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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000527
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/72415 20210101AFI20231225BHJP
   H04N 23/661 20230101ALI20231225BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20231225BHJP
【FI】
H04M1/72415
H04N23/661
H04N23/60 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098794
(22)【出願日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】P 2022098723
(32)【優先日】2022-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】520305432
【氏名又は名称】株式会社SoftRoid
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】野▲埼▼ 大幹
(72)【発明者】
【氏名】吉田 岳人
(72)【発明者】
【氏名】大川(山田) 駿
【テーマコード(参考)】
5C122
5K127
【Fターム(参考)】
5C122EA55
5C122EA63
5C122FA03
5C122FA10
5C122GC14
5C122GC35
5C122GC52
5C122GC55
5C122HA39
5C122HA81
5C122HB01
5K127AA05
5K127BA03
5K127BB22
5K127BB33
5K127CA08
5K127CB16
5K127CB21
5K127DA12
5K127DA15
5K127GA14
5K127GD07
5K127GD16
5K127JA04
5K127JA06
5K127JA21
5K127KA13
5K127MA22
(57)【要約】      (修正有)
【課題】外部電源から供給される電力を有効利用する情報処理装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】工事支援システム1において、現場端末20は、外部電源に接続する電源接続部と、内部電源部と、第1無線通信を行う無線通信部とを備える。外部電源5は、電力供給の有無を切り替え、且つ、着脱可能に接続される撮像装置30にも電力を供給する。撮像装置は、測定を行うセンサと、第1無線通信を行う第1通信部と、を備える。第1起動ステップでは、撮像装置を起動させる処理を、内部電源部が電力を供給する第1状態から、外部電源が電力を供給する第2状態への切り替えの後に実行する。第2起動ステップでは、第1通信部を起動させるための処理を、起動した撮像装置による測定の開始後に実行する。後処理ステップでは、起動した撮像装置による測定の結果を示す測定データを、第1通信部との第1無線通信により取得する取得処理を含む後処理を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置であって、
プロセッサと、通信部と、記憶部とを備え、前記プロセッサが、
取得ステップでは、測定装置による測定の結果を前記通信部による通信を介して取得し、
送信ステップでは、取得された前記結果の外部装置への送信を前記通信部を介して行い、
保存ステップでは、前記結果が取得されてから送信されるまでの保存を前記記憶部に対して行い、
判断ステップでは、自装置の通信速度の低下が発生する低下状態の有無を判断し、
処理ステップでは、前記低下状態が有ると判断された場合、前記測定、前記保存又は前記送信の際に所定の抑制処理を実行し、前記抑制処理は、通信速度の低下による送信エラーを抑制するための処理である、
情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置において、前記プロセッサが、
前記処理ステップでは、前記保存がされている測定の結果のデータサイズを縮小する処理を前記抑制処理として実行する、
情報処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理装置において、前記プロセッサが、
前記判断ステップでは、前記送信の予定時刻における自装置の温度が所定値以上になることが見込まれる場合に前記低下状態が有ると判断し、
前記処理ステップでは、前記予定時刻になる前に、前記データサイズを縮小する処理を前記抑制処理として実行する、
情報処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の情報処理装置において、前記プロセッサが、
前記判断ステップでは、前記測定装置による測定が行われる前に、自装置の温度が所定値以上になることが見込まれる場合に前記低下状態が有ると判断し、
前記処理ステップでは、前記測定装置に対して前記測定のフレームレートを小さくすることを指示する処理を前記抑制処理として実行する、
情報処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の情報処理装置において、前記プロセッサが、
前記判断ステップでは、前記送信の予定時刻における自装置の温度が所定値以上になることが見込まれる場合に前記低下状態が有ると判断し、
前記処理ステップでは、前記予定時刻になる前に、前記保存がされている測定の結果のデータを分割し、分割された各データを順次前記外部装置に送信する処理を前記抑制処理として実行する、
情報処理装置。
【請求項6】
請求項1に記載の情報処理装置において、前記プロセッサが、
前記判断ステップでは、自装置の温度が所定値以上である場合に前記低下状態が有ると判断し、
前記処理ステップでは、前記低下状態が無いと判断された場合に前記送信を実行させる処理を前記抑制処理として実行する、
情報処理装置。
【請求項7】
請求項1に記載の情報処理装置において、前記プロセッサが、
前記判断ステップでは、自装置の通信速度が所定値未満である場合に前記低下状態が有ると判断し、
前記処理ステップでは、前記低下状態が無いと判断された場合に前記送信を実行させる処理を前記抑制処理として実行する、
情報処理装置。
【請求項8】
請求項1に記載の情報処理装置において、前記プロセッサが、
前記送信ステップでは、前記送信が完了する前に前記測定の新たな結果が取得された場合、当該新たな結果を優先して前記送信を行う、
情報処理装置。
【請求項9】
プログラムであって、
コンピュータに、請求項1~請求項8の何れか1つに記載の情報処理装置の各ステップを実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、静止画像アプリケーションがカメラ・モジュールに一定の転送周期でフレーム転送コマンドを発行し、各転送周期においてカメラ・モジュールがサスペンド状態からウェイクアップして静止画像データを生成し、転送が終了するとサスペンド状態に遷移する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-58961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、作業員が建築現場をカメラ等の測定装置で測定(カメラの場合は撮影)し、測定した測定データ(カメラの場合は画像データ)を外部装置が収集して処理する場合に、測定のための手間は少ないほうが望ましい。
【0005】
本発明では上記事情に鑑み、測定結果を収集するための測定の手間を減らすこととした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、情報処理装置が提供される。この情報処理装置は、外部電源に接続する電源接続部と、可搬電池と、第1無線通信を行う無線通信部とを備え、外部電源は、電力供給の有無が切り替えられ、且つ、着脱可能に接続される測定装置にも電力を供給し、測定装置は、測定を行うセンサと、第1無線通信を行う第1通信部とを備える。第1起動ステップでは、測定装置を起動させるための処理を、可搬電池から電力が供給される第1状態から外部電源から電力が供給される第2状態への切り替えの後に実行する。第2起動ステップでは、第1通信部を起動させるための処理を、起動された測定装置による測定の開始の後に実行する。後処理ステップでは、起動された測定装置による測定の結果を示す測定データに関する後処理を実行し、後処理には、起動された第1通信部との第1無線通信により測定データを取得する取得処理が含まれる。
【0007】
このような態様によれば、測定結果を収集するための測定の手間を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】工事支援システム1の全体構成を示す図である。
図2】サーバ装置10のハードウェア構成を示す図である。
図3】現場端末20のハードウェア構成を示す図である。
図4】撮像装置30のハードウェア構成を示す図である。
図5】遠隔端末40のハードウェア構成を示す図である。
図6】各装置の制御部の機能構成を示す図である。
図7】撮影処理の一例を示すアクティビティ図である。
図8】提示された測定可能時間に応じた情報の一例を示す図である。
図9】表示された操作指示の一例を示す図である。
図10】表示された操作開始ボタンの一例を示す図である。
図11】表示された撮影可能時間の残り時間の一例を示す図である。
図12】表示された操作終了ボタンの一例を示す図である。
図13】撮影処理の一例を示すアクティビティ図である。
図14】自撮り棒3に取り付けられた現場端末20を示す図である。
図15】各装置の制御部の機能構成の別の一例を示す図である。
図16】送信処理の一例を示すフロー図である。
図17】第1抑制処理を説明するための図である。
図18】送信処理の別の一例を示すフロー図である。
図19】送信処理の別の一例を示すフロー図である。
図20】送信処理の別の一例を示すフロー図である。
図21】送信処理の別の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0010】
ところで、本実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体(Non-Transitory Computer-Readable Medium)として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【0011】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0012】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0013】
1.ハードウェア構成
本節では、本実施形態に係る工事支援システムのハードウェア構成について説明する。
【0014】
図1は、工事支援システム1の全体構成を示す図である。図1においては、工事支援システム1が備える各装置と、それらの装置を使用するユーザとの概要が示されている。各概要については、他の図も参照しながら随時説明する。
【0015】
工事支援システム1は、建築等の工事を支援するための処理を実行する情報処理システムである。工事支援システム1は、通信回線2と、自撮り棒3と、外付けバッテリー4と、外部電源5と、ブレーカ6と、サーバ装置10と、現場端末20と、撮像装置30と、遠隔端末40とを備える。
【0016】
通信回線2は、インターネット等を含み、自回線に接続する装置同士のデータのやり取りを仲介する。通信回線2には、サーバ装置10が有線で接続され、現場端末20及び遠隔端末40が無線で接続されている。本実施形態では、現場端末20は、移動体通信で通信回線2と通信を行う。また、現場端末20は、撮像装置30と2通りの通信方法を用いて無線通信を行う。2通りの通信方法は、本実施形態では、Wi-Fi通信及びBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)通信である。
