IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アンリツ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-X線検査装置 図1
  • 特開-X線検査装置 図2
  • 特開-X線検査装置 図3
  • 特開-X線検査装置 図4
  • 特開-X線検査装置 図5
  • 特開-X線検査装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052933
(43)【公開日】2024-04-12
(54)【発明の名称】X線検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/04 20180101AFI20240405BHJP
   G01N 23/10 20180101ALI20240405BHJP
   G01B 15/04 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
G01N23/04
G01N23/10
G01B15/04 H
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024031399
(22)【出願日】2024-03-01
(62)【分割の表示】P 2019218799の分割
【原出願日】2019-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】菊池 壽晃
(57)【要約】
【課題】内容物Wbを包装材Waで包装した製品WのX線検査装置2aにおいて、検査後の被検査物の重心位置Gを出力できるようにすること。
【解決手段】 X線検査装置2aは、X線発生器6とX線検出器7により取得したX線画像上で内容物の内容物領域Sbを抽出し、内容物領域から重心Gを算出し、予め設定された基準位置条件である第2コンベア4の幅方向の所定位置L1からX線画像上の基準となる位置を表す原点Oを求め、その原点に対する内容物の重心位置を算出してロボット5に出力する。ロボットは重心に対応する位置で被検査物を吸着できるので、被検査物の移動を確実に行なえる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装材(Wa)によって内容物(Wb)が包装された被検査物(W,W’)を搬送する搬送手段(3,4)と、前記搬送手段で搬送される被検査物にX線を照射するX線発生器(6)と、被検査物を透過したX線を検出するX線検出器(7)を備え、前記X線検出器が検知したX線により取得したX線画像を用いて被検査物の検査を行なうX線検査装置であって、
前記X線画像上で前記内容物を示す内容物領域(Sb)を抽出する内容物領域抽出手段(23)と、
前記内容物領域の重心(G)を算出する重心算出手段(24)と、
予め設定された基準位置条件から前記X線画像上の基準となる位置を表す原点を求め、該原点に対する前記重心の位置を算出して出力する重心位置出力手段(25)と、
を具備することを特徴とするX線検査装置(2a,2b,2c)。
【請求項2】
前記X線画像上で前記包装材の外形領域(Sa)を抽出する外形領域抽出手段(22)を具備することを特徴とする請求項1記載のX線検査装置(2a,2b)。
【請求項3】
前記基準位置条件は、前記搬送手段(4)の搬送方向(X)と直交する幅方向(Y)の所定位置(L1)として定められる請求項1に記載のX線検査装置(2a,2c)。
【請求項4】
前記基準位置条件は、前記外形領域(Sa)の外接円(C)の中心として定められる請求項2に記載のX線検査装置(2b)。
【請求項5】
前記基準位置条件を設定する基準位置条件設定手段(27)を有する請求項1乃至4の何れかに記載のX線検査装置(2a,2b,2c)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装材によって内容物が包装された被検査物を搬送しながらX線の透過によって検査を行なうX線検査装置に係り、特に被検査物の重心位置を算出して外部に出力することができるX線検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、X線検査装置に関する発明が開示されている。このX線検査装置は、コンベア10と、X線検査手段20と、検査領域より搬送方向下流側の所定搬送区間D2の搬送路10aを覆う開閉カバー32と、検査手段の検査結果に基づいて被検査物を選択的に搬送路外に排出する選別排出機構40と、排出された被検査物Wを収納する排出物収納ボックス50とを備えている。開閉カバー32は、開状態で所定搬送区間D2の搬送路10aの上面とその幅員方向前面側に開放する前面開放式であり、選別排出機構40が開閉カバー32の内方側に装備され、所定搬送区間D2の搬送路10aの幅員方向後方側に排出物収納ボックス50が配置されている。このX線検査装置によれば、X線検査手段近傍の搬送路カバーの下流側に選別装置を設置する必要が無く、コンパクト化を図ることができ、前面側からのメンテナンス作業等も容易化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-033403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に開示されたような従来のX線検査装置では、検査の結果、不良と判定された製品を搬送経路から排除し、また合格と判定された被検査物を所定の集合位置に搬送するために、移動手段を用いる場合があった。移動手段としては、機構の往復運動で製品を搬送経路から押し出すスライド式の装置や、チャッキングや吸着で製品を保持して所望の位置に移動させるロボットアーム等が知られている。
