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  • 特開-加熱被覆を有するエアロゾル発生装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052830
(43)【公開日】2024-04-12
(54)【発明の名称】加熱被覆を有するエアロゾル発生装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/46 20200101AFI20240405BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20240405BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/20
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024026161
(22)【出願日】2024-02-26
(62)【分割の表示】P 2021517531の分割
【原出願日】2019-06-13
(31)【優先権主張番号】18177756.6
(32)【優先日】2018-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ファン ランケル ピーテル
(72)【発明者】
【氏名】ファンクレイネスト ルイ-フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】デスナーク シモン
(57)【要約】
【課題】本発明は、吸入可能なエアロゾルを発生するためのエアロゾル発生装置に関する。
【解決手段】装置は、エアロゾル発生基体を含有するエアロゾル発生物品(12)を受容するように構成された加熱チャンバ(10)を備える。加熱チャンバ(10)は発熱体を備える。発熱体は電気抵抗性被覆(16)である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入可能なエアロゾルを発生するためのエアロゾル発生装置であって、エアロゾル発生基体を含有するエアロゾル発生物品を受容するように構成された加熱チャンバを備え、前記加熱チャンバが発熱体を備え、かつ前記発熱体が電気抵抗性被覆である、エアロゾル発生装置。
【請求項2】
前記電気抵抗性被覆が前記加熱チャンバの前記側壁に施されている、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項3】
前記電気抵抗性被覆が電気抵抗性粒子および結合剤を含む、請求項1または請求項2に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項4】
基材が前記電気抵抗性被覆と前記加熱チャンバの間に配設されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項5】
前記基材が断熱性である、請求項4に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項6】
前記装置が、コントローラと、電源と、接点とをさらに備え、前記接点が、前記電気抵抗性被覆に電気的に接触し、かつ前記コントローラが、前記接点を介する前記電源から前記電気抵抗性被覆への前記電力の供給を制御するように構成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項7】
前記電気抵抗性被覆が、前記加熱チャンバの前記側壁全体に施されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項8】
前記電気抵抗性被覆が、前記加熱チャンバの前記開口に隣接した前記加熱チャンバの側壁のセクションに施されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項9】
前記電気抵抗性被覆が前記加熱チャンバの複数の別個のセクションに施されていて、かつ前記電気抵抗性被覆の各セクションが別個に制御可能かつ動作可能であるように構成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項10】