【0017】
現場端末20及び撮像装置30は、工事現場に設置され、例えば、現場作業員W1によって利用される。遠隔端末40は、例えば、工事現場を担当する工事監督W2によって利用され、工事現場から離れた場所でも利用されることが想定される端末である。
【0018】
現場端末20は、ケーブルによって、外付けバッテリー4を介して外部電源5と接続されている。撮像装置30は、ケーブル及びコネクタ7によって、外付けバッテリー4を介して外部電源5と着脱可能に接続されている。言い換えると、外部電源5は、着脱可能に接続される撮像装置30にも電力を供給する。外付けバッテリー4は、充電しながら給電を行うことが可能ないわゆるパススルー機能を有しており、ブレーカ6がオンになった状態では外部電源5から供給される電力で充電されながら現場端末20及び撮像装置30への給電を行う。
【0019】
撮像装置30は、イメージセンサを備えるデジタルカメラであり、イメージセンサにより測定された光が示す画像を撮影する。撮像装置30は、本実施形態では、上下左右前後の全方位を撮影可能な360度カメラである。撮像装置30は、センサを備える測定装置の一例である。撮像装置30は、自撮り棒3に取り付けられており、その自撮り棒3は、工事現場に設置されたスタンド8に差し込んで固定することができるようになっている。
【0020】
現場作業員W1がコネクタ7を外してスタンド8から抜き取った自撮り棒3を持って工事現場を歩き回ることで、工事現場を360度カメラで撮影した画像を示す画像データが生成される。工事支援システム1においては、撮像装置30が撮影する画像は、本実施形態では動画像であるが、工事現場の各所の画像を得ることができるのであれば、連続して撮影される静止画像であってもよい。撮像装置30は、生成した画像データを現場端末20に送信する。
【0021】
現場端末20は、現場作業員W1への主なユーザインターフェースとなる端末であり、例えば、スマートフォンである。現場端末20は、例えば、上記の2通りの通信方法のうちの一方(本実施形態ではBLE通信)を用いて、撮像装置30の動作を制御する。また、現場端末20は、撮像装置30から送信されてきた画像データをサーバ装置10に転送する。
【0022】
サーバ装置10は、現場端末20から送信されてきた画像データが示す工事現場の画像を用いた画像処理を行い、撮像装置30が撮影した位置から見た工事現場を示す360度画像データ(360度どの方向にも見ることができる画像データ)を生成する。遠隔端末40は、生成された360度画像データを参照し、立体的に表された工事現場の画像を表示する。工事監督W2は、表示された工事現場の画像から現場の様子を把握し、必要に応じて現場の現場作業員W1に対して作業の指示を行う。
【0023】
工事現場によっては、作業の終了後に節電等の理由でブレーカ6がオフにされる場合がある。その場合、ブレーカ6をオフにしたあとは外部電源5から電力が供給されなくなる。このように、外部電源5は、電力供給の有無が切り替えられる。現場端末20及び撮像装置30にも内蔵バッテリーがあるのですぐに停止する訳ではないが、画像データの送信など時間がかかる処理もある。そこで、本実施形態では、外付けバッテリー4を設けることで、ブレーカ6がオフにされたあとの現場端末20及び撮像装置30の稼働時間を増やすようにしている。
【0024】
図2は、サーバ装置10のハードウェア構成を示す図である。サーバ装置10は、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、バス14とを備える。バス14は、サーバ装置10が備える各部を電気的に接続する。
【0025】
(制御部11)
制御部11は、例えば不図示の中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)である。制御部11は、記憶部12に記憶された所定のプログラムを読み出すことによって、工事支援システム1に係る種々の機能を実現するコンピュータである。すなわち、記憶部12に記憶されているソフトウェアによる情報処理が、ハードウェアの一例である制御部11によって具体的に実現されることで、制御部11に含まれる各機能部として実行されうる。これらについては、次節においてさらに詳述する。なお、制御部11は単一であることに限定されず、機能ごとに複数の制御部11を有するように実施してもよい。またそれらの組合せであってもよい。
【0026】
(記憶部12)
記憶部12は、前述の記載により定義される様々な情報を記憶する。これは、例えば、制御部11によって実行される工事支援システム1に係る種々のプログラム等を記憶するソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレージデバイスとして、あるいは、プログラムの演算に係る一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリとして実施されうる。記憶部12は、制御部11によって実行される工事支援システム1に係る種々のプログラムや変数等を記憶している。
【0027】
(通信部13)
通信部13は、サーバ装置10から種々の電気信号を外部の構成要素に送信可能に構成される。また、通信部13は、外部の構成要素からサーバ装置10への種々の電気信号を受信可能に構成される。さらに好ましくは、通信部13がネットワーク通信機能を有し、これにより通信回線2を介して、サーバ装置10と外部機器との間で種々の情報を通信可能に実施してもよい。
【0028】
図3は、現場端末20のハードウェア構成を示す図である。現場端末20は、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、入力部24と、出力部25と、内部電源部26と、バス27とを備える。バス27は、現場端末20が備える各部を電気的に接続する。制御部21及び記憶部22は、図2に示す制御部11及び記憶部12と性能の違いはあるが同様のハードウェアである。
【0029】
(通信部23)
通信部23は、第1通信部231と、第2通信部232と、第3通信部233とを備え、3通りの無線通信を行う無線通信部の一例である。第1通信部231は、第1無線通信として、本実施形態ではWi-Fi通信による無線通信を行う。第2通信部232は、第1無線通信よりも通信速度が遅く且つ消費電力が小さい第2無線通信として、本実施形態ではBLEによる無線通信を行う。第3通信部233は、第1無線通信及び第2無線通信よりも通信可能なエリアが広い第3無線通信として、本実施形態では移動体通信による無線通信を行う。
【0030】
(入力部24)
入力部24は、キー、ボタン、タッチスクリーン及びマウス等を有し、ユーザによる入力を受け付ける。
(出力部25)
出力部25は、ディスプレイ(タッチスクリーン含む)及びスピーカ等を有し、表示面に画面、画像、アイコン、テキスト等といった、ユーザが視認可能な態様で生成された視覚情報を表示し、音声を含む音を出力する。
【0031】
(内部電源部26)
内部電源部26は、自装置に内蔵されているバッテリー、すなわち、繰り返し充電可能な電池であり、蓄積した電力を自装置の各部に供給する。内部電源部26は、自装置とともに持ち運びが可能な可搬電池の一例である。内部電源部26は、外部電源5に接続可能であり、外部電源5から供給される電力により充電される。内部電源部26は、外付けバッテリー4と同様にパススルー機能を有しており、ブレーカ6がオンになった状態では外部電源5から供給される電力で充電されながら各部に給電を行う。
【0032】
図4は、撮像装置30のハードウェア構成を示す図である。撮像装置30は、制御部31と、記憶部32と、通信部33と、入力部34と、出力部35と、内部電源部36と、撮像部37と、バス38とを備える。バス38は、撮像装置30が備える各部を電気的に接続する。制御部31から内部電源部36までの各部は、図3に示す制御部21から内部電源部26までの各部と性能の違いはあるが同様のハードウェアである。
【0033】
ただし、通信部33は、第1通信部331及び第2通信部332のみを備える。第1通信部331は、通信部23の第1通信部231と同様に、第1無線通信として、本実施形態ではWi-Fi通信による無線通信を行う。第2通信部332は、通信部23の第2通信部232と同様に、第1無線通信よりも通信速度が遅く且つ消費電力が小さい第2無線通信として、本実施形態ではBLEによる無線通信を行う。また、出力部35は、ディスプレイ等に加えてライトを有し、撮影に必要な光量を確保するための光を照射する。入力部34は、そのライトを点灯させるためのスイッチを有する。
【0034】
(撮像部37)
撮像部37は、レンズを含む光学系及びイメージセンサ等を有し、レンズから入射する光を測定して画像データを生成するセンサである。撮像部37は、本実施形態では、前述したように、超広角レンズ及び複数のイメージセンサを使用して、上下、左右及び前後の全方位を撮影した画像データを生成する。
【0035】
図5は、遠隔端末40のハードウェア構成を示す図である。遠隔端末40は、制御部41と、記憶部42と、通信部43と、入力部44と、出力部45と、バス46とを備える。バス46は、遠隔端末40が備える各部を電気的に接続する。制御部41から出力部45までの各部は、図4に示す制御部31から出力部35までの各部と性能の違いはあるが同様のハードウェアである。
【0036】
2.機能構成
本節では、本実施形態の機能構成について説明する。前述の通り、各装置の記憶部に記憶されているソフトウェアによる情報処理がハードウェアの一例である制御部によって具体的に実現されることで、制御部に含まれる各機能部が実行されうる。
【0037】
図6は、各装置の制御部の機能構成を示す図である。サーバ装置10の制御部11は、情報記憶部111と、画像処理部112と、データ生成部113と、データ出力部114とを備える。現場端末20の制御部21は、表示制御部211と、操作受付部212と、接続制御部213と、稼働制御部214と、設定制御部215と、記憶制御部216と、送信制御部217と、時間制御部218とを備える。撮像装置30の制御部31は、表示制御部311と、操作受付部312と、稼働制御部313と、撮影制御部314と、記憶制御部315と、送信制御部316とを備える。遠隔端末40の制御部41は、表示制御部411と、操作受付部412とを備える。
【0038】
サーバ装置10の情報記憶部111は、撮像装置30により撮影された工事現場の画像を示す画像データや上述した360度画像データを記憶する。画像処理部112は、工事現場の画像に基づいて、自己位置の推定及び環境地図の作成を同時に行ういわゆるSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)と呼ばれる技術に関する処理を行う。データ生成部113は、画像処理部112が行った処理に基づいて上述した360度画像データを生成する。データ出力部114は、生成された360度画像データを出力する。
【0039】
遠隔端末40の表示制御部411は、自装置の表示手段への表示処理を制御する。表示制御部411は、例えば、サーバ装置10から出力されてきた360度画像データが示す工事現場の画像を表示させる。操作受付部412は、ユーザ(例えば工事監督W2)の操作を受け付ける。工事監督W2は、工事現場のうちの表示される場所を移動させる操作を行って現場の現状を確認し、現場の現場作業員W1等に対して工事の手順等を指示する。
【0040】
現場端末20の表示制御部211は、自装置の表示手段への表示処理を制御する。操作受付部212は、ユーザ(例えば現場作業員W1)の操作を受け付ける。接続制御部213は、自装置の通信部23と撮像装置30の通信部33との無線通信の接続処理を制御する。稼働制御部214は、撮像装置30の稼働を制御する。設定制御部215は、撮像装置30の設定を制御する。記憶制御部216は、自装置及び撮像装置30における画像データの記憶処理を制御する。送信制御部217は、自装置及び撮像装置30による画像データの送信処理を制御する。時間制御部218は、撮像装置30による撮影及び画像データの転送等に要する時間に関する処理を制御する。
