(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052832
(43)【公開日】2024-04-12
(54)【発明の名称】有機性廃棄物処理装置
(51)【国際特許分類】
B09B 3/45 20220101AFI20240405BHJP
B01J 3/00 20060101ALI20240405BHJP
B01J 3/02 20060101ALI20240405BHJP
B01J 3/04 20060101ALI20240405BHJP
B01F 33/71 20220101ALI20240405BHJP
B01F 27/112 20220101ALI20240405BHJP
B01F 27/191 20220101ALI20240405BHJP
B01F 35/45 20220101ALI20240405BHJP
B01F 35/75 20220101ALI20240405BHJP
B01F 35/43 20220101ALI20240405BHJP
B01F 35/214 20220101ALI20240405BHJP
B01F 35/213 20220101ALI20240405BHJP
B01F 35/71 20220101ALI20240405BHJP
B01F 27/70 20220101ALI20240405BHJP
B01F 101/25 20220101ALN20240405BHJP
【FI】
B09B3/45 ZAB
B01J3/00 A
B01J3/02 B
B01J3/02 E
B01J3/04 G
B01F33/71
B01F27/112
B01F27/191
B01F35/45
B01F35/75
B01F35/43
B01F35/214
B01F35/213
B01F35/71
B01F27/70
B01F101:25
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024026180
(22)【出願日】2024-02-26
(62)【分割の表示】P 2023551159の分割
【原出願日】2023-04-12
(31)【優先権主張番号】P 2022069416
(32)【優先日】2022-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】519190274
【氏名又は名称】株式会社ジェイアンドダブルトレーディング
(74)【代理人】
【識別番号】110000464
【氏名又は名称】弁理士法人いしい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀧野 嘉明
(72)【発明者】
【氏名】武田 邦義
(72)【発明者】
【氏名】塩島 星紀
(72)【発明者】
【氏名】太田 直之
(57)【要約】
【課題】有機性廃棄物処理装置において未処理の処理物を低減する。
【解決手段】有機性廃棄物処理装置は、処理物を収容する反応容器1と、反応容器1の底部に設けられた排出側開口部114を開閉する開閉蓋141と、反応容器1内の処理物を撹拌する撹拌装置とを備えている。開閉蓋141は、閉じた状態で排出側開口部114を塞ぐとともに反応容器1の容器内部空間111に露出する蓋上面部141aが反応容器1の容器内壁面11aに近接して設けられる。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理物を収容する反応容器と、
前記反応容器の底部に設けられた排出側開口部を開閉する開閉蓋と、
前記反応容器内の処理物を撹拌する撹拌装置と、を備え、
前記開閉蓋は、閉じた状態で前記排出側開口部を塞ぐとともに前記反応容器の容器内部空間に露出する蓋上面部が前記反応容器の容器内壁面に近接して設けられる、
有機性廃棄物処理装置。
【請求項2】
前記排出側開口部の周囲の前記容器内壁面は凹状に湾曲しており、
前記蓋上面部は前記容器内壁面に沿って凹状に湾曲している、
請求項1に記載の有機性廃棄物処理装置。
【請求項3】
前記排出側開口部の周囲の前記容器内壁面は略凹球面状であり、
前記蓋上面部は略凹球面状に湾曲している、
請求項1に記載の有機性廃棄物処理装置。
【請求項4】
前記開閉蓋は、前記排出側開口部に取り付いた筒状の蓋本体と、前記蓋本体に嵌り込む蓋凸部を有する蓋体とを備え、
前記蓋本体の内周面は前記容器内部空間側が狭いテーパ状に形成され、
前記蓋凸部の外周面は前記蓋本体の内周面に沿ったテーパ状に形成されている、
請求項1~3のいずれか一項に記載の有機性廃棄物処理装置。
【請求項5】
前記反応容器に接続された排出管に、前記反応容器の内部空間を減圧する吸引機構が接続され、
処理物を収容した前記反応容器の内部空間を飽和水蒸気によって亜臨界状態にし、処理物を前記撹拌装置によって撹拌しながら加水分解した後、前記開閉蓋を開く前に、前記吸引機構によって前記内部空間内の蒸気を吸引して前記内部空間を外気圧に近づけるように構成している、
請求項1に記載の有機性廃棄物処理装置。
【請求項6】
前記反応容器を支持する架台を備え、
前記反応容器は、前記架台にロードセルを介して支持されている、
請求項1に記載の有機性廃棄物処理装置。
【請求項7】
前記反応容器と前記ロードセルとの間に、平面視で前記排出口を囲う枠状金属部材が介している、
請求項6に記載の有機性廃棄物処理装置。
【請求項8】
前記反応容器に、液状廃棄物を投入するための投入管が接続されている、
請求項1に記載の有機性廃棄物処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機性廃棄物処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機性廃棄物の処理技術として、従来の焼却炉による焼却処理や地中への埋設処分に代わるものとして、高温・高圧飽和水蒸気により亜臨界状態で廃棄物を加水分解して処理する装置が注目されている(例えば特許文献1を参照)。
【0003】
この種の有機性廃棄物処理装置では、処理物を密閉可能な反応容器に投入した後、反応容器内を亜臨界状態にして処理物を撹拌しながら加水分解する。処理後の生成物は反応容器の底部に設けられた排出側開口部を介して取り出される。