前記電気抵抗性被覆の厚さが、異なる位置にて変化しているように構成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項11】
前記電気抵抗性被覆が前記加熱チャンバの前記側壁の外側に施されていて、かつ前記側壁が熱伝導性であるように構成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項12】
前記加熱チャンバの前記基部が半球体の形状を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項13】
吸入可能なエアロゾルを発生するためのエアロゾル発生装置を製造する方法であって、
i)エアロゾル発生基体を含有するエアロゾル発生物品を受容するように構成された加熱チャンバを提供する工程と、
ii)発熱体として作用する電気抵抗性被覆を用いて前記加熱チャンバを被覆する工程と、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸入可能なエアロゾルを発生するためのエアロゾル発生装置に関する。たばこなどのエアロゾル発生基体を加熱するが燃焼しないエアロゾル発生装置が周知である。これらの装置は、ユーザーによる吸入のためのエアロゾルを作るために十分に高い温度までエアロゾル発生基体を加熱する。
【背景技術】
【0002】
これらのエアロゾル発生装置は典型的に加熱チャンバを備え、比較的に複雑な発熱体が加熱チャンバ内に配設されているか、または加熱チャンバを包囲する。エアロゾル発生基体を備えるエアロゾル発生物品を、加熱チャンバの中に挿入することができ、また発熱体によって加熱することができる。発熱体は典型的に加熱ブレードとして構成されていて、またエアロゾル発生物品が加熱チャンバの中に挿入された時に、エアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体の中に貫通される。従来の発熱体は主として、エアロゾル発生基体の中心を加熱する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
結果として、安価でかつ均一な加熱を可能にする発熱体を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
これを解決するために、およびさらなる目的のために、本発明は吸入可能なエアロゾルを発生するためのエアロゾル発生装置を提案する。装置は、エアロゾル発生基体を含有するエアロゾル発生物品を受容するように構成された加熱チャンバを備える。加熱チャンバは発熱体を備える。発熱体は電気抵抗性被覆である。
【0005】
電気抵抗性被覆として発熱体を構成することは、複数の利点を有する。被覆は、挿入されたエアロゾル発生物品の比較的に大きい区域を加熱しうるため、より均一な熱分布を達成することができる。ヒーターがわずかにより低い温度で動作されてもよいため、より均一な熱分布はまた、加熱のエネルギー効率がより高い場合があるという効果を有する。
【0006】
発熱体が電気抵抗性被覆として構成されている時、発熱体の可能性のある形状は多様であってもよい。それ故に、発熱体の形状は、例えば円筒または円錐などの単一の方向に曲げられた形状などの従来のヒーター形状に限定されない。電気抵抗性被覆を用いると、不規則な形状(例えば、ドーム形状の表面、放物形状の表面、または不規則な形状の表面)が可能である。
【0007】
従来のコイル形状ヒーターは、電磁干渉を起こす可能性がある電磁場を誘起する場合がある。電磁干渉は、電磁場を遮蔽して遮断するための金属材料の追加的な層を必要とする。本発明において、電気抵抗性被覆が電磁干渉を生じさせる電磁場を発生しないという事実に起因して、こうしたさらなる構成要素は必要ない。
【0008】
電気抵抗性被覆(またはフィルム)は、大気圧化学蒸着(APCVD)、真空蒸発、スパッタリング、従来型CVD、プラズマCVD、または火炎熱分解によって形成されてもよい。別の方法として、材料は、湿式噴霧、粉末被覆、または浸漬被覆などのその他の従来の被覆方法を使用して施されてもよい。一部の実施形態において、被覆は粉末焼結によって施されてもよい。選ばれた材料組成物と被覆を施す方法とに応じて、被覆は乾燥、硬化、または固定の工程を必要とする場合がある。
