IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社スノウチの特許一覧

<>
  • 特開-加工ファクター提供システム 図1
  • 特開-加工ファクター提供システム 図2A
  • 特開-加工ファクター提供システム 図2B
  • 特開-加工ファクター提供システム 図3
  • 特開-加工ファクター提供システム 図4
  • 特開-加工ファクター提供システム 図5
  • 特開-加工ファクター提供システム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005296
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】加工ファクター提供システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20240110BHJP
【FI】
G06Q50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105412
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】591175985
【氏名又は名称】株式会社スノウチ
(74)【代理人】
【識別番号】100074734
【弁理士】
【氏名又は名称】中里 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100086265
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100076451
【弁理士】
【氏名又は名称】三嶋 景治
(72)【発明者】
【氏名】原 章
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】建築材料の主材と取付部品の適合性がよい加工ファクター提供システムを提供する。
【解決手段】加工ファクター提供システムは加工コントロール装置は、加工ファクター生成手段および課金情報生成手段を備えている。加工ファクター生成手段は、建築材料の各々の素材の属性を記憶した素材属性記憶手段と、加工メーカーの各々が保有する加工機の属性を記憶した加工機属性記憶手段と、各建築材料の基本仕様に基づく加工基本情報を記憶した加工基本情報記憶手段と、依頼仕様、前記基本仕様、素材の属性および加工機の属性に基づき加工ファクターを生成するための加工ファクター演算処理手段と、演算処理手段が演算処理して生成された加工ファクター情報を記憶する加工ファクター情報記憶手段と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発注者端末からの、ユーザーが特定された、鋼柱用の、角形鋼管、円形鋼管、H形鋼である主材、および/または少なくとも裏当て材、ダイヤフラム、添接板である取付部品である建築材料の依頼仕様を含む加工依頼情報を受けて、加工メーカーの加工をコントロールする加工コントロール会社の加工コントロール装置は、前記加工依頼情報に基づいて、各加工メーカーの保有する加工機による、素材からの仕様サイズへの切り出し加工、およびこの切り出された素材に施す加工の両加工における加工ファクターを生成し、この加工ファクターを、実際に加工作業を行う加工メーカー端末に送信し、この加工メーカーは、所有する加工機を用いて、送信されてきた加工ファクターに基づき所定のプログラムで建築材料の加工を行い、この加工すべき、または加工が完了した建築材料の量に応じて課金を行う加工ファクター提供システムであって、
前記加工コントロール装置は、前記発注者端末および加工メーカー端末のそれぞれに対して信号の送受信を行う送受信手段、加工ファクター生成手段および課金情報生成手段を備え、
前記加工ファクター生成手段は、前記建築材料の各々の素材の属性を記憶した素材属性記憶手段と、前記加工メーカーの各々が保有する加工機の属性を記憶した加工機属性記憶手段と、各建築材料の基本仕様に基づく加工基本情報を記憶した加工基本情報記憶手段と、前記依頼仕様、前記基本仕様、素材の属性および加工機の属性に基づき前記加工ファクターを生成するための加工ファクター演算処理手段と、前記演算処理手段が演算処理して生成された加工ファクター情報を記憶する加工ファクター情報記憶手段を備え、
