色が明るいときに比べて空気質が悪い状態であることを、美観が確保されたままユーザに認知させることができる。
【0072】
そして、標章11の寒色が明るくなることで、標章11の寒色が暗いときに比べて空気質が良い状態であることを、色覚特性にほとんど影響されずに、ユーザに認知させることができる。または、標章11の寒色が暗くなることで、標章11の寒色が明るいときに比べて空気質が悪い状態であることを、色覚特性にほとんど影響されずに、ユーザに認知させることができる。
【0073】
空気調和機1が空気清浄機又は空気清浄機能を有する機器の場合、空気質が良い第1状態とは、例えば、センサ41により検出された各空気質(微粒子、臭気成分、粉塵および二酸化炭素の濃度)が、それぞれに対応する基準値以下の場合をいう。空気質が悪い第2状態とは、例えば、センサ41により検出された各空気質(微粒子、臭気成分、粉塵および二酸化炭素の濃度)のうちの少なくとも一つの濃度が、それに対応する基準値を超える場合をいう。基準値は、ユーザによって設定される値でも自動で設定される値でもよい。
【0074】
空気調和機1が温度調整機能を有する機器(例えば、エアコン等)の場合、空気質が良い第1状態とは、例えば、センサ41により検出された各空気質(温度、湿度、二酸化炭素の濃度)が、それぞれに対応する基準範囲を満たす場合をいう。空気質が悪い第2状態とは、例えば、センサ41により検出された各空気質(温度、湿度、二酸化炭素の濃度)のうちの少なくとも一つが、それに対応する基準範囲を満たさない場合をいう。基準範囲は、ユーザによって設定される範囲でも自動で設定される範囲でもよい。
【0075】
空気調和機1が暖房機の場合、制御部12は、暖房温度の変化に応じて、青色等の寒色のみの色相で標章11の明るさを変更してもよい。これにより、暖房温度の変化を暖色ではなく寒色のみの色相でユーザに認知させることができ、暖房温度の変化を表現する際に寒色のみの色相で美観を確保可能な暖房機を提供できる。また、色覚特性にほとんど影響されずに、暖房温度の状態を認知させることが可能な暖房機を提供できる。暖房温度とは、例えば、空気調和機1の暖房運転時においてセンサ41により検出された室内温度をいう。
【0076】
制御部12は、室内の温度又は湿度の到達度に応じて、単色の標章11の明るさを変更してもよい。温度又は湿度の到達度の変化は、表示面13に表示する単色の標章11の明るさの変化によって表現されるので、色覚特性にほとんど影響されずに、ユーザに温度又は湿度の到達度の状態を認知させることができる。
【0077】
到達度とは、例えば、センサ41により検出された室内の温度又は湿度(室内温度又は室内湿度)が、リモコン等の操作装置からの指令に応じて空気調和機1に設定される温度又は湿度(設定温度又は設定湿度)にどのくらい到達しているのかを表す度合いをいう。室内温度(又は、室内湿度)と設定温度(又は、設定湿度)との差が所定範囲内の場合は、到達度が高いことを表し、当該差が所定範囲外の場合は、到達度が低いことを表す。
【0078】
制御部12は、例えば、当該差が所定範囲内のときの単色の標章11を、当該差が当該所定範囲外のときの単色の標章11に比べて、明るくする。これにより、標章11が明るいとき、標章11が暗いときに比べて、温度又は湿度の到達度が高いことを、ユーザに認知させることができる。または、標章11が暗いとき、標章11が明るいときに比べて、温度又は湿度の到達度が低いことを、ユーザに認知させることができる。
【0079】
制御部12は、標章11の寒色の明るさで、空気調和機1の暖房の到達度を表現してもよい。これにより、空気調和機1の暖房の到達度は、暖色で表現されるのではなく、空気質の変化と同じ寒色で表現されるので、色の統一感によるデザイン性が向上し、美観が確保される。制御部12は、例えば、空気調和機1の暖房の到達度に応じて、標章11の寒色の明るさ(例えば、青色等の寒色のみの色相で標章11の明るさ)を変更する。制御部12は、例えば、センサ41により検出された空間の温度と空気調和機1の暖房の設定温度との差が所定範囲内に到達した場合、当該差が当該所定範囲外にある場合に比べて、標章11の寒色を明るくする。これによって、標章11の寒色が明るくなることで、空間の温度が設定温度に到達したことを、美観が確保されたままユーザに認知させることができる。
【0080】
