(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052997
(43)【公開日】2024-04-12
(54)【発明の名称】シャッター装置及び設定方法
(51)【国際特許分類】
E06B 9/68 20060101AFI20240405BHJP
E06B 9/82 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
E06B9/68 A
E06B9/82 H
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024033403
(22)【出願日】2024-03-05
(62)【分割の表示】P 2023010174の分割
【原出願日】2019-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】師岡 聖
(72)【発明者】
【氏名】真原 裕
(72)【発明者】
【氏名】山川 稔
(72)【発明者】
【氏名】青木 真路
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 友祐
(57)【要約】
【課題】上限位置及び下限位置の設定を容易に行うことができる。
【解決手段】操作装置に対して所定の操作が行われた場合には、前記シャッターカーテンの開動作を開始し、前記開動作中に前記過負荷状態が検知された場合には、前記開動作を停止して前記閉動作を開始する駆動制御部と、前記開動作中の前記過負荷検知により前記過負荷状態が検知された場合には前記シャッターカーテンの現在位置に基づいて前記上限位置を設定する第1の処理部と、前記閉動作中の前記過負荷検知により前記過負荷状態が検知された場合には前記シャッターカーテンの現在位置に基づいて前記下限位置を設定する第2の処理部と、を備える、シャッター装置である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上限位置と下限位置との間でシャッターカーテンの開閉動作を行うシャッター装置であって、
前記シャッターカーテンを開閉駆動するモータと、
前記モータを制御することで前記開閉動作を行うとともに、前記開閉動作中において前記モータの過負荷状態を検知する過負荷検知を実行するシャッター制御装置と、
を備え、
前記シャッター制御装置は、
操作装置に対して所定の操作が行われた場合には、前記シャッターカーテンの開動作を開始し、前記開動作中に前記過負荷状態が検知された場合には、前記開動作を停止して自動で閉動作を開始する駆動制御部と、
前記開動作中の前記過負荷検知により前記過負荷状態が検知された場合には前記シャッターカーテンの現在位置に基づいて前記上限位置を設定する第1の処理部と、
前記閉動作中において、前記シャッターカーテンの位置が閾値を通過した場合に前記過負荷検知を開始し、当該過負荷検知により前記過負荷状態が検知されたときの前記シャッターカーテンの現在位置から開方向に第1の距離だけ離れた位置を前記下限位置に設定する第2の処理部と、
を備える、シャッター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッター装置及び設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上限位置(全開位置)と下限位置(全閉位置)との間でシャッターカーテンを開閉動作させるシャッター装置がある(例えば、特許文献1)。
ところで、シャッター装置の施工時には上限位置及び下限位置を設定する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シャッターカーテンの上限位置及び下限位置の設定は、施工者やユーザがシャッターカーテンの位置を目視しながらリモコン装置を操作してシャッターカーテンを所望の位置に移動させてシャッターカーテンの現在位置を登録する作業を実施することで行われる。 そのため、複数のシャッター装置のそれぞれに対して上限位置及び下限位置を設定するには、各シャッター装置に対して上記作業を実施する必要があり、施工者やユーザにとって煩わしい。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、上限位置及び下限位置の設定を容易に行うことができるシャッター装置及び設定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一態様は、上限位置と下限位置との間でシャッターカーテンの開閉動作を行うシャッター装置であって、前記シャッターカーテンを開閉駆動するモータと、前記モータを制御することで前記開閉動作を行うとともに、前記開閉動作中において前記モータの過負荷状態を検知する過負荷検知を実行するシャッター制御装置と、を備え、前記シャッター制御装置は、操作装置に対して所定の操作が行われた場合には、前記シャッターカーテンの開動作を開始し、前記開動作中に前記過負荷状態が検知された場合には、前記開動作を停止して自動で閉動作を開始する駆動制御部と、前記開動作中の前記過負荷検知により前記過負荷状態が検知された場合には前記シャッターカーテンの現在位置に基づいて前記上限位置を設定する第1の処理部と、前記閉動作中において、前記シャッターカーテンの位置が閾値を通過した場合に前記過負荷検知を開始し、当該過負荷検知により前記過負荷状態が検知されたときの前記シャッターカーテンの現在位置から開方向に第1の距離だけ離れた位置を前記下限位置に設定する第2の処理部と、を備える。
【0007】
