(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053047
(43)【公開日】2024-04-12
(54)【発明の名称】時刻記録管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20230101AFI20240405BHJP
【FI】
G06Q10/06
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024034855
(22)【出願日】2024-03-07
(62)【分割の表示】P 2020062342の分割
【原出願日】2020-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000101617
【氏名又は名称】アマノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100139365
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 武雄
(72)【発明者】
【氏名】光岡 大輔
(72)【発明者】
【氏名】田中 泰輔
(72)【発明者】
【氏名】戸田 宏平
(57)【要約】
【課題】識別媒体の発行時における発行者の負担を軽減する。
【解決手段】勤怠管理システムにおいて、管理者は、タイムカード(識別媒体)の発行時に管理装置を操作し、タイムカードのカードIDを入力する。管理装置は、管理者により入力されたカードIDをカード登録情報に追加する。また、従業員は、タイムカードの利用を開始した後に、入出力装置を操作し、自己の従業員ID、および自己が利用を開始したタイムカードのカードIDを入力する。入出力装置は、従業員により入力された従業員IDおよびカードIDを管理装置に送信する。管理装置は、カード登録情報に含まれているカードIDの中から、入出力装置から送信されたカードIDと一致するカードIDを特定し、入出力装置から送信された従業員IDを、その特定したカードIDと関連付けてカード登録情報に追加する。管理装置は、打刻情報およびカード登録情報に基づいて従業員勤怠情報を生成する。
【選択図】
図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時刻送信装置、入出力装置および時刻記録管理装置を備えた時刻記録管理システムであって、
前記時刻送信装置は、
利用者が利用している識別媒体から当該識別媒体の媒体識別情報を読み取る媒体識別情報読取部と、
前記媒体識別情報読取部により読み取られた媒体識別情報、および前記媒体識別情報読取部による媒体識別情報の読取時の時刻を示す時刻情報を前記時刻記録管理装置へ送信する第1の送信部とを備え、
前記入出力装置は、
前記利用者が当該入出力装置に情報を入力する入力部と、
前記利用者が前記入力部により自己の利用者識別情報を入力した場合に、当該入力された利用者識別情報を前記時刻記録管理装置に送信し、前記利用者が前記入力部により自己が利用している識別媒体の媒体識別情報を入力した場合に、当該入力された媒体識別情報を前記時刻記録管理装置に送信する第2の送信部とを備え、
前記時刻記録管理装置は、
記憶部と、
複数の識別媒体の媒体識別情報を含む識別媒体登録情報を生成し、当該生成した識別媒体登録情報を前記記憶部に記憶する識別媒体登録情報生成部と、
前記第1の送信部から送信された媒体識別情報と時刻情報とを互いに関連付けることにより前記利用者の打刻情報を生成し、当該生成した打刻情報を前記記憶部に記憶する打刻情報生成部と、
前記識別媒体登録情報に含まれている複数の識別媒体の媒体識別情報の中から、前記第2の送信部から送信された媒体識別情報と一致する媒体識別情報を特定し、前記第2の送信部から送信された前記利用者の利用者識別情報を、前記特定した媒体識別情報と関連付けて前記識別媒体登録情報に追加することにより前記識別媒体登録情報を更新する識別媒体登録情報更新部と、
前記記憶部に記憶された前記利用者の打刻情報における識別媒体情報と時刻情報との関連付け、および前記記憶部に記憶された前記識別媒体登録情報に含まれている媒体識別情報と前記利用者の利用者識別情報との関連付けに基づいて、前記識別媒体登録情報に含まれている前記利用者の利用者識別情報と前記利用者の打刻情報における時刻情報とを関連付けることにより、前記利用者が特定の行為を行った時刻を含む特定行為情報を生成し、当該生成した特定行為情報を前記記憶部に記憶する特定行為情報生成部とを備えていることを特徴とする時刻記録管理システム。
【請求項2】
前記時刻送信装置はタイムレコーダであり、
前記識別媒体はタイムカードであり、
前記識別媒体の媒体識別情報は前記タイムカードに印刷されており、
前記時刻送信装置は、
前記タイムカードを挿入するカード挿入部と、
前記カード挿入部に挿入された前記タイムカードに時刻を印字する印字部とを備え、
前記媒体識別情報読取部は前記カード挿入部に挿入された前記タイムカードに印刷されている前記媒体識別情報を読み取ることを特徴とする請求項1に記載の時刻記録管理システム。
【請求項3】
前記特定行為情報生成部は、前記記憶部に記憶された前記利用者の打刻情報における識別媒体情報と時刻情報との関連付け、および前記記憶部に記憶された前記識別媒体登録情報に含まれている媒体識別情報と前記利用者の利用者識別情報との関連付けに基づいて、前記識別媒体登録情報に含まれている前記利用者の利用者識別情報と前記利用者の打刻情報における時刻情報とを関連付けることにより、前記利用者の勤怠情報を生成し、当該生成した勤怠情報を前記記憶部に記憶することを特徴とする請求項1に記載の時刻記録管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば出勤時刻および退勤時刻等、時刻の記録を管理する時刻記録管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
タイムレコーダおよびコンピュータを備え、企業等に勤務する従業員の勤怠管理を行う勤怠管理システムは知られている。勤怠管理システムにおいて、タイムレコーダは、従業員がタイムカードをタイムレコーダに挿入したときに出勤時刻等をタイムカードに印字する機能を有している。さらに、タイムレコーダは、タイムカードに印字した出勤時刻等を示す時刻情報を、タイムカードのカードIDと共にコンピュータに送信する機能を有している。また、コンピュータは、タイムレコーダから送信された時刻情報およびカードIDを記憶し、記憶した時刻情報およびカードIDを用いて従業員の勤務時間の集計等を行う機能等を有している。例えば、下記の特許文献1には、このような勤怠管理システムに類似したシステムが記載されている。
【0003】
また、ICカードリーダおよびコンピュータを備え、建物内の室や区画等に対する個人の入退室を管理する入退室管理システムは知られている。入退室管理システムにおいて、ICカードリーダは、例えば、個人が特定の室に入るときに、個人が所持するICカードから当該ICカードのカードIDを読み取り、当該ICカードのカードIDを読み取った時刻を示す時刻情報を、当該ICカードのカードIDと共にコンピュータに送信する機能を有している。また、コンピュータは、ICカードリーダから送信された時刻情報およびカードIDを記憶し、記憶した時刻情報およびカードIDを用いて例えば個人の入退室の監視等を行う機能を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記勤怠管理システムおよび入退室管理システムはいずれも、個人が利用している識別媒体(タイムカードまたはICカード等)から当該識別媒体のIDを取得し、かつ当該識別媒体のIDを読み取った時刻を示す時刻情報を取得し、取得した識別媒体のIDおよび時刻情報に基づいて、個人が特定の行為を行った時刻を把握するシステムであると考えられる。このシステムでは、識別媒体のIDに基づいて当該識別媒体を利用した個人を特定する。したがって、このシステムを運用するに当たっては、識別媒体と、その識別媒体を利用している個人との関連付けを形成する必要がある。具体的には、識別媒体のIDと個人のIDとを互いに関連付けてコンピュータに記憶させておく必要がある。従来のシステムでは、この関連付けの形成をシステムの管理者が行う。
【0006】
これにつき、勤怠管理システムの場合を例にあげて具体的に説明する。タイムカードの利用期間は通常、月初から月末での一箇月である。勤怠管理システムの管理者は、1月に1回、例えば月末に、時刻が未印字の新しいタイムカードを、勤怠管理の対象となっている従業員の人数に応じた枚数、用意する。そして、管理者は、新しいタイムカードのカードIDをコンピュータに入力し、入力したカードIDを、コンピュータに記憶されている従業員IDと関連づけてコンピュータに記憶する作業を行う。管理者は、この作業を終えた後、タイムカードを発行する。すなわち、管理者は、上記関連付けが形成された新しいタイムカードを各従業員に手渡し、またはタイムカード収容ラック等に収めることにより、各従業員が新しいタイムカードを利用可能な状態にする。
【0007】
管理者は、勤怠管理の対象となっている複数の従業員に応じた枚数の新しいタイムカードのそれぞれにつき、カードIDと従業員IDとの関連付けを形成する作業を行う必要がある。そのため、勤怠管理の対象となっている従業員の人数が多い場合には、作業に長い時間を要し、管理者の作業負担が大きい。
【0008】
この点、上記特許文献1に記載されたタイムカード発行システムでは、タイムカードに記入する従業員の氏名等をタイムレコーダを利用して印字する技術が記載されている。この技術によれば、管理者が新しいタイムカードを発行するに当たり、各タイムカードにそれを利用する従業員の氏名を記入する手間を省くことができる。しかしながら、この技術を利用したとしても、新しいタイムカードのカードIDと従業員IDとの関連付けを形成する作業を軽減することはできず、管理者の作業負担は依然として大きい。
【0009】
本発明は例えば上述したような問題に鑑みなされたものであり、本発明の課題は、タイムカード、ICカード等の識別媒体の発行時における発行者(例えば勤怠管理システムまたは入退室管理システムの管理者)の負担を軽減することができる時刻記録管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の時刻記録管理システムは、時刻送信装置、入出力装置および時刻記録管理装置を備えた時刻記録管理システムであって、前記時刻送信装置は、利用者が利用している識別媒体から当該識別媒体の媒体識別情報を読み取る媒体識別情報読取部と、前記媒体識別情報読取部により読み取られた媒体識別情報、および前記媒体識別情報読取部による媒体識別情報の読取時の時刻を示す時刻情報を前記時刻記録管理装置へ送信する第1の送信部とを備え、前記入出力装置は、前記利用者が当該入出力装置に情報を入力する入力部と、前記利用者が前記入力部により自己の利用者識別情報を入力した場合に、当該入力された利用者識別情報を前記時刻記録管理装置に送信し、前記利用者が前記入力部により自己が利用している識別媒体の媒体識別情報を入力した場合に、当該入力された媒体識別情報を前記時刻記録管理装置に送信する第2の送信部とを備え、前記時刻記録管理装置は、記憶部と、複数の識別媒体の媒体識別情報を含む識別媒体登録情報を生成し、当該生成した識別媒体登録情報を前記記憶部に記憶する識別媒体登録情報生成部と、前記第1の送信部から送信された媒体識別情報と時刻情報とを互いに関連付けることにより前記利用者の打刻情報を生成し、当該生成した打刻情報を前記記憶部に記憶する打刻情報生成部と、前記識別媒体登録情報に含まれている複数の識別媒体の媒体識別情報の中から、前記第2の送信部から送信された媒体識別情報と一致する媒体識別情報を特定し、前記第2の送信部から送信された前記利用者の利用者識別情報を、前記特定した媒体識別情報と関連付けて前記識別媒体登録情報に追加することにより前記識別媒体登録情報を更新する識別媒体登録情報更新部と、前記記憶部に記憶された前記利用者の打刻情報における識別媒体情報と時刻情報との関連付け、および前記記憶部に記憶された前記識別媒体登録情報に含まれている媒体識別情報と前記利用者の利用者識別情報との関連付けに基づいて、前記識別媒体登録情報に含まれている前記利用者の利用者識別情報と前記利用者の打刻情報における時刻情報とを関連付けることにより、前記利用者が特定の行為を行った時刻を含む特定行為情報を生成し、当該生成した特定行為情報を前記記憶部に記憶する特定行為情報生成部とを備えていることを特徴とする。
