(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052738
(43)【公開日】2024-04-12
(54)【発明の名称】組織生存度の測定
(51)【国際特許分類】
A61B 5/0537 20210101AFI20240405BHJP
【FI】
A61B5/0537 210
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023204881
(22)【出願日】2023-12-04
(62)【分割の表示】P 2022007322の分割
【原出願日】2018-02-02
(31)【優先権主張番号】62/454,487
(32)【優先日】2017-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/521,926
(32)【優先日】2017-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521023791
【氏名又は名称】ビービーアイ、メディカル、イノベーションズ、リミテッド、ライアビリティー、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BBI MEDICAL INNOVATIONS, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(72)【発明者】
【氏名】マーティン、エフ.バーンズ
(72)【発明者】
【氏名】サラ、バーリントン
(72)【発明者】
【氏名】グラハム、オー.ロス
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA06
4C127GG15
4C127HH13
4C127LL02
4C127LL04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】組織生存度の指標としての表皮下含水量を測定して、生存不可能組織の境界の位置に関する情報を提供するための装置および方法を提供する。
【解決手段】創傷を含む組織の領域にわたって配置されるよう構成された基材の上に包埋された複数の電極の組み合わせが、複数の仮想静電容量センサを形成することができ、仮想静電容量センサの各々が、個々の仮想静電容量センサに近接した組織の領域の静電容量を測定するよう構成された、創傷の周りの損傷領域をマッピングするための装置。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
創傷の周りの損傷の領域をマッピングするための装置であって、
前記創傷を含む組織の領域の一部にわたって配置されるよう構成された基材の上に包埋された複数の電極であって、前記複数の電極の組み合わせが、複数の仮想静電容量センサを形成することができ、前記仮想静電容量センサの各々が、前記複数の電極の2つ以上の電極を含み、前記仮想静電容量センサのそれぞれに近接した組織の領域の静電容量を測定するよう構成された、複数の電極と、
前記創傷を含む前記組織の領域上へと目視指示計を射影することができるプロジェクターと、
前記複数の電極および前記プロジェクターに電子的に連結された駆動回路と、
前記駆動回路に電子的に連結されたプロセッサと、
前記プロセッサに電子的に連結され、前記プロセッサで実行されるときに、
前記測定された静電容量の1つ以上に関する情報を、前記複数の仮想静電容量センサのサブセットから前記駆動回路を介して受信するステップ、
第1の種類の組織と第2の種類の組織との間の第1の境界を決定するステップ、および
前記プロジェクターに前記目視指示計を射影させて、前記第1の境界を指示するステップ、を実行する、記憶された命令を含む、非一時的なコンピュータ可読媒体と、を備える、装置。
【請求項2】
前記第1の種類の組織が生存可能組織であり、前記第2の種類の組織が生存不可能組織である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の境界が、
前記1つ以上の測定された静電容量の各々を、前記静電容量を測定するために使用される前記仮想静電容量センサの各々と関連する、関連する表皮下含水量(SEM)値に変換することと、
閾値よりも高いSEM値と関連する前記仮想静電容量センサの各々に対応している前記生存可能組織の領域を同定することと、
前記閾値よりも低いSEM値と関連する前記仮想静電容量センサの各々に対応している前記生存不可能組織の領域を同定することと、
前記生存可能組織の領域と前記生存不可能組織の領域との間の前記第1の境界に印をつけることと、によって同定される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記命令が、前記第2の種類の組織と第3の種類の組織との間の第2の境界を決定するステップをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の種類の組織が壊死組織であり、前記第2の種類の組織が、鬱血帯にある組織であり、前記第3の種類の組織が、充血帯にある組織である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第1および第2の境界が、
前記1つ以上の測定された静電容量の各々を、前記静電容量を測定するために使用される前記仮想静電容量センサの各々と関連する、関連する表皮下含水量(SEM)値に変換することと、
第1の閾値よりも低いSEM値と関連する前記仮想静電容量センサの各々に対応している壊死組織の領域を同定することと、
前記壊死組織の外側縁部上の前記第1の境界に印をつけることと、
前記壊死組織と、前記第1の閾値よりも高い、ピークSEM値までのSEM値と関連する前記仮想静電容量センサの各々に対応しており、ピークSEM値と関連する位置を含んでいる組織の領域と、を直接取り囲んでいる組織と、前記ピークSEM値と関連する前記領域と、第2の閾値よりも高いSEM値と関連する前記仮想静電容量センサの各々に対応している領域と、を直接取り囲んでいる組織と、を含む前記鬱血帯を同定することと、
前記鬱血帯の外側縁部上の前記第2の境界に印をつけることと、
前記鬱血帯と、前記第2の閾値よりも低いが前記第1の閾値よりも高いSEM値と関連する前記仮想静電容量センサの各々に対応している組織の領域と、を直接取り囲んでいる組織を含む前記充血帯を同定することと、によって同定される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記複数の仮想静電容量センサの各々は、仮想中心電極と、仮想環電極とを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記基材は、前記組織の領域に前記境界に沿って印をつけることを可能にする複数の孔を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記境界を指示する前記目視指示計は、点、線、色彩の領域、第1の色彩から第2の色彩まで陰影のついた領域、および、ある色彩強度から同じ色彩の異なる強度まで陰影のついた領域からなる群から選択される、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記非一時的なコンピュータ可読媒体はさらに、前記プロセッサで実行されるときに、前記情報を、コンピュータ、タブレット、モバイル装置、およびウェアラブル装置からなる群から選択されるリモート装置に送信するステップを実行する、記憶された命令を含む、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年2月3日出願の米国仮出願第62/454,487号、および2017年6月19日出願の米国仮出願第62/521,926号の優先権の利益を主張し、その各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、熱傷または他の種類の創傷の周りの組織損傷の型および程度を測定するための装置および方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