【0004】
従来の有機性廃棄物処理装置では、反応容器の排出側開口部に接続した排出口を開閉する開閉弁が設けられる。しかしながら、開閉弁の弁体と反応容器の内部空間との間に処理物を撹拌できない空間が生じ、当該撹拌できない空間に処理物の一部が撹拌されずに留まることから、処理後の生成物に処理が不完全な処理物が混ざるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記現状を改善すべく成されたものであり、有機性廃棄物処理装置において未処理の処理物を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の有機性廃棄物処理装置は、処理物を収容する反応容器と、前記反応容器の底部に設けられた排出側開口部を開閉する開閉蓋と、前記反応容器内の処理物を撹拌する撹拌装置と、を備え、前記開閉蓋は、閉じた状態で前記排出側開口部を塞ぐとともに前記反応容器の容器内部空間に露出する蓋上面部が前記反応容器の容器内壁面に近接して設けられるものである。
【0008】
前記排出側開口部の周囲の前記容器内壁面は凹状に湾曲しており、前記蓋上面部は前記容器内壁面に沿って凹状に湾曲しているようにしてもよい。
【0009】
前記排出側開口部の周囲の前記容器内壁面は略凹球面状であり、前記蓋上面部は略凹球面状に湾曲しているようにしてもよい。
【0010】
前記開閉蓋は、前記排出側開口部に取り付いた筒状の蓋本体と、前記蓋本体に嵌り込む蓋凸部を有する蓋体とを備え、前記蓋本体の内周面は前記容器内部空間側が狭いテーパ状に形成され、前記蓋凸部の外周面は前記蓋本体の内周面に沿ったテーパ状に形成されているようにしてもよい。
【0011】
前記反応容器に接続された排出管に、前記反応容器の内部空間を減圧する吸引機構が接続され、処理物を収容した前記反応容器の内部空間を飽和水蒸気によって亜臨界状態にし、処理物を前記撹拌装置によって撹拌しながら加水分解した後、前記開閉蓋を開く前に、前記吸引機構によって前記内部空間内の蒸気を吸引して前記内部空間を外気圧に近づけるように構成しているようにしてもよい。
【0012】
前記反応容器を支持する架台を備え、前記反応容器は、前記架台にロードセルを介して支持されているようにしてもよい。
【0013】
さらに、前記反応容器と前記ロードセルとの間に、平面視で前記排出口を囲う枠状金属部材が介しているようにしてもよい。
【0014】
前記反応容器に、液状廃棄物を投入するための投入管が接続されているようにしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の有機性廃棄物処理装置は、未処理の処理物を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】有機性廃棄物処理装置の一実施形態を示す概略的な正面図である。
【
図7】同実施形態の反応容器を拡大して示す概略的な正面図である。
【
図8】同実施形態の反応容器を拡大して示す概略的な背面図である。
【
図9】同実施形態の反応容器を拡大して示す概略的な右側面図である。
【
図10】同実施形態の反応容器を拡大して示す概略的な左側面図である。
【
図11】反応容器の下部及び架台を拡大して示す正面断面図である。
【
図12】容器本体の下部を横断面で示す斜視図である。
【
図13】架台への反応容器の載置構成を説明するための分解後方斜視図である。
【
図14】配管部を架台上部とともに示す後方斜視図である。
【
図15】他の実施形態における架台への反応容器の載置構成を説明するための分解後方斜視図である。
【
図16】同実施形態の容器本体の下部を拡大して示す正面図である。
【
図17】他の実施形態の容器上部を示す模式的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の有機性廃棄物処理装置の実施形態について図面に基づいて説明する。以下の説明では、方向を特定するために「前後」「左右」等の文言を使用するが、撹拌装置の回転軸が延びる方向を左右方向とし、左右方向及び鉛直方向に直交する方向を前後方向と定義している。これらの文言は説明の便宜上用いており、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0018】
[全体の概略構成]
図1~6は、有機性廃棄物処理装置の一実施形態を示す概略的な正面図、背面図、右側面図、左側面図、平面図、底面図である。
図7~10は、架台を断面で示すとともに反応容器1を拡大して示す概略的な正面図、背面図、右側面図、左側面図である。
【0019】
有機性廃棄物処理装置100は、処理物を収容する反応容器1と、反応容器1の容器本体11の底部に設けられた排出側開口部114を開閉する排出側の開閉蓋141と、反応容器1内の処理物を撹拌する撹拌装置2を備えている。有機性廃棄物処理装置100は、有機性廃棄物などの処理物を密閉可能な反応容器1に投入した後、反応容器1内を蒸気抽入管12から抽入される高温・高圧の飽和水蒸気にて亜臨界状態にし、処理物を撹拌装置2によって撹拌しながら加水分解する。処理後の生成物は反応容器1の底部に設けられた排出側開口部114から取り出される。
【0020】
反応容器1の容器本体11は、例えばステンレス鋼であり、略球状体に形成され、処理物を収容可能になっている。容器本体11の容器内部空間111(
図11,12参照)は略球形である。反応容器1はステンレス鋼等の金属で形成され、例えば5MPa(メガパスカル)程度までの耐圧性能を有している。反応容器1は架台4に設置されている。
【0021】
容器本体11の上部に、容器内部空間111へ処理物を投入可能な投入部13が設けられている。投入部13は、容器本体11の上部に開口した円形の投入口112に接続された上下開口の投入筒131と、投入筒131の上端を密閉可能に塞ぐ投入側の開閉蓋132とを備えている。
【0022】
