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特開2024-52958改善されたタンパク質薬物安定性と低い免疫応答を有する一次容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052958
(43)【公開日】2024-04-12
(54)【発明の名称】改善されたタンパク質薬物安定性と低い免疫応答を有する一次容器
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/05 20060101AFI20240405BHJP
   A61K 38/02 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
A61J1/05 311
A61J1/05 353
A61K38/02
【審査請求】有
【請求項の数】61
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024032347
(22)【出願日】2024-03-04
(62)【分割の表示】P 2021523447の分割
【原出願日】2019-10-29
(31)【優先権主張番号】62/752,007
(32)【優先日】2018-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/891,467
(32)【優先日】2019-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/893,829
(32)【優先日】2019-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】512082716
【氏名又は名称】エスアイオーツー・メディカル・プロダクツ・インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】2250 Riley Street,Auburn,Alabama 36832 U.S.A
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・エス・エイブラムス
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・ジェイ・パンボーン
(72)【発明者】
【氏名】セオドア・ダブリュ・ランドルフ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ヴァイカルト
(57)【要約】
【課題】改善されたタンパク質薬物安定性と低い免疫応答を有する一次容器の提供。
【解決手段】内腔を定義する内部表面を有する射出成型された熱可塑性の壁、PECVD(プラズマ援用化学蒸着)薬物接触コーティング、及び内腔に含有されるポリペプチド組成物を有する一次薬物容器が記載される。薬物接触コーティングは、内部表面上である又は内部表面に隣接し、内腔内の流体と接触するように位置し、本質的にSiOxyzからなる。この一次薬物容器は、溶液1mLあたり、2マイクロメートル超且つ10マイクロメートル(μm)以下の有効球径を有する下限1,000個から上限100,000個の粒子を含有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
・内腔を定義する内部表面を有する射出成型された熱可塑性の壁と;
・前記内部表面上である又は前記内部表面に隣接し、前記内腔内の流体と接触するように位置するPECVD薬物接触コーティング(ここでは、前記薬物接触コーティングは、本質的にSiOxyzからなり、ここでは、
○xは、X線光電子分光法(XPS)によって測定される場合に、0.5から2.4、任意に1.3から1.9であり、
○yは、XPSによって測定される場合に、0.6から3、任意に0.8から1.4であり、
○zは、ラザフォード後方散乱によって測定される場合に、2から9、任意に2から6である)と;
・前記PECVDコーティングと接触して、前記内腔に含有されるポリペプチド組成物と
を含む一次薬物容器であって、
溶液1mLあたり、1,000、或いは2,000、或いは3,000個という下限と、100,000、或いは75,000、或いは50,000、或いは25,000、或いは20,000、或いは18,000、或いは16,000、或いは14,000、或いは12,000、或いは10,000、或いは8,000、或いは6,000、或いは4,000、或いは3,000個という上限の間の、2マイクロメートル超且つ10マイクロメートル(μm)以下の有効球径を有する粒子を含有する一次薬物容器
(ここでは、粒子数は、前記一次薬物容器に、1mg/mL IVIg(0.02%(v/v)PS20を含む250mMグリシン(pH4.25)中)を充填し、前記一次容器を、ヘッドスペース空隙における気泡が、回転ごとにシリンジの一方の端から他方の端まで移動するように、室温で10日間転倒式回転させ、処理された前記一次薬物容器の内容物を、フローイメージング顕微鏡観察を使用して粒子濃度について試験することによって測定される)。
【請求項2】
溶液1mLあたり、10,000、或いは20,000、或いは30,000、或いは40,000、或いは50,000、或いは51,000個という下限と、70,000個という上限の間の、10マイクロメートルを超える有効球径を有する粒子を含有する、請求項1に記載の一次薬物容器(ここでは、前記粒子数は、前記一次薬物容器の内容物を、液体窒素に2分間浸し、次いで30℃のウォーターバスで14.5分間解凍することによる1サイクルの凍結融解にかけ、処理された前記一次薬物容器の内容物を、フローイメージング顕微鏡観察を使用して粒子濃度について試験することによって測定される)。
【請求項3】
・内腔を定義する内部表面を有する射出成型された熱可塑性の壁と;
・前記内部表面上である又は前記内部表面に隣接し、前記内腔内の流体と接触するように位置するPECVD薬物接触コーティングと;
・前記PECVDコーティングと接触して、前記内腔に含有されるポリペプチド組成物と
を含み、
溶液1mLあたり、1,000,000、或いは2,000,000個という下限と、4,000,000、或いは3,000,000個という上限の間の、2マイクロメートル超且つ10マイクロメートル(μm)以下の有効球径を有する粒子を含有する、請求項1~2のいずれか一項に記載の一次薬物容器
(ここでは、前記粒子数は、前記一次薬物容器の内容物を、液体窒素に2分間浸し、次いで30℃のウォーターバスで14.5分間解凍し、次いで5回以上繰り返すことによる6サイクルの凍結融解にかけ、処理された前記一次薬物容器の内容物を、フローイメージング顕微鏡観察を使用して粒子濃度について試験することによって測定される)。
【請求項4】
前記薬物接触コーティングの厚さが、5nmから1000nm、任意に10nmから500nm、任意に10nmから300nmである、請求項1~3のいずれか一項に記載の一次薬物容器。
【請求項5】
前記薬物接触コーティングが、滑らかである、請求項1~4のいずれか一項に記載の一次薬物容器。
【請求項6】
前記薬物接触コーティングが、固体の潤滑コーティングである、請求項1~5のいずれか一項に記載の一次薬物容器。
【請求項7】
前記薬物接触コーティングが、pH保護コーティングである、請求項1~6のいずれか一項に記載の一次薬物容器。
【請求項8】
前記pH保護コーティングが、1μg(マイクログラム)/日未満、或いは0.5μg/日未満、或いは0.4μg/日未満、或いは0.3μg/日未満、或いは0.2μg/日未満のケイ素分解速度を有する、請求項7に記載の一次薬物容器。
【請求項9】
前記薬物接触コーティングが、ガスバリアコーティングである、請求項1~8のいずれか一項に記載の一次薬物容器。
【請求項10】
前記薬物接触コーティングが、化学的に均質であり、均質が、所与の容器の異なる位置におけるSiOxyzのSi、C、及びOにおいて、X線光電子分光法(XPS)分析で決定される5%未満、或いは4%未満、或いは3%未満、或いは2%未満、或いは1%未満の原子の標準偏差(%)を有することと定義される、請求項1~9のいずれか一項に記載の一次薬物容器。
【請求項11】
前記薬物接触コーティングが、流体潤滑剤を含まない、請求項1~10のいずれか一項に記載の一次薬物容器。
【請求項12】
前記薬物接触コーティングが、シリコーンオイルを含まない、請求項1~11のいずれか一項に記載の一次薬物容器。
【請求項13】
少なくとも3、任意に少なくとも5、任意に少なくとも10、任意に少なくとも20、任意に少なくとも50のバリア改善度を提供するバリアコーティング又は層をさらに含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の一次薬物容器。
【請求項14】
・内腔を定義する内部表面を有する射出成型された熱可塑性の壁と;
・前記内部表面上である又は前記内部表面に隣接し、前記内腔内の流体と接触するように位置するPECVD薬物接触コーティングと;
・前記PECVDコーティングと接触して、前記内腔に含有されるポリペプチド組成物と
を含む一次薬物容器であって、
溶液1mLあたり、10,000、或いは20,000、或いは30,000、或いは40,000、或いは50,000、或いは51,000個という下限と、70,000個という上限の間の、10マイクロメートル(μm)を超える有効球径を有する粒子を含有する一次薬物容器
(ここでは、前記粒子数は、前記一次薬物容器の内容物を、液体窒素に2分間浸し、次いで30℃のウォーターバスで14.5分間解凍することによる1サイクルの凍結融解にかけ、処理された前記一次薬物容器の内容物を、フローイメージング顕微鏡観察を使用して粒子濃度について試験することによって測定される)。
【請求項15】
・内腔を定義する内部表面を有する射出成型された熱可塑性の壁と;
・前記内部表面上である又は前記内部表面に隣接し、前記内腔内の流体と接触するように位置するPECVD薬物接触コーティングと;
・前記PECVDコーティングと接触して、前記内腔に含有されるポリペプチド組成物と
を含む一次薬物容器であって、
溶液1mLあたり、1,000,000、或いは2,000,000個という下限と、4,000,000、或いは3,000,000個という上限の間の、2マイクロメートル超且つ10マイクロメートル(μm)以下の有効球径を有する粒子を含有する一次薬物容器
(ここでは、前記粒子数は、前記一次薬物容器の内容物を、液体窒素に2分間浸し、次いで30℃のウォーターバスで14.5分間解凍し、次いで5回以上繰り返すことによる1サイクルの凍結融解にかけ、処理された前記一次薬物容器の内容物を、フローイメージング顕微鏡観察を使用して粒子濃度について試験することによって測定される)。
【請求項16】
・内腔を定義する内部表面を有する壁と;
・前記内部表面上である又は前記内部表面に隣接し、前記内腔内の流体と接触するように位置するPECVD薬物接触コーティングと
を含む一次薬物容器であって、
光遮蔽粒子計数法、或いは動的画像解析によって測定される、溶液1mLあたり、2から50マイクロメートル(μm)の有効球径を有する、10000個未満、任意に9000個未満、任意に8000個未満、任意に7000個未満、任意に6000個未満、任意に5000個未満、任意に4000個未満、任意に3000個未満、任意に2000個未満の粒子を含有する一次薬物容器。
【請求項17】
前記PECVDコーティングと接触して、前記内腔に含有されるポリペプチド組成物をさらに含む、請求項16に記載の一次薬物容器。
【請求項18】
前記PECVDコーティングと接触して、前記内腔に含有されるタンパク質組成物をさらに含む、請求項16~17のいずれか一項に記載の一次薬物容器。
【請求項19】
前記PECVDコーティングと接触して、前記内腔に含有される、本明細書におけるバイオ医薬のリスト上の薬物、又はこれらの2つ以上の任意の組み合わせをさらに含む、請求項16~18のいずれか一項に記載の一次薬物容器。
【請求項20】
シリンジ、カートリッジ、又はバイアル、任意に送達装置、任意にプレフィルドシリンジ又はプレフィルドカートリッジをさらに含む、請求項16~19のいずれか一項に記載の一次薬物容器。
【請求項21】
前記容器が、任意にCOC、COP、ポリプロピレン、PET、ポリカーボネート、ポリスチレンから選択される、ガラス又は熱可塑性物質、好ましくは射出成型可能な熱可塑性物質製である、請求項16~20のいずれか一項に記載の一次薬物容器。
【請求項22】
前記薬物接触コーティングが、本質的にSiOxyzからなり、式中
・xは、X線光電子分光法(XPS)によって測定される場合に、0.5から2.4、任意に1.3から1.9であり、
・yは、XPSによって測定される場合に、0.6から3、任意に0.8から1.4であり、
・zは、ラザフォード後方散乱によって測定される場合に、2から9、任意に2から6である、請求項16~21のいずれか一項に記載の一次薬物容器。
【請求項23】
前記薬物接触コーティングの厚さが、5nmから1000nm、任意に10nmから500nm、任意に10nmから300nmである、請求項16~22のいずれか一項に記載の一次薬物容器。
【請求項24】
前記薬物接触コーティングが、滑らかである、請求項16~23のいずれか一項に記載の一次薬物容器。
【請求項25】
前記薬物接触コーティングが、固体の潤滑コーティングである、請求項16~24のいずれか一項に記載の一次薬物容器。
【請求項26】
前記薬物接触コーティングが、pH保護コーティングである、請求項16~25のいずれか一項に記載の一次薬物容器。
【請求項27】
前記薬物接触コーティングが、ガスバリアコーティング、溶出され得るバリアコーティング、又はこれらの両方である、請求項16~26のいずれか一項に記載の一次薬物容器。
【請求項28】
前記薬物接触コーティングが、タンパク質接着の低下を提供するためにプラズマ処理される、請求項16~27のいずれか一項に記載の一次薬物容器。
【請求項29】
前記薬物接触コーティングが、化学的に均質であり、均質が、所与の容器の異なる位置におけるSiOxCyHzのSi、C、及びOにおいて、X線光電子分光法(XPS)分析で決定される5%未満、或いは4%未満、或いは3%未満、或いは2%未満、或いは1%未満の原子の標準偏差(%)を有することと定義される、請求項16~28のいずれか一項に記載の一次薬物容器。
【請求項30】
前記薬物接触コーティングが、流体潤滑剤を含まない、請求項16~29のいずれか一項に記載の一次薬物容器。
【請求項31】
前記薬物接触コーティングが、シリコーンオイルを含まない、請求項16~30のいずれか一項に記載の一次薬物容器。
【請求項32】
少なくとも3、任意に少なくとも5、任意に少なくとも10、任意に少なくとも20、任意に少なくとも50のバリア改善度を提供するバリアコーティング又は層をさらに含む、請求項16~31のいずれか一項に記載の一次薬物容器。
【請求項33】
前記内部表面と前記PECVD薬物接触コーティングとの間に配置される接着コーティング又は層をさらに含む、請求項16~32のいずれか一項に記載の一次薬物容器。
【請求項34】
pH5~9に対するpH保護コーティング又は層をさらに含む、請求項16~33のいずれか一項に記載の一次薬物容器。
【請求項35】
前記pH保護コーティングが、1μg(マイクログラム)/日未満のケイ素分解速度を有する、請求項34に記載の一次薬物容器。
【請求項36】
前記pH保護コーティングが、0.5μg/日未満のケイ素分解速度を有する、請求項34~35のいずれか一項に記載の一次薬物容器。
【請求項37】
前記pH保護コーティングが、0.4μg/日未満のケイ素分解速度を有する、請求項34~36のいずれか一項に記載の一次薬物容器。
【請求項38】
前記pH保護コーティングが、0.3μg/日未満のケイ素分解速度を有する、請求項34~37のいずれか一項に記載の一次薬物容器。
【請求項39】
前記pH保護コーティングが、0.2μg/日未満のケイ素分解速度を有する、請求項34~38のいずれか一項に記載の一次薬物容器。
【請求項40】
前記薬物接触コーティングが、本質的にPECVD SiOxCyHzコーティング又は層からなり、式中
・xは、X線光電子分光法(XPS)によって測定される場合に、0.5から2.4、任意に1.3から1.9であり、
・yは、XPSによって測定される場合に、0.6から3、任意に0.8から1.4であり、
・zは、ラザフォード後方散乱によって測定される場合に、2から9、任意に2から6であり、
前記一次薬物容器が、前記薬物接触コーティングと前記内部表面との間のPECVD SiOxバリアコーティング又は層、及び前記バリアコーティング又は層と前記内部表面との間のPECVD SiOxCyHz接着性コーティング又は層をさらに含む、請求項16~39のいずれか一項に記載の一次薬物容器。
【請求項41】
前記薬物接触コーティングが、
・SiOxCyHz又はSiNxCyHzを含む又はSiOxCyHz又はSiNxCyHzからなる結合コーティング又は層(式中、xは、X線光電子分光法(XPS)によって測定される場合に約0.5から約2.4であり、yは、XPSによって測定される場合に約0.6から約3であり、zは、ラザフォード後方散乱分光法(RBS)又は水素前方散乱分析法(HFS)の少なくとも1つによって測定される場合に約2から約9である)であって、
壁表面に面する外側表面を有し、且つ内側表面を有する結合コーティング又は層;
・SiOxのバリアコーティング又は層(式中、xは、XPSによって測定される場合に、約1.5から約2.9である)であって、前記結合コーティング又は層の前記内側表面と前記内腔との間に位置するバリアコーティング又は層;及び
・前記バリアコーティング又は層と前記内腔の間に位置する、SiOxCyHzのpH保護コーティング又は層(式中、xは、XPSによって測定される場合に、約0.5から約2.4であり、yは、XPSによって測定される場合に約0.6から約3であり、zは、RBS又はHFSの少なくとも1つによって測定される場合に約2から約9である)
を含む、請求項16~40のいずれか一項に記載の一次薬物容器。
【請求項42】
任意にストレス条件下で、同じサイズのホウケイ酸及びシリコン処理ガラス容器よりも低い粒子レベルを有する、請求項41に記載の一次薬物容器。
【請求項43】
前記薬物接触コーティングが、前記pH保護コーティングの最上部にSiOxCyHz(式中、xは0.5~2.4であり、yは0.6~3であり、x及びyはX線光電子分光法(XPS)によって測定され、zは2~9であり、zはラザフォード後方散乱分析によって測定される)の潤滑性コーティング又は層をさらに含む、請求項41~42のいずれか一項に記載の一次薬物容器。
【請求項44】
前記潤滑性コーティングが、有機ケイ素前駆体としてオクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)を使用してPECVDによって調製される、請求項41~43のいずれか一項に記載の一次薬物容器。
【請求項45】
前記内部表面が、一般に円柱状であり、前記内部表面に位置する且つ前記内部表面内を滑ることができるプランジャーをさらに含む、請求項1~44のいずれか一項に記載の一次薬物容器。
【請求項46】
前記プランジャーが、Oリングプランジャーである、請求項45に記載の一次薬物容器。
【請求項47】
前記プランジャーが、前記一次薬物容器を保管する間の使用のための第1ポジションと、前記一次薬物容器から薬物を分注する間の使用のための第2ポジションを有する、2ポジションプランジャーである、請求項45~46のいずれか一項に記載の一次薬物容器。
【請求項48】
前記内腔及び遠位端と連絡している体内送達管を有する皮下針をさらに含む、請求項45~47のいずれか一項に記載の一次薬物容器。
【請求項49】
針シールドをさらに含む、請求項45~48のいずれか一項に記載の一次薬物容器。
【請求項50】
前記針の先端が、前記針シールドに覆われている、請求項45~49のいずれか一項に記載の一次薬物容器。
【請求項51】
前記粒子数が、注射用水が前記内腔に入れられた後、すぐに、任意に1日後に、任意に1か月後に、任意に3か月後に、任意に1年後に測定される、請求項1~50のいずれか一項に記載の一次薬物容器。
【請求項52】
前記粒子数が、前記ポリペプチド組成物が前記内腔に入れられた後、1日後に、任意に1か月後に、任意に3か月後に、任意に1年後に、任意に治療有効期間の最後に測定される、前記PECVDコーティングと接触して、前記内腔に含有されるポリペプチド組成物をさらに含む、請求項1~51のいずれか一項に記載の一次薬物容器。
【請求項53】
動物の治療の方法であって、
請求項I-B-1~I-F-2のいずれか一項に記載の一次薬物容器に含有されるポリペプチド製剤を提供することと;
前記一次薬物容器からの前記ポリペプチド製剤を、動物に投与することと
を含み、ここで、前記一次薬物容器は、前記ポリペプチド製剤を投与する結果としての免疫応答を生じるリスクを、シリコン処理ガラス一次薬物容器からの前記ポリペプチド製剤を投与することと比較して低下させるのに有効である方法。
【請求項54】
前記一次薬物容器が、プレフィルドシリンジである、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記一次薬物容器が、プレフィルドカートリッジである、請求項53~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記一次薬物容器が、プレフィルドバイアルである、請求項53~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記ポリペプチド製剤が、本明細書に列挙された1から242までの番号が付けられた薬物のうちの1つを含む又は本質的にこれらからなる、請求項53~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記プレフィルドシリンジが、本明細書におけるバイオ医薬のリスト上の薬物、又はこれらの2つ以上の任意の組み合わせをさらに含む、請求項53~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記プレフィルドカートリッジが、本明細書におけるバイオ医薬のリスト上の薬物、又はこれらの2つ以上の任意の組み合わせをさらに含む、請求項53~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記プレフィルドバイアルが、本明細書におけるバイオ医薬のリスト上の薬物、又はこれらの2つ以上の任意の組み合わせをさらに含む、請求項53~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記一次薬物容器が、プレフィルドカートリッジであり、投与の種類が、鼻腔内、皮内、皮下、筋肉内、静脈内、骨内、腹腔内、髄腔内、硬膜外、心臓内、関節内、空洞内、硝子体内、脳内、脳室内、門脈内、又は吸入から選択される、請求項60に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権及び参照による引用
本出願は、以下のもの:2018年10月29日に出願された米国仮特許出願第62/752,007号明細書;2019年8月26日に出願された米国仮特許出願第62/891,467号明細書;及び2019年8月30日に出願された米国仮特許出願第62/893,829号明細書のそれぞれの優先権を主張する。開示の継続性を提供するために、この段落で特定された各出願の全体を、本明細書に参照によって組み込む。
【背景技術】
【0002】
生物製剤は、組換えDNAを伴う生物学的プロセスを用いて生成される治療薬の分類である。生物製剤には、治療用タンパク質が含まれる。伝統的に、これらの薬物は、タイプ1ホウケイ酸ガラスから構成される一次容器に保管されてきた。これらの一次容器には、バイアル、プレフィルドシリンジ、及びカートリッジが含まれる。これらの薬物は、その有効期間を通じて一次容器に保管される。
【0003】
タンパク質ベースの薬物は、変性する可能性があることが観察されている。タンパク質は、アンフォールディング又は部分的アンフォールディングによって変性する可能性がある。こうした立体構造的に攪乱された種は、凝集しがちであり、それによって、薬物製品中の粒子の存在がもたらされる可能性がある。一次容器は、タンパク質を変性させる可能性がある。次の要因が特定されている:
・空気/液体境界面-容器中の空気ヘッドスペース。空気/液体境界面は、タンパク質凝集の主な原因である。典型的には、この境界面は、バイアルでは、プレフィルドシリンジよりもかなり大きい。
・薬物と容器壁との間の境界面-固体/液体境界面
・シリコーンオイル潤滑剤-シリコーンオイルの液滴が、シリンジ壁から剥がれ、薬物と相互作用する。これらの液滴は、液体中のタンパク質をアンフォールディングさせ、潜在的に凝集させる。
【0004】
生物製剤に関する大きな問題は、患者に投与された時に、有害な免疫応答を誘発する恐れがあるという可能性である。免疫応答は、患者に注入される薬物中の凝集物(粒子)によって引き起こされる可能性がある。これらの凝集は、患者における抗体の産生を引き起こす:これは、(1)薬物を無効にする又は(2)深刻な免疫応答を引き起こす。少量の粒子が、免疫応答を引き起こす可能性がある。薬物中で凝集するタンパク質の割合は、とてもとても小さいかもしれないが、免疫応答を引き起こす可能性がある。例えば、多発性硬化症及びクローン病に対して生物製剤で治療された患者は、2年以内に免疫応答を発症する可能性がある。これは、薬物の有効性を低下させる可能性があり、患者に薬物の摂取を停止することを求める及び/又は患者に薬物を切り替えることを求める可能性がある。
【0005】
タンパク質ベースの薬物の数は、過去5年にわたって著しく増加しており、この傾向は続くであろう。薬物療法は、より慢性の適応症を治療するために使用されるようになっている。これは、患者が、より長い間薬物を摂取している、また、薬物によって引き起こされる副作用をより受けやすくなっていることを意味する。以前は、タンパク質薬物は、急性の適応症のために摂取され、副作用は限られていた。
【0006】
薬物中の粒子状夾雑物の量は、有効期間にわたって増大する可能性がある。タンパク質治療薬の製剤中には、mLあたり何百万個もの粒子を検出することができる。この濃度の数値は、典型的には、非常に小さい質量の粒子に相当するが、免疫応答を引き起こすのに十分であり得る。
【0007】
一次薬物容器は、薬物が保管中にそれと直接的に接触する容器である。一次薬物容器のいくつかの非限定的な例は、プレフィルドシリンジ、カートリッジ、及びバイアルである。
【0008】
一次薬物容器中の粒子コンタミネーションの問題は、ガラス製の容器において、特に深刻である。例えば、Pharmacopeia(USP),Chapter 1660,Evaluation of The Inner Surface Durability of Glass Containers(これは、ガラスと接触する薬物中の小粒子を生じる、ガラスの分解をもたらす可能性がある、相分離及び他の因子によって引き起こされるガラス表面の不均質性を明らかにしている)を参照のこと。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、内腔を定義する内部表面を有する射出成型された熱可塑性の壁、PECVD(プラズマ援用化学蒸着(plasma-enhanced chemical vapor deposition))薬物接触コーティング、及び内腔に含有されるポリペプチドを含む一次薬物容器である。薬物接触コーティングは、内部表面上である又は内部表面に隣接し、内腔内の流体と接触するように位置し、本質的にSiOxyzからなる。SiOxyzにおいて、xは、X線光電子分光法(XPS)によって測定される場合に、0.5から2.4、任意に1.3から1.9であり、yは、XPSによって測定される場合に、0.6から3、任意に0.8から1.4であり、zは、ラザフォード後方散乱によって測定される場合に、2から9、任意に2から6である。この一次薬物容器は、溶液1mLあたり、2マイクロメートル超且つ10マイクロメートル(μm)以下の有効球径を有する下限1,000個から上限100,000個の粒子を含有する。
【0010】
本発明の別の態様は、壁とPECVD薬物接触コーティングとを含む一次薬物容器である。壁は、内腔を定義する内部表面を有する。PECVD薬物接触コーティングは、内部表面上に支持される又は内部表面に隣接し、内腔内の流体と接触するように位置する。この一次薬物容器は、溶液1mLあたり、2から50マイクロメートル(μm)の直径を有する10000個未満の粒子(光遮蔽粒子計数法によって測定される)を含有する。
【0011】
本発明の他の態様は、明細書、図面、及び本明細書の特許請求の範囲から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本明細書において後に実施例1に記述する粒子計数プロトコルを使用する、コーティングされていない6mLバイアルのロットにおける、mLあたりの10μm(マイクロメートル)未満の直径の粒子の数を示すプロットである。
図2】本明細書において後に実施例1に記述する粒子計数プロトコルを使用する、コーティングされていない6mLバイアルのロットにおける、mLあたりの25μm(マイクロメートル)未満の直径の粒子の数を示すプロットである。
図3】本明細書において後に実施例1に記述する粒子計数プロトコルを使用する、コーティングされていない6mLバイアルのロットにおける、mLあたりの50μm(マイクロメートル)未満の直径の粒子の数を示すプロットである。
図4】本明細書において後に実施例1に記述する粒子計数プロトコルを使用する、コーティングされていない6mLバイアルのロットにおける、100容器あたりの50から100μm(マイクロメートル)の直径の粒子の数を示すプロットである。
図5】本明細書において後に実施例1に記述する粒子計数プロトコルを使用する、コーティングされていない6mLバイアルのロットにおける、100容器あたりの100μm(マイクロメートル)を超える直径の粒子の数を示すプロットである。
図6】3層コーティング(接着、バリア、及びpH保護)(pH保護コーティングは薬物接触面上である)、及び任意に、薬物接触面を定義するのではないシリコーンオイルを含まない潤滑剤のさらなるコーティング(PECVD潤滑コーティング)を示す、固定針環状オレフィンポリマーシリンジ筒又は壁の、拡大された部分を伴う概略断面図である。
図7】本明細書において後に実施例1に記述する粒子計数プロトコルを使用する、10倍を超える数の2~50μm直径の粒子を示す、図6の3層及び任意のさらなるコーティングに起因するmLあたりの粒子の数(左側)と、従来法でシリコーンオイルの表面被覆で潤滑されたガラスシリンジでのmLあたりの粒子の数(右側)との比較である。
図8図7の従来法でシリコーンオイル(ポリジメチルシロキサン)の表面被覆で潤滑させたガラスシリンジに対する、多数の流動性の潤滑剤粒子を特定する、本明細書において後に記述する対応する粒子計数プロトコルを使用する、Beckman Coulter HIAC 9703+液中パーティクルカウンター(Liquid Particle Counter)の出力フィールドである。
図9】様々なストレス/製剤/容器タイプによって生じたすべての粒子状試料についての、2から10ミクロンの直径を有する粒子についての図21(C3aデータ、より低いプロット)及び22(C5aデータ、より高いプロット)のデータを重ね合わせたプロットである。
図10】10ミクロンを超える直径を有する粒子についての対応するデータを示す、図9と同様のプロットである。直径10ミクロンを超える粒子について、補体活性化と粒子濃度についての相関は示されない。
図11】バイアル中のIVIg粒子に応答する補体活性化が、2から10ミクロンの直径を有する粒子について、粒子媒介性であることを示す、図9と同様のプロットである。
図12】シリンジ中のIVIg粒子に応答する補体活性化が、2から10ミクロンの直径を有する粒子について、粒子媒介性であることを示す、図11と同様のプロットである。