重篤な創傷および熱傷は、創傷部位を取り囲む様々な程度の損傷の領域を有することがある。有効な処置は、生存不可能組織の除去を必要とすることがあるが、組織生存度を視覚的に評価することは困難である可能性がある。熱傷のような開放創については、創傷のすぐ周辺に生存不可能組織の領域があることがあるのに対し、さらに遠位では、組織はあまり損傷しておらず、「浮腫」として知られる腫脹を特徴とするが、生存可能で回復する可能性が高い。
【0004】
熱傷評価の一般的な方法は、視覚的および触覚的特徴、すなわち、創傷の状態、毛細管の蒼白および再充満、毛細管の染色、ならびに軽度接触およびピン刺激に対する熱傷感覚を査定する。熱傷深度を推定するのは困難である。加えて、熱傷は、動的であり、経時的に進行する可能性があり、その変化は、即時に視覚的に明らかにはならない。
【発明の概要】
【0005】
態様において、本開示は、創傷の周りの損傷領域をマッピングするための装置であって、創傷を含む組織の領域にわたって配置されるよう構成された基材の上に包埋された複数の電極であって、電極の組み合わせが複数の仮想静電容量センサを形成することができ、仮想静電容量センサの各々が、個々の仮想静電容量センサに近接した組織の領域の静電容量を測定するよう構成された、複数の電極と、基材上に包埋された複数の目視指示計と、電極および目視指示計に電子的に連結された駆動回路と、駆動回路に電子的に連結されたプロセッサと、プロセッサに電子的に連結され、プロセッサで実行されるときに、測定された静電容量に関する情報を、複数の仮想静電容量センサのサブセットから、駆動回路を介して受信するステップ、生存可能組織と生存不可能組織との間の境界を決定するステップ、および駆動回路を介して複数の目視指示計の一部を起動して境界を指示するステップ、を実行する、記憶された命令を含んでいる、非一時的なコンピュータ可読媒体と、を備える装置を提供し、これを含む。
【0006】
態様において、本開示は、熱傷深度を決定するための装置であって、一対の電極であって、一対の電極に近接した組織の領域の静電容量を測定するよう構成された静電容量センサを形成することができる、一対の電極と、静電容量センサに電子的に連結された駆動回路と、駆動回路に電子的に連結されたプロセッサと、プロセッサに電子的に連結され、プロセッサで実行されるときに、測定された静電容量に関する情報を、静電容量センサから、駆動回路を介して受信するステップ、当該情報を対の静電容量と熱傷深度とを含むデータアレイと比較するステップ、および測定された静電容量と関連する熱傷深度を決定するステップ、を実行する、記憶された命令を含んでいる非一時的なコンピュータ可読媒体と、を備える装置を提供し、これを含む。
【0007】
態様において、本開示は、創傷の周りの損傷領域をマッピングするための装置であって、創傷を含む組織の領域の一部にわたって配置されるよう構成された基材の上に包埋された複数の電極であって、対の電極が、静電容量センサであって、静電容量センサに近接した組織の領域の静電容量を測定するよう構成された、静電容量センサを形成することができる、複数の電極と、創傷を含む組織の領域上へ目視指示計を射影することができるプロジェクターと、複数の電極およびプロジェクターに電子的に連結された駆動回路と、駆動回路に電子的に連結されたプロセッサと、プロセッサに電子的に連結され、プロセッサで実行されるときに、測定された静電容量に関する情報を、形成された静電容量センサのうちの1つ以上から受信するステップ、第1の種類の組織と第2の種類の組織との間の第1の境界を決定するステップ、およびプロジェクターに目視指示計を射影させて境界を指示するステップを実行する、記憶された命令を含んでいる非一時的なコンピュータ可読媒体と、を備える装置を提供し、これを含む。
【0008】
一態様において、本開示は、創傷の周りの損傷領域をマッピングするための方法であって、複数の電極を用いて創傷を含む組織の領域にわたる静電容量の測定値を得ることと、測定された各静電容量を、関連する表皮下含水量(SEM)値に変換することと、第1の閾値よりも低いSEM値と関連する組織の領域を包含する第1の境界に印をつけることと、を含む方法を提供し、これを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示のいくつかの態様は、添付の図面に関して、例として本明細書で説明されているに過ぎない。次に、具体的に図面を参照すると、示された詳細はほんの一例であって、本開示の態様の例示的な考察のためのものであることが強調される。この点において、単独でかつ一緒に考慮される説明および図面は、本開示の態様がどのように実施され得るのかを当業者に明らかにする。
【0010】
【
図1A】トロイダル生体インピーダンスセンサを開示する。
【
図1B】起動されたときの
図1Aのトロイダルセンサによって創出された理想的な電界マップを開示する。
【
図4A】本開示による、
図3において開示される電極のアレイが、生体インピーダンスセンサを形成するためにどのように構成されるのかに関する第1の例を図示する。
【
図4B】本開示による、
図3において開示される電極のアレイが、生体インピーダンスセンサを形成するためにどのように構成されるのかに関する第2の例を図示する。
【
図5A】開放創を伴う、例となるIII度熱傷を描写する。
【
図6】本開示による、
図5Aの創傷にわたってSEM値がどのように変化し得るのかの例となるプロット600を提供する。
【
図7】本開示によるSEM検知装置の第1の例示的な態様を開示する。
【
図8A】本開示によるSEM検知装置の第2の例示的な態様を開示する。
【
図8B】本開示によるSEM検知装置の第3の例示的な態様を開示する。
【
図9】本開示による損傷の領域をマッピングするための装置の態様を開示する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、細胞間液とも称される細胞外液(ECF)の蓄積または枯渇を示す、種々の電気的特性の測定およびSEM値の導出、ならびに組織生存度の査定へのこの情報の応用を説明する。他の種類の創傷へなおも適用可能な熱傷への適用の例が提供される。これらの例は限定的ではなく、実証される原理は、具体的な例よりも広い範囲の損傷および状態へ適用され得る。例えば、III度熱傷と関連して開示される装置および方法は、開いた傷、壊疽、潰瘍、または他の類似の損傷に対して等しい効能で使用され得る。
【0012】
創傷および熱傷の周りの組織の生存度の査定は、実際の損傷を取り囲む組織におけるSEMの量の決定によって改善されることがある。典型的には、創傷のすぐ周辺にある組織は、SEMのレベルの低下を呈し、より低レベルの組織の生存度を指示するであろう。創傷からさらに外側では、組織は、高レベルの湿潤、または浮腫を呈するであろう。この値は、低水分組織の縁部の周りで非常に高くてもよく、これは、組織が最終的に死滅する高いリスクを伴う高い程度の損傷を示す。SEM値は、創傷からの距離が遠くなるにつれて徐々に減少することがあり、やや上昇したSEMレベルは、組織の生存度の機会がより高い損傷を示す。組織の水分のレベルの低下によって示されるような、生存可能性の低い組織の領域、および浮腫の周辺領域をマッピングすることは、創傷の処置中に臨床医に対して重要な指針を提供することができる。
【0013】
本明細書は、本開示が実施され得るすべての様々な方法、または本開示へ付加され得るすべての特徴の詳細な一覧であることを意図してはいない。例えば、一実施形態に関して例証される特徴は、他の実施形態へと組み込まれ得、特定の実施形態に関して例証される特徴は、当該実施形態から削除され得る。したがって、本開示は、本開示のいくつかの実施形態において、本明細書に記載される何らかの特徴または特徴の組み合わせを除外または省略することができる。加えて、本明細書で示唆される種々の実施形態に対する数多くの変形および付加は、本開示から逸脱しない本開示の観点から、当業者に明らかであろう。他の場合において、周知の構造、インターフェイス、およびプロセスは、本発明を不必要に不明瞭にしないために、詳細に示されてはいない。本明細書のいかなる部分も、本発明の完全な範囲のいかなる部分の否認ももたらすよう解釈されるべきではないことを意図する。したがって、以下の説明は、本開示のいくつかの特定の実施形態を例証するよう意図しており、その並べ替え、組み合わせ、および変形をすべて、網羅的に特定するようには意図していない。
