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  • 特開-空調ユニットおよび梱包ユニット 図1
  • 特開-空調ユニットおよび梱包ユニット 図2
  • 特開-空調ユニットおよび梱包ユニット 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052703
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】空調ユニットおよび梱包ユニット
(51)【国際特許分類】
   F25B 45/00 20060101AFI20240404BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
F25B45/00 Z
F25B1/00 396G
F25B1/00 396H
F25B1/00 396J
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024024479
(22)【出願日】2024-02-21
(62)【分割の表示】P 2023036365の分割
【原出願日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】P 2022056624
(32)【優先日】2022-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】内田 賢吾
(72)【発明者】
【氏名】熊倉 英二
(57)【要約】
【課題】不要なものの混入を抑制しつつ、安全に保管することが可能な空調ユニットおよび梱包ユニットを提供する。
【解決手段】燃焼性を有する冷媒が封入されており、燃焼性を有する冷媒の封入量が、雰囲気温度-40℃で大気圧となる冷媒量以上、雰囲気温度20℃で0.2MPaとなる冷媒量未満である、室外ユニット(20)。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼性を有する冷媒が封入されており、
前記燃焼性を有する冷媒の封入量が、雰囲気温度-40℃で大気圧となる冷媒量以上、雰囲気温度20℃で0.2MPaとなる冷媒量未満である、
空調ユニット(20)。
【請求項2】
室内機(30)に接続されて用いられる室外機(20)である、
請求項1に記載の空調ユニット。
【請求項3】
前記燃焼性を有する冷媒には、R290、R600、および、R600aからなる群より選択される1種または2種以上が含まれる、
請求項1または2に記載の空調ユニット。
【請求項4】
請求項1または2に記載の空調ユニットと、
前記空調ユニットを梱包する梱包材(15)と、
を備え、
前記空調ユニットは、前記梱包材の外部の空気と遮断されている、
梱包ユニット(100)。
【請求項5】
前記梱包材は、塩化ビニル、ポリエチレン、および、ポリプロピレンからなる群より選択される1種または2種以上を含む、
請求項4に記載の梱包ユニット。
【請求項6】
前記梱包材の内部空間は、低酸素状態である、
請求項4に記載の梱包ユニット。
【請求項7】
前記梱包材の内部空間には、不活性ガスが封入されている、
請求項4に記載の梱包ユニット。
【請求項8】
前記梱包材の内部空間に配置された脱酸素剤(18)をさらに備えた、
請求項4に記載の梱包ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空調ユニットおよび梱包ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境への関心の高まりにより、オゾン層の破壊や地球の温暖化に大きな影響を与えない、地球温暖化係数(Global WarmingPotential、以下GWPという。)の低い冷媒が注目されている。このような冷媒は、燃焼性を有する冷媒であるものがあり、着火しないように安全性を確保することが求められる。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2011-094871号公報)によれば、室外機の冷媒回路構成部に不燃性冷媒が封入された状態で工場から出荷され、使用する現地に施工する際に、冷媒回路に可燃性あるいは微燃性冷媒を必要量追加封入することで、安全性を確保することが提案されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、空調ユニットには、施工される現地で追加充填される冷媒量を低減させることができるため、燃焼性を有する冷媒であっても、予め空調ユニットに封入させておくことが望まれる場合がある。そして、燃焼性を有する冷媒が封入された空調ユニットは、安全に保管されることが求められる。また、保管時には、施工後に運転する際に不要となるものが空調ユニットに混入しないことが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1観点に係る空調ユニットは、燃焼性を有する冷媒が封入されており、燃焼性を有する冷媒の封入量が、雰囲気温度-40℃で大気圧となる冷媒量以上、雰囲気温度20℃で0.2MPaとなる冷媒量未満である。