【0011】
上記本発明の時刻記録管理システムにおいて、時刻記録管理装置は、複数の識別媒体の媒体識別情報を含む識別媒体登録情報を生成し、当該生成した識別媒体登録情報を記憶部に記憶する。例えば、識別媒体の発行者(例えば時刻記録管理システムの管理者)は、複数の識別媒体の発行時に、時刻記録管理装置を操作し、時刻記録管理装置にこの処理を実行させる。その後、例えば、発行者は、発行した複数の識別媒体のうちの1つの識別媒体を一の利用者(例えば一の従業員)に与える。利用者は、その与えられた1つの識別媒体を利用して、時刻送信装置により例えば出勤時刻の打刻等を行う。発行者が一の利用者に1つの識別媒体を与えた後、当該一の利用者が入出力装置に自己の利用者識別情報を入力した場合、当該入力された利用者識別情報が入出力装置から時刻記録管理装置に送信される。また、当該一の利用者が入出力装置に自己が利用している識別媒体の媒体識別情報を入力した場合、当該入力された媒体識別情報が入出力装置から時刻記録管理装置に送信される。時刻記憶管理装置は、記憶部に記憶された識別媒体登録情報に含まれている複数の識別媒体の媒体識別情報の中から、入出力装置から送信された媒体識別情報と一致する媒体識別情報を特定し、入出力装置から送信された上記一の利用者の利用者識別情報を、特定した媒体識別情報と関連付けて識別媒体登録情報に追加することにより識別媒体登録情報を更新する。これにより、上記一の利用者の利用者情報と、上記一の利用者が利用している識別媒体の媒体識別情報との関連付けが形成される。このように時刻記録管理システムにおいては、利用者が当該利用者の利用者識別情報および当該利用者が利用している識別媒体の媒体識別情報の入力を行うことにより、当該利用者の利用者識別情報と、当該利用者が利用している識別媒体の媒体識別情報との関連付けが時刻管理装置により自動的に形成される。したがって、識別媒体の発行時において、発行者は、発行する識別媒体の媒体識別情報と、発行する識別媒体を利用する利用者の利用者識別情報との関連付けを形成する作業を行う必要がなくなる。それゆえ、識別媒体の発行時における発行者の負担が軽減される。
【0012】
上記本発明の時刻記録管理システムにおいて、前記時刻送信装置はタイムレコーダであり、前記識別媒体はタイムカードであり、前記識別媒体の媒体識別情報は前記タイムカードに印刷されており、前記時刻送信装置は、前記タイムカードを挿入するカード挿入部と、前記カード挿入部に挿入された前記タイムカードに時刻を印字する印字部とを備え、前記媒体識別情報読取部は前記カード挿入部に挿入された前記タイムカードに印刷されている前記媒体識別情報を読み取ることとしてもよい。また、上記本発明の時刻記録管理システムにおいて、前記特定行為情報生成部は、前記記憶部に記憶された前記利用者の打刻情報における識別媒体情報と時刻情報との関連付け、および前記記憶部に記憶された前記識別媒体登録情報に含まれている媒体識別情報と前記利用者の利用者識別情報との関連付けに基づいて、前記識別媒体登録情報に含まれている前記利用者の利用者識別情報と前記利用者の打刻情報における時刻情報とを関連付けることにより、前記利用者の勤怠情報を生成し、当該生成した勤怠情報を前記記憶部に記憶することとしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、識別媒体の発行時における発行者の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態の勤怠管理システムを示す説明図である。
【
図2】本発明の実施形態の勤怠管理システムにおける打刻情報を示す説明図である。
【
図3】本発明の実施形態の勤怠管理システムにおける当月のカード登録情報を示す説明図である。
【
図4】本発明の実施形態の勤怠管理システムにおける先月のカード登録情報を示す説明図である。
【
図5】本発明の実施形態の勤怠管理システムにおける従業員勤怠情報を示す説明図である。
【
図6】本発明の実施形態の勤怠管理システムにおけるタイムレコーダの構成を示すブロック図である。
【
図7】本発明の実施形態の勤怠管理システムにおけるタイムレコーダの外観図である。
【
図9】本発明の実施形態の勤怠管理システムにおける管理装置の構成を示すブロック図である。
【
図10】本発明の実施形態の勤怠管理システムにおける新規カード登録画面を示す説明図である。
【
図11】本発明の実施形態の勤怠管理システムにおいて、タイムカードの利用を開始する前のカード登録情報を示す説明図である。
【
図12】本発明の実施形態の勤怠管理システムにおいて、タイムカードの利用を開始して数日経過した後のカード登録情報を示す説明図である。
【
図13】本発明の実施形態の勤怠管理システムにおける基本時刻記録処理を示すフローチャートである。
【
図14】本発明の実施形態の勤怠管理システムにおけるタイムカード利用申請処理を示すフローチャートである。
【
図15】本発明の実施形態の勤怠管理システムにおいて、利用者がタイムカードの利用申請を行う際のログイン画面およびタイムカード利用申請画面を示す説明図である。
【
図16】本発明の実施形態の勤怠管理システムにおける直接入力型関連付け処理を示すフローチャートである。
【
図17】直接入力型関連付け処理におけるカードID入力画面を示す説明図である。
【
図18】本発明の実施形態の勤怠管理システムにおける候補選定型関連付け処理を示すフローチャートである。
【
図19】候補選定型関連付け処理に関する説明図である。
【
図20】候補選定型関連付け処理におけるカードID選択画面を示す説明図である。
【
図21】本発明の実施形態の勤怠管理システムにおける管理画面を示す説明図である。
【
図22】本発明の実施形態の勤怠管理システムにおける先月カード参照型時刻記録処理を示すフローチャートである。
【
図23】候補選定型関連付け処理における他のカードID選択画面を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(勤怠管理システム)
図1は、本発明の時刻記録管理システムの1つの実施形態である勤怠管理システム1の構成を示している。勤怠管理システム1は、例えば企業等に勤務する従業員の勤怠管理を行うシステムである。
図1に示すように、勤怠管理システム1は、複数のタイムレコーダ2、管理装置3および複数の入出力装置4を備えている。各タイムレコーダ2、管理装置3および各入出力装置4は、例えばインターネット等のコンピュータネットワーク5を介して互いに通信可能に接続されている。管理装置3は、例えばサーバコンピュータであるが、パーソナルコンピュータでもよい。また、入出力装置4として、例えばパーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォン等、コンピュータネットワークに有線または無線により接続可能な種々の情報処理装置を用いることができる。また、勤怠管理システム1において、タイムレコーダ2の台数および入出力装置4の台数は限定されない。なお、タイムレコーダ2は時刻送信装置の具体例であり、管理装置3は時刻記録管理装置の具体例である。
【0016】
各タイムレコーダ2は、従業員の出勤時刻、外出時刻、戻り時刻、退勤時刻等をタイムカードに印字する装置である。各タイムレコーダ2は、タイムカードがカード挿入部12(
図7参照)に挿入されたことを検出する手段を有している。各タイムレコーダ2は、タイムカードの挿入が検出されたときに、現在時刻を取得し、取得した時刻をタイムカードに印字する機能を有している。また、各タイムレコーダ2は、タイムカードの挿入が検出されたときに、タイムカードのカードIDをタイムカードから読み取り、その後、読み取ったカードID、タイムカードに印字した時刻(タイムカードからのカードIDの読取時の時刻)を示す時刻情報、時刻の種別を示す種別情報、およびタイムレコーダ2のレコーダIDを管理装置3へ送信する機能を有している。なお、各タイムレコーダ2は、タイムカードの挿入が検出されたときに、時刻の取得と、取得した時刻のタイムカードへの印字と、タイムカードからのカードIDの読取とを実質的に同時に行う。したがって、タイムカードに印字した時刻と、タイムカードからのカードIDの読取時の時刻とは実質的に等しい。
【0017】
管理装置3は、各タイムレコーダ2から送信されたカードID、時刻情報、種別情報およびレコーダIDがそれぞれ互いに関連付けられて配列された打刻情報を生成し、管理装置3の記憶部42に記憶する機能を有している。また、管理装置3は、カードIDおよび従業員ID等がそれぞれ互いに関連付けられて配列されたカード登録情報を生成し、記憶部42に記憶する機能を有している。また、管理装置3は、各タイムレコーダ2から送信された時刻情報を従業員ごとに蓄積した従業員勤怠情報を記憶部42に記憶する機能を有している。
【0018】
図2は打刻情報を示している。
図2に示すように、打刻情報においては、レコーダID、カードID、種別情報および時刻情報がそれぞれ互いに関連付けられて配列されている。例えば、
図2において、同一の行に配列された、レコーダID:「0001」と、カードID:「3000」と、種別情報:「退勤」と、打刻時刻:「2019-12-02-17:18:14」とはそれぞれ互いに関連付けられている。
【0019】
ここで、レコーダIDとは、タイムレコーダ2を識別するための情報であり、例えばタイムレコーダ2ごとに異なる固有の番号である。また、カードIDとは、タイムカードを識別するための情報であり、例えばタイムカードごとに異なる固有の番号である。なお、タイムカードは識別媒体の具体例であり、カードIDは媒体識別情報の具体例である。また、種別情報とは、出勤、外出、戻り、退勤等の時刻の種別を示す情報である。また、時刻情報とは、上述した通り、タイムカードに印字した時刻(タイムカードからのカードIDの読取時の時刻)を示す情報である。具体的には、時刻情報は、従業員の出勤時、外出時、戻り時、退出時等の年、月、日、時、分および秒を示す数値である。
【0020】
打刻情報において、それぞれ互いに関連付けられたレコーダID、カードID、種別情報および時刻情報は、これらを用いて従業員勤怠情報が生成または更新されるまで管理装置3の記憶部42に保持される。
【0021】
