(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053048
(43)【公開日】2024-04-12
(54)【発明の名称】分子遺伝子シグネチャーとその使用方法
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6886 20180101AFI20240405BHJP
【FI】
C12Q1/6886 Z
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024034926
(22)【出願日】2024-03-07
(62)【分割の表示】P 2020564841の分割
【原出願日】2019-05-20
(31)【優先権主張番号】62/674,285
(32)【優先日】2018-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/747,853
(32)【優先日】2018-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513322707
【氏名又は名称】ナノストリング テクノロジーズ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100196977
【弁理士】
【氏名又は名称】上原 路子
(72)【発明者】
【氏名】サラ ウォーレン
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ダナハー
(57)【要約】
【課題】分子遺伝子シグネチャーとその使用方法の提供
【解決手段】本発明は、1種以上の細胞遺伝子シグネチャー及び/又は細胞遺伝子シグネチャーの組み合わせの発現レベルを、治療による処置のための癌を有する患者を選択するための選択基準として使用する方法を提供する。本発明はさらに、免疫療法などの特定の治療から利益を得る可能性のある癌患者を選択し、その患者に免疫療法を施して癌を治療する方法を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療による処置に応答する可能性が高い癌を有する被験体の特定を補助する方法であって、被験体から得られた生物学的試料中の遺伝子シグネチャーの遺伝子のそれぞれの発現レベルを決定することを含み、
遺伝子シグネチャーは、GZMA、GZMB、GZMH、PRF1及びGNLYを含み、
遺伝子シグネチャーの遺伝子の発現レベルの変化により治療による処置に応答する可能性が高い被験体が特定される、方法。
【請求項2】
前記遺伝子シグネチャーの遺伝子の発現レベルの上昇がある場合、前記癌を有する被験体は活性化免疫療法による処置に応答する可能性が高いとして特定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記被験体に前記遺伝子シグネチャーの遺伝子の発現レベルの変化の結果を通知する工程をさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記活性化免疫療法が、チェックポイント阻害剤
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記チェックポイント阻害剤が、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、PD-L2阻害剤、又はそれらの組み合わせである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記癌が、副腎皮質癌、膀胱尿路上皮癌、乳房浸潤癌、頸部扁平上皮癌、子宮頸部腺癌、胆管癌、結腸腺癌、リンパ系新生物びまん性大型B細胞リンパ腫、食道癌、多形性神経膠芽細胞腫、頭頸部扁平上皮癌、嫌色素性腎癌、腎明細胞癌、腎乳頭細胞癌、急性骨髄性白血病、脳低悪性度神経膠腫、肝細胞癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、中皮腫、卵巣漿液性嚢胞腺癌、膵臓腺癌、クロム親和性細胞腫、傍神経節腫、前立腺腺癌、直腸腺癌、肉腫、皮膚黒色腫、胃腺癌、精巣生殖細胞腫瘍、甲状腺癌、胸腺腫、子宮癌肉腫、又はぶどう膜黒色腫腫である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記癌が、乳癌、肺癌、リンパ腫、黒色腫、肝臓癌、結腸直腸癌、卵巣癌、膀胱癌、腎臓癌、又は胃癌である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記癌が、神経内分泌癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞肺癌、甲状腺癌、子宮内膜癌、胆道癌、食道癌、肛門癌、唾液腺癌、外陰癌、又は子宮頚癌である、請求項1~5のいずれか1に記載の方法。