前記課金情報生成手段は、前記主材の種類毎の加工ファクター作成課金額を、前記切り出し加工後の素材の重量で演算するための、切り出し加工後の素材の種毎の単位重量当たりの課金額を記憶した単位重量当たり課金額記憶手段を備え、
前記加工コントロール装置は、更に、前記加工依頼情報に含まれる主材の依頼仕様または前記主材の加工ファクターに基づき、切り出し加工後の全ての素材の総重量を主材の種類毎に演算する総重量演算手段を備え、
前記課金情報生成手段は、更に、前記主材の種類毎に、その総重量を前記単位重量当たり課金額に乗算して全ての主材のための加工ファクター生成のための主材の種類毎の総主材用課金額を決定する主材加工ファクター生成課金額演算手段を備え、
前記課金情報生成手段は、更に、取付部品の種類毎に、その全ての取付部品のための加工ファクター生成のための総取付部品用課金額を、前記総主材用課金額に基づいて演算するための取付部品用課金額演算係数を記憶した取付部品用課金額演算係数記憶手段、およびその取付部品が取り付けられる主材の前記総主材用課金額に、当該取付部品の前記取付部品用課金額演算係数を乗算して総取付部品用課金額を決定するための総取付部品用課金額演算手段を備えている
ことを特徴とする加工ファクター提供システム。
【請求項2】
前記課金情報生成手段は、更に、前記発注者端末からの加工依頼情報に含まれた各主材の依頼仕様を、前記基本仕様に照らし、該基本仕様に含まれない主材オプション仕様を抽出する主材オプション仕様抽出手段、およびこの主材オプション仕様の種類によって前記主材の種類ごとの単位重量当たりの課金額を増額補正する増額補正手段を備えている請求項1の加工ファクター提供システム。
【請求項3】
前記増額補正手段による前記単位重量当たりの課金額の増額補正の演算が、前記主材オプション仕様の種類毎に予め定められた主材課金額総額補正係数によって行われるようになっており、前記課金情報生成手段は、前記主材課金額総額補正係数を予め記憶した主材課金額総額補正係数記憶手段を備えている請求項2の加工ファクター提供システム。
【請求項4】
前記主材オプション仕様の種類が、バリ取りなどの仕上げ加工、ショットブラスト、防錆塗装、発錆処理など表面処理、シーム切削加工、切欠き切断加工、穴明加工などの追加工、スカラップ加工、所定角度以外の角度の開先加工である請求項2または3の加工ファクター提供システム。
【請求項5】
前記課金情報生成手段は、更に、前記発注者端末からの加工依頼情報に、取付部品の加工依頼が含まれているとき、その取付部品の依頼仕様を前記基本仕様に照らし、該基本仕様に含まれない取付部品オプション仕様を抽出する取付部品オプション仕様抽出手段、およびこの取付部品オプション仕様の種類によって、当該取付部品の前記取付部品用課金額演算係数を増大演算する課金額演算係数増大演算手段を備えている請求項1の加工ファクター提供システム。
【請求項6】
前記課金額演算係数増大演算手段による前記取付部品用課金額演算係数の増大演算が、前記取付部品オプション仕様の種類毎に予め定められた取付部品演算係数補正係数によって行われるようになっており、前記課金情報生成手段は、前記取付部品演算係数補正係数を予め記憶した取付部品演算係数補正係数記憶手段を備えている請求項2の加工ファクター提供システム。
【請求項7】
前記取付部品オプション仕様の種類が、バリ取りなどの仕上げ加工、ショットブラスト、防錆塗装、発錆処理など表面処理、シーム切削加工、切欠き切断加工、穴明加工などの追加工、スカラップ加工である請求項5または6の加工ファクター提供システム。
【請求項8】
前記加工コントロール装置は、前記加工依頼情報に含まれる主材および取付部品の依頼仕様に基づき加工メーカーの加工機を選択する加工メーカー選択手段を備えている請求項1の加工ファクター提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工ファクター提供システムに関し、更に詳細には、鋼柱用の、角形鋼管、円形鋼管、H形鋼である主材、および少なくとも裏当て材、ダイヤフラム、添接板である取付部品である建築材料を加工する際に用いられる加工ファクターの提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、上記建築材料の発注を受けた製造メーカー(加工メーカー)は、その発注された建築材料が、規格の定まった(注文の多い)建築材料については、ユーザーのほぼ希望通りの製品を納品することができたが、ユーザーは必ずしも十分に満足のゆくものでない場合があった。
