(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005274
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】誘電加熱装置、および、液体吐出システム
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240110BHJP
F26B 3/347 20060101ALI20240110BHJP
F26B 13/02 20060101ALI20240110BHJP
F26B 25/22 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B41J2/01 125
B41J2/01 451
B41J2/01 401
F26B3/347
F26B13/02
F26B25/22 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105371
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】相澤 直
【テーマコード(参考)】
2C056
3L113
【Fターム(参考)】
2C056EB13
2C056EB29
2C056EB49
2C056EB58
2C056EC14
2C056EC38
2C056HA46
3L113AA02
3L113AB07
3L113AC12
3L113AC31
3L113BA28
3L113BA30
3L113BA31
3L113CA02
3L113CB07
3L113CB21
3L113DA11
(57)【要約】
【課題】誘電加熱装置において、含水量を測定するセンサーを用けることなく、メディアに付着した液体を均一に乾燥できる技術を提供する。
【解決手段】誘電加熱装置は、水を含有する液体が付着したメディアと対向する第1電極および第2電極と、第1電極と電気的に直列に接続された第1コイルと、を有し、液体を加熱して乾燥させる第1ヒーターと、第1電極および第2電極に、予め定められた駆動周波数の交流電圧を印加する電圧印加部と、を備える。第1ヒーターは、メディアの含水量が第1範囲にある場合の第1ヒーターの共振周波数と駆動周波数との差異が、含水量が第1範囲よりも少ない第2範囲にある場合の第1ヒーターの共振周波数と駆動周波数との差異に比べて小さくなるように、かつ、含水量が第1範囲にある場合の加熱量が、含水量が第2範囲にある場合の加熱量よりも大きくなるように構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を含有する液体が付着したメディアと対向する第1電極および第2電極と、前記第1電極と電気的に直列に接続された第1コイルと、を有し、前記液体を加熱して乾燥させる第1ヒーターと、
前記第1電極および前記第2電極に、予め定められた駆動周波数の交流電圧を印加する電圧印加部と、を備え、
前記第1ヒーターは、
前記メディアの含水量が第1範囲にある場合の前記第1ヒーターの共振周波数と前記駆動周波数との差異が、前記含水量が前記第1範囲よりも少ない第2範囲にある場合の前記第1ヒーターの共振周波数と前記駆動周波数との差異に比べて小さくなるように、かつ、
前記含水量が前記第1範囲にある場合の加熱量が、前記含水量が前記第2範囲にある場合の加熱量よりも大きくなるように構成されている、
誘電加熱装置。
【請求項2】
請求項1に記載の誘電加熱装置であって、
前記メディアと対向する第3電極および第4電極と、前記第3電極と電気的に直列に接続された第2コイルと、を有し、前記液体を加熱して乾燥させる第2ヒーターを備え、
前記電圧印加部は、前記第3電極および前記第4電極に前記駆動周波数の交流電圧を印加し、
前記第2ヒーターは、
前記含水量が第3範囲にある場合の前記第2ヒーターの共振周波数と前記駆動周波数との差異が、前記含水量が前記第3範囲よりも少ない第4範囲にある場合の前記第2ヒーターの共振周波数と前記駆動周波数との差異に比べて小さくなるように、かつ、
前記含水量が前記第3範囲にある場合の加熱量が、前記含水量が前記第4範囲にある場合の加熱量よりも大きくなるように構成されている、
誘電加熱装置。
【請求項3】
請求項2に記載の誘電加熱装置であって、
前記第1電極、前記第2電極、前記第3電極および前記第4電極は、第1方向に搬送される前記メディアに対して、それぞれ、前記第1方向と直交する第2方向に対向し、
前記第1ヒーターと前記第2ヒーターとは、前記第1方向と直交し、かつ、前記第2方向と交差する第3方向に沿って並んで配置される、誘電加熱装置。
【請求項4】
請求項1に記載の誘電加熱装置であって、
前記電圧印加部は、直流電源の直流電圧をスイッチングして前記駆動周波数の交流電圧に変換するスイッチング回路を有する、誘電加熱装置。
【請求項5】
請求項1に記載の誘電加熱装置であって、
前記第1ヒーターは、前記含水量が、前記メディアに前記液体がベタ塗りされた場合の含水量に相当する場合に、前記第1ヒーターの共振周波数と前記駆動周波数とが一致するように構成されている、誘電加熱装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の誘電加熱装置と、
前記メディアに前記液体を吐出して塗布する液体吐出部と、を備え、
前記第1ヒーターは、前記液体吐出部によって前記液体が塗布された前記メディアを加熱する、液体吐出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、誘電加熱装置、および、液体吐出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
誘電加熱装置に関して、特許文献1には、搬送物の水分量を複数のセンサーによって測定し、各測定結果に応じて、複数のセンサーと対応する位置に設けられた複数の電極にそれぞれ印加する高周波電界の電力を個別に制御する技術が開示されている。この技術により、搬送物を均一に乾燥させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、電極に印加する高周波電界の電力を制御するために、搬送物の水分量を測定するためのセンサーを設けることを要する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の形態によれば、誘電加熱装置が提供される。この誘電加熱装置は、水を含有する液体が付着したメディアと対向する第1電極および第2電極と、前記第1電極と電気的に直列に接続された第1コイルと、を有し、前記液体を加熱して乾燥させる第1ヒーターと、前記第1電極および前記第2電極に、予め定められた駆動周波数の交流電圧を印加する電圧印加部と、を備える。前記第1ヒーターは、前記メディアの含水量が第1範囲にある場合の前記第1ヒーターの共振周波数と前記駆動周波数との差異が、前記含水量が前記第1範囲よりも少ない第2範囲にある場合の前記第1ヒーターの共振周波数と前記駆動周波数との差異に比べて小さくなるように、かつ、前記含水量が前記第1範囲にある場合の加熱量が、前記含水量が前記第2範囲にある場合の加熱量よりも大きくなるように構成されている。
【0006】
