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特開2024-52758医療デバイスにおける能動的な電力管理のためのシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052758
(43)【公開日】2024-04-12
(54)【発明の名称】医療デバイスにおける能動的な電力管理のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/16 20060101AFI20240405BHJP
【FI】
A61M16/16 A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024017448
(22)【出願日】2024-02-07
(62)【分割の表示】P 2021520955の分割
【原出願日】2019-10-14
(31)【優先権主張番号】62/745,909
(32)【優先日】2018-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/856,348
(32)【優先日】2019-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500046450
【氏名又は名称】レスメド・プロプライエタリー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・ロデリック・バス
(72)【発明者】
【氏名】ルディ・ヴォーン
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・クルーゾ
(72)【発明者】
【氏名】ドミトリ・アナトリーヴィッチ・ドゥドキン
(72)【発明者】
【氏名】マイク・ジュ
(72)【発明者】
【氏名】アダム・パナレッロ
(57)【要約】
【課題】医療デバイスにおける能動的な電力管理のためのシステムおよび方法。
【解決手段】呼吸治療デバイスは、呼吸可能なガスの流れを患者へ提供する送風機と、1つ以上のアクセサリデバイスとを含む。呼吸治療デバイスは、送風機およびアクセサリデバイスの同時給電には電力が不十分である電力ソースからの電力を分配するための能動的な電力管理を含む。能動的な電力管理により、送風機への電力が優先され、送風機およびアクセサリデバイスの電流測定に基づいて、電源の容量において引き出された電力または電源の容量を下回って引き出された電力の合計を保持するように、アクセサリデバイスへ供給される電力が制限される。さらなる電力が利用可能である場合、送風機の電力消費の低下に起因して、1つ以上のアクセサリデバイスへ電力が供給されない場合を補償できるように、1つ以上のアクセサリデバイスへの電力が目標を超えて上昇される。
【選択図】図5D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸治療装置であって、
電源と、
空気流れを生成するように構成された圧力生成器と、
前記生成された空気流れを加熱するように構成された加熱要素と、
前記空気流れの特性を示すセンサ信号を生成するように構成された1つ以上のセンサと、
処理システムであって、
前記センサ信号を受信すること、
前記受信されたセンサ信号に基づいて、前記加熱要素の制御のための制御信号を決定すること、
前記圧力生成器によって引き出された電流に対応する信号を受信すること、
前記加熱要素によって引き出された電流に対応する信号を受信すること、
(1)前記圧力生成器によって引き出された電流に対応する信号、(2)前記加熱要素によって引き出された電流に対応する信号、(3)前記加熱要素についての前記決定された制御信号、および(4)前記電源の電力に基づいて、前記加熱要素の制御のための新規の制御信号を生成すること、および
前記加熱要素の制御のための前記新規の制御信号を用いて前記加熱要素の動作を制御すること、を行うように構成された、処理システムと、を含む、呼吸治療装置。
【請求項2】
前記圧力生成器および前記加熱要素によって共に引き出され得る電力は、前記電源の可能出力を超える、請求項1の呼吸治療装置。
【請求項3】
前記圧力生成器によって引き出される電流と前記加熱要素が前記加熱要素についての前記決定された制御信号を用いて引き出すであろう電流との合計が前記電源の最大電流を超える場合、前記決定された制御信号によって引き出されるであろう電流よりも低い電流を前記新規の制御信号により前記加熱要素に引き出させるように、前記新規の制御信号を生成する請求項1の呼吸治療装置。
【請求項4】
前記圧力生成器によって引き出される電流と前記加熱要素が前記加熱要素についての前記決定された制御信号を用いて引き出すであろう電流との合計が前記電源の最大電流を超えない場合、前記決定された制御信号によって引き出されるであろう電流よりも高い電流を前記新規の制御信号により前記加熱要素に引き出させるように、前記新規の制御信号を生成する、請求項1の呼吸治療装置。
【請求項5】
前記1つ以上のセンサのうち少なくとも1つは、前記空気流の温度を示すセンサ信号を生成するように構成され、前記処理システムは、前記空気流の温度を示すセンサ信号に基づいて前記圧力生成器を制御するようにさらに構成され、前記空気流れは、流れ生成器へ連結された管を介して患者インターフェースへ送達される、請求項1の呼吸治療装置。
【請求項6】
前記1つ以上のセンサのうち少なくとも1つは、前記空気流の圧力を示すセンサ信号を生成するように構成された圧力センサであり、前記加熱要素の制御のための前記制御信号は、前記空気流の圧力を示すセンサ信号に基づいて決定される、請求項1の呼吸治療装置。
【請求項7】
前記1つ以上のセンサのうち少なくとも1つは、前記空気流の流れを示すセンサ信号を生成するように構成された流れセンサであり、前記処理システムは、前記空気流の流れを示すセンサ信号に基づいて前記圧力生成器を制御するように構成され、前記加熱要素の制御のための前記制御信号は、前記空気流の流れを示すセンサ信号に基づいて決定される、請求項1の呼吸治療装置。
【請求項8】
前記加熱要素の制御のための前記生成された制御信号は、ある期間における熱不足を蓄積させ、前記蓄積された熱不足を後続期間において返還させるように制御される、請求項1の呼吸治療装置。
【請求項9】
前記加熱要素の制御のための前記生成された制御信号は、第1の期間において前記加熱要素によって生成される熱を低下させ、前記第1の期間の後の第2の期間において前記加熱要素によって生成される熱を上昇させる、請求項1の呼吸治療装置。
【請求項10】
前記第1の期間において、前記電源の電力は、前記圧力生成器および前記加熱要素によって消費される電力よりも低く、かつ/または、前記第2の期間において、前記電源の電力は、前記圧力生成器および前記加熱要素によって消費される電力を超える、請求項9の呼吸治療装置。
【請求項11】
患者における呼吸障害を治療する装置であって、
電源と、
前記呼吸障害の治療のための呼吸可能なガスの流れを生成するように構成された圧力生成器と、
前記呼吸可能なガスの加湿のための給水を保存しかつ前記給水を加熱するように構成された第1の加熱要素を含むように構成された加湿器と、
前記加湿された呼吸可能なガスを前記患者へ送達させるように構成されたホース内の前記加湿された呼吸可能なガスを加熱するように構成された第2の加熱要素と、
呼吸可能なガスの流れの特性を示す流れ信号を生成するように構成された変換器と、
コントローラであって、
前記流れ信号に基づいて、前記第1の加熱要素の制御のための第1の制御信号および前記第2の加熱要素の制御のための第2の制御信号を決定すること、
(1)前記圧力生成器の動作時において測定された前記圧力生成器によって引き出された電流、(2)前記第1の制御信号、および(3)前記第2の制御信号に基づいて、前記装置によって用いられる予定の電力が前記電源のピーク電力を超えるかを決定すること、
前記装置によって用いられる予定の電力が前記電源のピーク電力を超えると決定された場合、前記第1の加熱要素および/または前記第2の加熱要素によって用いられる電力を低下させるように前記第1の制御信号および/または前記第2の制御信号を変更すること、および
前記装置によって用いられる予定の電力が前記電源のピーク電力を超えないと決定された場合、前記第1の加熱要素および/または前記第2の加熱要素によって用いられる電力を上昇させるように前記第1の制御信号および/または前記第2の制御信号を変更することを行うように構成される、コントローラと、を含む、装置。
【請求項12】
前記第1の制御信号および第2の制御信号は、パルス幅変調信号である、請求項11の装置。
【請求項13】
前記第1の制御信号は、第1のパルス幅変調信号であり、前記第2の制御信号は、前記第1のパルス幅変調制御信号から時間オフセットされる第2のパルス幅変調信号である、請求項8の装置。
【請求項14】
前記装置によって用いられる予定の電力が前記電源のピーク電力を超えないと決定された場合、前記第1の制御信号および前記第2の制御信号の変更を、前記第1の加熱要素および前記第2の加熱要素によって用いられる電力を前記第2の加熱要素が優先される様態で上昇させるように行う、請求項11の装置。
【請求項15】
前記装置によって用いられる予定の電力が前記電源のピーク電力を超えると決定された場合、前記第2の加熱要素が優先される様態で前記第1の加熱要素および/または前記第2の加熱要素によって用いられる電力を低下させるように、前記第1の制御信号および/または前記第2の制御信号を変更する、請求項11の装置。
【請求項16】
前記第1の制御信号は、前記第2の加熱要素の動作を制御するように構成された比例コントローラ、比例微分コントローラまたは比例積分コントローラへ設けられた第1の電流セットポイントであり、前記第2の制御信号は、前記第2の加熱要素の動作を制御するように構成された比例コントローラ、比例微分コントローラまたは比例積分コントローラへ設けられた第2の電流セットポイントである、請求項11の装置。
【請求項17】
前記装置によって用いられる予定の電力が前記電源のピーク電力を超えるかを決定することは、(1)前記第1の加熱要素および第2の加熱要素によって引き出される電流無しに前記装置によって引き出される電流と、(2)前記第1の加熱要素が前記決定された第1の制御信号を用いて引き出し得るであろう電流と、(3)前記第2の加熱要素が前記決定された第2の制御信号を用いて引き出すであろう電流との合計が、前記電源から提供可能な最大電流を超えるかを決定することを含む、請求項11の装置。
【請求項18】
前記流れ信号は、前記装置の使用時における患者の呼吸サイクルに対応し、前記第1の制御信号および前記第2の制御信号は、前記流れ信号に基づいて前記第1の加熱要素および前記第2の加熱要素のピーク電力動作のオフセットを制御するように決定される、請求項11の装置。
【請求項19】
前記電源の電力は、前記圧力生成器、前記第1の加熱要素および前記第2の加熱要素によって同時に引き出される電力よりも低い、請求項11の装置。
【請求項20】
呼吸治療デバイスであって、
呼吸可能なガスの流れを患者へ提供するように構成された流れ生成器と、
管ヒータおよび加湿器ヒータを含むアクセサリ装置と、
電源と、
前記流れ生成器、前記アクセサリ装置および前記電源へ連結されたコントローラであって、前記コントローラは、
前記流れ生成器、送達管ヒータおよび前記加湿器ヒータの動作を制御すること、
前記送達管ヒータの制御のための第1のパルス幅変調制御信号および前記加湿器ヒータの制御のための第2のパルス幅変調制御信号を決定すること、および
前記電源の定格電流が、前記流れ生成器と、前記決定された第1のパルス幅変調制御信号が前記送達管ヒータへ付加されるときの前記送達管ヒータと、前記決定された第2のパルス幅変調制御信号が前記加湿器ヒータへ付加されるときの前記加湿器ヒータとによって引き出されるであろう電流を超えないと決定された場合、前記第1のパルス幅変調制御信号および前記第2のパルス幅変調制御信号のデューティサイクルを増加させること、を行うように構成される、コントローラと、を含む、呼吸治療デバイス。
【請求項21】
前記コントローラは、前記電源の定格電流が、前記流れ生成器と、前記決定された第1のパルス幅変調制御信号が前記送達管ヒータへ付加されるときの前記送達管ヒータと、前記決定された第2のパルス幅変調制御信号が前記加湿器ヒータへ付加されるときの前記加湿器ヒータとによって引き出されるであろう電流を超えると決定された場合、前記第1のパルス幅変調制御信号および前記第2のパルス幅変調制御信号のデューティサイクルを低下させること、を行うようにさらに構成される、請求項20の呼吸治療デバイス。
【請求項22】
前記第1のパルス幅変調制御信号は、前記第2のパルス幅変調制御信号から時間オフセットされる、請求項21の呼吸治療デバイス。
【請求項23】
呼吸疾患の治療のための呼吸可能なガスの流れを生成する呼吸治療装置を動作させる方法であって、
空気流れの特性を変換器を用いて測定することと、
コントローラによってかつ前記測定された特性に基づいて、前記呼吸疾患の治療のための呼吸可能なガスの流れを生成するように構成された圧力生成器の制御のための第1の制御信号、前記呼吸可能なガスの加湿のための給水を保存するように構成された加湿器内に配置された第1の加熱要素の制御のための第2の制御信号、および前記加湿された呼吸可能なガスを患者へ送達させるように構成されたホース中の前記加湿された呼吸可能なガスを加熱するように構成された第2の加熱要素の制御のための第3の制御信号を決定することと、
前記コントローラによってかつ(1)前記第1の制御信号を用いた前記圧力生成器の制御時において測定された前記圧力生成器によって引き出された電流、(2)前記第2の制御信号、および(3)前記第3の制御信号に基づいて、前記呼吸治療装置によって用いられる予定の電力が前記呼吸治療装置の給電に用いられる電源のピーク電力を超えるかを決定することと、
前記呼吸治療装置によって用いられる予定の電力が前記電源のピーク電力を超えると決定された場合、前記第1の加熱要素および/または前記第2の加熱要素によって用いられる電力が低下するように前記第2の制御信号および/または前記第3の制御信号を前記コントローラによって変更することと、
前記呼吸治療装置によって用いられる予定の電力が前記電源のピーク電力を超えないと決定された場合、前記第1の加熱要素および/または前記第2の加熱要素によって用いられる電力を上昇させるように前記第2の制御信号および/または前記第3の制御信号を前記コントローラによって変更することと、を含む、方法。
【請求項24】
呼吸疾患の治療のための呼吸可能なガスの流れを生成するように構成された呼吸治療装置の制御のための情報処理プログラムを内部に保存した非一時的な記憶媒体であって、前記プログラムが実行されると、
呼吸可能なガスの流れの特性を変換器から受信することと、
前記呼吸可能なガスの流れの特性に基づいて、前記呼吸可能なガスの流れを生成するように構成された圧力生成器の制御のための第1の制御信号、前記呼吸可能なガスの加湿のための給水を保存するように構成された加湿器内に配置された第1の加熱要素の制御のための第2の制御信号、および前記加湿された呼吸可能なガスを患者へ送達させるように構成されたホース中の前記加湿された呼吸可能なガスを加熱するように構成された第2の加熱要素の制御のための第3の制御信号を決定することと、
(1)前記第1の制御信号を用いた前記圧力生成器の制御時において測定された前記圧力生成器によって引き出された電流、(2)前記第2の制御信号、および(3)前記第3の制御信号に基づいて、前記呼吸治療装置によって用いられる予定の電力が前記呼吸治療装置の給電に用いられる電源のピーク電力を超えるかを決定することと、
前記呼吸治療装置によって用いられる予定の電力が前記電源のピーク電力を超えると決定された場合、前記第1の加熱要素および/または前記第2の加熱要素によって用いられる電力を低下させるように前記第2の制御信号および/または前記第3の制御信号を変更することと、
前記装置によって用いられる予定の電力が前記電源のピーク電力を超えないと決定された場合、前記第1の加熱要素および/または前記第2の加熱要素によって用いられる電力を上昇させるように前記第2の制御信号および/または前記第3の制御信号を変更することと、を呼吸治療装置に行わせる、非一時的な記憶媒体。
【請求項25】
呼吸治療デバイスであって、
電源と、
呼吸可能なガスの流れを患者へ提供するように構成された流れ生成器と、
1つ以上の加熱要素と、
少なくとも1つのプロセッサを含む処理システムであって、前記処理システムは、前記1つ以上の加熱要素の制御のための加熱制御信号および前記流れ生成器の制御のための流れ制御信号を決定するように構成される、処理システムと、
ハードウェア回路機構であって、
前記1つ以上の加熱要素の制御のための加熱制御信号を受信すること、
前記流れ生成器および前記1つ以上の加熱要素の動作に基づいて、合計電力消費を示す電力消費信号を決定すること、および
前記電力消費信号に基づいて、前記1つ以上の加熱要素の制御のための変更された加熱制御信号を出力すること、を行うように構成される、ハードウェア回路機構と、を含む、呼吸治療デバイス。
【請求項26】
前記ハードウェア回路機構は、前記電力消費信号が事前決定された値を上回るときに前記1つ以上の加熱要素の制御のための前記受信された加熱制御信号を変更無しに出力することと、前記電力消費信号が前記事前決定された値を下回るときに前記1つ以上の加熱要素の制御のための変更された加熱制御信号を出力することとを行うように構成される、請求項25の呼吸治療デバイス。
【請求項27】
前記ハードウェア回路機構は、前記電力消費信号に基づいてパルス幅変調電力信号を生成するように構成され、前記変更された加熱制御信号は、前記パルス幅変調電力信号を前記受信された加熱制御信号と組み合わせることにより生成される、請求項25の呼吸治療デバイス。
【請求項28】
前記ハードウェア回路機構は、前記電力消費信号に基づいてパルス幅変調電力信号を生成するように構成されかつ論理ゲートを含み、前記論理ゲートは、前記受信された加熱制御信号それぞれについて、前記各受信された加熱制御信号を前記パルス幅変調電力信号と組み合わせることにより、前記変更された加熱制御信号を生成するように構成される、請求項25の呼吸治療デバイス。
【請求項29】
前記ハードウェア回路機構は、
1つ以上の加熱要素のための流れ生成器電流信号および電流信号を受信する、ようにさらに構成され、前記電力消費信号は、前記受信された流れ生成器電流信号を示す電圧および1つ以上の加熱要素のための前記受信された電流信号を示す電圧を合計することにより、決定される、請求項25の呼吸治療デバイス。
【請求項30】
前記加熱要素のうち少なくとも1つは、管ヒータ内に設けられ、前記加熱要素のうち少なくとも1つは、加湿器ヒータ内に設けられる、請求項25の呼吸治療デバイス。
【請求項31】
呼吸治療デバイスであって、
電源と、
呼吸可能なガスの流れを患者へ提供するように構成された流れ生成器と、
1つ以上の加熱要素と、
ハードウェア回路機構であって、前記ハードウェア回路機構は、前記流れ生成器によって引き出される電流を示す流れ生成器電流信号および前記1つ以上の加熱要素によって引き出される電流を示す1つ以上の加熱要素のための電流信号を受信することと、前記受信された流れ生成器電流信号を示す電圧および1つ以上の加熱要素のための前記受信された電流信号を示す電圧を合計することにより電力消費信号を決定することとを行うように構成される、ハードウェア回路機構と、
少なくとも1つのプロセッサを含む処理システムであって、
前記ハードウェア回路機構から前記電力消費信号を受信することと、
前記流れ生成器の制御のための流れ制御信号を決定することと、
前記電力消費信号に基づいて、前記1つ以上の加熱要素の制御のための加熱制御信号を決定することと、を行うように構成される、処理システムと、を含む、呼吸治療デバイス。
【請求項32】
前記加熱制御信号を決定することは、
前記加熱要素それぞれのためにパルス幅変調制御信号を決定すること、
前記受信された電力消費信号が事前決定された限界を上回る場合、前記決定されたパルス幅変調制御信号を各それぞれの加熱要素へ送信することと、
前記受信された電力消費信号が前記事前決定された限界を下回る場合、前記決定されたパルス幅変調制御信号それぞれを変更し、前記変更されたパルス幅変調制御信号を各それぞれの加熱要素へ送信することと、を含む、請求項31の呼吸治療デバイス。
【請求項33】
前記ハードウェア回路機構は、前記受信された流れ生成器電流信号をバッファおよび増幅するように構成され、前記電力消費信号は、前記受信された流れ生成器電流信号を示す電圧および前記1つ以上の加熱要素のための前記受信された電流信号を示す電圧のローパスフィルタリングされた合計である、請求項31の呼吸治療デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1 関連特許および出願の相互参照
本出願は、米国仮特許出願第62/745,909号(出願日:2018年10月15日)、および米国仮特許出願第62/856,348号(出願日:2019年6月3日)の利益を主張する。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
【0002】
本出願は、以下の同一出願人に譲渡された米国特許および特許出願に関連する(本明細書中、同文献それぞれの全体を参考のため援用する):米国特許出願第14/472,651号(タイトル:「Power Management in Respiratory Treatment Apparatus」);米国特許出願第15/710/879号(タイトル:「Humidification of Respiratory Gases」);米国特許第8,844,522号、「Power Management in Respiratory Treatment Apparatus」;および米国特許第9,802,022号(タイトル:「Humidification of Respiratory Gases」)。
【0003】
2 技術の背景
2.1 技術の分野
本技術は、呼吸関連疾患のスクリーニング、診断、監視、治療、予防および改善のうち1つ以上に関する。本技術はまた、医療デバイスまたは装置と、その使用とに関する。より詳細には、本明細書中に記載の技術は、医療デバイスまたは装置における電力管理に関する。
【背景技術】
【0004】
2.2 技術の背景
2.2.1 ヒトの呼吸器系およびその疾患
身体の呼吸器系は、ガス交換を促進させる。鼻および口腔は、患者の気道への入口を形成する。
【0005】
これらの気道は、一連の分岐する管を含み、これらの管は、肺の奥深くに進むほど狭く、短くかつ多数になる。肺の主要な機能はガス交換であり、空気から酸素を静脈血中へ取り入れさせ、二酸化炭素を退出させる。気管は、右および左の主気管支に分かれ、これらの主気管支はさらに分かれて、最終的に終末細気管支となる。気管支は、伝導のための気道を構成するものであり、ガス交換には関与しない。気道がさらに分割されると呼吸細気管支となり、最終的には肺胞となる。肺の肺胞領域においてガス交換が行われ、この領域を呼吸領域と呼ぶ。以下を参照されたい:「Respiratory Physiology」, by John B. West, Lippincott Williams & Wilkins, 9th edition published 2012。
【0006】
一定範囲の呼吸器疾患が存在している。特定の疾患は、特定の発症(例えば、無呼吸、呼吸低下および過呼吸)によって特徴付けられ得る。
【0007】
呼吸器疾患の例には、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)、チェーン・ストークス呼吸(CSR)、呼吸不全、肥満過換気症候群(OHS)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、神経筋疾患(NMD)および胸壁疾患が含まれる。
【0008】
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、睡眠呼吸障害(SDB)の1つの形態であり、睡眠時の上通気道の閉鎖または閉塞などの発症によって特徴付けられる。これは異常に小さい上気道と、舌の領域の筋緊張の通常の喪失、睡眠時の軟口蓋および後口咽頭壁の正常損失の組み合わせの結果である。このような状態に起因して、罹患患者の呼吸停止が典型的には30~120秒にわたり、ときには一晩に200~300回も呼吸が停止する。その結果、日中の眠気が過度になり、心血管疾患および脳損傷の原因になり得る。この症候は一般的な疾患であり、特に中年の過体重の男性に多いが、患者に自覚症状は無い。米国特許第4,944,310号(Sullivan)を参照されたい。
【0009】
チェーン・ストークス呼吸(CSR)は、別の形態の睡眠呼吸障害である。CSRは、患者の呼吸調節器の疾患であり、CSRサイクルとして知られる換気の漸増および漸減が交互に周期的に続く。CSRは、動脈血の脱酸素および再曝気の繰り返しによって特徴付けられる。反復低酸素症のため、CSRは有害であり得る。患者によっては、CCRは、重症不眠、交感神経活動の増加、および後負荷の増加の原因となる、反復性睡眠覚醒を随伴する。米国特許第6,532,959号(Berthon-Jones)を参照されたい。
【0010】
呼吸不全とは、呼吸器障害の総称であり、患者の需要を満たすための充分な酸素吸気または充分なCO呼気を肺が行うことができていないことを指す。呼吸不全は、以下の疾患のうちいくつかまたは全てを包含し得る。
【0011】
呼吸不全(一種の呼吸不全)の患者は、運動時に異常な息切れを経験することがある。
【0012】
肥満過換気症候群(OHS)は、低換気の原因が他に明確に無い状態における、重症肥満および覚醒時慢性高炭酸ガス血症の組み合わせとして定義される。症状には、呼吸困難、起床時の頭痛と過剰な日中の眠気が含まれる。
【0013】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、特定の共通する特性を有する下気道疾患のグループのうちのいずれも包含する。これには空気の動きに対する抵抗の増加、呼吸の呼気相の延長および肺における正常な弾性の減少が含まれる。COPDの例として、気腫および慢性気管支炎がある。COPDの原因としては、慢性喫煙(第一危険因子)、職業被ばく、空気汚染および遺伝因子がある。症状を挙げると、労作時の呼吸困難、慢性咳および痰生成がある。
【0014】
神経筋疾患(NMD)は、内在筋病理を直接介してまたは神経病理を間接的に介して筋肉機能を損なう多数の疾病および病気を包含する広範な用語である。NMD患者の中には、進行性の筋肉障害によって特徴付けられる者もあり、結果的に歩行不可能、車椅子への束縛、嚥下困難、呼吸筋力低下に繋がり、最終的には呼吸不全による死亡に繋がる。神経筋肉障害は、以下の急速進行性と緩徐進行性とに区分され得る:(i)急速進行性障害:数ヶ月かけて悪化する筋肉障害によって特徴付けられ、数年内に死亡に繋がる(例えば、ティーンエージャーにおける筋萎縮性側索硬化症(ALS)およびデュシェンヌ筋ジストロフィー(DMD));(ii)可変性または緩徐進行性障害:数年かけて悪化する筋肉障害によって特徴付けられ、平均余命が若干低減するだけである(例えば、肢帯、顔面肩甲上腕型および筋強直性筋ジストロフィー)。NMDにおける呼吸不全症状を以下に挙げる:全身衰弱の増加、嚥下障害、労作および安静時の呼吸困難、疲労、眠気、起床時の頭痛、および集中および気分の変化の困難。