【0009】
電気抵抗性被覆は、加熱チャンバの側壁に、特に加熱チャンバの内側に面する側壁の内壁に施されてもよい。
【0010】
加熱チャンバの側壁上に提供されている被覆は、加熱チャンバの中に挿入されたエアロゾル発生物品中に含有されたエアロゾル発生基体の直接的な加熱を可能にする場合がある。加熱チャンバの側壁は、加熱チャンバの基部だけでなく、加熱チャンバの長軸方向軸を包囲する壁を備えることが好ましい。加熱チャンバは、エアロゾル発生物品を挿入するための開口を備え、これは側壁の一部を形成しない。加熱チャンバは、従来の紙巻たばこに似ている円筒形状を有するエアロゾル発生物品を挿入するための中空の管状形状を有してもよい。物品を挿入するための加熱チャンバの開口は円形状であってもよい。
【0011】
加熱チャンバの中の中央に配設された加熱ブレードなどのさらなる発熱体に加えて、電気抵抗性被覆が提供されてもよい。次に、エアロゾル発生基体は、内側からだけでなく、外側からも均一に加熱される場合がある。
【0012】
電気抵抗性被覆は、電気抵抗性粒子および結合剤を含んでもよい。
【0013】
抵抗性粒子は、被覆に抵抗加熱特性を提供する。適切な電気抵抗性の材料には例えば、ドープされたセラミックなどの半導体、導電性のセラミック(例えば、二ケイ化モリブデンなど)、炭素、黒鉛、金属、金属合金、セラミック材料製・金属材料製の複合材料が挙げられるが、これらに限定されない。こうした複合材料は、ドープされたセラミックまたはドープされていないセラミックを含んでもよい。適切なドープされたセラミックの例としては、ドープ炭化ケイ素が挙げられる。適切な金属の例としては、チタン、ジルコニウム、タンタル、および白金族の金属が挙げられる。適切な金属合金の例としては、ステンレス鋼、ニッケル含有、コバルト含有、クロム含有、アルミニウム含有、チタン含有、ジルコニウム含有、ハフニウム含有、ニオビウム含有、モリブデン含有、タンタル含有、タングステン含有、スズ含有、ガリウム含有、マンガン含有、および鉄含有合金、ならびにニッケル系、鉄系、コバルト系、ステンレス鋼系の超合金、Timetal、ならびに鉄-マンガン-アルミニウム系合金が挙げられる。複合材料において、電気抵抗性材料は随意に、必要とされるエネルギー伝達の動態学および外部の物理化学的特性に応じて、断熱材料中に包埋、断熱材料中に封入、もしくは断熱材料で被覆されてもよく、またはその逆も可である。
【0014】
別の実施形態において、電気抵抗性被覆材料は、酸化スズ、または塩化スズ、メチルアルコール、H2O、およびドーパントDFE(ジフルオロエタン(DFE)および五塩化アンチモニーなど)などの独立した前駆体から作り出されるドープされた酸化スズなどの、しかしこれに限定されない分子結合された材料の薄膜から成る。
【0015】
結合剤は抵抗性材料粒子を結合させ、また結合剤はポリマー、セラミック材料、またはエナメルフリットでありうる。適切なポリマーとしては、フルオロポリマー、アクリル、およびアクリレートが挙げられるがこれらに限定されない。
【0016】
結合剤は、加熱チャンバの側壁に接着するように構成されてもよい。結合剤は、電気抵抗性被覆がエアロゾル発生物品の挿入中および取り外し中、およびエアロゾル発生装置の動作中に損傷されないように、機械的損傷に対し耐性のある材料として構成されてもよい。
【0017】
基材は、電気抵抗性被覆と加熱チャンバの間に配設されてもよい。
【0018】
被覆材料が施されている基材は、電気抵抗性被覆の動作温度に耐えるように構成されてもよく、また好ましくは導電性ではない。適切な材料としては、セラミック材料、酸化ベリリウム(BeO)、ガラスセラミック、ガラス系材料、窒化アルミニウム、石英、およびほうろう加工した金属が挙げられるがこれらに限定されない。基材は、電気抵抗性被覆と加熱チャンバの側壁の間の結合を最適化する場合がある。
【0019】
基材は断熱性であるように構成されてもよい。基材のために断熱材料を使用することは、加熱チャンバの側壁を通した熱伝達を抑止し、かつ発生した熱を加熱チャンバの内側、従って挿入されたエアロゾル発生物品に向かって方向付ける。これは装置のエネルギー効率および性能を高める。
【0020】
