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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052735
(43)【公開日】2024-04-12
(54)【発明の名称】飲料抽出具
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/18 20060101AFI20240405BHJP
   A47J 31/38 20060101ALN20240405BHJP
【FI】
A47J31/18
A47J31/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159175
(22)【出願日】2022-10-02
(71)【出願人】
【識別番号】599074257
【氏名又は名称】オアシス珈琲有限会社
(71)【出願人】
【識別番号】510184885
【氏名又は名称】石川 博美
(74)【代理人】
【識別番号】100082636
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 修治
(72)【発明者】
【氏名】石川 高信
(72)【発明者】
【氏名】石川 博美
【テーマコード(参考)】
4B104
【Fターム(参考)】
4B104AA10
4B104BA43
4B104BA90
4B104EA29
(57)【要約】
【課題】 簡単な構成で安価に構成でき、小型化を実現でき、ティーバッグより、効率よく且つ美味な抽出液が得られる飲料抽出具を提供することにある。
【解決手段】 飲料抽出具3は、マグカップ1の底部1a内壁に余裕をもって嵌入し得る内径を有する薄板状のディスク部3aと、ディスク部3aの外周縁の一個所に連接されて片持ち状態でディスク部3aを支持するリンク部3bと、リンク部3bの上方に連接された把手部3cとから構成される。飲料抽出具3のリンク部3bをマグカップ1の内壁に沿わせるように下降させ、ディスク部3aが、予めマグカップ1の底部に置かれたティーバッグ上に当接されたとき、把手部3cがマグカップ1の上部側方に位置付けられるように形成されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内にティーバッグと水または熱湯を加えた状態で前記容器内にエキスを抽出させる飲料抽出具において、前記容器の底部内壁に余裕をもって嵌入し得る直径を有する薄板状のディスク部と、前記ディスク部の外周縁の一個所に略垂直に連設され、前記ディスク部を片持ち状態で支持する細長いリンク部と、前記リンク部の上方に延長し且つ上端側にて下方に曲回されてなる把手部とからなり、
前記飲料抽出具の前記リンク部を前記容器の内壁に沿わせるように下降させ前記ディスク部が前記ティーバッグ上に当接されたとき、前記把手部が前記容器の上部側方に位置付けられるように構成したことを特徴とする飲料抽出具。
【請求項2】
前記ティーバッグは、紅茶、緑茶、ウーロン茶、中国茶等の茶葉あるいはコーヒーの粉末等が不織布の袋に封入されてなるものを含み、これらの中から1つを選択して用いることを特徴とする請求項1に記載の飲料抽出具。
【請求項3】
前記容器とは、マグカップ、グラスコップ、タンブラー、ピッチャー、急須を含み、これらの中から1つを選択して用いることを特徴とする請求項1に記載の飲料抽出具。
【請求項4】
前記ディスク部は、前記容器の種類、サイズ、形状に対応した異なる直径のものを複数種類用意しておくことを特徴とする請求項2に記載の飲料抽出具。
【請求項5】
前記リンク部は、前記容器の種類、サイズ、形状に適応可能な長さのものを複数種類用意しておくことを特徴とする請求項1に記載の飲料抽出具。
【請求項6】
前記把手部は、前記容器の底部に置かれた前記ティーバッグに前記ディスク部が当接した状態のとき、前記把手部で前記容器の上部を弾力的に挟持し、当該状態を維持し得るような弾性部材を用いて構成したことを特徴とする請求項1に記載の飲料抽出具。
【請求項7】
前記把手部は、前記ディスク部が前記容器の中間部にあるとき、前記把手部で前記容器を弾力的に挟持し、当該状態を維持し得るように構成したことを特徴とする請求項1に記載の飲料抽出具。
【請求項8】
前記ディスク部は、多数の小円孔、格子状の小孔が上面から下面にかけて穿設されていることを特徴とする請求項1に記載の飲料抽出具。
