(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052652
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】同軸飛行時間型光ファイバ距離測定
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
A61B1/00 553
A61B1/00 621
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023171260
(22)【出願日】2023-10-02
(31)【優先権主張番号】63/377,889
(32)【優先日】2022-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500498763
【氏名又は名称】ジャイラス エーシーエムアイ インク ディー/ビー/エー オリンパス サージカル テクノロジーズ アメリカ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ・エー・ベイカー
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・マーカス
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161HH52
4C161HH56
4C161JJ17
4C161QQ07
(57)【要約】
【課題】内視鏡先端と標的との間の距離を決定および制御するためのシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】レーザ組織アブレーションシステムにおいて光ファイバの遠位端は内視鏡から伸長することができる。光ファイバは第1の時間において治療用レーザ光パルスを受光し、第2の時間において測定光パルスを受光し、治療用レーザ光パルスおよび測定光パルスを標的に導き、標的から反射された測定光パルスの少なくとも一部を収集された光パルスとして収集し、収集された光パルスの少なくとも一部を、戻り光パルスとして、光ファイバの遠位端から遠ざけるように導くことができる。光検出器は、戻り光パルスの少なくとも一部を感知することができる。プロセッサ回路は、光ファイバの遠位端と標的との間の間隔を決定するために、感知された戻り光パルスの飛行時間分析を実行することができ、決定された間隔を表す間隔データ信号を生成することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡と、
前記内視鏡から伸長する遠位端を含む光ファイバであって、
第1の時間において治療用レーザ光パルスを受光することと、
前記第1の時間とは異なる第2の時間において測定光パルスを受光することと、
前記光ファイバの前記遠位端から標的に向けて現れるように、前記治療用レーザ光パルスおよび前記測定光パルスを前記光ファイバに沿って導くことと、
前記標的から反射された前記測定光パルスの少なくとも一部を収集された光パルスとして収集することと、
前記収集された光パルスの少なくとも一部を、戻り光パルスとして、前記光ファイバに沿って前記光ファイバの前記遠位端から遠ざけるように導くことと
をするように構成された光ファイバと、
前記戻り光パルスの少なくとも一部を感知するように構成された光検出器と、
プロセッサ回路であって、
前記光ファイバの前記遠位端と前記標的との間の間隔を決定するために、前記感知された戻り光パルスの飛行時間分析を実行することと、
前記決定された間隔を表す間隔データ信号を生成することと
をするように構成されたプロセッサ回路と
を備えるレーザ組織アブレーションシステム。
【請求項2】
前記内視鏡から離間され、前記第1の時間において前記治療用レーザ光パルスを生成するように構成された治療用レーザ光源と、
前記内視鏡から離間され、前記第2の時間において前記測定光パルスを生成するように構成された測定光源と
をさらに備える、請求項1に記載のレーザ組織アブレーションシステム。
【請求項3】
前記プロセッサ回路が、個々の戻り光パルスについて、前記光検出器による前記戻り光パルスの前記感知と、対応する参照信号の到着との間の持続時間を決定することによって、前記感知された戻り光パルスの前記飛行時間分析を実行するように構成された、請求項2に記載のレーザ組織アブレーションシステム。
【請求項4】
前記測定光パルスが、前記光ファイバに沿って前記光ファイバの前記遠位端から遠ざかるように伝播する参照光パルスを形成するように、前記光ファイバの前記遠位端から反射し、
前記光検出器が、前記参照光パルスの少なくとも一部を感知し、それに応答して前記参照信号を形成するようにさらに構成される、
請求項3に記載のレーザ組織アブレーションシステム。
【請求項5】
前記測定光源が、前記測定光パルスに対応する時間において参照電気パルスを生成するようにさらに構成され、前記参照電気パルスが前記参照信号を形成する、請求項3に記載のレーザ組織アブレーションシステム。
【請求項6】
前記測定光源が、第1の波長において第1の測定光パルスを生成するように構成された第1の光源と、前記第1の波長とは異なる第2の波長において第2の測定光パルスを生成するように構成された第2の光源とを含み、
前記光ファイバが、前記第1の測定光パルスおよび前記第2の測定光パルスが異なる速度において前記光ファイバに沿って伝播するように、非ゼロ分散を有するファイバ材料を含み、
前記第1の測定光パルスが、前記戻り光パルスを形成し、
前記第2の測定光パルスが、前記対応する参照信号を生成するために、前記光検出器によって感知される、
請求項3に記載のレーザ組織アブレーションシステム。
【請求項7】
前記プロセッサ回路が、前記間隔データ信号によって表される前記決定された間隔に応答して、前記治療用レーザ光源の少なくとも1つの動作パラメータを変化させるようにさらに構成される、請求項2に記載のレーザ組織アブレーションシステム。
【請求項8】
前記治療用レーザ光源が、第1の光路に沿って前記治療用レーザ光パルスを導くように構成され、
前記測定光源が、第2の光路に沿って前記測定光パルスを導くように構成され、前記測定光パルスが、前記治療用レーザ光パルスから分光的に分離され、
前記レーザ組織アブレーションシステムが、前記光ファイバ内に伸長する第3の光路に沿って整列するように前記第1および第2の光路を組み合わせるように配置されたダイクロイックビームスプリッタをさらに備える、
請求項2に記載のレーザ組織アブレーションシステム。
【請求項9】
前記間隔データ信号によって表される前記決定された間隔が指定されたしきい値間隔未満である場合、前記プロセッサ回路が、前記治療用レーザ光源を自動的にオフにするようにさらに構成される、請求項2に記載のレーザ組織アブレーションシステム。
【請求項10】
前記光ファイバが、
前記標的から反射された前記治療用光パルスの少なくとも一部を収集された治療用光パルスとして収集することと、
前記収集された治療用光パルスの少なくとも一部を、戻り治療用光パルスとして、前記光ファイバに沿って前記光ファイバの前記遠位端から遠ざけるように導くことと
をするようにさらに構成され、
前記レーザ組織アブレーションシステムが、前記戻り治療用光パルスを分析するように構成された分光計をさらに備える、
請求項2に記載のレーザ組織アブレーションシステム。
【請求項11】
前記測定光源がLIDAR光源であり、
前記光検出器がLIDAR検出器であり、
前記レーザ組織アブレーションシステムが、
前記戻り治療用光パルスから前記戻り光パルスを分離することと、
前記戻り光パルスを前記LIDAR検出器に導くことと、
前記戻り治療用光パルスを前記分光計に導くことと
をするように構成されたビームスプリッタをさらに備え、
前記プロセッサ回路が、前記決定された間隔を表すデータを前記分光計に電子的に通信するように構成される、
請求項10に記載のレーザ組織アブレーションシステム。
【請求項12】
前記プロセッサ回路が、個々の戻り光パルスについて、
前記戻り光パルスの第1の持続時間に対する蓄積光の第1の量を決定することと、
前記戻り光パルスの第2の持続時間に対する蓄積光の第2の量を決定することと、
前記光ファイバの前記遠位端と前記標的との間の前記間隔を決定するために、蓄積光の前記第1および第2の量の比率を使用することと
によって、前記感知された戻り光パルスの前記飛行時間分析を実行するように構成される、
請求項1に記載のレーザ組織アブレーションシステム。
【請求項13】
前記内視鏡に対して前記光ファイバを遠位方向に前進させ、前記光ファイバを近位方向に後退させるように構成されたアクチュエータをさらに備え、
前記プロセッサ回路が、
前記決定された間隔を指定されたしきい値と比較することと、
前記アクチュエータに、前記決定された間隔と前記指定されたしきい値との間の差を自動的に減少させることと
ようにさらに構成される、
請求項1に記載のレーザ組織アブレーションシステム。
【請求項14】
前記アクチュエータがホイールを備え、
前記ホイールが、前記内視鏡に対して位置において固定された中心を有し、
前記ホイールが、前記光ファイバと接触する周面を有し、
前記ホイールが、回転アクチュエータから回転可能である、
請求項13に記載のレーザ組織アブレーションシステム。
【請求項15】
前記内視鏡の遠位端において配置され、可視照明光で前記標的を照明するように構成された照明光源と、
前記内視鏡の前記遠位端において配置され、前記照明された標的のビデオ画像を生成するように構成されたカメラと、