図3はカード登録情報を示している。
図3に示すように、カード登録情報においては、レコーダID、カードID、従業員ID、利用期間および利用フラグがそれぞれ互いに関連付けられて配列されている。例えば、
図3において、同一の行に配列された、レコーダID:「0001」と、カードID:「3000」と、従業員ID:「6511」と、利用期間:「2019-12」と、利用フラグ:「1」とはそれぞれ互いに関連付けられている。
【0022】
ここで、従業員IDとは、従業員を識別するための情報であり、例えば従業員ごとに異なる固有の番号である。なお、従業員IDは利用者識別情報の具体例である。また、利用期間とは、タイムカードの利用期間を意味する。周知の通り、一般に、タイムカードの利用期間は月初から月末までの一箇月間である。すなわち、タイムカードに印字することができる出勤、退勤等の時刻は月初から月末までの一箇月分のみである。
図3において、「2019-12」は、タイムカードの利用期間が2019年の12月の初日から末日までであることを意味する。また、利用フラグとは、タイムカードの利用が開始されたか否かを示すフラグである。タイムカードの利用が開始されていない間、利用フラグは「0」(オフ)に設定され、タイムカードの利用が開始されたとき、利用フラグは「1」(オン)に設定される。
【0023】
カード登録情報には、各従業員が当月利用しているタイムカードに関するカード登録情報(当月のカード登録情報)だけでなく、各従業員が先月に利用していたタイムカードに関するカード登録情報(先月のカード登録情報)も含まれている。例えば、
図3に示すカード登録情報は当月(2019年12月)のカード登録情報であり、
図4に示すカード登録情報は先月(2019年11月)のカード登録情報である。なお、カード登録情報に、各従業員がさらに過去に利用していたタイムカードに関するカード登録情報が含まれるようにしてもよい。少なくとも当月および先月の二箇月分のカード登録情報は管理装置3の記憶部42に保持される。
【0024】
図5は従業員勤怠情報を示している。
図5に示すように、従業員勤怠情報においては、従業員IDと、従業員の氏名と、従業員の所属(部署)と、種別情報と、時刻情報とがそれぞれ互いに関連付けられて配列されている。従業員勤怠情報は、各従業員についての時刻情報および種別情報を長期間に亘って蓄積した情報である。従業員勤怠情報は、各従業員の勤務時間の集計、給与計算等の勤怠管理に用いられる。また、従業員勤怠情報は、後述するように、候補選定型関連付け処理において、従業員が利用しているタイムカードのカードIDの推測に用いられる。このカードIDの推測の精度は、個々の従業員についての時刻情報の蓄積量が多いほど高まる。それゆえ、従業員勤怠情報は管理装置3の記憶部42に長期間保持することが好ましい。例えば、従業員勤怠情報の保持期間は1~5年、またはそれよりも長い期間に設定する。なお、従業員勤怠情報は「特定行為情報」の具体例である。
【0025】
各入出力装置4は、
図1に示すように、入力部71(例えばキーボードおよびマウス、またはタッチパネル等)、および表示部72(例えばディスプレイ)を備えている。各入出力装置4は、コンピュータネットワーク5を介して管理装置3にアクセスし、管理装置3から送信された情報を表示部72に表示し、または従業員が入力部71を操作して入力した情報を管理装置3へ送信する機能を有している。すなわち、各入出力装置4は、従業員が管理装置3に対して情報の入出力を行う端末装置として機能する。
【0026】
勤怠管理システム1は次の処理を行う。
(a)基本時刻記録処理
(b)新規カード登録処理
(c)タイムカード利用申請処理
(d)先月カード参照型時刻記録処理
基本時刻記録処理は、タイムカードへの打刻が行われる度にタイムレコーダ2から送信される時刻情報を従業員ごとに蓄積し、各従業員の勤務時間の集計や給与計算の基礎となる従業員勤怠情報を生成または更新する処理である。より詳しく説明すると、基本時刻記録処理は、タイムレコーダ2がカードID、時刻情報、種別情報、およびレコーダIDを管理装置3へ送信し、管理装置3が、タイムレコーダ2から送信されたカードID、時刻情報、種別情報およびレコーダIDをそれぞれ互いに関連付けて打刻情報を生成して記憶し、さらに、管理装置3が、打刻情報におけるカードIDと時刻情報との関連付け、およびカード登録情報におけるカードIDと従業員IDとの関連付けに基づいて、従業員IDと時刻情報との対応関係を認識し、その対応関係に基づいて従業員勤怠情報を生成または更新する処理である。
【0027】
新規カード登録処理およびタイムカード利用申請処理はいずれも、カード登録情報の生成および更新に関する処理である。上述した基本時刻記録処理において、管理装置3は、打刻情報におけるカードIDと時刻情報との関連付け、およびカード登録情報におけるカードIDと従業員IDとの関連付けに基づいて、従業員IDと時刻情報との対応関係を認識し、その対応関係に基づいて従業員勤怠情報を生成または更新する。そのため、従業員勤怠情報の生成または更新を行うためには、カード登録情報が必要である。上述したようにタイムカードの利用期間は月初から月末までの一箇月間である。勤怠管理システム1の管理者(タイムカードの発行者)は、毎月、新しいタイムカードを発行する。新規カード登録処理は、新しいタイムカードの発行に当たり、管理者による管理装置3の操作に応じて、新しいタイムカードのカードIDをカード登録情報に追加する処理である。タイムカード利用申請処理は、発行された新しいタイムカードの各従業員による利用が開始された後に、各従業員による入出力装置4の操作に応じて、従業員IDをカードIDと関連付けてカード登録情報に追加する処理である。
【0028】
また、タイムカード利用申請処理において、管理装置3は、各従業員による入出力装置4の操作に応じ、直接入力型関連付け処理および候補選定型関連付け処理のうちのいずれか一方を選択して実行する。直接入力型関連付け処理は、カード登録情報において、従業員が直接入力したカードIDと一致するカードIDを特定し、管理装置3へのログイン時に取得された従業員IDを、その特定されたカードIDと関連付けてカード登録情報に追加する処理である。候補選定型関連付け処理は、カード登録情報において、従業員が利用しているタイムカードのカードIDであることが推測される複数のカードIDを、従業員が利用しているタイムカードのカードIDの複数の候補として選定し、管理装置3へのログイン時に取得された従業員IDを、上記複数の候補の中から従業員が選択したカードIDと関連付けてカード登録情報に追加する処理である。
【0029】
先月カード参照型時刻記録処理は、先月のタイムカードと当月のタイムカードとが連続して順次にタイムレコーダ2のカード挿入部12に挿入されたとき、先月のタイムカードのカードIDに関連付けられた従業員IDを、当月のタイムカードのカードIDに関連付けることによって当月のカード登録情報を生成または更新する処理である。
【0030】
(タイムレコーダ)
図6はタイムレコーダ2の構成を示している。
図7はタイムレコーダ2の外観を示している。
図7に示すように、各タイムレコーダ2は、筐体11、タイムカードを挿入するためのカード挿入部12、タイムカードに打刻する時刻の種別を選択する操作ボタン13、時刻等を表示するディスプレイ16、音声を出力するスピーカ17、タイムレコーダ2により打刻を行う者の顔を撮像するカメラ18を備えている。
【0031】
また、各タイムレコーダ2は、
図6に示すように、時計を含む時計部21、カード挿入部12に挿入されたタイムカードを搬送するカード搬送部22、タイムカードの印字領域32に時刻を印字する印字部23、タイムカードからカードコードを読み取るカードコード読取部24、およびタイムカードの印字領域32を読み取る印字領域読取部25を備えている。カードコード読取部24および印字領域読取部25はそれぞれ光センサを有している。
【0032】
また、各タイムレコーダ2は、管理装置3とコンピュータネットワーク5を介して通信を行う通信部26、および情報を記憶する記憶部27を備えている。記憶部27は例えば半導体メモリを備えている。記憶部27にはレコーダIDが記憶されている。また、各タイムレコーダ2はCPU(中央演算処理装置)29を備えている。CPU29は、時計部21、カード搬送部22、印字部23、カードコード読取部24、印字領域読取部25、通信部26、記憶部27、ディスプレイ16、カメラ18等を制御する。なお、カードコード読取部24およびCPU29は媒体識別情報読取部の具体例であり、通信部26は第1の送信部の具体例であり、カメラ18は撮像部の具体例である。
【0033】
図8はタイムカードの一例を示している。
図8において、タイムカード31は、例えば厚紙により形成されており、その表面および裏面のそれぞれには、時刻を印字する印字領域32、タイムカード31のカードID33、およびカードID33をバーコード化したカードコード34が予め印刷されている。
【0034】
(管理装置)
図9は管理装置3の構成を示している。
図9に示すように、管理装置3は、各タイムレコーダ2および各入出力装置4とコンピュータネットワーク5を介して通信を行う通信部41、および情報を記憶する記憶部42を備えている。記憶部42は、例えば半導体メモリおよびハードディスク装置を備えている。記憶部42には、打刻情報、カード登録情報および従業員勤怠情報が記憶される。また、管理装置3は、情報を入力する入力部43(例えばキーボードおよびマウス)、および情報を表示する表示部44(例えばディスプレイ)を備えている。また、管理装置3はCPU45を備えている。CPU45は、通信部41、記憶部42および表示部44を制御する。
【0035】
また、CPU45は、例えば記憶部42に記憶されたコンピュータプログラムを読み取って実行することにより、打刻情報生成部51、カード利用管理部52、従業員勤怠情報生成部53、カード追加登録部54、新規カード登録部55、カード利用申請部56、直接入力型関連付け形成部57、候補選定型関連付け形成部58、および先月カード参照型関連付け形成部62として機能する。
【0036】
打刻情報生成部51は、基本時刻記録処理および先月カード参照型時刻記録処理において、打刻情報を生成する。カード利用管理部52は、基本時刻記録処理および先月カード参照型時刻記録処理において、タイムカードの利用を監視し、タイムカードの利用が認識されたときに、カード登録情報において当該タイムカードのカードIDに関連付けられた利用フラグを「0」から「1」に変更する。従業員勤怠情報生成部53は、基本時刻記録処理、直接入力型関連付け処理、候補選定型関連付け処理、および先月カード参照型時刻記録処理において従業員勤怠情報の生成または更新を行う。カード追加登録部54は、基本時刻記録処理および先月カード参照型時刻記録処理において、カードIDが登録されていないタイムカードの利用が認識されたときに、当該タイムカードのカードIDをカード登録情報に追加すると共に、当該カードIDに関連付けられた利用フラグを「1」に設定する。新規カード登録部55は新規カード登録処理を行う。カード利用申請部56はタイムカード利用申請処理を行う。直接入力型関連付け形成部57は直接入力型関連付け処理を行う。候補選定型関連付け形成部58は候補選定型関連付け処理を行う。また、候補選定型関連付け形成部58は、カードID選定部59、提示制御部60および関連付け部61を有している。カードID選定部59、提示制御部60および関連付け部61のそれぞれの機能については、後の候補選定型関連付け処理の説明により明らかになる。先月カード参照型関連付け形成部62は、先月カード参照型時刻記録処理において、先月のタイムカードのカードIDに関連付けられた従業員IDを当月のタイムカードのカードIDに関連付けることによってカード登録情報を更新する。