本開示の第2の形態によれば、液体吐出システムが提供される。この液体吐出システムは、上記形態の誘電加熱装置と、前記メディアに前記液体を吐出して塗布する液体吐出部と、を備え、前記第1ヒーターは、前記液体吐出部によって前記液体が塗布された前記メディアを加熱する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図5】ヒーターとメディア上の液体とによって形成される回路を説明する模式図。
【
図7】乾燥度合いと第1共振周波数との関係を示す説明図。
【
図8】乾燥度合いと第1ヒーターによる加熱量との関係を示す説明図。
【
図9】第1電極の厚さや第2電極の厚さの調整を説明する模式図。
【
図10】第1電極と第2電極との間の距離の調整を説明する模式図。
【
図11】第1電極の幅や第2電極の幅の調整を説明する模式図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.第1実施形態:
図1は、第1実施形態としての液体吐出システム200の概略構成を示す模式図である。
図1には、互いに直交するX,Y,Z方向を示す矢印が示されている。X方向およびY方向は、水平面に平行な方向であり、Z方向は、鉛直上向きに沿った方向である。X,Y,Z方向を示す矢印は、他の図においても、図示の方向が
図1と対応するように適宜、図示してある。以下の説明において、方向の向きを特定する場合には、各図において矢印が指し示す方向を「+」、その反対の方向を「-」として、方向表記に正負の符合を併用する。以下では、+Z方向のことを「上」、-Z方向のことを「下」ともいう。また、本明細書中で、直交とは、90°±10°の範囲を含む。
【0009】
液体吐出システム200は、ヒーター20を有する誘電加熱装置100と、液体吐出装置205と、搬送部320とを備えている。本実施形態における液体吐出システム200は、搬送部320によってメディアMdを搬送しつつ、液体吐出装置205によってメディアMdに水を含有する液体を吐出して塗布し、誘電加熱装置100のヒーター20によってメディアMdに塗布された液体を加熱して乾燥させる。液体吐出装置205は、ヒーター20によって加熱される液体をメディアMd上に塗布するとも言える。
【0010】
メディアMdとしては、例えば、紙や布、フィルム等が用いられる。メディアMdとして用いられる布は、例えば、綿や、麻、ポリエステル、絹、レーヨン等の繊維、または、これらが混紡された繊維を織って形成される。本実施形態では、メディアMdとして、シート状の綿布が用いられる。メディアMdに塗布される液体としては、例えば、水を主成分とする各種インクが用いられる。本実施形態では、液体として、水を主成分とする水性インクが用いられる。本明細書において、液体の主成分とは、液体に含まれる物質のうち、その質量分率が50%以上である物質のことを指す。他の実施形態では、液体として、インクの他に、例えば、種々の色材、電極材、生体有機物や無機物等の試料、潤滑油、樹脂液、エッチング液など、任意の液体が用いられてもよい。
【0011】
搬送部320は、メディアMdを搬送する。本実施形態では、搬送部320は、ローラー323を駆動させることによってメディアMdを搬送するローラー機構として構成されている。搬送部320は、液体吐出装置205に設けられた第1搬送部321と、誘電加熱装置100に設けられた第2搬送部322とを有している。第1搬送部321および第2搬送部322は、それぞれ、ローラー323と、ローラー323を駆動させるためのモーター等によって構成された図示しない駆動部とを有している。第1搬送部321は、第2搬送部322の、+Y方向の位置に配置されている。本実施形態では、第1搬送部321および第2搬送部322は、シート状のメディアMdを-Y方向に搬送する。他の実施形態では、搬送部320は、例えば、ベルトを駆動させることによってメディアMdを搬送するベルト機構として構成されていてもよい。
【0012】
本実施形態では、液体吐出装置205は、メディアMdに液体としてのインクを吐出して塗布することにより印刷を行うインクジェットプリンターとして構成されている。そのため、液体吐出システム200は、インクジェットプリンターを備える印刷システムとして構成されているとも言える。液体吐出装置205は、メディアMdに液体を吐出して塗布する液体吐出部210と、第1制御部250とを有している。以下では、第1制御部250のことを、単に制御部とも呼ぶ。
【0013】
液体吐出部210は、例えば、ピエゾ方式やサーマル方式の液体吐出ヘッドとして構成され、1又は複数の図示しないヘッドチップを有する。各ヘッドチップは、液体が流れる流路や、液体を吐出するためのノズルを有する。各ヘッドチップから吐出されるインクの色は、それぞれ同じであってもよいし、それぞれ異なっていてもよい。また、液体吐出部210は、例えば、図示しないキャリッジによって、メディアMdに対して、Z方向と直交し、かつ、Y方向と交差する方向に往復移動可能に構成されていてもよいし、メディアMdに対して往復移動することなく位置が固定された、いわゆるラインヘッドとして構成されていてもよい。
【0014】
本実施形態において液体として用いられるインクは、樹脂を含有する顔料インクである。インクに含まれる樹脂は、自身を介して、メディアMd上に顔料を強固に定着させる作用を有する。このような樹脂は、例えば、水等の溶媒に難溶あるいは不溶である樹脂を、微粒子状にして溶媒に分散させた状態で、すなわち、エマルジョン状態あるいはサスペンジョン状態で用いられる。このような樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、フルオレン樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ロジン変性樹脂、テルペン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル- 酢酸ビニル共重合体、エチレン酢酸ビニル樹脂等を用いることができる。これらの樹脂を2種以上併用して用いてもよい。このような樹脂のことをレジンとも呼ぶ。
【0015】
第1制御部250は、1つまたは複数のプロセッサーと、記憶装置と、外部との信号の入出力を行う入出力インターフェイスとを備えるコンピューターによって構成されている。本実施形態における第1制御部250は、液体吐出部210および第2搬送部322を制御することによって、メディアMdを搬送しつつ、メディアMdに液体を吐出して付着させる。他の実施形態では、第1制御部250は、例えば、複数の回路の組み合わせによって構成されてもよい。
【0016】
図2は、第1実施形態における誘電加熱装置100の概略構成を示す斜視図である。
図1および
図2に示すように、誘電加熱装置100は、メディアMdに塗布された液体を加熱して乾燥するヒーター20と、ヒーター20に交流電圧を印加する電圧印加部80と、第2制御部180とを備える。本実施形態における誘電加熱装置100は、第2搬送部322によってメディアMdを搬送しつつ、ヒーター20から生じる交流電界によってメディアMdに付着した液体を加熱することで、メディアMdに付着した液体を乾燥させる。誘電加熱装置100には、例えば、気流を発生させるための送風機等が設けられてもよい。このような送風機を設けることにより、メディアMdに付着した液体の乾燥を促進させることや、乾燥完了後のメディアMdの冷却を促進させることができる。
【0017】
図2に示すように、本実施形態における誘電加熱装置100は、ヒーター20として、第1ヒーター30と第2ヒーター40とを有している。第1ヒーター30は、第1電極31と、第2電極32と、第1コイル34とを有する。第2ヒーター40は、第3電極41と、第4電極42と、第2コイル44とを有する。以下では、第1ヒーター30と第2ヒーター40とを区別せずに、両者を単にヒーター20と呼ぶこともある。