図13】実施例4に記載した通りに処理された、ストレスを与えられたIVIg試料のフローイメージング顕微鏡観察から得られたコラージュである。このコラージュは、オービタルシェーカー上でガラスシリンジ中で一晩振盪させることによって処理されたIVIg試料中に存在する粒子のランダムに選択された一連の画像である。
図14】ストレスを与えられたIVIg試料のフローイメージング顕微鏡観察から得られた、図13と同様のコラージュである。このコラージュは、SiOPlas(商標)シリンジ中の10日の転倒式回転(end-over-end rotation)によって処理されたIVIg試料中に存在する粒子のランダムに選択された一連の画像である。
図15】ストレスを与えられたIVIg試料のフローイメージング顕微鏡観察から得られた、図13と同様のコラージュである。このコラージュは、オービタルシェーカー上でSiOPlas(商標)シリンジ中で一晩振盪させることによって処理されたIVIg試料中に存在する粒子のランダムに選択された一連の画像である。
図16】ストレスを与えられたIVIg試料のフローイメージング顕微鏡観察から得られた、図13と同様のコラージュである。このコラージュは、ガラスバイアル中で6回凍結融解させることによって処理されたIVIg試料中に存在する粒子のランダムに選択された一連の画像である。
図17】ストレスを与えられたIVIg試料のフローイメージング顕微鏡観察から得られた、図13と同様のコラージュである。このコラージュは、シリコーンオイルで潤滑されたガラスシリンジ中の10日の転倒式回転によって処理されたIVIg試料中に存在する粒子のランダムに選択された一連の画像である。
図18】ストレスを与えられたIVIg試料のフローイメージング顕微鏡観察から得られた、図13と同様のコラージュである。このコラージュは、SiOPlas(商標)バイアル中で6回凍結融解させることによって処理されたIVIg試料中に存在する粒子のランダムに選択された一連の画像である。
図19】IVIg試料内のタンパク質粒子が、ヒト血清試料中のC4a放出濃度を刺激しなかったことを示す、実施例4データのプロットである。濃度は、生理食塩水対照試料のC4aレベルに対する増大(倍)として報告される。粒子濃度は、ヒト血清での10倍希釈前のIVIg製剤中の濃度を指す。線は、相関係数r2=0.005での最小二乗線形適合を表す。
図20】ヒト血清試料中のBb濃度に対する試料粒子レベルの影響を示す、実施例4データのプロットである。濃度は、生理食塩水対照試料のBbレベルに対する増大(倍)として報告される。粒子濃度は、ヒト血清での10倍希釈前のIVIg製剤中の濃度を指す。線は、相関係数r2=0.94での最小二乗線形適合を表す。
図21】ヒト血清試料中のC3a濃度に対する試料粒子レベルの影響を示す、実施例4データのプロットである。濃度は、生理食塩水対照試料のC3aレベルに対する増大(倍)として報告される。粒子濃度は、ヒト血清での10倍希釈前のIVIg製剤中の濃度を指す。線は、相関係数r2=0.85での最小二乗線形適合を表す。
図22】ヒト血清試料中のC5a濃度に対する試料粒子レベルの影響を示す、実施例4データのプロットである。濃度は、生理食塩水対照試料のC5aレベルに対する増大(倍)として報告される。粒子濃度は、ヒト血清での10倍希釈前のIVIg製剤中の濃度を指す。線は、相関係数r2=0.99での最小二乗線形適合を表す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
I-A 薬物
あらゆる実施形態において任意に、一次薬物容器は、PECVDコーティングと接触して、内腔にポリペプチド組成物、例えばバイオ医薬組成物を含有する。
【0014】
あらゆる実施形態において任意に、一次薬物容器は、PECVDコーティングと接触して、内腔にタンパク質組成物を含有する。
【0015】
あらゆる実施形態において任意に、一次薬物容器は、PECVDコーティングと接触して、内腔に含有される、以下の薬物及びその適応症リストからのバイオ医薬又はこれらのものの2つ以上の任意の組み合わせを含有する。
【0016】
生物学的製剤のリスト:
1.レミケード(Remicade)のバイオシミラーとして2016/4/5にJanssen/Johnson&Johnsonに対して承認された、TNF mAb、rDNA(インフレクトラ(Inflectra)-インフリキシマブ-dyyb))、レミケード(Remicade)の現在の承認されている適応症のすべてから推定されるものが含まれる;Celltrionによって製造されている。
【0017】
2.造血幹細胞移植(HSCT)と呼ばれる血液又は骨髄からの幹細胞移植を受けた後の追加的な腎臓又は肺異常を伴う肝静脈閉塞症(VOD)の治療のための、2016/3/30にJazz Pharmaceuticalsに対して承認された、ポリデオキシリボヌクレオチド、ブタ由来(デファイテリオ(Defitelio)-デフィブロチドナトリウム;ポリデオキシリボヌクレオチド、ナトリウム塩)。
【0018】
3.中等症から重症の尋常性乾癬を有する成人の治療のための、2016/3/22にEli Lilly&Co.に対して承認された、IL-17 Mab、rDNA(トルツ(Taltz);イキセキズマブ)。
【0019】
4.吸入炭疽感染症の予防のための(米国生物兵器防御(biodefense)戦略的国家備蓄(Strategic National Stockpile)(SNS)のための)、2016/3/22にElusys Therapeutics,Inc.に対して承認された、炭疽菌Mab、rDNA(Anthim;炭疽菌(Bacillus anthracis)(炭疽菌(anthrax))防御抗原(PA)モノクローナル抗体、組換え型;ETI-204)。
【0020】
5.血友病の治療のための(必要とされる注射の頻度が小さい)、2016/3/17にBayer AGに対して承認された、第VIII因子.rDNA(コバールトリイ(Kovaltry);抗血友病因子(組換え型)。
【0021】
6.糖尿病の治療のための、2015/12/16にBoehringer Ingelheimに対して承認された、インスリングラルギン.rDNA(バサグラー(Basaglar);Abasria;LY2963016);その多くが現在バイオシミラーと呼ばれているであろう505(b)(2)薬物承認。
【0022】
7.遺伝性第X因子欠乏症の治療のための、2015/12/16にBio Products Laboratory Ltd.に対して承認された、第X因子、血液由来(コアガデックス(Coagadex);凝固第X因子(ヒト))。
【0023】
8.フォン・ヴィルブランド病(VWD)の治療のための、2015/12/9にBaxalta U.S.(以前はBaxter)に対して承認された、フォン・ヴィルブランド因子、rDNA(ボンベンディ(Vonvendi))。
【0024】
9.ライソゾーム酸性リパーゼ(LAL)欠損症の治療のための、2015/12/8にAlexion(Synagevaの買収により)に対して承認された、ライソゾーム酸性リパーゼ、鶏卵で発現(カヌマ(Kanuma);セベリパーゼアルファ)(遺伝子操作された動物からの二次産物)。
【0025】
10.インフルエンザの予防のための、2015/12/3にNovartis(製品及びその承認は、CSL Groupの一つであるSeqirusに移されることとなる)に対して承認された、インフルエンザワクチン、4価(フルアド(Fluad);MF59/スクアレンアジュバントを用いるインフルエンザワクチン、不活化、鶏卵培養、4価);初めての米国の非アルミニウムベースのアジュバント添加インフルエンザワクチン。
【0026】
11.1~3回の前治療を受けている、多発性骨髄腫を有する患者の治療のための、レナリドミド及びデキサメタゾンと組み合わせた使用のための、2015/11/30にBristol Myers Squibb(BMS;Abbvieと共同)に対して承認された、SLAMF7 mAb、rDNA(エムプリシティ(Empliciti);エロツズマブ;シグナル伝達リンパ球活性化分子ファミリーメンバー7モノクローナル抗体、組換え型)。
【0027】
12.ゲムシタビン及びシスプラチンと組み合わせた転移性扁平上皮非小細胞肺癌(VWD)の治療のための、2015/11/24にJanssen Biotechに対して承認された、EGFr mAb、rDNA(ポートラーザ(Portrazza)-ネシツムマブ;上皮成長因子受容体モノクローナル抗体)。
【0028】
13.多発性骨髄腫の治療のための、2015/11/16にEli Lillyに対して承認された、CD38 mAb、rDNAダラザレックス(Darzalex)-ダラツムマブ)。
【0029】
14.血友病Aの治療のための、2015/11/11にBaxalta(以前はBaxter)に対して承認された、第VIII因子、rDNA、ペグ化(アディノベイト(Adynovate)-BAX 111)。
【0030】
15.喘息の治療のための、2015/11/4にGlaxoSmithKline(GSK)に対して承認された、IL-5 mAb、rDNA(ヌーカラ(Nucala);メポリズマブ)。
【0031】
16.切除不能な再発性皮膚黒色腫の治療のための、2015/10/27にAlexion Pharmaceuticalsに対して承認された、HSV-1/GM-CSF、rDNA、rDNA(Imlygic-アリモジーン・ラハーパレプベック(alimogene laherparepvec);GM-CSFの発現をもたらす生の単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)腫瘍溶解性ウイルス)。
【0032】
17.出生時、乳児期、及び若年期発症の低ホスファターゼ症(HPP)の治療のための、2015/10/23にAlexion Pharmaceuticalsに対して承認された、アルカリホスファターゼ、rDNA(ストレンジック(Strensiq);アスホターゼアルファ;アルカリホスファターゼ触媒ドメイン融合タンパク質)。
【0033】
18.プラダキサ(Pradaxa)(ダビガトラン)の抗凝血作用を逆行させるための、2015/10/16にBoehringer Ingelheimに対して承認された、ダビガトランmAb、rDNA(Praxbind-イダルシズマブ)。
【0034】
19.真性糖尿病の治療のための、2015/10/16にNovo Nordiskに対して承認された、インスリンデグルデク、rDNA(トレシーバ-インスリンデグルデク)。
【0035】
20.真性糖尿病の治療のための、2015/10/16にNovo Nordiskに対して承認された、インスリンデグルデク/アスパルト、rDNA(ライゾデグ70/30-インスリンデグルデク(同日承認)とインスリンアスパルトの70/30混合物)。
【0036】
21.血友病Aの治療のための、2015/10/16にOctapharma USAに対して承認された、第VIII因子、rDNA(ヌーイック(Nuwiq))。
【0037】
22.高い低密度リポタンパク質(LDL)コレステロールレベルの治療のための、2015/8/27にAmgen Inc.に対して承認を与えられた、PCSK9 mAb、rDNA(レパーサ(Repatha)-エボロクマブ;プロタンパク質転換酵素サブチリシン・ケキシン9型モノクローナル抗体)。
【0038】
23.高い低密度リポタンパク質(LDL)コレステロールレベルの治療のための、2015/7/24にSanofi及びRegeneron Pharmaceuticalsに対して承認を与えられた、PCSK9 mAb、rDNA(プラルエント(Praluent)-アリロクマブ;プロタンパク質転換酵素サブチリシン・ケキシン9型)。
【0039】
24.北米ガラガラヘビ(North American rattlesnake)咬傷の治療のための、Instituto Bioclon S.A.(Mexico)によって製造される、2015/5/6にProFibrix,BVに対して承認を与えられた、マムシ科(Crotalidae)免疫F(ab’)2(ウマ)(Anavip)。
【0040】
25.手術を受けている成人における標準の手術技術による出血の制御が有効でない又は実行不可能である場合の軽度から中等度の出血の治療のための、2015/4/30にThe Medicines Companyに対して承認を与えられた、フィブリンシーラント(RAPLIXA;Raplixaスプレー-ヒト血漿由来のフィブリノゲン及びトロンビン)(元々、合併されたProFibrix,BVによって開発されたもの)。
【0041】
26.血友病Bの治療のための、2015/4/29にCangene/Emergent Biosolutionsに対して承認を与えられた、第IX因子、rDNA(凝固第IX因子(組換え型)-Ixinity)。
【0042】
27.4から6歳の子供におけるジフテリア、破傷風、百日咳、及び灰白髄炎に対する能動免疫獲得のための、2015/3/26にSanofi Pasteurに対して承認を与えられた、DTaP-IPVワクチン(Quadracel-ジフテリア-破傷風トキソイド及び無菌体百日咳吸着及び不活化ポリオウイルス)。
【0043】
28.適切な抗菌薬と組み合わせた吸入炭疽の治療のための、2015/3/24にEmergent BioSolutions Inc.に対して承認を与えられた、炭疽菌免疫グロブリン(炭疽菌免疫グロブリン静脈内(ヒト)-Anthracil;AIGIV)。
【0044】
29.高リスク神経芽腫を有する小児患者の治療のための、(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、インターロイキン-2(IL-2)、及び13-シスレチノイン酸(RA)と組み合わせた)、2015/3/10にUnited Therapeutics Corp.に対して承認を与えられた、GD2 mAb、rDNA(ジヌツキシマブ-ユニツキシン(Unituxin);ch14.18)。
【0045】
30.好中球減少症(ニューポジェン(Neupogen)と同じ適応症)の治療のための、2015/3/6にSandoz/Novartisに対して承認を与えられた、G-CSF、rDNA/サンド(Sandoz)(フィルグラスチム-sndz-ザルシオ(Zarxio);ザルシオ(Zarzio);顆粒球コロニー刺激因子、組換え型);初のバイオシミラー承認。
【0046】
31.白金ベースの化学療法中又は後の、進行を伴う転移性扁平上皮非小細胞肺癌(NSCLC)を有する患者の治療のための、2015/3/4にBristol-Myers Squibb Co.(BMS;Ono Pharm.からライセンスを受けている)に対して承認を与えられた、PD-1 mAb、rDNA/サンド(Sandoz)(ニボルマブ-オプジーボ(Opdivo);ONO-4538;BMS-936558;MDX1106;プログラム細胞死1モノクローナル抗体、組換え型)。
【0047】
32.1型及び2型糖尿病を抱える成人における1日1回の長時間作用性の基礎インスリン治療のための、2015/2/25にSanofiに対して承認を与えられた、インスリングラルギン、rDNA(Toujeo-Gly(A21)-ヒトインスリンArg(B31)-Arg(B32)-OH、組換え型)。
【0048】
33.副甲状腺機能低下症を有する患者における低カルシウム血症(低い血液カルシウムレベル)の治療のための、2015/1/25にNPS Pharmaceuticals(Shireによって合併されている)に対して承認を与えられた、副甲状腺ホルモン(1-84)、rDNA(Natpara;Preos;Preotact)。
【0049】
34.侵襲性髄膜炎菌感染症の予防のための、2015/1/23にNovartisに対して承認を与えられた、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)ワクチン(セクキヌマブ-Bexsero;コセンティクス(Cosentyx))。
【0050】
35.中等症から重症の尋常性乾癬を有する成人の治療のための、2015/1/21にNovartisに対して承認を与えられた、IL-17 mAb、rDNA(セクキヌマブ-コセンティクス(Cosentyx))。
【0051】
36.進行性黒色腫の治療のための(BRAF V600変異陽性腫瘍を有する患者におけるヤーボイ(Yervoy)での治療後の、切除不能又は転移性の黒色腫及び疾患増悪を有する患者のための)、2014/12/22にBristol-Myers Squibbに対して承認を与えられた、プログラム死受容体-1 mAb、rDNA(ニボルマブ-オプジーボ(Opdivo))。
【0052】
37.18~64歳の成人における予防的使用のための、2014/12/12にSanofi Pasteurに対して承認を与えられた、インフルエンザワクチン、4価、i.d.(Fluzone 皮内 4価)。
【0053】
38.9~26歳の女性における予防的使用のための、2014/12/10にMerck&Co.に対して承認を与えられた、HPVワクチン、9価、rDNA(ヒトパピローマウイルス9価ワクチン、組換え型-ガーダシル(Gardasil)9)。
【0054】
39.フィラデルフィア染色体陰性の再発性/抵抗性の前駆B細胞急性リンパ芽球性白血病(ALL)の治療のための、2014/12/03にAmgenに対して迅速承認を与えられた、CD3-CD19二重特異性mAb、rDNA(ブリナツモマブ-AMG103;CD19-CD3二重特異性モノクローナル抗体;CD3-CD19二重特異性T細胞誘導(BiTE));画期的治療薬(breakthrough therapy)指定。
【0055】
40.10~25歳における侵襲性髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清型B株を予防するための能動免疫獲得のための、2014/10/29にPfizerに対して迅速承認を与えられた、髄膜炎菌Bワクチン(髄膜炎菌B群ワクチン-Trumemba)。
【0056】
41.後天性(遺伝性でない)血友病Aを有する成人患者の治療のための、2014/10/24にBaxterに対して承認を与えられた、第VIII因子、ブタrDNA(抗血友病因子(組換え型)、ブタ配列-Obizur;OBI-1;第VIII因子、ブタ組換え型)。
【0057】
42.2型糖尿病を有する成人患者の治療のための、2014/9/18にEli Lilly&Co.に対して承認を与えられた、グルカゴン様ペプチド-1、rDNA(トルリシティ(Trulicity))。
【0058】
43.原発性免疫不全症(PI)を有する成人患者の治療のための、2014/9/12にBaxter(及びHalozyme Therapeutics)に対して承認を与えられた、免疫グロブリン&ヒアルロニダーゼrDNA(組換え型ヒトヒアルロニダーゼを含む免疫グロブリン注入液10%(ヒト)-HYQVIA;ガンマガード(Gammagard)をハイレネックス(Hylenex)と組み合わせたもの)。
【0059】
44.他の治療法に応答しない進行性黒色腫を有する患者の治療のための、2014/9/4にMerck&Co.に対して承認を与えられた、PD-1 mAb、rDNA(キイトルーダ(Keytruda)-ペムブロリズマブ;MK-3475)。
【0060】
45.糖尿病の治療のための、2014/8/18にBoehringer Ingelheimと提携するEli Lilly&Co.に対して暫定的承認を与えられた、インスリングラルギン、rDNA/Lilly(バサグラー(Basaglar))。
【0061】
46.再発型の多発性硬化症(RMS)の治療のための、2014/8/15にBiogen Idecに対して承認された、インターフェロンβ-1a、PEG-、rDNA(プレグリディ(Plegridy))。
【0062】
47.遺伝性血管性浮腫(HAE)を有する成人及び青年患者における急性の血管性浮腫発作の治療のための、2014/7/17にSalix Pharmaceuticals,Ltd.(及びPharming Group NV)に対して承認された、C1-エステラーゼ阻害剤、rDNA(コネスタットアルファ-Rhucin;ルコネスト(Ruconest);C1INH;C1-INH;ヒト補体C1エステラーゼ阻害剤、組換え型、トランスジェニックウサギ)。
【0063】
48.真性糖尿病を有する成人における血糖コントロールを改善するための、2014/6/27にMannKind Corpに対して承認された、インスリン、rDNA、吸入/MannKind(インスリン ヒト(rDNA起源))吸入粉末-アフレッツァ(Afrezza);Afresa吸入粉末;Technosphereインスリン)。
【0064】
49.血友病Aの治療のための、2014/6/6にBiogen Idec Inc.に対して承認された、第VIII因子/Biogen-Idec、rDNA(イロクテイト(Eloctate))。
【0065】
50.潰瘍性大腸炎及びクローン病の治療のための、2014/5/20にTakeda Pharmaceuticals America,Inc.に対して承認された、インテグリンmAb、rDNA(エンタイビオ(Entyvio)-ベドリズマブ(vedolizumab))。
【0066】
51.多中心性キャッスルマン病(MCD)の治療のための、2014/4/23にJanssen/J&Jに対して承認された、IL-6 mAb、rDNA(Sylvant-シルツキシマブ;CNTO 328)。
【0067】
52.進行胃癌の治療のための、2014/4/21にEli Lilly&Co.に対して承認された、VEGF-2 mAb、rDNA(VEGRFr mAb-サイラムザ;ラムシルマブ)。
【0068】
53.2型糖尿病における血糖コントロールのための、2014/4/15にGlaxoSmithKline(GSK)に対して承認された、GLP-1/アルブミン融合タンパク質、rDNA(Tanzeum-グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)-アルブミン融合タンパク質)。
【0069】
54.血友病Bの治療のための、2014/3/28にBiogen Idecに対して承認された、第IX因子-Fc融合タンパク質、rDNA(凝固第IX因子(組換え型)、Fc融合タンパク質-オルプロリクス(Alprolix);第IX因子-XTEN)。
【0070】
55.膝の変形性関節症の治療のための、2014/2/25にAnika Therapeuticsに対して承認された、ヒアルロン酸、架橋(Monovisc)。
【0071】
56.レプチン欠損症の合併症を治療するための補充療法として、2014/2/24に承認された、レプチン、rDNA(メトレレプチン-メチオニルヒトレプチン、組換え型)。
【0072】
57.ムコ多糖症IVA型(モルキオA症候群)の治療のための、2014/2/14にBioMarinに対して承認された(Johnson&Johnsonの一部門であるDePuy Synthesによって販売されている)、N-アセチルガラクトサミン-6-スルファターゼ、rDNA(エロスルファーゼアルファ-ビミジム;N-アセチルガラクトサミン-6-スルファターゼ;rhGALNS;BMN-110、エロスルファーゼアルファ;コンドロイチンスルファターゼ)。
【0073】
58.先天性第XIII因子Aサブユニット欠損症(血友病)を有する成人及び子供における出血の日常的な予防のための、2013/12/23にNovo Nordisk A/Sに対して承認された、第XIII因子、rDNA(凝固第XIII因子Aサブユニット(組換え型)-Tretten)。
【0074】
59.一般にトリインフルエンザとして公知のH5N1インフルエンザの予防のための、2013/11/22にID Biomedical/GSKに対して承認された、インフルエンザワクチン、H5N1(インフルエンザA(H5N1)ウイルス一価ワクチン、アジュバント添加);パンデミック/生物兵器防御備蓄用途に限るが、鶏卵培養AS03をアジュバント添加されたこのワクチンに対して、完全なBLAが承認された。
【0075】
60.これまでに治療されていない慢性リンパ性白血病(CLL)の治療のための、クロラムブシル化学療法と組み合わせた使用のための、2013/11/1にGenentech/Rocheに対して承認された、CD20 mAb、rDNA/Roche(オビヌツズマブ-ガザイバ(Gazyva);GA101)。
【0076】
61.破傷風及びジフテリア予防のための、2013/10/25にSanofiに対して承認された、破傷風及びジフテリアトキソイド沈降精製(Adsorbed)(Tenivac)。
【0077】
62.血友病Aの治療のための、2013/10/15にNovo Nordiskに対して承認された、第VIII因子、rDNA/Novo(抗血友病因子(組換え型)-ノボエイト(NovoEight);第VIII因子、組換え型)。
【0078】
63.インフルエンザ予防のための、2013/8/16にGlaxoSmithKline(GSK)に対して承認された、インフルエンザワクチン、4価/GSK(Flulaval 4価)。
【0079】
64.中程度から重度に活動性の関節リウマチの治療のための、2013/7/18にJanssen Biotech,Johnson&Johnsonに対して完全なBLAが承認された、TNF Mab、rDNA、ヒト/J&J(ゴリムマブ-Simponi Aria)。
【0080】
65.血友病Bの治療のための、2013/6/27にBaxter Healthcareに対して承認された、第IX因子、rDNA/Baxter(凝固第IX因子(組換え型)-リクスビス(Rixubis))。
【0081】
66.インフルエンザ予防のための、2013/6/10にSanofiに対して承認された、インフルエンザワクチン、4価/Sanofi(Fluzone 4価)。
【0082】
67.急な大量出血を有する成人患者におけるビタミンKアンタゴニスト(VKA、例えばワルファリン)療法によって誘発される後天性凝固因子欠乏症の緊急の逆行のための、2013/4/29にCSL Behring GmbHに対して承認された、プロトロンビン複合体/CSL(プロトロンビン複合体濃縮物(ヒト)-ケイセントラ(Kcentra))。
【0083】
68.ボツリヌス神経毒素への実証されている曝露又は曝露の疑い後のボツリヌス中毒の治療のための、2013/3/23にCangene Corp.に対して承認された、ボツリヌス抗毒素/A-G(ボツリヌス抗毒素7価(A、B、C、D、E、F、G)-(ウマ);ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)毒素免疫グロブリン、ウマ)。
【0084】
69.HER2陽性転移性乳癌(mBC)の治療のための、2013/2/22にGenentech/Rocheに対して承認された、HER2受容体Mab-DM1、rDNA(ado-トラスツズマブエムタンシン-カドサイラ;トラスツズマブエムタンシン;トラスツズマブ-DM1;T-DM1;トラスツズマブ-MCC-DM1;ハーセプチン-DM1複合体)。
【0085】
70.ホモ接合性家族性高コレステロール血症(HoFH)を有する患者における低密度リポタンパク質-コレステロール(LDL-C)、アポリポタンパク質B(Apo B)、総コレステロール(TC)、及び非高密度リポタンパク質-コレステロール(非HDL-C)を低下させるための、脂質を低下させる薬物及び食事に対する補助剤としての使用のための、2013/1/17にIsis Pharmaceuticals及びGenzyme/Sanofiに対して承認された、アポリポタンパク質B、アンチセンス(ミポメルセン-Kynamro;ISIS 301012)。
【0086】
71.凝固タンパク質(凝固因子)の必要とされる補充のための、2013/1/17にOctapharma AGに対して承認された、プラズマ(Plasma)SD/Octapharma(オクタプラス-血漿、溶媒-洗剤 不活化)。
【0087】
72.18~49歳の人におけるインフルエンザの予防のための、2013/1/17にProtein Sciences Corp.に対して承認され、Emergent Biosolutions,Inc.によって販売されている、インフルエンザワクチン、rHA、rDNA(インフルエンザワクチン、精製された組換え型インフルエンザ赤血球凝集素-FluBlok;インフルエンザ赤血球凝集素ワクチン、昆虫細胞培養、組換え型)。
【0088】
73.静脈内栄養補給からの追加の栄養(非経口栄養)を必要とする、短腸症候群(SBS)を有する成人の治療のための、2012/12/21にNPS Pharmaceuticalに対して承認された、グルカゴン様ペプチド2、rDNA(テデュグルチド(rDNA起源)-GATTEX)。
【0089】
74.原発性免疫不全障害(PIDD)の治療のための、2012/12/20にBiotest Pharmaceuticals Corp.に対して承認された、免疫グロブリン(IGIV)/Biotest(免疫グロブリン静脈内(ヒト)-Bivigam)。
【0090】
75.水痘の重症度を低下させるための、高リスク個人における水痘の曝露後予防のための、2012/12/19にCangene Corp.に対して承認された、水痘帯状疱疹免疫グロブリン/Cangene(水痘帯状疱疹免疫グロブリン(ヒト)-VariZIG;VZVIG)。
【0091】
76.このワクチンにおける抗原によって提示される4種の季節性インフルエンザ(flu)ウイルスA亜型及びB型株によって引き起こされる疾患の予防のための、2012/12/17にGlaxoSmithKline(GSK)に対して承認された、フルアリックス(Fluarix)4価(インフルエンザウイルスワクチン-フルアリックス(Fluarix)4価)。
【0092】
77.代替療法が利用可能でない又は適切でない場合の吸入炭疽の治療及び吸入炭疽の予防のための、2012/12/14にGlaxoSmithKline(GSK)の子会社であるHuman Genome Sciences Inc.に対して承認された、炭疽菌Mab、rDNA/HGSI(ラキシバクマブ-ABthrax;炭疽菌(Bacillus anthracis)防御抗原ヒトモノクローナル抗体、組換え型)。
【0093】
78.手術中の問題となる出血を止める助けとしての使用のための、Omrix Biopharmaceuticals Ltd.(イスラエル)によって製造されている、2012/12/7にEthicon Biosurgery,Johnson&Johnson(J&J)に対して承認された、フィブリンシーラントパッチ/J&J(フィブリンシーラントパッチ-ヒトフィブリノゲン及びヒトトロンビン-EVARRESTフィブリンシーラントパッチ)。
【0094】
79.18歳以上の人における、季節性インフルエンザの予防のための、2012/11/20にNovartisに対して承認された、インフルエンザワクチン、MDCK培養/Novartis(Flucelvax;Optaflu;インフルエンザウイルスワクチン、不活化)(米国における初の細胞培養インフルエンザワクチン)。
【0095】
80.症候性硝子体黄斑癒着の治療のための、2012/10/18にThromboGenicsに対して承認された、マイクロプラスミン、rDNA(オクリプラスミン-Jetrea)。
【0096】
81.骨髄に影響を与える化学療法を受けているある種の型の癌(非骨髄悪性腫瘍)を有する患者における重度の好中球減少症の期間を低下させるために、2012/8/30にSicor Biotech(Teva Pharmaceuticals)に対して完全なBLAが承認された、G-CSF、rDNA/Teva(フィルグラスチム;ニューポジェン(Neupogen)、及びEUにおいてニューポジェン(Neupogen)のバイオシミラーとして承認されたTevaGrastinと同じ活性剤)。
【0097】
