(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053031
(43)【公開日】2024-04-12
(54)【発明の名称】インクジェット記録装置及び記録装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/165 20060101AFI20240405BHJP
B41J 2/17 20060101ALI20240405BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240405BHJP
B41J 2/185 20060101ALI20240405BHJP
B41J 2/035 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
B41J2/165 401
B41J2/17 203
B41J2/01 451
B41J2/01 401
B41J2/185 101
B41J2/035
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024034375
(22)【出願日】2024-03-06
(62)【分割の表示】P 2022560548の分割
【原出願日】2020-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】有馬 崇博
(72)【発明者】
【氏名】岡本 優介
(72)【発明者】
【氏名】溝口 翔
(72)【発明者】
【氏名】宮尾 明
(72)【発明者】
【氏名】松本 達夫
(57)【要約】
【課題】インクジェット記録装置において、印字ヘッドを洗浄する際に周囲を漂う溶剤蒸気量を低減することを目的とする。また、印字ヘッド周辺のインク汚れを低減することを目的とする。
【解決手段】
インクジェット記録装置は、本体部と印字ヘッドを有する。本体部は、インクが収容されるインク容器と、溶剤が収容される溶剤容器とを有する。印字ヘッドは、インク容器に接続されて加圧供給されたインクが吐出されるノズルと、ノズルから吐出されたインク粒子を帯電させる帯電電極と、前記帯電電極で帯電されたインク粒子を偏向する偏向電極と、インクを回収するガターとを有する。また、前記印字ヘッドを装洗浄するためのヘッド装着ユニットを有する。ヘッド装着ユニットは、周囲で発生した溶剤蒸気を吸引するための溶剤蒸気吸引経路と接続されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印字を行う印字ヘッドと、
インク容器内のインクを前記印字ヘッドに供給するための経路、印字に使用しない前記インクを前記インク内に回収するための経路、溶剤容器内の溶剤を前記インク容器に供給するための経路、および各経路における前記インクおよび前記溶剤の流れを調節する調節部を備えた本体と、
前記本体および前記印字ヘッドを制御する制御部と、
前記印字ヘッドを収容可能な空間を有し下部に開口部を有する洗浄槽、前記開口部から流出する液体を回収する回収容器を有するヘッド装着ユニットと、を備えたインクジェット記録装置であって、
前記洗浄槽と連結し前記洗浄槽で発生する溶剤蒸気を吸引し排出するための溶剤蒸気吸引経路および前記溶剤蒸気を排出する駆動部を設けたインクジェット記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたインクジェット記録装置において、前記ヘッド装着ユニットには、前記印字ヘッドが前記洗浄槽内にセットされたことを検出する印字ヘッド検出器が設けられていることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項3】
請求項1に記載されたインクジェット記録装置において、前記ヘッド装着ユニットには、前記洗浄槽の前記開口部に前記回収容器が取付けられていることを検出する検出器が設けられていることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項4】
請求項1に記載されたインクジェット記録装置において、前記溶剤蒸気吸引経路には、前記溶剤蒸気に含まれる液体を収容するチャンバーを有することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項5】
請求項1に記載されたインクジェット記録装置において、前記ヘッド装着ユニットは、前記本体とケーブルにより接続されていることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項6】
請求項1に記載されたインクジェット記録装置において、前記ヘッド装着ユニットは、
前記洗浄槽内に収容された前記印字ヘッドに向けて溶剤を吐出する洗浄ノズルを備えていることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項7】
請求項6に記載されたインクジェット記録装置において、前記洗浄ノズルは、前記印字ヘッドのノズルを狙って前記溶剤を吐出するためのノズル穴と、前記印字ヘッドの偏向電極を狙って前記溶剤を吐出するためのノズル穴とを備えていることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項8】
請求項1に記載されたインクジェット記録装置において、前記ヘッド装着ユニットには、前記印字ヘッドを乾燥させるための空気を前記洗浄槽内に吐出するエア吐出口が形成されていることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項9】
請求項1に記載されたインクジェット記録装置において、前記溶剤蒸気吸引経路は、本体側と接続されていることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項10】
請求項9に記載されたインクジェット記録装置において、前記本体は、前記インク容器と接続された溶剤蒸気排出経路を備えており、前記溶剤蒸気吸引経路の溶剤蒸気出口部は、前記溶剤蒸気排出経路の出口部と同じ空間内に前記溶剤蒸気を排出することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項11】
入力されたインクを粒子化して吐出するノズル、前記ノズルから吐出されたインク粒子を帯電させる帯電電極、前記帯電電極で帯電された前記インク粒子を偏向する偏向電極、および印字に使用されない不使用インクを回収するガターを有する印字ヘッドと、
インク容器内の前記インクを前記ノズルに供給するためのインク供給経路、前記ガターが回収した前記不使用インクを前記インク内に回収するためのインク回収経路、溶剤容器内の溶剤を供給するための溶剤供給経路、および各経路における前記インクおよび前記溶剤の流れを調節する調節部を備えた本体と、
前記本体および前記印字ヘッドを制御する制御部と、
前記印字ヘッドを収容可能な空間を有する洗浄槽、前記洗浄槽内に収容された前記印字ヘッドに向けて前記溶剤を吐出する洗浄ノズル、および前記印字ヘッドを乾燥する空気を前記洗浄槽内に吐出するエア吐出口を有するヘッド装着ユニットと、を備えたインクジェット記録装置であって、
前記帯電電極で帯電された前記インク粒子の電荷量を検出する電荷センサを設け、
前記制御部は、前記洗浄ノズルから前記溶剤を吐出させて前記印字ヘッドを洗浄し、その後に前記偏向電極に電圧をかけた状態で、前記電荷センサに反応があるかどうかを検知するインクジェット記録装置。
【請求項12】
請求項11に記載されたインクジェット記録装置において、前記制御部は、前記電荷センサに反応がある場合には前記洗浄ノズルから前記溶剤を追加で吐出する制御を行うことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項13】
請求項11に記載されたインクジェット記録装置において、前記制御部は、前記エア吐出口から前記空気を吐出する前と吐出の後に、前記電荷センサに反応があるかどうかを確認することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項14】
請求項13に記載されたインクジェット記録装置において、前記制御部は、前記電荷センサに反応がある場合、前記エア吐出口から前記空気を追加で噴出させることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項15】
入力されたインクを粒子化して吐出するノズル、前記ノズルから吐出されたインク粒子を帯電させる帯電電極、前記帯電電極で帯電された前記インク粒子を偏向する偏向電極、および印字に使用されない不使用インクを回収するガターを有する印字ヘッドと、
インク容器内の前記インクを前記ノズルに供給するためのインク供給経路、前記ガターが回収した前記不使用インクを前記インク容器に回収するためのインク回収経路、溶剤容器内の溶剤を供給するための溶剤供給経路、および各経路における前記インクおよび前記溶剤の流れを調節する調節部を備えた本体と、
前記本体および前記印字ヘッドを制御する制御部と、
前記印字ヘッドを収容可能なヘッド装着ユニットと、を備えたインクジェット記録装置であって、
前記制御部は、前記印字ヘッドが前記ヘッド装着ユニットに装着されている状態を確認後、前記ノズルからインク粒子を吐出開始することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項16】
請求項15に記載されたインクジェット記録装置において、前記制御部は、前記印字ヘッドが前記ヘッド装着ユニットに装着されている状態を確認後、前記ノズルからの前記インクの吐出を停止させることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項17】
請求項16に記載されたインクジェット記録装置において、前記制御部は、前記ノズルからインク粒子の吐出を停止させた後に、前記ノズルから前記溶剤を吐出させて、前記ガターから前記溶剤を吸引させることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項18】
請求項15に記載されたインクジェット記録装置において、前記ヘッド装着ユニットは収容された前記印字ヘッドに向けて溶剤を吐出する洗浄ノズル、および前記印字ヘッドを乾燥する空気を前記洗浄槽内に吐出するエア吐出口を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項19】
請求項18に記載されたインクジェット記録装置において、前記洗浄ノズルは液吐出穴を備え、前記制御部は、前記ノズルからインクの吐出を停止させた後に、前記液吐出穴から前記溶剤を噴出させることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項20】
請求項15に記載されたインクジェット記録装置において、前記帯電電極で帯電されたインク粒子の電荷量を検出する電荷センサを設け、前記制御部は、前記電荷センサにて検出した前記電荷量を入力し、前記電荷量のレベルが予め設定された閾値を超えていないと判定された場合に、前記ノズルからのインク吐出を停止することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項21】
請求項18に記載されたインクジェット記録装置において、前記洗浄ノズルは、液吐出穴を備え、前記制御部は、前記ノズルからの前記インク粒子を吐出させることを停止させた後に、前記液吐出穴から前記溶剤を吐出させることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項22】
請求項21に記載されたインクジェット記録装置において、前記制御部は、前記液吐出穴から前記溶剤を吐出することを停止させた後に、前記ノズルから前記インクを吐出させることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項23】
請求項15に記載されたインクジェット記録装置において、前記制御部は、前記ノズルから前記インクの吐出を開始するタイミングを予め設定したタイミングにて行うことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項24】
請求項15に記載されたインクジェット記録装置において、前記帯電電極で帯電された前記インク粒子の電荷量を検出する電荷センサを設け、前記制御部は、前記印字ヘッドが前記ヘッド装着ユニットに装着されている状態において、予め設定された間隔で、前記ノズルからの前記インクの吐出を開始し、予め設定した一定時間だけ経路内を前記インクを循環させ、その後に前記ノズルからの前記インクの吐出を停止させるサイクルを繰り返すことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項25】
請求項24に記載されたインクジェット記録装置において、前記本体に前記インクの粘度を測定する粘度測定器を設け、前記制御部は、前記ノズルから前記インクを吐出しているときに、定期的に前記粘度測定器による粘度を測定し、前記粘度が予め設定した粘度閾値を超えていない場合に前記ノズルからの前記インクの吐出を継続することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項26】
請求項24に記載されたインクジェット記録装置において、前記制御部は、前記電荷量のレベルが予め設定した閾値を超えている場合に、前記ノズルからの前記インクの吐出を停止することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項27】
請求項26に記載されたインクジェット記録装置において、前記ヘッド装着ユニットに備えられた洗浄ノズルは前記溶剤が吐出される液吐出穴を有し、前記制御部は、前記ノズルからの前記インクの吐出を停止させた後に、前記液吐出穴から前記溶剤を吐出させることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項28】
請求項27に記載されたインクジェット記録装置において、前記制御部は、前記液吐出穴からの前記溶剤の吐出を停止させた後に、前記ノズルから前記インクを吐出させることを特徴とするインクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野に関する技術として、特許文献1(特開2020-49786号公報)が知られている。特許文献1には、「印字対象物に印字をするためのインクが収容されるインク容器と、前記インク容器に接続されて加圧供給されたインクが吐出されるノズルと、前記ノズルから吐出されたインク粒子を帯電させる帯電電極と、前記帯電電極で帯電されたインク粒子を偏向する偏向電極と、印字に使用されないインクを回収するガターと、溶剤が収容される溶剤容器と、前記溶剤容器に接続されて加圧供給された溶剤が吐出される液ノズルを備えたインクジェット記録装置であって、前記液ノズルは、前記ノズルから前記ガター方向に伸びた液流路部と、加圧供給された溶剤が前記液流路部を介して前記ノズルに当たるような角度で形成された液吐出穴部を有することを特徴とするインクジェット記録装置」が開示されている。
【0003】
