IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三井住友カード株式会社の特許一覧

特開2024-53006決済処理装置、方法、およびプログラム
<>
  • 特開-決済処理装置、方法、およびプログラム 図1
  • 特開-決済処理装置、方法、およびプログラム 図2
  • 特開-決済処理装置、方法、およびプログラム 図3
  • 特開-決済処理装置、方法、およびプログラム 図4
  • 特開-決済処理装置、方法、およびプログラム 図5
  • 特開-決済処理装置、方法、およびプログラム 図6
  • 特開-決済処理装置、方法、およびプログラム 図7
  • 特開-決済処理装置、方法、およびプログラム 図8
  • 特開-決済処理装置、方法、およびプログラム 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053006
(43)【公開日】2024-04-12
(54)【発明の名称】決済処理装置、方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/34 20120101AFI20240405BHJP
【FI】
G06Q20/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024033523
(22)【出願日】2024-03-06
(62)【分割の表示】P 2021162745の分割
【原出願日】2021-10-01
(71)【出願人】
【識別番号】594103301
【氏名又は名称】三井住友カード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 拓也
(72)【発明者】
【氏名】渡津 卓也
(72)【発明者】
【氏名】岡▲崎▼ 良太
(72)【発明者】
【氏名】山本 翔太
(72)【発明者】
【氏名】石山 一輝
(72)【発明者】
【氏名】莅戸 広貴
(72)【発明者】
【氏名】堀 雅人
(57)【要約】
【課題】ユーザ設定によって前払式支払手段、即時支払手段および後払式支払手段のいずれかを使い分けられる決済処理装置を提供する。
【解決手段】決済処理装置は、第1のカード番号を含む第1の決済電文を受信したことに応答して、第1のカード番号に関連付けられるユーザ設定データを読み出し、ユーザ設定データに基づいて、送信先システムに関連付けられる第2のカード番号を取得し、第2のカード番号および第1の決済電文に含まれている情報に基づいて、第2の決済電文を生成し、第2の決済電文を前記送信先システムに送信する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のカード番号を含む第1の決済電文を受信したことに応答して、前記第1のカード番号に関連付けられるユーザ設定データを読み出し、
前記ユーザ設定データに基づいて、送信先システムに関連付けられる第2のカード番号を取得し、
前記第2のカード番号および前記第1の決済電文に含まれている情報に基づいて、第2の決済電文を生成し、
前記第2の決済電文を前記送信先システムに送信する
ように構成された決済処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペイメントカードの決済時に、ユーザ設定によって前払式支払手段、即時支払手段および後払式支払手段のいずれかを使い分けられる決済処理装置、方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ペイメントカードは、貨幣と同じように決済手段として使用され、その形状は、カード型に限定されず、物理的形状のないものもある。ペイメントカードの種類としては、前払式支払い手段、即時支払手段、および後払式支払手段がある(特許文献1)。
【0003】
前払式支払手段(例えば、プリペイドカード、電子マネーなど)は、利用者がバリュー(価値)に相当する金額をあらかじめイシュアーに支払うことにより、そのバリューが記録され、物品の購入やサービス提供時に、その記録されているバリューの範囲内で決済を行える決済手段である。
【0004】
即時支払手段(例えば、デビットカード)は、預金口座の残高の範囲内で決済することができ、決済代金が即時に預金口座から引き落とされる決済手段である。
【0005】
後払式支払手段(例えば、クレジットカード、電子マネーなど)は、カード会員の与信枠(利用可能額)の範囲内で決済することができ、決済よりも後の時点で決済代金が所定の口座から引き落とされる決済手段である。