【請求項9】
前記把手部には、複数のくびれ部が形成され、当該くびれ部において、曲回が容易となるような可撓性を有する金属で構成したことを特徴とする請求項6に記載の飲料抽出具。
【請求項10】
前記容器は、急須であって、急須の蓋の一部に前記リンク部が挿通する切り欠きまたは貫通孔が形成され、前記リンク部には、前記ディスクが底部に置かれて前記ティーバッグの上面に当接する位置と、前記ティーバッグが前記急須の中間に相当する位置で前記リンク部がそれぞれの位置に臨んだ状態で、前記リンク部に形成した切り欠きが前記蓋の前記切り欠きまたは貫通孔に掛止するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の飲料抽出具。
【請求項11】
前記ティーバッグが前記容器の底部に、その上方に前記飲料抽出具の前記ディスクがセットされ、さらに水または熱湯が注がれた状態で、前記把手部を上下に揺動して前記ディスクをスイングさせることで、前記ティーバッグのエキスの抽出を促進させ、前記把手部を押し下げて前記ディスク部で、前記ティーバッグを押圧することで、前記ティーバッグからのエキスの抽出を抑制乃至は停止させ得るように構成したことを特徴とする請求項1に記載の飲料抽出具。
【請求項12】
前記飲料抽出具の前記ディスクおよび前記リンク部が前記容器にセットされたまま、前記ティーバッグのエキスが抽出された前記容器内の飲料を直接飲用し得るように構成したことを特徴とする請求項1に記載の飲料抽出具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内にティーバッグと水または熱湯を加えた状態で容器内にエキスを抽出させる飲料抽出具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コーヒー粉末と熱湯を円筒に入れて、その上からコーヒー液を抽出するために、フィルターを底部に備えたプランジャを押し棒(プレス棒)をもって、手動的に加圧するように構成されたものがある(特許文献1、2)。即ち、このうち、特許文献1には、ガラス容器の開口部に、キャップが嵌合され、そのキャップの中心部に押し棒が挿通されると共に、該押し棒の下端部には、可撓性樹脂製のストレインプレートと、ガラス容器の内径よりも大径で可撓性材よりなる濾過網が固定された濾過板とがナットなどにより着脱自在に固定されてなるコーヒー抽出器が開示されている。
また、上記特許文献2には、金属製保持枠に格納された円筒状ガラス容器に、フィルター付きのプランジャが嵌入され、押し棒の下端が連結された当該プランジャは、蓋体の中心部に穿設された案内部材により案内される押し棒によって、底部にあるコーヒー粉を押圧するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭52-51782号公報
【特許文献2】実開平6-48536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
第1に、上記特許文献1および2に記載のコーヒー抽出器は、プランジャを押し棒によって、押し下げ操作ができるように案内機構として、ガラス容器の開口部に嵌合されるキャップの中心部に貫通孔を穿設し、その貫通孔に押し棒が挿通される構成と、押し棒とプランジャとを連結する構成が必要であり、構成の複雑化による生産コストが上昇する、という難点がある。
第2に、蓋と押し棒とプランジャが一体的に連結されているため、その取り付け、取り外しが面倒であり、仮に、押し棒やプランジャがセットされた状態で、抽出された飲料液を当該容器をもって、直接飲用することは困難乃至は不可能であり、注出口より適宜の容器に移して、飲用するしかなく、使い勝手が、限定的である。
第3に、第1、第2のいずれの特許文献も、ティーバッグを対象とするものではなく、コーヒーや紅茶の粉末を対象としているため、抽出方法が全く異なり、従って、解決すべき課題が異なるものである。
第4に、使用される容器としては、その構造上、円筒形状のものに限定され、その適用範囲が狭い、という課題がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなれたもので、その第1の目的は、簡単な構成で、安価に構成でき、小型化を併せて実現し得る飲料抽出具を提供することにある。
第2の目的は、飲用抽出具の容器への着脱が容易で、しかもティーバッグからエキスが抽出された飲料液を抽出具を容器にセットした状態でも飲用可能な飲料抽出具を提供することにある。