(2)上記(1)のシャッター装置であって、前記駆動制御部は、前記閉動作中の前記過負荷検知により前記過負荷状態が検知された場合には、前記シャッターカーテンの閉動作を停止して、前記第2の処理部で設定された前記下限位置に前記シャッターカーテンを移動させてもよい。
【0008】
(3)上記(1)のシャッター装置であって、前記駆動制御部は、前記閉動作中の前記過負荷検知により前記過負荷状態が検知された場合には、前記シャッターカーテンの閉動作を停止して、前記第1の距離よりも小さい第2の距離だけ前記シャッターカーテンを開動作させてもよい。
【0009】
(4)上記(1)から(3)のいずれかのシャッター装置であって、前記モータの回転に応じたパルス信号を出力する出力部と、前記パルス信号のパルス数をカウントする負荷検出部と、をさらに備え、前記第2の処理部は、前記閉動作中の前記過負荷検知により前記過負荷状態が検知されたときの前記パルス信号のカウント値から所定のパルス数だけ差し引いた値を前記下限位置に設定してもよい。
【0010】
(5)上記(4)のシャッター装置であって、前記第2の処理部は、現在の前記カウント値に対応する前記パルス信号のパルス幅と、二つ以上前の前記カウント値に対応する前記パルス信号のパルス幅との変化量が所定値を一回以上超えた場合に、前記モータが過負荷状態であると判定してもよい。
【0011】
(6)シャッター装置がシャッターカーテンの上限位置と下限位置とを設定する設定方法であって、操作装置に対して所定の操作が行われた場合には、前記シャッターカーテンの開動作を開始する開動作ステップと、前記開動作中に前記シャッターカーテンを駆動するモータの過負荷状態を検知する第1の過負荷検知を実行する第1の検知ステップと、前記第1の検知ステップで前記過負荷状態が検知された場合には前記開動作を停止する第1の停止ステップと、前記第1の停止ステップで停止した前記シャッターカーテンの現在位置を前記上限位置に設定する第1の設定ステップと、前記上限位置が設定されたことを契機として前記シャッターカーテンの閉動作を開始する閉動作ステップと、前記閉動作中において、前記シャッターカーテンの位置が閾値を通過した場合に前記モータの過負荷状態を検知する第2の過負荷検知を開始する第2の検知ステップと、前記第2の過負荷検知により前記過負荷状態が検知された場合には前記閉動作を停止する第2の停止ステップと、前記第2の過負荷検知により前記過負荷状態が検知されたときの前記シャッターカーテンの現在位置から開方向に所定の距離だけ離れた位置を前記下限位置に設定することで、前記シャッターカーテンが全閉状態且つ前記第2の停止ステップで発生する前記シャッターカーテンの撓みが解消された状態を前記下限位置に設定する第2の設定ステップと、を含む設定方法である。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明によれば、上限位置及び下限位置の設定を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態に係るシャッター装置を備えたシャッターシステム1の概略構成の一例を示す図である。
【
図2】本実施形態に係るシャッター制御装置10の概略構成図である。
【
図3】本実施形態に係るシャッター制御装置10の復帰処理を実行するための制御部13の機能ブロック図である。
【
図4】本実施形態に係る上限位置Pu及び下限位置Plの設定方法のフロー図である。
【
図5】本実施形態に係る上限位置Pu及び下限位置Plの設定方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施形態に係るシャッター装置を、図面を用いて説明する。
【0015】
図1は、本実施形態に係るシャッター装置を備えたシャッターシステム1の概略構成の一例を示す図である。
図1に示すシャッターシステム1は、シャッター装置2及び操作装置3を備える。
【0016】
シャッター装置2は、建物の窓やドア等の開口部の開放又は閉鎖を行う電動シャッター装置である。シャッター装置2は、シャッターカーテン4を備え、操作装置3からの操作信号に基づいてシャッターカーテン4を開閉することにより上記開口部を開放又は閉鎖することができる。
【0017】
操作装置3は、操作対象であるシャッター装置2に有線又は無線で接続され、シャッター装置2と相互に通信可能である。操作装置3は、ユーザや作業者が操作可能であって、シャッター装置2に対して操作信号を入力する手段を備える、例えばリモコン装置である。
【0018】
具体的には、操作装置3は、ユーザによっていずれかのスイッチが押下されると、シャッター装置2にスイッチに応じた信号である操作信号を出力する。
例えば、操作装置3は、開スイッチSWoが操作されると、シャッターカーテン4の開動作を指示する第1の操作信号をシャッター装置2に送信する。また、操作装置3は、閉スイッチSWcが操作されると、シャッターカーテン4の閉動作を指示する第2の操作信号をシャッター装置2に送信する。さらに、操作装置3は、停止スイッチSWtが操作されると、シャッターカーテン4の開動作又は閉動作の停止を指示する停止信号をシャッター装置2に送信する。
【0019】
さらに、操作装置3は、ユーザによって所定の操作が行われると、設定信号をシャッター装置2に送信する。例えば、上記所定の操作は、開スイッチSWo、閉スイッチSWc、及び停止スイッチSWtのうち、一つのスイッチの短押し操作とは異なる操作である。具体的には、上記所定の操作は、開スイッチSWo、閉スイッチSWc、及び停止スイッチSWtのうち、二つ以上のスイッチの同時押し、又は、一つ以上のスイッチの長押しである。