【0015】
胸壁障害は、胸郭変形の1つのグループであり、呼吸筋肉と胸郭との間の連結の無効性の原因となる。これらの障害は、拘束性障害によって主に特徴付けられ、長期の炭酸過剰性呼吸不全の可能性を共有する。脊柱側弯症および/または脊柱後側弯症は、重篤な呼吸不全を発症することがある。呼吸不全の症状を以下に挙げる:労作時の呼吸困難、末梢浮腫、起座呼吸、反復性胸部感染症、起床時の頭痛、疲労、睡眠の質の低下、および食欲不振。
【0016】
このような状態を治療または改善するために、一定範囲の治療が用いられている。さらに、その他の点では健常人も、呼吸器疾患の予防治療を有利に利用することができる。しかし、これらにおいては、複数の欠陥がある。
【0017】
2.2.2 治療法
多様な療法(例えば、持続的気道陽圧(CPAP)治療法、非侵襲的換気(NIV)および侵襲的換気(IV))が上記の呼吸器疾患の1つ以上の治療のために用いられている。
【0018】
持続的気道陽圧(CPAP)療法が、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の治療において用いられている。その作用機構としては、例えば軟口蓋および舌を押して後口咽頭壁へ前進または後退させることにより、持続陽圧呼吸療法が空気スプリントとして機能し、これにより上気道の閉鎖を防止し得る。CPAP治療によるOSAの治療は自発的なものであり得るため、このような患者が治療の提供に用いられるデバイスについて以下のうち1つ以上に気づいた場合、患者が治療を遵守しないことを選択する可能性がある:不快、使用困難、高価、美観的な魅力の無さ。
【0019】
非侵襲的換気(NIV)は、換気補助を上気道を通じて患者へ提供して、呼吸機能の一部または全体を行うことにより患者の呼吸の補助および/または身体中の適切な酸素レベルの維持を提供する。換気補助が、非侵襲的患者インターフェースを介して提供される。NIVは、OHS、COPD、NMD、および胸壁障害などの形態のCSRおよび呼吸不全の治療に用いられている。いくつかの形態において、これらの治療の快適性および有効性が向上し得る。
【0020】
侵襲的換気(IV)は、自身で有効に呼吸することができなくなった患者に対して換気補助を提供し、気管切開管を用いて提供され得る。いくつかの形態において、これらの治療の快適性および有効性が向上し得る。
【0021】
2.2.3 治療システム
これらの治療は、治療システムまたはデバイスによって提供され得る。このようなシステムおよびデバイスは、疾患を治療することなくスクリーニング、診断、または監視するためにも、用いられ得る。
【0022】
治療システムは、呼吸圧力治療デバイス(RPTデバイス)、空気回路、加湿器、患者インターフェース、およびデータ管理を含み得る。
【0023】
別の形態の治療システムとして、下顎再位置決めデバイスがある。
【0024】
2.2.3.1 患者インターフェース
患者インターフェースは、例えば気道入口への空気流れを提供することにより呼吸装具へのインターフェースを装着者へ提供するために、用いられ得る。空気流れは、鼻および/または口腔へのマスク、口腔への管、または患者気管への気管切開管を介して提供され得る。適用される療法に応じて、患者インターフェースは、例えば患者の顔の領域とのシールを形成し得、これにより、療法実行のための雰囲気圧力と共に充分な分散の圧力において(例えば、例えば雰囲気圧力に対して約10cmHOの陽圧において)ガス送達を促進する。酸素送達などの他の治療形態において、患者インターフェースは、約10cmHOの陽圧において気道へのガス供給の送達を促進するのに充分な密閉を含まない場合がある。
【0025】
特定の他のマスクシステムは、本分野において機能的に不適切であり得る。例えば、純然たる装飾目的のマスクの場合、適切な圧力を維持することができない場合がある。水中水泳またはダイビングに用いられるマスクシステムは、外部からのより高い圧力からの水侵入から保護することと、周囲よりも高い圧力において内部の空気を維持しないこととを行うように、構成され得る。
【0026】
特定のマスクは、本技術において臨床的に好ましく無い場合があり得る(例えば、マスクが鼻を介して気流を遮断し、口を介した気流のみを通過させる場合)。
【0027】
特定のマスクにおいて、患者がマスク構造の一部を口に挿入し、唇を介して密閉状態を生成および維持しなければならない場合、本技術において不快であるかまたは非実際的である場合がある。
【0028】
特定のマスクは、睡眠時(例えば、横向きにベッドに寝て枕の上に頭を置いた状態で睡眠する場合)における使用においては非実際的である場合がある。
【0029】
患者インターフェースの設計においては、複数の課題がある。顔は、複雑な三次元形状を有する。鼻および頭のサイズおよび形状は、個人によって大きく異なる。頭部には骨、軟骨および軟組織が含まれるため、顔の異なる領域は、機械的力に対して異なる反応を示す。すなわち、顎部または下顎は、頭蓋骨の他の骨に相対して動き得る。頭部全体は、呼吸治療期間を通じて動き得る。
【0030】
これらの課題に起因して、いくつかのマスクの場合、特に装着時間が長い場合または患者がシステムに不慣れである場合、押しつけがましい、美観的に望ましくない、コストが高い、フィット感が悪い、使用が困難、および不快感があるなどの理由のうち1つ以上がある。誤ったサイズのマスクが用いられた場合、コンプライアンスの低下、快適性の低下および患者予後の低下に繋がり得る。飛行士専用のマスク、個人用保護装具(例えば、フィルターマスク)、SCUBAマスクの一部として設計されたマスク、または麻酔投与用マスクは、その元々の用途には耐えられるものの、このようなマスクの場合、長時間(例えば、数時間)にわたって装着するには望ましくないほど不快な場合がある。このような不快感に起因して、治療に対する患者のコンプライアンスが低下する可能性がある。これは、マスクを睡眠時に装着する必要がある場合、特に当てはまる。
【0031】
CPAP治療は、患者が治療を承諾している場合、特定の呼吸器疾患の治療においては極めて効果的である。マスクが不快である場合または使用が難しい場合、患者は、治療を承諾しない場合がある。患者はマスクを定期的に洗浄するよう推奨されることが多いため、マスクの清浄が難しい(例えば、組立または分解が困難である場合)、患者は、マスクを清浄することができず、患者のコンプライアンスに影響が出る場合がある。
【0032】
他の用途(例えば、飛行士)用のマスクの場合、睡眠呼吸障害の治療の使用には不適である場合があるため、睡眠呼吸障害の治療の使用のために設計されたマスクは、他の用途に適している場合がある。
【0033】
これらの理由のめ、睡眠時のCPAP送達のための患者インターフェースは、明瞭な分野を形成する。
【0034】
2.2.3.2 呼吸圧力治療(RPT)デバイス
呼吸圧力治療(RPT)デバイスは、例えばデバイスを作動させて気道へのインターフェースへの空気送達流れを生成することにより、上記した複数の治療のうち1つ以上の送達に個別的に、またはシステムの一部として用いられ得る。この空気流れは、加圧され得る。RPTデバイスの例を挙げると、CPAPデバイスおよび人工呼吸器がある。
【0035】
空気圧生成器は、広範な用途(例えば、工業規模通気システム)において公知である。しかし、医療用途のための空気圧生成器は、より一般的な空気圧生成器(例えば、医療機器の信頼性要件、サイズ要件および重量要件)では満足できない特定の要件を有する。加えて、医療治療向けに設計されたデバイスであっても、以下のうち1つ以上に関連して欠陥を免れない場合がある:快適性、ノイズ、使いやすさ、有効性、サイズ、重量、製造可能性、コストおよび信頼性。
【0036】
特定のRPTデバイスの特殊な要件の一例として、音響ノイズがある。
【0037】
従来のRPTデバイスのノイズ出力レベルの表(試料1個のみをISO3744に指定の試験方法を用いてCPAPモードにおいて10cmHOにて測定)。
【表1】
【0038】
睡眠呼吸障害の治療に用いられる1つの公知のRPTデバイスとして、S9睡眠治療システム(製造元:ResMed Limited)がある。RPTデバイスの別の実施例として、人工呼吸器がある。人工呼吸器(例えば、成人および小児用人工呼吸器のResMed Stellar(登録商標)シリーズ)の場合、複数の状態(例を非限定的に挙げると、NMD、OHSおよびCOPD)の治療のための一定範囲のための患者のための侵襲的および非侵襲的な非依存的呼吸のための補助を提供し得る。
【0039】
ResMed Elisee(登録商標)150人工呼吸器およびResMedVSIII(登録商標)人工呼吸器は、複数の状態の治療のための成人患者または小児用患者に適した侵襲的および非侵襲的な依存的呼吸の補助を提供し得る。これらの人工呼吸器により、単一または二重の肢回路を用いた容積通気モードおよび気圧通気モードが得られる。
RPTデバイスは典型的には、圧力生成器(例えば、電動送風機または圧縮ガスリザーバ)を含み、患者の気道へ空気流れを供給するように構成される。場合によっては、空気流れは、患者の気道へ陽圧で供給され得る。RPTデバイスの出口は、空気回路を介して上記したような患者インターフェースへ接続される。
【0040】
デバイスの設計者には、無数の選択肢が提示され得る。設計基準同士が対立することが多くあるため、特定の設計選択肢が慣例からほど遠くなるかあるいは避けられないことがある。さらに、特定の態様の快適性および有効性は、1つ以上のパラメータの些細な変更から大きく影響を受ける可能性もある。
【0041】
このようなデバイスの設計選択肢の1つには、1つの種類の電源をデバイス内に設けることがある。電源の種類により、デバイスのコンポーネントのために利用可能な電力量、デバイスの重量およびサイズならびにコストが決定され得る。デバイスの小型化および軽量化が所望されるものの、電源サイズを小さくした場合、利用可能な電力量も低下する。他の状況において、デバイスにおいて利用することが可能な電力の種類が既に決まっているものの、さらなるサブシステムコンポーネントを設けることが所望される場合もある。サブシステムコンポーネントの例を挙げると、例えば、送風機、加熱板、加熱管または他のコンポーネント(例えば、通信モジュール)がある。これらのさらなるサブシステムコンポーネントは、デバイス内に既設された電源から提供される限られた電力を使用する必要がある場合がある。そのため、デバイス内(特に、電源がデバイスコンポーネントおよびサブシステムコンポーネント全てへの同時給電を行うための電力を十分に有さない場合のあるデバイス内)において、電源の効率的な電力管理を可能にすることが所望されている。
【0042】
2.2.3.3 加湿器
空気流れの送達を加湿無しで行った場合、気道の乾燥に繋がり得る。加湿器をRPTデバイスおよび患者インターフェースと共に用いた場合、加湿ガスが生成されるため、鼻粘膜の乾燥が最小化され、患者気道の快適性が増加する。加えて、より冷涼な気候においては、概して患者インターフェースの周囲の顔領域へ温風を付加すると、冷風の場合よりも快適性が高まる。
【0043】
一定範囲の人工的加湿機器およびシステムが公知であるが、医療加湿器の特殊な要件を満たせていない。
【0044】
医療加湿器は、典型的には患者が(例えば病院において)睡眠時または安静時にあるときに、必要な場合に周囲空気に相対して空気流れの湿度および/または温度を増加させるように、用いられる。枕元に置かれる医療加湿器は、小型である場合がある。医療加湿器は、患者へ送達される空気流れの加湿および/または加熱のみを行うように構成され得、患者の周囲の加湿および/または加熱は行わない。例えば、部屋ベースのシステム(例えば、サウナ、エアコン、または蒸発冷却器)は、呼吸により患者体内に取り込まれる空気も加湿し得るものの、これらのシステムの場合、部屋全体も加湿および/または加熱するため、占有者にとって不快感であり得る。さらに、医療加湿器の場合、工業用加湿器よりも安全面での制約がより厳しい場合もある。
【0045】
多数の医療加湿器が公知であるものの、このような医療加湿器の場合、1つ以上の欠陥を被り得る。すなわち、このような医療加湿器の場合、加湿が不適切なものもあれば、患者にとって使用が困難または不便であるものもある。
【0046】
2.2.3.4 データ管理
臨床的理由により、呼吸治療が処方された患者が「コンプライアンスを遵守している」(例えば、患者が自身のRPTデバイスを1つ以上の「コンプライアンスルール」に則っているか)を決定するためのデータを入手する場合がある。CPAP治療についてのコンプライアンスルールの一例として、患者がコンプライアンスを遵守しているとみなすためには、患者が連続30日間のうち少なくとも21日間にわたってRPTデバイスを一晩あたり少なくとも4時間にわたって使用する必要がある。患者のコンプライアンスを決定するためには、RPTデバイスのプロバイダ(例えば、ヘルスケアプロバイダ)は、RPTデバイスを用いた患者の治療を記述するデータを手作業で入手し、所定期間にわたる使用率を計算し、これをコンプライアンスルールと比較し得る。ヘルスケアプロバイダが患者が自身のRPTデバイスをコンプライアンスルールに則って使用したと決定すると、当該ヘルスケアプロバイダは、患者がコンプライアンスを遵守している旨を第三者に通知し得る。
【0047】
患者の治療において、治療データの第三者または外部システムへの通信から恩恵を受ける他の態様があり得る。
【0048】
このようなデータを通信および管理するための既存のプロセスの場合、高コスト、時間がかかること、エラーの発生し易さのうち1つ以上が発生し得る。
【0049】
2.2.3.5 下顎の再位置決め
下顎再位置決めデバイス(MRD)または下顎前方固定デバイス(MAD)は、睡眠時無呼吸およびいびきの治療選択肢の1つである。これは、歯科医または他の供給業者から利用可能である調節可能な口腔用器具であり、下顎部(下顎)を睡眠時に前方位置に保持する。MRDは、取り外し可能なデバイスであり、患者の睡眠前に口腔内に挿入され、睡眠後に取り外される。そのため、MRDは、常時装着用途を想定した設計はされていない。MRDは、カスタム仕様にしてもよいし、あるいは、標準形態で製造してもよく、患者の歯に適合するように設計された咬合印象部位を含む。この下顎からの機械的突出部は、舌の後ろ側の空間を拡張させ、咽頭壁上へ張力を付加して、気道崩壊を低減させ、口蓋振動を低減させる。
【0050】
特定の実施例において、下顎前方固定デバイスは、上顎または上顎骨上の歯と係合するかまたは嵌め合うように意図された上側スプリントと、上顎または下顎上の歯と係合するかまたは嵌め合うように意図された下側スプリントとを含み得る。上側スプリントおよび下側スプリントは、一対の接続ロッドを介して相互に横方向に接続される。この1組の接続ロッドは、上側スプリントおよび下側スプリント上において対称に固定される。
【0051】
このような設計において、接続ロッドの長さは、MRDが患者の口腔中に配置されたときに下顎が前方位置に保持されるように、選択される。接続ロッドの長さは、下顎の突出レベルを変化させるように、調節され得る。歯科医は、突出レベルを下顎に合わせて決定することができ、その結果、接続ロッドの長さが決定される。
【0052】
下顎を上顎骨に対して前方に押し出すように構成されているMRDもあれば、ResMed Narval CC(登録商標)MRDなどの他のMADのように、下顎を前方位置に保持するように設計されているものもある。このデバイスにより、歯科的副作用および側頭/下顎間の関節(TMJ)の副作用も低下または最小化される。そのため、このデバイスは、歯のうち1つ以上の任意の移動を最小化または回避するように構成される。
【0053】
2.2.3.6 通気技術
いくつかの形態の治療システムは、吐き出された二酸化炭素を押し出すための通気部を含み得る。この通気部により、患者インターフェースの内部空間(例えば、プレナムチャンバ)から患者インターフェースの外部(例えば、周囲)へのガス流れが可能になり得る。
【0054】
この通気部は、オリフィスを含み得、マスク使用時において、ガスがオリフィスを通じて流れ得る。多数のこのような通気部の場合、音がうるさい。他の場合、使用時において閉塞し得るため、押し出しが不十分になる。いくつかの通気部の場合、例えば音または気流集中に起因して、患者1000と同床者1100の睡眠を妨げる場合がある。
【0055】
ResMed Limitedは、複数の向上したマスク通気技術を開発している。下記を参照されたい:国際特許出願公開第WO1998/034、665;国際特許出願公開第WO2000/078、381;米国特許第6、581、594号;米国特許出願公開第US2009/0050156;米国特許出願公開第2009/0044808。
【0056】
従来のマスクのノイズの表(ISO17510-2:2007、1mにおける10cmHO圧力)
【表2】
【0057】
試料1個のみをISO3744に指定の試験方法を用いてCPAPモードにおいて10cmHOにて測定)
【0058】
多様な対象の音圧値を以下に羅列する
【表3】
【0059】
2.2.4 スクリーニング、診断、および監視システム
睡眠ポリグラフ(PSG)は、心肺疾患の診断および監視のための従来のシステムであり、典型的には、システム適用のために専門家臨床スタッフを必要とすることが多い。PSGにおいては、多様な身体信号(例えば、脳波検査(EEG)、心電図検査(ECG)、電気眼球図記録(EOG)、筋電図描画法(EMG))を記録するために、典型的には15~20個の接触覚センサを人体上に配置する。睡眠時呼吸障害のPSGのめには、患者を専門病院において二晩にわたって観察する必要があった。すなわち、第一夜は純然たる診断のためであり、第二夜は、臨床医による治療パラメータのタイトレーションのために必要であった。そのため、PSGは高コストであり、利便性も低い。睡眠呼吸障害のスクリーニング/診断/監視は家庭において特に不向きである。
【0060】
一般に、スクリーニングおよび診断は、疾患の兆候と症状によって疾患を特定することである。通常、スクリーニングは、患者のSDBがさらなる調査を求める程であるかないかを示す真/偽結果を出すいっぽう、診断は、臨床で実行可能な情報を出すことが多い。スクリーニングおよび診断は、一回性手続きになる傾向であることに反して、疾患の経過をモニタリングすることは無限定に続けられる。いくつかのスクリーニング/診断システムは、スクリーニング/診断にのみ適合されているが、いくつかはモニタリングにも使用することができる。
【0061】
臨床専門家は、患者のスクリーニング、診断または監視をPSG信号の視覚的観察に基づいて適切に行い得る。しかし、臨床専門家が居ないまたは臨床専門家への支払いができない状況がある。患者の状態について臨床専門家によって意見が異なる場合がある。さらに、或る臨床専門家は、時期によって異なる基準を適用し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0062】
3 技術の簡単な説明
本技術は、呼吸器疾患のスクリーニング、診断、監視、改善、治療または予防において用いられる医療機器の提供に関連し、これらの医療機器は、向上した快適性、コスト、有効性、使い易さおよび製造可能性のうち1つ以上を有する。
【0063】
本技術の第1の態様は、呼吸器疾患のスクリーニング、診断、監視、改善、治療または予防に用いられる装置に関連する。
【0064】
本技術の別の態様は、呼吸障害のスクリーニング、診断、監視、改善、治療または予防において用いられる方法に関連する。
【0065】
本技術の特定の形態の一態様は、呼吸治療についての患者のコンプライアンスを向上させる方法および/または装置を提供することである。
【0066】
本技術の一形態は、呼吸治療装置内に適応型電力管理を提供することを含む。
【0067】
本技術の一形態の別の態様は、加熱および/または加湿され得る加圧ガスの流れを提供する呼吸治療装置内に適応型電力管理を提供することを含む。
【0068】
本技術の一形態は、医療デバイス(例えば、呼吸疾患のスクリーニング、診断、監視、改善、治療または回避において用いられるデバイス)内に設けられる複数のコンポーネントの適応型電力管理を提供することを含む。
【0069】
本技術の一形態の一態様は、人間が(例えば、自宅周囲において)持ち運び可能な携帯用RPTデバイスである。
【0070】
本技術の別の態様は、呼吸治療装置に関する。この呼吸治療装置は、以下を含む:電源;空気流れを生成するように構成された圧力生成器;生成された空気流れを加熱するように構成された加熱要素;空気流れの特性を示すセンサ信号を生成するように構成された1つ以上のセンサ;および処理システム。処理システムは、以下を行うように、構成され得る:センサ信号を受信すること;受信されたセンサ信号に基づいて、加熱要素の制御のための制御信号を決定すること;圧力生成器によって引き出された電流に対応する信号を受信すること;加熱要素によって引き出された電流に対応する信号を受信すること;(1)圧力生成器によって引き出された電流に対応する信号、(2)加熱要素によって引き出された電流に対応する信号、(3)加熱要素についての決定された制御信号、および(4)電源の電力に基づいて、加熱要素の制御のための新規の制御信号を生成すること;ならびに、加熱要素の制御のための新規の制御信号を用いて加熱要素の動作を制御すること。
【0071】
実施例において、(a)圧力生成器および加熱要素によって共に引き出され得る電力は、電源の可能出力を超え、(b)圧力生成器によって引き出される電流と加熱要素が加熱要素についての決定された制御信号を用いて引き出すであろう電流との合計が電源の最大電流を超える場合、決定された制御信号によって引き出されるであろう電流よりも低い電流を新規の制御信号により加熱要素に引き出させるように新規の制御信号を生成し、(c)圧力生成器によって引き出される電流と加熱要素が加熱要素についての決定された制御信号を用いて引き出すであろう電流との合計が電源の最大電流を超えない場合、決定された制御信号によって引き出されるであろう電流よりも高い電流を新規の制御信号により加熱要素に引き出させるように、新規の制御信号を生成し、(d)1つ以上のセンサのうち少なくとも1つは、空気流の温度を示すセンサ信号を生成するように構成され、処理システムは、空気流の温度を示すセンサ信号に基づいて圧力生成器を制御するようにさらに構成され、(e)1つ以上のセンサのうち少なくとも1つは、空気流の圧力を示すセンサ信号を生成するように構成された圧力センサであり、加熱要素の制御のための制御信号は、空気流の圧力を示すセンサ信号に基づいて決定され、(f)1つ以上のセンサのうち少なくとも1つは、空気流の流れを示すセンサ信号を生成するように構成された流れセンサであり、処理システムは、空気流の流れを示すセンサ信号に基づいて圧力生成器を制御するように構成され、加熱要素の制御のための制御信号は、空気流の流れを示すセンサ信号に基づいて決定され、(g)空気流れは、流れ生成器へ連結された管(例えば、可撓管)を介して患者インターフェースへ送達され得、(h)加熱要素の制御のための生成された制御信号は、ある期間における熱不足を蓄積させ、蓄積された熱不足を後続期間において返還させるように制御され、(i)加熱要素の制御のための生成された制御信号は、第1の期間において加熱要素によって生成される熱を低下させ、第1の期間の後の第2の期間において加熱要素によって生成される熱を上昇させ、および/または、(j)第1の期間において、電源の電力は、圧力生成器および加熱要素によって消費される電力よりも低く、かつ/または、第2の期間において、電源の電力は、圧力生成器および加熱要素によって消費される電力を超える。
【0072】
本技術の別の態様は、患者における呼吸疾患の治療のための装置に関する。この装置は、以下を含む:電源;呼吸疾患の治療のための呼吸可能なガスの流れを生成するように構成された圧力生成器;呼吸可能なガスの加湿のための給水を保存しかつ給水を加熱するように構成された第1の加熱要素を含むように構成された加湿器;加湿された呼吸可能なガスを患者へ送達させるように構成されたホース内の加湿された呼吸可能なガスを加熱するように構成された第2の加熱要素;呼吸可能なガスの流れの特性を示す流れ信号を生成するように構成された変換器;およびコントローラ。コントローラは、以下を行うように構成され得る:流れ信号に基づいて、第1の加熱要素の制御のための第1の制御信号および第2の加熱要素の制御のための第2の制御信号を決定すること;(1)圧力生成器の動作時において測定された圧力生成器によって引き出された電流、(2)第1の制御信号、および(3)第2の制御信号に基づいて、装置によって用いられる予定の電力が電源のピーク電力を超えるかを決定すること;装置によって用いられる予定の電力が電源のピーク電力を超えると決定された場合、第1の加熱要素および/または第2の加熱要素によって用いられる電力を低下させるように第1の制御信号および/または第2の制御信号を変更すること;装置によって用いられる予定の電力が電源のピーク電力を超えないと決定された場合、第1の加熱要素および/または第2の加熱要素によって用いられる電力を上昇させるように第1の制御信号および/または第2の制御信号を変更すること。
【0073】
実施例において、(a)第1の制御信号および第2の制御信号は、パルス幅変調信号であり、(b)第1の制御信号は第1のパルス幅変調信号であり、第2の制御信号は、第1のパルス幅変調制御信号から時間オフセットされる第2のパルス幅変調信号であり、(c)装置によって用いられる予定の電力が電源のピーク電力を超えないと決定された場合、第1の制御信号および第2の制御信号の変更を、第1の加熱要素および第2の加熱要素によって用いられる電力を第2の加熱要素が優先される様態で上昇させるように行い、(d)装置によって用いられる予定の電力が電源のピーク電力を超えると決定された場合、第1の制御信号および第2の制御信号の変更を、第1の加熱要素および第2の加熱要素によって用いられる電力を第2の加熱要素が優先される様態で低下させるように行い、(e)第1の制御信号は、第2の加熱要素の動作を制御するように構成された比例コントローラ、比例微分コントローラまたは比例積分コントローラへ設けられた第1の電流セットポイントであり、第2の制御信号は、第2の加熱要素の動作を制御するように構成された比例コントローラ、比例微分コントローラまたは比例積分コントローラへ設けられた第2の電流セットポイントであり、(d)装置によって用いられる予定の電力が電源のピーク電力を超えるかを決定することは、(1)第1の加熱要素および第2の加熱要素によって引き出される電流無しに装置によって引き出される電流と、(2)第1の加熱要素が決定された第1の制御信号を用いて引き出し得るであろう電流と、(3)第2の加熱要素が決定された第2の制御信号を用いて引き出すであろう電流との合計が、電源から提供可能な最大電流を上回るかを決定することを含み、(e)流れ信号は、装置の使用時における患者の呼吸サイクルに対応し、第1の制御信号および第2の制御信号は、流れ信号に基づいて第1の加熱要素および第2の加熱要素のピーク電力動作のオフセットを制御するように決定され、(f)電源の電力は、圧力生成器、第1の加熱要素および第2の加熱要素によって同時に引き出される電力よりも低く、かつ/または、(g)ホース中の加湿された呼吸可能なガスは、ホースへ連結された患者インターフェースを介して患者へ送達される。