【0014】
別段の定義がない限り、本明細書で使用する技術用語および科学用語はすべて、本開示が属する技術分野の当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。本開示の明細書において使用される用語は、特定の実施形態または態様のみを説明する目的のためのものであり、本開示を限定することを意図しない。
【0015】
本明細書で引用される刊行物、特許出願、特許および他の参考文献はすべて、その参考文献が示される文および/または段落と関連する教示のために、その全体が参照により組み込まれる。本明細書で採用される技術に対する言及は、当業者に明らかであろうそれらの技術の変形、または同等の技術の代替法を含む、当技術分野で通常理解される技術を言及することが意図される。
【0016】
米国特許出願第14/827,375号および第15/134,110号は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0017】
文脈が別段に示さない限り、本明細書で説明される本開示の種々の特徴は、いかなる組み合わせにおいても使用することができることが具体的に意図されている。さらに、本開示は、本開示のいくつかの実施形態において、本明細書に記載されるいかなる特徴または特徴の組み合わせも除外または省略することができることを企図する。
【0018】
本明細書で開示される方法は、説明される方法を達成するための1つ以上のステップまたは動作を含む。当該方法のステップおよび/または動作は、本発明の範囲から逸脱することなく、互いが相互交換されることがある。言い換えれば、ステップまたは動作の具体的な順序が実施形態の適切な操作に必要とされない限り、具体的なステップおよび/または動作の順序および/または使用は、本発明の範囲から逸脱することなく変更されることがある。
【0019】
本開示および添付の特許請求の範囲の説明において使用する場合、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈が別段に明確に示さない限り、複数形を同様に含むよう意図されている。
【0020】
本明細書で使用する場合、「および/または」は、関連する列挙された項目のうちの1つ以上のいかなるおよびすべての起こり得る組み合わせ、ならびに代替(「または」)で解釈された場合、組み合わせの欠如を指し、これらを包含する。
【0021】
長さ、頻度、またはSEM値などのような測定可能な値を指すときに本明細書で使用する場合の「約」および「およそ」という用語は、指定された量の±20%、±10%、±5%、±1%、±0.5%、またはさらには±0.1%の変化を包含するよう意味する。
【0022】
本明細書で使用する場合、「X~Y」および「約X~Y」のような句は、XおよびYを含むよう解釈されるべきである。本明細書で使用する場合、「約X~Y」のような句は、「約X~約Y」を意味し、「約XからYまで」のような句は、「約Xから約Yまで」を意味する。
【0023】
本明細書で使用する場合の「を含む(comprise)」、「を含む(comprises)」、および「を含んでいる」という用語は、記載された特徴、整数、ステップ、操作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、および/またはこれらの群の存在または付加を排除するものではない。
【0024】
本明細書で使用する場合、「から本質的になる」という移行句は、特許請求の範囲が当該請求項において列挙される指定された材料またはステップ、ならびに特許請求された本開示の基本的かつ新規の特徴(複数可)に根本的に影響しないものを包含するよう解釈されることを意味する。したがって、本開示の請求項において使用するときの「から本質的になる」という用語は、「を含んでいる」と等価であると解釈されるようには意図していない。
【0025】
本明細書で使用する場合、「表皮下含水量」または「SEM」という用語は、血管漏出によって生じる組織液および局所浮腫の増大、ならびに組織にかかる持続した圧力、アポトーシス、壊死、および炎症性過程の存在下で損傷組織の基本構造を改変する他の変化を指す。
【0026】
本明細書で使用する場合、「システム」とは、互いに有線または無線で通信している装置の集合であり得る。
【0027】
本明細書で使用する場合、「送信する」は、患者の皮膚へと浸透する高周波エネルギーの使用を指す。
【0028】
本明細書で使用する場合、「患者」とは、ヒト対象または動物対象であり得る。
【0029】
本明細書で使用する場合、「III度熱傷」は、真皮を通過してより深部の組織に影響している全層熱傷を指す。
【0030】
図1Aは、トロイダル生体インピーダンスセンサ90を開示する。この例示的な構造において、中心電極110は、環電極120によって取り囲まれている。特定の理論に限定されることなく、センサ90の2つの電極間の間隙は、センサ90の下にある基材への電界侵入深さに影響することがある。態様において、接地平面(
図1Aでは見られない)は、電極の平面と平行であって、当該平面から離れている。一態様において、接地計画は、環電極120の外径を超えて延びている。特定の理論に限定されることなく、接地平面は、電極110、120間の電界を接地平面から電極110、120の平面の反対側にある電極110、120の平面の単一の側に限定することができる。
【0031】
図1Bは、駆動回路(
図1Bにおいては示されていない)によって起動されるときに
図1Aのトロイダルセンサによって創出された理想的な電界マップを開示する。一態様において、電圧が2つの電極110、120にわたって適用されるとき、電界140は、電極110、120の平面から電界の深さ150まで外向きに延びている電極110、120の間で生じる。態様において、中心電極110の直径、環電極120の内径および外径、ならびに2つの電極110、120の間の間隙は、電界140の特徴、例えば、電界の深さ150を変化させるよう変更することがある。
【0032】
使用の際、駆動回路は、抵抗、静電容量、インダクタンス、インピーダンス、リラクタンス、または電界140によって検知される他の電気的特性のうちの1つ以上を含む電気特性またはパラメータを測定することができる。装置に採用されている駆動回路の型に応じて、装置のセンサは、二極性高周波センサ、生体インピーダンスセンサ、静電容量センサ、またはSEMセンサであり得る。態様において、測定された電気的パラメータは、電極110および120の幾何形状、電界140の周波数および強度、ならびに装置駆動回路の他の操作特徴によって決定される深さでの患者の表皮の含水量と関連している。一態様において、測定された含水量は、所定の尺度上の値を有するSEM含量と等価である。態様において、所定の尺度は、0~1、0~2、0~3、0~4、0~5、0~6、0~7、0~8、0~9、0~10、0~11、0~12、0~13、0~14、0~15、0~16、0~17、0~18、0~19のような、0~20の範囲であり得る。一態様において、所定の尺度は、本明細書に提供する値に基づく因数または倍数によって縮小拡大することができる。
【0033】
図1Cは、
図1Aのセンサ90と類似するセンサ174を駆動して、電極110、120間の静電容量を測定するエレクトロニクスを備えるSEMスキャナ170の上面図および下面図を提供する。この静電容量は、ディスプレイ176に表示されるSEM値に変換される。
【0034】
これらの態様のセンサ90およびSEMスキャナ170は、米国特許出願第15/134,110号が国内移行手続きとして出願されたWO2016/172263において開示される。
【0035】
図2は、本開示による例示的な電極アレイ290を描写する。態様において、アレイ290は、この例では、基材292にわたる規則的なパターンで配置された個々の電極300から構成される。態様において、各電極300は、電気的なパラメータを測定するよう構成された、
図4Aに関して説明されるような回路へ(
図2~
図4Bにおいて示されてはいない導電素子を通じて)個別に連結されている。一態様において、「仮想センサ」は、電極300の所定のサブセットの、回路の共通素子への選択的な接続によって創出される。一態様において、特定の電極310は、