ただし、上記所定の操作は、開スイッチSWo、閉スイッチSWc、及び停止スイッチSWtのうち、二つ以上のスイッチの同時押し、又は、一つ以上のスイッチの長押しに限定されない。例えば、操作装置3は、初期設定ボタンを備えてもよい。そして、上記所定の操作は、前記初期設定ボタンの押下操作であってもよい。例えば、前記初期設定ボタンは、操作装置3の前面に設けられてもよいし、背面に設けられてもよい。また、前記初期設定ボタンが操作装置3の背面に設けられる場合には、例えば、前記初期設定ボタンは、背面カバーに覆われており、当該背面カバーを取り外すことにより操作可能となる。すなわち、前記初期設定ボタンは、背面カバーが取り外されると露出する位置に設けられている。
また、前記初期設定ボタンは、電池を収納する電池ボックス内に設けられてもよい。この場合には、上記電池ボックスを操作装置3の背面側から覆うように操作装置3の本体ケースに取り付け可能に構成されている電池カバーを取り外すことで、前記初期設定ボタンは、ユーザにより操作可能に構成されている。すなわち、前記初期設定ボタンは、電池カバーが取り外されると露出する位置に設けられている。
ここで、操作装置3は、スマートフォンやタブレット端末等の携帯情報端末であってもよい。この場合には、上記所定の操作は、携帯情報端末のアプリケーション(例えば、スマートフォンアプリケーション)における初期設定用のコマンド操作であってもよい。
【0020】
次に、本実施形態に係るシャッター装置2の概略構成の一例について説明する。
【0021】
図1に示すように、シャッター装置2は、シャッターカーテン4、ガイドレール5a,5b及びシャッターボックス6を備える。
【0022】
シャッターカーテン4は、上下方向に連結された長尺な複数のスラット4a及び最下端に設けられた巾木部4bを有する。
【0023】
巾木部4bは、最下端のスラット4aに接続された矩形断面を有する長尺部材である。巾木部4bは、シャッターカーテン4が全開状態(上限位置Pu)になる場合にマグサ(不図示)又はシャッターボックス6に接触するように突出形成されている。すなわち、巾木部4bは、シャッターカーテン4の全開状態時にはマグサ(不図示)又はシャッターボックス6に接触する。一方、巾木部4bは、シャッターカーテン4が全閉状態(下限位置Pl)になる場合には、シャッター装置2の枠体の下枠や床面に接触する。
なお、上記マグサは、シャッターカーテン4が上昇することで形成されるシャッター装置2の開口部の見切り部材であって、シャッターボックス6の下部に設けられていてもよい。
【0024】
ガイドレール5a及びガイドレール5bは、シャッターカーテン4の幅方向の両端に一対で設けられ、底面に対して垂直に立設されている。ガイドレール5a及びガイドレール5bは、シャッターカーテン4を構成する各スラット4aの横ずれを規制する。
【0025】
シャッターボックス6は、シャッター装置2の上部に設けられている。このシャッターボックス6は、シャッターカーテン4の巻き戻し(シャッターカーテン4の閉動作時)、又は、巻き取り(シャッターカーテン4の開動作時)を行う。
【0026】
以下に、本実施形態に係るシャッターボックス6の概略構成の一例について説明する。
図1に示すように、シャッターボックス6は、シャフト7、モータ8、出力部9及びシャッター制御装置10を備える。
【0027】
シャフト7は、シャッターカーテン4の上端部とモータ8とに連結されている。シャフト7は、モータ8によって正逆方向に回転駆動される。このシャフト7の回転に応じて、シャッターカーテン4の巻き戻し、又は、巻き取りが行われる。シャフト7に巻き取られたシャッターカーテン4は、シャッターボックス6内に収容されるようになっている。
【0028】
モータ8は、シャフト7を回転駆動することでシャッターカーテン4を開閉駆動する駆動源であって、例えば直流モータから構成されている。モータ8は、シャッター制御装置10からの駆動信号に基づいて正回転、逆回転、又は回転停止する。
【0029】
出力部9は、モータ8の駆動状況を出力する機能を有する。出力部9は、例えばモータ8に内蔵されたエンコーダである。出力部9は、モータ8の回転に応じたパルス信号(以下、「位置パルス」という。)をシャッター制御装置10に出力する。例えば、出力部9は、モータ8が1回転すると1つの位置パルスをシャッター制御装置10に出力する。なお、出力部9は、エンコーダに限らず、例えばモータ8の回転角量を計測する等、巻取り軸やモータ8の回転量を把握できる構成であれば任意に選択できる。
【0030】
図2は、本実施形態に係るシャッター制御装置10の概略構成図である。
図2に示すように、シャッター制御装置10は、通信部11、駆動部12及び制御部13を備える。
【0031】
通信部11は、操作装置3と通信することで情報を送受する。通信部11の通信方式は、特に限定されないが、本実施形態では、短距離無線通信規格RF4CE(Radio Frequency for Consumer Electronics)やBluetooth(登録商標)等の無線通信方式が用いられる。
【0032】
駆動部12は、制御部13からの指令に応じた駆動信号を生成してモータ8に出力することでモータ8を駆動、又は停止させる。
【0033】
制御部13は、例えばCPU又はMPUなどのマイクロプロセッサ、MCUなどのマイクロコントローラや記憶装置などから構成され、操作装置3のスイッチの操作に応じてモータ8の駆動を制御する。
【0034】
