(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052648
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】樹脂成形品、樹脂成形品の製造方法、樹脂押出成形品、および樹脂押出成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
B29B 17/00 20060101AFI20240404BHJP
B29C 48/03 20190101ALI20240404BHJP
B29C 48/16 20190101ALI20240404BHJP
B29B 17/04 20060101ALI20240404BHJP
B32B 27/20 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
B29B17/00
B29C48/03
B29C48/16
B29B17/04 ZAB
B32B27/20 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023170746
(22)【出願日】2023-09-29
(31)【優先権主張番号】P 2022158751
(32)【優先日】2022-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】植木 希
(72)【発明者】
【氏名】樋渡 祐一
【テーマコード(参考)】
4F100
4F207
4F401
【Fターム(参考)】
4F100AA21A
4F100AB01A
4F100AK01A
4F100AK01B
4F100AK15A
4F100AK25A
4F100AK25B
4F100BA02
4F100CA13A
4F100DE01A
4F100EH17
4F100GB07
4F100HB00A
4F100JB13A
4F100JL10A
4F100JL16A
4F100YY00A
4F100YY00B
4F207AA15
4F207AA20
4F207AA50
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4F207AH48
4F207AH51
4F207AR12
4F207KA01
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4F207KA20
4F207KB22
4F401AA12
4F401AA27
4F401BA13
4F401CA14
4F401CA22
4F401CA58
4F401CB18
4F401DC06
4F401FA08Z
(57)【要約】
【課題】リサイクル樹脂を含みながら高品質を実現できる樹脂成形品、樹脂成形品の製造方法、樹脂押出成形品、および樹脂押出成形品の製造方法を提供する。
【解決手段】樹脂成形品1は、樹脂を含有するリサイクル材料を含む樹脂成形品1であって、基材部2と、前記基材部2の表面2aに形成された表面層3と、を有し、前記基材部2は、マトリックス樹脂と、前記マトリックス樹脂に含まれ、前記リサイクル材料由来の成分からなる異物と、を含有し、前記成分は、前記マトリックス樹脂とは異なる樹脂または金属であり、前記異物の粒径が355μm以下、前記表面層3の厚さが0.2mm以上0.5mm以下である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂を含有するリサイクル材料を含む樹脂成形品であって、
基材部と、前記基材部の表面に形成された表面層と、を有し、
前記基材部は、マトリックス樹脂と、前記マトリックス樹脂に含まれ、前記リサイクル材料由来の成分からなる異物と、を含有し、
前記成分は、前記マトリックス樹脂とは異なる樹脂または金属であり、
前記異物の粒径が355μm以下、
前記表面層の厚さが0.2mm以上0.5mm以下である、樹脂成形品。
【請求項2】
前記異物の粒径が250μm以下である、請求項1に記載の樹脂成形品。
【請求項3】
前記表面層は、アクリル系樹脂を含む、請求項1に記載の樹脂成形品。
【請求項4】
前記マトリックス樹脂は、ポリ塩化ビニルを含む樹脂である、請求項1に記載の樹脂成形品。
【請求項5】
前記異物は、前記マトリックス樹脂より融点が高い有機材料または熱硬化性樹脂、若しくは金属からなる、請求項1に記載の樹脂成形品。
【請求項6】
前記基材部は添加剤を含み、
前記基材部の全重量に対する前記添加剤の含有量が0.05重量%以上0.15重量%以下である、請求項1に記載の樹脂成形品。
【請求項7】
表層部と、前記表層部に連続する下層部と、を有する樹脂押出成形品であって、
前記表層部が請求項1~6のいずれか1項に記載の樹脂成形品からなる、樹脂押出成形品。
【請求項8】
樹脂製建具の廃棄物を粉砕した一次粉をさらに二次粉砕して一次粉よりも微細な再生原料を得る工程と、
ヴァージン樹脂原料と前記再生原料とを混合して混合樹脂原料を得る工程と、
前記混合樹脂原料とアクリル系樹脂とを用いて押出成形する工程と、
樹脂成形品を得る工程と、を含み、
前記廃棄物は、前記樹脂製建具の廃棄物の主材料であるポリ塩化ビニルより融点が高い有機材料または熱硬化性樹脂、若しくは金属からなる異物を有しており、
前記再生原料を得る工程において、前記廃棄物を粉砕して、粒子の最小径が600μm未満の前記再生原料を作製する、樹脂成形品の製造方法。
【請求項9】
樹脂製建具の廃棄物を粉砕した一次粉をさらに二次粉砕して一次粉よりも微細な再生原料を得る工程と、
ヴァージン樹脂原料と前記再生原料とを混合して混合樹脂原料を得る工程と、
前記混合樹脂原料とアクリル系樹脂とを用いて、基材部と、前記基材部の表面に形成された表面層とを有する第1の表層部を押出形成するとともに、前記第1の表層部に連続する混合樹脂原料からなる中間部を押出形成し、前記ヴァージン樹脂原料を用いて、前記中間部に連続する第2の表層部を押出成形する工程と、
樹脂押出成形品を得る工程と、を含み、