【0006】
前払式支払手段、即時支払手段、および後払式支払手段には、それぞれメリットが存在するため、個々人はそれらのメリットに応じて、それぞれの支払手段を使い分けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第6691174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
支払手段を使い分けているカード会員は、プリペイドカード、デビットカード、およびクレジットカードのうちの2つ以上を保持しており、決済の際に、カード会員ごとの考えに沿って、カードを使い分けている。
【0009】
複数のカードを保持し、使い分けを行うことは、カード会員にとって煩雑である。例えば、決済金額の多寡に応じてカードの使い分けをしていたり、加盟店ごとにカードの使い分けをしていたりしても、時には、カード会員の考えから逸れた使い方をしてしまうこともあった。
【0010】
また、一旦、ある支払手段で決済を行ったが、顧客の状況やニーズに合わせて後から支払手段を変更したくても、それを行うことは困難であった。
【0011】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、ペイメントカードの決済時に、ユーザ設定によって前払式支払手段、即時支払手段および後払式支払手段のいずれかを使い分けられる決済処理装置、方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【0012】
さらに、本発明は、ある支払手段によって決済を行った後に、その支払手段を別の支払手段に変更するための決済処理装置、方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様である決済処理装置は、第1のカード番号を含む第1の決済電文を受信したことに応答して、前記第1のカード番号に関連付けられるユーザ設定データを読み出し、前記ユーザ設定データに基づいて、送信先システムに関連付けられる第2のカード番号を取得し、前記第2のカード番号および前記第1の決済電文に含まれている情報に基づいて、第2の決済電文を生成し、前記第2の決済電文を前記送信先システムに送信するように構成される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、カード会員は、ユーザ設定により、1枚のペイメントカードで、前払式支払手段、即時支払手段および後払式支払手段を使い分けることができるようになる。また、本発明によれば、カード会員は、決済後であっても、所望の支払手段に切り替えることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本明細書において開示される実施形態の詳細な理解は、添付図面に関連して例示される以下の説明から得ることができる。
図1】本発明に係る決済処理装置を含むシステム全体の構成図である。
図2】本発明に係る決済処理装置のシステム構成図である。
図3】ユーザ設定のデータ構造の一例を説明する図である。
図4】変換処理情報のデータ構造の一例を示す図である。
図5】決済処理装置によって行われる、ユーザ設定の情報の登録処理を説明するフロー図である。
図6】ユーザ設定登録画面の一例を説明する図である。
図7】決済処理装置によって行われる決済電文の仕分け処理および後続の決済処理を説明するフロー図である。
図8】第1の決済電文、第2の決済電文、第1の応答電文、および第2の応答電文の概念を説明する図である。
図9】ある支払手段によって決済を行った後に、その支払手段を別の支払手段に変更する処理フローを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(全体構成)
図1は、本発明に係る決済処理装置10を含むシステム全体の構成図である。図1に示すように、決済処理装置10は、1または複数のユーザ装置11、1または複数の加盟店端末12、1または複数の前払処理システム20、1または複数の即時払処理システム30、および1または複数の後払処理システム40と相互に通信可能に接続される。
【0017】
決済処理装置10は、第1の決済電文の仕分け基準となるユーザ設定をユーザ装置11から受信し、格納する。第1の決済電文は、カード決済の際、加盟店端末12から決済処理装置10に送信される電文である。ユーザ設定は、カード会員によって指定された支払手段の選択基準を示す。なお、本明細書では、「支払手段」と「決済手段」は交換可能に使用され得る。