【0037】
なお、新規カード登録部55およびカード追加登録部54は識別媒体登録情報生成部の具体例である。従業員勤怠情報生成部53は特定行為情報生成部の具体例である。直接入力型関連付け形成部57は識別媒体登録情報更新部の具体例である。
【0038】
(新規カード登録処理)
新規カード登録処理について説明する。新規カード登録処理は、管理者による管理装置3の操作に応じて、新しいタイムカードのカードIDをカード登録情報に追加する処理である。
【0039】
管理者は、毎月、新しいタイムカードを発行する。新しいタイムカードの発行とは、例えば新しいタイムカードを各従業員に手渡し、またはタイムカード収容ラック等に収めることにより、各従業員が新しいタイムカードを利用可能な状態にするといった意味である。
【0040】
新しいタイムカードを発行するに当たり、管理者は、まず、勤怠管理の対象となっている従業員の人数に応じた枚数の未印字の新しいタイムカードを用意する。タイムカードは例えば100枚1セットで販売されている。1セットの100枚のタイムカードには連番のカードIDが印刷されている。管理者はこのようなタイムカードのセットを購入することによって、従業員の人数に応じた枚数の新しいタイムカードを用意する。
【0041】
次に、管理者は、管理装置3を操作して、管理装置3に新規カード登録処理を実行させ、用意した新しいタイムカードのそれぞれのカードIDを管理装置3に登録する。
【0042】
すなわち、新規カード登録処理を実行させるべく、管理者が、管理装置3の入力部43を操作して、新規カード登録処理を開始する旨の指示を管理装置3に入力すると、管理装置3の新規カード登録部55は、例えば
図10に示すような新規カード登録画面81を表示部44に表示する。管理者は、管理装置3の入力部43を操作して、例えば100枚のタイムカードにそれぞれ印刷された連番のカードIDのうちの最初(最小)のカードID(例えば3000)と、登録するタイムカードの枚数(例えば100)を入力して登録ボタン82をクリックする。
【0043】
これに応じ、新規カード登録部55は、100枚のタイムカードにそれぞれ印刷された100個の連番のカードIDを、管理装置3の記憶部42に記憶されているカード登録情報に追加する。また、このとき、新規カード登録部55は、例えば現在の月に1を加えることにより、新しいタイムカードの利用期間を自動的に算出し、その利用期間を示す情報を、追加したそれぞれのカードIDに関連付けてカード登録情報に追加する。例えば、現在の月が2019年11月である場合には、新しいタイムカードの利用期間として2019年12月が算出され、その利用期間を示す情報として「2019-12」が、追加されたそれぞれのカードIDに関連付けられてカード登録情報に追加される。さらに、このとき、新規カード登録部55は、利用フラグを、追加したそれぞれのカードIDに関連付けてカード登録情報に追加する。このとき追加される利用フラグはすべて「0」に設定される。
【0044】
管理者は、このように管理装置3に新規カード登録処理を実行させた後、新しいタイムカードを発行する。
【0045】
図11は、新規カード登録処理により、新しいタイムカードのカードIDが追加された直後のカード登録情報(すなわち、新しいタイムカードの従業員による利用が開始される前のカード登録情報)を示している。
図11を見るとわかる通り、新しいタイムカードのカードIDが追加された直後のカード登録情報においては、追加されたそれぞれのカードIDに、利用期間および利用フラグが関連付けられているが、従業員IDは関連付けられていない。
【0046】
本実施形態の勤怠管理システム1において、管理者は、新しいタイムカードを発行するに当たり、新しいタイムカードのカードIDを管理装置3に登録するが、新しいタイムカードのカードIDと、それらのタイムカードを利用する従業員の従業員IDとの関連付けの形成は行わない。新しいタイムカードのカードIDと、それらのタイムカードを利用する従業員の従業員IDとの関連付けの形成は、新しいタイムカードが発行された後に、それらのタイムカードを利用する従業員によって行われる。すなわち、各従業員は、新しいタイムカードが発行され、そのタイムカードの利用を開始した後、そのタイムカードの利用期間内にタイムカード利用申請を行う。具体的には、各従業員は、入出力装置4を介して管理装置3にアクセスし、管理装置3にタイムカード利用申請処理を実行させる。このタイムカード利用申請処理により、当該従業員の従業員IDと、当該従業員が利用しているタイムカードのカードIDとの関連付けが形成される。
【0047】
図12は、新しいタイムカードが発行されてから一週間経過した後のカード登録情報を示している。
図12において、カードID:「3000」のタイムカードを利用している、従業員ID:「6511」の従業員は、そのタイムカードが発行されてから2、3日後にタイムカード利用申請を行った。その結果、従業員ID:「6511」がカードID:「3000」に関連付けられてカード登録情報に追加されている。一方、カードID:「3001」のタイムカードを利用している従業員は、そのタイムカードが発行された後、タイムカード利用申請をまだ行っていない。その結果、カード登録情報において、カードID:「3001」は、いずれの従業員の従業員IDとも関連付けられていない。なお、新しいタイムカードが発行された後、勤怠管理の対象となっているすべての従業員がタイムカード利用申請を行った場合には、
図3に示すように、当月のカード登録情報におけるすべてのカードIDが従業員IDとそれぞれ関連付けられる。
【0048】
(基本時刻記録処理)
基本時刻記録処理について説明する。基本時刻記録処理は、タイムカードへの打刻が行われる度にタイムレコーダ2から送信される時刻情報を従業員ごとに蓄積し、各従業員の勤務時間の集計や給与計算の基礎となる従業員勤怠情報を生成または更新する処理である。
【0049】
図13は基本時刻記録処理を示している。
図13に示すように、基本時刻記録処理おいて、従業員が、タイムレコーダ2の操作ボタン13を押して、タイムカードに打刻する時刻の種別を選択し、タイムカードをタイムレコーダ2のカード挿入部12に挿入したとき、タイムレコーダ2のCPU29は、従業員が選択した時刻の種別を認識すると共に、カード挿入部12にタイムカードが挿入されたことを認識する(ステップS1:YES)。続いて、CPU29は、カード搬送部22を制御して、挿入されたタイムカードをカード挿入部12内の奥へ搬送する。
【0050】
続いて、タイムレコーダ2のCPU29は、そのタイムカードが当月のタイムカードであるか否かを判断する(ステップS2)。例えば、CPU29は、印字領域読取部25を制御し、挿入されたタイムカードの印字領域内における時刻の印字状態を調べることにより、そのタイムカードが当月のタイムカードであるか否かを判断する。
【0051】
挿入されたタイムカードが当月のタイムカードである場合には(ステップS2:YES)、タイムレコーダ2のCPU29は、そのタイムカードから、そのタイムカードのカードIDを読み取る(ステップS3)。具体的には、CPU29は、カードコード読取部24を制御し、挿入されたタイムカードに印刷されたカードコードを読み取り、読み取ったカードコードを復号して、挿入されたタイムカードのカードIDを認識する。なお、タイムカードの挿入とカードコードの読み取りは、同時に行われる。
【0052】
続いて、タイムレコーダ2のCPU29は、時計部21の時計から現在の時刻を取得し(ステップS4)、取得した現在の時刻を、挿入されたタイムカードの印字領域に印字する(ステップS5)。
【0053】
続いて、タイムレコーダ2のCPU29は、通信部26を制御し、タイムレコーダ2の記憶部27に予め記憶されているレコーダIDと、ステップS3で読み取ったカードIDと、ステップS4で取得した時刻(タイムカードに印字した時刻)を示す時刻情報と、従業員が選択した時刻の種別を示す種別情報とを管理装置3へ送信する(ステップS6)。
【0054】
続いて、管理装置3のCPU45が、通信部41を制御し、タイムレコーダ2から送信されたレコーダID、カードID、時刻情報および種別情報を受信する。続いて、CPU45の打刻情報生成部51が、受信したレコーダID、カードID、時刻情報および種別情報をそれぞれ互いに関連付けることにより打刻情報を生成し、生成した打刻情報を管理装置3の記憶部42に記憶する(ステップS7)。なお、すでに記憶部42に過去の打刻情報が記憶されている場合には、打刻情報生成部51は、その過去の打刻情報に現在生成した打刻情報を追加する。
【0055】
続いて、管理装置3のカード利用管理部52が、カード登録情報中にタイムレコーダ2から送信されたカードIDと一致するカードIDが存在するか否か、すなわち、タイムレコーダ2から送信されたカードIDが登録されているか否かを判断するために、管理装置3の記憶部42に記憶されているカード登録情報を検索する(ステップS8)。
【0056】
検索の結果、カード登録情報中にタイムレコーダ2から送信されたカードIDと一致するカードIDが存在する場合には(ステップS9:YES)、続いて、カード利用管理部52は、カード登録情報を調べ、タイムレコーダ2から送信されたカードIDと一致するカードIDに関連付けられた利用フラグが「1」か否かを判断する(ステップS10)。そして、カード利用管理部52は、当該利用フラグが「0」である場合には、当該利用フラグを「1」に設定する(ステップS11)。このように、カードIDが登録された新しいタイムカードを用いて従業員が初めて打刻を行った場合には、当該タイムカードのカードIDに関連付けられた利用フラグが「0」から「1」に変更される。一方、カード登録情報において、タイムレコーダ2から送信されたカードIDと一致するカードIDに関連付けられた利用フラグが「1」である場合には、カード利用管理部52はステップS11をスキップする。
【0057】
続いて、管理装置3の従業員勤怠情報生成部53がカード登録情報を調べ、タイムレコーダ2から送信されたカードIDと一致するカードIDに従業員IDが関連付けられているか否かを判断する(ステップS12)。
【0058】
タイムレコーダ2から送信されたカードIDと一致するカードIDに従業員IDが関連付けられている場合には(ステップS12:YES)、従業員勤怠情報生成部53は、記憶部42に記憶されている打刻情報におけるカードIDと時刻情報との関連付け、および記憶部42に記憶されているカード登録情報におけるカードIDと従業員IDとの関連付けに基づいて、タイムカードを用いて打刻を行った従業員の従業員IDと、その打刻に応じてタイムレコーダ2から送信された時刻情報との対応関係を認識する。そして、従業員勤怠情報生成部53は、記憶部42に記憶されている打刻情報の中から、タイムカードを用いて打刻を行った従業員の従業員IDに対応する時刻情報および種別情報を読み取り、読み取った時刻情報および種別情報を当該従業員IDに関連付けて従業員勤怠情報に追加することにより、従業員勤怠情報を更新する(ステップS13)。従業員勤怠情報の更新完了により基本時刻記録処理は終了する。