制御部13は、操作装置3からの操作信号に基づいて、モータ8の回転を制御することで、上限位置Puと下限位置Plとの間でシャッターカーテン4の開動作又は閉動作(以下、単に「開閉動作」という。)を実行する。ここで、上限位置Puは、シャッターカーテン4が全開状態となる位置(全開位置)である。下限位置Plは、シャッターカーテン4が全閉状態となる位置(全閉位置)である。
【0035】
制御部13は、通信部11を介して操作装置3から第1の操作信号を受信した場合には、シャッターカーテン4をシャフト7に巻き取らせて開動作させる指令(以下、「開指令」という。)を駆動部12に対して出力する。これにより、駆動部12は、モータ8を正転させてシャッターカーテン4を開動作させる。
【0036】
また、制御部13は、通信部11を介して操作装置3から第2の操作信号を受信した場合には、シャッターカーテン4をシャフト7から巻き出させて閉動作させる指令(以下、「閉指令」という。)を駆動部12に対して出力する。これにより、駆動部12は、モータ8を逆転させてシャッターカーテン4を閉動作させる。
【0037】
また、制御部13は、操作装置3から停止信号を受信した場合、シャッターカーテン4の動作を停止させる指令(以下、「停止指令」という。)を駆動部12に対して出力する。これにより、駆動部12は、モータ8の回転を停止させて開閉動作を停止させる。
【0038】
制御部13は、操作装置3からの設定信号を受信した場合には、上限位置Pu及び下限位置Plを設定する設定モードに移行する。
制御部13は、設定モードにおいて、モータ8を制御することで開閉動作を行うとともにモータ8の過負荷状態を検知する過負荷検知を実行する。そして、制御部13は、設定モードにいて、シャッターカーテン4の開動作時にモータ8の過負荷状態が検知された場合にはシャッターカーテン4の現在位置に基づいて上限位置Puを設定し、シャッターカーテン4の閉動作時にモータ8の過負荷状態が検知された場合にはシャッターカーテン4の現在位置に基づいて下限位置Plを設定する。
【0039】
以下において、本実施形態に係る設定モードの処理を実行するための制御部13の機能部を、
図3を用いて説明する。
図3は、本実施形態に係るシャッター制御装置10の復帰処理を実行するための制御部13の機能ブロック図である。
【0040】
以下に、本発明の一実施形態に係る制御部13の機能部について説明する。
【0041】
制御部13は、駆動制御部14、負荷検出部15、処理部16及び格納部17を備える。
【0042】
駆動制御部14は、操作装置3に対して所定の操作が行われた場合には、駆動部12に開指令を出力してシャッターカーテン4の開動作を開始させる。そして、駆動制御部14は、当該開動作中において過負荷検知によりモータ8の過負荷状態が検知された場合には、停止指令を出力して当該開動作を停止させ、駆動部12に閉指令を出力してシャッターカーテン4の閉動作を開始させる。駆動制御部14は、当該閉動作中において過負荷検知によりモータ8の過負荷状態が検知された場合には、停止指令を出力して当該閉動作を停止させる。
【0043】
負荷検出部15は、モータ8にかかる負荷(以下、「モータ負荷」という。)を検出する。本実施形態に係る負荷検出部15は、カウンタ151及び負荷計測部152を備える。
【0044】
カウンタ151は、位置パルスのパルス数をカウントする。なお、このパルス数のカウント値nは、シャッターカーテン4の現在位置に相当する。
【0045】
負荷計測部152は、出力部9から出力された位置パルスに基づいてモータ負荷を計測する。具体的には、例えば、負荷計測部152は、出力部9から出力された位置パルスのパルス幅Anをモータ負荷として、位置パルス毎(カウンタ151のカウント値n毎)に計測する。例えば、パルス幅Anは、モータ8が1回転したときの位置パルスのパルス幅である。
【0046】
ここで、位置パルスは、モータ8の回転速度が遅くなるにつれてそのパルス幅が大きくなり、モータ8の回転速度が速くなるにつれてそのパルス幅が小さくなる。すなわち、シャッターカーテン4が上限位置Puに到達して、巾木部4bがマグサやシャッターボックス6に接触すると、モータ8に負荷がかかり、モータ8は過負荷状態となる。そのため、モータ8の回転速度が遅くなり、位置パルスのパルス幅が大きくなる。
また、シャッターカーテン4が下限位置Plに到達して、巾木部4bが床面又は下枠に当接してから、さらに閉動作が継続すると巾木部4bが床面又は下枠に押圧している状態になる。その結果、モータ8に負荷がかかり、モータ8は過負荷状態となる。そのため、モータ8の回転速度が遅くなり、位置パルスのパルス幅が大きくなる。
なお、シャッターカーテン4が下限位置Plに到達して、巾木部4bが床面又は下枠に当接してから、さらに閉動作が継続するとスラットに撓みが下方より発生する。その結果、モータ8に負荷がかかり、モータ8は過負荷状態となる。そのため、モータ8の回転速度が遅くなり、位置パルスのパルス幅が大きくなる。
【0047】
したがって、負荷計測部152は、位置パルス毎(カウント値n毎)に、その位置パルスのパルス幅を測定することにより、モータ8のパルス幅Anをモータ負荷として算出する。負荷計測部152は、カウント値nとモータ負荷とを関連付けて処理部16に出力する。すなわち、負荷計測部152は、カウント値nとそのカウント値nに対応する位置パルスのパルス幅(モータ負荷)Anとを処理部16に出力する。さらに、負荷計測部152は、位置情報nと、その位置情報nに対応する位置パルスのパルス幅Anとを関連付けて負荷情報として格納部17に格納する。
【0048】