容器本体11の底部に、処理後の生成物を容器内部空間111から取出し可能な排出部14が設けられている。排出部14は、容器本体11の底部に開口した円形の排出側開口部114を密閉可能に塞ぐ排出側の開閉蓋141を備えている。排出側開口部114は容器本体11の底頂部に形成されているので、処理後の生成物を排出側開口部114に設けた排出口148(
図11,12参照)から重力で排出可能になっている。
【0023】
容器本体11の上部に、容器内部空間111に高温・高圧の飽和水蒸気を抽入するための蒸気抽入管12が接続されている。反応容器1の投入筒131の側面に、蒸気排出管15、安全弁接続管16、エア排出管17、圧力計接続管18、温度計接続管19が接続されている。管12,15,16,17には配管部7に設けられたパイプが接続される。圧力計接続管18には容器内部空間111の圧力を測定するための圧力計(図示省略)が接続される。温度計接続管19には容器内部空間111の温度を測定するための温度計(図示省略)が接続される。
【0024】
撹拌装置2は、容器本体11を水平に挿通する回転軸21と、回転軸21を回転させるための原動機22と、原動機22の動力を回転軸21に伝達する動力伝達機構23とを備えている。回転軸21にアーム24を介して撹拌羽根25が取り付けられている。撹拌装置2は、容器内部空間111内で撹拌羽根25を回転軸21回りに回転させて、容器内部空間111に収容された処理物を撹拌する。
【0025】
[排出部及び開閉蓋の構成]
図11は、反応容器1の下部及び架台4を拡大して示す正面断面図である。
図12は、容器本体11の下部を横断面で示す、左斜め後ろから見た斜視図である。
図11,12も参照しながら、排出部14の構成について説明する。
【0026】
上述のように、反応容器1には、容器本体11の底部に設けられた排出側開口部114を開閉する開閉蓋141が設けられている。開閉蓋141は、いわゆるクラッチドアと呼ばれる密閉蓋であり、排出側開口部114に取り付いた略円筒状の蓋本体142と、蓋本体142に嵌り込む蓋凸部143を有する蓋体144と、蓋本体142と蓋体144とを連結するリング体145とを備えている。蓋本体142、蓋体144及びリング体145は金属製である。
【0027】
蓋本体142は、略円筒形であり、容器本体11の外側に突出するようにして容器本体11に溶接等で固着している。蓋本体142の上端部は排出側開口部114に嵌り込んでいる。蓋本体142の内周面142bは容器内部空間111側が狭いテーパ状に形成されている。蓋本体142の開口部は容器本体11の内部と外部とを連通し、排出口148を形成している。
【0028】
蓋体144は、蓋本体142に嵌り込む略円錐台形の蓋凸部143と、蓋凸部143よりも大径で略円盤形の鍔状部146とを有している。蓋凸部143の外周面143bは蓋本体142の内周面142bに沿ったテーパ状に形成されている。
【0029】
リング体145は、蓋本体142及び蓋体144の外形よりも大きい内径をもつ略円筒形である。リング体145は、その内周面の上端部から内向きに突出した複数の本体側突起部145aと、その内周面の下端部から内向きに突出した複数の蓋側突起部145bとを有する。
【0030】
開閉蓋141を閉じた状態では、蓋本体142の外周面の下端部から外向きに突出した複数の本体突起部142cと、蓋体144の鍔状部146の外周面から突出した複数の蓋体突起部146aとがリング体145の突起部145a,145bで挟み込まれる。これにより、蓋本体142の下面と蓋体144の鍔状部146の上面とが密着するとともに、蓋本体142の下面に設けたオーリングなどのガスケット142dが押し潰され、開閉蓋141が取り付く排出側開口部114が密閉される。
【0031】
開閉蓋141を開く際にはリング体145を回転させて、蓋側突起部145bを蓋体144の隣り合う蓋体突起部146aの間に位置させる。これにより、蓋体144をリング体145から引き抜き可能な状態となる。
【0032】
図11に示すように、蓋体144は、略水平な回動軸147aを有する蝶番部材147を介して容器本体11の下部外周面に連結している。蓋凸部143の外周面143bは容器内部空間111側が狭いテーパ状に形成されていることから、蝶番部材147の回動軸147aまわりに回動して蓋本体142に嵌り込むことが可能である。したがって、蓋体144の開閉機構を蝶番部材147という単純な構成で形成でき、開閉蓋141の製造コストを低減できる。なお、蓋体144の開閉機構は、蝶番部材に限られず、例えば、蓋凸部143を蓋本体142及びリング体145の中心軸に沿ってまっすぐ引き抜いた後、排出口148の下方位置の外側へ移動させる構成であってもよい。この場合、蓋本体142の内周面142b及び蓋凸部143の外周面143bをテーパ状ではなく蓋本体142の中心軸に対して平行にしてもよい。
【0033】
さて、
図11,12に示すように、開閉蓋141が閉じた状態では、開閉蓋141の蓋上面部141aは排出側開口部114を塞ぐとともに容器内部空間111に露出する。蓋上面部141aは、蓋本体142の本体上面部142aと、蓋凸部143の凸部上面部143aとで形成される。
【0034】
開閉蓋141が閉じた状態で、蓋上面部141aは排出側開口部114に近接配置される。これにより、排出側開口部114の周囲において撹拌装置2による処理物の撹拌時に処理物が留まる空間を無くすことができ、未処理の処理物を低減することができる。本実施形態では、蓋上面部141aの外周縁部(ここでは蓋本体142の上端部)と排出側開口部114の開口上端部との間に段差が形成されていない。また、蓋上面部141aにおいて、蓋上面部141aの内周縁部と凸部上面部143aの外周縁部との間に段差が形成されていない。これにより、処理物の撹拌時に処理物が留まる空間を確実になくすことができる。
【0035】
また、蓋上面部141aは排出側開口部114周囲の略凹球面状の容器内壁面11aに沿って略凹球面状に湾曲している。これにより、撹拌装置2の駆動時に蓋上面部141a上を通過する撹拌羽根25を容器本体11の容器内壁面11aに近接させて回転させても撹拌羽根25と蓋上面部141aとの接触を防止でき、撹拌効率を向上できる。なお、蓋上面部141aは、撹拌羽根25の回転を阻害しない程度に、容器内壁面11aの球面形状に対して上方側(容器本体11の中心側)に位置していても構わない。例えば、蓋上面部141aは、容器内壁面11aの球面形状よりも大径の球面形状に沿って形成されても構わない。