【0018】
第1電極31および第2電極32は、メディアMdと対向する。また、第3電極41および第4電極42もまた、メディアMdと対向する。本実施形態では、第1電極31および第2電極32、並びに、第3電極41および第4電極42は、第1方向に搬送されるメディアMdに対して、それぞれ、第1方向と直交する第2方向において対向している。本実施形態では、第1方向は、-Y方向である。第2方向は、同じ軸に沿う一方側の方向と、その反対方向とを両方含む方向であり、本実施形態では、Z方向である。つまり、本実施形態では、第1電極31および第2電極32、並びに、第3電極41および第4電極42は、第2搬送部322によって-Y方向に搬送されるメディアMdに対して、Z方向において対向している。
【0019】
本実施形態では、第1ヒーター30と第2ヒーター40とは、第3方向に沿って並んで配置されている。第3方向は、第1方向と直交し、かつ、第2方向と交差する方向である。第3方向は、同じ軸に沿う一方側の方向と、その反対方向とを両方含む方向であり、本実施形態では、X方向である。
【0020】
電圧印加部80は、第1ヒーター30に電気的に接続されており、第1電極31および第2電極32に予め定められた駆動周波数f0の交流電圧を印加する。また、本実施形態では、電圧印加部80は、第2ヒーター40に電気的に接続されており、第3電極41および第4電極42に駆動周波数f0の交流電圧を印加する。本実施形態では、第1ヒーター30と第2ヒーター40とは互いに電気的に並列に接続されている。第1電極31又は第2電極32に印加される電位の一方や、第3電極41又は第4電極42に印加される電位の一方は、基準電位であってもよい。基準電位とは、高周波電圧の基準となる定電位であり、例えば接地電位である。
【0021】
本実施形態では、各ヒーター20の各電極には、高周波電圧が印加される。本明細書において、「高周波」とは、1MHz以上の周波数のことを指す。より詳細には、本実施形態では、駆動周波数f0として、産業科学医療用(ISM:Industrial Scientific and Medical Band)バンドの1つである13.56MHzが用いられる。なお、水の誘電正接は20GHz付近で最大となるので、ISMバンドのうち2.45GHzや5.8GHzの高周波電圧を各ヒーター20の各電極に印加することで、より効率良くメディアMdに付着した液体を加熱できる。一方で、インクを加熱するという観点では、駆動周波数f0が、例えば、13.56MHzや40.68MHzのように比較的低い場合であっても、良好な加熱効率を得ることができる。この理由は、駆動周波数f0が13.56MHzや40.68MHzである場合、インク中の水の誘電正接は低い一方で、インク中の色素成分等を電気抵抗として生じるジュール熱が生じやすくなるためである。
【0022】
第2制御部180は、上述した第1制御部250と同様に、コンピューターによって構成されている。本実施形態では、第2制御部180は、上述した第2搬送部322を制御する。
【0023】
図3は、本実施形態におけるヒーター20の概略構成を示す斜視図である。より詳細には、
図3には、第1ヒーター30の概略構成が示されている。上述したように、第1ヒーター30は、第1電極31と、第2電極32と、第1コイル34とを有する。なお、図示は省略するが、本実施形態では、上述した第2ヒーター40の第3電極41、第4電極42および第2コイル44は、それぞれ、第1電極31、第2電極32および第1コイル34と同様の構成を有している。
【0024】
第1電極31および第2電極32は、導電体であり、例えば、金属、合金、導電性酸化物等によって形成される。第1電極31及び第2電極32は、互いに同じ材料で形成されてもよいし、異なる材料で形成されてもよい。第1電極31および第2電極32は、例えば、その姿勢や強度の保持を目的として、誘電正接や導電性の低い材料によって形成された基板等の上に配置されてもよいし、他の部材によって支持されてもよい。
【0025】
第1電極31および第2電極32は、第1電極31と第2電極32との間の最短距離が、第1ヒーター30から出力される電磁界の波長の10分の1以下となるように配置されている。本実施形態における第1電極31は、長手方向および短手方向を有する舟形形状を有している。第1電極31の下面は、-Z方向に凸の曲面形状を有している。第1電極31は、Z方向に沿って見たときに、長円形状を有する。第2電極32は、X方向およびY方向に扁平な長円形状の環状を有している。第2電極32は、Z方向に沿って見たときに、第1電極31の周囲を囲うように配置されている。第1電極31と第2電極32とは、第1電極31の長手方向と第2電極32の長手方向とが互いに平行になるように配置されている。
【0026】
図1および
図2に示すように、第1電極31および第2電極32は、ともに、X方向およびY方向に平行に配置された基板110上に配置されている。より詳細には、第1電極31は、第1電極31の下面のX方向およびY方向における中央部が基板110の上面に接触するように配置されている。第2電極32は、第2電極32の下面が基板110の上面に接触するように配置されている。そのため、本実施形態では、第1電極31の下面の中央部と、第2電極32の下面とは、同一平面上に配置されている。なお、本実施形態では、基板110は、第1ヒーター30および第2ヒーター40に共通に設けられている。
【0027】
図1に示すように、本実施形態では、第1電極31および第2電極32は、メディアMdの上方に配置されている。そのため、本実施形態では、第1電極31および第2電極32の下面が、メディアMdの上面に対向する。メディアMdと第1電極31および第2電極32との間には、上述した基板110が配置される。また、同様に、第3電極41および第4電極42は、メディアMdに対してZ方向に対向するように、メディアMdの上方に配置されている。
【0028】
本実施形態では、基板110は、ガラスによって形成されている。基板110によって、メディアMdに塗布されたインク等の液体が第1電極31および第2電極32に付着することや、メディアMdが布である場合にメディアMdの毛羽が第1電極31および第2電極32に付着することが抑制される。本実施形態では、基板110は、上記と同様に、第2ヒーター40の第3電極41および第4電極42への液体や毛羽の付着をも抑制する。他の実施形態では、基板110は、例えば、アルミナによって形成されてもよい。
【0029】
図3に説明を戻す。本実施形態では、第1電極31は、第1電線35と、第1コイル34と、同軸ケーブルの内部導体IC1とを介して電圧印加部80に電気的に接続されている。第2電極32は、第2電極32の上部に配置された接続部材33や、図示していない同軸ケーブルの外部導体等を介して電圧印加部80に電気的に接続されている。
【0030】