また、特許文献2(特開2019-123117号公報)の技術も知られている。特許文献2には、「印字対象物に印字をするためのインクが収容されるインク容器と、前記インク容器に接続され、加圧供給されたインクが吐出されるノズルと、前記ノズルから吐出されたインク粒子を帯電させる帯電電極と、該帯電電極に帯電させる帯電信号を発生する帯電信号発生部と、前記帯電電極で帯電されたインク粒子を偏向する偏向電極と、印字に使用されないインクを回収するガターと、全体の動作を制御する制御部と、を備えたインクジェット記録装置であって、前記帯電電極と前記偏向電極の間で前記インク粒子の帯電による電荷量を検出する第1の電荷検出手段と、前記ガター内に流れるインクの電荷量を検出する第2の電荷検出手段と、を有することを特徴とするインクジェット記録装置」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-49786号公報
【特許文献2】特開2019-123117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、ヘッド洗浄ユニット内にセットされた印字ヘッドに対し、液ノズルから溶剤を吐出して印字ヘッドのインク汚れを洗浄し(ヘッド洗浄ステップ)、その後にエアノズルからエアを吐出して印字ヘッドに付着した溶剤を乾燥させる(ヘッド乾燥ステップ)ためのインクジェット記録装置の構成及び制御方法について記載されている。ここで、ヘッド乾燥ステップにおいては、溶剤(液体)が溶剤蒸気(気体)に変化して、その溶剤蒸気が印字ヘッド周辺に漂う可能性がある。
【0006】
また、特許文献2には、印字ヘッドのノズルから吐出したインク粒子をガターで捕捉できないような異常(一般的にビーム曲がりと言う)を検出するためのインクジェット記録装置の構成及び制御方法について記載されている。このような異常(ビーム曲がり)は、ノズルからのインク噴出を開始した直後に発生する可能性がある。もし、異常(ビーム曲がり)発生時には、印字ヘッドの周辺をインクで汚す可能性がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、印字ヘッドを洗浄する際に周囲を漂う溶剤蒸気量を低減することにある。また、本発明の他の目的は、インク噴出開始の際の異常発生による印字ヘッド周辺のインク汚れを低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するために、本発明は、その一例を挙げると、印字を行う印字ヘッドと、インク容器内のインクを前記印字ヘッドに供給するための経路、印字に使用しない前記インクを前記インク内に回収するための経路、溶剤容器内の溶剤を前記インク容器に供給するための経路、および各経路における前記インクおよび前記溶剤の流れを調節する調節部を備えた本体と、前記本体および前記印字ヘッドを制御する制御部と、前記印字ヘッドを収容可能な空間を有し下部に開口部を有する洗浄槽、前記開口部から流出する液体を回収する回収容器を有するヘッド装着ユニットと、を備えたインクジェット記録装置であって、前記洗浄槽と連結し前記洗浄槽で発生する溶剤蒸気を吸引し排出するための溶剤蒸気吸引経路および前記溶剤蒸気を排出する駆動部を設けたインクジェット記録装置である。
【0009】
また、本発明の他の一例を挙げると、入力されたインクを粒子化して吐出するノズル、前記ノズルから吐出されたインク粒子を帯電させる帯電電極、前記帯電電極で帯電された前記インク粒子を偏向する偏向電極、および印字に使用されない不使用インクを回収するガターを有する印字ヘッドと、インク容器内の前記インクを前記ノズルに供給するためのインク供給経路、前記ガターが回収した前記不使用インクを前記インク内に回収するためのインク回収経路、溶剤容器内の溶剤を供給するための溶剤供給経路、および各経路における前記インクおよび前記溶剤の流れを調節する調節部を備えた本体と、前記本体および前記印字ヘッドを制御する制御部と、前記印字ヘッドを収容可能な空間を有する洗浄槽、前記洗浄槽内に収容された前記印字ヘッドに向けて前記溶剤を吐出する洗浄ノズル、および前記印字ヘッドを乾燥する空気を前記洗浄槽内に吐出するエア吐出口を有するヘッド装着ユニットと、を備えたインクジェット記録装置であって、前記帯電電極で帯電された前記インク粒子の電荷量を検出する電荷センサを設け、前記制御部は、前記洗浄ノズルから前記溶剤を吐出させて前記印字ヘッドを洗浄し、その後に前記偏向電極に電圧をかけた状態で、前記電荷センサに反応があるかどうかを検知するインクジェット記録装置である。
【0010】
また、本発明の他の一例を挙げると、入力されたインクを粒子化して吐出するノズル、前記ノズルから吐出されたインク粒子を帯電させる帯電電極、前記帯電電極で帯電された前記インク粒子を偏向する偏向電極、および印字に使用されない不使用インクを回収するガターを有する印字ヘッドと、インク容器内の前記インクを前記ノズルに供給するためのインク供給経路、前記ガターが回収した前記不使用インクを前記インク容器に回収するためのインク回収経路、溶剤容器内の溶剤を供給するための溶剤供給経路、および各経路における前記インクおよび前記溶剤の流れを調節する調節部を備えた本体と、前記本体および前記印字ヘッドを制御する制御部と、前記印字ヘッドを収容可能なヘッド装着ユニットと、を備えたインクジェット記録装置であって、前記制御部は、前記印字ヘッドが前記ヘッド装着ユニットに装着されている状態を確認後、前記ノズルからインク粒子を吐出開始することを特徴とするインクジェット記録装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、印字ヘッドを洗浄する際に、印字ヘッド周囲で放出される溶剤蒸気量を低減することができ、印字ヘッド洗浄時における溶剤蒸気の匂いを低減する事ができる。また、本発明によれば、ヘッド装着ユニットに印字ヘッドを装着した状態でノズルからのインク噴出を開始する事で、印字ヘッド周辺のインクによる汚染を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施例におけるインクジェット記録装置の使用状況を示す斜視図である。
【
図2】実施例1におけるインクジェット記録装置の経路構成を示す図である。
【
図3】実施例1におけるインクジェット記録装置の制御部の構成を示す図である。
【
図4】実施例1におけるヘッド装着ユニットの構成を示す断面図である。
【
図5】ヘッド装着ユニットにおいて、回収容器を取り外した状態を示す図である。
【
図6】ヘッド装着ユニットにおいて、印字ヘッドを装着した状態を示す図である。
【
図7】実施例1のヘッド洗浄処理が行われている時の装置全体の液の流れ及び気体の流れを太線で示す流体経路図である。
【
図8】実施例1のヘッド洗浄処理が行われている時のヘッド装着ユニット内部の液の流れ及び気体の流れを太線で示すヘッド装着ユニット断面図である。
【
図9】実施例1のヘッド乾燥処理が行われている時の装置全体の気体の流れを太線で示す流体経路図である。
【
図10】実施例1のヘッド乾燥処理が行われている時のヘッド装着ユニット内部の液の流れ及び気体の流れを太線で示すヘッド装着ユニット断面図である。
【
図11】実施例1の回収容器に沢山の洗浄液が入った状態を示すヘッド装着ユニット断面図である。
【
図12】実施例1におけるヘッド洗浄モード選択画面を示す。
【
図13】実施例1におけるヘッド洗浄処理のフローチャート図である。
【
図14】実施例2におけるヘッド洗浄処理時のインク汚れ判定方法、及びヘッド乾燥処理における乾燥状態判定方法を示す図である。
【
図15】実施例2におけるヘッド洗浄処理のフローチャート図である。
【
図16】実施例3における稼働停止処理のフローチャート図である。
【
図17】実施例4における励振信号と位相探索用帯電電圧の位相関係を示すタイムチャートである。
【
図18】実施例4の運転開始における異常有無判定方法を示す図である。
【
図19】実施例4における稼働開始モード選択画面を示す。
【
図20】実施例4における稼働開始処理のフローチャート図である。
【
図21】実施例5における本体内インク循環が行われている時の液の流れを太線で示す流体経路図である。
【
図22】実施例5における本体及び印字ヘッドのインク循環が行われている時の液の流れ及び気体の流れを太線で示す流体経路図である。
【
図23】実施例5におけるノズル洗浄及び循環経路洗浄が行われている時のインクの流れを太線で示す図である。
【
図24】実施例5における長期稼働停止設定画面を示す。
【
図25】実施例5における長期稼働停止時のインク循環のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の具体的な実施例を、図面を用いて説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施例に限定されるものではない。また、以下の各図において、同一機器には同一番号(符号)を付し、すでに説明した機器の説明を省略する場合がある。
【0014】
実施例1
【0015】
<使用状態>
最初に、本発明の実施例1におけるインクジェット記録装置の使用状態について、
図1を用いて説明する。
図1は、本発明の実施例1におけるインクジェット記録装置の使用状況を示す斜視図である。
【0016】
図1において、インクジェット記録装置600Aおよび600Bは、夫々、本体1と、本体1とケーブル(印字ヘッド用)5により接続された印字ヘッド2と、本体1とケーブル(ヘッド装着ユニット用)6により接続されたヘッド装着ユニット3とを備える。ここで、ヘッド装着ユニット3は、基本的には印字ヘッドを収容する機能を有するものであるが、洗浄液を噴射して印字ヘッドを洗浄する機能を追加しても良い。以下に説明するヘッド装着ユニット3は、印字ヘッドを洗浄する機能を追加した構成としている。インクジェット記録装置600Aは、印字ヘッド2が生産ラインに設置されている状態を示している。また、インクジェット記録装置600Bは、印字ヘッド2を生産ラインから取外し、ヘッド装着ユニット3に装着(セット)している状態を示している。なお、ヘッド装着ユニット3の下部に取付けられている回収容器4は、ヘッド装着ユニット3による印字ヘッド洗浄後の液体(洗浄液)を収容するために設けられている。
【0017】
インクジェット記録装置600Aは、例えば、食品や飲料などが生産される工場内の生産ラインに据え付けられ、本体1は定期的な保守作業などに必要なスペースが確保可能な場所に設置されている。印字ヘッド2は、ベルトコンベア11の近傍に設置された印字ヘッド固定用金具13に固定され、ベルトコンベア11などの生産ライン上を矢印Xの方向に給送される印字対象物12A、12Bに印字するために近接して設置されている。また、印字ヘッド2には、印字ヘッド2内部の部品を保護する目的で保護カバー17が取り付けられている。なお、印字対象物12Bは、印字ヘッド2による印字が終了し、ベルトコンベア11上を搬送されている状態を示している。
【0018】
なお、
図1において、本体1は、印字用のインクを収容(保持)しており、本体内部の駆動部(ポンプや電磁弁)を制御してインクをケーブル(印字ヘッド用)5を介して印字ヘッド2に供給する。なお、本体1の内部の経路構成や、制御部の詳細については後述する。操作表示部8は、本体1の上面部に設置されており、ここではタッチ入力式表示パネルを用いている。操作者が操作表示部8をタッチ操作することにより、制御部に対し、装置の起動や停止を指示したり、印字対象物12Aに印字する内容の設定を行うことができる。また、
図1において、印字ヘッド2における16はヘッドベースを示し、17は保護カバーを示す。
【0019】
ヘッド装着ユニット3は、印字ヘッド2の周辺に設置されている。インクジェット記録装置600Aにおけるヘッド装着ユニット3は、ベルトコンベア11に組み付けられた固定用治具92に、ヘッド装着ユニット3に組み付けられた篏合部93を組み合わせることによって固定されている。そして、ヘッド装着ユニット3は、印字ヘッド2をヘッド装着ユニットに装着するためのヘッド装着部81Aを有している。更に、ヘッド装着ユニット3は、印字ヘッド2の洗浄処理を開始するための開始ボタン18と、印字ヘッド2の洗浄処理を停止させるための停止ボタン19と、確認メッセージや警報や異常などのアラームを作業者に認識させるための表示部20とを有している。この表示部20は、例えばライトの光有無や色の違いで稼働状態や異常有無を作業者に認識させるようにしてもよい。
【0020】
本実施例のインクジェット記録装置600Aでは、ヘッド装着ユニット3をベルトコンベア11の付近に固定しているが、ヘッド装着ユニット3は使用者の操作し易い場所に自由に付け替えることができる。なお、本体1とヘッド装着ユニット3とを接続するケーブル(ヘッド装着ユニット用)6の長さは、インクジェット記録装置600の本体1と印字ヘッド2とを接続するケーブル5と同じか、より長くした方が好ましい。これは、ヘッド装着ユニットの配置の自由度を確保するためである。
【0021】
また、本体1は、ヘッド装着ユニット3を固定するための固定部91を有しており、ヘッド装着ユニット3は、ヘッド装着ユニットを固定用治具(コンベア用)92から取り外して固定部91に付け替えて使用することも可能になっている。インクジェット記録装置600Bの使用状態において、ヘッド装着ユニット3は、本体1に組み付けられた固定部91に篏合部93を組み合わせることによって、本体1に固定することもできる。インクジェット記録装置600Bのヘッド装着ユニット3は、本体1に取り付けている。ヘッド装着ユニット3を本体1に固定できるようにしておくことにより、ベルトコンベア11の近傍などにヘッド装着ユニット3を取り付けるスペースが無い場合でも、ヘッド装着ユニット3を設置することが可能になる。
【0022】
次に、インクジェット記録装置600Bにおいて印字ヘッド2をヘッド装着ユニット3にセットした状態を説明する。印字ヘッド2は、印字ヘッド2の先端からヘッド装着ユニット3のヘッド装着部81Aに装着されてセットされる。本実施例におけるインクジェット記録装置600は、このように印字ヘッド2をヘッド装着ユニットにセットすることで、本体1側からケーブル(ヘッド装着ユニット用)6を介して供給される溶剤69Aにより、印字ヘッド2を洗浄することができる。
【0023】
<経路構成>
次に、実施例1におけるインクジェット記録装置600の経路構成について、
図2を用いて説明する。
図2は、本実施例におけるインクジェット記録装置600の全体の経路構成を示す図である。
【0024】
まず、実施例1におけるインクジェット記録装置600のインク供給経路(経路801~804)について説明する。
図2において、本体1には、印字を行うためのインク68Aを保持するインク容器31が備えられている。インク容器31には、インク容器31内の液体(インク68A)が内部に保持されるのに適正な量である基準液面レベルに達しているか否かを検知する液面レベルセンサ31Aが備えられている。
【0025】
インク容器31は、インク68Aに浸漬している部分で経路(供給用)801に接続されており、経路801の途中には、経路の開閉を行う電磁弁(供給用)49を設置している。更に、経路801は合流経路901を介して、経路802に設置されてインク68Aを吸引、圧送するために使用されるポンプ(供給用)34に接続されている。そして、ポンプ(供給用)34の出力側において、インク68A中に混入している異物を除去するフィルタ(供給用)39に接続されている。
【0026】
フィルタ(供給用)39は、ポンプ(供給用)34から圧送されたインク68Aを印字するために適正な圧力に調整する調圧弁46に接続されており、調圧弁46はノズル21に供給されるインク68Aの圧力を測定する圧力センサ47に接続されている。圧力センサ47が配置された経路802は、分岐経路921を介してケーブル(印字ヘッド用)5内を通過する経路803に接続され、経路803は、印字ヘッド2内に備えられノズル21にインク68Aを供給するかどうかを制御するための切替弁26に接続されている。