【0018】
決済処理装置10は、ユーザ設定および第1の決済電文に基づいて、第2の決済電文を生成することができる。第2の決済電文は、決済処理装置10から前払処理システム20、即時払処理システム30、または後払処理システム40に送信される電文である。第2の決済電文を生成するとき、決済処理装置10は、ユーザ設定に格納されている仕分け基準に従って、カード番号の変換処理を行うことができる。変換後のカード番号は、送信先となるシステム20、30、40を識別する。決済処理装置10は、変換処理の内容を示す変換処理情報を格納する。その後、決済処理装置10は、第2の決済電文を前払処理システム20、即時払処理システム30、および後払処理システム40のうちの対応するシステムに送信する。
【0019】
なお、変換処理の対象外の第1の決済電文を受信したとき、決済処理装置10は、変換処理を行わず、第1の決済電文を、対応する前払処理システム20、即時払処理システム30、および後払処理システム40のうちのいずれかに送信することができる。この処理は、従来のカード決済処理であるので、本明細書では詳細に説明しない。
【0020】
決済処理装置10は、前払処理システム20、即時払処理システム30、および後払処理システム40から、第2の決済電文に対する第1の応答電文を受信する。決済処理装置10は、第1の応答電文および変換処理情報に基づいて、第2の応答電文を生成する。詳細に言えば、決済処理装置10は、第1の応答電文の処理識別子を読み出し、読み出した処理識別子に基づいて変換処理情報に含まれる変換前後のカード番号を読み出し、読み出した変換前後のカード番号に基づいて、第1の応答電文に含まれているカード番号を修正することによって第2の応答電文を生成する。その後、決済処理装置10は、第2の応答電文を加盟店端末12に送信する。
【0021】
決済処理装置10は、ユーザ装置11からの要求に応答して、カード会員に関連付けられる明細データを前払処理システム20、即時払処理システム30、および後払処理システム40から取得し、ユーザ装置11に提供する。
【0022】
決済処理装置10は、カード会員に関連付けられる明細データのうちの任意の明細について別の支払手段に変更するための変更依頼をユーザ装置11から受信し、既に実行済の決済を取り消すための第3の決済電文および変更依頼に基づく第4の決済電文を生成して、それぞれ、前払処理システム20、即時払処理システム30、および後払処理システム40のうちの対応するシステムに送信することができる。
【0023】
ユーザ装置11は、カード会員によって使用される端末であり、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)、スマートフォンやタブレット端末などの通信機能を備えたコンピュータとすることができるが、特定の装置に限定されない。ユーザ装置11は、第1の決済電文の仕分け基準となるユーザ設定を決済処理装置10に登録できる。
【0024】
ユーザ装置11は、決済処理装置10によって提供される、カード会員に関連付けられる明細データのうちの任意の明細について別の支払手段に変更するための変更依頼を決済処理装置10に送信できる。
【0025】
加盟店端末12は、加盟店の店舗に設置される端末、または加盟店によって運用される電子商取引用装置とすることができるが、特定の装置に限定されない。加盟店端末12は、処理識別番号、カード番号、加盟店コード、業種コード、年月日情報、決済金額を含む第1の決済電文を生成し、決済処理装置10に送信する。加盟店端末12は、第1の決済電文に関連付けられる応答電文を受信し、出力する。
【0026】
前払処理システム20は、カード会員に関連付けられるプリペイドカードまたは電子マネーのイシュアー(発行者)によって制御されるシステムである。前払処理システム20によって処理される電子マネーは、「プリペイド型(前払い型)」の電子マネーである。前払処理システム20は、バリュー21および利用明細22を備える。バリュー21は、カード会員のプリペイドカードまたは電子マネーに関連付けられるバリューを格納する。利用明細22は、カード会員によって利用されたバリューの利用明細を格納する。
【0027】
