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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052788
(43)【公開日】2024-04-12
(54)【発明の名称】収納ケース
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/86 20060101AFI20240405BHJP
   H05K 13/02 20060101ALI20240405BHJP
   B65D 79/00 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
B65D85/86 100
H05K13/02 D
B65D79/00
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024023053
(22)【出願日】2024-02-19
(62)【分割の表示】P 2022581188の分割
【原出願日】2021-11-09
(31)【優先権主張番号】P 2021021900
(32)【優先日】2021-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】清水 保弘
(72)【発明者】
【氏名】中川 聖之
(57)【要約】
【課題】内部に収納されている電子部品の個数によらず、電子部品が部品取出口において詰まりにくく、且つ一気に流れ出ない収納ケースを提供する。
【解決手段】本発明の収納ケース1は、第1側壁部21及び第2側壁部22を含み、部品を収容可能とする収納空間を前記第1側壁部21と前記第2側壁部22との間に有するケース本体2と、前記ケース本体2に設けられた部品取出口6と、前記収納空間Sの内部に設けられた傾斜面7aと、を備え、前記第1側壁部21及び前記第2側壁部22のうちのどちらか一方の側壁部が、少なくとも一部に電波シールド性能を有している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1側壁部及び第2側壁部を含み、部品を収容可能とする収納空間を前記第1側壁部と前記第2側壁部との間に有するケース本体と、
前記ケース本体に設けられた部品取出口と、
前記収納空間の内部に設けられた傾斜面と、
を備え、
前記第1側壁部及び前記第2側壁部のうちのどちらか一方の側壁部が、少なくとも一部に電波シールド性能を有している
収納ケース。
【請求項2】
前記一方の側壁部は、少なくとも一部が電波シールド性能を有する材料で製造されている、
請求項1に記載の収納ケース。
【請求項3】
前記一方の側壁部は、少なくとも一部に電波シールド性能を有する部材が塗布されている、
請求項1に記載の収納ケース。
【請求項4】
前記一方の側壁部は、少なくとも一部に電波シールド性能を有する部材が貼着されている、
請求項1に記載の収納ケース。
【請求項5】
前記ケース本体は、電波によって読み取り可能な情報タグを有する、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の収納ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の収納ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品を基板に実装する際、電子部品を基板上の所定位置に設置及び実装する実装装置が用いられる。このような実装装置には、電子部品を個別に供給する必要がある。
電子部品の実装装置への個別供給方法として、テープ状の搬送体の内部に電子部品を埋設して、1つずつ取り出すテープフィーダ方法がある。しかし、テープフィーダ方法はテープやテープカバーといった廃棄物が生じる。
これに対して収納ケースにバラの状態の電子部品をまとめて投入し、収納ケースの底部に形成された部品取出口より自重によりフィーダへと電子部品を落下させ、フィーダにより実装装置へ個別に供給する方法もある(特許文献1参照)。この方法は、テープやテープカバーといった廃棄物が発生しない。そして、収容ケース0にはRFIDタグが取り付けられ、フィーダにはリーダーライタが配置され、リーダーライタは、RFIDタグと情報のやり取りを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-295618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、収納ケースを複数並べてフィーダに配置する場合、リーダーライタからの電波が、情報のやり取りを行う対象であるRFIDタグ以外の、隣接する収納ケースに設けられたRFIDタグにまで影響を及ぼす可能性がある。