前記廃棄物は、前記樹脂製建具の廃棄物の主材料であるポリ塩化ビニルより融点が高い有機材料または熱硬化性樹脂、若しくは金属からなる異物を有しており、
前記再生原料を得る工程において、前記廃棄物を粉砕して、粒子の最小径が600μm未満の前記再生原料を作製する、樹脂押出成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、樹脂成形品、樹脂成形品の製造方法、樹脂押出成形品、および樹脂押出成形品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
窓やドア等の建具、フェンス、デッキ等、建物の使用済み廃材が多く廃棄されている。これらの廃材の大部分が、廃プラスチックや混合廃棄物の形態に処理され、最終処分場で埋め立てられている。これらの廃材には、例えば、窓などの建具の樹脂枠、樹脂製デッキ等、多くの樹脂部材が含まれる。近年、2050カーボンニュートラル宣言をはじめとした環境負荷低減への取り組みのため、樹脂を含む廃材をリサイクルする技術が望まれている。例えば、特許文献1には、廃材から回収されたリサイクル塩化ビニル系樹脂を含む樹脂材料を用いて中空窓枠を製造する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リサイクル樹脂材料は、部品を解体後、粉砕処理を行い、材料別に分類される。しかし、廃棄物は、多様な樹脂材料および金属材料が含まれているため、分類後も微細な金属片等の異種材料が混入する場合が多い。特許文献1に開示された技術の様に、異種材料が混入したリサイクル樹脂を用いて窓枠を製造すると、異物が成形品の表面に表出する。このような異物が表出した樹脂枠は、窓枠等の建具としての品質を満たさない。
【0005】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、リサイクル樹脂を含みながら高品質を実現できる樹脂成形品、樹脂成形品の製造方法、樹脂押出成形品、および樹脂押出成形品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る樹脂成形品は、樹脂を含有するリサイクル材料を含む樹脂成形品であって、基材部と、前記基材部の表面に形成された表面層と、を有し、前記基材部は、マトリックス樹脂と、前記マトリックス樹脂に含まれ、前記リサイクル材料由来の成分からなる異物と、を含有し、前記成分は、前記マトリックス樹脂とは異なる樹脂または金属であり、前記異物の粒径が355μm以下、前記表面層の厚さが0.2mm以上0.5mm以下である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態に係る樹脂成形品の一面を示す模式図。
【
図3】一実施形態に係る樹脂成形品の異物を示す模式図。
【
図4】一実施形態に係る樹脂成形品の製造方法のフローチャート。
【
図5】一実施形態に係る樹脂押出成形品を示す断面図。
【
図6】一実施形態に係る樹脂押出成形品を示す断面図。
【
図7】一実施形態に係る樹脂押出成形品の製造方法のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(樹脂成形品)
以下、図面を参照し、樹脂成形品、樹脂成形品の製造方法、樹脂押出成形品、および樹脂押出成形品の製造方法の一実施形態を説明する。
図1は、本開示の一実施形態に係る樹脂成形品の一面を示す模式図である。
図2は、本開示の一実施形態に係る樹脂成形品の厚さ方向に沿う断面図である。
図3は、本開示の一実施形態に係る樹脂成形品の異物を示す模式図である。
【0009】
図1および
図2に示すように、樹脂成形品1は、基材部2と、基材部2の表面2aに形成された表面層3と、を有する。樹脂成形品1は、異物4を含む。詳細には、基材部2が異物4を含む。
【0010】
基材部2は、ヴァージン樹脂原料と、リサイクル材料とを含む樹脂成形体から構成される。未使用の新規作製樹脂原料を「ヴァージン樹脂原料」と称する。加工済み樹脂部材から得られた材料を「リサイクル材料」と称する。
【0011】
リサイクル材料は、例えば、使用済みの建材の廃棄物に含まれる樹脂製品、工場の製造過程で生じた樹脂製品の廃棄物、施工現場で生じた廃棄物等が回収され、回収物から分別収集された樹脂材料である。
【0012】
基材部2を得るために用意する成形用材料は、ヴァージン樹脂原料およびリサイクル材料を含む。成形用材料は、主剤の他に、耐衝撃性改質剤、耐候材、熱安定剤、加工助剤、充填剤、滑剤、または顔料の少なくとも一つを含む。主剤は、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂(以下、「PVC樹脂」と記載する。)である。成形用材料の原料配合比は、リサイクル材料の成分および配合量に応じて調整される。リサイクル材料は、主に主剤の原料として加えられる。したがって、リサイクル樹脂材料に含まれる主剤の量に応じて、ヴァージン樹脂原料の含有量も決まる。詳細は後述する。
【0013】
基材部2は、上述の成形用材料を混練した材料を成形加工することによって得られる。基材部2のマトリックス樹脂は、例えば、ポリ塩化ビニル、ABS、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ナイロンを含む樹脂である。
【0014】
基材部2には、リサイクル材料由来の異物4が含まれる。異物4は、マトリックス樹脂と異なる樹脂または金属からなる。異物4は、基材部2のマトリックス樹脂に混在する。この他、基材部2の表面2aおよびその近傍に存在する異物4は、
図1に示すように、基材部2の表面2aおよびその近傍に表出する。基材部2の表面2aの近傍とは、基材部2の厚さ方向の断面において、基材部2の表面2a側の領域のことである。すなわち、基材部2の表面2aの近傍とは、基材部2の表層のことである。
【0015】
