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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052974
(43)【公開日】2024-04-12
(54)【発明の名称】カップ付き衣類
(51)【国際特許分類】
   A41C 3/12 20060101AFI20240405BHJP
   A41C 3/10 20060101ALI20240405BHJP
   A41C 3/14 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
A41C3/12 A
A41C3/10 A
A41C3/14 A
A41C3/12 D
A41C3/10 B
A41C3/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024032788
(22)【出願日】2024-03-05
(62)【分割の表示】P 2022083545の分割
【原出願日】2022-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】399094486
【氏名又は名称】株式会社エレーヌ
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勝也
(74)【代理人】
【識別番号】100158861
【弁理士】
【氏名又は名称】南部 史
(74)【代理人】
【識別番号】100194674
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 覚史
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 愛
(72)【発明者】
【氏名】佐上 昌代
(57)【要約】
【課題】顕著な乳房のふくらみを持たない人、特に男性が着用する場合にも自然な胸のふくらみを演出することができるとともに、付け心地のよいカップ付き衣類を提供する。
【解決手段】一対のカップ部と、前記カップ部を支持する土台部と、前記土台部に接続するバック部と、前記カップ部と前記バック部とに接続するストラップとを備えるカップ付き衣類である。前記カップ部は、カップ本体と、前記カップ本体の肌側に設けられるポケットと、を含む。前記カップ本体は、前記カップ本体の上縁に沿って、前中心から脇側に弧状に延びる第1肉厚部を含む。前記ポケットは、前記第1肉厚部より下部に、前記第1肉厚部に沿い、かつ、前記カップ部のトップ部に重なるように設けられている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のカップ部と、前記カップ部を支持する土台部と、前記土台部に接続するバック部と、前記カップ部と前記バック部とに接続するストラップとを備え、
前記カップ部は、
カップ本体と、
前記カップ本体の肌側に設けられるポケットと、を含み、
前記カップ本体は、前記カップ本体の上縁に沿って、前中心から脇側に弧状に延びる第1肉厚部を含み、
前記ポケットは、前記第1肉厚部より下部に、前記第1肉厚部に沿い、かつ、前記カップ部のトップ部に重なる位置に設けられている、
カップ付き衣類。
【請求項2】
前記カップ本体は、さらに、前記カップ本体の下縁の少なくとも一部に沿う第2肉厚部を有する、
請求項1に記載のカップ付き衣類。
【請求項3】
さらに、前記ポケットに挿入可能なパッドを含み、
前記パッドは、長辺の長さが短辺の長さに対して2倍以上である細長形状を有し、
前記ポケットは、前記パッドが前記カップ部の前中心下部からトップ部にわたって位置するように、前記パッドを保持する、
請求項1または請求項2に記載のカップ付き衣類。
【請求項4】
前記カップ本体は、前記カップ本体の肌側の全面を覆うように取り付けられたカバー材を含み、
前記カバー材は3枚接ぎであって、当該3枚接ぎは、
前記カップ本体の前記上縁から離れた位置で、前記上縁に沿うように延びる第1の接合部と、
前記第1の接合部と離れた位置で、前記第1の接合部に沿うように延びる第2の接合部と、
を介して接合される、第1部分、第2部分および第3部分で構成され、
前記第2部分は、前記第1の接合部と前記第2の接合部との間に位置する部分であり、前記第2部分に前記ポケットが形成されている、
請求項1または請求項2に記載のカップ付き衣類。
【請求項5】
前記ストラップは、
前記バック部と接続する第1ストラップ部分と、
前記第1ストラップ部分から分岐し、前記カップ部に接続する第2ストラップ部分および第3ストラップ部分と、を含み、
前記第2ストラップ部分は、前記カップ部の上縁と側縁との会合部である第1点において前記カップ部と接続し、
前記第3ストラップ部分は、前記カップ部の上縁における、前記第1点よりも2~6cm前中心側である第2点において前記カップ部と接続する、
請求項1または請求項2に記載のカップ付き衣類。
【請求項6】
前記カップ部は、
前記カップ部の前中心から前記カップ部の上縁に沿って前記カップ部の側縁の上端に延びる伸縮テープを含む、
請求項1または請求項2に記載のカップ付き衣類。
【請求項7】