第1電極31および第2電極32に駆動周波数f0の交流電圧が印加されることによって、第1電極31および第2電極32から、駆動周波数f0に応じた波長を有する電磁界が生じる。この電磁界の強度は、第1電極31および第2電極32の近傍で非常に強く、遠方では非常に弱くなる。本明細書では、交流電圧の印加によって第1電極31および第2電極32の近傍に生じる電磁界を「近傍電磁界」とも呼ぶ。第1電極31および第2電極32の「近傍」とは、第1電極31および第2電極32からの距離が、発生する電磁界の波長の1/2π以下となる範囲のことを指す。「近傍」より遠い範囲のことを、「遠方」とも呼ぶ。また、本明細書では、交流電圧の印加によって、第1電極31および第2電極32の遠方に生じる電磁界のことを「遠方電磁界」とも呼ぶ。遠方電磁界は、一般的な通信用アンテナ等による通信に用いられる電磁界に相当する。
【0031】
上述したように、第1電極31と第2電極32とは、両者の間の最短距離が電磁界の波長の10分の1以下となるように配置されている。これによって、第1電極31および第2電極32から生じる電磁界の密度を、第1電極31および第2電極32の近傍において減衰させることができる。そのため、メディアMdと、第1電極31および第2電極32との間の距離を適切に保つことで、メディアMdに付着した液体を、第1電極31および第2電極32の近傍で生じる電界によって効率的に加熱しつつ、第1電極31および第2電極32からの遠方電磁界の輻射を抑制できる。特に、本実施形態では、第2電極32が、Z方向に沿って見たときに第1電極31を取り囲むように配置されているため、第1電極31および第2電極32からの遠方電磁界の輻射をより抑制できる。
【0032】
本実施形態では、第1コイル34の一端は、第1電線35を介して第1電極31と電気的に直列に接続され、他端は、
図1および
図2に示した電圧印加部80と電気的に直列に接続されている。本実施形態では、第1コイル34は、ソレノイドコイルによって構成され、その長さ方向がZ方向に沿うように配置されている。第1コイル34の形状、長さ、断面積、巻き数、材質等は、例えば、駆動周波数f
0に応じて、また、第1ヒーター30と電圧印加部80とのインピーダンス整合を実現するように選択される。なお、図示は省略するが、本実施形態では、第2コイル44の一端は、第2電線を介して第3電極41と電気的に接続され、他端は、電圧印加部80と電気的に直列に接続されている。他の実施形態では、第1コイル34の一端は、第1電極31ではなく第2電極32と直列に接続されていてもよい。また、同様に、第2コイル44の一端は、第3電極41ではなく第4電極42と直列に接続されていてもよい。
【0033】
電圧印加部80が第1ヒーター30に交流電圧を印加することによって、第1コイル34の一端には高電圧が発生する。これによって、第1電極31および第2電極32から生じる電界の強度を高めることができる。なお、第1コイル34は、第1コイル34の一端と第1電極31との間の距離ができるだけ小さくなるように配置されると好ましい。第1コイル34の一端と第1電極31との間の距離が遠い場合、第1コイル34の一端に生じる高電圧が、第1コイル34と第1電極31との間、もしくは、第1電線35と第2電極32との間に、メディアMdの加熱に寄与しない電界を発生させ、第1電極31および第2電極32から生じる電界の強度を高める効果が低下する可能性がある。これに対して、第1コイル34の一端と第1電極31との間の距離を近くすることで、このようなメディアMdの加熱に寄与しない電界の発生を抑制できるため、第1電極31および第2電極32から生じる電界の強度を効果的に高めることができる。同様に、第2コイル44は、第3電極41および第4電極42から生じる電界の強度を高めることができる。なお、他の実施形態では、例えば、第1電極31や第3電極41をメアンダ形状に形成することによって、第1電極31や第3電極41にコイルと同様の機能を発揮させてもよい。
【0034】
図4は、本実施形態における誘電加熱装置100の回路構成を示す説明図である。
図4では、技術の理解を容易にするために、誘電加熱装置100の回路構成のうち、一部の構成を省略して示している。
図4に示すように、電圧印加部80は、スイッチング回路81を有するインバーターとして構成されている。スイッチング回路81は、直流電源150、第1ヒーター30および第2ヒーター40に電気的に接続されている。スイッチング回路81は、直流電源150の直流電圧をスイッチングして駆動周波数f
0の交流電圧に変換し、交流電圧を第1ヒーター30および第2ヒーター40に出力する。
【0035】
本実施形態におけるスイッチング回路81は、フルブリッジ方式のインバーターとして構成され、4つのスイッチング素子82と、各スイッチング素子82に対応して設けられた過電圧保護用のツェナーダイオード83とを有している。本実施形態では、スイッチング素子82は、Nチャネル型の金属酸化膜半導体電界効果トランジスター(MOSFET:metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)によって構成されている。他の実施形態では、スイッチング素子82は、例えば、バイポーラトランジスターや、絶縁ゲートトランジスター、ゲートターンオフサイリスター等によって構成されていてもよい。また、スイッチング回路81は、ツェナーダイオード83に加えて、または、ツェナーダイオード83に代えて、適宜、PN接合ダイオード等を有していてもよい。また、スイッチング回路81は、例えば、位相シフト式のフルブリッジ方式のインバーターとして構成されていてもよいし、ハーフブリッジ方式のインバーターとして構成されていてもよい。
【0036】
各スイッチング素子82は、各スイッチング素子82のゲートに入力される制御信号に応じて、スイッチング回路81の一部を繰り返し開閉する。スイッチング回路81は、このスイッチング素子82の動作により、直流電源150の直流電圧を駆動周波数f0の交流電圧に変換する。これにより、第1ヒーター30および第2ヒーター40に、駆動周波数f0の交流電圧が印加される。
【0037】
本実施形態では、第1ヒーター30と第2ヒーター40とには、それぞれ位相が180°反転した交流電圧が印加される。より詳細には、
図4に示すように、第1ヒーター30の第1電極31と第2ヒーター40の第4電極42とがそれぞれ同位相となるようにスイッチング回路81に接続され、かつ、第1ヒーター30の第2電極32と第2ヒーター40の第4電極42とがそれぞれ同位相となるようにスイッチング回路81に接続されることで、第1ヒーター30と第2ヒーター40とにそれぞれ位相が180°反転した交流電圧が印加される。このように、隣り合うヒーター20にそれぞれ位相が180°反転した交流電圧が印加されることによって、隣り合うヒーター20からの、メディアMdの加熱に寄与しない輻射波同士を互いに弱め合わせることができる。
【0038】
図5は、本実施形態におけるヒーター20とメディアMdに付着した液体Lqとによって形成される回路を説明する模式図である。
図6は、本実施形態における誘電加熱装置100の等価回路図である。より詳細には、
図5は、第1ヒーター30と液体Lqとによって形成される回路を示している。また、
図6は、第1ヒーター30と第2ヒーター40とのうち第1ヒーター30のみに着目した場合の回路に相当する。
図5および
図6に示した回路では、第1ヒーター30の第1電極31および第2電極32を、それぞれ、1つのコンデンサーを構成する電極板と見なすことができる。なお、図示は省略するが、第2ヒーター40と液体Lqとによっても、
図5に示した回路と同様の回路が形成される。また、第1ヒーター30と第2ヒーター40とのうち第2ヒーター40のみに着目した場合の回路は、
図6に示した回路と同様である。
【0039】
図5および
図6に示したR