前記プロセッサ回路に結合され、前記照明された標的の前記ビデオ画像と、前記間隔データ信号によって表される前記決定された間隔の視覚的表現とを表示するように構成されたディスプレイと
をさらに備える、請求項1に記載のレーザ組織アブレーションシステム。
【請求項16】
内視鏡と、前記内視鏡から伸長する遠位端を含む光ファイバとを含むレーザ組織アブレーションシステムを動作させるための方法であって、
前記光ファイバを用いて、第1の時間において治療用レーザ光パルスを受光するステップと、
前記光ファイバを用いて、前記第1の時間とは異なる第2の時間において測定光パルスを受光するステップと、
前記光ファイバの前記遠位端から標的に向けて現れるように、前記治療用レーザ光パルスおよび前記測定光パルスを前記光ファイバに沿って導くステップと、
前記光ファイバを用いて、前記標的から反射された前記測定光パルスの少なくとも一部を収集された光パルスとして収集するステップと、
前記収集された光パルスの少なくとも一部を、戻り光パルスとして、前記光ファイバに沿って前記光ファイバの前記遠位端から遠ざけるように導くステップと、
光検出器を用いて、前記戻り光パルスの少なくとも一部を感知するステップと、
前記光ファイバの前記遠位端と前記標的との間の間隔を決定するために、前記感知された戻り光パルスの飛行時間分析を実行するステップと、
前記決定された間隔を表す間隔データ信号を生成するステップと
を含む、方法。
【請求項17】
前記飛行時間分析を実行するステップが、個々の戻り光パルスについて、
前記光検出器による前記戻り光パルスの前記感知と、対応する参照信号の到着との間の持続時間を決定するステップを含む、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記飛行時間分析を実行するステップが、個々の戻り光パルスについて、
前記戻り光パルスの第1の持続時間に対する蓄積光の第1の量を決定するステップと、
前記戻り光パルスの第2の持続時間に対する蓄積光の第2の量を決定するステップと、
前記光ファイバの前記遠位端と前記標的との間の前記間隔を決定するために、蓄積光の前記第1および第2の量の比率を使用するステップと
を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記光ファイバを用いて、前記標的から反射された前記治療用光パルスの少なくとも一部を、収集された治療用光パルスとして収集するステップと、
前記収集された治療用光パルスの少なくとも一部を、戻り治療用光パルスとして、前記光ファイバに沿って前記光ファイバの前記遠位端から遠ざけるように導くステップと、
分光計を用いて、前記戻り治療用光パルスを分析するステップと、
前記決定された間隔を表すデータを前記分光計に電気的に通信するステップと
をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
第1の時間において治療用レーザ光パルスを生成するように構成された治療用レーザ光源と、
前記第1の時間とは異なる第2の時間において測定光パルスを生成するように構成された測定光源と、
前記治療用レーザ光源および前記測定光源から離間された内視鏡と、
前記内視鏡から伸長する遠位端を含む光ファイバであって、
前記光ファイバの前記遠位端から標的に向けて現れるように、前記治療用レーザ光パルスおよび前記測定光パルスを前記光ファイバに沿って導くことと、
前記標的から反射された前記測定光パルスの少なくとも一部を収集された光パルスとして収集することと、
前記収集された光パルスの少なくとも一部を、戻り光パルスとして、前記光ファイバに沿って前記光ファイバの前記遠位端から遠ざけるように導くことと、
前記標的から反射された前記治療用光パルスの少なくとも一部を、収集された治療用光パルスとして収集することと、
前記収集された治療用光パルスの少なくとも一部を、戻り治療用光パルスとして、前記光ファイバに沿って前記光ファイバの前記遠位端から遠ざけるように導くことと
をするように構成された光ファイバと、
前記戻り光パルスの少なくとも一部を感知するように構成された光検出器と、
前記戻り治療用光パルスを分析するように構成された分光計と、
プロセッサ回路であって、
前記光ファイバの前記遠位端と前記標的との間の間隔を決定するために、前記感知された戻り光パルスの飛行時間分析を実行することと、
前記決定された間隔を表す間隔データ信号を生成することと、
前記間隔データ信号を前記分光計に電子的に通信することと
をするように構成されたプロセッサ回路と、
前記内視鏡の遠位端において配置され、可視照明光で前記標的を照明するように構成された照明光源と、
前記内視鏡の前記遠位端において配置され、前記照明された標的のビデオ画像を生成するように構成されたカメラと、
前記プロセッサ回路に結合され、前記照明された標的の前記ビデオ画像と、前記間隔データ信号によって表される前記決定された間隔の視覚的表現とを表示するように構成されたディスプレイと
を備える、レーザ組織アブレーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、2022年9月30日に出願した米国仮出願第63/377,889号の利益を主張するものである。
【0002】
本文書は、一般に内視鏡システムに関し、より具体的には、内視鏡先端と標的との間の距離を決定および制御するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
医師、施術者、またはユーザなどの操作者は、患者の内部の場所への視覚的アクセスを提供するために内視鏡を使用することができる。操作者は、患者の体内に内視鏡を挿入することができる。内視鏡は、標的の解剖学的構造または物体などの検査される標的に光を送達することができる。内視鏡は、物体から反射された光を収集することができる。反射された光は、検査される標的に関する情報を伝えることができる。
【0004】
内視鏡は、作業チャネルを含むことができる。いくつかの例において、操作者は、作業チャネルを通じて吸引を実行することができる。いくつかの例において、操作者は、ブラシ、生検針、または鉗子などの器具を作業チャネルに通すことができる。いくつかの例において、操作者は、患者の身体から不要な組織または異物を除去するなどのために、作業チャネルを通じて低侵襲手術を実行することができる。
【0005】
内視鏡は、アブレーション、凝固、気化、断片化、砕石術などのレーザ治療を実行するためにレーザまたはプラズマシステムを使用することができる。レーザ治療において、操作者は、軟組織または硬組織などの様々な標的治療領域に外科用レーザエネルギーを送達するために内視鏡を使用することができる。砕石術において、操作者は、患者の腎臓、胆嚢、尿管、もしくは他の結石形成領域内の結石構造を破壊するため、または大きい結石をより小さい破片にアブレートするために外科用レーザエネルギーを送達するために内視鏡を使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2021/0161364号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一例において、レーザ組織アブレーションシステムは、内視鏡と、内視鏡から伸長する遠位端を含む光ファイバであって、第1の時間において治療用レーザ光パルスを受光することと、第1の時間とは異なる第2の時間において測定光パルスを受光することと、光ファイバの遠位端から標的に向けて現れるように、治療用レーザ光パルスおよび測定光パルスを光ファイバに沿って導くことと、標的から反射された測定光パルスの少なくとも一部を収集された光パルスとして収集することと、収集された光パルスの少なくとも一部を、戻り光パルスとして、光ファイバに沿って光ファイバの遠位端から遠ざけることとをするように導くように構成された光ファイバと、戻り光パルスの少なくとも一部を感知するように構成された光検出器と、プロセッサ回路であって、光ファイバの遠位端と標的との間の間隔を決定するために、感知された戻り光パルスの飛行時間分析を実行することと、決定された間隔を表す間隔データ信号を生成することとをするように構成されたプロセッサ回路とを備えることができる。
【0008】
一例において、内視鏡と、内視鏡から伸長する遠位端を含む光ファイバとを含むレーザ組織アブレーションを動作させるための方法は、光ファイバを用いて、第1の時間において治療用レーザ光パルスを受光するステップと、光ファイバを用いて、第1の時間とは異なる第2の時間において測定光パルスを受光するステップと、光ファイバの遠位端から標的に向けて現れるように、治療用レーザ光パルスおよび測定光パルスを光ファイバに沿って導くステップと、光ファイバを用いて、標的から反射された測定光パルスの少なくとも一部を収集された光パルスとして収集するステップと、収集された光パルスの少なくとも一部を、戻り光パルスとして、光ファイバに沿って光ファイバの遠位端から遠ざけるように導くステップと、光検出器を用いて、戻り光パルスの少なくとも一部を感知するステップと、光ファイバの遠位端と標的との間の間隔を決定するために、感知された戻り光パルスの飛行時間分析を実行するステップと、決定された間隔を表す間隔データ信号を生成するステップとを含むことができる。
【0009】