【0036】
また、蓋上面部141aは、処理物の撹拌時に処理物が留まらない程度に、容器内壁面11aの球面形状に対して下方側(容器本体11の中心から離れる側)に位置していても構わない。例えば、蓋上面部141aは、容器内壁面11aの球面形状よりも小径の球面形状に沿って形成されることで、容器内壁面11aの球面形状に対して下方側に位置していても構わない。また、蓋上面部141aの外周縁部が排出側開口部114の開口上端部よりも少し下方に位置し、蓋上面部141aと容器内壁面11aとの間に処理物の撹拌時に処理物が留まらない程度の段差が形成されていても構わない。当該段差は例えば溶接しろとして利用できる。また、容器本体11と蓋本体142とが一体成形されたものであっても構わない。
【0037】
また、排出側開口部114の開口径と同寸の内径を有する蓋本体142の上端面を排出側開口部114の周囲の容器本体11外壁に対峙して配置し、蓋体144の凸部上面部143aが排出側開口部114の開口全体を塞ぐ構成であっても構わない。この場合、排出側開口部114が排出口を構成し、蓋上面部141aは凸部上面部143aのみで構成される。
【0038】
また、蓋上面部141aの凹形状は、撹拌羽根25が接触しない凹形状であれば、略凹球面状でなくてもよい。例えば、容器本体11が横向き筒状である場合には、開閉蓋141の蓋上面部141aは容器本体11の容器内壁面に沿って凹状に湾曲させることができる。
【0039】
[架台の構成]
図13は、架台4への反応容器1の載置構成を説明するための後方斜視図である。
図14は、配管部7を架台4上部とともに示す後方斜視図である。
図12,13も参照しながら架台4について説明する。
【0040】
架台4は、装置設置面Fに立設した4本の支柱40を備えている。4本の支柱40それぞれは、強軸を左右方向に沿わせたH形鋼で形成され、前後左右方向に沿った長方形の角に配置されている。左右に並ぶ支柱40の中途部同士の間に、左右方向に延びる第1梁部材41が横架している。前後の第1梁部材41の中途部同士の間に、前後方向に延びる左右一対の第2梁部材42が左右に間隔を空けて横架している。左右の第2梁部材42の中途部同士の間に、左右方向に延びる前後一対の第3梁部材43が前後方向に間隔を空けて横架している。梁部材41,42,43は支柱40と同じサイズ(断面積)のH形鋼で形成されている。
【0041】
前後に並ぶ支柱40の中途部同士の間に、前後方向に延びる第4梁部材44が横架している。第4梁部材44は支柱40よりも小さいサイズのH形鋼で形成されている。架台4の左右両側面及び背面には、支柱40の下部と、第1梁部材41又は第4梁部材44の中途部とを連結するブレース50が設けられている。ブレース50はL形アングル鋼で形成されている。架台4の前面にはブレースは設けられておらず、装置設置面Fで作業する作業者が架台4に前面から出入りしやすい構成になっている。
【0042】
第2梁部材42と第3梁部材43で囲まれた四角形の四隅部それぞれに、火打ち梁を形成する第5梁部材45が設けられている。第2梁部材42と第4梁部材44との間に、第3梁部材43の左右延長上で左右方向に延びる前後一対の第6梁部材46が前後方向に間隔を空けて横架している。前側の第1梁部材41と第3梁部材43との間、後側の第1梁部材41と第3梁部材43との間、後側の第1梁部材41と第6梁部材46との間のそれぞれに、前後方向に延びる第7梁部材47が横架している。梁部材45,46,47は第4梁部材44よりも小さいサイズのH形鋼で形成されている。
【0043】
前後の第6梁部材46の間に、前後方向に延びる第8梁部材48が横架している。第8梁部材48は梁部材45,46,47よりも小さいサイズのC形鋼(溝形鋼)で形成されている。後側の3本の第7梁部材47と、梁部材42,44との間に、左右方向に延びる第9梁部材49が横架している。第9梁部材49は前側の第1梁部材41と第6梁部材46との間にも横架している。第9梁部材49は第8梁部材48よりも小さいサイズのL形アングル鋼で形成されている。
【0044】
反応容器1は第2梁部材42と第3梁部材43の交差部に載置される。反応容器1は、容器本体11の外周面の下部に周方向に等間隔に設けた金属製の4つの支持脚20を備えている。第2梁部材42と第3梁部材43の交差部には、第2梁部材42、第3梁部材43及び第5梁部材45に跨って配設した金属製板状の容器載置台61が固着している。反応容器1の支持脚20はロードセル62を介して容器載置台61上に載置される。
【0045】
このように、架台4は、反応容器1の荷重を比較的サイズが大きい鋼材で形成した支柱40及び梁部材41,42,43で受け止める。さらに、反応容器1の載置箇所に火打ち梁を構成する第5梁部材45が設けられるとともに、梁部材42,42,45に跨って固着した容器載置台61の上に反応容器1を載置可能にしている。これにより、架台4は、他の梁部材44,46~49のサイズを比較的小さくしても反応容器1を支持する強度を確保でき、架台4の重量及び製造コストを低減できる。
【0046】
さて、本実施形態の有機性廃棄物処理装置100は、反応容器1の支持脚20と架台4の容器載置台61との間にロードセル62を備えている。ロードセル62は反応容器1に収容した処理物の重さの計測に使用できる。処理を開始する前に反応容器1に収容した処理物の重さが分かれば、例えば、処理物の含水率に応じて処理開始前に反応容器1内に水を足して適度な含水率にするなどして、処理効率を高めることができる。
【0047】
なお、反応容器1の4つの支持脚20それぞれはロードセル62上に載置されるが、
図15及び
図16に示すように、4つの支持脚20とロードセル62との間に排出部14を囲う1つの枠状金属プレート部材68を介在させるようにしても構わない。このような構成によれば、枠状金属プレート部材68が反応容器1の荷重を分散させるので1つのロードセル62に荷重が集中するのを防止でき、反応容器1に収容した処理物の重さの測定精度を向上できる。また、処理時に反応容器1の支持脚20からロードセル62に伝わる熱を枠状金属プレート部材68によって放散でき、熱によるロードセル62の損傷を防止できる。