82.オキサリプラチン含有レジメンに対して抵抗性である又はオキサリプラチン含有レジメン後に進行している転移性大腸癌(mCRC)の治療のための、5-フロウロウラシル(flourouracil)、ロイコボリン、イリノテカン-(FOLFIRI)と組み合わせた使用のための、2012/8/3にSanofi(Regeneronと共同)に対して承認された、VEGF Trap、rDNA(ziv-アフリベルセプト-ザルトラップ(Zaltrap))。
【0098】
83.髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清型C及びY株並びにインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)b型によって引き起こされる侵襲性疾患の予防のための、2012/6/14にGlaxoSmithKlineに対して承認された、MenC-Hibワクチン(髄膜炎C及びY群並びにヘモフィルスb破傷風トキソイド結合型ワクチン-MenHibrix)(以前に承認されたワクチンの組み合わせ)。
【0099】
84.HER2陽性転移性乳癌の第一選択治療のための、ハーセプチン(Herceptin)(トラスツズマブ)及びドセタキセル化学療法と組み合わせた使用のための、2012/6/8にGenentech/Rocheに対して承認された、HER2受容体Mab、rDNA/2C4(ペルツズマブ-Perjeta;オムニターグ;2C4)。
【0100】
85.ゴーシェ病の治療のための、2012/5/1にProtalix BioTherapeutics Inc.及びPfizer(BLA保有者)に対して承認された、グルコセレブロシダーゼ、rDNA/Protalix(タリグルセラーゼアルファ-Elelyso;Uplyso;βグルコセレブロシダーゼ、組換え型(ニンジンで発現);prGCD)(Genzyme/Sanofiによるセレザイム(Cerezyme)のバイオベター版と考えられ得る)。
【0101】
86.歯肉歯槽粘膜(歯肉;口腔組織)状態の治療における、外科的に作られた血管創傷床への局所適用のための、2012/3/9にOrganogenesis Inc.に対して承認された、ヒト細胞、自己/ウシコラーゲン基質(ウシコラーゲン中の同種培養角化細胞及び線維芽細胞-GINTUIT)(口腔組織適用のための、初の細胞ベースの製品)。
【0102】
87.希少な膵機能不全適応症の治療のための、2012/3/1にAptalis Pharmaに対して承認された、膵酵素(パンクレリパーゼ-Ultresa;Viokase)(長期間販売されている、既得権に基づく薬物製品に対する初の全面的な承認)。
【0103】
88.季節性インフルエンザの予防のための、2012/2/29にMedImmune(AstraZeneca)に対してsBLAが承認された、インフルエンザワクチン、生の鼻腔内4価(フルミスト(FluMist)4価;インフルエンザワクチン生ワクチン、鼻腔内)。
【0104】
89.メトトレキサート毒性の治療のための、2012/1/18にBTG plc(以前はProtherics)に対して承認された、カルボキシペプチダーゼ、rDNA-(グルカルピダーゼ-Voraxaze;CPG2;カルボキシペプチダーゼG2、組換え型)。
【0105】
90.滲出型(新生血管)加齢黄斑変性(AMD)の治療のための、2011/11/18にRegeneron Pharmaceuticals(Bayerによって世界的に販売されている)に対して承認された、VEGF Trap、rDNA-(アフリベルセプト-アイリーア(Eylea);VEGF Trap-Eye)。
【0106】
91.急性リンパ芽球性白血病(ALL)の治療のための、2011/11/18にEUSA Pharma Inc.に対して承認された、アスパラギナーゼ/エルウィニア-(エルウィナーゼ(Erwinaze)-アスパラギナーゼ黒脚病菌(Erwinia chrysanthemi);エルウィナーゼ(Erwinase);L-アスパラギンアミノヒドロラーゼ;L-アスパラギナーゼ)。
【0107】
92.造血(血液形成)系に影響を与える障害を有する患者における造血幹細胞移植手順に使用するための、2011/11/10にNew York Blood Center,Inc.に対して承認を与えられた、臍帯血幹細胞-(HEMACORD;造血前駆細胞-臍帯(HPC-C)細胞療法)。
【0108】
93.ホジキンリンパ腫の治療のための、2011/8/19にSeattle Genetics,Inc.に対して、希少疾病用医薬品状況で迅速承認を与えられた、CD30 mAb-モノメチルアウリスタチンE-(アドセトリス(Adcetris);ブレンツキシマブベドチン;CD30 mAb-細胞毒結合体);現在、米国市場における唯一の免疫毒素。
【0109】
94.Instituto Bioclon,S.A.(メキシコ)によって製造されている、サソリ刺傷の治療のための、2011/8/3にRare Disease Therapeutics Inc.に対して承認された、セントルロイデス属(Centruroides)(サソリ(Scorpion))免疫F(ab)2(ウマ)注射(Anascorp)。
【0110】
95.鼻唇溝のしわ(ほうれい線)の外見の治療のための、2011/6/22にFibrocell Science,Inc.に対して承認された、線維芽細胞、自己(azfibrocel-T-laViv;Isolagen療法)。
【0111】
96.成人腎臓移植患者における急性拒絶反応の予防のための、2011/6/15にBristol-Myers Squibb(BMS)に対して承認された、CTLA4-Ig、rDNA(ベラタセプト-Nulojix;BMS-224818;CTLA4-Ig変異体;細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA-4)-免疫グロブリンG1フラグメント融合タンパク質、組換え型)。
【0112】
97.循環血液量減少性ショックの治療、低アルブミン血症、肝硬変の腹水に起因する穿刺後の体液量減少(central volume depletion)の予防、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、熱傷、長期の透析を受けている血液透析患者、かなりの体積の塩類溶液に耐えられない患者のための、及び心肺バイパス術のためのプライミング溶液としての、2011/6/3にKedrion,S.p.A.に対して承認された、アルブミン、ヒト-(Kedbumin)。
【0113】
98.後期ステージ黒色腫の治療のための、2011/3/25にBristol-Myers Squibb(BMS)に対して承認された、CTLA-4 Mab、rDNA/Medarex(ヤーボイ(Yervoy);イピリムマブ;MDX-010;細胞傷害性Tリンパ球関連抗原-4(CTLA-4)モノクローナル抗体、組換え型)。
【0114】
99.米国軍人の免疫獲得目的に限り、2011/3/16にTeva Pharmaceuticalsに対して承認された、アデノウイルス4型及び7型ワクチン、生、経口(アデノウイルスワクチン、4型及びアデノウイルスワクチン、7型から構成される)。
【0115】
100.活動性の、自己抗体陽性全身性エリテマトーデスを有する成人の治療のための、2011/3/9にHuman Genome Sciences,Inc.に対して(GlaxoSmithKline/GSKと共に販売するために)承認された、B細胞活性化因子Mab、rDNA:(ベリムマブ-ベンリスタ(Benlysta);LymphoStat-B)。
【0116】
101.第XIII因子欠乏症の治療のための、2011/2/17にCSL Behringに対して承認された、第XIII因子、ヒト:(Cortifact)。
【0117】
102.慢性難治性痛風の治療のための、2010/9/14にSavient Pharmaceuticalsに対して承認された、尿酸オキシダーゼ、rDNA、PEG-:(ペグロチカーゼ-Krystexxa;Puricase;PEG-ウリカーゼ;ブタ-ヒヒ尿酸オキシダーゼ、組換え型、ペグ化)。
【0118】
103.痙性斜頚又は眼瞼痙攣を有する成人の治療のための、2010/7/30にMerz Pharmaceuticalsに対して承認された、ボツリヌス毒素A/Merz:(ゼオミン(Xeomin);ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)毒素A型;NT 201)。
【0119】
104.α1-抗トリプシン欠乏症の治療のための、2010/7/1にKamada Ltd.に対して承認された、抗トリプシン、α-1/Kamada:(α-1-プロテイナーゼ阻害剤(ヒト)-Glassia;Respira;α-1抗トリプシン;AAT;A1P1)。
【0120】
105.骨折について高リスクの、骨粗鬆症を有する閉経後の女性の治療のための、2010/6/1にAmgen Inc.に対して承認された、RANKL Mab、rDNA:(デノスマブ(Denosumab)-プロリア(Prolia);AMG 531;AMG 162.核内因子κBリガンドの受容体活性化因子(RANKL)モノクローナル抗体、組換え型)。
【0121】
106.ポンペ病の治療のための、2010/05/25にGenzyme Corp.に対して承認された、グルコシダーゼ、rDNA/Lumizyme:(アルグルコシダーゼアルファ-Lumizyme;αグルコシダーゼ;グルコシダーゼα;rhGAA))。
【0122】
107.標準のホルモン治療に対して抵抗性である無症候性又は最小症候性の転移性前立腺癌の治療のための、2010/4/29にDendreon Corp.に対して承認された、前立腺癌細胞ワクチン(rDNA):(シプロイセルT-プロベンジ-前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)--顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)組換え型融合タンパク質(PAP-GM-CSF;PA2024)で感作された自己抗原提示細胞(APC);PA2024負荷APC;APC8015)。
【0123】
108.膵機能不全の治療のための、2010/4/12にJohnson&Johnson(J&J)に対してNDA承認された、膵酵素/J&J:(Pancreaze;膵酵素製品)。
【0124】
109.縫合、結紮、又は焼灼などの標準の手術技術による出血の制御が有効でない又は実行不可能である場合の心血管手術における止血の補助としての使用のための、2010/4/2にNycomed Austria GmbHに対して承認された、フィブリンシーラント/タコシール(TachoSil)(吸収性フィブリンシーラントパッチ)。
【0125】
110.原発性免疫不全症の治療のための、2010/3/4にCSL Behringに対して承認された、免疫グロブリン(SCIG)(免疫グロブリン皮下(ヒト)-ハイゼントラ(Hizentra);(ヴィヴァグロビン(Vivaglobin)は、より古い、より低濃度の製品である))。
【0126】
111.ゴーシェ病の治療のための、2010/2/26にShire Pharmaceuticalに対して承認された、グルコセレブロシダーゼ、rDNA/Shire(ベラグルセラーゼアルファ;セラミダーゼ、グルコシル-(ヒトHT-1080細胞);ヒトグルコシルセラミダーゼ(EC 3.2.1.45又はβグルコセレブロシダーゼ)、グリコフォームアルファ;βグルコセレブロシダーゼ)。
【0127】
112.肺炎球菌関連疾患の予防のための、2010/2/24にPfizer(Wyethによって開発された)に対して承認された、肺炎球菌ワクチン(13)-CRM197(肺炎球菌13価結合型ワクチン(ジフテリアCRM197タンパク質)-プレブナー13(Prevnar 13);プレベナー13(Prevenar 13);肺炎球菌莢膜抗原-ジフテリアCRM197タンパク質結合型ワクチン;PCV13)。
【0128】
113.2010/2/19にNovartisの侵襲性髄膜炎菌感染症の予防に対して承認された、髄膜炎菌結合型ワクチン/Novartis(髄膜炎菌(A、C、Y、及びW-135群)多糖ジフテリアトキソイド結合型ワクチン-Menveo;MenACWY-CRM)。
【0129】
114.デュピュイトラン病の治療のための、2010/2/3にAuxilium Pharmaceuticals Inc.に対して承認された、コラゲナーゼ(注射のためのクロストリジウムコラゲナーゼ-ザイヤフレックス)。
【0130】
115.2型糖尿病の治療のための、2010/1/25にNovo Nordiskに対して承認された、グルカゴン様ペプチド-1、rDNA(リラグルチド-ビクトーザ(Victoza);Arg34-GLP-1(7-37);GLP-1(組換え型);NN-2211)。
【0131】
116.関節リウマチ(RA)の治療のための、2010/1/8にAmgenに対して承認された、インターロイキン-6受容体Mab、rDNA(トシリズマブ;アクテムラ(Actemra);RoActemra;インターロイキン-6受容体モノクローナル抗体、組換え型;IL-6r Mab)。
【0132】
117.65歳以上の人におけるインフルエンザの予防のための、2009/12/23にSanofi Pasteurに対して承認された、インフルエンザワクチン、高用量(フルゾン(Fluzone)高用量);完全なBLAが承認された;これは、米国(U.S.)において最も使用されているインフルエンザワクチンであるフルゾン(Fluzone)の、より高用量の(15Aμgに対して60Aμgの各インフルエンザ株HA抗原)製剤である。
【0133】
118.フォン・ヴィルブランド病(VWD)の治療のための、2009/12/4にOctapharma USA,Inc.に対して承認された、VWF/第VIII因子複合体(ウィレート(Wilate))
【0134】
119.16歳以上の患者における遺伝性血管性浮腫(HAE)の急性の発作の治療のための、2009/12/1にDyax Corp.に対して承認された、カリクレイン阻害剤、rDNA(エカランチド-Kalbitor;DX-88;カリクレイン阻害剤タンパク質、組換え型)。
【0135】
120.H1N1(ブタインフルエンザ)インフルエンザの予防のための、2009/11/27にNovartisに対して承認された、インフルエンザワクチン/Novartis Italy(Agriflu);この(又は、ほぼ同じ)従来の不活化鶏卵培養ワクチンは、主として欧州市場のために、Siena(イタリア)で長い間製造されている。
【0136】
121.H1N1(ブタインフルエンザ)インフルエンザの予防のための、2009/11/10にGlaxoSmithKline(GSK)の子会社であるID Biomedicalに対して承認された、インフルエンザワクチン、H1N1/GSK Canada;新規の別の生成物だが、これは、生物製剤承認一部変更申請(supplemental BLA)として承認された。(これは、H1N1類似体又はバイオシミラー/バイオジェネリック一価のバージョンのインフルエンザワクチン/GSK Canada(FluLaval)である。)
【0137】
122.キャンパス(Campath)(アレムツズマブ)にもフルダラビンにも応答しない患者における慢性リンパ性白血病に対する治療のための、2009/10/26にGlaxoSmithKline(及びGenmab)に対して承認された、CD20 Mab、ヒト、rDNA(オファツムマブ-アーゼラ(Arzerra);HuMax-CD20;CD20モノクローナル抗体、ヒト、組換え型)。
【0138】
123.α1-アンチトリプシン(AAT)欠乏症の治療のための、2009/10/19にTalecris Biotherapeuticsに対して承認された、アンチトリプシン、α-1/Talecris(α-1-プロテイナーゼ阻害剤(ヒト)-プロラスチン(Prolastin)-C;α1-アンチトリプシン)。
【0139】
124.女性における子宮頸癌の予防のための、2009/10/16にGlaxoSmithKline,Inc.に対して承認された、HPVワクチン、rDNA/GSK(サーバリックス(Cervarix)MEDI 501;ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン16及び18型L1ウイルス様粒子、組換え型)。
【0140】
125.遺伝性血管性浮腫(HAE)の急性治療のための、2009/10/09にCSL Behring LLCに対して承認された、C1-エステラーゼ阻害剤/CSL(ベリナート(Berinert)P;C1INH;C1-INH;補体C1エステラーゼ阻害剤、血漿由来)。
【0141】
126.中等症から重症の尋常性乾癬の治療のための、2009/9/25にCentocor Ortho Biotech Inc.(Johnson&Johnson)に対して承認された、IL-12/23 p40 Mab、rDNA(ウステキヌマブ-STELARA;CNTO 1275;インターロイキン-12(IL-12)及びインターロイキン-23(IL-23)p40サブユニットモノクローナル抗体、ヒト、組換え型)。
【0142】
127.原発性液性免疫不全の治療のための、2009/9/17にBio Products Lab.に対して承認された、免疫グロブリン(IGIV)/Bio Products(免疫グロブリン静脈内(ヒト)-ガンマプレックス(Gammaplex))。
【0143】
128.H1N1(ブタインフルエンザ)インフルエンザの予防のための、2009/9/15にNovartis AGに対して承認された、インフルエンザワクチン、H1N1/Novartis;新規の別の生成物だが、これは、生物製剤承認一部変更申請(supplemental BLA)として承認された。
【0144】
129.H1N1(ブタインフルエンザ)インフルエンザの予防のための、2009/9/15にSanofi-Pasteurに対して承認された、インフルエンザワクチン、H1N1/Sanofi;新規の別の生成物だが、これは、生物製剤承認一部変更申請(supplemental BLA)として承認された。
【0145】
130.H1N1(ブタインフルエンザ)インフルエンザの予防のための、2009/9/15にCSL Ltd.に対して承認された、インフルエンザワクチン、H1N1/CSL;新規の別の生成物だが、これは、生物製剤承認一部変更申請(supplemental BLA)として承認された。
【0146】
131.H1N1(ブタインフルエンザ)インフルエンザの予防のための、2009/9/15にMedImmune(AstraZeneca)に対して承認された、インフルエンザワクチン、生のrDNA、H1N1;新規の別の生成物だが、これは、生物製剤承認一部変更申請(supplemental BLA)として承認された。
【0147】
132.15か月~4歳の子供のためのHibワクチン追加免疫用量として、2009/8/19にGlaxoSmithKline(GSK)に対して承認された、ヘモフィルスbワクチン/GSK(Hiberix;インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)b型ワクチン;Hibワクチン)。
【0148】
133.多発性硬化症適応症のための、2009/8/15にNovartis Pharmaceuticalsに対して承認された、インターフェロンbetaser、rDNA/Novartis(インターフェロンβ-1b-Extavia;2-166-インターフェロンβ1(ヒト線維芽細胞由来(reduced))、17-L-セリン-;インターフェロンbetaser、組換え型;NVF233)。
【0149】
134.クリオピリン関連周期熱症候群(Cryopyrin Associated Periodic Syndrome)(CAPS)の治療のための、2009/6/17にNovartis Pharmaceuticalsに対して承認された、インターロイキン-1 Mab、rDNA(カナキヌマブ-イラリス(Ilaris);インターロイキン-1βモノクローナル抗体;ACZ885)。
【0150】
135.膵外分泌機能不全(exocrine pancreatic enzyme insufficiency)の治療のための、2009/5/1にSolvayに対して承認された、膵酵素/Solvay(パンクレリパーゼ-クレオン(Creon);膵酵素、ブタ由来)。
【0151】
136.痙性斜頚の治療のための、2009/4/29にIpsenに対してBLAが承認された、及び、同時に、眉間の(gabellar)(眉間の(frown))しわの治療のための、Reloxin(Dysportを名称変更したもの)についてMedicisに対してsBLAが承認された、ボツリヌス毒素A/Ipsen(アボボツリヌストキシンA-Dysport;Reloxin;ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)毒素A型)。
【0152】
137.3つの種類の免疫機能不全関連の関節炎の治療のための、2009年4月24日にCentocor Ortho Biotech Inc./Johnson&Johnsonに対して承認された、TNF Mab、rDNA、ヒト/J&J(シンポニー;ゴリムマブ;CNTO 148;腫瘍壊死因子-αヒトモノクローナル抗体、組換え型)。
【0153】
138.日本脳炎の予防のための、2009/3/30にIntercell Biomedicalに対して承認された(Novartisによって販売されている)、日本脳炎ワクチン/Intercell-(Ixiaro;日本脳炎SA14-4-2ウイルスワクチン;IC51)。
【0154】
139.アンチトロンビン欠乏症を有する患者における血餅の予防のための、2009/2/6にGTC Biotherapeutics,Inc.(Genzyme)に対して承認された、アンチトロンビンIII、rDNA(アンチトロンビンIII(ヒト)-ATryn;rhATIII;AT-III、組換えトランスジェニックヤギ)。
【0155】
140.先天性フィブリノゲン欠乏症(無フィブリノゲン血症及び低フィブリノゲン血症)を有する患者における急性出血エピソードの治療のための、2009/1/16にCSL Behringに対して承認された、フィブリノゲン/CSL(濃縮フィブリノゲン(ヒト)-RiaSTAT;Haemocomplettan P;第I因子)。
【0156】
141.遺伝性血管性浮腫(HAE;C1インヒビター欠損症)を有する青年及び成人患者における血管性浮腫発作の日常的な予防のための、2008/10/10にLev Pharmaceuticalsに対して承認された、C1-エステラーゼ阻害剤/Sanquin(シンライズ(Cinryze);CetorA;C1INH;C1-INH;補体C1エステラーゼ阻害剤、血漿由来)。
【0157】
142.糖尿病の治療のための、2008/8/26にNovo Nordiskに対して承認された、インスリンアスパルト、rDNA、50/50混合物(Novolog混合物50/50;二相性インスリンアスパルト50/50)。
【0158】
143.慢性血小板減少性紫斑病(ITP)を有する成人の治療のための、2008/8/22にAmgenに対して承認された、トロンボポエチンペプチボディ、rDNA(ロミプロスチム-NPLATE;AMG-531;Amgen巨核球形成タンパク質531;トロンボポエチン模倣ペプチボディ、組換え型)。
【0159】
144.2008/6/20にSanofi Pasteurに対して承認された、DTaP-Hib-ポリオワクチン/Sanofi(Pentacel;不活化ポリオウイルスワクチンと組み合わせたジフテリア-破傷風トキソイド及び無菌体百日咳吸着で再構成されたActHIB;ActHIB+Quadracel;ジフテリア&破傷風トキソイド&無菌体百日咳ワクチン吸着+インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)b型(Hib)ワクチン+ポリオウイルスワクチン(不活化)(ヒト二倍体細胞))(2つの以前に承認された組み合わせワクチンの組み合わせとして、これらの2つは投与前に混合され、BIOPHARMAは、これを新規の、別の/唯一の生成物であるとみなしていない)。
【0160】
145.慢性C型肝炎の治療のための、2008/6/13にSchering-Ploughに対して承認された、インターフェロンα-2b、rDNA、PEG- +リバビリン(PEGPAK;PEG-イントロンとリバビリンの組み合わせパッケージング)。
【0161】
146.成人における抵抗性クローン病の治療のための、2008/4/23にUCBに対して承認された(Bayer Scheringによって米国で販売されている)、TNF Mab Fab’、rDNA、PEG-(セルトリズマブペゴル-シムジア(Cimzia);CDP 870;腫瘍壊死因子モノクローナル抗体Fabフラグメント、組換え型--ポリエチレングリコール(PEG)ポリマー結合体)。
【0162】
147.乳児におけるロタウイルス胃腸炎の予防のための、2008/4/4にGlaxoSmithKline(GSK)に対して承認された、ロタウイルスワクチン、生/GSK(ロタウイルスワクチン、生、経口、一価-ロタリックス(Rotarix);RIX-4414)。
【0163】
148.小児ワクチン接種のための、2008/3/24にGlaxoSmithKlineに対して承認された、DTaP-IPV/GSK(ジフテリア&破傷風トキソイド&無菌体百日咳ワクチン吸着+ポリオウイルスワクチン(不活化)(ヒト二倍体細胞)-キンリックス(Kinrix))。
【0164】
149.熱傷患者への皮膚移植片を接着するのに使用するための、2008/3/19にBaxter Healthcareに対して承認された、フィブリンシーラント/Baxter(フィブリンシーラント、VH S/D 4-Artiss;フィブリンシーラント、蒸気加熱された溶媒/界面活性剤処理)。(これは、次世代型であり、Tisseel Kit VHの代替であるように思われる)。
【0165】
150.2種のクリオピリン関連周期熱症候群(Cryopyrin-Associated Periodic Syndrome)(CAPS)障害:家族性寒冷自己炎症症候群(Familial Cold Auto-Inflammatory Syndrome)(FCAS)及びマックル・ウエルズ症候群(Muckle-Wells Syndrome)(MWS)の長期の治療のための、2008/2/27にRegeneron Pharmaceuticals Inc.に対して承認された、インターロイキン-1 trap、rDNA(アルカリスト(Arcalyst);リロナセプト;IL-1 Trap、組換え型)。
【0166】
151.血友病Aの治療のための、抗血友病因子(組換え型)、血漿/アルブミン不含(Xyntha;組換え型凝固第VIII因子;リファクト(ReFacto)の更新版、現在、その製造又は製剤に使用される非ヒト又は動物生成物と共に);2008/2/21にWyethに対して完全なBLAが承認された。
【0167】
152.小児の発育不全又は低身長の治療のための、2008/1/24にCangene Corp.に対してNDA承認された(Apotexによって販売されている)、ソマトロピン、rDNA/Cangene(ソマトロピン(rDNA起源)注射用-Accretropin)-505(b)(2)後続のタンパク質。
【0168】
153.手術後に小血管からの出血を停止させるのを助けるための、08/1/17にZymoGenetics,Inc.に対して承認された、トロンビン、rDNA(Recothrom;トロンビン、組換え型;rhThrombin)。
【0169】
154.成人における慢性腎不全に付随する貧血の治療のための、07/11/14にHoffmann-La Roche Inc.に対して承認された、EPO、rDNA、PEG-(持続性エリスロポエチン受容体活性化剤;ミルセラ(Mircera);CERA;エポエチンアルファ(組換え型)、ペグ化;メトキシポリエチレングリコール-エポエチンベータ))。
【0170】
155.重度の熱傷に起因する生命を脅かす創傷の治療のための、07/10/29にGenzyme Corp.に対してHDE承認された、皮膚、培養/Epicel(培養上皮自家移植片(Cultured Epidermal Autograft)-Epicel;培養自家ケラチノサイトサービス(Cultured Autologous Keratinocytes Service);CEA)。
【0171】
156.インフルエンザの予防のための、07/9/28にCSL Ltd.に対して承認された、インフルエンザワクチン/CSL(インフルエンザウイルスワクチン、3価、A及びB型-AFLURIA;Fluvax;Enzira)。
【0172】
157.(生物兵器防御備蓄における)天然痘の予防のための、07/8/31にAcambis plcに対して承認された、天然痘ワクチン/Vero。
【0173】
158.出血(接近しにくい/他の点で治療不能な血液の滲出、及び毛細血管及び細静脈からの少量出血)の制御のための、2007/8/27にOmrix Biopharmaceuticalsに対して承認された、トロンビン/Omrix(Evithrom)。
【0174】
159.肝臓手術中の出血の制御のための、2007/7/26にThermogenesis Corp.に対して承認された、フィブリンシーラント/Thermogenesis(クリオシールフィブリンシーラントシステム(CryoSeal Fibrin Sealant System);クリオシールFSシステム(CryoSeal FS System);寒冷沈降物+トロンビン、自己)。
【0175】
160.原発性免疫不全症の治療のための、2007/7/26にCSL BioPlasma Inc.に対して承認された、免疫グロブリン(IGIV)、液体/CSL(免疫グロブリン 静脈内(ヒト)、10%液体-ピリヴィジェン(Privigen))。
【0176】
161.H5N1インフルエンザウイルスへの曝露のリスクが高い成人の能動免疫獲得のための、2007/4/17にSanofi Pasteur Inc.に対して承認された、インフルエンザワクチン、H5N1/Sanofi(インフルエンザウイルスワクチン、H5N1;パンデミックインフルエンザワクチン;トリインフルエンザワクチン)(トリインフルエンザ関連インフルエンザの流行/パンデミックの場合に使用するためのもの)。
【0177】
162.発育不全の治療のための、2008/4/19にParexel、すなわちLG Life Sciencesの代理のCROに対して承認された、ソマトロピン、rDNA/BioPartners(ソマトロピン(注射のためのrDNA起源)-Valtropin;ヒト成長ホルモン、組換え型)。
【0178】
163.重度の先天性プロテインC欠乏症の治療のための、2007/3/27にBaxter Healthcareに対して承認された、プロテインC、血漿由来(セプロチン)。
【0179】
164.発作性夜間血色素尿症(PNH)の治療のための、2007/3/16にAlexion Pharmaceuticals,Inc.に対して承認された、補体C5 Mab、rDNA(エクリズマブ-ソリリス(Soliris);補体C5モノクローナル抗体、組換え型)。
【0180】
165.手術用縫合糸としての使用のための、2007/2/12にTepha,Inc.に対して承認された、ポリ-4-ヒドロキシ酪酸、rDNA(TephaFLEX吸収性縫合糸;ポリ-4-ヒドロキシ酪酸;P4HB;ポリ(4HB);PHA4400)。
【0181】
166.循環血液量の回復及び維持のための、06/10/17にOctapharma Pharmazeutika Produktionsgesm.b.Hに対して承認された、アルブミン(ヒト)(多くのアルブミン生成物の1つ)。
【0182】