制御部12は、単色の標章11の明るさで、空気質を調整する空気調和機1の状態を表現してもよい。これにより、空気質の変化だけでなく、空気質を調整する空気調和機1の状態も、単色の標章11の明るさで表現されるので、空気質及び空気調和機1の状態を表現する際の美観を確保できる。また、空気質及び空気調和機1の状態を、色覚特性にほとんど影響されずに、ユーザに認知させることができる。制御部12は、例えば、空気調和機1の状態に応じて、単色の標章11の明るさを変更する。単色の標章11の明るさとは、例えば、標章11の青色等の寒色の明るさである。空気調和機1の状態とは、例えば、初期設定状態、運転操作に対するフィードバック反応、電源オン状態、電源オフ状態、異常状態などが挙げられる。制御部12は、空気調和機1の各状態に応じて異なる表示態様で、標章11の明るさを変更する。これにより、空気調和機1の各状態を美観が確保されたままユーザに認知させることができる。
【0081】
端末9は、空気調和機1から離れた箇所において、空気調和機1と直接又は間接的に通信可能な機器である。端末9は、空気調和機1と同じ空間に備えられるが、空気調和機1が配置される空間とは異なる空間に備えられてもよい。端末9の具体例として、空気調和機1を制御可能なリモコン等のコントローラ、空気調和機1をネットワークに接続するハブ、空気調和機1と直接又は間接的に通信可能な情報端末機器(タブレット端末、スマートフォンなど)が挙げられる。
【0082】
端末9は、表示面23が設けられた筐体24と、表示面23に表示する単色の標章21の明るさを制御する表示装置20と、を備える。表示装置20は、表示面23に表示する単色の標章21の明るさで空間の空気質を表現する制御部22を備える。制御部22は、空間の空気質の変化に応じて、単色の標章21の明るさを変更する。制御部22が空間の空気質の変化に応じて単色の標章21の明るさを変更することで、当該空間の空気質の変化は、単色の標章21の明るさの変化によって表現されるので、当該空間の空気質を表現する際の美観を確保できる。また、空気質の状態変化を、色覚特性にほとんど影響されずに、ユーザに認知させることができる。単色の標章21の明るさとは、例えば、標章21の青色等の寒色の明るさである。
【0083】
端末9又は表示装置20は、空間の空気質を検出するセンサ42を備える。制御部22は、例えば、センサ42により検出された空気質の変化に応じて、標章21の寒色の明るさを変更する。センサ42の具体例として、室内空気質を検出するIAQセンサなどが挙げられる。
【0084】
制御部22は、端末9の外部に設けられた表示面33に表示する単色の標章31の明るさで、空間の空気質を表現してもよい。制御部22は、例えば、センサ42により検出された空気質の変化に応じて、単色の標章31の明るさを変更する。制御部22が空間の空気質の変化に応じて単色の標章31の明るさを変更することで、当該空間の空気質の変化は、単色の標章31の明るさの変化によって表現されるので、当該空間の空気質を表現する際の美観を確保できる。また、空気質の状態変化を、色覚特性にほとんど影響されずに、ユーザに認知させることができる。単色の標章31の明るさとは、例えば、標章31の青色等の寒色の明るさである。表示面33は、標章31を画像として表示するディスプレイでもよいし、標章31が映し出されるスクリーン(室内の壁を含む)でもよい。
【0085】
標章21,31の構成、作用及び効果は、標章11のそれらと同じでよく、標章11の上述の説明を援用することで、標章21,31の説明を省略する。表示面23,33の構成、作用及び効果は、表示面13のそれらと同じでよく、表示面13の上述の説明を援用することで、表示面23,33の説明を省略する。
【0086】
制御部22は、端末9に設けられたセンサ42又は端末9の外部に設けられたセンサ(例えば、センサ41)により検出された空気質の変化に応じて、標章11,21,31のうちの少なくとも一つの単色の標章の明るさを変更してもよい。単色の標章の明るさとは、例えば、標章の青色等の寒色の明るさである。制御部22は、端末9の外部情報を有線又は無線の通信を介して取得する。端末9の外部情報には、端末9の外部に設けられたセンサによる空気質の検出結果、空気調和機1の持つ情報(例えば、空気調和機1の異常状態などの状態)などがある。
【0087】
