(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005271
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】可撓性容器入りグミゼリー
(51)【国際特許分類】
A23L 29/281 20160101AFI20240110BHJP
A23G 3/56 20060101ALI20240110BHJP
A23G 3/00 20060101ALI20240110BHJP
A61C 19/04 20060101ALN20240110BHJP
【FI】
A23L29/281
A23G3/56
A23G3/00
A61C19/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105363
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】390020189
【氏名又は名称】ユーハ味覚糖株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100163577
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 正人
(72)【発明者】
【氏名】北中 進介
(72)【発明者】
【氏名】藤井 亜衣
(72)【発明者】
【氏名】塚本 慎平
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 潔
(72)【発明者】
【氏名】山田 泰正
【テーマコード(参考)】
4B014
4B041
4C052
【Fターム(参考)】
4B014GB07
4B014GE12
4B014GG07
4B014GK03
4B014GK05
4B014GK08
4B014GL07
4B014GL10
4B014GL11
4B014GQ05
4B041LC10
4B041LD02
4B041LE08
4B041LH05
4B041LH08
4B041LK10
4B041LK11
4B041LK17
4B041LK18
4B041LK50
4B041LP12
4B041LP25
4C052NN02
(57)【要約】
【課題】ゼラチンを含有する粘着性の高いグミゼリーでありかつテーパー角度の小さい容器であるにも関わらず、可撓性容器を押すだけで容易に取り出せる可撓性容器入りグミゼリーを提供すること。
【解決手段】テーパー角度5~15°の略円柱状又は略多角柱状の外形を有する可撓性容器と、該可撓性容器に充填されたグミゼリーとからなる 可撓性容器入りグミゼリーであって、前記グミゼリーがゼラチンを含有し、かつ荷重条件:i)[グミゼリーを5mm圧縮した時の荷重]=0.20~0.50kg、ii)[グミゼリーを5mm圧縮した状態を10秒維持した後の荷重]/[グミゼリーを5mm圧縮した時の荷重]=0.60~0.80を満たすことを特徴とする、可撓性容器入りグミゼリー。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーパー角度5~15°の略円柱状又は略多角柱状の外形を有する可撓性容器と、該可撓性容器に充填されたグミゼリーとからなる可撓性容器入りグミゼリーであって、
前記グミゼリーがゼラチンを含有し、かつ下記の荷重条件を満たすことを特徴とする、可撓性容器入りグミゼリー。
i)[グミゼリーを5mm圧縮した時の荷重]=0.20~0.50kg
ii)[グミゼリーを5mm圧縮した状態を10秒維持した後の荷重]/[グミゼリーを5mm圧縮した時の荷重]=0.60~0.80
【請求項2】
前記可撓性容器の両側面を5mm圧縮した際に、グミゼリーの全体積の30~70%が前記可撓性容器の開口部より押し出される、請求項1に記載の可撓性容器入りグミゼリー。
【請求項3】
前記可撓性容器と前記グミゼリーとの界面に、蜜ろう及び中鎖脂肪酸を含む層を有する、請求項1又は2に記載の可撓性容器入りグミゼリー。
【請求項4】
前記グミゼリーが、咀嚼能力測定用グミ剤である、請求項1又は2に記載の可撓性容器入りグミゼリー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性容器入りグミゼリーに関する。
【背景技術】
【0002】
以前、本件出願人は、国立大学法人大阪大学と共同で、検査対象者に検査用グミゼリーを規定回数だけ咀嚼させた後、グミゼリーの全咬断片を回収して水で洗浄し、得られた複数の咬断片の表面積に基づいて前記検査対象者の咀嚼能力を測定する咀嚼機能検査方法を開発している(特許文献1)。前記咀嚼機能検査方法では、衛生面の観点から、グミゼリーを手で直に触ることなく、可撓性容器から容易に取り出せてそのまま検査対象者の口に直接入れられることが望まれる。