【0005】
本発明は、複数並べて配置された場合であっても、対象となるリーダーライタ以外からの情報の読み取りまたは書き込みが防止される収納ケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、第1側壁部及び第2側壁部を含み、部品を収容可能とする収納空間を前記第1側壁部と前記第2側壁部との間に有するケース本体と、
前記ケース本体に設けられた部品取出口と、前記収納空間の内部に設けられた傾斜面と、を備え、前記第1側壁部及び前記第2側壁部のうちのどちらか一方の側壁部が、少なくとも一部に電波シールド性能を有している収納ケースを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数並べて配置された場合であっても、対象となるリーダーライタ以外からの情報の読み取りまたは書き込みが防止される収納ケースを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】収納ケースを斜め上側から見た斜視図であり、部品取出口が開いた状態を示す。
図2】収納ケースの内部状態を示す斜視図であり、部品取出口が開いた状態を示す。
図3】収納ケースの内部状態を示す斜視図であり、部品取出口が閉じた状態を示す。
図4】収納ケースを斜め下側から見た斜視図であり、部品取出口が閉じた状態を示す。
図5】収納ケースのフィーダへの装着方法を説明する図である。
図6】複数の収納ケース1A,1B,1C,1Dが並べてフィーダ100に配置された場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態の収納ケース1について図面を参照しながら説明する。図1は収納ケース1を斜め上側から見た斜視図である。収納ケース1は、内部に部品の一例として電子部品50(図2に図示)をバラの状態で収納し、点線で示すフィーダ100に対して着脱可能である。フィーダ100は、収納ケース1から流出した電子部品50を実装装置(図示せず)に供給する装置である。
実施形態で電子部品50は、コンデンサやインダクタなどであり、長手方向長さが1.2mm以下である。電子部品50の形状は、略直方体である。
【0010】
図2は、後述の第2側壁部22を取り外した収納ケース1の内部状態を示す斜視図であり、部品取出口6が開いた状態を示す。図3図2と同様に後述の第2側壁部22を取り外した収納ケース1の内部状態を示す斜視図であり、部品取出口6が閉じた状態を示す。図4は収納ケース1を斜め下側から見た斜視図である。図5は収納ケース1のフィーダ100への装着方法を説明する図である。
【0011】
(収納ケース1)
収納ケース1は、ケース本体2と、カバー部材3と、駆動部4とを備え、ケース本体2にはRFIDタグ5を収容する情報タグ収容部9とが設けられている。
【0012】
(ケース本体2)
ケース本体2は、第1側壁部21と第2側壁部22とを備え、第1側壁部21と第2側壁部22とが組み立てられることにより、内部に収納空間Sが形成される容器である。ケース本体2は、上壁部2Uと、底壁部2Dと、前側壁部2Fと、後側壁部2Bと、第1側壁部21側の右側壁部2Rと、第2側壁部22側の左側壁部2Lとを備える。収納ケース1の内部には、電子部品50が、バラの状態で収納される。
【0013】
なお、本明細書において、収納ケース1をフィーダ100に装着したときに、鉛直方向の上下となる方向を、収納ケース1の上下とする。また、収納ケース1における、部品取出口6が設けられている側を前、その逆側を後とする。収納ケース1を、その前から見たときの右側を右とし、左側を左とする。第1側壁部21は右側に位置し、第2側壁部22は左側に位置する。
前側壁部2Fと、後側壁部2Bと、右側壁部2Rと、左側壁部2Lとは、鉛直方向、すなわち上下に延びる側壁部である。上壁部2Uと、底壁部2Dとは、水平方向に延びる壁部である。
【0014】
実施形態において第1側壁部21と第2側壁部22との一方の側壁部である第2側壁部22は、電波シールド性能を有する材料で製造される。電波シールド性能を有する材料は、導電性材料である。また、他方の側壁部である第1側壁部21は、帯電防止性能を有する樹脂材料で製造されている。