【0074】
本技術の別の態様は、呼吸治療デバイスに関する。この呼吸治療デバイスは、以下を含む:呼吸可能なガスの流れを患者へ提供するように構成された流れ生成器;管ヒータおよび加湿器ヒータを含むアクセサリ装置;電源;および、流れ生成器、アクセサリ装置および電源へ連結されたコントローラ。コントローラは、以下を行うように構成され得る:流れ生成器、送達管ヒータおよび加湿器ヒータの動作を制御すること;送達管ヒータの制御のための第1のパルス幅変調制御信号および加湿器ヒータの制御のための第2のパルス幅変調制御信号を決定すること;電源の定格電流が、流れ生成器と、決定された第1のパルス幅変調制御信号が送達管ヒータへ付加されるときの送達管ヒータと、決定された第2のパルス幅変調制御信号が加湿器ヒータへ付加されるときの加湿器ヒータとによって引き出されるであろう電流を超えないと決定された場合、第1のパルス幅変調制御信号および第2のパルス幅変調制御信号のデューティサイクルを増加させること。
【0075】
実施例において、(a)コントローラは、電源の定格電流が、流れ生成器と、決定された第1のパルス幅変調制御信号が送達管ヒータへ付加されるときの送達管ヒータと、決定された第2のパルス幅変調制御信号が加湿器ヒータへ付加されるときの加湿器ヒータとによって引き出されるであろう電流を超えると決定された場合、第1のパルス幅変調制御信号および第2のパルス幅変調制御信号のデューティサイクルを低下させるようにさらに構成される、(b)第1のパルス幅変調制御信号は、第2のパルス幅変調制御信号から時間オフセットされる、かつ/または、(c)流れ生成器は、呼吸可能なガスの流れを患者へ提供するための管を介して患者インターフェースへ連結される。
【0076】
本技術の別の態様は、呼吸治療デバイスに関する。この呼吸治療デバイスは、以下を含む:呼吸可能なガスの流れを患者へ提供するように構成された流れ生成器;管ヒータおよび加湿器ヒータを含むアクセサリ装置;電源;および、流れ生成器、アクセサリ装置および電源へ連結されたコントローラ。コントローラは、以下を行うように構成され得る:流れ生成器、送達管ヒータおよび加湿器ヒータの動作を制御すること;送達管ヒータの制御のための第1のパルス幅変調制御信号および加湿器ヒータの制御のための第2のパルス幅変調制御信号を決定すること;電源の定格電流が、流れ生成器と、決定された第1のパルス幅変調制御信号が送達管ヒータへ付加されるときの送達管ヒータと、決定された第2のパルス幅変調制御信号が加湿器ヒータへ付加されるときの加湿器ヒータとによって引き出されるであろう電流を超えないと決定された場合、第1のパルス幅変調制御信号および第2のパルス幅変調制御信号のデューティサイクルを増加させること。
【0077】
実施例において、(a)コントローラは、電源の定格電流が、流れ生成器と、決定された第1のパルス幅変調制御信号が送達管ヒータへ付加されるときの送達管ヒータと、決定された第2のパルス幅変調制御信号が加湿器ヒータへ付加されるときの加湿器ヒータとによって引き出されるであろう電流を超えると決定された場合、第1のパルス幅変調制御信号および第2のパルス幅変調制御信号のデューティサイクルを低下させるようにさらに構成され、かつ/または、(b)第1のパルス幅変調制御信号は、第2のパルス幅変調制御信号から時間オフセットされ、かつ/または、(c)流れ生成器は、呼吸可能なガスの流れを患者へ提供するための管を介して患者インターフェースへ連結される。
【0078】
本技術の別の態様は、呼吸疾患の治療のための呼吸可能なガスの流れを生成する呼吸治療装置を動作させる方法に関する。方法は、以下を含む:変換器を用いて空気流れの特性を測定すること;コントローラによってかつ測定された特性に基づいて、呼吸疾患の治療のための呼吸可能なガスの流れを生成するように構成された圧力生成器の制御のための第1の制御信号と、呼吸可能なガスの加湿のための給水を保存するように構成された加湿器内に配置された第1の加熱要素の制御のための第2の制御信号と、加湿された呼吸可能なガスを患者へ送達させるように構成されたホース中の加湿された呼吸可能なガスを加熱するように構成された第2の加熱要素の制御のための第3の制御信号とを決定すること;コントローラによってかつ(1)第1の制御信号を用いた圧力生成器の制御時において測定された圧力生成器によって引き出された電流と、(2)第2の制御信号と、(3)第3の制御信号とに基づいて、呼吸治療装置によって用いられる予定の電力が呼吸治療装置の給電に用いられる電源のピーク電力を超えるかを決定すること;呼吸治療装置によって用いられる予定の電力が電源のピーク電力を超えると決定された場合、第1の加熱要素および/または第2の加熱要素によって用いられる電力を低下させるように第2の制御信号および/または第3の制御信号をコントローラによって変更させること;ならびに、呼吸治療装置によって用いられる予定の電力が電源のピーク電力を超えないと決定された場合、第1の加熱要素および/または第2の加熱要素によって用いられる電力を上昇させるように第2の制御信号および/または第3の制御信号をコントローラによって変更すること。
【0079】
本技術の別の態様は、呼吸治療装置の動作の制御のための情報処理プログラムが内部に保存された非一時的な記憶媒体に関する。この呼吸治療装置は、呼吸疾患の治療のための呼吸可能なガスの流れを生成するように構成される。プログラムが実行されると、呼吸治療装置に以下を行わせる:呼吸可能なガスの流れの特性を変換器から受信すること;呼吸可能なガスの流れの特性に基づいて、呼吸可能なガスの流れを生成するように構成された圧力生成器の制御のための第1の制御信号と、呼吸可能なガスの加湿のための給水を保存するように構成された加湿器内に配置された第1の加熱要素の制御のための第2の制御信号と、加湿された呼吸可能なガスを患者へ送達させるように構成されたホース中の加湿された呼吸可能なガスを加熱するように構成された第2の加熱要素の制御のための第3の制御信号とを決定すること;(1)第1の制御信号を用いた圧力生成器の制御時において測定された圧力生成器によって引き出された電流と、(2)第2の制御信号と、(3)第3の制御信号とに基づいて、呼吸治療装置によって用いられる予定の電力が呼吸治療装置の給電に用いられる電源のピーク電力を超えるかを決定すること;呼吸治療装置によって用いられる予定の電力が電源のピーク電力を超えると決定された場合、第1の加熱要素および/または第2の加熱要素によって用いられる電力を低下させるように第2の制御信号および/または第3の制御信号を変更すること;ならびに、装置によって用いられる予定の電力が電源のピーク電力を超えないと決定された場合、第1の加熱要素および/または第2の加熱要素によって用いられる電力を上昇させるように第2の制御信号および/または第3の制御信号を変更すること。
【0080】
本技術の別の態様は、呼吸治療デバイスに関する。この呼吸治療デバイスは、電源と;呼吸可能なガスの流れを患者へ提供するように構成された流れ生成器と;1つ以上の加熱要素;少なくとも1つのプロセッサを含む処理システムであって、処理システムは、1つ以上の加熱要素の制御のための加熱制御信号および流れ生成器の制御のための流れ制御信号を決定するように構成される、処理システムと;ハードウェア回路機構とを含む。ハードウェア回路機構は、1つ以上の加熱要素の制御のための加熱制御信号を受信することと;流れ生成器および1つ以上の加熱要素の動作に基づいて、合計電力消費を示す電力消費信号を決定することと;電力消費信号に基づいて、1つ以上の加熱要素の制御のための変更された加熱制御信号を出力することとを行うように、構成され得る。
【0081】
実施例において、(a)ハードウェア回路機構は、電力消費信号が事前決定された値を上回る場合、1つ以上の加熱要素の制御のための受信された加熱制御信号を変更なしに出力することと、電力消費信号が事前決定された値を下回る場合、1つ以上の加熱要素の制御のための変更された加熱制御信号を出力することとを行うように構成される、(b)ハードウェア回路機構は、電力消費信号に基づいてパルス幅変調電力信号を生成するように、構成される。変更された加熱制御信号は、パルス幅変調電力信号を受信された加熱制御信号と組み合わせることにより、生成される、(c)ハードウェア回路機構は、電力消費信号に基づいてパルス幅変調電力信号を生成するように構成され、受信された加熱制御信号それぞれについて論理ゲートを含む。論理ゲートは、各受信された加熱制御信号をパルス幅変調電力信号と組み合わせることにより、変更された加熱制御信号を生成するように構成される、(d)ハードウェア回路機構は、1つ以上の加熱要素のための流れ生成器電流信号および電流信号を受信するように、さらに構成される。電力消費信号は、受信された流れ生成器電流信号を示す電圧および1つ以上の加熱要素のための受信された電流信号を示す電圧を合計することにより決定される、かつ/または、(e)加熱要素のうち少なくとも1つは、管ヒータ内に設けられ、加熱要素のうち少なくとも1つは、加湿器ヒータ内に設けられる。
【0082】
本技術の別の態様は、呼吸治療デバイスに関する。この呼吸治療デバイスは、電源と;呼吸可能なガスの流れを患者へ提供するように構成された流れ生成器と;1つ以上の加熱要素と;ハードウェア回路機構と;少なくとも1つのプロセッサを含む処理システムとを含む。ハードウェア回路機構は、流れ生成器によって引き出される電流を示す流れ生成器電流信号と、1つ以上の加熱要素によって引き出される電流を示す1つ以上の加熱要素のための電流信号とを受信することと、受信された流れ生成器電流信号を示す電圧および1つ以上の加熱要素のための受信された電流信号を示す電圧を合計することにより、電力消費信号を決定することとを行うように、構成され得る。処理システムは、ハードウェア回路機構から電力消費信号を受信することと;流れ生成器の制御のための流れ制御信号を決定することと;電力消費信号に基づいて、1つ以上の加熱要素の制御のための加熱制御信号を決定することとを行うように、構成され得る。
【0083】
実施例において、(a)加熱制御信号を決定することは、加熱要素それぞれのためにパルス幅変調制御信号を決定することと;受信された電力消費信号が事前決定された限界を上回る場合、決定されたパルス幅変調制御信号を各それぞれの加熱要素へ送信することと;受信された電力消費信号が事前決定された限界を下回る場合、決定されたパルス幅変調制御信号それぞれを変更し、各それぞれの加熱要素へ送信することとを含み、かつ/または、(b)ハードウェア回路機構は、受信された流れ生成器電流信号をバッファおよび増幅するように構成され;電力消費信号は、受信された流れ生成器電流信号を示す電圧および1つ以上の加熱要素のための受信された電流信号を示す電圧のローパスフィルタリングされた合計である。
【0084】
本技術の別の態様は、呼吸治療装置に関する。この呼吸治療装置は、電源と;空気流れを生成するように構成された圧力生成器と;生成された空気流れを加熱するように構成された加熱要素と;空気流れの特性を示すセンサ信号を生成するように構成された1つ以上のセンサと;加熱要素のための制御信号を生成するように構成された処理システムとを含む。加熱要素は、ある期間における熱不足を蓄積させ、蓄積された熱不足を後続期間において返還するように、制御される。
【0085】
本技術の別の態様は、呼吸治療装置に関する。この呼吸治療装置は、電源と;空気流れを生成するように構成された圧力生成器と;生成された空気流れを加熱するように構成された加熱要素と;空気流れの特性を示すセンサ信号を生成するように構成された1つ以上のセンサと;処理システムとを含む。処理システムは、:センサ信号を受信することと;受信されたセンサ信号に基づいて、加熱要素の制御のための制御信号を決定することと;圧力生成器によって引き出された電流に対応する信号を受信することと;加熱要素によって引き出された電流に対応する信号を受信することと;圧力生成器によって引き出された電流に対応する信号、加熱要素によって引き出された電流に対応する信号、加熱要素についての決定された制御信号、および電源の電力に基づいて、加熱要素を制御することとを行うように、構成される。加熱要素は、ある期間における熱不足を蓄積させ、蓄積された熱不足を後続期間において返還するように、制御される。
【0086】
例において、呼吸可能なガスの流れは、患者インターフェースと流れ生成器および/または加湿器との間に連結された患者へ送達される。
【0087】
記載される方法、システム、デバイスおよび装置により、プロセッサにおける機能(例えば、特定目的用コンピュータのプロセッサ、呼吸モニターおよび/または呼吸治療装置の機能)の向上が可能となるように具現され得る。さらに、記載の方法、システム、デバイスおよび装置により、呼吸状態(例えば、睡眠障害呼吸)の自動管理、監視および/または治療の技術分野における向上が可能になる。
【0088】
もちろん、上記態様の一部は、本技術の下位態様を形成し得る。また、下位態様および/または態様のうち多様な1つを多様に組み合わせることができ、本技術のさらなる態様または下位態様も構成し得る。
【0089】
本技術の他の特徴は、以下の詳細な説明、要約、図面および特許請求の範囲中に含まれる情報に鑑みれば明らかになる。
【0090】
4 図面の簡単な説明
本技術を、添付図面中に非限定的に一実施例として例示する。図面中、類似の参照符号は、以下の類似の要素を含む:
【0091】
4.1 治療システム
図1は、患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを示す。このシステムは、鼻枕の形態をとり、RPTデバイス4000から供給される陽圧の空気を受容する。RPTデバイス4000からの空気は、加湿器5000によって加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。同床者1100も図示される。患者は、仰臥位睡眠位置において睡眠している。
【0092】
図2は、患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを示す。このシステムは、鼻マスクの形態をとり、RPTデバイス4000から供給される陽圧の空気を受容する。RPTデバイスからの空気は、加湿器5000によって加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。
【0093】
図3は、患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを含む。患者インターフェース3000は、フルフェイスマスクをとり、陽圧の空気供給をRPTデバイス4000から受容する。RPTデバイスからの空気は、加湿器5000によって加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。患者は、側臥位睡眠位置において睡眠している。
【0094】
4.2 RPTデバイス
図4Aは、本技術の一形態によるRPTデバイスを示す。
【0095】
図4Bは、本技術の一形態に従ったRPTデバイスの空気回路の概略図である。上流および下流の方向が、送風機および患者インターフェースに対して示される。任意の特定の瞬間における実際の流れ方向に関係無く、送風機は患者インターフェースの上流にあるものとして規定され、患者インターフェースは送風機の下流にあるものとして規定される。送風機と患者インターフェースとの間の空気圧経路内に配置されたアイテムは、送風機の下流および患者インターフェースの上流にある。
【0096】
図4Cは、本技術の一形態によるRPTデバイスの電気構成要素の模式図である。
【0097】
図4Dは、本技術の1つの形態によるRPTデバイス中において実行されるアルゴリズムの概略図である。
【0098】
図4Eは、本技術の一態様に従った図4Dの治療エンジンモジュールによって実施される方法を説明したフローチャートである。
【0099】
4.3 加湿器
図5Aは、本技術の1つの形態による加湿器の等角図を示す。
【0100】
図5Bは、本技術の1つの形態による加湿器の等角図を示し、加湿器リザーバ5110が加湿器リザーバドック5130から取り外された様子を示す。
【0101】
図5Cは、本技術の一形態による加湿器の模式図である。
【0102】
4.4 能動的な電力管理
図5Dは、電源4210から供給される電力を用いたデバイスの例示的アーキテクチャを示す。
【0103】
図5Eは、電源4210から供給される電力を用いて複数のデバイスの動作を制御するための例示的アーキテクチャを示す。
【0104】
図5Fおよび図5Gは、RPTデバイス4000内のコンポーネントの例示的電力測定を示す。
【0105】
図5Hは、本技術の一形態においてRPTデバイス4000によって用いられる電力を測定するために用いられ得る例示的回路機構を示す。
【0106】
図5Iは、図5Hに示す回路機構のための例示的信号波形を示す。
【0107】
図5Jは、本技術の一形態による、RPTデバイス4000の電力消費を示す制御信号に基づいて加熱要素を制御するために用いられ得る電力制御回路機構を示す。
【0108】
図5Kは、本技術の一形態による、制御信号 制御信号 V_ctrlに比例する出力信号Gate-PWMデューティサイクルを示す。
【0109】
図5Lは、本技術の一形態による、ANDゲート(単数または複数)中への出力信号Gate-PWM入力と、ANDゲート(単数または複数)による加湿器出力のためのGated PWM出力信号との間の関係を示す。
【0110】
図5Mは、本技術の一形態において適応型電力管理を実行する方法を示す。
【0111】
図5Nは、本技術の別の形態において適応型電力管理を実行する方法を示す。
【0112】
図5Oおよび図5Pは、本技術の多様な形態による、適応型電力管理の実行のためのより詳細な方法を示す。
【0113】
4.5 呼吸波形
図6Aは、睡眠時のヒトの典型的な呼吸波形のモデルを示す。
【0114】
図6Bは、通常約90秒間の期間にわたる患者のノンレム睡眠呼吸時の選択された睡眠ポリグラフチャネル(パルスオキシメトリ、流量、胸部動き、および腹部動き)を示す。
【0115】
図6Cは、治療前の患者の睡眠ポリグラフを示す。
【0116】
図6Dは、患者が一連の全体的閉塞性無呼吸を経験している場合の患者流量データを示す。
【0117】
図6Eは、呼吸のスケーリングされた吸気部分を示す。ここで、患者は、低周波数吸気いびきを経験している。
【0118】
図6Fは、呼吸のスケーリングされた吸気部分を示す。ここで、患者は、平坦な吸気流れ制限の一例を経験している。
【0119】
図6Gは、呼吸のスケーリングされた吸気部分を示す。ここで、患者は、「メサ(mesa)」平坦な吸気流れ制限の一例を経験している。
【0120】
図6Hは、呼吸のスケーリングされた吸気部分を示す。ここで、患者は、「パンダの耳」吸気流れ制限の一例を経験している。
【0121】
図6Iは、呼吸のスケーリングされた吸気部分を示す。ここで、患者は、「椅子」吸気流れ制限の一例を経験している。
【0122】
図6Jは、呼吸のスケーリングされた吸気部分を示す。ここで、患者は、「逆椅子」吸気流れ制限の一例を経験している。
【0123】
図6Kは、呼吸のスケーリングされた吸気部分を示す。ここで、患者は、「M字形」の吸気流れ制限の一例を経験している。
【0124】
図6Lは、呼吸のスケーリングされた吸気部分を示す。ここで、患者は、非常に「M字形」の吸気流れ制限の一例を経験している。
【0125】
図6Mは、チェーン・ストークス呼吸の患者からの患者データを示す。
図6Nは、図6Mにおけるようなものと同じ3つのチャンネルを用いたチェーン・ストークス呼吸の別の例の患者からの患者データを示す。
【図面の簡単な説明】
【0126】
図1】患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを示す。このシステムは、鼻枕の形態をとり、RPTデバイス4000から供給される陽圧の空気を受容する。RPTデバイス4000からの空気は、加湿器5000によって加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。同床者1100も図示される。患者は、仰臥位睡眠位置において睡眠している。
図2】患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを示す。このシステムは、鼻マスクの形態をとり、RPTデバイス4000から供給される陽圧の空気を受容する。RPTデバイスからの空気は、加湿器5000によって加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。
図3】患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを含む。患者インターフェース3000は、フルフェイスマスクをとり、陽圧の空気供給をRPTデバイス4000から受容する。RPTデバイスからの空気は、加湿器5000によって加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。患者は、側臥位睡眠位置において睡眠している。
図4A】本技術の一形態によるRPTデバイスを示す。
図4B】本技術の一形態に従ったRPTデバイスの空気回路の概略図である。上流および下流の方向が、送風機および患者インターフェースに対して示される。任意の特定の瞬間における実際の流れ方向に関係無く、送風機は患者インターフェースの上流にあるものとして規定され、患者インターフェースは送風機の下流にあるものとして規定される。送風機と患者インターフェースとの間の空気圧経路内に配置されたアイテムは、送風機の下流および患者インターフェースの上流にある。
図4C】本技術の一形態によるRPTデバイスの電気構成要素の模式図である。
図4D】本技術の1つの形態によるRPTデバイス中において実行されるアルゴリズムの概略図である。
図4E】本技術の一態様に従った図4Dの治療エンジンモジュールによって実施される方法を説明したフローチャートである。
図5A】本技術の1つの形態による加湿器の等角図を示す。
図5B】本技術の1つの形態による加湿器の等角図を示し、加湿器リザーバ5110が加湿器リザーバドック5130から取り外された様子を示す。
図5C】本技術の一形態による加湿器の模式図である。
図5D】電源4210から供給される電力を用いたデバイスの例示的アーキテクチャを示す。
図5E】電源4210から供給される電力を用いて複数のデバイスの動作を制御するための例示的アーキテクチャを示す。
図5F】RPTデバイス4000内のコンポーネントの例示的電力測定を示す。
図5G】RPTデバイス4000内のコンポーネントの例示的電力測定を示す。
図5H】本技術の一形態においてRPTデバイス4000によって用いられる電力を測定するために用いられ得る例示的回路機構を示す。
図5I図5Hに示す回路機構のための例示的信号波形を示す。
図5J】本技術の一形態による、RPTデバイス4000の電力消費を示す制御信号に基づいて加熱要素を制御するために用いられ得る電力制御回路機構を示す。
図5K】本技術の一形態による、制御信号 制御信号 V_ctrlに比例する出力信号Gate-PWMデューティサイクルを示す。
図5L】本技術の一形態による、ANDゲート(単数または複数)中への出力信号Gate-PWM入力と、ANDゲート(単数または複数)による加湿器出力のためのGated PWM出力信号との間の関係を示す。
図5M】本技術の一形態において適応型電力管理を実行する方法を示す。
図5N】本技術の別の形態において適応型電力管理を実行する方法を示す。
図5O】本技術の多様な形態による、適応型電力管理の実行のためのより詳細な方法を示す。
図5P】本技術の多様な形態による、適応型電力管理の実行のためのより詳細な方法を示す。
図6A】睡眠時のヒトの典型的な呼吸波形のモデルを示す。
図6B】通常約90秒間の期間にわたる患者のノンレム睡眠呼吸時の選択された睡眠ポリグラフチャネル(パルスオキシメトリ、流量、胸部動き、および腹部動き)を示す。
図6C】治療前の患者の睡眠ポリグラフを示す。
図6D】患者が一連の全体的閉塞性無呼吸を経験している場合の患者流量データを示す。
図6E】呼吸のスケーリングされた吸気部分を示す。ここで、患者は、低周波数吸気いびきを経験している。
図6F】呼吸のスケーリングされた吸気部分を示す。ここで、患者は、平坦な吸気流れ制限の一例を経験している。
図6G】呼吸のスケーリングされた吸気部分を示す。ここで、患者は、「メサ(mesa)」平坦な吸気流れ制限の一例を経験している。
図6H】呼吸のスケーリングされた吸気部分を示す。ここで、患者は、「パンダの耳」吸気流れ制限の一例を経験している。
図6I】呼吸のスケーリングされた吸気部分を示す。ここで、患者は、「椅子」吸気流れ制限の一例を経験している。
図6J】呼吸のスケーリングされた吸気部分を示す。ここで、患者は、「逆椅子」吸気流れ制限の一例を経験している。
図6K】呼吸のスケーリングされた吸気部分を示す。ここで、患者は、「M字形」の吸気流れ制限の一例を経験している。
図6L】呼吸のスケーリングされた吸気部分を示す。ここで、患者は、非常に「M字形」の吸気流れ制限の一例を経験している。
図6M】チェーン・ストークス呼吸の患者からの患者データを示す。
図6N図6Mにおけるようなものと同じ3つのチャンネルを用いたチェーン・ストークス呼吸の別の例の患者からの患者データを示す。
【発明を実施するための形態】
【0127】
5 本技術の実施例の詳細な説明
本技術についてさらに詳細に説明する前に、本技術は、本明細書中に記載される異なり得る特定の実施例に限定されるのではないことが理解されるべきである。本開示中に用いられる用語は、本明細書中に記載される特定の実施例を説明する目的のためのものであり、限定的なものではないことも理解されるべきである。
【0128】
以下の記載は、1つ以上の共通の特性および/または特徴を共有し得る多様な実施例に関連して提供される。任意の1つの実施例の1つ以上の特徴は、別の実施例または他の実施例の1つ以上の特徴と組み合わせることが可能であることが理解されるべきである。加えて、これらの実施例のうちのいずれかにおける任意の単一の特徴または特徴の組み合わせは、さらなる実施例を構成し得る。
【0129】
5.1 治療法
一形態において、本技術は、呼吸器疾患の治療方法を含む。本方法は、患者1000の気道の入口へ陽圧を付加するステップを含む。
【0130】
本技術の特定の実施例において、陽圧における空気供給が鼻孔の片方または双方を介して患者の鼻通路へ提供される。
【0131】