【0027】
切替弁26は、経路804を介して、インク68Aを吐出する吐出口21Aを備えたノズル21に接続されている。なお、切替弁26は三方型電磁弁であり、切替弁26にはインク供給用の経路802とノズル洗浄用の経路835が接続されており、ノズル21に対してインク68Aと溶剤69Aの供給を切り替えることができる。ノズル21の吐出口21Aの直進方向には、インク粒子68Bに所定の電荷量を付加するための帯電電極23、印字に使用するインク粒子68Bを偏向させるための偏向電極24、及び、印字に使用されないために帯電、偏向されずに直進的に飛翔するインク粒子68Bを捕捉するためのガター25が配置されている。
【0028】
次に、インクジェット記録装置600のインク回収経路811および812について説明する。
図2において、ガター25は、経路811に接続されており、経路811には、帯電電極23により電荷量を付加されたインク粒子68Bを回収しているかを検出するための電荷センサ48が配置されている。そして、経路811は、ケーブル(印字ヘッド用)5内を通過し、本体1内に配置されているインク中に混入している異物を除去するフィルタ(回収用)40と接続されており、フィルタ(回収用)40は経路の開閉を行う電磁弁(回収用)50に接続されている。
【0029】
電磁弁(回収用)50は、合流経路902を介して接続された経路812に配置され、ガター25により捕捉されたインク粒子68Bを吸引するポンプ(回収用)35と接続されている。ポンプ(回収用)35は、インク容器31と接続されている。電磁弁50を開き、ポンプ35を駆動することにより、ガター25により捕捉されたインク粒子68Bは、インク容器31に回収される。
【0030】
次に、本実施例におけるインクジェット記録装置600の排気経路(経路814)について説明する。インク容器31には、インク68Aに接触しない上部の空間にて、経路814と接続されていて、経路814は本体1の外部と連通した排気ダクト接続部62に接続された構成をとっている。
【0031】
次に、本実施例におけるインクジェット記録装置600のインク循環経路(経路821および822)について説明する。印字ヘッド2内に備えられたノズル21は、インク供給用の経路804の他に、ケーブル(印字ヘッド用)5内を通る経路821に接続されている。この経路821には、本体1内に備えられ、流路の開閉を行う電磁弁(循環用)59が配置されている。電磁弁(循環用)59は、合流経路903を介して経路822に接続されており、経路822にはノズル21からのインクの吸引を行うポンプ(循環用)36が配置されている。そして、ポンプ(循環用)36は、インク容器31に接続された構成となっている。
【0032】
次に、本実施例におけるインクジェット記録装置600の粘度測定経路(824および822)について説明する。
図2において、インク容器31は、インク68Aに浸漬している部分で経路(粘度測定用)824に接続されている。経路(粘度測定用)824は、インク容器31内のインク68Aの粘度を把握するために、粘度測定器45に接続されている。粘度測定器45は、経路の開閉を行う電磁弁(粘度測定用)57に接続されている。電磁弁(粘度測定用)57は、合流経路903を介して経路822に配置されたポンプ(循環用)36と接続した構成をとっている。これにより、インク容器31内のインク68Aを粘度測定経路で循環させて、インク68Aの粘度を測定することができる。このようにして測定された粘度は、制御部7(
図2では図示せず。
図3参照)に入力され、インク容器31内のインク68Aの粘度制御に利用される。
【0033】
次に、本実施例におけるインクジェット記録装置600の溶剤補給経路(経路831および833)について説明する。
図2において、本体1には、インク容器31への溶剤補給や、ノズル洗浄、又はヘッド洗浄に使用するための溶剤69Aを保持する溶剤容器33が備えられている。溶剤容器33は、溶剤69Aに浸漬している部分で経路831に接続されており、経路831には溶剤を吸引、圧送するために使用されるポンプ(溶剤用)37が配置されている。そして、ポンプ(溶剤用)37は、目的に応じて溶剤69Aの供給先を変えるために分岐経路922に接続されている。分岐経路922は、溶剤補給経路においては経路833に配置された流路の開閉を行うために電磁弁(溶剤補給用)53に接続されており、電磁弁(溶剤補給用)53はインク容器31と接続された構成となっている。この経路を使用して、制御部7の制御により、インク容器31内のインク68Aの粘度制御を実施する。
【0034】
次に、本実施例におけるインクジェット記録装置600のインク補給経路806について説明する。
図2において、本体1には、補充用のインク68Cを保持する補助インク容器32が備えられている。補助インク容器32は、インク68Cに浸漬している部分で経路806に接続されている。経路806には、経路の開閉を行う電磁弁(インク補給用)54に接続されており、電磁弁(インク補給用)54は合流経路901を介して、経路801に設置されてインク68Cを吸引、圧送するために使用されるポンプ(供給用)34に接続されている。そして、補助インク容器32内のインク68Cは、ノズル21を経由して、ガター25、経路811、電磁弁50、ポンプ35を経由して、インク容器31に補充されるようになっている。
【0035】
次に、本実施例におけるインクジェット記録装置600のノズル洗浄経路(経路831および835)について説明する。
図2において、経路831に配置されたポンプ(溶剤用)37は、分岐経路922を介して経路835に接続されている。経路835は、流路の開閉を行うための電磁弁(ノズル洗浄用)55に接続されている。そして、電磁弁(ノズル洗浄用)55は、溶剤69A中に混入している異物を除去するためのフィルタ(ノズル洗浄用)41に接続されている。フィルタ(ノズル洗浄用)41は、ケーブル(印字ヘッド用)5内を通る経路821を介して印字ヘッド2内に備えられ、ノズル21に洗浄のための溶剤69Aを送るかどうかを制御するための切替弁26に接続された構成となっている。
【0036】
次に、本実施例におけるインクジェット記録装置600の本体循環経路(経路808および812)について説明する。経路802は、分岐経路921を介して経路808に接続されている。経路808には、経路の開閉を行う電磁弁(本体循環用)58に接続されており、電磁弁(本体循環用)58は合流経路902を介して、経路812に設置されたポンプ(循環用)35に接続されている。
【0037】
次に、本実施例におけるインクジェット記録装置600のヘッド洗浄経路(経路831および837)について説明する。
図2において、ポンプ(溶剤用)37は、分岐経路922を介して経路837に接続されており、経路837には、流路の開閉を行うための電磁弁(ヘッド洗浄用)56が配置されており、電磁弁(ヘッド洗浄用)56は、溶剤69A中に混入している異物を除去するフィルタ(ヘッド洗浄用)43に接続されている。
【0038】
フィルタ(ヘッド洗浄用)42は、ケーブル(ヘッド装着ユニット用)6内を通る経路822を介してヘッド装着ユニット3内に備えられ、経路837内に初期的に混入してしまうような異物を除去するためにフィルタ(ヘッド洗浄用)43に接続されている。そして、フィルタ(ヘッド洗浄用)43の出力側は、ヘッド装着ユニット3の洗浄槽71内部に備えられた洗浄ノズル72に接続されている。ここで、洗浄槽71内部の空間は、下部に設置された回収容器4と連通するように構成されている。回収容器4は、洗浄槽71内に接地された洗浄ノズル72から噴出する洗浄液(溶剤)で洗浄された後の溶剤を溜めるために設けられている。回収容器4内には、洗浄後の溶剤の液位を検知するためにフロート74が設けられている。磁石を内蔵したフロート74が所定液位に達したら、磁気センサA76が液位を検知し、回収容器4内の洗浄液が所定液位に達したことを制御部(
図2では図示せず。)に出力する。
【0039】
次に、本実施例におけるインクジェット記録装置600のエア供給経路(経路841)について説明する。
図2において、本体1には、エアを吸引、圧送するために使用されるポンプ(乾燥用)60が備えられており、ポンプ(乾燥用)60は、本体1内部と連通したエア吸い込み口を形成している。ポンプ(乾燥用)60は、ケーブル(ヘッド装着ユニット用)6内を通る経路841を介してヘッド装着ユニット3の洗浄槽71内部に備えられたエア供給ノズル73に接続されている。
【0040】
次に、本実施例におけるインクジェット記録装置600のエア吸引経路(経路843)について説明する。ヘッド装着ユニット3内に備えられた洗浄槽71には、ケーブル(ヘッド装着ユニット用)6内を通る経路843を介して、本体1内に備えられたエアを吸引、圧送するために使用されるエアポンプ(吸引用)61に接続されている。そして、ポンプ(吸引用)61は、本体1の外部と連通した排気ダクト接続部62に接続された構成をとっている。
【0041】
<制御部の構成>
次に、本実施例におけるインクジェット記録装置600の制御部7の構成について説明する。
図3は、本実施例におけるインクジェット記録装置600の制御部7および印字機構部(本体1および印字ヘッド2)の概略構成を示す図である。
図3において、301は、インクジェット記録装置600全体を制御する制御部であるマイクロプロセッシングユニット(以下、MPUという)である。302はバスラインであり、制御部を構成する各機器間でのデータや制御信号などを伝送する機能を有する。例えば、バスライン302は、MPU301の演算委必要なデータや検知信号などを各機器から入力し、データ信号、アドレス信号およびコントロール信号を各機器に伝送するために使用される。306は、MPU301が動作するのに必要な制御用プログラムおよびデータを記憶する読み出し専用のメモリ(ROM)である。307は、MPU301がプログラム実行中に必要となるデータを一時的に記憶する書き換え可能なメモリ(RAM)である。8は、印字内容や設定値等を入力したり、入力されたデータおよび印字内容等を表示する操作表示部である。この操作表示部8は、ここでは液晶表示画面の表面に透明なタッチスイッチを重合したタッチ入力式表示パネルを使用する。
【0042】
また、ヘッド装着ユニット3は、制御部7の操作表示部から制御することができるが、操作部(開始ボタン18及び停止ボタン19)は、ヘッド装着ユニット3に関する運転動作を、操作表示部8ではなく、ヘッド装着ユニット3の近くで操作する場合に使用する。そして、表示部20は、ヘッド装着ユニット3に関する運転状態確認や異常メッセージ等を、操作表示部8ではなく、ヘッド装着ユニット3の近くで確認する場合に使用する。
【0043】
インクジェット記録装置600の印字ヘッド2は、インク容器31から加圧して供給されたインク68Aを粒子化して吐出するノズル21を備える。ノズル21は、インクを柱状に噴出し、先端が分離してインク粒子68Bとして吐出する。また、印字ヘッド2は、そのインク粒子68Bを包囲するように帯電電極23を備えており、インク粒子68Bを印字内容に応じて帯電する。
【0044】
更に、印字ヘッド2は、帯電電極23により帯電され飛行するインク粒子68Bを帯電量に応じて偏向し、被印字物(不図示)に向けて飛行させる。そして、この飛行するインク粒子が被印字物に着弾することにより印字が実行される。印字ヘッド2の偏向電極24は、グランド電極24B、プラス電極24Aで構成する。また、印字ヘッド2は、印字に使用しなかったインク粒子68B(不使用インク)を捕捉するガター25と、このガター25で捕捉したインク粒子68Bの中で微少電荷を帯びたインク粒子68B1の帯電量に応じた位相検出信号を発生する電荷センサ48とを備えている。そして、本体1側では、ガター25で捕捉したインク(インク粒子)をインク容器31に回収するポンプ(回収用)35と、ガター25とインク容器31とを接続したインク回収経路811~812とを備えている。
【0045】
そして、制御部7は、ノズル21から噴射したインク柱からインク粒子68Bに分離するタイミングに規則性をもたせるために、ノズル21に内蔵した電歪素子22(図示せず)を励振する励振電圧発生回路331を有する。
【0046】
また、制御部7は、印字用帯電信号発生回路342および位相探索用帯電信号発生回路341を有し、それらから出力されるデジタル信号形態の帯電信号をアナログ形態の電圧信号に変換するD/Aコンバータ343と、D/Aコンバータ343から出力されるアナログ信号形態の電圧信号を増幅して帯電電極23に印加する帯電電圧を発生する増幅回路344を有する。なお、印字用帯電信号発生回路342と位相探索用帯電信号発生回路341を設ける構成に替えて、印字用帯電信号発生回路342のみを用いて制御部による帯電量制御によって実現するようにしてもよい。また、インクジェット記録装置600は、偏向電極24に印加する偏向電圧を発生する偏向電圧発生回路332を備える。
【0047】
また、インクジェット記録装置600は、電荷センサ48から出力するアナログ信号形態の位相検出信号を増幅する増幅回路353と、増幅された位相検出信号を入力して帯電良否を判定する位相判定回路351と、増幅された位相検出信号を入力してA/D変換するA/Dコンバータ352を備える。
【0048】
次に、
図3において、制御部7のMPU301は、バスライン302を介して、インク容器31の液面を管理する為の液面検出回路313、ノズル21に供給するインクの圧力が適正な値かどうかを検出する為の圧力検出回路312、ノズル21に供給するインク68Aの粘度が印字に適正な値かどうかを粘度測定器45で測定する為の粘度測定回路311、インク68Aや溶剤69Aを吸引及び圧送する本体1内に配備されている各ポンプ34~37を制御する為のポンプ制御回路314、各経路の各電磁弁49~50及び53~59の開閉動作を制御する為の電磁弁駆動回路315に接続されており、各部を制御する。
【0049】
また、MPU301は、バスライン302を介して、ポンプ60および61を制御するためのエアポンプ制御回路321、ヘッド装着ユニット3に回収容器4が装着されている事や回収容器4の液70が所定量より多くなっていない事を磁気センサA76と磁石A75を用いて検出する為の回収容器センサ検出回路322、印字ヘッド2がヘッド装着ユニット3に装着されている事を磁気センサB84と磁石B86を用いてヘッド装着ユニット3側で検出する為の印字ヘッド検出回路323と、印字ヘッド2がヘッド装着ユニット3に装着されている事を磁気センサC28と磁石C87を用いて印字ヘッド2側で検出する為のヘッド装着ユニット検出回路324に接続されて、各部を制御するようになっている。
【0050】
なお、制御部7は、計算機を使用することができる。具体的には、制御部7は、MPU301と、MPU301の動作のためのプログラムおよび動作に必要なデータ・情報を記憶するメモリ(306及び307)と、MPU301の指示により印字ヘッド2およびヘッド装着ユニット3、本体1内の構成機器を動作させる駆動部とで構成することができる。ここでは、制御部7の詳細な説明は省略する。
【0051】
<ヘッド装着ユニットの構成>
次に、実施例1におけるインクジェット記録装置600のヘッド装着ユニット3の詳細な構成について、
図4~
図6を用いて説明する。
図4は、ヘッド装着ユニット3の構成図(洗浄ノズル72を断面にした図)である。
図5は、そのヘッド装着ユニット3において、回収容器を取り外した状態を示すヘッド装着ユニットの断面図である。
図6は、印字ヘッドを装着した状態を示すヘッド装着ユニットの断面図である。