一例において、レーザ組織アブレーションシステムは、第1の時間において治療用レーザ光パルスを生成するように構成された治療用レーザ光源と、第1の時間とは異なる第2の時間において測定光パルスを生成するように構成された測定光源と、治療用レーザ光源および測定光源から離間された内視鏡と、内視鏡から伸長する遠位端を含む光ファイバであって、光ファイバの遠位端から標的に向けて現れるように、治療用レーザ光パルスおよび測定光パルスを光ファイバに沿って導くことと、標的から反射された測定光パルスの少なくとも一部を収集された光パルスとして収集することと、収集された光パルスの少なくとも一部を、戻り光パルスとして、光ファイバに沿って光ファイバの遠位端から遠ざけるように導くことと、標的から反射された治療用光パルスの少なくとも一部を、収集された治療用光パルスとして収集することと、収集された治療用光パルスの少なくとも一部を、戻り治療用光パルスとして、光ファイバに沿って光ファイバの遠位端から遠ざけるように導くこととをするように構成された光ファイバと、戻り光パルスの少なくとも一部を感知するように構成された光検出器と、戻り治療用光パルスを分析するように構成された分光計と、プロセッサ回路であって、光ファイバの遠位端と標的との間の間隔を決定するために、感知された戻り光パルスの飛行時間分析を実行することと、決定された間隔を表す間隔データ信号を生成することと、間隔データ信号を分光計に電子的に通信するように構成されたプロセッサ回路と、内視鏡の遠位端において配置され、可視照明光で標的を照明するように構成された照明光源と、内視鏡の遠位端において配置され、照明された標的のビデオ画像を生成するように構成されたカメラと、プロセッサ回路に結合され、照明された標的のビデオ画像と、間隔データ信号によって表される決定された間隔の視覚的表現とを表示するように構成されたディスプレイとを備えることができる。
【0010】
様々な実施形態が、添付図面の図において例として示されている。そのような実施形態は、例証的であり、本主題の網羅的または排他的な実施形態はであることを意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】レーザ組織アブレーションシステムの一例の概略側面図である。
【
図2】レーザ組織アブレーションシステムを動作させるための方法の一例のフローチャートである。
【
図3】距離の値を提供するように構成された例示的なコンピュータベースの臨床判断支援システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
レーザ療法治療において、施術者は、内視鏡の遠位端を腎臓結石などの標的の近くに配置することができる。内視鏡は、光ファイバの遠位端を介するなどして、治療用レーザ光を標的に送達することができる光ファイバを含むことができる。治療中、光ファイバの遠位端と標的との間の分離を動的に監視または動的に制御することが有益である可能性がある。例えば、光ファイバの遠位端が標的に近すぎる位置にある場合、光ファイバの遠位端を劣化させる可能性があるフラッシングとして知られる状態になる可能性がある。同様に、光ファイバの遠位端が標的から遠すぎる位置にある場合、治療用レーザ光のかなりの部分が、標的に達する前に吸収される可能性があり、これは、レーザ療法治療の効率を低下させるか、または処置を長引かせる原因となる可能性がある。
【0013】
以下に詳述するレーザ組織アブレーションシステムは、光ファイバの遠位端と標的との間の分離(以下の段落において「リアルタイム分離」と呼ぶ)を動的に監視するために、光ファイバを通って戻る光に対して飛行時間技法を使用することができる。
【0014】
具体的には、レーザ療法治療中、外科システムは、リアルタイム分離を動的に決定するために、光ファイバを通って戻る光に対して飛行時間技法を使用することができ、リアルタイム分離値に応答して、ユーザフィードバックを提供するおよび/またはアクションを起こすことができる。例えば、外科システムは、ディスプレイ上に数値を表示すること、ディスプレイ上にリアルタイム分離のグラフィカル表現を表示すること、リアルタイム分離がいくつかの指定された範囲(小さすぎる、許容範囲、大きすぎるなど)のうちの1つにあるときを示す視覚的インジケータを表示すること、音声アラートを再生することなどの、リアルタイム分離を表すユーザフィードバックを施術者に提供することができる。別の例として、外科システムは、リアルタイム分離が低すぎる場合に光ファイバを遠位方向に後退させること、リアルタイム分離の指定された値を有するように光ファイバの遠位端を自動的に位置決めすることなど、リアルタイム分離に応答してアクションを起こすことができる。
【0015】
飛行時間測定は、光ファイバを通って戻る光を使用するので、測定技法は、同軸であると呼ばれる場合がある。
【0016】
図1は、レーザ組織アブレーションシステム100の一例の概略側面図を示す。レーザ組織アブレーションシステム100は、内視鏡102を含むことができる。内視鏡102は、操作者によって把持されることが可能であり、操作者は、必要に応じて、患者の1つまたは複数の内部位置における腎臓結石などの1つまたは複数の標的を観察およびアブレートするために、内視鏡102を位置決めすることができる。いくつかの例において、内視鏡102は、剛性であり得る。1つまたは複数の例において、内視鏡102は、伸長軸に沿って伸長されることが可能である。内視鏡102は、伸長軸に沿って内視鏡102を通って伸長する1つまたは複数のチャネル、通路、または開口部を含むことができる。例えば、内視鏡102は、作業チャネルを含むことができる。いくつかの例において、操作者は、作業チャネルを通じて吸引を実行することができる。いくつかの例において、操作者は、ブラシ、生検針、または鉗子などの器具を作業チャネルに通すことができる。いくつかの例において、操作者は、患者の身体から不要な組織または異物を除去するなどのために、作業チャネルを通じて低侵襲手術を実行することができる。別の例として、内視鏡102は、標的の破片を洗い流すなどのために、標的部位に灌注剤を供給することができる灌注チャネルを含むことができる。他のチャネルも使用されることが可能である。
【0017】
レーザ組織アブレーションシステム100は、内視鏡102の遠位端106に配置された照明光源104を含むことができる。例えば、照明光源104は、内視鏡102の遠位端106に配置された1つまたは複数の発光ダイオードを含むことができる。いくつかの例において、発光ダイオードは、白色発光ダイオードであることが可能である。例えば、白色発光ダイオードは、青色光または紫色光の一部またはすべてを吸収することができ、それに応答して、電磁スペクトルの黄色部分におけるような1つまたは複数のより長い波長の光を放射することができる蛍光体と結合された青色または紫色発光ダイオードを含むことができる。他の照明光源も使用されることが可能である。照明光源104は、可視光照明スペクトル範囲を有する可視光照明で標的108を照明することができる。いくつかの例において、可視光照明スペクトル範囲は、電磁スペクトルの可視部分における波長を含むことができる。
【0018】
レーザ組織アブレーションシステム100は、内視鏡102の遠位端106に配置されたビデオカメラ110を含むことができる。いくつかの例において、ビデオカメラ110は、レンズと、レンズの焦点面に配置されたセンサ素子と、センサ素子によって生成された電気信号をデジタル信号に変換することができる電子装置とを含むことができる。ビデオカメラ要素は、内視鏡102の遠位端106において、比較的小さい密封パッケージ内に配置されることが可能である。ビデオカメラ110は、照明された標的108のリアルタイムビデオ画像をキャプチャすることができる。
【0019】
レーザ組織アブレーションシステム100は、照明された標的108のビデオ画像を表示することができるビデオディスプレイ112を含むことができる。例えば、ビデオディスプレイ112は、内視鏡102から離れた機器のラック上またはラック内に取り付けられることが可能である。ビデオディスプレイ112は、照明光源104からの白色光で照明された標的108のリアルタイム画像を施術者に提供することができる。
【0020】
レーザ組織アブレーションシステム100は、パルスレーザ光などのレーザ光を生成することができる治療用レーザ光源114を含むことができる。いくつかの例において、治療用レーザ光源114は、第1の時間において治療用レーザ光パルスを生成することができる。治療用レーザ光源114は、内視鏡102が操作者によって位置決め可能であることが可能であるように、内視鏡102から離れて配置されることが可能であり、一方、治療用レーザ光源114は、処置中、内視鏡102から離間した固定位置に留まることができるレーザハウジング内に配置されることが可能である。いくつかの例において、治療用レーザ光源114は、約1920nmと約1960nmとの間の1つまたは複数の波長を有する光を生成することができるツリウムファイバレーザを含むことができる。いくつかの例において、治療用レーザ光源114は、2010nmの波長の光を生成することができるツリウム:YAG(イットリウムアルミニウムガーネット)レーザを含むことができる。いくつかの例において、治療用レーザ光源114は、2120nmの波長の光を生成することができるホルミウム:YAGレーザを含むことができる。いくつかの例において、治療用レーザ光源114は、2940nmの波長の光を生成することができるエルビウム:YAGレーザを含むことができる。いくつかの例において、治療用レーザ光源114によって生成されるレーザ光は、約1908nmと約2940nmとの間、もしくは約1920nmと1960nmとの間、約1900nmと約1940nmとの間、約1900nmよりも大きい、約1800nmよりも大きい、または他の波長などの第1の波長を含むことができる。これら(および他の)治療用レーザ光源について、レーザ光は、水(組織の主要成分)が比較的高い吸収を有する電磁スペクトルの部分における波長を有することができる。処置中、組織は、レーザ光を吸収する可能性があり、局所的に比較的高い温度に加熱する可能性があり、組織内の局所的な熱歪みによって分解する可能性がある。