【0005】
このような移動手段で製品を移動させる場合、製品の重心の位置が、その外観から一定の位置にあると想定できるのであれば、移動手段による作業に支障が生じる可能性は小さい。例えば、スライド式の装置で当該製品を押し出す際には製品の重心を押すことで確実に移動させることができる。また製品をロボットアームで移動する場合には、重心の付近を目標とすることで確実に保持することができ、ロボットアームで保持した製品を移動させる際に落下させる不具合は生じにくい。
【0006】
しかしながら、X線検査装置の被検査物が、内容物を包装材で包装した形態の製品であると、これを移動手段で移動させる場合、不具合が生じる可能性がある。すなわち、包装材の中にある内容物の位置が安定しないため、製品の外観からは内容物の位置が判断しにくいような製品は、移動手段による移動時に問題が生じやすい。例えば、スライド式の装置で当該製品を押し出す際に、製品の重心を押し損ねて移動に失敗する可能性がある。また当該製品をロボットアームで移動する場合には、重心以外の部分を目標としたことにより保持に失敗したり、一旦保持しても移動中に落下させてしまう可能性がある。
【0007】
本発明は、以上説明した従来の技術における課題に鑑みてなされたものであり、内容物を包装材で包装した形態の製品を検査するX線検査装置において、例えば検査後に被検査物を確実にハンドリングする等、何らかの技術的目的に供するために、検査後の被検査物の重心位置を算出して出力できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載されたX線検査装置2a,2b,2cは、
包装材Waによって内容物Wbが包装された被検査物W,W’を搬送する搬送手段3,4と、前記搬送手段3,4で搬送される被検査物W,W’にX線を照射するX線発生器6と、被検査物W,W’を透過したX線を検出するX線検出器7を備え、前記X線検出器7が検知したX線により取得したX線画像を用いて被検査物W,W’の検査を行なうX線検査装置であって、
前記X線画像上で前記内容物Wbを示す内容物領域Sbを抽出する内容物領域抽出手段23と、
前記内容物領域の重心Gを算出する重心算出手段24と、
予め設定された基準位置条件から前記X線画像上の基準となる位置を表す原点Oを求め、該原点Oに対する前記重心Gの位置を算出して出力する重心位置出力手段25と、
を具備することを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載されたX線検査装置2a,2bは、請求項1に記載のX線検査装置において、
前記X線画像上で前記包装材の外形領域Saを抽出する外形領域抽出手段22を具備することを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載されたX線検査装置2a,2cは、請求項1に記載のX線検査装置において、
前記基準位置条件が、前記搬送手段4の搬送方向Xと直交する幅方向Yの所定位置L1として定められることを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載されたX線検査装置2bは、請求項2に記載のX線検査装置において、
前記基準位置条件が、前記外形領域Saの外接円Cの中心として定められることを特徴としている。
【0012】
請求項5に記載されたX線検査装置2a,2b,2cは、請求項1乃至4の何れかに記載のX線検査装置において、
前記基準位置条件を設定する基準位置条件設定手段27を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載されたX線検査装置によれば、
X線画像上で内容物の内容物領域を抽出し、内容物領域から重心を算出し、予め設定された基準位置条件からX線画像上の基準となる位置を表す原点を求め、その原点に対する内容物の重心位置を算出して外部に出力することができる。この重心位置のデータ(座標)を、例えば、X線検査装置の後段に配置した製品のハンドリング装置の制御に利用すれば、被検査物のハンドリングを確実に行なえる等の効果が得られる。
【0014】
請求項2に記載されたX線検査装置によれば、
X線画像上で包装材の外形領域と内容物の内容物領域を抽出し、内容物領域から重心を算出し、外形領域に基づく基準位置条件からX線画像上の基準となる位置を表す原点を求め、その原点に対する内容物の重心位置を算出して外部に出力することができる。この重心位置のデータを、例えば、X線検査装置の後段に配置した製品のハンドリング装置の制御に利用すれば、被検査物のハンドリングを確実に行なえる等の効果が得られる。
【0015】
請求項3に記載されたX線検査装置によれば、
X線検査装置の構成要素である搬送手段の幅方向の所定位置を基準位置条件とすることができる。この場合、搬送手段とX線画像は装置内部で関係付けられており、さらに、重心位置のデータを利用する後段の装置と搬送手段との位置関係は機構的に関係付けられているので、後段の装置との関係を規定する数値データを入力する等の簡単な作業で前述した原点を容易に求めることができる。
【0016】
請求項4に記載されたX線検査装置によれば、