【0052】
まず、
図4により、ヘッド装着ユニットの構成を説明する。
図4において、ヘッド装着ユニット3は、ヘッド洗浄時に印字ヘッド2が収容される洗浄槽71と、洗浄槽71の上部に設置されて印字ヘッド2をヘッド装着ユニット3にセットするためのヘッド装着部81Aおよび印字ヘッド2を洗浄槽71内に挿入する時の入り口であるヘッド挿入部81Bが構成された洗浄ブロック81と、ヘッド洗浄処理に使用した液70Aを格納するための回収容器4を備えている。
【0053】
洗浄ブロック81には、ヘッド挿入部81Bに印字ヘッド2がセットされていない場合に、開口部であるヘッド挿入部81Bから洗浄槽71の内部に埃などの異物が入らないようにするために、蓋部材83が組み付けられている。蓋部材83は、蓋ヒンジ82を介して洗浄ブロック81に組み付けられている。この蓋部材83は、印字ヘッド2がヘッド装着ユニット3にセットされた事を検出する時に利用する磁石B86が組み付けられている。洗浄ブロック81には、印字ヘッド2がヘッド装着ユニット3にセットされた時に磁石B86が一定距離以内に近づいた事を検出する為の磁気センサB84が組み付けられている。また、洗浄ブロック81には、印字ヘッド2がヘッド装着ユニット3にセットされたことを検出するときに利用する磁石C87が組み付けられている。
【0054】
そして、洗浄ブロック81には、印字ヘッド2に向けてヘッド洗浄用の溶剤69Aを吐出させるための洗浄ノズル72と、ヘッド洗浄後に溶剤69Aで濡れた印字ヘッド2を乾燥させるためのエアを吹き掛けるためのエア吐出口を有する供給ノズル73とが、圧入加工により組み付けられている。
【0055】
この洗浄ノズル72は、印字ヘッド2に組み付けられたノズル21を狙うように溶剤69Aを噴出させるための液吐出穴A部72Aと、偏向電極24を狙うように溶剤69Aを噴出させるための液吐出穴B部72Bを形成している。そして、洗浄ノズル72は、洗浄ブロック81に形成された流路B部81Eに接続されるようになっている。
【0056】
エア供給ノズル73は、印字ヘッド2に組み付けられた帯電電極23の電極間を狙うようにエアを噴出させるためのエア吐出穴73Aを形成している。エア供給ノズル73は、洗浄ブロック81に形成された流路C部81Fに接続されるようになっている。更に、洗浄ブロック81は、ヘッド洗浄時に印字ヘッド2が挿入される洗浄槽71の内部に連通する穴部81Cと、穴部81Cと接続された流路A部81Dを形成している。
【0057】
そして、ヘッド装着ユニット3は、洗浄ブロック81の下部に、ヘッド洗浄時に印字ヘッド2を収容するための洗浄槽71を備えている。洗浄槽71は、洗浄ノズル72から噴出した溶剤69Aが周囲に飛び散らないように形成した側壁部と、回収容器4を装着する時に使用する取付部71Aを形成している。また、洗浄槽71の内部には、ヘッド装着ユニット3の周囲温度を検知して各種制御に使用するための温度センサB80が組み付けられている。また更に、洗浄槽71には、回収容器4がヘッド装着ユニット3に取り付けられている事を検出する為の磁気センサA76が組み付けられている。
【0058】
そして更に、ヘッド装着ユニット3は、洗浄槽71の下部に、ヘッド洗浄時に使用した液70Aを収容するための回収容器4を備えている。回収容器4は、液70Aを収容する容器77と、回収容器4を持ち運ぶ時に液70Aが飛び散る事を低減するために取り付けられた仕切り78と、磁石A75が組み付けられたフロート74と、フロート74の動きを抑制するホルダー79とで構成されている。
【0059】
容器77は、ヘッド洗浄処理に使用した液70Aを収容する為の液貯留部77Bと、洗浄槽71に固定する時に使用する取付部77Aと、仕切り78を取り付ける為の内ネジ部77Cを形成している。仕切り78は、洗浄槽71から垂れ落ちてくる液70Aが容器77に流入させる為に設けられた液流入穴部78Aと、回収容器4を傾けた時に容器77から液70Aを流出させる為に設けられた液流出穴部78Bとを形成している。
【0060】
そして、洗浄ブロック81には、流路B部81Eと接続された液継手89が組み付けられており、液継手89には、チューブ837Aが圧入などの方法で接続されている。このチューブ837Aは、ヘッド洗浄経路837の一部を形成しており、チューブ837Aを経由して本体1内の溶剤容器33に接続されている。また、洗浄ブロック81には、流路C部81Fと接続されたエア継手90が組み付けられており、エア継手90には、チューブ841Aが圧入などの方法で接続されている。このチューブ841Aは、経路(エア供給用)841の一部を形成しており、チューブ841Aを経由してポンプ(乾燥用)60に接続されている。
【0061】
また更に、洗浄ブロック81には、流路A部81Dと接続された吸引継手88が組み付けられており、吸引継手88には、チューブ843Aが圧入などの方法で接続されている。このチューブ841Aは、経路(エア吸引用)841の一部を形成しており、チューブ841Aを経由してポンプ(吸引用)61に接続されている。この吸引継手88は、継手A部88Bと継手B部88Cを結合させて形成しており、継手A部88Bと継手B部88Cの間にチャンバー88Aを形成している。
【0062】
そして、ヘッド装着ユニット3は、チューブ837A、チューブ841A、及びチューブ843Aがヘッド装着ユニット3の外部に露出しないようにカバー85で覆われており、カバー85は、洗浄ブロック81の上部と、洗浄槽71の下部を挟みこむように固定されている。ケーブル(ヘッド装着ユニット用)6は、外に突き出て他の生産設備の邪魔にならないようにカバー85の下部に組み付けられている。ケーブル(ヘッド装着ユニット用)6の内部には、チューブ837A、チューブ841A、及びチューブ843Aの他に、磁気センサA76に接続された電線76Aや、磁気センサB84に接続された電線84Aや、温度センサB80に接続された電線や、開始ボタン18と停止ボタン19と表示部20を動作させる為のハーネス(不図示)等が通るようになっており、ヘッド装着ユニット3と本体1を接続している。
【0063】
次に、
図5を用いて、ヘッド装着ユニット3から回収容器4が取り外された状態について説明する。インクジェット記録装置600においては、ヘッド装着ユニット3が固定された状態で、回収容器4を約90°回転させることで、ヘッド装着ユニット3の取付部71Aと、それと篏合する回収容器4の取付部77Aが外れた状態になり、ヘッド装着ユニット3から回収容器4を分離することができる。この状態においては、フロート74の内部に組み付けられた磁石A75と、洗浄槽71に組み付けられた磁気センサA76が、一定距離(磁気センサA76が磁石A75を認識しなくなる距離)以上に離れる。この状態は、電線76Aを介して制御部7に伝送される。そのため、制御部7はヘッド装着ユニット3から回収容器4が取り外された事を認識することができる。
【0064】
次に、
図6を用いて、印字ヘッド2をヘッド装着ユニット3に装着した状態について説明する。ヘッド装着ユニット3の蓋部材83は、保護カバー17を外された印字ヘッド2をヘッド挿入部81Bに挿入することよって開放されている。印字ヘッド2は、ノズル21と、帯電電極23と、偏向電極24と、ガター25が、洗浄槽71及び洗浄ブロック81で囲われた空間にくる位置まで押し込まれた状態となっている。
【0065】
そして、ヘッド装着ユニット3は、印字ヘッド2との位置が左右前後にずれないように、ヘッド挿入部81Bの穴の内壁面と、印字ヘッド2のヘッドベース16の外壁面が勘合するようにしている。また更に、印字ヘッド2の一部が洗浄ブロック81に形成されたヘッド装着部81Aに当たる位置で静止する事で、印字ヘッド2がヘッド装着ユニット3にセットされた時の位置が安定する。また、本実施例の印字ヘッド2には、磁気センサC28と温度センサA27が組み付けられている。磁器センサC28に接続された電線28Aと、温度センサA27と接続された電線27Aは、ケーブル(印字ヘッド用)5の内部を通して本体1に設置している制御部7と接続されている。
【0066】
印字ヘッド2がヘッド装着ユニット3に装着された状態においては、印字ヘッド2によって蓋部材83が開放されることで、蓋部材83に組み付けられた磁石B86も連動して移動し、点線の丸M2で囲んで示したように、磁石B86と磁気センサB84が一定距離以内に近づく。これにより印字ヘッド2がヘッド装着ユニット3に装着された状態になったことを、ヘッド装着ユニット3側で認識することができる。また更に、印字ヘッド2がヘッド装着ユニット3に装着された状態においては、点線の丸M3で囲んで示したように、洗浄ブロック81に組み付けられた磁石C87と印字ヘッド2に組み付けられた磁気センサC28が一定距離以内に近づき、これにより印字ヘッド2がヘッド装着ユニット3に装着された状態になったことを、印字ヘッド2側でも認識することができる。このように、印字ヘッド2がヘッド装着ユニット3に装着された状態になっているかどうかを、2つのセンサで確認する事で、部品の故障などによる誤検出を防止するようにしている。
【0067】
また、回収容器4がヘッド装着ユニット3に装着された状態においては、点線の丸M1で囲んで示したように、回収容器4のフロート74に組み付けられた磁石A75とヘッド装着ユニットの洗浄槽71に組み付けられた磁気センサA76が一定距離以内に近づく。この状態を磁気センサA76が検知し、制御部7はこれにより回収容器4がヘッド装着ユニット3に装着されたことを認識することができる。この検知により、回収容器4を装着せずにヘッド洗浄処理を開始してしまうような誤作業を防止する事ができる。
【0068】
<ヘッド洗浄・乾燥処理>
実施例1に係るインクジェット記録装置600において、印字ヘッド2がヘッド装着ユニット3にセットされた状態で、ヘッド洗浄処理及びヘッド乾燥処理を実行しているときの動作について、
図7~
図11を用いて説明する。
【0069】
まず、インクジェット記録装置600において、ヘッド洗浄処理を実行しているときの動作について、
図7および
図8を用いて説明する。
図7は、ヘッド洗浄処理が行われている時の装置全体の液の流れ及び気体の流れを太線(A1~A8)で示す流体経路図である。
図8は、ヘッド洗浄処理が行われている時のヘッド装着ユニット3内部の液の流れ及び気体の流れを太線(A1~A7)で示すヘッド装着ユニット断面図である。
【0070】
図7および
図8において、インクジェット記録装置600は、印字ヘッド洗浄のために、印字ヘッド2をヘッド装着ユニット3にセット(装着)した状態となっている。ヘッド洗浄経路(経路831、経路837)においては、電磁弁(ヘッド洗浄用)56が通電されて流路を開放し、ポンプ(溶剤用)37を稼働することで、矢印A1の太線で示したように、洗浄液である溶剤がヘッド装着ユニット3に供給される。すなわち、本体1の溶剤容器33に収容された溶剤69Aをヘッド装着ユニット3の洗浄槽71内に組み付けられている洗浄ノズル72に供給することができる。
【0071】
洗浄ノズル72は、この溶剤69Aを印字ヘッドに向けて噴出(吐出)し、印字ヘッド2を洗浄する。具体的には、洗浄ノズル72に供給された溶剤69Aは、矢印A2(液吐出穴A部72Aからノズル21を狙って溶剤69Aを噴出させる方向)、及び矢印A3(液吐出穴B部72Bから偏向電極24を狙って溶剤69Aを噴出させる方向)で示す方向に溶剤69Aを噴出させて、印字ヘッド2に組み付けられたノズル21、偏向電極24などの構成部品に溶剤69Aを吹きかけて、インクジェット記録装置600の稼働中やメンテナンス時に付着したインク68Aによる汚れを洗浄することができる。印字ヘッド2に組み付けられたノズル21、偏向電極24などの構成部品を洗浄した溶剤69Aは、重力によって下側に垂れて流れていく。印字ヘッド2をヘッド装着ユニット3にセットした状態においては帯電電極23や、偏向電極24よりも下部に配置されたガター25を、溶剤69Aによって洗浄することができる。
【0072】
そして、ヘッド洗浄処理においては、印字ヘッド2に配置されたノズル21、帯電電極23、偏向電極24、ガター25などの構成部品を洗浄した溶剤69Aは、矢印A4で示す向きに垂れ落ちていき、ヘッド装着ユニット3の下部に設置された回収容器4に流入して、液70Aとして液貯留部77Bに溜められるようにしている。
【0073】
また、インク循環経路(821~822)においては、電磁弁(循環用)59が通電されて流路を開放し、ポンプ(循環用)36を稼働することで、矢印A5の太線で示したように、ノズル21に当たった溶剤69Aの一部がノズル21から吸引され、本体1のインク容器31に回収される。このようにヘッド洗浄処理においては、ノズル21の内部及び、インク循環経路821~822についても溶剤69Aで洗浄することができる。
【0074】
また更に、インク回収経路(811~812)においては、電磁弁(回収用)50が通電されて流路を開放し、ポンプ(回収用)35を稼働することで、矢印A6の太線で示したように、ガター25に当たった溶剤69Aの一部がガター25から吸引され、本体1のインク容器31に回収される。このようにヘッド洗浄処理においては、ガター25の内部及び、インク回収経路811~812についても溶剤69Aで洗浄することができる。
【0075】
そして、ノズル21およびガター25においては、溶剤69Aと共に周囲の空気も一緒に吸引する。この時に吸引した空気は、インク循環経路821~822及びインク回収経路811~812内で、気化した溶剤69Aが溶け込んで溶剤蒸気となる。この溶剤蒸気は、インク容器31に流入した後で、経路814を介して本体1の外部と連通した排気ダクト接続部62に排出される。
【0076】
エア吸引経路(経路841)においては、ポンプ(吸引用)61を稼働することで、矢印A7の太線で示したように、ヘッド装着ユニット3の洗浄槽71内で発生した溶剤蒸気を穴部81Cから吸引して、本体1の外部と連通した排気ダクト接続部62に排出する。インクジェット記録装置600においては、インク容器31から排出される溶剤蒸気と、ヘッド装着ユニット3から排出される溶剤蒸気を、纏めて排気ダクト接続部62から排出させるような構成とした。排気ダクト接続部62は、本体1の操作表示部8から離れた場所にあり、例えば本体1の背面や底面に組み付けられている。
【0077】
また、洗浄ノズル72から噴出した溶剤69Aの一部が穴部81Cから流路A部81Dに流入する可能性がある。そのため、エア吸引経路にはチャンバー88Aが設けられており(
図4参照)、流路A部81Dに流入した溶剤69Aが、ポンプ(吸引用)61の方に流れていかないようにトラップしている。チャンバー88Aでトラップした溶剤69Aは、ヘッド乾燥処理の段階で乾燥させ、ヘッド乾燥処理が終了した後にチャンバー88A内に溶剤69Aが残らないようにしている。
【0078】
次に、実施例1に係るにインクジェット記録装置600において、印字ヘッド洗浄後に、印字ヘッド2のヘッド乾燥処理を実行している時の動作について、
図9および
図10を用いて説明する。
図9は、ヘッド乾燥処理が行われている時の装置全体の気体の流れを太線(B1~B6)で示す流体経路図である。
図10は、ヘッド乾燥処理が行われている時のヘッド装着ユニット3内部の液の流れ及び気体の流れを太線(B1~B5)で示すヘッド装着ユニット断面図である。
【0079】
図9および
