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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052704
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】着座センサ
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/90 20180101AFI20240404BHJP
   A47C 7/62 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
B60N2/90
A47C7/62 Z
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024025664
(22)【出願日】2024-02-22
(62)【分割の表示】P 2022015367の分割
【原出願日】2022-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小澤 英俊
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 尚洋
(57)【要約】
【課題】乗員が座席に着座していることを検知できる着座センサを提供する。
【解決手段】乗物用シート1に設けられる着座センサ10であって、シートクッション2の乗員の着座領域5内に左右に間隔をおいて配置された一対のスイッチ部16,17、18,19を有し、スイッチ部のそれぞれが、前側に左右に間隔をおいて配置された第1感圧スイッチ16A、17A、18A、19A及び第2感圧スイッチ16B、17B、18B、19Bと、後側に配置された第3感圧スイッチ16C、17C、18C、19Cとを含み、スイッチ部のそれぞれは、第1感圧スイッチ及び第2感圧スイッチの少なくともいずれか一方がオンであり、且つ、第3感圧スイッチがオンであるときに、オンとなり、一対のスイッチ部が共にオンであるときに当該着座センサはオンとなる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗物用シートに設けられる着座センサであって、
シートクッションの乗員の着座領域内に配置された第1感圧スイッチと、
前記着座領域内であって、前記第1感圧スイッチの左右外方に配置された左右一対の第2感圧スイッチと、
前記着座領域内であって、前記第2感圧スイッチのそれぞれと前記第1感圧スイッチとに対して、それぞれ後方に配置された左右一対の第3感圧スイッチとを備え、
前記第1感圧スイッチ、左側の前記第2感圧スイッチ及び左側の前記第3感圧スイッチと、前記第1感圧スイッチ、右側の前記第2感圧スイッチ及び右側の前記第3感圧スイッチと、によってそれぞれ、前記着座領域内に左右にずれた位置に設けられた左右一対のスイッチ部が構成され、
前記スイッチ部のそれぞれは、前記第1感圧スイッチ及び前記第2感圧スイッチの少なくともいずれか一方がオンであり、且つ、前記第3感圧スイッチがオンであるときに、オンとなり、
一対の前記スイッチ部が共にオンであるときに当該着座センサはオンとなることを特徴とする着座センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗員が着座していることを検知するための着座センサに関する。
【背景技術】
【0002】
乗物用シートの着座領域に複数の感圧スイッチを備え、乗員の着座に対応してオン・オフが切り替わる着座センサが公知である(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載された着座センサは、左右に対をなす感圧スイッチを複数備えている。左右に対をなす感圧スイッチは、互いに直列に接続されて、検知部を構成している。検知部は前後に並ぶように配置され、互いに並列に接続されている。左右に対をなす感圧スイッチが共にオンとなると検知部がオンとなり、着座センサがオンとなる。複数の検知部が前後に並んで配置されているため、乗員が着座領域の前側又は後側に着座した場合であっても、着座センサによって、乗員が着座していることを検知することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2007-526844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
乗物用シートの着座領域には、箱体が載置される場合がある。箱体は着座領域の形状に合わせて傾くため、箱体の稜線部分から着座領域に圧力が加わる。よって、着座領域には所定の圧力以上となる領域が左右に直線状に形成される。このとき、左右に対をなす感圧スイッチが共にオンとなることがあり、特許文献1に記載の着座センサでは、乗員と箱体とを区別することが難しい。
【0005】
また、乗員が着座しているときに着座領域に加わる圧力分布は、特に、乗員が大腿部を開いて着座した場合や、斜め前方に向いて着座した場合等、乗員の姿勢に依存する。着座センサは、段ボール箱等の箱体と乗員とを区別すると共に、乗員の姿勢に依らず、乗員が着座していることを検知できることが望ましい。
【0006】
本発明は、本発明は以上の背景に鑑みて、乗員が座席に着座していることを検知できる着座センサを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を解決するために、乗物用シート(1)に設けられる着座センサ(10)であって、シートクッション(2)の乗員の着座領域(5)内に左右に間隔をおいて配置された一対のスイッチ部(16,17、18,19)を有し、前記スイッチ部のそれぞれが、前側に左右に間隔をおいて配置された第1感圧スイッチ(16A、17A、18A、19A)及び第2感圧スイッチ(16B、17B、18B、19B)と、後側に配置された第3感圧スイッチ(16C、17C、18C、19C)とを含み、前記スイッチ部のそれぞれは、前記第1感圧スイッチ及び前記第2感圧スイッチの少なくともいずれか一方がオンであり、且つ、前記第3感圧スイッチがオンであるときに、オンとなり、一対の前記スイッチ部が共にオンであるときに当該着座センサはオンとなることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、着座領域において所定の圧力以上の領域が前後及び左右方向に広がって分布したときに、スイッチ部が共にオンとなり、着座センサがオンとなる。そのため、着座領域に直線状の圧力分布を生じる箱体が配置された場合と、乗員が着座した場合とを区別することができる。更に、第1感圧スイッチ及び第2感圧スイッチのいずれか一方がオンとなり、且つ、第3感圧スイッチがオンであるときに、スイッチ部がオンとなるため、着座領域の前側の圧力分布が左右方向に異なる乗員の姿勢に対応することができる。