装置は、コントローラ、電源、および接点をさらに備えてもよく、接点は電気抵抗性被覆に電気的に接触し、またコントローラは接点を介する電源から電気抵抗性被覆への電力の供給を制御するように構成されてもよい。
【0021】
電源は電池として構成されていることが好ましい。接点は、電気抵抗性被覆に供給された電力が被覆を通して均一に通り抜け、これによって被覆の表面にわたって均一な熱分布を作り出すように、電気抵抗性被覆の両端にて相互から距離を置いて配設されていることが好ましい。一つの接点は、加熱チャンバの側壁の基部に配設されてもよく、一方で第二の接点は、加熱チャンバの側壁の半径方向の周囲に配設されたリングの形状であってもよい。言い換えれば、一方の接点は加熱チャンバの基部に配設されてもよく、一方でもう一方の接点は加熱チャンバの開口の近くに配設されてもよい。
【0022】
電気抵抗性被覆は、加熱チャンバの側壁全体に施されてもよい。加熱チャンバの側壁全体に被覆を施すことは、加熱チャンバの中に挿入されたエアロゾル発生物品の均一な加熱を容易にする場合がある。
【0023】
電気抵抗性被覆は、加熱チャンバの開口に隣接した加熱チャンバの側壁のセクションに施されてもよい。
【0024】
この実施形態において、電気抵抗性被覆は、加熱チャンバの基部にて提供されていない。それ故に、エアロゾル発生物品は主として、加熱チャンバの開口に隣接して加熱される。これは、加熱チャンバの基部近くでエアロゾル発生物品から漏れ出る残留物がより少ないという有益な効果を有する。それ故に、エアロゾル発生物品を取り外した後の加熱チャンバの汚染を低減することができる。これに関して、典型的なエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生物品の外周の周りに配設された外側ラッパーを備え、その一方で加熱チャンバの中へのエアロゾル発生物品の挿入中および挿入後の加熱チャンバの基部に面するエアロゾル発生物品の部分は、ラッパーによって覆われていない。それ故に、エアロゾル発生基体の残留物は主として、物品のこの部分を通してエアロゾル発生物品を出る。加熱チャンバの基部に電気抵抗性被覆を提供しないことによって、この区域での基体の加熱は低減され、これによって加熱チャンバの基部に隣接する物品から固体または気体状の形態で基体が出ていくことが低減される。それ故に、加熱チャンバの汚染は効率的に低減される可能性がある。
【0025】
電気抵抗性被覆は、加熱チャンバの複数の分離したセクションに施されてもよく、電気抵抗性被覆の各セクションは、別個に制御可能かつ動作可能となるように構成されてもよい。
【0026】
電気抵抗性被覆の複数のセクションを提供することは、複数の発熱体が作り出されるという効果を有する。これらの複数の発熱体は、加熱チャンバの中に挿入されているエアロゾル発生物品中のエアロゾル発生基体の分離された部分を加熱するために別個に制御されることができる。装置の動作中、例えばユーザーが装置を吸煙している時に、エアロゾル発生基体の第一の部分は、電気抵抗性被覆の第一のセクションを動作させることによってエアロゾル発生のために加熱されることが好ましい。ユーザーの吸煙後、または所定の時間後のエアロゾル発生基体の枯渇後に、電気抵抗性被覆の第二のセクションは起動されてもよく、また第一のセクションは作動停止されてもよい。このようにして、エアロゾル発生基体の複数の部分は、電気抵抗性被覆の後続的に動作する複数のセクションによって、エアロゾル発生のために後続的に加熱されてもよい。電気抵抗性被覆の異なるセクションには結果として、別個の接点が提供されている。また、コントローラは、電気抵抗性被覆の複数のセクションを制御するための複数のコントローラセクションを備えてもよい。
【0027】
電気抵抗性被覆の厚さは、異なる位置にて変化しているように構成されてもよい。
【0028】
異なる位置にて電気抵抗性被覆の厚さを変えることによって、電気抵抗性被覆の異なる位置で異なる電気抵抗が実現される。よって、異なる加熱温度は、電気抵抗性被覆のこれらの異なるセクションまたは位置において同一の電圧を用いて実現される。これは、エアロゾル発生基体の異なる部分を異なるやり方で揮発させるために利用されてもよい。上述の通りの電気抵抗性被覆の複数の独立に制御可能なセクションは、これらの異なるセクションの異なる厚さと組み合わせられてもよい。