図10において、印字ヘッド2をヘッド装着ユニット3にセット(装着)した状態となっており、ヘッド洗浄処理が完了した後、ヘッド乾燥処理を実施する。エア供給用経路841においては、本体1に設置されたポンプ(乾燥用)60を稼働することで、矢印B1の太線で示したように、圧縮エアがヘッド装着ユニット3の洗浄槽71内に組み付けられたエア供給ノズル73に供給される。エア供給ノズル73に供給されたエアは、矢印B2で示したように、印字ヘッド2の帯電電極23に向けて吐出される。帯電電極23の電極間の隙間は偏向電極24の隙間と比較して狭くて乾燥しにくい為、エア供給ノズル73に形成されたエア吐出穴73Aで狙うようにした。そして、エア供給ノズル73から吐出されたエアは、印字ヘッド2の内部に組み付けられたノズル21や帯電電極23、偏向電極24やガター25などの構成部品を乾燥させる。
【0080】
インク回収経路811~812においては、電磁弁(回収用)50が通電されて流路を開放し、ポンプ(回収用)35を稼働することで、矢印B5の太線で示したように、エアの一部がガター25から吸引され、本体1のインク容器31に吸引、圧送される。また、インク循環経路821~822においては、電磁弁(循環用)59が通電されて流路を開放し、ポンプ(循環用)36を稼働することで、矢印B4の太線で示したように、エアの一部がノズル21から吸引され、本体1のインク容器31に吸引、圧送される。そして、インク容器31に流入したエアについては、矢印Pの太線で示したように排気経路805から本体1の外部に排出される。このように、ヘッド乾燥処理中にガター25及びノズル21からエアを吸引させることで、ヘッド装着ユニット3周辺での溶剤ガスの排出量を低減することができる。
【0081】
エア吸引経路(経路841)においては、ポンプ(吸引用)61を稼働することで、矢印B3の太線で示したように、ヘッド装着ユニット3の洗浄槽71内で発生した溶剤蒸気を穴部81Cから吸引して、本体1の外部と連通した排気ダクト接続部62に排出する。インクジェット記録装置600においては、インク容器31から排出される溶剤蒸気と、ヘッド装着ユニット3から排出される溶剤蒸気を、纏めて排気ダクト接続部62から排出させるような構成とした。このポンプ(吸引用)61によって洗浄槽71内部の溶剤蒸気を穴部81Cから吸引するエア流量が、ポンプ(乾燥用)60によって洗浄槽71内部にエア供給ノズル73から供給されるエア流量よりも多ければ、ヘッド装着ユニット3から排出される溶剤蒸気を大幅に低減する事ができる。また更に、穴部81Cから吸引するエアの流量が多い場合、洗浄槽71内部にエアの流れを発生させる事で、印字ヘッド2の内部に組み付けられたノズル21や帯電電極23、偏向電極24やガター25などの構成部品の乾燥時間を短縮する効果が期待できる。
【0082】
次に、実施例1におけるインクジェット記録装置600において、ヘッド洗浄処理を繰り返し実行して回収容器4に収容された液量が多くなった状態について、
図11を用いて説明する。
図11は、実施例1の回収容器に沢山の洗浄液が入った状態を示すヘッド装着ユニット断面図である。
【0083】
回収容器4内の液70がほぼ満杯である場合、
図11に示すような状態になる。すなわち、回収容器4内の液位上昇により、フロート74が浮上がり、磁気センサA76は、液位検出信号を出力することができなくなっている。この場合、制御部7は、回収容器4内にさらに収容可能な液70の量は少なく、ほぼ満杯であることを検知(判断)することができる。制御部7は、このような状態を検知すると、操作表示部8に警告を表示する。例えば、回収容器4を取外して中の液70を排出すべきことを表示しても良い。なお、警告は、操作表示部8に表示することのみを述べてきたが、ヘッド装着ユニット3の表示部20や、ブザーや音声で作業者に知らせても良い。表示に加えて、ブザーや音声等で警告することもできる。このような警告により、作業員は、
図5に示すように、回収容器4を取外し、回収容器4内の液70を排出することができる。そして、空になった回収容器4を、再び洗浄槽71の下部に取付ける。液位検出装置の磁気センサA76を回収容器の3外側に設置しているので、回収容器4の取外し、取付け作業は容易である。
【0084】
回収容器4を取付けた場合、フロート74が磁気センサA76で検出できる位置にあるため、磁気センサA76は液位検知信号の出力を開始する。制御部7は、磁器センサA76からの液位検出信号を受信し、回収容器4が取付けられたことを判断することができる。この判断により、制御部7は、操作表示部8に表示していた警告表示を消去する。あるいは、ヘッド装着ユニット3が動作可能(洗浄可能)な状態であることを表示することや、ヘッド洗浄動作の禁止状態を解除し、ヘッド洗浄を許可するよう制御することができる。
【0085】
また、回収容器4内の液70の量については、物理的なセンサ(磁気センサA76等)を設けずにヘッド洗浄モードによって「少量洗浄:6ml」、「標準洗浄:12ml」、「念入り洗浄:24ml」のように溶剤使用量を決めておき、ヘッド洗浄が実施されたタイミングで、制御部7で回収容器4内の液70の量を推定して、必要なタイミングでヘッド洗浄動作に制約を受けたり、回収容器4からの廃液を指示するようにしてもよい。
【0086】
<ヘッド洗浄モード設定画面>
実施例1に係るにインクジェット記録装置600のヘッド洗浄関連設定画面について、
図12を用いて説明する。なお、
図12の画面は、操作表示部8に表示させる。
【0087】
まず、ヘッド洗浄関連設定画面の(1)ヘッド洗浄モード選択欄にて、「(a)少量洗浄、(b)標準洗浄、(c)念入り洗浄、(d)自動選択」のいずれかを選択する。(a)~(c)の違いは、ヘッド洗浄処理に使用する溶剤69Aの量が異なり、例えば、それぞれの溶剤使用量は、「(a)少量洗浄:6ml、(b)標準洗浄:12ml、(c)念入り洗浄:24ml」としている。なお、「(d)自動選択」を設定した時の溶剤使用量や制御方法については、実施例2として後述する。
【0088】
次に、ヘッド洗浄関連設定画面の(2)ヘッド乾燥時間設定欄にて、「(e)自動、(f)マニュアル設定」のいずれかを選択する。「(e)自動」に設定した場合、ヘッド乾燥時間は、溶剤69Aの種類や、温度センサA27や温度センサB80で検出した値を基に、あらかじめ決められた時間に設定する。そして、「(f)マニュアル」を選択した場合には、ヘッド乾燥時間を0~10分の間で設定する事ができる。
【0089】
次に、ヘッド洗浄関連設定画面の(3)処理後自動電源OFF欄にて、「(g)しない、(h)する」のいずれかを選択する。「(g)しない」に設定した場合、ヘッド洗浄処理が完了した後は、インクジェット記録装置600の電源が入った状態となる。そして、「(h)する」を選択した場合には、ヘッド洗浄処理が完了した後は、インクジェット記録装置600の電源を自動で切断する。
【0090】
そして、ヘッド洗浄関連設定画面の(1)~(3)の設定が一通り完了した後に「(i)決定、(j)キャンセル」のいずれかのボタンを押す。「(i)決定」ボタンを押した場合には、表示されている(1)~(3)の設定を制御部7に送信し上書きして、次にヘッド洗浄を実行した時には、設定事項を反映させる。また、「(j)キャンセル」ボタンを押した場合には、表示されている(1)~(3)の設定を制御部7に送信せず上書きしない。そのため、次にヘッド洗浄を実行した時には、前に「(i)決定」ボタンを押した時の設定内容(画面に表示)を引き続き使用する。
【0091】
<実施例1のヘッド洗浄動作フロー説明>
次に、本実施例におけるインクジェット記録装置600のヘッド洗浄処理の動作の流れについて、
図13を用いて説明する。
図13は、実施例1におけるヘッド洗浄処理のフローチャート図である。
【0092】
図13において、まず、ステップS101では、タッチパネル式である操作表示部8に表示されたヘッド洗浄処理を行う為の開始ボタンを押す。又は、ヘッド装着ユニット3に備えられた開始ボタン18を押す。ヘッド洗浄処理を行う為の開始ボタンが有効となる条件としては、インクジェット記録装置600は印字ヘッド2のノズル21からのインク噴出が停止しており、ポンプ(供給用)34や電磁弁(供給用)49などのインク循環系部品に電源が供給されておらず、稼働していない状態となっていることである。
【0093】
ステップS111では、ヘッド装着ユニット3の磁気センサA76が「ON」の状態である(回収容器4の磁石A75を検出している)かどうかを確認する。
【0094】
ステップS112では、ステップS111の確認結果で、磁気センサA76が「ON」の状態であれば、「YES」(回収容器4がヘッド装着ユニット3にセット(装着)されている)と判断して、ステップS121に進む。ステップS111の確認結果で、磁気センサA76が「OFF」の状態であれば、ステップS112では「NO」(回収容器4がヘッド装着ユニット3にセット(装着)されていない、又は回収容器4の中に液70Aが溜まっていてフロート74が浮いた状態になっている)と判断して、ステップS113に進む。
【0095】
ステップ113では、本体1の操作表示部8、又はヘッド装着ユニット3の表示部20に、「回収容器4内の液70Aを排出して空にしてください。空の回収容器4をヘッド装着ユニットにセットしてください」のような内容を表示させる。
【0096】
ステップS114では、作業者が、空の回収容器4をヘッド装着ユニット3にセットする。その後、作業者が、本体1の操作表示部8、又はヘッド装着ユニット3の開始ボタン18を押すことで、再びステップS111の処理を実行する。
【0097】
ステップS121では、ヘッド装着ユニット3の磁気センサB84が「ON」の状態(蓋部材83に組み付けられた磁石B86を検出している)であるかどうかの確認と、印字ヘッド2の磁気センサC28が「ON」の状態(洗浄ブロック81に組み付けられた磁石C87を検出している)であるかどうかの確認を行う。
【0098】
ステップS122では、ステップS121の確認結果で、磁気センサB84が「ON」の状態、且つ磁気センサC28が「ON」の状態であれば、「YES」(印字ヘッド2がヘッド装着ユニット3にセット(装着)されている)と判断して、ステップS131に進む。ステップS121の確認結果で、磁気センサB84又は磁気センサC28のどちらかが「OFF」の状態であれば、「NO」(印字ヘッド2がヘッド装着ユニット3にセット(装着)されていない)と判断して、ステップS123に進む。
【0099】
ステップ123では、本体1の操作表示部8、又はヘッド装着ユニット3の表示部20に、「印字ヘッドをヘッド装着ユニットにセットしてください」のような内容を表示させる。ステップS124では、作業者が、印字ヘッド2をヘッド装着ユニット3にセットする。その後、作業者が、本体1の操作表示部8、又はヘッド装着ユニット3の開始ボタン18を押すことで、再びステップS121の処理を実行する。
【0100】
ステップS131では、
図12で示したヘッド洗浄関連設定画面の(1)ヘッド洗浄モード選択欄で予め設定している内容が、「(a)少量洗浄」であればステップS132に進み、「(b)標準洗浄」であればステップS133に進み、「(c)念入り洗浄」であればステップS134に進む。
【0101】
ステップS132~S134は、ヘッド洗浄ステップであり、各ヘッド洗浄モード「(a)少量洗浄、(b)標準洗浄、(c)念入り洗浄、(d)自動選択」で決められたヘッド洗浄処理(ヘッド装着ユニット3の洗浄ノズル72から溶剤69Bを噴出して印字ヘッド2を洗浄する)を実行する。そして、完了すれば、いずれの場合でもステップS141に進む。
【0102】
ステップS141では、
図12で示したヘッド洗浄関連設定画面の(2)ヘッド乾燥時間設定欄で予め設定している内容が、「(e)自動」であればステップS142に進み、「(f)マニュアル設定」であればステップS143に進む。
【0103】
ステップS142は、ヘッド乾燥ステップであり、溶剤69Aの種類や、温度センサA27や温度センサB80で検出した値を基に、あらかじめ決められた時間でヘッド乾燥処理(ヘッド装着ユニット3のエア供給ノズル73からエアを噴出、及び洗浄槽71内の穴部81Cから溶剤蒸気を吸引して印字ヘッド2を乾燥させる)を実行する。
【0104】
ステップS143は、ヘッド乾燥ステップであり、「(f)マニュアル設定」で入力したヘッド乾燥時間(0~10分の間で設定)の時間で、ヘッド乾燥処理(ヘッド装着ユニット3のエア供給ノズル73からエアを噴出、及び洗浄槽71内の穴部81Cから溶剤蒸気を吸引して印字ヘッド2を乾燥させる)を実行する。
【0105】
ステップS151では、
図12で示したヘッド洗浄関連設定画面の処理後自動電源OFFで予め設定している内容が、「(g)しない」であればステップS152に進み、「(h)する」であればステップS153に進む。
【0106】
ステップS152では、インクジェット記録装置600は印字ヘッド2のノズル21からのインク噴出が停止しており、ポンプ(供給用)34や電磁弁(供給用)49などのインク循環系部品に電源が供給されておらず、稼働していない状態となっている。この状態で、ヘッド洗浄動作フローを終了する。
【0107】
ステップS153では、ヘッド乾燥ステップが完了した後に、インクジェット記録装置600の電源をOFFして、ヘッド洗浄動作フローを終了する。
【0108】
<実施例1の効果>
以上説明したように、本発明の実施例1によれば、印字ヘッド2を洗浄する際に、印字ヘッド2周囲で放出される溶剤蒸気量を低減することができる為、印字ヘッド2洗浄時に作業者が感じる溶剤蒸気の匂いを低減する事ができる。
【0109】
また、本発明の実施例1によれば、ヘッド装着ユニット3に印字ヘッド2や回収容器4がセットされている事を検出してヘッド洗浄実行可能かを判断できる為、誤作業を防止する事ができるインクジェット記録装置600を提供することができる。
【0110】
実施例2
【0111】
次に、本発明の実施例2におけるインクジェット記録装置600について説明する。実施例2においても、実施例1で説明した
図1~
図11と同様の構成を採用する。また、実施例2における洗浄および乾燥状態の検知手法を
図14で示し、実施例2における動作フローを
図15に示す。
図1~
図11に関する説明は、既に説明したので、それらの説明は省略する。そして、
図14および
図15を用いて、主に実施例1と異なる部分について説明を行う。
【0112】
<実施例2のヘッド洗浄・乾燥状態判定>
まず、
図14により、ヘッド洗浄処理におけるインク汚れ判定方法について説明する。
【0113】
実施例2におけるインクジェット記録装置600においては、印字ヘッド2をヘッド装着ユニット3にセット(装着)した状態で、実施例1の
図7及び
図8で説明した方法により、洗浄ノズル72から少量(例えば1~5ml)の溶剤69Aを噴出させて、印字ヘッド2に組み付けられた部品(ノズル21、帯電電極23、偏向電極24、ガター25など)を濡らした状態にする。印字ヘッド2が濡れた状態で偏向電圧発生回路332を用いて偏向電極24に電圧(例えば1~7kV)を印加する。
【0114】
インクジェット記録装置600に使用する溶剤69Aは非導電性の液体であるが、インク68Aは材料に導電性物質を混ぜることで導電性の液体としている。印字ヘッド2に付着したインク68Aは、乾燥状態では非導電性となっているが、溶剤69Aで濡らした状態とすることで導電性の液体となる。その為、印字ヘッド2がインク68Aで汚れている状態で、溶剤69Aで濡らして、偏向電極24に電圧を印加する事で電流が流れれば、印字ヘッド2に組み付けられた電荷センサ48で検出可能となる。
【0115】
図14は、電荷センサ48で検出する電圧を表示した図であり、横軸は、指定された経過時間(位相)を示し、縦軸は、検出した電圧の大きさを示している。印字ヘッド2のインク68Aによる汚れが許容できるかについては、指定された経過時間でスレッショルドレベルSHを超えているものが何個あるかで判定する。本実施例では、指定された経過時間でスレッショルドレベルSHを超えているものが、0個の場合(