【請求項9】
前記患者又は被験体からの生物学的試料中の遺伝子の発現が、mRNAを測定することによって決定される、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記患者又は被験体からの生物学的試料中の遺伝子の発現が、
(a)血漿;
(b)組織;又は
(c)FFPE組織
におけるmRNAを測定することによって決定される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記生物学的試料が
(a)腫瘍組織又は
(b)血液
である、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年5月21日に出願された米国仮出願第62/674,285号、及び2018年10月19日に出願された米国仮出願第62/747,853号の優先権及び利益を主張する。前述の特許出願のそれぞれの内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
効果的な抗腫瘍免疫と免疫回避との間のバランスは、腫瘍の微小環境における様々な免疫細胞集団の存在量、これらの免疫細胞の活性、免疫シグナル伝達に対する腫瘍細胞の受容性、及び栄養素の利用可能性と間質などの微小環境などの、多様な要因に依存する。これらのプロセスの多くは測定が面倒であり、これらの小さなサブセット以上を超えて測定できるアッセイは存在しないため、新しい免疫療法や予測バイオマーカーの開発が遅れている。
【0003】
腫瘍試料中の遺伝子発現は腫瘍及び免疫細胞の両方における活性を反映するため、それは、腫瘍-免疫相互作用の詳細な出力を約束する。ただし、遺伝子発現の結果は単純な解釈を許さず、遺伝子が関与する経路がわかっている場合でも、その転写産物の存在量を生物学的プロセスの活性レベルに関連付ける根拠がほとんどないことがよくある。従って、遺伝子発現の結果、例えば「細胞障害性遺伝子はレスポンダーでアップレギュレートされている」は、生物学についてのより有用な主張、例えば「細胞障害活性はレスポンダーでより高い」を確立することはめったにない。
【0004】
遺伝子発現を生物学的解釈に関連付けるプロジェクトは、遺伝子発現を使用して免疫細胞集団の存在量を測定する文献の増加によって進められてきたが、細胞タイプの存在量が提供する腫瘍の微小環境の情報は、不完全である。
【0005】
従って、免疫腫瘍学における遺伝子発現から生物学的解釈への着実な橋渡しを構築し、その発現が特定の生物学的プロセスをモニタリングすると思われる遺伝子を同定し、これらの遺伝子を免疫腫瘍学の主要な生物学を測定するシグネチャーに組み込む必要性が、現在存在する。さらに、免疫細胞の存在以上に、これらの細胞の活動、及び腫瘍細胞と免疫系の間の多様な相互作用を測定する必要性が存在する。例えば、細胞障害性、抗原提示、インターフェロンガンマのシグナル伝達などの免疫プロセスの測定は、それらを実行できる細胞タイプを測定する以上に重要である可能性があり、細胞タイプの測定は、腫瘍と免疫の相互作用を形成する非免疫固有プロセス、例えば腫瘍細胞内の栄養の利用可能性、血管新生、抗原提示、及びJAK-STATシグナル伝達などに対して、役に立たない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、免疫応答及び回避を駆動する様々な腫瘍及び免疫固有のプロセスのシグネチャーを提供することにより、上記の必要性に対処し、遺伝子発現が提供するウィンドウを腫瘍-免疫相互作用に拡大する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の要約
1つの態様において、本開示は、処置を必要とする癌患者の処置を選択する方法であって、任意の形態の本明細書に任意の遺伝子シグネチャーで記載された、任意の遺伝子の組合せ、又は遺伝子群の任意の組み合わせ、又は遺伝子若しくは遺伝子群の組み合わせの発現レベルを決定することを含む、上記方法に関する。
【0008】
1つの態様において、本発明は、処置を必要とする癌患者の処置を選択する方法であって、前記癌患者から得られた生物学的試料中のシグネチャー(a)~(q)の少なくとも1つにおける1種以上の遺伝子の発現レベルを決定することを含む、上記方法に関する:
(a)MKI67、CEP55、KIF2C、MELK、CENPF、EXO1、ANLN、RRM2、UBE2C、CCNB1、及びCDC20;
(b)FAP、COL6A3、ADAM12、OLFML2B、PDGFRB、及びLRRC32;