【0059】
一方、タイムレコーダ2から送信されたカードIDと一致するカードIDに従業員IDが関連付けられていない場合には(ステップS12:NO)、従業員勤怠情報生成部53は従業員勤怠情報を更新しない。この場合には、従業員勤怠情報が更新されないまま、基本時刻記録処理が終了する。
【0060】
例えば、現時点において、管理装置3の記憶部42に記憶されたカード登録情報の状態が
図12に示す状態であり、すでにタイムカード利用申請を行った、従業員ID:「6511」の従業員が、カードID:「3000」のタイムカードに打刻を行ったと仮定する。この場合、従業員勤怠情報生成部53は、
図13中のステップS12で、タイムレコーダ2から送信されたカードIDと一致するカードIDに従業員IDが関連付けられていると判断する。そして、従業員勤怠情報生成部53は、ステップS13で、当該従業員の従業員ID:「6511」と、当該従業員による打刻に応じてタイムレコーダ2から送信された時刻情報との対応関係を認識し、記憶部42に記憶されている打刻情報の中から、当該従業員の従業員ID:「6511」に対応する時刻情報および種別情報を読み取り、読み取った時刻情報および種別情報を従業員ID:「6511」に関連付けて従業員勤怠情報に追加することにより、従業員勤怠情報を更新する。
【0061】
一方、現時点において、管理装置3の記憶部42に記憶されたカード登録情報の状態が
図12に示す状態であり、まだタイムカード利用申請を行っていない従業員が、カードID:「3001」のタイムカードに打刻を行ったと仮定する。この場合、従業員勤怠情報生成部53は、
図13中のステップS12で、タイムレコーダ2から送信されたカードIDと一致するカードIDに従業員IDが関連付けられていないと判断し、従業員勤怠情報を更新しない。
【0062】
他方、ステップS9で、タイムレコーダ2から送信されたカードIDと一致するカードIDがカード登録情報中に存在しない場合には(ステップS9:NO)、管理装置3のカード追加登録部54が、タイムレコーダ2から送信されたカードIDをカード登録情報に追加する(ステップS14)。また、このとき、カード追加登録部54は、現在の月を、利用期間を示す情報として、追加したカードIDに関連付けてカード登録情報に追加する。さらに、カード追加登録部54は、利用フラグを、追加したカードIDに関連付けてカード登録情報に追加する。このとき追加される利用フラグは「1」に設定される。
【0063】
(タイムカード利用申請処理)
タイムカード利用申請処理について説明する。タイムカード利用申請処理は、発行された新しいタイムカードの各従業員による利用が開始された後に、各従業員による入出力装置4の操作に応じて、管理装置3が従業員IDをカードIDと関連付けてカード登録情報に追加する処理である。
【0064】
図14はタイムカード利用申請処理を示している。タイムカード利用申請処理は、例えば、管理装置3の記憶部42に記憶されたタイムカード利用申請用のウェブアプリケーションプログラムにより実現される。
図14に示すように、従業員が、タイムカード利用申請を行うべく、入出力装置4の入力部71を操作して管理装置3にアクセスすると、タイムカード利用申請用のウェブアプリケーションプログラムに基づき、タイムカード利用申請処理が実行される。タイムカード利用申請処理において、まず、管理装置3のカード利用申請部56が、
図15(A)に示すログイン画面85を入出力装置4の表示部72に表示する(ステップS21)。従業員が、入出力装置4の入力部71を操作し、ログイン画面85において、従業員IDおよびパスワードを入力して、ログインボタン86をクリック(またはタッチ)すると、従業員が入力した従業員IDおよびパスワードが入出力装置4から管理装置3へ送信される。
【0065】
続いて、カード利用申請部56は、入出力装置4から送信された従業員IDおよびパスワードを受信(取得)し(ステップS22)、これら従業員IDおよびパスワードが正しいか否かを確認し、これらが正しい場合には、
図15(B)に示すタイムカード利用申請画面88を入出力装置4の表示部72に表示する(ステップS23)。
【0066】
勤怠管理システム1においては、従業員が行うことができるタイムカード利用申請の方法として、次の2つの方法が用意されている。
(1)従業員が利用しているタイムカードのカードIDを従業員が直接入力する方法
(2)従業員が利用しているタイムカードのカードIDであることが推測される複数のカードIDの中から、従業員が利用しているタイムカードのカードIDを従業員が選択する方法
従業員は、タイムカード利用申請画面88において、タイムカード利用申請の方法として上記(1)の方法および上記(2)の方法のうちのいずれかを選択することができる。
【0067】
タイムカード利用申請画面88において、従業員が「カードIDを直接入力」を選択して、「次へ」のボタン89をクリックすると、直接入力型関連付け処理を実行すべき旨の指示が入出力装置4から管理装置3へ送信される。直接入力型関連付け処理は上記(1)の方法によるタイムカード利用申請を実現する処理である。この場合、管理装置3の直接入力型関連付け形成部57により直接入力型関連付け処理が実行される(ステップS24~S26)。そして、直接入力型関連付け処理が終了した後、タイムカード利用申請処理は終了する。
【0068】
一方、タイムカード利用申請画面88において、従業員が「候補の中からカードIDを選択」を選択して、「次へ」のボタン89をクリックすると、候補選定型関連付け処理を実行すべき旨の指示が入出力装置4から管理装置3へ送信される。候補選定型関連付け処理は上記(2)の方法によるタイムカード利用申請を実現する処理である。この場合、管理装置3の候補選定型関連付け形成部58により候補選定型関連付け処理が実行される(ステップS24、S25、S27)。そして、候補選定型関連付け処理が終了した後、タイムカード利用申請処理は終了する。
【0069】
なお、タイムカード利用申請画面88において、従業員がキャンセルボタン90をクリックした場合には、直接入力型関連付け処理も候補選定型関連付け処理も実行させることなく、タイムカード利用申請処理は終了する。
【0070】
(直接入力型関連付け処理)
直接入力型関連付け処理について説明する。直接入力型関連付け処理は、カード登録情報において、従業員が直接入力したカードIDと一致するカードIDを特定し、管理装置3へのログイン時に取得された従業員IDを、その特定されたカードIDと関連付けてカード登録情報に追加する処理である。直接入力型関連付け処理は、例えば、管理装置3の記憶部42に記憶された専用のウェブアプリケーションプログラムにより実現される。タイムカード利用申請処理において、従業員の選択に基づき、直接入力型関連付け処理を実行すべき旨の指示が入出力装置4から管理装置3へ送信されたとき、管理装置3の直接入力型関連付け形成部57が、直接入力型関連付け処理を実行する。
【0071】
図16は直接入力型関連付け処理を示している。
図16に示すように、直接入力型関連付け処理において、直接入力型関連付け形成部57は、まず、
図17に示すカードID入力画面93を入出力装置4の表示部72に表示する(ステップS31)。従業員が、入出力装置4の入力部71を操作し、カードID入力画面93において、自己が利用しているタイムカードのカードIDを入力して、OKボタン94をクリック(またはタッチ)すると、従業員が入力したカードIDが入出力装置4から管理装置3へ送信される。
【0072】
続いて、直接入力型関連付け形成部57は、入出力装置4から送信されたカードIDを受信(取得)する(ステップS32)。続いて、直接入力型関連付け形成部57は、管理装置3の記憶部42に記憶されているカード登録情報を検索して、入出力装置4から送信されたカードIDと一致するカードIDを特定し、従業員がログイン時に入力した従業員ID(
図14中のステップS22で取得された従業員ID)を、当該特定したカードIDに関連付けてカード登録情報に追加することにより、カード登録情報を更新する(ステップS33)。
【0073】
続いて、管理装置3の従業員勤怠情報生成部53が従業員勤怠情報を更新する(ステップS34)。すなわち、従業員勤怠情報生成部53は、記憶部42に記憶されている打刻情報におけるカードIDと時刻情報との関連付け、および今回更新されたカード登録情報におけるカードIDと従業員IDとの関連付けに基づいて、タイムカード利用申請を行った従業員の従業員IDと、当該従業員による打刻に基づいて打刻情報として記憶部42に記憶された時刻情報との対応関係を認識する。そして、従業員勤怠情報生成部53は、記憶部42に記憶されている打刻情報の中から、タイムカード利用申請を行った従業員の従業員IDに対応する時刻情報および種別情報を読み取り、読み取った時刻情報および種別情報を当該従業員IDに関連付けて従業員勤怠情報に追加することにより、従業員勤怠情報を更新する。
【0074】
(候補選定型関連付け処理)
候補選定型関連付け処理について説明する。候補選定型関連付け処理は、カード登録情報において、従業員が利用しているタイムカードのカードIDであることが推測される複数のカードIDを、従業員が利用しているタイムカードのカードIDの複数の候補として選定し、管理装置3へのログイン時に取得された従業員IDを、上記複数の候補の中から従業員が選択したカードIDと関連付けてカード登録情報に追加する処理である。候補選定型関連付け処理は、例えば、管理装置3の記憶部42に記憶された専用のウェブアプリケーションプログラムにより実現される。タイムカード利用申請処理において、従業員の選択に基づき、候補選定型関連付け処理を実行すべき旨の指示が入出力装置4から管理装置3へ送信されたとき、管理装置3の候補選定型関連付け形成部58が、候補選定型関連付け処理を実行する。
【0075】
図18は候補選定型関連付け処理を示している。
図18に示すように、候補選定型関連付け処理において、まず、候補選定型関連付け形成部58のカードID選定部59が、管理装置3の記憶部42に記憶されているカード登録情報において、利用が開始されており、かつ従業員IDが関連付けられていないカードIDを特定する(ステップS41)。例えば、
図19(A)に示すカード登録情報が記憶部42に記憶されていると仮定する。この場合、このカード登録情報において、利用が開始されており、かつ従業員IDが関連付けられていないカードIDは「3001」と「3003」である。したがって、これらのカードIDが、カード登録情報において、利用が開始されており、かつ従業員IDが関連付けられていないカードIDとしてカードID選定部59により特定される。
【0076】
続いて、カードID選定部59は、記憶部42に記憶されている打刻情報を検索し、カード登録情報において、利用が開始されており、かつ従業員IDが関連付けられていないカードIDと一致するカードID、すなわち、打刻情報において、利用が開始されており、かつ従業員IDが関連付けられていないカードIDを特定する。以下、打刻情報において、利用が開始されており、かつ従業員IDが関連付けられていないカードIDを「未関連付けカードID」という。続いて、カードID選定部59は、未関連付けカードIDに関連付けられた種別情報、時刻情報およびレコーダIDを打刻情報から読み出す(ステップS42)。例えば、
図19(A)に示すカード登録情報および