基材部2の厚さは、0.5mm以上4mm以下が好ましく、1mm以上3mm以下がより好ましい。基材部2の厚さが前記下限値未満では、成形用材料が流れにくく成形が難しい。基材部2の厚さが前記上限値を超えると、成形後の冷却に時間がかかり生産性が悪くなり、かつ成形用材料の使用量が増えるため必要以上の材料を使用することとなる。
【0016】
基材部2は添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、高分子の加工助剤等が挙げられる。基材部2が添加剤を含むことにより、樹脂成形品1の引張伸び率が向上し、樹脂成形品1は建具として十分な強度(破断しにくさ)を有する。
【0017】
基材部2の全重量(100重量%)に対する添加剤の含有量は、0.05重量%以上3重量%以下が好ましく、0.5重量%以上1.5重量%以下がより好ましい。添加剤の含有量が前記下限未満では、引張破断伸びの効果が得られない。添加剤の含有量が前記上限値を超えると、引張破断伸びの最大値は変わることがないため、無駄に材料を添加することになる。
【0018】
異物4は、リサイクル材料に混入していた異物に由来するため、様々な形状を有する。異物4は、成形加工の設計形状と異なる不定形状で表出する。異物4は、基材部2の表面2aから僅かに突出した部分を含む凹凸形状の例や、基材部2の表面2a付近に存在し、基材部2の表面2aからは突出しないものの、色の変化等で表出する例が挙げられる。
【0019】
異物4は不定形状である。基材部2の表面2aおよびその近傍に表出した異物4は、顕微鏡や画像処理等によって大きさを測定できる。具体的には、
図3に示すように、顕微鏡等により検出できた異物4の縁部間の直線距離を測定する。縁部間の直線距離が最も長い箇所の長さLを異物4の最長部と定義する。この最長部Lに交差する方向に沿う径のうち最も大きい寸法を最小径yとし、この最小径yが、異物4の粒径である。異物4の最小径yは355μm以下であり、250μm以下であることが好ましい。異物4の最小径yが355μm以下である結果、外観上目立ち難く、リサイクル樹脂材料を含んで製造した樹脂成形品1であっても実用に耐え得る。さらに、異物4の最小径yが250μm以下であると、表面層3の厚さが薄い(0.25mm~0.3mm)場合であっても、基材部2の表面2aに異物4が視認できない。
【0020】
異物4は、マトリックス樹脂(例えば、ポリ塩化ビニル)より融点が高い有機材料または熱硬化性樹脂、若しくは金属を含む。異物4は、ヴァージン樹脂原料および製造時の添加物以外の成分である。異物4の材料は、例えば、表出した異物4を、基材部2の表面2aおよびその近傍から切離して成分を分析する方法によって検出できる。基材部2の内部に存在する異物4の材料は、例えば、樹脂成形品1を切断し、切断面に表出した異物4を切離して成分を分析する方法によって検出できる。例えば、異物4の表出が見られない場合、樹脂成形品1の任意の位置を切り出し、成分分析を行う。
【0021】
樹脂成形品1の鉛の含有量VPBは0重量%<VPB≦3重量%である。ヴァージン樹脂原料には、鉛は含まれない。リサイクル材料を得る過程で鉛の除去作業が行われるため、廃棄物に含まれた鉛は除去される。しかし、リサイクル樹脂材料は廃棄物から得るため、微量の鉛が含まれる可能性がある。樹脂成形品1は、リサイクル材料と鉛を含まないヴァージン樹脂原料とを用いて製造する。
【0022】
樹脂成形品1は、基材部2の表面2aの単位面積あたりに存在する異物4の数が平均6個以下であることが好ましい。基材部2の表面2aに表出した異物4は、目視、顕微鏡、光照射、画像処理等、各種方法により検出できる。このような方法により樹脂成形品1の表面(基材部2の表面2a)を測定し、異物4の数を計測できる。樹脂成形品1は、基材部2の表面2aの単位面積あたりに存在する異物4の数が平均6個以下であると、基材部2の表面2aに表出する異物4の数が極めて少ない。その結果、リサイクル樹脂材料を含んで製造した樹脂成形品1であっても実用に耐え得る。
【0023】
表面層3は、アクリル系樹脂を含む。アクリル系樹脂としては、ポリメチルメタクリレート樹脂、ASA(Acrylate Sthrene Acrylonitrile)樹脂、アクリロニトリル・エチレン・スチレン共重合体(AES)樹脂等が挙げられる。これは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
表面層3の厚さは、0.2mm以上0.5mm以下が好ましく、0.3mm以上0.5mm以下がより好ましい。表面層3の厚さが前記下限値以上未満では、異物4が認識できてしまう。表面層3の厚さが前記上限値を超えると、機械的強度が低下し、無駄にアクリルを添加することになる。
【0025】
上述した樹脂成形品1は、例えば、建具、屋外設置用建材、および舗装材のうちの少なくとも何れか一つの成形部品として使用できる。建具は、例えば、サッシ、ドアが挙げられる。例えば、サッシの樹脂枠や障子の樹脂框に好適に使用できる。屋外設置用建材は、例えば、ウッドデッキ、サンルーム用の建材、排水パン、給気/排気口のカバー等が挙げられる。舗装材は、例えば、仮設道路の敷設材や公園、歩道の敷設材等、道路用の舗装材である。樹脂成形品1は、設置後、外部に露出せず、土、樹脂、コンクリート、壁面塗装材に埋設される補強材であってもよい。
【0026】
(樹脂成形品の製造方法)
樹脂成形品の製造方法は、
図4に示すように、樹脂を含むリサイクル材料を粉砕した一次粉をさらに二次粉砕して一次粉よりも微細な再生原料を得る工程(S3)と、ヴァージン樹脂原料と再生原料とを混合して混合樹脂原料を得る工程(S4)と、混合樹脂原料とアクリル系樹脂とを用いて押出成形する工程(S5)と、樹脂成形品を得る工程(S6)とを含む。さらに、樹脂成形品の製造方法は、リサイクル材料を取得するため、廃棄物回収工程(S1)と、廃棄物を一次粉砕して一次粉を得る工程(S2)とを含む。
【0027】