【0006】
この空調ユニットは、燃焼性を有する冷媒が封入されているものの、その量が雰囲気温度20℃で0.2MPaとなる冷媒量未満であり、少なく抑えられているため、万が一冷媒が漏洩したとしても、着火が抑制される。また、この空調ユニットは、燃焼性を有する冷媒の封入量が、雰囲気温度-40℃で大気圧となる冷媒量以上であるため、保管時に雰囲気温度が低下することがあっても、燃焼性を有する冷媒が封入されている箇所の圧力が大気圧以上に維持されやすく、周囲からの空気の混入が抑制される。このため、不要なものの混入を抑制しつつ、安全に保管することが可能となる。
【0007】
第2観点に係る空調ユニットは、第1観点の空調ユニットであって、室内機に接続されて用いられる室外機である。
【0008】
この空調ユニットは、室外機に対する空気の混入を抑制しつつ、安全に保管することが可能となる。
【0009】
第3観点に係る空調ユニットは、第1観点または第2観点の空調ユニットであって、燃焼性を有する冷媒には、R290、R600、および、R600aからなる群より選択される1種または2種以上が含まれる。
【0010】
第4観点に係る梱包ユニットは、第1観点から第3観点のいずれかの空調ユニットと、空調ユニットを梱包する梱包材と、を備える。空調ユニットは、梱包材の外部の空気と遮断されている。
【0011】
この梱包ユニットは、空調ユニットが梱包材により梱包されているため、梱包材の外側の空気が空調ユニットに混入することが抑制される。
【0012】
第5観点に係る梱包ユニットは、第4観点の梱包ユニットであって、梱包材は、塩化ビニル、ポリエチレン、および、ポリプロピレンからなる群より選択される1種または2種以上を含む。
【0013】
この梱包ユニットは、空調ユニットの梱包作業が容易になる。
【0014】
第6観点に係る梱包ユニットは、第4観点または第5観点の梱包ユニットであって、梱包材の内部空間は、低酸素状態である。
【0015】
この梱包ユニットは、仮に空調ユニットから冷媒が漏洩することがあっても、梱包材の内部空間における着火が抑制される。
【0016】
第7観点に係る梱包ユニットは、第4観点から第6観点のいずれかの梱包ユニットであって、梱包材の内部空間には、不活性ガスが封入されている。
【0017】
この梱包ユニットは、仮に空調ユニットから冷媒が漏洩することがあっても、梱包材の内部空間における着火が抑制される。
【0018】
第8観点に係る梱包ユニットは、第4観点から第7観点のいずれかの梱包ユニットであって、脱酸素剤をさらに備えている。脱酸素剤は、梱包材の内部空間に配置される。
【0019】
この梱包ユニットは、空調ユニットの周囲の酸素濃度を低減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】空気調和装置の概略構成図である。
図2】空気調和装置の概略制御ブロック構成図である。
図3】梱包ユニットの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(1)空調ユニット
空調ユニットは、燃焼性を有する冷媒が封入された装置であって、冷凍サイクルを行うことが可能な装置であってもよいし、冷凍サイクルを行うための一部の構成要素であってもよい。例えば、空調ユニットとしては、1つまたは複数の室内機と冷媒配管を介して接続されることで冷媒回路を構成する室外ユニットであってもよい。
【0022】
なお、燃焼性を有する冷媒としては、ASHRAE Safety Groupにおける、クラスA3、B3の強燃性冷媒、クラスA2、B2の可燃性冷媒、クラスA2L、B2Lの微燃性冷媒等が挙げられる。燃焼性を有する冷媒としては、なかでも、R290、R600、および、R600aからなる群より選択される1種または2種以上であってよい。
【0023】