【0009】
また、上記の態様において、前記第1感圧スイッチ、前記第2感圧スイッチ及び前記第3感圧スイッチはそれぞれ所定の圧力が加わったときに導通し、オンとなるスイッチであって、前記スイッチ部のそれぞれにおいて、前記第1感圧スイッチ及び前記第2感圧スイッチは並列に電気的に接続され、前記第3感圧スイッチは並列に接続された前記第1感圧スイッチ及び前記第2感圧スイッチに直列に電気的に接続され、一対の前記スイッチ部は互いに直列に電気的に接続されているとよい。
【0010】
この構成によれば、感圧スイッチを電気的に接続することによって着座センサを構成することができるため、着座センサの構成を簡素にすることができる。
【0011】
また、上記の態様において、左右一対の前記スイッチ部が前後に配置され、後側の一対の前記スイッチ部は、右側に配置された第1スイッチ部(16)と、左側に配置された第2スイッチ部(17)とを備え、前側の一対の前記スイッチ部は、右側に配置された第3スイッチ部(18)と、左側に配置された第4スイッチ部(19)とを備え、前記第3スイッチ部は前記第1スイッチ部の前方に位置し、前記第4スイッチ部は前記第2スイッチ部の前方に位置し、前記第1スイッチ部と前記第2スイッチ部とが共にオンであるか、又は、前記第3スイッチ部と前記第4スイッチ部とが共にオンであるときに、当該着座センサはオンとなるとよい。
【0012】
この構成によれば、乗員が着座領域の前側に着座した場合であっても、第3スイッチ部及び第4スイッチ部がオンとなるため、着座センサを用いて、乗員が着座していることを検知することができる。
【0013】
また、上記の態様において、前記第1スイッチ部と前記第2スイッチ部とが直列に電気的に接続され、前記第3スイッチ部と前記第4スイッチ部とが直列に電気的に接続され、直列に接続された前記第1スイッチ部及び前記第2スイッチ部と、直列に接続された前記第3スイッチ部と前記第4スイッチ部とは、並列に電気的に接続されているとよい。
【0014】
この構成によれば、乗員が着座領域の前側及び後側に着座した場合であっても、乗員が着座したことを検知するための着座センサを電気的な接続によって構成することができるため、着座センサの構成を簡素にすることができる。
【0015】
また、上記の態様において、更に、前記第1スイッチ部と前記第4スイッチ部とがオンであるか、又は、前記第2スイッチ部と前記第3スイッチ部とがオンであるときに、当該着座センサはオンとなるとよい。
【0016】
この構成によれば、乗員が着座領域において右前方又は左前方に向いて着座した場合であっても、着座センサを用いて、乗員が着座していることを検知することができる。
【0017】
また、上記の態様において、前記第1スイッチ部と前記第3スイッチ部とは並列に電気的に接続され、前記第2スイッチ部と前記第4スイッチ部とは並列に電気的に接続され、並列に接続された前記第1スイッチ部及び前記第3スイッチ部と、並列に接続された前記第2スイッチ部及び前記第4スイッチ部とは、直列に電気的に接続されているとよい。
【0018】
この構成によれば、乗員が着座領域において右前方又は左前方に向いて着座した場合であっても検知することのできる着座センサを電気的な配線によって構成することができるため、着座センサの構成を簡素にすることができる。
【0019】
また、上記の態様において、前記第1スイッチ部及び前記第2スイッチ部の前記第3感圧スイッチはそれぞれ、側面視で前記乗物用シートに設定されたヒップポイント(H)の下方に配置されているとよい。
【0020】
この構成によれば、第3感圧スイッチは乗員の臀部に対応する位置に配置されるため、第1感圧スイッチ及び第2感圧スイッチが臀部の前方であり、大腿部側に位置する。そのため、大腿部の位置が左右に異なる姿勢を乗員が取った場合であっても、着座センサを用いて、乗員が着座していることを検知することができる。
【0021】
また、上記の態様において、前記第1スイッチ部の前記第3感圧スイッチ及び前記第2スイッチ部の前記第3感圧スイッチはそれぞれ上面視で前記ヒップポイントに対して左右に離間して対称に配置されているとよい。
【0022】
この構成によれば、第1スイッチ部及び第2スイッチ部の第3感圧スイッチがそれぞれヒップポイントの左右に対称に配置されるため、乗員の臀部からの荷重が各第3感圧スイッチに加わり易くなり、着座センサを用いて、乗員が着座していることをより正確に検知することができる。
【0023】
また、上記の態様において、前記第3スイッチ部の右方に設けられた第1追加感圧スイッチ(21)と、第4スイッチ部の左方に設けられた第2追加感圧スイッチ(22)とを備え、前記第3スイッチ部及び前記第4スイッチ部の状態に関わらず、当該着座センサはオンとなるとよい。
【0024】
この構成によれば、乗員の臀部よりも外側に追加スイッチが配置され、それらの追加スイッチが所定の圧力以上に押圧されて、追加スイッチがオンとなるように構成することができる。これによって、シートクッションの上面にブースターシートが配置され、且つ、ブースターシートに乗員が着座したときに、着座センサを用いて検知できるように構成することができる。
【0025】
また、上記の態様において、前記スイッチ部のそれぞれにおいて、前記第3感圧スイッチは左右方向において、対応する前記第1感圧スイッチ及び前記第2感圧スイッチの中央に配置されているとよい。