図19(B)に示す打刻情報が記憶部42に記憶されていると仮定した場合、打刻情報において「3001」および「3003」が未関連付けカードIDとして特定される。そして、未関連付けカードID:「3001」に関連付けられた種別情報:「退勤」、時刻情報:「2019-12-02-17:34:18」、およびレコーダID:「0001」、未関連付けカードID:「3003」に関連付けられた種別情報:「退勤」、時刻情報:「2019-12-02-18:03:20」、およびレコーダID:「0001」、未関連付けカードID:「3001」に関連付けられた種別情報:「出勤」、時刻情報:「2019-12-03-08:24:31」、およびレコーダID:「0001」、並びに未関連付けカードID:「3003」に関連付けられた種別情報:「出勤」、時刻情報:「2019-12-03-08:29:33」、およびレコーダID:「0001」が、カードID選定部59により打刻情報から読み出される。
【0077】
続いて、カードID選定部59は、従業員がログイン時に入力した従業員ID(
図14中のステップS22で取得された従業員ID)に基づいて、記憶部42に記憶されている従業員勤怠情報を検索し、当該従業員の種別情報および時刻情報を特定し、当該特定した種別情報および時刻情報を従業員勤怠情報から読み出す(ステップS43)。従業員勤怠情報は、各従業員の種別情報および時刻情報を長期間に亘って蓄積した情報である。記憶部42には、各従業員の過去の膨大な量の種別情報および時刻情報が従業員勤怠情報として記憶されている。ステップS43において、カードID選定部59は、タイムカード利用申請を行っている従業員の過去の膨大な量の種別情報および時刻情報を従業員勤怠情報から読み出す。例えば、
図19(C)は従業員ID:「6700」の従業員に関する従業員勤怠情報を示している。タイムカード利用申請を行っている従業員の従業員IDが「6700」である場合、
図19(C)中の従業員勤怠情報において二点鎖線で囲った部分が、カードID選定部59により読み出される。
【0078】
続いて、カードID選定部59は、打刻情報から読み出した時刻情報(すなわち、未関連付けカードIDに関連付けられた時刻情報)と、従業員勤怠情報から読み出した時刻情報(すなわち、タイムカード利用申請を行っている従業員の過去の時刻情報)とを互いに比較し、両者の類似性を判断する(ステップS44)。打刻情報から読み出した時刻情報と従業員勤怠情報から読み出した時刻情報との類似性は、例えば、打刻情報から読み出した時刻情報の種別ごとの平均値と、従業員勤怠情報から読み出した時刻情報の種別ごとの平均値とをそれぞれ比較することにより判断することができる。また、打刻情報から読み出した時刻情報と従業員勤怠情報から読み出した時刻情報との類似性を、打刻情報から読み出した時刻情報のうちの最新の時刻情報と、従業員勤怠情報から読み出した時刻情報のうち、上記最新の時刻情報の種別と同一の種別の時刻情報の平均値とを比較することによって判断してもよい。また、従業員勤怠情報から読み出した時刻情報に基づいて、タイムカード利用申請を行っている従業員の勤務パターンの特徴を把握し、その勤務パターンの特徴を加味して、打刻情報から読み出した時刻情報と従業員勤怠情報から読み出した時刻情報との類似性を判断してもよい。また、この類似性の判断を行うに当たり、時刻情報の属性、具体的には、時刻情報が取得された曜日、月等を加味してもよい。例えば打刻情報から読み出した時刻情報が月曜日に取得された場合には、当該時刻情報と、従業員勤怠情報中の従業員の過去の時刻情報のうち月曜日に取得された時刻情報とに基づいて類似性を判断してもよい。また、打刻情報から読み出した時刻情報が4月に取得された場合には、当該時刻情報と、従業員勤怠情報中の従業員の過去の時刻情報のうち4月に取得された時刻情報とに基づいて類似性を判断してもよい。さらに、この類似性の判断には、曜日、出勤時刻、退勤時刻、外出時刻、戻り時刻を入力として従業員を出力とする重回帰分析や、ディープラーニングによる予測モデルを構築した後にタイムカードを利用している従業員を予測する方法など様々な方法を用いることができる。
【0079】
また、ステップS42で複数の未関連付けカードIDが特定され、これら複数の未関連付けカードIDとそれぞれ関連付けられた種別情報、時刻情報およびレコーダIDが打刻情報から読み出された場合には、カードID選定部59は、それら複数の未関連付けカードIDとそれぞれ関連付けられた時刻情報と、従業員勤怠情報から読み出された時刻情報との類似性の判断をカードIDごとに行う。例えば、
図19(A)に示すカード登録情報および
図19(B)に示す打刻情報が記憶部42に記憶されていると仮定した場合、カードID選定部59は、未関連付けカードID:「3001」と関連付けられた時刻情報と、従業員勤怠情報から読み出された時刻情報との類似性の判断と、未関連付けカードID:「3003」と関連付けられた時刻情報と、従業員勤怠情報から読み出された時刻情報との類似性の判断とをそれぞれ行う。以下、ステップS42で複数の未関連付けカードIDが特定され、これら複数の未関連付けカードIDとそれぞれ関連付けられた種別情報および時刻情報が打刻情報から読み出され、ステップS44で、それら複数の未関連付けカードIDとそれぞれ関連付けられた時刻情報と、従業員勤怠情報から読み出された時刻情報との類似性の判断がカードIDごとに行われたものと仮定して説明を進める。
【0080】
続いて、カードID選定部59は、打刻情報から読み出した時刻情報と従業員勤怠情報から読み出した時刻情報との類似性の判断結果に基づいて、ステップS42で特定した複数の未関連付けカードIDの中から、従業員勤怠情報から読み出した時刻情報と類似性の高い時刻情報と関連付けられた複数の未関連付けカードIDを、タイムカード利用申請を行っている従業員が利用しているタイムカードのカードIDの複数の候補として選定する(ステップS45)。すなわち、従業員勤怠情報から読み出した時刻情報と類似性の高い時刻情報と関連付けられた複数の未関連付けカードIDはそれぞれ、タイムカード利用申請を行っている従業員が利用しているタイムカードのカードIDと推測される。したがって、カードID選定部59は、従業員勤怠情報から読み出した時刻情報と類似性の高い時刻情報と関連付けられた複数の未関連付けカードIDをそれぞれ、タイムカード利用申請を行っている従業員が利用しているタイムカードのカードIDの複数の候補として選定する。
【0081】
続いて、管理装置3の提示制御部60は、上記複数の候補として選定されたカードID、上記複数の候補として選定されたカードIDとそれぞれ関連付けられた最新の時刻情報が示す時刻(最新の打刻時刻)、上記複数の候補として選定されたカードIDとそれぞれ関連付けられた種別情報が示す種別、および上記複数の候補として選定されたカードIDとそれぞれ関連付けられたレコーダIDにそれぞれ対応するレコーダ名が表示されたカードID選択画面を生成し、そのカードID選択画面を入出力装置4の表示部72に表示する(ステップS46)。
【0082】
図20は、カードID選択画面の一例を示している。
図20に示すように、カードID選択画面96中には、上記複数の候補として選定されたカードID、並びにそれらに対応する最新の打刻時刻、種別およびレコーダ名が配列されている。
図20に示すように、カードID選択画面には、候補として選定された複数のカードIDを、それらカードIDに対応する最新の打刻時刻が新しい順に配列することが好ましい。さらに、カードID選択画面96中には、選択ボタン97、およびOKボタン98等が表示されている。
【0083】
ここで、レコーダ名とは、個々のタイムレコーダ2の名前である。勤怠管理システム1に設けられた各タイムレコーダ2にはレコーダ名が付けられており、このレコーダ名は当該タイムレコーダ2のレコーダIDに関連付けられて管理装置3の記憶部42にレコーダ設定情報として記憶されている。提示制御部60は、記憶部42に記憶されたレコーダ設定情報を参照し、上記複数の候補として選定されたカードIDと関連付けられたレコーダIDに対応するレコーダ名をそれぞれ特定し、
図20に示すように、カードID選択画面に表示する。カードID選択画面に表示されたレコーダ名は、上記複数の候補として選定されたカードIDを有するタイムカードに打刻を行ったタイムレコーダ2の名前である。
図20では、タイムカード2が置かれた事業所名をレコーダ名として用いた場合を例にあげている。
【0084】
従業員は自己の最新の打刻時刻をそれよりも過去の打刻時刻よりも明確に記憶している場合が多いので、最新の打刻時刻は、タイムカード利用申請を行っている従業員が、自己の利用しているタイムカードのカードIDを選択する手掛かりとして大いに役立つ。また、タイムレコーダ2が置かれた事業所名は、従業員が勤務している事業所名と一致する。そのため、タイムレコーダ2が置かれた事業所名が用いられたレコーダ名は、タイムカード利用申請を行っている従業員が、自己の利用しているタイムカードのカードIDを選択する手掛かりとして大いに役立つ。タイムカード利用申請を行っている従業員は、カードID選択画面96中に表示されている最新の打刻時刻およびレコーダ名等に基づいて、自己が利用しているタイムカードのカードIDを選択し、入出力装置4に選択指示を入力する。具体的には、当該従業員は、選択したカードIDに対応する選択ボタン97をクリック(またはタッチ)し、続いてOKボタン98をクリックする。これにより、従業員が選択したカードIDが入出力装置4から管理装置3へ送信される。
【0085】
続いて、管理装置3の関連付け部61が、入出力装置4から送信されたカードIDを受信(取得)する(ステップS47)。続いて、関連付け部61は、記憶部42に記憶されているカード登録情報において、入出力装置4から送信されたカードIDと一致するカードIDを特定する。続いて、関連付け部61は、従業員がログイン時に入力した従業員ID(
図14中のステップS22で取得された従業員ID)を、特定したカードIDに関連付けてカード登録情報に追加することにより、カード登録情報を更新する(ステップS48)。
【0086】
続いて、管理装置3の従業員勤怠情報生成部53が従業員勤怠情報を更新する(ステップS49)。この従業員勤怠情報の更新処理は、直接入力型関連付け処理における従業員勤怠情報の更新処理(
図16中のステップS34)と同じである。
【0087】
(管理画面からの関連付け形成)
管理装置3は、管理者専用の管理画面において従業員IDが入力されたとき、入力された従業員IDをカードIDと関連付けてカード登録情報に追加する機能を有している。例えば、
図21に示す管理画面101において、二点鎖線で囲まれた部分に従業員IDが入力されたとき、管理装置3は、その従業員IDをカードIDと関連付けてカード登録情報に追加する。例えば、従業員がタイムカード利用申請を失念している場合には、管理者が、その従業員の従業員IDを、その従業員が利用しているタイムカードのカードIDと関連付けてカード登録情報に追加することができる。
【0088】
(先月カード参照型時刻記録処理)
先月カード参照型時刻記録処理について説明する。先月カード参照型時刻記録処理は、先月のタイムカードと当月のタイムカードとが連続して順次にタイムレコーダ2のカード挿入部12に挿入されたとき、先月のタイムカードのカードIDに関連付けられた従業員IDを、当月のタイムカードのカードIDに関連付けることによって当月のカード登録情報を生成または更新する処理である。なお、先月のタイムカードとは、利用期間が先月であるタイムカードを意味し、当月のタイムカードとは、利用期間が当月であるタイムカードを意味する。