空調ユニットには、燃焼性を有する冷媒が封入されている。この空調ユニットにおける燃焼性を有する冷媒の封入量は、雰囲気温度-40℃で大気圧となる冷媒量以上、雰囲気温度20℃で0.2MPaとなる冷媒量未満である。空調ユニットには、燃焼性を有する冷媒が封入されているものの、その量が雰囲気温度20℃で0.2MPaとなる冷媒量未満であり、少なく抑えられている。このため、万が一、空調ユニットから冷媒が漏洩したとしても、着火が抑制され、保管および運送を安全に行うことができる。また、この空調ユニットは、燃焼性を有する冷媒の封入量が、雰囲気温度-40℃で大気圧となる冷媒量以上である。このため、保管時または運送時に雰囲気温度が低下することがあっても、燃焼性を有する冷媒が封入されている箇所の圧力が大気圧以上に維持されやすい。このため、空調ユニットに周囲からの空気が混入することが抑制される。このため、空調ユニットを施工した後に冷凍サイクル運転を行う場合に、運転動作の信頼性を高めることができる。
【0024】
(2)梱包ユニット
空調ユニットは、梱包材によって梱包された状態で保管されるものであることが好ましい。このような梱包材は、ガスバリア性のあるものが好ましく、例えば、塩化ビニル、ポリエチレン、および、ポリプロピレンからなる群より選択される1種または2種以上を含むものであることが好ましい。これにより、空調ユニットから燃焼性を有する冷媒が漏洩したとしても、梱包材の外側に向けて漏洩が広がっていることが抑制される。また、空調ユニットに対して、梱包材の外側の空気や水分が混入することが抑制される。
【0025】
梱包材の内部空間は、低酸素状態であることが好ましい。低酸素状態としては、例えば、酸素濃度が10.0%以下であってもよく、8.0%以下であることがより好ましく、脱酸素状態であることがさらに好ましい。脱酸素状態としては、酸素濃度が1.0%以下であってもよく、0.1%以下であることがより好ましい。なお、梱包材の内部空間の酸素濃度を低く保ちやすい観点から、梱包材の内部空間に脱酸素剤が配置された状態で空調ユニットが保管されていることが好ましい。このような脱酸素剤としては、反応に必要な水分を既に持っており、空気に触れた瞬間から酸素の吸収が開始する自己反応型のものが好ましく、例えば、鉄粉、ゼオライト、食塩、活性炭およびこれらの混合物を好ましく用いることができる。なお、用いる脱酸素剤の量は、例えば、梱包材の内部空間(梱包材の内側の体積-空調ユニットの体積)に空気中の酸素割合(21%)を乗じて得られる値以上の吸収量となる量であることが好ましい。
【0026】
梱包材の内部空間は、不活性ガスが封入されていることが好ましい。ここで不活性ガスとは、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン、窒素、二酸化炭素、フルオロカーボン(燃焼性を有する冷媒を除く)、およびこれらの混合ガスのいずれかであってよい。なお、不活性ガスとしては、燃料の燃焼により生じる排ガス等の酸素濃度の低い煙道ガスであってもよい。また、梱包材の内部空間に不活性ガスが封入されている場合に、上記脱酸素剤を更に用いてもよい。
【0027】
(3)空調ユニットが室外ユニットである場合の例
以下、空調ユニットとしての室外ユニットが用いられた空気調和装置1を例に挙げて説明する。
【0028】
図1に、空気調和装置1の概略構成図を示す。図2に、空気調和装置1の概略制御ブロック構成図を示す。
【0029】
空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行うことで、対象空間の空気を調和させる装置である。
【0030】
空気調和装置1は、主として、室外ユニット20と、室内ユニット30と、室外ユニット20と室内ユニット30を接続する液側冷媒連絡配管6およびガス側冷媒連絡配管5と、入力装置および出力装置としての図示しないリモコンと、空気調和装置1の動作を制御するコントローラ7と、を有している。
【0031】
空気調和装置1では、冷媒回路10内に封入された冷媒が、圧縮され、冷却又は凝縮され、減圧され、加熱又は蒸発された後に、再び圧縮される、という冷凍サイクルが行われる。本実施形態では、冷媒回路10には、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行うための冷媒が充填されている。当該冷媒は、燃焼性を有する冷媒である。また、冷媒回路10には、当該燃焼性を有する冷媒と共に、冷凍機油が充填されている。
【0032】
(3-1)室外ユニット20