167.18歳以上の成人のインフルエンザに対する能動免疫獲得のための、06/10/05にGlaxoSmithKline(合併されたID Biomedical)に対して承認された、インフルエンザワクチン/ID Biomedical(インフルエンザウイルスワクチン、3価-FluLaval;Fluviral)。
【0183】
168.「疾患進行後、フルオロピリミジン-、オキサリプラチン-、及びイリノテカン-含有化学療法レジメン中、又は該レジメン後の、上皮成長因子受容体(EGFr)を発現している転移性大腸癌を有する患者の治療のための」2006/9/27にAmgen Inc.に対して承認された、EGF受容体Mab、ヒト、rDNA(パニツムマブ-ベクティビックス(Vectibix);ABX-EGF;上皮成長因子受容体モノクローナル抗体、ヒト、組換え型;E7.6.3;rHuMAb-EGFr;トランスジェニックXenoMouse由来のヒトEGF受容体Mab)。
【0184】
169.ハンター症候群(ムコ多糖症II;MPS II)の治療のための、2006/7/24にShire Pharmaceuticals Group plcに対して(Transkaryotic Therapies,Inc.の買収を通じて)承認された、イズロン酸-2-スルファターゼ、rDNA(イデュルスルファーゼ;エラプラーゼ(Elaprase);L-イズロン酸2-硫酸スルファターゼ前駆体;組換え型;I2S;コンドロイチンスルファターゼ)。
【0185】
170.加齢黄斑変性の治療のための、2006/6/30にGenentech,Inc.に対して承認された、VEGF Mab Fab、rDNA(ルセンティス(Lucentis);血管内皮増殖因子モノクローナル抗体フラグメント、組換え型)。
【0186】
171.ヒトパピローマウイルス(HPV)6、11、16、及び18型によって引き起こされる疾患の予防のための、9~26歳の女性におけるワクチン接種のための、2006/6/8にMerck&Co.,Inc.に対して承認された、HPVワクチン、rDNA/Merck(4価ヒトパピローマウイルス(6、11、16、18型)組換え型ワクチン;ガーダシル(Gardasil);ヒトパピローマウイルス(HPV)6、11、16、及び18型L1ウイルス様タンパク質(VLP)、組換え型)。
【0187】
172.成長ホルモン分泌不全症の治療のための、2006/5/30にNovartis AGの子会社であるSandoz,Inc.に対して承認された、ソマトロピン、rDNA/サンド(Sandoz)(ソマトロピン(rDNA起源)-Omnitrope;ヒト成長ホルモン、組換え型)。
【0188】
173.60歳以上の人における帯状疱疹(herpes zoster)(帯状疱疹(shingles))の予防のための、2006/5/25にMerck&Co.,Inc.に対して承認された、水痘ウイルスワクチン/成人(帯状疱疹ワクチン(生)(Oka/Merck);Zostavax;成人のための水痘ウイルスワクチン)。
【0189】
174.ポンペ病の治療のための、2006/4/28にGenzyme Corp.に対して承認された、グルコシダーゼ、rDNA(アルグルコシダーゼアルファ-マイオザイム(Myozyme);Pompase;αグルコシダーゼ;グルコシダーゼα(rhGAA)(組換え型))。
【0190】
175.小児ロタウイルス胃腸疾患の予防のための、2006/2/3にMerck&Co.,Inc.に対して承認された、ロタウイルスワクチン、rDNA/Merck(ロタウイルスワクチン、5価(Quintavalent)-RotaTeq;WC3 5価ワクチン)。
【0191】
176.B型肝炎ウイルスへの急性曝露後の曝露後予防のための、2006/1/27にCangene Corp.に対して承認された、B型肝炎免疫グロブリン、i.m./Cangene(B型肝炎免疫グロブリン(ヒト);HepaGam B)。
【0192】
177.1型及び2型糖尿病を有する成人の治療のための、2006/1/27にPfizer,Inc.に対して承認された、インスリン、rDNA、吸入/Pfizer(エクスベラ(Exubera)インスリン、吸入のための組換え型粉末)。
【0193】
178.原発性免疫不全症の治療のための、2006/1/9にZLB Behringに対して承認された、免疫グロブリン(SCIG)(Vivaglobin)。
【0194】
179.中等度から重度の成人患者における関節リウマチの第2選択治療のための、2005/12/26にBristol-Myers Squibb Co.に対して承認された、CTLA4-Ig、rDNA(オレンシア(Orencia);アバタセプト;細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4--免疫グロブリンG1フラグメント融合タンパク質、組換え型;BMS-188667)。
【0195】
180.GHに対する中和抗体を生じている重度の原発性IGF-1欠損症(Primary IGFD)を有する又は成長ホルモン(GH)遺伝子欠失を有する子供における発育不全の治療のための、2005/12/12にInsmed Inc.に対して承認された、インスリン様成長因子-1/IGFBP-3、rDNA(メカセルミンリンフィバート(Mecasermin rinfibate)-IPLEX;SomatoKine;インスリン様成長因子-I--インスリン様成長因子-結合-3タンパク質複合体、組換え型;IGF-1/IGFBP3複合体)。
【0196】
181.局所麻酔、造影剤の送達を増強するための「拡散剤(spreading agent)」としての使用のための、及び皮下流体補充(皮下点滴療法)のための、Baxterによる販売のための、2005/12/5にHalozyme Therapeutics Inc.に対して承認された、ヒアルロニダーゼ、rDNA(ハイレネックス(Hylenex);Enhanze SC;Cumulase;Chemophase;rHuPH20;PH-20ヒアルロニダーゼ、組換え型ヒト)、Hyelex(以前はEnhanze SC)の承認。
【0197】
182.局所麻酔、造影剤の送達を増強するための「拡散剤」としての使用のための、及び皮下流体補充(皮下点滴療法)のための、2005/10/25にPrimaPharm,Inc.に対して承認された、ヒアルロニダーゼ、ヒツジ/Primapharm(Hydase)。
【0198】
183.歯槽骨欠損及び付随する歯肉退縮の治療のための、Osteohealth Co.(Luitpold Pharmaceuticals,Inc.,Sankyo Co.,Ltd.)による販売のための、2005/10/21にBioMimetic Therapeutics,Inc.に対して承認された、PDGF、rDNA/骨基質(血小板由来増殖因子(PDGF)-BB、無機骨基質を用いる組換え型;rhPDGF-BB;GEM 21S)。
【0199】
184.12か月~12歳の子供における、麻疹、流行性耳下腺炎、風疹(rubella)(ドイツはしか(German measles))、及び水痘(varicella(chickenpox))に対するワクチン接種のための、2005/9/6にMerck&Co.,Inc.に対して承認された、麻疹・流行性耳下腺炎・風疹&水痘ワクチン(麻疹、流行性耳下腺炎、風疹、及び水痘(Oka/Merck)ウイルスワクチンLive-ProQuad;M-M-R II+Varivaxワクチン)。
【0200】
185.インフルエンザの予防のための、2005/8/31にGlaxoSmithKline Biologicalsに対して承認された、インフルエンザワクチン/GSK Canada(インフルエンザウイルスワクチン、3価、A及びB型-フルアリックス(Fluarix))。
【0201】
186.インフルエンザの予防のための、GlaxoSmithKlineによる販売のための、2005/8/31にSachsische Serumwerke AGに対して承認された、インフルエンザワクチン/GSK Germany(インフルエンザウイルスワクチン、3価-フルアリックス(Fluarix);Influsplit SSW;Alpharix)。
【0202】
187.成長ホルモンに対する中和抗体を生じている重度の原発性IGF-1欠損症(Primary IGFD)を有する又は成長ホルモン(GH)遺伝子欠失を有する子供における発育不全の長期の治療のための、2005/8/31にTercica,Inc.(Genentechと提携する)に対して承認された、インスリン様成長因子-1、rDNA/Tercica(インスリン様成長因子-1、組換え型-Increlex;IGF-1)。
【0203】
188.閉経後骨粗鬆症の治療のための、2005/8/15にUnigene,Inc.に対して承認された(Upsher-Smith Labs.によって販売されている)、カルシトニン、rDNA(カルシトニン(サケ)-Fortical;カルシトニン、組換え型)。
【0204】
189.真性糖尿病(1型及び2型;(長時間作用性組換え型インスリン類似体)の治療のための、2005/6/17にNovo Nordisk Inc.に対して承認された、インスリンデテミル、rDNA-(インスリンデテミル、組換え型-レベミル)。
【0205】
190.11~64歳の人のための、破傷風、ジフテリア、及び百日咳(pertussis(whooping cough))追加免疫ワクチンとしての使用のための、2005/6/10にAventis Pasteur Ltd.に対して承認された、dTpa追加免疫/Sanofi(破傷風トキソイド、弱毒化ジフテリアトキソイド、及び無菌体百日咳吸着-Adacel;dTpa;Tdap)。
【0206】
191.ムコ多糖症VI(MPS VI)の治療のための、2005/5/31にBioMarin Pharmaceutical Inc.に対して承認された、アリールスルファターゼB、rDNA(N-アセチルガラクトサミン 4-スルファターゼ-ナグラザイム(Naglazyme);Aryplase;ガルスルファーゼ;コンドロイチナーゼ;rhASB(組換え型))。
【0207】
192.10~18歳の人のための、破傷風、ジフテリア、及び百日咳(pertussis(whooping cough))追加免疫ワクチンとしての使用のための、2005/5/3にGlaxoSmithKline Biologicals S.A.に対して承認された、dTpa追加免疫/GSK(破傷風トキソイド、弱毒化ジフテリアトキソイド、及び無菌体百日咳吸着-ブーストリックス(Boostrix);dTpa;Tdap)。
【0208】
193.ブーストリックス(Boostrix)組み合わせワクチンの構成成分としての使用のための、2005/5/3にChiron Behring GmbH&Co.(Chiron Corp.;Novartis AGに合併)に対して承認された、破傷風トキソイド/カイロン(破傷風トキソイド濃縮物(さらなる製造用途のためのもの)(上の項目を参照)。
【0209】
194.天然痘ワクチン接種の稀な合併症(現在の天然痘ワクチンにおける生のワクシニアウイルスに起因する、全身的な重度の皮膚又は他の深刻な感染症)の治療のための、2005/5/3にCangene Corp.に対して承認された、ワクシニア免疫グロブリン、i.v./Cangene(VIG;VIVIG)。
【0210】
195.体外受精(IVF)手順(体外受精前の卵母細胞の調製)に使用するための、Halozyme Therapeutics,Inc.に対して承認された、ヒアルロニダーゼ、rDNA(Cumulase;Enhanze SC;Chemophase;rHuPH20;PH-20ヒアルロニダーゼ、組換え型ヒト)-2005/4/19にCumulaseの医療機器承認。
【0211】
196.天然痘ワクチン接種の稀な合併症(現在の天然痘ワクチンにおける生のワクシニアウイルスに起因する、全身的な重度の皮膚又は他の深刻な感染症)の治療のための、2005/2/18にDynPort Vaccine Co.LLCに対して承認された、ワクシニア免疫グロブリン、i.v./DVC(VIG;VIGIV)。
【0212】
197.出血を制御するために使用されるFloSealマトリクス止血シーラント(Matrix Hemostatic Sealant)のさらなる製造のための、2005/2/18にBaxter Healthcare Corp.に対して承認された、トロンビン、濃縮(トロンビン(ヒト)(さらなる製造用途のためのもの))。
【0213】
198.11~55歳の青年及び成人における髄膜炎菌疾患の予防のための、2005/1/14にSanofi Pasteur Inc.に対して承認された、髄膜炎菌結合型ワクチン(メナクトラ(Menactra);髄膜炎菌(Groups A、C、Y、及びW-135群)多糖ジフテリアトキソイド結合型ワクチン;MCV-4)。
【0214】
199.新生血管(滲出型)加齢黄斑変性の治療のための、2004/12/17にEyetech Pharmaceuticals,Inc.に対して承認された、VEGFアプタマー、PEG-(ペガプタニブナトリウム-マクジェン(Macugen);血管内皮増殖因子/血管透過性因子(VEGF)アプタマー、合成オリゴヌクレオチド、PEG化))。
【0215】
200.高用量化学療法、それに続く骨髄移植を受けている血液の癌を有する患者における重度の口腔粘膜炎(口内炎)の治療のための、2004/12/15にAmgen Inc.に対して承認された、ケラチノサイト増殖因子、rDNA*(パリフェルミン(Palifermin)-ケピバンス(Kepivance);des1-23 KGF;24-163線維芽細胞増殖因子7(ヒト))。
【0216】
201.多発性硬化症の治療のための、2004/11/24にBiogen Idecに対して承認された、インテグリンMab、rDNA(タイサブリ(Tysabri)-ナタリズマブ;アンテグレン(Antegren);インテグリンα(4)ヒト化モノクローナル抗体)(以前はアンテグレン(Antegren)(商品名)、現在はタイサブリ(Tysabri);FDAの要請で変更)。
【0217】
202.「拡散剤」としての、例えば、注射される他の薬物の吸収及び分散を改善するためのアジュバントとしての使用のための;皮下点滴療法のための;及び放射線不透過性薬剤の吸収を改善するための皮下の尿路造影における補助剤としての、2004/10/24にAmphastar Pharmaceuticals,Inc.に対して承認された、ヒアルロニダーゼ、ウシ/Amphastar-(ヒアルロニダーゼ、ウシ-Amphadase)。
【0218】
203.進行中の抗レトロウイルス療法にもかかわらずHIV-1複製のエビデンスを有する、治療を経験した患者における、他の抗レトロウイルス剤と組み合わせたHIV-1感染症の治療のための、2004/10/15にHoffmann-La Roche Inc.に対して承認された、エンフビルチド、合成(T-20;フゼオン(Fuzeon);ペンタフシド(pentafuside);DP-178)、全面的な承認(2003/3に与えられた迅速承認から格上げされた)(合成ペプチド、バイオ医薬品ではない)。
【0219】
204.5歳以上の虫垂炎の不確かな徴候を有する患者の虫垂炎の診断造影のための、2004/7/2にPalatin Technologies,Inc.に対して承認された、CD15 Mab-Tc 99m放射性結合体(テクネチウム(99m Tc)ファノレソマブ;Neutrospec;Leutech;TC99M標識されたCD15モノクローナル抗体)。
【0220】
205.不妊症治療(FSH(Gonal-f)と組み合わせた、深刻なLH欠乏を有する不妊の低ゴナドトロピン性性腺機能低下症の女性における卵胞発達の刺激)のための、2004/5/24にSerono,Inc.に対して承認された、黄体形成ホルモン、rDNA(ルトロピンアルファ-Luveris;ヒト黄体形成ホルモン、組換え型)。
【0221】
206.原発性免疫不全の治療のための、2004/5/21にOctapharma AGに対して承認された、免疫グロブリン(IGIV)/Octapharma(オクタガム(Octagam);免疫グロブリン静脈内(ヒト))。
【0222】
207.薬物の分散及び吸収を促進するための拡散剤、特に眼科手術中の局所麻酔薬としての使用のための;皮下点滴療法のための;及び放射線不透過性薬剤の吸収を改善するための皮下の尿路造影における補助剤としての、2004/5/4にISTA Pharmaceuticals Inc.に対して承認された、ヒアルロニダーゼ、ヒツジ(Vitrase;ヒアルロン酸4-グリカノヒドロラーゼ)。
【0223】
208.糖尿病の治療のための速効型インスリンとしての使用のための、2004/4/16にAventis Pharmaに対して承認された、インスリングルリジン、rDNA(アピドラ(Apidra);(LysB3、GluB29)インスリン;インスリン(ヒト)、3B-l-リジン、29B-l-グルタミン酸-、組換え型)。
【0224】
209.結腸又は直腸の転移性癌の治療のための、5-フルオロウラシルと組み合わせた使用のための、2004/2/26にGenentech,Inc.に対して承認された、VEGF Mab、rDNA(アバスチン(Avastin);ベバシズマブ;血管内皮増殖因子モノクローナル抗体、組換え型)。
【0225】
210.イリノテカンベースの化学療法に対して抵抗性である、上皮成長因子受容体(EGFR)を発現している転移性大腸癌を有する患者の治療における、イリノテカンと組み合わせた使用のための、及び、イリノテカンベースの化学療法に対して不耐性である、EGFRを発現している転移性大腸癌を有する患者の単剤療法治療のための、2004/2/12にImClone Systems Inc.に対して承認された(Bristol-Myers Squibb Co.による販売のための、EGF受容体Mab、rDNA(セツキシマブ-アービタックス(Erbitux);IMC-C225;上皮成長因子受容体モノクローナル抗体、組換え型)。
【0226】
211.Rho(D)陰性の女性におけるRho(D)の免疫獲得の、分娩前及び分娩後予防のための、2004/2/12にZLB Bioplasma AGに対して承認された、Rho(D)免疫グロブリン/ZLB(Rho(D)免疫グロブリン静脈内(ヒト)-Rhophylac)。
【0227】
212.膝の変形性関節症に伴う疼痛の治療のための、Ortho Biotech Products,L.P.(Johnson&Johnson)による米国販売のための、2004/2/5にAnika Therapeutics,Inc.に対して承認された、ヒアルロン酸/Anika(ORTHOVISC高分子量ヒアルロナン)。
【0228】
213.原発性免疫不全の治療のための、2003/12/18にInstituto Grifols(Probitas Pharma)に対して承認された、免疫グロブリン静脈内(ヒト)(Flebogamma)。
【0229】
214.中等度から重度の顔のしわ及び溝、例えば、鼻唇溝(鼻及び口の近くの線/溝)の矯正(correction)のための、2003/12/12にMedicis Pharmaceutical Corp.に対して承認された、ヒアルロン酸/Medicis(Restylane)。
【0230】
215.全身療法又は光線療法の候補である成人における中等度から重度の乾癬の治療のための、2003/10/27にGenentech,Inc.及びXoma Ltd.に対して承認された、CD11a Mab、rDNA(エファリズマブ-ラプティバ(Raptiva);CD11aモノクローナル抗体、組換え型)。
【0231】
216.A型又はB型ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)によって引き起こされる乳児ボツリヌス中毒の治療のための、2003/10/23にCalifornia Department of Health Servicesに対して承認された、ボツリヌス中毒免疫グロブリン静脈内(ヒト)(BabyBIG)。
【0232】
217.消耗又は悪液質を有するHIV患者の治療のための、2003/8/29にSerono Inc.に対して全面的な承認が与えられた、ソマトロピン、rDNA/Serono(ソマトロピン(rDNA起源)-セロスティム;ヒト成長ホルモン、組換え型)。
【0233】
218.血友病Aの治療のための、2003/7/25にBaxter Hyland Immunoに対して承認された、第VIII因子、rDNA、PFM(抗血友病因子(組換え型)、血漿/アルブミン不含方法-アドベイト(Advate);第VIII因子、組換え型;rAHF-PFM)。
【0234】
219.活動性の強直性脊椎炎の治療のための、2003/7/24にAmgen Inc.に対して生物製剤承認一部変更申請(supplemental BLA)が承認された、TNF受容体-IgG Fc、rDNA(エタネルセプト-エンブレル(Enbrel);腫瘍壊死因子受容体2-免疫グロブリンG1 Fc融合タンパク質、組換え型)。
【0235】
220.α1-プロテイナーゼ阻害剤欠乏及び肺気腫のエビデンスを有する個人における長期的な豊胸及び維持療法のための、2003/7/8にAventis Behring LLCに対して承認された、アンチトリプシン、α-1/Aventis(α-1-プロテイナーゼ阻害剤(ヒト)-Zemaira)。
【0236】
221.CD20陽性の濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)(形質転換の有無にかかわらず)を有する、その疾患がリツキシマブに対して抵抗性であり、且つ化学療法後に再発した患者の治療のための、2003/6/27にCorixa Corp.(以前はCoulter Pharmaceutical)に対して承認された(GlaxoSmithKline(GSK)によって販売されている)、CD20 Mab、rDNA--I 131放射性結合体(ヨウ素I 131トシツモマブ-ベキサール(Bexxar);CD20モノクローナル抗体--ヨウ素I 131放射性免疫結合体)。
【0237】
222.中等度から重度のアレルギー性喘息の治療のための、2003/6/20にGenentech,Inc.に対して承認された(Tanox,Inc.によって製造されており、Novartis Pharmaceutical Corp.によって並行販売されている)、免疫グロブリンE Mab、rDNA(オマリズマブ-ゾレア(Xolair);rhuMab-E25;免疫グロブリンE25モノクローナル抗体、組換え型;IgE Mab、rDNA)。
【0238】
223.待機的人工股関節置換術を受けている患者における、肺塞栓症をもたらす可能性がある深部静脈血栓症の予防について承認された、2003/4/3にAventis Pharmaに対して承認された、ヒルジン、デサルファト(desulfato)-rDNA/Aventis(Iprivask;デシルジン(Desirudin);Revasc;デサルファトヒルジン(desulfatohirudin);ヒルジン、デサルファト(desulfato)-組換え型)。
【0239】
224.5~50歳の健康な人におけるインフルエンザ予防のための、2003/6/17にMedImmune Vaccines,Inc.(MedImmune,Inc.の子会社)に対して承認された、インフルエンザワクチン、生のrDNA、凍結(FluMist)。
【0240】
225.ムコ多糖症I(MPS I)の治療のための、2003/4/30にBiomarin Pharmaceutical Inc.(及びGenyzme Corp.)に対して承認された、イズロニダーゼ、rDNA(ラロニダーゼ;アルドラザイム(Aldurazyme);α-L-イズロニダーゼ)。
【0241】
226.ファブリー病の治療のための、2003/4/24にGenzyme Corp.に対して承認された、ガラクトシダーゼβ、rDNA(アガルシダーゼベータ-ファブラザイム(Fabrazyme);α-ガラクトシダーゼA)。
【0242】
227.先端巨大症の治療のための、2003/3/25にPharmacia Corp.に対して承認された、ソマトロピンアンタゴニスト、PEG-、rDNA(ペグビソマント(Pegvisomant)-ソマバート(Somavert);ソマトロピンアンタゴニスト、ペグ化、組換え型)。
【0243】
228.HIV感染症の治療のための、2003/3/15にHoffmann-La Roche Inc.に対して承認された、エンフビルチド、合成(T-20;フゼオン(Fuzeon);ペンタフシド(pentafuside);DP-178)。
【0244】
229.中等症から重症の慢性尋常性乾癬の治療のための、2003/1/30にBiogen Corp.に対して承認された、LFA-3/IgG1、rDNA(アレファセプト;アメビブ(Amevive);白血球機能関連抗原-3/免疫グロブリンG(IgG)融合タンパク質、組換え型)。
【0245】
230.遺伝性(heredity)肺気腫(AAT欠乏症)を有する患者における酵素補充療法のための、2003/1/9にAlpha Therapeutic Corp.に対して承認された(Baxterによって販売されている)、アンチトリプシン、α-1/Baxter(α-1プロテイナーゼ阻害剤(ヒト);Aralast;α-1アンチトリプシン;AAT;A1P1)。
【0246】
231.関節リウマチの治療のための、2002/12/30にAbbott Laboratoriesに対して承認された、TNF Mab、rDNA、ヒト(アダリムマブ;ヒュミラ(Humira);D2E7;腫瘍壊死因子-αヒトモノクローナル抗体)。
【0247】
232.ジフテリア、破傷風、百日咳(pertussis(whooping cough))、B型肝炎、及びポリオの予防のための、2002/12/13にGlaxoSmithKline Inc.に対して承認された、DTaP&B型肝炎&ポリオワクチン(ジフテリア-破傷風トキソイド及び無菌体百日咳(沈降精製)、B型肝炎(組換え型)、及び不活化ポリオウイルスワクチン(混合);Pediarix;Infanrix+Engerix-B+IPOL)-混合ワクチン;ポリオウイルスワクチン(3つの不活化株の混合物)が、以前に承認されていない唯一の構成成分である。
【0248】
233.骨粗鬆症の治療のための、2002/11/26にEli Lilly&Co.に対して承認された、副甲状腺ホルモン(1-34)、rDNA(テリパラチド(rDNA起源);Forteo;LY333334;副甲状腺ホルモン(1-34)、組換え型)。
【0249】
234.慢性C型肝炎の第一選択治療のための、2002/10/16にHoffmann-La Roche Inc.に対して承認された、インターフェロンα-2a、rDNA、PEG-(ペグインターフェロンα-2a;ペガシス(Pegasys);インターフェロンα-2a、組換え型、ペグ化)。
【0250】
235.腫瘍溶解及び尿酸の上昇をもたらす癌化学療法を受けている小児患者における血漿尿酸レベル(高尿酸血症)の制御のための、2002/7/16にSanofi-Synthelaboに対して承認された、尿酸オキシダーゼ、rDNA(尿酸オキシダーゼ、組換え型;ラスブリカーゼ;re-Uox;Elitek;Fasturtec)。
【0251】
236.ある種の型の脊髄変性椎間板疾患(spinal degenerative disc disease)の治療(腰椎固定術(lumbar spinal fusion))のための、INFUSE Bone Graft/LT-CAGE Lumbar Tapered Fusion Deviceの一部として(Genetics Institue/Wyethからの)組換え型bmp-2を使用する、2002/7/2にMedtronic Sofamor Danekに対して承認された、骨形成タンパク質-2、rDNA(骨形成タンパク質-2、組換え型;BMP-2;INFUSE Bone Graft)-PMA。
【0252】
237.6週~7歳の乳児及び子供に投与されるジフテリア-破傷風トキソイド及び百日咳ワクチン接種シリーズの最初の4回の投与のための、2002/5/14にAventis Pasteur,Ltd.に対して承認された、DTaPワクチン/Aventis Canadaジフテリア-破傷風トキソイド及び無菌体百日咳吸着(DTaP)(DAPTACEL)-BLA。
【0253】
238.成人患者<65歳における皺眉筋及び/又は鼻根筋活動に付随する中等度から重度の眉間の(glabellar)しわ(「眉間の(frown)しわ」)の外見の一時的改善のための、2002/4/12にAllergan,Inc.に対して生物製剤承認一部変更申請(supplemental BLA)として承認された、ボツリヌス毒素A型から精製された神経毒素複合体(BOTOX COSMETIC)。
【0254】
239.ガストリノーマ(ガストリンを分泌する腫瘍)及び膵障害の診断のために、2002/4/5にRepligen Corp.に対して承認された、セクレチン、合成(SecreFlo;ブタセクレチン)。
【0255】
240.再発型の多発性硬化症の治療のための、2002/3/7にSerono,Inc.に対して承認された、インターフェロンβ-1a、rDNA/Serono(レビフ(Rebif))。
【0256】
241.B細胞非ホジキンリンパ腫の治療のための、2002/2/29にIDEC Pharmaceuticals Corp.に対して承認された、CD20 Mab/Y-90放射性結合体(イブリツモマブ・チウキセタン;ゼヴァリン(Zevalin);CD20モノクローナル抗体-キレート基結合体);レジメンには、リツキシマブ、インジウム-111イブリツモマブ・チウキセタン、及びイットリウム-90イブリツモマブ・チウキセタンが含まれる。
【0257】
242.非骨髄性悪性腫瘍のために化学療法を受けている患者における発熱性好中球減少症の治療のための、2002/1/31にAmgen,Inc.に対して承認された、G-CSF、rDNA、PEG-(ペグフィルグラスチム;Neulasta;ペグ化顆粒球コロニー刺激因子)。
【0258】
I-B 容器
あらゆる実施形態において任意に、一次薬物容器は、15N未満のFiによって表されるプランジャー摺動降伏応力(Plunger Breakloose Force)と、5N未満のFmによって表されるプランジャー摺動平衡応力(Plunger Glide Force)を有するシリンジであり得るのに対して、2年の有効期間中の2ミクロンを超える粒子の数は2000個未満である;任意に、モノクローナル抗体を含有するシリンジは、4℃~25℃までの範囲の温度で保管される。
【0259】
あらゆる実施形態において任意に、一次薬物容器は、シリンジ、カートリッジ、又はバイアル、任意に送達装置、任意にプレフィルドシリンジ又はプレフィルドカートリッジであり得る。
【0260】
あらゆる実施形態において任意に、一次薬物容器は、任意にCOC(環状オレフィンコポリマー)、COP(環状オレフィンポリマー)、ポリプロピレン、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリカーボネート、ポリスチレン、又はこれらの任意の2つ以上のものの組み合わせから選択される、ガラス又は熱可塑性物質、好ましくは射出成型可能な熱可塑性物質製であり得る。COP容器が、特に企図される。
【0261】
容器は、内在する粒子数が小さくなるように製造されるべきである。例えば、次の手段が有用であり得る:
【0262】
監視制御されるISO クラス7製造室(Manufacturing Room)。
【0263】
低い粒子負荷を確実にする、またバイオバーデンコンタミネーションを避けるために、容器が開口している生成物を、粒子についてのISO クラス5を達成するための部品取り扱いのために、さらなるHEPAエアフロー下で処理する。
【0264】
セルの成型及びコーティングの自動化を使用して、手操作による部品取り扱いを最小限にする。
【0265】
成型及びコーティングでのプロセス制御において、粒子産生及び外観上の欠陥を軽減すること。
【0266】