【0003】
これは、例えば建築材料が裏当て金であった場合、この裏当て金は鋼管(主として、角形鋼管である)の溶接接合の際に使用されるもので、鋼管との適合性が要求されるが、通常の加工メーカーが提供する裏当て金は、画一的でありこの適合性を考慮したものでない場合がある。
【0004】
その理由は、通常の製造メーカー(加工メーカー)は、所有する加工機を用いて、一般的な(規格通りの、汎用な)仕様の建築材料の加工を行うためのプログラムは所有しているが、それ以上の仕様のものを加工するためのプログラム等を有していないことによるものと考えられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、建築材料の主材と取付部品の適合性がよく、ユーザーの希望も満たしうる建築材料を加工するため、所定のプログラムに組み込まれる加工ファクターを提供する加工ファクター提供システムを提供することを目的とする。この加工ファクターの提供には、適正な課金も伴い、その課金の仕方の提供も、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、下記(1)~(8)の構成の本発明の加工ファクター提供システムにより達成される。
(1)
発注者端末からの、ユーザーが特定された、鋼柱用の、角形鋼管、円形鋼管、H形鋼である主材、および/または少なくとも裏当て材、ダイヤフラム、添接板である取付部品である建築材料の依頼仕様を含む加工依頼情報を受けて、加工メーカーの加工をコントロールする加工コントロール会社の加工コントロール装置は、前記加工依頼情報に基づいて、各加工メーカーの保有する加工機による、素材からの仕様サイズへの切り出し加工、およびこの切り出された素材に施す加工の両加工における加工ファクターを生成し、この加工ファクターを、実際に加工作業を行う加工メーカー端末に送信し、この加工メーカーは、所有する加工機を用いて、送信されてきた加工ファクターに基づき所定のプログラムで建築材料の加工を行い、この加工すべき、または加工が完了した建築材料の量に応じて課金を行う加工ファクター提供システムであって、
前記加工コントロール装置は、前記発注者端末および加工メーカー端末のそれぞれに対して信号の送受信を行う送受信手段、加工ファクター生成手段および課金情報生成手段を備え、
前記加工ファクター生成手段は、前記建築材料の各々の素材の属性を記憶した素材属性記憶手段と、前記加工メーカーの各々が保有する加工機の属性を記憶した加工機属性記憶手段と、各建築材料の基本仕様に基づく加工基本情報を記憶した加工基本情報記憶手段と、前記依頼仕様、前記基本仕様、素材の属性および加工機の属性に基づき前記加工ファクターを生成するための加工ファクター演算処理手段と、前記演算処理手段が演算処理して生成された加工ファクター情報を記憶する加工ファクター情報記憶手段を備え、
前記課金情報生成手段は、前記主材の種類毎の加工ファクター作成課金額を、前記切り出し加工後の素材の重量で演算するための、切り出し加工後の素材の種毎の単位重量当たりの課金額を記憶した単位重量当たり課金額記憶手段を備え、
前記加工コントロール装置は、更に、前記加工依頼情報に含まれる主材の依頼仕様または前記主材の加工ファクターに基づき、切り出し加工後の全ての素材の総重量を主材の種類毎に演算する総重量演算手段を備え、
前記課金情報生成手段は、更に、前記主材の種類毎に、その総重量を前記単位重量当たり課金額に乗算して全ての主材のための加工ファクター生成のための主材の種類毎の総主材用課金額を決定する主材加工ファクター生成課金額演算手段を備え、
前記課金情報生成手段は、更に、取付部品の種類毎に、その全ての取付部品のための加工ファクター生成のための総取付部品用課金額を、前記総主材用課金額に基づいて演算するための取付部品用課金額演算係数を記憶した取付部品用課金額演算係数記憶手段、およびその取付部品が取り付けられる主材の前記総主材用課金額に、当該取付部品の前記取付部品用課金額演算係数を乗算して総取付部品用課金額を決定するための総取付部品用課金額演算手段を備えている
ことを特徴とする加工ファクター提供システム。
(2)