【0048】
なお、枠状金属プレート部材68の形状は四角枠状に限定されず、枠内に排出口148を位置させながら各ロードセル62の上に跨って配設可能な枠状であればよい。例えば、枠状金属プレート部材68はドーナツ形状(円環状)であってもよい。
【0049】
また、反応容器1と容器載置台61との間にロードセル62を介在させることで、容器本体11と梁部材42,43,45との間の隙間が大きくなる。これにより、処理時に反応容器1の周囲の空気が流動しやすくなり、容器本体11の下部及びロードセル62の冷却性を向上させて、熱によるロードセル62の損傷を防止できる。
【0050】
架台4の説明を続ける。梁部材41~49の上に、反応容器1の載置部を除いて金属製の第1床板材63が敷設される。第1梁部材41及び第4梁部材44の上に複数の第1安全柵64が第1梁部材41又は第4梁部材44に沿って立設されている。
【0051】
隣り合う支柱40の上端部同士の間に、前後方向又は左右方向に延びる第1上梁部材51が架設している。第1上梁部材51は第4梁部材44と同じサイズのH形鋼で形成されている。支柱40の上端に金属製の上端プレート65が接合している。
【0052】
前後の第1上梁部材51の間に、前後方向に延びる4本の第2上梁部材52が横架している。4本の第2上梁部材52は左右方向に間隔を空けて配設されており、左右方向中央部寄りの2本の第2上梁部材52の間に反応容器1の投入部13が配置されている。第2上梁部材52は、第7梁部材47よりもサイズが小さく、第8梁部材48よりもサイズが大きいC形鋼で形成されている。
【0053】
第1上梁部材51と第2上梁部材52の間、および隣り合う第2上梁部材52の間のそれぞれに、複数の第3上梁部材53が前後方向に間隔をあけて横架している。上梁部材51~53の上に、金属製の第2床板材66が敷設される。上梁部材51,52の上に複数の第2安全柵67が上梁部材51又は52に沿って立設されている。
【0054】
4本の第2上梁部材52のうち左右中央寄り2本の第2上梁部材52の間には、反応容器1の投入部13を前後に挟む2本の第3上梁部材53が設けられている。投入部13の後方は配管部7の配設領域となっている。投入部13の周囲には第2床板材66が敷設される一方、配管部7の配設領域には第2床板材66が敷設されていない。
【0055】
上梁部材52,53は、反応容器1の蒸気抽入管12よりも高い位置、かつ蒸気排出管15、安全弁接続管16、エア排出管17、圧力計接続管18及び温度計接続管19よりも低い位置に設けられる。蒸気抽入管12には架台4の2階部(第1床板材63上)からアクセス可能であり、管16~19には3階部(第2床板材66上)からアクセス可能になっている。有機性廃棄物処理装置100は、配管部7の蒸気抽入系と排出系とを上下に振り分けて配置している。
【0056】
なお、反応容器1の投入部13の投入側の開閉蓋132には3階部(第2床板材66上)からアクセス可能であり、排出部14の開閉蓋141に1階部(装置設置面F)からアクセス可能になっている。
【0057】
[配管部の構成]
次に、
図1~10及び14を参照しながら配管部7の構成について説明する。
図9等に示すように、蒸気抽入管12につながる蒸気抽入配管部71は蒸気抽入管12から後方に向けて前後方向に延びて配設される。蒸気抽入配管部71のパイプ端部は架台4の後部に配設され、蒸気ヘッダー81から延びる蒸気供給管82に接続している。蒸気ヘッダー81はボイラー(図示省略)から供給される蒸気を溜めるものである。
【0058】
蒸気抽入配管部71の中途部には、後方側から順に抽入側開閉弁711、抽入流量調整弁712、抽入側セパレーター713、蒸気逆止弁714が設けられている。抽入側開閉弁711及び抽入流量調整弁712の開閉操作機構の図示は省略するが、弁711,712は自動制御可能であってもよいし、手動制御する構成であってもよい。抽入側セパレーター713は蒸気中に含まれる水滴を除去するものである。除去された水滴は抽入側セパレーター713の下部から後方へ向けて前後方向に沿って延びる蒸気水滴ドレン管715を介して排出される。蒸気水滴ドレン管715の中途部には逆止弁716が設けられている。
【0059】
エア排出管17につながるエア排出配管部72はエア排出管17から後方に向けて前後方向に延びて配設される。エア排出配管部72の中途部には、エア排出管17側から順に抽入側ストレーナー721、スチームトラップ722等が設けられている。エア排出配管部72は、蒸気抽入管12から容器内部空間111に蒸気が抽入される際にエア排出管17から排出される気体に含まれる固形成分と水滴を抽入側ストレーナー721とスチームトラップ722で除去して排出する。スチームトラップ722で除去された水滴はスチームトラップ722の下部から後方へ向けて前後方向に沿って延びるエアドレン管723を介して排出される。
【0060】
安全弁接続管16につながる安全弁配管部73は安全弁接続管16から後方に向けて前後方向に延びて配設される。安全弁配管部73は、その中途部に安全弁731を備え、処理中に容器内部空間111が設定圧力以上に上昇したときには安全弁731が作動して容器内部空間111の蒸気を放出して減圧するようになっている。
【0061】
図10等に示すように、蒸気排出管15は反応容器1上部の投入筒131の左側面部に設けられている。蒸気排出管15につながる蒸気排出管部74は、左向きに延出した後、下向きU字形の固形物トラップ741を介して投入筒131の左側方で後向きに延出し、さらに右向きに折り曲がって投入筒131の後方へ導かれる。さらに、蒸気排出管部74は投入筒131近傍位置から後方に向けて前後方向に延びて配設される。
【0062】