【0026】
この構成によれば、第1感圧スイッチ及び第2感圧スイッチの位置が乗員の股関節の前方に左右に並んで配置される。そのため、第1感圧スイッチ及び第2感圧スイッチが乗員の大腿部によって押圧される位置となる。よって、乗員の大腿部の位置に依らず、着座センサを用いて、乗員が着座していることをより正確に検知することができる。
【0027】
また、上記の態様において、前記乗物用シートは、車両の後部座席を構成するとよい。
【0028】
この構成によれば、乗員の姿勢が大きく変わり得る後部座席において、着座センサを用いて、乗員が着座していることを検知することができる。
【発明の効果】
【0029】
このように第1感圧スイッチ及び第2感圧スイッチの少なくともいずれか一方がオンであり、且つ、第3感圧スイッチがオンであるときに、各スイッチ部がオンとなり、一対のスイッチ部が共にオンであるときに着座センサはオンとなる態様によれば、着座領域に直線状の圧力分布を生じる物品が配置された場合と、乗員が着座した場合とを区別することができる。さらに、着座領域の前側の圧力分布が左右方向に異なる乗員の姿勢に対応することができる。
【0030】
また、スイッチ部のそれぞれにおいて、第1感圧スイッチ及び第2感圧スイッチは並列に電気的に接続され、第3感圧スイッチは並列に接続された第1感圧スイッチ及び第2感圧スイッチに直列に電気的に接続され、一対のスイッチ部は互いに直列に電気的に接続されている態様によれば、感圧スイッチを電気的に接続することによって着座センサを構成することができるため、着座センサの構成を簡素にすることができる。
【0031】
また、左右に対をなすスイッチ部が前後に配置され、第1スイッチ部と前記第2スイッチ部とが共にオンであるか、又は、第3スイッチ部と第4スイッチ部とが共にオンであるときに着座センサがオンとなる態様によれば、乗員が着座領域の前側に着座した場合であっても、第3スイッチ部及び第4スイッチ部がオンとなるため、着座センサを用いて、乗員が着座していることを検知することができる。
【0032】
また、第1スイッチ部と第2スイッチ部とが直列に電気的に接続され、第3スイッチ部と第4スイッチ部とが直列に電気的に接続され、直列に接続された第1スイッチ及び第2スイッチ部と、直列に接続された第3スイッチ部と第4スイッチ部とは、並列に電気的に接続されている態様によれば、乗員が着座領域の前側及び後側に着座した場合であっても、乗員が着座したことを検知するための着座センサを電気的な接続によって構成することができるため、着座センサの構成を簡素にすることができる。
【0033】
また、第1スイッチ部と第4スイッチ部とがオンであるか、又は、第2スイッチ部と前記第3スイッチ部とがオンであるときに、着座センサはオンとなる態様によれば、
乗員が着座領域において右前方又は左前方に向いて着座した場合であっても、着座センサを用いて、乗員が着座していることを検知することができる。
【0034】
また、第1スイッチ部と第3スイッチ部とは並列に電気的に接続され、第2スイッチ部と第4スイッチ部とは並列に電気的に接続され、並列に接続された第1スイッチ部及び第3スイッチ部と、並列に接続された第2スイッチ部及び第4スイッチ部とは、直列に電気的に接続されている態様によれば、乗員が着座領域において右前方又は左前方に向いて着座した場合であっても検知することのできる着座センサを電気的な配線によって構成することができるため、着座センサの構成を簡素にすることができる。
【0035】
また、第1スイッチ部及び第2スイッチ部の第3感圧スイッチはそれぞれ、側面視で乗物用シートに設定されたヒップポイントの下方に配置されている態様によれば、大腿部の位置が左右に異なる姿勢を乗員が取った場合であっても、着座センサを用いて、乗員が着座していることを検知することができる。
【0036】
また、第1スイッチ部の第3感圧スイッチ及び第2スイッチ部の第3感圧スイッチはそれぞれ上面視でヒップポイントに対して左右に離間して対称に配置されている態様によれば、乗員の臀部からの荷重が各第3感圧スイッチに加わり易くなり、着座センサを用いて、乗員が着座していることをより正確に検知することができる。
【0037】
また、第3スイッチ部及び第4スイッチ部の左右外側に一対の追加スイッチを備え、第3スイッチ部及び第4スイッチ部の状態に関わらず、着座センサはオンとなる態様によれば、乗員の臀部よりも外側に追加スイッチが配置され、それらの追加スイッチが所定の圧力以上に押圧されて、追加スイッチがオンとなるように構成することができ、シートクッションの上面にブースターシートが配置される場合に対応することができる。
【0038】
また、スイッチ部のそれぞれにおいて、第3感圧スイッチは左右方向において、対応する第1感圧スイッチ及び第2感圧スイッチの中央に配置されている態様によれば、第1感圧スイッチ及び第2感圧スイッチの位置が乗員の股関節の前方に左右に並んで配置され、第1感圧スイッチ及び第2感圧スイッチが乗員の大腿部によって押圧されるため、乗員が着座していることをより正確に検知することができる。
【0039】
また、乗物用シートは、車両の後部座席を構成する態様によれば、乗員の姿勢が大きく変わり得る後部座席において、着座センサを用いて、乗員が着座していることを検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】実施形態に係る着座センサが設けられた後部座席の上面図
図2】実施形態に係る着座センサが設けられた後部座席の側面図
図3図1における着座センサ部分の拡大図
図4】着座センサの回路図
図5】大腿部を開いて乗員が着座したときの後部座席の上面図
図6】右側に姿勢を傾けて乗員が着座したときの後部座席の上面図
図7】乗員が着座領域の前側に着座したときの後部座席の上面図
図8】乗員が着座領域に左前方に向いて着座したときの後部座席の上面図
図9】乗員がブースターシートを用いて着座したときの後部座席の上面図
図10】荷物を入れた箱体を着座領域に配置したときの後部座席の上面図
図11】別実施形態に係る着座センサの回路図
図12】別実施形態に係る着座センサが設けられた後部座席の上面図