ただし、これに限定されず、第1側壁部21と第2側壁部22との一方の側壁部である例えば第2側壁部22を、第1側壁部21と等しい帯電防止性能を有する樹脂材料で製造し、電波シールド性能を有する部材を塗布してもよいし、電波をシールドする電波シールド性能を有する部材を貼着してもよい。
なお、表面抵抗率が小さい部材ほど、電波シールド性能は高くなる。本明細書において、電波シールド性能を有する材料とは、表面抵抗率が10Ω/□以下の材料のことを意味する。なお、電波シールド性能を有する材料の表面抵抗率は、10Ω/□以下であることが、より好ましい。
【0015】
(部品取出口6)
ケース本体2の前側壁部2Fの下側には、部品取出口6が設けられている。部品取出口6は、実施形態では四角形の開口部であるが、四角形に限定されず、例えば他の円形や楕円形状の開口部であってもよい。部品取出口6が開いたときの下縁部6aの位置は、底壁部2Dのフィーダ100側の底面から鉛直方向上側に、所定距離d=3mm~6mm、離隔している。
【0016】
(傾斜面7a)
収納空間S内において、第1側壁部21と第2側壁部22との間に板部材7が延びている。板部材7の上面は、後方から前方の部品取出口6の下縁部6aに向かって延び、下縁部6a側が最も下側になるよう傾斜した傾斜面7aとなっている。
傾斜面7aの傾斜角度θは、収納ケース1がフィーダ100に取り付けられたときの水平方向に対して3°~10°であり、実施形態では5°である。なお、5°~7°であればさらに良い。
【0017】
(カバー部材3)
部品取出口6を覆うカバー部材3が底壁部2Dから前側壁部2Fにわたって連続して延びている。カバー部材3は、長尺の帯状部材であり、材質はこれに限定されないが、実施形態ではPET(Polyethylene terephthalate)であり、ある程度剛性を有し、且つ湾曲可能な材質である。カバー部材3の幅は、部品取出口6の幅より若干大きく、部品取出口6を隙間なく覆うことができる幅である。1.0×10^6~1.0×10^12(1.0×10~1.0×1012)とする。1.0×10^6を下回ると、急激が電圧による部品破損が生じ、1.0×10^12を上回ると、静電気による部品付着が生じる。
カバー部材3の前端には部品取出口6と略同形の開口部3aが設けられている。なお、開口部3aは部品取出口6と同形である必要はないが、開口部3aと部品取出口6とが重なったときに貫通する開口が、電子部品50の流出口となる。
【0018】
(案内溝62)
一方、ケース本体2の前側壁部2Fにおける部品取出口6の上側には、外側から内側に向かって窪んだカバー部スライド用凹部61が設けられている。
部品取出口6とカバー部スライド用凹部61とが設けられている部分の、前側壁部2Fの厚み方向側面には、上下に延びる案内溝62が左右に設けられている。案内溝62の幅とカバー部材3の厚みとの差は、50μm~80μmである。
カバー部材3の長手方向に延びる両側が、左右の案内溝62に挿入される。カバー部材3は、案内溝62に案内されて、前側壁部2Fを上下方向にスライドする。
【0019】
(駆動部4)
カバー部材3の後端には、図2及び図3に示す円形の孔3bが設けられている。孔3bには、カバー部材3をスライド駆動する駆動部4が取り付けられている。駆動部4は、矩形部材で、上側の左右に外方にフランジ部4aが延びている。駆動部4の上面には、凸部4bが設けられ、凸部4bは、カバー部材3の孔3bに挿入されて上に突き出している。
【0020】
一方、図4に示すように収納ケース1の底壁部2Dには、外側から内側に向かって窪んだ駆動部スライド用凹部23が設けられている。駆動部スライド用凹部23の前側面には、カバー部材3が底壁部2Dの内面側から外面側へと挿通可能な長孔24が設けられている。カバー部材3は、長孔24を通って、駆動部スライド用凹部23の底面である外面側に延びている。駆動部スライド用凹部23の外面には、2つの窪み26a及び窪み26bが前後に並んで設けられている。
【0021】
駆動部スライド用凹部23が設けられている部分の、底壁部2Dの厚み方向の側面には、前後に延びる図4に示す駆動用溝部25が左右に設けられている。
左右の駆動用溝部25の間に駆動部4のフランジ部4aが挿通される。駆動部4は、作業者又は他の装置によって前後に移動されると、駆動用溝部25に案内されて、駆動部スライド用凹部23の内部を前後方向にスライドする。このとき、駆動部4のスライド範囲は、凸部4bが前側の窪み26aに嵌る位置と、後側の窪み26bに嵌る位置との間である。