処理部16は、設定モードにおいて、上限位置Pu及び下限位置Plを過負荷検知により設定する。具体的には、処理部16は、第1の処理部161及び第2の処理部162を備える。
【0049】
第1の処理部161は、設定モードにおけるシャッターカーテン4の開動作中において過負荷検知(以下、「第1の過負荷検知」という。)を実行する。そして、第1の処理部161は、第1の過負荷検知によってモータ8の過負荷状態を検知した場合には、シャッターカーテン4の現在位置に基づいて上限位置Puを設定する。例えば、第1の処理部161は、第1の過負荷検知によってモータ8の過負荷状態を検知されたときのカウント値nを上限位置Puに設定してもよい。例えば、第1の処理部161は、第1の過負荷検知によってモータ8の過負荷状態を検知されたときのカウント値nを「0」にリセットし、「0」にリセットされたカウント値nを上限位置Puに設定してもよい。
第1の過負荷検知とは、負荷検出部15から出力されるモータ負荷に基づいてモータ8が過負荷状態か否かを判定する処理である。例えば、第1の処理部161は、モータ負荷又はモータ負荷の変化率が所定の閾値th1を超えた場合には、モータ8が過負荷状態であると判定する。
【0050】
ここで、第1の処理部161は、第1の過負荷検知において、巾木部4bがマグサ又はシャッターボックス6に当接した位置(上限位置Pu)ではなく、上限位置Puからさらにシャッターカーテン4の開動作を行ってシャッターカーテン4を巻き締めした位置(以下、「巻き締め位置」という。)で、モータ8が過負荷状態を検知する。巻き締め位置と上限位置Puとの間のずれΔH1は、巻き締め位置と上限位置Puとの間の位置パルスのカウント数n1で表され、実験やシャッターカーテン4のサイズ等により予め求めることが可能である。したがって、第1の処理部161は、既知であるずれΔH1を用いて巻き締め位置から上限位置Puを求めてもよい。例えば、第1の処理部161は、第1の過負荷検知によってモータ8の過負荷状態を検知されたときのカウント値nからカウント数n1を減算又は加算することで上限位置Puに設定してもよい。
【0051】
例えば、駆動制御部14は、操作装置3に対して所定の操作が行われた場合には、駆動部12に開指令を出力してシャッターカーテン4の開動作を開始させる。そして、駆動制御部14は、当該開動作中において過負荷検知によりモータ8の過負荷状態が検知された場合には、停止指令を出力して当該開動作を停止させる。このとき、シャッターカーテン4の現在位置は、巻き締め位置である。よって、駆動制御部14は、巻き締め位置のシャッターカーテン4をカウント数n1分だけ下降させて停止させる。そして、第1の処理部161は、カウント数n1分だけ閉動作されたシャッターカーテン4の現在位置、すなわち現在のカウント値nを「0」にリセットし、「0」にリセットされたカウント値nを上限位置Puに設定してもよい。駆動制御部14は、上限位置Puが設定されたことを契機として自動で閉動作を実行する。
ただし、ずれΔH1が許容できる程度であれば、巻き締め位置のシャッターカーテン4をカウント数n1分だけ下降させず、巻き締め位置を上限位置Puとして設定してもよい。
【0052】
第2の処理部162は、設定モードにおけるシャッターカーテン4の閉動作中において過負荷検知(以下、「第2の過負荷検知」という。)を実行する。そして、第2の処理部162は、第2の過負荷検知によってモータ8の過負荷状態を検知した場合には、シャッターカーテン4の現在位置に基づいて下限位置Plを設定する。
例えば、第2の処理部162は、第2の過負荷検知によってモータ8の過負荷状態を検知されたときのカウント値nを下限位置Plに設定してもよい。
第2の過負荷検知とは、負荷検出部15から出力されるモータ負荷に基づいてモータ8が過負荷状態か否かを判定する処理である。例えば、第2の処理部162は、モータ負荷又はモータ負荷の変化率が所定の閾値th2を超えた場合には、モータ8が過負荷状態であると判定する。
なお、第1の過負荷検知と第2の過負荷検知とは、同一の方法による過負荷検知であってもよいし、互いに異なる方法による過負荷検知であってもよい。
【0053】
ここで、第2の処理部162は、第2の過負荷検知において、巾木部4bが床面又は下枠に当接した位置(下限位置Pl)ではなく、下限位置Plからさらにシャッターカーテン4の閉動作を行ってシャッターカーテン4が床面又は下枠を押し込んだ位置(以下、「押し込み位置」という。)で、モータ8が過負荷状態を検知する。すなわち、押し込み位置のシャッターカーテン4は下方より撓みが発生しており、閉動作時における第2の過負荷検知でモータ8の過負荷状態が検知された位置である押し込み位置と上記撓みの無い下限位置との間にズレΔH2が生じる。この押し込み位置と下限位置Plとの間のずれΔH2は、押し込み位置と下限位置Plとの間の位置パルスのカウント数n2で表され、実験やシャッターカーテン4のサイズ等により予め求めることが可能である。したがって、第2の処理部162は、既知であるカウント数n2を用いて押し込み位置から下限位置Plを求めることができる。例えば、第2の処理部162は、第2の過負荷検知によってモータ8の過負荷状態を検知されたときのカウント値nからカウント数n2(ΔH2)を減算した値を下限位置Plに設定してもよい。ただし、ずれΔH2が許容できる程度であれば、第2の処理部162は、第2の過負荷検知によってモータ8の過負荷状態を検知されたときのカウント値nを下限位置Plに設定してもよい。なお、カウント数n2は本発明の「第1の距離」に相当する。