【0089】
図22は先月カード参照型時刻記録処理を示している。先月カード参照型時刻記録処理は、
図13に示す基本時刻記録処理において、従業員が先月のタイムカードをタイムレコーダ2のカード挿入部12に挿入したときに実行される。すなわち、
図13中のステップS2において、タイムレコーダ2のCPU29は、カード挿入部12に挿入されたタイムカードが当月のタイムカードであるか否かを判断する。その判断の結果、カード挿入部12に挿入されたタイムカードが当月のタイムカードでない場合(ステップS2:NO)、CPU29は、処理を
図13中のステップS2から
図22中のステップS61に移行させる。これにより、先月カード参照型時刻記録処理が開始される。
【0090】
図22に示すように、先月カード参照型時刻記録処理において、タイムレコーダ2のCPU29は、カード挿入部12に挿入された先月のタイムカードから当該タイムカードのカードIDを読み取る(ステップS61)。
【0091】
続いて、タイムレコーダ2のCPU29は、先月のタイムカードがカード挿入部12から取り出されてから所定の時間(例えば10秒)内に、当月のタイムカードがカード挿入部12に挿入されたか否かを判断する(ステップS62)。先月のタイムカードがカード挿入部12から取り出されてから上記所定の時間内に、当月のタイムカードがカード挿入部12に挿入されなかった場合には(ステップS62:NO)、CPU29は、先月カード参照型時刻記録処理を終了する。
【0092】
一方、先月のタイムカードがカード挿入部12から取り出されてから上記所定の時間内に、当月のタイムカードがカード挿入部12に挿入された場合には(ステップS62:YES)、タイムレコーダ2のCPU29は、カード挿入部12に挿入された当月のタイムカードから当該タイムカードのカードIDを読み取る(ステップS63)。続いて、タイムレコーダ2のCPU29は、時計部21の時計から現在の時刻を取得し(ステップS64)、取得した現在の時刻を当月のタイムカードの印字領域に印字する(ステップS65)。
【0093】
続いて、タイムレコーダ2のCPU29は、タイムレコーダ2の記憶部27に予め記憶されているレコーダIDと、ステップS61で読み取った先月のタイムカードのカードIDと、ステップS63で読み取った当月のタイムカードのカードIDと、ステップS64で取得した時刻を示す時刻情報と、従業員が選択した時刻の種別を示す種別情報とを管理装置3へ送信する(ステップS66)。
【0094】
続いて、管理装置3のCPU45が、タイムレコーダ2から送信されたレコーダID、先月のタイムカードのカードID、当月のタイムカードのカードID、時刻情報および種別情報を受信する。続いて、CPU45の打刻情報生成部51が、受信したレコーダID、当月のタイムカードのカードID、時刻情報および種別情報をそれぞれ互いに関連付けることにより打刻情報を生成し、生成した打刻情報を管理装置3の記憶部42に記憶する(ステップS67)。
【0095】
続いて、管理装置3のカード利用管理部52が、カード登録情報中にタイムレコーダ2から送信された当月のタイムカードのカードIDと一致するカードIDが存在するか否か、すなわち、タイムレコーダ2から送信された当月のタイムカードのカードIDが登録されているか否かを判断するために、管理装置3の記憶部42に記憶されているカード登録情報を検索する(ステップS68)。
【0096】
検索の結果、カード登録情報中にタイムレコーダ2から送信された当月のタイムカードのカードIDと一致するカードIDが存在する場合には(ステップS69:YES)、続いて、カード利用管理部52は、カード登録情報を調べ、タイムレコーダ2から送信された当月のタイムカードのカードIDと一致するカードIDに関連付けられた利用フラグが「1」か否かを判断する(ステップS70)。そして、カード利用管理部52は、当該利用フラグが「0」である場合にはステップS71で当該利用フラグを「1」に設定し、当該利用フラグが「1」である場合にはステップS71をスキップする。
【0097】
続いて、管理装置3の従業員勤怠情報生成部53がカード登録情報を調べ、タイムレコーダ2から送信された当月のタイムカードのカードIDと一致するカードIDに従業員IDが関連付けられているか否かを判断する(ステップS72)。そして、タイムレコーダ2から送信された当月のタイムカードのカードIDと一致するカードIDに従業員IDが関連付けられている場合には(ステップS72:YES)、従業員勤怠情報を更新する(ステップS73)。ここでの従業員勤怠情報の更新処理は、上述した基本時刻記録処理における従業員勤怠情報の更新処理(
図13中のステップS13)と同じである。従業員勤怠情報の更新完了により先月カード参照型時刻記録処理は終了する。このように、先月のタイムカードと当月のタイムカードとが連続して順次にタイムレコーダ2のカード挿入部12に挿入されたが、挿入された当月のタイムカードのカードIDと一致するカードIDがカード登録情報中に存在する場合には、基本時刻記録処理と同様の処理が行われる(すなわち、タイムレコーダ2から送信された先月のタイムカードのカードIDは、管理装置3における処理に利用されない)。
【0098】
一方、タイムレコーダ2から送信されたカードIDに従業員IDが関連付けられていない場合には(ステップS72:NO)、管理装置3の先月カード参照型関連付け形成部62が、カード登録情報中にタイムレコーダ2から送信された先月のタイムカードのカードIDと一致するカードIDが存在するか否かを判断するために、管理装置3の記憶部42に記憶されているカード登録情報を検索する(ステップS75)。
【0099】
検索の結果、カード登録情報中にタイムレコーダ2から送信された先月のタイムカードのカードIDと一致するカードIDが存在する場合には(ステップS76:YES)、先月カード参照型関連付け形成部62は、タイムレコーダ2から送信された先月のタイムカードのカードIDと一致するカードIDと関連付けられた従業員IDをカード登録情報から読み出す。そして、先月カード参照型関連付け形成部62は、当該読み出した従業員IDを、カード登録情報において、タイムレコーダ2から送信された当月のタイムカードのカードIDと一致するカードIDと関連付けてカード登録情報に追加することにより、カード登録情報を更新する(ステップS77)。続いて、従業員勤怠情報生成部53が従業員勤怠情報を更新する(ステップS73)。このように、先月のタイムカードと当月のタイムカードとが連続して順次にタイムレコーダ2のカード挿入部12に挿入され、カード登録情報中に、挿入された当月のタイムカードのカードIDと一致するカードIDは存在するが、それに関連付けられた従業員IDが存在せず、かつ、カード登録情報中に、挿入された先月のタイムカードのカードIDと一致するカードIDが存在する場合には、カード登録情報において、挿入された先月のタイムカードのカードIDと一致するカードIDに関連付けられた従業員IDと、挿入された当月のタイムカードのカードIDと一致するカードIDとの関連付けが形成される。
【0100】
一方、ステップS75の検索の結果、カード登録情報中にタイムレコーダ2から送信された先月のタイムカードのカードIDと一致するカードIDが存在しない場合には(ステップS76:NO)、先月カード参照型時刻記録処理は直ちに終了する。タイムレコーダ2のカード挿入部12に最初に挿入されたタイムカードが、当月のタイムカードでも先月のタイムカードでもない場合には、このように、カード登録情報の更新も従業員勤怠情報の更新も行われないまま、先月カード参照型時刻記録処理は終了する。
【0101】
他方、先月のタイムカードと当月のタイムカードとが連続して順次にタイムレコーダ2のカード挿入部12に挿入され、挿入された当月のタイムカードのカードIDと一致するカードIDがカード登録情報に存在しない場合、すなわち、挿入された当月のタイムカードのカードIDが未登録である場合には、カード追加登録部54により、ステップS74で、挿入された当月のタイムカードのカードID、利用期間、および「1」に設定された利用フラグがそれぞれ互いに関連付けられてカード登録情報に追加される。その後、ステップS75~S77の処理が実行されることにより、カード登録情報において、挿入された先月のタイムカードのカードIDと一致するカードIDに関連付けられた従業員IDと、挿入された当月のタイムカードのカードIDと一致するカードIDとの関連付けが形成される。その後、ステップS73で従業員勤怠情報が更新される。
【0102】
以上説明した通り、本発明の実施形態の勤怠管理システム1においては、基本的に、新規カード登録処理とタイムカード利用申請処理によって、タイムカードのカードIDと従業員IDとが互いに関連付けられて配列されたカード登録情報が生成または更新される。したがって、管理者が、新しいタイムカードの発行時に新規カード登録処理を実行させることによって、新しいタイムカードのカードIDをカード登録情報に追加する作業を行い、各従業員が、タイムカードの利用開始後にタイムカード利用申請処理を実行させることによって、自己の従業員IDを、自己が利用しているタイムカードのカードIDと関連付けてカード登録情報に追加する作業を行うこととすることにより、新しいタイムカードの発行時における管理者の作業負担を軽減することができる。すなわち、従来は、管理者が、新しいタイムカードの発行時に、勤怠管理の対象である個々の従業員の従業員IDを、新しいタイムカードのカードIDに関連付ける作業を行っていた。しかしながら、本実施形態においては、従業員IDをタイムカードのカードIDに関連付ける作業を各従業員が行うこととすることができる。このように、従来、管理者が行っていた作業を各従業員に振り分けることで、管理者の負担を軽くすることができる。
【0103】
また、本実施形態において、管理装置3はカード追加登録部54を有し、カード追加登録部54は、基本時刻記録処理および先月カード参照型時刻記録処理において、カードIDが登録されていないタイムカードの利用が認識されたときに、当該タイムカードのカードIDをカード登録情報に追加する(
図13のステップS14、
図22のステップS74を参照)。これにより、管理者が、新しいタイムカードの発行時に、新規カード登録処理を実行させて新しいタイムカードのカードIDをカード登録情報に追加する作業を省略することができる。したがって、新しいタイムカードの発行時における管理者の作業負担を一層軽減することができる。
【0104】
また、本実施形態において、管理装置3は候補選定型関連付け部61を有し、候補選定型関連付け部61は、カード登録情報において、従業員が利用しているタイムカードのカードIDであることが推測される複数のカードIDを、従業員が利用しているタイムカードのカードIDの複数の候補として選定し、管理装置3へのログイン時に取得された従業員IDを、上記複数の候補の中から従業員が選択したカードIDと関連付けてカード登録情報に追加する処理(候補選定型関連付け処理)を行う。これにより、従業員は、タイムカード利用申請作業、すなわち、自己の従業員IDを自己が利用しているタイムカードのカードIDと関連付けてカード登録情報に追加する作業を容易に行うことができる。具体的には、タイムカード利用申請時に、候補選定型関連付け部61は、従業員が利用しているタイムカードのカードIDの複数の候補を入出力装置4の表示部72に表示する。従業員は、表示部72に表示されたカードIDの複数の候補の中から、自己が利用しているタイムカードのカードIDを選択することにより、タイムカード利用申請作業を迅速かつ容易に行うことができる。