前記カップ部の下縁に沿うワイヤー挿入部を備え、
前記ワイヤー挿入部の少なくとも一端にワイヤー挿抜口が設けられており、当該ワイヤー挿抜口は、その表面側にワイヤーの抜けを防止するフラップ部材が備えられている、
請求項1または請求項2に記載のカップ付き衣類。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カップ付き衣類に関する。
【背景技術】
【0002】
パッドを挿入できるポケットを有するカップ付き衣類が周知である。例えば特許文献1には、カップのポケットにパッドを挿入した際、カップの最下点までパッドがずり落ちることがないように、パッドを支える保持部が設けられたカップ付き衣類を開示している。
【0003】
特許文献2は、左右カップの最下端の間隔がアンダーバストの全周の寸法に対して一定範囲になるよう設定されたブラジャーを開示している。特許文献2のブラジャーはまた、底面に平面部を有する略椀形状の第1のパッドと、第1のパッドより小さく、厚みが略一定である第2のパッドとを収容できるポケットを備える。
【0004】
特許文献3は、左右の乳房の大きさの差を補正するパッドを挿入するためのポケットを備えたブラジャーである。カップ本体と内皮材との間にポケットが形成され、内皮材にはポケットに連通する開口部が形成されている。開口部は、カップの脇部の近傍に設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6254744号公報
【特許文献2】国際公開2022/00927号
【特許文献3】実用新案登録第3178563公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
顕著な乳房のふくらみを持たない人、特に男性や男性的な骨格を有する人が着用する場合にも、自然な胸のふくらみを演出することができるとともに、付け心地のよいカップ付き衣類を提供することを本発明の目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明者らは前記課題について検討を進め、次の構成を備えるカップ付き衣類によれば、男性や男性的な骨格を有する人が着用する場合にも、自然な胸のふくらみを演出することができるとともに、快適に着用できることを見出した。本発明は、次の構成を有する。
【0008】
本開示にかかるカップ付き衣類は、一対のカップ部と、前記カップ部を支持する土台部と、前記土台部に接続するバック部と、前記カップ部と前記バック部とに接続するストラップとを備える。前記カップ部は、カップ本体と、前記カップ本体の肌側に設けられるポケットと、を含む。前記カップ本体は、前記カップ本体の上縁に沿って、前中心から脇側に弧状に延びる第1肉厚部を含む。前記ポケットは、前記第1肉厚部より下部に、前記第1肉厚部に沿い、かつ、前記カップ部のトップ部に重なる位置に設けられている。
【発明の効果】
【0009】
本開示にかかるカップ付き衣類によれば、男性や男性的な骨格を有する人が着用する場合にも、自然な胸のふくらみを演出することができるとともに、付け心地が良い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示にかかるブラジャーの衣服側を示す模式図である。
図2】本開示にかかるブラジャーの肌側を示す模式図である。
図3】本開示にかかるブラジャーのパッドを示す模式図および断面模式図である。
図4図2のIV-IVで切断した状態を示す断面模式図である。
図5】本開示にかかるブラジャーの芯材を取り出して示す斜視図である。
図6】本開示にかかるブラジャーの着用状態の一例を示す。
図7】本開示にかかるブラジャーの着用状態の一例を示す。
図8】本開示にかかるブラジャーの変形例を示す模式図である。
図9】本開示にかかるブラジャーの衣服側を示す模式図である。
図10】本開示にかかるブラジャーの肌側を示す模式図である。
図11図10のXI-XIで切断した状態を示す断面模式図である。
図12】本開示にかかるブラジャーの芯材およびカバー材を取り出して示す分解斜視図である。
図13】本開示にかかるブラジャーの衣服側を示す模式図である。
図14】本開示にかかるブラジャーの肌側を示す模式図である。
図15図14のXV-XVで切断した状態を示す断面模式図である。
図16】本開示にかかるブラジャーの芯材を取り出して示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施形態の概要]
まず、実施形態の概要を列挙して説明する。
本開示にかかるカップ付き衣類は、一対のカップ部と、前記カップ部を支持する土台部と、前記土台部に接続するバック部と、前記カップ部と前記バック部とに接続するストラップとを備える。前記カップ部は、カップ本体と、前記カップ本体の肌側に設けられるポケットと、を含む。前記カップ本体は、前記カップ本体の上縁に沿って、前中心から脇側に弧状に延びる第1肉厚部を含む。前記ポケットは、前記第1肉厚部より下部に、前記第1肉厚部に沿い、かつ、前記カップ部のトップ部に重なる位置に設けられている。
【0012】