前記課金情報生成手段は、更に、前記発注者端末からの加工依頼情報に含まれた各主材の依頼仕様を、前記基本仕様に照らし、該基本仕様に含まれない主材オプション仕様を抽出する主材オプション仕様抽出手段、およびこの主材オプション仕様の種類によって前記主材の種類ごとの単位重量当たりの課金額を増額補正する増額補正手段を備えている前記(1)の加工ファクター提供システム。
(3)
前記増額補正手段による前記単位重量当たりの課金額の増額補正の演算が、前記主材オプション仕様の種類毎に予め定められた主材課金額総額補正係数によって行われるようになっており、前記課金情報生成手段は、前記主材課金額総額補正係数を予め記憶した主材課金額総額補正係数記憶手段を備えている前記(2)の加工ファクター提供システム。
(4)
前記主材オプション仕様の種類が、バリ取りなどの仕上げ加工、ショットブラスト、防錆塗装、発錆処理など表面処理、シーム切削加工、切欠き切断加工、穴明加工などの追加工、スカラップ加工、所定角度以外の角度の開先加工である前記(2)または(3)の加工ファクター提供システム。
(5)
前記課金情報生成手段は、更に、前記発注者端末からの加工依頼情報に、取付部品の加工依頼が含まれているとき、その取付部品の依頼仕様を前記基本仕様に照らし、該基本仕様に含まれない取付部品オプション仕様を抽出する取付部品オプション仕様抽出手段、およびこの取付部品オプション仕様の種類によって、当該取付部品の前記取付部品用課金額演算係数を増大演算する課金額演算係数増大演算手段を備えている前記(1)の加工ファクター提供システム。
(6)
前記課金額演算係数増大演算手段による前記取付部品用課金額演算係数の増大演算が、前記取付部品オプション仕様の種類毎に予め定められた取付部品演算係数補正係数によって行われるようになっており、前記課金情報生成手段は、前記取付部品演算係数補正係数を予め記憶した取付部品演算係数補正係数記憶手段を備えている前記(2)の加工ファクター提供システム。
(7)
前記取付部品オプション仕様の種類が、バリ取りなどの仕上げ加工、ショットブラスト、防錆塗装、発錆処理など表面処理、シーム切削加工、切欠き切断加工、穴明加工などの追加工、スカラップ加工である前記(5)または(6)の加工ファクター提供システム。
(8)
前記加工コントロール装置は、前記加工依頼情報に含まれる主材および取付部品の依頼仕様に基づき加工メーカーの加工機を選択する加工メーカー選択手段を備えている前記(1)の加工ファクター提供システム。
【0007】
なお、特開2010-061421公報では、建物シミュレータシステムにおいて、シミュレーションプログラムの提供についての課金に関しての開示があるが、その課金方法は、建築部材の発注仕様に基づいて適正に課金するという本発明のような思想はない。
【発明の効果】
【0008】
本発明の加工ファクター提供システムによれば、上記したように、発注仕様、主材の仕様に適合した仕様、ユーザーの希望仕様を加工ファクターに織り込み、
これを加工メーカーの加工機に提供するようにしたので、ユーザー、加工メーカーともに満足のゆく建築部品が得られ、また、加工ファクター提供者も使った労力に応じた課金ができ、満足度が高い。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態による加工ファクター提供システムの全体構成を示すブロック図である。
図2A】発注者からの注文書の内容を説明するための図である。
図2B図2Aで示した注文書の内容を補充するための情報を説明するための別紙の内容を説明するための図である。
図3】本発明の実施の形態の加工ファクター提供システムによって提供される加工ファクターを加工に用いることができる建築部材を用いての鋼柱構造を示す
図4図3に示した鋼柱構造における開先付き角形鋼管とダイヤフラムを裏当て金を用いて溶接接合する状態を説明するための図である。
図5図4で使用する裏当て金の構造の詳細を示す斜視図である。
図6図1の加工ファクター提供システムの課金情報生成手段の詳細を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態による加工ファクター提供システムについて説明する。
図1は、本発明の実施の形態による加工ファクター提供システムの全体を示すブロック図である。このシステムは、発注者からの建築部材の発注を受けた加工コントロール会社が、加工メーカーの加工機を作動制御する加工プログラムに用いられる加工ファクターを提供して、加工機をコントロールする際に使用される。