aは、第1ヒーター30の抵抗を表す。抵抗R
aには、電圧印加部80の内部抵抗、および、第1コイル34の寄生抵抗が含まれる。
図6に示したL
aは、第1ヒーター30のインダクタンスを表す。インダクタンスL
aには、
図5に示した第1コイル34のインダクタンスL
cおよび、第1ヒーター30の各電極の寄生インダクタンスが含まれる。
図5および
図6に示したC
aは、第1ヒーター30のキャパシタンスを表す。キャパシタンスC
aには、第1コイル34の寄生キャパシタンス、および、第1ヒーター30の各電極同士の間のキャパシタンスが含まれる。
図5および
図6に示したR
bは、メディアMd上に付着した液体Lqの電気抵抗を表す。
図5に示したC
b1は、第1電極31と液体Lqとの間の寄生キャパシタンスを表す。
図5に示したC
b2は、第2電極32と液体Lqとの間の寄生キャパシタンスを表す。
図6に示したC
bは、寄生キャパシタンスC
b1およびC
b2の和として表される。また、キャパシタンスC
aとキャパシタンスC
bとの和は、第1ヒーター30のキャパシタンスに相当する。
【0040】
メディアMd上の液体Lqが加熱されて乾燥が進行することによって、メディアMdの含水量が少なくなり、第1ヒーター30のキャパシタンスCaおよび液体Lqの抵抗Rbが変化する。より詳細には、乾燥の進行に伴う含水量の減少によりメディアMd上の液体Lqに含まれる水の厚みが減少することで、第1電極31および第2電極32によって構成されるコンデンサーのキャパシタンスが減少するため、キャパシタンスCaが減少する。この理由は、液体Lqに含まれる水の誘電率が、真空の誘電率よりも高いからである。また、乾燥の進行に伴う含水量の減少により液体Lqに含まれる水の質量分率が減少することで、液体Lqの導電率が低下するため、抵抗Rbが増加する。なお、実際には、液体Lqの乾燥によってキャパシタンスCbも減少するが、その減少幅は、キャパシタンスCaの減少幅や抵抗Rbの増加幅に比べて非常に小さいため無視できる。
【0041】
メディアMdに塗布された液体を乾燥させる際のヒーター20の共振周波数は、
図5や
図6に示した等価回路におけるヒーター20の共振周波数として表される。そのため、ヒーター20の共振周波数は、乾燥の進行によって変化する。より詳細には、上述したように、乾燥の進行に伴う含水量の減少によりキャパシタンスC
aが減少するので、ヒーター20の共振周波数は、乾燥の進行に伴って上昇する。以下では、このような乾燥の進行に伴うヒーター20の共振周波数の変化のことを、共振周波数のシフトとも呼ぶ。また、共振周波数のシフトによる共振周波数の変化幅のことを、共振周波数のシフト量とも呼ぶ。また、メディアMdに塗布された液体を乾燥させる際の第1ヒーター30の共振周波数のことを、第1共振周波数f
1とも呼ぶ。同様に、メディアMdに塗布された液体を乾燥させる際の第2ヒーター40の共振周波数のことを、第2共振周波数f
2とも呼ぶ。
【0042】
第1ヒーター30は、メディアMdの含水量が第1範囲にある場合の第1共振周波数f1と駆動周波数f0との差異が、含水量が第1範囲よりも少ない第2範囲にある場合の第1共振周波数f1と駆動周波数f0との差異に比べて小さくなるという第1条件を満たすように構成されている。メディアMdの含水量が第1範囲や第2範囲にある場合とは、メディアMdのうち、第1ヒーター30との間で上述した等価回路を形成する部分である第1部分の単位体積あたりに含まれる水の量が第1範囲や第2範囲にある場合のことを指す。この場合の「水の量」は、本実施形態では水の質量によって表されるが、他の実施形態では、例えば、水の体積や、質量や体積の基準値に対する水の質量や体積の割合によって表されてもよい。以下では、「第1部分の含水量」とは、特に断らない限り、「第1部分の単位体積あたりの含水量」のことを指す。本実施形態では、第1部分は、Z方向に沿って見たときに第1電極31と第2電極32との間に位置する部分に相当する。この「第1電極31と第2電極32との間の部分」には、第1電極31や第2電極32が設けられている部分が含まれる。
【0043】
また、本実施形態では、第2ヒーター40は、第1ヒーター30と同様に構成されることにより、メディアMdの含水量が第3範囲にある場合の第2共振周波数f2と駆動周波数f0との差異が、含水量が第3範囲よりも少ない第4範囲にある場合の第2共振周波数f2と駆動周波数f0との差異に比べて小さくなるという第3条件を満たすように構成されている。メディアMdの含水量が第3範囲や第4範囲にある場合とは、メディアMdのうち、第2ヒーター40との間で上述した等価回路を形成する部分である第2部分の単位体積あたりに含まれる水量が第3範囲や第4範囲にある場合のことを指す。以下では、「第2部分の含水量」とは、特に断らない限り、「第2部分の単位体積あたりの含水量」のことを指す。本実施形態では、第2部分は、Z方向に沿って見たときに第3電極41と第4電極42との間に位置する部分に相当する。「第3電極41と第4電極42との間の部分」には、第3電極41や第4電極42が設けられている部分が含まれる。
【0044】
図7は、乾燥度合いと第1共振周波数f
1との関係を示す説明図である。
図7には、横軸を乾燥度合いとし、縦軸を第1共振周波数f
1とする模式的なグラフが示されている。
図7における「乾燥度合い」は、メディアMdの第1部分における、現在の含水量と乾燥開始時点における含水量との差を表す。ある乾燥開始時点における含水量は、例えば、乾燥開始時点における第1部分の単位体積あたりの質量と、乾燥完了時点における第1部分の単位体積あたりの質量を表す乾燥質量との差として算出される。乾燥質量は、例えば、メディアMdを十分に乾燥させた場合の質量として算出される。第1共振周波数f
1は、例えば、ネットワークアナライザーを用いて測定される第1ヒーター30のインダクタンスおよびキャパシタンスに基づいて算出される。
【0045】
図7における乾燥度合いは、第1部分における含水量との間に負の相関を有するので、
図7は、第1部分における含水量と第1共振周波数f
1との関係を表しているとも言える。このように、含水量と乾燥度合いとが相関するので、乾燥の進行度がそれぞれ異なる2つのタイミングにおける含水量の大小を、各タイミングにおける含水量の大小を直接比較するのではなく、各タイミングにおける乾燥度合いの大小を比較することによっても判定できる。なお、「乾燥度合い」は、例えば、第1部分における現在の含水量と乾燥開始時点における含水量との比や、第1部分における現在の含水量の逆数、第1部分に塗布された液体を一定の条件下で乾燥させた場合の乾燥時間によって表されてもよい。
【0046】
本実施形態では、第1ヒーター30は、メディアMdの第1部分における含水量が、メディアMdに液体がベタ塗りされた場合の含水量に相当するベタ塗り相当含水量である場合に、第1共振周波数f
1と駆動周波数f
0とが一致するように構成されている。メディアMdに液体がベタ塗りされた場合とは、メディアMdの一面のうち少なくとも一部の範囲に、液体が隙間無く塗布された状態のことを指す。より詳細には、本実施形態におけるベタ塗り相当含水量は、液体吐出部210でメディアMdに複数色のベタ印刷を行った直後における、メディアMdの第1部分における単位体積あたりの含水量として定義されている。ベタ印刷とは、画像を構成するすべての画素にドットを形成し、メディアMdの地色の部分が残らないように印刷することを指す。