前払処理システム20は、第2の決済電文を決済処理装置10から受信すると、バリュー21にアクセスし、第2の決済電文に含まれるカード番号に基づいて、カード会員のバリューの残高をチェックする。決済額が残高の範囲内であれば、決済が成功裏に完了し、前払処理システム20は、第2の決済電文に対する第1の応答電文を生成して決済処理装置10に送信する。所定の期間後、決済額は、前払処理システム20から、加盟店の所定の口座へ送金される。一方、決済額が残高よりも大きければ、前払処理システム20は、決済不可を示す第1の応答電文を生成して決済処理装置10に送信する。
【0028】
即時払処理システム30は、カード会員に関連付けられるデビットカードのイシュアーによって制御されるシステムである。即時払処理システム30は、預金口座31および入出金明細32を備える。預金口座31は、カード会員のデビットカードに関連付けられる預金口座の残高情報を格納する。入出金明細32は、預金口座の入出金明細を格納する。
【0029】
即時払処理システム30は、第2の決済電文を決済処理装置10から受信すると、預金口座31にアクセスし、第2の決済電文に含まれるカード番号に関連付けられる預金口座の残高をチェックする。決済額が残高の範囲内であれば、決済が成功裏に完了し、即時払処理システム30は、第2の決済電文に対する第1の応答電文を生成して決済処理装置10に送信する。所定の期間後、決済額は、即時払処理システム30から、加盟店の所定の口座へ送金される。一方、決済額が残高よりも大きければ、即時払処理システム30は、決済不可を示す第1の応答電文を生成して決済処理装置10に送信する。
【0030】
後払処理システム40は、クレジットカード決済のためのシステムであり、例えば、オーソリ処理、会員管理、請求管理などの機能を実行する。後払処理システム40は、カード利用明細を格納する利用明細41を備える。
【0031】
後払処理システム40は、第2の決済電文を決済処理装置10から受信すると、第2の決済電文に含まれるカード番号に基づいてオーソリゼーションの処理を実行し、利用承認するかどうかを判定する。利用承認した場合、後払処理システム40は、第2の決済電文に対する第1の応答電文を生成して決済処理装置10に送信する。後払処理システム40は、第2の決済電文の売上情報に基づいて生成したカード利用明細を利用明細41に格納し、所定の期間後、カード会員に関連付けられる口座から引き落としを行う。一方、オーソリゼーション処理の結果、利用承認されなかった場合、不承認を示す第1の応答電文を生成して決済処理装置10に送信する。
【0032】
本発明の他の実施形態では、後払処理システム40は、「ポストペイ型(後払い型)」の電子マネーを利用できる。ポストペイ型の電子マネーは、クレジットカードと関連付けられている。
【0033】
(システム構成)
図2は、本発明に係る決済処理装置10のシステム構成図である。決済処理装置10は、一般的なコンピュータと同様に、バス120などによって相互に接続された制御部101、主記憶部102、補助記憶部103、インターフェース(IF)部104および出力部105を備える。決済処理装置10は、補助記憶部103内にファイル/データベースなどの記憶手段の形式で、ユーザ設定106、および変換処理情報107を備える。
【0034】
制御部101は、中央処理装置(CPU)とも呼ばれ、決済処理装置10の各構成要素の制御やデータの演算を行い、また、補助記憶部103に格納されている各種プログラムを主記憶部102に読み出して実行できる。主記憶部102は、メインメモリとも呼ばれ、受信した各種データ、コンピュータ実行可能な命令および当該命令による演算処理後のデータなどを記憶できる。補助記憶部103は、ハードディスク(HDD)などに代表される記憶装置であり、データやプログラムを長期的に保存する際に使用される。
【0035】
図2の実施形態は、制御部101、主記憶部102および補助記憶部103を同一のコンピュータ内に設ける実施形態について説明するが、他の実施形態として、決済処理装置10は、制御部101、主記憶部102および補助記憶部103を複数個使用することにより、複数のコンピュータによる並列分散処理を実現するように構成することもできる。また、他の実施形態として、決済処理装置10のための複数のサーバを設置し、複数サーバが一つの補助記憶部103を共有する実施形態にすることも可能である。
【0036】
IF部104は、他のシステムや装置との間でデータを送受信する際のインターフェースの役割を果たし、また、システムオペレータから各種コマンドや入力データ(各種マスタ、テーブルなど)を受け付けるインターフェースを提供する。出力部105は、処理されたデータを表示する表示画面や当該データを印刷するための印刷手段などを提供する。