室外ユニット20は、液側冷媒連絡配管6およびガス側冷媒連絡配管5を介して室内ユニット30と接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。室外ユニット20は、主として、圧縮機21と、四路切換弁22と、室外熱交換器23と、室外膨張弁24と、室外ファン25と、液側閉鎖弁29と、ガス側閉鎖弁28と、サービスポート26と、を有している。
【0033】
圧縮機21は、冷凍サイクルにおける低圧の冷媒を高圧になるまで圧縮する機器である。ここでは、圧縮機21として、ロータリ式やスクロール式等の容積式の圧縮要素(図示省略)が圧縮機モータによって回転駆動される密閉式構造の圧縮機が使用されている。圧縮機モータは、容量を変化させるためのものであり、インバータにより運転周波数の制御が可能である。
【0034】
四路切換弁22は、接続状態を切り換えることで、圧縮機21の吐出側と室外熱交換器23とを接続しつつ圧縮機21の吸入側とガス側閉鎖弁28とを接続する冷房運転接続状態と、圧縮機21の吐出側とガス側閉鎖弁28とを接続しつつ圧縮機21の吸入側と室外熱交換器23とを接続する暖房運転接続状態と、を切り換えることができる。
【0035】
室外熱交換器23は、冷房運転時には冷凍サイクルにおける高圧の冷媒の凝縮器として機能し、暖房運転時には冷凍サイクルにおける低圧の冷媒の蒸発器として機能する熱交換器である。
【0036】
室外ファン25は、室外ユニット20内に室外の空気を吸入して、室外熱交換器23において冷媒と熱交換させた後に、外部に排出するための空気流れを生じさせる。室外ファン25は、室外ファンモータによって回転駆動される。
【0037】
室外膨張弁24は、室外熱交換器23の液側端部と液側閉鎖弁29との間に設けられている。室外膨張弁24は、キャピラリーチューブ又は感温筒と共に用いられる機械式膨張弁であってもよいが、制御により弁開度を調節可能な電動膨張弁であることが好ましい。
【0038】
液側閉鎖弁29は、室外ユニット20における液側冷媒連絡配管6との接続部分に配置された手動弁である。
【0039】
ガス側閉鎖弁28は、室外ユニット20におけるとガス側冷媒連絡配管5との接続部分に配置された手動弁である。
【0040】
サービスポート26は、ガス側閉鎖弁28に隣接して設けられており、室外ユニット20におけるとガス側冷媒連絡配管5との接続部分に配置された手動弁である。
【0041】
室外ユニット20は、室外ユニット20を構成する各部の動作を制御する室外ユニット制御部27を有している。室外ユニット制御部27は、CPUやメモリ等を含むマイクロコンピュータを有している。室外ユニット制御部27は、各室内ユニット30の室内ユニット制御部34と通信線を介して接続されており、制御信号等の送受信を行う。
【0042】
室外ユニット20には、吐出圧力センサ61、吐出温度センサ62、吸入圧力センサ63、吸入温度センサ64、室外熱交温度センサ65、外気温度センサ66等が設けられている。これらの各センサは、室外ユニット制御部27と電気的に接続されており、室外ユニット制御部27に対して検出信号を送信する。吐出圧力センサ61は、圧縮機21の吐出側と四路切換弁22の接続ポートの1つとを接続する吐出配管を流れる冷媒の圧力を検出する。吐出温度センサ62は、吐出配管を流れる冷媒の温度を検出する。吸入圧力センサ63は、圧縮機21の吸入側と四路切換弁22の接続ポートの1つとを接続する吸入配管を流れる冷媒の圧力を検出する。吸入温度センサ64は、吸入配管を流れる冷媒の温度を検出する。室外熱交温度センサ65は、室外熱交換器23のうち四路切換弁22が接続されている側とは反対側である液側の出口を流れる冷媒の温度を検出する。外気温度センサ66は、室外熱交換器23を通過する前の屋外の空気温度を検出する。
【0043】
(3-2)室内ユニット30
室内ユニット30は、対象空間である室内の壁面や天井等に設置されている。室内ユニット30は、液側冷媒連絡配管6およびガス側冷媒連絡配管5を介して室外ユニット20と接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。なお、本実施形態では、1台の室外ユニット20に対して1台の室内ユニット30が接続されている場合を例に挙げて説明しているが、1台の室外ユニット20に対して複数台の室内ユニットが並列接続されていてもよい。
【0044】
室内ユニット30は、室内熱交換器31と、室内ファン32と、を有している。
【0045】
室内熱交換器31は、液側が、液側冷媒連絡配管6と接続され、ガス側端が、ガス側冷媒連絡配管5とを接続されている。室内熱交換器31は、冷房運転時には冷凍サイクルにおける低圧の冷媒の蒸発器として機能し、暖房運転時には冷凍サイクルにおける高圧の冷媒の凝縮器として機能する熱交換器である。