図7では、乾燥度合いがゼロ、つまり、乾燥開始時点における水分量が、ベタ塗り相当含水量に相当する。これにより、本実施形態では、乾燥開始時においてメディアMdの第1部分における含水量がベタ塗り相当含水量以下である場合、乾燥が進行するほど、つまり、第1部分における含水量が減少するほど、第1共振周波数f
1と駆動周波数f
0との差異が大きくなる。第1共振周波数f
1と駆動周波数f
0とが一致するという場合、第1共振周波数f
1と駆動周波数f
0とは、完全に一致していなくてもよい。より詳細には、第1共振周波数f
1と駆動周波数f
0とは、駆動周波数f
0に対する第1共振周波数f
1と駆動周波数f
0との差の割合が±1.0%の範囲で一致していればよく、±0.5%の範囲で一致しているとより好ましく、±0.1%以内の範囲で一致していると更に好ましい。また、他の実施形態では、ベタ塗り相当含水量は、例えば、液体吐出部210でメディアMdにブラック色等の単色のベタ印刷を行った直後における、メディアMdの第1部分における単位体積あたりの含水量として定義されてもよい。
【0047】
図8は、乾燥度合いと第1ヒーター30による加熱量との関係を示す説明図である。
図8には、横軸を乾燥度合いとし、縦軸を第1ヒーター30による加熱量とする模式的なグラフが示されている。第1ヒーター30は、第1部分における含水量が第1範囲にある場合の加熱量が、第1部分における含水量が第2範囲にある場合の加熱量よりも大きくなるという第2条件を満たすように構成されている。より詳細には、本実施形態では、
図8に示すように、乾燥が進行するほど、つまり、第1部分における含水量が減少するほど、第1ヒーター30による加熱量が小さくなる。なお、含水量が第1範囲にある場合と第2範囲にある場合とのそれぞれの場合における第1ヒーター30による加熱量の大小を、例えば、含水量が第1範囲や第2範囲にある綿布を、それぞれ同じ温度から、同じ電力出力で同じ時間だけ加熱した場合の温度の高低を比較することによって、比較できる。また、本実施形態では、第2ヒーター40は、第1ヒーター30と同様に構成されることにより、第2部分における含水量が第3範囲にある場合の加熱量が、第2部分における含水量が第4範囲にある場合の加熱量よりも大きくなるという第4条件を満たすように構成されている。
【0048】
乾燥の進行に伴う第1共振周波数f
1のシフト量の増加は、第1ヒーター30による加熱量の減少に寄与する。この理由は、第1共振周波数f
1と駆動周波数f
0との差異がより大きくなることで、第1ヒーター30のインピーダンスがより増大するからである。一方で、
図5および
図6を用いて説明した、乾燥の進行に伴う含水量の増加によるメディアMd上の液体Lqの抵抗R
bの増加は、第1ヒーター30による加熱量の増加に寄与する。この理由は、抵抗R
bが増加することにより、等価回路において液体Lqの抵抗成分を介して流れる電流が減少するため、等価回路におけるQ値が上昇するからである。本実施形態では、上記の第1共振周波数f
1のシフトによる加熱量の減少幅が、上記の抵抗R
bの増加による加熱量の増加幅を上回るように第1ヒーター30が構成されることによって、第2条件が満たされている。
【0049】
第1共振周波数f
1のシフト量を、
図5および
図6に示した等価回路における第1ヒーター30のキャパシタンスに対するキャパシタンスC
bの比をより大きくすることにより、大きくできる。第1ヒーター30のキャパシタンスに対するキャパシタンスC
bの比をより大きくすることは、第1電極31と第2電極32との近傍領域に形成される近傍電界に対する液体Lqの誘電率の影響を大きくすることに相当し、近傍電界を電気力線によって表した場合に、液体Lqを通る電気力線の割合を増やすことに相当する。
【0050】
図9は、第1電極31の厚さt1や第2電極32の厚さt2の調整を説明する模式図である。例えば、
図9に示すように厚さt1や厚さt2を調整することにより、第1共振周波数f
1のシフト量を調整できる。より詳細には、第1共振周波数f
1のシフト量を大きくするためには、つまり、液体Lqを通る電気力線Eqの割合を増やすためには、電気力線Eqの本数が液体Lqを通らない電気力線Enの本数に対して相対的に増えるように、厚さt1や厚さt2を調整する。
図9は、厚さt1および厚さt2を大きくすることにより電気力線Eqの割合を増やした例を示している。一般的には、
図9に示すように、厚さt1や厚さt2をより厚くすることにより、電気力線Eqの本数をより増やすことができる。ただし、厚さt1や厚さt2を厚くしすぎた場合、電気力線Enの本数が増えることで、電気力線Eqの割合が減る場合がある。本実施形態では、厚さt1や厚さt2は、例えば、0.1mm以上かつ2.0mm以下に調整されると好ましい。
【0051】
図10は、第1電極31と第2電極32との間の距離dの調整を説明する図である。なお、
図10におけるより太い破線の矢印は、より細い破線の矢印よりも電気力線の本数が多いことを表している。
図10は、液体Lqを通る電気力線Eqの割合が増える範囲で距離dを短くすることにより、第1共振周波数f1のシフト量を大きくした例を示している。
図10に示すように距離dを調整することによっても、第1共振周波数f
1のシフト量を調整できる。
【0052】
図11は、第1電極31の幅W1や第2電極32の幅W2の調整を説明する図である。
図11に示すように幅W1や幅W2を調整することによっても、第1共振周波数f
1のシフト量を調整できる。この場合、幅W1や幅W2を狭くすることにより、電気力線を液体Lq付近に集中させやすくなるため、電気力線Enの本数を増やすことができ、第1共振周波数f1のシフト量を大きくできる。
図11は、幅W2を狭くすることにより、第1共振周波数f1のシフト量を大きくした例を示している。
【0053】
また、上述した抵抗R
bの増加による加熱量の増加幅を、例えば、インダクタンスを保持しつつ第1コイル34の寄生抵抗を小さくすることにより小さくできる。この理由は、
図5および
図6に示した等価回路における抵抗R
aが小さくなるので、等価回路におけるQ値が大きくなり、等価回路におけるQ値に対する抵抗R
bの寄与が相対的に小さくなるからである。この場合、例えば、第1コイル34の巻き線の径を大きくすることや、第1コイル34の巻き線同士のピッチを大きくすることにより、第1コイル34の寄生抵抗を小さくできる。また、上述したように、電圧印加部80をスイッチング回路81によって構成することで、電圧印加部80をB級アンプ等のアナログアンプやトランスを有する高周波電源回路によって構成する場合と比較して、電圧印加部80の内部抵抗を小さくできるので、
図5および
図6に示した等価回路の抵抗R
aを小さくできる。これによっても、抵抗R
bの増加による加熱量の増加幅を小さくできる。
【0054】
上記のように抵抗Rbの増加による加熱量の増加幅を小さくする場合、メディアMdの乾燥完了後における第1ヒーター30による液体の加熱量が液体の冷却量以下となるように、第1ヒーター30を構成するとより好ましい。メディアMdの乾燥が完了するタイミングは、例えば、メディアMdの第1部分の含水量が予め定められた含水量以下となるタイミングとして定められる。液体の冷却量は、例えば、上述したように送風機が設けられている場合、送風機による冷却を加味した冷却量となる。これにより、乾燥完了後のメディアMdの過剰な加熱を抑制できる。
【0055】