【0041】
撮像装置30の表示制御部311は、自装置の表示手段への表示処理を制御する。操作受付部312は、ユーザ(例えば現場作業員W1)の操作を受け付ける。稼働制御部313は、自装置の稼働を制御する。撮影制御部314は、撮像部37による撮影処理を制御する。記憶制御部315は、自装置における画像データの記憶処理を制御する。送信制御部316は、自装置による画像データの送信処理を制御する。
【0042】
3.情報処理
本節では、本実施形態において、プログラムがコンピュータに実行させる情報処理について説明する。工事支援システム1において実行される情報処理には、撮影前から撮影が終了するまでに行われる撮影処理と、撮影が終了したあとに行われる撮影後処理とが含まれる。以下では、作業終了後にブレーカ6がオフにされ、作業の開始前にブレーカ6がオンにされる工事現場において、現場端末20及び撮像装置30によって行われる撮影処理及び撮影後処理を説明する。
【0043】
図7は、撮影処理の一例を示すアクティビティ図である。まず、図7の例では、現場のブレーカ6がオンにされて作業が開始されるときに、外付けバッテリー4の充電量は0%に、現場端末20はスリープ状態に、撮像装置30は電源オフの状態になっているものとする。最初に、現場端末20は、ブレーカ6がオンにされて外部電源5から外付けバッテリー4を介して電力が供給されると、A11において、内部電源部26により、供給される電力による充電をしながら自装置内の各部への電力の供給を開始する。なお、外付けバッテリー4は、各装置への給電とともに充電を開始する。
【0044】
現場端末20は、A11における外部電源5からの給電開始を契機として、A12において、稼働制御部214により、自装置のスリープ状態を解除する。次に、現場端末20は、A13において、稼働制御部214により、工事現場の画像を収集するためのアプリケーションプログラム(以下「アプリ」とも言う)を起動する。続いて、現場端末20は、A14において、時間制御部218により、撮影可能時間を算出する。
【0045】
撮影可能時間は、測定装置による測定にあてることが可能な測定時間のことである。測定装置による測定とは、本実施形態では、撮像装置30による撮影である。時間制御部218は、撮影可能時間を算出する算出部の一例である。時間制御部218は、現場端末20に対する電力供給に状態に基づいて撮影可能時間を算出する。
【0046】
電力供給の状態には、第1状態及び第2状態という2種類の状態がある。第1状態は、外部電源5からの電力供給がない状態の内部電源部26から現場端末20に電力が供給される状態であり、内部給電状態とも言う。第2状態は、外部電源5からの電力供給がある状態の内部電源部26から現場端末20に電力が供給される状態であり、外部給電状態とも言う。撮影可能時間は、撮像装置30による測定をその測定可能時間だけ行った場合に、外部給電状態から内部給電状態への切り替えの後、内部給電状態の継続期間中に、その測定の後処理が終了すると想定される時間である。
【0047】
外部給電状態から内部給電状態への切り替えは、ブレーカ6がオフにされるタイミングで行われる。測定の後処理は、言い換えると、その測定の結果を示す測定データに関する処理である。測定データは、本実施形態では、撮像装置30により撮影された画像を示す画像データである。後処理は、例えば、画像データを撮像装置30から取得する処理及び取得した画像データをサーバ装置10に送信する処理等である。
【0048】
時間制御部218は、例えば、後処理を実行する装置(撮像装置30、現場端末20及びサーバ装置10)の単位データ量あたりの処理速度及び通信速度と、仮の撮影時間だけ撮影がされた場合に生成される画像データのデータ量とに基づいて、各後処理に要する処理時間を算出する。ここでいう処理速度及び通信速度は、理論値であってもよいし、実測値であってもよい。
【0049】
また、時間制御部218は、外付けバッテリー4、現場端末20の内部電源部26及び撮像装置30の内部電源部36に蓄積される電力量に基づいて、内部給電状態における現場端末20及び撮像装置30の稼働時間を算出する。時間制御部218は、蓄積される電力量を100%としてもよいし、外部給電状態から内部給電状態に切り替わった時点における充電率を検出して蓄積される電力量としてもよい。
【0050】
また、時間制御部218は、外部給電状態から内部給電状態に切り替わる切替時刻を特定する。時間制御部218は、例えば、工事現場においてブレーカ6をオフにすることが予定された特定の時刻を切替時刻として特定する。なお、時間制御部218は、他にもブレーカ6をオフにする切替時刻の平均を用いてもよい。まあ、時間制御部218は、工事現場のスケジュール情報を取得可能な場合に、そのスケジュール情報が示す現場作業の終了時刻又はその終了時刻に片付け等の時間を加えた時刻を切替時刻としてもよい。
【0051】
時間制御部218は、特定した切替時刻から算出した稼働時間が経過するまでに、算出した処理時間が経過する場合の仮の撮影時間のうち、最も長い時間を撮影可能時間として算出する。続いて、現場端末20は、A15において、表示制御部211により、算出された測定可能時間に応じた情報を提示する提示処理を実行する。表示制御部211は、例えば、撮影の準備を開始させる画面において測定可能時間を表示する処理を提示処理として実行する。
【0052】
図8は、提示された測定可能時間に応じた情報の一例を示す図である。図8の例では、表示制御部211は、現場撮影アプリの画面E1に、提示情報C1と、撮影準備開始ボタンB1と、充電量画像H1と、通信速度画像H2とを表示している。提示情報C1は、「撮影を開始する場合はボタンを押してください。本日中に画像を送信可能な撮影時間の目安は40分です。」というように、撮影の準備を開始する操作を促す情報と、測定可能時間を説明する文章とともに測定可能時間を示している。
【0053】
提示情報C1を提示することで、測定(本実施形態では撮影)の作業者(例えば現場作業員W1)に測定時間を意識させることができる。このように、表示制御部211は、算出された測定可能時間に基づいて、内部給電状態の継続期間中に後処理を終了させることを促進するための促進処理(この場合は提示処理)を実行する促進部として機能する。促進処理が実行されることで、促進処理が実行されない場合に比べて、後処理をより確実に終了させることができる。
【0054】
充電量画像H1は、外部電源5からの電力供給がある場合は図8に示すように充電中であることを示す態様で表示される。工事現場には、工事中であるため、外部電源5から電力が供給されているコンセントと、外部電源5から電力が供給されていないコンセントとが混在する場合がある。その場合に、充電量画像H1を表示することで、外付けバッテリー4を接続したコンセントに電力が供給されているか否かを判断することができる。
【0055】
通信速度画像H2は、現場端末20の第3通信部233による無線通信(本実施形態では移動体通信)の通信速度を示す態様で表示される。工事現場が建物の中の場合、場所によって移動体通信の電波の受信強度が異なる場合がある。その場合に、通信速度画像H2を表示することで、サーバ装置10との通信速度がより速くなる現場端末20の設置場所を見つけやすくすることができる。
【0056】
次に、現場端末20は、A21において、操作受付部212により、撮影準備開始ボタンB1への操作を、撮影の開始操作として受け付ける。続いて、現場端末20は、A22において、稼働制御部214により、撮像装置30に対して、自装置(撮像装置30)の起動を指示する起動コマンドと、BLE通信の接続を指示する接続コマンドとを送信する。BLE通信の接続とは、現場端末20の第2通信部232と撮像装置30の第2通信部332との間でBLE通信の仕様に準拠した無線通信が可能な状態にすることを言う。
【0057】
撮像装置30の第2通信部332には、常に微小な電力が供給されていて部分的に稼働する状態になっており、第2通信部232からのコマンドを受信可能な状態となっている。第2通信部332が上記の起動コマンドを受信すると、A23において、撮像装置30の稼働制御部313が、自装置(撮像装置30)を起動させる制御を行う。撮像装置30が起動することで、第2通信部332の全体が稼働する状態になる。
【0058】
全体が稼働する状態で撮像装置30の第2通信部332が上記の接続コマンドを受信すると、A23において、第2通信部332が、現場端末20の第2通信部232とのBLE通信の接続処理を行う。なお、A23において、撮像装置30の起動処理とBLE通信の接続処理とは順番が反対であってもよいし、並行して行われてもよい。要するに、BLE通信を用いたリモート起動の仕様に基づいて起動処理及び接続処理が行われればよい。
【0059】
BLE通信の接続は、常に成功する訳ではなく、失敗する場合もある。その場合、現場端末20は、BE接続の再試行のための処理を行う。現場端末20は、例えば、表示制御部211により、撮像装置30への操作を指示する表示を、再試行のための処理として行う。
図9は、表示された操作指示の一例を示す図である。図9の例では、表示制御部211は、現場撮影アプリの画面E1に、提示情報C2と、操作不可状態の撮影準備開始ボタンB2とを表示している。
【0060】
提示情報C2は、「接続に失敗しました。カメラの電源ボタンを押してください。」というように、撮像装置30への操作を促す情報を示している。現場端末20の稼働制御部214は、提示情報C2が表示された後、撮像装置30に対して、BLE通信の接続を指示する接続コマンドを繰り返し送信する。そして、提示情報C2を見た現場作業員W1が撮像装置30の電源ボタンを押すと、撮像装置30の第2通信部332は、第2通信部232からのコマンドを受信可能な状態となる。その結果、第2通信部232及び第2通信部332のBLE通信接続が再試行される。BLE通信接続の再試行は、BLE通信接続が成功するまで行われる。
【0061】
以上のとおり、表示制御部211及び稼働制御部214は、撮像装置30を起動させるための処理を、内部給電状態から外部給電状態への切り替えの後に実行する第1起動部として機能する。撮像装置30を起動させるための処理は、第1起動部が表示制御部211の場合は、図8に示す撮影準備開始ボタンB1を表示する処理であり、第1起動部が稼働制御部214の場合は、BLE通信により起動コマンドを送信する処理である。このような態様によれば、撮像装置30を操作して起動させる場合に比べて、起動時の手間を減らすことができる。
【0062】
次に、現場端末20は、A24において、設定制御部215により、撮影時の設定を示す設定情報を撮像装置30に送信する。撮像装置30の設定情報は、例えば、ISO感度、絞り値及びシャッタースピード等である。これらの設定情報は、撮影対象である工事現場に合わせて定められたものであり、記憶部22に記憶されている。撮像装置30は、A25において、記憶制御部315により、送信されてきた設定情報を記憶して、撮影時の設定として反映する。
【0063】
このように、設定制御部215による設定の反映は、A23において撮像装置30が起動されたあとに行われる。言い換えると、設定制御部215は、撮像装置30が起動された場合、第2無線通信(本実施形態ではBLE通信)により、撮像装置30が備えるセンサの設定として所定の設定を反映させる設定部として機能する。このような態様によれば、撮像装置30が起動されると必ず所定の設定が反映されるので、測定時の設定忘れを防ぐことができる。
【0064】
次に、現場端末20は、A26において、表示制御部211により、撮影開始の操作を受け付けるための操作開始ボタンを表示する。
図10は、表示された操作開始ボタンの一例を示す図である。図10の例では、表示制御部211は、現場撮影アプリの画面E1に、提示情報C3と、撮影開始ボタンB3とを表示している。提示情報C3は、「カメラの設定が完了しました。ライトを点灯して撮影を開始してください。撮影時間の目安は38分です。」というように、撮影の設定の完了を示す情報と、ライトを点灯させる操作を促す情報と、撮影可能時間とを示している。
【0065】