同様に、制御部22は、空気調和機1に設けられたセンサ41又は空気調和機1の外部に設けられたセンサ(例えば、センサ42)により検出された空気質の変化に応じて、標章11,21,31のうちの少なくとも一つの単色の標章の明るさを変更してもよい。単色の標章の明るさとは、例えば、標章の青色等の寒色の明るさである。制御部22は、空気調和機1の外部情報を有線又は無線の通信を介して取得する。空気調和機1の外部情報には、空気調和機1の外部に設けられたセンサによる空気質の検出結果、端末9の持つ情報(例えば、空気調和機1に対する操作情報)などがある。
【0088】
制御部12,22の各機能は、例えば、メモリに読み出し可能に記憶されたプログラムによって、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサが動作することにより実現される。各部の機能は、FPGA(Field Programmable Gate Array)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)によって実現されてもよい。制御部が行う処理を実現するプログラムは、例えば、記録媒体又はネットワークによって提供可能である。
【0089】
図2は、制御部を備える表示装置の一構成例を示す図である。表示装置50は、表示面53に表示される単色の標章51の明るさ(例えば、標章51の青色等の寒色の明るさ)で空気質を表現する。制御部52は、センサ40により検出される空気質の変化に応じて、単色の標章51の明るさ(例えば、標章51の青色等の寒色の明るさ)を変更する。標章51は、上記の標章11又は標章21に相当する。表示面53は、上記の表示面13又は表示面23に相当する。センサ40は、上記のセンサ41又はセンサ42に相当する。
【0090】
制御部52は、制御回路55及び光源54を含む。制御部52の制御回路55は、空気質の変化に応じて光源54の輝度を変化させることで、単色の標章51の明るさ(例えば、標章51の青色等の寒色の明るさ)を変更する。制御部52は、光源54の輝度を変化させることで、単色の標章51の明るさ(例えば、標章51の青色等の寒色の明るさ)を高精度に変更できる。光源54が一つの発光素子であると、空気質の変化の表示に必要な消費電力を低減できる。しかし、光源54は、複数の発光素子を含む光源でもよい。
【0091】
図3は、標章の明るさの第1制御例を示す図である。横軸は時間を表し、縦軸は、単色の標章の明るさL(例えば、標章の青色等の寒色の明るさ)を表す(後述の図面も同様)。制御部は、空気調和機1の状態が電源オフ状態のとき、光源の輝度を零にして標章の寒色の明るさLを零にする。制御部は、電源オフ状態から電源オン状態への操作が検知されると、標章の寒色の明るさLを、電源オフ状態を表す明るさ0から、電源オン状態を表す明るさL3に漸増する(徐々に上げる)。これにより、心地よい空気体験の始まりを表現できる。この例では、制御部は、標章の寒色の明るさLを、t秒間に0からL3まで一定の傾きで上昇させる。
【0092】
図4は、標章の明るさの第2制御例を示す図である。制御部は、空気質が良い第1状態において、標章の寒色の明るさの増減を繰り返す。これにより、標章の寒色の光が明るい状態で揺らぐモーションで標章は表示されるので、空間が空気質の心地よい状態になっていることを表現できる。図4の場合、寒色の明るさの増減の傾きは、図3の場合に比べて緩やかなので、特に、心地よい空間になっていることを表現できる。この例では、制御部は、標章の寒色の明るさLを、L2とL3の間で6t秒の周期で増減し、前半の半周期3t秒で一定の傾きで低下させ、後半の半周期3t秒で一定の傾きで上昇させる。
【0093】
なお、運転操作に対するフィードバック反応は、空気質が良い第1状態で生じても目視できるようにするため、空気質が良い第1状態を表す第1の明るさL3よりも明るい明るさL4又はL5に設定される。制御部は、所定の運転操作が検知されると、標章の寒色の明るさLを、L4又はL5に一時的に上昇させてから元の明るさに戻すように低下させる。これにより、当該運転操作に対するフィードバック反応をユーザに認知させることができる。
【0094】
図5は、標章の明るさの第3制御例を示す図である。制御部は、標章の寒色の明るさLを、空気質が良い第1状態を表す第1の明るさL3から空気質が悪い第2状態を表す第2の明るさLaに漸減する(徐々に下げる)。これにより、良い状態から良くない状態への空気質の遷移を表現できる。この例では、制御部は、標章の寒色の明るさLを、2t秒間にL3からLaまで一定の傾きで低下させる。明るさLaは、零よりも僅かに大きいため、空気調和機1が停止中ではなく作動中であることをユーザに知らせることができる。