図14の(a)の場合)は汚れがないと判断する。1個以上の場合(
図14の(b)のような場合)は汚れが有ると判断する。汚れが有ると判断した場合には、追加でヘッド洗浄(洗浄ノズル72から溶剤69を溶剤噴出)を実行する。そして、指定された経過時間でスレッショルドレベルSHを超えているものが0個の場合、印字ヘッド2に付着したインク68Aの量が少なく許容できると判定して、追加のヘッド洗浄は実行しない。
【0116】
次に、
図14を用いて、ヘッド乾燥処理における印字ヘッド2の乾燥状態の判定方法について説明する。
【0117】
実施例2におけるインクジェット記録装置600においては、印字ヘッド2をヘッド装着ユニット3にセット(装着)した状態で、実施例1の
図9及び
図10で説明した方法で、エア供給ノズル73からエアを噴出させて、印字ヘッド2に組み付けられた部品(ノズル21、帯電電極23、偏向電極24、ガター25など)に付着した溶剤69Aを乾燥させる。この溶剤69Aを乾燥させる時に、ヘッド装着ユニット3の周囲の湿度が高い場合には、溶剤69Aの気化熱により印字ヘッド2に水滴が付着する可能性がある。そこで、印字ヘッド2が濡れた状態で偏向電圧発生回路332を用いて偏向電極24に電圧(例えば1~7kV)を印加する。偏向電極24に電圧を印加する事で電流が流れれば、印字ヘッド2に組み付けられた電荷センサ48で検出可能となる。
【0118】
印字ヘッド2の乾燥状態の判定については、インク汚れ状態の判定と同様に電荷センサ48を用いて行い、その詳細について
図14を用いて説明する。印字ヘッド2の乾燥状態が許容できるかについては、指定された経過時間でスレッショルドレベルSHを超えるものが何個あるかで判定する。本実施例では、指定された経過時間でスレッショルドレベルSHを超えるものが1個以上の場合(
図14の(b)の状態)は、乾燥不十分と判定して追加でヘッド乾燥(ヘッド装着ユニット3のエア供給ノズル73からエアを噴出、及び洗浄槽71内の穴部81Cから溶剤蒸気を吸引して印字ヘッド2を乾燥させる)を実行する。そして、指定された経過時間でスレッショルドレベルSHを超えるものが0個の場合(
図14の(a)の場合)、印字ヘッド2が問題にならない状態まで乾燥できていると判定して、追加のヘッド乾燥処理は実行しない。
【0119】
<実施例2のヘッド洗浄動作フロー説明>
次に、実施例2におけるインクジェット記録装置700のヘッド洗浄処理の動作の流れについて、
図15を用いて説明する。
図15は、実施例2におけるヘッド洗浄処理のフローチャート図である。
【0120】
図15において、「ステップS201、ステップS211~S214、ステップS221~S224」については、実施例1の
図13で説明した「ステップS101、ステップS111~S114、ステップS121~S124」と同じである。そのため、「ステップS201、ステップS211~S214、ステップS221~S224」については説明を省略する。
【0121】
ステップS231は、ヘッド洗浄ステップであり、
図12で示したヘッド洗浄関連設定画面の(1)ヘッド洗浄モード選択欄で「(d)自動選択」と設定している場合に動作させる。ヘッド装着ユニット3においては、洗浄ノズル72から少量(例えば5~10ml)の溶剤69Aを噴出して印字ヘッド2を洗浄する(ヘッド洗浄処理)を実行する。
【0122】
ステップS232では、偏向電極24に電圧を印加し、電荷センサ48でスレッショルドレベルSHを超える電圧を検出するかどうかを確認する。スレッショルドレベルSHを超える場合を「1」、超えない場合を「0」と2値化して判定する。
【0123】
ステップS233は、ステップS232で2値化してしたもので一定時間の内、「1」と判定した物が0回であれば、印字ヘッド2のインク汚れが許容値まで落とせていると判断して、ステップS241に進む。「1」と判定したものが1回以上であれば、印字ヘッド2のインク汚れが許容値まで落とせていないと判断し、再度ステップS231を実行する。
【0124】
ステップS241は、ヘッド乾燥ステップであり、
図12で示したヘッド洗浄関連設定画面の(2)ヘッド乾燥時間設定欄で「(d)自動」と設定している場合に動作させる。ヘッド装着ユニット3においては、溶剤69Aの種類や、温度センサA27や温度センサB80で検出した値を基に、あらかじめ決められた時間でヘッド乾燥処理(ヘッド装着ユニット3のエア供給ノズル73からエアを噴出、及び洗浄槽71内の穴部81Cから溶剤蒸気を吸引して印字ヘッド2を乾燥させる)を実行する。
【0125】
ステップS242では、偏向電極24に電圧を印加し、電荷センサ48でスレッショルドレベルSHを超える電圧を検出するかどうかを確認する。スレッショルドレベルSHを超える場合を「1」、超えない場合を「0」と2値化して判定する。
【0126】
ステップS243は、ステップS242で2値化してしたもので一定時間の内、「1」と判定したものが0回であれば、印字ヘッド2が許容値まで乾燥できていると判断して、ステップS251に進む。「1」と判定したものが1回以上であれば、印字ヘッド2が許容値まで乾燥できていないと判断し、再度ステップS241を実行する。なお、再度のステップS241においては、例えば偏向電圧を印加した状態でエア供給ノズル73からエアを噴出させ続けて、決められた時間内に「1」と判定した物が無くなった時点で、ステップS251に進むようにしてもよい。
【0127】
図15において、「ステップS251~S253」については、実施例1の
図13で説明した「ステップS151~S153」と同じであるため、それらの説明を省略する。
【0128】
<実施例2の効果>
以上説明したように、本発明の実施例2によれば、インクジェット記録装置600は、印字ヘッド2をヘッド装着ユニット3にセットする事で、印字ヘッド2のインク68Aに汚れ量を少ない溶剤69Aの使用量で自動で判別し、自動で印字ヘッド2のインク汚れが落ちた事を判別するまで、ヘッド洗浄を実行することが可能なインクジェット記録装置600を提供することができる。
【0129】
また、本発明の実施例2によれば、インクジェット記録装置600は、印字ヘッド2をヘッド装着ユニットにセットした状態で、印字ヘッド2の乾燥状態を自動で判別し、自動で印字ヘッド2の乾燥した事を判別するまで、ヘッド乾燥を実施することが可能なインクジェット記録装置600を提供することができる。
【0130】
実施例3
【0131】
次に、本発明の実施例3におけるインクジェット記録装置600について説明する。実施例2においても、実施例1で説明した
図1~
図11と同様の構成を採用する。したがって、
図1~
図11についての説明は省略する。以下では、主として、実施例3の動作フローを中心に説明する。
【0132】
<実施例3の停止処理動作フロー説明>
次に、本実施例におけるインクジェット記録装置600の稼働停止処理の動作フローを、
図16を用いて説明する。
図16は、実施例3における稼働停止処理のフローチャート図である。
【0133】
図16において、先ず、ステップS301では、タッチパネル式である操作表示部8に表示された稼働停止処理を行う為の開始ボタンを押す。又は、ヘッド装着ユニット3に備えられた開始ボタン18を押す。稼働停止処理を行う為の開始ボタンが有効となる条件としては、インクジェット記録装置600は、ポンプ(供給用)34や電磁弁(供給用)49などのインク循環系部品に電源が供給されており、印字ヘッド2のノズル21からインクを噴出している状態となっていることである。
【0134】
図16において、「ステップS311~S314、ステップS321~S324」については、実施例1の
図13で説明した「ステップS101、ステップS111~S114、ステップS121~S124」と同じである。そのため、「ステップS311~S314、ステップS321~S324」の説明は省略する。
【0135】
ステップS331では、インク噴出停止ステップであり、印字ヘッド2のノズル21からのインク68Aの噴出を停止する処理を行う。
【0136】
ステップS332は、ノズル洗浄ステップであり、印字ヘッド2のノズル21に溶剤69Aを、切替弁26を経由して供給し、ノズル21の内側から洗浄を行う。
【0137】
図16において、「ステップS333~S335、ステップS341~S343」については、実施例2の
図15で説明した「ステップS231~S233、ステップS241~S243」と同じ動作である。そのため、「ステップS333~S335、ステップS341~S343」の説明は省略する。
【0138】
図16において、「ステップS351~S353」については、実施例1の
図13で説明した「ステップS151~S153」と同じ動作である。そのため、「ステップS351~S353」の説明は省略する。
【0139】
<実施例3の効果>
以上説明したように、本発明の実施例3によれば、インクジェット記録装置600は、稼働中(ノズル21からインク68Aを噴出している)の状態で、印字ヘッド2をヘッド装着ユニット3にセットする事で、インク噴出停止処理(ノズル21からインク68Aの噴出を停止させる処理)、ノズル洗浄処理(ノズル21から溶剤69Aを噴出させて経路内を洗浄する処理)、及びヘッド洗浄処理(洗浄ノズル72から溶剤69Aを噴出させて印字ヘッド2を外側から洗浄する処理)の一連の流れを自動で実施することが可能なインクジェット記録装置600を提供することができる。
【0140】
実施例4
【0141】
次に、本発明の実施例4におけるインクジェット記録装置600について説明する。この実施例4においても、実施例1で説明した
図1~
図11と同様の構成を採用する。したがって、
図1~
図11についての説明は省略する。実施例4については、主として、
図17~
図20を用いて説明する。
【0142】
<実施例4の位相探索方法>
本実施例におけるインクジェット記録装置600の位相探索方法について説明する。
図17は、励振信号と位相探索用帯電電圧の位相関係を示すタイムチャートである。
図17において、(a)は、帯電電圧印加タイミングを検出する例として、粒子化の基準となる励振信号である。(b)は、励振信号の1周期を拡大した図である。(c)は、励振信号の1周期を8分割し、各位相から始まる半周期分の帯電信号を印加する場合の各位相における帯電波形である。
【0143】
インクジェット記録装置600においては、最適な帯電電圧印加タイミングを検出するために、印字を行なっていない状態(印字と印字のインターバル等)において、粒子化の基準となる励振信号に対し、帯電位相をずらしてガター25を飛び越えない程度の帯電電圧をインク粒子68B1に印加し、各位相での微少な帯電電荷68B2の電荷量を検出している。つまり、位相探索用帯電電圧を発生して位相探索を行っている。
【0144】
この位相探索のための位相探索用帯電電圧を発生するために、位相探索用帯電信号発生回路341(
図3参照)は、励振電圧に対する位相を変えた複数種類の位相探索用帯電電圧を発生するための帯電信号を発生する。この位相探索用帯電電圧は、この帯電電圧で帯電したインク粒子68B1がガター25を飛び越えない(ガター25で捕捉できる)程度の偏向量となるような大きさとし、この帯電電圧で帯電したインク粒子68B1の微少な帯電電荷68B2の帯電量に応じて電荷センサ48から出力される位相検出信号を増幅回路353を介して位相判定回路351およびA/Dコンバータ352に入力する。
【0145】
増幅回路353から出力する位相検出信号の波形は、例えば、
図18の(a)~(c)に示すように変化する。インクジェット記録装置600が正常な状態にある場合には、位相検出信号の波形は、位相探索用帯電電圧の発生位相の変更に伴って
図18(a)に示すように変化する。
【0146】
位相判定回路351は、このような位相検出信号を入力し、入力した各位相の位相検出信号をスレッショルドレベルSHと比較して2値化して、スレッシュドレベルSHを超えたものを「1」、超えないものを「0」と判定して、MPU301に入力する。MPU301は、2値化された位相検出信号が「0」から「1」になった位相をインク粒子68Bを帯電させる帯電電圧発生に最適な位相であると判断し、その位相でその後の印字用帯電電圧を発生するように印字用帯電信号を発生する。
【0147】
そして、インクジェット記録装置600が異常な状態にある場合には、位相検出信号の波形は、
図18の(b)又は(c)に示すような状態になる。
【0148】
図18の(b)は、スレッショルドレベルを超えて「1」と判定されたものが1つも無い状態を示している。例えば、ノズル21から噴出されたインク粒子68Bが本来飛翔する方向からずれてしまい、ガター25で回収できずに飛び散ってしまう場合(このような現象をビーム曲がりと言う)がある。このような状態では、電荷センサ48でインク粒子68B1の帯電信号を検出できずに、
図18の(b)のような位相検出信号の波形になる。
【0149】
図18の(c)は、全て(8個)の信号が、スレッショルドレベルを超えて「1」と判定された状態を示している。例えば、印字ヘッド2がインク68Aで汚れている状態で、偏向電極24に偏向電圧(1~7kV)を印加した場合には電圧がリークしてしまう。そして、電荷センサ48では、インク粒子68B1とは違う電圧をノイズとして検出してしまい、
図18の(c)のような位相検出信号の波形になる。
【0150】
<実施例4の画面構成>
実施例4に係るにインクジェット記録装置600のヘッド装着ユニット3内インク噴出開始設定画面について、
図19を用いて説明する。なお、
図19の画面は、操作表示部8で表示させるようにしている。
【0151】
まず、ヘッド装着ユニット3内インク噴出開始設定画面の「(1)ヘッド装着ユニット内インク噴出開始方法選択」欄にて、「(a)インク噴出、(b)ヘッド洗浄+インク噴出」のいずれかを選択する。「(a)インク噴出」に設定した場合、ヘッド洗浄処理は実施せずにインク噴出処理のみを実行する。そして、「(b)ヘッド洗浄+インク噴出」を選択した場合には、ヘッド洗浄処理を実行した後で、インク噴出処理を実行する。
【0152】
次に、ヘッド装着ユニット3内インク噴出開始設定画面の「(2)インク噴出開始時間設定」欄にて、「(c)今すぐ、(d)日時予約」のいずれかを選択する。「(c)今すぐ」に設定した場合、「(f)決定」ボタンを押すと、すぐにヘッド装着ユニット内にてインク噴出開始処理が始まる。そして、「(d)日時予約」を選択した場合には、ヘッド装着ユニット内インク噴出開始を実行したい「何年何月何日何時何分」を設定する事ができる。
【0153】
次に、ヘッド装着ユニット内インク噴出開始設定画面の「(3)異常発生時の再トライ回数設定」欄にて、「(e)回数設定」で0~5回の範囲で設定することができる。
【0154】
そして、ヘッド装着ユニット内インク噴出開始設定画面の(1)~(3)の設定が一通り完了した後に「(f)決定、(g)キャンセル」のいずれかのボタンを押す。「(f)決定」ボタンを押した場合には、表示されている(1)~(3)の設定を制御部7に上書きして、次にヘッド装着ユニット内インク噴出開始を実行したときには、設定事項を反映させる。また、「(g)キャンセル」ボタンを押した場合には、表示されている(1)~(3)の設定を制御部7に上書きしないで、次にヘッド装着ユニット内インク噴出開始を実行したときには、前に「(f)決定」ボタンを押した時の設定内容(画面に表示)を引き続き使用する。
【0155】
<実施例4の稼働開始フロー説明>
次に、本実施例におけるインクジェット記録装置600の稼働開始(インク噴出開始)処理の動作フローについて、
図20を用いて説明する。