表示制御部211は、提示情報C3において、時間制御部218により算出された最新の撮影可能時間を表示している。これは、A15の撮影準備操作からA26の撮影開始操作までに経過した時間により、撮影可能時間が変化している場合があるためである。現場作業員W1は、提示情報C3を見ることで撮影の準備ができたことを知り、撮影開始ボタンB3と、撮像装置30のライトのスイッチとを押して撮影を開始する。
【0066】
操作受付部212がA26において撮影開始ボタンB3への操作を受け付けると、現場端末20は、稼働制御部214により、撮影開始を指示する開始コマンドをBLE通信により撮像装置30に送信する。撮像装置30は、開始コマンドが送信されてくると、A27において、撮影制御部314により、撮影を開始する。撮像装置30は、撮影を開始すると、A28において、撮影制御部314により、撮影した画像を示す画像データを生成し、記憶制御部315により、生成された画像データを記憶部32に記憶させる。このように、撮像装置30は、センサによる測定を行うとその測定の結果を示す測定データ(本実施形態では画像データ)を記憶する。
【0067】
現場端末20は、撮影されている間も、A31において、時間制御部218により、撮影可能時間の残り時間を算出する。この残り時間は、A26において撮影開始の操作が受け付けられた撮影開始時刻から経過した時間を、撮影開始時刻における撮影可能時間から減算することで算出される。時間制御部218は、算出した残り時間を示す時間データを撮像装置30に送信する。図7の例では、撮像装置30は、現場端末20からのBLE通信の電波が届く範囲を移動しているものとする。
【0068】
撮像装置30は、A32において、例えば表示制御部311により、送信されてきた時間データが示す撮影可能時間の残り時間を報知する。
図11は、表示された撮影可能時間の残り時間の一例を示す図である。図11の例では、表示制御部311は、出力部35が有する表示面に「撮影可能時間の終了まで残り5分です。」という報知情報C4を表示している。
【0069】
このように、図11の例では、時間制御部218は、算出された測定時間に後処理が間に合うように撮像装置30の動作を制御する制御処理を実行することで、上述した促進処理(内部給電状態の継続期間中に後処理を終了させることを促進するための処理)を実行する促進部として機能する。現場作業員W1は、制御処理により提示された測定可能時間を見ることで、その測定可能時間が経過する前になるべく撮影が終了するように工事現場を移動する。このような態様によれば、制御処理が実行されない場合に比べて、後処理が間に合いやすいようにすることができる。
【0070】
現場作業員W1は、現場端末20の設置位置に戻ってくると、撮像装置30のケーブルをコネクタ7に接続し、自撮り棒3をスタンド8に差し込んで固定する。現場端末20は、A26において撮影開始操作を受け付けた後、A33において、表示制御部211により、撮影終了の操作を受け付けるための操作終了ボタンを表示する。
【0071】
図12は、表示された操作終了ボタンの一例を示す図である。図12の例では、表示制御部211は、現場撮影アプリの画面E1に、提示情報C5と、撮影終了ボタンB5とを表示している。提示情報C5は、「撮影を終了する場合はボタンを押してください。」というように、撮影を終了させる操作を促す情報を示している。
【0072】
撮像装置30が工事現場を移動すると、電波が届かない場合はもちろん、電波が届いていても途中で現場端末20とのBLE通信の接続が切れる場合がある。そこで、操作受付部212がA33において撮影終了ボタンB5への操作を受け付けると、現場端末20は、稼働制御部214により、撮像装置30に対してBLE通信の接続を指示する接続コマンドを送信する。撮像装置30の第2通信部332が送信されてきた接続コマンドを受信すると、A35において、第2通信部332が、現場端末20の第2通信部232とのBLE通信の接続処理を行う。
【0073】
BLE通信の接続が行われると、現場端末20は、A36において、稼働制御部214により、撮影終了を指示する終了コマンドをBLE通信により撮像装置30に送信する。撮像装置30は、終了コマンドが送信されてくると、A37において、撮影制御部314により、撮影を終了する。撮像装置30は、撮影を終了すると、A38において、撮影制御部314により、撮影された画像(本実施形態では動画像)の一覧を生成する。撮影制御部314は、例えば、これまでに撮影された動画像のサムネイル画像をその動画像へのリンクとするウェブページを画像一覧として生成する。
【0074】
撮影処理について、引き続き図13を参照して説明する。
図13は、撮影処理の一例を示すアクティビティ図である。現場端末20は、A36において撮影終了を指示すると、次に、A41において、稼働制御部214により、撮像装置30に対して、Wi-Fi通信の接続を指示する接続コマンドをBLE通信により送信する。Wi-Fi通信の接続とは、現場端末20の第1通信部231と撮像装置30の第1通信部331との間でWi-Fi通信の仕様に準拠した無線通信が可能な状態にすることを言う。
【0075】
撮像装置30の第1通信部331が上記の接続コマンドを受信すると、A42において、第1通信部331が、現場端末20の第1通信部231とのWi-Fi通信の接続処理を行う。このように、稼働制御部214は、撮像装置30の第1通信部331を起動させるための処理を、撮像装置30が起動された後に実行する第2起動部として機能する。稼働制御部214は、本実施形態では、この起動の処理を、起動された撮像装置30による測定の開始の後に実行する。稼働制御部214は、第1通信部331を起動させるための処理として、BLE通信により起動コマンドを送信する処理を実行する。
【0076】
次に、現場端末20は、A43において、表示制御部211により、撮像装置30に記憶されている画像の一覧を表示する。表示制御部211は、画像一覧の要求を撮像装置30に送信し、撮像装置30は、A44において、記憶制御部315により、自装置に記憶されている画像一覧のウェブページを現場端末20に送信する。表示制御部211は、送信されてきた画像一覧を表示する。
【0077】
現場端末20は、A45において、記憶制御部216により、画像一覧から未取得の画像データを選択し、選択した画像データを送信するよう指示する指示データを撮像装置30に送信する。撮像装置30は、A51において、記憶制御部315により、送信されてきた指示データが示す画像データを読み出して、読み出した画像データを現場端末20に送信する。現場端末20は、A52において、記憶制御部216により、送信されてきた画像データを記憶部22に記憶させる。
【0078】
このように、記憶部22は、撮像装置30が備えるセンサによる測定結果を示す測定データを記憶する。また、記憶制御部216は、起動された第1通信部331とのWi-Fi通信により測定データを取得する取得処理を実行する。この取得処理は、起動された撮像装置30による測定の結果を示す測定データに関する後処理の一例である。記憶制御部216は、後処理を実行する後処理部の一例である。記憶制御部216は、取得処理により取得された測定データを記憶部22に記憶させる。
【0079】
現場端末20は、A53において、記憶制御部216により、記憶した画像データのエラーチェックを行う。画像データのエラーとは、画像データが示す画像を表示することができない状態等のことであり、例えば、通信状態の悪化で画像データの送信が途切れた場合等に発生する。記憶制御部216は、例えば、画像データが示す画像を実際に表示させることができるか否かによってエラーの有無を判断する。このように、記憶制御部216は、記憶制御部216により取得された測定データのエラーの有無を検証する第1検証部として機能する。第1検証部は、後処理部の一例である。
【0080】
記憶制御部216は、画像データにエラーが有ると判断した場合、画像データを送信するよう指示する指示データを撮像装置30に再度送信する。撮像装置30は、再送された指示データを受け取ると、再びA51の動作を行う。現場端末20は、A54において、記憶制御部216により、画像データにエラーが無いと判断した場合、送信した画像データを削除するよう指示する指示データを撮像装置30に送信する。撮像装置30は、A55において、記憶制御部315により、送信されてきた指示データが示すように、エラーがないと判断された画像データを削除する。
【0081】
このように、記憶制御部216は、第1検証部における検証結果に応じて撮像装置30に記憶されている測定データに関する第1処理をその撮像装置30に実行させる第1処理部として機能する。第1処理部は、後処理部の一例である。第1処理は、エラーが無いという検証結果の場合は測定データの削除処理であり、エラーが有るという検証結果の場合は測定データの再送処理である。このような態様によれば、正常な測定データを確実に取得することができる。
【0082】
次に、現場端末20は、A56において、稼働制御部214により、撮像装置30に対して、BLE通信により、自装置(撮像装置30)の終了(シャットダウン)を指示する終了コマンドを送信する。第2通信部332が終了コマンドを受信すると、A57において、撮像装置30の稼働制御部313が、自装置(撮像装置30)を終了させる制御を行う。
【0083】
続いて、現場端末20は、A61において、送信制御部217により、記憶制御部216に記憶された画像データを分割する。送信制御部217は、例えば、画像データを所定のサイズの複数のデータ(以下「分割データ」と言う)に分割する。送信制御部217は、例えば、自装置のメモリ容量に応じたサイズを所定のサイズとして画像データを分割する。画像データの転送に用いられるアプリによっては、画像データのサイズの割にメモリ容量が小さいと、転送中にアプリが正常に稼働しなくなる(フリーズしたり落ちたりする)場合がある。そこで、メモリ容量に応じてアプリが落ちない程度のサイズに画像データを分割することで、分割しない場合に比べて、転送の失敗を抑制することができる。
【0084】
また、送信制御部217は、時間制御部218により算出された内部給電状態における現場端末20及び撮像装置30の稼働時間に応じたサイズを所定のサイズとして画像データを分割してもよい。画像データを分割すると、分割しない場合に比べて転送に要する時間が長くなるので、送信制御部217は、稼働時間が続くうちに転送が終了するようなサイズを所定のサイズとして画像データを分割する。
【0085】
また、送信制御部217は、分割データを再送した場合に要する再送コスト(時間及び消費電力等)に応じたサイズを所定のサイズとして画像データを分割してもよい。再送コストを大きくするほど、後述するエラーが発生した場合に再送可能な分割データのサイズが大きくなる。送信制御部217は、例えば、分割データのうち所定の個数にエラーが発生した場合に予め設定された再送コストで再送可能なサイズを所定のサイズとして画像データを分割する。
【0086】
なお、送信制御部217は、自装置のメモリ容量、現場端末20及び撮像装置30の稼働時間及び再送コストを組み合わせて所定のサイズを決定してもよい。いずれの場合も、画像データの分割は、後述するエラーが見つかった際に再送される分割データのデータ量を少なくするために行われる。
【0087】
次に、送信制御部217は、取得された画像データのサーバ装置10への転送が可能か否かを判断する。送信制御部217は、例えば、時間制御部218に対して、取得された画像データのデータ量に基づいて、各後処理に要する処理時間の算出を指示する。そして、送信制御部217は、外部給電状態から内部給電状態に切り替わる切替時刻から内部給電状態における現場端末20及び撮像装置30の稼働時間が経過するまでに処理時間に所定の係数を乗じた時間が収まる場合には、画像データのサーバ装置10への転送が可能であると判断する。
【0088】
例えば、A52において取得された画像データのデータ量を「1.0」とし、後述するエラーによる再送に備える画像データのデータ量(上記の再送コストにより再送可能な分割データのデータ量)を例えば「0.2」とした場合、それらの合計である「1.2」を所定の係数とする。このように、所定の係数を大きくするほど、エラーによる画像データの再送が多く発生しても、稼働時間内に後処理を完了させることができる。