【0003】
可撓性容器から取り出して喫食する食品として、例えば、いわゆるポーションゼリーと呼ばれる可撓性容器入りゼリーが知られているが、この食品では、ゼリーから離水が起き、可撓性容器とゼリーとの界面に水が存在するため、可撓性容器の側面や底面を押したり、口で吸い出したりすることで容易にゼリーが取り出せるようになっている。そこで、可撓性前記容器入りゼリーにおいては、吸い込んだ際にゼリーが滑り出して誤って飲み込むことを防ぐように設計された容器の形状も提案されている(特許文献2)。
【0004】
これに対して、咀嚼機能を検査するグミゼリーでは、グミゼリーのどこを噛んでも一定の弾力を有する必要があり、略四角柱状や円柱状等の均一の厚みを有する形状であることが必要であり、取り出しやすくしたり、誤って飲み込みにくくしたりする工夫を容器形状によって持たせることはできなかった。
【0005】
また、ゼラチンを含有するグミゼリーは、前記可撓性容器入りゼリーと異なり、可撓性容器との界面に離水が全く起こらないため、可撓性容器を押すだけではグミゼリーを可撓性容器から剥離させることが困難であり、実際にトレイ容器に充填されたグミゼリーは数多く市販されているがいずれも手で触って剥がす必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5216978号公報
【特許文献2】実用新案第3036922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記問題を解決する方法として、本発明者らは可撓性容器の内側にあらかじめ離型油を塗布しておく方法を検討した。しかし、十分な効果を発揮するには多量の離型油を塗布する必要があるが、このように多量の離型油を塗布すると、グミゼリー表面が油で滑りやすく、可撓性容器を変形させた時にそのままグミゼリーが外部に滑り出してしまったり、口に入れた際にそのまま滑って飲み込んでしまったり、咀嚼で噛み砕くのが困難になったりするという課題が新たに発生する結果となった。
【0008】
本発明の目的は、ゼラチンを含有する粘着性の高いグミゼリーでありかつテーパー角度の小さい容器であるにも関わらず、可撓性容器を押すだけで容易に取り出せる可撓性容器入りグミゼリーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、テーパー角度の小さい所定の形状の可撓性容器に充填されたグミゼリーにおいて、5mm圧縮時のグミゼリーの荷重及びその荷重を10秒間維持した後の荷重の時間的変化の比率を特定の範囲に調整することで、可撓性容器からグミゼリーが取り出し易くなることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明の要旨は、
[1]テーパー角度5~15°の略円柱状又は略多角柱状の外形を有する可撓性容器と、該可撓性容器に充填されたグミゼリーとからなる可撓性容器入りグミゼリーであって、
前記グミゼリーがゼラチンを含有し、かつ下記の荷重条件を満たすことを特徴とする、可撓性容器入りグミゼリー、
i)[グミゼリーを5mm圧縮した時の荷重]=0.20~0.50kg
ii)[グミゼリーを5mm圧縮した状態を10秒維持した後の荷重]/[グミゼリーを5mm圧縮した時の荷重]=0.60~0.80
[2]前記可撓性容器の両側面を5mm圧縮した際に、グミゼリーの全体積の30~70%が前記可撓性容器の開口部より押し出される、前記[1]に記載の可撓性容器入りグミゼリー、
[3]前記可撓性容器と前記グミゼリーとの界面に、蜜ろう及び中鎖脂肪酸を含む層を有する、前記[1]又は[2]に記載の可撓性容器入りグミゼリー、
[4]前記グミゼリーが、咀嚼能力測定用グミ剤である、前記[1]~[3]のいずれかに記載の可撓性容器入りグミゼリー
に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の可撓性容器入りグミゼリーは、容易に可撓性容器から取り出すことができ、衛生的に喫食することができる。特に咀嚼能力測定用グミ剤に、好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
【0013】
本発明における可撓性容器入りグミゼリーは、テーパー角度5~15°の略円柱状又は略多角柱状の外形を有する可撓性容器と、該可撓性容器に充填されたグミゼリーとからなる。
【0014】