【0011】
本発明の実施の形態による加工ファクター提供システムは、図1に示されているように、加工コントロール装置10(加工コントロール会社に装備されている)を備えている。
この加工コントロール装置10は、発注者端末C からの、ユーザーが特定された、鋼柱用の、角形鋼管、円形鋼管、H形鋼である主材、および/または少なくとも裏当て材、ダイヤフラム、添接板である取付部品である建築材料の依頼仕様を含む加工依頼情報ODR を入出力制御手段I/Oを介して受けて、加工メーカーM1、M2、M3・・・Mn(図には、代表して、M1、M2、M3のみを示した)の加工をコントロールするものである。すなわち、この加工コントロール装置10は、前記加工依頼情報ODRに基づいて、各加工メーカーM1、M2、M3・・・Mnの保有する加工機による、建築部材の素材から仕様サイズへの切り出し加工、およびこの切り出された素材に施す加工の両加工における加工ファクターF1、F2、F3・・・Fn(図には、代表して、F1、F2、F3のみを示した)を生成する加工ファクター生成手段20を備えている。この加工ファクター生成手段20により生成された加工ファクターF1、F2、F3は、実際に加工作業を行う加工メーカー端末に送信される。この加工ファクターF1、F2、F3を受けた加工メーカーは、所有する加工機を用いて、送信されてきた加工ファクターに基づき所定のプログラムで建築材料の加工を行う。
以上のため、前記加工コントロール装置10は、前記加工依頼情報に含まれる主材および取付部品の依頼仕様に基づき加工メーカーの加工機を選択する加工メーカー選択手段(図示せず)を備えている。
【0012】
加工コントロール装置10は、この加工すべき、または加工が完了した建築材料の量に応じて課金を行うための課金情報生成手段50を備えている。
【0013】
前記加工ファクター生成手段20は、前記建築材料の各々の素材の属性を記憶した素材属性記憶手段22と、前記加工メーカーの各々が保有する加工機の属性を記憶した加工機属性記憶手段24と、各建築材料の基本仕様に基づく加工基本情報を記憶した加工基本情報記憶手段26と、前記依頼仕様、前記基本仕様、素材の属性および加工機の属性に基づき前記加工ファクターを生成するための加工ファクター演算処理手段28と、前記演算処理手段が演算処理して生成された加工ファクター情報を記憶する加工ファクター情報記憶手段30を備えている。以上の記憶手段は、加工ファクター生成手段20に外付けされていてもよい。
【0014】
前記素材属性記憶手段22、加工機属性記憶手段24および加工基本情報記憶手段26には、予め下記のような情報(データ)が記憶されている。
【0015】
素材属性記憶手段22
主材用素材
(1)角形鋼管
・製造メーカー
・製造工場
・材質
・寸法1
・寸法2
・寸法3
・単位重量
(2)円形鋼管
・製造メーカー
・製造工場
・材質
・寸法1
・寸法2
・単位重量
(3)H角鋼
・製造メーカー
・製造工場
・材質
・寸法1
・寸法2
・寸法3
・寸法4
・単位重量
取付部品用素材
(1)裏当て金用素材
・製造メーカー
・製造工場
・材質
・断面形状
・寸法1(タテ)
・寸法2(ヨコ)
・単位重量

(2)ダイヤフラム用素材
・製造メーカー
・製造工場
・材質
・寸法1(タテ)
・寸法2(ヨコ)
・寸法3(厚み)
・単位重量
(3)添接板用素材
・製造メーカー
・製造工場
・材質
・寸法1(タテ)
・寸法2(ヨコ)
・寸法3(厚み)
・単位重量
【0016】
加工機属性記憶手段24
(1)加工メーカー1
(i)素材切断機
・切断機NO.
・切断可能素材
・切断可能寸法上限
・切断可能寸法下限
・切断リードタイム
・切断データ転送ロジックパターンNO.
(ii)裏当て金加工機
・加工機NO.
・加工可能素材
・加工可能寸法上限
・加工可能寸法下限
・加工リードタイム
・加工データ転送ロジックパターンNO.

(2)加工メーカー2
(i)ダイヤフラム加工機
・加工機NO.
・加工可能素材
・加工可能寸法上限
・加工可能寸法下限
・加工リードタイム
・加工データ転送ロジックパターンNO.

(3)加工メーカー3
(i)添接板加工機
・加工機NO.
・加工可能素材
・加工可能寸法上限
・加工可能寸法下限
・加工リードタイム
・加工データ転送ロジックパターンNO..