図13】別実施形態に係る着座センサが設けられた後部座席の上面図
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、図面を参照して、本発明に係る着座センサを自動車等の車両のシートに配置した実施形態を説明する。
【0042】
図1に示すように、シート1は、自動車の2列目又は3列目の後部座席を構成する。シート1は、自動車のフロアに設けられたシートクッション2と、シートクッション2の後部に支持された左右一対のシートバック3と、各シートバック3の上部に設けられた左右一対のヘッドレスト4を有する。シートクッション2は、左右に延び、乗員2人分に対応する2つの着座領域5を構成している。着座領域5はシートクッション2に左右に並んで設けられている。2つのシートバック3は、各着座領域5に対応する位置に、左右に並んで配置され、それぞれシートクッション2の後端に結合されている。左右のシートバック3及び左右のヘッドレスト4は、概ね左右対称形の構造を有する。
【0043】
図2に示すように、シートクッション2は、四角形枠形のフレーム(不図示)と、フレームに支持されたパッド部材6と、パッド部材6の表面を覆う表皮材7とを有する。本実施形態では、表皮材7とパッド部材6との間には、シート状のワディング材8が設けられている。
【0044】
図1に示すように、シートクッション2の上面は、着座領域5において、左右方向に凹み、後方に向かって下方に傾斜して、乗員の臀部及び大腿部に対応する形状をなしている。乗員が着座している時には、着座領域5には、乗員の臀部及び大腿部が配置される。各着座領域5は概ね前後及び上下に延びる対称面を中心として左右対称をなしている。以下、右側の着座領域5について説明し、左側の着座領域5については右側の説明を援用する。また、必要に応じて、着座領域5の対称面Xに向かう方向を、着座領域5における左右内方、離れる方向を着座領域5における左右外方と記載する。
【0045】
図1及び図3に示すように、着座領域5には、乗員の着座を検知するための着座センサ10が設けられている。着座センサ10は乗員が着座しているときには導通し、着座していないときには絶縁となるスイッチに相当する。着座センサ10は、第1センサシート11と、第2センサシート12とを備えている。第1センサシート11及び第2センサシート12は共に、左右に延びるシート状に形成され、表皮材7とパッド部材6との間に配置されている。第2センサシート12は第1センサシート11の前方に配置されている。本実施形態では、図2に示すように、第1センサシート11及び第2センサシート12は共に、ワディング材8とパッド部材6との間に配置されている。
【0046】
第1センサシート11及び第2センサシート12は可撓性を有するシート状の部材である。第1センサシート11及び第2センサシート12は、それぞれ、上下に重なる一対の樹脂製の絶縁シートと、その間に挟まれる樹脂製のスペーサとを有している。第1センサシート11には、第1スイッチ部16、及び第2スイッチ部17が設けられている。第1スイッチ部16は、第1感圧スイッチ16A、第2感圧スイッチ16B、及び、第3感圧スイッチ16Cの3つの感圧スイッチを備えている。第2スイッチ部17は、第1スイッチ部16と同様に、第1感圧スイッチ17A、第2感圧スイッチ17B、及び、第3感圧スイッチ17Cの3つの感圧スイッチを備えている。第1スイッチ部16、及び第2スイッチ部17は、第1センサシート11において左右に間隔をおいて配置されている。第2スイッチ部17は第1スイッチ部16よりも車内側に位置し、第1スイッチ部16及び第2スイッチ部17は対称面Xについて左右対称をなしている。以下では、第1スイッチ部16について説明し、第2スイッチ部17については第1スイッチ部16の説明を援用する。
【0047】
各感圧スイッチ16A~16Cは絶縁シートの対向する面にそれぞれ設けられた円盤状の電極と、スペーサに形成された2つの電極間の開口とによって構成されている。各感圧スイッチ16A~16Cは所定圧力以上の圧力によって押圧されると、両電極が接触して電極間が導通する(オンとなる)メンブレンスイッチとして機能する。電極間が導通する圧力は、電極の大きさ、開口の形状及びスペーサの厚さを調節することによって、予め設定されている。本実施形態では、両電極の直径は約1cmに、スペーサの厚さは約100μmに設定されている。尚、各感圧スイッチは、圧力を検知して電気的に導通するスイッチであればいかなる構成であってもよい。
【0048】
図3に示すように、着座領域5において、第1感圧スイッチ16A及び第2感圧スイッチ16Bは左右に並んで配置されている。第3感圧スイッチ16Cは、第1感圧スイッチ16A及び第2感圧スイッチ16Bの後方に配置されている。第3感圧スイッチ16Cは、正面視で第1感圧スイッチ16A及び第2感圧スイッチ16Bの左右方向における略中央に配置されている。第2感圧スイッチ16Bは第1感圧スイッチ16Aの着座領域5における左右外方に位置している。
【0049】
第1スイッチ部16の第3感圧スイッチ16C及び第2スイッチ部17の第3感圧スイッチ17Cはそれぞれ上面視でヒップポイントHを中心に左右に離れて配置され(図1参照)、側面視でヒップポイントHの下方に配置されている(図2参照)。ヒップポイントHとは、乗物用シート1に対して、着座領域5ごとに決定される基準点であって、3次元マネキンを用いて、「自動車におけるH点の決め方」(JIS D0024-1985)に準拠して定められる。ヒップポイントHは乗車位置に着座した3次元マネキンの胴部と大腿部の回転中心点であり、対称面X上に位置している。第3感圧スイッチ16C、17C間の距離は、着座領域5に着座しうる最も体格の小さい乗員の坐骨結節部の距離、より具体的には、6歳児の坐骨結節部の距離の平均値を基準として定めるとよい。また、第1~第3感圧スイッチ16A~16Cがオンとなる圧力の閾値は、着座領域5に着座しうる最も体格の小さい乗員、より具体的には、標準的な体重・体格の6歳児が着座したときに、各感圧スイッチ16A~16Cに加わる圧力を基準として定めるとよい。第2スイッチ部17の第1感圧スイッチ17A、第2感圧スイッチ17B、及び第3感圧スイッチ17Cがオンとなる圧力の閾値は、第1スイッチ部16の第1感圧スイッチ16A、第2感圧スイッチ16B、及び第3感圧スイッチ16Cの閾値とそれぞれ等しくなるように設定されている。本実施形態では、第1~第3感圧スイッチ18A~18Cの圧力の閾値は等しくなるように設定されている。