本技術の特定の実施例において、口呼吸が制限されるか、限定されるかまたは妨げられる。
【0132】
5.2 治療システム
1つの形態において、本技術は、呼吸障害の治療のための装置またはデバイスを含む。装置またはデバイスは、加圧空気を患者インターフェース3000への空気回路4170を介して患者1000へ供給するRPTデバイス4000を含み得る。
【0133】
5.3 患者インターフェース
本技術の一態様による非侵襲的患者インターフェース3000は、以下の機能様態を含む:シール形成構造3100、プレナムチャンバ3200、位置決めおよび安定化構造3300、通気部3400、空気回路4170への接続のための一形態の接続ポート3600、および前額支持部3700。いくつかの形態において、機能様態が、1つ以上の物理的コンポーネントによって提供され得る。いくつかの形態において、1つの物理的コンポーネントは、1つ以上の機能様態を提供し得る。使用時において、シール形成構造3100は、気道への陽圧での空気供給を促進するように、患者の気道の入口を包囲するように配置される。
【0134】
患者インターフェースが最低レベルの陽圧を快適に気道へ送達できない場合、患者インターフェースは呼吸圧力治療に不適切であり得る。
【0135】
本技術の一形態による患者インターフェース3000は、周囲に対して少なくとも6cmHOの陽圧で空気供給を提供できるように構築および配置される。
【0136】
本技術の一形態による患者インターフェース3000は、周囲に対して少なくとも10cmHOの陽圧で空気供給を提供できるように構築および配置される。
【0137】
本技術の一形態による患者インターフェース3000は、周囲に対して少なくとも20cmHOの陽圧で空気供給を提供できるように構築および配置される。
5.4 RPTデバイス
【0138】
本技術の一態様によるRPTデバイス4000は、機械、空気圧式、および/または電気部品を含み、1つ以上のアルゴリズム4300(例えば全体的にせよ部分的にせよ本明細書に記載の方法のうちいずれか)を実行するように構成される。RPTデバイス4000は、例えば本文書中のいずれか一項に記載の呼吸状態のうち1つ以上の治療のために患者の気道へ送達される空気流れを生成するように構成され得る。
【0139】
一形態において、RPTデバイス4000は、少なくとも6cmHOまたは少なくとも10cmHOまたは少なくとも20cmHOの陽圧を維持しつつ、空気流れを-20L/分~+150L/分の範囲で送達できるように構築および配置される。
【0140】
RPTデバイスは、外部ハウジング4010を持ち得る。外部ハウジング4010は、上部4012および下部4014の2つの部分によって形成される。さらに、外部ハウジング4010は、1つ以上のパネル(単数または複数)4015を含み得る。RPTデバイス4000は、RPTデバイス4000の1つ以上の内部コンポーネントを支持するシャーシ4016を含む。RPTデバイス4000は、ハンドル4018を含み得る。
【0141】
空気圧RPTデバイス4000の空気圧経路は、1つ以上の空気回路アイテム(例えば、入口空気フィルタ4112、入口マフラー4122、空気を陽圧で供給することが可能な圧力生成器4140(例えば、送風機4142)、出口マフラー4124)ならびに1つ以上の変換器4270(例えば、圧力センサ4272および流量センサ4274)を含み得る。
【0142】
空気経路アイテムのうち1つ以上は、空気圧ブロック4020と呼ばれる取り外し可能な一体構造内に配置され得る。空気圧ブロック4020は、外部ハウジング4010内に配置され得る。一形態において、空気圧ブロック4020は、シャーシ4016によって支持されるかまたはシャーシ4016の一部として形成される。
【0143】
RPTデバイス4000は、電源4210、1つ以上の入力デバイス4220、中央コントローラ4230、治療デバイスコントローラ4240、圧力生成器4140、1つ以上の保護回路4250、メモリ4260、変換器4270、データ通信インターフェース4280、および1つ以上の出力デバイス4290を有することができる。電気部品4200は、シングルプリント回路基板アセンブリ(PCBA)4202上に取り付けられ得る。一代替形態において、RPTデバイス4000は、1つよりも多くのPCBA4202を含み得る。
【0144】
5.4.1 RPTデバイス機械および空気圧式コンポーネント
RPTデバイスは、以下のコンポーネントのうち1つ以上を一体ユニット中に含み得る。一代替形態において、以下のコンポーネントのうち1つ以上が、それぞれの別個のユニットとして配置され得る。
【0145】
5.4.1.1 空気フィルタ(単数または複数)
本技術の一形態によるRPTデバイスは、空気フィルタ4110または複数の空気フィルタ4110を含み得る。
【0146】
一形態において、入口空気フィルタ4112は、圧力生成器4140の空気圧経路上流の始まり部に配置される。
【0147】
一形態において、出口空気フィルタ4114(例えば抗菌ファクタ)は、空気圧ブロック4020の出口と、患者インターフェース3000との間に配置される。
【0148】
5.4.1.2 マフラー(単数または複数)
本技術の一形態によるRPTデバイスは、マフラー4120または複数のマフラー4120を含み得る。
【0149】
本技術の一形態において、入口マフラー4122は、空気圧経路内において圧力生成器4140の上方に配置される。
【0150】
本技術の一形態において、出口マフラー4124は、空気圧経路内において圧力生成器4140と患者インターフェース3000との間に配置される。
【0151】
5.4.1.3 圧力生成器
本技術の一形態において、空気の流れまたは供給を陽圧において生成する圧力生成器4140は、制御可能な送風機4142である。例えば、送風機4142は、1つ以上のインペラを備えたブラシレスDCモータ4144を含み得る。インペラが、ボリュート内へ配置され得る。送風機は、空気供給の送達を例えば約120リットル/分までの速度で、約4cmHO~約20cmHOの範囲の陽圧で、または他の形態において約30cmHOまで行うことができる。送風機については、以下の特許または特許出願のうちいずれか1つに記載があり得。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する:米国特許第7,866,944号、米国特許第8,638、014号、米国特許第8,636,479号およびPCT特許出願公開WO2013/020167。
【0152】
圧力生成器4140は、治療デバイスコントローラ4240の制御下にある。
【0153】
他の形態において、圧力生成器4140は、ピストン駆動ポンプ、高圧源(例えば、圧縮空気リザーバ)へ接続された圧力調節器、またはベローズであり得る。
【0154】
5.4.1.4 変換器(単数または複数)
変換器は、RPTデバイスの内部に設けてもよいし、あるいはRPTデバイスの外部に設けてもよい。外部変換器は、例えば空気回路上に配置してもよいし、あるいは空気回路の一部を形成してもよい(例えば、患者インターフェース)。外部変換器は、非接触センサの形態をとり得る(例えば、データRPTデバイスを送るかまたは移動させるドップラーレーダー移動センサ)。
【0155】
本技術の一形態において、1つ以上の変換器4270が、圧力生成器4140の上流および/または下流に配置され得る。1つ以上の変換器4270は、空気流れの特性を示す信号(例えば、空気圧経路中の当該ポイントにおける流量、圧力または温度)を生成するように、構築および配置され得る。
【0156】
本技術の一形態において、1つ以上の変換器4270は、患者インターフェース3000の近隣に配置され得る。
【0157】
一形態において、変換器4270からの信号が、(例えば、ローパス、ハイパスまたはバンドパスフィルタリングによって)フィルタリングされ得る。
【0158】
5.4.1.4.1 流量センサ
本技術による流量センサ4274は、差圧変換器(例えば、SENSIRIONからのSDP600シリーズ差圧変換器)に基づき得る。
【0159】
一形態において、流量センサ4274からの流量を示す信号が、中央コントローラ4230によって受信される。
【0160】
5.4.1.4.2 圧力センサ
本技術による圧力センサ4272は、空気圧経路と流体連通して配置され得る。適切な圧力センサの一実施例として、HONEYWELL ASDXシリーズからの変換器がある。別の適切な圧力センサとして、GENERAL ELECTRICからのNPAシリーズからの変換器がある。
【0161】
1つの形態において、圧力センサ4272からの信号は、中央コントローラ4230によって受信される。
【0162】
5.4.1.4.3 モータ速度変換器
本技術の一形態において、モータ4144および/または送風機4142の回転速度を決定するために、モータ速度変換器4276が用いられ得る。モータ速度変換器4276からのモータ速度信号は、治療デバイスコントローラ4240へ提供され得る。モータ速度変換器4276は、例えば速度センサであり得る(例えば、ホール効果センサ)。
【0163】
5.4.1.5 アンチスピルバック弁
本技術の一形態において、アンチスピルバック弁4160が、加湿器5000と、空気圧ブロック4020との間に配置され得る。アンチスピルバック弁は、水が加湿器5000から上流に(例えば、送風機のモータ4144へ)流れる危険性を低減させるように、構築および配置される。
【0164】
5.4.2 RPTデバイス電気部品
5.4.2.1 電源
電源4210は、RPTデバイス4000の外部ハウジング4010の内部または外部に配置され得る。
【0165】
本技術の一形態において、電源4210は、RPTデバイス4000にのみ電力を供給する。本技術の別の形態において、電源4210から、電力がRPTデバイス4000およびRPTデバイス4000に直接にまたは間接に結合されたサブシステムデバイス双方へ提供される。サブシステムデバイスは、加湿器5000および/または加熱管を含み得る。本技術のいくつかの具現例において、サブシステムデバイスは、RPTデバイス4000の一部であり得る。
【0166】
電源4210は、外部電力ソース(例えば、A/CまたはDC電力ソース)から電力を受信し得、かつ/または、電気を保存する電池を含む。DCソースは、自動車用電池、自動車用コンセント、燃料電池および/またはソーラーパネルを含み得る。電源4210は、外部電力ソースが利用可能である場合、電池を充電するように構成され得る。
【0167】
電源4210は、30、60および/または90ワットの電力を提供するように、構成され得る。電源4210は、コンバータを含み得る。このコンバータは、一形態の電力を(例えば、A/C電力ソースから)受信し、この電力をRPTデバイスおよび/またはサブシステムデバイスのうち1つ以上によって用いられる別の形態(DC電力)へ変換するように、構成される。本技術のいくつかの実行において、電源4210は、システムへの電力供給または電池の充電を行うために、(外部ハウジング4010の内部または外部の)DCコンバータを含み得る。
【0168】
電源4210は、主電源および2次電源を含み得る。主要電源は、A/C電力ソース(例えば、50HzA/Cにおいて240ボルトまたは60hzA/Cにおいて120ボルト)および/または1つ以上の電池へ連結され得る。1つ以上の電池は、A/C電力ソースが無い場合かつ/またはRPTデバイス4000および/またはサブシステムデバイスのコンポーネントにさらなる電力が必要である場合、RPTデバイス4000へ給電し得る。
【0169】
電源4210は、RPTデバイス4000およびサブシステムデバイスへの同時給電のための十分な電力を有さない場合がある。例えば、電源4210は、送風機4142、加湿器5000内のヒータ(例えば、加熱板)および加熱管の同時給電のための十分な電力を有さない場合がある。以下にさらに詳述するように、RPTデバイス400は、電力を電源4210から送風機4142および1つ以上のサブシステムデバイスへ分配するための能動的な電力管理を(電源4210の過電流保護をトリガすること無く)含み得る。
【0170】
電源4210は、電流制限回路を含み得る。この電流制限回路は、出力電流が電力供給最大定格を電源定格の規定パーセンテージだけ(例えば、110%、120%or150%)超える場合に出力電力を制限するように、構成される。
【0171】
一例において、電源4210は、定格24V/65Wであり得、120%の過電流保護(OCP)トリガ(100ms遅延)と、150%OCPトリガ(遅延無し)とが用いられる。加熱板は、およそ67.8W(8.5Ω±5%@25℃)を引き出し得、加熱管は、およそ57.7W(9.3~10.9Ω@20~30℃)を引き出し得、送風機は、40Wを引き出し得、これは、圧力システムソフトウェアによって制限される。本例から分かるように、これらコンポーネント全ての合計電流消費は、電源4210が送達可能な電力よりもずっと高い。能動的な電力管理システムは、過電源保護のトリップ無しに利用可能な電力の分配を管理するように、構成される。以下にさらに詳細にのべるように、本技術のいくつかの実行において、電力管理は、全体的にソフトウェアによって行われ得る。
【0172】
5.4.2.2 入力デバイス
本技術の一形態において、RPTデバイス4000は、人間がデバイスと相互作用を可能にするためのボタン、スイッチまたはダイヤルの形態をとる1つ以上の入力デバイス4220を含む。ボタン、スイッチまたはダイヤルは、タッチスクリーンを介してアクセスすることが可能な物理的デバイスまたはソフトウェアデバイスであり得る。ボタン、スイッチまたはダイヤルは、一形態において外部ハウジング4010に物理的に接続させてもよいし、あるいは、別の形態において中央コントローラ4230と電気接続された受信器と無線通信してもよい。
【0173】
一形態において、入力デバイス4220は、人間が値および/またはメニュー選択肢を選択することを可能にするように、構築および配置され得る。
【0174】
5.4.2.3 中央コントローラ
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、RPTデバイス4000の制御に適した1つまたは複数のプロセッサである。
【0175】
適切なプロセッサは、ARM HoldingsからのARM(登録商標)Cortex(登録商標)-Mプロセッサに基づいたプロセッサであるx86INTELプロセッサを含み得る(例えば、ST マクロ電子からのS(登録商標)32シリーズのマイクロコントローラ)。本技術の特定の代替形態において、32ビットRISC CPU(例えば、ST MICRO電子SからのSTR9シリーズマクロコントローラ)または16ビットRISC CPU(例えば、TEXAS INSTRUMENTSによって製造されたマクロコントローラのMSP430ファミリーからのプロセッサ)も適切であり得る。
【0176】
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、専用電子回路である。
【0177】
一形態において、中央コントローラ4230は、特定用途向け集積回路である。別の形態において、中央コントローラ4230は、個別電子コンポーネントを含む。
【0178】
中央コントローラ4230は、1つ以上の変換器4270、1つ以上の入力デバイス4220および加湿器5000から入力信号(単数または複数)を受信するように、構成され得る。
【0179】
中央コントローラ4230は、出力信号(単数または複数)を出力デバイス4290、治療デバイスコントローラ4240、データ通信インターフェース4280および加湿器5000のうち1つ以上へ提供するように、構成され得る。
【0180】
本技術のいくつかの形態において、中央コントローラ4230は、本明細書中に記載の1つ以上の方法を具現するように、構成される(例えば、非一時的なコンピュータで読出可能な記録媒体のような(例えば、メモリ4260)中に記録されたコンピュータプログラムとして表現された1つ以上のアルゴリズム4300)。本技術のいくつかの形態において、中央コントローラ4230は、RPTデバイス4000と一体化され得る。しかし、本技術のいくつかの形態において、いくつかの方法が、遠隔配置されたデバイスによって行われ得る。例えば、遠隔配置されたデバイスは、記録されたデータ(例えば、本明細書中に記載のセンサのうちいずれかからのもの)の分析により、人工呼吸器の制御設定を決定し得るか、または、呼吸関連イベントを検出し得る。
【0181】
5.4.2.4 時計
RPTデバイス4000は、中央コントローラ4230へ接続された時計4232を含み得る。
【0182】
5.4.2.5 治療デバイスコントローラ
本技術の一形態において、治療デバイスコントローラ4240は治療制御モジュール4330であり、中央コントローラ4230によって実行されるアルゴリズム4300の一部を形成する。
【0183】
本技術の一形態において、治療デバイスコントローラ4240は、専用モータ制御集積回路である。例えば、一形態において、ONSEMIによって製造されたMC33035ブラシレスDCモータコントローラが用いられる。
【0184】
5.4.2.6 保護回路
本技術による1つ以上の保護回路4250は、電気保護回路、温度および/または圧力安全回路を含み得る。
【0185】
5.4.2.7 メモリ
本技術の一形態によれば、RPTデバイス4000は、メモリ4260(例えば、不揮発性メモリ)を含む。いくつかの形態において、メモリ4260は、電池式スタティックRAMを含み得る。いくつかの形態において、メモリ4260は、揮発性RAMを含み得る。
【0186】
メモリ4260は、PCBA4202上に配置され得る。メモリ4260は、EEPROMまたはNANDフラッシュの形態をとり得る。
【0187】
追加的にまたは代替的に、RPTデバイス4000は、取り外し可能なメモリ4260(例えば、セキュアデジタル(SD)規格に従って作製されたメモリカード)を含む。
【0188】
本技術の一形態において、メモリ4260は、非一時的コンピュータで読出可能な記録媒体として機能する。この記録媒体上に、本明細書中に記載の1つ以上の方法を表現するコンピュータプログラム命令(例えば、1つ以上のアルゴリズム4300)が記録される。
【0189】
5.4.2.8 データ通信システム
本技術の一形態において、データ通信インターフェース4280が設けられ、中央コントローラ4230へ接続される。データ通信インターフェース4280は、遠隔外部通信ネットワーク4282および/またはローカル外部通信ネットワーク4284へ接続可能であり得る。遠隔外部通信ネットワーク4282は、遠隔外部デバイス4286へ接続可能であり得る。ローカル外部通信ネットワーク4284は、ローカル外部デバイス4288へ接続可能であり得る。
【0190】
一形態において、データ通信インターフェース4280は、中央コントローラ4230の一部である。別の形態において、データ通信インターフェース4280は、中央コントローラ4230と別個であり、集積回路またはプロセッサを含み得る。
【0191】
一形態において、遠隔外部通信ネットワーク4282はインターネットである。データ通信インターフェース4280は、インターネットへ接続するために、(例えば、イーサネットまたは光ファイバーを介して)有線通信を用得るかまたは無線プロトコル(例えば、CDMA、GSM、LTE)を用い得る。
【0192】
一形態において、ローカル外部通信ネットワーク4284は、1つ以上の通信規格(例えば、ブルートゥース(登録商標)またはコンシューマー赤外線プロトコル)を用いる。
【0193】
一形態において、遠隔外部デバイス4286は、1つ以上のコンピュータ(例えば、ネットワーク化コンピュータのクラスタ)である。一形態において、遠隔外部デバイス4286は、物理的コンピュータではなく仮想コンピュータであり得る。いずれの場合も、このような遠隔外部デバイス4286は、適切に権限を付与された人間(例えば、臨床医)からのアクセスが可能であり得る。
【0194】
ローカル外部デバイス4288は、パーソナルコンピュータ、携帯電話、タブレットまたは遠隔制御器であり得る。
【0195】
5.4.2.9 任意選択のディスプレイ、警報を含む出力デバイス
本技術による出力デバイス4290は、視覚、音声および触覚ユニットのうち1つ以上の形態をとり得る。視覚ディスプレイは、液晶ディスプレイ(LCD)または発光ダイオード(LED)ディスプレイであり得る。
【0196】
5.4.2.9.1 ディスプレイドライバ
ディスプレイドライバ4292は、ディスプレイ4294上へ表示されるべき文字、記号または画像を入力として受信し、ディスプレイ4294にこれらの文字、記号または画像を表示させるコマンドへ変換する。
【0197】
5.4.2.9.2 ディスプレイ
ディスプレイ4294は、ディスプレイドライバ4292から受信されたコマンドに応答して、文字、記号または画像を視覚的に表示するように構成される。例えば、ディスプレイ4294は8セグメントディスプレイであり得、その場合、ディスプレイドライバ4292は、各文字または記号(例えば、数字「0」)を、特定の文字または記号を表示するために各8個のセグメントを活性化させるべきかを示す8個の論理信号へ変換する。
5.4.3 RPTデバイスアルゴリズム
【0198】
上記したように、本技術のいくつかの形態において、中央コントローラ4230は、非一時的なコンピュータで読出可能な記録媒体(例えば、メモリ4260)中に記録されたコンピュータプログラムとして表現された1つ以上のアルゴリズム4300を具現するように構成され得る。このアルゴリズム4300は、モジュールと呼ばれるグループにグループ付けられることが一般的だ。
【0199】
5.4.3.1 事前処理モジュール
本技術の一形態による事前処理モジュール4310は、変換器4270(例えば流量センサ4274または圧力センサ4272)からの信号を入力として受信し、1つ以上の出力値を計算するための1つ以上のプロセスステップを行う。これらの出力値は、別のモジュール(例えば、治療エンジンモジュール4320)への入力として用いられる。
【0200】
本技術の一形態において、出力値は、インターフェースまたはマスク圧力Pm、呼吸流量Qrおよび漏洩流量Qlを含む。
【0201】
本技術の多様な形態において、事前処理モジュール4310は、以下のアルゴリズムのうち1つ以上を含む:圧力補償4312、通気流量推定4314、漏洩流量推定4316および呼吸流量推定4318。
【0202】
5.4.3.1.1 圧力補償
本技術の一形態において、圧力補償アルゴリズム4312は、空気圧ブロックの出口の近位の空気圧経路中の圧力を示す信号を入力として受信する。圧力補償アルゴリズム4312は、圧力低下を空気回路4170を通じて推定し、患者インターフェース3000中の推定圧力Pmを出力として提供する。
【0203】
5.4.3.1.2 通気流量の推定
本技術の一形態において、通気流量推定アルゴリズム4314は、患者インターフェース3000中の推定圧力Pmを入力として受信し、患者インターフェース3000中の通気孔3400からの空気の通気流量Qvを推定する。
【0204】
5.4.3.1.3 漏洩流量推定
本技術の一形態において、漏洩流量推定アルゴリズム4316は、全体流量Qtおよび通気流量Qvを入力として受信し、漏洩流量Qlの推定を出力として提供する。一形態において、漏洩流量推定アルゴリズムは、いくつかの呼吸サイクル(例えば、約10秒)を含むくらいに充分に長い期間にわたって全体流量Qtと通気流量Qvとの間の差平均を計算することにより、漏洩流量Qlを推定する。
【0205】
一形態において、漏洩流量推定アルゴリズム4316は、漏洩流量Qlを出力として提供し、漏洩コンダクタンスを計算することおよび漏洩流量Qlを漏洩コンダクタンスおよび圧力Pmの関数となるように決定することにより、患者インターフェース3000中の全体流量Qt、通気流量Qv、および推定圧力Pmを入力として受信する。漏洩コンダクタンスは、全体流量Qtと通気流量Qvとの間の差に等しいローパスフィルタされた非通気流量の商と、圧力Pmのローパスフィルタされた平方根として計算され、ローパスフィルタ時定数は、いくつかの呼吸サイクル(例えば、約10秒)を含むだけの充分な値を有する。漏洩流量Qlは、漏洩コンダクタンスの積および圧力Pmの関数として推定され得る。
【0206】
5.4.3.1.4 呼吸流量推定
本技術の一形態において、呼吸流量推定アルゴリズム4318は、全体流量Qt、通気流量Qvおよび漏洩流量Qlを入力として受信し、通気流量Qvおよび漏洩流量Qlを全体流量Qtから減算することにより、患者への空気呼吸流量Qrを推定する。
【0207】
5.4.3.2 治療エンジンモジュール
本技術の一形態において、治療エンジンモジュール4320は、患者インターフェース3000中の圧力Pmおよび患者への空気呼吸流量Qrのうち1つ以上を入力として受信し、1つ以上の治療パラメータを出力として提供する。
【0208】
本技術の一形態において、治療パラメータは、治療圧力Ptである。
【0209】
本技術の一形態において、治療パラメータは、圧力変化の振幅、ベース圧力および目標換気のうち1つ以上である。
【0210】
多様な形態において、治療エンジンモジュール4320は、以下のアルゴリズムのうち1つ以上を含む:フェーズ決定4321、波形決定4322、換気決定4323、吸気流制限決定4324、無呼吸/呼吸低下決定4325、いびき決定4326、気道開通性決定4327、目標換気決定4328、および治療パラメータ決定4329。
【0211】
5.4.3.2.1 フェーズ決定
本技術の一形態において、RPTデバイス4000は、フェーズを決定しない。
【0212】
本技術の一形態において、フェーズ決定アルゴリズム4321は、呼吸流量Qrを示す信号を入力として受信し、患者1000の現在の呼吸サイクルのフェーズを出力Φとして提供する。
【0213】
いくつかの形態において、離散フェーズ決定として知られるフェーズ出力Φは、離散変数である。離散フェーズ決定の一具現例により、吸息または呼息の値を持つ二値フェーズ出力Φが得られる。この値は、自発吸息および呼息それぞれの開始が検出された際に例えば0回転および0.5回転の値としてそれぞれ表される。「トリガ」および「サイクル」するRPTデバイス4000は、離散フェーズ決定を有効に行う。なぜならば、トリガ点およびサイクル点は、フェーズが呼息から吸息へおよび吸息から呼息へそれぞれ変化する瞬間であるからである。二値フェーズ決定の一具現例において、フェーズ出力Φは、呼吸流量Qrが正の閾値を超える値を有するときに、離散値0を有し(これによりRPTデバイス4000を「トリガ」する)、呼吸流量Qrの値が負の閾値よりもより大きな負の値であるときに0.5回転の離散値(これにより、RPTデバイス4000を「サイクルさせる」)を有するように、決定される。吸息時間Tiおよび呼息時間Teは、(吸気を示す)0および(呼気を示す)0.5それぞれに等しいフェーズΦと共に費やされた時間の多くの呼吸器サイクルにわたって推定された典型的値であり得る。
【0214】
離散フェーズ決定の別の具現例により、吸息、吸気中の一時停止および呼息のうち1つの値を備えた3値フェーズ出力Φが得られる。