さらに、第3の目的は、ティーバッグを対象として、ティーバッグ内の紅茶、緑茶、中国茶等の茶葉あるいはコーヒーの粉末のエキスを、効率よく抽出でき、しかも茶葉やコーヒー粉末から雑味を抑制することが可能な飲料抽出具を提供することにある。
さらに、第4の目的は、使用対象となる容器としては、円筒形状のものに限らず、断面が逆円錐台形状のものや中太の壺形のピッチャーや急須等、極めて適用範囲の広い飲料抽出具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明に係る飲料抽出具は、上記第1~第4の目的を達成するために、
容器内にティーバッグと水または熱湯を加えた状態で前記容器内にエキスを抽出させる飲料抽出具において、前記容器の底部内壁に余裕をもって嵌入し得る直径を有する薄板状のディスク部と、前記ディスク部の外周縁の一個所に略垂直に連設され、前記ディスク部を片持ち状態で支持する細長いリンク部と、前記リンク部の上方に延長し且つ上端側にて下方に曲回されてなる把手部とからなり、
前記飲料抽出具の前記リンク部を前記容器の内壁に沿わせるように下降させ前記ディスク部が前記ティーバッグ上に当接されたとき、前記把手部が前記容器の上部側方に位置付けられるように構成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、
容器内にティーバッグと水または熱湯を加えた状態で前記容器内にエキスを抽出させる飲料抽出具において、前記容器の底部内壁に余裕をもって嵌入し得る直径を有する薄板状のディスク部と、前記ディスク部の外周縁の一個所に略垂直に連設され、前記ディスク部を片持ち状態で支持する細長いリンク部と、前記リンク部の上方に延長し且つ上端側にて下方に曲回されてなる把手部とからなり、
前記飲料抽出具の前記リンク部を前記容器の内壁に沿わせるように下降させ前記ディスク部が前記ティーバッグ上に当接されたとき、前記把手部が前記容器の上部側方に位置付けられるように構成したことにより、第1に、構成が簡素で、小型化を実現できると共にコストを低減化し得る飲料抽出具を提供することができ、
第2に、飲料抽出具の容器への着脱が容易であり、しかもティーバッグからエキスが抽出された飲料液を、飲料抽出具を容器にセットした状態でも飲用可能な使い勝手のよい飲料抽出具を提供することができ、
第3に、ティーバッグを対象として、ティーバッグ内の紅茶、緑茶、中国茶等の茶葉あるいはコーヒーの粉末のエキスを、効率よく抽出でき、しかも茶葉やコーヒー粉末から雑味を抑制することが可能な飲料抽出具を提供することができ、
第4に、使用対象となる容器としては、円筒形状のものに限らず、断面形状が、逆円錐台形状のものや、壺形のピッチャーや急須等のうちから、既存の容器を適宜選択可能であり、極めて適用範囲が広く使い勝手のよい飲料抽出具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る飲料抽出具の使用状態を一部破断して示す部分断面斜視図である。
図2】本発明の第2の実施の形態に係る飲料抽出具の構成を示す斜視図である。
図3】本発明の第3の実施の形態に係る飲料抽出具のディスク部を容器内のティーバッグの上に置いた状態を示す正面図である。
図4】本発明の第3の実施の形態に係る飲料抽出具のディスク部を容器内の中間付近で、上下にスイングする状態を示す正面図である。
図5図4の状態から第3の実施の形態に係る飲料抽出具の全体を下方に降ろし、ディスク部でティーバッグを押し潰すように圧力をかけた状態を示す正面図である。
図6】本発明の第4の実施の形態に係る飲料抽出具のディスク部が容器の中間付近に位置させ且つ上下にスイングさせて、ティーバッグ内部の茶葉等のエキスの抽出を促進させる状態を示す斜視図である。
図7】本発明の第5の実施の形態に係る飲料抽出具の全体を上下し、ディスク部が容器の中間付近でスイングさせている状態を示す斜視図である。
図8】本発明の各実施の形態に適用可能なディスク部とリンク部と把手部が一体に形成され、曲げ加工前の展開状態の正面図である。
図9】本発明の各実施の形態に係る飲料抽出具に共通のディスク部の構成を示すもので、このうち、(a)は、格子状パターンの小孔が開いたディスク部の平面図、(b)は、同心円状に小孔が多数開けられたディスク部の平面図、(c)は、穴の開いていないディスク部の平面図である。