【0029】
電気抵抗性被覆は、加熱チャンバの側壁の外側に施されてもよく、側壁は熱伝導性であるように構成されてもよい。
【0030】
この実施形態は、電気抵抗性被覆が壊れやすい、掃除するのが難しい、または有機汚染されやすい場合に、特に有利である。結果として、電気抵抗性被覆は、エアロゾル発生装置のハウジングと加熱チャンバの側壁の間の加熱チャンバの側壁の外表面上に施されてもよい。それ故に、エアロゾル発生装置のハウジングだけでなく、加熱チャンバの側壁も、電気抵抗性被覆が、電気抵抗性被覆を損傷しうるエアロゾル発生物品、エアロゾル発生基体、またはその他の外部要素と接触することを防止する。本発明の文脈において説明したすべての実施形態において、電気抵抗性被覆は、加熱チャンバの内側に面する加熱チャンバの側壁に、または一つ前の実施形態で説明した通りの加熱チャンバの側壁の外側に、直接施されてもよい。被覆は、加熱チャンバの内側に面する側壁の内側に施されているが、加熱チャンバの外側に施されていないことが好ましい。
【0031】
加熱チャンバの基部は半球体の形状を有してもよい。この実施形態において、半球体内の加熱チャンバの基部にて発生した熱エネルギーは、突出した球の中心点に向かって導かれる。よって、この点に位置付けられたエアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体は、エアロゾルを非常に迅速に作り出すために急速に加熱される。この実施形態において、半球体として形作られた加熱チャンバの基部にて提供されたエアロゾル発生被覆は、別個に制御されることができる電気抵抗性被覆のセクションとして提供されてもよい。エアロゾルを非常に迅速に作り出すために、このセクションが始めに動作されてもよく、一方で電気抵抗性被覆のさらなるセクションは、長時間にわたってエアロゾルを作り出すためにより長い期間の間、動作されてもよい。
【0032】
本発明は、吸入可能なエアロゾルを発生するためのエアロゾル発生装置を製造する方法にさらに関し、方法は、
i)エアロゾル発生基体を含有するエアロゾル発生物品を受容するように構成された加熱チャンバを提供する工程と、
ii)発熱体として作用する電気抵抗性被覆を用いて加熱チャンバを被覆する工程と、を含む。
【0033】
以下において添付図面を参照しながら、発明を、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、本発明によるエアロゾル発生装置である。
図2図2は、加熱チャンバの側壁の内側に提供されたエアロゾル発生装置の発熱体、および加熱チャンバの側壁の外側に提供されたエアロゾル発生装置の発熱体の実施形態である。
図3図3は、発熱体の位置付けの実施形態、および発熱体セクションの実施形態である。
図4図4は、半球状の形状を有する加熱チャンバの基部の実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、本発明によるエアロゾル発生装置を示す。装置は加熱チャンバ10を備える。エアロゾル発生物品12は加熱チャンバ10の中に挿入されてもよい。加熱チャンバ10は側壁14を備える。電気抵抗性被覆16は、発熱体を容易にするために加熱チャンバ10の側壁14上に提供されている。
【0036】
電気抵抗性被覆16は、加熱チャンバ10の長軸方向軸に沿って整列されて中央に配設された加熱ピンまたは加熱ブレード、または加熱チャンバ10の周りに配設された加熱コイルなどの、さらなる発熱体に加えて提供されてもよい。しかしながら、電気抵抗性被覆16は、エアロゾル発生物品12中に含有されたエアロゾル発生基体を加熱するためのエアロゾル発生装置の唯一の発熱体であることが好ましい。
【0037】
図1において、電気抵抗性被覆16は、加熱チャンバ10の側壁14の内表面に施されている。それ故に、電気抵抗性被覆16は、加熱チャンバ10の中に挿入されたエアロゾル発生物品12に向かって直接、熱を放射する。
【0038】