最初に一次粉を得る方法を説明する。例えば、使用済みの建材の廃棄物に含まれる樹脂製品、工場の製造過程で生じた樹脂製品の廃棄物、施工現場で生じた廃棄物を回収する(S1)。廃棄物の回収は、独自に回収する方法に限らず、廃棄物回収事業者によって回収された廃棄物を取得する方法であってもよい。次に、回収された廃棄物を樹脂部品と、樹脂以外の部品とに分別する。分別された樹脂部品を粉砕機、ハンマー等で粉砕し、混合粉砕品を得る。得られた混合粉砕品から、不純物である金属、金属、軟質樹脂等を除去して一次粉を得る。一次粉は、さらに、風を用いた選別法や色を識別した選別法等により一次粉に含まれる樹脂の種類を選別してもよい。廃棄物から一次粉を得る工程は、樹脂成形方法の一連の工程で行ってもよく、リサイクル事業者等により加工された一次粉を予め取得してもよい。
【0028】
樹脂成形品1として、サッシの樹脂枠を製造する場合、廃棄物回収(S1)の際、サッシの樹脂枠の廃棄物を選別して一次粉を得る(S2)ことがより好ましい。樹脂成形品1を得るための成形用材料とリサイクル樹脂に含まれる樹脂成分とで共通する樹脂が多く、リサイクル効率を高められ、かつ、製造効率を高めることができる。
【0029】
次に、一次粉を二次粉砕する(S3)。二次粉砕では、一次粉をさらに二次粉砕することによって、一次粉よりも粒径が小さい再生原料を得る。二次粉砕は、例えば、一次粉砕と同様の粉砕機を用いる。再生原料は、ヴァージン樹脂原料の主剤のペレットの粒子径よりも微細な微粉に加工してもよい。具体的には、一次粉砕によって、最小径が2mm~15mm角の粉砕物を得た後、二次粉砕によって、最小径が355μm未満の粉砕物である再生原料を得る。二次粉砕処理のみで最小径が355μm未満の再生原料を得る方法の他、二次粉砕後、篩い分け処理を行い、最小径が355μm未満の再生原料を得てもよい。例えば、篩い分け処理によって最小径が355μmより大きい粒子を除去した後、粉砕処理を行い、粒径のバラツキを抑えつつ、微細な再生原料を得てもよい。再生原料の粒径は、ヴァージン樹脂原料の主原料の平均粒径未満であってもよい。一次粉をさらに二次粉砕し微細な再生原料を得ることによって、異物4の表出を抑制できる。微細な再生原料を得ることによって、樹脂成形品1の物性値を高レベルに保つことができる。篩い分け処理の場合、粒径が355μm以下の粉体を得る。ただし、篩い分けの際、短辺が355μm未満であり長辺が355μm以上の粒子が分級されず、再生原料に混在する可能性がある。最小径は250μm以下だとより好ましい。この場合、1次粉砕で最小径が10mm未満の粉砕物にするとより効率的に2次粉砕後に最小径250μm以下の再生原料を得られる。
【0030】
次に、ヴァージン樹脂原料と再生原料を混合し、成形用材料を得る(S4)。成形用材料は、例えば、PVC樹脂の他、各種材料を添加した混合樹脂原料である。成形用材料に含まれる再生原料の含有率は、例えば、10重量%以上である。成形用材料に再生原料を10重量%以上含むことによって、樹脂のリサイクル率が向上する。成形用材料に再生原料を10重量%以上含む結果、リサイクル材料の使用率が高くても実用に耐え得る樹脂成形品1を製造できる。
【0031】
例えば、樹脂成形品1を外部露出の無い非露出部品として用いる場合、異物4の表出による意匠性の低下を考慮しなくてもよい。この場合、例えば、成形用材料に含まれる再生原料の含有率は、例えば、10重量%以上である。本開示の樹脂成形品1は、微細粉に加工した再生原料を用いるため、異物4の存在に起因した物性低下の影響を受けにくい。具体的には、粒径の小さい再生原料を用いることにより、リサイクル樹脂材料の表面積が増えるため、リサイクル材料が溶融し易く、かつ押出性能も良好に保つことができる。この結果、異物4に起因する物性の低下を抑制できる。樹脂成形品1を非露出部品として使用する場合、さらにリサイクル材料の含有量を高めることができる。
【0032】
次に、押出成形加工を行う(S5)。押出成形は、従来の方法を用いる。樹脂成形品1をサッシの樹脂枠として製造する場合、樹脂枠を設置した状態で、外部に露出する部分、つまり外観上視認される露出部分は、ヴァージン樹脂原料とリサイクル材料の再生原料を含む材料に表面層を形成する材料とともに成形、もしくはヴァージン樹脂原料のみで成形し、外観上視認されない非露出部分は、ヴァージン樹脂原料とリサイクル材料の再生原料を含む材料で形成した複合材料で成形する。なお、リサイクル材料の再生原料は、複数種類、例えば、樹脂製建具の廃材による再生原料と工場内で発生する廃材からなる再生原料を混合してもよいし、樹脂製建具や工場内で発生する廃材、その他の廃材からなる再生原料を用いてもよい。樹脂成形品1の基材部2と表面層3は、2色成形により成形する。また、上記露出部分と上記非露出部分を2色成形により成形してもよい。
【0033】
この後、仕上げ処理を行い、樹脂成形品1を製品化する(S6)。仕上げ処理の際、樹脂成形品1の外部露出面に顔料等を塗装してもよい。また、樹脂シートによりは表面を覆ってもよい。
【0034】
再生原料を含むリサイクル材料を用いたリサイクル樹脂製品の一例を挙げる。例えば、リサイクル樹脂製品は、リサイクル樹脂の再生原料を含む第一樹脂材料で形成された第一樹脂成形部と、再生原料を含むリサイクル樹脂材料の含有率が第一樹脂成形部より低い、あるいはリサイクル材料を含まない第二樹脂材料で形成された第二樹脂成形部とを含んで構成されるリサイクル樹脂製品であって、使用時に外観上露出する露出部位を第二樹脂成形部で構成し、露出部位より内側に位置し、使用時に外観上露出しない非露出部位を第一樹脂成形部で構成する。樹脂成形品1は、異物4が基材部2の表面2aに表出する場合があるものの、表出する異物4の数が極めて少なく、かつ、十分な物理的強度が得られる。このようなリサイクル樹脂製品であれば、露出部は非リサイクル製品と同様の外観が得られ、かつ樹脂材料のリサイクル率を高めることができる。
【0035】
(樹脂押出成形品)
図5は、本開示の一実施形態に係る樹脂押出成形品の断面図である。この樹脂押出成形品は、建具(引違い)の障子を構成する長手状の框を短手方向に切断した断面図である。