【0037】
なお、制御部101、主記憶部102、補助記憶部103、インターフェース(IF)部104および出力部105と同様な機能の構成要素は、ユーザ装置11、加盟店端末12、前払処理システム20、即時払処理システム30、および後払処理システム40にも存在するが、本明細書ではこれらについての説明を省略する。
【0038】
ユーザ設定106は、カード会員ごとの第1の決済電文の仕分け基準を格納する。ここで、図3を参照しながら、ユーザ設定106のデータ構造について説明する。図3は、ユーザ設定106のデータ構造の一例を説明する図である。ユーザ設定106は、会員ID301、フロントカード番号302、前払式支払手段303、即時払式支払手段304、後払式支払手段305、残高不足時設定306、リボ・分割払い時設定307、加盟店指定308、業種指定309、および金額帯別指定310を含むことができるが、これらのデータ項目に限定されることはなく他のデータ項目も含むことが可能である。
【0039】
会員ID301は、カード会員を識別する識別子である。フロントカード番号302は、カード会員が有するペイメントカードのカード番号である。このペイメントカードは、従来、カード会員が使い分けていた複数のカードを1つにまとめたものであり、従来のカード番号と同じ体系のカード番号が付与されている。なお、このペイメントカードの形状は、カード型に限定されず、物理的形状のないものもある。
【0040】
前払式支払手段303は、カード会員によって指定された前払式支払手段を識別するカード番号を示す。即時払式支払手段304は、カード会員によって指定された即時支払手段を識別するカード番号を示す。後払式支払手段305は、カード会員によって指定された後払式支払手段を識別するカード番号を示す。
【0041】
前払式支払手段303、即時払式支払手段304、および後払式支払手段305に格納されるカード番号が複数ある場合、それぞれについて優先順位を設定可能である。例えば、後払式支払手段305にクジレットカード番号A、Bを登録した場合を考えると、任意の条件を満たす場合にクレジットカード番号Aを優先して決済に使用し、それ以外の場合にクレジットカード番号Bを優先して決済に使用するように設定されてもよい。任意の条件は、クレジットカード番号Aは、特定の加盟店での決済に利用すると特典付与率が高い、あるいは、ビジネスカードであるため飲食店などの特定の業種での決済に利用したい、などであってよい。
【0042】
残高不足時設定306は、前払式支払手段または即時支払手段による決済が残高不足であった場合に実行される後続処理の内容を示す。後続処理の内容は、例えば、「後払式支払手段に基づく決済電文の作成、送信」であってよい。このケースでは、残高不足の場合にはクレジットカード決済が行われることとなる。
【0043】
リボ・分割払い時設定307は、第1の決済電文がリボルビング払い、または分割払いの表示を含む場合に実行される後続処理の内容を示す。後続処理の内容は、「リボルビング払いが指定された場合、後払式支払手段に基づく決済電文の作成、送信」や「分割払いが指定された場合、後払式支払手段に基づく決済電文の作成、送信」であってよい。このケースでは、カード会員が加盟店においてリボルビング払い、または分割払いを選択した場合、クレジットカード決済が行われることとなる。
【0044】
加盟店指定308は、予め定められた加盟店コードに関連付けられる決済をどの支払手段で行うかを示す。例えば、加盟店コードAに対しては即時支払手段で決済を行い、加盟店コードBに対しては前払式支払手段で決済を行うことが指定されていてよい。加盟店指定308は、例えば、定期的に決済が発生する加盟店(公共料金、サブスクリプションサービス、など)に対する決済方法を指定する際に利用してもよい。
【0045】
業種指定309は、予め定められた業種コードに関連付けられる決済をどの支払手段で行うかを示す。例えば、業種コードC、Dに対しては前払式支払手段で決済を行い、業種コードEに対しては、後払式支払手段で決済を行うことが指定されてよい。
【0046】
金額帯別指定310は、予め定められた決済金額帯ごとに決済をどの支払手段で行うかを示す。表1は、金額帯ごとの支払手段の設定例を示す。支払手段には、前払式支払手段303、即時払式支払手段304および後払式支払手段305に格納されているカード番号が指定されてもよいし、あるいは、「前払」「即時払」「後払」の文言が指定されてもよい。これらの文言が指定された場合、決済処理装置10が対応するカード番号を検索して取得する。