X線画像上の外形領域に外接する外接円を想定し、その外接円の中心を決定し、当該中心を原点として内容物領域の重心を求める簡単な演算により、内容物領域の重心位置を算出して外部に出力することができる。この重心位置のデータを利用する場合、被検査物のハンドリングを行なう後段で、カメラ等の撮像手段を用いて被検査物の撮像画像を取得すれば、X線画像と撮像画像を照合することで重心位置を正確に把握できるため、ハンドリングを確実に行なえる等の効果が得られる。
【0017】
請求項5に記載されたX線検査装置によれば、
基準位置条件設定手段により、X線画像上の基準となる位置を表す原点を求めるために必要なデータや指示を簡単に設定できるので、例えばX線検査装置の後段に配置した製品のハンドリング装置等について交換や配置換え等の変更があった場合でも、原点の再設定を容易に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】分図(a)は第1実施形態のX線検査装置の模式構造図であり、分図(b)はX線検査装置で取得された被検査物のX線画像と設定された原点との位置関係を示す図である。
図2】第1実施形態のX線検査装置の制御部の機能ブロック図である。
図3】第1実施形態のX線検査装置の後段に設けられるロボットによる被検査物の吸着・移動操作を示す模式図であり、分図(a)~(c)は第1実施形態のX線検査装置からの重心位置データを受けて適正なハンドリングが行なわれた場合を示しており、分図(d)及び(e)はX線検査装置から重心位置データを受けないロボットが被検査物の保持に失敗した例を示している。
図4】分図(a)は第2実施形態のX線検査装置の模式構造図であり、分図(b)はX線検査装置で取得された被検査物のX線画像と、後段に設定されたカメラによる被検査物のカメラ画像を示す図である。
図5】第2実施形態のX線検査装置において、取得された被検査物のX線画像に外接円(楕円)を設定し、その中心を原点とする演算の説明図である。
図6】分図(a)は第3実施形態のX線検査装置の模式構造図であり、分図(b)はX線検査装置で取得された被検査物のX線画像と設定された原点との位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
第1実施形態のX線検査システムについて図1図3を参照して説明する。
図1(a)に示すように、このX線検査システム1aは、被検査物Wを第1コンベア3で搬送しながらX線によって検査するX線検査装置2aと、X線検査装置2aの後段に設けられた搬送手段としての第2コンベア4と、第2コンベア4の下流側の側方に設けられて検査済みの被検査物Wを検査結果に応じた移動先に移動させるハンドリング装置としてのロボット5等を有している。
【0020】
このX線検査システム1aが対象とする被検査物Wは、図1(b)のX線画像に示すように、包装材Waによって内容物Wbが包装されており、製品の外観からは内容物Wbの位置が判断しにくいという特徴を有する被検査物Wである。このような被検査物Wをロボット5で移動させようとした場合、包装材Waの中にある内容物Wbの位置が安定しないため、重心G以外の部分を対象にすると保持に失敗する場合がある(図3(d)及び(e)参照。)。そこで、第1実施形態のX線検査装置2aでは、検査後に被検査物Wをロボット5で確実にハンドリングするため、検査済みの被検査物Wの重心Gの位置を算出してロボット5に出力できるようになっている。
【0021】
図1(a)に示すように、X線検査装置2aは、搬送手段である第1コンベア3と、第1コンベア3で搬送される被検査物WにX線を照射するX線発生器6と、被検査物Wを透過したX線を検出するX線検出器7を備えている。
【0022】
図1(a)に示すように、第1コンベア3は、1本の駆動ローラ8と3本の従動ローラ9に無端状の搬送ベルト10を掛け回した構造である。第1コンベア3は、図1(a)中、上流側の端部に隣接して設けられる被検査物Wの供給源(図示せず)から被検査物Wの供給を受ける。第1コンベア3は、図中水平な右向きの矢印で示す搬送方向(X方向とも呼ぶ)に被検査物Wを搬送する。なお、水平面内において搬送方向と直交し奥に向かう方向を搬送ベルト10の幅方向(Y方向とも呼ぶ)と称する。幅方向は、図1(a)においては搬送ベルト10の表面において紙面に垂直な方向であり、図中矢印の始点に設けた丸に×を重ねた図形で示す。
【0023】
図1(a)に示すように、X線発生器6は、第1コンベア3の中央部の上方において、放射方向を下方に向けて配置されている。X線発生器6が下方の搬送ベルト10に向けて放射するX線は、図1(a)の紙面内では、上下方向に沿った直線状の破線で示されるが、搬送方向に平行な視線で見た場合、つまり図1(a)中、水平な横からの視線で見た場合には、X線発生器6を頂点とした略三角形状の放射面として現れる。
【0024】
図1(a)に示すように、X線検出器7は、第1コンベア3の無端状の搬送ベルト10のうち、上側にある搬送ベルト10の下面に接するように、かつX線発生器6の真下の位置となるように配置されている。X線検出器7は、多数の検出素子が幅方向(Y方向)に沿って並んだX線ラインセンサ11を有している。X線ラインセンサ11はX線を検知してX線透過データを出力し、X線透過データは後述する制御部20に送られる。
【0025】