このように、第2の処理部162は、閉動作中の過負荷検知によりモータ8過負荷状態が検知されたときのシャッターカーテン4の現在位置から開方向に第1の距離だけ離れた位置を下限位置Plに設定してもよい。ここで、開方向とは、シャッターカーテン4の開動作によってシャッターカーテン4が動作する方向であって、本実施形態では、シャッターボックス6が配置されている方向である。
【0054】
格納部17には、処理部16により設定された上限位置Pu及び下限位置Plの情報が格納される。
なお、処理部16は、設定信号を受信した場合において、格納部17にすでに上限位置Pu及び下限位置Plの情報が格納されている場合には、その格納されている上限位置Pu及び下限位置Plの情報を削除してもよい。例えば、第1の処理部161は、操作装置に対して所定の操作が行われた場合においてすでに上限位置Pl及び下限位置Puが設定されている場合には、その上限位置Pl及び下限位置Puの設定を初期化する初期化処理を実行してもよい。その場合には、初期化処理後において、シャッターカーテン4の開動作が開始されてもよい。
また、格納部17には、設定モードにおいて、位置情報nと、その位置情報nに対応する位置パルスのパルス幅Anとが関連付けられた情報、すなわち負荷情報が位置情報nごとに格納される。
例えば、格納部17は、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリやHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)である。
【0055】
次に、本実施形態に係る制御部13の上限位置Pu及び下限位置Plの設定方法について、
図4及び
図5を用いて説明する。
図4は、本実施形態に係る上限位置Pu及び下限位置Plの設定方法のフロー図である。
図5は、本実施形態に係る上限位置Pu及び下限位置Plの設定方法を説明する図である。なお、以下の上記設定方法の説明においては、第1の過負荷検知と第2の過負荷検知とは、異なる方法による過負荷検知である。さらに、ずれΔH1は無視できる程度に小さいものとする。
【0056】
まず、制御部13は、操作装置3から設定信号を受信した場合には、設定モードに移行する。制御部13は、設定モードに移行すると初期化処理を実行する(ステップS101)。そして、制御部13(駆動制御部14)は、シャッターカーテン4の開動作を実行する(ステップS102)。ここで、制御部13は、シャッターカーテン4の開動作中においては、カウンタ151で位置パルスのカウント値nをカウントアップしている。
【0057】
第1の処理部161は、ステップS103においてシャッターカーテン4の開動作が開始されると、カウント値nに対応するパルス幅Anに基づいて、モータ8が過負荷状態か否かを判定する第1の過負荷検知を実行する(ステップS103)。例えば、第1の処理部161は、カウント値nに対応するパルス幅Anをカウント値nごとに取得し、そのパルス幅An又はパルス幅Anの変化率が閾値th1以上か否かを判定する。そして、第1の処理部161は、パルス幅An又はパルス幅Anの変化率が閾値th1以上であると判定した場合にはモータ8が過負荷状態であると判定する。一方、第1の処理部161は、パルス幅An又はパルス幅Anの変化率が閾値th1未満であると判定した場合にはモータ8が過負荷状態ではないと判定する。第1の処理部161は、モータ8が過負荷状態ではないと判定した場合には、カウント値n=n+1のパルス幅Anに基づいてモータ8が過負荷状態か否かを再度判定する。したがって、ステップS103の処理は、開動作中においてモータ8が過負荷状態であると判定されるまで継続される。
【0058】
駆動制御部14は、ステップS103でモータ8が過負荷状態であると判定された場合にはモータ8の回転を停止させてシャッターカーテン4の開動作を停止させる(ステップS104)。そして、第1の処理部161は、ステップS104において停止されたシャッターカーテンの現在位置、すなわち現在のカウント値nを「0」に設定する(ステップS105)。ここで、n=「0」は、上限位置Puを表す。したがって、カウント値nを「0」に設定することは、上限位置Puを設定することと同義である。
【0059】
駆動制御部14は、上限位置Puが設定されるとシャッターカーテン4の閉動作を実行する(ステップS106)。
負荷検出部15は、シャッターカーテン4の閉動作によって出力される位置パルスを取得するごとにカウント値nを「+1」カウントアップする(ステップS107)。このカウント値nは、上限位置Puを基準としてシャッターカーテン4が下降した距離に相当する。
また、負荷検出部15は、カウント値nに対応するパルス幅Anを求め、カウント値nと当該カウント値nに対応する位置パルスのパルス幅(モータ負荷)Anとをカウント値nごとに処理部16に出力する。
【0060】
第2の処理部162は、ステップS106の開動作において、下記に示す閾値nthを通過した場合にはカウント値n及びパルス幅Anに基づいて第2の過負荷検知を実行する。
まず、第2の処理部162は、第2の過負荷検知として、以下に示す式(1)に基づいて計算値Bnをカウント値nごとに求める(ステップS108)。
Bn=An-A(n-P1) …(1)
【0061】
この計算値Bnは、現在のAnと、モータ8におけるP1回転前のパルス幅A(n-P1)との差である。すなわち、計算値Bnは、現在のAnと、P1前のパルス幅A(n-P1)との差である。ここで、P1は、予め設定されている固定値である。ただし、パルス幅A(n-P1)は、nの直前ではなく、二つ以上前のカウント値が望ましい。例えば、現在のカウント値n=100、P1=50である場合には、第2の処理部162は、格納部17からA50の負荷情報を読み出し、カウント値n=100における計測値B100=A100-A50を求める。