図5において、上が室外側、下が室内側である。
図5に示すように、樹脂押出成形品10は、表層部(室外側部)11と、中間部12と、表層部(室内側部)15と、を有する。表層部(室外側部)11は、第一樹脂材料からなる基材部13と、基材部13の表面に形成された表面層14とを有する。中間部12の基材部は第一樹脂材料で形成され、表面層を有していない。表層部(室内側部)15の基材部は、ヴァージン樹脂原料のみからなる第二樹脂材料で形成され、表面層を有していない。表層部(室外側部)11は、樹脂押出成形品10が樹脂サッシである場合、室外側に露出する部位である。中間部12は、表層部(室外側部)11に連続し、表面に露出しない部位であり、表層部(室内側部)15は室内側に露出する部位である。樹脂押出成形品10の右側の凹みにガラス100が載置されている。ガラス100は、表層部(室外側部)11と表層部(室内側部)15の間に挿入され、表層部(室内側部)15のガラス側端部にある凹部16に押縁が挿入されて固定される。ガラス100は外周端部にある上框、下框、右縦框も左框と同様の構成でこれらにより固定されている。表層部11および15の基材部2は、リサイクル樹脂の再生原料のみ形成され、表面層3を設けてもよい。中間部12はリサイクル樹脂の再生原料のみで基材部を形成し、表面層3を設けなくてもよい。
【0036】
表層部11は、上述の樹脂成形品1からなる。
【0037】
表層部(室内側部)15は、上述のヴァージン樹脂原料のみからなる。
【0038】
(他の例)
図6は、本開示の一実施形態に係る樹脂押出成形品を示す断面図である。この樹脂押出成形品は、建具(すべり出し窓)の障子を構成する長手状の框を短手方向に切断した断面図である。
図6の上が室外側、下が室内側である。
図6に示すように、樹脂押出成形品20は、表層部(室外側部)21と、中間部22と、表層部(室内側部)25と、を有する。表層部(室外側部)21は、第一樹脂材料からなる基材部23と、基材部23の表面に形成された表面層24とを有する。中間部22の基材部は第一樹脂材料で形成され、表面層を有していない。表層部(室内側部)25の基材部は、ヴァージン樹脂原料のみで形成され、表面層を有していない。表層部(室外側部)21は、樹脂押出成形品20が樹脂サッシである場合、室外側に露出する部位である。中間部22は、表層部(室外側部)21に連続し、表面に露出しない部位である。樹脂押出成形品20の左縦框を示しており、右側の凹みにガラス100が載置されている。ガラス100は、表層部(室外側部)21と表層部(室内側部)125の間に挿入され、表層部(室外側部)21のガラス側端部にある凹部26に押縁が挿入されて固定される。ガラス100は外周端部にある上框、下框、右縦框も左框と同様の構成でこれら框により固定されている。
【0039】
表層部21は、上述の樹脂成形品1からなる。
【0040】
表層部(室内側部)25は、上述のヴァージン樹脂原料のみからなるが、表層部(室外側部)21と同様に基材層に表面層を設けてもよい。
【0041】
(樹脂押出成形品の製造方法)
樹脂押出成形品の製造方法は、
図7に示すように、樹脂を含むリサイクル材料を粉砕した一次粉をさらに二次粉砕して一次粉よりも微細な再生原料を得る工程(S13)と、ヴァージン樹脂原料と再生原料とを混合して混合樹脂原料を得る工程(S14)と、混合樹脂原料とアクリル系樹脂とを用いて、基材部と、基材部の表面に形成された表面層とを有する第1の表層部を押出形成するとともに、第1の表層部に連続する混合樹脂原料からなる中間部を押出形成し、ヴァージン樹脂原料を用いて、中間部に連続する第2の表層部を押出成形する工程(S15)と、樹脂押出成形品を得る工程(S16)とを含む。さらに、樹脂押出成形品の製造方法は、リサイクル材料を取得するため、廃棄物回収工程(S11)と、廃棄物を一次粉砕して一次粉を得る工程(S12)とを含む。なお、第1の表層部は表層部(室外側部)となり、第2の表層部は表層部(室内側部)となる。
【0042】
廃棄物回収工程(S11)、一次粉を得る工程(S12)、再生原料を得る工程(S13)および混合樹脂原料を得る工程(S14)は、上述の廃棄物回収工程(S1)、一次粉を得る工程(S2)、再生原料を得る工程(S3)および混合樹脂原料を得る工程(S4)と同様である。
【0043】
次に、押出成形加工を行う(S15)。押出成形は、従来の方法を用いる。樹脂押出成形品10をサッシの樹脂枠として製造する場合、樹脂枠を設置した状態で、外部に露出する部分、つまり外観上視認される露出部分のうち第1の表層部は、表面層を有し、ヴァージン樹脂原料とリサイクル材料の再生原料を含む材料で形成した複合材料で成形し、前記露出部分のうち第2の表層部は、ヴァージン樹脂原料のみで成形し、樹脂枠を設置した状態で、外観上視認されない非露出部分は、ヴァージン樹脂原料とリサイクル樹脂材料の再生原料を含む材料で形成した複合材料で成形する。なお、リサイクル材料の再生原料は、複数種類、例えば、樹脂製建具の廃材による再生原料と工場内で発生する廃材からなる再生原料を混合してもよいし、樹脂製建具や工場内で発生する廃材、その他の廃材からなる再生原料を用いてもよい。樹脂押出成形品10と表層部11の基材部13と表面層14は、2色成形により成形する。また、表層部11と中間部12と表層部15とを2色成形により成形する。
【0044】
この後、仕上げ処理を行い、樹脂押出成形品10を製品化する(S16)。仕上げ処理の際、樹脂押出成形品10の表層部11に顔料等を塗装してもよいし、樹脂シートで被覆してもよい。
【0045】
上述の樹脂押出成形品の製造方法では、混合樹脂原料とアクリル系樹脂とを用いて、基材部と、基材部の表面に形成された表面層とを有する第1の表層部を押出形成する場合を説明したが、本開示の樹脂押出成形品の製造方法はこれに限定されない。本開示の樹脂押出成形品の製造方法では、混合樹脂原料を用いて、基材部を押出形成した後、基材部の表面にアクリル系樹脂を塗布して、表面層を形成してもよい。