本発明において使用する、可撓性容器とは、テーパー角度がついた容器両側面から2つの指で摘まんで押した際に5~10mm程度圧縮できる可撓性を有する容器であればよい。また、5~10mm圧縮した際の荷重は、0.30~3.00kg程度であればよい。
【0015】
前記可撓性容器の材質は、前記のような可撓性を有するプラスチックであればよく、コストや作業性等の観点から、例えばポリプロピレン製が好ましい。
【0016】
前記可撓性容器は、テーパー角度5~15°の略円柱状又は略多角柱状の外形を有する。
本発明において、「テーパー角度」とは、テーパー型容器におけるテーパー角度をいい、具体的には略円柱又は略多角柱の中心軸と先細る側面とのなす角をいう。なお、テーパー角度が0°の場合、ストレート型容器になる。
前記テーパー角度が5°未満では、可撓性容器からグミゼリーが容易に取り出せず、テーパー角度15°を超える場合、可撓性容器が指で摘まみにくい形状となるばかりか、グミゼリーがうまく可撓性容器から取り出せない。より好ましいテーパー角度は5~10°である。
【0017】
前記可撓性容器のサイズとしては、テーパー角度がついた容器両側面を、成人が指で押すことができる大きさであればよく、特に限定はないが、例えば、天面の面積が1~5cm2の範囲であればよく、高さが8~20mmの範囲であればよい。
【0018】
前記可撓性容器では、前記略円柱状又は略多角柱状の中心軸からの長さが最も大きい面(天面)が開口部となっており、この開口部からグミゼリーが容器内に充填される。前記天面には、衛生面及び保存性の面から、フィルムが熱溶着されて、グミゼリーが可撓性容器内に密封されている。前記開口部の形状は、略円形状又は略多角形状になる。
前記フィルムの材質としては、前記可撓性容器と熱溶着可能なものであればよく、特に限定はない。
【0019】
前記可撓性容器に充填されているグミゼリーは、ゼラチンを含有し、かつ下記の荷重条件を満たすものである。
i)[グミゼリーを5mm圧縮した時の荷重]=0.20~0.50kg
ii)[グミゼリーを5mm圧縮した状態を10秒維持した後の荷重]/[グミゼリーを5mm圧縮した時の荷重]=0.60~0.80
【0020】
本発明の可撓性容器入りグミゼリーは、前記可撓性容器に充填されるグミゼリーが、前記のような組成及び物性を有することで、喫食時には、容器天面のフィルムを剥がし、テーパーのついた容器両側面を圧縮することによって、グミゼリーを容器開口部から上に押し出すことができ、手で直接触れることなくグミゼリーを口に運ぶことが可能になる。
【0021】
前記グミゼリーに含有されるゼラチンについて、由来や製法等は特に限定はない。例えば、コラーゲンを含む物質(動物の皮・骨・結合組織等)から抽出・精製されたものであればよく、その由来生物に関しては特に制限されない。例えば、牛・豚・鶏等の獣の皮や骨由来ゼラチンに加えて、水生生物(淡水・海水)由来のゼラチン等が挙げられる。また、酸処理、アルカリ処理等の処理を施されたものでもよい。本発明では、由来、製法等が同じ1種類のゼラチンを用いてもよいし、由来、製法等が異なる2種以上のゼラチンを混合して用いてもよい。
【0022】
前記グミゼリーにおけるゼラチンの含有量は、全重量の4~20重量%であればよく、前記所定の荷重条件に調整し易い観点から、好ましくは5~12重量%である。
【0023】
前記グミゼリーは、糖質を含有する。
前記グミゼリーに含有される糖質は、ショ糖(砂糖)、ブドウ糖、果糖、マルトース(麦芽糖)、キシリトール、エリスリトール、トレハロース、マルチトール、パラチノース、還元パラチノース、水飴、還元水飴、還元麦芽糖水飴、グリセリン、ソルビトール等が挙げられるが、特に限定はない。
【0024】
前記グミゼリーにおける糖質の含有量は、全重量の20~80重量%であればよく、前記所定の荷重条件に調整し易い観点から、好ましくは50~80重量%である。
【0025】
前記グミゼリーには、その他任意成分として、食物繊維、酸味料、pH調整剤、果汁、香料、着色料、油脂、乳化剤、甘味料、ゲル化剤等を含有してもよい。
前記任意成分は、食品に使用できるものであればよく、特に限定はない。例えば、食物繊維であれば、ポリデキストロース、イヌリン、難消化性デキストリン等が挙げられる。
なお、前記任意成分は、前記荷重条件を満たす範囲であれば、それぞれを単独で又は2種類以上を混合して使用することができる。
【0026】
前記グミゼリーが有する前記荷重は、テクスチャーアナライザー(Stable Micro Systems社製「Texture Analyzer TA.XT.plus」)を用い、下記条件で測定する。