【0089】
現場端末20は、転送が可能であると判断した場合は、A64において、送信制御部217により、画像データをサーバ装置10に送信する。また、送信制御部217は、上記の処理時間が収まらない場合には、画像データのサーバ装置10への転送が不可であると判断する。現場端末20は、転送が不可であると判断した場合は、A63において、送信制御部217により、画像データを加工する処理を行う。
【0090】
送信制御部217は、例えば、複数のフレームを有する画像データが示す動画像からフレームを間引く処理を加工処理として行う。より詳細には、送信制御部217は、例えば、時系列に連続する所定の数のフレームを1つのグループとし、連続する複数のグループの各々から1以上のフレームを取り出して時系列に並べた新たな画像データを生成する。その際、送信制御部217は、グループ内のフレームのうち、画像の品質が高いフレームから順番に取り出す。
【0091】
送信制御部217は、例えば、フレーム内の画像のエッジを検出し、検出されたエッジの数が多い画像を含むフレームほどピンボケが少なく品質が高いフレームとして取り出す。なお、送信制御部217は、これ以外にも、画像の品質を評価する周知の技術を用いてフレーム内の画像の品質を評価し、評価が高い方から順番にフレームを取り出してもよい。送信制御部217は、稼働時間内に後処理を完了させることができるデータ量の画像データが生成される数のフレームを取り出す。
【0092】
送信制御部217は、画像データを加工すると、加工した画像データをA64においてサーバ装置10に送信する。サーバ装置10は、送信されてきた画像データを記憶する。このように、送信制御部217は、取得処理により取得された測定データを外部装置であるサーバ装置10に送信して記憶させる送信部として機能する。送信部は、後処理部の一例である。送信制御部217は、算出された測定時間に間に合うように測定データを送信する送信処理を、上記の促進処理(内部給電状態の継続期間中に後処理を終了させることを促進するための促進処理)として実行する。このような態様によれば、測定に時間がかかっても後処理を間に合わせることができる。
【0093】
現場端末20は、A65において、送信制御部217により、サーバ装置10に記憶された画像データのエラーチェックを行う。送信制御部217は、サーバ装置10に対して記憶した画像データのエラーの有無の検証を要求し、サーバ装置10からの応答に基づいてエラーの有無を検証する。サーバ装置10は、例えばA53で述べた方法でエラーチェックを行い、その結果を送信制御部217に通知する。送信制御部217は、通知されたエラーチェックの結果に基づいて、外部装置であるサーバ装置10に記憶された測定データのエラーの有無を検証する第2検証部として機能する。第2検証部は、後処理部の一例である。
【0094】
現場端末20は、A65において画像データにエラーが無いと判断した場合、A66において、記憶制御部216により、自装置が記憶する画像データを記憶部22から削除する。また、現場端末20は、A65において画像データにエラーが有ると判断した場合、A67において、送信制御部217により、エラーが有った画像データをサーバ装置10に再度送信する。A61において画像データを分割することで、画像データの分割を行わない場合に比べて、再送する画像データのデータ量を少なくすることができる。サーバ装置10は、エラーが無い分割された画像データが全て揃った場合、それらのデータを統合して分割前の1つの画像データを復元する。
【0095】
以上のとおり、記憶制御部216及び送信制御部217は、第2検証部における検証結果に応じて記憶部22に記憶されている測定データに関する第2処理を実行する第2処理部として機能する。第2処理部は、後処理部の一例である。第2処理は、エラーが無いという検証結果の場合は記憶制御部216による測定データの削除処理であり、エラーが有るという検証結果の場合は送信制御部217による測定データの再送処理である。このような態様によれば、測定データの転送を確実に正常に終わらせることができる。
【0096】
最後に、現場端末20は、A68において、稼働制御部214により、自装置をスリープ状態にする処理を行う。以上のとおり、本実施形態では、撮像装置30を起動させるための処理が、内部給電状態から外部給電状態への切り替えの後に実行される。また、第1通信部331を起動させるための処理が、起動された撮像装置30による測定の開始の後に実行される。このように、撮像装置30及び第1通信部331を必要なときに起動させることで、これらが常に起動されている場合に比べて、外部電源5から供給される電力を有効利用することができる。
【0097】
<その他の実施形態>
後処理には、撮像装置30に処理を指示する指示処理が含まれている。指示処理は、例えば、図13に示すA45における記憶制御部216による画像データの送信指示処理及びA54における記憶制御部216による画像データの削除指示処理である。記憶制御部216は後処理部の一例である。記憶制御部216は、撮像装置30が測定に用いられる可能性が所定の基準より小さい期間にそれらの指示処理を実行してもよい。
【0098】
記憶制御部216は、例えば、撮像装置30による撮影が行われた時刻を示す時刻データを蓄積する。記憶制御部216は、蓄積した時刻データに基づいて、1日の各時間帯において撮影が行われる確率を算出する。記憶制御部216は、算出した確率が閾値未満となる期間に上記の指示処理を実行する。なお、記憶制御部216は、他にも、例えば、工事のスケジュール情報を取得し、取得したスケジュール情報が示す工事が行われる時間帯のうち最初及び最後の時間帯を除いた期間に指示処理を実行してもよい。
【0099】
また、指示処理を実行する際に撮像装置30の稼働が終了していた場合、稼働制御部214が起動コマンドを送信して撮像装置30を起動させてから、送信制御部217が指示処理を実行してもよい。このような態様によれば、撮像装置30の測定中(撮影中)に指示処理が実行される場合に比べて、測定時に撮像装置30の処理の負荷が高まることを抑制することができる。
【0100】
<ソフトウェアアップデート>
記憶制御部216は、撮像装置30に導入されているソフトウェアをアップデートさせる更新部として機能してもよい。記憶制御部216は、例えば、内部給電状態において、撮像装置30に導入されているソフトウェアをアップデートさせる。内部給電状態では、ブレーカ6がオフになっているので、ブレーカ6がオン(外部給電状態)の場合に比べて、工事現場の作業が終了している可能性が高く、撮像装置30による撮影が行われる可能性が低い。よって、外部給電状態に比べて、ソフトウェアのアップデートが撮影により中断される可能性が低く、ソフトウェアアップデートをより安全に行うことができる。
【0101】
また、記憶制御部216は、撮像装置30が測定に用いられる可能性が所定の基準より小さい期間において、撮像装置30に導入されているソフトウェアをアップデートさせてもよい。記憶制御部216は、例えば、上記の指示処理の場合と同様に、1日の各時間帯において撮影が行われる確率を算出し、算出した確率が閾値未満となる期間にソフトウェアのアップデートを実行する。この場合、例えば外部給電状態であっても、ソフトウェアアップデートをより安全に行うことができる。
【0102】
<構成のバリエーション>
図1に示す全体構成は一例であり、これに限られない。例えば、現場端末20が自撮り棒3に取り付けられて、撮像装置30とともに撮影時に持ち運ばれてもよい。
図14は、自撮り棒3に取り付けられた現場端末20を示す図である。自撮り棒3には、現場端末20を取り付けるためのフォルダ9が設けられている。
【0103】
フォルダ9には、現場端末20が固定されている。現場端末20及び撮像装置30は、それぞれケーブルを介して同一のコネクタ7aに接続されている。このように、コネクタを一つにまとめることで、コネクタが別々に設けられている場合に比べて、撮影開始時にケーブルを外す手間を少なくしている。また、現場端末20を持ち運び可能にすることで、例えば、図11に示すような報知情報を撮像装置30よりも大きな表示手段に表示させることができる。また、現場端末20を設置したままに比べて、現場端末20及び撮像装置30の間のBLE通信が切れにくくなる。
【0104】
工事支援システム1においては、Wi-Fi通信を第1無線通信、BLE通信を第2無線通信としたが、これに限らず、その他の無線通信(例えばWi-Fi通信以外の無線LAN)が用いられてもよい。第1無線通信は、データ量が大きくなりやすい測定データの送信に使用し、第2無線通信は、コマンドの送信というデータ量が小さい通信に用いられる。従って、第2無線通信は、第1無線通信よりも、通信速度が遅く且つ消費電力が小さいことが望ましい。
【0105】
また、現場端末20及び撮像装置30の間の無線通信としては、第1無線通信だけが用いられてもよい。その場合でも、撮像装置30を起動させるための処理として、表示制御部211により図8に示す撮影準備開始ボタンB1を表示する処理が行われることで、撮像装置30が常に起動されている場合に比べて、外部電源5から供給される電力を有効利用することができる。
【0106】
図13に示す画像データのエラーチェック及びデータ削除の処理(以下「画像関連処理」と言う)は、画像データの送信及び記憶がされたときに即座に行われたが、異なるタイミングで行われてもよい。画像関連処理は、例えば、撮像装置30が起動されたとき、外部給電状態から内部給電状態に切り替わったとき、又は、工事現場毎に予め決められたタイミング等において行われてもよい。また、撮像装置30における画像データの削除と現場端末20における画像データの削除を異なるタイミングで行うのではなく、サーバ装置10が記憶した画像データにエラーが無かった場合に両装置が画像データを削除してもよい。
【0107】
また、画像関連処理は、毎日行われるのでなく、例えば、撮像装置30及び現場端末20の記憶部の空き容量が少なくなってきたタイミングで行われてもよい。要するに、画像関連処理は、撮像装置30及び現場端末20の記憶部の空き容量不足で画像データが記憶できなくなったり、撮像装置30による工事現場の撮影処理の邪魔になったりしないタイミングで行われることが望ましい。
【0108】
また、撮像装置30及び現場端末20の記憶容量と、両装置がそれぞれ記憶する画像データ及びそのデータ量とを、サーバ装置10が管理してもよい。その場合、サーバ装置10は、撮像装置30が生成した画像データをエラーのない状態でサーバ装置10に記憶させるために画像データの送信、エラーチェック及び再送を指示する。また、サーバ装置10は、各装置の記憶容量の空きが無くなる前に画像データの削除を指示する。なお、この指示は、サーバ装置10が能動的に行ってもよいし、現場端末20からの問い合わせに応答して行ってもよい。
【0109】
また、工事支援システム1は、撮像装置30とは異なる測定装置を備えていてもよい。測定装置は、例えば、対象物までの距離を測定する距離画像センサを備え、測定結果を示す点群データを測定データとして出力するものであってもよい。また、測定装置は、対象物の温度を測定する赤外線センサ又は対象物までの距離や対象物の速度を測定するミリ波センサを備えるものであってもよい。また、測定装置は、より高解像度な撮影が可能な広角カメラ等であってもよい。
【0110】
また、工事支援システム1は、ブレーカ6がオフにされない工事現場であれば、現場端末20及び撮像装置30が外付けバッテリー4を介さずに外部電源5と接続されていてもよい。また、現場端末20は、実施形態では、ブレーカ6がオフされた場合でも移動体通信でサーバ装置10に測定データを送信していたが、ブレーカ6がオフされない場合は、Wi-Fiルータを工事現場に設置することで、Wi-Fi通信によりサーバ装置10に測定データを送信してもよい。その場合でも、例えば、撮像装置30が起動された場合に設定制御部215による設定の反映が行われることで、測定時の設定忘れを防ぐことができる。
【0111】
<通信エラーへの対策>