【0215】
他の形態において、連続フェーズ決定として知られるフェーズ出力Φは連続する変数であり、例えば0回転~1回転または0~2πラジアンの間で変動する。連続フェーズ決定を行うRPTデバイス4000は、連続フェーズが0回転および0.5回転それぞれに到達したときに、トリガおよびサイクルし得る。連続フェーズ決定の一具現例において、フェーズの連続値Φは、呼吸流量Qrのファジー論理分析を用いて決定される。本具現例において決定されたフェーズの連続値は、「ファジーフェーズ」と呼ばれることが多い。ファジーフェーズ決定アルゴリズム4321の一具現例において、以下の規則が呼吸流量Qrへ適用される:
1.呼吸流量がゼロになった後に急激に増加した場合、フェーズは0回転である。
2.呼吸流量が大きな正の値でありかつ安定している場合、フェーズは0.25回転である。
3.呼吸流量がゼロであり急激に低下する場合、フェーズは0.5回転である。
4.呼吸流量が大きな負の値でありかつ安定している場合、フェーズは0.75回転である。
5.呼吸流量がゼロでありかつ安定しており、呼吸流量の5秒のローパスフィルタされた絶対値が大きい場合、フェーズは0.9回転である。
6.呼吸流量が正であり、フェーズが呼気である場合、フェーズは0回転である。
7.呼吸流量が負であり、フェーズが吸気であり、フェーズは0.5回転である。
8.呼吸流量の5秒のローパスフィルタされた絶対値が大きい場合、フェーズは、時定数20秒によってローパスフィルタされた患者の呼吸速度に等しい一定速度で増加する。
【0216】
各規則の出力は、フェーズが規則の結果でありかつ大きさが規則が真となるファジー範囲となるベクトルとして表され得る。呼吸流量が「大きい」、「安定している」などのファジー範囲は、適切なメンバシップ関数によって決定される。規則の結果は、ベクトルとして表され、その後、セントロイドをとるなどのいくつかの関数により、組み合わされる。このような組み合わせにおいて、規則は、等しく重み付けしてもよいし、あるいは異なる様態で重み付けしてもよい。
【0217】
連続フェーズ決定の別の具現例において、フェーズΦは、吸息時間Tiおよび呼息時間Teと同様、上記のように先ず呼吸流量Qrから個別に推定される。その後、任意の瞬間における連続フェーズΦは、先行トリガ瞬間から経過した吸息時間Tiの割合の半分または0.5回転に先行サイクル瞬間から経過した呼息時間Teの割合を加算した値(これらのうち、より直近の瞬間)として決定される。
【0218】
5.4.3.2.2 波形決定
本技術の一形態において、治療パラメータ決定アルゴリズム4329は、患者の呼吸サイクル全体を通じてほぼ一定の治療圧力を提供する。
【0219】
本技術の他の形態において、治療制御モジュール4330は、圧力生成器4140を制御して、波形テンプレートΠ(Φ)に従って患者呼吸サイクルのフェーズΦの関数として変動する治療圧力Ptを提供させる。
【0220】
本技術の一形態において、波形決定アルゴリズム4322は、波形テンプレートΠ(Φ)を提供する。波形テンプレートは、治療パラメータ決定アルゴリズム4329によって用いられる予定のフェーズ決定アルゴリズム4321によって提供されるフェーズ値Φの変域について[0,1]の範囲内の値を有する。
【0221】
一形態において、離散的または連続的に値をとるフェーズに適したものとして、波形テンプレートΠ(Φ)は矩形波テンプレートであり、0.5回転までのフェーズ値に対して1の値を有し、0.5回転を超えるフェーズ値に対して0の値を有する。一形態において、連続的に値をとるフェーズに適したものとして、波形テンプレートΠ(Φ)は、2つの平滑に曲線状の部分を含む(すなわち、0.5回転までのフェーズ値に対して平滑に曲線状の(例えば、上昇コサインの)0から1への上昇、および0.5回転を超えるフェーズ値に対して1から0への平滑に曲線状の(例えば、指数関数的)低下)。一形態において、連続的に値をとるフェーズに適したものとして、波形テンプレートΠ(Φ)は矩形波に基づくが、0.5回転よりも低い「立上がり時間」までのフェーズ値に対して0~1の平滑な上昇を持ち、0.5回転後の「下降時間」内のフェーズ値に対して1から0への、0.5回転よりも低い「下降時間」をもつ平滑な下降を有する。
【0222】
本技術のいくつかの形態において、波形決定アルゴリズム4322は、RPTデバイスの設定に応じて、波形テンプレートΠ(Φ)を波形テンプレートのライブラリから選択する。ライブラリ中の各波形テンプレートΠ(Φ)は、フェーズ値Φに対する値Πのルックアップテーブルとして提供され得る。他の形態において、波形決定アルゴリズム4322は、恐らくは1つ以上のパラメータ(例えば、指数曲線部分の時間定数)によってパラメータ化された所定の関数形態を用いて、波形テンプレートΠ(Φ)を「オンザフライ」で計算する。関数形式のパラメータは、所定のものであってもよりし、あるいは患者1000の現在の状態に依存してもよい。
【0223】
吸息(Φ=0回転)または呼息(Φ=0.5回転)の離散二値フェーズに適した本技術のいくつかの形態において、波形決定アルゴリズム4322は、最も直近のトリガ瞬間から測定された離散フェーズΦおよび時間tの関数として、波形テンプレートΠを「オンザフライ」で計算する。1つのこのような形態において、波形決定アルゴリズム4322は、波形テンプレートΠ(Φ,t)を2つの部分(吸気および呼気)において以下のように計算する。
【数1】
【0224】
ここで、Π(t)およびΠ(t)は、波形テンプレートΠ(Φ,t)の吸気部分および呼気部分である。1つのこのような形態において、波形テンプレートの吸気部分Π(t)は、立上がり時間によってパラメータ化された0から1への平滑な上昇であり、波形テンプレートの呼気部分Π(t)は、下降時間によってパラメータ化された1から0への平滑な下降である。
【0225】
5.4.3.2.3 換気決定
本技術の一形態において、換気決定アルゴリズム4323は、呼吸流量Qrを入力として受信し、現在の患者換気Ventを示す測定を決定する。
【0226】
いくつかの具現例において、換気決定アルゴリズム4323は、実際の患者換気の推定値である換気Ventの測定を決定する。このような一具現例として、呼吸流量Qrの絶対値の半値をとることがあり、これは、任意選択的にローパスフィルタ(例えば、コーナ周波数が0.11Hzである2次ベッセルローパスフィルタ)によってフィルタリングされる。
【0227】
他の具現例において、換気決定アルゴリズム4323は、実際の患者換気に大きく比例する換気Ventの測定を決定する。このような一具現例において、ピーク呼吸流量Qpeakが、サイクルの吸気部分において推定される。呼吸流量Qrのサンプリングを含む上記および他の多数の手順により、換気に大きく比例する測定が得られるが、これらの測定の場合、流量波形形状の変動がそれほど大きくない(ここで、2つの呼吸の形状は、時間および振幅において正規化された呼吸の流量波形が類似するときと同様のものとしてとられる)。いくつかの簡単な例を挙げると、正の呼吸流量の中央値、呼吸流量の絶対値の中央値、および流量の標準偏差がある。正の係数を用いた呼吸流量の絶対値の任意次数の統計の任意の線形的組み合わせ(およびさらには正の係数および負の係数双方を用いたいくつかのもの)は、換気におおむね比例する。別の例として、吸気部分の(時間について)中央K割合における呼吸流量の平均であり、ここで、0<K<1である。流量形状が一定である場合、換気に高精度に比例する任意の多数の測定がある。
【0228】
5.4.3.2.4 吸気流制限の決定
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、吸気流制限の範囲の決定について、吸気流制限決定アルゴリズム4324を実行する。
【0229】
一形態において、吸気流制限決定アルゴリズム4324は、呼吸流量信号Qrを入力として受信し、呼吸の吸気部分が吸気流制限を示す範囲の計量を出力として提供する。
【0230】
本技術の一形態において、各呼吸の吸気部分は、ゼロ交差検出器によって特定される。均等に間隔を空けて配置された複数の(例えば、65個の)点は、時点を示し、各呼吸について吸気流量-時間曲線に沿って補間器によって補間される。その後、これらの点によって記述された曲線をスケーラーによって単位長さ(持続期間/期間)および単位面積を持つようにスケールすることにより、呼吸数および深さの変化による影響を除去する。次に、スケーリングされた呼吸を通常の非閉塞呼吸を示す(図6Aに示す呼吸の吸気部分と同様の)事前保存されたテンプレートと比較器において比較する。吸気時の任意の時において、試験要素によって決定されたような例えば咳、吐息、嚥下およびしゃっくりに起因したこのテンプレートからの呼吸の逸脱が指定閾(典型的には、1スケール単位)を超える場合、当該呼吸は拒否される。拒否の無かったデータについて、第1のこのようなスケーリングされた点の移動平均を中央コントローラ4230によって先行するいくつかの吸気事象について計算する。これを同一吸気事象にわたって第2のこのような点について繰り返し、以降同様に繰り返す。そのため、例えば、65個のスケーリングされたデータ点が中央コントローラ4230によって生成され、先行するいくつかの吸気事象(例えば、3つの事象)の移動平均を示す。本明細書中以下、連続的に更新された(例えば、65個の)点の値の移動平均を「スケーリングされた流量」と呼び、Qs(t)によって示す。あるいは、移動平均の代わりに単一の吸気事象を用いてもよい。
【0231】
スケーリングされた流量から、部分的閉塞の決定に関連する2つの形状要素が計算され得る。
【0232】
形状要素1は、中間(例えば、32個の)スケーリングされた流量点の平均の全体的(例えば、65個の)スケーリングされた流量点の平均に対する比である。この比が1を超える場合、呼吸は正常であるとみなされる。この比が1未満である場合、呼吸に閉塞が有るとみなされる。比が約1.17である場合、部分的閉塞と非閉塞呼吸との間の閾としてみなされ、典型的な患者における適切な酸素付加の維持を可能にする一定レベルの閉塞に等しい。
【0233】
形状要素2は、中間(例えば、32個の)点にわたって単位スケーリングされた流量からの平均二乗偏差として計算される。平均二乗偏差が約0.2単位である場合、正常とみなされる。平均二乗偏差がゼロである場合、全体的に流れが制限された呼吸とみなされる。平均二乗偏差がゼロに近づくほど、当該呼吸は、流れが制限されたものとみなされる。
【0234】
形状要素1および2は、代替として用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。本技術の他の形態において、サンプルされた点の数、呼吸および中間点は、上記したものと異なり得る。さらに、閾値も上記したものと異なり得る。
【0235】
5.4.3.2.5 無呼吸および呼吸低下の決定
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、無呼吸および/または呼吸低下の存在の決定のために、無呼吸/呼吸低下決定アルゴリズム4325を実行する。
【0236】
一形態において、無呼吸/呼吸低下検出アルゴリズム4325は、呼吸流量信号Qrを入力として受信し、無呼吸または呼吸低下が検出されたかを示すフラッグを出力として提供する。
【0237】
一形態において、無呼吸とは、呼吸流量Qrの関数が所定の期間にわたって流量閾値を下回ったときに検出されるものとされる。この関数は、ピーク流量、比較的短期間の平均流量、または比較的短期間の平均およびピーク流量の流量中間値を決定し得る(例えば、RMS流量)。流量閾値は、流量の比較的長期間の測定値であり得る。
【0238】
一形態において、呼吸低下とは、呼吸流量Qrの関数が所定の期間にわたって第2の流量閾値を下回ったときに検出されるものとする。この関数は、ピーク流量、比較的短期間の平均流量、または比較的短期間の平均およびピーク流量の流量中間値を決定し得る(例えば、RMS流量)。第2の流量閾値は、流量の比較的長期の測定値であり得る。第2の流量閾値は、無呼吸の検出に用いられる流量閾値よりも高い。
【0239】
5.4.3.2.6 いびきの決定
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、いびき範囲の決定のために、1つ以上のいびき決定アルゴリズム4326を実行する。
【0240】
一形態において、いびき検出アルゴリズム4326は、呼吸流量信号Qrを入力として受信し、いびきが存在している範囲の測定値を出力として提供する。
【0241】
いびき検出アルゴリズム4326は、流量信号の強度を30~300Hzの範囲内において決定するステップを含み得る。さらに、いびき決定アルゴリズム4326は、バックグラウンドノイズ(例えば、送風機からのシステム中の気流音)を低減するために呼吸流量信号Qrをフィルタリングするステップを含み得る。
【0242】
5.4.3.2.7 気道開通性の決定
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、気道開通性の範囲の決定のために、1つ以上の気道開通性決定アルゴリズム4327を実行する。
【0243】
一形態において、気道開通性決定アルゴリズム4327は、呼吸流量信号Qrを入力として受信し、信号の出力を約0.75Hz~約3Hzの周波数範囲内において決定する。この周波数範囲内におけるピークの存在は、気道開放を示すものとしてみなされる。ピークの不在は、気道閉鎖の兆候とみなされる。
【0244】
一形態において、ピークが求められる周波数範囲は、治療圧力Ptにおける小さな強制オシレーションの周波数となる周波数範囲である。一具現例において、強制オシレーションは、振幅が約1cmHOである周波数2Hzである。
【0245】
一形態において、気道開通性決定アルゴリズム4327は、呼吸流量信号Qrを入力として受信し、心臓発生信号の存在または不在を決定する。心臓発生信号の不在は、気道閉鎖の兆候としてみなされる。
【0246】
5.4.3.2.8 目標換気の決定
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、現在の換気Ventの測定を入力としてとり、換気測定のための目標値Vtgtの決定のために、1つ以上の目標換気決定アルゴリズム4328を実行する。
【0247】
本技術のいくつかの形態において、目標換気決定アルゴリズム4328は存在せず、目標値Vtgtは所定のものであり、例えばRPTデバイス4000の構成時におけるハードコーディングによりまたは入力デバイス4220を通じた手入力により得られる。
【0248】
適応型サーボ換気(ASV)などの本技術の他の形態において、目標換気決定アルゴリズム4328は、患者の典型的な最近の換気を示す値Vtypから目標値Vtgtを計算する。
【0249】
適応型サーボ換気のいくつかの形態において、目標換気Vtgtは、高割合でありかつ典型的な最近の換気Vtyp未満の値として計算される。このような形態の高割合は、範囲(80%、100%)、または(85%、95%)、または(87%、92%)内にあり得る。
【0250】
適応型サーボ換気の他の形態において、目標換気Vtgtは、典型的な最近の換気Vtypの1の倍数を若干上回る値として計算される。
【0251】
典型的な最近の換気Vtypは、いくつかの所定の時間スケールにわたる複数の時間的瞬間にわたる現在の換気Ventの測定が付近に分布する値であり、密集する傾向がある(すなわち、最近の履歴における現在の換気の測定の中央傾向の測定)。目標換気決定アルゴリズム4328の一具現例において、最近の履歴は、数分のオーダーであるが、どんなも場合もチェーン・ストークス漸増サイクルおよび漸減サイクルの時間スケールよりも長くなければならない。目標換気決定アルゴリズム4328は、中央傾向の多様な周知の測定のいずれかを用いて、典型的な最近の換気Vtypを現在の換気Ventの測定から決定し得る。1つのこのような測定として、現在の換気Ventの測定についてのローパスフィルタ出力であり、時定数が100秒に等しい。
【0252】
5.4.3.2.9 治療パラメータの決定
本技術のいくつかの形態において、中央コントローラ4230は、治療エンジンモジュール4320中のその他のアルゴリズムのうち1つ以上から返送された値を用いて、1つ以上の治療パラメータの決定のための1つ以上の治療パラメータ決定アルゴリズム4329を実行する。
【0253】
本技術の一形態において、治療パラメータは、瞬間治療圧力Ptである。この形態の一具現例において、治療パラメータ決定アルゴリズム4329は、以下の方程式を用いて治療圧力Ptを決定する。
Pt=AΠ(Φ,t)+P (1)
【0254】
ここで:
● Aは振幅であり、
● Π(Φ,t)は、フェーズの現在の値Φおよび時間のtにおける(0から1の範囲の)波形テンプレート値であり、
● Pはベース圧力である。
【0255】
波形決定アルゴリズム4322がフェーズΦによってインデックスされた値Πのルックアップテーブルとして波形テンプレートΠ(Φ)を提供する場合、治療パラメータ決定アルゴリズム4329は、フェーズ決定アルゴリズム4321から返送されたフェーズの現在の値Φに対して最近接ルックアップテーブル入力をロケートすることまたはフェーズの現在の値Φにまたがる2つの入力間の他により、方程式(1)を適用する。
【0256】
振幅Aおよびベース圧力Pの値は、下記のようにして選択された呼吸圧力治療モードに応じて、治療パラメータ決定アルゴリズム4329によって設定され得る。
【0257】
5.4.3.3 治療制御モジュール
本技術の一態様による治療制御モジュール4330は、治療エンジンモジュール4320の治療パラメータ決定アルゴリズム4329からの治療パラメータを入力として受信し、これらの治療パラメータに従って圧力生成器4140から空気流れを送達させるように、圧力生成器を制御する。
【0258】
本技術の一形態において、治療パラメータは治療圧力Ptであり、治療制御モジュール4330は、患者インターフェース3000におけるマスク圧力Pmが治療圧力Ptに等しい空気流れを圧力生成器4140から送達させるように、圧力生成器を制御する。
【0259】
5.4.3.4 故障状態の検出
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、故障状態の検出のための1つ以上の方法4340を実行する。1つ以上の方法4340によって検出された故障状態は、以下のうち少なくとも1つを含み得る:
● 停電(電力無しまたは電力不足)
● 変換器故障の検出
● コンポーネントの存在を検出できない
● 動作パラメータが推奨範囲から外れている(例えば、圧力、流量、温度、PaO
● 検出可能な警告信号を生成するための試験警告の不履行。
【0260】
故障状態が検出されると、対応するアルゴリズム4340信号は、以下のうち1つ以上により、故障の存在を信号伝達する:
● 可聴、視覚および/または動力学的(例えば、振動的)警告の開始
● 外部デバイスへのメッセージ送信
● インシデントのロギング
【0261】
5.5 空気回路
本技術の一態様による空気回路4170は、使用時において空気流れが2つのコンポーネント(例えば、RPTデバイス4000および患者インターフェース3000)間に移動するように、構築および配置された導管またはチューブである。
【0262】
詳細には、空気回路4170は、空気圧ブロック4020の出口および患者インターフェースと流体接続し得る。空気回路は、空気送達管と呼ばれ得る。いくつかの場合において、吸息および呼息のための回路の別個の肢があり得る。他の場合において、単一の肢が用いられる。
【0263】
いくつかの形態において、空気回路4170は、(例えば空気温度の維持または上昇のために)空気回路中の空気を加熱するように構成された1つ以上の加熱要素を含み得る。加熱要素は、加熱ワイヤ回路の形態をとり得、1つ以上の変換器(例えば、温度センサ)を含み得る。一形態において、加熱ワイヤ回路は、空気回路4170の軸周囲にらせん状に巻かれ得る。加熱要素は、コントローラ(例えば、中央コントローラ4230)と連通し得る。加熱ワイヤ回路を含む空気回路4170の一実施例について、米国特許出願第8,733,349号に記載がある。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
【0264】
5.5.1 酸素送達
本技術の一形態において、補充用酸素4180が、空気圧経路における1つ以上のポイント(例えば、空気圧ブロック4020の上流)、空気回路4170および/または患者インターフェース3000へ送達され得る。
【0265】
5.6 加湿器
5.6.1 加湿器の概要
本技術の一形態において、患者へ送達されるべき空気またはガスの絶対湿度を周囲空気に相対して変化させるための加湿器5000が提供される(例えば、図5Aに示すようなもの)。典型的には、加湿器5000は、患者気道へ送達される前に空気流れの(周囲空気に相対する)絶対湿度を増加させかつ温度を増加させるために、用いられる。
【0266】
加湿器5000は、加湿器リザーバ5110と、空気流れを受容する加湿器入口5002と、加湿された空気流れを送達させるための加湿器出口5004とを含み得る。図5Aおよび図5Bに示すようないくつかの形態において、加湿器リザーバ5110の入口および出口はそれぞれ、加湿器入口5002および加湿器出口5004であり得る。加湿器5000は、加湿器ベース5006をさらに含み得る。加湿器ベース5006は、加湿器リザーバ5110を受容するように適合され得、加熱要素5240を含み得る。
【0267】
5.6.2 加湿器コンポーネント
5.6.2.1 水リザーバ
1つの配置構成によれば、加湿器5000は、空気流れの加湿のために蒸発させるべき一定量の液体(例えば、水)を収容または保持するように構成された水リザーバ5110を含み得る。水リザーバ5110は、少なくとも呼吸治療セッション期間(例えば、一晩の睡眠)にわたって適切な加湿を提供するための所定の最大量の水を収容するように、構成され得る。典型的には、リザーバ5110は、数百ミリリットルの水(例えば、300ミリリットル(ml)、325ml、350mlまたは400ml)を収容するように、構成される。他の形態において、加湿器5000は、外部水源(例えば、建物の水供給システム)から水供給を受容するように、構成され得る。
【0268】
一態様によれば、水リザーバ5110は、空気流れがRPTデバイス4000を通過する際にRPTデバイス4000からの空気流れを加湿するように、構成される。一形態において、水リザーバ5110は、空気流れがリザーバ5110中の一定量の水と接触しつつ、空気流れのリザーバ5110中の蛇行経路の移動を促進するように、構成され得る。
【0269】
一形態によれば、リザーバ5110は、例えば図5Aおよび図5Bに示すように横方向において加湿器5000から取り外し可能であり得る。
【0270】
リザーバ5110は、例えばリザーバ5110がその通常の動作方向(例えば、任意のアパチャを通じておよび/またはそのサブコンポーネント間に)から変位および/または回転した時にリザーバ5110からの液体放出を抑制するようにも構成され得る。加湿器5000によって加湿すべき空気流れは加圧されていることが多いため、リザーバ5110は、漏洩および/または流れインピーダンスを通じた空気圧の損失を防止するようにも、構成され得る。
【0271】
5.6.2.2 伝導性部位
1つの配置によれば、リザーバ5110は、加熱要素5240からリザーバ5110中の一定量の液体への効率的な熱伝達を可能にするように構成された伝導性部位5120を含む。一形態において、伝導性部位5120はプレートとして配置され得るが、他の形状も適切であり得る。伝導性部位5120の全体または一部は、アルミニウムなどの熱伝導性材料(例えば、厚さおよそ2mm(例えば、1mm、1.5mm、2.5mmまたは3mm))、別の熱伝導金属また何らかのプラスチックによって構成され得る。いくつかの場合において、適切な熱伝導性が、適切なジオメトリのより低伝導性の材料により、達成され得る。
【0272】
5.6.2.3 加湿器リザーバドック
一形態において、加湿器5000は、加湿器リザーバ5110を受容するように構成された(図5Bに示すような)加湿器リザーバドック5130を含み得る。いくつかの配置において、加湿器リザーバドック5130は、ロック機能を含み得る(例えば、リザーバ5110を加湿器リザーバドック5130内に保持するように構成されたロックレバー5135)。
【0273】
5.6.2.4 水位インジケータ
加湿器リザーバ5110は、図5A図5Bに示すような水位インジケータ5150を含み得る。いくつかの形態において、水位インジケータ5150は、加湿器リザーバ5110中の水の量についての1つ以上の兆候を患者1000または介護者などのユーザへ提供し得る。水位インジケータ5150から提供されるこれら1つ以上の兆候は、最大の所定量の水、その任意の一部の通知を含み得る(例えば、25%、50%または75%または量(例えば、200ml、300mlまたは400ml))。
【0274】
5.6.2.5 加湿器変換器(単数または複数)
加湿器5000は、上記した変換器4270の代わりにまたは上記した変換器4270に加えて1つ以上の加湿器変換器(センサ)5210を含み得る。加湿器変換器5210は、図5Cに示すような空気圧センサ5212、空気流量変換器5214、温度センサ5216または湿度センサ5218のうち1つ以上を含み得る。加湿器変換器5210は、1つ以上の出力信号を生成し得る。これらの出力信号は、コントローラ(例えば、中央コントローラ4230および/または加湿器コントローラ5250)へ通信され得る。いくつかの形態において、加湿器変換器は、出力信号をコントローラへ通信しつつ、加湿器5000の外部に(例えば、空気回路4170内に)配置され得る。
【0275】
5.6.2.5.1 圧力変換器
1つ以上の圧力変換器5212が、RPTデバイス4000内に設けられた圧力センサ4272に加えてまたはRPTデバイス内に設けられた圧力センサ4272の代わりに加湿器5000へ設けられ得る。
【0276】
5.6.2.5.2 流量変換器
RPTデバイス4000内に設けられた流量センサ4274に加えてまたはRPTデバイス内に設けられた流量センサ4274の代わりに、1つ以上の流量変換器5214が加湿器5000へ設けられ得る。
【0277】
5.6.2.5.3 温度変換器
加湿器5000は、1つ以上の温度変換器5216を含み得る。1つ以上の温度変換器5216は、1つ以上の温度(例えば、加熱要素5240の温度および/または加湿器出口5004の空気流れ下流の温度)を測定するように構成され得る。いくつかの形態において、加湿器5000は、周囲空気の温度を検出する温度センサ5216をさらに含み得る。
【0278】
5.6.2.5.4 湿度変換器
一形態において、加湿器5000は、周囲空気などのガスの湿度を検出する1つ以上の湿度センサ5218を含み得る。いくつかの形態において、湿度センサ5218は、加湿器5000から送達されるガスの湿度を測定するように、加湿器出口5004に向かって配置され得る。湿度センサは、絶対湿度センサであってもよいし、あるいは相対湿度センサであってもよい。