図1Aの電極110と類似する中心電極として接続され、6個の電極320A~320Fは、
図1Aの電極120と類似する「仮想環」電極としてまとまって接続される。態様において、2つの個々の電極は、回路に個々に接続され、仮想センサを形成する。例えば、電極310および320Aは、センサの2つの電極としてそれぞれ接続される。一態様において、1つ以上の電極300は、まとまって接続されて、2電極センサの片側またはもう片側の電極を形成する。
【0036】
いかなる対の電極も、単一の電極から構成されようと、仮想電極を形成するためにまとまって連結された1セットの電極から構成されようと、抵抗、静電容量、インダクタンス、インピーダンス、リラクタンス、またはセンサ90、174、290、430、440のうちの1つ以上、もしくは他の2電極センサを有する他の電気的特徴のうちの1つ以上を含む電気的特性またはパラメータを測定するよう構成されたエレクトロニクスへ連結される。
【0037】
図3は、本開示による電極410の別の例示的なアレイ400を描写する。態様において、電極410の各々は、間隙420によって取り囲まれている電極410の各々から分離された近似六角形である。一態様において、電極410は、円形、正方形、五角形、または他の規則的なもしくは不規則的な形状のうちの1つである。態様において、間隙420は、電極410全部の間で均一である。一態様において、間隙420は、種々の電極間で変動する。態様において、電極410は、
図5Aおよび
図5Bに関して以下に説明するような仮想センサを形成するよう相互接続され得る。
【0038】
図4Aは、本開示によると、センサ430を形成するよう構成された、例えば、測定回路へ接続された電極410のアレイ400を描写する。態様において、「1」と標識された単一の六角形電極410は中心電極を形成し、「2」と印のつけられた電極410の環は、環電極を形成するよう相互接続される。態様において、中心電極と環電極との間にある電極410は、電気的に「浮遊している」。一態様において、中心電極と環電極との間にある電極410は、接地されているかまたは浮遊接地へ接続されている。一態様において、環電極の外側にある電極410は、電気的に「浮遊している」。態様において、仮想環電極の外側にある電極410は、接地されているかまたは浮遊接地へ接続されている。
【0039】
図4Bは、本開示によると、電極410のアレイ400が仮想センサ440を形成するよう構成された代替的な態様を描写する。態様において、「1」によって示される複数の電極410は、中心電極を形成するよう相互接続されるのに対し、「2」によって示される、電極の2倍幅の環は、環電極を形成するよう相互接続される。一態様において、電極410の種々の数および位置は、種々の大きさおよび形状の仮想電極を形成するよう相互接続される。
【0040】
図5Aは、例となる創傷、この場合、開放創510を有するIII度熱傷500を描写する。III度熱傷の周りの組織の応答は、3つの区域を含み得る。態様において、創傷の中心にある最も内側の区域520は、酸素の還流がなく、タンパク質の凝固による不可逆的な損傷を伴う壊死を有するであろう。一態様において、「鬱血帯」としても既知の第2の区域530は、第1の区域520の周りにある環であり、そこでは、還流の低下およびSEMの低減がある。特定の理論に限定されることなく、毛細管は、第2の区域530において非機能的であり得、毛細管および細動脈の透過性およびその後の虚血再灌流損傷をもたらし得る。アポトーシスをもたらすフリーラジカルの放出および細胞損傷をカスケード状にすることが防止できる場合、第2の区域530における組織回復の機会があり得る。態様において、第2の区域530を取り囲んでいるのは、組織が損傷されるが良好な還流を維持し、概して治癒するであろう充血の区域540である。特定の理論に限定されることなく、創傷510の大きさ、形状、および深さは、区域520、530、540と同様、損傷を生じた事象の詳細による。本開示に従って、熱傷深度および程度の評価は、不正確さが不必要な手術またはかなりの長さの時間患者を滞在させることにつながる可能性があるので、処置の判断の基となる1つの構成要素である。
【0041】
図5Bは、
図5Aの線A-Aに沿って取られた、
図5Aにおいて示される熱傷500の断面図である。態様において、第1の領域520は、開放創510の下で両側へと延びていてもよい。一態様において、領域530は、開放創510および領域520のうちの片方または両方の下に延びていてもよい。態様において、開放創510からある距離において、損傷を受けていない、または「正常な」組織540があるであろう。
【0042】
本開示に従って、熱傷は、損傷を受けた区域530および540が、皮膚を通過して皮下組織へと延びているかどうかにより、「部分層」熱傷または「全層」熱傷と特徴づけられ得る。II度熱傷の水疱のような、浅達性部分層損傷は、生存可能であり、一般に、抗菌性包帯で治癒するであろう。深達性部分層創傷は、より全層に近い熱傷であり、改善された機能的および審美的結果のために外科的切除および移植を必要とすることがある。部分層創傷は、生存可能な構造が存在して創傷を治癒することができるかどうかを判断することが困難であるので、処置するには複雑である。浅達性熱傷が治癒中の創傷について手術を受ける可能性があるので、診断と関連する不正確性は何であっても、処置に影響することがある。
【0043】
熱傷は、動的であり、経時的に変化および進行する能力を有するので、困難な問題である。区域520において、組織を加熱すると、脂肪壊死とともに、真皮および真皮構造全体の完全な壊死を生じていた。特定の理論に限定されることなく、区域520の含水量は、正常よりも低く、壊死領域への還流を防止する局所血管崩壊により、損傷後も低いままである。
【0044】
特定の理論に限定されることなく、区域530において、初期熱曝露後の血流の還流は、灌流および酸素化を修復する。理論に限定されることないが、酸素化の修復は、細胞生存に重要である可能性があるだけでなく、さらなる組織損傷をもたらすフリーラジカルの生成を結果的に生じる事象のカスケードも開始する。熱傷浮腫の蓄積は、2相パターンにおいて生じ得る。第1の相において、損傷後1時間以内に間質液の迅速な増加があり、浮腫全体のおよそ80%が損傷後4時間で存在する。第2の相は、その後12~24時間にわたる流体の蓄積の漸増を特色とする。非熱傷損傷において、毛細管から間質への流体の移動は概して、過剰な流体が蓄積しないようにリンパ浄化によって平衡化されることがある。しかしながら、熱傷損傷においては、理論に限定されることはないが、流体およびタンパク質の血管外空間への移動は、非常に迅速に生じる可能性があり、浮腫は、リンパ管が流体およびタンパク質の浄化についていくことができないので、その結果として起こる。したがって、今一度、特定の理論に限定されることなく、態様において、区域540における浮腫の量は、区域530よりも少ないが、SEMの量はなおも正常を上回って高くなっている。浮腫のパターンをマッピングすることで、どの組織が危険にあるかの評価が可能となる。
【0045】
図6は、本開示によると、SEM値が熱傷500にわたってどのように変化し得るのかの例となるプロット600を描写する。断面A-Aに沿って取られたSEM値は、曲線610としてプロットされており、x軸は断面A-Aに沿った位置であり、y軸はSEM値である。基準線612は、正常組織SEM値を示し、これは、標準的な基準値または患者における既知の損傷していない組織の測定値であり得る。
【0046】
態様において、曲線610は概して、SEM値が基準線612よりも高い領域620を示す。一態様において、領域620における曲線610は、陰影のついた領域の底部に示されているように、わずかに高いに過ぎないことがあるか、または陰影のついた領域620の上部に示されるように有意に高いことがある。態様において、領域620のピーク値622は、区域530における損傷の程度または深度の指標である。
【0047】
一態様において、曲線610上の地点630は、区域530から区域540への移行を示す。態様において、SEM値は、基準線612よりも高いが、組織が回復しないという危険性を示すほど上昇してはいない。一態様において、区域530から区域540への移行の位置は、SEM値の既知の度合を使用する地点630のx軸の位置として曲線610上で同定され得る。態様において、地点630におけるSEM値の度合は、所定の値、基準SEM値を上回る所定の上昇、基準SEM値の百分率、ピーク値622の百分率、および曲線610から決定される他の値からなる群より選択される値であり得る。