上記の実施形態では、撮像装置30から現場端末20に送信された画像データにエラーがある場合についての対策を説明したが、以下では、画像データの送信中に通信エラーが発生して画像データが送れなくなる事象への対策について説明する。通信エラーは、撮像装置30から現場端末20への通信と、現場端末20からサーバ装置10への通信とで発生し得るが、以下では後者に対する対策について説明する。
【0112】
図15は、各装置の制御部の機能構成の別の一例を示す図である。図15の例では、現場端末20の制御部21が、図6に示す機能に加え、状態判断部219と、抑制処理部220とを備える。図15の例では、送信制御部217は、測定装置(撮像装置30)による測定の結果を通信部23による通信を介して取得する取得部の一例として機能する。また、送信制御部217は、取得した測定結果の外部装置(サーバ装置10)への送信(以下「結果送信処理」と言う)を、通信部23を介して行う送信部の一例としても機能する。
【0113】
状態判断部219は、自装置(現場端末20)の通信速度の低下が発生する状態(以下「低下状態」と言う)の有無を判断する判断部の一例として機能する。また、抑制処理部220は、低下状態が有ると判断された場合、通信速度の低下による送信エラーを抑制するための処理(以下「抑制処理」と言う)を実行する処理部の一例として機能する。抑制処理は、測定結果をサーバ装置10に送信する送信処理に含まれる処理である。
【0114】
図16は、送信処理の一例を示すフロー図である。まず、現場端末20は、送信制御部217により、撮像装置30を制御して、撮像装置30による測定の結果(撮影画像を示す画像データ)を、通信部23による通信を介して取得する(S11)。次に、現場端末20は、記憶制御部216により、取得された測定結果を記憶部22に一時的に保存する(S12)。S11及びS12は、図13に示すA52(画像データを記憶)において行われる処理である。
【0115】
続いて、現場端末20は、送信制御部217により、測定結果の送信時期になったか否かを判断する(S13)。送信制御部217は、例えば、送信条件が満たされた場合に、送信時期になったと判断する。送信条件は、例えば、工事監督W2が設定した送信時刻になった場合に満たされる。送信制御部217は、送信条件が満たされない(NO)と判断した場合はS13を繰り返し実行する。
【0116】
現場端末20は、S13において送信条件が満たされた(YES)と判断した場合、状態判断部219により、前述した低下状態(自装置の通信速度の低下が発生する状態)の有無を判断する(S14)。図16の例では、状態判断部219は、リアルタイムな低下状態の有無(現時点で低下状態が有るか無いか)を判断する。
【0117】
状態判断部219は、例えば、自装置の周囲の気温に基づいて低下状態の有無を判断する。現場端末20による通信エラーの原因の1つは、CPU及びストレージ等の過剰な発熱(オーバーヒート)であり、周囲の気温が高いほど放熱が捗らず過剰な発熱を起こしやすくなる。そこで、状態判断部219は、送信条件が満たされた時刻における自装置の温度が所定値以上であると判断される場合に、低下状態が有ると判断する。
【0118】
具体的には、状態判断部219は、例えば、まず、通信部23を介してインターネット上の天気情報の提供サービスサイトにアクセスし、自端末の設置場所を含む地域の現在の気温を示す気温情報を取得する。そして、状態判断部219は、取得した気温情報が示す気温が所定の気温以上である場合に、低下状態が有ると判断する。この「所定の気温」は、測定結果の送信が行われる上限の気温であり、以下では「上限気温」と言う。
【0119】
インターネット上で取得可能な気温情報を用いる場合、気温情報が示す気温は、一般的に屋外の気温である。一方、工事現場は、屋内でありかつ空調が効いている訳ではないので、屋外の気温よりも高くなりやすい。そこで、例えば、現場端末20の低下状態の発生率が高まる気温(現場端末20の周囲の気温)が35度以上であり、かつ、工事現場の気温が屋外の気温よりも平均して5度程度高い場合、上限気温は30度程度に設定されるとよい。上限気温の設定は、例えば、工事監督W2又は現場作業員W1によって行われてもよいし、工事支援システム1の運用事業者によって行われてもよい。
【0120】
なお、低下状態の判断方法は上記方法に限らない。例えば、現場端末20が温度センサを備えているものとする。現場端末20は、例えば、CPUの温度、バッテリーの温度及び筐体の表面の温度等を測定可能な温度センサを備える。その場合、状態判断部219は、温度センサの測定温度が所定の温度(以下「上限温度」と言う)以上である場合に、低下状態が有ると判断する。上限温度は、現場端末20のCPU等の部品が発する熱で温度センサが熱くなりやすいことを考慮して、気温情報を用いる場合に比べて高い温度(例えば40度等)が設定されるとよい。
【0121】
上記のとおり低下状態が有ると判断された場合、現場端末20は、抑制処理部220により、抑制処理(通信速度の低下による送信エラーを抑制するための処理)を実行する(S15)。抑制処理には、例えば、第1~第5抑制処理が含まれる。第1~第5抑制処理の詳細について以下で述べる。
【0122】
第1抑制処理は、低下状態においては測定結果の送信を禁止する処理である。抑制処理部220は、例えば、送信制御部217に対して送信処理の禁止を指示する処理を第1抑制処理として実行する。抑制処理部220は、例えば、低下状態が有ると判断される期間において、第1抑制処理を実行する。
【0123】
図17は、第1抑制処理を説明するための図である。図17では、縦軸が気温を示し、横軸が1日の時刻を示すグラフが示されている。図17の例では、気温情報を用いる場合の上限気温Th1が定められており、午前中に気温が上昇して時刻t11に上限気温Th1に達し、夕方に気温が下降して時刻t12以降は上限気温Th1以下になっている。この場合、抑制処理部220は、時刻t11から時刻t12までの期間は、送信時期になっている場合でも、測定結果の送信処理を禁止する禁止処理を第1抑制処理として実行する。
【0124】
現場端末20は、S14において低下状態が無いと判断されるまで、S14及びS15を繰り返し実行し、禁止処理を継続する。S14において低下状態が無いと判断すると、現場端末20は、送信制御部217により、測定結果をサーバ装置10に送信する(S16)。S16は、図13に示すA64(画像データの送信)において行われる処理である。現場端末20は、S16を実行し、送信処理を終了する。
【0125】
以上のとおり、状態判断部219は、自装置(現場端末20)の温度が所定値以上である場合に低下状態が有ると判断する。そして、抑制処理部220は、低下状態が無いと判断された場合に結果送信処理を実行させる処理を抑制処理(第1抑制処理及び第2抑制処理)として実行する。このような態様によれば、上限気温以上である場合は結果送信処理が実行されないので、抑制処理(第1抑制処理及び第2抑制処理)が実行されない場合に比べて、高温時のエラー発生を抑制することができる。
【0126】
図18は、送信処理の別の一例を示すフロー図である。図18の例では、第2抑制処理を含む送信処理が実行される。まず、現場端末20は、図16の例と同様に、S11(測定結果を取得)及びS12(測定結果を一次保存)を実行する。次に、現場端末20は、状態判断部219により、前述した低下状態(自装置の通信速度の低下が発生する状態)の有無を判断する(S21)。
【0127】
図18の例では、状態判断部219は、現時点だけでなく、未来の時点での低下状態の有無も判断する。状態判断部219は、例えば、上述した天気情報の提供サービスサイトにアクセスし、自端末の設置場所を含む地域の気温の移り変わりを示す気温予測情報を取得する。そして、状態判断部219は、取得した気温予測情報が示す気温が所定の気温以上となる時間帯を、低下状態が有る時間帯と判断する。ここでいう「低下状態が有る時間帯」とは、低下状態になっている可能性が高い時間帯、又は、低下状態になることが見込まれる時間帯を含むものとする。
【0128】
現場端末20は、S21において低下状態が有ると判断した場合、抑制処理部220により、第2抑制処理を実行する(S22)。抑制処理部220は、例えば、S21で判断された低下状態が有る時間帯における測定結果の送信処理を禁止するよう送信制御部217に指示する処理を第2抑制処理として実行する。抑制処理部220は、例えば、図17に示すグラフが予測された気温を示す場合、上限気温Th1以上となる時刻t11から時刻t12までの時間帯における測定結果の送信処理を禁止するよう送信制御部217に指示する禁止処理を第2抑制処理として実行する。
【0129】
現場端末20は、第2抑制処理により送信処理が禁止された期間が終了すると、すなわち、低下状態が有る時間帯が経過すると、送信制御部217により、送信時期(送信条件が満たされたとき)に測定結果をサーバ装置10に送信する(S23)。また、送信制御部217は、S21において低下状態が無いと判断された場合も、S23の処理を実行する。送信制御部217は、第2抑制処理により送信が禁止されていた期間に送信条件が満たされた場合は、例えば、その期間の経過後すぐに測定結果を送信する。
【0130】
なお、第1抑制処理では、リアルタイムに低下状態の有無を判断する必要があったが、第2抑制処理の場合、1日に最小で1回、低下状態の有無が判断されれば、その判断の結果に基づいて、第2抑制処理を実行することができる。一方、第1抑制処理の場合、リアルタイムに低下状態の有無を判断するので、予測とは異なる気温の変化があった場合でも、適切に抑制処理を実行して、測定結果の送信エラーの発生を抑制することができる。
【0131】
図19は、送信処理の別の一例を示すフロー図である。図19の例では、第3抑制処理を含む送信処理が実行される。まず、現場端末20は、図16の例と同様に、S11(測定結果を取得)及びS12(測定結果を一次保存)を実行する。次に、現場端末20は、状態判断部219により、前述した低下状態の有無を判断する(S31)。現場端末20は、S31において低下状態が有ると判断した場合、抑制処理部220により、第3抑制処理を実行する(S32)。
【0132】
抑制処理部220は、S12で保存された測定結果のデータサイズを縮小する縮小処理を第3抑制処理として実行する。抑制処理部220は、例えば、測定結果が動画像である場合に、その動画像からフレームを間引く処理を第3抑制処理として実行する。その場合、抑制処理部220は、時系列に連続する所定の数のフレームを1つのグループとし、連続する複数のグループの各々から1以上のフレームを取り出して時系列に並べた新たな画像データを生成する。その際、抑制処理部220は、グループ内のフレームのうち、画像の品質が高いフレームから順番に取り出す。
【0133】
現場端末20は、第3抑制処理が終了すると、送信制御部217により、送信時期(送信条件が満たされたとき)に測定結果をサーバ装置10に送信する(S33)。また、送信制御部217は、S31において低下状態が無いと判断された場合も、S33の処理を実行する。送信制御部217は、第3抑制処理の実行中に送信条件が満たされた場合は、例えば、第3抑制処理の実行後すぐに測定結果を送信する。
【0134】
以上のとおり、抑制処理部220は、記憶部22に保存がされている測定結果のデータサイズを縮小する処理を抑制処理(第3抑制処理)として実行する。このような態様によれば、第3抑制処理が実行されない場合に比べて、サーバ装置10への送信に要する時間を短くして送信エラーの発生を抑制しつつ、低下状態であっても測定結果を送信することができる。
【0135】
図20は、送信処理の別の一例を示すフロー図である。図20の例では、第4抑制処理を含む送信処理が実行される。第4抑制処理の場合、他の抑制処理と異なり、現場端末20は、測定結果を取得する前に、状態判断部219により、前述した低下状態の有無を判断する(S41)。また、第4抑制処理の場合、状態判断部219は、リアルタイムな低下状態の有無ではなく、未来の時点での低下状態の有無を判断する。
【0136】