以下の説明では、注釈なく単に「女性」、「男性」という場合は、それぞれ身体構造上の性別を意味している。また、以下の説明において「上」、「下」とは、ブラジャーの着用状態において、頭に近い側を「上」、足に近い側を「下」としている。
【0013】
従来、市場に提供されるカップ付き衣類のほとんどすべては、女性ユーザを想定して設計されている。このため、男性が既存のカップ付き衣類を着用する場合、骨格や体形の違いゆえに適切にフィットしないことが多かった。
【0014】
男性が着用することを想定したカップ付き衣類が一部で検討されている。例えば、特許文献2に開示されたカップ付き衣類は、男性特有の骨格を考慮し、左右カップの最下部の間隔が、従来の一般的な女性向けブラジャーよりも広く設定されている。また、特許文献2のカップ付き衣類は、底面が平面状の椀形状の第1パッドと、それよりも小さな第2パッドとを併用することが開示されている。第1パッドは、男性の胸板にフィットする平面状の底面と、乳房を模擬するお椀状のふくらみとを有する。第2パッドは、第1パッドを持ち上げたり、中央に寄せたりするために用いられる。ただし、男性にフィットし、自然なふくらみを演出できるとともに付け心地の良いカップ付き衣類については、さらに検討の余地があった。また、男性から女性へと性別移行する過程の1つとして乳房の形成がある。乳房の形成過程では乳房周辺の痛みや違和感を伴う場合もあるところ、このような場合に痛みや違和感を和らげ、身体的にも精神的にも健やかに過ごせるよう設計されたカップ付き衣類はほとんど検討されていない。
【0015】
発明者らは、身体構造上の男性、また、身体構造を女性に移行させる途上にある(または女性への移行を終了した)男性を対象として、適切なカップ付き衣類の形態を検討した。検討を重ねる中で、カップ上辺の浮きを防止し、カップ上辺が身体にフィットすることが、外見においても付け心地においても肝要であることを見出した。さらに発明者らは検討を重ね、カップの上縁に沿って肉厚部分を設けること、また、カップのトップ部をカバーする位置にポケットを設けることによって、多様かつ変化する身体形状、身体状態に適合する、良好な着用感と自然な外見とを両立するカップ付き衣類が得られることを見出した。
【0016】
本開示にかかるカップ付き衣類は、さらに、前記カップ本体の下縁の少なくとも一部に沿う第2肉厚部を有してもよい。カップの上縁に沿う第1肉厚部を備えることに加えて、カップの下縁の少なくとも一部に沿う第2肉厚部を備えることによって、身体へのフィット感を向上させるとともに、丸い輪郭を有する自然な胸部を演出できる。
【0017】
本開示にかかるカップ付き衣類は、さらに、前記ポケットに挿入可能なパッドを含んでよい。前記パッドは、長辺の長さが短辺の長さに対して2倍以上である細長形状を有してよい。前記ポケットは、前記パッドが前記カップ部の前中心下部からトップ部にわたって位置するように、前記パッドを保持することができる。
【0018】
前記の構成に加えて、細長形状のパッドを前中心下部からトップ部にわたって位置するように装着することによって、乳房のふくらみが少ない、あるいは乳房のふくらみが未形成の着用者であっても、トップ部の浮き(カップと身体との間に隙間ができてしまうこと)が抑制され、着用時の違和感が低減される。また、前中心下部からトップにわたるパッドを装着することによって、男性的な胸部骨格を補完して自然な胸部の曲線を演出でき、自然で女性らしい外見が得られる。
【0019】
本開示にかかるカップ付き衣類において、前記カップ本体は、前記カップ本体の肌側の全面を覆うように取り付けられたカバー材を含んでよい。前記カバー材は、第1部分、第2部分および第3部分で構成される3枚接ぎであってよい。当該3枚接ぎは、前記カップ本体の前記上縁から離れた位置で、前記上縁に沿うように延びる第1の接合部と、前記第1の接合部と離れた位置で、前記第1の接合部に沿うように延びる第2の接合部と、を介して接合されてよい。前記第2部分は、前記第1の接合部と前記第2の接合部との間に位置する部分であり、前記第2部分に前記ポケットが形成されてよい。
【0020】
カバー材を、上部(第1部分)/中間部(第2部分)/下部(第3部分)に分かれた並行する3枚接ぎで構成し、第2部分にポケットを形成することによって、カップ付き衣類を構成する部材の数を抑制できる。また、ポケットに挿入されるパッドの位置決めが容易になり、挿入後にパッドが動いたり、ずれたりすることを抑制できる。
【0021】
前記ストラップは、前記バック部と接続する第1ストラップ部分と、前記第1ストラップ部分から分岐し、前記カップ部に接続する第2ストラップ部分および第3ストラップ部分と、を含んでよい。前記第2ストラップ部分は、前記カップ部の上縁と側縁との会合部である第1点において前記カップ部と接続しうる。前記第3ストラップ部分は、前記カップ部の上縁における、前記第1点よりも2~6cm前中心側である第2点において前記カップ部と接続しうる。
【0022】
ストラップとカップ部との接続箇所を2箇所とし、2箇所の接続箇所とストラップの分岐点との間で三角形の保持構造を形成させることによって、身体に負担を掛けることなくカップ上部の身体へのフィット性をさらに向上させることができる。
【0023】