(c)CXCL10、CXCR3、CX3CL1、PRF1、GZMK、GZMB、CD27、IL2RG、KLRK1、CTLA4、GZMH、CD3D、KLRB1、KLRD1、LCK、CD5、IRF4、CD8A、CD38、EOMES、GZMM、GNLY、IFITM1、IDO1、MS4A1、GZMA、CD2、CD3E、CD3G、CD40LG、CD6、CD7、CD79A、CD8B、CXCL11、CXCL13、CXCL9、HLA-DOB、IFNG、LAG3、LY9、PDCD1、TBX21、TIGIT、ZAP70、SLAMF7、CD96、PVR、STAT1、JAK1、JAK2、STAT2、IRF9、IGF2R、CD48、及びICOS;
(d)ITGAM、TLR4、IL1B、CSF1R、CSF3R、TLR2、TLR1、ITGAX、HCK、TLR8、SLC11A1、CD47、CD14、CLEC4E、CLEC7A、FCAR、FCN1、LILRA5、LILRB2、LYZ、NFAM1、P2RY13、S100A8、S100A9、SERPINA1、SIRPA、SIRPB2、TREM1、CLEC5A、CSF1、CYBB、FCGR1A、MARCO、NLRP3、FPR1、FPR3、CCL3、DAB2、OLR1、C5AR1、TREM2、MRC1、及びCEBPB;
(e)BCL6B、CDH5、CLEC14A、CXorf36、EMCN、FAM124B、KDR、MMRN2、MYCT1、PALMD、ROBO4、SHE、TEK、及びTIE1;
(f)B2M、TAP1、TAP2、TAPBP、HLA-A、HLA-B、及びHLA-C;
(g)HLA-DRB5、HLA-DPA1、HLA-DPB1、HLA-DQB1、HLA-DRA、HLA-DRB1、HLA-DMA、及びHLA-DOA;
(h)STAT1、CXCL9、CXCL10、及びCXCL11;
(i)GZMA、GZMB、GZMH、PRF1、及びGNLY;
(j)PSMB8、PSMB9、及びPSMB10;
(k)AXIN1、BAD、BAX、BBC3、及びBCL2L1;
(l)CCL2、CCL3、CCL4、CCL7、及びCCL8;
(m)BNIP3、SLC2A1、PGK1、BNIP3L、P4HA1、ADM、PDK1、ALDOC、PLOD2、P4HA2、及びMXI1;
(n)MAGEA3、MAGEA6、MAGEA1、MAGEA12、MAGEA4、MAGEB2、MAGEC2、及びMAGEC1;
(o)AKT1、HIF1A、SLC2A1、HK2、TPI1、ENO1、LDHA、PFKFB3、PFKM、GOT1、GOT2、GLUD1、及びHK1;
(p)IFI16、IFI27、IFI35、IFIH1、IFIT1、IFIT2、IFITM1、IFITM2、IRF1、APOL6、TMEM140、PARP9、TRIM21、GBP1、DTX3L、PSMB9、OAS1、OAS2、ISG15、MX1、IFI6、IFIT3、IRF9、及びSTAT2;
(q)CXCL1、CXCL3、CXCL2、CCL20、AREG、FOSL1、CSF3、PTGS2、IER3、及びIL6;
ここで、少なくとも1種の遺伝子シグネチャーにおける1種以上の遺伝子の発現レベルの変化は、処置のための患者を特定する。別の態様において、この方法は、処置を必要とする癌患者の処置を選択する方法を含み、患者から得られた生物学的試料中のシグネチャー(a)~(q)で記載された、1種以上の遺伝子、又は遺伝子の群、又は遺伝子若しくは遺伝子の群の組み合わせの発現レベルを決定することを含み、ここで、遺伝子シグネチャー(a)~(q)中の、1種以上の遺伝子、又は遺伝子の群、又は遺伝子若しくは遺伝子の群の組み合わせの発現レベルの変化は、処置のための患者を特定する。
【0009】
関連する態様において、本発明は、治療による処置のための癌を有する被験体を選択する方法であって、被験体から得られた生物学的試料中のシグネチャー(a)~(q)の少なくとも1つにおける1種以上の遺伝子の発現レベルを決定することを含む、上記方法に関する:
(a)MKI67、CEP55、KIF2C、MELK、CENPF、EXO1、ANLN、RRM2、UBE2C、CCNB1、及びCDC20;
(b)FAP、COL6A3、ADAM12、OLFML2B、PDGFRB、及びLRRC32;
(c)CXCL10、CXCR3、CX3CL1、PRF1、GZMK、GZMB、CD27、IL2RG、KLRK1、CTLA4、GZMH、CD3D、KLRB1、KLRD1、LCK、CD5、IRF4、CD8A、CD38、EOMES、GZMM、GNLY、IFITM1、IDO1、MS4A1、GZMA、CD2、CD3E、CD3G、CD40LG、CD6、CD7、CD79A、CD8B、CXCL11、CXCL13、CXCL9、HLA-DOB、IFNG、LAG3、LY9、PDCD1、TBX21、TIGIT、ZAP70、SLAMF7、CD96、PVR、STAT1、JAK1、JAK2、STAT2、IRF9、IGF2R、CD48、及びICOS;