【0046】
リサイクル材料を含んで構成される成形品の場合、異物が全く混入しない状態で製品化するためには、リサイクル材料内の異物を全て除去する必要がある。しかし、リサイクル材料から異物を全て除去することは多大な手間を要する。これに対し、本開示の樹脂成形品1は、異物4の混入を許容しつつ、異物4に起因する品質の低下を最小限に抑えることができる。異物4に起因する品質の低下の一つとして、外観意匠性の低下が挙げられる。例えば、サッシの樹脂枠等は、外観上、人の目に付きやすい部品であり、かつ、長期間使用される部品である。そのため、樹脂成形品1の基材部2の表面2aに異物4による凹凸が多数表出すること、あるいは大きな異物が表出することによって、意匠性が低下する。これに対し、本開示の樹脂成形品1は、基材部2の表面2aに表出する異物4による凹凸の数を抑え、外観意匠性への影響を抑制できる。基材部2の表面2aに表出する異物4の数を抑えた結果、樹脂成形品1の不良品の発生率が抑制される。本開示の樹脂成形品1は、基材部2の表面2aおよびその近傍に表出する異物4の粒径を355μm以下の小さなサイズに抑えられるため、外観上、異物4を目立ち難くすることができる。この他、異物4に起因する品質の低下の例として、物性の低下が考えられる。本開示の樹脂成形品1は、二次粉砕することで異物4のサイズを小さくすることができる。この結果、異物4に起因する樹脂成形品1の物性低下を抑制できる。表出した異物4は外観上目立ち難くすることができるため、樹脂成形品1の品質低下を抑制できる。
【0047】
本開示の樹脂成形品1は、基材部2の表面2aおよびその近傍に表出する異物4の粒径を250μm以下の小さなサイズに抑えられるため、表面層3の厚さが薄くても、さらに外観上、異物4を目立ち難くすることができる。
【0048】
本開示の樹脂成形品1は、表面層の厚さが0.2mm以上0.5mm以下であるため、基材部2の表面2aにおいて異物4が認識されない。また、樹脂成形品1の引張伸び率が50%以上となり、樹脂成形品1は建具として十分な強度(破断しにくさ)を有する。
【0049】
上記実施形態の樹脂成形品1は、ヴァージン樹脂原料とリサイクル材料とからなる。樹脂成形品1は、基材部2の表面2aおよびその近傍の5cm2あたりに存在する異物4の数が平均6個以下であり、表出した異物4の数が極めて少ない。樹脂成形品1は、異物4が混入していても外観上の品質を低下させることなく、製品として実用に耐え得るものである。
【0050】
樹脂成形品1のマトリックス樹脂は、ポリ塩化ビニルを含む樹脂である。樹脂成形品1は、例えば、サッシの樹脂枠等の製造に採用できる。樹脂成形品1をサッシの樹脂枠等の製造に採用する結果、建具の製造において、廃棄物からのリサイクル材料の使用率を向上させることができ、カーボンニュートラル化の効果を発揮できる。
【0051】
上記実施形態に係る樹脂成形品1によれば、異物4は、マトリックス樹脂より融点が高い有機材料または熱硬化性樹脂などの無機物を除く材料であってもよいし、金属材料を含む場合もある。樹脂成形品1には、樹脂成形品1は、熱可塑性樹脂を主原料として押出成形して得るため、材料に熱硬化樹脂を含むと、樹脂成形品1に熱硬化性樹脂が残留して異物化しやすい。同様に、マトリックス樹脂より融点が高い材料を含むと、溶融せずに樹脂成形品1で異物化しやすい。しかし、樹脂成形品1は、微細な粒子に加工された再生原料を用いているため、再生原料に起因する異物4の大型化が抑制される。この結果、異物4として表出しやすい材料であるマトリックス樹脂より融点が高い有機材料や熱硬化樹脂が混入していても、樹脂成形品1の品質への影響が小さい。
【0052】
上記実施形態に係る樹脂成形品1によれば、異物の最小径が355μm以下であるため、異物4が樹脂成形品1の表面に表出しても、外観上目立たず、実用に耐え得る意匠性を保持できる。
【0053】
樹脂成形品1の引張破断伸び率は、25%以上である。このため、樹脂成形品1は、リサイクル材料を用い異物4が混入している樹脂成形品1であっても、実用に耐え得る物性が得られる。
【0054】
上記実施形態に係る樹脂成形品1によれば、基材部2は添加剤を含むことにより、樹脂成形品1の引張伸び率が向上し、樹脂成形品1は建具として十分な強度(破断しにくさ)を有する。また、基材部2の全重量(100重量%)に対する添加剤の含有量が0.05重量%以上3重量%以下であるため、引張破断伸びの効果が得られる。
【0055】
上記樹脂成形品の製造方法によれば、リサイクル材料を二次粉砕して微細な再生原料を得るため、異物4が混入していても、樹脂成形品の外観上、異物4が表出し難く、高品質な樹脂成形品を提供できる。
【0056】
上記樹脂成形品の製造方法によれば、粒子の最小径が355μm以下の再生原料を得るため、基材部2の表面2aおよびその近傍への異物4の表出を低減できる。上記樹脂成形品の製造方法では、粒子の最小径が355μm以下の再生原料を得るため、基材部2の表面2aおよびその近傍へ表出する異物4の大きさを微細な大きさに抑えることができ、外観上、異物4が目立ちにくい。
【0057】
上記樹脂成形品の製造方法によれば、再生原料の平均粒径がヴァージン樹脂原料の主原料の平均粒径未満となるように二次粉砕する。この結果、製造過程において、リサイクル材料由来の樹脂成分が溶融し易く、ヴァージン樹脂原料と良好に混ざり、樹脂成形品1の基材部2の表面2aおよびその近傍に異物4の表出することを低減できる。
【0058】
上記樹脂成形品の製造方法によれば、ヴァージン樹脂原料は、ポリ塩化ビニルを含む。樹脂成形品1は、例えば、サッシの樹脂枠等の製造に採用できる。樹脂成形品1をサッシの樹脂枠等の製造に採用する結果、建具の製造において、廃棄物からのリサイクル原料の使用率を向上させることができ、カーボンニュートラル化の効果を発揮できる。
【0059】
上記再生原料によれば、大きな粒子を含まないため、押出成形品を製造した際、大きな異物4が表出し難いため、成形品の材料として好適である。
【0060】