前記カップ部は、前記カップ部の前中心から前記カップ部の上縁に沿って前記カップ部の側縁の上端に延びる伸縮テープを含んでよい。伸縮テープによって、カップ上辺の浮きがより抑制され、カップ全体のフィット感がより向上する。
【0024】
前記カップ付き衣類において、前記カップ部の下縁に沿うワイヤー挿入部を備え、前記ワイヤー挿入部の少なくとも一端にワイヤー挿抜口が設けられており、当該ワイヤー挿抜口は、その表面側にワイヤーの抜けを防止するフラップ部材が備えられていてもよい。この構成によって、ワイヤーを簡単に着脱できるとともに、ワイヤーの抜けが防止される。このため、着用者は、胸部の状態、体調や気分に応じて、ワイヤーの有無を簡単に選択できる。
【0025】
[実施形態の具体例]
次に、本開示のカップ付き衣類の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0026】
(実施の形態1)
図1は本開示にかかるカップ付き衣類の実施の一例である、ブラジャー1の衣服側の外観を示す模式図である。ブラジャー1は左右対称に構成されるため、一部の図示を省略する。
【0027】
ブラジャー1は、左右一対のカップ部2と、カップ部2を支持する土台部3と、土台部3の脇側端部に接続するバック部4と、を備える。ストラップ5は、カップ部2とバック部4とに接続している。バック部4の末端にはホック部8が設けられている。ホック部8によって、左右のバック部4が互いに係脱自在となっている。
【0028】
カップ部2は、前中心fcから脇側に延びる上縁21と、バージスラインに沿う下縁22と、脇側に位置する側縁23と、を含む。ストラップ5は、バック部4に接続する第1ストラップ部分51と、第1ストラップ部分51から分岐する第2ストラップ部分52と、第3ストラップ部分53と、を含む。カップ部2における上縁21と側縁23との会合部である第1点p1にて、第2ストラップ部分52はカップ部2に接続されている。また、上縁21における第1点p1から3cm前中心fc寄りの側の点である第2点p2にて、第3ストラップ部分53はカップ部2に接続されている。すなわち、第1点p1と第2点p2との間隔は3cmである。この間隔はデザインやサイズに応じて適宜変更可能であり、例えば、2cm~6cm程度にできる。第1ストラップ部分51と、第2ストラップ部分52および第3ストラップ部分53とは、リング85を介して接続されている。第2ストラップ部分52と第3ストラップ部分53は、リング85で折り返された1本のストラップで構成される。第2ストラップ部分52と第3ストラップ部分53とを1本のストラップで構成することによって、着用者の身体の動きに対するストラップの追従性が良くなる。リング85に代えてアジャスターが採用されてもよい。アジャスターやリングを用いず、第1ストラップ部分51、第2ストラップ部分52および第3ストラップ部分53が縫合されていてもよい。ストラップ5は、その途中部分にアジャスター83が設けられ、長さを調整できる。ストラップの長さは特に制限されず、男性の骨格を考慮して女性用よりも長いストラップを設けることも好ましい。
【0029】
ブラジャー1を着用すると、第2ストラップ部分52、第3ストラップ部分53およびカップ部2の上縁21の側端部(第1点p1と第2点p2との間の部分)によって三角形部分t5(図7)が形成される。この構造によって、カップ部2と着用者の身体との密着性が向上する。
【0030】
カップ部2は、カップ本体20の衣服側表面に、レースやプリント布など任意の表皮材を有してもよい。土台部3は、強度と伸縮性を兼ね備えたパワーネットや伸縮性生地、伸縮性レース等で構成されてよい。バック部4も同様に、伸縮性生地で構成されてよい。土台部3とバック部4の接続部分には、ボーン84が縫い込まれていてもよい。
【0031】
図2は、ブラジャー1の肌側の外観を示す模式図である。図2では、ストラップやレース等を省いて、主要な構成のみを示している。
カップ部2の肌側において、カップ本体20の肌側表面には、モールド成形カップである芯材10(図4)の肌側の全面を覆うカバー材7が備えられる。カップ本体20の上縁21において、芯材10とカバー材7とが互いに縫合されている。カップ本体20の下縁22は、パイピング64によって補強され、カップの形状が保持されている。カップ本体20の側縁23は、テープ66によって補強されている。土台部3の下縁には、ストレッチテープ31が取り付けられている。ストレッチテープ31によって、ブラジャー1全体の形態が保持される。特に、カップ部2の左右への広がりが抑えられる。カバー材7は、上下に分かれた3つの部材が縫合されて構成される。カバー材7の構成について、次に説明する。
【0032】
カバー材7は並行する第1部分71、第2部分72、第3部分73で構成される3枚接ぎである。カバー材7の第1部分71は、上縁21に沿って延びる部分である。第1部分71は、その内部に第1肉厚部61(図4)を構成するパッドが縫い込まれて一体化されている。第1部分71は、その全体が肉厚に形成されている。第1部分71は第1肉厚部61を構成する。第1肉厚部61は、上縁21に沿って、前中心部から脇部まで弧状に延びる。第1肉厚部61の幅w1は、特に制限されないが、例えば1.5~3cm程度としてもよい。第1肉厚部61の幅w1は、前中心部から脇部まで、略一定の幅とすることができる。また、中央部分の幅w1は、両端部の幅よりも大きくされていてもよい。