【0048】
態様において、所定のSEM値は、0.1~1.0、1.1~2.0、2.1~3.0、3.1~4.0、4.1~5.0、5.1~6.0、6.1~7.0、7.1~8.0、0.1~7.5、0.5~8.0、1.0~7.0、1.5~6.5、2.0~6.0、3.0~5.5、3.5~5.0、または4.0~4.5のような、0.1~8.0の範囲であり得る。態様において、所定のSEM値は、0.5~4.0、0.1~3.5、1.0~3.5、1.5~4.0、1.5~3.5、2.0~4.0、2.5~3.5、2.0~3.0、2.0~2.5、または2.5~3.0のような、0.1~4.0の範囲であり得る。一態様において、所定のSEM値は、4.5~8.0、4.1~7.5、5.0~7.5、5.5~7.0、5.5~7.5、6.0~8.0、6.5~7.5、6.0~7.0、6.0~6.5、または6.5~7.0のような、4.1~8.0の範囲であり得る。一態様において、所定のSEM値は、約0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、または7.5であり得る。態様において、所定のSEM値は、本明細書で提供される値に基づく因数または倍数によって縮小拡大することができる。
【0049】
態様において、所定の上昇は、0.1~1.0、1.1~2.0、2.1~3.0、3.1~4.0、4.1~5.0、5.1~6.0、6.1~7.0、7.1~8.0、0.1~7.5、0.5~8.0、1.0~7.0、1.5~6.5、2.0~6.0、3.0~5.5、3.5~5.0、または4.0~4.5のような0.1~8.0の範囲であり得る。態様において、所定の上昇は、0.5~4.0、0.1~3.5、1.0~3.5、1.5~4.0、1.5~3.5、2.0~4.0、2.5~3.5、2.0~3.0、2.0~2.5、または2.5~3.0のような、0.1~4.0の範囲であり得る。一態様において、所定の上昇は、4.5~8.0、4.1~7.5、5.0~7.5、5.5~7.0、5.5~7.5、6.0~8.0、6.5~7.5、6.0~7.0、6.0~6.5、または6.5~7.0のような、4.1~8.0の範囲であり得る。一態様において、所定の上昇は、約0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、または7.5であり得る。態様において、所定の上昇は、本明細書で提供する値に基づく因数または倍数によって縮小拡大することができる。
【0050】
一態様において、基準SEM値は、基準線612によって表される。態様において、基準SEM値は、0.1~1.0、1.1~2.0、2.1~3.0、3.1~4.0、4.1~5.0、5.1~6.0、6.1~7.0、7.1~8.0、0.1~7.5、0.5~8.0、1.0~7.0、1.5~6.5、2.0~6.0、3.0~5.5、3.5~5.0、または4.0~4.5のような、0.1~8.0の範囲であり得る。態様において、基準SEM値は、0.5~4.0、0.1~3.5、1.0~3.5、1.5~4.0、1.5~3.5、2.0~4.0、2.5~3.5、2.0~3.0、2.0~2.5、または2.5~3.0のような、0.1~4.0の範囲であり得る。一態様において、基準SEM値は、4.5~8.0、4.1~7.5、5.0~7.5、5.5~7.0、5.5~7.5、6.0~8.0、6.5~7.5、6.0~7.0、6.0~6.5、または6.5~7.0のような4.1~8.0の範囲であり得る。一態様において、基準SEM値は、約0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、または7.5であり得る。態様において、基準SEM値は、本明細書で提供する値に基づく因数または倍数によって縮小拡大することができる。
【0051】
態様において、ピーク値は、0.1~1.0、1.1~2.0、2.1~3.0、3.1~4.0、4.1~5.0、5.1~6.0、6.1~7.0、7.1~8.0、0.1~7.5、0.5~8.0、1.0~7.0、1.5~6.5、2.0~6.0、3.0~5.5、3.5~5.0、または4.0~4.5のような、0.1~8.0の範囲であり得る。態様において、ピーク値は、0.5~4.0、0.1~3.5、1.0~3.5、1.5~4.0、1.5~3.5、2.0~4.0、2.5~3.5、2.0~3.0、2.0~2.5、または2.5~3.0のような、0.1~4.0の範囲であり得る。一態様において、ピーク値は、4.5~8.0、4.1~7.5、5.0~7.5、5.5~7.0、5.5~7.5、6.0~8.0、6.5~7.5、6.0~7.0、6.0~6.5、または6.5~7.0のような4.1~8.0の範囲であり得る。一態様において、ピーク値は、約0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、または7.5であり得る。態様において、ピーク値は、本明細書で提供する値に基づく因数または倍数によって縮小拡大することができる。
【0052】
1つ以上の領域は、身体上に定義され得る。態様において、領域内で得られる測定値は、互いに同等であるとみなされる。領域は、測定値が領域内の何らかの地点で取られ得る身体の皮膚上の領域と定義され得る。態様において、領域は、解剖学的領域(例えば、かかと、くるぶし、腰)に対応する。態様において、領域は、測定値が具体的な地点でのみ取られる解剖学的特性に対する2つ以上の具体的な地点のセットと定義され得る。態様において、領域は、身体上の複数の非連続的な領域を含み得る。態様において、具体的な位置のセットは、複数の非連続的な領域における地点を含み得る。
【0053】
態様において、領域は、表面積によって定義される。態様において、領域は、例えば、5~200cm2、5~100cm2、5~50cm2、または10~50cm2、10~25cm2、または5~25cm2であり得る。
【0054】
態様において、測定値は、具体的なパターンまたはその一部において得られ得る。態様において、読み取りのパターンは、中心における関心標的領域を有するパターンにおいて得られる。態様において、測定値は、大きさを増減する1つ以上の円形パターン、T状パターン、1セットの具体的な位置において、または無作為に組織もしくは領域にわたって得られる。態様において、パターンは、解剖学的性に関してパターンの第1の測定位置を定義することによって、身体上に配置され得、パターンの残りの測定位置は、第1の測定位置からのオフセットとして定義され得る。
【0055】
態様において、複数の測定値は、組織または領域にわたって取られ、複数の測定値の最低測定値と最高測定値との差は、複数の測定値のデルタ値として記録される。態様において、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、または10以上の測定値が、組織または領域にわたって取られる。
【0056】
態様において、閾値は、少なくとも1つの領域について確立され得る。態様において、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、または他の値の閾値は、少なくとも1つの領域について確立され得る。態様において、デルタ値は、領域内でとられる複数の測定値のデルタ値が、当該領域と関連する閾値以上のときに有意と同定される。態様において、複数の領域の各々は異なる閾値を有する。態様において、2つ以上の領域は共通の閾値を有し得る。
【0057】
態様において、閾値は、デルタ値成分および経時的成分の両方を有し、ここで、デルタ値は、時間間隔の所定の部分についての所定の数値よりも高いときに有意と同定される。態様において、時間間隔の所定の部分は、当日取られた複数の測定値が測定の合計Y連続日数間内での所定の数値よりも高いまたは当該数値と等しいデルタ値を生じる最低X日間と定義される。態様において、時間間隔の所定の部分は、当日取られた複数の測定値が所定の数値よりも高いまたは当該数値と等しいデルタ値を生じる1、2、3、4、または5日間の連続した日と定義されてもよい。態様において、時間間隔の所定の部分は、異なる具体的な期間(週、月、時間など)の何らかの部分と定義されてもよい。