図20は、実施例4における稼働開始処理のフローチャート図である。
【0156】
図20において、先ず、ステップS401では、操作表示部8に表示された稼働開始(インク噴出開始)処理を行う為の開始ボタンを押す。又は、ヘッド装着ユニット3に備えられた開始ボタン18を押す。稼働開始(インク噴出開始)処理を行う為の開始ボタンが有効となる条件としては、インクジェット記録装置600は印字ヘッド2のノズル21からのインク噴出が停止しており、ポンプ(供給用)34や電磁弁(供給用)49などのインク循環系部品に電源が供給されておらず、稼働していない状態となっていることである。
【0157】
図20において、「ステップS411~S414、ステップS421~S424」については、実施例1の
図13で説明した「ステップS111~S114、ステップS121~S124」と同じ動作である。そのため、「ステップS411~S414、ステップS421~S424」の説明は省略する。
【0158】
ステップS431では、
図19で示したヘッド装着ユニット内インク噴出開始設定画面の「(2)インク噴出開始時間設定欄」で設定している内容が、「(c)今すぐ」であればステップS441に進み、「(d)日時予約」であれば次にインク噴出を開始する日時を設定してステップS432に進む。
【0159】
ステップS432では、インクジェット記録装置600は休止状態(印字ヘッド2のノズル21からのインク噴出が停止しており、ポンプ(供給用)34や電磁弁(供給用)49などのインク循環系部品に電源が供給されておらず、稼働していない状態)で、ステップS431で設定した日時になるまで、待機する。
【0160】
ステップS433では、ステップS431で設定した日時になったかどうかを確認し、設定した予約時間になっていれば「YES」と判定してステップS441に進む。設定した予約時間になっていなければ「NO」と判定してステップS432を再度実行する。
【0161】
ステップS441では、
図19で示したヘッド装着ユニット内インク噴出開始設定画面の「(1)ヘッド装着ユニット内インク噴出開始方法選択欄」で設定している内容が、「(a)インク噴出」であればステップS451に進み、「(b)ヘッド洗浄+インク噴出」であれば次にインク噴出を開始する日時を設定してステップS442に進む。
【0162】
ステップS442では、実施例2の
図19で説明した「ステップS231~S233、ステップS241~S243」を実施する。
【0163】
ステップS451では、ノズル21からインク粒子68Bの噴出を開始する。帯電電極23では、インク粒子68Bに位相探索用の帯電電荷を印加し、電荷センサ48でその信号を検出する。そして、偏向電極24では、偏向電圧(1~7kV)を印加する。
【0164】
ステップS452では、
図18で説明したように、電荷センサ48で位相検出データを検出し、スレッショルドレベルSHを超える物を「1」、超えない物を「0」と2値化して判定する。
【0165】
ステップS461は、ステップS452で2値化したもので1周期(8位相)のうち「1」と判定されたものの数をカウントし、「1」が1位相以上あるかどうかを確認する。1位相以上ある場合は、「YES」(インク粒子68Bがガター25で捕捉できている)と判断され、ステップS481へと進む。もし「1」が0位相の場合は、「NO」(インク粒子68Bがガター25で捕捉できていない)と判断され、ステップS462に進む。
【0166】
ステップS462では、異常を検出した状態となっている為に、ノズル21からのインク噴出を停止させる。
【0167】
ステップS463では、
図19で示したヘッド装着ユニット内インク噴出開始設定画面の(3)異常発生時の再トライ回数欄で「(e)回数設定」に入力した回数(例えば2回)を確認する。S462のインク噴出停止の回数が、「(e)回数設定」に入力した回数(例えば2回)以下であれば再度ステップS442を実行する。そして、S462のインク噴出停止の回数が、「(e)回数設定」に入力した回数(例えば2回)よりも多ければ、ステップS471に進む。
【0168】
ステップS471では、ヘッド洗浄処理を実行した後、本体1の操作表示部8又はヘッド装着ユニット3の表示部20に、稼働開始(インク噴出開始)処理が失敗したことを知らせる為に異常確認メッセージを表示する。
【0169】
ステップS472では、インクジェット記録装置600は印字ヘッド2のノズル21からのインク噴出が停止しており、ポンプ(供給用)34や電磁弁(供給用)49などのインク循環系部品に電源が供給されておらず、稼働していない状態で待機する。
【0170】
ステップS481では、ステップS452で2値化したもので1周期(8位相)のうち「1」と判定されたものの数をカウントし、「1」が7位相以下かどうかを確認する。7位相以下の場合は、「YES」(印字ヘッド2の汚れは少ない)と判断され、ステップS482へと進む。もし「1」が8位相以上の場合は、「NO」(印字ヘッド2の汚れが多い)と判断され、ステップS462に進む。
【0171】
ステップS482は、印字ヘッド2のノズル21からインクを噴出し、インク粒子68Bをガター25で捕捉し、正常な帯電位相探索が行われている状態になって、稼働開始(インク噴出開始)処理が完了したことを示す。
【0172】
<実施例4の効果>
以上説明したように、本発明の実施例4によれば、インクジェット記録装置600は、印字ヘッド2をヘッド装着ユニット3にセットした状態で稼働開始(インク噴出開始)処理を行う事で、仮にビーム曲がり(ノズル21から噴出するインク粒子68Bがガター25に入らずに、印字ヘッド2をインクで汚してしまうような事)が発生したとしても、印字ヘッド2の周辺の設備を汚すような事態を防止するインクジェット記録装置600を提供することができる。
【0173】
また、本発明の実施例4によれば、インクジェット記録装置600は、印字ヘッド2をヘッド装着ユニット3にセットした状態で稼働開始(インク噴出開始)処理を行う事で、仮にビーム曲がりが発生したとしても、自動でヘッド洗浄などの修復処理を実行することが可能なインクジェット記録装置600を提供することができる。
【0174】
実施例5
【0175】
次に、本発明の実施例5におけるインクジェット記録装置600について説明する。この実施例5においても、実施例1で説明した
図1~
図11と同様の構成を採用する。したがって、
図1~
図11についての説明は省略する。また、上述した実施例1~実施例4と共通する部分についての説明は省略する。実施例5については、主として、
図21~
図25を用いて説明する。
【0176】
<動作及び液の流れ>
まず、印字ヘッド2がヘッド装着ユニット3にセットされた状態で、本体1及び印字ヘッド2のインク循環を実行している時の動作について、
図21~
図23を用いて説明する。
図21は、実施例5における本体内インク循環が行われているときの液の流れを太線で示す流体経路図である。
図22は、実施例5における本体及び印字ヘッドのインク循環が行われているときの液の流れ及び気体の流れを太線で示す流体経路図である。
図23は、実施例5におけるノズル洗浄及び循環経路洗浄が行われているときのインクの流れを示す図である。
【0177】
図21は、実施例5におけるインクジェット記録装置600が、印字ヘッド2をヘッド装着ユニット3にセットした状態となっており、本体1内インク循環が行われているときの液の流れを太線(C1~C2)で示す流体経路図である。
【0178】
本体1においては、電磁弁(供給用)49と電磁弁(本体循環用)58が通電されて流路を開放し、ポンプ(供給用)34とポンプ(回収用)35を稼働する事で、矢印C1の太線で示したように、本体1のインク容器31に収容されたインク68Aが、電磁弁(供給用)49、ポンプ(供給用)34、フィルタ(供給用)39、調圧弁46、圧力センサ47、電磁弁(本体循環用)58、ポンプ(回収用)35を通過して、インク容器31に戻ることで、インク68Aを循環するようにしている。
【0179】
また、本体1においては、電磁弁(粘度測定用)57が通電されて流路を開放し、ポンプ(循環用)36を稼働する事で、矢印C2の太線で示したように、本体1のインク容器31に収容されたインク68Aが、粘度測定器45、電磁弁(粘度測定用)57、ポンプ(循環用)36を通過して、インク容器31に戻ることで、インク68Aを循環するようにしている。また、この本体1内のインク循環のタイミングで、粘度測定器45を用いてインク68Aの粘度を測定しておくと、次に使用する時にインク68Aの状態を把握しやすくなる。
【0180】
次に、
図22は、本実施例におけるインクジェット記録装置600が、印字ヘッド2をヘッド装着ユニット3にセットした状態となっており、本体及び印字ヘッドのインク循環が行われているときの液の流れを太線(D1~D7)で示す流体経路図である。
【0181】
インク供給経路(経路801~804)においては、電磁弁(供給用)49が通電されて流路を開放し、切替弁26が通電されてインク供給経路がノズル21と接続された状態となり、ポンプ(供給用)34を稼働することで、矢印D1の太線で示したように、本体1のインク容器31に収容されたインク68Aが印字ヘッド2のノズル21に供給されて、インク粒子68Bとしてノズル21から吐出される。インク粒子68Bは、帯電電極23により電圧を印加された状態になり、その帯電量を電荷センサ48で確認する。
【0182】
インク回収経路811~812においては、電磁弁(回収用)50が通電されて流路を開放し、ポンプ(回収用)35を稼働することで、矢印D2の太線で示したように、インク粒子68Bと印字ヘッド2周辺のエア(空気)がガター25から吸引され、本体1のインク容器31に吸引、圧送される。インク回収経路811~812では、インク68Aと空気が気液混合の状態で流れるため、空気にインク68Aの溶剤成分が溶け込み、空気は溶剤ガスとなり、インク容器31に流入する。インク容器31に流入したインクは底部に収容されて、溶剤ガスとなった空気は、矢印D3の太線で示したように溶剤ガスとして本体1の外部に排出される。
【0183】
インクジェット記録装置600では、このようにインク68Aの中の溶剤成分が溶剤ガスとして機外に排出されるため、運転時間が長くなるとインク68Aの中の溶剤成分の比率が少なくなり、インク68Aの濃度が濃い状態になってしまう。また逆に、運転時間が短いとノズル洗浄処理などでインク容器31に流入した溶剤69Aによって、インクの濃度が低い状態になってしまう。そのため、経路(粘度測定用)824および822では、電磁弁(粘度測定用)57が通電されて流路を開放し、ポンプ(循環用)36を稼働することで、矢印D5の太線で示したように、粘度測定器45にインク容器31内のインク68Aを送り、定期的にインク68Aの粘度(濃度に換算)を測定するようにしている。この測定された粘度の検出値は、制御部7に入力される。その結果、制御部7は、インク68Aの濃度が薄い場合には、補助インク容器32内のインク68Cをインク容器31に補給し、インク68Aの濃度が濃い場合には、矢印D7の太線で示したように溶剤容器33内の溶剤69Aをインク容器31に補給するように制御する。このように、インクジェット記録装置600においては、インク68Aの粘度が管理値の範囲内におさまるように制御している。
【0184】
また、インク循環経路821~822においては、矢印D1の太線で示したようにインク容器31からノズル21にインク68Aが供給されている状態で、電磁弁(循環用)59が通電されて流路を開放し、ポンプ(循環用)36を稼働することで、ノズル21に供給されたインク68Aの少なくも一部がポンプ(循環用)36に吸引されて、矢印D3の太線で示した流れでインク容器31に戻るように、インク68Aを循環している。また、切替弁26を通電する前に、電磁弁(本体循環用)58を通電して流路を開放し、ポンプ(循環用)36を稼働することで、矢印D6の太線で示したように、経路(本体循環用)808についてもインク68Aを循環させることができる。
【0185】
次に、
図23は、実施例5におけるインクジェット記録装置600が、印字ヘッド2をヘッド装着ユニット3にセットした状態となっており、ノズル洗浄及び循環経路洗浄が行われているときのインクの流れを太線(E1~E7)で示す図である。
【0186】
ノズル洗浄経路(経路831及び835)においては、電磁弁(ノズル洗浄用)55が通電されて流路を開放し、ポンプ(溶剤用)37を稼働する事で、矢印E1の太線で示したように、本体1の溶剤容器33に収容された溶剤69Aが、印字ヘッド2に供給されてノズル21から吐出される。そして、インク回収用の経路811~812においては、電磁弁(回収用)50が通電されて流路を開放し、ポンプ(回収用)35を稼働することで、矢印E1の太線で示したように、ノズル21から吐出された溶剤69Aをガター25で捕捉してインク容器31に回収するようにしている。
【0187】
インク循環経路821~822においては、矢印E1の太線で示したように溶剤容器33からノズル21に溶剤69Aが供給されている状態で、電磁弁(循環用)59が通電されて流路を開放し、ポンプ(循環用)36を稼働することで、ノズル21に供給された溶剤69Aの少なくも一部がポンプ(循環用)36に吸引されて、矢印E3の太線で示した流れでインク容器31に回収するようにしている。このように、インクジェット記録装置600は、溶剤69Aを使用して、ノズル21及びインク経路(回収用)811~812、経路(インク循環用)821~822を洗浄することができる。
【0188】
また、経路(ノズル21及びインク回収経路811~812、インク循環経路821~822)の洗浄が完了した後、本体1においては、電磁弁(供給用)49と電磁弁(本体循環用)58が通電されて流路を開放し、ポンプ(供給用)34とポンプ(回収用)35を稼働する事で、矢印E7の太線で示したように、本体1のインク容器31に収容されたインク68Aを循環するようにしている。
【0189】
また、更に、本体1においては、電磁弁(粘度測定用)57が通電されて流路を開放し、ポンプ(循環用)36を稼働する事で、矢印E6の太線で示したように、本体1のインク容器31に収容されたインク68Aを粘度測定器45に供給し、この本体1内のインク循環のタイミングで、粘度測定器45を用いてインク68Aの粘度を測定しておき、次に使用するときにインク68Aの状態を把握しておく。
【0190】
<実施例5の画面構成>
実施例5に係るにインクジェット記録装置600のヘッド装着ユニット内長期停止時のインク循環機能設定画面について、
図24を用いて説明する。なお、
図24の画面は、操作表示部8で表示させるようにしている。
【0191】
まず、ヘッド装着ユニット内長期停止時のインク循環機能設定画面の「(1)インク循環開始時間設定欄」にて、「(a)何時何分」を入力する。
【0192】
次に、ヘッド装着ユニット内長期停止時のインク循環機能設定画面の「(2)異常発生時の再トライ回数設定欄」にて、「(b)回数設定」で0~5回の範囲で設定することができる。
【0193】
次に、ヘッド装着ユニット内長期停止時のインク循環機能設定画面の「(3)次の立上げ日時予約欄」にて、「(c)しない、(d)日時予約」のいずれかを選択する。「(c)しない」に設定した場合、ヘッド装着ユニット内長期停止時のインク循環機能は実行するが、決められた時間での立上げ(インク噴出開始)処理は実施しない。「(d)日時予約」を選択した場合には、ヘッド装着ユニット内インク噴出開始を実行したい「何年何月何日何時何分」を設定する事ができる。
【0194】