図1(a)に示すように、X線検査装置2aの後段には、搬送手段としての第2コンベア4が設けられている。第2コンベア4は、駆動ローラ8と従動ローラ9に搬送ベルト10を掛け回した構造である。第2コンベア4は、第1コンベア3と搬送面の高さ及び搬送方向が同一であり、第1コンベア3が搬出した検査済みの被検査物Wを受け入れて下流に搬送する。
【0026】
図1(a)に示すように、第2コンベア4の下流側の一側方には、被検査物Wのハンドリング装置であるロボット5が設けられている。このロボット5はロボット制御部15を有している。ロボット制御部15は、X線検査装置2aの制御部20から与えられる被検査物Wの重心Gの位置を示すデータや、後述するセンサAから送られる被検査物WのX方向の検出タイミング信号を利用して制御動作を行なう。またロボット5は、ロボット制御部15に制御されるロボットアーム16と、ロボットアーム16の先端に設けられた把持手段としての吸着装置17を有している。
【0027】
図1(a)に示すように、ロボット5よりも上流側の第2コンベア4の側方には、第2コンベア4で搬送される被検査物Wを検出するためのセンサAが設けられている。センサAは投光器と受光器を有する透過型であり、間に被検査物Wが進入することで検知信号を出力する。センサAの検知信号は、ロボット制御部15に入力され、X線検査装置2aの制御部20から送られるX方向の重心Gの位置データと整合するようにロボット5の動作位置を制御するために使用される。
【0028】
制御の詳細は後述するが、このロボット5は、吸着装置17のエア吸引口を被検査物Wの重心Gの位置に接触させて吸着することにより被検査物Wを保持し、エアの吸込みを停止することで被検査物Wの保持を解除する動作ができるため、ロボットアーム16を動かすことにより、ロボットアーム16の先端に保持した被検査物Wを所望の位置へ確実に移動させることができる。なお、ロボットアーム16の先端に設けられた把持手段の形態として、エアの吸込みにより被検査物Wを吸着して保持する吸着装置17を例示するが、複数の爪状体により被検査物Wの二側面を挟持して保持する挟持装置や、板状体を被検査物Wの一側面に接触させてスライド移動させるスライド移動装置も用いることができ、把持手段の形態は、対象となる被検査物Wの形状や重量、移動方向や移動距離および要求される移動速度などを考慮して選択するのが好ましく、いずれの形態であっても、各形態のロボットアーム16の把持手段による作用は被検査物Wの重心Gに適正に加わるように制御される。
【0029】
図1及び図2を参照してX線検査装置2aの制御部20について説明する。
図1(a)及び図2に示すように、X線ラインセンサ11から出力されるX線透過データはX線検査装置2aの制御部20に入力される。図2に示すように、X線検出器7から送られる被検査物WのX線透過データは、制御部20の記憶手段21に記憶される。記憶手段21は、1つの被検査物Wの検査を行う毎に、X線検出器7の1ライン(Y方向)あたり、検出素子の数に相当する例えば数百個のX線透過データを、少なくとも搬送される被検査物Wの搬送方向(X方向)の長さ(前端から後端までの長さ)に対応した所定ライン数(例えば数百ライン)だけ格納する。
【0030】
図2に示すように、制御部20は外形領域抽出手段22を有している。外形領域抽出手段22は、記憶手段21に格納されたX線透過データから、透過量が大きいほど淡くなるような濃淡値に対応した濃度レベルを有する被検査物Wを含んだ所定の大きさのX線画像を作成する。図1(b)は、このX線画像を模式的に示した図である。外形領域抽出手段22は、このX線画像から、指定した閾値以上の濃度レベルの部分を包装材Waの外形領域Saとして抽出する。図1(b)に示すX線画像では、被検査物Wの輪郭をなす包装材Waの内側の部分が外形領域Saである。
【0031】
なお、外形領域抽出手段22は、記憶手段21に格納されたX線透過データから作成したX線画像の全体の濃度ヒストグラムを求め、この濃度ヒストグラムから被検査物Wのデータと被検査物W以外(ベルト面)のデータを切り分けて2値化し、例えば全体の濃度ヒストグラムにおいて、被検査物Wのデータを255、被検査物W以外のデータを0としてデータを2値化し、2値化したデータのうち被検査物Wのデータを包装材Waの外形領域Saとして抽出することもできる。
【0032】
図2に示すように、制御部20は内容物領域抽出手段23を有している。内容物領域抽出手段23は、外形領域Sa内のX線画像から、指定した閾値以上の濃度レベルの部分を被検査物Wの内容物Wbと対応する内容物領域Sbとして抽出する。図1(b)に示すX線画像では、被検査物Wの包装材Waの内側にある内容物Wbの内側の部分が内容物領域Sbである。
【0033】
なお、内容物領域抽出手段23は、外形領域Saの抽出処理と並行して、所定の閾値を超える濃度レベルのX線画像を、被検査物Wの内容物Wbと対応する内容物領域Sbとして抽出してもよい。
【0034】
図2に示すように、制御部20は重心Gを算出する重心算出手段24を有している。重心算出手段24は、X線画像の内容物領域Sbの重心Gを算出する。具体的には、図1(b)に示すX線画像において、内容物領域Sbを構成する図示しない複数の画素について仮の原点に対する仮の重心座標を算出する。仮の原点の座標は、例えば、X線画像の左下角の点を(0,0)とした座標系における内容物領域SbのX方向及びY方向の最小値や最大値などとすることができる。
【0035】