[試験条件]
プローブ:直径5mmの球形プローブ
測定速度:1mm/秒
圧縮距離:5mm
測定温度:20℃
【0027】
グミゼリーを5mm圧縮した時の荷重は、具体的には、グミゼリーを前記テクスチャーアナライザーの測定部に配置し、マニュアルに準じて、前記グミゼリーにプローブを挿入していき、その深さが5mmに達した時点の荷重をいう。
グミゼリーを5mm圧縮した時の荷重が0.20~0.50kgに調整されていることで、可撓性容器から取り出しやすくなり、咀嚼時の安定した食感も維持することができる。
【0028】
グミゼリーを5mm圧縮した状態を10秒維持した後の荷重は、具体的には、前記テクスチャーアナライザーにおいて、グミゼリーに5mmの深さにプローブを挿入した後、プローブの動きを停止して10秒後の荷重をいう。
グミゼリーを5mm圧縮した状態を10秒維持した後の荷重が0.20~0.40kgの範囲に調整されていることで、可撓性容器から取り出しやすくなり、咀嚼時の安定した食感も維持することができる。
【0029】
前記グミゼリーは、5mm圧縮した時の荷重及び5mm圧縮した状態を10秒維持した後の荷重を所望の範囲に調整することで、テーパー角度の小さい可撓性容器であっても容易に容器から取り出せるようになる。
【0030】
前記荷重を有するグミゼリーとしては、咀嚼能力測定用グミ剤が挙げられる。咀嚼能力測定用グミ剤とは、被験体に咀嚼させることによって得られる複数の咬断片の表面積に基づいて前記被検体の咀嚼能力を測定するために使用されるものである。
咀嚼能力の測定方法としては、例えば、特許文献1に記載の咀嚼機能検査方法等が挙げられる。
【0031】
本発明の可撓性容器入りグミゼリーでは、可撓性容器のテーパーがついた容器両側面から2つの指で摘まんで5mm圧縮した際に、グミゼリーの全体積の30~70%が可撓性容器開口部より上に押し出されるように、前記可撓性容器内にグミゼリーが充填されていればよい。
5mm圧縮した際に押し出されるグミゼリーが全体積の30%未満では、可撓性容器の開口部から出てきたグミゼリーを口にくわえることが困難であり、押し出されるグミゼリーが全体積の70%を超える場合、可撓性容器から外部に滑り落ちたり、滑り出たグミゼリーを誤って飲み込んでしまったりする可能性がある。
【0032】
本発明の可撓性容器入りグミゼリーでは、前記可撓性容器と前記グミゼリーとの界面に蜜ろう及び中鎖脂肪酸を含む層が形成されていてもよい。
ゼラチンを含有するグミゼリーは、可撓性容器に対しての粘着性が高いが、前記可撓性容器と前記グミゼリーとの界面に蜜ろう及び中鎖脂肪酸を塗布することによって、前記可撓性容器からより容易に剥離することが可能になる。
【0033】
前記蜜ろう及び前記中鎖脂肪酸としては、食品成分として使用できるものであれば特に限定はない。
例えば、中鎖脂肪酸としては、炭素数5~12の直鎖又は分岐の飽和脂肪酸を構成成分とするトリグリセリドを用いることができる。前記飽和脂肪酸としては、例えば、ペンタン酸(別称:吉草酸、炭素数5)、ヘキサン酸(カプロン酸、炭素数6)、ヘプタン酸(エナント酸、炭素数7)、オクタン酸(カプリル酸、炭素数8)、ノナン酸(ペラルゴン酸、炭素数9)、デカン酸(カプリン酸、炭素数10)、ドデカン酸(ラウリン酸、炭素数11)、テトラデカン酸(ミリスチン酸、炭素数12)を挙げることができる。トリグリセリドの構成成分である飽和脂肪酸の種類は、同一のものでもよいし、相違したものでもよい。
【0034】
前記層は、前記グミゼリーが前記可撓性容器に過度に粘着しない程度に可撓性容器の表面に形成されていればよい。前記層の厚みについては、0.1mm以下であればよく、特に限定はない。
【0035】
本発明の可撓性容器入りグミゼリーは、例えば、以下のようにして製造することができる。
すなわち、糖質と水とを含有するキャンディベースに、ゼラチンを添加してグミベースを調製し、前記任意成分を添加し、所定の水分値に調整されたグミ液を得る。その後、得られたグミ液を可撓性容器に流し込み、室温まで冷却し、可撓性容器の開口部(天面)にフィルムを熱圧着して密封し、常温(15~25℃)で数日間静置させて得られる。
前記グミ液は、一般的なグミと同様に各成分を添加、混合して製造すればよく、成分の添加の順番等については特に限定はない。
また、前記可撓性容器に流し込む際のグミ液の水分値は、所定の荷重を有するグミゼリーを作製し易い観点から、15~30%になるように調整していることが好ましい。
【0036】
また、前記可撓性容器と前記グミゼリーとの界面に蜜ろう及び中鎖脂肪酸を含む層は、例えば、前記可撓性容器の表面に、蜜ろうと中鎖脂肪酸との混合液を塗布した後、前記グミ液を流し込むことで、形成することができる。