空の容器検査--空の容器についての自動化されたオンライン粒子検査。偽陽性<5%を有する50μm粒子を検出する。
【0267】
あらゆる実施形態において任意に、容器のための二次包装は、Tyvekを含まない。
【0268】
I-C 薬物接触コーティング
あらゆる実施形態において任意に、薬物接触コーティングは、本質的にSiOxyzからなり、式中
・xは、X線光電子分光法(XPS)によって測定される場合に、0.5から2.4、任意に1.3から1.9であり、
・yは、XPSによって測定される場合に、0.6から3、任意に0.8から1.4であり、
・zは、ラザフォード後方散乱によって測定される場合に、2から9、任意に2から6である。
【0269】
あらゆる実施形態において任意に、薬物接触コーティングの厚さは、5nmから1000nm、任意に10nmから500nm、任意に10nmから300nmである。
【0270】
あらゆる実施形態において任意に、薬物接触コーティングは、滑らかである。
【0271】
あらゆる実施形態において任意に、薬物接触コーティングは、固体の潤滑コーティングである。
【0272】
あらゆる実施形態において任意に、薬物接触コーティングは、pH保護コーティングである。
【0273】
あらゆる実施形態において任意に、薬物接触コーティングは、プラズマ援用化学蒸着(plasma enhanced chemical vapor deposition)(PECVD)によって適用される、SiOxyzの潤滑性コーティングであり、式中、xは0.5~2.4であり、yは0.6~3であり(x及びyはX線光電子分光法(XPS)によって測定される)、zは2~9である(zはラザフォード後方散乱分析によって測定される)。「潤滑性コーティング」は、シリンジの筒内でプランジャーを前進させるのに必要な降伏応力(breakloose-force)又は維持力(maintenance force)を、潤滑性コーティングがないこと以外は同じ条件下で生じるシリンジに必要な降伏応力又は維持力と比較して低下させるコーティングと定義される。これは、本明細書に記載される4層コーティングの第4のコーティングである。潤滑性コーティングの性質及び適用は、参照によって本明細書に組み込まれる国際公開第2013/071138号パンフレットに記載されている。時としてl-OMCTSと称される、ある企図される潤滑性コーティングは、有機ケイ素前駆体としてオクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)を使用して製造される、分子式SiOxyz(式中、xは0.5~2.4であり、yは0.6~3であり(x及びyはX線光電子分光法(XPS)によって測定される)、zは2~9である(zはラザフォード後方散乱分析によって測定される))を有するPECVDコーティングである。
【0274】
あらゆる実施形態において任意に、薬物接触コーティングは、ガスバリアコーティング、溶出され得るバリアコーティング、又はこれらの両方である。
【0275】
あらゆる実施形態において任意に、薬物接触コーティングは、タンパク質接着の低下を提供するためにプラズマ処理される。
【0276】
あらゆる実施形態において任意に、薬物接触コーティング又は処理は、タンパク質接着を、これらの接着タンパク質を溶液に戻さずに増大させ、したがって、容器内の粒子の数を増やさず、それどころか長い有効期間中に容器内の粒子の数を減少させる。
【0277】
あらゆる実施形態において任意に、その最終コーティングが薬物接触コーティングである多層PECVDコーティングを有する薬物容器が提供される。あらゆる実施形態において任意に、本明細書で企図される多層コーティングは、それぞれプラズマ援用化学蒸着(PECVD)によって適用される、本明細書に記載される通りのSiOxyzの接着又は結合コーティング又は層、本明細書に記載される通りのSiOxのバリアコーティング又は層、及び本明細書に記載される通りのSiOxyzのpH保護コーティング又は層(この場合には薬物接触層)を含む、3層コーティングであり得る。あらゆる実施形態において任意に、本明細書で企図される多層コーティングは、任意に本明細書内の他の場所に記載される方式で、それぞれプラズマ援用化学蒸着(PECVD)によって適用される、SiOxyzの接着又は結合コーティング又は層、SiOxのバリアコーティング又は層、SiOxyzのpH保護コーティング又は層、及びl-OMCTSの潤滑性コーティング又は層(この場合には薬物接触層)を含む、4層コーティングであり得る。
【0278】
あらゆる実施形態において任意に、薬物接触コーティングは、化学的に均質である。「均質」は、PECVD薬物接触コーティングについて、所与の容器の異なる位置におけるSiOxyzの各元素(Si、C、及びO)において、X線光電子分光法(XPS)分析で決定される5%未満、或いは4%未満、或いは3%未満、或いは2%未満、或いは1%未満の原子の標準偏差(%)を有することと定義される。
【0279】
あらゆる実施形態において任意に、薬物接触コーティングは、流体潤滑剤を含まない。
【0280】
あらゆる実施形態において任意に、薬物接触コーティングは、シリコーンオイルを含まない。
【0281】
I-D 追加のPECVDコーティング
あらゆる実施形態において任意に、一次薬物容器はまた、少なくとも3、任意に少なくとも5、任意に少なくとも10、任意に少なくとも20、任意に少なくとも50のバリア改善度(improvement factor)を提供するバリアコーティング又は層を有する。
【0282】
あらゆる実施形態において任意に、一次薬物容器はまた、内部表面とPECVD薬物接触コーティングとの間に配置される接着コーティング又は層を有する。
【0283】
あらゆる実施形態において任意に、一次薬物容器はまた、pH5~9に対するpH保護コーティング又は層を有する。あらゆる実施形態において任意に、pH保護コーティングは、内腔が注射用水、或いは薬物、或いはpH5~8の水性のリン酸緩衝試験溶液を含有する場合、1μg/日(1日あたりのマイクログラム)未満、或いは0.5μg/日未満、或いは0.4μg/日未満、或いは0.3μg/日未満、或いは0.2μg/日未満のケイ素分解速度を有する。
【0284】
あらゆる実施形態において任意に、薬物接触コーティングは、本質的にPECVD SiOxyzコーティング又は層からなり、式中
・xは、X線光電子分光法(XPS)によって測定される場合に、0.5から2.4、任意に1.3から1.9であり、
・yは、XPSによって測定される場合に、0.6から3、任意に0.8から1.4であり、
・zは、ラザフォード後方散乱によって測定される場合に、2から9、任意に2から6である。
【0285】
あらゆる実施形態において任意に、一次薬物容器は、薬物接触コーティングと内部表面との間のPECVD SiOxバリアコーティング又は層、及びバリアコーティング又は層と内部表面との間のPECVD SiOxyz接着性コーティング又は層をさらに含む。
【0286】
適切なコーティング、コーティングセット、及び表面処理を、図6に示し、ここでさらに論じる。
【0287】
結合コーティング又は層
図6に関して、時として接着コーティング又は層と称される、結合コーティング又は層が提供される。結合コーティング又は層は、任意に、バリアコーティング又は層の、基材、特に熱可塑性基材への接着を改善するために機能するのに対して、結合層は、ガラス基材への又は別のコーティング又は層への接着を改善するために使用することができる。
【0288】
任意に、結合コーティング又は層は、バリアコーティング又は層の、基材又は壁への接着を改善する。例えば、バリア層又はコーティングの基材への接着を改善するために、接着層又はコーティングとも称される結合コーティング又は層を、基材に適用することができ、バリア層を、接着層に適用することができる。任意に、接着又は結合コーティング又は層はまた、バリアコーティング又は層に対する応力を軽減し、バリア層が熱膨張又は収縮又は機械的衝撃から受ける損傷を少なくすると考えられる。
【0289】
任意に、バリアコーティング又は層の下に適用される結合コーティング又は層は、バリアコーティング又は層の上に適用されるpH保護コーティング又は層の機能を改善することができる。
【0290】
任意に、接着又は結合コーティング又は層はまた、バリアコーティング又は層とCOP基材の間の欠陥を分断すると考えられる。これは、接着又は結合コーティング又は層が適用される場合に形成される可能性がある、あらゆるピンホール又は他の欠陥が、バリアコーティング又は層が適用される場合に存続しない傾向があり、それにより、あるコーティングにおけるピンホール又は他の欠陥が、他のコーティングにおける欠陥と一致しないことから生じると考えられる。任意に、接着又は結合コーティング又は層は、バリア層としてのいくらかの有効性を有し、それにより、バリアコーティング又は層に広がる漏れ経路を提供する欠陥であっても、接着又は結合コーティング又は層によってブロックされる。
【0291】
任意に、結合コーティング又は層は、SiOxyz又はSiNxyzを含む、好ましくは、SiOxyzからなり得る、SiOxyzを含むことができる、又は本質的にSiOxyzからなり得、式中、xは、約0.5から約2.4であり、yは、約0.6から約3であり、zは、ラザフォード後方散乱によって測定される場合に、2から9、任意に2から6である。結合コーティング又は層289内のSi、O、及びCの原子比率は、任意に、
Si 100:O 50-150:C 90-200(すなわち、x=0.5から1.5、y=0.9から2);
Si 100:O 70-130:C 90-200(すなわち、x=0.7から1.3、y=0.9から2)
Si 100:O 80-120:C 90-150(すなわち、x=0.8から1.2、y=0.9から1.5)
Si 100:O 90-120:C 90-140(すなわち、x=0.9から1.2、y=0.9から1.4)、又は
Si 100:O 92-107:C 116-133(すなわち、x=0.92から1.07、y=1.16から1.33)。
であり得る。
【0292】
原子比率は、XPSによって決定することができる。XPSによって測定されないH原子を考慮に入れ、したがって、結合コーティング又は層289は、一態様では、式Siwxyz(又はその等価なSiOxy)を有することができ、例えば、ここでは、wは1であり、xは約0.5から約2.4であり、yは約0.6から約3であり、zは約2から約9である。したがって、典型的には、結合コーティング又は層289は、100%炭素+酸素+ケイ素に対して規準化された、36%から41%の炭素を含有するであろう。
【0293】
任意に、結合コーティング又は層は、本明細書内の他の場所に記載されるpH保護コーティング又は層286を有する組成物において類似又は同一であり得るが、これは、必須ではない。
【0294】
任意に、結合コーティング又は層289は、平均して、5から200nm(ナノメートル)、任意に5から100nm、任意に5から20nmの厚さである。これらの厚さは、重大ではない。一般に、必ずしもというわけではないが、結合コーティング又は層289は、その働きが、基材の表面特性を変えることであるので、比較的に薄いこととなる。
【0295】
結合コーティング又は層289は、内腔212に面する内側表面と、壁214内側表面に面する外側表面を有する。任意に、結合コーティング又は層286は、少なくとも、バリアコーティング又は層と同一の範囲の広がりをもつ。任意に、結合コーティング又は層は、例えばオクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、テトラメチルジシロキサン(TMDSO)、又はヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)を含む前駆体供給材料の、PECVDによって適用される。
【0296】
バリアコーティング又は層
図6に関して、酸素、二酸化炭素、又は他の気体が容器に入るのを防止するために、バリアコーティング又は層を、任意に、プラズマ援用化学蒸着(PECVD)又は他の化学蒸着プロセスによって、医薬包装、例えば熱可塑性包装の容器に被覆させることができ、このバリアコーティングは、任意に、大気気体の内腔への侵入を、コーティングされていない容器と比較して低下させるのに、及び/又は医薬材料の包装壁への又は包装壁を通した浸出を防止するのに有効である。
【0297】
バリアコーティング又は層は、任意に、酸素透過速度及び/又は水分透過速度を低下させるために熱可塑性壁に直接的又は間接的に適用することができる。
【0298】
バリアコーティング又は層は、任意に、酸素透過速度及び/又は水分透過速度を低下させるためにCOP製の熱可塑性壁に直接的又は間接的に適用される酸化ケイ素、酸化チタン、又は酸化亜鉛であり得る。
【0299】
充填される医薬包装又は他の容器において、バリアコーティング又は層が、壁の内部又は内側表面と、保管されることとなる流体を含有するように適合される内腔との間に位置するように、バリアコーティング又は層を、任意に、プラスチック容器の熱可塑性壁に直接的又は間接的に適用することができる(例えば、接着又は結合コーティング又は層を、これらの間に挿入することができる)。SiOxのバリアコーティング又は層は、プラスチック容器の熱可塑性壁によって担持される。本明細書内の他の場所に、又は米国特許第7,985,188号明細書に記載されるバリアコーティング又は層を、あらゆる実施形態において使用することができる。
【0300】
バリア層は、任意に、「SiOx」コーティングと特徴付けられ、ケイ素、酸素、及び任意に他の元素を含有し、ここでは、x、すなわちケイ素原子に対する酸素原子の比は、約1.5から約2.9、又は1.5から約2.6、又は約2である。ある好適なバリア組成物は、例えば、xが2.3であるものである。
【0301】
任意に、バリアコーティング又は層288は、2から1000nm厚、任意に4nmから500nm厚、任意に10から200nm厚、任意に20から200nm厚、任意に20から30nm厚であり、SiOxを含み、ここで、xは1.5から2.9である。SiOxのバリアコーティング又は層288は、内腔212に面する内側表面220と、結合コーティング又は層289の内側表面に面する外側表面222を有する。例えば、あらゆる実施形態の288などのバリアコーティング又は層は、少なくとも2nm、又は少なくとも4nm、又は少なくとも7nm、又は少なくとも10nm、又は少なくとも20nm、又は少なくとも30nm、又は少なくとも40nm、又は少なくとも50nm、又は少なくとも100nm、又は少なくとも150nm、又は少なくとも200nm、又は少なくとも300nm、又は少なくとも400nm、又は少なくとも500nm、又は少なくとも600nm、又は少なくとも700nm、又は少なくとも800nm、又は少なくとも900nmの厚さで適用することができる。バリアコーティング又は層は、最大で1000nm、又は多くとも900nm、又は多くとも800nm、又は多くとも700nm、又は多くとも600nm、又は多くとも500nm、又は多くとも400nm、又は多くとも300nm、又は多くとも200nm、又は多くとも100nm、又は多くとも90nm、又は多くとも80nm、又は多くとも70nm、又は多くとも60nm、又は多くとも50nm、又は多くとも40nm、又は多くとも30nm、又は多くとも20nm、又は多くとも10nm、又は多くとも5nm厚であり得る。
【0302】
4nmから500nm厚、任意に7nmから400nm厚、任意に10nmから300nm厚、任意に20nmから200nm厚、任意に20から30nm厚、任意に30nmから100nm厚の範囲が企図される。上で表した最小の厚さのいずれか1つ、それに加えて上で表した最大の厚さと同等かそれ以上のいずれか1つから構成される、特定の厚さ範囲が、明白に企図される。
【0303】
SiOx又は他のバリアコーティング又は層の厚さは、例えば透過型電子顕微鏡法(TEM)によって測定することができ、その組成物は、X線光電子分光法(XPS)によって測定することができる。
【0304】
任意に、バリアコーティング又は層は、大気気体の内腔への侵入を、バリアコーティング又は層を含まない容器と比較して低下させるのに有効である。任意に、バリアコーティング又は層は、壁を透過した酸素に対するバリアを提供する。任意に、バリアコーティング又は層は、内腔の内容物による壁の組成物の溶出に対するバリアである。
【0305】
pH保護コーティング又は層
本明細書に定義されたSiOxなどのある種のバリアコーティング又は層は、本明細書内の他の場所に記載されるコーティングされた容器のある種の比較的に高いpHの内容物による攻撃の結果として、特に、バリアコーティング又は層が直接的に内容物と接触する場合、6か月未満でバリア改善度が測定可能な程度に減弱される実体であるという特性を有することが判明している。本発明者らは、SiOxのバリア層又はコーティングが、いくつかの流体、例えば約5を超えるpHを有する水性組成物によって侵食又は溶解されることを発見した。化学蒸着によって適用されるコーティングが、非常に薄い-数十から数百ナノメートルの厚さである-可能性があるので、比較的に遅い速度の侵食であっても、製品包装の所望される有効期間よりも短い時間でバリア層の有効性を除去又は低下させる可能性がある。これは、特に、水性の流体医薬組成物にとって問題である。なぜなら、これらの多くは、血液及び他のヒト又は動物体液のpHと同様の、ほぼ7、又はより広範には4から8の範囲内、或いは5から9というpHを有するからである。医薬調製物のpHが高くなるほど、SiOxコーティングをより迅速に侵食又は溶解するようになる。任意に、この問題は、バリアコーティング又は層288、又は他のpH感受性材料を、pH保護コーティング又は層286で保護することによって対処することができる。
【0306】
pH保護コーティング又は層は、任意に、下にあるバリアコーティング又は層の、界面活性剤が存在する場合を含めて、4から8のpHを有する容器の内容物からの保護を提供する。内腔の内容物と接触するあらかじめ充填された医薬包装については、それが製造される時間から、使用される時間まで、pH保護コーティング又は層は、任意に、バリアコーティング又は層の攻撃を、プレフィルドシリンジの意図される有効期間にわたって有効な酸素バリアを維持するのに十分に防止又は阻害する。pH保護コーティング又は層の侵食、溶解、又は浸出(関連する概念についての別名)の速度は、流体によって直接的に接触されるならば、5から9のpHを有する流体によって直接的に接触される場合のバリアコーティング又は層の侵食の速度よりも低い。pH保護コーティング又は層は、バリアコーティングを医薬包装又は他の容器の有効期間中のバリアとして機能させるのに少なくとも十分な時間、5から9のpHを有する流体を、バリアコーティング又は層から分離するのに有効である。
【0307】
本発明者らは、図6に示される最上部層としてポリシロキサン前駆体から形成されるSiOxyz又はSiNxyzのある種のpH保護コーティング又は層(このpH保護コーティング又は層は、実質的な有機構成成分を有する)が、流体にさらされた場合、急速には侵食されず、実際には、流体が4から8又は5から9の範囲内のpHを有する場合、タイプ1ホウケイ酸ガラスよりもゆっくりと侵食又は溶解することをさらに発見した。例えば、pH8では、前駆体オクタメチルシクロテトラシロキサン、すなわちOMCTSから作製されたpH保護コーティング又は層の分解速度は、かなり遅い。したがって、SiOxyz又はSiNxyzのこれらのpH保護コーティング又は層は、SiOxのバリア層をカバーするために使用することができ、バリア層を医薬包装中の流体から保護することによって、バリア層の利益を保持する。保護層は、SiOx層を、容器内に保管される内容物(ここでは、この内容物は、他の点で、SiOx層と接触しているであろう)から保護するために、SiOx層の少なくとも一部分にわたって適用される。
【0308】
本発明は、以下の理論の正確性に依存しないが、さらに、侵食を避けるのに有効なpH保護コーティング又は層は、本開示に記載されている通りにシロキサン及びシラザンから作製することができると考えられている。環式シロキサン又は直鎖シラザン前駆体、例えばオクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)から被覆されたSiOxyz又はSiNxyzコーティングは、完全な環式シロキサン環、及び前駆体構造の反復単位のより長い連続を含むと考えられる。これらのコーティングは、ナノ多孔性だが構造化されており且つ疎水性であると考えられ、また、これらの特性は、pH保護コーティング又は層、また、保護コーティング又は層としてのその成功に寄与すると考えられる。これは、例えば、米国特許第7,901,783号明細書に示されている。SiOxyz又はSiNxyzコーティングはまた、直鎖シロキサン又は直鎖シラザン前駆体、例えばヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)又はテトラメチルジシロキサン(TMDSO)から被覆することができる。
【0309】
本発明者らは、本明細書に記載されるpH保護コーティング又は層の施行の次の理論を提供する。本発明は、この理論の正確性によって、又は、この理論の使用による予測可能な実施形態に限定されない。
【0310】
SiOxバリア層の分解速度は、層内のSiO結合に依存すると考えられる。酸素結合部位(シラノール)が、分解速度を増大させると考えられる。
【0311】
OMCTSを基材とするpH保護コーティング又は層は、SiOxバリア層上のシラノール部位と結合して、SiOx表面を「修復」又は不動態化させ、したがって分解速度を劇的に低下させると考えられている。この仮説では、OMCTS層の厚さは、保護の直接的な手段ではない-直接的な手段は、SiOx表面の不動態化である。本明細書に記載される通りのpH保護コーティング又は層を、pH保護コーティング又は層の架橋密度を増大させることによって改善できることが企図される。
【0312】
pH保護コーティング又は層は、任意に、バリアコーティング又は層を、少なくとも6か月の期間、流体218による攻撃の結果として少なくとも実質的に分解されないままにするのに有効である。
【0313】
pH保護コーティング又は層は、任意に、pH保護コーティング又は層と接触した化合物、又は組成物の構成成分の沈殿を防止又は低下させることができ、特に、インスリン沈殿又は血液凝固を、コーティングされていない表面、及び/又は前駆体としてHMDSOを使用するバリアでコーティングされた表面と比較して防止又は低下させることができる。
【0314】
図1及び2に関して、pH保護コーティング又は層286は、それぞれ先に定義された通りの、Siwxyz(若しくはその等価なSiOxy)又はSiwxyz若しくはその等価なSiNxy)、好ましくはSiOxyzからなり得る、これを含むことができる、又は本質的にこれからなり得、式中、xは、約0.5から約2.4であり、yは、約0.6から約3であり、zは、ラザフォード後方散乱によって測定される場合に、2から9、任意に2から6である。pH保護コーティング又は層286内のSi、O、及びCの原子比率は、任意に、
Si 100:O 50-150:C 90-200(すなわち、x=0.5から1.5、y=0.9から2);
Si 100:O 70-130:C 90-200(すなわち、x=0.7から1.3、y=0.9から2)
Si 100:O 80-120:C 90-150(すなわち、x=0.8から1.2、y=0.9から1.5)
Si 100:O 90-120:C 90-140(すなわち、x=0.9から1.2、y=0.9から1.4)
Si 100:O 92-107:C 116-133(すなわち、x=0.92から1.07、y=1.16から1.33)、又は
Si 100:O 80-130:C 90-150
であり得る。
【0315】
或いは、pH保護コーティング又は層は、X線光電子分光法(XPS)によって決定される場合の、100%炭素、酸素、及びケイ素に対して規準化される、50%未満の炭素及び25%を超えるケイ素という原子濃度を有することができる。或いは、原子濃度は、25から45%の炭素、25から65%のケイ素、及び10から35%の酸素である。或いは、原子濃度は、30から40%の炭素、32から52%のケイ素、及び20から27%の酸素である。或いは、原子濃度は、33から37%の炭素、37から47%のケイ素、及び22から26%の酸素である。
【0316】
任意に、X線光電子分光法(XPS)によって決定される場合の、100%の炭素、酸素、及びケイ素に対して規準化される、pH保護コーティング又は層における炭素の原子濃度は、有機ケイ素前駆体についての原子論理式における炭素の原子濃度を超えることができる。例えば、炭素の原子濃度が1から80原子パーセント、或いは10から70原子パーセント、或いは20から60原子パーセント、或いは30から50原子パーセント、或いは35から45原子パーセント、或いは37から41原子パーセント増大する実施形態が企図される。
【0317】
任意に、pH保護コーティング又は層における酸素に対する炭素の原子比率を、有機ケイ素前駆体と比較して増大させることができる、及び/又はケイ素に対する酸素の原子比率を、有機ケイ素前駆体と比較して低下させることができる。
【0318】
任意に、pH保護コーティング又は層は、X線光電子分光法(XPS)によって決定される場合の、100%の炭素、酸素、及びケイ素に対して規準化される、供給気体についての原子論理式におけるケイ素の原子濃度未満のよりも低い、ケイ素の原子濃度を有することができる。例えば、ケイ素の原子濃度が1から80原子パーセント、或いは10から70原子パーセント、或いは20から60原子パーセント、或いは30から55原子パーセント、或いは40から50原子パーセント、或いは42から46原子パーセント低下する実施形態が企図される。
【0319】
別の選択肢としては、総量式(sum formula)で特徴付けることができるpH保護コーティング又は層が、あらゆる実施形態において企図される、ここでは、有機ケイ素前駆体の総量式と比較して、原子比率C:Oを増大させることができる、及び/又は原子比率Si:Oを低下させることができる。
【0320】
Si:O:C又はSi:N:Cの原子比率は、XPS(X線光電子分光法)によって決定することができる。したがって、H原子を考慮に入れると、pH保護コーティング又は層は、一態様では、式Siwxyz、又はその等価なSiOxyを有することができ、例えば、wが1である場合、xは約0.5から約2.4、yは約0.6から約3、zは約2から約9、任意に約2から約6である。
【0321】
適用されるpH保護コーティング又は層の厚さは、任意に、10から1000nm;或いは10nmから900nm;或いは10nmから800nm;或いは10nmから700nm;或いは10nmから600nm;或いは10nmから500nm;或いは10nmから400nm;或いは10nmから300nm;或いは10nmから200nm;或いは10nmから100nm;或いは10nmから50nm;或いは20nmから1000nm;或いは50nmから1000nm;或いは50nmから800nm;任意に50から500nm;任意に100から200nm;或いは100nmから700nm;或いは100nmから200nm;或いは300から600nmである。厚さは、容器全体を通して均一である必要はなく、典型的には、容器の部分によって好ましい値は変わることとなる。
【0322】
pH保護コーティング又は層は、X線反射率(XRR)によって決定された場合に、1.25から1.65g/cm3、或いは1.35から1.55g/cm3、或いは1.4から1.5g/cm3、或いは1.4から1.5g/cm3、或いは1.44から1.48g/cm3の密度を有することができる。任意に、有機ケイ素化合物は、オクタメチルシクロテトラシロキサンであり得、pH保護コーティング又は層は、同じPECVD反応条件下で有機ケイ素化合物としてのHMDSOから作製されたpH保護コーティング又は層の密度よりも高い可能性がある密度を有することができる。
【0323】
pH保護コーティング又は層は、任意に、約5から約9、任意に約6から約8、任意に約6.4から約7.8のRMS表面粗さ値(AFMによって測定される)を有することができる。AFMによって測定される、pH保護コーティング又は層のRa表面粗さ値は、約4から約6、任意に約4.6から約5.8であり得る。AFMによって測定される、pH保護コーティング又は層のRmax表面粗さ値は、約70から約160、任意に約84から約142、任意に約90から約130であり得る。
【0324】
pH保護の内側表面は、ASTM D7334-08、「Standard Practice for Surface Wettability of Coatings,Substrates and Pigments by Advancing Contact Angle Measurement.」に従って、pH保護表面上の水滴のGoniometer Angle測定によって測定される場合に、任意に、90°から110°、任意に80°から120°、任意に70°から130°の接触角(蒸留水を用いる)を有することができる。
【0325】
任意に、あらゆる実施形態のpH保護コーティング又は層286のFTIR吸光度スペクトルは、約1000から1040cm-1の正常位置のSi-O-Si対称伸縮ピークの最大振幅と、約1060から約1100cm-1の正常位置のSi-O-Si非対称伸縮ピークの最大振幅との、0.75を超える比を有する。或いは、あらゆる実施形態において、この比は、少なくとも0.8、又は少なくとも0.9、又は少なくとも1.0、又は少なくとも1.1、又は少なくとも1.2であり得る。或いは、あらゆる実施形態において、この比は、多くとも1.7、又は多くとも1.6、又は多くとも1.5、又は多くとも1.4、又は多くとも1.3であり得る。本明細書に記述したあらゆる最小の比を、図1~5の本発明の代替実施形態として、本明細書に記述したあらゆる最大の比と組み合わせることができる。
【0326】
任意に、あらゆる実施形態において、pH保護コーティング又は層286は、医薬品の非存在下で、非油性の外観を有する。この外観は、有効なpH保護コーティング又は層を、潤滑性層(これは、ある種の場合に油性(すなわち、光沢のある)外観を有することが観察されている)と区別するために、ある種の場合に観察されている。
【0327】
任意に、あらゆる実施形態におけるpH保護コーティング又は層286について、注射用水で希釈され、濃硝酸でpH8に調整され、且つ0.2重量%ポリソルベート80界面活性剤を含有する50mMリン酸カリウム緩衝液による、40℃でのケイ素分解速度(溶解試薬を変化させるのを避けるために、医薬品の非存在下で測定される)は、170ppb/日未満である。(ポリソルベート80は、例えばUniqema Americas LLC、Wilmington DelawareからのTween(登録商標)-80として入手可能な医薬調製物の一般的成分である。)
【0328】
任意に、10mLまでの容器、あらゆる実施形態におけるpH保護コーティング又は層について、ケイ素分解速度は、160ppb/日未満、又は140ppb/日未満、又は120ppb/日未満、又は100ppb/日未満、又は90ppb/日未満、又は80ppb/日未満である。任意に、ケイ素分解速度は、10ppb/日を超える、又は20ppb/日を超える、又は30ppb/日を超える、又は40ppb/日を超える、又は50ppb/日を超える、又は60ppb/日を超える。あらゆる実施形態におけるpH保護コーティング又は層286について、本明細書に記述したあらゆる最小の比を、本明細書に記述したあらゆる最大の比と組み合わせることができる。
【0329】
任意に、あらゆる実施形態におけるpH保護コーティング又は層について、容器からの、8というpHを有する試験組成物への溶解時の、pH保護コーティング又は層及びバリアコーティングの全ケイ素量は、66ppm未満、又は60ppm未満、又は50ppm未満、又は40ppm未満、又は30ppm未満、又は20ppm未満である。