そして、ヘッド装着ユニット内長期停止時のインク循環機能設定画面の(1)~(3)の設定が一通り完了した後に「(e)決定、(f)キャンセル」のいずれかのボタンを押す。「(e)決定」ボタンを押した場合には、表示されている(1)~(3)の設定を制御部7に上書きして、ヘッド装着ユニット内長期停止時のインク循環機能を開始する。また、「(f)キャンセル」ボタンを押した場合には、表示されている(1)~(3)の設定を制御部7に上書きしないで、ヘッド装着ユニット内長期停止時のインク循環機能は開始しない。
【0195】
<実施例5の長期稼働停止時のインク循環開始フロー説明>
次に、本実施例におけるインクジェット記録装置600の長期稼働停止時のインク循環開始処理の動作フローについて、
図25を用いて説明する。
図25は、実施例5における長期稼働停止時のインク循環のフローチャート図である。
【0196】
図25において、先ず、ステップS501では、タッチパネル式である操作表示部8に表示された長期稼働停止時のインク循環開始処理を行う為の開始ボタンを押す。長期稼働停止時のインク循環開始処理を行う為の開始ボタンが有効となる条件としては、インクジェット記録装置600は印字ヘッド2のノズル21からのインク噴出が停止しており、ポンプ(供給用)34や電磁弁(供給用)49などのインク循環系部品に電源が供給されておらず、稼働していない状態となっていることである。
【0197】
図25において、「ステップS511~S514、ステップS521~S524」については、実施例1の
図13で説明した「ステップS111~S114、ステップS121~S124」と同じである。そのため、「ステップS511~S514、ステップS521~S524」については説明を省略する。
【0198】
ステップS531では、
図24で示したヘッド装着ユニット内長期停止時のインク循環機能設定画面の「(3)次の立上げ日時予約欄」で「(d)日時予約」の内容ついて設定されていることを確認する。そして、設定した予約時間になっていれば「YES」と判定してステップS532に進む。設定した予約時間になっていなければ「NO」と判定してステップS541に進む。なお、
図24で示した(3)次の立上げ日時予約欄で設定している内容が、「(c)しない」の場合についても「NO」と判定してステップS541に進む。
【0199】
ステップS541では、
図24で示したヘッド装着ユニット内長期停止時のインク循環機能設定画面の「(1)インク循環開始時間設定欄」で「(a)何時何分」の設定内容ついて確認する。インクジェット記録装置600は休止状態(印字ヘッド2のノズル21からのインク噴出が停止しており、ポンプ(供給用)34や電磁弁(供給用)49などのインク循環系部品に電源が供給されておらず、稼働していない状態)で、設定した時間になるまで、待機する。
【0200】
ステップS542は、
図21で説明した本体1内のインク循環を実施する。
【0201】
ステップS543では、S541と同じ処理を実行する。
【0202】
ステップS544では、ステップS541で確認した時間になった為、インク噴出処理を開始する。
【0203】
ステップS551では、実施例4の
図20で説明した「ステップS441~S442、ステップS451~S452、ステップS461~S463、ステップS71~S472、ステップS481~S482」を実施する。
【0204】
ステップS552では、
図22で説明した本体1及び印字ヘッド2のインク循環を実施する。
【0205】
ステップS561は、粘度測定器45を使用してインク68Aの粘度を測定する。制御部7で記録されているインク種類ごとの温度と粘度の関係を基にインク濃度を算出する。
【0206】
ステップS562では、ステップ561で算出したインク濃度があらかじめ決められた閾値よりも高いかどうかを判定する。閾値よりも高い場合には「YES」と判定されて、ステップS571に進む。閾値よりも低い場合には「NO」と判定されて、再度ステップS552を実行する。インクジェット記録装置600においては、
図22で説明したインク循環を行うことで、インク68Aのインク濃度を高める事ができる。
【0207】
ステップS571では、切替弁26の通電を切断する事で、ノズル21からのインク噴出を停止させる。
【0208】
ステップS572では、
図23で説明したノズル洗浄及び循環経路洗浄を実施し、再度ステップS531を実行する。
【0209】
ステップS532では、実施例4の
図20で説明した「ステップS441~S442、ステップS451~S452、ステップS461~S463、ステップS71~S472、ステップS481~S482」を実施する。
【0210】
ステップS533は、印字ヘッド2のノズル21からインクを噴出し、インク粒子68Bをガター25で捕捉し、正常な帯電位相探索が行われている状態になって、稼働開始(インク噴出開始)処理が完了したことを示す。
【0211】
<実施例5の効果>
以上説明したように、本発明の実施例5によれば、インクジェット記録装置600は、印字ヘッド2をヘッド装着ユニット3にセット(装着)した状態で、長期間使用しない場合にインク循環系部品の固着防止の為に、一定時間経過時に本体1及び印字ヘッド2のインク循環を自動で実行し、仮にビーム曲がり等のトラブルが発生した場合には自動で修復して再び一定時間経過時に本体1及び印字ヘッド2へのインク循環を再開することができるインクジェット記録装置600を提供することができる。
【0212】
また、本発明の実施例5によれば、予約設定した稼働開始(インク噴出開始)日時まで、一定時間経過時に本体1及び印字ヘッド2のインク循環を自動で実行し、稼働開始時の不具合を低減する事が可能なインクジェット記録装置600を提供することができる。
【0213】
他の実施例
【0214】
以上、実施例1~実施例5について説明したが、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。また、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0215】
1…本体、2…印字ヘッド、3…ヘッド装着ユニット、4…回収容器、5…ケーブル(印字ヘッド用)、6…ケーブル(ヘッド装着ユニット用)、7…制御部、8…操作表示部、11…ベルトコンベア、12A…印字対象物、12B…印字対象物、13…印字ヘッド固定用金具、16…ヘッドベース、17…保護カバー、18…開始ボタン、19…停止ボタン、20…表示部、21…ノズル、23…帯電電極、24…偏向電極、24A…プラス電極、24B…グランド電極、25…ガター、26…切替弁、27…温度センサA、28…磁気センサC、28A…電線、31…インク容器、31A…液面レベルセンサ、32…補助インク容器、33…溶剤容器、34…ポンプ(供給用)、35…ポンプ(回収用)、36…ポンプ(循環用)、37…ポンプ(溶剤用)、39…フィルタ(供給用)、40…フィルタ(回収用)、41…フィルタ(ノズル洗浄用)、43…フィルタ(ヘッド洗浄用)、45…粘度測定器、46…調圧弁、47…圧力センサ、48…電荷センサ、49…電磁弁(供給用)、50…電磁弁(回収用)、53…電磁弁(溶剤補給用)、54…電磁弁(インク補給用)、55…電磁弁(ノズル洗浄用)、56…電磁弁(ヘッド洗浄用)、57…電磁弁(粘度測定用)、58…電磁弁(本体循環用)、59…電磁弁(循環用)、60…ポンプ(乾燥用)、61…ポンプ(吸引用)、62…排気ダクト接続部、68A…インク、68B…インク粒子、68B1…インク粒子、68B2…帯電電荷、68C…インク、69A…溶剤、70…液、71…洗浄槽、71A…取付部、72…洗浄ノズル、72A…液吐出穴A部、72B…液吐出穴B部、73…エア供給ノズル、73A…エア吐出穴、74…フロート、75…磁石A、76…磁気センサA、76A…電線、77…容器、77A…取付部、77B…液貯留部、77C…内ネジ部、78…仕切り、78A…液流入穴部、78B…液流出穴部、79…ホルダー、80…温度センサB、80A…電線、81…洗浄ブロック、81A…ヘッド装着部、81B…ヘッド挿入部、81C…穴部、81D…流路A部、81E…流路B部、81F…流路C部、82…蓋ヒンジ、83…蓋部材、84…磁気センサB、84A…電線、85…カバー、86…磁石B、87…磁石C、88…吸引継手、88A…チャンバー、88B…継手A部、88C…継手B部、89…液継手、90…エア継手、91…固定部、92…固定用治具(コンベア用)、93…篏合部、301…MPU、302…バスライン、306…ROM、307…RAM、311…粘度測定回路、312…圧力検出回路、313…液面検出回路、314…ポンプ制御回路、315…電磁弁駆動回路、321…エアポンプ制御回路、322…回収容器センサ検出回路、323…印字ヘッド検出回路、324…ヘッド装着ユニット検出回路、331…励振電圧発生回路、332…偏向電圧発生回路、341…位相探索用帯電信号発生回路、342…印字用帯電信号発生回路、343…D/Aコンバータ、344…増幅回路、351…位相判定回路、352…A/Dコンバータ、353…増幅回路、600…インクジェット記録装置、801~804…経路(供給用)、806…経路(補給用)、808…経路(本体循環用)、811~812…経路(回収用)、814…経路(排気用)、821~822…経路(ヘッド循環用)、824…経路(粘度測定用)、831…経路(溶剤供給用)、833…経路(溶剤補給用)、835…経路(ノズル洗浄用)、837…経路(ヘッド洗浄用)、841…経路(エア供給用)、843…経路(エア吸引用)、901~903…合流経路、921~922…分岐経路
【手続補正書】
【提出日】2024-03-14
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを粒子化して吐出するノズルと、前記ノズルから吐出されたインク粒子を帯電させる帯電電極と、前記帯電電極で帯電された前記インク粒子を偏向する偏向電極と、前記インクを回収するガターとを有する印字ヘッドと、
インク容器内の前記インクを前記ノズルに供給するインク供給経路と、前記ガターが回収した前記インクを前記インク容器に回収するインク回収経路と、溶剤容器内の溶剤を供給する溶剤供給経路と、を有する本体と、
前記印字ヘッドを装着するヘッド装着ユニットと、を備えたインクジェット記録装置であって、
前記ヘッド装着ユニットは、
前記印字ヘッドを装着した状態で前記印字ヘッドの洗浄処理を実行し、
前記インクジェット記録装置は、
前記洗浄処理が実行された後に電源が切断される、インクジェット記録装置。
【請求項2】
前記印字ヘッドは、
前記洗浄処理の前に前記印字ヘッドが前記ヘッド装着ユニットに装着された状態で前記ノズルから前記インク粒子を吐出する、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記印字ヘッドは、
前記印字ヘッドが前記ヘッド装着ユニットに装着されている状態で前記ノズルから吐出される前記インクを前記溶剤に切り替える、請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記ヘッド装着ユニットは、
前記印字ヘッドを乾燥させる空気を吐出するエア吐出口を有し、
設定画面で前記電源を「切断する」が選択された場合、前記洗浄処理および前記乾燥がなされた後に、前記インクジェット記録装置の前記電源が切断される、請求項1~請求項3のいずれか1つに記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記ヘッド装着ユニットは、
前記洗浄処理で使用された前記溶剤が収容される回収容器と、前記回収容器が前記ヘッド装着ユニットに装着されていることを検知する回収容器装着検出部を有する、請求項1~請求項4のいずれか1つに記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記ヘッド装着ユニットは、
前記回収容器に収容された前記溶剤が所定量以上になったことを検知する液量検知部を有する、請求項5に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記ヘッド装着ユニットは、
前記印字ヘッドが装着されているかどうかを検出するヘッド装着検知部を有する、請求項1~請求項6のいずれか1つに記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
前記本体は、
前記インクジェット記録装置の情報を表示する操作表示部を更に有し、
前記操作表示部は、
前記洗浄処理が完了した後の前記インクジェット記録装置の前記電源を「切断する」または「切断しない」を設定する設定画面を表示し、
前記設定画面で前記電源を「切断する」が選択された場合、前記洗浄処理が完了した後に、前記インクジェット記録装置の前記電源が切断される、請求項1~請求項7のいずれか1つに記載のインクジェット記録装置。
【請求項9】
前記設定画面は、
前記印字ヘッドの前記洗浄処理がなされる前に表示される、請求項8に記載のインクジェット記録装置。
【請求項10】
インクを粒子化して吐出するノズルと、前記ノズルから吐出されたインク粒子を帯電させる帯電電極と、前記帯電電極で帯電された前記インク粒子を偏向する偏向電極と、前記インクを回収するガターとを有する印字ヘッドと、
インク容器内の前記インクを前記ノズルに供給するインク供給経路と、前記ガターが回収した前記インクを前記インク容器に回収するインク回収経路と、溶剤容器内の溶剤を供給する溶剤供給経路と、を有する本体と、
前記印字ヘッドを装着するヘッド装着ユニットと、を備えた記録装置であって、
前記ヘッド装着ユニットは、
前記印字ヘッドを装着した状態で前記印字ヘッドの洗浄処理を実行し、
前記記録装置は、
前記洗浄処理が実行された後に電源が切断される、記録装置。
【請求項11】
前記印字ヘッドは、
前記洗浄処理の前に前記印字ヘッドが前記ヘッド装着ユニットに装着された状態で前記ノズルから前記インク粒子を吐出する、請求項10に記載の記録装置。
【請求項12】
前記印字ヘッドは、
前記印字ヘッドが前記ヘッド装着ユニットに装着されている状態で前記ノズルから吐出される前記インクを前記溶剤に切り替える、請求項11に記載の記録装置。
【請求項13】
前記ヘッド装着ユニットは、
前記印字ヘッドを乾燥させる空気を吐出するエア吐出口を有し、
設定画面で前記電源を「切断する」が選択された場合、前記洗浄処理および前記乾燥がなされた後に、前記記録装置の前記電源が切断される、請求項10~請求項12のいずれか1つに記載の記録装置。
【請求項14】
前記ヘッド装着ユニットは、
前記洗浄処理で使用された前記溶剤が収容される回収容器と、前記回収容器が前記ヘッド装着ユニットに装着されていることを検知する回収容器装着検出部を有する、請求項10~請求項13のいずれか1つに記載の記録装置。
【請求項15】
前記ヘッド装着ユニットは、
前記回収容器に収容された前記溶剤が所定量以上になったことを検知する液量検知部を有する、請求項14に記載の記録装置。
【請求項16】
前記ヘッド装着ユニットは、
前記印字ヘッドが装着されているかどうかを検出するヘッド装着検知部を有する、請求項10~請求項15のいずれか1つに記載の記録装置。
【請求項17】
前記本体は、
前記記録装置の情報を表示する操作表示部を更に有し、
前記操作表示部は、
前記洗浄処理が完了した後の前記記録装置の前記電源を「切断する」または「切断しない」を設定する設定画面を表示し、
前記設定画面で前記電源を「切断する」が選択された場合、前記洗浄処理が完了した後に、前記記録装置の前記電源が切断される、請求項10~請求項16のいずれか1つに記載の記録装置。
【請求項18】
前記設定画面は、
前記印字ヘッドの前記洗浄処理がなされる前に表示される、請求項17に記載の記録装置。