【0017】
加工基本情報記憶手段26
主材
(1)角形鋼管
・省略


(4)円形鋼管
・省略


(5)H角鋼
・省略

【0018】
取付部品(1辺の長さが550mmの角形鋼管に用いられるコの字形裏当て金のみについて説明する)
(2)裏当て金
(i)1コの字形裏当て金
・1つのコーナーにおける溝の数:11
・溝の形状:矩形
・溝を設けた部分の残存板厚:2ミリ
・以下省略


(2)ダイヤフラム
・省略


(3)添接板
・省略

【0019】
次に以上説明した加工コントロール装置10において、加工ファクター生成手段20を主体として行われる加工ファクターの生成の動作について説明する。なお、以下の説明においては、図2に示した注文書(発注書)に記載された加工依頼情報ODRに基づいて加工ファクターを生成するものとして説明する。また、図3における柱構造の主材である角形鋼管102をダイヤフラム103に裏当て金104を用いて溶接する作業(図4参照)に用いられる角形鋼管102と裏当て金104の加工の発注があったものとする。したがって、上記発注書にはこの事情が反映されている。また、加工メーカー1(M1)が、角形鋼管と溝付き裏当て金を加工する加工機を所有しているとして説明する。
【0020】
加工コントロール装置10は、発注者端末Cからの加工依頼情報ODRを受けると、まず、加工ファクター生成手段20をして、加工依頼情報ODRが加工を発注してきた対象物(主材、取付部品)が何であるかを判断する。今回の場合は、角形鋼管と溝付き裏当て金であると判断する。
ついで、角形鋼管と溝付き裏当て金を加工する加工機を所有している加工メーカーを選定する。今回の場合、加工メーカー1(M1)が角形鋼管と溝付き裏当て金を加工する加工機を所有しているので、加工メーカー1(M1)を選定する。
【0021】
続いて、主材である角形鋼管のための加工ファクターの生成作業について説明する。
まず、素材属性記憶手段22から素材の長さを読み取り、そして、加工依頼情報ODR中の別紙の素材切断中間製品情報から切断長さ4,000mmを読み出し、その素材の取り合いを演算し、加工ファクター情報の一つである取り合いファクター情報を生成する。ついで、加工依頼情報ODR中の別紙の最終製品情報から開先加工のための開先加工ファクター情報を生成する。この開先加工ファクター情報としては、開先角度等が含まれる。このとき、開先角度が標準角度の35度以外のときには、オプション仕様であると判断する。
【0022】
続いて、取付部品である溝付き裏当て金(曲げる前のものを図5に示した)のための加工ファクター情報の生成作業について説明する。ちなみに、この裏当て金のための加工ファクター情報の生成作業においても、前記主材の際に行った素材からの取り合い加工ファクターの生成作業を行う場合がある。
所定の長さに切断された素材切断中間製品には、前記した溝等の加工が行われるが、この加工のための溝加工ファクター情報も前記加工ファクター生成手段20により生成される。この溝加工ファクター情報は、加工依頼情報ODR中の別紙の取付部品製品情報に含まれる製品仕様、角形鋼管の特にコーナー仕様(その素材の材質によっても定まる)等を織り込んで生成される。なお、前記製品仕様には、追加工の欄に「2溝追加」とあり、少なくともこれがオプション仕様となる。
【0023】
以上のようにして生成された開先加工ファクター情報や溝加工ファクター情報は、前記加工ファクター情報記憶手段30に格納されると共に、上記のようにして選択された加工メーカー1(M1)に送信される。
【0024】
次に、図6を参照して、前記課金情報生成手段50について説明する。
この課金情報生成手段50は、上記加工ファクターの生成費用である課金額、およびその他の情報の処理を行う課金額等演算処理手段60を備えている。
【0025】
この課金額等演算処理手段60には、主材の種類毎(角形鋼管、円形鋼管、H形鋼の別)の切断中間製品の総重量を演算するための主材種類毎総重量演算手段80が接続されている。
【0026】
上記課金額等演算処理手段60には更に、主材のその種類毎に予め定められた単位重量当たりの課金額を記憶した主材の単位重量当たり課金額記憶手段82、開先角度等がオプション仕様である場合に課金額を増額する際に使用される主材オプション仕様用の加工ファクターを生成するための課金額を演算するための演算係数を記憶した主材オプション仕様用加工ファクター生成課金額演算係数記憶手段84、主材加工ファクター生成課金額を基に取付部品加工ファクター生成用課金額を演算するための演算係数β1・・・を記憶した取付部品用課金額演算係数記憶手段86、裏当て金の溝数等がオプション仕様である場合に課金額を増額する際に使用される取付部品オプション仕様用の加工ファクターを生成するための課金額を演算するための演算係数を記憶した取付部品オプション仕様用加工ファクター生成課金額演算係数記憶手段88、および以上の情報に基づき演算算出された加工ファクター生成課金額を記憶した加工ファクター生成課金額記憶手段90が接続されている。