【0021】
レーザ組織アブレーションシステム100は、第1の時間とは異なる第2の時間において測定光パルスを生成することができる測定光源158を含むことができる。例えば、第1および第2の時間は、測定光源158が光を生成していないときに治療用レーザ光源114が治療用レーザ光パルスを生成し、治療用レーザ光源114が光を生成していないときに測定光源158が測定光パルスを生成するように、交互にされることが可能である。別の例として、治療用レーザ光源114は、一連のパルス(10パルスなど)を生成することができ、測定光源158は、測定光パルスを生成することができ、必要に応じて11パルスのシーケンスが繰り返されることが可能である。これらは、第1の時間とは異なる第2の時間において測定光パルスを生成するための方式の例に過ぎず、他の方式が使用されることも可能である。
【0022】
レーザ組織アブレーションシステム100は、内視鏡102から伸長することができる光ファイバ116を含むことができる。いくつかの例において、光ファイバ116は、マルチモード光ファイバであることが可能である。いくつかの例において、光ファイバ116は、内視鏡102の遠位端106から伸長する遠位端118を有することができる。
【0023】
治療用レーザ光源114および測定光源158は、治療用レーザ光源光ファイバ122および自由空間光カプラ/スプリッタ124を介するなどして、治療用レーザ光パルスおよび測定光パルスを、それぞれ、異なる時間において、光ファイバ116の近位部分120に導くことができる。自由空間光カプラ/スプリッタ124は、治療用レーザ光源光ファイバ122の遠位端128において焦点面が位置するコリメートレンズ126を含むことができ、コリメートレンズ126は、治療用レーザ光源114からの光をコリメートする(または少なくとも部分的に集束する)ことができる。コリメートされた光は、戻り経路ビームスプリッタ130を通過し、双方向集束レンズ132によって光ファイバ116の近位部分120上に集束されることが可能である。自由空間光カプラ/スプリッタ124は、測定光源158からの測定光パルスを受光し、治療用レーザ光源114からの治療用レーザ光パルスと共通の光路上に測定光パルスを導くことができる入射経路ビームスプリッタ160を含むことができる。いくつかの例において、治療用レーザ光源114は、第1の光路に沿って治療用レーザ光パルスを導くことができ、測定光源158は、第2の光路に沿って測定光パルスを導くことができ、測定光パルスは、治療用レーザ光パルスから分光的に分離され、入射経路ビームスプリッタ160は、光ファイバ116内に伸長する第3の光路に沿って整列するように第1および第2の光路を組み合わせるように配置されたダイクロイックビームスプリッタであることが可能である。双方向集束レンズ132は、治療用レーザ光パルス(例えば、第1の時間において)および測定光パルス(例えば、第2の時間において)を光ファイバ116の近位部分120上に導くことができる。双方向集束レンズ132は、光ファイバ116を通って戻る戻り光をコリメートすることができる。戻り経路ビームスプリッタ130は、戻り光のすべてまたは一部(またはスペクトル部分)を戻り経路集束レンズ134上に導くことができ、戻り経路集束レンズ134は、戻り光を戻り経路光ファイバ138の端136上に集束させることができる。戻り経路光ファイバ138は、戻り光をセンサ(以下で説明する)に導くことができる。自由空間光カプラ/スプリッタ124は、そのようなカプラ/スプリッタのための1つの構成に過ぎない。代替的には、ファイバベースの光カプラ/スプリッタも使用されることが可能である。
【0024】
光ファイバ116は、第1の時間において治療用レーザ光パルスを受光することができる。光ファイバ116は、第1の時間とは異なる第2の時間において測定光パルスを受光することができる。光ファイバ116は、治療用レーザ光パルスおよび測定光パルスを光ファイバ116に沿って、光ファイバ116の遠位端118から標的108に向かって現れるように導くことができる。光ファイバ116は、標的108から反射された測定光パルスの少なくとも一部を収集された光パルスとして収集することができる。光ファイバ116は、収集された光パルスの少なくとも一部を、戻り光として、光ファイバ116に沿って光ファイバ116の遠位端118から遠ざけるように導くことができる。
【0025】
レーザ組織アブレーションシステム100は、戻り光パルスの少なくとも一部を感知することができる光検出器140を含むことができる。光検出器140は、戻り光パルスなどの光信号を内部電気信号に変換することができる感光センサ素子142を含むことができる。光検出器140は、
図1の構成において示すように、センサ回路144も含むことができ、センサ回路144は、感光センサ素子142からの内部電気信号を、プロセッサ回路148(以下で説明する)によって解釈されることが可能なアナログまたはデジタルセンサデータ信号146に変換または処理することができる。光検出器140は、1つまたは複数の波長感応素子をさらに含むことができ、これは、センサ回路144が波長の関数として戻り光の強度測定値を提供することを可能にする。
【0026】
例えば、光検出器140の波長感応素子は、治療用レーザ光から測定光を分離することができるダイクロイックビームスプリッタ(例えば、戻り経路ビームスプリッタ130上の薄膜コーティングとして実装される)を含むことができる。ダイクロイックビームスプリッタは、しきい値波長を有することができ、しきい値波長よりも短い波長を有する光を第1の光路に沿って導くことができ、しきい値波長よりも長い波長を有する光を第2の光路に沿って導くことができる。しきい値波長は、測定光の波長と治療用レーザ光の波長との間の任意の適切な波長値を有することができる。いくつかの例において、ダイクロイックビームスプリッタは、プリズムなどの透明な光学素子の表面上の薄膜コーティングとして実装されることが可能である。
【0027】
いくつかの構成において、光検出器140は、戻り光を受光し、治療レーザ光を第1の光路に沿って導き、測定光を第2の光路に沿って導くことができるダイクロイックビームスプリッタ(例えば、戻り経路ビームスプリッタ130上の薄膜コーティングとして実装される)を含むことができる。光検出器140の感光センサ素子142は、第2の光路からの光を検出することができるセンサ素子または検出器を含むことができる。いくつかの例において、感光センサ素子142は、単一の検出器素子を含むことができる。他の例において、感光センサ素子142は、マルチピクセル検出器素子を含むことができる。光検出器140は、光センサによって受光された光に応答して1つまたは複数のセンサデータ信号146を生成することができるセンサ回路144をさらに含むことができる。プロセッサ回路148(以下で説明する)は、フラッシングイベントが発生したかどうかおよび/またはフラッシングイベントがいつ発生したかを判定するために1つまたは複数のセンサデータ信号146を分析することができる。
【0028】
いくつかの構成において、光検出器140のセンサ回路144(およびオプションで光検出器140の波長感応素子)は、戻り光を分光的に測定することができる分光計を含むことができる。これらの構成について、感光センサ素子142は、戻り光のすべてまたは一部を受光することができる分光計センサまたは分光計検出器を含むことができる。これらの構成について、センサデータ信号146は、波長の関数として光強度(または振幅、または他の適切な測光量)を表すデータを含む分光計出力信号であることが可能である。プロセッサ回路148(以下で説明する)は、標的108の分光プロファイルおよび/または標的108の材料組成を決定するために分光計出力信号を分析することができる。
【0029】
光検出器140が分光計を含む構成について、レーザ組織アブレーションシステム100は、戻り光に基づいて、標的108の分析をオプションで実行することができる。例えば、光ファイバ116は、標的108から反射された治療用光パルスの少なくとも一部を、収集された治療用光パルスとして収集することができる。光ファイバ116は、収集された治療用光パルスの少なくとも一部を、戻り治療用光パルスとして、光ファイバ116に沿って光ファイバ116の遠位端118から遠ざけるように導くことができる。分光計は、戻り治療用光パルスを分析することができる。いくつかの例において、プロセッサ回路148(以下で説明する)は、標的108の測定された分光プロファイルと、既知の材料に対応する指定された(有限の)複数の所定の分光プロファイルの1つまたは複数とを照合することによるなどして、標的108の材料組成を決定するために標的108の分光プロファイルを使用することができる。これらは、例に過ぎず、標的108の他の適切な分析も実行されることが可能である。
【0030】
レーザ組織アブレーションシステム100は、プロセッサ回路148を含むことができる。いくつかの例において、プロセッサ回路148は、コントローラと呼ばれる場合もある。いくつかの例において、プロセッサ回路148は、純粋にソフトウェアにおいて実装され得る。いくつかの例において、プロセッサ回路148は、純粋にハードウェアにおいて実装され得る。いくつかの例において、プロセッサ回路148は、ソフトウェアとハードウェアの組合せとして実装され得る。いくつかの例において、プロセッサ回路148は、単一のプロセッサ上に実装され得る。いくつかの例において、プロセッサ回路148は、複数のプロセッサ上に実装され得る。いくつかの例において、複数のプロセッサは、共通のハウジング内に収容され得る。いくつかの例において、複数のプロセッサのうちの少なくとも2つが、異なるハウジング内に間隔を開けて配置され得る。