【0058】
態様において、閾値は、連続的な複数の測定値のデルタ値における変化が互いに比較される傾向態様を有する。態様において、傾向閾値は、所定の長さの時間にわたるデルタ値の所定の変化と定義され、閾値を満たすかまたは超過したという決定は有意である。態様において、有意の決定で警告が発される。態様において、傾向線は、連続的な複数の測定値の個々の測定値の一部から算出され得る。態様において、傾向線は、連続した複数の測定値のデルタ値の一部から算出され得る。
【0059】
態様において、単一の領域内でとられる測定値の数は、パターンにおいて定義される測定値の数よりも少なくてもよい。態様において、デルタ値は、パターンにおいて定義される測定位置の数よりも少ない所定の初期読み取り数が領域において取られた後に、および同じ領域における追加的な各読み取りの後に算出され、ここで、当該領域と関連する閾値にデルタ値を満たすかまたは当該閾値を超過すると、追加的な読み取りは取られない。
【0060】
態様において、単一の領域内で取られる測定値の数は、パターンにおいて定義される測定位置の数を超過してもよい。態様において、デルタ値は、追加的な各読み取り後に計算されることになる。
【0061】
態様において、品質メトリクスは、複数の各測定値について生じ得る。態様において、この品質メトリクスは、測定値の反復率を査定するために選択される。態様において、この品質メトリクスは、測定値を取った臨床医の技術を査定するために選択される。態様において、品質メトリクスは、1つ以上の統計パラメータ、例えば、平均値、平均、または標準偏差を含み得る。態様において、品質メトリクスは、個々の測定値の、所定の範囲との比較のうちの1つ以上を含み得る。態様において、品質メトリクスは、個々の測定値と値のパターンとの比較、例えば、あらかじめ規定された位置における測定値と規定された各位置と関連する範囲との比較を含み得る。態様において、品質メトリクスは、測定が健康な組織にわたってなされる決定、および「健康的な」測定値のこのサブセット内での一致の1つ以上の評価、例えば、範囲、標準偏差、または他のパラメータを含み得る。
【0062】
一態様において、測定値、例えば、閾値は、SEM Scanner Model 200(Bruin Biometrics,LLC,カリフォルニア州ロサンゼルス市)によって決定される。別の態様において、測定値は、別のSEMスキャナによって決定される。
【0063】
態様において、測定値は、基準装置に対する参照による静電容量測定値に基づく。態様において、静電容量測定値は、装置における何らかの電極の位置および他の態様によることができる。このような変動は、SEM Scanner Model 200(Bruin Biometrics,LLC,カリフォルニア州ロサンゼルス市)のような基準SEM装置と比較することができる。当業者は、本明細書に記載される測定値が、基準装置に対する参照によって、差分静電容量範囲に収まるよう調整することができることを理解している。
【0064】
態様において、本開示に従った百分率は、0~50%、25~75%、50~100%、0~10%、5~15%、10~20%、15~25%、20~30%、25~35%、30~40%、35%~45%、40~50%、0~25%、15~35%、25~50%、45~55%、50~60%、55~65%、60~70%、65~75%、40~55%、50~75%、70~80%、75%~85%、80~90%、85~95%、90~100%、65~85%、または75~100%のような、0~100%の範囲であり得る。一態様において、本開示に従った百分率は、約0%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%であり得る。
【0065】
態様において、曲線610上の地点640は、浮腫が生じる区域530から、組織が正常を下回る含水量を有する区域520までの移行を示す。一態様において、基準線612の正常値と等しい測定されたSEM値は、センサの一部が正常よりも高い含水量を有する組織の上にあるのに対し、センサの残りの部分が正常よりも低い含水量を有する組織の上にあることを示す。態様において、線A-A上の地点640はおよそ、区域520の縁部の位置である。患者から壊死組織を摘除することが望まれる場合、この地点で皮膚に印をつけることは、壊死組織の縁部の執刀医に参照を提供する。
【0066】
一態様において、開放創510に近接する1つ以上の地点における、例えば、30分間隔で最初の4時間のSEM値の連続的な測定は、組織に対する損傷の程度に関する情報を提供する。態様において、連続的な測定は、およそ5分間隔、10分間隔、15分間隔、20分間隔、25分間隔、35分間隔、40分間隔、45分間隔、50分間隔、60分間隔、90分間隔、または120分間隔で実行することができる。一態様において、連続的な測定は、損傷後の最初の1時間、2時間、3時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、または12時間の時間間隔で実行することができる。態様において、損傷後の最初の4時間にわたる地点622の値および位置は、ある特定の領域における熱傷深度および組織の深度の危険性を示し得る。x軸上のピークSEM値の外向きの進行は、再灌流損傷の重症度を示し得る。
【0067】
一態様において、SEM値の測定は、
図1BのSEMスキャナ170のような単一センサ装置を用いて取られ得、ログされ得、プロットされ得、および査定され得る。
【0068】
他の種類の創傷、例えば、切創は、開放創510に近接した組織死滅区域を患うことがある。浮腫のレベルは、なおも組織の生存度の指標であるので、同じ検知および分類方法は、損傷を治療している臨床医へ価値のある情報を提供するであろう。したがって、例となる熱傷について説明されている方法および装置は、他の種類の損傷へも適用可能であり得る。
【0069】
本明細書で開示する方法および装置は、熱傷、切創、潰瘍、および他の種類の組織損傷のような、損傷の治癒過程を追跡するためにも使用されることがある。創傷を覆う皮膚の閉鎖は、治癒過程の終了ではなく、表皮下組織が元の状態へ戻るために、皮膚が閉鎖した後1年かかることがある。元の創傷の部位の循環の査定は、治癒が進行し続けているか、または停止もしくは好転したかを示すであろう。例として、褥瘡性潰瘍は、第1の潰瘍と同じ位置において高い再発発生率を被ることが知られている。このことは、不完全な治癒の結果として、弱化した組織構造と組み合わされた部位において持続した圧力がかかる結果であると考えられる。例えば、SEMスキャナを用いた組織状態の持続した測定を行わない場合、閉鎖した創傷を治癒した創傷と介護者がみなして、再発を予防するであろう療法を続行しないことが考えられる。元の創傷から離れた部位で取り囲んでいる組織の測定値は、「正常な」組織の測定値の基準として役立つことができる。この基準に対する前者の創傷部位における測定値の変化の傾向またはその欠失は、完全に治癒した状態へ向けて組織が移行中であるという持続的な保証を提供する。
【0070】
創傷が治癒した後のこの組織の改善の監視は、創傷治癒療法の成果および効能を監視するためにも有用である。例として、電気刺激装置は、下層組織の治癒過程を加速させるために創傷がいったん閉鎖されると使用され得る。治癒の進行は、手動でまたは視覚的に査定することが不可能ではない場合、困難である可能性が高い。SEM走査装置は、閉鎖した創傷の部位におけるSEM測定、治癒装置の有効性を立証するための循環の測定および傾向分析、ならびに完全に治癒した組織の参照としての隣接組織の測定のうちの1つ以上を確立するために使用され得る。ある特定の実施形態において、調整は、治癒装置に対してなされ得、例えば、SEMスキャナによって得られる測定値または測定値の傾向に基づく電気刺激装置の周波数または電圧の変化である。ある特定の実施形態において、治癒装置または療法の使用は、休止され得、またはSEM測定値もしくは傾向に基づく異なる装置もしくは療法と置き換えられ得る。特定の実施形態において、創傷は、SEM測定値に基づいて「治癒した」と判断され得、治癒療法は、休止され得、変更され得、または保存的療法と置き換えられ得る。特定の実施形態において、創傷部位における現行のSEMの読み取りとほぼ健常な組織からの参照値との間の差は、創傷部位における組織の回復度の尺度であり、ここで、0の差は、完全に治癒して元の状態へ回復している。