図10】本発明の第6の実施の形態に係る飲料抽出具の構成を示すもので、(a)は、容器が急須である場合の飲料抽出具の適用例を示すもので、(b)は、周縁の一部に切り欠き加工が施された状態の急須の蓋の構成を示す平面図である。
図11】本発明の第6の実施の形態に適用可能な飲料抽出具の加工前の状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施の形態を通じて、本発明を説明するが、以下の実施の形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また、実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0010】
〔第1の実施の形態〕
次に、本発明に係る飲料抽出具の実施の形態について、説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る飲料抽出具の使用状態を容器の一部を破断して示す部分断面斜視図である。
この第1の実施に係る容器の例は、マグカップである。
マグカップ1は、断面逆円錐台状を呈し、底部1aの直径より上端部1bの直径の方が大きく、且つ側面に把手1cが一体に形成されている。
このマグカップ1の底部1aの内壁に、余裕をもって嵌入し得る直径の薄板状のディスク部3aと、このディスク部3aの外周縁の一個所に略垂直に連設され、ディスク部3aを片持ち状態で支持するリンク部3bと、上記リンク部3bの上方に延長し且つマグカップ1の上端部1bを超えるあたりから側方に円弧状に曲げられ、さらに下方に延びその先が上方に円弧状に折り返すように曲げて、図に示すような把手部1cが形成される。
【0011】
このように構成された飲料抽出具3を、ティーバッグと熱湯が入っているマグカップ1の中に嵌入して上下に揺動すると、ディスク部3aがマグカップ1の内部をスイングして、抽出を促進させることができる。
抽出した後に、飲料抽出具3全体を押し下げティーバッグ2を強く押し付けると、エキスの抽出が停止される。このように、マグカップ1の把手部1cを持って、スイングさせることにより美味しく旨味のある抽出液を直接飲用することができる。
抽出の一旦終わったティーバッグ2をディスク部3aで押さえておくことで、抽出が止まるので、ティーバッグ2のエキスを再び抽出するときは、上述したと同様に、飲料抽出具3の把手部3cを持って上に引き上げ、さらにマグカップ1の中間部でディスク部3aを上下方向にスイングさせれば、再びエキスを抽出し、美味しく飲むことができる。
【0012】
この抽出回数は、ティーバッグ2に内包された茶葉や粉末等の種類にもよるが、例えば粉末コーヒーの場合、2回まで抽出可能で、さらに、煎茶の場合、3回、緑茶の場合も3回まで抽出が可能である。
また、エキスの美味さ、旨味は、お湯の温度、上下のスイング回数等で異なるので、抽出された液の色味を見ながら、その調整をできることが利点である。
また、ティーバッグ2と水をマグカップ1に入れた水出しを行う場合も、短時間で旨味を抽出することもできる、という利点がある。
例えば、緑茶は、従来、8時間かかっていた水出しが10分でできるようになり、また、紅茶も茶葉の大きさで1時間で抽出でき、さらに、コーヒーも1時間で抽出し得ることも、実験により確認することができた。
このように、一旦抽出したティーバッグ2でも、抽出後、ディスク部3aで押圧したままの状態を保った後、2回目以降は、ディスク部3aを上方に逃し、さらにスイングを繰り返すことで、2度目~3度目も繰り返し、残りの旨味を抽出することができる。
【0013】
〔第2の実施の形態〕
次に、図2を用いて、第2の実施の形態について説明する。
図2は、本発明の第2の実施の形態に係る飲料抽出具の構成を示す斜視図である。
この本発明の第2の実施の形態においては、容器として、グラスコップ11を用いている。
このグラスコップ11は、底部11aと、上端部11bが同じ直径の円筒状に形成されている点で、上記の図1のマグカップ1と異なるだけで、発明の作用効果としても、第1の実施の形態のマグカップを用いた場合と同様である。
【0014】
ただ、図1に示すマグカップ1は、陶器製のものが一般であり、図2のグラスコップ11は、ガラス製のものである点で異なるのみである。