【0095】
図6は、標章の明るさの第4制御例を示す図である。制御部は、空気質が悪い第2状態において、標章の寒色の明るさを一定にする。これにより、空気質が良くない状態が継続していることを表現できる。空気質が良くない第2状態での明るさLaは、零よりも僅かに大きいため、空気調和機1が停止中ではなく作動中であることをユーザに知らせることができる。
【0096】
図7は、標章の明るさの第5制御例を示す図である。制御部は、標章の寒色の明るさLを、空気質が悪い第2状態を表す第2の明るさLaから空気質が良い第1状態を表す第1の明るさL3に漸増する。これにより、良くない状態から良い状態への空気質の遷移を表現できる。この例では、制御部は、標章の寒色の明るさLを、t秒間にLaからL3まで一定の傾きで上昇させる。
【0097】
図8は、標章の明るさの第6制御例を示す図である。制御部は、空気質が良い第1状態において電源オフ状態への操作が検知されると、標章の寒色の明るさLを、第1状態を表す第1の明るさL3から電源オフ状態を表す明るさ0に漸減する。これにより、心地よい空気体験の終わりを表現できる。この例では、制御部は、標章の寒色の明るさLを、t秒間に、L3から0まで一定の傾きで低下させる。
【0098】
図9は、標章の一例を示す図である。図9に示す標章60は、重心のずれた二つの環(外環61及び内環62)を含む。外環61は、内環62よりも直径が小さく、外環61の重心63は、内環62の重心64とずれている。制御部は、外環61と内環62との間の環状の隙間65の青色等の寒色の明るさを、センサにより検出された空気質の変化に応じて変更する。これにより、空気質の変化が隙間65の青色等の寒色の明るさの変化で表現されるので、空気質を表現する際の美観を確保できる。また、空気質の状態変化を、色覚特性にほとんど影響されずに、ユーザに認知させることができる。隙間65の青色等の寒色の明るさは、上述の制御例に従って制御されてよい。
【0099】
外環61の外側領域66及び内環62の内側領域67は、空気質の変化に応じて明るさが変化しない領域、又は、空気質の変化に応じて隙間65に比べて明るさの変化が鈍い領域である。隙間65は、外側領域66及び内側領域67に比べて、青色光等の可視光が通りやすい。例えば、隙間65は、可視光が通る透明または半透明な領域であり、外側領域66及び内側領域67は、可視光がほとんど通らない不透明な領域である。
【0100】
制御部は、センサにより検出された空気質の変化に応じて、単色の標章60の明るさ(例えば、標章60の青色等の寒色の明るさ)を部分的に変更してもよい。この例では、制御部は、標章60の環状の隙間65の寒色の明るさを部分的に変更する。寒色の明るさが部分的に変更されることで、標章60全体の位置が変わらない状態で標章60に揺らぎ等の動きを生じさせることができる。
【0101】
隙間65は、外環61に沿って発光領域70,71,72,73を含む。制御部は、センサにより検出された空気質の変化に応じて、発光領域70,71,72,73のうち一部の発光領域の青色等の寒色の明るさを変更する。これにより、発光領域70,71,72,73のうち、当該一部の発光領域の寒色の明るさが、他の発光領域の寒色の明るさと異なるので、標章60全体の位置が変わらない状態で標章60に揺らぎ等の動きを生じさせることができる。
【0102】
制御部は、センサにより検出された空気質の変化に応じて、標章60の中の最も明るい部分の位置を変更してもよい。これにより、標章60全体の位置が変わらない状態で標章60に揺らぎ等の動きを生じさせることができる。例えば、制御部は、発光領域70,71,72,73のうち最も明るい領域を時計回り又は反時計回りで順番に変更する。これにより、標章60全体の位置が変わらない状態で、光が隙間65に沿ってぐるぐる回るモーションで標章60を表示できる。
【0103】
制御部は、この例では、標章60の隙間65の明るさを変化させる光源として、発光素子56を有する。発光素子56は、標章60の正面視において、標章60の下部に配置されている。発光素子56が標章60の下部に配置されることで、標章60の全体の明るさが一様にならないので、発光素子56の輝度変化により標章60の明るさに生ずる違いを強調することができる。また、発光素子56が標章60の下部に配置されることで、人が見上げる箇所に標章60が設けられている場合、標章60を見上げる人は、標章60の明るさの変化を認知しやすくなる。標章60の下部とは、例えば、標章60の正面視において、標章60の左右方向に延びる中心線に対して下側の領域である。