上記樹脂成形品の製造方法によれば、リサイクル材料として樹脂製建具の廃棄物を利用する。樹脂成形品の製造方法は、例えば、サッシの樹脂枠等の製造に採用できる。樹脂成形品1をサッシの樹脂枠等の製造において、廃棄物からのリサイクル原料の使用率を向上させることができる。この結果、樹脂材料のリユースが促進可能、かつヴァージン樹脂原料の使用を抑制できるため、上記樹脂成形品の製造方法は、サッシの樹脂枠の製造に関するカーボンニュートラル化の効果を発揮できる。
【0061】
上記実施形態によれば、リサイクル樹脂を含みながら高品質を実現できる樹脂成形品、および樹脂成形品の製造方法を提供できる。
【0062】
本開示の樹脂押出成形品10は、表層部11、15と、中間部12と、を有し、表層部11が本開示の樹脂成形品1からなるため、異物4が表層部11の基材部13の表面およびその近傍に表出しても、外観上目立たず、実用に耐え得る意匠性を保持できる。
【0063】
上記樹脂押出成形品の製造方法によれば、リサイクル材料を二次粉砕して微細な再生原料を得るため、異物が混入していても、樹脂成形品の外観上、異物が表出し難く、高品質な樹脂押出成形品を提供できる。
【0064】
上記樹脂押出成形品の製造方法によれば、粒子の最小径が355μm以下の再生原料を得るため、表層部11の基材部13の表面およびその近傍への異物の表出を低減できる。上記樹脂押出成形品の製造方法では、粒子の最小径が355μm以下の再生原料を得るため、基材部13の表面およびその近傍へ表出する異物の大きさを微細な大きさに抑えることができ、外観上、異物が目立ちにくい。
【0065】
上記樹脂押出成形品の製造方法によれば、再生原料の平均粒径が355μm以下となるように二次粉砕することができる。この結果、製造過程において、リサイクル材料由来の樹脂成分の表面積が大きくなるため、溶融し易く、ヴァージン樹脂原料と良好に混ざり、樹脂押出成形品10の表層部11の基材部13の表面およびその近傍に異物の表出することを低減できる。
【0066】
上記樹脂押出成形品の製造方法によれば、ヴァージン樹脂原料は、ポリ塩化ビニルを含む。樹脂押出成形品10は、例えば、サッシの樹脂枠等の製造に採用できる。樹脂押出成形品10をサッシの樹脂枠等に採用する結果、建具の製造において、廃棄物からのリサイクル原料の使用率を向上させることができ、カーボンニュートラル化の効果を発揮できる。
【0067】
上記再生原料によれば、大きな粒子を含まないため、押出成形品を製造した際、大きな異物が表出し難いため、成形品の材料として好適である。
【0068】
上記樹脂押出成形品の製造方法によれば、リサイクル材料として樹脂製建具の廃棄物を利用する。樹脂押出成形品の製造方法は、例えば、サッシの樹脂枠等の製造に採用できる。樹脂押出成形品10をサッシの樹脂枠等の製造において、廃棄物からのリサイクル材料の使用率を向上させることができる。この結果、樹脂材料のリユースが促進可能且つヴァージン樹脂原料の使用を抑制できるため、上記樹脂押出成形品の製造方法は、サッシの樹脂枠の製造に関するカーボンニュートラル化の効果を発揮できる。
【0069】
上記実施形態によれば、リサイクル樹脂を含みながら高品質を実現できる樹脂押出成形品、および樹脂押出成形品の製造方法を提供できる。
【0070】
上記実施形態は、例示であり、上記開示の範囲に限定されない。上述の実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、開示の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、特許請求の範囲とその均等の範囲に含まれる。例えば、一次粉砕及び二次粉砕を行っているが、1回の粉砕で粒子の最小径が355μm以下の粉砕としてもよいし、二次粉砕後の篩いわけを行わなくてもよい。
【0071】
上記実施形態では、マトリックス樹脂としてポリ塩化ビニルが主材料となる例を挙げたが、マトリックス樹脂はこの例に限定されない。例えば、マトリックス樹脂は、ABS、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ナイロン等であってもよい。
【実施例0072】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0073】
(実施例1)
上述の樹脂成形品の製造方法で樹脂成形品を得た例を示す。成形用材料は、一例として、PVC樹脂、アクリルゴム、酸化チタン、カルシウム、亜鉛系金属石鹸、高分子量変性アクリル、炭酸カルシウム、ポリオールエステル、ポリエチレンワックス、着色顔料を含む。PVC樹脂を含む樹脂材料はヴァージン樹脂原料である。PVC樹脂の原料はパウダー状である。その他の材料もヴァージン材料を用いた。
【0074】
リサイクル樹脂材料は、サッシの樹脂枠の廃棄物から得た。廃棄物の樹脂枠は、PVC樹脂を主材料とする樹脂枠を用いた。廃棄物の樹脂枠を取り出し、樹脂枠を粉砕して混合粉砕品を得る。混合粉砕品に残存する金属、軟性樹脂等の部品を取り除いて一次粉を得た。次に、一次粉を粉砕機で二次粉砕した。二次粉砕後、最小径が250μmを超える粒子を篩い分け、最小径が250μm以下の再生原料を得た。
図3に示すように、篩いを通すと仮定した際の最も篩いを通りやすい径を有する方向を最小方向Xと称する。最大粒径は、最小方向Xに交差する方向に沿う径のうち最も大きい寸法を最小径yと称する。最大長さDとは、篩が最も通りにくい方向Dにおける最大長さを示している。最長部の長さLと最大長さDは、一致しない場合がある。
【0075】
得られた再生原料を、ヴァージン樹脂原料のPVC樹脂ペレットと、その他の材料と混合し、成形用材料を得た。成形用材料に含まれるリサイクル樹脂材料の含有量は、10重量%である。また、表面層の材料(表面層成形用材料)としてアクリル樹脂(商品名:AM10、テクノUMG社製)を用いた。前記成形用材料と前記表面層成形用材料を用いて押出成形し、リサイクル樹脂材料を含む基材部と、基材部の表面に形成され、アクリル樹脂からなる表面層とを有する樹脂成形品を得た。表面層の厚さを0.35mm~0.40mmとした。