なお、主材のオプション仕様としては、例えば、バリ取りなどの仕上げ加工、ショットブラスト、防錆塗装、発錆処理など表面処理、シーム切削加工、切欠き切断加工、穴明加工などの追加工、スカラップ加工、主材についての所定角度以外の角度の開先加工が上げられる。
なお、取付部品の発注が1つ、2つと量が少ない場合には、1本の主材についての上記課金額に上記演算係数βを乗算して、それを1本の主材に使用される取付部品の数で割った課金額とする。勿論、裏当て金1本の課金額を予め決めておき、それを課金してもよい。この場合にもオプション仕様がある場合には、その分の割り増し課金としてもよい。
【0027】
前記課金額等演算処理手段60は、主材の単位重量当たり課金額記憶手段82に記憶されている例えば角形鋼管:□□□円/kgに、前記主材種類毎総重量演算手段80で算出された総重量を乗算して、基本の主材加工ファクター生成課金額を演算する主材加工ファクター生成課金額演算手段62、主材の依頼仕様情報を加工基本情報記憶手段26に記憶された主材の加工基本情報に照らし、主材のオプション仕様を抽出する主材オプション仕様抽出手段64、この抽出された主材オプション仕様を記憶手段84に記憶されたオプション仕様種(例えば、開先角度)の演算係数α1を読み出し、この演算係数α1を前記算出した主材加工ファクター生成課金額に乗算して、増額補正金を算出する主材用増額補正手段66を備えている。以上により、主材にオプション仕様があった場合の増額課金に対応できるようになっている。
【0028】
前記課金額等演算処理手段60は、更に、上記のようにして算出された主材加工ファクター生成課金額(基本およびオプション増額補正された金額の何れであってもよい)に、記憶手段86から読み出した演算係数(例えば、裏当てのβ1)を乗算して、取付部品の加工ファクター生成課金額を演算するための取付部品加工ファクター生成課金額演算手段72、取付部品の依頼仕様情報を加工基本情報記憶手段26に記憶された取付部品の加工基本情報に照らし、取付部品のオプション仕様を抽出する(発注書の希望仕様や追仕様をそのままオプション仕様としてもよい)取付部品オプション仕様抽出手段74、この抽出された取付部品オプション仕様を記憶手段86に記憶されたオプション仕様種(例えば、溝数)の演算係数γ1を読み出し、この演算係数γ1を前記算出した取付部品加工ファクター生成課金額に乗算して、増額補正金を算出する取付部品用増額補正手段76を備えている。なお、前記演算係数γ1は、前記演算係数βを増大補正するためのものであってもよい。以上により、取付部品にオプション仕様があった場合の増額課金に対応できるようになっている。なお、主材の発注はなく、取付部品の発注のみがあった場合には、この取付部品用の加工ファクター生成課金額が課金先に送られる。
【0029】
なお、前記取付部品オプション仕様としては、バリ取りなどの仕上げ加工、ショットブラスト、防錆塗装、発錆処理など表面処理、シーム切削加工、切欠き切断加工、穴明加工などの追加工、スカラップ加工等があげられる。
【0030】
以上の構成の本発明の加工ファクター提供システムによれば、発注者および加工メーカーは、より正確な加工ファクターを得ることができ、加工ファクター生成者側は、加工ファクターの生成に要する労力に応じたより適正な課金(報酬)を得ることができる。
【符号の説明】
【0031】
10 加工コントロール装置
20 加工ファクター生成手段
22 素材属性記憶手段
24 加工機属性記憶手段
26 加工基本情報記憶手段
30 加工ファクター情報記憶手段
50 課金情報記憶手段
60 課金額等演算処理手段
62 主材加工ファクター生成課金額演算手段
64 主材オプション仕様抽出手段
66 主材用増額補正手段
72 取付部品加工ファクター生成課金額演算手段
74 取付部品オプション仕様抽出手段
76 取付部品用増額補正手段
80 主材種類毎総重量演算手段
82 主材の単位重量当たり課金額記憶手段
84 主材オプション仕様用加工ファクター生成課金額演算係数記憶手段
86 取付部品用課金額演算係数記憶手段
88 取付部品オプション仕様用加工ファクター生成課金額演算係数記憶
手段
90 加工ファクター生成課金額記憶手段

図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6