【0031】
いくつかの例において、自由空間光カプラ/スプリッタ124、光検出器140、および処理回路148は、ハウジング150内に含まれることが可能である。治療用レーザ光源114は、治療用レーザ光源光ファイバ122を介してハウジング内にレーザ光を導くことができる。光ファイバ116は、レーザ光をハウジング150から内視鏡102に導くことができ、内視鏡102をハウジング150に繋ぎ止めることができる。ビデオディスプレイ112は、オプションでハウジング150に取り付けられるか、またはハウジング150と一体化されることが可能である。
【0032】
プロセッサ回路148は、光ファイバ116の遠位端118と標的108との間の間隔(Z)(例えば、リアルタイム分離)を決定するために、感知された戻り光パルスの飛行時間分析を実行することができる。プロセッサ回路148は、間隔(Z)を決定するために1つまたは複数の測定技法を使用することができ、そのいくつかの例についてここで説明する。
【0033】
いくつかの例において、プロセッサ回路148は、個々の戻り光パルスについて、光検出器による戻り光パルスの感知と、対応する参照信号の到着との間の持続時間を決定することによって、感知された戻り光パルスの飛行時間分析を実行することができる。言い換えれば、プロセッサ回路148は、特定のパルスの到着時間を直接感知することによって間隔(Z)を決定することができる。直接感知技術の3つの例は、以下の通りである。
【0034】
第1の例において、光ファイバ116の遠位端118は、参照信号を形成することができる反射を生成することができる。測定光パルスは、光ファイバ116に沿って光ファイバ116の遠位端118から遠ざかるように伝播する参照光パルスを形成するように、光ファイバ116の遠位端118から反射することができる。参照信号(光ファイバ116の遠位端118から反射された)の到着と戻り光パルス(標的108から反射された)との間の持続時間は、光ファイバ116の遠位端118から標的108に伝播し、戻るときの戻り光パルスの往復時間を表す。物理的分離は、往復持続時間の半分に、真空中の光の速度を掛け、光ファイバ116と標的108との間の媒質(水として近似されることが可能である)の屈折率で割ったものとして計算されることが可能である。
【0035】
第2の例において、測定光源158は、(例えば、パルスの検出から生じる信号ではなく)参照電気パルスが参照信号を直接形成することができるように、測定光パルスに対応する時間において参照電気パルスを生成することができる。
【0036】
第3の例において、測定光源158は、第1の波長において第1の測定光パルスを生成することができる第1の光源158Aと、第1の波長とは異なる第2の波長において第2の測定光パルスを生成することができる第2の光源158Bとを含むことができる。光ファイバ116は、第1の測定光パルスおよび第2の測定光パルスが、各々がそれぞれの波長におけるファイバ材料のそれぞれの屈折率で割った真空中の光の速度によって与えられる異なる速度において光ファイバ116に沿って伝播するように、非ゼロ分散を有するファイバ材料を含むことができる。第1の測定光パルスは、戻り光パルスを形成することができる。第2の測定光パルスは、対応する参照信号を形成するために、光検出器140によって感知されることが可能である。
【0037】
これらは、特定のパルスの到着時間を直接感知することによって間隔(Z)を決定するための測定技法の3つの例に過ぎない。他の直接感知技法が使用されることも可能である。
【0038】
代替的には、プロセッサ回路148は、特定のパルスの到着時間を直接感知することなく、感知された戻り光パルスの飛行時間分析を実行することができる。例えば、そのような間接的測定技法の一例において、プロセッサ回路148は、個々の戻り光パルスについて、戻り光パルスの第1の持続時間に対する蓄積光の第1の量を決定し、戻り光パルスの第2の持続時間に対する蓄積光の第2の量を決定し、光ファイバの遠位端と標的との間の間隔を決定するために、蓄積光の第1および第2の量の比率を使用することによって、感知された戻り光パルスの飛行時間分析を実行することができる。間接的測定技法に関するさらなる詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2021/0161364号において提供される。
【0039】
いくつかの例において、測定光源158は、LIDAR(光検知測距)光源であることが可能である。いくつかの例において、光検出器140は、LIDAR検出器162を含むことができる。いくつかの例において、レーザ組織アブレーションシステムは、戻り治療用光パルスから戻り光パルスを分離し、戻り光パルスをLIDAR検出器162に導き、戻り治療用光パルスを(センサ回路144内などの)分光計に導くことができるビームスプリッタ164をさらに含むことができる。いくつかの例において、プロセッサ回路148は、決定された間隔(Z)を表すデータを(センサ回路144内などの)分光計に電子的に通信することができる。
【0040】
プロセッサ回路148は、光ファイバ116の遠位端118と標的108との間の間隔(Z)(例えば、リアルタイム分離)を決定することに応答して、1つまたは複数のアクションを起こすことができる。そのようなアクションのいくつかの例は、以下の通りである。
【0041】
第1の例において、プロセッサ回路148は、決定された間隔(Z)を表す間隔データ信号を生成することができる。いくつかの例において、間隔データ信号は、デジタル信号であることが可能である。例えば、間隔データ信号は、メモリ内に記憶された変数を含むことができる。変数は、決定された間隔(Z)に対応する値を有することができる。いくつかの例において、間隔データ信号は、アナログ信号であることが可能である。例えば、間隔データ信号は、決定された間隔(Z)に対応する電圧値を有する電気信号を含むことができる。他の間隔データ信号が使用されることも可能である。プロセッサ回路148は、他の構成要素が決定された間隔(Z)の値を受信することに応答して1つまたは複数のアクションを起こし得るように、間隔データ信号、または間隔データ信号に対応するデータを、レーザ組織アブレーションシステム100の1つまたは複数の他の構成要素にオプションで送信することができる。
【0042】
第2の例において、プロセッサ回路148は、光ファイバ116の遠位端118を損傷する可能性があるフラッシングイベントを回避するなどのために、(例えば、間隔(Z)を増加させることによって)光ファイバ116を近位方向に後退させることができる。例えば、レーザ組織アブレーションシステム100は、内視鏡102に対して光ファイバ116を遠位方向に前進させ、光ファイバ116を近位方向に後退させることができるアクチュエータ152をさらに含むことができる。いくつかの例において、
図1の構成のように、アクチュエータ152は、ホイールを含むことができる。ホイールは、内視鏡102に対して位置が固定された中心を有することができる。ホイールは、光ファイバ116と接触する周面を有することができる。ホイールは、ホイールの中心またはその近傍に配置された回転アクチュエータなど、回転アクチュエータから回転可能であることが可能である。いくつかの例において、プロセッサ回路148は、決定された間隔(Z)を指定されたしきい値と比較し、アクチュエータ152に、決定された間隔(Z)と指定されたしきい値との間の差を自動的に減少させることができる。そのようなしきい値の使用は、光ファイバ116の遠位端118を標的108から一定の距離に維持することができるサーボを効果的に形成することができる。
【0043】
第3の例において、プロセッサ回路148は、間隔データ信号によって表されるような決定された間隔(Z)に応答して、治療用レーザ光源114の少なくとも1つの動作パラメータを変化させることができる。例えば、間隔データ信号によって表される決定された間隔(Z)が指定されたしきい値間隔未満である場合、プロセッサ回路148は、治療用レーザ光源を自動的にオフにする。言い換えれば、プロセッサ回路148が、間隔(Z)が、光ファイバ116の遠位端118を損傷する可能性があるフラッシングイベントを開始するのに十分に近いなど、指定されたしきい値未満であると判定した場合、プロセッサ回路148は、治療用レーザ光源114を自動的にオフにすることなどによって、治療用レーザ光源114に治療用レーザ光源114の出力パワーを低減させることができる。出力パワーを低下させること、および/または治療用レーザ光源114をオフにすることは、アクチュエータ152に決定された間隔(Z)を増加させるなど、別のアクションと組み合わせてオプションで使用されることが可能である。
【0044】
第4の例において、照明光源104によって照明された標的108のビデオカメラ110によってキャプチャされたビデオ画像を表示することができるビデオディスプレイ112は、間隔データ信号によって表される決定された間隔(Z)の視覚的表現を追加で表示することができる。いくつかの例において、視覚的表現は、mmなどの適切な単位における決定された間隔(Z)に対応する1つまたは複数の数字を含むことができる。いくつかの例において、視覚的表現は、1つまたは複数の色を含むことができる。例えば、ビデオディスプレイ112は、決定された間隔(Z)が指定された範囲(例えば、レーザ組織アブレーションシステム100の最適な動作のための所望の範囲)内にある場合には緑色を表示し、決定された間隔(Z)が範囲のすぐ外側にある場合には黄色を表示し、決定された間隔(Z)が範囲外の比較的遠くにある場合には赤色を表示することができる。他の配色が使用されることも可能である。他の視覚的表現が使用されることも可能である。いくつかの例において、レーザ組織アブレーションシステム100は、決定された間隔(Z)を施術者に警告することができる音声警告をオプションで提供することができる。