【0033】
カバー材7の第2部分72は、第1部分71と、第1接合部81において縫合されている。第1接合部81は、カップ本体20の上縁21から離れた位置で、上縁21に沿うように延びる縫合箇所である。第2部分72は、前中心下部fuからトップ部tをとおり、側縁23まで延びる。なお、トップ部tは、カップ部2のふくらみの中で、最も高さが高い部分である。第2部分72に、ポケット62が形成される。ポケット62は、第1部分71(第1肉厚部61)より下部に、第1肉厚部61に沿って、かつ、トップ部tに重なる位置に設けられている。ポケット62は、カバー材7の肌側に設けられており、脇部側に開口67を有する。着用者は、開口67を通じて、パッド6を容易に出し入れできる。パッド6がポケット62に挿入されると、パッド6は前中心下部fuからトップ部tにわたるように保持される。男性や、男性の身体から女性の身体に移行途上にある人がブラジャーを着用すると、乳房のふくらみが小さいためにトップ部が身体から離れて浮いてしまうことがあった。本開示のブラジャー1では、パッド6を挿入することによって、トップ部tの浮きを抑制できる。また、前中心下部からトップ部にかけてパッド6を配置することによって、自然な輪郭のふくらみを演出できる。
【0034】
カバー材7の第3部分73は、第2部分72と、第2接合部82において縫合されている。第2接合部82は、第1接合部81から離れて、第1接合部81に沿うように延びる縫合箇所である。つまり、第1部分71、第2部分72、第3部分73は、カップ本体20の上縁21から下縁22へと、この順に並べられている。第1部分71は第2部分72と隣接するが、第3部分73と隣接しない。第2部分72は、第1部分71と第3部分73との間に位置する。第1接合部81と第2接合部82とは、互いに交わることなく下縁22から側縁23へと延びる。カバー材7は直接肌に当たるため、肌当たりの良い素材、例えば、綿ニット、ポリエステル素材、ポリウレタン素材、綿とポリエステル素材の混紡、綿とポリウレタン素材の混紡等を用いることが好ましい。
【0035】
図3は、パッド6を取り出して示す平面模式図(a)および断面模式図(b)である。パッド6は、細長形状であり、変形した四角形である。パッド6の長辺の長さWaは、短辺の長さWbに対して約2.5倍である。長辺の長さWaは、短辺の長さWbに対して、1.5倍~3倍程度とすることが好ましい。なお、長辺の長さWaは、向かい合う短辺のおおむね中央同士をつなぐ距離である。また、短辺の長さWbは、向かい合う長辺のおおむね中央同士をつなぐ距離である。なお、パッドの形状は四角形に限られず、例えば紡錘形(レモン型)あるいは楕円形であってもよい。パッドが紡錘形や楕円形である場合、それらの形状を囲う最小の四角形を想定し、当該四角形の向かい合う辺同士をつなぐ長さをWa、Wbとできる。
【0036】
断面模式図(b)は、模式図(a)中のb-b断面を示す。パッド6の厚みは特に制限されないが、例えば、最も厚い部分の厚みを5mm~20mm程度とすれば、より自然な胸のふくらみを演出できる。パッド6を構成する素材は特に制限されず、不織布、ウレタンフォーム、シリコン、綿等の公知の素材を選択できる。着用者は、乳房の膨らみの大きさ、痛みの有無等に応じてパッドの使用/不使用、厚みや重さを選択できる。
【0037】
図4は、図2のIV-IVで切断した状態を示す断面模式図であり、カップ本体20の断面を示す。図4では、カップ本体20の主な構成のみを示し、一部の構成を省略している。図4(a)はパッドを挿入しない状態、(b)はパッド6を挿入した状態を示す。図4(a)を参照して、カップ本体20は、芯材10と、カバー材7とが重ねられてなる。芯材10は、例えばモールド成形カップである。芯材10は、その下部に、下縁22に沿う第2肉厚部65が形成されている。第2肉厚部65を有することで、自然な胸のふくらみを演出できる。
【0038】
すでに述べたとおり、カップ本体20の上縁21には、カバー材7と一体に構成された第1肉厚部61がある。つまり、カップ本体20は、上縁21および下縁22が肉厚にされている。一方、トップ部tの厚みは、それ以外の部分と比較して薄い。また、第1肉厚部61はカバー材7と一体に構成され、第2肉厚部65は芯材10の一部として形成されている。乳房のふくらみがある程度形成されている着用者の場合、パッド6を挿入することなくブラジャー1を装着することも好ましい。パッド6を挿入しない場合でも、第1肉厚部61が設けられていることによって、カップの上辺の身体に対する密着性が得られるため、カップの上辺の浮きが抑制され、安定した着用感が得られる。
【0039】
図4(b)に示すとおり、パッド6を挿入すると、トップ部tの肌側にパッド6が位置する。このため、乳房のふくらみがない、あるいは乳房のふくらみが少ない着用者であっても、トップ部の浮きが抑制され、安定した着用感を得ることができる。
【0040】