以上で説明した第1実施形態における誘電加熱装置100によれば、第1ヒーター30は、メディアMdの含水量が第1範囲にある場合の第1ヒーター30の共振周波数と駆動周波数f0との差異が、含水量が第1範囲よりも少ない第2範囲にある場合の第1ヒーター30の共振周波数と駆動周波数f0との差異に比べて小さくなるように、かつ、含水量が第1範囲にある場合の第1ヒーター30の加熱量が、含水量が第2範囲にある場合の加熱量よりも大きくなるように構成されている。これにより、第1ヒーター30に印加される交流電力の出力をメディアMdの含水量に基づいて制御しなくても、含水量が第2範囲よりも多い第1範囲にある場合に、第1ヒーター30によってメディアMdをより大きい加熱量で加熱でき、含水量が第1範囲よりも少ない第2範囲にある場合に、第1ヒーター30によってメディアMdをより小さい加熱量で加熱できる。そのため、メディアMdの含水量を測定するセンサーを設けることなく、メディアMdに付着した液体を均一に乾燥させることができる。
【0056】
また、本実施形態では、電圧印加部80は、第2ヒーター40の第3電極41および第4電極42に駆動周波数f0の交流電圧を印加し、第2ヒーター40は、メディアMdの含水量が第3範囲にある場合の第2ヒーター40の共振周波数と駆動周波数f0との差異が、含水量が第3範囲よりも少ない第4範囲にある場合の第2ヒーター40の共振周波数と駆動周波数f0との差異に比べて小さくなるように、かつ、含水量が第3範囲にある場合の第2ヒーター40の加熱量が、含水量が第4範囲にある場合の加熱量よりも大きくなるように構成されている。これにより、第2ヒーター40においても、第1ヒーター30における場合と同様に、第2ヒーター40に印加される交流電力の出力をメディアMdの含水量に基づいて制御しなくても、含水量が第4範囲よりも多い第3範囲にある場合に、メディアMdをより大きい加熱量で加熱でき、含水量が第3範囲よりも少ない第4範囲にある場合にメディアMdをより小さい加熱量で加熱できる。そのため、第1ヒーター30および第2ヒーター40が設けられている形態において、第1ヒーター30に印加される電力の出力と、第2ヒーター40に印加される電力の出力とを個別に制御しなくても、メディアMdに付着した液体を均一に乾燥させることができる。
【0057】
また、本実施形態では、第1ヒーター30と第2ヒーター40とは、第1方向であるZ方向に直交し、かつ、第2方向であるY方向と交差する第3方向に沿って並んで配置されている。そのため、メディアMdの第3方向における乾燥度合いのばらつきを抑制できる。
【0058】
また、本実施形態では、電圧印加部80は、直流電源150の直流電圧をスイッチングして駆動周波数f0の交流電圧に変換するスイッチング回路81を有する。これにより、電圧印加部80がアナログアンプやトランスを有する高周波電源回路によって構成されている場合と比較して、電圧印加部80の内部抵抗を小さくできるので、電力効率を向上できる可能性が高まる。また、乾燥の進行に伴う、メディアMdに付着した液体の抵抗Rbの増加による加熱量の増加幅を小さくできるので、含水量が第2範囲にある場合の加熱量に対して、含水量が第1範囲にある場合の加熱量をより大きくできる。
【0059】
また、本実施形態では、第1ヒーター30は、含水量がベタ塗り相当含水量に相当する場合に、第1共振周波数f1と駆動周波数f0とが一致するように構成されている。これによれば、含水量がベタ塗り相当含水量以下のメディアMd上の液体を第1ヒーター30によって乾燥させる場合に、乾燥が進行するほど、第1共振周波数f1と駆動周波数f0との差異を大きくできる。そのため、メディアMdの乾燥度合いのばらつきをより抑制できる。
【0060】
B.他の実施形態:
(B-1)上記実施形態では、誘電加熱装置100は、第1ヒーター30および第2ヒーター40を備えている。これに対して、誘電加熱装置100は、例えば、第1ヒーター30のみを備えていてもよい。また、誘電加熱装置100は、例えば、第1ヒーター30および第2ヒーター40に加え、1又は複数の他のヒーター20を備えていてもよい。
【0061】
(B-2)上記実施形態では、第1ヒーター30および第2ヒーター40には、単一の電圧印加部80によって駆動周波数f0の交流電圧が印加されている。これに対して、例えば、それぞれ別体に構成された2つの電圧印加部80が、それぞれ、第1ヒーター30と第2ヒーター40とに駆動周波数f0の交流電圧を印加してもよい。
【0062】
(B-3)上記実施形態では、電圧印加部80は、直流電源150の直流電圧をスイッチングして駆動周波数f0の交流電圧に変換するスイッチング回路81を有するインバーターとして構成されている。これに対して、電圧印加部80は、スイッチング回路81を有していなくてもよく、例えば、アナログアンプやトランスを有する高周波電源回路によって構成されていてもよい。
【0063】
(B-4)上記実施形態では、第1ヒーター30は、含水量がベタ塗り相当含水量に相当する場合に、第1共振周波数f1と駆動周波数f0とが一致するように構成されている。これに対して、第1ヒーター30は、第1条件および第2条件を満たすように構成されていれば、含水量がベタ塗り相当含水量に相当する場合に第1共振周波数f1と駆動周波数f0とが一致するように構成されていなくてもよい。例えば、第1ヒーター30は、含水量がベタ塗り相当含水量よりも少ない含水量に相当する場合に、第1共振周波数f1と駆動周波数f0とが一致するように構成されていてもよい。同様に、第2ヒーター40は、第3条件および第4条件を満たすように構成されていれば、含水量がベタ塗り相当含水量に相当する場合に第2共振周波数f2と駆動周波数f0とが一致するように構成されていなくてもよい。
【0064】
(B-5)上記実施形態では、第2電極32が、Z方向に沿って見たときに第1電極31を取り囲むように配置されている。これに対して、例えば、第1電極31および第2電極32は、Z方向に沿って見たときに互いに隣り合うように配置されてもよいし、Z方向において第1電極31と第2電極32とによってメディアMdを挟むように配置されてもよい。この場合、第1電極31および第2電極32の形状は任意であってよく、円形状や長円形状、矩形状、多角形状等であってもよい。また、Z方向に沿って見たときに、第1電極31および第2電極32の面積は、互いに同じであってもよいし異なっていてもよい。Z方向に沿って見たときに、第1電極31および第2電極32は、互いに重ならないように配置されると好ましい。同様に、第3電極41および第4電極42が、例えば、Z方向に沿って見たときに互いに隣り合うように配置されてもよいし、Z方向において第3電極41と第4電極42とによってメディアMdを挟むように配置されてもよい。
【0065】
(B-6)上記実施形態では、メディアMdは、液体吐出装置205から誘電加熱装置100へと連続的に搬送される。このようにメディアMdが液体吐出装置205から誘電加熱装置100へと連続的に搬送される場合、搬送部320は、例えば、誘電加熱装置100と液体吐出装置205とに共通の搬送部のみを有していてもよい。また、メディアMdは、液体吐出装置205から誘電加熱装置100へと連続的に搬送されなくてもよい。例えば、液体吐出装置205によって液体が塗布されたメディアMdを一旦ロール状に巻き取った後、メディアMdをロボット等によって誘電加熱装置100へと移動させてもよい。この場合、誘電加熱装置100において、例えば、ロール状に巻き取られたメディアMdを巻き出しながら、第2搬送部322等によってメディアMdを搬送しつつメディアMdを加熱できる。