【0046】
室内ファン32は、室内ユニット30内に室内の空気を吸入して、室内熱交換器31において冷媒と熱交換させた後に、外部に排出するための空気流れを生じさせる。室内ファン32は、室内ファンモータによって回転駆動される。
【0047】
また、室内ユニット30は、室内ユニット30を構成する各部の動作を制御する室内ユニット制御部34を有している。室内ユニット制御部34は、CPUやメモリ等を含むマイクロコンピュータを有している。室内ユニット制御部34は、室外ユニット制御部27と通信線を介して接続されており、制御信号等の送受信を行う。
【0048】
室内ユニット30には、室内液側熱交温度センサ71、室内空気温度センサ72等が設けられている。これらの各センサは、室内ユニット制御部34と電気的に接続されており、室内ユニット制御部34に対して検出信号を送信する。室内液側熱交温度センサ71は、室内熱交換器31のうち四路切換弁22が接続されている側とは反対側である液側の出口を流れる冷媒の温度を検出する。室内空気温度センサ72は、室内熱交換器31を通過する前の室内の空気温度を検出する。
【0049】
(3-3)コントローラ7の詳細
空気調和装置1では、室外ユニット制御部27と室内ユニット制御部34が通信線を介して接続されることで、空気調和装置1の動作を制御するコントローラ7が構成されている。
【0050】
コントローラ7は、主として、CPU(中央演算処理装置)等のプロセッサと、ROMやRAM等のメモリを有している。なお、コントローラ7による各種処理や制御は、室外ユニット制御部27および/又は室内ユニット制御部34に含まれる各部が一体的に機能することによって実現されている。
【0051】
(3-4)運転モード
以下、運転モードについて説明する。
【0052】
運転モードとしては、冷房運転モードと暖房運転モードとが設けられている。
【0053】
コントローラ7は、リモコン等から受け付けた指示に基づいて、冷房運転モードか暖房運転モードかを判断し、実行する。
【0054】
(3-4-1)冷房運転モード
空気調和装置1では、冷房運転モードでは、四路切換弁22の接続状態を圧縮機21の吐出側と室外熱交換器23とを接続しつつ圧縮機21の吸入側とガス側閉鎖弁28とを接続する冷房運転接続状態とし、冷媒回路10に充填されている冷媒を、主として、圧縮機21、室外熱交換器23、室外膨張弁24、室内熱交換器31の順に循環させる。
【0055】
より具体的には、冷房運転モードが開始されると、冷媒回路10内において、冷媒が圧縮機21に吸入されて圧縮された後に吐出される。
【0056】
圧縮機21では、室内ユニット30で要求される冷却負荷に応じた容量制御が行われる。圧縮機21から吐出されたガス冷媒は、四路切換弁22を経て、室外熱交換器23のガス側端に流入する。
【0057】
室外熱交換器23のガス側端に流入したガス冷媒は、室外熱交換器23において、室外ファン25によって供給される室外側空気と熱交換を行って凝縮し、液冷媒となって室外熱交換器23の液側端から流出する。
【0058】
室外熱交換器23の液側端から流出した冷媒は、室外膨張弁24を通過する際に減圧される。室外膨張弁24で減圧された冷媒は、液側閉鎖弁29および液側冷媒連絡配管6を経て、室内ユニット30に流入する。
【0059】
室内ユニット30に流入した冷媒は、室内熱交換器31に流入し、室内熱交換器31において、室内ファン32によって供給される室内空気と熱交換を行って蒸発し、ガス冷媒となって室内熱交換器31のガス側端から流出する。室内熱交換器31のガス側端から流出したガス冷媒は、ガス側冷媒連絡配管5に流れていく。
【0060】
ガス側冷媒連絡配管5を流れた冷媒は、ガス側閉鎖弁28、四路切換弁22を経て、再び、圧縮機21に吸入される。
【0061】
(3-4-2)暖房運転モード
空気調和装置1では、暖房運転モードでは、四路切換弁22の接続状態を圧縮機21の吐出側とガス側閉鎖弁28とを接続しつつ圧縮機21の吸入側と室外熱交換器23とを接続する暖房運転接続状態とし、冷媒回路10に充填されている冷媒を、主として、圧縮機21、室内熱交換器31、室外膨張弁24、室外熱交換器23の順に循環させる。
【0062】
より具体的には、暖房運転モードが開始されると、冷媒回路10内において、冷媒が圧縮機21に吸入されて圧縮された後に吐出される。圧縮機21から吐出されたガス冷媒は、四路切換弁22およびガス側冷媒連絡配管5を流れた後、室内ユニット30に流入する。