【0022】
図5の詳細については後述するが、図5(c)及び図3に示すように、駆動部4の凸部4bが前側の窪み26aにあるとき、カバー部材3の開口部3aはカバー部スライド用凹部61内に位置して部品取出口6と重ならず、部品取出口6の全体が閉じられ、電子部品50は外部へと放出されない。
【0023】
図5(d)及び図2に示すように、駆動部4の凸部4bが後ろ側の窪み26bにあるとき、カバー部材3の開口部3aは部品取出口6と重なって、部品取出口6を開口する。電子部品50の取出しが可能となる。
【0024】
(把持部10)
ケース本体2の後側及び上側に、把持部10が設けられている。把持部10は、実施形態では上側把持部10Aと後側把持部10Bとの2種類設けられているが、これに限定されず、どちらか一方であってもよく、また左右や前方の上下など、他の場所に設けられていてもよい。
上側把持部10Aは、ケース本体2の上側の前後両端に設けられた窪みである。後側把持部は、ケース本体2の後側の上下の両端に設けられた窪みである。把持部10は、例えば搬送時にロボットハンドなので把持される際に利用される。
【0025】
(情報タグ収容部9)
ケース本体2は、さらに、下方において左右に貫通する情報タグ収容部9を備える。情報タグ収容部9の内部の上面には、RFID(radio frequency identifier)タグ5が貼着されている。
【0026】
一方、図1に示すように、フィーダ100側には、リーダーライタ105が取り付けられている。リーダーライタ105は、収納ケース1をフィーダ100に装着したときに、電磁界や電波などを用いた無線通信によって、RFIDタグ5との情報のやり取りを行う。
【0027】
ケース本体2には、さらに、底壁部2Dの外面から下方に延びる被ロック部8とT字スロット部13とが設けられている。
【0028】
(被ロック部8)
被ロック部8は、実施形態では前側被ロック部8Aと後側被ロック部8Bとの2つ設けられてるが、これに限定されず、1つであってもよい。以下、前側被ロック部8Aと、後側被ロック部8Bとに共通する部分は被ロック部8としてまとめて説明する。
被ロック部8は上方から下方に向かって延び、下端が略90°後方に曲がり、上下左右に延びる断面においてL字形状を有する。
【0029】
(T字スロット部13)
T字スロット部13は、実施形態では前側T字スロット部13Aと後側T字スロット部13Bとの2つの部分を備えるが、これに限定されず、1本であってもよい。ただし、複数に分割することにより、フィーダ100に装着する際の収納ケース1のスライド距離を短くすることができる。以下、前側T字スロット部13Aと、後側T字スロット部13Bとの共通部分はT字スロット部13としてまとめて説明する。
T字スロット部13は、図4に示すように、上方から下方に向かって延びる細首部13aと、細首部13aのさらに下方に設けられた幅広部13bとを備え、上下左右に延びる断面においてT字形状を有する。
【0030】
(フィーダ100側)
一方、図5に示すように、フィーダ100には、フィーダ100の上面から下方に窪んだ第1装着凹部101と第2装着凹部102とが設けられている。
【0031】
(第1装着凹部101)
前側に設けられている第1装着凹部101の左右の幅は、T字スロット部13の幅広部13bが挿入可能な幅で、上下の深さは、幅広部13bの上下方向の長さより深く且つ前側T字スロット部13A全体の上下方向の長さより短い。
第1装着凹部101の上部の2箇所には、T字スロット部の幅広部13bは挿通不能であるが、細首部13aは挿通可能な幅の図1に示すスリット104が設けられた押さえ板部103が設けられている。押さえ板部103の上面は、フィーダ100の上面から連続した水平面で、前押さえ板部103Aと後押さえ板部103Bとが設けられている。図5(a)に示す前押さえ板部103Aと後押さえ板部103Bとの間の隙間eの前後の長さは、前側T字スロット部13Aが挿入可能な長さである。
【0032】
(ロック部108)
第2装着凹部102は第1装着凹部101よりも深く、内部にロック部108が設けられている。ロック部108は、実施形態においては前側被ロック部8Aと後側被ロック部8Bとのそれぞれに対応して、それぞれ前側ロック部108Aと後側ロック部108Bとを備えている。
【0033】
(前側ロック部108A)
前側ロック部108Aは、板状部材で前後に上方に向かう突起が設けられている。前側ロック部108Aの底面の前後は、第2装着凹部102の底部との間にそれぞれバネを介して取り付けられている。前側ロック部108Aはこのバネによって上下に移動可能である。