【0066】
(B-7)上記実施形態では、ヒーター20は、第3方向に往復移動可能に構成されていてもよい。例えば、ヒーター20を、ベルト機構やボールネジ機構によって構成された図示しない駆動部によって支持するとともに、X方向に往復移動させてもよい。
【0067】
(B-8)上記実施形態では、駆動周波数f0として13.56MHzの周波数が用いられている。これに対して、駆動周波数f0として13.56MHzの周波数が用いられなくてもよく、例えば、他のISMバンドである、40.68MHzや2.45GHz、5.8GHz等の周波数が用いられてもよい。また、駆動周波数f0は、ヒーター20によってメディアMdに付着した液体を加熱できる周波数であれば高周波でなくてもよい。この場合、駆動周波数f0は、例えば、100kHz以上1MHz未満であると好ましい。
【0068】
(B-9)上記実施形態では、誘電加熱装置100は、液体吐出システム200に組み込まれている。これに対して、誘電加熱装置100が液体吐出システム200に組み込まれていなくてもよく、例えば、誘電加熱装置100のみが単独で用いられてもよい。
【0069】
C.他の形態:
本開示は、上述した実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実現することができる。例えば、本開示は、以下の形態によっても実現可能である。以下に記載した各形態中の技術的特徴に対応する上記実施形態中の技術的特徴は、本開示の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、本開示の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0070】
(1)本開示の第1の形態によれば、誘電加熱装置が提供される。この誘電加熱装置は、水を含有する液体が付着したメディアと対向する第1電極および第2電極と、前記第1電極と電気的に直列に接続された第1コイルと、を有し、前記液体を加熱して乾燥させる第1ヒーターと、前記第1電極および前記第2電極に、予め定められた駆動周波数の交流電圧を印加する電圧印加部と、を備える。前記第1ヒーターは、前記メディアの含水量が第1範囲にある場合の前記第1ヒーターの共振周波数と前記駆動周波数との差異が、前記含水量が前記第1範囲よりも少ない第2範囲にある場合の前記第1ヒーターの共振周波数と前記駆動周波数との差異に比べて小さくなるように、かつ、前記含水量が前記第1範囲にある場合の加熱量が、前記含水量が前記第2範囲にある場合の加熱量よりも大きくなるように構成されている。
このような形態によれば、第1ヒーターに印加される交流電力の出力をメディアの含水量に基づいて制御しなくても、含水量が第2範囲よりも多い第1範囲にある場合に、第1ヒーターによってメディアをより大きい加熱量で加熱でき、含水量が第1範囲よりも少ない第2範囲にある場合に、第1ヒーターによってメディアをより小さい加熱量で加熱できる。そのため、メディアの含水量を測定するセンサーを設けることなく、メディアに付着した液体を均一に乾燥させることができる。
【0071】
(2)上記形態では、前記メディアと対向する第3電極および第4電極と、前記第3電極と電気的に直列に接続された第2コイルと、を有し、前記液体を加熱して乾燥させる第2ヒーターを備え、前記電圧印加部は、前記第3電極および前記第4電極に前記駆動周波数の交流電圧を印加し、前記第2ヒーターは、前記含水量が第3範囲にある場合の前記第2ヒーターの共振周波数と前記駆動周波数との差異が、前記含水量が前記第3範囲よりも少ない第4範囲にある場合の前記第2ヒーターの共振周波数と前記駆動周波数との差異に比べて小さくなるように、かつ、前記含水量が前記第3範囲にある場合の加熱量が、前記含水量が前記第4範囲にある場合の加熱量よりも大きくなるように構成されていてもよい。このような形態によれば、第1ヒーターおよび第2ヒーターが設けられる形態において、第1ヒーターに印加される電力の出力と、第2ヒーターに印加される電力の出力とを個別に制御しなくても、メディアに付着した液体を均一に乾燥させることができる。
【0072】
(3)上記形態では、前記第1電極、前記第2電極、前記第3電極および前記第4電極は、第1方向に搬送される前記メディアに対して、それぞれ、前記第1方向と直交する第2方向に対向し、前記第1ヒーターと前記第2ヒーターとは、前記第1方向と直交し、かつ、前記第2方向と交差する第3方向に沿って並んで配置されてもよい。このような形態によれば、メディア上の液体の、第3方向における乾燥度合いのばらつきを抑制できる。
【0073】
(4)上記形態では、前記電圧印加部は、直流電源の直流電圧をスイッチングして前記駆動周波数の交流電圧に変換するスイッチング回路を有していてもよい。このような形態によれば、電圧印加部が、例えば、アナログアンプやトランスを有する高周波電源回路によって構成されている場合と比較して、電圧印加部を小型化できる可能性や、電力効率を向上できる可能性が高まる。
【0074】
(5)上記形態では、前記第1ヒーターは、前記含水量が、前記メディアに前記液体がベタ塗りされた場合の含水量に相当する場合に、前記第1ヒーターの共振周波数と前記駆動周波数とが一致するように構成されていてもよい。このような形態によれば、その含水量が、液体がベタ塗りされた場合の含水量に相当する含水量以下であるメディア上の液体を第1ヒーターによって乾燥させる場合に、乾燥が進行するほど、第1ヒーターの共振周波数と駆動周波数との差異を大きくできる。そのため、メディア上の液体の乾燥度合いのばらつきをより抑制できる。
【0075】
(6)本開示の第2の形態によれば、液体吐出システムが提供される。この液体吐出システムは、上記形態の誘電加熱装置と、前記メディアに前記液体を吐出して塗布する液体吐出部と、を備え、前記第1ヒーターは、前記液体吐出部によって前記液体が塗布された前記メディアを加熱する。
【0076】
(7)本開示の第3の形態によれば、水を含有する液体が付着したメディアと対向し、予め定められた駆動周波数の交流電圧が印加される第1電極および第2電極と、前記第1電極と電気的に直列に接続された第1コイルと、を備え、前記メディアの含水量が第1範囲にある場合の共振周波数と前記駆動周波数との差異が、前記含水量が前記第1範囲よりも少ない第2範囲にある場合の共振周波数と前記駆動周波数との差異に比べて小さくなるように、かつ、前記含水量が前記第1範囲にある場合の加熱量が、前記含水量が前記第2範囲にある場合の加熱量よりも大きくなるように構成されたヒーターによって加熱される前記液体を前記メディア上に塗布する液体吐出装置が提供される。この液体吐出装置は、前記メディアを搬送する搬送部と、前記メディアに前記液体を吐出して塗布する液体吐出部と、前記搬送部および前記液体吐出部を制御する制御部と、を備える。
【符号の説明】
【0077】
20…ヒーター、30…第1ヒーター、31…第1電極、32…第2電極、33…接続部材、34…第1コイル、35…第1電線、40…第2ヒーター、41…第3電極、42…第4電極、44…第2コイル、80…電圧印加部、81…スイッチング回路、82…スイッチング素子、83…ツェナーダイオード、100…誘電加熱装置、110…基板、150…直流電源、180…第2制御部、200…液体吐出システム、205…液体吐出装置、210…液体吐出部、250…第1制御部、320…搬送部、321…第1搬送部、322…第2搬送部、323…ローラー