【0071】
図7は、本開示によると、SEM検知装置700の態様を描写する。一態様において、可撓性基材710は、基材710の共通の表面上に配置された複数のSEMセンサ720を有する。態様において、センサ720は、
図1Aに示すようなトロイダルセンサ90を備える。一態様において、センサ720は、
図2に示すような電極アレイ290を備える。態様において、センサ720は、
図3に示すような電極アレイ400を備える。一態様において、センサ720は、励起を提供して個々のセンサ720の下にある組織のSEM値を測定するエレクトロニクス(
図7には示されていない)へ連結される。
【0072】
態様において、SEM検知装置700は、基材710上に配置された目視指示計730を備える。一態様において、目視指示計730は、基材710の第1の表面上にあるのに対し、センサ720は、第1の表面と向かい合った基材710の第2の表面上にある。態様において、目視指示計730は、センサ720の少なくともいくつかの対の間に配置される。一態様において、目視指示計730は、発光素子(LED)であり得る。態様において、目視指示計730は、一色の光を放射し得る。態様において、目視指示計730は、複数の光の色彩のうちの1つを選択可能に放射し得る。一態様において、目視指示計730は、オンまたはオフであるよう選択可能である。態様において、目視指示計730は、目視指示計730の励起および選択可能な制御を提供するエレクトロニクス(
図7には示されていない)へ連結される。
【0073】
態様において、本開示のエレクトロニクスは、それぞれの目視指示計730の各側に配置されたセンサ90によって測定されるSEM値に基づいて選択される光の色彩を用いて、各目視指示計730を作動させる。このことは、所与の創傷500に対して種々の区域520、530、および540のカラーコードマップを提供する。
【0074】
一態様において、目視指示計730は、センサ720として同じ基材710の表面上に配置され得る。態様において、目視指示計730は、SEM検知装置700が配置される患者の皮膚に選択可能に印をつけることができるマーキング要素(
図7には示されていない)を備える。態様において、本開示のエレクトロニクスは、
図5Aと
図5Bの区域間の境界のうちの1つ以上に沿って配置される目視指示計720のマーキング要素を作動させることができる。一態様において、本開示のエレクトロニクスは、生存不可能な組織の外側縁部を示す区域520と区域530の間の境界に印をつけるよう、マーキング要素を作動させ得る。
【0075】
図8Aおよび
図8Bは、本開示によると、SEM検知組立て体702の態様を開示する。一態様において、電極742のアレイ740は、基材712上に配置される。態様において、電極742は、
図2の電極300と同様である。一態様において、電極742は、
図3の電極410と同様である。
【0076】
態様において、SEM検知装置702は、複数の孔750を備える。一態様において、孔750は、
図8Bに示すように、対の電極742間に配置される。使用の際、SEM検知装置702は、創傷を覆う患者の皮膚の上に配置することができ、臨床医は、種々の対の電極742間で測定されるSEM値によって導かれるように、患者の皮膚に印をつける。
【0077】
態様において、SEM検知装置700は、目視指示計730と孔750の両方を備えていることがあり、臨床医は、種々の目視指示計730の色彩によって導かれるように、患者の皮膚に印をつけることが可能である。
【0078】
図9は、本開示によると、創傷の周りの損傷の領域をマッピングするための装置800の態様を開示する。一態様において、患者の腕20は、開放創511を有する熱傷501を有する。態様において、装置800は、アーム20上の領域825を観察するカメラ(
図9においては見えない)と、領域825上へ1つ以上の撮像を射影することができ、創傷511を創傷511の周りの組織と同様に包含するプロジェクター(
図9においては見えない)とを備える光学システム815を有するアーム20を突き出している機器ヘッド810を備える。一態様において、SEM検知装置840は、光学システム815も制御するエレクトロニクス(
図9には示さず)へ連結される。態様において、SEM検知装置840は、ケーブル845を介して本開示のエレクトロニクスへ連結される。態様において、SEM検知装置840は、ケーブル845の代わりに無線連結を備える。一態様において、SEM検知装置840は、装置800が使用中である場合に、カメラに対して見える基準850を備える。態様において、SEM検知装置840は、単一の生体インピーダンスセンサを備え、それゆえ、一度に単一地点のECFを測定する。
【0079】
使用の際、ユーザは、領域825におけるSEM検知装置840を用いて複数の測定値を得ることができる。各測定時に、カメラは、その視野において基準850の位置を観察して記録することができる。態様において、基準指標(
図9には示されていない)は、視野内のアーム20の位置を記録して査定中のアーム20の移動を可能にするようアーム20上で得られ得る。測定値のセットが増すにつれ、本開示のエレクトロニクスは、組織型間の境界、例えば、生存可能組織と生存不可能組織との間の境界の位置を決定し、この境界に沿って表示画像をプロジェクターに射影させる。
図9において、これらの画像は、点710として示す。態様において、射影された画像は、線、色彩の領域、第1の色彩から第2の色彩まで陰影のついた領域、ある色彩強度から同じ色彩の異なる強度まで陰影のついた領域、または領域825における組織の状態に関して指導を提供する他の目視指示を含み得る。
【0080】
一態様において、本開示のエレクトロニクスは、プリンタ(
図9には示さず)へ連結され得、カメラによって撮影された創傷511を有するアーム20の写真を印刷機に作成させて、プロジェクターによって提供されるものとして説明されたものと等価の指標と重ねることができる。態様において、測定は、SEM検知装置800を用いて反復され得、新たな写真が印刷され得、それにより、創傷の周りの損傷の進行の写真の履歴を創出し得る。一態様において、本開示のエレクトロニクスは、記憶装置、例えば、サーバーへ連結され得、アーム20および創傷511の画像に関する情報を、SEM検知装置840によって1回以上得られた測定および測定の位置と同様に記憶するよう構成され得る。
【0081】
上述から、本発明が、以下を含むがこれらに限定されない種々の方法において具現化することができることが認識されるであろう。
【0082】
実施形態1.創傷の周りの損傷の領域をマッピングするための装置であって、創傷を含む組織の領域にわたって配置されるよう構成された基材の上に包埋された複数の電極であって、電極の組み合わせが複数の仮想静電容量センサを形成することができ、仮想静電容量センサの各々が、それぞれの仮想静電容量センサに近接した組織の領域の静電容量を測定するよう構成された、複数の電極と、基材の上に包埋された複数の目視指示計と、電極および目視指示計に電子的に連結された駆動回路と、駆動回路に電子的に連結されたプロセッサと、プロセッサに電子的に連結され、プロセッサで実行されるときに、測定された静電容量に関する情報を、複数の仮想静電容量センサのサブセットから、駆動回路を介して受信するステップ、生存可能組織と生存不可能組織との間の境界を決定するステップ、および駆動回路を介して複数の目視指示計の一部を起動して境界を指示するステップ、を実行する、記憶された命令を含んでいる、非一時的なコンピュータ可読媒体と、を備える、装置。
【0083】
実施形態2.基材が、境界に沿って組織に印をつけることを可能にする複数の孔を備える、実施形態1に記載の装置。
【0084】
実施形態3.回路が、対の電極を選択的に駆動して、対の電極の各々の間の静電容量を測定するよう構成される、実施形態1に記載の装置。
【0085】
実施形態4.選択的に駆動された対の電極の各々が、複数の仮想静電容量センサのうちの1つを形成する、実施形態3に記載の装置。
【0086】