【0062】
次に、第2の処理部162は、現在のカウント値nが閾値nth以上か否かを判定する。第2の処理部162は、現在のカウント値nが閾値nth以上であると判定した場合には、シャッターカーテン4の位置が下限位置Plに近づいていると判定して、ステップS110の処理を実行する。一方、第2の処理部162は、現在のカウント値nが閾値nth未満であると判定した場合には、ステップS107の処理に移行する。
なお、閾値nthは、予め設定されるものであって、任意に設定可能である。例えば、閾値nthは、実験により予め設定される。シャッターカーテン4が閾値nthを通過した場合には第2の過負荷検知が開始される。例えば、閾値nthは、シャッターカーテン4の製作制限の最小値のパルス数であってもよいし、モータ8の初動のデータバラつきを無視するための値であってもよい。
【0063】
第2の処理部162は、現在のカウント値nが閾値nth以上であると判定された場合には、計測値Bnが閾値Sを超えるか否かを判定する(ステップS110)。そして、第2の処理部162は、計測値Bnが閾値Sを超えた回数(以下、「判定回数」という。)iが規定回数ith(1以上)を超えた場合には、モータ8が過負荷状態であると判定する。すなわち、第2の処理部162が、(ith+1)回連続して計測値Bnが閾値Sを超えた場合にはモータ8が過負荷状態であると判定する。なお、閾値Sは固定値でもよいし、カウント値nや計測値Bnの値と連動する変数でもよい。
【0064】
具体的には、第2の処理部162は、計測値Bnが閾値Sを超える場合(ステップS110:YES)、判定回数iを1インクリメントする(ステップS111)。一方、第2の処理部162は、計測値Bnが閾値S以下の場合(ステップS110:NO)、判定回数iを0にリセットして(ステップS112)、ステップS107の処理を移行する。
【0065】
第2の処理部162は、ステップS111の処理後において、判定回数iが規定回数ithを超えたか否かを判定する(ステップS113)。第2の処理部162は、判定回数iが規定回数ithを超えたと判定した場合には、モータ8が過負荷状態であると判定してステップS114の処理を実行する。第2の処理部162は、判定回数iが規定回数ithを超えていないと判定した場合には、モータ8が過負荷状態ではないと判定してステップS107の処理に移行する。
【0066】
第2の処理部162は、ステップS114において、判定回数iが規定回数ithを超えたと判定したときのカウント値n(以下、「カウント値nx」という。)に基づいて下限位置Plを設定する(ステップS114)。このカウント値nxは、シャッターカーテン4の位置が押し込み位置であるときのカウント値nである。
【0067】
例えば、第2の処理部162は、カウント値nxから下記の式(2)を用いてカウント値ndを求め、そのカウント値ndを下限位置Plに設定する。
nd=nx-n2 …(2)
なお、カウント数n2は実験などから求められる固定値でもよいし、実験などから求められる固定値と閾値Sとから算出される変数の合計であってもよい。カウント数n2が実験などから求められる固定値と閾値Sとから算出される変数の合計である場合にはサイズによるバラつきなく上記撓みの無い下限位置Plがより精度よく得られる。
【0068】
例えば、第2の処理部162は、カウント値nxから下記の式(3)を用いてカウント値ndを求め、そのカウント値ndを下限位置Plに設定してもよい。
nd=nx-P2-S/P3 …(3)
【0069】
ここで、P2及びP3は、実験などから求められる固定値であってもよい。
前記計算式(3)は、シャッターカーテン4のサイズによるバラつきがなく上記撓みの無い下限位置Plがより精度よく得られる式である。本願の発明者らは、シャッターカーテン4のサイズによらず、シャッターカーテン4が下限位置Plに到達してから一定時間(固定値P2に相当)後に負荷が上昇し、その負荷の上昇角度が一定(すなわち傾きが一定)であるという知見を得た。そして、本願の発明者らは、閾値Sが大きくなるほど過負荷検知までの時間を要し撓みが大きくなるという知見を得た。そのため、前記計算式(3)では、カウント値nxに対して、固定値P2と、閾値Sに連動するS/P3とを減算することで、サイズによるバラつきがなく上記撓みの無い下限位置Plをより精度よく算出することができる。
【0070】
なお、シャッターカーテン4が押し込み位置に到達した場合には、シャッターカーテン4に撓みが発生している場合がある。そのため、駆動制御部14は、カウント値ndが求められた場合(ステップS114)又はモータ8の過負荷状態が検知された場合(ステップS113:YES)には、モータ8の閉動作を停止するとともに、上記撓みを解消するために、シャッターカーテン4を押し込み位置(カウント値nx)から下限位置Pl(カウント値nd)まで開動作させる「撓み解消動作」を行う(ステップS115)。
撓み解消動作では開方向にモータを動作させるが、実際には停止命令位置と停止位置には数パルス(以下、「Δxpls」という。)のズレが存在する場合がある。そのため、駆動制御部14は、「撓み解消動作」では下限位置Pl+Δxplsの位置で停止させて調整してもよい。このΔxplsは、カウント数n2より小さい値である。