【0037】
以上のようにして得られた本発明の可撓性容器入りグミゼリーは、テーパー角度の小さい可撓性容器であっても容易に容器から取り出せ、咀嚼測定検査等の医療用のグミ剤としても適したものとなる。
【実施例0038】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。
【0039】
(実施例1)
糖質を水に加熱溶解し、そこに、ゼラチンを60℃の水にあらかじめ溶かしておいたものを添加し、混合した。さらに酸味料、着色料、香料を混合し、最終的に所定の水分値に調整したグミ液を、蜜ろうと中鎖脂肪酸(ココナードMT、花王株式会社製)を6:94の重量比で混合した液を0.01g程度塗布しておいた可撓性容器(両側面を5mm圧縮した際の荷重が1.20kgの可撓性を有するポリプロピレン製容器、開口部が20mm×20mmの正方形、高さ11mm、テーパー角度9°の略四角柱形状)に流し込んで、天面をシール材でヒートシールにて密封し、20℃で2週間冷まし、1粒5.5gの可撓性容器入りグミゼリーを得た。
【0040】
(実施例2~4、比較例1~3)
表1に示す組成とした以外は、実施例1と同様に可撓性容器入りグミゼリーを作製した。実施例3については、水分値18%の液を容器に流し込み、ヒートシールで密封する前に40℃で所望の水分値になるまで乾燥させた後に密封した。
【0041】
<圧縮試験>
実施例1~4及び比較例1~3で得られた各可撓性容器入りグミゼリーについて、可撓性容器から取り出した後にテクスチャーアナライザー(Stable Micro Systems社製「Texture Analyzer TA.XT.plus」)を用い、下記条件で測定した。
[試験条件]
プローブ:直径5mmの球形プローブ
測定速度:1mm/秒
圧縮距離:5mm
測定温度:20℃
[グミゼリーを5mm圧縮した時の荷重]をA、[グミゼリーを5mm圧縮した状態を10秒維持した後の荷重]をBとし、[A]および[B/A]の値を表1に示す。
【0042】
【0043】
<取り出しやすさの評価>
実施例1~4及び比較例1~3で得られた各可撓性容器入りグミゼリーについて、可撓性容器のテーパーがついた両側面から5mm圧縮し、その際に可撓性容器開口部より上に押し出されるグミゼリー部分がグミゼリー全体の何%であるかを目視により判定した。
なお、評価については、「〇」を「取り出しやすい」、「△」を「取り出しにくい、取り出せない」として評価した。結果を表1に示す。また、評価は、3人のパネラーの合議制とした。
【0044】
表1に示す結果の通り、実施例1~4及び比較例3は30~70%が容器開口部より上に押し出されていたが、比較例1、2についてはうまく押し出されなかった。
【0045】
<食感評価>
実施例1~4及び比較例1~3で得られた各可撓性容器入りグミゼリーについて、食感を評価した。
具体的な方法としては、各グミゼリーを口に入れ、30回咀嚼後吐き出して、咬断片を目視で確認した。
なお、「〇」を「安定した噛み心地」、「△」を「噛み切りづらい、噛み心地が一定ではない、口の中で一部の咬断片が溶けやすい」として評価した。結果を表1に示す。また、評価は、3人のパネラーの合議制とした。
【0046】
表1に示す結果の通り、実施例1~4及び比較例3は、咀嚼回数に応じた一定数の咬断片が得られたが、比較例2については、弾力が強すぎて咬断片の大きさにばらつきがあったり、一部が溶けてしまって咬断片の数が少なかったりと、安定した噛み心地が持続しない食感であり、咀嚼能力測定用グミ剤としては適さないものであった。これらの結果から、Aは小さすぎると咬断片が溶けたり飲み込んでしまったりしやすく、Aが大きすぎるもしくはB/Aが大きすぎると噛み切りづらく、安定した咬断片が得られず、これらはいずれも咀嚼能力を正確に測定するのに適さないものである。
【0047】
(比較例4)
可撓性容器として、テーパー角度が1°のストレート型容器を用意した以外は、実施例1と同様にして可撓性容器入りグミゼリーを作製した。
【0048】
(比較例5)
可撓性容器として、テーパー角度が20°のテーパー型容器を用意した以外は、実施例1と同様にして可撓性容器入りグミゼリーを作製した。
【0049】
比較例4、5の可撓性容器入りグミゼリーについて、取り出しやすさを評価したところ、比較例4では指で押しても容器から取り出せず、比較例5については、テーパー角の大きいグミゼリーであり、噛む場所によって食感が異なるため、咀嚼能力測定用グミ剤としては適さないものであった。