【0050】
第1感圧スイッチ16A及び第2感圧スイッチ16Bは、乗員の右股関節の前方に左右に並んで配置される。そのため、第1感圧スイッチ16A及び第2感圧スイッチ16Bが乗員の右大腿部によって押圧される位置となる。第1感圧スイッチ16Aは、乗員が大腿部を閉じて着座したときの右大腿部に対応する位置に設けられるとよい。
【0051】
第1感圧スイッチ16A及び第3感圧スイッチ16Cの前後方向の距離は2cm以上5cm以下であることが好ましく、本実施形態では3cm離れている。第1感圧スイッチ16A及び第2感圧スイッチ16Bの左右方向の距離は2cm以上5cm以下であることが好ましく、本実施形態では3cm離れている。第1スイッチ部16の第3感圧スイッチ16Cと、第2スイッチ部17の第3感圧スイッチ17Cとは、左右に8cm以上20cm以下離れていることが好ましく、本実施形態では10cm離れている。
【0052】
更に、第1センサシート11には、上下の絶縁シートに導線が設けられることによって、図4に示す回路が形成されている。第1スイッチ部16において、第1感圧スイッチ16A及び第2感圧スイッチ16Bは並列に接続されている。更に、並列に接続された第1感圧スイッチ16A及び第2感圧スイッチ16Bに、第3感圧スイッチ16Cが直列に接続されている。第1感圧スイッチ16A及び第2感圧スイッチ16Bの少なくとも一方がオンとなり、且つ、第3感圧スイッチ16Cがオンとなると、第1スイッチ部16は導通状態(オン)となる。
【0053】
第2スイッチ部17においても、第1スイッチ部16と同様に、第1感圧スイッチ17A及び第2感圧スイッチ17Bが並列に接続され、更に、並列に接続された第1感圧スイッチ17A及び第2感圧スイッチ17Bが直列に第3感圧スイッチ17Cに接続されている。第1センサシート11において、第1スイッチ部16及び第2スイッチ部17は直列に接続されている。
【0054】
図1及び図3に示すように、第2センサシート12には、第3スイッチ部18、第4スイッチ部19、第1追加スイッチ21及び第2追加スイッチ22が設けられている。第4スイッチ部19は、第3スイッチ部18の車内側に位置し、第3スイッチ部18及び第4スイッチ部19は対称面Xについて左右対称をなしている。第3スイッチ部18は第1スイッチ部16の前方に位置し、第4スイッチ部19は第2スイッチ部17の前方に位置している。
【0055】
第3スイッチ部18は、第1スイッチ部16と同様に、第1感圧スイッチ18A、第2感圧スイッチ18B、及び第3感圧スイッチ18Cを備えている。第3スイッチ部18の第1感圧スイッチ18Aは、第1スイッチ部16の第1感圧スイッチ16Aの前方に位置している。第3スイッチ部18において、第1感圧スイッチ18Aに対する第2感圧スイッチ18Bの相対位置は、第1スイッチ部16部における第1感圧スイッチ16Aに対する第2感圧スイッチ16Bの相対位置と等しい。第3スイッチ部18において、第1感圧スイッチ18Aに対する第3感圧スイッチ18Cの相対位置は、第1スイッチ部16部における第1感圧スイッチ16Aに対する第2感圧スイッチ16Bの相対位置と等しい。
【0056】
第4スイッチ部19は、第3スイッチ部18と同様に、第1感圧スイッチ19A、第2感圧スイッチ19B、及び第3感圧スイッチ19Cを備えている。第4スイッチ部19の第1感圧スイッチ19A、第2感圧スイッチ19B、及び第3感圧スイッチ19Cはそれぞれ、第3スイッチ部18の第1感圧スイッチ18A、第2感圧スイッチ18B、及び第3感圧スイッチ18Cに対して対称面Xを中心とする左右対称な位置に配置されている。
【0057】
第1スイッチ部16と同様に、第3スイッチ部18においても、第1感圧スイッチ18A及び第2感圧スイッチ18Bがそれぞれ並列に接続され、並列に接続された第1感圧スイッチ18A及び第2感圧スイッチ18Bは、第3感圧スイッチ18Cに直列に接続されている。第4スイッチ部19においても同様に、第1感圧スイッチ19A及び第2感圧スイッチ19Bがそれぞれ並列に接続され、並列に接続された第1感圧スイッチ19A及び第2感圧スイッチ19Bは、第3感圧スイッチ19Cに直列に接続されている。
【0058】
第3スイッチ部18の第1感圧スイッチ18Aと第1スイッチ部16の第1感圧スイッチ16Aまでの距離は、10cm以上15cm以下に設定されることが好ましく、本実施形態では13cmに設定されている。第3スイッチ部18及び第4スイッチ部19の第1感圧スイッチ18A、19A、第2感圧スイッチ18B、19B、及び第3感圧スイッチ18C、19Cのオンとなる圧力の閾値はそれぞれ、対応する第1スイッチ部16の第1感圧スイッチ16A、第2感圧スイッチ16B、及び第3感圧スイッチ16Cの閾値と等しくなるように設定されている。
【0059】
第1追加スイッチ21及び第2追加スイッチ22はそれぞれ第1スイッチ部16の第1感圧スイッチ16Aと同様の感圧スイッチである。第1追加スイッチ21及び第2追加スイッチ22はそれぞれ第3スイッチ部18及び第4スイッチ部19の着座領域5における左右外方に配置されている。第1追加スイッチ21及び第2追加スイッチ22は対称面Xについて左右対称をなしている。第1追加スイッチ21及び第2追加スイッチ22は、第3スイッチ部18の第1感圧スイッチ18A及び第2感圧スイッチ18Bと、第4スイッチ部19の第1感圧スイッチ19A及び第2感圧スイッチ19Bとに沿って、左右に並ぶように配置されている。第1追加スイッチ21は第3スイッチ部18の車外側(右方)に位置し、第2追加スイッチ22は第4スイッチ部19の車内側(左方)に位置している。
【0060】