実施形態5.回路が、複数の電極のサブセットを選択的に駆動して、仮想中心電極と仮想環電極とを形成し、仮想中心電極と仮想環電極との間の静電容量を測定するように構成される、実施形態1に記載の装置。
【0087】
実施形態6.複数の仮想静電容量センサの各々が、仮想中心電極と仮想環電極とを備える、実施形態5に記載の装置。
【0088】
実施形態7.命令が、測定された各静電容量を、静電容量を測定するために使用された仮想静電容量センサと関係している、関連する表皮下含水量(SEM)値に変換するステップと、SEM値の第1の部分を第1の閾値と比較するステップと、第1の閾値よりも高いSEM値と関連する仮想静電容量センサに対応している組織の領域を生存可能と同定するステップと、をさらに含む、実施形態1に記載の装置。
【0089】
実施形態8.命令が、SEM値の第2の部分を第2の閾値と比較するステップと、第2の閾値よりも低いSEM値と関連する仮想静電容量センサに対応している組織の領域を生存不可能と同定するステップと、をさらに含む、実施形態7に記載の装置。
【0090】
実施形態9.複数の目視指示計の各々が、第1のディスプレイモードと、第2のディスプレイモードとを独立して備える、実施形態7に記載の装置。
【0091】
実施形態10.命令が、第1のディスプレイモードにおける複数の目視指示計の第3の部分を起動して、生存可能である組織の領域を指示するステップと、第2のディスプレイモードにおける複数の目視指示計の第4の部分を起動して、生存不可能である組織の領域を指示するステップと、をさらに含む、実施形態9に記載の装置。
【0092】
実施形態11.目視指示計が、発光素子(LED)であり、第1のディスプレイモードが、第1の特徴を有する発光を含み、第2のディスプレイモードが、第2の特徴を有する発光を含む、実施形態9に記載の装置。
【0093】
実施形態12.第1の特徴が、第1のスペクトル成分を含み、第2の特徴が、第1のスペクトル成分とは異なる第2のスペクトル成分を含む、実施形態11に記載の装置。
【0094】
実施形態13.熱傷深度を決定するための装置であって、一対の電極であって、一対の電極に近接した組織の領域の静電容量を測定するよう構成された静電容量センサを形成することができる、一対の電極と、静電容量センサに電子的に連結された駆動回路と、駆動回路に電子的に連結されたプロセッサと、プロセッサで実行されるときに、測定された静電容量に関する情報を、静電容量センサから、駆動回路を介して受信するステップ、情報を、複数対の静電容量と熱傷深度とを含むデータアレイと比較するステップ、および測定された静電容量と関連する熱傷深度を決定するステップ、を実行する、記憶された命令を含む、非一時的なコンピュータ可読媒体と、を備える、装置。
【0095】
実施形態14.測定された静電容量に関する情報を受信するステップが、影響を受けていない既知の組織の第1の位置で測定された第1の静電容量を受信することと、熱傷内の第2の位置で測定された第2の静電容量を受信することと、第1の静電容量と第2の静電容量との間の静電容量差を決定することと、を含み、データアレイが、対の静電容量差と熱傷深度とを含み、情報をデータアレイと比較するステップが、静電容量差をデータアレイと比較することを含み、熱傷深度を決定するステップが、静電容量差と関連する熱傷深度を同定することを含む、実施形態13に記載の装置。
【0096】
実施形態15.命令が、測定された各静電容量を、関連する表皮下含水量(SEM)値に変換するステップをさらに含み、データアレイが、対のSEM値と熱傷深度とを含み、情報をデータアレイと比較するステップが、SEM値をデータアレイと比較することを含み、熱傷深度を決定するステップが、SEM値と関連する熱傷深度を同定することを含む、実施形態13に記載の装置。
【0097】
実施形態16.創傷の周りの損傷の領域をマッピングするための装置であって、創傷を含む組織の領域の一部にわたって配置されるよう構成された基材の上に包埋された複数の電極であって、対の電極が、静電容量センサであって、静電容量センサに近接した組織の領域の静電容量を測定するよう構成された、静電容量センサを形成することができる、複数の電極と、創傷を含む組織の領域上へと目視指示計を射影することができるプロジェクターと、複数の電極およびプロジェクターに電子的に連結された駆動回路と、駆動回路に電子的に連結されたプロセッサと、プロセッサに電子的に連結され、プロセッサで実行されるときに、測定された静電容量に関する情報を、形成された静電容量センサのうちの1つ以上から受信するステップ、第1の種類の組織と第2の種類の組織との間の第1の境界を決定するステップ、およびプロジェクターに目視指示計を射影させて、境界を指示するステップ、を実行する、記憶された命令を含む、非一時的なコンピュータ可読媒体と、を備える、装置。
【0098】
実施形態17.第1の種類の組織が生存可能組織であり、第2の種類の組織が生存不可能組織である、実施形態16に記載の装置。
【0099】
実施形態18.第1の境界が、測定された各静電容量を、静電容量を測定するために使用される静電容量センサと関連する、関連する表皮下含水量(SEM)値に変換することと、閾値よりも高いSEM値と関連する静電容量センサに対応している組織の領域を生存可能と同定することと、閾値よりも低いSEM値と関連する静電容量センサに対応している組織の領域を生存不可能と同定することと、生存可能な領域と生存不可能な領域との間の第1の境界に印をつけることと、によって同定される、実施形態17に記載の装置。
【0100】
実施形態19.命令が、第2の種類の組織と第3の種類の組織との間の第2の境界を決定するステップをさらに含む、実施形態16に記載の装置。
【0101】
実施形態20.第1の種類の組織が壊死組織であり、第2の種類の組織が、鬱血帯にある組織であり、第3の種類の組織が、充血帯にある組織である、実施形態19に記載の装置。
【0102】
実施形態21.第1および第2の境界が、測定された各静電容量を、静電容量を測定するために使用される静電容量センサと関連する、関連する表皮下含水量(SEM)値に変換することと、第1の閾値よりも低いSEM値と関連する静電容量センサに対応している組織の領域を壊死組織と同定することと、壊死組織領域の外側縁部上の第1の境界に印をつけることと、壊死組織領域を直接取り囲み、第1の閾値よりも高い、ピークSEM値までのSEM値と関連する静電容量センサに対応しており、ピークSEM値と関連する位置を含んでいる組織と、ピークSEM値と関連する位置を直接取り囲んでおり、第2の閾値よりも高いSEM値と関連する静電容量センサに対応している組織とを含む鬱血帯における組織の領域を同定することと、鬱血帯の外側縁部上の第2の境界に印をつけることと、鬱血帯を直接取り囲み、第2の閾値よりも低いが第1の閾値よりも高いSEM値と関連する静電容量センサに対応している組織を含む、充血帯における組織の領域を同定することと、によって同定される、実施形態20に記載の装置。
【0103】
実施形態22.創傷の周りの損傷の領域をマッピングするための方法であって、複数の電極を用いて、前記創傷を含む組織の領域にわたって静電容量測定値を得ることと、測定された各静電容量を、関連する表皮下含水量(SEM)値に変換することと、第1の閾値よりも低いSEM値と関連する組織の領域を包含する第1の境界に印をつけることと、を含む、方法。
【0104】
実施形態23.第1の境界を取り囲み、第1の閾値よりも高い、ピークSEM値までのSEM値と関係し、ピークSEM値と関連する位置を含む組織の領域と、ピークSEM値と関連する位置を直接取り囲み、第2の閾値よりも高いSEM値と関連する組織の領域とを包含する第2の境界を標識することをさらに含む、実施形態22に記載の方法。
【0105】
本発明は、特定の態様に関して説明されてきたが、種々の変更がなされ得、等価物が本発明の範囲から逸脱することなくその要素について置換され得ることは当業者によって理解されるであろう。さらに、多くの改変が、本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の教示に対して特定の状況または材料に対してなされ得る。それゆえ、本発明が、開示された特定の態様に限定されるべきではないが、本発明が添付の特許請求の範囲および趣旨内に収まる態様全てを含むことが意図される。