【0104】
制御部は、例えば、隙間65に設けられた発光素子56を有する。この例では、標章60の正面視において、標章60の下部(より詳細には、隙間65のうち最も幅広な発光領域70の裏側)に、発光素子56が配置されている。発光領域70は、標章60の正面視において、重心63と重心64を結ぶ直線と重なる。制御部が発光素子56を発光させることで、環状の隙間65全体が明るくなる。
【0105】
標章60の下部に配置される発光素子56は、例えば、標章60の正面視において、内環62の内側領域67のうち、標章60の左右方向に延びる中心線に対して下側の領域の裏側に配置されてもよい。この場合、標章60の正面視において、発光素子56が内側領域67の裏側に隠れる。これにより、発光素子56の発光強度が強い場合、標章60の下部の発光領域70が過度に明るくなることを抑制することができる。
【0106】
外環61の直径をa、内環62の直径をb、外環61の重心63と内環62の重心64との距離をcとする。このとき、a:b:cは、1:0.85:0.04であると、環状の隙間65の青色等の寒色の明るさを変化させたときの美観が向上する。
【0107】
図10は、標章60の明るさのグラデーションの一例を示す図である。制御部は、(A)→(B)→(C)のように、発光領域70の明るさを徐々に明るくする。これにより、青色等の寒色の明るさが徐々に変化するモーションで標章60が表示されるので、空気質を表現する際の美観が向上する。また、空気質の状態変化を、色覚特性にほとんど影響されずに、ユーザに認知させることができる。
【0108】
標章60の正面視において、発光領域70の裏側に上記の発光素子56が配置されている場合、発光素子56から標章60の上部までの距離は、発光素子56から標章60の下部までの距離よりも長くなる。この場合、発光素子56の発光による標章60の明るさは、同一タイミングで比較すると、例えば図10の(B)又は(C)に示すように、標章60の上部と下部とで相違する。これにより、標章60の隙間65の明るさのグラデーションが表現される。
【0109】
以上の通り、実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の組み合わせ、省略、置き換え、変更などを行うことが可能である。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0110】
例えば、制御部は、空気質の変化に応じてディスプレイの明度又は彩度を変化させることで、単色の標章の明るさ(例えば、標章の青色等の寒色の明るさ)を変更してもよい。
【符号の説明】
【0111】
1 空気調和機
2 筐体
2b 吹出口
4 ファン
5 フラップ
8 フロントパネル
9 端末
10,20,50 表示装置
11,21,31,51 標章
12,22,52 制御部
13,23,33,53 表示面
24 筐体
40,41,42 センサ
54 光源
55 制御回路
56 発光素子
60 標章
61 外環
62 内環
64,64 重心
65 隙間
66 外側領域
67 内側領域
70,71,72,73 発光領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図11F
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2024-02-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示面に表示する単色の標章の明るさを、空気質の状態に対応する第1モーションで変化させ、かつ、前記空気質を調整する空気調和機の運転操作に対するフィードバック反応に対応する第2モーションで変化させる制御部を備え、
前記第1モーションおよび前記第2モーションは、互いに異なるモーションである、表示装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記標章の明るさを、前記空気調和機の電源操作に対応する第3モーションで変化させ、
前記第1モーション、前記第2モーションおよび前記第3モーションは、互いに異なるモーションである、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