【0279】
5.6.2.6 加熱要素
いくつかの場合において、加熱要素5240は、加湿器リザーバ5110中の水量および/または空気流れへの水量のうち1つ以上へ熱入力を提供する加湿器5000へ設けられ得る。加熱要素5240は、電気抵抗加熱トラックなどの熱生成コンポーネントを含み得る。加熱要素5240の1つの適切な実施例として、例えばPCT特許出願公開第WO2012/171072号に記載の層状加熱要素がある。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
【0280】
いくつかの形態において、加熱要素5240は、加湿器ベース5006中へ設けられ得る。加湿器ベース5006において、図5Bに示すように主に伝導により熱が加湿器リザーバ5110へ送られ得る。
【0281】
5.6.2.7 加湿器コントローラ
本技術の1つの配置によれば、加湿器5000は、図5Cに示すような加湿器コントローラ5250を含み得る。一形態において、加湿器コントローラ5250は、中央コントローラ4230の一部であり得る。別の形態において、加湿器コントローラ5250は、中央コントローラ4230と通信し得る別個のコントローラであり得る。
【0282】
一形態において、加湿器コントローラ5250は、特性(例えば、温度、湿度、圧力および/または流量)の測定を入力として受信し得る(例えばリザーバ5110中および/または加湿器5000中の空気流れ、水の測定)。加湿器コントローラ5250は、加湿器アルゴリズムの実行または実施ならびに/あるいは1つ以上の出力信号の送達を行うようにも、構成され得る。
【0283】
図5Cに示すように、加湿器コントローラ5250は、1つ以上のコントローラを含み得る(例えば、中央加湿器コントローラ5251、加熱空気回路4171の温度中央コノフ(central conof)を制御するように構成された加熱空気回路コントローラ5254および/または加熱要素5240の温度を制御するように構成された加熱要素コントローラ5252)。
【0284】
5.7 能動的な電力管理
上記したように、電源4210は、RPTデバイス4000およびサブシステムデバイスを同時に給電するための十分な電力を有していない場合がある。十分な電力を有する電源4210をRPTデバイス4000と共に設けることが可能であり得るが、より高い電力定格を用いた電源は、よりコストが高く、必要な空間も大きく、かつ/または重量も大きい。RPTデバイス4000(特に、ポータブルRPTデバイス400)におけるコスト、空間および/または重量の最小化が所望されている。
【0285】
一例として、RPTデバイス4000は、小型電源4210(例えば、外部電源)の使用を必要とする小型設計を利用し得る。小型電源4210は、従来の電源と比較してより低い電力容量定格を有し得る。RPTデバイス4000は、小型電源2410と協働するための特定の電力管理対策を(性能の妥協無しに)採用し得る。RPTデバイス4000は、RPTデバイス4000のサブシステム(例えば、送風機、加湿器および/または機能回路)の電力需要の動的管理により、電源4210を最大に利用し得る。
【0286】
本技術の実行により、RPTデバイス4000および1つ以上のサブシステムデバイスの同時給電には電力が不十分な電源の能動的な電力管理が可能になる。能動的な電力管理は、RPTデバイス4000およびサブシステムデバイスを用いた呼吸状態の治療を提供しつつ電源4210の(例えば、保護回路4250によって提供される)過電流保護のトリガ発動を回避する様態でRPTデバイス4000およびサブシステムデバイス(単数または複数)の動作を制御するように構成されたソフトウェアおよび/またはハードウェアを含み得る。電力管理のハードウェアベースの実行は、信頼性が得られるものの、さらなるコンポーネントのコストがさらにかかる。電力管理をソフトウェアベースで実行した場合、実行コストは低下するものの、ソフトウェア複雑度が増す。いくつかの例において、ソフトウェアベースの実行は、命令保存のためにさらなるメモリを必要とし得るが、さらなる処理コンポーネント(単数または複数)を必要とすること無く命令を実行する既存の処理システムを用いてもよい。電力管理のハードウェア実行およびソフトウェア実行を併用することにより、全体的なソフトウェア複雑度の低下に繋がり得、ソフトウェアベースの方法を単独で用いた場合よりも制御が向上し、ハードウェア解決策を単独で用いた場合よりもコスト低減になる。ハードウェア実行の場合、作動までの時間もずっと短くて済む。ハードウェアコンポーネントを設けることにより、処理速度増加に繋がり得る。ハードウェアベースの実行は、ソフトウェアベースの実行よりもずっと高速であり得る。
【0287】
図5Dは、電源4210から供給される電力を用いたデバイスの例示的アーキテクチャを示す。図5Dに示すように、電源は、65Wの電力を提供するように定格され得る。コントローラ4230およびRPTデバイス4000内に含まれる他のコンポーネント(例えば、出力デバイス、入力デバイスおよび/またはセンサ)は、最大指定量(例えば、5W)を動作時に使用し得る。送風機4142は、動作時に最大で40Wを使用し得る。加湿器5000内のヒータ5020(例えば、加熱板)は、およそ67.8Wを用い得る。1つ以上の加熱要素を含みかつ空気回路4170のうち少なくとも一部を形成する加熱管4172は、動作時におよそ57.7Wを使用し得る。(同時作動時において)図5D中に示すデバイスによって消費され得る合計電力は、電源4210の電力定格を超える。送風機4142、加熱板5020および加熱管4172は、電力のうちごく一部を使用(例えば、より低い設定にされ)かつ/または呼吸サイクルのうち特定の部分のみにおいて動作するように、制御され得る。
【0288】
RPTデバイス4000は、図5Dに示すコンポーネント中の電流を測定するための回路機構を含み得る。測定された電流は、以下を含み得る:電源4210から供給される電流を示すISYSTEM、加熱板5020および加熱管4172を除くシステムによって引き出される電流を示すIFG、加熱板5020によって引き出される電流を示すIPLATE、および/または加熱管4172によって引き出される電流を示すITUBE。能動的な電力管理において、送風機4142、加熱板5020および/または加熱管4172の動作をこれらの電流測定のうち1つ以上に基づいて制御することが含まれる。本技術のいくつかの実行において、送風機4142によって引き出される電流は、送風機および/または他のデバイスの動作を制御するために、別個に測定および使用され得る。
【0289】
動作時において、治療が実行され、1つ以上のセンサによって感知された状態に基づいて、送風機4142の制御様態が決定される。送風機4142は、電源4210から提供される電力について優先される。電源が利用することが可能な電力全てを送風機が必要としない場合、サブシステムデバイス(例えば、加熱板5020および/または加熱管4172)の制御のために、余剰電力を用いることができ得る。送風機用の電力は、患者の呼吸サイクルに基づいて変化し得、送風機は、呼吸サイクルの吸気上昇時および呼吸サイクルの呼気部時の利用可能な電力全体を用いない場合がある。状況によっては、送風機用の電力は、患者がマスクを調節した際またはマスクを取り外した際に突然に変化し得る。
【0290】
図5Eは、電源4210から供給される電力を用いて複数のデバイスの動作を制御するための例示的アーキテクチャを示す。中央コントローラ4230は、RPTデバイス4000および1つ以上のサブシステムデバイスの動作の制御を、ユーザ入力、センサデータ、利用可能な電力および/または電源4210の電力定格、ならびに/またはRPTデバイス4000および1つ以上のサブシステムデバイス(例えば、送風機、加熱板、加熱管または他のコンポーネント(例えば、通信モジュール))の動作特性に基づいて行い得る。
【0291】
中央コントローラ4230は、この制御を、1つ以上の電流感知回路から受信された電流測定に基づいて行い得る。図5Eに示すように、中央コントローラ4230は、1つ以上の電流感知回路5302~5308からの電流測定を受信する。電流感知回路5302は、電源4210から提供される電流を測定するように、構成され得る。電流感知回路5304は、送風機4142と、他のサブシステムデバイス(例えば、コントローラ、センサおよび/または入力デバイス)とによって引き出された電流を測定するように、構成され得る。いくつかの例において、電流感知回路5304は、送風機4142によって引き出された電流のみを測定するように、構成され得る。電流感知回路5306は、加熱板5020(例えば、第1の加熱要素)によって引き出された電流を測定するように、構成され得る。電流感知回路5308は、加熱管4172(例えば、第2の加熱要素)によって引き出された電流を測定するように、構成され得る。中央コントローラ4230は、これらの電流測定を受信し、給電すべきデバイス(例えば、送風機、加熱板および/またはヒータ管)と、これらのデバイスそれぞれへ(電源の過電流保護のトリップ無しに)提供すべき電力量とを決定する。
【0292】
電流感知回路5302~5308により、システムの異なる部位中の電流をリアルタイムで監視することが可能になるため、デバイスの動作状態の変化に応答して電源の過電流保護をトリガすること無く、デバイスの制御を有効に行うことが可能になり得る。電流感知回路5302~5308により、予測される呼吸サイクルに基づいた電力消費推定の場合よりも、デバイスによって使用されている電力の評価をより高精度に行うことが可能になり得る。
【0293】
電流感知回路のうち1つ以上は、事前決定されたインタバル(例えば、28μs毎)において電流チャンネルを読み取るように構成されたADCドライバを含み得る。電流感知回路は、電流を示すアナログ信号を受信し得、アナログ信号を中央コントローラ4230によって用いられるデジタル信号へ変換し得る。本技術の実行において、システムの異なる場所において電流を得るために、当業者に公知の多様な電流感知回路を用い得る。いくつかの実行において、デジタル電流感知ICが用いられ得る。デジタル電流感知ICは、シリアル周辺インターフェースデータを分割するように、構成され得る。
【0294】
中央コントローラ4230は、送風機4142の動作を選択された呼吸圧力治療モードに基づいて制御し得る。送風機は、電源4210からの電力について、他のデバイス(例えば、加熱板5020および加熱管4172)よりも優先される。中央コントローラ4230は、全体的電力消費を電源4210の電力範囲内に維持するために、加熱板5020および+加熱管4172の電流を制限する。いくつかの実行において、過電源保護のトリップを回避するために、電力範囲が制限され得る。いくつかの実行において、電力範囲には、過電源保護が極めて短い時間規模でトリガされてコントローラによる平均化が行われる前の電力が含まれ得る。加熱板および/または加熱管の電流は、((例えば、患者の断線または患者の呼吸の急激な変化に起因して)送風機電流の変化速度が高い場合に)電源過電流保護のトリガを回避できるように十分に高速に制御される。能動的な電力管理ループは、送風機コントローラループの実行よりも高速に実行される本技術の1つの実行において、能動的な電力管理は、送風機電流閉ループ(例えば、1ms)よりも2倍高速で実行され得る(例えば、0.5ms)。
【0295】
中央コントローラ4230は、送風機4142、加熱板5020および加熱管4172の制御を送風機コントローラ5310、加熱板コントローラ5312および加熱管コントローラ5314それぞれを介して行い得る。中央コントローラ4230は、デバイスについて電流設定を決定し得、設定された電流を各コントローラへ送り得る。コントローラ5310~5314のうち1つ以上は、フィードバック制御回路を含み得る。フィードバック制御回路は、各デバイスについて設定された電流を中央コントローラ4230から受信し、デバイスの動作の調節を(測定された電流がデバイスについて設定された電流に整合するまで)行うように、構成される。本技術の1つの実行において、特定のデバイスのためのコントローラは、測定された電流がデバイスについて設定された電流に整合するまで、デバイスへ提供されるパルス幅変調制御信号のデューティサイクルを変更し得る。
【0296】
いくつかの実行において、コントローラ5310~5314のうち1つ以上は、比例コントローラ(P)、比例微分コントローラ(PD)、比例積分コントローラ(PI)または比例積分微分コントローラ(PID)を用いて実行され得る。これらのコントローラは、デバイスに対してサンプルが制御されるたびに、更新された制御出力信号を計算および送信し得る。能動的な電力管理によってPIコントローラ(単数または複数)について決定された設定は、送風機4142のPIコントローラよりも高速(例えば、2倍高速)の測定された電流に基づいて決定され得る。コントローラ5310~5314は、中央プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)内に埋設され得る。
【0297】
コントローラ5310~5314のうち1つ以上についての設定を決定することにおいて、デバイスについてのセットポイント(例えば、デューティサイクル)を気候制御アルゴリズムを用いて決定することと、1つ以上の測定された電流に基づいてセットポイントを調節することとが含まれる。一例において、加熱板5020および加熱管4172についてのデューティサイクルセットポイントは、気候制御アルゴリズムを用いて決定され得、その後、送風機4142の測定された電流の引き出しに基づいて調節され得る。加熱板5020および加熱管4172についてのデューティサイクルセットポイントは、電源過電流保護のトリガを回避するように低下させてもよいし、あるいは、加熱板5020および/または加熱管4172によってさらなる熱を提供するようにさらに利用可能な電力を利用できるように増加させてもよい。
【0298】
電力が利用可能であるときに生成されるさらなる熱により、送風機にさらなる電力が必要でありかつ電力が加熱板5020および加熱管4172に限定されるときの期間における熱の欠如を補償することができ得る。
【0299】
いくつかの実行において、各コントローラ5310~5314は、それぞれ連結された電流感知回路5304~5308を含み得るか、または、各連結された電流感知回路5304~5308からの電流測定を受信し得る。コントローラ5310~5314は、各デバイスの動作(例えば、パルス幅変調制御信号のデューティサイクル)の制御のために、測定された電流および設定電流を用い得る。
【0300】
本技術のいくつかの実行において、加熱板コントローラ5312は、加熱板5020のためのバジェット電流を受信し得、バジェット電流および感知回路5306により測定された電流に基づいて、(加熱板のためのバジェット電流全てが加熱板5020によって用いられるように)パルス幅変調制御信号を調節し得る。加熱管コントローラ5314は、加熱管4172のためのバジェット電流を受信し得、バジェット電流および感知回路5308によって測定された電流に基づいて、加熱管のためのバジェット電流全てが加熱管4172によって用いられるようにパルス幅変調制御信号を調節し得る。
【0301】
本技術のいくつかの実行において、送風機、加熱板および/または加熱管のためのパルス幅変調信号が相互にオフセットし得る。いくつかの例において、パルス幅変調信号は、検出された患者呼吸サイクルの関数としてオフセットし得る。デバイスのピーク電力動作のオフセットの例について、米国特許第8,844,522号(「Power Management in Respiratory Treatment Apparatus」)中に開示がある。
【0302】
動的電力管理の例
【0303】
治療要求を満たすためには、送風機に必要な電力を、妥協無く常時保証する必要がある。動的電力管理の基本を形成しているのは、これである。加湿器および回路の残り部分において、電力割当において、一時的に妥協が生じる場合がある。加湿器は、送風機が使用しない残りの電力を吸収し得るため、それほど大量の電力を使用し得ない。電源の容量が65Wであり、送風機が治療時において5Wを引き出している場合、加湿器は、規定の数値に限定されるのではなく、60Wまでを引き出すことができる。ハードウェア方法、ソフトウェア方法、またはソフトウェア方法およびハードウェア方法の組み合わせを用いて、3つの電力管理コンセプトをRPTデバイス4000内において実行することができる。
【0304】
電力管理は、RPTデバイス4000のコンポーネントによって消費される電力の測定に基づいて行われ得る。図5Fおよび図5Gは、RPTデバイス4000中のコンポーネントの例示的電力測定を示す。RPTデバイス4000は、送風機4142、加熱板5020および/または加熱管4172のための電流感知および増幅回路を含み得る。波形は、RPTデバイス4000の動作時においてf増幅器の出力において測定され得る。RPTデバイス4000の動作時において、動作加熱板5020および/または加熱管4172は、自身の最大レベルにおいて動作するように制御され得る。
【0305】
波形6010は、RPTデバイス4000によって引きされる合計電流(例えば、24V線上のもの)を示す。波形6020は、送風機4142の電流感知電圧(例えば、逆極性のもの)を示す。波形6030は、加熱板5020の電流感知電圧を示す。波形6040は、加熱管4172の電流感知電圧を示す。
【0306】
図5Gは、図5Fに示す波形の一部を拡大して示す。図5Gに示すように、加熱管4172および加熱板5020は、電力使用を共有する。すなわち、加湿器プレートおよび熱管の加熱要素は、交互にオンにされる。加湿器PWM(波形6030によって示す)がオンになると、熱管PWM(波形6040によって示す)はオフになる。同様に、熱管PWM(波形6040によって示す)がオンになると、加湿器PWM(波形6030によって示す)はオフにされる。いくつかの例において、加熱板5020および加熱管4172のためのPWM信号は、同時にオンにされることは無いものの、いつでも双方をオフにすることができる。いくつかの例において、加熱板5020または加熱管4172のためのPWM信号のうち1つがオフにされている間、他方は、複数のサイクルにわたってオフにされ得る。図5Gに示すように、時間の一部において、加熱板5020および加熱管4172のためのPWM信号をオフにすることにより、PWM信号双方による電力の同時に引き出しが無いようにすることができ得る。
【0307】
図5Hに示す例示的回路機構は、RPTデバイス4000によって使用される電力の測定に用いられ得る。特定の回路コンポーネントを図5Hに示しているが、これらの回路コンポーネントは限定されるものではなく、同様の機能を提供する1つ以上の他のコンポーネントを代わりに用いてもよい。
【0308】
回路機構は、感知、合計およびフィルタリング回路機構を含む。感知回路機構は、送風機4142およびサブシステムデバイス(例えば、加熱管4172および/または加熱板5020)によって引き出される電流を測定するように、構成され得る。合計回路機構は、送風機4142およびサブシステムデバイス(例えば、加熱管4172および/または加熱板5020)によって引き出される電流に比例する電圧を出力するように、構成され得る。フィルタリング回路機構は、高周波信号をフィルタリングして、合計電力消費の平均を提供するように構成され得る。
【0309】
図5Hにおいて、送風機電流感知信号は、オペアンプ6050によりバッファおよび増幅され得る。オペアンプ6050の出力は、抵抗器を介してオペアンプ6052へ連結される。図5H中図示していないが、1つ以上のサブシステムデバイス(例えば、プレートおよび管)からの電流感知信号をバッファおよび増幅してもよい。オペアンプ6052は、送風機電流および加熱電流(加湿器および熱管を含む)を示す電圧を受信し得、合計電圧を示す出力を提供し得る。入力抵抗器を注意深く選択することにより、オペアンプ6052の出力電圧は、合計電力消費に比例するようになる。その後、電圧は、ローパスフィルタ(LPF)を通じて送られ得る。ローパスフィルタ(LPF)は、オペアンプ6054と、キャパシタ6066と、抵抗器6068とを含む。LPFの出力V_ctrlは、合計電力消費の平均(Power-I-F)を示す。V_ctrlの極性は、反転可能であり得る。すなわち、V_ctrlが高いほど、V_ctrlが示す合計電力消費は低くなる。本技術の別の形態において、V_ctrlの極性は逆にすることができ得ない。すなわち、V_ctrlが低いほど、消費に利用可能な電力が増大する。
【0310】
図5Iは、図5Hに示す回路機構のための例示的信号波形を示す。Motor-I、Plate-IおよびTube-Iの波形は、RPTデバイス4000によって引き出される電流を示す経時的電圧値を示す。送風機は、患者の吸気時により大量の電流を引き出し得、呼気時により少量の電流を引き出し得る。熱プレートおよび熱管の加熱は、PWM信号制御される。上記したように、本技術の一形態において、プレートおよび管のための加熱PWM信号は、オンになっているのは常時1つの加熱要素のみになるように、制御される。
【0311】
Sum-Iは、送風機電流および加熱電流(加湿器および熱管を含む)を示す電圧の合計を示し、合計電力消費に比例する。フィルタリングされた電力の平均は、ローパスフィルタリングされたSum-I信号を示す。フィルタリングされた電力平均は、加熱要素の動作の制御のための制御信号V_ctrlとして用いられ得る。
【0312】
図5Jは、本技術の一形態による、RPTデバイス4000の電力消費を示す制御信号に基づいて加熱要素を制御するために用いられ得る電力制御回路機構を示す。特定の回路コンポーネントを図5Jに示しているが、これらの回路コンポーネントは限定されるものではなく、同様の機能を提供する1つ以上の他のコンポーネントを代わりに用いてもよい。
【0313】
電力制御回路機構は、サブシステムデバイス(例えば、加熱管4172および/または加熱板5020)の動作の制御に用いられる制御信号V_ctrlおよび1つ以上のPWM信号を受信するように構成される。本技術の一形態において、制御信号V_ctrlは、図5Hに示す回路機構によって提供され得る。電力制御回路は、制御信号V_ctrlに基づいてPWM信号のうち1つ以上を変更するように構成され得る。
【0314】
本技術の一形態において、PWM信号の1つ以上は、制御信号V_ctrlが制御限界を示す事前決定された閾値に到達するまで、変更される。合計電力(V_ctrlによって示す)が制御限界を下回る場合、電力制御回路からPWM信号が(受信されたPWM信号の変更無く)サブシステムデバイスが提供され得る。合計電力(V_ctrlによって示す)が制御限界に到達するかまたは制御限界を超える場合、電力制御回路は、1つ以上のPWM信号を変更し得る。
【0315】
図5Jにおいて、電圧制御されたPWM回路6070は、制御信号V_ctrlを受信し、熱プレート入力信号(HeatPlate-PWM-In)および/または熱管入力信号(HeatTube-PWM-In)の制御のためのGate-PWM信号を出力する。出力信号(Gate-PWM)のデューティサイクルは、制御信号V_ctrlによって制御される。いくつかの例において、出力(Gate-PWM)は、現在の周波数(例えば、100Hz)において提供され得る。1つ以上の抵抗器、キャパシタおよび/または電圧ソース(例えば、VCC)は、電圧制御されるPWM回路6070の動作パラメータの制御のために用いられ得る。
【0316】
一例において、電圧制御されるPWM回路607は、制御信号V_ctrlが高い(低電力消費)のときに出力信号Gate-PWMのデューティサイクルを増加させ、制御信号V_ctrlが低い(高電力消費)ときに出力信号Gate-PWMのデューティサイクルを低下させるように、構成され得る。ANDゲート6072は、出力信号Gate-PWMおよび熱プレート入力信号(HeatPlate-PWM-In)を受信し得、加熱板5020内の加熱要素のためのゲーテッド出力信号(HeatPlate-PWM-Out)を出力し得る。ANDゲート6074は、出力信号Gate-PWMおよび熱管入力信号(HeatTube-PWM-In)を受信し得、加熱管4172内の加熱要素のためのゲーテッド出力信号(HeatTube-PWM-Out)を出力し得る。出力信号Gate-PWMのデューティサイクルの増減により、加熱要素へ提供される電力が増減される。
【0317】
電圧制御されるPWM回路6070は、制御信号V_ctrlにより出力信号Gate-PWMのデューティサイクルが変更される様態を制御するための1つ以上の閾値を含むように構成され得る。図5Kは、本技術の一形態による、制御信号 V_ctrlに比例する出力信号Gate-PWMデューティサイクルを示す。図5K中の波形は、低周波(100Hz)Gate-PWM信号の利用による加熱電力制御を示す。低周波(100Hz)Gate-PWM信号のデューティサイクルは、V_ctrl(合計電力消費に反比例する)によって制御される。
【0318】
第1の閾値V1の設定は、制御信号V_ctrlが(PSUの電力定格よりも低い)閾値よりも高い場合に、出力信号Gate-PWMは100%デューティサイクルになり(すなわち、加熱回路(単数または複数)への電力制限が無い)ように、行われ得る。制御信号V_ctrlが閾値V1よりも低い場合、出力信号Gate-PWMのデューティサイクルは、加熱回路(単数または複数)が低減されるように、低減され得る。図5Kに示すように、閾値は、制御信号V_ctrlが低い(高電力消費)場合、出力信号Gate PWMデューティサイクルが低くなりかつゲートを通過する加熱PWM信号が減少しおよびよって加熱電力の平均も低下するように、設定される。制御信号V_ctrlが高い(低電力消費)場合、出力信号Gate-PWMのデューティサイクルが高くおよびよって加熱電力平均は増加する。
【0319】
第2の閾値V2の設定は、制御信号V_ctrlが第1の閾値V1と第2の閾値V2との間にある場合に、出力信号Gate PWMデューティサイクルが(100%よりも低い)第1の値に設定され、制御信号V_ctrlが第2の閾値V2よりも低い場合に、出力信号Gate-PWMのデューティサイクルがさらに低下する(例えば、第1の値よりも低い第2の値)ように、行われる。
【0320】
本技術の一形態において、制御信号V_ctrlが第1の閾値V1と第2の閾値V2との間にある場合、デューティサイクルは、制御信号V_ctrlの100%比例の値よりも低く低下され得、制御信号V_ctrlが第2の閾値V2よりも低い場合、出力信号Gate-PWMのデューティサイクルをさらに低下させる(例えば0まで低下させて、加熱要素へ提供される加熱電力が無くなるようにする)。
【0321】
図5Lは、本技術の一形態による、ANDゲート(単数または複数)中への出力信号Gate-PWM入力と、ANDゲート(単数または複数)による加湿器出力のためのGated PWM出力信号との間の関係を示す。図5Lに示すように、PWMゲート信号の値がゼロである場合、加湿器のためのGated PWM出力信号がゼロになり、加熱要素(単数または複数)によって消費される電力がゼロになる。PWMゲート信号の値がゼロではない場合、受信されたPWMゲーテッド加湿器信号は、加熱要素(単数または複数)へ提供される。