図1は、電流が電気抵抗性被覆16に向かって供給され、かつ電気抵抗性被覆16を通り抜けることができるように、電気抵抗性被覆16に電気的に接続されている接点18、20をさらに示す。図1で分かる通り、第一の接点18は加熱チャンバ10の基部に配設されていて、一方で第二の接点20は加熱チャンバ10の開口の近くに配設されている。このようにして、電気抵抗性被覆16を通り抜け、かつ接点18、20によって電気抵抗性被覆16に提供された電流は、電気抵抗性被覆16を通して均一に通り抜ける。第二の電極20は、加熱チャンバ10の開口に隣接したリング形状の電極として提供されていることが好ましい。
【0039】
電気抵抗性被覆16に向かって、かつこれを通して電気エネルギーを供給するために、電源24に接触しているコントローラ22が提供されている。電源24は電池として構成されている。
【0040】
図2は、電気抵抗性被覆16の二つの実施形態を示す。図2Aにおいて、電気抵抗性被覆16は、加熱チャンバ10の側壁14の内表面上に直接、施されている。電気抵抗性被覆16は、電気抵抗性粒子26だけでなく結合剤28も含む。電気抵抗性粒子26は、結合剤28中に包埋されている。それ故に、結合剤28は担体として機能する。
【0041】
図2Bにおいて、電気抵抗性被覆16は、加熱チャンバ10の側壁14の外側に施されている。この実施形態およびその他のすべての実施形態における電気抵抗性被覆16は、図2Aに描写されている通り、すなわち電気抵抗性粒子26および結合剤28から成る電気抵抗性被覆16として構成されてもよい。すべての実施形態において、図2Bに示す通りの単一の材料の層も、電気抵抗性被覆16のために利用されてもよい。図2Bに描写されている通りの、加熱チャンバ10の側壁14の外側の上に電気抵抗性被覆16を提供することは、電気抵抗性被覆16が加熱チャンバ10の側壁14によって汚染または損傷から保護されているという利点を有する。図2Bに示す実施形態において、加熱チャンバ10の側壁14は、エアロゾル発生物品12の挿入によって、電気抵抗性被覆16によって放出された熱が、加熱チャンバ10の内側に、および加熱チャンバ10の中に配設されたエアロゾル発生基体の中に伝達されるように、熱伝導性材料から作製されていることが好ましい。
【0042】
図3は、電気抵抗性被覆16の配設の複数の実施形態を示す。図3Aにおいて、電気抵抗性被覆16は、図1および図2に描写されている通り、加熱チャンバ10の側壁14全体に提供されていない。図3Aに示す実施形態において、電気抵抗性被覆16は、加熱チャンバ10の開口に隣接した加熱チャンバ10のセクションの上にのみ提供されている。この実施形態において、加熱チャンバ10に挿入されたエアロゾル発生物品12は、電気抵抗性被覆16によって均一に加熱されないが、電気抵抗性被覆16の位置付けに応じて選択的に加熱される。図3Aに示す通り、電気抵抗性被覆16は、加熱チャンバ10の開口に隣接して位置付けられたエアロゾル発生物品12の部分を加熱することが好ましい。このようにして、電気抵抗性被覆16の近くのエアロゾル発生基体の加熱が主として加熱される。これによって、加熱チャンバ10の基部に面するエアロゾル発生物品12の部分から漏れ出る、エアロゾル発生基体の残留物による加熱チャンバ10の汚染を低減させることができる。
【0043】
図3Bに示す実施形態において、電気抵抗性被覆16の複数のセクションが提供されていて、これらは個別に、かつ別個に制御可能かつ動作可能である。電気抵抗性被覆16のこれらの異なるセクションは、エアロゾル発生基体の異なるセクションを加熱するために利用することができる。
【0044】
図3Cにおいて、一実施形態が示されていて、この実施形態においては、電気抵抗性被覆16の異なるセクションが提供されていて、これらのセクションの各々は異なる厚さを有する。これらの異なる厚さは、それぞれのセクションの異なる電気抵抗をもたらし、従って異なる加熱温度をもたらす。図3Cに描写されたセクションは、別個に制御可能かつ操作可能であってもよく、または単一の被覆層として構成されてもよい。
【0045】
図4は、加熱チャンバ10の基部が半球体として形成されている、加熱チャンバ10の実施形態を示す。結果として、半球体の区域に施された電気抵抗性被覆16は、半球形状を有する。この区域で被覆から放出された熱はそれ故に、エアロゾル発生物品12の中心点に合焦され、これによってエアロゾル発生物品12のエアロゾル発生基体のこの部分における急速な加熱およびエアロゾル発生をもたらす。
図1
図2
図3
図4