第1追加スイッチ21及び第2追加スイッチ22は共に、着座領域5にブースターシート25が載置され、乗員がブースターシート25に着座したときに、圧力が加わる位置に設定されている。ブースターシート25とは、座高を上げることによって、体格の小さい乗員(例えば、6歳以上の子供)が3点式シートベルトを着用することができるようにするために、シートクッション2に載置される補助椅子である。
【0061】
第1追加スイッチ21と第2追加スイッチ22とは左右に20cm以上40cm以下離れていることが好ましく、本実施形態では23cm離れている。第1追加スイッチ21及び第2追加スイッチ22がオンとなる圧力の閾値はそれぞれ、ブースターシート25に、ブースターシート25を使用しうる最も体格の小さい乗員(例えば、標準的な体格・体重の6歳児)が着座したときに、第1追加スイッチ21及び第2追加スイッチ22に加わる圧力を基準に定めるとよい。
【0062】
図4に示されるように、第2センサシート12において、第3スイッチ部18及び第4スイッチ部19は直列に接続されている。第1追加スイッチ21及び第2追加スイッチ22は直列に接続されている。直列に接続された第3スイッチ部18及び第4スイッチ部19と、直列に接続された第1追加スイッチ21及び第2追加スイッチ22は、並列に接続されている。
【0063】
図3及び図4に示されるように、第1センサシート11には3つの外部接続用の電極が設けられ、その電極に3本のケーブル31、32、33が結合されている。3本のケーブル31、32、33はそれぞれ、絶縁シートに設けられた導線を介して、第1スイッチ部16の一端、第1スイッチ部16の他端及び第2スイッチ部17の一端、及び、第2スイッチ部17の他端に電気的に接続している。
【0064】
図3及び図4に示されるように、第2センサシート12には3つの外部接続用の電極が設けられ、3本のケーブル36、37、38が接続されている。3本のケーブル36、37、38はそれぞれ、絶縁シートに設けられた導線を介して、第3スイッチ部18及び第1追加スイッチ21、第3スイッチ部18の他端及び第4スイッチ部19の一端、及び、第4スイッチ部19の他端及び第2追加スイッチ22に接続されている。
【0065】
第1センサシート11のケーブル31が、第2センサシート12のケーブル36に接続されている。第1センサシート11のケーブル32が第2センサシート12のケーブル37に接続されている。第1センサシート11のケーブル33が第2センサシート12のケーブル38に接続されている。
【0066】
これらのケーブルの接続によって、第1スイッチ部16と第3スイッチ部18とは並列に電気的に接続され、第2スイッチ部17と第4スイッチ部19とは並列に電気的に接続される。並列に接続された第1スイッチ部16及び第3スイッチ部18と、並列に接続された第2スイッチ部17及び第4スイッチ部19とが直列に電気的に接続され、直列に接続された第1追加スイッチ21及び第2追加スイッチ22に並列に接続されている。着座センサ10は、第1スイッチ部16及び第2スイッチ部17が共にオンである場合、第3スイッチ部18及び第4スイッチ部19が共にオンである場合、第1スイッチ部16及び第4スイッチ部19が共にオンである場合、第2スイッチ部17及び第3スイッチ部18が共にオンである場合、及び、第1追加スイッチ21及び第2追加スイッチ22が共にオンである場合のいずれか1つが満たされたときに、導通し、オンとなる。
【0067】
着座センサ10は、ケーブル31及び36に一端側において接続されたケーブル39と、ケーブル33及び38に一端側において接続されたケーブル40とを備える。ケーブル39及びケーブル40の他端側は、車体に搭載されたECU(不図示)に接続されている。ECUは、車体の制御を行うと共に、ケーブル39及びケーブル40間の導通、すなわち、着座センサのオン・オフに基づいて、乗員が着座しているか否かを判別する。更に、ECUは各着座領域5においてシートベルトが着用されているかを判別する。ECUは、乗員が着座領域5に着座していると判別し、且つ、シートベルトが非着用である場合に、音声やアラーム灯(不図示)の点灯等によって、乗員に警告を行う。
【0068】
次に、本実施形態における着座センサ10の効果について説明する。図1及び図3には、乗員が着座したときにパッド部材6の表面に加わる圧力が、第1スイッチ部16の第1感圧スイッチ16Aがオンとなる圧力の閾値以上となる領域が網掛けされて示されている。図3に示すように、このとき、第1スイッチ部16の第1感圧スイッチ16A、第2感圧スイッチ16B、及び第3感圧スイッチ16Cは全てオンとなり、第1スイッチ部16はオンになる。第2スイッチ部17においては、3つの感圧スイッチ17A、17B、及び17Cが全てオンとなり、第2スイッチ部17がオンとなる。したがって、着座センサ10はオンとなり、乗員が着座していることを検知することができる。
【0069】
着座センサ10は後部座席に設けられているため、乗員の姿勢によって圧力分布が大きく変わり得る。図5には、その例として、乗員が大腿部を開いて着座した場合が示されている。図1と同様に、図5には、パッド部材6の表面に加わる圧力が閾値以上となる領域が網掛けされて示されている。第1スイッチ部16の第3感圧スイッチ16C、及び、第2スイッチ部17の第3感圧スイッチ17Cは乗員の坐骨結節部に対応する位置に配置されているため、共にオンとなる。第1スイッチ部16の第2感圧スイッチ16B、及び、第2スイッチ部17の第2感圧スイッチ17Bは乗員の大腿部に対応する位置にあり、共にオンとなる。
【0070】
第1スイッチ部16は、第2感圧スイッチ16B及び第3感圧スイッチ16Cは共にオンであるため、オンになる。このように、大腿部の位置が左右方向にずれて、第1感圧スイッチ16A及び第2感圧スイッチ16Bのいずれか一方がオフとなった場合であっても、第1感圧スイッチ16A及び第2感圧スイッチ16Bが並列に接続されているため、第1スイッチ部16はオンとなる。よって、乗員の大腿部の位置に依らず、乗員が着座していることを検知することができる。第2スイッチ部17においても、第1スイッチ部16と同様に、第2感圧スイッチ17Bがオンとなり、且つ、第3感圧スイッチ17Cがオンとなるため、第2スイッチ部17がオンとなる。したがって、着座センサ10はオンとなり、乗員の姿勢が大きく変わり得る後部座席において、乗員が着座していることを検知することができる。