【0063】
室内ユニット30に流入した冷媒は、室内熱交換器31のガス側端に流入し、室内熱交換器31において、室内ファン32によって供給される室内空気と熱交換を行って凝縮し、気液二相状態の冷媒または液冷媒となって室内熱交換器31の液側端から流出する。室内熱交換器31の液側端から流出した冷媒は、液側冷媒連絡配管6に流れていく。
【0064】
液側冷媒連絡配管6を流れた冷媒は、室外ユニット20に流入し、液側閉鎖弁29を通過し、室外膨張弁24において冷凍サイクルにおける低圧になるまで減圧される。室外膨張弁24で減圧された冷媒は、室外熱交換器23の液側端に流入する。
【0065】
室外熱交換器23の液側端から流入した冷媒は、室外熱交換器23において、室外ファン25によって供給される室外空気と熱交換を行って蒸発し、ガス冷媒となって室外熱交換器23のガス側端から流出する。
【0066】
室外熱交換器23のガス側端から流出した冷媒は、四路切換弁22を経て、再び、圧縮機21に吸入される。
【0067】
(4)空気調和装置1の施工
空気調和装置1は、所定量の冷媒が充填された室外ユニット20と、冷媒が充填されていない室内ユニット30とが、それぞれ分離された状態で施工現地に搬入され、ガス側冷媒連絡配管5と液側冷媒連絡配管6によって接続されることで施工される。
【0068】
ここで、室外ユニット20と室内ユニット30とを接続するガス側冷媒連絡配管5および液側冷媒連絡配管6の長さは、施工される物件の条件に応じて異なる。したがって、室外ユニット20には、冷媒回路10において適切に冷凍サイクルを行うために必要となる冷媒量よりも少ない冷媒量が予め封入されている。そして、室外ユニット20と室内ユニット30とがガス側冷媒連絡配管5および液側冷媒連絡配管6により接続されて冷媒回路10が構成された後に、適切に冷凍サイクルを行うため不足している冷媒を、サービスポート26から追加充填する。具体的には、サービスポート26に対して冷媒ボンベが接続され、冷媒回路10に冷媒が追加充填される。なお、サービスポート26を介して冷媒回路10に冷媒を追加充填する際には、圧縮機21を駆動させて冷凍サイクルを行いながら充填してもよい。所定量の冷媒の追加充填を終えると、サービスポート26を閉止する。
【0069】
(5)室外ユニット20の保管および運送
図3に示すように、室外ユニット20は、梱包材15によって梱包された状態で保管および運送される。具体的には、室外ユニット20と梱包材15によって、梱包ユニット100が構成されている。
【0070】
なお、梱包材15によって梱包される室外ユニット20には、雰囲気温度-40℃で大気圧となる冷媒量以上、雰囲気温度20℃で0.2MPaとなる冷媒量未満の燃焼性を有する冷媒が封入された状態で、サービスポート26、液側閉鎖弁29、ガス側閉鎖弁28がそれぞれ閉止されている。
【0071】
梱包材15は、室外ユニット20の全体を梱包しており、室外ユニット20を梱包材15の外側の空気と遮断させる。梱包材15は、通気性を有しない材料の袋状となっており、室外ユニット20を梱包した状態で止め部15aにおいて封止される。
【0072】
なお、梱包材15の内部空間であって室外ユニット20の周囲には、脱酸素剤18が配置される。このように脱酸素剤18が用いられることにより、梱包材15の内部空間は、酸素濃度が低い状態に維持される。脱酸素剤18の配置は、特に限定されないが、室外ユニット20に大気より比重の大きな燃焼性を有する冷媒が充填されている場合には、サービスポート26、液側閉鎖弁29、および、ガス側閉鎖弁28よりも低い高さ位置に配置されていることが好ましい。なお、梱包材15の内部空間には、不活性ガスが充填されていてもよい。
【0073】
室外ユニット20は、梱包ユニット100の状態で保管され、施工される現地まで運送される。なお、梱包ユニット100は、雰囲気温度が-4℃以上の環境下で保存、運送されることが好ましい。そして、梱包材15は、施工時に取り外される。
【0074】
(付記)
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0075】
1 空気調和装置
7 コントローラ
10 冷媒回路
15 梱包材
18 脱酸素剤
20 室外ユニット(空調ユニット、室外機)
21 圧縮機
23 室外熱交換器
24 室外膨張弁
25 室外ファン
30 室内ユニット(室内機)
31 室内熱交換器
32 室内ファン
100 梱包ユニット
【先行技術文献】
【特許文献】
【0076】
【特許文献1】特開2011-094871号公報
図1
図2
図3