下向きU字形の固形物トラップ741は、比較的大きな固形物を排出蒸気から除去可能であり、架台4の2階部(第1床板材63上)からアクセス可能である。固形物トラップ741に溜まった固形物等は、固形物トラップ741の底部に設けたメクラフランジを取り外すことで除去可能である。なお、固形物トラップ741の底部の左右2箇所にメクラフランジを設けても構わない。このようにすれば、固形物トラップ741に溜まった固形物等を除去する際に、左右2箇所のメクラフランジを両方取り外し、一方の開口から冶具を固形物トラップ741の内部に挿通させて他方の開口から固形物等を押し出せるので、メンテナンス性が向上する。なお、固形物トラップ741は投入筒131の後方に配設されても構わない。
【0063】
蒸気排出管部74は、投入筒131の後方から主排出管部742と非常排出管部747とに分岐している。主排出管部742と非常排出管部747はともに前後方向に延びて配設されている。なお、蒸気排出管部74に真空ポンプ(吸引機構)を接続し、処理物の投入後で蒸気抽入前に真空ポンプにて容器内部空間111を減圧して抽入効率を向上させても構わない。また、処理後に後述する排出側開閉弁744を開いて蒸気排出が進み、容器内部空間111の圧力が外気圧とほぼ等しくなった時点(例えば外気圧+0.02MPaとなった時点)に真空ポンプにて容器内部空間111内の蒸気を吸引して外気圧に近づけても構わない。これにより、処理終了時に開閉蓋132を開放する際に発生する蒸気流出音と湯気・臭気を最低限に抑えることができる。真空ポンプは自動制御可能でもよいし、手動制御する構成でもよい。
【0064】
主排出管部742は、排気流れの上流側から順に排出側ストレーナー743、排出側開閉弁744、排出流量調整弁745を備える。排出側ストレーナー743は排出蒸気に含まれる比較的小さな固形物を除去する。排出側開閉弁744及び排出流量調整弁745の開閉操作機構の図示は省略するが、弁744,745は自動制御可能であってもよいし、手動制御する構成であってもよい。主排出管部742の排気流れの下流側に蒸気を液体にする凝縮器746が接続されている。凝縮器746は架台4の後部で上下縦長に設けられ、2階部(第1床板材63上)からアクセス可能になっている。
【0065】
非常排出管部747の中途部に手動式開閉弁748が設けられている。処理中に容器内部空間111が設定圧力以上に上昇して下がらない緊急時に、手動式開閉弁748を開いて容器内部空間111から蒸気を放出して減圧させることができる。
【0066】
図5、9、10、14等から分かるように、配管部7を構成するパイプ及び部品のほとんどが反応容器1の後方にまとめて配置されており、配管系のメンテナンス性が良い。また、配管部7は、架台4の第2上梁部材52の高さ位置に設けられており、2階部と3階部の両方からアクセス可能なので、この点でもメンテナンス性が優れている。
【0067】
なお、配管部7のパイプ及び部品は、反応容器1の後方で2階部に立設した門形フレームで支持できる。当該門形フレームは、比較的サイズが大きい左右の第2梁部材42上に立設可能である。このようにすれば、堅牢な門形フレームを形成可能であり、配管部7のパイプ及び部品を安全に支持できる。
【0068】
[撹拌装置の構成]
次に、
図7~10等を参照しながら撹拌装置2の構成について説明する。上述のように、撹拌装置2は、容器本体11を略水平に挿通する回転軸21と、回転軸21を回転させるための原動機22と、原動機22の動力を回転軸21に伝達する動力伝達機構23とを備えている。
【0069】
容器本体11の左右側面部に左右一対の軸受台座部211が左右外向きに突出して固着している。回転軸21の両端部は軸受台座部211に設けた軸受212に回転自在に支持されている。軸受212よりも左右外側で回転軸21の両端それぞれに回転軸スプロケット213が固着している。
【0070】
原動機22は、例えば減速機付き電動モータであり、反応容器1の後方で架台4の第2梁部材42と第7梁部材47の上にまたがって固着した原動機支持板221の上に載置されている。原動機22の出力軸222に原動機スプロケット223が固着している。なお、原動機22として、内燃機関や油圧モータなどの他の原動機を採用することも可能である。
【0071】
動力伝達機構23は、原動機22と反応容器1との間に設けた伝達回転軸231を備えている。伝達回転軸231は、左右方向に延びて配設されている。架台4の後部寄り箇所に設けられた3本の第7梁部材47それぞれに軸受台232が固設されている。伝達回転軸231の左右両端部および左右方向中央部は、軸受台232に取り付けた軸受233に回転自在に支持されている。
【0072】
伝達回転軸231には原動機スプロケット223の前方に従動スプロケット234が固着している。原動機スプロケット223と従動スプロケット234との間に駆動チェーン235が掛け回されており、原動機22の動力を伝達回転軸231に伝達可能になっている。スプロケット223,234及び駆動チェーン235はカバー236で覆われている。
【0073】
伝達回転軸231の両端部は回転軸21の両端部の後方斜め下に配置されている。伝達回転軸231の両端部それぞれに伝達軸スプロケット237が固着している。左右の回転軸スプロケット213と左右の伝達軸スプロケット237との間に左右の従動チェーン238が掛け回されている。これにより、原動機22の動力を回転軸21に動力伝達機構23を介して伝達して、容器内部空間111内で回転軸21回りにアーム24及び撹拌羽根25を回転して処理物を撹拌可能に構成されている。スプロケット213,237及び従動チェーン238はカバー239で覆われている。
【0074】
原動機22の動力は動力伝達機構23を介して回転軸21の両端に伝達されるので、処理時に回転軸21に付加がかかっても、回転軸21がねじれることはなく、耐久性が向上するとともにスムーズな撹拌を維持できる。また、1回の処理中に原動機22を正回転と逆回転とに切り替えることで撹拌羽根25を反対方向に回転させて効率の良い撹拌を行うようにしてもよい。また、1回の処理中に撹拌羽根25の回転速度を変更して効率の良い撹拌を行うようにしてもよく、例えば回転速度を「高速」、「中速」、「低速」に変更可能に構成しても構わない。
【0075】