状態判断部219は、撮像装置30が撮影を開始するよりも前にS41の処理を実行する。そのため、状態判断部219は、例えば、A13でアプリが起動すること又はA21において撮影の開始操作を受け付けたことを契機に低下状態の有無を判断する処理を開始する。これにより、通常であれば、撮影開始の操作が受け付けられるA26までに低下状態の有無の判断が完了するが、万が一完了していない場合は、現場端末20は、A26において、撮影開始の操作を受け付けるための操作開始ボタンを、低下状態の有無の判断が完了するまで操作ができない状態にしておいてもよい。
【0137】
現場端末20は、S41において低下状態が有ると判断した場合、抑制処理部220により、第4抑制処理を実行する(S42)。抑制処理部220は、撮像装置30に対して測定のフレームレートを小さくすることを指示する指示処理を第4抑制処理として実行する。例えば、撮像装置30は、第1フレームレート及び第2フレームレート(第1フレームレートは第2フレームレートよりも大きい)で撮影可能であるものとする。
【0138】
抑制処理部220は、通常はA24の設定情報において第1フレームレートが設定されるが、A24の実行前に低下状態が有ると判断された場合は、A24において第2フレームレートへの設定を示す設定情報を送信するよう設定制御部215に指示する処理を第4抑制処理として実行する。なお、低下状態が有るという判断がA24の後に行われた場合、抑制処理部220は、撮影が開始される前に、撮像装置30に記憶されている設定情報を第2フレームレートに更新させるよう設定制御部215に指示する処理を第4抑制処理として実行する。
【0139】
この後は、現場端末20は、S43(測定結果を取得)、S44(測定結果を一次保存)及びS45(測定結果を送信)を実行し(それぞれA52、A52及びA64において行われる処理)、送信処理を終了する。
【0140】
以上のとおり、状態判断部219は、測定装置(撮像装置30)による測定が行われる前に、自装置(現場端末20)の温度が所定値以上になることが見込まれる場合に低下状態が有ると判断する。そして、抑制処理部220は、測定装置に対して測定のフレームレートを小さくすることを指示する処理を抑制処理(第4抑制処理)として実行する。このような態様によれば、測定時にデータサイズが小さくなっているので、測定後にデータサイズを縮小する場合に比べて、結果送信処理を早く開始することができる。
【0141】
図21は、送信処理の別の一例を示すフロー図である。図21の例では、第5抑制処理を含む送信処理が実行される。まず、現場端末20は、図16の例と同様に、S11(測定結果を取得)及びS12(測定結果を一次保存)を実行する。次に、現場端末20は、状態判断部219により、前述した低下状態の有無を判断する(S51)。現場端末20は、S51において低下状態が有ると判断した場合、抑制処理部220により、第5抑制処理を実行する(S32)。
【0142】
抑制処理部220は、S12で保存された測定結果のデータを分割する処理を第5抑制処理として実行する。第5抑制処理による分割は、上述した送信制御部217による画像データの分割と同じ処理である。抑制処理部220は、例えば、所定の個数となるように測定結果を分割する。現場端末20は、第5抑制処理が終了すると、送信制御部217により、送信時期(送信条件が満たされたとき)に分割された測定結果をサーバ装置10に順次送信する(S53)。
【0143】
また、送信制御部217は、S51において低下状態が無いと判断された場合、S53において、分割されていない測定結果を送信する処理を実行する。送信制御部217は、第5抑制処理の実行中に送信条件が満たされた場合は、例えば、第5抑制処理の実行後すぐに分割された測定結果を順次送信する。
【0144】
以上のとおり、抑制処理部220は、記憶部22に保存されている測定結果のデータを分割し、分割された各データを順次外部装置(サーバ装置10)に送信する処理を抑制処理(第5抑制処理)として実行する。このような態様によれば、測定データの分割がされない場合に比べて、測定結果の送信中のエラー発生時の再送信に要する時間を短縮することができる。
【0145】
なお、抑制処理部220は、分割された各データの送信を、所定の時間間隔をあけて実行させてもよい。これにより、測定結果を分割せずに一度に送信する場合に比べて、現場端末20に籠もった送信の途中で放熱させることができる。所定の時間間隔としては、例えば、夜間の結果送信処理が可能な時間のうち結果送信処理に要する時間を除いた時間を、分割データの間隔数で除算した値が用いられればよい。これにより、結果送信処理の合間に現場端末20を冷却する時間を最大限確保することができる。
【0146】
先に述べたように、例えば屋内の工事現場では、空調を効かせられないことも多く、屋外よりも気温が高くなりやすい。そのため、夏場などは、現場端末20を長時間動作させていると、CPU、メモリ及び通信分等の温度が上昇し、高温に起因した動作不良が起こり、測定結果のサーバ装置10への送信にエラーが生じやすい。そこで、工事支援システム1においては、低下状態と判断された場合に、抑制処理を実行している。
【0147】
抑制処理が実行されることで、低下状態(自装置の通信速度の低下が発生する状態)では測定結果が送信されないか(第1、第2抑制処理)、低下状態でも送信エラーが発生しにくいように測定結果のデータサイズが小さくなる(第3、第4抑制処理)。また、第5抑制処理が実行される場合でも、分割された測定結果の送信間隔をあけることで、一度に送信する場合に比べて、現場端末20の温度上昇が抑制される。このように、工事支援システム1によれば、抑制処理が実行されない場合に比べて、送信エラーの発生を抑制することができる。
【0148】
<低下状態の判断方法>
低下状態の判断方法は上記に限らない。例えば、周囲が高温でなくとも、通信網を提供する事業者の設備の不具合等で通信障害が発生したり、周辺に多数の通信機器が存在することで混戦が生じたりすることでも、低下状態(自装置の通信速度の低下が発生する状態)が発生する。そこで、状態判断部219は、例えば、自装置(現場端末20)の通信速度が所定値未満である場合に低下状態が有ると判断してもよい。
【0149】
状態判断部219は、例えば、Ping値の測定又はインターネット上で提供されている通信速度(特に上りの通信速度)の測定サービス等を用いて自装置の通信速度を測定する。現場端末20のような移動体による無線通信の速度は、端末とアンテナの位置関係、周囲に存在する通信装置の数、それらの通信装置の通信量及び周囲に存在する電波の遮蔽物等の状態によって細かく変化する。そのため、状態判断部219は、例えば、測定した通信速度の所定時間における平均値が所定の速度未満である場合に、通信速度が所定値未満であるものとして、低下状態が有ると判断する。
【0150】
所定の速度としては、例えば、測定結果の通信に時間がかかりすぎてランタイムエラーが生じる可能性が一定の確率以上に高まるときの通信速度が定められる。状態判断部219は、上記の方法で、リアルタイムな低下状態を判断する。そして、抑制処理部220は、低下状態が無いと判断された場合に、送信制御部217に結果送信処理を実行させる処理を抑制処理として実行する。このような態様によれば、通信速度が一定の速度を保っている状態のときに通信が行われるので、低下状態に関係なく測定結果を送信する場合に比べて、通信が低速になったときのエラー発生を抑制することができる。
【0151】
<送信予定時刻>
抑制処理部220は、送信制御部217が結果送信処理を実行する予定の時刻が定められている場合に、その予定時刻に合わせて抑制処理を実行してもよい。結果送信処理の予定時刻は、上述した送信条件が満たされる時刻であり、例えば、工事監督W2が設定した送信時刻等である。
【0152】
この場合、状態判断部219は、例えば、上述したように天気情報を取得して、測定結果の送信の予定時刻における自装置(現場端末20)の温度が所定値以上になることが見込まれる場合に低下状態が有ると判断する。そして、抑制処理部220は、その予定時刻になる前に、データサイズを縮小する処理(第3抑制処理)を抑制処理として実行してもよい。
【0153】
抑制処理部220は、例えば、測定結果のデータサイズを縮小する処理の所要時間を予め記憶しておく。縮小処理の所要時間は、例えば、データサイズに所定の係数を乗じる(つまりデータサイズが大きいほど時間がかかる)ことで求められる。抑制処理部220は、予定時刻よりも求めた所要時間だけ遡った時刻を算出し、算出した時刻になった場合に測定結果のデータサイズを縮小する処理を開始する。このように縮小処理を開始することで、送信の予定時刻になる前に、データサイズを縮小することができる。このような態様によれば、予定時刻に遅れずに測定結果の送信を開始することができる。
【0154】
なお、抑制処理部220は、測定結果の送信の予定時刻になる前に、第3抑制処理以外の抑制処理を実行してもよい。抑制処理部220は、例えば、測定結果の送信の予定時刻になる前に第5抑制処理(分割処理)を抑制処理として実行してもよい。この場合も、予定時刻に遅れずに分割された測定結果の送信を開始することができる。
【0155】
<送信の持越し>
上記の抑制処理が実行されても、その他の要因で測定結果の送信が当日中に完了しない場合がある。その他の要因とは、例えば、ブレーカ6がオフにされる時刻が工事の事情等で予定よりも早くなる場合、低下状態が長引きすぎて測定結果を送信する時間が足りなくなった場合、又は、サーバ装置10の夜間メンテナンスで測定結果の送信ができなかった場合等である。
【0156】
それらの場合、送信制御部217は、測定結果の送信を翌日に持ち越す。送信制御部217は、例えば、翌日になって送信条件が満たされた場合に、前日の測定結果も含めて結果送信処理を実行する。その際、状況によっては、測定結果の送信が完了する前に、測定の新たな結果が取得される場合がある。その場合、送信制御部217は、その新たな測定結果を優先して送信を行う。
【0157】
送信制御部217は、前日の測定結果の送信中に新たな測定結果が取得された場合は、送信を停止し、新たな測定結果の送信に切り替える。このような態様によれば、工事監督W2が最新の作業状況を確認することできるので、前日の測定結果をそのまま送信する場合に比べて、工事監督W2がより適切な作業指示を行うことができる。
【0158】
<起動時のアイドリング>
上記の実施形態では、主に高温時の送信エラーが抑制されたが、現場端末20のような精密機械は、低温過ぎても動作不良を起こしやすい。そこで、例えば、状態判断部219が、低温による動作不良が生じやすい状態の有無を判断する。状態判断部219は、具体的には、気温情報又は自装置(現場端末20)の温度センタを用いて、自装置の温度が所定値未満になるか否かを判断する。
【0159】
自装置の温度が所定値未満になると状態判断部219が判断した場合、抑制処理部220は、低温による動作不良を抑制するための抑制処理を実行する。抑制処理部220は、例えば、図7に示すA12でスリープを解除してからA21で撮影の開始操作を受け付けるまでの間、定期的にCPU、メモリ及び通信部23等に一定の負荷をかける負荷処理を実行する。負荷処理は、例えば、所定のダミーデータを表示し、送信する処理等である。
【0160】
撮影の開始操作はいつ行われるか分からないので、低温環境では、撮影の開始操作を受け付けたときにCPU、メモリ及び通信部23等が動作不良を起こし、撮像装置30による撮影開始がスムースに行われないことが生じ得る。そこで、上記のとおり負荷処理を定期的に実行させてCPU、メモリ及び通信部23等を発熱させていわゆるアイドリングをしておくことで、アイドリングが行われない場合に比べて、現場作業員W1が撮影を開始する際に現場端末20の動作不良で撮影開始が遅れることを抑制することができる。
【0161】
また、例えば、サーバ装置10は、2台以上の装置に分散されてもよいし、クラウドコンピューティングシステムに代替されてもよい。また、現場端末20及び撮像装置30が統合されてもよい。また、図4に示す機能構成も一例であり、これに限られない。例えば、サーバ装置10、現場端末20及び撮像装置30の機能がそれぞれ2台以上の装置に分散して実現されてもよい。
【0162】
また、1つの機能(例えば接続制御部213、稼働制御部214、記憶制御部216、送信制御部217など)が行う動作を2以上の機能が分散して行ってもよいし、2以上の機能(例えば接続制御部213及び稼働制御部214等)が1つの機能に統合されてもよい。要するに、工事支援システム1の全体で図6に示す各機能が実現されていれば、それらの機能を実現する装置はどのような構成であってもよい。