【0045】
これらは、光ファイバ116の遠位端118と標的108との間の間隔(Z)(例えば、リアルタイム分離)を決定することに応答して起こされるアクションの4つの例に過ぎない。これらのアクションは、単独でまたは任意の組合せにおいて実行されることが可能である。他のアクションが起こされることも可能である。
【0046】
図2は、
図1のレーザ組織アブレーションシステム100または任意の他の適切なレーザ組織アブレーションシステムなどのレーザ組織アブレーションシステムを動作させるための方法200の一例のフローチャートを示す。レーザ組織アブレーションシステムは、内視鏡と、内視鏡から伸長する遠位端を含む光ファイバとを含むことができる。方法200は、レーザ組織アブレーションシステムを動作させるための方法の一例に過ぎず、他の方法も使用されることが可能である。
【0047】
動作202において、光ファイバは、第1の時間において治療用レーザ光パルスを受信することができる。
【0048】
動作204において、光ファイバは、第1の時間とは異なる第2の時間において測定光パルスを受信することができる。
【0049】
動作206において、光ファイバは、光ファイバの遠位端から標的に向かって現れるように、治療用レーザ光パルスおよび測定光パルスを光ファイバに沿って導くことができる。
【0050】
動作208において、光ファイバは、標的から反射された測定光パルスの少なくとも一部を収集された光パルスとして収集することができる。
【0051】
動作210において、光ファイバは、収集された光パルスの少なくとも一部を、戻り光パルスとして、光ファイバに沿って光ファイバの遠位端から遠ざけるように導くことができる。
【0052】
動作212において、光検出器は、戻り光パルスの少なくとも一部を感知することができる。
【0053】
動作214において、プロセッサ回路は、光ファイバの遠位端と標的との間の間隔を決定するために、感知された戻り光パルスの飛行時間分析を実行することができる。
【0054】
動作216において、プロセッサ回路は、決定された間隔を表す間隔データ信号を生成することができる。
【0055】
いくつかの例において、飛行時間分析を実行することは、個々の戻り光パルスについて、光検出器による戻り光パルスの感知と、対応する参照信号の到着との間の持続時間を決定することを含むことができる。
【0056】
いくつかの例において、飛行時間分析を実行することは、個々の戻り光パルスについて、戻り光パルスの第1の持続時間に対する蓄積光の第1の量を決定することと、戻り光パルスの第2の持続時間に対する蓄積光の第2の量を決定することと、光ファイバの遠位端と標的との間の間隔を決定するために、蓄積光の第1および第2の量の比率を使用することとを含むことができる。
【0057】
いくつかの例において、方法200は、光ファイバを用いて、標的から反射された治療用光パルスの少なくとも一部を、収集された治療用光パルスとして収集するステップと、収集された治療用光パルスの少なくとも一部を、戻り治療用光パルスとして、光ファイバに沿って光ファイバの遠位端から遠ざけるように導くステップと、分光計を用いて、戻り治療用光パルスを分析するステップと、決定された間隔を表すデータを分光計に電子的に通信するステップとをオプションでさらに含む。
【0058】
図3は、距離(Z)の値を提供するように構成された例示的なコンピュータベースの臨床判断支援システム(CDSS)300の概略図を示す。例えば、光学特性は、戻り光の光パワー/強度(I)を含むことができる。様々な実施形態において、CDSS300は、患者に固有の光学特性が入力特徴として人工知能(AI)モデル304に提供される入力インターフェース302と、距離(Z)の値を生成するために光学特性がAIモデルに適用される推論動作を実行するプロセッサ回路148などのプロセッサと、距離(Z)の値がユーザ、例えば臨床医に通信されるユーザインターフェース(UI)とを含む。
【0059】
いくつかの実施形態において、入力インターフェース302は、CDSS300と、入力特徴の少なくとも一部を生成するレーザ組織アブレーションシステム100または内視鏡102などの1つまたは複数の医療デバイスとの間の直接データリンクであり得る。例えば、入力インターフェース302は、治療および/または診断医療処置中に光学特性をCDSSに直接送信し得る。追加的または代替的に、入力インターフェース302は、ユーザとCDSS300との間の対話を容易にする古典的なユーザインターフェースであり得る。例えば、入力インターフェース302は、ユーザが手動で光学特性を入力し得るユーザインターフェースを容易にし得る。追加的または代替的に、入力インターフェース302は、1つまたは複数の入力特徴が抽出され得る電子患者記録へのアクセスをCDSS300に提供し得る。これらの場合のいずれにおいても、入力インターフェース302は、CDSS300が腎臓結石などのレーザ組織アブレーションシステム100または内視鏡102によって対処される医学的状態を評価するために使用される時点またはその前に、特定の患者に関連して光学特性を収集するように構成される。
【0060】
上記の入力特徴のうちの1つまたは複数に基づいて、プロセッサ回路148などのプロセッサは、距離(Z)の値を生成するために、AIモデルを使用して推論動作を実行する。例えば、入力インターフェース302は、光学特性をAIモデルの入力層に送達することができ、AIモデルの入力層は、この入力特徴をAIモデルを介して出力層に伝播する。AIモデルは、データの分析において発見されたパターンに基づいて推論を行うことによって、明示的にプログラムされることなく、コンピュータシステムにタスクを実行する能力を提供することができる。AIモデルは、既存のデータから学習し、新しいデータについて予測を行い得るアルゴリズム(例えば、機械学習アルゴリズム)の研究および構築を調査する。そのようなアルゴリズムは、出力または評価として表現されるデータ駆動型の予測または決定を行うために、例示的なトレーニングデータからAIモデルを構築することによって動作する。
【0061】
機械学習(ML)には、教師ありMLと教師なしMLという2つの一般的なモードが存在する。教師ありMLは、入力と出力との間の関係を学習するために事前知識(例えば、入力と出力または結果を関連付ける例)を使用する。教師ありMLの目標は、対応する出力を生成するために入力が与えられたときに、MLモデルが同じ関係を実装することができるように、あるトレーニングデータが与えられたときに、トレーニング入力と出力との間の関係を最もよく近似する関数を学習することである。教師なしMLは、分類もラベル付けもされていない情報を使用するMLアルゴリズムのトレーニングであり、アルゴリズムがガイダンスなしにその情報に基づいて作動することを可能にする。教師なしMLは、データ内の構造を自動的に識別することができるので、探索的分析において有用である。
【0062】
教師ありMLに関する共通のタスクは、分類問題および回帰問題である。カテゴリ化問題とも呼ばれる分類問題は、アイテムをいくつかのカテゴリ値のうちの1つに分類することを目的とする(例えば、この物体は、リンゴかまたはオレンジか)。回帰アルゴリズムは、いくつかのアイテムを(例えば、ある入力の値にスコアを提供することによって)定量化することを目的とする。一般的に使用される教師ありMLアルゴリズムのいくつかの例は、ロジスティック回帰(LR)、ナイーブベイズ、ランダムフォレスト(RF)、ニューラルネットワーク(NN)、ディープニューラルネットワーク(DNN)、行列分解、およびサポートベクターマシン(SVM)である。
【0063】
教師なしMLに関するいくつかの一般的なタスクは、クラスタリング、表現学習、および密度推定を含む。一般的に使用される教師なしMLアルゴリズムのいくつかの例は、K平均法クラスタリング、主成分分析、およびオートエンコーダである。
【0064】
別のタイプのMLは、データを交換することなく、ローカルデータを保持する複数の分散型デバイスにわたってアルゴリズムをトレーニングする連合学習(協調学習としても知られる)である。この手法は、すべてのローカルデータセットが1つのサーバにアップロードされる従来の集中型機械学習技法、ならびにローカルデータサンプルが同一に分散されると仮定することが多い、より古典的な分散型手法とは対照的である。連合学習は、複数のアクターがデータを共有することなく共通の堅牢な機械学習モデルを構築することを可能にし、したがって、データプライバシー、データセキュリティ、データアクセス権、および異種データへのアクセスなどの重要な問題に対処することを可能にする。
【0065】
いくつかの例において、AIモデルは、プロセッサ回路148などのプロセッサによる推論動作の実行の前に、連続的または定期的にトレーニングされ得る。次いで、推論動作中、AIモデルに提供される患者固有の入力特徴は、入力層から、1つまたは複数の隠れ層を介して、最終的に距離(Z)の値に対応する出力層に伝播され得る。
【0066】