さらに、原動機22及び動力伝達機構23は、配管部7の下方の空きスペースを有効活用した配置になっているので、有機性廃棄物処理装置100をコンパクトに形成できる。また、2階部における原動機22の左右両隣の空きスペースをオイルコンプレッサー8やエアコンプレッサー9の設置領域として有効活用すれば、よりコンパクトな有機性廃棄物処理装置100を実現できる。
【0076】
[他の実施形態]
図17は、他の実施形態の容器上部を示す模式的な側面図である。本実施形態の有機性廃棄物処理装置100は、反応容器1に、液状廃棄物を投入するための投入管91が接続されている。本実施形態は、投入側の開閉蓋132を開閉することなく、投入管91から液状廃棄物を反応容器1に投入可能に構成している。
【0077】
投入管91は投入筒131の側面に接続されている。投入管91の反応容器1とは反対側の端部は、液状廃棄物を貯留するタンク92に接続している。タンク92に貯留する液状廃棄物は、例えば豚糞や汚泥などのスラリー状の液体である。投入管91の中途部に、第1投入用開閉弁93と第2投入用開閉弁94が直列に設けられている。また、投入管91の、第1投入用開閉弁93と第2投入用開閉弁94の間の中途部に、洗浄水管95が接続している。洗浄水管95の投入管91とは反対側の端部は、洗浄水を供給する洗浄水供給部96に接続している。洗浄水管95の中途部に、洗浄水用開閉弁97が設けられている。
【0078】
タンク92内の液状廃棄物を反応容器1に投入するにあたり、投入側の開閉蓋132及び排出側の開閉蓋141を閉じた状態で、第1及び第2投入用開閉弁93,94を開き、液状廃棄物を反応容器1に流入させる。このとき、蒸気排出管部74の排出側開閉弁744を開き、さらに、蒸気排出管部74に接続した真空ポンプ(吸引機構)を作動させて反応容器1の容器内部空間111を減圧して、液状廃棄物の投入効率を向上させても構わない。また、洗浄水用開閉弁97を開き、液状廃棄物とともに洗浄水を容器内部空間111に流入させても構わない。
【0079】
本実施形態は、投入側の開閉蓋132を閉じた状態で、投入管91から液状廃棄物を反応容器1に投入できる。したがって、液状廃棄物から放出される悪臭が反応容器1の周辺に拡散するのを防止でき、作業環境を向上できる。なお、蒸気排出管部74に接続した真空ポンプで容器内部空間111を減圧するにあたり、蒸気排出管部74の中途部に脱臭装置を接続して、悪臭の排出を防止しても構わない。
【0080】
反応容器1内に液状廃棄物を投入した後、第1投入用開閉弁93を開く一方、第2投入用開閉弁94を閉じ、さらに、洗浄水用開閉弁97を開いて、洗浄水を洗浄水供給部96から洗浄水管95を通じて投入管91に流入させ、投入管91を洗浄する。投入管91の反応容器1に近い部分は、反応容器1に向かって斜め下向きに傾斜している。これにより、投入管91の反応容器1に近い部分の内部に、液状廃棄物が残留しにくい構成になっている。なお、反応容器1内を高温・高圧の飽和水蒸気にて亜臨界状態にして液状廃棄物の加水分解する際には、第1投入用開閉弁93は閉じられる。第2投入用開閉弁94及び洗浄水用開閉弁97は、処理時の高圧が加わらないので、第1投入用開閉弁93に比べて安価な開閉弁を選定できるから、製造コストを低減できる。
【0081】
図17では、投入管91は、反応容器1の投入筒131に接続されているが、容器本体11の上部に接続されていても構わない。また、投入管91の中途部に、液状廃棄物をタンク92から反応容器1に向けて送液するポンプを設けても構わない。
【0082】
以上、実施形態を説明したが、本発明は、前述の実施形態に限らず、様々な態様に具体化できる。各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。例えば、前述した実施形態及び変形例(尚書き等)で説明した各構成を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。
【0083】
例えば、回転軸21を回転自在に軸支する軸受212を架台4に軸受支持フレームを設けて支持するようにしても構わない。この場合、架台4において軸受支持フレームを立設させる梁部材のサイズを大きくし、軸受212の支持剛性を高めるようにしてもよい。また、当該軸受支持フレームと梁部材との間にロードセルを介在させ、該ロードセルと容器本体11の支持脚20下方のロードセル62とで容器内部空間111に投入した処理物の重量を計測可能に構成してもよい。この場合、軸受支持フレームとその下方のロードセルとの間、および支持脚20とロードセル62との間に、これらのロードセルを覆う1枚の板状部材を介在させて、反応容器1の荷重を分散させてこれらのロードセルに分散させてもよい。
【0084】
また、2台の有機性廃棄物処理装置100を左右隣り合わせに配置し、これらの有機性廃棄物処理装置100で蒸気ヘッダー81を共用するようにしてもよい。また、蒸気排出管15は投入筒131に接続されていても構わない。また、安全弁接続管16、エア排出管17、圧力計接続管18及び温度計接続管19のうち少なくとも1つは、容器本体11に接続されていても構わない。
【0085】
本明細書には、以下の実施形態の構成が含まれている。
【0086】
図12、13等に示すように、実施形態の有機性廃棄物処理装置は、処理物を収容するとともに底部に排出口148を設けた反応容器1と、反応容器1を支持する架台4と、を備えている。架台4は、装置設置面で平面視矩形の角に立設した4本の支柱40と、上記矩形の一辺に沿った第1方向に並ぶ支柱40同士の間に横架した一対の第1梁部材41と、上記第1方向に直交する第2方向に延びて第1梁部材41の中途部同士の間に互いに間隔をあけて横架した一対の第2梁部材42と、上記第1方向に延びて第2梁部材42の中途部同士の間に互いに間隔をあけて横架した一対の第3梁部材43と、第2梁部材42と第3梁部材43で囲まれた四角形の四隅部それぞれに設けた第5梁部材45とを備えている。第5梁部材45は火打ち梁部材を形成している。支柱40及び梁部材41,42,43,45は鋼材で形成されている。反応容器1は、第2梁部材42と第3梁部材43の交差部に、平面視で上記四角形の枠内に排出口148を位置させながら、第2梁部材42と第3梁部材43と第5梁部材45とに跨って載置されている。