【0163】
上述した実施形態の態様は、サーバ装置10のような情報処理装置や、サーバ装置10を備える工事支援システム1のような情報処理システムであったが、情報処理方法であってもよい。その情報処理方法は、その情報処理システムが実行する各処理のステップを備える。また、上述した実施形態の態様は、プログラムであってもよい。そのプログラムは、コンピュータに、同様の情報処理装置が実行する各ステップ(各処理)を実行させる。
【0164】
<付記>
さらに、次に記載の各態様で提供されてもよい。
【0165】
(1)情報処理装置であって、外部電源に接続する電源接続部と、可搬電池と、第1無線通信を行う無線通信部とを備え、前記外部電源は、電力供給の有無が切り替えられ、且つ、着脱可能に接続される測定装置にも電力を供給し、前記測定装置は、測定を行うセンサと、前記第1無線通信を行う第1通信部とを備え、第1起動ステップでは、前記測定装置を起動させるための処理を、前記可搬電池から電力が供給される第1状態から前記外部電源から電力が供給される第2状態への切り替えの後に実行し、第2起動ステップでは、前記第1通信部を起動させるための処理を、起動された前記測定装置による測定の開始の後に実行し、後処理ステップでは、起動された前記測定装置による測定の結果を示す測定データに関する後処理を実行し、前記後処理には、起動された前記第1通信部との前記第1無線通信により前記測定データを取得する取得処理が含まれる、もの。
【0166】
このような態様によれば、外部電源から供給される電力を有効利用することができる。
【0167】
(2)上記(1)に記載の情報処理装置において、前記無線通信部は、第2無線通信を行い、前記第2無線通信は、前記第1無線通信よりも、通信速度が遅く且つ消費電力が小さく、前記測定装置は、前記第2無線通信を行う第2通信部を備え、前記第1起動ステップ又は前記第2起動ステップでは、前記起動させるための処理として、前記第2無線通信により起動コマンドを送信する処理を実行する、もの。
【0168】
このような態様によれば、起動時の手間を減らすことができる。
【0169】
(3)上記(2)に記載の情報処理装置において、設定ステップでは、前記測定装置が起動された場合、前記第1無線通信により前記センサの設定として所定の設定を反映させる、もの。
【0170】
このような態様によれば、測定時の設定忘れを防ぐことができる。
【0171】
(4)上記(1)~(3)の何れか1つに記載の情報処理装置において、前記測定装置は、前記センサによる測定を行うと当該測定の結果を示す前記測定データを記憶し、前記後処理ステップには、第1検証ステップ及び第1処理ステップが含まれ、第1検証ステップでは、取得された前記測定データのエラーの有無を検証し、第1処理ステップでは、前記第1検証ステップにおける検証結果に応じて前記測定装置に記憶されている前記測定データに関する第1処理を当該測定装置に実行させる、もの。
【0172】
このような態様によれば、正常な測定データを確実に取得することができる。
【0173】
(5)上記(1)~(4)の何れか1つに記載の情報処理装置において、前記測定データを記憶する記憶部を備え、前記後処理ステップには、記憶制御ステップ、送信ステップ、第2検証ステップ及び第2処理ステップが含まれ、記憶制御ステップでは、取得された前記測定データを前記記憶部に記憶させ、送信ステップでは、取得された前記測定データを外部装置に送信して記憶させ、第2検証ステップでは、前記外部装置に記憶された前記測定データのエラーの有無を検証し、第2処理ステップでは、前記第2検証ステップにおける検証結果に応じて前記記憶部に記憶されている前記測定データに関する第2処理を実行する、もの。
【0174】
このような態様によれば、測定データの転送を確実に正常に終わらせることができる。
【0175】
(6)上記(1)~(5)の何れか1つに記載の情報処理装置において、算出ステップでは、前記測定装置による測定にあてることが可能な測定時間を算出し、前記測定時間は、前記第2状態から前記第1状態への切り替えの後、当該第1状態の継続期間中に前記後処理が終了すると想定される時間であり、促進ステップでは、算出された前記測定時間に基づいて、前記継続期間中に前記後処理を終了させることを促進するための促進処理を実行する、もの。
【0176】
このような態様によれば、後処理をより確実に終了させることができる。
【0177】
(7)上記(6)に記載の情報処理装置において、前記促進処理には、算出された前記測定時間に応じた情報を提示する提示処理が含まれる、もの。
【0178】
このような態様によれば、測定の作業者に測定時間を意識させることができる。
【0179】
(8)上記(6)又は(7)に記載の情報処理装置において、前記促進処理には、算出された前記測定時間に前記後処理が間に合うように前記測定装置の動作を制御する制御処理が含まれる、もの。
【0180】
このような態様によれば、後処理が間に合いやすいようにすることができる。
【0181】
(9)上記(6)~(8)の何れか1つに記載の情報処理装置において、前記促進処理には、算出された前記測定時間に間に合うように前記測定データを送信する送信処理が含まれる、もの。
【0182】
このような態様によれば、測定に時間がかかっても後処理を間に合わせることができる。
【0183】
(10)上記(1)~(9)の何れか1つに記載の情報処理装置において、前記後処理には、前記測定装置に処理を指示する指示処理が含まれ、前記後処理ステップでは、前記測定装置が測定に用いられる可能性が所定の基準より小さい期間に前記指示処理を実行する、もの。
【0184】
このような態様によれば、測定時に処理の負荷が高まることを抑制することができる。
【0185】
(11)上記(1)~(10)の何れか1つに記載の情報処理装置において、更新ステップでは、前記測定装置に導入されているソフトウェアを、前記測定装置が測定に用いられる可能性が所定の基準より小さい期間又は前記第2状態において、アップデートさせる、もの。
【0186】
このような態様によれば、ソフトウェアアップデートをより安全に行うことができる。
【0187】
(12)プログラムであって、コンピュータに、上記(1)~(11)の何れか1つに記載の情報処理装置の各ステップを実行させる、もの。
【0188】
また、以下に記載の各態様で提供されてもよい。
(1)情報処理装置であって、プロセッサと、通信部と、記憶部とを備え、前記プロセッサが、取得ステップでは、測定装置による測定の結果を前記通信部による通信を介して取得し、送信ステップでは、取得された前記結果の外部装置への送信を前記通信部を介して行い、保存ステップでは、前記結果が取得されてから送信されるまでの保存を前記記憶部に対して行い、判断ステップでは、自装置の通信速度の低下が発生する低下状態の有無を判断し、処理ステップでは、前記低下状態が有ると判断された場合、前記測定、前記保存又は前記送信の際に所定の抑制処理を実行し、前記抑制処理は、通信速度の低下による送信エラーを抑制するための処理である、情報処理装置。
【0189】
このような態様によれば、送信エラーの発生を抑制することができる。
【0190】
(2)上記(1)に記載の情報処理装置において、前記プロセッサが、前記処理ステップでは、前記保存がされている測定の結果のデータサイズを縮小する処理を前記抑制処理として実行する、情報処理装置。
【0191】
このような態様によれば、送信エラーを抑制しつつ、低下状態であっても測定の結果を送信することができる。
【0192】
(3)上記(2)に記載の情報処理装置において、前記プロセッサが、前記判断ステップでは、前記送信の予定時刻における自装置の温度が所定値以上になることが見込まれる場合に前記低下状態が有ると判断し、前記処理ステップでは、前記予定時刻になる前に、前記データサイズを縮小する処理を前記抑制処理として実行する、情報処理装置。
【0193】
このような態様によれば、予定時刻に遅れずに送信を開始することができる。
【0194】
(4)上記(1)~(3)の何れか1つに記載の情報処理装置において、前記プロセッサが、前記判断ステップでは、前記測定装置による測定が行われる前に、自装置の温度が所定値以上になることが見込まれる場合に前記低下状態が有ると判断し、前記処理ステップでは、前記測定装置に対して前記測定のフレームレートを小さくすることを指示する処理を前記抑制処理として実行する、情報処理装置。
【0195】
このような態様によれば、測定結果の送信を早く開始することができる。
【0196】
(5)上記(1)~(4)の何れか1つに記載の情報処理装置において、前記プロセッサが、前記判断ステップでは、前記送信の予定時刻における自装置の温度が所定値以上になることが見込まれる場合に前記低下状態が有ると判断し、前記処理ステップでは、前記予定時刻になる前に、前記保存がされている測定の結果のデータを分割し、分割された各データを順次前記外部装置に送信する処理を前記抑制処理として実行する、情報処理装置。
【0197】
このような態様によれば、エラー発生時の再送信に要する時間を短縮することができる。
【0198】
(6)上記(1)~(5)の何れか1つに記載の情報処理装置において、前記プロセッサが、前記判断ステップでは、自装置の温度が所定値以上である場合に前記低下状態が有ると判断し、前記処理ステップでは、前記低下状態が無いと判断された場合に前記送信を実行させる処理を前記抑制処理として実行する、情報処理装置。
【0199】
このような態様によれば、高温時のエラー発生を抑制することができる。
【0200】
(7)上記(1)~(6)の何れか1つに記載の情報処理装置において、前記プロセッサが、前記判断ステップでは、自装置の通信速度が所定値未満である場合に前記低下状態が有ると判断し、前記処理ステップでは、前記低下状態が無いと判断された場合に前記送信を実行させる処理を前記抑制処理として実行する、情報処理装置。
【0201】
このような態様によれば、通信低速時のエラー発生を抑制することができる。
【0202】
(8)上記(1)~(7)の何れか1つに記載の情報処理装置において、前記プロセッサが、前記送信ステップでは、前記送信が完了する前に前記測定の新たな結果が取得された場合、当該新たな結果を優先して前記送信を行う、情報処理装置。
【0203】
このような態様によれば、より適切な作業指示を行うことができる。
【0204】
(9)プログラムであって、コンピュータに、上記(1)~(8)の何れか1つに記載の情報処理装置の各ステップを実行させる、プログラム。
【0205】
もちろん、この限りではない。
また、上述した実施形態及び変形例を任意に組み合わせて実施するようにしてもよい。
【0206】
最後に、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0207】
1 :工事支援システム
3 :自撮り棒
4 :外付けバッテリー
5 :外部電源
6 :ブレーカ
10 :サーバ装置
11 :制御部
13 :通信部
20 :現場端末
21 :制御部
23 :通信部
26 :内部電源部
27 :外部電源部
30 :撮像装置
31 :制御部
33 :通信部
36 :内部電源部
37 :外部電源部
38 :撮像部
40 :遠隔端末
41 :制御部
111 :情報記憶部
112 :画像処理部
113 :データ生成部
114 :データ出力部
211 :表示制御部
212 :操作受付部
213 :接続制御部
214 :稼働制御部
215 :設定制御部
216 :記憶制御部
217 :送信制御部
218 :時間制御部
219 :状態判断部
220 :抑制処理部
231 :第1通信部
232 :第2通信部
233 :第3通信部
311 :表示制御部
312 :操作受付部
313 :稼働制御部
314 :撮影制御部
315 :記憶制御部
316 :送信制御部
331 :第1通信部
332 :第2通信部
411 :表示制御部
412 :操作受付部
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