【0105】
さらに、候補選定型関連付け部61は、
図20に示すように、従業員が利用しているタイムカードのカードIDの複数の候補と共に、それらに対応する最新の打刻時刻を入出力装置4の表示部72に表示する。従業員は、表示部72に表示された最新の打刻時刻を見ることにより、自己が利用しているタイムカードのカードIDを確認することができない状況においても、最新の打刻時刻に基づいて、自己が利用しているタイムカードのカードIDを特定し、選択することができる。したがって、従業員は、自己が利用しているタイムカードが手元にない場合でも、タイムカード利用申請を行うことができる。例えば、従業員は、携帯しているスマートフォンを利用し、通勤途中や、自宅に帰宅した後に、タイムカード利用申請を行うことができる。
【0106】
また、本実施形態において、管理装置3は直接入力型関連付け部61を有し、直接入力型関連付け部61は、カード登録情報において、従業員が直接入力したカードIDと一致するカードIDを特定し、管理装置3へのログイン時に取得された従業員IDを、その特定されたカードIDと関連付けてカード登録情報に追加する処理(直接入力型関連付け処理)を行う。これにより、従業員は、例えば自己が利用しているタイムカードが手元にある場合など、自己が利用しているタイムカードのカードIDを確認することができる状況である場合には、そのカードIDを直接入力することによりタイムカード利用申請作業を簡単に行うことができる。
【0107】
また、本実施形態の勤怠管理システム1は、先月のタイムカードと当月のタイムカードとが連続して順次にタイムレコーダ2のカード挿入部12に挿入されたとき、先月のタイムカードのカードIDに関連付けられた従業員IDを、当月のタイムカードのカードIDに関連付けることによって当月のカード登録情報を生成または更新する処理(先月カード参照型時刻記録処理)を行うことができる。従業員は、この処理を利用することにより、タイムカード利用申請を行うことなく、従業者IDと当月のタイムカードのカードIDとの関連付けを形成する作業を行うことができる。
【0108】
また、本実施形態において、管理装置3のカードID選定部59は、打刻情報中に存在する、未関連付けカードIDに関連付けられた時刻情報と、従業員勤怠情報中に存在する、タイムカード利用申請を行っている従業員の過去の時刻情報との類似性を判断し、タイムカード利用申請を行っている従業員の過去の時刻情報と類似性の高い時刻情報と関連付けられた未関連付けカードIDを、タイムカード利用申請を行っている従業員が利用しているタイムカードのカードIDの候補の1つとして選定する。これにより、タイムカード利用申請時に、従業員が利用しているタイムカードのカードIDの候補を高精度に選定することができる。したがって、タイムカード利用申請時に、カードID選択画面96に表示するカードIDの候補の中に、従業員が利用しているタイムカードのカードIDを確実に含ませることができる。それゆえ、タイムカード利用申請を行う従業員は、カードID選択画面96に表示されたカードIDの複数の候補の中から、自己が利用しているタイムカードのカードIDを円滑に選択することができる。
【0109】
なお、上記実施形態では、タイムカード利用申請時において、カードID選択画面96に、従業員が利用しているタイムカードのカードIDの候補と共に、それに対応する最新の打刻時刻を表示する。しかしながら、カードID選択画面96に、従業員が利用しているタイムカードのカードIDの候補と共に表示する情報は、当該カードIDの候補に対応する最新の打刻時刻に限らない。例えば、従業員が利用しているタイムカードのカードIDの候補と共に、それに対応する最終打刻日の出勤時の打刻時刻と退勤時の打刻時刻を表示してもよい。
【0110】
また、
図23に示すように、タイムカード利用申請時において、カードID選択画面103に、従業員が利用しているタイムカードのカードIDの候補と共に、それに対応する従業員の撮像画像105を表示してもよい。例えば、基本時刻記録処理において、従業員がタイムカードをタイムレコーダ2のカード挿入部12に挿入したとき、タイムレコーダ2が有するカメラ18により、その従業員の顔を撮像し、撮像により得られた撮像画像を、レコーダID、カードID、時刻情報および種別情報と共にタイムレコーダ2から管理装置3へ送信する。そして、管理装置3の打刻情報生成部51が、タイムレコーダ2から送信されたレコーダID、カードID、時刻情報、種別情報および撮像画像をそれぞれ互いに関連付けることにより打刻情報を生成し、生成した打刻情報を管理装置3の記憶部42に記憶する。そして、候補選定型関連付け処理において、候補選定型関連付け形成部58の提示制御部60が、従業員が利用しているタイムカードのカードIDの候補に対応する最新の時刻情報および撮像画像等を打刻情報の中から取得し、カードIDの候補と共に、取得した最新の時刻情報が示す打刻時刻および撮像画像105が表示されたカードID選択画面103を入出力装置4の表示部72に表示する。タイムカード利用申請を行う従業員は、カードID選択画面103に表示されている撮像画像に基づいて、自己が利用しているタイムカードのカードIDを容易に選択することができる。
【0111】
また、基本時刻記録処理においてタイムレコーダ2から送信された撮像画像を、カードIDと従業員IDとの関連付けが形成された後に、従業員IDと関連付けて保存しておき、その後、候補選定型関連付け処理において、打刻情報中の撮像画像と、過去に従業員IDと関連付けて保存しておいた撮像画像とを比較して、両者の類似度を判断し、その判断結果に基づいて、利用申請を行っている従業員が利用しているタイムカードのカードIDを推測してもよい。
【0112】
また、上記実施形態における候補選定型関連付け処理では、カード登録情報において、従業員が利用しているタイムカードのカードIDであることが推測される複数のカードIDを、従業員が利用しているタイムカードのカードIDの複数の候補として選定し、それら選定したカードIDの候補が表示されたカードID選択画面96を入出力装置4の表示部72に表示する。このとき、カードID選択画面96において、カードIDの複数の候補を、未関連付けカードIDに関連付けられた時刻情報と、タイムカード利用申請を行っている従業員の過去の時刻情報との類似性が高い順に配列するようにしてもよい。または、カードIDの各候補につき、未関連付けカードIDに関連付けられた時刻情報と、タイムカード利用申請を行っている従業員の過去の時刻情報との類似性の度合いを示す値を、カードID選択画面96に表示してもよい。
【0113】
また、上記実施形態における候補選定型関連付け処理では、カード選定画面96に表示するカードIDの候補を選定するに当たり、未関連付けカードIDに関連付けられた時刻情報と、タイムカード利用申請を行っている従業員の過去の時刻情報との類似性を判断し、タイムカード利用申請を行っている従業員の過去の時刻情報と類似性の高い時刻情報に関連付けられた未関連付けカードIDを選定する。しかしながら、本発明はこれに限らない。カード選定画面96に表示するカードIDとして、カード登録情報において、いずれの従業員IDとも関連付けられていないカードIDをすべて選定するようにしてもよい。これにより、管理装置3の処理負担を軽減することができる。
【0114】
また、上記実施形態では、基本時刻記録処理および先月カード参照型時刻記録処理において、従業員が打刻を行ったとき、その従業員の従業員IDと、その従業員が利用しているタイムカードのカードIDとの関連付けがすでに形成されている場合に、従業員勤怠情報を更新する。また、上記実施形態では、直接入力型関連付け形成処理および候補選択型関連付け形成処理において、従業員がタイムカード利用申請を行い、自己が利用しているタイムカードのカードIDを入力または選択した直後に、従業員勤怠情報を更新する。しかしながら、従業員勤怠情報の更新のタイミングはこれらに限定されない。例えば、利用期間中は打刻情報を記憶部42に保持しておき、利用期間が満了した直後等に従業員勤怠情報を更新してもよい。
【0115】
また、上記実施形態では、タイムカードの利用期間を一箇月としたが、例えば、勤怠管理システム1を外国で利用する場合などには、その国の慣習等に応じて、タイムカードの利用期間を一箇月以外の期間としてもよい。
【0116】
また、上記実施形態では、連番のカードIDが印刷されているタイムカードを使用する例で説明したが、タイムカードのカードIDが運用上相当の期間においても重複することのない程度の桁数のIDを用いている場合や、準備した新しいタイムカードのカードIDの重複が無いように予め管理されている場合は、管理者も従業者もが新規カード登録処理を行わず、従業者がランダムに新しいタイムカードを使用し出すように運用してもよい。
【0117】
また、上記実施形態において、従業員IDが従業員ごとに異なる固有の番号である場合を例にあげたが、従業員IDとして、従業員の指紋の情報等、従業員の生体情報を用いることもできる。
【0118】
また、勤怠管理システム1の管理装置3において、記憶部42は、管理装置3に設けられた記憶装置に限らず、管理装置3にコンピュータネットワーク等を介して通信可能に接続された記憶装置でもよい。
【0119】
また、上記実施形態では、本発明の時刻記録管理システムを、タイムカードを利用する勤怠管理システムに適用した場合を例にあげたが、本発明の時刻記録管理システムは、例えばICカードを利用する勤怠管理システムにも適用することができる。さらに、本発明の時刻記録管理システムは、勤怠管理システムに限らず、入退室管理システム等、個人が利用している識別媒体から当該識別媒体のIDを取得し、かつ当該識別媒体のIDを読み取った時刻を示す時刻情報を取得し、取得した識別媒体のIDおよび時刻情報に基づいて、個人が特定の行為を行った時刻を把握する種々のシステムに適用することができる。
【0120】
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う時刻記録管理システムもまた本発明の技術思想に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明は、企業等に勤務する従業員の勤怠管理を行う勤怠管理システム、建物内の室等の入退室管理を行う入退室管理システム等に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0122】
1 勤怠管理システム(時刻記録管理システム)
2 タイムレコーダ(時刻送信装置)
3 管理装置(時刻記録管理装置)
4 入出力装置
12 カード挿入部
23 印字部
24 カードコード読取部(媒体識別情報読取部)
26 通信部(第1の送信部)
29 CPU(媒体識別情報読取部)
31 タイムカード
33 カードID
34 カードコード
42 記憶部
51 打刻情報生成部
53 従業員勤怠情報生成部(特定行為情報生成部)
54 カード追加登録部(識別媒体登録情報生成部)
55 新規カード登録部(識別媒体登録情報生成部)
57 直接入力型関連付け形成部(識別媒体登録情報更新部)