【0047】
【表1】
【0048】
図2に戻って説明を続けると、変換処理情報107は、第2の決済電文を生成する際に、決済処理装置10によって行われた変換処理の情報を含む。変換処理情報107は、第1の決済電文に含まれている処理識別子401、変換前カード番号402、および変換後カード番号403を含むことができるが、これらのデータ項目に限定されることはなく他のデータ項目も含むことが可能である。
【0049】
図4は、変換処理情報107のデータ構造の一例を示す図である。処理識別子401は、第1の決済電文に含まれている決済処理を識別する識別子を示す。変換前カード番号402は、決済処理装置10によって実行される変換処理における変換前のカード番号を示す。変換後カード番号403は、決済処理装置10によって実行される変換処理における変換後のカード番号を示す。
【0050】
(ユーザ設定の登録処理)
図5は、決済処理装置10によって行われる、ユーザ設定106の情報の登録処理を説明するフロー図である。
【0051】
S501にて、決済処理装置10は、ユーザ装置11からの要求に応答して、ユーザ設定登録画面600をユーザ装置11に提供する。
【0052】
図6は、ユーザ設定登録画面600の一例を説明する図である。ユーザ設定登録画面600は、複数のアイコンを含むことができ、限定されるわけではないが、前払い601、即時払い602、後払い603、残高不足時対応604、リボ・分割払い対応605、特定加盟店606、特定業種607、および金額帯別設定608を含むことができる。
【0053】
前払い601は、カード会員に関連付けられる1または複数の前払式支払手段のカード番号を設定するための登録画面を表示する。複数のカード番号が設定される場合、前払い601によって提供される登録画面は、複数のカード番号に対する優先順位を登録するための条件設定メニューをユーザ装置11に提供することができる。
【0054】
即時払い602は、カード会員に関連付けられる1または複数の即時払式支払手段のカード番号を設定するための登録画面を表示する。複数のカード番号が設定される場合、即時払い602によって提供される登録画面は、複数のカード番号に対する優先順位を登録するための条件設定メニューをユーザ装置11に提供することができる。
【0055】
後払い603は、カード会員に関連付けられる1または複数の後払式支払手段のカード番号を設定するための登録画面を表示する。複数のカード番号が設定される場合、後払い603によって提供される登録画面は、複数のカード番号に対する優先順位を登録するための条件設定メニューをユーザ装置11に提供することができる。
【0056】
残高不足時対応604は、前払式支払手段または即時払式支払手段による決済が残高不足のために決済不可となる場合に実行される後続処理を設定するための登録画面を表示する。
【0057】
リボ・分割払い対応605は、第1の決済電文がリボルビング払い、または分割払いの表示を含む場合に実行される後続処理を設定するための登録画面を表示する。
【0058】
特定加盟店606は、特定の加盟店の加盟店コードとその加盟店に関連付けられる支払手段の組み合わせを設定するための登録画面を表示する。
【0059】
特定業種607は、特定の業種の業種コードとその業種に関連付けられる支払手段の組み合わせを設定するための登録画面を表示する。
【0060】
金額帯別設定608は、決済金額帯とその金額帯に関連付けられる支払手段の組み合わせを設定するための登録画面を表示する。
【0061】
再び、図5に戻って説明すると、S502にて、カード会員は、ユーザ装置11を介してユーザ設定登録画面600および関連する登録画面において所望のユーザ設定を入力し、決済処理装置10は、入力されたユーザ設定を受信し、ユーザ設定106に格納する。
【0062】
本発明の他の実施形態では、決済処理装置10は、ユーザ設定の更新を行うように促すメッセージをユーザ装置11に送信することもできる。例えば、決済処理装置10は、カード会員がクレジットカードを作成可能な年齢に到達した場合、新規にクレジットカードを作成し、ユーザ設定に追加登録するように促すメッセージをユーザ装置11に送信することができる。かかる場合、カード会員には新規にクレジットカード番号が付与され、そのカード番号が後払式支払手段305に格納されると、決済処理装置10は、そのカード会員に対して、ユーザ設定登録画面600の後払い603を選択して、新たなクレジットカード番号を登録するように促すこともできる。別の例として、決済処理装置10は、過去の決済履歴をチェックし、残高不足が一定以上の頻度で発生すると判定した場合、他の支払手段を優先するようなユーザ設定を登録するよう促すメッセージをユーザ装置11に送信することができる。