従って、図2に示す飲料抽出具13も、グラスコップ11の底部11aにディスク部13aが位置付けられ、それに連接するリンク部13bが、グラスコップ11の内壁面に接するように上方に延び、グラスコップ11の上端部11bを過ぎた辺りから、把手部11cが逆S字状に曲げられている。
【0015】
〔第3の実施の形態〕
図3図5を用いて、第3の実施の形態に係る飲料抽出具について説明する。
図3図5に係る飲料抽出具23は、把手部23cの構成、作用効果が第1、第2の実施の形態と異なっている。
【0016】
即ち、図3図5において、把手部23cは、下端でディスク部23aと接合され、または一体化され、グラスコップ21の上端部21bのやや上方までグラスコップ21の内壁面に沿う(当接する)ようにして伸びその先が外方に円弧状に曲げられ、さらに下方に向かって伸び、その先がグラスコップ21の側壁面に強く圧接されるように曲げられ、さらに上方にU字状に曲げられてなる点に特徴がある。
即ち、少なくとも、この飲料抽出具23のリンク部23bおよび把手部23cは、ばね鋼が用いられ、予め、図示のような形状に成形し、それから830~860℃で油焼き入れし、450~540℃で焼き戻し、トルースタイトないしソルバイト組織にして、バネ特性を持つ、把手部23cが完成する。
【0017】
このようにしてバネ性を付与された少なくともリンク部23bと把手部23cを用いることにより、次のような効果が得られる。
即ち、ティーバッグ2が入れられたグラスコップ21の上方から飲料抽出具23全体を手で持って下方に下ろし、ディスク部23aがティーバッグ2の上方に若干、余裕を持たせた位置まで下ろし、手を把手部23cから離しても、当該位置を保持させることができる。
これは、上述したように、少なくともリンク部23bと把手部23cが、ばね鋼を加工してなるので、ばね性によって把手部23cがリンク部23bに弾性力をもって強く圧接するように構成してあるため、容器(グラスコップ21)に差し込むと、リンク部23bと把手部23cでグラスコップ21を圧接し、圧接による摩擦力によって、所望の位置に係止保持されるのである。
例えば、図5に示すように、グラスコップ21内の底部に入れられた、ティーバッグ2をディスク部23aで強く押圧した位置に保持することができる。
【0018】
次いで、ディスク部23aがティーバッグ2の上方位置まで手で下ろし、把手部23cとグラスコップ21との間の摩擦力をもって停止させる。
その状態で、水または熱湯をグラスコップ21内に注ぐ。
その後、図4に示すように、把手部23cを指先で挟んで、ディスク部23aがグラスコップ21の中間辺りまで上昇させ、且つ上下方向にスイングする。
すると、ティーバッグ2からのエキスの抽出が促進される。
その後、図5に示すように、ディスク部23aを把手部23cを持って押し下げ、ティーバッグ2を圧接させた位置で、リンク部23bと把手部23cとの間のバネ力で当該位置を保持させる。
このようにすることで、ティーバッグ2からエキスの抽出を阻止することができると共に、渋みを止めることもできる。
上述したような構成とすることで、一回目に抽出した後に、ディスク部23aでティーバッグ2を押圧して抽出を止めているので、2煎目や3煎目でも残りの旨味を抽出することができる。
【0019】
〔第4の実施の形態〕
図6は、本発明の第4の実施の形態に係る飲料抽出具の使用状態を示す斜視図である この第4の実施の形態における容器は、タンブラーである。
タンブラーは、底部31aの直径より上端部31bの直径がやや大きく、高さ寸法が、グラスコップに比べ高い形状となっており、さらには、上端部31bには、図示省略のキャップと螺合する雄ねじ部が形成されている。
この実施の形態においても飲料抽出具33は、ディスク部33aと、リンク部33bと把手部33cとからなり、図6においては、ディスク部33aがタンブラー31の中間辺りで、スイング動作をしている状態を示している。
尚、この図6においてタンブラー31は、透明でないものもあるが、作図の便宜上、タンブラー31の部分を透かして画いているものとする。
【0020】
〔第5の実施の形態〕
図7は、第5の実施の形態に係る飲料抽出具を容器としてのピッチャーに適用した例を示す斜視図である。
このピッチャー41は、公知のものであり、中間部が膨出し、上端部41b近傍がくびれて成るもので、把手部41cを有し、上端部が注ぎ口となっている。
また、飲料抽出具43も、既述したところと同様に、ディスク部43aと、リンク部43bと、把手部43cとが一体的に連結してなる。