【0322】
本技術の一形態において、動的電力管理は、ソフトウェアのみによって実行され得る。図5Mは、本技術の一形態において適応型電力管理を実行する方法を示す。動的電力管理方法は、非一時的なメモリ内に保存された命令を実行することにより、行われ得る。一例において、中央コントローラ4230および/または加湿器コントローラ5250は、図5Mに示す動作を行うように構成され得る。図5M中の動作について、特定のコントローラ(例えば、中央コントローラ4230および/または加湿器コントローラ5250)を参照して説明する。本開示の実施形態はこれに限定されず、単一のコントローラまたはさらなるコントローラによって行われ得る。
【0323】
ステップ5502において、中央コントローラ4230送風機電流をリアルタイムで監視し、送風機電力消費の平均を計算する。送風機電力消費の平均は、事前決定された周波数において計算され得る。一例において、この周波数は、100Hzであり得る。他の例において、周波数は、加湿器コントローラの仕事量に応じて高くまたは低くされ得る。周波数は、電源の過電流保護をトリガさせない限り、より低く設定され得る。
【0324】
ステップ5504において、中央コントローラ4230は、送風機の電力使用量の平均を加湿器コントローラ5250へ報告する。
【0325】
ステップ5506において、加湿器コントローラ5250は、加熱板5020および/または加熱管4172の平均電力消費の組み合わせを計算する。加熱板5020および/または加熱管4172の平均電力消費の組み合わせは、送風機電力使用量の平均(例えば、100Hz)の計算を行う中央コントローラ4230と同じ周波数において計算され得る。
【0326】
ステップ5508において、加湿器コントローラ5250は、電力消費の全体平均を計算する。電力消費の全体平均は、RPTデバイス内の他の回路および/またはRPTデバイスへ連結されたデバイスの推定電力消費を含み得る。
【0327】
ステップ5510において、電力消費の全体平均は、電源ユニットの定格電力容量と比較される。電力の全体平均が電源定格電力容量(例えば、65W)を超える場合(ステップ5510において「はい」)、加湿器コントローラ5250は、加湿器回路への加熱電力を低下させる(ステップ5512)。電力の全体平均が電源定格電力容量を下回る場合(ステップ5510において「いいえ」)、加湿器コントローラ5250は、加湿器回路への加熱電力を増加させ得る。加熱板5020および/または加熱管4172内において生成されるべき熱を増加させる必要がある場合、加湿器回路への加熱電力を増加することができ得る。加湿器回路への加熱電力の増加は、合計電力が電源の定格電力容量制限を下回り続ける限り、行われ得る。
【0328】
本技術の一形態において、ソフトウェアにおける実行は、電力計算の処理およびRPTデバイス4000の制御における優先を以下に基づいて必要とし得る:送風機電力消費を規定周波数において計算する中央コントローラ4230、送風機電力数値を加湿器コントローラ5250へ送る中央コントローラ4230、ならびに合計電力消費の計算および加熱電力出力の制御を行う加湿器コントローラ5250。
【0329】
合計電力の変動に応答して、ソフトウェア実行をより高速に行う必要があり得る。ソフトウェア実行が十分高速ではない場合、電源ユニットは、一時的に過負荷になり得、電源ユニットOCPがトリガされ得る。
【0330】
本技術の一形態において、ハードウェアが、合計電力消費(例えば、V_ctrlによって示されるもの)を取得するために用いられ得、ソフトウェアベースの処理が、電力消費を制限するために用いられ得る。The電力消費信号V_ctrlは、加湿器コントローラ5250(例えば、マイクロコントローラ)のA/D入力へ接続され得る。この実行により、加湿器コントローラ5250は、(自身の計算容量の大部分を消費すること無く)合計電力消費を得ることができる。
【0331】
本例において、加湿器制御による加熱電力制御は、図5Mを参照して上記した動作に類似し得る。中央コントローラ4230を用いた実行が異なる点として、中央コントローラ4230により電力使用量による計算と送風機電力消費数値の加湿器コントローラ5250への送信とを行う必要が無い点がある。
【0332】
図5Nは、本技術の別の形態において適応型電力管理を実行する方法を示す。本技術の一形態において、方法は、ソフトウェアおよび/またはハードウェアによって実行され得る。本方法は、1つ以上のプロセッサを含む処理システムによって実行され得る。本技術の一形態において、方法は、少なくとも部分的に中央コントローラ4230によって実行され得る。
【0333】
本方法は、電力使用データを受信すること(ステップ5402)を含む。この電力使用データは、電源によって利用可能なかつ/または電源によって提供されている電力ならびに/またはデバイスによってまたは医療デバイスのサブシステムによって使用される電力を示すデータを含み得る。電力使用データは、電源から供給される電流、医療デバイスによって引き出される電流および/または1つ以上のサブシステムデバイスによって引き出される電流を含み得る。本技術の一形態において、電力使用データは、電源から供給される電流、(送風機を含みかつサブシステムデバイスを含まない)医療デバイスによって引き出される電流、加湿器の1つ以上のコンポーネントによって引き出される電流、および/または加熱管1つ以上のコンポーネントによって引き出される電流を含み得る。
【0334】
本方法は、電力使用が利用可能な最大電力を超えるかを決定すること(ステップ5404)を含む。この決定は、電源定格および/または電源の残留充電、受信された電力使用データ、および/または1つ以上のサブシステムデバイスへ適用される電力設定に基づいて行われ得る。本技術の一形態において、電力使用が最大使用電力を超えるかの決定は、医療デバイスおよびサブシステムデバイスによって引き出される電流が電源から引き出され得る最大電流(例えば、電源定格に基づいて決定されるもの)を超えるかを含み得る。本技術の別の形態において、電力使用が最大使用電力を超えるかの決定は、医療デバイスによって引き出される電流およびサブシステムデバイスの目標電流設定の合計が電源から引き出し可能な最大電流を超えるかを決定することを含む。
【0335】
電力使用が利用可能な最大電力を超える(ステップ5404において「はい」)場合、合計電力使用が最大電力を超えないように、1つ以上のサブシステムデバイスについての新規の電力設定が更新され得る(ステップ5412)。電力使用が利用可能な最大電力を超えない場合(ステップ5404において「いいえ」)、余剰の利用可能な電力が用いられるように、現在の電力設定が維持または調節され得る。バンキングがイネーブルされない場合(ステップ5406において「いいえ」)、電力設定は、更新されること無くデバイスまたはデバイスコントローラへ送信される(ステップ5410)。バンキングがイネーブルされる場合(ステップ5406において「はい」)、電力設定の更新、1つ以上のサブシステムデバイスについて電源から利用可能な余剰電力を用いるように行われ得る。
【0336】
バンキングは、サブシステムコンポーネントの電力消費が前回決定された電力設定を超えるように、余剰電力を用いてサブシステムコンポーネントを制御することを含み得る。余剰電力は、過電源保護がトリガされる前に利用可能な電力を含み得る。加熱要素について、バンキングは、余剰電力が利用可能である期間においてさらなる熱を生成することにより、電力が制限される期間において生成されない熱を補償して、より優先度の高いデバイスへの給電が可能なように、電力を増加させることを含み得る。バンキングのイネーブルは、ユーザ制御および/または接続されている電源の種類(例えば、低電力の電源が接続されている場合)に基づいて行われ得る。
【0337】
合計電力使用が利用可能な最大電力を超えることに起因して、サブシステムコンポーネントへ提供される電力が低下される場合(ステップ5405において「はい」)、電力制限に起因して提供を控えるべき電力の量と、さらなる電力が利用可能であるときに追加すべき電力の量とを計算によって決定することができ得る。電力低減時においてサブシステムコンポーネントについて「借方転記される」の電力の量は、予測電力から実際提供される電力を減算することにより、得ることができ得る。予測電力は、システムが決定した電力をサブシステムコンポーネントへ提供することが必要であることを示し得る。実際提供される電力は、サブシステムコンポーネントへ提供される電力の低減後にサブシステムコンポーネントへ提供される電力を示し得る。余分な電力が利用可能である場合(ステップ5404において「いいえ」)、バンキングがイネーブルされ(ステップ5406において「はい」)、サブシステムコンポーネントへ既に提供された電力に対し、借方転記された電力が加算され得る。
【0338】
一例において、電力が加熱要素へ提供されない期間は、電力が加熱要素に制限される場合に蓄積され得、余分な電力が利用可能になると、加熱要素へ提供される電力信号のデューティサイクルを増加させることにより、蓄積された期間のためのさらなる電力を得ることができ得る。
【0339】
バンキングがイネーブルされ得るのは、加熱制御の安定性またはその精度を目標性能に比して向上させる必要があるときである。
【0340】
バンキングにより、対応するセンサからのフィードバックが無いヒータの性能において利点が得られ得る。例えば、プレートを加熱して水分を蒸発させるサブシステムにおいて、水分蒸発量を示す下流センサが無い場合において、加熱の優先順位が低い場合、蒸発率が目標に届かなくなる。コントローラへのフィードバックが無い場合、全体的な平均加熱を上昇させるための刺激が無くなる。バンキングにより、このような意図される蒸発率を維持するための補償が得られる。
【0341】
バンキングにより、センサからのフィードバックが低い場合に利点が得られ得る。例えば、管加熱のためのサブシステムは、ガス温度センサからフィードバックを受信する。加熱の優先順位が低い場合、ガス温度は、目標に届かなくなり得る。センサからのフィードバックにより、電力が利用可能であるときに、コントローラを刺激して応答加熱を増加させるが、その際、一定の応答遅延が発生する。バンキングにより、ガス温度の低下を(センサが示す前に)予想することにより、この応答を加速させることができる。よって、バンキングにより、患者へ送達されるガス温度の変動の低減が可能になる。
【0342】
1つ以上のサブシステムデバイスについての電力設定を更新すること(ステップ5412)は、1つ以上のサブシステムデバイスについての電流設定を決定することを含み得る。PIコントローラは、この電流設定を用いて、(測定された電流に基づいて)各サブシステムデバイスについてのデューティサイクルを決定および更新し得る。本技術の一形態において、電力設定を更新することは、各サブシステムデバイスについてのデューティサイクルを決定することを含み得る。使用されている電力が利用可能な最大電力を超える場合、電流またはデューティサイクルを低減することができ得る。余分な電力が利用可能でありかつバンキングがイネーブルされた場合、電流またはデューティサイクルをズークさせることができ得る。
【0343】
図5Oおよび図5Pは、本技術の多様な形態による、適応型電力管理の実行のためのより詳細な方法を示す。本技術の一形態において、方法は、ソフトウェアおよび/またはハードウェアによって実行され得る。これらの方法は、1つ以上のプロセッサを含む処理システムによって実行され得る。本技術の一形態において、方法は、少なくとも部分的に中央コントローラ4230によって実行され得る。本技術のいくつかの実行において、図5Oおよび図5Pに示す電力管理方法は、ソフトウェアによって全て行われ得る。
【0344】
図5Oは、サブシステムデバイス(例えば、加熱板5020および/または加熱管4172)についての測定電流および設定電流に基づいて行われる適応型電力管理を示す。ADCは、ドライバは、システム(1つ以上のサブシステムデバイスを除く)によって引き出される測定電流を示す電流IFGM、第1のサブシステムデバイス(例えば、加熱板5020)によって引き出される電流を示す電流IPLATE M、および/または第2のサブシステムデバイス(例えば、加熱管4172)によって引き出される電流を示す電流ITUBE Mの計算のための医療デバイスの電流チャンネルを測定するように、構成され得る。
【0345】
本方法は、電源の利用可能な最大電流IMAXを入手することを含み得る。IMAXは、電源定格に基づき得る。いくつかの例示的実行において、IMAXは、過電源保護値に基づき得る。電流IMAXは、メモリ中に保存され得、医療デバイスへ連結されるかまたは医療デバイス内に含まれるある種の電源上のソフトウェアおよび/またはハードウェアによって決定され得、電源内に保存される電力に基づいて決定され得、かつ/または、医療デバイス内の電源または別のコンポーネントから受信され得る。IMAXは、流れ生成器へ接続された電源(例えば、65Wおよび90W)に応じて動的に変更することができ得る。所与の電源のIMAXは、一定の値(例えば、所与の電源の事前保存された値)であり得る。電源の種類は、電源内に含まれるインジケータ(例えば、抵抗器および/またはチップ)に基づいて決定され得る。例えば、異なる抵抗器値は、異なる電源または電源の機能を示し得る。電源内に含まれるチップは、異なる電源または電源の機能を示す符号を提供し得る。上記したように、電源は、AC/DC電源パック、DC/DCコンバータ、および/またはポータブルバッテリーパックを含み得る。IMAXにおいては、過電源保護値を考慮に入れていない場合があるが、いくつかの実行において、加熱板および/または加熱管の電流の制御のタイミングは、保護回路がトリップされる前のOCP窓を大きく下回る。
【0346】
いくつかの実行において、例えばバッテリーパック内において、IMAXは、充電低下、環境変化(例えば、温度、圧力)、サイクル数および/またはピーク電流に起因してディレーティングし得る。いくつかの実行において、電源は、IMAXを動的に決定し、IMAX値を示す信号を提供するように構成され得る。いくつかの実行において、システムは、IMAXを動的に決定するための回路および/またはセンサを含み得る。利用可能な充電および/または環境状態を測定すると、IMAXを決定することができ得る。
【0347】
本方法は、1つ以上のサブシステムデバイス(例えば、加熱板5020および/または加熱管4172)について設定された電流を入手することを含み得る。一例において、設定電流は、加熱板電流セットポイントIPLATE SPおよび加熱管電流セットポイントITUBE SPを含む。設定電流は、サブシステムデバイスの動作の制御に用いられるデューティサイクルセットポイントに基づいて決定され得る。
【0348】
デューティサイクルセットポイントは、気候制御アルゴリズムに従って設定され得る。米国特許第9,802,022号に開示される気候制御アルゴリズム(タイトル:「Humidification of Respiratory Gases」)および米国特許第8,844,522号に開示されるデューティサイクルの制御方法(「Power Management in Respiratory Treatment Apparatus」)は、サブシステムデバイス(例えば、加熱板5020および/または加熱管4172)についてのデューティサイクルセットポイントの設定および制御のために用いられ得る。本明細書中、これらの文献双方を参考のため援用する。本技術のいくつかの実行において、米国特許第9,802,022号の図15図18に開示される加湿器および加熱管制御アルゴリズム(タイトル:「Humidification of Respiratory Gases」)が、加熱板および/または加熱管の動作の制御のために用いられ得る。
【0349】
一例において、加熱板5020のために気候制御アルゴリズムによって決定されたデューティサイクルセットポイントは、加熱板電流セットポイントIPLATE SPを入手するために変換され得、加熱管4172のために気候制御アルゴリズムによって決定されたデューティサイクルセットポイントは、加熱管電流セットポイントITUBE SPを入手するために変換され得る。
【0350】
図5Oに示す方法は、使用されている電流が電源の利用可能な最大電流IMAXを超えるかを決定することを含み得る。使用されている電流は、1つ以上のサブシステムデバイスを除くシステムによって引き出される測定電流を示す電流IFGMと、加熱板電流セットポイントIPLATE SPと、加熱管電流セットポイントITUBE SPとの合計により、示され得る。加熱板および加熱管のための測定電流の代わりに電流セットポイントを用いることによる利点として、より高精度の結果が得られ得る点がある。測定電流を使用した場合、結果が不正確になる場合がある。その理由として、測定電流は、コントローラによって設定されたデューティサイクルに比例して定点するため、コントローラの目標に対応しなくなる点がある。
【0351】
使用されている電流が電源の利用可能な最大電流IMAXを超える場合、加熱板および加熱管によって使用される電力の低減により、新規加熱板および加熱管電流セットポイント電流を計算することができる。いくつかの例において、加熱プレートよりも(例えば、60~40%の比率で)加熱管が優先され得る。 使用されている電流が電源の利用可能な最大電流IMAXを超えておらずかつ電流バンキングがイネーブルされている場合、余分な電流を用いて、1つ以上のサブシステムデバイスからの設定を調節することができ得る。余分な電流は、電流IFGMと、加熱板電流セットポイントIPLATE SPと、加熱管電流セットポイントITUBEとの合計を電源の利用可能な最大電流IMAXからから減算することにより、計算され得る。余分な電流が利用可能である場合、新規の加熱板および加熱管電流セットポイントの電流を計算して、余分な利用可能な電流を使用することができ得る。いくつかの例において、加熱プレートよりも(例えば、60~40%の比率で)加熱管が優先され得る。
【0352】
新規の加熱板電流セットポイントIPLATE SPおよび加熱管電流セットポイントITUBE SPは、加熱板および加熱管コントローラの制御に用いられ得る。一例において、加熱板および加熱管コントローラは、測定された電流(例えば、IPLATE MおよびITUBE M)ならびに設定電流(例えば、IPLATE SPおよびITUBE SP)に基づいて設定されたPIコントローラを含み得る。加熱管のためのPIコントローラは、ITUBE SPおよびITUBE Mに基づいて加熱管デューティサイクルを設定し得る。加熱板のためのPIコントローラは、IPLATE SPおよびIPLATE Mに基づいて加熱板デューティサイクルを設定し得る。決定されたデューティサイクルは、各サブシステムデバイスへリアルタイムで(例えば、サイクル毎に)適用され得る。
【0353】
使用されている電流は、電源の利用可能な最大電流IMAXを超えずかつ電流バンキングがイネーブルされない場合、既存の電流設定が維持され得る。この場合、既存の加熱板電流セットポイントIPLATE SPおよび加熱管電流セットポイントITUBE SPを用いて、加熱板および加熱管コントローラを制御することができ得る。
【0354】
気候制御サイクルの速度は、加熱されるサブシステムの低速の熱応答の管理に適切となるように、比較的低速(例えば、1s毎)であり得る。能動的な電力管理サイクルの速度(例えば、500μs毎)は、電流消費の最も高速の増加よりも(優先度の高い負荷分だけ)高速であると、好適である。例えば、FG電流IFGMは、患者の吸気時において高速上昇して送風機を加速させて、空気流を増加させ得る。
【0355】
上記例において、加熱管およびプレートヒータ電流の閉ループがデューティサイクルの代わりに用いられる。管(またはプレート)によって引き出される電流を適用されるデューティサイクルに従って推定することは容易であり得るものの、その場合の不利点として、推定電流は当該部分の抵抗値許容差および温度に大きく依存するため、この計算は極めて不正確になり得る。例えば、試験結果はデューティサイクルに依存するため、システムがプレートおよび管へ送達することができる電力量は、予測される量よりも低くなり得る。このような不正確性に起因して、能動的な電力管理によって加湿器または加熱管電力をクリップするタイミングが早すぎる事態に繋がり得る。より高速の電流閉ループを加熱板および/または加熱管のために用いれば、加湿の全体的性能が向上し得る。
【0356】
本技術の一形態において、加熱管および/または加熱板のPWMのデューティサイクル範囲は、0~99%のデューティサイクル範囲を有し得る。いくつかの例において、100%のデューティサイクルが、ハードウェアによって可能になり得る。
【0357】
上記したように、加熱管および/または加熱プレートは、PIコントローラを用い得る。PIコントローラは、電流セットポイントと測定電流との間の差を用いて、加熱管および/または加熱プレートのためのデューティサイクル出力を計算し得る。
【0358】
電流測定に用いられる動作可能な増幅器の出力オフセットは極めて高い(~160mV)場合があるため、200mAよりも低い電流の測定が不可能になり得る。そのため、PIコントローラは、低デューティサイクルにおいては用いられ内場合がある。電流セットポイントが事前設定された値(例えば、最大電流の10%)よりも低い場合、固定デューティサイクル(例えば、10%)が適用され得、偽電流測定が計算され得る(例えば、最大電流の10%)。いくつかの例において、電流セットポイントは、プレートの場合は283mA(=2.83Aの10%)であり得、管の場合は240mA(=2.40Aの10%)であり得る。
【0359】
図5Pは、サブシステムデバイス(例えば、加熱板5020および/または加熱管4172)のための測定電流および設定電力に基づいて行われる適応型電力管理を示す。図5Pを参照して以下に述べるように、本技術のいくつかの実行において、電力制御の閉ループが含まれ得る。この電力制御の閉ループの設定は、サブシステムデバイスのセットポイント電流の計算のために用いられ得る。図5Pに示す動作と同様の図5O中に示す動作についての議論は、図5Pに示す適応型電力管理の動作に適用され得る。
【0360】
RPTデバイス4000は、電力制御閉ループを含み得る。電力制御閉ループは、マイクロコントローラ内に埋設され得る。電力制御閉ループは、流れ生成器デューティサイクル出力を電力セットポイントのパーセンテージとして用い得る。各パーセンテージは、利用可能な電力において0~100%の範囲を有し得る(例えば、60Wの電力範囲)。プレート(または管)へ適用されるデューティサイクルは、以下によって計算され得る:デューティサイクル=電力セットポイント/(測定された供給電圧*測定されたIPEAK)。デューティサイクルが低い場合、プレート(または管)の高インダクタンスに起因して電流がピークに到達しないことがあるため、この式は適用できない場合がある。この状況において、IPEAKは、測定できないものの、プレート(または管)の抵抗を用いて計算することができ得る:I=測定された供給電圧/抵抗。抵抗は、プレート(または管)の温度を用いて計算することができ得る。
【0361】
図5Pに示すように、本技術のいくつかの実行において、電力セットポイントは、事前決定されたインタバル(例えば、毎秒毎に)において気候制御アルゴリズムによって出力され得る。電力セットポイントは、プレートおよび管の電力の動作を制御するために用いられる。圧力システムの電力セットポイントおよび測定電力は、電流セットポイントの決定のために用いられる。適応型電力管理において、管およびプレートの電流セットポイントは、以下によって計算され得る:電流セットポイント=電力セットポイント/測定された供給電圧。供給電圧は、圧力システムソフトウェアによって10ms毎に測定され得、適応型電力管理によって0.5ms毎に使用され得る。この実行において、システムは、送風機の動作に起因する電圧ソースの変更を正確に考慮することができ得る。
【0362】
管およびプレートデューティサイクルはどちらとも、既存のPI電流の閉ループコントローラによって出力され得る。
【0363】
医療デバイスおよびサブシステムデバイスの制御のための他のアプローチと対照的に、本技術による適応型電力管理のいくつかの実行は、患者が吸気するタイミングは予測しないが、リアルタイムの電力使用の測定および電力設定を用いて、デバイスを制御する様態を決定する。本技術により、医療デバイスの多様なサブシステムによる電力の使用様態の検出の高速化が可能になる。例えば、吸気が開始すると、送風機の動作が感知回路によって変更および検出される。この動作変更により、ヒータ電力の低減がトリガされて、さらなる電力が送風機にとって利用可能となり得る。患者は遅延を感じ得るため、送風機は、スピンアップするまでにヒータの電力低減を待機する必要は無い。ヒータ電力を保持する時間が長すぎる場合、電流引き出しの組み合わせが電源容量を超え得、過電流保護をトリガし得るため、電力管理により、高速応答が可能になる。
5.8 呼吸波形
【0364】
図6Aは、睡眠時のヒトの典型的な呼吸波形のモデルを示す。水平軸は時間であり、垂直軸は呼吸流量である。パラメータ値は変動し得るため、典型的な呼吸は、以下のおおよその値を持ち得る:一回換気量、Vt、0.5L、吸息時間、Ti、1.6秒、ピーク吸気流量、Qピーク、0.4L/秒、呼息時間、Te、2.4s、ピーク呼気流量、Qピーク、-0.5L/秒。呼吸の全持続時間Ttotは約4秒である。人間は典型的には、1分あたり呼吸を約15回行い(BPM)、換気Ventは約7.5L/minである。典型的なデューティサイクル、TiとTtotの比は約40%である。
【0365】
図6Bは、自動PAP療法で治療しており、マスク圧力が11cmHOである、通常約90秒間の期間にわたって呼吸が約34回行われる患者のノンレム睡眠呼吸時の選択された睡眠ポリグラフチャネル(パルスオキシメトリ、流量、胸部動き、および腹部動き)を示す。上側チャンネルは、パルスオキシメトリ(酸素飽和またはSpO)を示し、スケールは、垂直方向における90~99%の範囲の飽和を有する。図示の期間全体において、患者は、約95%の飽和を維持した。第2のチャンネルは、定量的呼吸気流を示し、スケールは、垂直方向における-1~+1LPSの範囲であり、呼気は正である。胸部および腹部の動きを第3および第4のチャンネル中に示す。
【0366】