【0063】
(決済電文の仕分け処理および後続の決済処理のフロー)
図7は、決済処理装置10によって行われる決済電文の仕分け処理および後続の決済処理を説明するフロー図である。
【0064】
S701にて、決済処理装置10は、第1の決済電文を加盟店端末12から受信する。第1の決済電文は、カード会員が加盟店にて行った商取引に関連付けられる決済電文である。第1の決済電文は、処理識別番号、第1のカード番号、加盟店コード、加盟店の業種コード、決済金額、年月日情報、リボ・分割払い情報、などを含むがこれらの情報に限定されることはない。
【0065】
S702にて、決済処理装置10は、第1のカード番号に基づいてユーザ設定106を検索し、第1のカード番号に対応するユーザ設定データを読み出す。決済処理装置10は、ユーザ設定データと第1の決済電文に含まれる情報とに基づいて以下の仕分け処理を任意の順序で行う。処理の順序は、ユーザによって優先順位が決定可能であり、上位の優先順位の条件が満たされた場合、決済処理装置10は、仕分け処理を終了できる。
【0066】
【表2】
【0067】
決済処理装置10は、表2に例示したように、仕分け処理の結果に基づいて、前払式支払手段、即時払手段または後払式支払手段の第2のカード番号のうちの1つを選択する。決済処理装置10は、第1の決済電文に含まれている情報と、選択された支払手段の第2のカード番号とに基づいて第2の決済電文を生成する。
【0068】
第2の決済電文は、処理識別番号、第2のカード番号、決済金額などの情報を含み、オプションとして、第1のカード番号をさらに含むことができる。第2の決済電文は、前払処理システム20に送信される決済電文、または即時払処理システム30に送信される決済電文、または後払処理システム40に送信される決済電文のいずれかである。
【0069】
決済処理装置10は、第1の決済電文に含まれている処理識別番号、第1のカード番号、および選択された支払手段の第2のカード番号を、それぞれ、処理識別番号401、変換前カード番号402、および変換後カード番号403にセットしたデータを変換処理情報107に格納する。
【0070】
S703にて、決済処理装置10は、第2のカード番号に関連付けられるシステム、すなわち、前払処理システム20、即時払処理システム30および後払処理システム40のうちの1つのシステムに第2の決済電文を送信する。カード番号は、所定の桁の数値がイシュアーを示しているため、決済処理装置10は、カード番号に基づいて送信先となるシステムを識別することができる。
【0071】
前払処理システム20、即時払処理システム30および後払処理システム40は、第2の決済電文を受信したことに応答して、所定の決済処理を行い、処理結果に基づいて第1の応答電文を生成し、決済処理装置10に送信する。
【0072】
S704にて、決済処理装置10は、前払処理システム20、即時払処理システム30および後払処理システム40のうちの1つのシステムから第1の応答電文を受信する。第1の応答電文は、処理識別番号、第2のカード番号、処理結果などの情報を含む。
【0073】
S705にて、決済処理装置10は、第1の応答電文が決済処理の成功を示しているかどうかを判定する。決済処理が成功している場合、または決済処理が失敗していたとしても後続処理が指定されていない場合にはS706に処理が進み、一方、決済処理が失敗しており、かつ後続処理が指定されている場合、S702に処理が戻る。例えば、ユーザ設定106の残高不足時設定306に、前払式支払手段または即時支払手段による決済が残高不足であった場合に実行される後続処理の内容が指定されていた場合、決済処理装置10は、指定された内容に従って、第2の決済電文を生成し、前払処理システム20、即時払処理システム30および後払処理システム40のうちの1つのシステムに送信する。
【0074】
S706にて、決済処理装置10は、第1の応答電文に含まれる処理識別番号と第2のカード番号に基づいて変換処理情報107を検索し、変換前カード番号を読み出す。決済処理装置10は、第1の応答電文と、読み出した変換前カード番号とに基づいて第2の応答電文を生成する。第2の応答電文は、処理識別番号、第1のカード番号、処理結果などの情報を含む。
【0075】