図5は、カップ本体20の芯材10を取り出して示す図である。図5(a)は芯材10の肌側を示す。図5(b)は、図5(a)のb-b断面を示す。図5を参照して、芯材10はモールド成形カップであり、継ぎ目のない曲面が形成されている。芯材10の下縁22は、カップ本体20の下縁22に対応する。下縁22に沿って、第2肉厚部65が形成されている。第2肉厚部65は、下縁22の前中心側から脇側まで下縁22に沿って形成されている。前中心側と脇側の中央付近における第2肉厚部65の幅Wcは、1.5cm程度である。脇側に近い位置における第2肉厚部65の幅Wdは、Wcよりも狭い。なお、第2肉厚部65の形状はこれに限定されず、下縁22の一部のみに形成されていてもよい。第2肉厚部65が設けられていることによって、ブラジャー1の身体への密着性が向上する。第1肉厚部61(図4)と第2肉厚部65とが設けられていることによって、乳房のふくらみが少ない場合、乳房のふくらみがない場合でも、ブラジャー1のずり上がりや浮きが抑制される。ブラジャー1において、第2肉厚部65は、第1肉厚部61よりも厚みが薄い。
【0041】
図6図7は、ブラジャー1の着用状態を示す。着用者は、男性の身体構造を有し、乳房のふくらみは形成されておらず、アンダーバストは76cmである。図6に示すとおり、横から見た状態で、胸の上部、下部ともに自然な輪郭のふくらみが演出された。また、カップ上部の浮きが見られず、カップ上部と身体の密着性も良好であった。図7は斜め上から見る状態であり、斜め上から見る場合にも、カップ上辺の浮きがみられなかった。また、ストラップとカップ上辺で形成される三角形部分t5によってフィット感が向上していた。男性の胸部骨格は、女性と比べて平坦かつ左右幅が広い傾向があるが、カップ上部の第1肉厚部61(図4)と三角形部分t5とによって、ブラジャーとカップとの密着性が向上し、付け心地の良いブラジャーが得られることが確認された。
【0042】
(変形例)
図8は、ブラジャー1の変形例であるブラジャー101を示す模式図である。ブラジャー1と同様の構成には同じ符号を付して、説明を省略する。図8は、ブラジャー101の衣服側の外観を示す模式図である。図8を参照して、ブラジャー101は、カップ本体20の下縁22に沿って、ブラジャー101の衣服側表面に、ワイヤー挿入部111が設けられている。ワイヤー挿入部111の脇側の端部は開口しており、ワイヤー挿入口124が設けられている。また、ワイヤー挿入口124をカバーするように、フラップ部材121が設けられている。ワイヤー挿入口124を通じて、ワイヤー130を挿入または取り出しできる。挿入や取り出しを行う時以外は、フラップ部材121がワイヤー挿入口124を覆っている。このため、ワイヤー130の抜けやずれが防止される。また、身体の形成段階、痛みの有無や気分に応じて、着用者がワイヤーを容易に着脱できる。ワイヤー挿入部111を衣服側表面に設けることによって、より肌当たりの優しいブラジャーを構成できる。なお、図8の例ではワイヤー挿入部111がブラジャー101の衣服側に設けられているが、必ずしもこれに限られるわけでない。目的とする機能やデザインによっては、ワイヤー挿入部111は肌側に設けられていてもよい。ワイヤー挿入部111を肌側に設ける場合には、フラップ121およびワイヤー挿抜口124を設けず、ワイヤーを挿入した状態で固定してもよい。
【0043】
(実施の形態2)
続いて、本開示にかかるブラジャーの第2の実施の形態であるブラジャー201について説明する。図9は、本開示にかかるブラジャー201の衣服側を示す模式図である。ブラジャー1の構成と同じ構成には、同じ符号を付して説明を省略する。ブラジャー1とブラジャー201とは、主にカップ部の構成が異なる。ブラジャー201のカップ部202について以下に説明する。
【0044】
図9を参照して、ブラジャー201のカップ部202は、カップ本体220と、カップ本体220の衣服側に設けられた表材250と、を含む。表材250は、カップ本体220の全体を覆うとともに、カップ本体220の上縁221よりも上に延びており、乳房の上部までカバーする。表材250は、カップ本体220の下縁222および側縁223において、カップ本体220と縫合されている。一方、カップ本体220の上縁221では、カップ本体220と表材250は縫合されていない。表材250は例えば非伸縮性のレースである。表材250は、薄手の生地や伸縮性のある生地で構成することもできる。表材250の肌側に、伸縮性のテープ251が備えられる。テープ251は、カップ部202の上縁に沿って、前中心fcからカップ部202の側縁223の上端stに延びる。テープ251は、カップ本体220の上縁221よりも少し上に位置するよう取り付けられる。テープ251として具体的には例えば、平ゴムや伸縮性テープ等の伸縮性の細幅部材を用いることができる。テープ251の幅は、例えば4~8mm程度であってよい。
【0045】
ストラップ205は、バック部4とカップ部202とを接続する。ストラップ205は、カップ部202の側縁223の上端stにおいてカップ部202に接続する。つまり、カップ部202の側縁223の上端stにおいて、カップ部202と、ストラップ205と、テープ251とが会合する。着用時には、テープ251によってカップの形が保持されるとともに、テープ251が有する伸縮性によって、カップ部202が着用者に密着しやすくなる。このため、着用状態においてカップ上辺の浮きを抑制し、外見が自然で、かつ付け心地のよいブラジャーが提供される。表材250として薄いレース素材を採用するとともに、テープ251の伸縮性を適切に選択することによって、過度な圧迫感が生じず、付け心地が良好になる。また、変形例として、表材250として伸縮性のレースを採用し、テープ251を備えない構成であってもよい。この場合には、表材250の伸縮性によって、着用状態におけるカップ上辺の浮きが抑制される。