【0330】
pH保護コーティング又は層は、内腔212に面する内側表面と、バリアコーティング又は層288の内側表面に面する外側表面を有する。任意に、pH保護コーティング又は層は、少なくとも、バリアコーティング又は層288と同一の範囲の広がりをもつ。或いは、流体が、pH保護コーティング又は層を欠くバリアコーティングの特定部分と接触しない又はめったに接触しない場合のように、pH保護コーティング又は層は、バリアコーティングよりも範囲の広がりが狭くてもよい。或いは、pH保護コーティング又は層286は、バリアコーティングが提供されない領域をカバーすることもできるので、バリアコーティングよりも範囲の広がりが広くてもよい。
【0331】
pH保護コーティング又は層286は、任意に、非環式シロキサン、単環式シロキサン、多環式シロキサン、ポリシルセスキオキサン、単環式シラザン、多環式シラザン、ポリシルセスキアザン(polysilsesquiazane)、シラトラン(silatrane)、シルクアシラトラン(silquasilatrane)、シルプロアトラン(silproatrane)、アザシラトラン(azasilatrane)、アザシルクアシアトラン(azasilquasiatrane)、アザシルプロアトラン(azasilproatrane)、又はこれらの前駆体の任意の2つ以上の組み合わせを含む前駆体供給材料のプラズマ援用化学蒸着(PECVD)によって適用することができる。こうした使用について企図される、いくつかの特定の、非限定的な前駆体には、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)が含まれる。
【0332】
任意に、pH保護コーティング又は層286のFTIR吸光度スペクトルは、約1000から1040cm-1のSi-O-Si対称伸縮ピークの最大振幅と、約1060から約1100cm-1のSi-O-Si非対称伸縮ピークの最大振幅との、0.75を超える比を有する。
【0333】
内腔に含有される5から9のpHを有する流体組成物の存在下では、算出される容器の有効期間は、4℃の保管温度で、最大36か月である。任意に、pH保護コーティング又は層286の侵食の速度は、8というpHを有する流体組成物によって直接的に接触されるならば、同じ条件下で同じ流体組成物によって直接的に接触される場合のバリアコーティング又は層の侵食の速度の、20%未満、任意に15%未満、任意に10%未満、任意に7%未満、任意に5%から20%、任意に5%から15%、任意に5%から10%、任意に5%から7%である。任意に、流体組成物は、流体組成物との44時間の接触あたり、1nm以下のpH保護コーティング又は層の厚さという速度で、pH保護コーティング又は層286を取り除く。
【0334】
任意に、注射用水で希釈され、濃硝酸でpH8に調整され、且つ0.2重量%ポリソルベート80界面活性剤を含有する50mMリン酸カリウム緩衝液による、容器からのpH保護コーティング又は層及びバリアコーティング又は層のケイ素分解速度は、10mLまでの容器について、10億分の170(170ppb)/日未満である。
【0335】
任意に、容器からの、40℃の0.1N水酸化カリウム水溶液への溶解時の、pH保護コーティング又は層286及びバリアコーティング又は層288の全ケイ素量は、10mLまでの容器について、66ppm未満である。
【0336】
任意に、算出される容器210の有効期間(全Si/Si分解速度)は、2年よりも長い。
【0337】
任意に、pH保護コーティング又は層286は、次の通りに測定される、減衰全反射法(attenuated total reflection)(ATR)を用いて測定される、0.4未満のO-パラメータを示す:
【数1】
【0338】
O-パラメータは、米国特許第8,067,070号明細書に定義されており、ここでは、最も一般的には0.4から0.9のO-パラメータ値が主張されている。O-パラメータは、波数及び吸光度スケールの補間を示すために注釈が付けられる以外は米国特許第8,067,070号明細書の図5に示されている通りに、上の式の分子及び分母を見つけるための波数に対するFTIR振幅プロットの物理分析から測定することができ、1253cm-1での.0424という吸光度と、1000から1100cm-1での0.08という最大吸光度が導き出され、0.53という算出されたO-パラメータがもたらされる。O-パラメータは、吸光度に対する波数データの数字から測定することもできる。
【0339】
米国特許第8,067,070号明細書は、どちらも非環式シロキサンであるHMDSO及びHMDSNを用いる実験だけに頼って、主張されるO-パラメータ範囲によって、優れたpH保護コーティング又は層が提供されることを断言している。驚いたことに、本発明者らによって、米国特許第8,067,070号明細書に主張される範囲外のO-パラメータが、米国特許第8,067,070号明細書で得られるよりもさらに良い結果を提供することが判明した。或いは、図1~5の実施形態では、O-パラメータは、0.1から0.39、又は0.15から0.37、又は0.17から0.35の値を有する。
【0340】
任意に、pH保護コーティング又は層は、次の通りに測定される、減衰全反射法(attenuated total reflection)(ATR)を用いて測定される、0.7未満のN-パラメータを示す:
【数2】
【0341】
N-パラメータも、米国特許第8,067,070号明細書に記載されており、2つの特定の波数(これらの波数はいずれも範囲ではない)での強度が使用される以外はO-パラメータと同様に測定される。米国特許第8,067,070号明細書は、0.7から1.6というN-パラメータを有する不動態化層を主張する。やはり、本発明者らは、上に記載した通り、0.7未満のN-パラメータを有するpH保護コーティング又は層286を用いる、より良いコーティングを作製した。或いは、N-パラメータは、少なくとも0.3、又は0.4から0.6、又は少なくとも0.53の値を有する。
【0342】
Siwxyz又はその等価なSiOxyの保護コーティング又は層はまた、それがpH保護コーティング又は層としても機能するかどうかとは無関係に、疎水性層としての有用性を有することができる。好適な疎水性コーティング又は層及びその用途、特性、及び使用は、米国特許第7,985,188号明細書に記載されている。コーティング又は層の両方の型の特性を有する二重機能性の保護/疎水性コーティング又は層を、本発明のあらゆる実施形態のために提供することができる。
【0343】
階層化された複合体層
SiOx及びpH保護コーティング又は層の隣接層について、本明細書で企図される別の手段は、任意の2つ以上の隣接PECVD層、例えばバリアコーティング又は層288及びpH保護コーティング又は層286及び/又は潤滑性コーティング又は層281の、階層化された複合体である。階層化された複合体は、保護及び/又はバリア層又はコーティングの別々の層(これらの間の中間の組成物の移行又は境界面を有する)、又は保護及び/又は疎水性層及びSiOxの別々の層(これらの間の中間の組成物の中間の別のpH保護コーティング又は層を有する)、又は保護及び/又は疎水性層の組成物から、よりSiOxに近い組成物まで、通常の方向にプライマーコーティング又は層を通過して連続的に若しくは段階的に変化する単一のコーティング又は層であり得る。
【0344】
階層化された複合体における階層は、いずれかの方向に進むことができる。例えば、SiOxの組成物を、基材に直接的に適用することができ、プライマーコーティング又は層の表面から、さらに組成物に累進し、任意に、別の型のコーティング又は層、例えば疎水性コーティング又は層、又は潤滑性コーティング又は層にさらに累進ことができる。さらに、あらゆる実施形態において、接着コーティング又は層、例えばSiwxy又はその等価なSiOxyzを、任意に、バリア層を適用する前に基材に直接的に適用することができる。累進型のプライマーコーティング又は層は、特に、ある組成物の層を、別の基材よりもその基材に接着させる方が良い場合に、企図される。この場合には、より良く接着する組成物を、例えば、基材に直接的に適用することができる。どの点についても、プライマーコーティング又は層は、特性が徐々に変化しているので、階層化されたプライマーコーティング又は層の、より遠い部分が、階層化されたプライマーコーティング又は層の近くの部分よりも、基材との適合性が低い可能性があることが想定され、したがって、プライマーコーティング又は層の、ほぼ同じ深さの隣接部分は、ほぼ同一の組成を有し、実質的に異なる深さのより広く物理的に離れた部分は、より異なる特性を有する可能性がある。不十分なバリアを形成するより離れたプライマーコーティング又は層部分が、バリアによって妨害又は阻止ことが意図される材料で汚染されるのを防止するために、材料の移動に対するより優れたバリアを形成する、又は基材を形成するプライマーコーティング又は層部分を、基材に対して直接的に適用できることも想定される。
【0345】
適用されるコーティング又は層は、階層化される代わりに、任意に、組成物の実質的な勾配のない、ある層と次の層との間の急激な移行を有することができる。こうしたプライマーコーティング又は層は、例えば、層を生じるための気体を、非プラズマ状態の定常状態流として提供し、次いで短時間のプラズマ放電を用いてシステムに電圧を加えて、基材上にコーティング又は層を形成させることによって作製することができる。次のプライマーコーティング又は層が適用されるならば、先のプライマーコーティング又は層のための気体を排除し、次のプライマーコーティング又は層のための気体を、定常状態様式で適用し、その後、プラズマに電圧を加えて、基材、又はその最外側の先のプライマーコーティング又は層の表面上に別の層を(境界面での徐々の移行を、もしあったとしてもほとんど伴わずに)再び形成させる。
【0346】
ある実施形態は、基材上に疎水性pH保護コーティング又は層を形成するのに有効な条件下で実施することができる。任意に、pH保護コーティング又は層の疎水性特性は、気体状反応物中の有機ケイ素前駆体に対するO2の比を設定する、及び/又はプラズマを生じるために使用される電力を設定することによって定めることができる。任意に、pH保護コーティング又は層は、コーティングされていない表面よりも低いぬれ張力、任意に20から72dyne/cm、任意に30から60dynes/cm、任意に30から40dynes/cm、任意に34dyne/cmのぬれ張力を有することができる。任意に、pH保護コーティング又は層は、コーティングされていない表面よりも疎水性であり得る。
【0347】
設備
PECVDコーティング又は層を形成するためのPECVD器具
PECVD器具、すなわち、本明細書に記載されたPECVDコーティング又は層(具体的には、結合コーティング又は層289、バリアコーティング又は層288、又はpH保護コーティング又は層286が含まれる)のいずれかを適用するのに適したシステム及び前駆体材料は、参照によって組み込まれる米国特許第7,985,188号明細書に記載されている。
【0348】
壁214を有する容器は、米国特許第7,985,188号明細書に記載されているPECVD器具などの壁の内側表面に結合コーティング又は層を適用するのに適した器具である、タイコーター(tie coater)302に運ぶことができる。
【0349】
次いで、この容器を、米国特許第7,985,188号明細書に記載されているPECVD器具などの壁の内側表面にバリアコーティング又は層を適用するのに適した器具である、バリアコーター(coater)304に運ぶことができる。
【0350】
次いで、この容器を、米国特許第7,985,188号明細書に記載されているPECVD器具などの壁の内側表面にpH保護コーティング又は層を適用するのに適した器具である、pH保護コーター(coater)306に運ぶことができる。これで、コーティング一式を完了させる。
【0351】
任意に、このシステムによって、さらなるステップを実施することができる。例えば、コーティングされた容器を、流体充填機308に運ぶことができ、これは、流体を、流体供給310から、コーティングされた容器の内腔に移動させる。
【0352】
別の例については、充填された容器を、施栓取り付け機(installer)312に運ぶことができ、これは、施栓供給314から施栓、例えばプランジャー又は栓を取り、コーティングされた容器の内腔に取り付ける。
【0353】
本発明のあらゆる実施形態において、結合コーティング又は層は、任意に、プラズマ援用化学蒸着(PECVD)によって適用することができる。
【0354】
本発明のあらゆる実施形態において、バリアコーティング又は層は、任意に、PECVDによって適用することができる。
【0355】
本発明のあらゆる実施形態において、pH保護コーティング又は層は、任意に、PECVDによって適用することができる。
【0356】
本発明のあらゆる実施形態において、容器は、シリンジ筒、バイアル、カートリッジ、又はブリスター包装を含むことができる又はこれらからなることができる。
【0357】
SiOxバリア層を形成するための反応条件は、参照によって組み込まれる米国特許第7,985,188号明細書に記載されている。
【0358】
結合又は接着コーティング又は層は、例えば、0.5から10sccm、好ましくは1から5sccmの流速のテトラメチルジシロキサン(TMDSO)又はヘキサメチルジシロキサン(HMDSO);0.25から5sccm、好ましくは0.5から2.5sccmの酸素流;及び1から120sccmのアルゴン流を、好ましくは、1mLシリンジについてはこの範囲の上部、5ml.バイアルについてはこの範囲の下部で、前駆体として使用して、生成することができる。PECVD中の容器内の全体圧力は、0.01から10Torr、好ましくは0.1から1.5Torrであり得る。適用される電力レベルは、5から100ワットで(好ましくは、1mLシリンジについてはこの範囲の上部、5ml.バイアルについてはこの範囲の下部で)あり得る。被覆時間(すなわち、RF電源の「オン」の時間)は、0.1から10秒、好ましくは1から3秒である。電源サイクルは、0ワットから全出力まで、2秒などの短時間で、任意に緩やかに立ち上げさせる(ramp)又は徐々に増大させることができ、電源を入れた場合に、プラズマ均一性を向上させることができる。しかし、一定期間にわたるランプアップ(ramp up)は任意である。
【0359】
本明細書に記載されたpH保護コーティング又は層286コーティング又は層は、多くの異なる方式で適用することができる。ある例では、米国特許第7,985,188号明細書に記載されている減圧PECVDプロセスを使用することができる。別の例では、減圧PECVDを使用する代わりに、大気圧PECVDを用いて、pH保護コーティング又は層を被覆させることができる。別の例では、コーティングを単純に蒸発させ、保護されるべきSiOx層上の被覆を可能にすることができる。別の例では、コーティングを、保護されるべきSiOx層上にスパッタリングさせることができる。さらに別の例では、SiOx層をすすぐ又は洗浄するために使用するための液体媒体からのpH保護コーティング又は層286を適用することができる。
【0360】
他の前駆体及び方法を使用して、pH保護コーティング又は層又は不動態化処理を適用することができる。例えば、前駆体として、ヘキサメチレンジシラザン(HMDZ)を使用することができる。HMDZは、その分子構造内に酸素を含有しないという利点を有する。この不動態化処理は、SiOxバリア層のHMDZでの表面処理であると想定される。シラノール結合部位での二酸化ケイ素コーティングの分解を減速させる及び/又は排除するために、コーティングは、不動態化されなければならない。HMDZでの表面の不動態化(及び任意にHMDZ由来のコーティングのわずかな単層の適用)は、分解低下をもたらす、溶解に対する表面の強靭化をもたらすこととなることが想定される。HMDZは、二酸化ケイ素コーティング中に存在する-OH部位と反応することとなり、NH3の発生、及びS-(CH3)3のケイ素への結合がもたらされることが想定される(水素原子が発生し、HMDZ由来の窒素と結合して、NH3を生成することとなることが想定される)。
【0361】
このHMDZ不動態化は、いくつかの可能な経路を通じて実現することができることが想定される)。
【0362】
想定される経路は、周囲温度でのHMDZの脱水/気化である。最初に、例えばヘキサメチレンジシロキサン(HMDSO)を使用して、SiOx表面が被覆される。次いで、コーティングされた二酸化ケイ素表面を、HMDZ蒸気と反応させる。ある実施形態では、対象物にSiOx表面が被覆されたらすぐに、真空を維持させる。HMDSO及び酸素をポンプで排出し、ベースの真空を得る。いったんベースの真空が得られたら、mTorrの範囲から多くのTorrまでの圧力で、(対象部分上にコーティングされた)二酸化ケイ素の表面にわたってHMDZ蒸気を流す。次いで、HMDZをポンプで排出する(反応の副産物であるNH3がもたらされる)。気体流中のNH3の量は、(一例として、残留ガス分析器--RGA--を用いて)モニタリングすることができ、NH3がそれ以上検出されなくなったら、反応は完了である。次いで、成分を(きれいな乾燥気体又は窒素を用いて)大気に排出させる。次いで、得られた表面が不動態化されていることがわかる。この方法は、任意に、プラズマを形成させずに実現できることが想定される。
【0363】
或いは、SiOxバリアコーティング又は層の形成後、HMDZの脱水/気化の前に真空を開放することができる。次いで、SiOxバリアコーティング又は層の形成に使用したのと同じ器具で、又は別の器具で、HMDZの脱水/気化を実施することができる。
【0364】
上昇温度でのHMDZの脱水/気化も想定される。上記プロセスを、代わりに、約150℃までの、室温を超える上昇温度で実施することができる。最大温度は、コーティングされた部品が構成される材料によって決定される。コーティングされた部品を変形させる又はそれ以外に損傷を与えることとならない、高い温度が選択されるべきである。
【0365】
プラズマアシストを用いたHMDZの脱水/気化も想定される。脱水/気化の上記実施形態のいずれかを実施した後、いったん、HMDZ蒸気を部品に入れ、プラズマを生じさせる。プラズマの電力は、数ワットから100+ワット(SiOxを被覆させるために使用されるのと同様の電力)の範囲であり得る。上記は、HMDZに限定されず、水素と反応することとなるあらゆる分子、例えば、本明細書に記載される窒素含有前駆体のいずれかに適用可能であるだろう。
【0366】
pH保護コーティング又は層を適用する別の方式は、pH保護コーティング又は層として、無定形炭素又はフルオロカーボンコーティング、又はこれら2つの組み合わせを適用することである。
【0367】
無定形炭素コーティングは、プラズマ重合のための前駆体として、飽和炭化水素(例えばメタン若しくはプロパン)又は不飽和炭化水素(例えばエチレン、アセチレン)を使用するPECVDによって形成することができる。フルオロカーボンコーティングは、フルオロカーボン(例えば、ヘキサフルオロエチレン又はテトラフルオロエチレン)から得ることができる。いずれの型のコーティング、又は両方の組み合わせも、真空PECVD又は大気圧PECVDによって被覆することができる。無定形炭素及び/又はフルオロカーボンコーティングは、シラノール結合を含有しないので、無定形炭素及び/又はフルオロカーボンコーティングは、シロキサンコーティングよりも優れたSiOxバリア層の不動態化を提供することとなることが想定される。
【0368】
フルオロケイ素(fluorosilicon)前駆体を使用して、SiOxバリア層に勝るpH保護コーティング又は層を提供することができることが、さらに想定される。これは、ヘキサフルオロシランなどのフッ化シラン前駆体を前駆体として、またPECVDプロセスを使用することによって実施することができる。得られるコーティングはまた、非湿潤性コーティングであることが期待されるであろう。
【0369】
本明細書に記載されたpH保護コーティング又は層プロセスのあらゆる実施形態を、プラズマを含有するようにコーティングされることとなる物を使用せずに実施することもできることが、さらに想定される。例えば、医療物品、例えば、カテーテル、手術用機器、施栓、及びその他のものの外部表面は、高周波標的を用いてコーティングをスパッタリングすることによって、保護又は不動態化することができる。
【0370】
SiOxバリア層を保護又は不動態化するために企図される、さらに別のコーティング様式は、ポリアミドアミン・エピクロロヒドリン樹脂を使用して、バリア層をコーティングすることである。例えば、バリアによってコーティングされる部品を、流体のポリアミドアミン・エピクロロヒドリン樹脂溶融物、溶液、又は分散中で浸漬コーティングし、オートクレーブにかけること又は他の加熱によって60℃から100℃の温度で硬化させることができる。ポリアミドアミン・エピクロロヒドリン樹脂のコーティングは、こうした樹脂が、そのpH範囲において、紙における高い湿潤強さを提供することが公知であることから、pH5~8の水性環境において、優先的に使用することができることが想定される。湿潤強さは、完全に水に浸された紙の長期間の機械的強度を維持する能力であるので、SiOxバリア層上のポリアミドアミン・エピクロロヒドリン樹脂のコーティングは、水性媒体への溶解に対する同様の抵抗性を有することとなることが想定される。ポリアミドアミン・エピクロロヒドリン樹脂は、紙に潤滑性改善を与えるので、COC又はCOP製の熱可塑性表面上へのコーティングの形態でも潤滑性を提供するであろうことも想定される。
【0371】
SiOx層を保護するさらに別の手法は、pH保護コーティング又は層としてポリフルオロアルキルエーテルの液体適用型コーティングを適用し、それに続いてpH保護コーティング又は層を大気プラズマ硬化させることである。例えば、本明細書に記載されるTriboGlide(登録商標)下で実施されるプロセスを使用して、(TriboGlide(登録商標)は伝統的に、潤滑性を提供するために使用されるので)潤滑性層でもあるpH保護コーティング又は層を提供することができることが想定される。
【0372】
1/8インチの管径を有する3ml試料サイズシリンジ(終端が開口)における、pH保護コーティング又は層286を調製するための例示的PECVD反応条件は、次の通りである:
【0373】
pH保護コーティング又は層を被覆させるために、例えば、以下の基準体積比を有する前駆体供給又はプロセスガスを用いることができる:
・0.5から10基準体積、任意に1から6基準体積、任意に2から4基準体積、任意に6以下の基準体積、任意に2.5以下の基準体積、任意に1.5以下の基準体積、任意に1.25以下の基準体積の前駆体、例えば、OMCTS、又はあらゆる実施形態の他の前駆体の1つ;
・0から100基準体積、任意に1から200基準体積、任意に1から80基準体積、任意に5から100基準体積、任意に10から70基準体積の、あらゆる実施形態の担体気体、例えばアルゴン。
・0.1から10基準体積、任意に0.1から2基準体積、任意に0.2から1.5基準体積、任意に0.2から1基準体積、任意に0.5から1.5基準体積、任意に0.8から1.2基準体積の酸化剤。
・電力レベルは、例えば、0.1~500ワットであり得る。
・企図される具体的な流速及び電力レベルには、以下が含まれる:
OMCTS:2.0sccm
酸素:0.7sccm
アルゴン:7.0sccm
電力:3.5ワット
【0374】
表面処理
あらゆる実施形態において言及される場合の「プラズマ」は、その構成粒子の多大なイオン化、一般にガス状の形態、及び白熱光(すなわち、これは、光を発することを意味するグロー放電を生じる)を特徴とする、物質の4つの基本状態のうちの1つの、物理学におけるその通常の意味を有する。
【0375】
「変換プラズマ処理」は、1つ以上の生体分子の、処理された表面への接着を低下させる、あらゆるプラズマ処理を指す。
【0376】
「コンディショニングプラズマ処理」は、さらなる変換プラズマ処理のために表面を整えるための、表面のあらゆるプラズマ処理を指す。「コンディショニングプラズマ処理」には、それ自体で、1種以上の生体分子の、処理された表面への接着を低下させるが、その後に変換プラズマ処理(これは、1種以上の生体分子の、処理された表面への接着をさらに低下させる)が続く、プラズマ処理が含まれる。「コンディショニングプラズマ処理」には、それ自体で、1種以上の生体分子の、処理された表面への接着を低下させないプラズマ処理も含まれる。
【0377】
「リモート」変換プラズマ処理は、一般的に言えば、プラズマの放射エネルギー密度(例えば、ジュール毎cm3)が、実質的に、プラズマグロー放電のいずれかの点(以下では「最も明るい点」と称する)の最大放射エネルギー密度よりも小さいが、リモート表面が、グロー放電のいくつかの部分に対して、1種以上の生体分子の、処理されたリモート表面への接着を低下させるのに十分に近い「リモート」点に位置する表面の、変換プラズマ処理である。「リモート」は、リモートコンディショニングプラズマ処理に関して、リモート表面が、グロー放電のいくつかの部分に対して、表面をコンディショニングするのに十分に近くなければならないこと以外は同様に定義される。
【0378】
プラズマの最も明るい点での放射エネルギー密度は、最も明るい点での可視スペクトル(380ナノメートル(nm)から750nm波長)における光の最も強い輝線の放射強度を測定することによって、分光光度的に決定される。リモート点での放射エネルギー密度は、リモート点での光の同じ輝線の放射エネルギー密度を測定することによって、分光光度的に決定される。点の「離れていること(remoteness)」は、リモート点での放射エネルギー密度の、最も明るい点での放射エネルギー密度に対する比率を測定することによって定量化される。本明細書及び特許請求の範囲は、「リモート」を、定量的に、この比率の特定の範囲と定義する。概して、この比率は、0から0.5、任意に0から0.25、任意に約0、任意に厳密に0である。リモート変換プラズマ処理は、この比率がゼロである場合(これは、リモート点での測定できない可視光線を示すけれども)に実施することができる。なぜなら、プラズマの暗放電領域又は残光(afterglow)領域が、光を発するには十分にエネルギー性ではないが、処理された表面を改変して1種以上の生体分子の接着を低下させるには十分にエネルギー性である、エネルギー性の種を含有するからである。
【0379】
「非重合化合物」は、操作的に、すべての実施形態について、表面のある特定のプラズマ処理に使用される条件下で、処理された表面上で重合しない、又は他に追加的コーティングを形成しない化合物と定義される。非重合条件下で使用することができる化合物の、多数の非限定的な例は、以下である:O2、N2、空気、O3、N2O、H2、H22、NH3、Ar、He、Ne、及び先述のものの2つ以上のいずれかの組み合わせ。これらには、アルコール、有機酸、及び極性有機溶媒、並びに用いられるものとは異なるプラズマ条件下で重合する可能性がある材料も含まれ得る。「非重合」には、既存の重合表面と反応及び結合する、及び表面でその組成物を局所的に改変する化合物が含まれる。非重合コーティングを本質的に特徴付ける特徴は、処理時間の増大につれて、これが、厚さを蓄積(すなわち、追加的コーティングを蓄積しない)しないことである。
【0380】
「基材」は、物、又は他の固体形態(細粒、ビーズ、又は粒子など)である。
【0381】
「表面」は、広い意味で、基材の元々の表面(「表面」には、本明細書で使用される場合は必ず、表面の一部分も含まれる)、又は液体適用、気体からの凝縮、又は化学蒸着(基材上にコーティングを形成するのに有効な条件下で実施されるプラズマ援用化学蒸着が含まれる)などのあらゆる好適なコーティング又は処理方法によって表面を整えられたコーティング又は処理された表面のいずれかと定義される。
【0382】
処理された表面は、すべての実施形態について、本明細書に記載される通りにプラズマ処理されている表面と定義される。
【0383】
用語「任意に」及び「或いは」は、本明細書及び特許請求の範囲において同じ意味を有するとみなされ、互換的に使用することができる。
【0384】
あらゆる実施形態における「材料」は、限定はされないが、熱可塑性材料、任意に熱可塑性射出成型可能な材料を含めた、基材が形成されるあらゆる材料であり得る。あらゆる実施形態による基材は、例えば、限定はされないが:オレフィンポリマー;ポリプロピレン(PP);ポリエチレン(PE);環状オレフィンコポリマー(COC);環状オレフィンポリマー(COP);ポリメチルペンテン;ポリエステル;ポリエチレンテレフタレート;ポリエチレンナフタレート;ポリブチレンテレフタレート(PBT);PVdC(ポリ塩化ビニリデン;ポリ塩化ビニル(PVC);ポリカーボネート;ポリメチルメタクリレート;ポリ乳酸;ポリスチレン;水添ポリスチレン;ポリ(シクロヘキシルエチレン)(PCHE);エポキシ樹脂;ナイロン;ポリウレタン・ポリアクリロニトリル;ポリアクリロニトリル(PAN);アイオノマー樹脂;又はSurlyn(登録商標)アイオノマー樹脂を含めた材料から製造することができる。
【0385】
本明細書全体を通して使用される用語「容器」は、液体、気体、固体、又はこれらのものの任意の2つ以上を含有する又は運搬するように適合された、あらゆる型のものであり得る。容器の一例は、用途に応じた少なくとも1つの開口部(例えば、1つ、2つ、又はそれ以上)と、内側接触表面を定義する壁とを有するものである。
【0386】
用語「ストレス条件」は、酸性又は塩基性条件、撹拌、移動、凍結融解サイクル、延長された期間の保管などの、あらゆる形態のものであり得る。
【0387】
表面、任意に基材の表面を処理するための本発明の方法には、チャンバー内で、1種以上の非重合化合物の変換プラズマで表面を処理して、処理された表面を形成することが含まれる。
【0388】
あらゆる実施形態によれば、非常に広範囲の様々な表面を処理することができる。表面の一例は、容器内腔表面であり、ここでは、容器は、例えば、バイアル、瓶、広口瓶(jar)、シリンジ、カートリッジ、ブリスター包装、又はアンプルである。それ以上の例については、材料の表面は、実験器具の物品、例えば、マイクロプレート、遠心チューブ、ピペットチップ、ウェルプレート、マイクロウェルプレート、ELISAプレート、マイクロたいたープレート、96ウェルプレート、384ウェル、遠心チューブ、クロマトグラフィーバイアル、真空型血液採集チューブ、又は試料チューブの流体表面であり得る。
【0389】
あらゆる実施形態の処理される表面は、PECVD被覆されたSiOxyz又はSiNxCyHz(式中、xは、X線光電子分光法(XPS)によって測定される場合に約0.5から約2.4であり、yは、XPSによって測定される場合に約0.6から約3であり、zは、ラザフォード後方散乱分光法(RBS)によって測定される場合に約2から約9、任意に約2から約6である)のコーティング又は層であり得る。処理されることとなる表面の別の例は、SiOx(式中、xは、XPSによって測定される場合に、約1.5から約2.9である)のバリアコーティング又は層、任意に、周期表の第III族及び/又は第IV族からの金属元素、例えば、第III族では:ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、スカンジウム、イットリウム、又はランタン(アルミニウム及びホウ素が好ましい)、第IV族では:ケイ素、ゲルマニウム、スズ、鉛、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、又はトリウム(ケイ素及びスズが好ましい)の化合物である有機金属前駆体の酸化物又は窒化物である。
【0390】
あらゆる実施形態において表面を処理するために用いられる気体は、不活性な気体又は反応性の気体であり得、次のもののいずれかであり得る:O2、N2、空気、O3、N2O、NO2、N24、H2、H22、H2O、NH3、Ar、He、Ne、Xe、Kr、窒素含有気体、他の非重合性気体、気体の組み合わせ(Ar/O2混合物、N2/O2混合物(Arでの前処理コンディショニングステップ後)、揮発性の極性有機化合物、C1~C12炭化水素と酸素との組み合わせ;C1~C12炭化水素と窒素との組み合わせが含まれる);ケイ素含有気体;又はこれらのものの2つ以上の組み合わせ。この処理は、本明細書で定義した非重合性気体を用いる。