【0071】
図6には、乗員が右側に姿勢を傾けた状態で着座した場合が示されている。図1と同様に、図6には、パッド部材6の表面に加わる圧力が閾値以上となる領域が網掛けされて示されている。第1スイッチ部16において第2感圧スイッチ16B及び第3感圧スイッチ16Cは共にオンであり、第1感圧スイッチ16Aはオフである。このとき、第1スイッチ部16はオンになる。このように、大腿部の位置によって、第1感圧スイッチ16A及び第2感圧スイッチ16Bのいずれか一方のみがオンとなる場合でも、第1感圧スイッチ16A及び第2感圧スイッチ16Bが並列に接続されているため、第1スイッチ部16はオンとなる。第2スイッチ部17においても、第1感圧スイッチ17A及び第3感圧スイッチ17Cがオンとなるため、第2スイッチ部17がオンとなる。したがって、着座センサ10はオンとなり、乗員が着座していることを検知することができる。
【0072】
図7は、乗員が着座領域5において前側に着座した場合を示している。図7には、図1と同様に、パッド部材6の表面に加わる圧力が閾値以上となる領域が網掛けされて示されている。この場合は、第3スイッチ部18及び第4スイッチ部19が共にオンとなるため、着座センサ10がオンとなる。よって、乗員が着座していることを検知することができる。
【0073】
図8は、乗員が着座領域5において左内方を向いて着座した場合を示している。図8には、図1と同様に、パッド部材6の表面に加わる圧力が閾値以上となる領域が網掛けされて示されている。この場合は、第2スイッチ部17及び第3スイッチ部18が共にオンとなり、着座センサ10がオンとなる。よって、乗員が着座していることを検知することができる。
【0074】
図9は、着座領域5に載置されたブースターシート25に、平均的な体格を有する6歳児が着座した場合の上面図を示している。図9には、パッド部材6の表面に加わる圧力が第1追加スイッチ21及び第2追加スイッチ22が共にオンとなる閾値以上となる領域が網掛けされて示されている。このとき、図9に示すように、第1追加スイッチ21及び第2追加スイッチ22がオンとなる。そのため、着座センサ10がオンとなり、乗員が着座していることを検知することができる。よって、ブースターシート25に着座した乗員がシートベルトを着用していない場合に、警告を行うことができる。
【0075】
パッド部材6の表面が受ける圧力分布は、乗員が着座する場合には乗員の臀部に合わせて左右及び前後の広がる傾向がある。一方、物品が収納された段ボール箱などの箱体45が着座領域5に配置された場合には、シートクッション2の上面に形成された斜面によって後方に傾く。図10には、箱体45が着座領域5に配置された場合に、パッド部材6の表面が受ける圧力が第1スイッチ部16の第1感圧スイッチ16Aがオンとなる圧力の閾値以上となる領域が網掛けされて示されている。図10に示すように、パッド部材6の表面が受ける圧力が閾値以上となる領域は前後方向に広がらず、着座領域5の後部において左右に延びる直線状をなすように形成される。そのため、第1スイッチ部16及び第2スイッチ部17において、後側に位置する第3感圧スイッチ16C、17Cのみがオンとなり、着座センサ10はオフとなる。よって、着座センサ10によって、物品が収納された箱体45と乗員とを区別することができる。更に、第1追加スイッチ21及び第2追加スイッチ22は着座領域5において前側に設けられているため、箱体45から第1追加スイッチ21及び第2追加スイッチ22に加わる圧力が小さくなる。そのため、箱体45と乗員とをより確実に区別することができる。
【0076】
着座センサ10は、複数の感圧スイッチを電気的に接続することによって構成されているため、ロジックIC等を用いる必要がなく、構成が簡素であり、容易に構成することができる。
【0077】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明に係る着座センサ10は、上記実施形態には限定されない。図11に示すように、着座センサ10は、ケーブル32とケーブル37とが設けられていない態様であってもよい。この場合は、第1スイッチ部16と第2スイッチ部17とが直列に電気的に接続され、第3スイッチ部18と第4スイッチ部19とが直列に電気的に接続され、直列に接続された第1スイッチ部16及び第2スイッチ部17と、直列に接続された第3スイッチ部18と第4スイッチ部19とは並列に電気的に接続されて、直列に接続された第1追加スイッチ21及び第2追加スイッチ22と並列に接続されている。第1スイッチ部16及び第2スイッチ部17が共にオンである場合、第3スイッチ部18及び第4スイッチ部19が共にオンである場合、及び、第1追加スイッチ21及び第2追加スイッチ22が共にオンである場合のいずれかが満たされたときに、着座センサ10はオンになる。このように構成した着座センサ10を用いると、乗員が大腿部を開いて着座したとき(図5)、姿勢を傾けて乗員が着座したとき(図6)、及び、乗員が着座領域5の前側に着座したとき(図8)、及び、ブースターシートを使用して着座したとき(図9)に、乗員が着座していることを検知することができる。
【0078】
図12に示すように、第3感圧スイッチ16C、17C、18C、19Cのいずれかが乗員の臀部に対応する位置にあり、第1感圧スイッチ16A、17A、18A、19A及び第2感圧スイッチ16B、17B、18B、19Bが乗員の大腿部に対応する位置に設けられる態様であればよく、必ずしも、第3感圧スイッチ16C、17C、18C、19Cが正面視で対応する第1感圧スイッチ16A、17A、18A、19A及び第2感圧スイッチ16B、17B、18B、19Bの中央に配置されていなくてもよい。
【0079】