【0046】
図10はブラジャー201の肌側の外観を示す模式図である。図10では、ストラップ等を省いて主要な構成のみを示している。
カップ部202の肌側において、カップ本体220の肌側表面には、芯材210(図12)の肌側の全面を覆うカバー材207が備えられる。カップ本体220の上縁221において、芯材210とカバー材207とが互いに縫合されている。芯材210とカバー材207は全周が縫合されて一体化され、カップ本体202を構成している。カップ本体220の下縁222は、パイピング64によって補強され、カップの形状が保持されている。カップ本体220の側縁223は、テープ266によって補強されている。テープ266は、カップ本体の側縁223から、表材250の脇側を経て、ストラップ205に接続する。
【0047】
カバー材207は、3つの部材が縫合されて構成される。カバー材207は、並行するように配置された第1部分271,第2部分272、第3部分273で構成される3枚接ぎである。
カバー材207の第1部分271は、カップ本体220の上縁221に沿って弧状に延びる部分である。ブラジャー201では、第1部分271に第1肉厚部261が形成されている(図11)。具体的には、第1部分271の内側に第1肉厚部261(図11)を構成するパッドが縫い込まれて一体化されている。
【0048】
カバー材207の第2部分272は、第1部分271と、第1接合部281において縫合されている。第1接合部281は、カップ本体220の上縁221から離れた位置で、上縁221に沿うように延びる縫合箇所である。第2部分272は、下縁222からトップ部tをとおり、側縁223まで弧状に延びる。トップ部tは、カップ部202のふくらみの中で、最も高さが高い部分である。第2部分272に、ポケット262が形成される。ポケット262は、カバー材207の肌側に設けられており、脇部側に開口267を有する。開口267を通じて、パッド6を出し入れできる。パッドとしては、ブラジャー1と同様に細長形状のパッドを用いることができる。パッド6がポケット262に挿入されると、パッド6は下縁222からトップ部tにわたるように保持される。男性、あるいは男性の身体から女性の身体への移行途上にある人がブラジャーを着用すると、乳房のふくらみが小さいためにトップ部が身体から離れて浮いてしまうことがあった。ブラジャー201では、パッドを挿入することによって、トップ部tの浮きを抑制できる。また、カップの下縁からトップ部にかけてパッドを配置することによって、自然な輪郭の乳房のふくらみを演出できる。
【0049】
カバー材207の第3部分273は、第2部分272と、第2接合部282において縫合されている。第2接合部282は、第1接合部281から離れて、第1接合部281に沿うように延びる縫合箇所である。第1部分271は第2部分272と隣接するが、第3部分273と隣接しない。第2部分272は、第1部分271と第3部分273との間に位置する。第1接合部281と第2接合部282とは、互いに交わることなく下縁222から側縁223へと延びている。第3部分273に第2肉厚部265が形成されている(図11)。具体的には、第3部分273の内側に第2肉厚部265(図11)を構成するパッドが縫い込まれて、一体化されている。
【0050】
図11は、カップ本体220を図10のXI-XIの位置で切断した状態を示す、断面模式図である。図11では、カップ本体220の主な構成のみを示し、一部の構成を省略している。図11(a)はパッドを挿入しない状態、(b)はパッドを挿入した状態を示す。図11(a)を参照して、カップ本体220は、芯材210と、カバー材207とが重ねられてなる。芯材210の素材は、例えば布帛と不織布の組み合わせで構成される。第1部分271に第1肉厚部261が構成されている。第1肉厚部261の下部に、ポケット262が位置している。また、第3部分273に第2肉厚部265が構成されている。第1肉厚部261を有することによって、乳房のふくらみが少ない、あるいは乳房のふくらみのない着用者がブラジャー201を着用する場合でも、カップ上辺の浮きが抑制される。図11(b)を参照して、ポケット262に、パッド6が挿入される。ポケット262はカバー材207の第2部分272に設けられている。パッド6が挿入されると、パッドはトップ部tに重なる位置に保持され、乳房のふくらみが無い着用者や乳房のふくらみが少ない着用者であっても、トップ部の浮きが抑制され、着用時の違和感が低減される。第2肉厚部265を有することによって、ブラジャー201の身体への密着性が向上する。図12は、カップ部220を一部分解し、模式的に示す図である。芯材210はほぼ一定の厚みを有する。カバー材207は、第1部分271と第3部分273とが肉厚に構成されている。第2肉厚部265は、第1肉厚部261よりも厚みが薄い。