図6Cは、治療前の患者の睡眠ポリグラフを示す。上側から下側において、6分間の水平方向スパンの間隔をもつ11個の信号チャンネルがある。上側の2つのチャンネルはどちらとも、異なる頭皮位置からのEEG(脳波図)である。第2のEEGの周期的スパイクは、皮質覚醒および関連活動を示す。下方の第3のチャンネルは、頤下EMG(筋電図)である。覚醒時間周囲における活動の増加は、頤舌筋の動員を示す。第4および第5のチャンネルは、EOG(電子頤舌筋)である。第6のチャンネルは、心電図である。第7のチャンネルは、不飽和化を約90%から70%未満まで繰り返したときのパルス酸素飽和度測定(SpO)を示す。第8のチャンネルは、差圧力変換器へ接続された鼻カニューレを用いた呼吸気流である。25~35秒間の無呼吸の反復と、回復呼吸の10~15秒の突発と共に、EEG覚醒およびEMG活動増加が発生している。第9のチャンネルは、胸の動きを示し、第10のチャンネルは、腹部の動きを示す。腹部は、無呼吸の長さにわたって次第に大きくなる動きを示し、その結果覚醒に繋がる。両方とも、覚醒時において回復過呼吸時における全体的身体動きに起因して不揃いになっている。そのため、無呼吸は閉塞になり、状態は深刻である。1番下側のチャンネルは姿勢であり、本例において変化は示していない。
【0367】
図6Dは、患者が一連の全体的閉塞性無呼吸を経験している場合の患者流量データを示す。上記記録の期間は、およそ160秒である。流量は、約+1L/s~約-1.5L/sの範囲である。各無呼吸が継続する時間は、およそ10~15sである。
【0368】
図6Eは、呼吸のスケーリングされた吸気部分を示す。ここで、患者は、低周波数吸気いびきを経験している。
【0369】
図6Fは、呼吸のスケーリングされた吸気部分を示す。ここで、患者は、平坦な吸気流れ制限の一例を経験している。
【0370】
図6Gは、呼吸のスケーリングされた吸気部分を示す。ここで、患者は、「メサ(mesa)」平坦な吸気流れ制限の一例を経験している。
【0371】
図6Hは、呼吸のスケーリングされた吸気部分を示す。ここで、患者は、「パンダの耳」吸気流れ制限の一例を経験している。
【0372】
図6Iは、呼吸のスケーリングされた吸気部分を示す。ここで、患者は、「椅子」吸気流れ制限の一例を経験している。
【0373】
図6Jは、呼吸のスケーリングされた吸気部分を示す。ここで、患者は、「逆椅子」吸気流れ制限の一例を経験している。
【0374】
図6Kは、呼吸のスケーリングされた吸気部分を示す。ここで、患者は、「M字形」の吸気流れ制限の一例を経験している。
【0375】
図6Lは、呼吸のスケーリングされた吸気部分を示す。ここで、患者は、非常に「M字形」の吸気流れ制限の一例を経験している。
【0376】
図6Mは、チェーン・ストークス呼吸の患者からの患者データを示す。以下の3つのチャンネルが存在する:パルスオキシメトリ(SpO);流量を示す信号;および胸部の動き。データは、6分間に及ぶ。流量を示す信号は、鼻カニューレへ接続された圧力センサを用いて測定した。患者は、無呼吸を約22秒間および過呼吸を約38秒間示している。無呼吸時におけるより高い周波数および低い振幅振動は、心臓性である。
【0377】
図6Nは、図6Mにおけるようなものと同じ3つのチャンネルを用いたチェーン・ストークス呼吸の別の例の患者からの患者データを示す。データは、10分間に及ぶ。患者は、過呼吸を約30秒間および低呼吸を約30秒間示している。
【0378】
5.9 用語集
本技術の開示目的のため、本技術の特定の形態において、以下の定義のうち1つ以上が適用され得る。本技術の他の形態において、別の定義も適用され得る。
【0379】
5.9.1 一般
空気:本技術の特定の形態において、空気は大気を意味し得、本技術の他の形態において、空気は、他の呼吸可能なガスの組み合わせ(例えば、酸素を豊富に含む大気)を意味し得る。
【0380】
雰囲気:本技術の特定の形態において、「雰囲気」という用語は、(i)治療システムまたは患者の外部、および(ii)治療システムまたは患者を直接包囲するものを意味するものとしてとられるべきである。
【0381】
例えば、加湿器に対する雰囲気湿度とは、加湿器を直接包囲する空気の湿度であり得る(例えば、患者が睡眠をとっている部屋の内部の湿度)。このような雰囲気湿度は、患者が睡眠をとっている部屋の外部の湿度と異なる場合がある。
【0382】
別の実施例において、雰囲気圧力は、身体の直接周囲または外部の圧力であり得る。
【0383】
特定の形態において、雰囲気(例えば、音響)ノイズは、例えばRPTデバイスから発生するかまたはマスクまたは患者インターフェースから発生するノイズ以外の、患者の居る部屋の中の背景ノイズレベルとみなすことができる。雰囲気ノイズは、部屋の外の発生源から発生し得る。
【0384】
自動的な気道陽圧(APAP)療法:SDB発症の兆候の存在または不在に応じて、例えば、呼吸間に最小限界と最大限界との間で治療圧力を自動的に調節することが可能なCPAP療法。
【0385】
持続的気道陽圧(CPAP)療法:治療圧力が患者の呼吸サイクルを通じてほぼ一定である呼吸圧療法。いくつかの形態において、気道への入口における圧力は、呼息時において若干上昇し、吸息時において若干低下する。いくつかの形態において、圧力は、患者の異なる呼吸サイクル間において変動する(例えば、部分的な上気道閉塞の兆候の検出に応答して増加され、部分的な上気道閉塞の通知の不在時において低減される)。
【0386】
流量:単位時間あたりに送出される空気の瞬時の量(または質量)。流量とは、瞬間の量を指し得る。場合によっては、流量について言及した場合、スカラー量(すなわち、大きさのみを有する量)を指す。他の場合において、流量について言及した場合、ベクトル量(すなわち、大きさおよび方向両方を持つ量)を指す。流量には、符号Qが付与され得る。「流量」を簡略的に「流れ」もしくは「気流」と呼ぶ場合もある。
【0387】
患者の呼吸の実施例において、流量は、患者の呼吸サイクルの吸気部分に対してノミナルに陽圧であり得るため、患者の呼吸サイクルの呼気部分に対して負であり得る。合計流量Qtは、RPTデバイスから退出する空気の流量である。通気流量Qvは、吐き出されたガスの流出を可能にするために通気孔から退出する空気の流量である。漏洩流量Qlは、患者インターフェースシステムまたは他の場所からの漏洩の流量である。呼吸流量Qrは、患者の呼吸器系中に受容される空気の流量である。
【0388】
加湿器:「加湿器」という単語は、患者の医療呼吸状態を改善するために治療上有益な量の水(HO)蒸気を空気流れへ提供することが可能な物理的構造を備えて構築、配置または構成された加湿装置を意味するものとして解釈される。
【0389】
漏洩:「漏洩」という用語は、意図しない空気流れとしてとられる。一実施例において、漏洩は、マスクと患者の顔との間のシールが不完全であることに起因して発生し得る。別の実施例において、漏洩は、周囲に対する回りエルボーにおいて発生し得る。
【0390】
ノイズ伝導(音響):本文書において、伝導ノイズとは、空気圧経路(例えば、空気回路および患者インターフェースおよびその内部の空気)によって患者へ搬送されるノイズを指す。一形態において、伝導ノイズは、空気回路の端部における音圧レベルを測定することにより、定量化され得る。
【0391】
ノイズ放射(音響):本文書において、放射ノイズとは、周囲空気によって患者へ搬送されるノイズを指す。一形態において、放射ノイズは、当該対象の音響パワー/圧力レベルをISO3744に従って測定することにより、定量化され得る。
【0392】
ノイズ通気(音響):本文書において、通気ノイズとは、任意の通気(例えば、患者インターフェース中の通気孔)を通じた空気流れにより生成されるノイズを指す。
【0393】
患者:呼吸器疾患に罹患しているかまたはしていない人。
【0394】
圧力:単位面積あたりの力。圧力は、多様な単位で表現され得る(例えば、cmHO、g-f/cm、およびヘクトパスカル)。1cmHOは、1g-f/cmに等しく、およそ0.98ヘクトパスカルである。本明細書において、他に明記無き限り、圧力はcmHOの単位で付与される。
【0395】
患者インターフェース中の圧力には記号Pmが付与され、現時点においてマスク圧力Pmが達成すべき目標値を表す治療圧力には記号Ptが付与される。
【0396】
呼吸圧力治療(RPT):雰囲気に対して典型的には陽圧である治療圧力における空気供給の気道入口への付加。
【0397】
人工呼吸器:患者が呼吸動作の一部または全てを行い際に圧力補助を提供する機械的デバイス。
【0398】
5.9.1.1 材料
シリコーンまたはシリコーンエラストマー:合成ゴム。本明細書において、シリコーンについて言及される場合、液体シリコーンゴム(LSR)または圧縮成形シリコーンゴム(CMSR)を指す。市販のLSRの一形態として、Dow Corningによって製造されるSILASTIC(この登録商標下において販売される製品群に含まれる)がある。別のLSR製造業者として、Wackerがある。他に逆の明記無き限り、例示的形態のLSRのASTMD2240によって測定した場合のショアA(またはタイプA)押込み硬さは、約35~約45である。
【0399】
ポリカーボネート:ビスフェノールAカーボネートの熱可塑性ポリマーである。
【0400】
5.9.1.2 機械的特性
弾性:弾性変形時にエネルギーを吸収することおよび除荷時にエネルギーを解放することが可能な材料の能力。
【0401】
弾性のある:除荷時に実質的に全てのエネルギーを解放する。例えば特定のシリコーンおよび熱可塑性エラストマーを含む。
【0402】
硬度:材料自体の変形に抵抗する能力(例えば、ヤング係数または規格化されたサンプルサイズ上において測定された押込硬さスケールによって記述されたもの)。
● 「軟性」材料は、シリコーンまたは熱可塑性エラストマー(TPE)を含み得、例えば指圧力下において容易に変形し得る。
● 「硬質」材料は、ポリカーボネート、ポリプロピレン、鋼またはアルミニウムを含み得、例えば指圧力下において容易に変形し得ない。
【0403】
構造または構成要素の剛度(または剛性):構造または構成要素が負荷を受けたときに変形に抵抗する能力。負荷は、力またはモーメントであり得る(例えば、圧縮、伸張、屈曲またはねじれ)。構造または構成要素は、異なる方向において異なる抵抗を提供し得る。
【0404】
フロッピー構造または構成要素:自重を支持させられた際に比較的短期間(例えば、1秒)以内に形状を変化させる(例えば、屈曲する)構造または構成要素。
【0405】
剛性の構造または構成要素:使用時において典型的に遭遇する負荷を受けた際に実質的に形状変化の無い構造または構成要素。このような用途の実施例として、患者インターフェースを例えばおよそ20~30cmHOの圧力の負荷において患者気道入口に対して密閉した様態でセットアップおよび維持することがあり得る。
【0406】
一実施例として、I形ばりは、第2の直交方向と比較した第1の方向において、異なる曲げ剛性(曲げ負荷に対する抵抗)を含み得る。別の実施例において、構造または構成要素は、第1の方向においてはフロッピーであり得、第2の方向においては剛性であり得る。
【0407】
5.9.2 呼吸サイクル
無呼吸:いくつかの定義によれば、無呼吸とは、所定の閾値を下回った流れが例えば10秒間の継続期間にわたって継続した場合に発生したと言われる。閉塞性無呼吸とは、患者の労作にもかかわらず、何らかの気道閉塞により空気の流れが許されないときに発生すると言われる。中枢性無呼吸とは、気道が開通しているにも関わらず呼吸努力の低下または呼吸努力の不在に起因して無呼吸が検出された状態を指すと言われる。混合無呼吸とは、呼吸努力の低下または不在が気道閉塞と同時発生した状態を指すと言われる。
【0408】
呼吸速度:患者の自発呼吸速度であり、通常は毎分あたりの呼吸回数で測定される。
【0409】
デューティサイクル:吸息時間Tiの合計呼吸時間Ttotに対する比。
【0410】
労作(呼吸):呼吸努力は、呼吸しようとしている人の自発呼吸によって行われる動きを指すと言われる。
【0411】
呼吸サイクルの呼気部分:呼気流れの開始から吸気流れの開始までの期間。
【0412】
流れ制限:流れ制限は、患者による労作の増大が流量の対応する増大を引き起こさない患者の呼吸における状況であると解釈される。呼吸サイクルの吸気部分において流量制限が発生した場合、当該流量制限は吸気流量制限と称することができる。呼吸サイクルの呼気部分において流れ制限が発生した場合、当該流れ制限は呼気流れ制限と称することができる。
【0413】
流れ制限吸気の波形の種類:
(i) 平坦化:上昇の後に比較的平坦な部位が続いた後、下降が発生すること。
(ii) M字型:立ち上がりにおいて1つおよび立ち下がりにおいて1つの2つの局所的ピークを持ち、これら2つのピークの間に比較的平坦な部位がある。
(iii) 椅子状:単一の局所的ピークを持ち、このピークが立ち上がり部分に発生した後、比較的平坦な部位が続く。
(iv) 逆椅子状:比較的平坦な部位の後に単一の局所的ピークが続き、このピークが立ち下がり部分に発生する。
【0414】
呼吸低下:一部の定義によれば、呼吸低下は、流れの中断ではなく、流れの低下を意味する。一形態において、閾値速度を下回った流れ低下が継続期間にわたって続いた場合、呼吸低下が発生したと言われる。呼吸努力の低下に起因して呼吸低下が検出された場合、中枢性呼吸低下が発生したと言われる。成人の一形態において以下のうちいずれかが発生した場合、呼吸低下と見なされ得る:
(i)患者呼吸の30%の低下が少なくとも10秒+関連する4%の脱飽和、または、
(ii)患者呼吸の(50%未満の)低下が少なくとも10秒間継続し、関連して脱飽和が少なくとも3%であるかまたは覚醒が発生する。
【0415】
過呼吸:流れが通常の流量よりも高いレベルまで増加すること。
【0416】
呼吸サイクルの吸気部分:吸気流れの開始から呼気流れの開始までの期間が、呼吸サイクルの吸気部分としてとられる。
【0417】
開通性(気道):気道が開いている度合いまたは気道が開いている範囲。気道開通性とは、開口である。気道開通性の定量化は、例えば、開通性を示す値(1)と、閉鎖(閉塞)を示す値(0)で行われ得る。
【0418】
呼吸終末陽圧(PEEP):肺中の大気を越える圧力であり、呼気終了時に存在する。
【0419】
ピーク流量(Qpeak):呼吸流れ波形の吸気部分における流量最大値。
【0420】
呼吸気流量、空気流量、患者の空気流量、呼吸気空気流量(Qr):これらの用語は、RPTデバイスの呼吸空気流量の推定を指すものとして理解され得、通常リットル/分で表される患者の実際の呼吸流量である「真の呼吸流量」または「真の呼吸気流量」と対照的に用いられる。
【0421】
1回換気量(Vt):余分な努力をせずに通常の呼吸時に吸い込まれたかまたは吐き出された空気の量である。原則的に、吸気量V(吸気された空気の量)は、呼気量V(呼気された空気の量)に等しいため、単一の一回換気量Vは、いずれかの量に等しいものとして規定され得る。実際には、一回換気量Vは、何らかの組み合わせ(例えば、吸気量Vと呼気量Vの平均)として推定される。
【0422】
(吸息)時間(Ti):呼吸流量波形の吸気部分の継続期間。
【0423】
(呼息)時間(Te):呼吸流量波形の呼気部分の継続期間。
【0424】
(合計)時間(Ttot):呼吸流量波形の一つの吸気部分の開始と呼吸流量波形の次の吸気部分の開始との間の合計継続期間。
【0425】
典型的な最近の換気:所定の時間スケールにわたる換気Ventの直近値が密集する傾向となる換気値(すなわち、換気の直近値の中心の傾向の度合い)。
【0426】
上気道閉塞(UAO):部分的な上気道閉塞および合計上気道閉塞両方を含む。上気道上の圧力差の増加(スターリングレジスタ挙動)と共に流量がわずかに増加するかまたは低下し得る流れ制限の状態と関連し得る。
【0427】
換気(Vent):患者の呼吸器系によって行われるガス交換率の測定。換気の測定は、単位時間あたりの吸気および呼気流のうち片方または双方を含み得る。1分あたりの体積として表される場合、この量は、「分換気」と呼ばれることが多い。分換気は、単に体積として付与されることもあり、1分あたりの体積として理解される。
【0428】
5.9.3 換気
適応サーボ人工呼吸器(ASV):一定の目標換気を持つのではなく変更が可能なサーボ人工呼吸器。変更可能な目標換気は、患者の何らかの特性(例えば、患者の呼吸特性)から学習され得る。
【0429】
バックアップレート:人工呼吸器のパラメータであり、(自発呼吸努力によってトリガされない場合に)人工呼吸器から患者へ送達される最小呼吸速度(典型的には、1分あたりの呼吸数)を確立させる。
【0430】
サイクル:人工呼吸器の吸気フェーズの終了。自発呼吸をしている患者へ人工呼吸器から呼吸を送達する場合、呼吸サイクルの吸気部分の終了時において、当該人工呼吸器は、呼吸送達を停止するようサイクルされると言われる。
【0431】
呼気の気道陽圧(EPAP):人工呼吸器が所与の時期に達成しようとする所望のマスク圧力の生成のために、呼吸内において変化する圧力が付加される基本圧力。
【0432】
終了時呼気圧力(EEP):呼吸の呼気部分の終了時において人工呼吸器が達成しようとする所望のマスク圧力。圧力波形テンプレートΠ(Φ)が呼気終了時にゼロの値である(すなわち、Φ=1のときにΠ(Φ)=0である場合)、EEPはEPAPに等しい。
【0433】
吸息の気道陽圧(IPAP):呼吸の吸気部分時に人工呼吸器が達成しようとする最大の所望のマスク圧力。
【0434】
圧力補助:人工呼吸器吸気時における当該人工呼吸器呼気時における圧力増加を示す数であり、吸気時の最大値と、基本圧力との間の圧力差を主に意味する(例えば、PS=IPAP-EPAP)。いくつかの文脈において、圧力補助とは、(人工呼吸器が実際に達成する差ではなく)人工呼吸器が達成しようとする差を意味する。
【0435】
サーボ人工呼吸器:患者換気を有しかつ目標換気を有する人工呼吸器であり、患者換気を目標換気に近づけるために圧力補助レベルを調節する。
【0436】
自発/タイミング(S/T):自発呼吸している患者の呼吸の開始を検出しようとする、人工呼吸器または他のデバイスのモード。しかし、デバイスが所定期間の間に呼吸を検出できない場合、デバイスは、呼吸送達を自動的に開始する。
【0437】
スイング:圧力補助に相当する用語。
【0438】
トリガ:人工呼吸器が自発呼吸する患者へ空気の呼吸を送達する場合、患者自身が呼吸サイクルの呼吸部分を開始したとき、当該人工呼吸器が呼吸送達を行うようトリガされたと言う。
【0439】
5.10 他の注意事項
本特許文書の開示の一部は、著作権保護が与えられる内容を含む。著作権所有者は、何者かが本特許文書または本特許開示をファックスにより再生しても、特許庁の特許ファイルまたは記録に記載されるものであれば目的のものであれば異論は無いが、その他の目的については全ての著作権を保持する。
【0440】
他に文脈から明確に分かる場合および一定の範囲の値が提供されていない限り、下限の単位の1/10、当該範囲の上限と下限の間、および記載の範囲の他の任意の記載の値または介入値に対する各介入値は本技術に包含されることが理解される。介入範囲中に独立的に含まれるこれらの介入範囲の上限および下限が記載の範囲における制限を特に超えた場合も、本技術に包含される。記載の範囲がこれらの制限のうち1つまたは双方を含む場合、これらの記載の制限のいずれかまたは双方を超える範囲も、本技術に包含される。
【0441】
さらに、本明細書中に値(単数または複数)が本技術の一部として具現される場合、他に明記無き限り、このような値が近似され得、実際的な技術的実行が許容または要求する範囲まで任意の適切な有効桁までこのような値を用いることが可能であると理解される。
【0442】
他に明記しない限り、本明細書中の全ての技術用語および科学用語は、本技術が属する分野の当業者が一般的に理解するような意味と同じ意味を持つ。本明細書中に記載の方法および材料に類似するかまたは等しい任意の方法および材料を本技術の実践または試験において用いることが可能であるが、限られた数の例示的方法および材料が本明細書中に記載される。
【0443】
特定の材料が構成要素の構築に好適に用いられるものとして記載されているが、特性が類似する明白な代替的材料が代替物として用いられる。さらに、それとは反対に記載無き限り、本明細書中に記載される任意および全ての構成要素は、製造可能なものとして理解されるため、集合的にまたは別個に製造され得る。
【0444】
本明細書中及び添付の特許請求の範囲において用いられるように、単数形である「a」、「an」および「the」は、文脈から明らかにそうでないことが示されない限り、その複数の均等物を含む点に留意されたい。
【0445】
本明細書中に記載される公開文献は全て、これらの公開文献の対象である方法および/または材料の開示および記載、参考のために援用される。本明細書中に記載の公開文献は、本出願の出願日前のその開示内容のみのために提供するものである。本明細書中のいずれの内容も、本技術が先行特許のためにこのような公開文献に先行していない、認めるものと解釈されるべきではない。さらに、記載の公開文献の日付は、実際の公開文献の日付と異なる場合があり、個別に確認が必要であり得る。
【0446】
「comprises」および「comprising」という用語は、要素、構成要素またはステップを非排他的な意味合いで指すものとして解釈されるべきであり、記載の要素、構成要素またはステップが明記されていない他の要素、構成要素またはステップと共に存在、利用または結合され得ることを示す。
【0447】
詳細な説明において用いられる見出しは、読者の便宜のためのものであり、本開示または特許請求の範囲全体において見受けられる内容を制限するために用いられるべきではない。これらの見出しは、特許請求の範囲または特許請求の範囲の制限の範囲の解釈において用いられるべきではない。
【0448】
本明細書中の技術について、特定の実施例を参照して述べてきたが、これらの実施例は本技術の原理および用途を例示したものに過ぎないことが理解されるべきである。いくつかの場合において、用語および記号は、本技術の実施に不要な特定の詳細を示し得る。例えば、「first(第1の)」および「second(第2の)」(など)という用語が用いられるが、他に明記無き限り、これらの用語は任意の順序を示すことを意図しておらず、別個の要素を区別するために用いられる。さらに、本方法におけるプロセスステップについての記載または例示を順序付けて述べる場合があるが、このような順序は不要である。当業者であれば、このような順序が変更可能でありかつ/またはその様態を同時にまたはさらに同期的に行うことが可能であることを認識する。
【0449】
よって、本技術の意図および範囲から逸脱することなく、例示的な実施例において多数の変更例が可能であり、また、他の配置構成が考案され得ることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0450】
1000 患者
1100 同床者
2012 公開版
2410 小型電源
3000 患者インターフェース
3100 シール形成構造
3200 プレナムチャンバ
3300 構造
3400 通気部
3600 接続ポート
3700 前額支持部
3744 ISO
4000 RPTデバイス
4010 外部ハウジング
4012 上部
4014 部位
4015 パネル
4016 シャーシ
4018 ハンドル
4020 空気圧ブロック
4110 空気フィルタ
4112 入口空気フィルタ
4114 出口空気フィルタ
4120 マフラー
4122 入口マフラー
4124 出口マフラー
4140 圧力生成器
4142 送風機
4144 モータ
4160 アンチスピルバック弁
4170 空気回路
4171 加熱空気回路
4172 管
4180 補充酸素
4200 電気部品
4202 PCBA
4210 電源
4220 入力デバイス
4230 中央コントローラ
4232 時計
4240 治療デバイスコントローラ
4250 保護回路
4260 メモリ
4270 変換器
4272 圧力センサ
4274 流量センサ
4276 モータ速度変換器
4280 データ通信インターフェース
4282 遠隔外部通信ネットワーク
4284 ローカル外部通信ネットワーク
4286 遠隔外部デバイス
4288 ローカル外部デバイス
4290 出力デバイス
4292 ディスプレイドライバ
4294 ディスプレイ
4300 アルゴリズム
4310 事前処理モジュール
4312 圧力補償
4314 通気流量の推定
4316 漏洩流量推定
4318 呼吸流量推定
4320 治療エンジンモジュール
4321 フェーズ決定
4322 波形決定
4323 換気決定
4324 吸気流量制限決定
4325 無呼吸/呼吸低下決定
4326 いびき決定
4327 気道開通性決定
4328 目標換気決定
4329 治療パラメータ決定
4330 治療制御モジュール
4340 方法
5000 加湿器
5002 加湿器入口
5004 加湿器出口
5006 加湿器ベース
5020 ヒータ
5110 リザーバ
5120 伝導性部位
5130 加湿器リザーバドック
5135 ロックレバー
5150 水位インジケータ
5210 加湿器変換器
5212 空気圧力センサ
5214 流量変換器
5216 温度変換器
5218 湿度センサ
5240 加熱要素
5250 加湿器コントローラ
5251 中央加湿器コントローラ
5252 加熱要素コントローラ
5254 空気回路コントローラ
5302,5304,5306,5308 電流感知回路
5310 送風機コントローラ
5312 加熱板コントローラ
5314 管コントローラ
5402 電力使用データステップ
5404,5405,5406,5410,5412,5502,5504,5506,5508,5510,5512 ステップ
6010,6020,6030,6040 波形
6050,6052,6054 オペアンプ
6066 キャパシタ
6068 抵抗器
6070 電圧制御されるPWM回路
6072,6074 ゲート
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図5I
図5J
図5K
図5L
図5M
図5N
図5O
図5P
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H
図6I
図6J
図6K
図6L
図6M
図6N
【手続補正書】
【提出日】2024-03-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸治療装置であって、
電源と、
空気流れを生成するように構成された圧力生成器と、
前記生成された空気流れを加熱するように構成された加熱要素と、
前記空気流れの特性を示すセンサ信号を生成するように構成された1つ以上のセンサと、
処理システムであって、
前記センサ信号を受信すること、
前記受信されたセンサ信号に基づいて、前記加熱要素の制御のための制御信号を決定すること、
前記圧力生成器によって引き出された電流に対応する信号を受信すること、
前記加熱要素によって引き出された電流に対応する信号を受信すること、
(1)前記圧力生成器によって引き出された電流に対応する信号、(2)前記加熱要素によって引き出された電流に対応する信号、(3)前記加熱要素についての前記決定された制御信号、および(4)前記電源の電力に基づいて、前記加熱要素の制御のための新規の制御信号を生成すること、および
前記加熱要素の制御のための前記新規の制御信号を用いて前記加熱要素の動作を制御すること、を行うように構成された、処理システムと、を含む、呼吸治療装置。
【外国語明細書】