いくつかの例において、AIモデルは、患者に対応するデータを含むことができるデータベースを含むことができる。データベースは、患者記録をCDSS300に提供することができる。いくつかの例において、AIモデルは、光検出器140またはLIDAR検出器162などのセンサから光学特性を受信することができる。
【0067】
推論動作中および/または推論動作に続いて、距離(Z)の値は、ユーザインターフェース(UI)を介してユーザに伝達され得、および/またはプロセッサに接続されたアクチュエータもしくはアラームに所望のアクションを自動的に実行させ得る。例えば、プロセッサは、アクチュエータに、内視鏡に対して光ファイバを移動させることができる。代替的には、プロセッサは、アラームに、施術者への警報を出させることができる。
【0068】
いくつかの例において、CDSS300は、距離(Z)の値に応答して起こされるアクションを決定するためにオプションで使用され得る。
【0069】
本明細書で説明するいくつかの特徴は、例えば、内視鏡による生体内の医療用途(例えば、硬組織または軟組織)において、様々な標的の組成を識別することができる方法および装置を提供し得る。これは、処置の間中、操作者が内視鏡を通して見られる標的の組成を連続的に監視することを可能にし得る。これは、レーザシステムと組み合わせて使用されることも可能であり、その場合、方法は、標的の組成に基づいて設定を調整するためにレーザシステムにフィードバックを送り得る。この特徴は、操作者によって選択された元のレーザ設定の設定範囲内でレーザ設定の瞬時の調整を可能にし得る。
【0070】
本明細書で説明するいくつかの特徴は、標的の化学組成などの差異を生体内で測定し、所望の効果をよりよく達成するために、レーザ設定を提案するかまたはレーザ設定を自動的に調整するシステムおよび方法を提供するために使用され得る。標的および用途の例は、腎結石のレーザ砕石術、および軟組織のレーザ切開または蒸発を含む。一例において、レーザ、分光システム、およびフィードバック分析器の3つの主要な構成要素が提供される。一例において、レーザシステムのコントローラは、標的組成に基づいて適切なレーザパラメータ設定を用いてレーザ治療を自動的にプログラムし得る。一例において、レーザは、分光器データを用いてトレーニングされた機械学習アルゴリズムに基づいて制御され得る。追加的または代替的に、操作者は、処置中に標的タイプの指示を継続的に受信し、レーザ設定を調整するように促され得る。レーザ設定を調整し、単一の結石標的の組成部分にレーザ治療を適応させることによって、結石のアブレーションまたはダスティング処置が、より高速かつよりエネルギー効率的に実行されることが可能である。
【0071】
本明細書で説明するいくつかの特徴は、インターネット接続と、測定機能を有する他の外科用デバイスへの接続性とを含む、フィードバック分析器にデータ入力を提供するためのシステムおよび方法を提供し得る。それに加えて、レーザシステムは、画像プロセッサなどの別のシステムに入力データを提供し得、それによって、処置モニタは、医療処置に関連する情報を操作者に対して表示し得る。これの一例は、処置中の視野内で、異なる軟組織、血管系、被覆組織、および例えば結石などの同じ標的内の異なる化学組成をより明確に識別することである。
【0072】
本明細書で説明するいくつかの特徴は、異なる組織タイプまたは異なる結石タイプなどの、異なる標的タイプを識別するためのシステムおよび方法を提供し得る。場合によっては、単一の結石構造(例えば、腎臓結石、膀胱結石、膵胆道結石、または胆嚢結石)が、ブルシャイト、リン酸カルシウム(CaP)、シュウ酸カルシウム二水和物(COD)、シュウ酸カルシウム一水和物(COM)、リン酸アンモニウムマグネシウム(MAP)、またはコレステロールベースもしくは尿酸ベースの結石構造などの、その体積全体にわたって2つ以上の異なる組成を有し得る。例えば、標的結石構造は、CODの第1の部分と、COMの第2の部分とを含み得る。一態様によれば、本文書は、生体内で分光データの継続的な収集および分析に基づいて、単一の標的(例えば、単一の結石)内に含まれる異なる組成を継続的に識別するためのシステムおよび方法について説明する。治療(例えば、レーザ療法)は、識別された標的組成に従って適応され得る。例えば、標的の結石内の第1の組成(例えば、COD)の識別に応答して、レーザシステムは、第1のレーザパラメータ設定(例えば、パワー、露光時間、または発射角度など)を用いてプログラムされ、第1の部分をアブレートまたは粉塵化するために、それに応じてレーザビームを送達し得る。分光学的データは、レーザ治療中に継続的に収集および分析され得る。治療される同じ標的結石内の第1の組成とは異なる第2の組成(例えば、COM)の識別に応答して、レーザ治療は、レーザパラメータ設定とは異なる第2のレーザパラメータ設定(例えば、異なるパワー、露光時間、または発射角度など)を用いてレーザシステムをプログラムすることなどによって調整され、同じ標的結石の第2の部分をアブレートまたは粉塵化するために、それに応じてレーザビームを送達し得る。いくつかの例において、複数の異なるレーザ源がレーザシステム内に含まれ得る。異なる組成の結石部分は、異なるレーザ源によって治療され得る。使用する適切なレーザは、結石タイプの識別によって決定され得る。
【0073】
本明細書で説明するいくつかの特徴は、異なるタイプのレーザ源を組み込むことが有利であり得る様々な用途のためのレーザシステムに関連して使用され得る。例えば、本明細書で説明する特徴は、医療診断、治療、および外科的処置などの産業または医療現場において適している場合がある。本明細書で説明する特徴は、内視鏡、レーザ手術、レーザ砕石術、レーザ設定、および/または分光法に関して使用され得る。
【0074】
前述の詳細な説明において、本開示の方法および装置について、その特定の実施形態を参照して説明した。しかしながら、本開示のより広い要旨および範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更が行われ得ることは明らかであろう。したがって、本明細書および図は、限定的ではなく例示的なものとみなされるべきである。
【0075】
本明細書で開示されるデバイスおよび関連する方法をさらに説明するために、例の非限定的なリストを以下に提供する。以下の非限定的な例の各々は、単独で成り立つことができ、または他の例のうちの任意の1つまたは複数と任意の順列または組合せにおいて組み合わされることが可能である。
【0076】
例1において、レーザ組織アブレーションシステムは、内視鏡と、内視鏡から伸長する遠位端を含む光ファイバであって、第1の時間において治療用レーザ光パルスを受光することと、第1の時間とは異なる第2の時間において測定光パルスを受光することと、光ファイバの遠位端から標的に向けて現れるように、治療用レーザ光パルスおよび測定光パルスを光ファイバに沿って導くことと、標的から反射された測定光パルスの少なくとも一部を収集された光パルスとして収集することと、収集された光パルスの少なくとも一部を、戻り光パルスとして、光ファイバに沿って光ファイバの遠位端から遠ざけるように導くこととをするように構成された光ファイバと、戻り光パルスの少なくとも一部を感知するように構成された光検出器と、プロセッサ回路であって、光ファイバの遠位端と標的との間の間隔を決定するために、感知された戻り光パルスの飛行時間分析を実行することと、決定された間隔を表す間隔データ信号を生成することとをするように構成されたプロセッサ回路とを備えることができる。
【0077】
例2において、例1のレーザ組織アブレーションシステムは、内視鏡から離間され、第1の時間において治療用レーザ光パルスを生成するように構成された治療用レーザ光源と、内視鏡から離間され、第2の時間において測定光パルスを生成するように構成された測定光源とをオプションでさらに備えることができる。
【0078】
例3において、例1~2のいずれか1つのレーザ組織アブレーションシステムは、プロセッサ回路が、個々の戻り光パルスについて、光検出器による戻り光パルスの感知と、対応する参照信号の到着との間の持続時間を決定することによって、感知された戻り光パルスの飛行時間分析を実行するように構成されるように、オプションで構成されることが可能である。
【0079】
例4において、例1~3のいずれか1つのレーザ組織アブレーションシステムは、測定光パルスが、光ファイバに沿って光ファイバの遠位端から遠ざかるように伝播する参照光パルスを形成するように、光ファイバの遠位端から反射し、光検出器が、参照光パルスの少なくとも一部を感知し、それに応答して参照信号を形成するようにさらに構成されるように、オプションで構成されることが可能である。
【0080】
例5において、例1~4のいずれか1つのレーザ組織アブレーションシステムは、測定光源が、測定光パルスに対応する時間において参照電気パルスを生成するようにさらに構成され、参照電気パルスが参照信号を形成するように、オプションで構成されることが可能である。
【0081】
例6において、例1~5のいずれか1つのレーザ組織アブレーションシステムは、測定光源が、第1の波長において第1の測定光パルスを生成するように構成された第1の光源と、第1の波長とは異なる第2の波長において第2の測定光パルスを生成するように構成された第2の光源とを含み、光ファイバが、第1の測定光パルスおよび第2の測定光パルスが異なる速度において光ファイバに沿って伝播するように、非ゼロ分散を有するファイバ材料を含み、第1の測定光パルスが、戻り光パルスを形成し、第2の測定光パルスが、対応する参照信号を生成するために、光検出器によって感知されるように、オプションで構成されることが可能である。
【0082】