ただ、把手部43cが、図6の把手部33cと同様、上端で逆U字状に曲げられている点が、図1図5に示す把手部と異なっている。
【0021】
図8は、本発明の各実施の形態に適用可能な飲料抽出具の加工前の状態を示す正面図である。
図8においては、図1の飲料抽出具3に適用するものとして、ディスク部3a、リンク部3b、把手部3cは、一体に成形されてなり、特にリンク部3bと把手部3cにかけて、くびれ部d1、d2、d3が形成されている。
このくびれ部d1は、リンク部3bの上端付近で外側に向かい、さらに下側に向かう円弧を描くように曲げ易くなり、また、くびれ部d2では、上から下って、外側に円弧状に曲げ易くなり、くびれ部d3では、横から上方に向けて円弧状に曲げ易くなる、という便宜さがある。
【0022】
図9は、飲料抽出具のうちの、ディスク部の実施の形態を示すものである。
このうち、(a)に示すものは、格子状に形成して無数の孔が形成されたディスク部3a1であり、(b)に示すものは、複数の同心円上に無数の孔を形成してなるディスク部3a2であり、共に上面から下面に向かう貫通孔が形成されている。
尚、図9(c)に示すディスク3a3は、何ら孔は形成されていないが、容器の底部の内径に対し、幾分小さく形成されるものとする。
即ち、ティーバッグの抽出液が容器内で対流し得る間隙を有すればよい。
【0023】
〔第6の実施の形態〕
図10は、本発明の第6の実施の形態に係る飲料抽出具の構成を示す斜視図である。
図10には、容器の一例としての急須51が示されている。
この急須51は、底部51aに輪郭状に突起した台座があり、中間付近は、大きく膨出し、上端部51bには、開口が設けられ、その開口には、蓋51dが装着されている点で異なっている。
一方、図10(a)には、ディスク部53aとリンク部53bと把手部53cとからなる飲料抽出具53が、急須51内にセットされている。
この図10に示す急須51と、公知の急須とは、蓋51dに切り欠き部51eが形成されている点のみ異なっている。
【0024】
また、飲料抽出具53について、他の例には存在しないこととして、図11に示すように、リンク部53bに、切欠部51eが存在する点である。
即ち、図10に示すように、急須51の内部の中間位置辺りで、ディスク53aが一定位置を保持させるため、次のように構成した。
即ち、リンク部53bに形成された切り欠き部53eが、急須51の蓋51dに形成した切り欠き部53eに係合して、リンク部53bの高さ位置を、一定に保持する機能を持たせている。
尚、図10図11において、リンク部53bに切り欠き部53eを1つ形成した例を示したが、複数、例えば、2個形成するようにしてもよい。
即ち、例えば、エキスの抽出を停止させた状態にするために、ディスク53aがティーバッグ2を強く押しつぶした位置を保持するように、リンク部53cの切り欠きを、蓋51dの切り欠き部51eと係合するように設定すればよい。
【0025】
また、リンク部53bに、切り欠きを設けないこともできる。
尚、飲料抽出具の材質としては、軟鋼やアルミ合金が低価格であるが、錆に強くステンレス製のものが好適である。
また、合成樹脂でもよいが、把手部を変形させようとする塑性変形をしてしまい、元の形に戻らないので、適当ではない。
また、例えば、リンク部や把手部においては、竹製のものを試作してみたところ、和風という点で急須用としては、好適である。
以上、いくつかの実施の形態において、本発明の飲料抽出具について説明してきたが、以下に本発明が発揮し得る効果について付言する。
第1に、構成が簡単で、小形に形成でき、この種、従来のものに比し、極めて低コストな飲料抽出具を提供することができる。
【0026】
第2に、飲料抽出具の容器への着脱が容易であり、しかも、飲料抽出具が容器の片側にのみ偏して位置付けられているので、飲料抽出具を容器にセット(装着)した状態でも飲用可能な使い勝手のよい飲料抽出具を提供することができる。
第3に、ティーバッグ内の紅茶、緑茶、中国茶あるいはコーヒーの粉末のエキスを、ディスクの揺動によりジャンピングして効率よく抽出できるのみならず、茶葉やコーヒーの粉から雑味や渋味を抑制することができ、併せて1回に限らず、2回目、3回目と美味な抽出液を飲用することができる。
第4に、使用対象となる容器としては、円筒形状のものに限らず、断面形状が、逆円錐台形状のものや、壺形のピッチャーや急須等のうちから、既存の容器を適宜選択可能であり、極めて適用範囲が広く使い勝手のよい飲料抽出具を提供することができる。