図2に示すように、制御部20は基準位置条件設定手段27を有している。基準位置条件設定手段27は、図1(b)に示すX線画像において、重心算出手段24で算出した重心Gを基に被検査物Wの内容物Wbの重心Gの位置のデータを算出する際に、そのデータの基準となる座標の原点Oを求めるための基準位置条件を設定する。なお、基準位置条件は、X線検査システムの運用に変更が無いような場合には固定値が装置内部に設定されていてもよい。
【0036】
まず、第1実施形態のX線検査装置2aでは、図1(b)に示すように、ロボットアーム16がハンドリングする被検査物Wを搬送する第2コンベア4の幅方向の所定位置Lを、Y方向の原点Oの位置としている。具体的には、搬送ベルト10の幅方向の一縁辺や、搬送ベルト10の幅方向の一縁辺に沿って設けられた搬送方向に平行なガイド板(図示せず)などの位置を、Y方向の前記所定位置Lとすることができる。
【0037】
具体的には、図1(b)に示す第2コンベア4の幅方向の所定位置L1と、X線画像のY方向の縁辺L2との間隔を示す数値データを、Y方向の基準位置条件とする。X線検査装置2aの後段に配置する第2コンベア4やロボット5等の設備は、必要に応じて他機種に変更されることがあり、その場合には後段の設備におけるY方向の所定位置L1も変更される場合があるため、この所定位置L1を示す数値データを固定値とせず、基準位置条件設定手段27から任意の数値として入力可能にしておくと便利である。
【0038】
また、第1実施形態のX線検査装置2aでは、図1(b)に示すように、X線画像において、被検査物Wの外形領域SaにおけるX方向の最下流側の角部を、X方向の基準位置条件としている。X方向の原点Oの位置は、この基準位置条件に従い、制御部20によるX線画像の取得によって自動的に決定する。
【0039】
図2に示すように、制御部20は重心Gの位置を算出して出力する重心位置出力手段25を有している。重心位置出力手段25は、前述したX方向の基準位置条件とY方向の基準位置条件に基づいて原点Oを求め、この原点Oと、重心算出手段24が算出した仮の原点及び仮の重心座標から、原点Oに対する内容物領域Sbの重心Gの位置を算出する。具体的には、重心算出手段24と同じ座標系において、Y方向の基準位置条件である所定位置L1と縁辺L2との間隔を画素数に換算してY座標を求め、X方向の最下流側の角部をX座標として求める。そして、求めたX座標とY座標を原点Oとし、原点Oと仮の原点の各方向のずれ量について仮の重心座標の値を補正して重心Gの位置を算出する。算出した重心Gの位置データはロボット制御部15に出力する。
【0040】
図1(a)に示すように、X線検査装置2aの制御部20が出力した重心Gの位置データは、ロボット制御部15に入力される。また、第2コンベア4に設けられたセンサAからの検知信号も、ロボット制御部15に入力される。センサAの検知信号は、制御部20で設定された原点OのX方向の位置、すなわち被検査部の最下流側の角部が、第2コンベア4においてロボット5の上流でセンサAによって検知されたことを示している。
【0041】
図2に示すように、制御部20は表示部26を有している。表示部26は、制御部20に入力されたデータや指示、制御部20にて取得されたX線画像、制御部20に設定された原点Oや該原点Oを基準として算出された重心Gの位置等、制御において必要な情報を表示することができる。
【0042】
以上のように構成されたX線検査システム1aによれば次のような作用効果が得られる。
被検査物Wが第1コンベア3で搬送され、X線発生器6から照射されたX線が被検査物Wを透過してX線検出器7によって検出される。X線検査装置2aの制御部20は、X線検出器7からのX線透過データから図1(b)に示すようなX線画像を取得し、このX線画像から包装材Waの外形領域Saと、内容物Wbの内容物領域Sbを抽出する。さらに、制御部20は、内容物領域Sbの重心を算出し、基準位置条件設定手段27によって入力された基準位置条件に基づいてX線画像上の基準となる位置を表す原点Oを求める。そして、制御部20は、この原点Oに対する内容物の重心位置を算出し、重心Gの位置データをロボット制御部15に出力する。
【0043】
X線検査装置2aを通過した被検査物Wは、第2コンベア4に乗り継ぎ、センサAを通過する。ロボット制御部15は、設定されたY方向の基準位置条件の基となった第2コンベア4の幅方向の所定位置L1を基準とし、X方向の原点Oの位置を示すセンサAの検知信号を用いてタイミングを計ることにより、X線検査装置2aからの重心位置と整合するように、ロボット5の吸着装置17の移動先を決定する。これによってロボット5は、被検査物Wを重心位置で吸着して確実に保持し、被検査物Wを落下させることなく箱詰工程のための所望の位置へ移動させ、又は第2コンベア4から排除する等、被検査物Wのハンドリングを確実に行うことができる。
【0044】
図3(a)~(c)は、第1実施形態において、ロボット5による被検査物Wの吸着・移動操作を示す模式図である。前述したように、このX線検査システム1aが対象とする被検査物Wは、包装材Waによって内容物Wbが包装されており、製品の外観からは内容物Wbの位置が判断しにくい被検査物Wであるが、X線検査装置2aから重心Gの位置データを取得しているロボット5は、被検査物Wの重心Gと対応する表面の位置に吸着装置17を吸着させることができる。このため、吸着が確実で移動時に被検査物Wが落下することはなく、適正なハンドリングを行なうことができる。
【0045】