S707にて、決済処理装置10は、第2の応答電文を加盟店端末12に送信する。
【0076】
図8は、第1の決済電文、第2の決済電文、第1の応答電文、および第2の応答電文の概念を説明する図である。図8に示されているデータ項目は一例であり、他のデータ項目が含まれていてもよい。
【0077】
第1の決済電文は、カード会員が加盟店にて行った商取引に関連付けられる決済電文であり、加盟店端末12から決済処理装置10に送信される。第1の決済電文は、処理識別番号、第1のカード番号、決済金額などの情報を含む。第1のカード番号は、カード会員に貸与されているペイメントカードに関連付けられるカード番号を示す。
【0078】
第2の決済電文は、決済処理装置10から対応するシステム20、30、40に送信される電文であり、処理識別番号、第2のカード番号、決済金額などの情報を含む。第2の決済電文は、オプションとして、第1のカード番号を含むことができる。第1のカード番号は、変換前カード番号であり、第2のカード番号は、変換後カード番号である。
【0079】
第1の応答電文は、システム20、30、40から決済処理装置10に送信される電文であり、処理識別番号、第2のカード番号、処理結果などの情報を含む。
【0080】
第2の応答電文は、決済処理装置10から加盟店端末12に送信される電文であり、処理識別番号、第1のカード番号、処理結果などの情報を含む。
【0081】
このような変換処理を行うことにより、カード会員が、第1のカード番号(図8の例では「A」)で決済を行ったとしても、従来のような煩雑な使い分けをすることなく、ユーザによって指定された仕分け基準に従って所望のカード決済を行うことができるようになる。
【0082】
また、本発明の他の実施形態では、複数の第1のカード番号を1つの第2のカード番号に関連づけることも可能である。例えば、複数の法人カードを1つの法人カードに関連付けたり、複数の家族カードを1つのカードに関連付けることが可能となる。
【0083】
(決済後の支払手段変更フロー)
図9は、ある支払手段によって決済を行った後に、決済処理装置10がその支払手段を別の支払手段に変更する処理フローである。
【0084】
S901にて、決済処理装置10は、第1のカード番号を含む変更依頼をユーザ装置11から受信したことに応答してユーザ設定106を検索し、第1のカード番号に関連付けられる前払式支払手段303、即時払式支払手段304、および後払式支払手段305に格納されている第2のカード番号を取得する。決済処理装置10は、取得した第2のカード番号に関連付けられる前払処理システム20、即時払処理システム30、および後払処理システム40からそれぞれ明細データを取得し、取得した明細データをユーザ装置11に提供する。
【0085】
S902にて、カード会員は、修正を希望する明細データの指定と、修正後の支払手段の情報を、ユーザ装置11を介して決済処理装置10に送信する。決済処理装置10は、修正を希望する明細データによって示される決済を相殺する第3の決済電文と、修正後の支払手段に基づく第4の決済電文を生成する。
【0086】
S903にて、決済処理装置10は、第3の決済電文および第4の決済電文をそれぞれ、対応する前払処理システム20、即時払処理システム30および後払処理システム40に送信する。
【0087】
S904にて、決済処理装置10は、前払処理システム20、即時払処理システム30および後払処理システム40から第3の決済電文および第4の決済電文に対する第1の応答電文を受信し、受信した応答電文の処理結果をユーザ装置11に提供する。
【0088】
以上、例示的な実施形態を参照しながら本発明の原理を説明したが、本発明の要旨を逸脱することなく、構成および細部において変更する様々な実施形態を実現可能であることを当業者は理解するだろう。すなわち、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施態様をとることが可能である。
【符号の説明】
【0089】
10 決済処理装置
11 ユーザ装置
12 加盟店端末
20 前払処理システム
30 即時払処理システム
40 後払処理システム
21 バリュー
22 利用明細
31 預金口座
32 入出金明細
41 利用明細
101 制御部
102 主記憶部
103 補助記憶部
104 インターフェース(IF)部
105 出力部
106 ユーザ設定
107 変換処理情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9