【0034】
(後側ロック部108B)
後側ロック部108Bは、板状部材で前後に上方に向かう突起が設けられている。後側ロック部108Bの底面の前後は、第2装着凹部102の底部との間にそれぞれバネを介して取り付けられている。後側ロック部108Bの中央部は左右に延びる軸pによって軸支されている。後側ロック部108Bは軸を中心として揺動可能である。
【0035】
(装着動作)
次に、収納ケース1をフィーダ100に装着する動作について説明する。
収納ケース1は、内部に電子部品50がバラの状態で多数収納され、且つ部品取出口6が閉じている。このとき、駆動部4の凸部4bは前側の窪み26aにあり、カバー部材3の開口部3aによって部品取出口6の全体が閉じられている。
【0036】
この状態の収納ケース1を、図5(a)の白い矢印で示すように、前押さえ板部103Aと後押さえ板部103Bとの間の隙間に、収納ケース1の前側T字スロット部13Aが挿入されるようにしてフィーダ100側に近づける。
そうすると、前押さえ板部103Aと後押さえ板部103Bとの間の隙間eより、収納ケース1の前側T字スロット部13Aが、第1装着凹部101の内部に挿入される。同時に、後押さえ板部103Bの後方より収納ケース1の後側T字スロット部13Bが、第1装着凹部101の内部に挿入される。
なお、このとき、前側ロック部108Aが駆動部4によって押されて、バネ力に抗して押し下げられる。前側ロック部108Aは回転せずに全体が下降する。
【0037】
次に、図5(b)の白い矢印で示すように収納ケース1を全体的に前側にスライドさせる。
そうすると、前側T字スロット部13Aと後側T字スロット部13Bとが、第1装着凹部101の底面に沿ってスライドし、前側T字スロット部13Aの幅広部13bが前押さえ板部103Aの下に入り込み、後側T字スロット部13Bの幅広部13bが後押さえ板部103Bの下に入り込む。これにより収納ケース1がフィーダ100に固定される。
なお、前側T字スロット部13Aの前面が第1装着凹部101の前面に当接することにより収納ケース1がフィーダ100に位置決めされる。
【0038】
次いで、図5(c)に示すように駆動部4を後方に移動させると、カバー部材3の開口部3aが部品取出口6と重なって、部品取出口6が開口する。
このとき、図5(d)に示すように駆動部4によって後側ロック部108Bの前側の突起が下に押される。後側ロック部108Bは軸pを中心として回転して後側ロック部108Bの後側の突起が上昇する。後側の突起が後側被ロック部8BのL字型の後端と当接する。
【0039】
また、駆動部4が後方に移動すると、駆動部4によって押圧されていた前側ロック部108Aの押圧が解除される。そうすると前側ロック部108Aがバネの復元力によって上昇し、前側ロック部108Aの前端の突起が前側被ロック部8AのL字型の後端と当接する。
【0040】
このようにして後側ロック部108Bが後側被ロック部8Bをロックし、前側ロック部108Aが前側被ロック部8Aをロックする。ゆえに、カバー部材3が部品取出口6を開口しているときに、収納ケース1がフィーダ100から取り外されることがない。
【0041】
この状態で、図1に示すリーダーライタ105はRFIDタグ5との情報のやり取りが可能となる。なお、RFIDタグ5は情報タグ収容部9の内部に配置されているので、運搬時などにおいても剥がれにくく、また破損しにくい。リーダーライタ105は、RFIDタグ5に設けられた情報を読み取り後、本ケースに収容された電子部品の情報をフィーダ100の制御部等に伝える。
【0042】
図6は、図1のX-X方向の断面図で、複数の収納ケース1A,1B,1C,1Dが並べてフィーダ100に配置された場合を示す図である。
この場合、収納ケース1Aに取り付けられたRFIDタグ5Aは、収納ケース1Aが配置されるフィーダ100Aに取り付けられたリーダーライタ105Aとのみ、情報のやり取りを行うことが好ましい。
すなわち、RFIDタグ5Aは、自身が取り付けられている収納ケース1Aが配置されたフィーダ100A以外の、他のフィーダ100B,100C、100Dに取り付けられたリーダーライタ105B,105C,105Dと情報のやり取りが行われることは好ましくない。
【0043】