図13に示すように、第1スイッチ部16及び第2スイッチ部17の第1感圧スイッチ16A、17Aを一つの感圧スイッチ51に置き換えてもよい。第1スイッチ部16は感圧スイッチ51、第2感圧スイッチ16B、及び第3感圧スイッチ16Cを含み、第2スイッチ部17は感圧スイッチ51、第2感圧スイッチ17B、及び第3感圧スイッチ17Cを含む。置き換えられた感圧スイッチ51がオン又は第2感圧スイッチ16Bがオンであり、且つ、第3感圧スイッチ16Cがオンであるときに、第1スイッチ部16がオンとなるとよい。また、置き換えられた感圧スイッチ51がオン又は第2感圧スイッチ17Bがオンであり、且つ、第3感圧スイッチ17Cがオンであるときに、第2スイッチ部17がオンとなるとよい。同様に、第3スイッチ部18及び第4スイッチ部19の第1感圧スイッチ18A及び19Aを一つの感圧スイッチ52に置き換えてもよい。このように、置き換えられた感圧スイッチ51、52が共用されることによって、感圧スイッチの数を減らすことが可能となり、より構成を簡素にすることができる。
【0080】
上記実施形態では、着座センサ10は第1センサシート11及び第2センサシート12を備えていたが、第1センサシート11及び第2センサシート12を接続することによって、1枚のシート状をなすように構成してもよい。
【符号の説明】
【0081】
1 :シート
2 :シートクッション
5 :着座領域
10 :着座センサ
16 :第1スイッチ部
17 :第2スイッチ部
18 :第3スイッチ部
19 :第4スイッチ部
16A、17A、18A、19A:第1感圧スイッチ
16B、17B、18B、19B:第2感圧スイッチ
16C、17C、18C、19C:第3感圧スイッチ
16D、17D、18D、19D:第4感圧スイッチ
21 :第1追加スイッチ(第1追加感圧スイッチ)
22 :第2追加スイッチ(第2追加感圧スイッチ)
H :ヒップポイント
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2024-02-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗物用シートに設けられる着座センサであって、
シートクッションの乗員の着座領域内に左右に間隔をおいて配置された一対のスイッチ部を有し、
左右一対の前記スイッチ部が前後に配置され、
後側の一対の前記スイッチ部は、右側に配置された第1スイッチ部と、左側に配置された第2スイッチ部とを備え、
前側の一対の前記スイッチ部は、右側に配置された第3スイッチ部と、左側に配置された第4スイッチ部とを備え、
前記第3スイッチ部は前記第1スイッチ部の前方に位置し、
前記第4スイッチ部は前記第2スイッチ部の前方に位置し、
前記第3スイッチ部の右方に設けられた第1追加感圧スイッチと、前記第4スイッチ部の左方に設けられた第2追加感圧スイッチとを備え、
前記第1追加感圧スイッチと、前記第2追加感圧スイッチとはともに、前記着座領域にブースターシートが載置され、且つ、前記ブースターシートに乗員が着座したときにオンとなり、
前記第1追加感圧スイッチと、前記第2追加感圧スイッチとはともにオンであるときには、前記第3スイッチ部及び前記第4スイッチ部の状態に関わらず、当該着座センサはオンとなる着座センサ。
【請求項2】
前記着座領域に乗員が着座したときに当該着座センサがオンとなるように、前記第1スイッチ部、前記第2スイッチ部、前記第3スイッチ部及び前記第4スイッチ部が接続されている請求項1に記載の着座センサ。
【請求項3】
前記第1追加感圧スイッチと、前記第2追加感圧スイッチとはともにオンであるときには、前記第1スイッチ部、前記第2スイッチ部、前記第3スイッチ部及び前記第4スイッチ部のいずれの状態に関わらず、当該着座センサはオンとなる請求項1に記載の着座センサ。
【請求項4】
前記第3スイッチ部と前記第4スイッチ部との左右方向の間隔は、前記ブースターシートの左右方向の幅よりも小さい請求項1~請求項3のいずれか1つの項に記載の着座センサ。
【請求項5】
乗物用シートに設けられる着座センサであって、
シートクッションの乗員の着座領域内に左右に間隔をおいて配置された一対のスイッチ部を有し、
左右一対の前記スイッチ部が前後に配置され、
後側の一対の前記スイッチ部は、右側に配置された第1スイッチ部と、左側に配置された第2スイッチ部とを備え、
前側の一対の前記スイッチ部は、右側に配置された第3スイッチ部と、左側に配置された第4スイッチ部とを備え、
前記スイッチ部のそれぞれが、前側に左右に間隔をおいて配置された第1感圧スイッチ
及び第2感圧スイッチと、後側に配置された第3感圧スイッチとを含み、
前記第1スイッチ部の前記第3感圧スイッチと、前記第2スイッチ部の前記第3感圧スイッチとは左右に並んで配置され、
前記第1スイッチ部の前記第3感圧スイッチ及び前記第2スイッチ部の前記第3感圧スイッチのみがオンであるときには、当該着座センサはオフとなる着座センサ。
【請求項6】
前記スイッチ部のそれぞれは、前記第1感圧スイッチ及び前記第2感圧スイッチがともにオフであるか、又は、前記第3感圧スイッチがオフであるときにはオフとなり、
前記第3スイッチ部及び前記第4スイッチ部がともにオフであり、且つ、前記第1スイッチ部及び前記第2スイッチ部のいずれか一方がオフであるときには、当該着座センサはオフとなる請求項5に記載の着座センサ。
【請求項7】
前記スイッチ部のそれぞれは、前記第1感圧スイッチ及び前記第2感圧スイッチがともにオフであるか、又は、前記第3感圧スイッチがオフであるときにはオフとなり、
前記第1スイッチ部と前記第3スイッチ部とは並列に電気的に接続され、
前記第2スイッチ部と前記第4スイッチ部とは並列に電気的に接続され、
並列に接続された前記第1スイッチ部及び前記第3スイッチ部と、並列に接続された前記第2スイッチ部及び前記第4スイッチ部とが直列に電気的に接続されている請求項5に記載の着座センサ。
【請求項8】
前記第1スイッチ部及び前記第2スイッチ部の前記第3感圧スイッチはそれぞれ、側面視で前記乗物用シートに設定されたヒップポイントの下方に配置されている請求項5~請求項7のいずれか1つの項に記載の着座センサ。
【請求項9】
前記第1スイッチ部の前記第3感圧スイッチ及び前記第2スイッチ部の前記第3感圧スイッチはそれぞれ上面視で前記ヒップポイントに対して左右に離間して対称に配置されている請求項8に記載の着座センサ。