【0087】
本実施形態の有機性廃棄物処理装置によれば、反応容器1の荷重を鋼材で形成した支柱40及び第1~第3梁部材41~43で受け止めるとともに反応容器1の載置箇所に第5梁部材45(火打ち梁部材)が設けられているので、反応容器1の支持剛性を向上できる。これにより、架台4を構成する他の梁部材(例えば、
図1~
図13に示す第4梁部材44、第6~第9梁部材46~49など)のサイズを比較的小さくしても反応容器1を支持する強度を確保でき、架台4の重量及び製造コストを低減できる。
【0088】
図7~10等に示すように、第5梁部材45(火打ち梁部材)は第1~第3梁部材41~43よりも小さい断面積の鋼材で形成されている。
【0089】
このような実施形態によれば、第5梁部材45(火打ち梁部材)の断面積を比較的小さくすることで、架台の重量及び製造コストをさらに低減できる。
【0090】
図7~12等に示すように、架台4において、第2梁部材42と第3梁部材43の交差部には、第2梁部材42、第3梁部材43及び第5梁部材45に跨って配設した金属製の容器載置台61が固着している。そして、反応容器1は容器載置台61の上に載置されている。
【0091】
このような実施形態によれば、架台4の反応容器載置部位をより頑丈な構造にできるので、反応容器1を確実に支持でき、安全性を向上できる。
【0092】
図1~4、6等に示すように、架台4は、上記第2方向に並ぶ前記支柱同士の間に横架した一対の第4梁部材44を備えている。第4梁部材44は、上記第2方向に延びて設けられている。支柱40と第1及び第4梁部材41,44とで囲われた4つの外周側面のうち3つの外周側面に、支柱40の下部と第1又は第4梁部材41又は44の中途部とを連結するブレース50が設けられている。
【0093】
このような実施形態によれば、ブレース50を設けることで架台4の剛性および強度を向上できるとともに、上記4つの外周側面のうち1つの外周側面にブレース50を設けないことで、作業者が架台4に出入りしやすくでき、作業性が向上する。
【0094】
図7~13等に示すように、反応容器1は、架台4にロードセル62を介して支持されている。
【0095】
このような実施形態によれば、反応容器1に収容した処理物の重さを計測できるので、処理物の重さや予め計測した含水率などに応じて処理時間や処理温度を調整したり、水分を足したりすることで、処理効率を向上できる。
【0096】
また、
図15に示すように、反応容器1とロードセル62との間に、平面視で排出口148を囲う枠状金属プレート部材68(枠状金属部材)が介しているようにしてもよい。
【0097】
このような実施形態によれば、枠状金属プレート部材68が反応容器1の荷重を分散させるので1つのロードセル62に荷重が集中するのを防止でき、反応容器1に収容した処理物の重さの測定精度を向上できる。また、処理時に反応容器1からロードセル62に伝わる熱を枠状金属プレート部材68によって放散でき、熱によるロードセル62の損傷を防止できる。
【0098】
図5、7~10、13、14等に示すように、実施形態の有機性廃棄物処理装置は、上部に投入口112を備える一方、下部に排出口148を備えて処理物を収容する反応容器1を備えている。反応容器1は、容器本体11の上部に開口した投入口112に上向きに接続された上下開口の投入筒131と、投入筒131の上端を密閉可能に塞ぐ投入側の開閉蓋132とを備えている。容器本体11の上部に、容器内部空間111に飽和水蒸気を抽入するための蒸気抽入管12が接続されている。一方、投入筒131の側面に、蒸気排出管15、安全弁接続管16、エア排出管17が接続されている。
【0099】
このような実施形態の有機性廃棄物処理装置によれば、反応容器1内への蒸気抽入系配管と排出系配管とを上下に振り分けて配設でき、メンテナンス時に抽入系配管と排出系配管とを間違う機会を低減してメンテナンス性を向上できる。
【0100】
図5、9、10、14等に示すように、実施形態の有機性廃棄物処理装置は、蒸気抽入管12、蒸気排出管15、安全弁接続管16、エア排出管17それぞれから延びる配管が反応容器1の近傍位置から同じ方向へ向けて延出している配管部7を備えている。
【0101】
このような実施形態によれば、配管系をまとめて配設できるので、メンテナンス性が良い。
【0102】
図9、10、14等に示すように、実施形態の有機性廃棄物処理装置は、反応容器1を支持する架台4を備えている。架台4は、反応容器1の下部の高さ位置に設けた第1床板材63(第1フロア部)と、反応容器1の上部の高さ位置に設けた第2床板材66(第2フロア部)とを備えている。配管部7を構成する配管は第2床板材66(第2フロア)に沿って延出している。
【0103】
このような実施形態によれば、各配管に対して第1フロア部と第2フロア部の両方からアクセス可能なのでメンテナンス性を向上できる。
【0104】
図8~10、14等に示すように、実施形態の有機性廃棄物処理装置は、反応容器1内の処理物を撹拌する撹拌装置2を備えている。攪拌装置2の駆動源(原動機22及び動力伝達機構23)は、配管部7の下方において第1床板材63の上(第1フロア部)に設置されている。
【0105】
このような実施形態によれば、配管部7の下方の第1フロア部の空きスペースを有効活用できるので、有機性廃棄物処理装置をコンパクトに形成できる。
【0106】
なお、上記実施形態の各構成を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。
【符号の説明】
【0107】
1 反応容器、2 撹拌装置、4 架台、7 配管部、11 容器本体、11a 容器内壁面、100 有機性廃棄物処理装置、111 容器内部空間、114 排出側開口部、141 開閉蓋、141a 蓋上面部、142 蓋本体、142a 本体上面部、142b 内周面、142c 本体突起部、142d ガスケット、143 蓋凸部、143a 凸部上面部、143b 外周面、144 蓋体、145 リング体、145a 本体側突起部、145b 蓋側突起部、146 鍔状部、146a 蓋体突起部、148 排出口