【0391】
あらゆる実施形態の揮発性の極性有機化合物は、例えば、水、例えば水道水、蒸留水、又は脱イオン水;アルコール、例えばC1~C12アルコール、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、s-ブタノール、t-ブタノール;グリコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、及びその他のもの;グリセリン、C1~C12直鎖又は環式エーテル、例えばジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、グリム(CH3OCH2CH2OCH3);式-CH2CH2n-の環式エーテル、例えばジエチレンオキシド、トリエチレンオキシド、及びテトラエチレンオキシド;環式アミン;環式エステル(ラクトン)、例えばアセトラクトン、プロピオラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン、及びカプロラクトン;C1~C12アルデヒド、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、又はブチルアルデヒド;C1~C12ケトン、例えばアセトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、又はジブチルケトン;C1~C12カルボン酸、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、又は酪酸;アンモニア、C1~C12アミン、例えばメチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、又はドデシルアミン;フッ化水素、塩化水素、C1~C12エポキシド、例えばエチレンオキシド又はプロピレンオキシド;又はこれらのものの任意の2つ以上の組み合わせであり得る。
【0392】
あらゆる実施形態のC1~C12炭化水素は、任意に、メタン、エタン、エチレン、アセチレン、n-プロパン、i-プロパン、プロペン、プロピン;n-ブタン、i-ブタン、t-ブタン、ブタン、1-ブチン、2-ブチン、又はこれらのものの任意の2つ以上の組み合わせであり得る。
【0393】
あらゆる実施形態のケイ素含有気体は、シラン、有機ケイ素前駆体、又はこれらのものの任意の2つ以上の組み合わせであり得る。ケイ素含有気体は、任意に、Si1-Si4で置換された又は非置換のシラン、例えばシラン、ジシラン、トリシラン、又はテトラシランのうちのいずれか1つ以上を含む、本質的にこれらからなる、又はこれらからなる、非環式又は環式の、置換又は非置換のシラン;炭化水素又はハロゲンで置換されたSi1-Si4シラン、例えばテトラメチルシラン(TetraMS)、テトラエチルシラン、テトラプロピルシラン、テトラブチルシラン、トリメチルシラン(TriMS)、トリエチルシラン、トリプロピルシラン、トリブチルシラン、トリメトキシシラン、ヘキサフルオロジシランなどのフッ化シラン、オクタメチルシクロテトラシラン又はテトラメチルシクロテトラシランなどの非環式シラン、又はこれらのものの任意の2つ以上の組み合わせであり得る。ケイ素含有気体は、直鎖シロキサン、単環式シロキサン、多環式シロキサン、ポリシルセスキオキサン、アルキルトリメトキシシラン、直鎖シラザン、単環式シラザン、多環式シラザン、ポリシルセスキアザン、又はこれらのものの任意の2つ以上の組み合わせ、例えば ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、テトラメチルジシロキサン(TMDSO)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、テトラメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン、オクタメチルトリシラザン、オクタメチルシクロテトラシラザン、テトラメチルシクロテトラシラザン、又はこれらのものの任意の2つ以上の組み合わせであり得る。
【0394】
あらゆる実施形態におけるプラズマ処理に使用されるプラズマを励起するために使用される電力は、例えば、1から1000ワット、任意に100から900ワット、任意に50から600ワット、任意に100から500ワット、任意に500から700ワット、任意に1から100ワット、任意に1から30ワット、任意に1から10ワット、任意に1から5ワットであり得る。
【0395】
プラズマ処理に使用されるプラズマを励起するために使用される電力の周波数は、あらゆる実施形態において、プラズマ域においてプラズマを着火することとなるあらゆる種類のエネルギーであり得る。例えば、これは、3Hzから300GHzの周波数を有する直流(DC)又は交流(電磁エネルギー)であり得る。この範囲の電磁エネルギーには、一般に、より具体的には、3から30Hzの超低周波(extremely low frequency)(ELF)、30から300Hzの超低周波(super low frequency)(SLF)、300Hzから3kHzの音声周波若しくは極低周波(VF若しくはULF)、3から30kHzの超長波(VLF)、30から300kHzの低周波(LF)、300kHzから3MHzの中波(MF)、3から30MHzの高周波(HF)、30から300MHzの超短波(VHF)、300MHzから3GHzの極超短波(UHF)、3から30GHzのマイクロ波(SHF)、30から300GHzの極高周波(EHF)と特徴付けられる、高周波(RF)エネルギー及びマイクロ波エネルギー、又はこれらのものの任意の2つ以上の組み合わせが含まれる。例えば、一般に使用される周波数の2つの非限定的な例として、高周波エネルギー、一般に13.56MHzは、有用なRFエネルギーであり、極超短波エネルギー、一般に2.54GHzは、有用なマイクロ波エネルギーである。
【0396】
プラズマ励起エネルギーは、あらゆる実施形態において、処理ステップ中に連続的であっても良いし、処理ステップ中に複数回断続適用(pulse)されても良い。断続適用される場合、これは、プラズマ処理中に規則的又は変動的順序で、交互に、1ミリ秒から1秒までの範囲の時間、適用をオンにし、次いで、1ミリ秒から1秒までの範囲の時間、適用をオフにすることができる。ある全負荷サイクル(1つの「オン」期間+1つの「オフ」期間)は、1から2000ミリ秒(ms)、任意に1から1000ミリ秒(ms)、任意に2から500ms、任意に5から100ms、任意に10から100msの長さであり得る。
【0397】
あらゆる実施形態において任意に、負荷サイクルの電源オン部分と電源オフ部分の間の関係は、例えば、電源オンが、1~90パーセントの時間、任意に1~80パーセントの時間、任意に1~70パーセントの時間、任意に1~60パーセントの時間、任意に1~50パーセントの時間、任意に1~45パーセントの時間、任意に1~40パーセントの時間、任意に1~35パーセントの時間、任意に1~30パーセントの時間、任意に1~25パーセントの時間、任意に1~20パーセントの時間、任意に1~15パーセントの時間、任意に1~10パーセントの時間、任意に1~5パーセントの時間であり、電源オフが、各負荷サイクルの残りの時間であり得る。
【0398】
Mark J.Kushner,Pulsed Plasma-Pulsed Injection Sources For Remote Plasma Activated Chemical Vapor Deposition,J.APPL.PHYS.73,4098(1993)に記載されているプラズマパルス変調(plasma pulsing)を、任意に使用することができる。
【0399】
あらゆる実施形態によるプラズマ処理中のプロセスガスの流速は、1から300sccm(立方センチメートル毎分)、任意に1から200sccm、任意に1から100sccm、任意に1~50sccm、任意に5~50sccm、任意に1~10sccmであり得る。
【0400】
あらゆる実施形態において任意に、プラズマチャンバーは、気体を供給する前に、0.001ミリTorr(mTorr、0.00013パスカル)から100Torr(13,000パスカル)のベース圧力に減圧される。任意に、あらゆる実施形態における供給気体圧力は、0.001から10,000mTorr(0.00013から1300パスカル)、任意に1mTorrから10Torr(0.13から1300パスカル)、任意に0.001から5000mTorr(0.00013から670パスカル)、任意に1から1000ミリTorr(0.13から130パスカル)の範囲であり得る。
【0401】
あらゆる実施形態において、プラズマが発生する処理体積は、処理される表面とは分離した処理容器が使用されるならば、例えば、100mLから50リットル、好ましくは8リットルから20リットル、処理される表面が容器の内側表面の一部であり、プラズマが含有される容器としての役割も果たすならば、例えば、処理容器が、薬物のための一次包装としての機能を果たすことが意図されるシリンジ筒、バイアル、又はカートリッジであるならば、例えば、0.1から20mL、任意に0.5から10mLであり得る。
【0402】
あらゆる実施形態におけるプラズマ処理時間は、例えば、1から300秒、任意に3から300秒、任意に30から300秒、任意に150から250秒、任意に150から200秒、任意に90から180秒であり得る。
【0403】
プラズマ処理ステップの数は、あらゆる実施形態において、変動し得る。例えば、1つのプラズマ処理を使用することができる;任意に、同一又は異なる条件を用いて、2つ以上のプラズマ処理を使用することができる。
【0404】
あらゆる実施形態において、用いられるプラズマ処理器具は、あらゆる好適な器具であり得る。例えば、米国特許第7,985,188号明細書、図2に示されている、処理されることとなる容器の内腔を真空チャンバーとして用いるタイプのプラズマ処理器具を、あらゆる実施形態に使用することができる。
【0405】
あらゆる実施形態のプラズマ処理プロセスを、任意に、イオン化気体を使用する処理と組み合わせることができる。イオン化気体は、ある例としては、プラズマ処理に適したものと特定された気体のうちのいずれかであり得る。イオン化気体は、あらゆる好適な方式で送達することができる。例えば、イオン化気体は、イオン化吹き出し銃(blow-off gun)、又は他のイオン化気体供給源から送達することができる。好都合な気体送達圧力は、1~120psi(ポンド毎平方インチ(pounds per square inch))(6から830kPa、キロパスカル)(ゲージ圧力、又は任意に絶対圧力)、任意に50psi(350kPa)である。イオン化気体の含水量は、0から100%であり得る。イオン化気体での極性処理表面仕上げを、任意の好適な処理時間、例えば1~300秒、任意に10秒間、実施することができる。
【0406】
I-E 施栓
あらゆる実施形態において任意に、一次薬物容器の内部表面は、一般に、円柱状であり、内部表面に位置する且つ内部表面内を滑ることができるプランジャー又は栓をさらに含む。あらゆる実施形態において任意に、プランジャーは、Oリングプランジャーである。
【0407】
あらゆる実施形態において任意に、プランジャーは、一次薬物容器を保管する間の使用のための第1ポジションと、一次薬物容器から薬物を分注する間の使用のための第2ポジションを有する、2ポジションプランジャーである。
【0408】
あらゆる実施形態において任意に、プランジャーは、一次薬物容器を保管する間の使用のための第1ポジションと、潤滑剤を伴う一次薬物容器から薬物を分注する間の使用のための第2ポジションを有する、2ポジションプランジャーである。
【0409】
あらゆる実施形態において任意に、プランジャーは、一次薬物容器を保管する間の使用のための第1ポジションと、粒子の数を減らすために潤滑剤を適用しない一次薬物容器から薬物を分注する間の使用のための第2ポジションを有する、2ポジションプランジャーである。
【0410】
好適なプランジャーは、例えば、2014年10月7日に出願された米国特許出願公開第2014/059531号明細書;2015年7月14日に出願された米国特許出願第62/192,192号明細書;及び2015年12月18日に出願された米国特許出願第62/269,600号明細書に記載されている。これらの出願の本文及び図面全体を、参照によって完全に本明細書に組み込む。
【0411】
あらゆる実施形態において任意に、プランジャーは、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素化ポリマーの外部層で覆われた弾力のあるコアを有することができる。こうしたプランジャー、例えば、ブロモブチルゴムのコアと、薬物への潜在的な浸出液をブロックするためにプランジャーの外部表面に適用されるフルオロポリマーコンフォーマルコーティングから構成されるDatwyler Omniflexプランジャーは、市販品として入手可能である。
【0412】
あらゆる実施形態において任意に、一次薬物容器は、内腔及び遠位端と連絡している体内送達管を有する皮下針を含む。あらゆる実施形態において任意に、一次薬物容器は、針シールドを含む。あらゆる実施形態において任意に、針の先端は、針シールドに覆われている。
【0413】
有効期間中の粒子数
あらゆる実施形態において任意に、一次薬物容器内の粒子数は、注射用水が内腔に入れられた後、すぐに、任意に1日後に、任意に1か月後に、任意に3か月後に、任意に1年後に測定される。
【0414】
あらゆる実施形態において任意に、一次薬物容器は、PECVDコーティングと接触して、内腔にポリペプチド組成物を含有することができ、ここでは、粒子数は、ポリペプチド組成物が内腔に入れられた後、任意に1日後に、任意に1か月後に、任意に3か月後に、任意に1年後に、任意に治療有効期間の最後に測定される。
【0415】
マイクロフローイメージング(MFI)は、溶液中に含有される粒子をサイズに基づいて定量化するためにフロー顕微鏡観察を使用する粒子分析技術である。あらゆる実施形態において任意に、この技術は、およそ1μmから>50μmの目視で検出できない(subvisible)粒子を性質決定するために使用することができる。
【0416】
あらゆる実施形態において任意に、動的画像解析(DIA)FlowCam(登録商標)を、いくつかの測定のために使用することができる。動的画像処理粒子分析装置は、1つの機器で3つすべての機能を発揮する。この機器は、顕微鏡下で流体を検査し、その流体内の拡大された粒子の画像を撮影し、様々な測定値を使用して粒子を性質決定する。動的画像処理粒子分析は、手動の顕微鏡観察の利益と体積測定技術の利益とを組み合わせている。顕微鏡的粒子測定は、統計的に有意な結果を生じるのに十分な画像から迅速に行われる。さらに、それぞれの粒子に対して、多くの異なる測定が行われ、徹底的な粒子分析のためにしばしば必要とされる詳細な情報が提供される。専門化したソフトウェアの追加によって、データの高度な後処理が可能となり、より徹底的な試料解析及びより良いデータ理解が与えられるようになる。画像処理システムが粒子の詳細を解明する能力は、正確な測定に不可欠である。機器の光学システム及びセンサーは、目視で検出できない粒子をサイズ決定する及び性質決定するその能力に影響を与える。このことから、動的画像処理粒子分析システムにおける計数は、1μm以上の等価球径(ESD)を有する粒子に限定されるべきであり、粒子性質決定(すなわち形状)は、2μm以上のESDを有する粒子に限定されるべきである。(不規則な形状の物体のESDは、本出願の目的では、同等の体積の球の直径と定義される。)この種類の機器の設定を、特に分析される試料のために最適化して、正確な結果を確実に得られるようにすることが重要である。分析者が粒子特性に基づいて試料をその構成成分部分に分けることを可能にする、複数のフィルターを、作製、保存、再使用することができる。タンパク質治療薬を分析する場合、タンパク質からシリコーンオイルを分離する場合に、これは特に有益である。
【0417】
-供給源:Fluid Imaging Technologies
a.性能:数、サイズ、限定された形態
b.範囲:2~10,000μm
c.濃度:106粒子/mL
【0418】
注意:空気、不混和性の油、半固体、屈折率変動、及び極端な密度の存在は、3つの技術、LO、MM、及びDIA(Flow Cam)の間で異なる結果をもたらすこととなる。
【実施例0419】
実際の実施例
実施例1についての光遮蔽粒子計数プロトコル
この試験のために使用される射出成型されたCOP試験物は、下の実施例3に記載されている通りに作製された3層コーティングを有する2mL、5mL、6mL、10mL、又は25mLバイアルであった。例えば、以下の条件下で、3層コーティングを有する6mL COPバイアルが提供された。
【0420】
【表1】
【0421】
下の実施例1で決定される、目視で検出できない粒子数は、一般に、米国薬局方(United States Pharmacopeia)(USP)、Chapter 788(注射における粒子状物質(Particulate Matter in Injections)、方法1(光遮蔽粒子計数法(Light Obscuration Particle Count))に従って測定した。
【0422】
粒子を収集するための媒体は、粒子を含まない水(Particle Free Water)(PFW)であった。PFWは、例えばMillipore MilliQ又は同等の水濾過システムから得ることができる0.22μm孔径フィルターを通して濾過されている、I型水(Type I water)(超純水、18.2MΩの比抵抗を有する)である。
【0423】
粒子計数は、BeckmanCoulter HIAC 9703+液中パーティクルカウンター(Liquid Particle Counter)を使用して実施したが、USP 788を実行する能力がある同等の機器に置き換えることができる。
【0424】
実施例1-光遮蔽分析
50mLポリプロピレン(PP)サンプルチューブを、チューブの外側をPFWですすぐことによって清浄化し、これを層流フード(laminar flow hood)に入れて乾燥させた。この50mLチューブの内側を、およそ5mlのPFWを添加することによってすすぎ、蓋をはめ、勢いよく振り、PFWを捨て、すべての液滴を振って乾かした。このPFWすすぎを2回以上繰り返した。清浄なPPチューブを、すべての試験物を一括して充填するのに十分なPFWで充填し、必要な検証試験を実施した。
【0425】
試験物のための栓を、石鹸と水でこすり洗いすることによって準備し、次いで、PFWで徹底的にすすぎ、それに続いてイソプロピルアルコール(IPA)ですすいだ。この栓を、層流フード内で風乾させた。
【0426】
5mLピペットチップを、外側をPFWですすぐことによって清浄化し、次いで、PFWを最後まで吸引し、すすぎPFWを捨てることによって、内部をすすいだ。内部すすぎは、2回以上繰り返した。
【0427】
PFWをPPサンプルチューブに入れたものから、ブランク試料を選び、粒子数について検査して、10μmチャネルの累積カウントカラムにおけるブランク粒子数が約1粒子/mLであることを確認した。
【0428】
各試験物を、下の表に示唆される様々なサイズ指定された非経口薬品のための充填体積に従って、ピペットチップを使用して、PFWで充填した。
【0429】
【表2】
【0430】
試験物を、準備した栓で密封した。ストッパーを付ける前に、ストッパーをPFWで3回以上すすいだ。
【0431】
粒子試料を、試験物を20回ゆっくりと反転させて粒子を懸濁させることによって収集した。試験物から栓を取り外し、次いで、その内容物と他の回分の試料の内容物を、新しいPPサンプルチューブに合わせた。サンプルチューブを、試験前に2分、静置させて、ガス抜きした。試料吸引プローブを、その端がサンプルチューブの底に、触れることなく非常に近くなるように、サンプルチューブに入れた。次いで、試料を抜き取り、粒子カウンターで、そのシステムソフトウェアにおいて適切なUSP 788方法を使用して試験した。
【0432】
図1~3及び7~8は、上のプロトコルを使用する試験の結果を示す。
【0433】
上のプロトコルを使用して測定された、指定されたサイズの粒子の数は、シリンジについては図6に記載された通りであり(任意のシリコーンオイルを含まない潤滑剤(「L-OMCTS」)をさらに含む3層コーティングを伴う)、図7における左のプロットと同様の結果を示す。
【0434】
実施例2--FlowCam(登録商標)動的画像解析(DIA)
FlowCam(登録商標)は、動的画像解析装置としても公知である動的画像処理粒子分析装置に対する、Fluid Imaging Technologies,Inc.,Scarborough,Maineの登録商標である。FlowCam(登録商標)動的画像処理粒子分析装置は、1つの機器で3つすべての機能を発揮する。この機器は、顕微鏡下で流体を検査し、その流体内の拡大された粒子の画像を撮影し、様々な測定値を使用して粒子を性質決定する。動的画像処理粒子分析は、手動の顕微鏡観察の利益と体積測定技術の利益とを組み合わせている。顕微鏡的粒子測定は、統計的に有意な結果を生じるのに十分な画像から迅速に行われる。さらに、それぞれの粒子に対して、多くの異なる測定が行われ、徹底的な粒子分析のためにしばしば必要とされる詳細な情報が提供される。専門化したソフトウェアの追加によって、データの高度な後処理が可能となり、より徹底的な試料解析及びより良いデータ理解が与えられるようになる。画像処理システムが粒子の詳細を解明する能力は、正確な測定に不可欠である。機器の光学システム及びセンサーは、目視で検出できない粒子をサイズ決定する及び性質決定するその能力に影響を与える。このことから、動的画像処理粒子分析システムにおける計数は、1μm以上の等価球径(ESD)を有する粒子に限定されるべきであり、粒子性質決定(すなわち形状)は、2μm以上のESDを有する粒子に限定されるべきである。(粒子のESDは、実際の粒子と同じ体積の球の直径であり、非球形の粒子を性質決定する及びサイズ比較するために特に有用である。)この種類の機器の設定を、特に分析する試料のために最適化して、正確な結果を確実に得られるようにすることが重要である。分析者が粒子特性に基づいて試料をその構成成分部分に分けることを可能にする、複数のフィルターを、作製、保存、再使用することができる。タンパク質治療薬を分析する場合、タンパク質からシリコーンオイルを分離する場合に、これは特に有益である。-供給源:Fluid Imaging Technologies
a.性能:数、サイズ、限定された形態
b.範囲:2~10,000μm
c.濃度:106粒子/mL
【0435】
この実施例は、PFWで溶出される場合の、本発明の3層コーティングされた及び4層コーティングされたシリンジの粒子数及びサイズ分布を評価することである。典型的には、充填された密封されたシリンジが、以下の2つの処理のうちの1つにかけられる:
1)20回のゆっくりした反転{USP 788}又は
2)一貫性を保つために使用される、適合された振動台方法。シリンジは、振動台に対して水平方向に置かれ、10分間、1000rpmで揺り動かされる。これにより、ヘッドスペースの泡の、縁から中心への自由な直線移動と、潤滑剤の脱落のわずかな変化を得るのに十分な時間が可能になる。
【0436】
吸引される体積、流速、対物レンズ、及びフローセル直径の選択は、研究特有であり、シリンジ潤滑剤評価、又は外因性粒子コンタミネーション特性(数、形態、及び種)のいずれかに基づく。
【0437】
清浄化、設定、焦点調節、及びシステム適合性確認の後、試料を、あらかじめ清浄化した抽出漏斗及びシリンジポンプを介して、あらかじめ清浄化した容器に分注及びプールする(プールされる試料について)、又は、適切に(個々に)吸引し、約10分、浮遊する気泡を消散させる(時系列プロットにより確認)。
【0438】
機器フローセル及び試料漏斗は、注入(吸引)間に清浄化する。
【0439】
最長寸法、推定球径(Estimated Spherical Diameter)又は(ESD)又は平均基本直径(Average Basal Diameter)(ABD)としてのサイズ、アスペクト比、エッジ勾配、頻度、及び透明度を含む事後解析データソートを、研究要件に基づいて適用する。
【0440】
シリンジを、以下のパラメータを用いて試験する。
実施例2においてFlowCam(登録商標)10Xを使用するための手順:
【0441】
【表3】
【0442】
実施例2におけるシステム較正-粒径及び総数検証
各試験日の開始時に、システム較正/システム性能の状態を確認するために、また、試料のあらゆる正式な試験の前に、較正を実施する。2つの異なる参照標準に対して適合性を調べる:
【0443】
参照標準A-システムが参照範囲にわたる粒子を検出できることを示すための4Xビーズ混合物(20、50、100ミクロン)。
【0444】
参照標準B-システムが「既知の濃度」の粒子の試料中に存在する粒子の数を正確に計数できることを示すための濃度参照標準(例えば、約300粒子/mLの10ミクロン及び50ミクロンビーズ)。
【0445】
「visual spreadsheet」アイコンを1回クリックする。「設定及び焦点(set-up and focus)」タブを選択することによって、システムを濾過水でプライミングする;濾過水を含有するビーカーを注入ライン(inlet line)に、空の廃液ビーカーを流出ライン(outlet line)に接続する。「ポンプ(pump)」ウィンドウ上で約1mL/分の流速で「ポンプ開始(start pump)」をクリックする。このシステムを、少なくとも5分間流しておく。
【0446】
5分後に「ポンプ停止(stop pump)」をクリックし、適切なあらかじめ調製した参照標準A試料ビーカーを注入ラインに装着する。「設定及び焦点(set-up and focus)」モードで参照標準溶液を走らせて、このラインに参照溶液をおよそ1分間流して、注入ライン及びフローセルを今後の分析のために試験溶液でプライミングする。あらゆる試験溶液(標準又は試料)について、すべての実行の開始時より前にフローセルをプライミングする。
【0447】
「解析する(analyze)」、次いで「自動画像(auto image)*モード」を選択する。「1mL後に停止(stop after 1mL)」を選択する。
【0448】
「OK」を1回クリックし、「変更理由(reason for change)」フィールドに、「較正試験」としての試験の名前と、試験日を入力する。
【0449】
「確定する(accept)」を選択する。
【0450】
ファイル名を入力する(試験参照・較正試験参照標準(Calibration Test Reference Standard)「A-ビーズサイズ」と、解析日を入力する)。
【0451】
「OK」を選択し;「OK」を確認する。
【0452】
参照標準B(例えば、約300粒子/mLの10ミクロン及び50ミクロンビーズ)と特定されるあらかじめ調製した溶液に対して、ステップ6.1から6.4.3までを繰り返すが、ファイル名は参照標準Bと入力する。
【0453】
実施例2における較正試験についての受け入れ基準
参照標準「A-ビーズサイズ」。測定されることとなるそれぞれの適切な粒子(ビーズ)サイズ(それぞれ、20、50、100ミクロンサイズ)をクリックし、直径に対する頻度のグラフ上で強調されているピークを見る。各測定値での最大ピークが強調されているならば、その機器はビーズを正しく測定したことになる。
【0454】
参照標準「B-粒子濃度」。粒子/mL値は、メインウィンドウに、また、ビューウィンドウ内の「統計(statistics)」メニュー項目を介して示されることとなる。粒子の測定値は、Aの列挙された粒子濃度(製造者/供給者による記述)のCの±10%以内であるべきである。
【0455】
もし機器が較正に不合格になるならば、実験監督に知らせる。調整が必要であるならば、光学経路及びカメラ焦点距離の最適化のために、FlowCam(登録商標)システムマニュアルを参照する。
【0456】
実施例2における解析:
「設定(Setup)」メニューにおいて「設定及び焦点(set-up and focus)」タブを選択することによって、システムを濾過水でプライミングする;濾過水を含有するビーカーを注入ラインに、空の廃液ビーカーを流出ラインに接続する。「ポンプ(pump)」ウィンドウ上で約1mL/分の流速で「ポンプ開始(start pump)」をクリックする。このシステムを、少なくとも5分間流しておく。
【0457】
個々の容器を、20回反転させて粒子を懸濁させることによって、試験する。残存体積を有するプールされた試料は、試験前に、手で回転させる又は機械によって回転させるべきである。
【0458】
プライミングの5分後に「ポンプ停止(pause pump)」をクリックし、注入ラインを濾過水から試験溶液に切り替える。「ポンプ再稼働(resume pump)」をクリックすることによって、注入ラインを通じて、「設定及び焦点(set-up and focus)」モードで試験溶液を走らせて、この注入ライン及びフローセルに試験溶液をおよそ1分間流す。これは、注入ライン及びフローセルを、今後の解析のために試験溶液でプライミングし、あらゆる解析の直前に、実行の開始時より前に及び実行の合間に実施されるべきである。1分後、「ポンプ停止(pause pump)」をクリックし、「設定及び焦点(set-up and focus)」画面を出る。
【0459】
コンテキストファイルは、Visual Spreadsheet内での適切な動作実行条件を確立する。試料解析のために既存のコンテキストファイルを開く又は新規のコンテキストファイルを作成するためには、以下を実施する:
【0460】
Visual Spreadsheet内の既存のコンテキストファイルを読み込むためには、「設定(setup)」プルダウンメニュー内の「コンテキスト(context)」タブをクリックし、「読み込み(Load)」タブをクリックする。このウィンドウ内で、「コンテキストファイルを読み込む(Load a Context File)」をクリックする。
【0461】
コンテキストファイルメニューにおいて、(サンプルサイズによってソートされた)利用可能なものから適切なコンテキストファイルをマウスで選択し、「OK」をクリックする。「OK」をクリックすることによって確認する。「流体工学(fluidics)」タブの下の「試料体積」*及び「フィルター(filter)」タブの下の最小-最大粒子直径などの、個々のタブの下のコンテキストファイル内のプリセットパラメータを検討して、設定が試料解析に適していることを確認する。
【0462】
いったんすべての設定が確立されたら、変更が必要とされる場合、必要な変更を行い(最適動作条件についてFlowCam(登録商標)システムマニュアルを参照し)、「OK」を押すことによって、コンテキストウィンドウを出る。「変更理由(reason for change)」を入力することが促されることとなり、次いで「確定する(accept)」を押す。
【0463】
新規のコンテキストファイルを作成するためには(これは、システムアドミニストレータによってのみ実施されるべきである)。最適動作条件についてFlowCam(登録商標)システムマニュアルを参照のこと)、「Visual Spreadsheet」、次いで「設定(Setup)」、次いで「コンテキスト(Context)」上をクリックする。コンテキストウィンドウ内の各タブ下の適切な実行設定を入力する。
【0464】
すべての変更を行った後、「読み込み(Load)」タブ下の「~としてコンテキストファイルを保存(Save Context File As)」をクリックし、「ファイル名」を入力し、OKをクリックする。ファイル名、試料サイズ、作成日、及びファイルを作成した人のイニシャルが含められる。以下の試料解析ステップに進む。