例7において、例1~6のいずれか1つのレーザ組織アブレーションシステムは、プロセッサ回路が、個々の戻り光パルスについて、戻り光パルスの第1の持続時間に対する蓄積光の第1の量を決定し、戻り光パルスの第2の持続時間に対する蓄積光の第2の量を決定し、光ファイバの遠位端と標的との間の間隔を決定するために、蓄積光の第1および第2の量の比率を使用することによって、感知された戻り光パルスの飛行時間分析を実行するように構成されるように、オプションで構成されることが可能である。
【0083】
例8において、例1~7のいずれか1つのレーザ組織アブレーションシステムは、内視鏡に対して光ファイバを遠位方向に前進させ、光ファイバを近位方向に後退させるように構成されたアクチュエータをオプションでさらに備え、プロセッサ回路が、決定された間隔を指定されたしきい値と比較し、アクチュエータに、決定された間隔と指定されたしきい値との間の差を自動的に減少させるようにさらに構成される。
【0084】
例9において、例1~8のいずれか1つのレーザ組織アブレーションシステムは、アクチュエータがホイールを備え、ホイールが、内視鏡に対して位置において固定された中心を有し、ホイールが、光ファイバと接触する周面を有し、ホイールが、回転アクチュエータから回転可能であるように、オプションで構成されることが可能である。
【0085】
例10において、例1~9のいずれか1つのレーザ組織アブレーションシステムは、プロセッサ回路が、間隔データ信号によって表される決定された間隔に応答して、治療用レーザ光源の少なくとも1つの動作パラメータを変化させるようにさらに構成されるように、オプションで構成されることが可能である。
【0086】
例11において、例1~10のいずれか1つのレーザ組織アブレーションシステムは、間隔データ信号によって表される決定された間隔が指定されたしきい値間隔未満である場合、プロセッサ回路が、治療用レーザ光源を自動的にオフにするようにさらに構成されるように、オプションで構成されることが可能である。
【0087】
例12において、例1~11のいずれか1つのレーザ組織アブレーションシステムは、内視鏡の遠位端において配置され、可視照明光で標的を照明するように構成された照明光源と、内視鏡の遠位端において配置され、照明された標的のビデオ画像を生成するように構成されたカメラと、プロセッサ回路に結合され、照明された標的のビデオ画像と、間隔データ信号によって表される決定された間隔の視覚的表現とを表示するように構成されたディスプレイとをオプションでさらに備えることができる。
【0088】
例13において、例1~12のいずれか1つのレーザ組織アブレーションシステムは、治療用レーザ光源が、第1の光路に沿って治療用レーザ光パルスを導くように構成され、測定光源が、第2の光路に沿って測定光パルスを導くように構成され、測定光パルスが、治療用レーザ光パルスから分光的に分離され、レーザ組織アブレーションシステムが、光ファイバ内に伸長する第3の光路に沿って整列するように第1および第2の光路を組み合わせるように配置されたダイクロイックビームスプリッタをさらに備えるように、オプションで構成されることが可能である。
【0089】
例14において、例1~13のいずれか1つのレーザ組織アブレーションシステムは、光ファイバが、標的から反射された治療用光パルスの少なくとも一部を収集された治療用光パルスとして収集し、収集された治療用光パルスの少なくとも一部を、戻り治療用光パルスとして、光ファイバに沿って光ファイバの遠位端から遠ざけるように導くようにさらに構成され、レーザ組織アブレーションシステムが、戻り治療用光パルスを分析するように構成された分光計をさらに備えるように、オプションで構成されることが可能である。
【0090】
例15において、例1~14のいずれか1つのレーザ組織アブレーションシステムは、測定光源がLIDAR光源であり、光検出器がLIDAR検出器であり、レーザ組織アブレーションシステムが、戻り治療用光パルスから戻り光パルスを分離し、戻り光パルスをLIDAR検出器に導き、戻り治療用光パルスを分光計に導くように構成されたビームスプリッタをさらに備え、プロセッサ回路が、決定された間隔を表すデータを分光計に電子的に通信するように構成されるように、オプションで構成されることが可能である。
【0091】
例16において、内視鏡と、内視鏡から伸長する遠位端を含む光ファイバとを含むレーザ組織アブレーションシステムを動作させるための方法は、光ファイバを用いて、第1の時間において治療用レーザ光パルスを受光するステップと、光ファイバを用いて、第1の時間とは異なる第2の時間において測定光パルスを受光するステップと、光ファイバの遠位端から標的に向けて現れるように、治療用レーザ光パルスおよび測定光パルスを光ファイバに沿って導くステップと、光ファイバを用いて、標的から反射された測定光パルスの少なくとも一部を収集された光パルスとして収集するステップと、収集された光パルスの少なくとも一部を、戻り光パルスとして、光ファイバに沿って光ファイバの遠位端から遠ざけるように導くステップと、光検出器を用いて、戻り光パルスの少なくとも一部を感知するステップと、光ファイバの遠位端と標的との間の間隔を決定するために、感知された戻り光パルスの飛行時間分析を実行するステップと、決定された間隔を表す間隔データ信号を生成するステップとを含むことができる。
【0092】
例17において、例16の方法は、飛行時間分析を実行するステップが、個々の戻り光パルスについて、光検出器による戻り光パルスの感知と、対応する参照信号の到着との間の持続時間を決定するステップを含むように、オプションで構成されることが可能である。
【0093】
例18において、例16~17のいずれか1つの方法は、飛行時間分析を実行するステップが、個々の戻り光パルスについて、戻り光パルスの第1の持続時間に対する蓄積光の第1の量を決定するステップと、戻り光パルスの第2の持続時間に対する蓄積光の第2の量を決定するステップと、光ファイバの遠位端と標的との間の間隔を決定するために、蓄積光の第1および第2の量の比率を使用するステップとを含むように、オプションで構成されることが可能である。
【0094】
例19において、例16~18のいずれか1つの方法は、光ファイバを用いて、標的から反射された治療用光パルスの少なくとも一部を、収集された治療用光パルスとして収集するステップと、収集された治療用光パルスの少なくとも一部を、戻り治療用光パルスとして、光ファイバに沿って光ファイバの遠位端から遠ざけるように導くステップと、分光計を用いて、戻り治療用光パルスを分析するステップと、決定された間隔を表すデータを分光計に電子的に通信するステップとをオプションでさらに含むことができる。
【0095】
例20において、レーザ組織アブレーションシステムは、第1の時間において治療用レーザ光パルスを生成するように構成された治療用レーザ光源と、第1の時間とは異なる第2の時間において測定光パルスを生成するように構成された測定光源と、治療用レーザ光源および測定光源から離間された内視鏡と、内視鏡から伸長する遠位端を含む光ファイバであって、光ファイバの遠位端から標的に向けて現れるように、治療用レーザ光パルスおよび測定光パルスを光ファイバに沿って導くことと、標的から反射された測定光パルスの少なくとも一部を収集された光パルスとして収集することと、収集された光パルスの少なくとも一部を、戻り光パルスとして、光ファイバに沿って光ファイバの遠位端から遠ざけるように導くことと、標的から反射された治療用光パルスの少なくとも一部を、収集された治療用光パルスとして収集することと、収集された治療用光パルスの少なくとも一部を、戻り治療用光パルスとして、光ファイバに沿って光ファイバの遠位端から遠ざけるように導くこととをするように構成された光ファイバと、戻り光パルスの少なくとも一部を感知するように構成された光検出器と、戻り治療用光パルスを分析するように構成された分光計と、プロセッサ回路であって、光ファイバの遠位端と標的との間の間隔を決定するために、感知された戻り光パルスの飛行時間分析を実行することと、決定された間隔を表す間隔データ信号を生成することと、間隔データ信号を分光計に電子的に通信することとをするように構成されたプロセッサ回路と、内視鏡の遠位端において配置され、可視照明光で標的を照明するように構成された照明光源と、内視鏡の遠位端において配置され、照明された標的のビデオ画像を生成するように構成されたカメラと、プロセッサ回路に結合され、照明された標的のビデオ画像と、間隔データ信号によって表される決定された間隔の視覚的表現とを表示するように構成されたディスプレイとを備えることができる。
【符号の説明】
【0096】
100 レーザ組織アブレーションシステム
102 内視鏡
104 照明光源
106 遠位端
108 標的
110 ビデオカメラ
112 ビデオディスプレイ
114 治療用レーザ光源
116 光ファイバ
118 遠位端
120 近位部分
122 治療用レーザ光源光ファイバ
124 自由空間光カプラ/スプリッタ
126 コリメートレンズ
128 遠位端
130 戻り経路ビームスプリッタ
132 双方向集束レンズ
134 戻り経路集束レンズ
136 端
138 戻り経路光ファイバ
140 光検出器
142 感光センサ素子
144 センサ回路
146 アナログまたはデジタルセンサデータ信号、センサデータ信号
148 プロセッサ回路
150 ハウジング
152 アクチュエータ
158 測定光源
158A 第1の光源
158B 第2の光源
160 入射経路ビームスプリッタ
162 LIDAR検出器
164 ビームスプリッタ
300 臨床判断支援システム(CDSS)、CDSS
302 入力インターフェース
304 人工知能(AI)モデル
【外国語明細書】