これに対し、図3(d)及び(e)は、X線検査装置2aが重心Gの位置データを出力できない場合、すなわち従来の技術で説明した被検査物Wの移動に支障が生じる場合を示している。ロボット5が被検査物Wの重心Gの位置データを利用できない場合、ロボット5は重心Gの位置において被検査物Wの表面に吸着することが困難になる。被検査物Wの吸着による保持は不確実になり、移動時に被検査物Wが落下する恐れが増大する。
【0046】
以上説明した第1実施形態は、Y方向に関する基準位置条件が、機構的に固定されている第2コンベア4の幅方向の所定位置L1を基準としたものであるため、X線画像が特別に鮮明である場合でなくても、少なくともY方向に関する原点Oは精密に求められる。このため、出力する被検査物Wの重心Gの位置の算出精度については良好な結果を期待することができる。
【0047】
第2実施形態のX線検査システム1bについて、第1実施形態と異なる部分を中心に図4を参照して説明する。第1実施形態と同一の部分については、第1実施形態(図1)と同一の符合を図4に付す。第1実施形態と同一の構成・作用効果については、第1実施形態の説明及び図2を援用する。
【0048】
図4(a)に示すように、第2実施形態のX線検査システム1bでは、X線検査装置2bの後段の第2コンベア4において、ロボット5の上流側の上方に、撮像手段としてのカメラ30が下向きに設けられている。第1実施形態のセンサAは第2実施形態にはない。カメラ30が出力したカメラ画像はロボット制御部15に入力される。カメラ画像は、X線検査装置2bが取得するX線画像と同様のXY座標平面における画像である。
【0049】
第2実施形態のX線検査装置2bによれば、制御部20の外形領域抽出手段22は、図4(b)に示すX線画像から抽出した外形領域Saを基準として原点Oを求める。すなわち、基準位置条件設定手段27(図2参照)を操作することにより、X線画像の外形領域Saの一部分、例えば図4(b)のX線画像において、Y方向について、重心算出手段24と同じ座標系におけるY方向の最小値となる位置にある部分(この例では最も下にある角部)を基準位置条件として設定することができる。このようにX線画像の何れの部分を基準位置条件とするかは予め定めておくと便利であるが、品種に応じてその都度、基準位置条件設定手段27によって設定してもよい。
【0050】
第2実施形態のX線検査装置2bによれば、制御部20の重心位置出力手段25は、設定された基準位置条件に基づいて原点Oを求め、この原点と、重心算出手段24が算出した仮の原点及び仮の重心座標から、原点Oに対するX線画像の内容物領域Sbの重心Gの位置を算出してロボット制御部15に出力する。
【0051】
図4(b)に示すように、ロボット制御部15は、カメラ30から送られたカメラ画像について、被検査物Wの外形を基にしたX線画像上での原点と同様な位置の原点O2を求め、その原点O2に基づいてカメラ画像内に重心G2の位置を定め、これをロボット5の吸着装置17の移動先として決定する。カメラ30によるカメラ画像取得のタイミングにあわせてロボットアーム16を作動させ、吸着装置17を被検査物Wの重心位置に移動させる。これによって、被検査物Wを吸着により確実に保持し、被検査物Wを落下させることなく箱詰工程のための所望の位置へ移動させ、又は第2コンベア4から排除する等、被検査物Wのハンドリングを確実に行うことができる。
【0052】
図5は、第2実施形態のX線検査装置2bにおける原点Oの設定方法の変形例を示す図である。この変形例では、X線検査装置2bの制御部20は、取得したX線画像の内の被検査物Wの画像に外接円(楕円)を設定し、その中心を原点Oとする。より詳細に説明すれば、図5に示す被検査物Wの画像において、最大領域である外形領域Saの4つの頂点P1,P2,P3,P4を通る楕円(円)Cを描き、描いた楕円(円)Cの長軸と短軸との交点を算出し、これを原点Oとする。図5の被検査物Wの画像には、内容物領域Sbは図示していないが、設定した原点Oを基準として内容物領域Sbの重心Gを算出してロボット制御部15に出力する。
【0053】
以上説明した第2実施形態(変形例も含む)は、X線画像における被検査物Wの外形を基準として原点Oを求めているので、X線画像が特に鮮明である場合に好ましい結果が得られる。例えば、X線の照射方向に関する被検査物Wの寸法が小さい(すなわち高さが比較的小さい)物品である場合、被検査物Wを透過したX線の広がりが比較的小さくなり、X線画像の輪郭が比較的明瞭になるため、X線画像における被検査物Wの内容物の重心Gの位置の算出の精度について良好な結果を期待することができる。
【0054】
第3実施形態のX線検査システム1cについて、第1実施形態と異なる部分を中心に図6を参照して説明する。第1実施形態と同一の部分については、第1実施形態(図1)と同一の符合を図6に付す。第1実施形態と同一の構成・作用効果については、第1実施形態の説明及び図2を援用する。
【0055】
図6(a)に示す第3実施形態が、図1に示す第1実施形態と異なる点は、被検査物Wの形状に関する特徴である。第3実施形態の適用対象となる被検査物W’は、X線の照射方向に関する寸法が大きい(すなわち高さが比較的大きい)物品である。このような被検査物W’の場合、被検査物W’を透過したX線の広がりは比較的大きくなり、X線画像の輪郭がぼけて比較的不明瞭になるため、X線画像に基づいて原点Oを設定した場合、これを基準として算出する被検査物W’の重心Gの位置の精度が低下する恐れがある。
【0056】