【0076】
(実施例2)
実施例1と同様の方法で再生原料を得た。実施例2では、最小径yが250μmを超え、300μm以下の再生原料を得た。得られた再生原料を実施例1と同様の条件で混合し、成形用材料を得た。得られた成形用材料と上記表面層成形用材料を用いて実施例1と同じ条件で押出成形し、リサイクル樹脂材料を含む基材部と、基材部の表面に形成され、アクリル樹脂からなる表面層とを有する樹脂成形品を得た。
【0077】
(実施例3)
実施例1と同様の方法で再生原料を得た。実施例3では、最小径yが300μmを超え、355μm以下の再生原料を得た。得られた再生原料を実施例1と同じの条件で混合し、成形用材料を得た。得られた成形用材料と上記表面層成形用材料を用いて実施例1と同じ条件で押出成形し、リサイクル樹脂材料を含む基材部と、基材部の表面に形成され、アクリル樹脂からなる表面層とを有する樹脂成形品を得た。
【0078】
(比較例1)
実施例1と同様の方法で再生原料を得た。比較例1では、最小径yが355μmを超え、425μm以下の再生原料を得た。得られた再生原料を実施例1と同じの条件で混合し、成形用材料を得た。得られた成形用材料と上記表面層成形用材料を用いて実施例1と同じ条件で押出成形し、リサイクル樹脂材料を含む基材部と、基材部の表面に形成され、アクリル樹脂からなる表面層とを有する樹脂成形品を得た。
【0079】
(比較例2)
実施例1と同様の方法で再生原料を得た。比較例2では、最小径yが425μmを超え、500μm以下の再生原料を得た。得られた再生原料を実施例1と同じの条件で混合し、成形用材料を得た。得られた成形用材料と上記表面層成形用材料を用いて実施例1と同じ条件で押出成形し、リサイクル樹脂材料を含む基材部と、基材部の表面に形成され、アクリル樹脂からなる表面層とを有する樹脂成形品を得た。
【0080】
(実施例4)
表面層の厚さを0.25mm~0.30mmとしたこと以外は実施例1と同様にして、リサイクル樹脂材料を含む基材部と、基材部の表面に形成され、アクリル樹脂からなる表面層とを有する樹脂成形品を得た。
【0081】
(実施例5)
表面層の厚さを0.25mm~0.30mmとしたこと以外は実施例2と同様にして、リサイクル樹脂材料を含む基材部と、基材部の表面に形成され、アクリル樹脂からなる表面層とを有する樹脂成形品を得た。
【0082】
(実施例6)
表面層の厚さを0.25mm~0.30mmとしたこと以外は実施例3と同様にして、リサイクル樹脂材料を含む基材部と、基材部の表面に形成され、アクリル樹脂からなる表面層とを有する樹脂成形品を得た。
【0083】
実施例1から6、および比較例1,2の各樹脂成形品の、単位面積当たりの基材部の表面に表出する異物の数を計測した。異物が外観に与える影響が小さい場合を「最良」、異物が単独では異物が外観に与える影響が大きくないが、異物が複数集まると異物が外観に与える影響が大きい場合を「良」、異物が外観に与える影響が大きい場合を「不良」と評価した。単位面積当たりの基材部の表面に表出する異物の数は目視とマイクロスコープ(マイクロスクェア製)で計測した。具体的には、測定範囲を6cm×6cmに区切ったエリア10箇所について、目視で確認できた異物の数を計測し、平均値を算出した。確認できた異物について、顕微鏡を用いて最長部の長さを計測した。測定した複数の異物のうち、最長部が最も長い異物の数値を代表値として表に記載する。
【0084】
【0085】
実施例1から実施例3の樹脂成形品は、いずれも、基材部の表面に表出した単位面積当たりの異物の数が低く抑えられた。外観意匠性について目視で評価した。その結果、実施例1から実施例3の樹脂成形品は、異物の存在が目立たず実用に耐えられる程度に良好であった。一方、比較例1、2の樹脂成形品は、異物の数および大きな異物が目立ち、目視による外観意匠性の評価では、不良品と言える評価であった。以上の様に、実施例1から実施例3の樹脂成形品は、リサイクル樹脂材料の含有量が多いにも関わらず、実用に耐えられる樹脂成形品が得られることが分かった。特に、実施例1は、基材部の表面に表出した単位面積当たりの異物の数および異物の最長長さの値を小さく抑えられることができた。また、実施例4から実施例6の樹脂成形品は、いずれも、基材部の表面に表出した単位面積当たりの異物の数が低く抑えられた。外観意匠性について目視で評価した。その結果、実施例4から実施例6の樹脂成形品は、異物の存在が目立たず実用に耐えられる程度に良好であった。特に、実施例4は、表面層の厚さが薄い場合、基材部の表面に表出した単位面積当たりの異物の数が低く抑えられた。
【0086】
本開示は以下を含む。
(1)リサイクル樹脂材料を含む樹脂成形品であって、マトリックス樹脂に、前記リサイクル樹脂材料由来であり、前記マトリックス樹脂と異なる成分からなる異物が含まれ、前記樹脂成形品の鉛の含有量VPBが0重量%<VPB≦3重量%である樹脂成形品。
(2)リサイクル樹脂の再生原料を含む第一樹脂材料で形成された第一樹脂成形部と、前記再生原料を含むリサイクル樹脂材料の含有率が前記第一樹脂成形部より低い、あるいはリサイクル樹脂材料を含まない第二樹脂材料で形成された第二樹脂成形部と、を含み、使用時に外観上露出する露出部位が前記第二樹脂成形部で構成され、前記露出部位より内側に位置し、使用時に外観上露出しない非露出部位が前記第一樹脂成形部で構成されるリサイクル樹脂製品。
(3)前記第二樹脂材料は、前記リサイクル樹脂材料を含まないヴァージン樹脂材料である(2)に記載のリサイクル樹脂製品。
1・・・樹脂成形品、2・・・基材部、3・・・表面層、4・・・異物、10・・・樹脂押出成形品、11・・・表層部、12・・・中間部、13・・・基材部、14・・・表面層、15・・・表層部、20・・・樹脂押出成形品、21・・・表層部、22・・・中間部、23・・・基材部、24・・・表面層、25・・・表層部、100・・・ガラス。