【0465】
実施例2におけるカメラの光学経路及び焦点距離の調整。
機器の精度は、カメラのフローセルとの適切な配置(光学経路)、及び適切な焦点距離(フローセル内の対物レンズの焦点深度)に基づく。機器は、試料走行間、及び較正間に、適切な配置を維持することとなる。較正及びシステム適合性は、機器の適切な配置を確認することとなる。
【0466】
もし機器が較正に不合格になるならば、実験監督に知らせる。調整が必要であるならば、光学経路及び対物レンズの焦点距離の最適化のために、FlowCam(登録商標)システムマニュアルを参照する。
【0467】
実施例2における試料解析。
「visual spreadsheetアイコンを2回左クリックして開く。「自動画像(auto image)モード」の下で「解析する(analyze)」を選択する。「コンテキスト」ファイルに対する変更を行うならば、機器に「解析に対するコンテキスト設定変更を使用しますか?」と尋ねられたら「はい」をクリックする。「記録(Notes)」の下で、試料情報、研究参照、分析者及び日付を入力する。
【0468】
ファイル表題例「4X List」の下で、ファイル名を入力する(このフィールドにおけるデータ入力には、試験参照が含まれるべきである。ファイル名には、試料情報及び試験日が含まれなければならない;「OK」をクリックし、2回の「OK」をクリックすることによって確認する。
【0469】
この解析は、コンテキストファイルに記載された実行条件に従って進行することとなる。
【0470】
機器は、解析中の振動に対して非常に敏感である。実験台上の振動は、機器を騙して、定常的なフローセルコンタミネーションを粒子と誤って認識させる。これらの誤ったシグナルは、分析者が実行を繰り返すことが必要となる、解析混乱及び不良データをもたらす。解析が行われている間、実験台上の振動は、最小限にされなければならない。機器が、誤ったシグナル(ビューウィンドウ内の長いバンドの繰り返し像又は同じ粒子の繰り返し画像によって認識される)を捉えた場合、機器は、即時の「再較正」を必要とする。再較正するために、ツール上のプルダウンメニューをクリックし、再較正をクリックする。これによって、バックグラウンドはリセットされ、機器は再学習されることとなる。これらの誤ったシグナルを伴う実行は、さらに、修正フィルターで処理することができる。
【0471】
実施例2における実行後解析:
データソーティング
FlowCam(登録商標)システムは、現在、粒子数に関するデータを収集するための、また粒子形態を特徴付けるのを助けるためにこれらの粒子の画像を記録するための、実験用ツールとして利用されている。
【0472】
ファイルメニューからデータファイルを開くことによって、処理のために個々の試料走行を読み込む。データファイルは、visual spreadsheetウィンドウに示される。
【0473】
データ検討
visual spreadsheet内では、データは、4つのウィンドウのそれぞれに示される及びソートされる。これらの4つのウィンドウ内のデータの表示は、サイズ、形状、及び頻度によって試料解析において特定された粒子を示すために変更することができる(データソーティングに関する説明のために操作マニュアルを参照のこと)。
【0474】
各ウィンドウにおいて右クリックを行うことによって、ドロップダウンメニューにより、データ表示への変更が可能となる。例えば、ウィンドウを右クリックし、次いで「ヒストグラム」メニューをクリックし、「円形フィット頻度(circle fit frequency)」タブを選択することによって、ウィンドウ内に、完全な球(1.0は完全な球である)との比較に基づいて粒子の分布を示す棒グラフが現れることとなる。この比較は、水溶液中でほぼ完全な球として現れる気泡及びシリコーンオイルなどの粒子を単離及び特定するために使用される。
【0475】
同じウィンドウ上で右クリックを行い、「散布図」メニューを選択し、「円形フィットに対する直径(diameter vs. circle fit)」をクリックすることによって、同じデータが散布図として示され、ここでは、各赤色点が、機器によって計数される粒子を表す。これらは、直径によってX軸上に、円形フィットによってY軸上に(1.0は完全な球である)ソートされる。
【0476】
左クリックを行い、マウスをドラッグして、散布図上の赤色点の選択群を強調表示させることによって、2つの新規ウィンドウが開くこととなる。第1のウィンドウは、強調表示された粒子の総数及び統計解析に関する詳細を示す一覧ウィンドウである。第2のウィンドウは、選択された粒子それ自体の画像である。
【0477】
この技術を使用して、例えば、ある特定の試料中のある種のサイズ及び形状のすべての粒子を特定することができる(例えば、シリコーンオイル液滴は、典型的には、2~30μmであり、>0.8の円形フィットを有する)。
【0478】
MFIを使用して、t=0での容器、及び薬物含有容器の粒子の数を測定する。次いで、異なる時間間隔で粒子の数の測定を行い、粒子数の増加を評価する。さらに、MFIは、粒子形態の評価を可能にする。MFIを使用して、粒子が、容器関連か又は薬物関連かを決定することができる。生物学的製剤の場合、MFIは、容器粒子が有しない特有の形態を有する凝集タンパク質を特定することができる。
【0479】
実施例3-仮想実施例:
SiO2 Medical Products,Inc.の容器は、OVAに対する免疫応答を低下させる
この実施例は、本発明の容器(この実施例ではシリンジ)が、ある種の薬物又はタンパク質(例えばオボアルブミン(OVA))に対する望まれない免疫応答を、潤滑剤としてシリコーンオイルを用いるホウケイ酸ガラス容器(この実施例ではシリンジ)と比較した場合に低下させることが期待されることを示す。
【0480】
本発明のシリンジは、内腔を定義する内側表面上に3層又は4層バリアコーティングシステムを有する、環状オレフィンポリマー(COP)製の、固定針の1mL長シリンジ筒である。3層バリアコーティングシステムは、以下に指定された条件下で、以下に指定された材料を使用して、3つの独立したコーティング-接着又は結合コーティング又は層、バリアコーティング又は層、及びpH保護コーティング又は層-の連続として被覆される。
【0481】
【表4】
【0482】
ここでは、4層バリアコーティングシステムが使用され、上で指定された3層コーティング、それに続いて、前駆体としてのオクタメチルシクロテトラシロキサン-OMCTS-を導入することによって形成される第4の潤滑性層が適用され、酸素の並流と反応させて、3層バリアコーティングシステムと堅固に接着した架橋された潤滑コーティングが形成される。
【0483】
使用されるプランジャーは、ブロモブチルゴムのコアと、薬物への潜在的な浸出液をブロックするためにプランジャーの外部表面に適用されるフルオロポリマーコンフォーマルコーティングから構成される、市販品として入手可能なDatwyler Omniflexプランジャーである。
【0484】
比較例として使用されるホウケイ酸ガラスシリンジは、固定針を有するあらかじめ充填可能なBD Hypak(商標)ガラスシリンジである。このシリンジは、27ゲージシンウォール(thin wall)針を有する1ml長の固定針シリンジであり、Datwyler Omniflexプランジャーと共に使用され、通常の商業的な医薬的手法に従ってシリコーンオイルでシリコン処理される。
【0485】
注射のためのOVA試料は、9%(w/v)スクロースを含有する20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)中に0.25mg/mLで調製される。
【0486】
注射のための試料を調製するために使用される材料は、米国薬局方(United States Pharmacopeia)グレード又はそれよりも高いグレードのものである。OVAは、Fisher Scientific(Waltham,Massachusetts)及び/又はOVA Laboratories,Inc.(Wilmington,Massachusetts)から購入される。
【0487】
臨床プロトコル:6週齢を超えるCB6F1(BALB/c x C57 BL/6)成体雌マウス(これは、Charles River.Laboratories,Inc.(Wilmington,Massachusetts)から購入することができる)が用いられる。4又は5匹のマウスを、それぞれ無菌の、エアフィルター付きのケージに収容し、食料及び水は制約なしに利用可能である。マウスは、研究の開始前に、最低1週間、順化させる。第1及び15日に、マウスの頸部の首筋に、皮下注射を施す。試料は、非シリコン処理シリンジを使用して投与され、200μLの各注射は、50μgのOVAを含有していた。5から8匹のマウスの群を、OVA、乳化されたシリコーンオイル微小滴を含有するOVA、シリンジから溶出されたシリコーンオイル微小滴を含有するOVA、及びアルミニウム微小粒子を含有するOVAで治療する。また、対照群のマウスには、緩衝液を、又は乳化されたシリコーンオイル微小滴を含有するタンパク質不含緩衝液を注射する。第1群のマウスは、潤滑剤としてシリコーンオイルを用いたガラスシリンジ中のOVAで治療し、第2群のマウスは、シリコーンオイルを含まない本発明のシリンジ中のOVAで治療する。
【0488】
実施例3における抗体試験プロトコル:
各マウスについてのベースラインとしての役割のために研究の開始前に、また、一次及び二次免疫応答を捉えるために第11及び29日に、顎下血液抜き取りを実施する。血液試料は、無菌の微量遠心チューブに収集し、氷上に置く。続いて、試料を、4℃で10分間、15,000rpmで遠心分離する。次いで、血清を得、さらなる分析まで、一定分量ずつ-80℃で保管する。
【0489】
OVAに特異的な抗体を、間接ELISAを使用して測定する。Immulon(登録商標)4HBXプレートを、10μg/mL OVA(pH8.5の20mM Tris中)でコーティングし(100μL/ウェル)、穏やかに撹拌しながら室温で一晩インキュベートする。プレートウェルを排出し、次いで、300μlのブロッキング溶液(PBS(pH7.4)、2% BSA、0.05% Tween20(登録商標))で1.5時間処理する。プレートを、EL x50プレートウォッシャー(BioTek、Winooski,Vermont)を使用して、洗浄緩衝液(PBS、0.05% Tween20(登録商標))で3回洗浄する。次いで、希釈緩衝液(PBS(pH7.4)、2% BSA、0.05% Tween20(登録商標))を、プレートに添加する(50μL/ウェル)。血清試料は、300mM酢酸中で1時間、前処理する41。1M Tris緩衝液(pH9.5)での7.4へのpH調整後、50μLの希釈した血清試料を、直ちに、プレートの第1行に移す。試料を、希釈緩衝液で、プレートの下へ向かって連続希釈し、1時間インキュベートする。プレートを、洗浄緩衝液で5回洗浄する。次に、サブクラスIgG1、IgG2a、IgG2b、IgG2c、IgG3、又はIgMの、西洋ワサビペルオキシダーゼと結合させたヤギ抗マウス抗体を、ブロッキング溶液で希釈し、ウェルに添加する(50μL/ウェル)。CB6F1(BALB/c×C57BL/6交配型のF1世代)マウス系統は、IgG2a免疫グロブリンアイソタイプが、親のBALB/cマウス系統によってコードされ、IgG2cアイソタイプが、C57BL/6系統から得られることから、IgG2aとIgG2cの免疫グロブリンアイソタイプの両方を産生することができる。1時間の第2のインキュベーション後、プレートを5回洗浄する。基質溶液1-Step(商標)Ultra TMBを添加する(50μL/ウェル)。25分後、30μlの0.5M硫酸の添加によって反応を停止させる。吸光度を、Vmax(登録商標)マイクロプレートリーダー(Molecular Devices Corporation、Sunnyvale,California)を使用して、450nmで測定する。吸光度値を使用して、各マウスについてのエンドポイント力価を決定する。本発明者らは、この実施例におけるエンドポイント力価を、カットオフを超えるシグナルを与える最大の希釈度の逆数と定義する。カットオフ値は、各マウスについて、第0日に採取された治療前血液、及び統計的に規定されたエンドポイント力価決定方法(statistically defined endpoint titer determination method)を使用して算出される。
【0490】
望まれない免疫応答は、第29日の最終の注射後の、抗OVA抗体を示す、各群におけるマウスの数によって特徴付けた。
【0491】
結果は、シリコーンオイルを含まない本発明のシリンジ中のOVAを注射されたマウスと比較して、シリコーンオイルを含むガラスシリンジ中のOVAを注射された、より多くのマウスが、抗OVA IgG1、IgG2a、及びIgG3抗体の1種又は複数を生じることを示す。
【0492】
実施例4-実際の実施例:
SiO2 Medical Products,Inc.の容器は、粒子活性化に起因する粒子数を、ホウケイ酸ガラス容器に対して低下させる
実施例4は、Carly F.Chisholm、William Behnke1、Yekaterina Matskiv、及びTheodore W.Randolph(それぞれ、Center for Pharmaceutical Biotechnology、Dept.Chemical and Biological Engineering、University of Colorado,Boulder,Colorado 80309から)、並びにAshley A.Frazer-Abel(Exsera Biolabs、Anschutz Medical Campus、Aurora,Colorado,80045から)によって実施された実験研究のまとめである。彼らは、「Subvisible Particles in IVIg Formulations Activate Complement in Human Serum.」という題名の論文を書いている。この研究に対する資金は、NIHによってRO1 EB006006で、また、SiO2 Medical Products,Inc.(この実験研究において実施される試験プロトコルを提供した)によって提供された。
【0493】
実施例4のために使用される材料は、USPグレード又はそれよりも高いグレードのものであった。静脈内免疫グロブリン(IVIG;GAMMAGARD LIQUID(登録商標)、Shire US Inc.、Lexington,MA)は、コロラド大学ボルダー校(University of Colorado at Boulder)のWardenburg Pharmacyから購入した。Sigma Aldrich(St.Louis,Missouri)から購入した化学薬品としては、一塩基リン酸ナトリウム、二塩基リン酸ナトリウム、及びグリシンが挙げられる。Fisher Scientific(Waltham,Massachusetts)から購入した化学薬品としては、ポリソルベート20(Tween20(商標)、N.F.,Multi-Compendial,J.T.Baker)、10Xリン酸緩衝生理食塩水、及びHyClone(商標)注射用水(WFI)が挙げられる。シリコン処理ガラスシリンジは、BD Hypak SCF 1mL長27G1/2(BD Medical-Pharmaceutical Systems、Franklin Lakes,NJ)であった。SiOPlas(商標)シリンジ(1ml)、(SiO2 Medical Products,Inc.、Auburn,AL)は、その内側表面が、実施例3に記載した通りのシリカを基材とするバリアコーティングシステム及び架橋オルガノシロキサン潤滑剤(両方ともプラズマ援用化学蒸着によって適用される)でコーティングされた、環状オレフィンポリマー(COP)シリンジ筒から構成されていた。SiOPlas(商標)バイアル(6ml)は、バリアコーティングシステムでバイアル内側上にコーティングされたCOPから構成されていた。6mL Ompi EZ-fill(登録商標)ホウケイ酸ガラスバイアル(Schott,AG)は、SiO2 Medical Products,Inc.(Auburn,AL)によって提供された。
【0494】
タンパク質製剤
IVIgは、使用前に、pH7.4のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で、又は0.02%(v/v)ポリソルベート20(PS20)を含む250mMグリシン(pH4.25)中で、1mg/mLのタンパク質濃度で製剤化した。あらかじめ存在するあらゆる粒子状物質を除去するために、100mg/mL免疫グロブリンGを含有するGAMMAGARD LIQUID(登録商標)試料(250mMグリシン中)を、20,000xgで4℃で20分間遠心分離し、上清をストック溶液として使用した。このIVIgストック溶液を、0.22ミクロンフィルター濾過したPBS(pH7.4)、又は0.02%(v/v)ポリソルベート20を含む250mMグリシン(pH4.25)で1:100希釈して、1mg/mL IVIgの最終濃度をもたらした。
【0495】
撹拌を使用するIVIg製剤の加速ストレス試験
シリコン処理ガラス及びSiOPlas(商標)シリンジ(後者は実施例3に記載した通りに作製した1mL長シリンジ)に、1mg/mL IVIg(0.02%(v/v)PS20を含む250mMグリシン(pH4.25)中)を充填した。シリンジは、液体と栓(Datwyler Pharma Packaging、Pennsauken,NJ)との間に4mmの均一なヘッドスペース空隙が存在するように充填した。これらのシリンジを、ヘッドスペース空隙における気泡が、回転ごとにシリンジの一方の端から他方の端まで移動するように、室温で10日間転倒式回転させた。試験されたシリンジのいくつかにおいては、気泡が、シリンジの一方の端にとどまるようになり、シリンジが回転しても移動できなくなった。これらのシリンジは、さらなる分析から除外された。10日の転倒式回転後、各製剤を、150mm/分で、自動シリンジポンプを使用して針を介してシリンジから排出させ、試料を、あらかじめすすいだポリプロピレンチューブに収集し、目視で検出できない粒子濃度について、及び補体活性化能力について試験した。
【0496】
別の組の同一のシリコン処理ガラス及びSiOPlas(商標)シリンジに、1mg/mL IVIg(PBS中)を充填した。これらのシリンジを、オービタルシェーカー上に水平方向に置き、室温で一晩振盪させた。振盪後、製剤を、150mm/分で、自動シリンジポンプを使用して針を介してシリンジから排出させ、あらかじめすすいだポリプロピレンチューブに収集し、目視で検出できない粒子濃度及び補体活性化能力について試験した。
【0497】
凍結融解を使用するIVIg製剤の加速ストレス試験
ホウケイ酸バイアル(6mL)、及び実施例1に記載した通りに作製したSiOPlas(商標)バイアル(6mL)に、1mg/mL IVIg(PBS pH7.4中)を含有する4mLの製剤を充填した。バイアルの内容物を、1又は6サイクルの凍結融解にかけた。各凍結融解サイクルにおいては、バイアルを、最初に液体窒素に2分間浸し、次いで、30℃のウォーターバスで14.5分間解凍した。各バイアルを、混合のために穏やかに回転させ、その後、次の凍結融解サイクルにかけた。
【0498】
目視で検出できない粒子濃度の分析
先に記載した通りに、フローイメージング顕微鏡観察(FlowCAM(登録商標)、Fluid Imaging Technologies、Scarborough,Maine)を使用して、ストレスを与えられた様々な製剤における粒子濃度及び粒子の画像を得た。6サイクルの凍結融解にかけられた15本の試料は、フローイメージング顕微鏡観察機器の上限に接近する又は超える濃度の粒子を含有していたので、これらの製剤を、分析前に、リン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)で100倍希釈した。補体活性化について試験された個々のシリンジ及びバイアルから排出された製剤について、粒子数を測定した。
【0499】
サイズ排除クロマトグラフィーによる可溶性タンパク質分画の分析
サイズ排除クロマトグラフィーを使用して、撹拌又は凍結融解ストレスの適用後のIVIG試料中の、単量体タンパク質の保持及びいずれかの可溶性凝集の出現をモニタリングした。TSKgel G3000SWXLカラム(TOSOH Biosciences、Montgomeryville Pennsylvania)を、Agilent 1100シリーズシステム(Santa Clara、CA)と共に使用した。溶離液を、Agilent ChemStationソフトウェアで、280nmの吸光度でモニタリングした。100mM硫酸ナトリウム、100mMリン酸ナトリウム、及び0.05%(w/v)アジ化ナトリウムのpH6.7の移動相を、0.6mL/分でシステムに通過させた。クロマトグラムにおけるピーク面積を、GRAMS/AIソフトウェアversion 9.1(Thermo Fisher Scientific Inc.、Waltham,Massachusetts)で定量化した。
【0500】
ヒト血清試料における補体活性化
ストレスを与えられた様々なIVIg製剤と、ストレスを与えられていない各製剤の対照試料の、3つのバイアル又はシリンジからのプールされた試料を、補体を活性化するその能力の分析のために、Exsera Biolabs(Denver,CO)に送付した。補体活性化は、正常な補体機能について以前にスクリーニングを受けている3人のそれぞれのドナーからのプールされた正常なヒト血清において測定された。ストレスを与えられたIVIg製剤の試験試料を、プールされたヒト血清で10倍希釈し、混合し、37℃で30分間インキュベートさせた。インキュベーション後、試料を、さらなる試験が行われるまで-80℃で保管した。補体活性化の分析のために、4種の補体カスケードタンパク質、C3a、Bb、C4a、及びC5aの濃度を、Quidel Corporation(San Diego,CA)から購入したキットを使用するELISAによって測定した。古典的経路又はレクチン経路の活性化のマーカーであることから、C4aを選択し、補体活性化についての代替経路の特徴的マーカーとしてBb、補体活性化の中心としてC3a、終末補体経路活性化のマーカーとしてC5aを選択した。補体カスケードタンパク質のそれぞれについて、40の3連のELISA測定を行った。ストレスを与えられたIVIG試料の試験に加えて、いくつかの対照を分析した。これらの対照試料は、プールされた血清単独、又は、生理食塩水溶液、ザイモサンを含むリン酸緩衝生理食塩水、若しくは加熱凝集させたガンマグロブリンを含むリン酸緩衝生理食塩水が1:9比で添加された血清の試料を含んでいた。測定値の平均を、生理食塩水対照において測定された濃度と比較した、増大の倍数として、粒子試料数に対してプロットした。
【0501】
予想通り、加速ストレス試験方法はそれぞれ、試験された製剤内に微小粒子を生じた(表1)。IVIg(PBS pH7.4中)の凍結融解は、最も多い数の目視で検出できない粒子をもたらした。単一サイクルの凍結融解は、ホウケイ酸及びSiOPlas(商標)バイアルにおいてそれぞれ、3.2×105及び7.1×105個の、2ミクロンを超えるサイズの粒子を生じた。10ミクロンよりも大きい粒子も生成され、ホウケイ酸バイアル中には8x103個の粒子が検出され、SiOPlas(商標)バイアル中には5.1x104個の粒子が認められた。
【0502】
複数サイクルの凍結融解の適用は、粒子数を、さらに、およそ一桁分増加させた。6サイクル後、2ミクロンを超えるサイズの、ホウケイ酸バイアル及びSiOPlas(商標)バイアル中の粒子濃度は、それぞれ、4.8×106及び2.1×106粒子/mLまで増加した。10ミクロンよりも大きい粒子も生じ、ホウケイ酸及びSiOPlas(商標)バイアルにおいて、それぞれ2.3×105及び3.6×105であった。
【0503】
撹拌ストレスの結果として生成される粒子の数は、容器の型に、また、適用された撹拌の型にも依存する41。オービタルシェーカーを使用するIVIg製剤(PBS pH7.4中)の一晩の撹拌は、シリコン処理ガラスシリンジ中では、2ミクロンを超えるサイズの2.4x106個の粒子を生じ、対応するSiOPlas(商標)シリンジ中では、6.0×105粒子/mLを生じた。凍結融解研究もそうであったように、どちらの型のシリンジにおいても、ほぼ一桁分少ない、大きい(>10ミクロン粒子)が形成された。
【0504】
10日間の転倒式回転は、適用された中で最も穏やかな加速安定性試験であった。IVIg製剤(グリシンpH4.25中)は、10日間の転倒式回転を受けた後、SiOPlas(商標)及びシリコン処理ガラスシリンジ中で、2ミクロンを超える粒径範囲の、それぞれ3×103及び1.03×105粒子/mLしか検出されなかった。それに対応して、10ミクロンよりも大きいわずかな粒子も生じ、シリコン処理ガラス及びSiOPlas(商標)シリンジにおいて、それぞれ2.0×103及び90粒子/mLが検出された。
【0505】
様々な加速ストレス方法によって生成された粒子の典型的なフローイメージング顕微鏡観察画像の集合を、図1に示す。凍結融解させることによってストレスを与えられたバイアル中の試料は、主に、タンパク質性凝集に特有の非球状微小粒子を含有していた(図1a)のに対して、撹拌によってストレスを与えられたシリコン処理ガラスシリンジ中の試料(図1b)は、潤滑剤の液滴に特有の多数の球状粒子を含有していた。SiOPlas(商標)シリンジにおける撹拌(図1c)は、不規則な形状のタンパク質凝集とシリコーンオイル球状液滴との両方に含まれ得る様々な形態の粒子を生成する。
【0506】
試験された加速ストレス条件のすべてについて、サイズ排除クロマトグラフィー分析では、わずか最小(<5%)量の不溶性タンパク質しか形成されなかったことが示された。いずれの条件下でも可溶性凝集は検出されなかった。ホウケイ酸ガラスバイアル中のIVIgへの6サイクルの凍結融解の適用は、mLあたり最も多い数の、2ミクロンを超える粒子-ほぼ5百万個の粒子を生成したが、これは、元の単量体タンパク質のほんの3.7%の喪失を表した。
【0507】
加速ストレス条件下で生成された粒子に応答するヒト血清中の補体活性化。
加速ストレス条件にかけられたIVIg製剤内の2ミクロンを超えるサイズの粒子は、IVIg 製剤がヒト血清で10倍希釈された場合、線形の用量依存的様式で、補体を活性化した。IVIg製剤内の10ミクロンを超えるサイズの粒子は、活性化された補体と相関しなかった。
【0508】
観察された補体活性化は、代替経路を介する活性化と一致していた。生理食塩水対照レベルと比較して、古典的経路又はレクチン経路のマーカーであるC4aについて、増大は見られなかった(図2)。対照的に、Bb、すなわち補体活性化についての代替経路のマーカーは、2ミクロンを超えるサイズ範囲の粒子の濃度が増大するにつれて、直線的に増大した(r2=0.94)(図3)。
【0509】
粒子が血清で希釈された場合、アナフィラトキシンC3a及びC5aの濃度の増大も観察された(図4及び5)。Bb応答と同様に、生理食塩水対照に対する増大(倍)は、粒子量に直線的に依存しており、C3a及びC5aについての相関係数r2は、それぞれ0.85及び0.99であった。ホウケイ酸ガラスバイアル中の、6サイクルの凍結融解にかけられたIVIg製剤に対する応答が、C3a及びC5a濃度の増大をもたらし、これらは、生理食塩水対照において観察された濃度よりも2.4及び8.9倍高かった。
【0510】
比較のために、1mg/mLザイモサン又は1mg/L加熱凝集させたガンマグロブリンを含有する陽性対照は、C3a、Bb、及びC4aの(生理食塩水に対して)およそ11倍の増大、及びC5aレベルの(生理食塩水に対して)およそ32倍の増大を刺激した。
【0511】
実験結果を、表1~2及び図9~22に一覧にした。表2の第1行のデータは、表1のいずれかのデータと一致しないが、それ以外の点では、それぞれの表が、同じ実験データの異なる表現であることに留意されたい。表1は、補体活性化試験のために提出されたストレスを与えられた試料における、目視で検出できない粒子の濃度を示す。試料は、各ストレス/容器組み合わせからの3本の試料からプールされた。プールの前の試料中の粒子濃度の容器-対-容器変動は、<15%であった。
【0512】
【表5】
【0513】
【表6】
【0514】
単回の凍結融解後のバイアルの結果を、より詳細に見ると、ホウケイ酸及びSiO2バイアル中のIVIg試料における補体活性化は、最初のIVIg溶液によって誘発されたものと有意には異ならず、ホウケイ酸とSiO2バイアルの差は、統計的に有意ではなかった。6回の凍結融解後には、大きな、統計的に有意な補体活性化の増大が見られた。C3aとC5aの両方のレベルを測定することによって決定される補体活性化は、凍結融解されたIVIgという点から見ると、SiO2バイアルと比較してホウケイ酸バイアルでは、有意に高かった。6回の凍結融解で処理されたホウケイ酸バイアル中のIVIg試料に対する応答(生理食塩水対照に対するC3a及びC5a応答よりも3,3+/-0.1及び9,9+/-0.3倍大きい)は、典型的には、顔面潮紅、アナフィラキシーの可能性などの、注入による有害反応を伴う範囲であった。IVIg調製物における最初の粒子レベルは、3000/mL(2ミクロン超)、及び300/mL(10ミクロン超)であった。単回の凍結融解後、SiO2バイアル中の粒子レベルは、7.1×105個/mL(2ミクロン超)、及び5.1×104個(10ミクロン超)であったのに対し;ホウケイ酸バイアル中では、数はより少なく、2ミクロンを超える、及び10ミクロンを超えるサイズの粒子について、それぞれ3.2×105個及び8×103個であった。6回の凍結融解後、SiO2バイアル中の粒子レベルは、2.1x106個/mL(2ミクロン超)、及び3.6×105個(10ミクロン超)であったのに対し;ホウケイ酸バイアル中では、数は今度はより多く、2ミクロンを超える、及び10ミクロンを超えるサイズの粒子について、それぞれ4.8×106個及び2.3×105個であった。
【0515】
シリンジの結果を、より詳細に見ると、C3aとC5aの両方について、補体活性化は、粒子含有量において高度に線形であった(r2>0.99)。各条件で、C3aとC5aの両方の測定されたレベルによって決定される補体活性化は、SiO2 4層シリンジと比較してシリコン処理ガラスシリンジでは、有意に高かった。6回の凍結融解で処理されたホウケイ酸バイアル中のIVIg試料に対する応答(生理食塩水対照に対するC3a及びC5a応答よりも3,3+/-0.1及び9,9+/-0.3倍大きい)は、典型的には、顔面潮紅、アナフィラキシーの可能性などの、注入による有害反応を伴う範囲であった。振動台上での一晩の撹拌後、SiO2シリンジ中の粒子レベルは、6×105個/mL(2ミクロン超)であったのに対し;シリコン処理ガラスシリンジ中では数は2.4×106個/mLであった。10日の転倒式回転後、SiO2シリンジ中の粒子レベルは、3×103個/mL(2ミクロン超)であったのに対し;シリコン処理ガラスシリンジ中では数は1.0×105個であった。
【0516】
実施例4の実験から、次の結論に達した。第1に、補体活性化(C5a及びC3a)は、2~10ミクロンの粒径範囲の粒子濃度に正比例していた。第2に、補体活性化は、製剤pH、適用されたストレス、及び界面活性剤の存在を含めて、粒子がどのようにして生じたかとは無関係であった。第3に、同一の製剤及び適用されたストレスについて、SiO2医療用バイアル及びシリンジは、一般に、ホウケイ酸バイアル及びシリコン処理ガラスシリンジよりも低い粒子レベルを有していた。
図1
図2
図3
図4
図5
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図11
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【外国語明細書】