【0051】
(変形例)
図13は、ブラジャー201の変形例であるブラジャー301の衣服側を示す模式図である。図14は、ブラジャー301の肌側を示す模式図である。ブラジャー301において、ブラジャー1ないしブラジャー201の構成と同じ構成には同じ符号を付して説明を省略する。ブラジャー201とブラジャー301では、主にカップ部の構成が異なる。ブラジャー301のカップ部302について以下に説明する。
【0052】
図13を参照して、ブラジャー301のカップ部302は、カップ本体320と、カップ本体320の衣服側に設けられた表材350と、を含む。表材350は、カップ本体320の全体を覆うとともに、カップ本体320の上縁321よりも上に延びており、乳房の上部までカバーする。左右のカップ部302は前中心fcでつながっている。表材350、テープ351の構成は、ブラジャー201と同様である。
【0053】
図14は、ブラジャー301の肌側を示す模式図である。図14を参照して、カップ部302の肌側において、カップ本体320の肌側表面には、芯材310(図15)の肌側の全面を覆うカバー材307が備えられる。カップ本体320の上縁321において、芯材310とカバー材307とが互いに縫合されている。芯材310とカバー材307は全周が縫合されて一体化され、カップ本体320を構成している。カバー材307は、並行する第1部分371,第2部分372、第3部分373で構成される3枚接ぎである。カバー材307の第2部分372は、第1部分371と、第1接合部381において縫合されている。第3部分373は、第2部分372と、第2接合部382において縫合されている。第2接合部382は、第1接合部381から離れて、第1接合部381と並行に延びる縫合箇所である。第2部分372に、ポケット362が形成されている。
【0054】
図15は、カップ本体320を図14のXI-XIの位置で切断した状態を示す、断面模式図である。図15では、カップ本体320の主な構成のみを示し、一部の構成を省略している。図15(a)はパッドを挿入しない状態、(b)はパッドを挿入した状態を示す。図15(a)を参照して、カップ本体320は、芯材310と、カバー材307とが重ねられてなる。芯材310の素材は、例えば布帛と不織布の組み合わせで構成される。芯材310はモールド成形材であってもよい。芯材310の上縁に沿って、第1肉厚部361が構成されている。芯材310のとおり、第1肉厚部361は芯材と一体に設けられてもよい。第1肉厚部361の下部に、ポケット362が位置している。ポケット362に、パッド6が挿入される。また、芯材310の下縁には、第2肉厚部365が構成されている。
【0055】
図16は、芯材310を取り出して示す図である。図16(a)は芯材310の肌側を示す。図16(b)は図16(a)のb-b断面を示す。芯材310は例えば、不織布と布帛が縫合されて構成される。図16を参照して、芯材310の上縁321は、カップ本体320の上縁321に対応する。上縁321に沿って、第1肉厚部361が形成されている。第1肉厚部361は、前中心側から脇側まで、上縁321に沿う弧状に形成されている。前中心側と脇側の中央付近における第1肉厚部361の幅Weは、例えば1.5cm程度である。脇側近傍で第1肉厚部361の幅Wfは徐々に小さくなり、上縁321と側縁323との会合部に至る。
【0056】
ブラジャー201、301では、ワイヤー挿入部111がブラジャー201の衣服側に設けられているが、肌側に設けられていてもよい。その他、本開示の効果が奏される限り、カップやパッドの形状、表皮材等はさまざまなものが選択されうる。
【0057】
本開示にかかるカップ付き衣類は、ブラジャーに限定されず、例えば、ブラキャミソール、ブラスリップ、ボディースーツ、コルセット等のインナーウェア、タンクトップ、ワンピース、ドレス等のアウターウェア、レオタード、水着のスポーツウェア等であってもよい。
【符号の説明】
【0058】
1、101、201、301 ブラジャー、2、202、302 カップ部、3 土台部、4 バック部、5、205 ストラップ、6 パッド、7、207、307 カバー材、8 ホック部、10、210、310 芯材、20、220、320 カップ本体、21、221、321 上縁、22、222、322 下縁、23、223、323 側縁、250、350 表材、251、351 伸縮テープ、31 ストレッチテープ、51 第1ストラップ部分、52 第2ストラップ部分、53 第3ストラップ部分、61、261、361 第1肉厚部、62、262、362 ポケット、64 パイピング、65、265、365 第2肉厚部、66、266 テープ、67、267 開口、71、271、371 第1部分、72、272、372 第2部分、73、273、373 第3部分、81、281、381 第1接合部、82、282、382 第2接合部、83 アジャスター、84 ボーン、85 リング、111 ワイヤー挿入部、121 フラップ部材、124 ワイヤー挿入口、130 ワイヤー。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16