図6(a)に示す第3実施形態が、図1に示す第1実施形態と異なる次の点は、前述した被検査物W’の形状に関する特徴に起因して、X方向の原点Oを設定するために第1コンベア3にセンサBを設けた点である。すなわち、第1コンベア3には、搬送されてくる被検査物W’を検出するセンサBがX線検出器7の下流側に設けられている。このセンサBは、第2コンベア4に設けられたセンサAと同一の構成であるが、センサBの検知信号は、X線検査装置2cの制御部20の重心位置出力手段25(図2参照)に入力され、原点OのX方向を求めるのに使用される。すなわち、図6(b)に示すように、センサBの検知信号は、X線画像の外形領域Saにおける最下流の縁部の位置を検出するものであり、第3実施形態のX線検査装置2cでは、これをX方向の原点Oとしている。すなわち、センサBの検知信号の入力タイミングに相当するX方向の位置が、X方向の原点Oとなる。
【0057】
図6(b)に示すように、第3実施形態のX線検査装置2cでは、第2コンベア4の幅方向の所定位置L1と、X線画像のX方向に平行な縁辺L2との間隔を示す数値データを、Y方向の基準位置条件としている。これは前述した第1実施形態と同様であり、Y方向に関する原点Oは精密に求められる。
【0058】
第3実施形態のX線検査システム1cによれば次のような作用効果が得られる。
被検査物W’が第1コンベア3で搬送され、第1実施形態と同様に、制御部20はX線画像を取得し、このX線画像から包装材Waの外形領域と、内容物Wbの内容物領域Sbを抽出する。さらに、制御部20は、内容物領域Sbの重心を算出し、基準位置条件設定手段27によって入力された基準位置条件に基づいてX線画像上の基準となる位置を表す原点Oを求める。そして、制御部20は、この原点Oに対する内容物の重心位置を算出し、重心Gの位置データをロボット制御部15に出力する。
【0059】
X線検査装置2cを通過した被検査物W’は、第2コンベア4に乗り継ぎ、センサAを通過する。ロボット制御部15は、設定されたY方向の基準位置条件の基となった第2コンベア4の幅方向の所定位置L1を基準とし、X方向の原点Oの位置を示すセンサBの検知信号の入力タイミングと、センサAによる被検査物W’の入力タイミングを整合させることにより、X線検査装置2cからの重心位置をロボット5の吸着装置17の移動先として決定する。これによってロボット5は、被検査物W’を重心位置で吸着して確実に保持し、被検査物W’を落下させることなく箱詰工程のための所望の位置へ移動させ、又は第2コンベア4から排除する等、被検査物W’のハンドリングを確実に行うことができる。
【0060】
以上説明したように、実施形態のX線検査システムに設けられたX線検査装置によれば、取得したX線画像から包装材の外形領域と内容物の内容物領域を抽出し、内容物領域から重心を算出し、予め設定された基準位置条件から前記X線画像上の基準となる位置を表す原点Oを求め、該原点Oに対する内容物の重心位置を算出して外部に出力することができる。原点Oを求める基準位置条件については、X線画像の外形領域のみに基づいて設定することもできるし、また後段に設ける第2コンベア4の機構上の所定位置を利用して設定することもできるし、さらに第1コンベア3に設けたセンサBでX線画像の外形領域に相当する特定箇所を検知して設定することもできる。このような基準位置条件については、被検査物の特徴に合わせて任意に選択することができる。そして、X線検査装置が出力した重心位置のデータをX線検査装置の後段に配置した製品のハンドリング装置の制御に利用すれば、被検査物の移動や仕分けを確実に行なえる等の効果が得られる。
【符号の説明】
【0061】
1a,1b,1c…X線検査システム
2a,2b,2c…X線検査装置
3…搬送手段としての第1コンベア
4…搬送手段としての第2コンベア
5…ハンドリング装置としてのロボット
6…X線発生器
7…X線検出器
15…ロボット制御部
20…X線検査装置の制御部
22…外形領域抽出手段
23…内容物領域抽出手段
24…重心算出手段
25…重心位置出力手段
27…基準位置条件設定手段
30…カメラ
A…センサ
B…センサ
C…外形領域の外接円であるだ円
O…原点
G…重心
W,W’…被検査物
Wa…包装材
Wb…内容物
Sa…包装材の外形領域
Sb…内容物の内容物領域
L1…搬送手段の幅方向の所定位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-03-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装材(Wa)によって内容物(Wb)が包装された被検査物(W,W’)を搬送する搬送手段(3,4)と、前記搬送手段で搬送される被検査物にX線を照射するX線発生器(6)と、被検査物を透過したX線を検出するX線検出器(7)を備え、前記X線検出器が検知したX線により取得したX線画像を用いて被検査物の検査を行なうX線検査装置であって、
前記X線画像上で前記内容物を示す内容物領域(Sb)を抽出する内容物領域抽出手段(23)と、
前記内容物領域の重心(G)を算出する重心算出手段(24)と、
予め設定された基準位置条件から前記X線画像上の基準となる位置を表す原点を求め、該原点に対する前記重心の位置を算出して、前記重心の位置に接触して保持することにより検査済みの被検査物を検査結果に応じた移動先に移動するロボットアーム(16)を制御するロボット制御部(15)に出力する重心位置出力手段(25)と、
を含む制御部(20)と、
前記搬送手段に設けられ、被検査物の最下流の位置を検出する2つのセンサ(A,B)とを具備し、