空気質が第1状態よりも悪い状態を第2状態とするとき、
前記制御部は、前記標章の明るさを、前記第1状態に対応する第4モーションで変化させ、かつ、前記第1状態から前記第2状態への遷移に対応する第5モーションで変化させ、かつ、前記第2状態に対応する第6モーションで変化させ、かつ、前記第2状態から前記第1状態への遷移に対応する第7モーションで変化させ、
前記第4モーション、前記第5モーション、前記第6モーションおよび前記第7モーションは、互いに異なるモーションである、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
記空気質が第1状態よりも悪い状態を第2状態とするとき、
前記制御部は、前記第1状態での前記標章を、前記第2状態での前記標章に比べて明るくする、請求項1から3のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記標章の明るさを、前記第1状態を表す第1の明るさから前記第2状態を表す第2の明るさに漸減し、前記第2状態を表す第2の明るさから前記第1状態を表す第1の明るさに漸増する、請求項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第2状態において、前記標章の明るさを一定にする、請求項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記単色は、青色である、請求項1に記載の表示装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記第1状態において、前記標章の明るさの増減を繰り返す、請求項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記制御部は、光源を含み、
前記制御部は、前記空気質の変化に応じて前記光源の輝度を変化させることで、前記標章の明るさを変更する、請求項1から3のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記光源は、一つの発光素子である、請求項に記載の表示装置。
【請求項11】
前記光源は、前記標章の下部に配置される、請求項に記載の表示装置。
【請求項12】
前記標章は、重心のずれた二つの環を含み、
前記制御部は、前記二つの環の隙間の明るさを前記空気質の変化に応じて変更する、請求項1からのいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項13】
前記空気質は、空気の汚れ具合を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項14】
前記空気の汚れ具合は、微粒子、臭気成分、粉塵又は二酸化炭素の濃度を含む、請求項13に記載の表示装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記空気質の変化に応じて、前記標章の明るさを部分的に変更する、請求項1からのいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項16】
前記制御部は、前記空気質の変化に応じて、前記標章の中の最も明るい部分の位置を変更する、請求項15に記載の表示装置。
【請求項17】
前記空気質は、温度又は湿度を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項18】
前記制御部は、前記温度又は湿度の到達度に応じて、前記標章の明るさを変更する、請求項17に記載の表示装置。
【請求項19】
前記制御部は、前記空気質を調整する空気調和機の状態に応じて、前記標章の明るさを変更する、請求項1からのいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項20】
請求項1からのいずれか一項に記載の表示装置を備え、
前記空気質を調整する空気調和機と直接又は間接的に通信可能な端末。
【請求項21】
請求項1からのいずれか一項に記載の表示装置を備え、前記空気質を調整する空気調和機。
【請求項22】
請求項1から3のいずれか一項に記載の表示装置を備え、
前記制御部は、暖房温度の変化に応じて、青色のみの色相で前記標章の明るさを変更する、暖房機。