【0027】
上述した本発明に係る飲料抽出具について、その要旨とするところを整理すると、以下の通りである。
先ず、本発明の飲料抽出具は、容器内にティーバッグと水または熱湯を加えた状態で前記容器内にエキスを抽出させる飲料抽出具において、前記容器の底部内壁に余裕をもって嵌入し得る直径を有する薄板状のディスク部と、前記ディスク部の外周縁の一個所に略垂直に連設され、前記ディスク部を片持ち状態で支持する細長いリンク部と、前記リンク部の上方に延長し且つ上端側にて下方に曲回されてなる把手部とからなり、
前記飲料抽出具の前記リンク部を前記容器の内壁に沿わせるように下降させ前記ディスク部が前記ティーバッグ上に当接されたとき、前記把手部が前記容器の上部側方に位置付けられるように構成したことを特徴としている(請求項1に対応する)。
【0028】
また、本発明の飲料抽出具においては、前記ティーバッグは、紅茶、緑茶、ウーロン茶、中国茶等の茶葉あるいはコーヒーの粉末等が不織布の袋に封入されてなるものを含み、これらの中から1つを選択して用いることを特徴としている(請求項2に対応する)。
また、本発明の飲料抽出具における容器は、マグカップ、グラスコップ、タンブラー、ピッチャー、急須を含み、これらの中から1つを選択して用いることを特徴としている
(請求項3に対応する)。
また、本発明の飲料抽出具のディスク部は、前記容器の種類、サイズ、形状に対応した異なる直径のものを複数種類用意しておくことを特徴としている(請求項4に対応する)。
【0029】
また、本発明の飲料抽出具のリンク部は、前記容器の種類、サイズ、形状に適応可能な長さのものを複数種類用意しておくことを特徴としている(請求項5に対応する)。
また、本発明の飲料抽出具の把手部は、前記容器の底部に置かれた前記ティーバッグに前記ディスク部が当接した状態のとき、前記把手部で前記容器の上部を弾力的に挟持し、当該状態を維持し得るような弾性部材を用いて構成したことを特徴としている(請求項6に対応する)。
また、本発明の飲料抽出具の把手部は、前記ディスク部が前記容器の中間部にあるとき、前記把手部で前記容器を弾力的に挟持し、当該状態を維持し得るように構成したことを特徴としている(請求項7に対応する)。
また、本発明の飲料抽出具のディスク部は、多数の小円孔、格子状の小孔が上面から下面にかけて穿設されていることを特徴としている(請求項8に対応する)。
また、本発明の飲料抽出具の前記把手部には、複数のくびれ部が形成され、当該くびれ部において、曲回が容易となるような可撓性を有する金属で構成したことを特徴としている(請求項9に対応する)。
【0030】
また、本発明の飲料抽出具における容器は、急須であって、急須の蓋の一部に前記リンク部が挿通する切り欠きまたは貫通孔が形成され、前記リンク部には、前記ディスクが底部に置かれて前記ティーバッグの上面に当接する位置と、前記ティーバッグが前記急須の中間に相当する位置で前記リンク部がそれぞれの位置に臨んだ状態で、前記リンク部に形成した切り欠きが前記蓋の前記切り欠きまたは貫通孔に掛止するように構成したことを特徴としている(請求項10に対応する)。
また、本発明の飲料抽出具は、前記ティーバッグが前記容器の底部に、その上方に前記飲料抽出具の前記ディスクがセットされ、さらに水または熱湯が注がれた状態で、前記把手部を上下に揺動して前記ディスクをスイングさせることで、前記ティーバッグのエキスの抽出を促進させ、前記把手部を押し下げて前記ディスク部で、前記ティーバッグを押圧することで、前記ティーバッグからのエキスの抽出を抑制乃至は停止させ得るように構成したことを特徴としている(請求項11に対応する)。
また、本発明の飲料抽出具は、前記飲料抽出具の前記ディスクおよび前記リンク部が前記容器にセットされたまま、前記ティーバッグのエキスが抽出された前記容器内の飲料を直接飲用し得るように構成したことを特徴としている(請求項12に対応する)。
【符号の説明】
【0031】
1 マグカップ
2 ティーバッグ
3、13、23、33、43、53 飲料抽出具
3a、13a、23a、33a、43a、53a ディスク部
3b、13b、23b、33b、43b、53b リンク部
3c、13c、23c、33c、43c、53c 把手部
11、21 グラスコップ
31 タンブラー
41 ピッチャー
51 急須
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11