前記基準位置条件は、前記搬送手段の搬送方向(X)と直交する幅方向(Y)の所定位置(L1)と前記2つのセンサの検知信号に基づいて定められることを特徴とするX線検査装置(2c)。
【請求項2】
前記搬送手段(3,4)は、被検査物を搬送させて前記X線画像を取得させるための第1コンベア(3)と、前記ロボットアーム(16)が設けられる第2コンベア(4)とから構成され、
前記2つのセンサ(A,B)のうち、一方のセンサ(B)が前記第1コンベアの前記X線検出器(7)の下流側に設けられて検知信号を前記制御部(20)に出力し、他方のセンサ(A)が前記第2コンベアに設けられて検知信号を前記ロボット制御部(15)に出力することを特徴とする請求項1に記載のX線検査装置(2c)。
【請求項3】
前記基準位置条件を設定する基準位置条件設定手段(27)を有する請求項1または2に記載のX線検査装置(2c)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
請求項1に記載されたX線検査装置2a,2b,2cは、
包装材Waによって内容物Wbが包装された被検査物W,W’を搬送する搬送手段3,4と、前記搬送手段3,4で搬送される被検査物W,W’にX線を照射するX線発生器6と、被検査物W,W’を透過したX線を検出するX線検出器7を備え、前記X線検出器7が検知したX線により取得したX線画像を用いて被検査物W,W’の検査を行なうX線検査装置であって、
前記X線画像上で前記内容物Wbを示す内容物領域Sbを抽出する内容物領域抽出手段23と、
前記内容物領域の重心Gを算出する重心算出手段24と、
予め設定された基準位置条件から前記X線画像上の基準となる位置を表す原点Oを求め、該原点Oに対する前記重心Gの位置を算出して、前記重心Gの位置に接触して保持することにより検査済みの被検査物W,W’を検査結果に応じた移動先に移動するロボットアーム16を制御するロボット制御部15に出力する重心位置出力手段25と、
を含む制御部20と、
前記搬送手段3,4に設けられ、被検査物の最下流の位置を検出する2つのセンサA,Bとを具備し、
前記基準位置条件は、前記搬送手段3,4の搬送方向(X)と直交する幅方向(Y)の所定位置L1と前記2つのセンサA,Bの検知信号に基づいて定められることを特徴としている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
請求項2に記載されたX線検査装置2cは、請求項1に記載のX線検査装置2cにおいて、
前記搬送手段3,4が、被検査物を搬送させて前記X線画像を取得させるための第1コンベア3と、前記ロボットアーム16が設けられる第2コンベア4とから構成され、
前記2つのセンサA,Bのうち、一方のセンサBが前記第1コンベア3の前記X線検出器7の下流側に設けられて検知信号を前記制御部20に出力し、他方のセンサAが前記第2コンベア4に設けられて検知信号を前記ロボット制御部15に出力することを特徴としている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
請求項に記載されたX線検査装置2cは、請求項1または2に記載のX線検査装置2cにおいて、
前記基準位置条件を設定する基準位置条件設定手段27を有することを特徴としている。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
請求項1に記載されたX線検査装置によれば、
X線画像上で内容物の内容物領域を抽出し、内容物領域から重心を算出し、予め設定された基準位置条件からX線画像上の基準となる位置を表す原点を求め、その原点に対する内容物の重心位置を算出し、この重心位置のデータ(座標)を、X線検査装置の後段に配置した、前記重心の位置に接触して保持することにより検査済みの被検査物を検査結果に応じた移動先に移動するロボットアームの制御部に出力することにより、被検査物のハンドリングを確実に行なえる。
さらに、搬送手段3に設けたセンサBの検知信号により、X線画像の外形領域における最下流の縁部の位置を検出してX方向の原点Oとすることができるので、被検査物が、X線の照射方向に関する寸法が大きい物品、すなわち高さが比較的大きくX線画像の輪郭がぼけて比較的不明瞭になる物品であっても、ロボットアーム16は、被検査物を重心位置で吸着して確実に保持し、落下させることなく箱詰工程のための所望の位置へ移動させ、又は搬送手段4から排除する等、被検査物のハンドリングを確実に行うことができる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
請求項2に記載されたX線検査装置によれば、
ロボット制御部15は、設定されたY方向の基準位置条件の基となった第2コンベア4の幅方向の所定位置L1を基準とし、X方向の原点Oを示すセンサBの検知信号の入力タイミングと、センサAによる被検査物の入力タイミングを整合させることにより、被検査物の重心位置をロボットアーム16の吸着装置17の移動先として決定することができる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
請求項に記載されたX線検査装置によれば、
基準位置条件設定手段により、X線画像上の基準となる位置を表す原点を求めるために必要なデータや指示を簡単に設定できるので、例えばX線検査装置の後段に配置した製品のハンドリング装置等について交換や配置換え等の変更があった場合でも、原点の再設定を容易に行なうことができる。