なお、上記撓み解消がされた状態、すなわち撓み解消動作が完了したシャッターカーテン4の状態とは、第2の過負荷検知でモータ8の過負荷状態が検知されたときのシャッターカーテン4の撓みが緩和されている状態であればよい。すなわち、上記撓み解消動作が完了したシャッターカーテン4の状態は、シャッターカーテン4が全閉状態であって且つ第2の過負荷検知でモータ8の過負荷状態が検知されたときのシャッターカーテン4の撓みが緩和されている状態である。シャッターカーテン4の撓みが緩和されている状態は、当該撓みがない状態や当該撓みがシャッター装置2において許容される程度である状態を含む。
【0071】
第2の処理部162は、撓み解消動作が終了すると、設定した下限位置Pl(カウント値nd)を格納部17に格納して(ステップS116)、設定モードを終了する。なお、第2の処理部162は、撓み解消動作が終了した時点でのシャッターカーテン4の現在位置(カウント値nd)を下限位置Plに設定してもよい。
【0072】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0073】
(変形例1)上記実施形態において、シャッターカーテン4は、任意な部材や構造で構成されたものであってよい。例えば、シャッターカーテン4は、複数のスラット4aで形成されてもよく、シートで形成されてよく、一部のみが複数のスラット4aで構成されてもよい。
【0074】
(変形例2)上記実施形態では、負荷検出部15は、モータ負荷を位置パルスのパルス幅としたが、本発明はこれに限定されず、モータ負荷を検出できれば、位置パルスのパルス幅を用いなくてもよい。例えば、負荷検出部15は、モータ8のトルクを公知の技術を用いて検出することでモータ負荷を検出してもよい。
【0075】
(変形例3)上記実施形態では、制御部13は、撓み解消動作を実行したが、押し込み位置においてシャッターカーテン4の撓みが発生しない、又は許容できる程度であれば、撓み解消動作を実行しなくてもよい。
【0076】
(変形例4)上記実施形態では、制御部13は、設定信号を受信した場合に設定モードに移行したが、これに限定されず、格納部17に下限位置Plが格納されていない場合において操作装置3から操作信号を受信したことを契機として設定モードに移行してもよい。
【0077】
(変形例5)上記実施形態では、操作装置3は、所定の操作が行われた場合に設定信号をシャッター装置2に出力したが、これに限定されない。例えば、操作装置3は、上限位置Pu及び下限位置Plを設定するための専用のスイッチを設けてもよい。そして、操作装置3は、当該スイッチが操作された場合に設定信号をシャッター装置2に出力してもよい。
【0078】
(変形例6)上記実施形態では、第2の処理部162が、(ith+1)回連続して計測値Bnが閾値Sを超えた場合にはモータ8が過負荷状態であると判定したが、これに限定されず、第2の処理部162は、計測値Bnが1回以上閾値Sを超えた場合にはモータ8が過負荷状態であると判定してもよい。
【0079】
(変形例7)上記実施形態において、第2の処理部162は、カウント値nxから撓みの無い下限位置Plを、ディープラーニングやIoT(Internet of Things)技術を用いて推定してもよい。
【0080】
以上、説明したように、上記実施形態に係るシャッター装置2は、操作装置3に対して所定の操作が行われた場合には、シャッターカーテン4の開動作を開始するとともに第1の過負荷検知を実行する。そして、シャッター装置2は、第1の過負荷検知でモータ8の過負荷状態が検知された場合にはシャッターカーテン4の現在位置に基づいて上限位置Puを設定する。また、シャッター装置2は、第1の過負荷検知によりモータ8の過負荷状態が検知されたことを契機としてシャッターカーテン4の閉動作を開始して、当該閉動作中において、シャッターカーテン4の位置が閾値nthを通過した場合に第2の過負荷検知を開始する。シャッター装置2は、第2の過負荷検知によってモータ8の過負荷状態が検知された場合には当該第2の過負荷検知により過負荷状態が検知されたときのシャッターカーテンの現在位置から開方向に第1の距離だけ離れた位置を下限位置Plに設定する。
【0081】
このような構成によれば、施工者やユーザは、操作装置3に対して所定の操作を行うだけでシャッターカーテン4の上限位置Pu及び下限位置Plを設定することが可能となる。したがって、施工者やユーザは、上限位置Pu及び下限位置Plの設定をワンタッチ操作で行うことができ、上限位置Pu及び下限位置Plの設定を容易に行うことができる。さらに、撓みが解消された下限位置Plを設定することができる。
【0082】
なお、上述した制御部13の全部または一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。この場合、上記コンピュータは、CPU、GPUなどのプロセッサ及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えてもよい。そして、上記制御部13の全部または一部の機能をコンピュータで実現するためのプログラムを上記コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムを上記プロセッサに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。ここで、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0083】
2 シャッター装置
3 操作装置
4 シャッターカーテン
8 モータ
13 制御部
14 駆動制御部
15 負荷検出部
16 処理部
17 格納部