実施形態において第1側壁部21と第2側壁部22との一方の側壁部である第2側壁部22は、導電性材料で製造され、電波シールド性能を有している。したがって、複数の収納ケース1A,1B,1C,1Dが並べてフィーダ100に配置された場合であっても、収納ケース1Aに取り付けられたRFIDタグ5Aは、リーダーライタ105A以外のリーダーライタからの情報の読み取りまたは書き込みが防止される。
【0044】
そして、電子部品50は、傾斜面7aに沿って滑り落ち、部品取出口6から放出される。このとき、傾斜面7aの角度によって電子部品50の単位時間当たりの流出個数を制御できるので、電子部品50の供給速度をコントロール可能である。
放出された電子部品50は、フィーダ100に設けられた搬送部(図示せず)によって、所定の場所に搬送される。
実施形態と異なり、電子部品50が自重によって鉛直方向に落下する場合は、一気に落下するので、部品取出口6において電子部品50が詰まる可能性がある。
しかし、実施形態では電子部品50の単位時間当たりの流出個数を制御できるので、内部に収納されている電子部品50の個数によらず、電子部品50が部品取出口6において詰まりにくく、且つ一気に流れ出ることがない。
【0045】
また、電子部品50の最も薄い方向の厚みは、例えば90μm~700μmであり案内溝62の幅とカバー部材3の厚みとの差である50μm~80μmより大きいので、電子部品50が放出される際に、案内溝62とカバー部材3との隙間に入り込むことがない。なお、電子部品50の長手方向長さとしては180μm~330μmの大きさを備えることがより好ましい。
【0046】
実施形態では、部品取出口6が開いたときの下縁部6aの位置は、底壁部2Dのフィーダ100側の底面から鉛直方向上側に、所定距離d、離隔している。したがって、流出した電子部品50が、落下先のフィーダ100上の図示しない搬送部から部品取出口6に逆流することがない。
【0047】
部品取出口6が開いているとき、図2に示すように少なくとも部品取出口6の下縁部6aはカバー部材3の開口部3aの下縁部より上側にある。ゆえに、電子部品50が流出する際に、カバー部材3の開口部3aの下縁部に引っかかって、流出が妨げられることがない。
【0048】
実施形態の収納ケース1には把持部10が設けられているので、自動ロボットアームなどを用いてフィーダ100にセットすることができる。
【0049】
ケース本体2はRFIDタグ5を備え、フィーダ100側には、リーダーライタ105が取り付けられているので、リーダーライタ105によって、RFIDタグ5の情報を読み取ることができる。ゆえに、収納ケース1内の電子部品50の管理が容易である。
【0050】
(変形形態)
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、これに限定されず、種々の変更が可能である。
【0051】
(1)例えば、実施形態では、T字スロット部13が、第1装着凹部101がフィーダ100に設けられているが、これに限定されず、T字スロット部がフィーダ、第1凹部が収納ケースに設けられていてもよい。
また、被ロック部8が収納ケース1、ロック部108がフィーダ100に設けられているが、これに限定されず、被ロック部がフィーダ100、ロック部が収納ケース1に設けられていてもよい。
【0052】
(2)フィーダ100に別途、収納ケース1を振動させる振動装置を設けてもよい。この場合、電子部品50の放出速度が低下した場合などにおいて振動装置により収納ケース1を振動させて放出速度を向上させることができる。
【0053】
(3)実施形態で傾斜面7aは平面としたが、これに限定されず、曲面などであってもよい。この場合、上下前後の断面において曲線であってもよく、上下左右の断面において曲線であってもよ。また、上下前後の断面及び上下左右の断面において傾きの異なる直線の組み合わせであってもよい。さらにこれらの曲線と直線との組み合わせであってもよい。
【0054】
(4)ロック部と被ロック部の構造は、実施形態のような構造に限定されない。部品取出口6が開いているときに、収納ケース1のフィーダ100から取り外しが規制される構造であれば、他の構造であってもよい。
【0055】
(5)また、RFIDタグ5は、情報タグ収容部9以外の箇所に配置されてもよい。
【符号の説明】
【0056】
S 収納空間
1 収納ケース
2 ケース本体
5 RFIDタグ
6 部品取出口
7a 傾斜面
9 情報タグ収容部
10 把持部
21 第1側壁部
22 第2側壁部
50 電子部品
100 フィーダ
105 リーダーライタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6