(d)ITGAM、TLR4、IL1B、CSF1R、CSF3R、TLR2、TLR1、ITGAX、HCK、TLR8、SLC11A1、CD47、CD14、CLEC4E、CLEC7A、FCAR、FCN1、LILRA5、LILRB2、LYZ、NFAM1、P2RY13、S100A8、S100A9、SERPINA1、SIRPA、SIRPB2、TREM1、CLEC5A、CSF1、CYBB、FCGR1A、MARCO、NLRP3、FPR1、FPR3、CCL3、DAB2、OLR1、C5AR1、TREM2、MRC1、及びCEBPB;
(e)BCL6B、CDH5、CLEC14A、CXorf36、EMCN、FAM124B、KDR、MMRN2、MYCT1、PALMD、ROBO4、SHE、TEK、及びTIE1;
(f)B2M、TAP1、TAP2、TAPBP、HLA-A、HLA-B、及びHLA-C;
(g)HLA-DRB5、HLA-DPA1、HLA-DPB1、HLA-DQB1、HLA-DRA、HLA-DRB1、HLA-DMA、及びHLA-DOA;
(h)STAT1、CXCL9、CXCL10、及びCXCL11;
(i)GZMA、GZMB、GZMH、PRF1、及びGNLY;
(j)PSMB8、PSMB9、及びPSMB10;
(k)AXIN1、BAD、BAX、BBC3、及びBCL2L1;
(l)CCL2、CCL3、CCL4、CCL7、及びCCL8;
(m)BNIP3、SLC2A1、PGK1、BNIP3L、P4HA1、ADM、PDK1、ALDOC、PLOD2、P4HA2、及びMXI1;
(n)MAGEA3、MAGEA6、MAGEA1、MAGEA12、MAGEA4、MAGEB2、MAGEC2、及びMAGEC1;
(o)AKT1、HIF1A、SLC2A1、HK2、TPI1、ENO1、LDHA、PFKFB3、PFKM、GOT1、GOT2、GLUD1、及びHK1;
(p)IFI16、IFI27、IFI35、IFIH1、IFIT1、IFIT2、IFITM1、IFITM2、IRF1、APOL6、TMEM140、PARP9、TRIM21、GBP1、DTX3L、PSMB9、OAS1、OAS2、ISG15、MX1、IFI6、IFIT3、IRF9、及びSTAT2;
(q)CXCL1、CXCL3、CXCL2、CCL20、AREG、FOSL1、CSF3、PTGS2、IER3、及びIL6;
ここで、遺伝子シグネチャー(a)~(q)の少なくとも1つにおける1種以上の遺伝子の発現レベルの変化は、治療による処置のための被験体を特定する。別の態様において、この方法は、治療による処置を必要とする癌を有する被験体を選択する方法を含み、患者から得られた生物学的試料中のシグネチャー(a)~(q)で記載された、1種以上の遺伝子、又は遺伝子の群、又は遺伝子若しくは遺伝子の群の組み合わせの発現レベルを決定することを含み、ここで、遺伝子シグネチャー(a)~(q)中の、1種以上の遺伝子、又は遺伝子の群、又は遺伝子若しくは遺伝子の群の組み合わせの発現レベルの変化は、治療による処置のための被験体を特定する。
【0010】
関連する態様において、本発明は、治療による処置に応答する可能性が高い癌を有する被験体を特定する方法であって、被験体から得られた生物学的試料中のシグネチャー(a)~(q)の少なくとも1つにおける1種以上の遺伝子の発現レベルを決定することを含む、上記方法に関する:
(a)MKI67、CEP55、KIF2C、MELK、CENPF、EXO1、ANLN、RRM2、UBE2C、CCNB1、及びCDC20;
(b)FAP、COL6A3、ADAM12、OLFML2B、PDGFRB、及びLRRC32;
(c)CXCL10、CXCR3、CX3CL1、PRF1、GZMK、GZMB、CD27、IL2RG、KLRK1、CTLA4、GZMH、CD3D、KLRB1、KLRD1、LCK、CD5、IRF4、CD8A、CD38、EOMES、GZMM、GNLY、IFITM1、IDO1、MS4A1、GZMA、CD2、CD3E、CD3G、CD40LG、CD6、CD7、CD79A、CD8B、CXCL11、CXCL13、CXCL9、HLA-DOB、IFNG、LAG3、LY9、PDCD1、TBX21、TIGIT、ZAP70、SLAMF7、CD96、PVR、STAT1、JAK1、JAK2、STAT2、IRF9、IGF2R、CD48、及びICOS;
(d)ITGAM、TLR4、IL1B、CSF1R、CSF3R、TLR2、TLR1、ITGAX、HCK、TLR8、SLC11A1、CD47、CD14、CLEC4E、CLEC7A、FCAR、FCN1、LILRA5、LILRB2、LYZ、NFAM1、P2RY13、S100A8、S100A9、SERPINA1、SIRPA、SIRPB2、TREM1、CLEC5A、CSF1、CYBB、FCGR1A、MARCO、NLRP3、FPR1、FPR3、CCL3、DAB2、OLR1、C5AR1、TREM2、MRC1、及びCEBPB;
(e)BCL6B、CDH5、CLEC14A、CXorf36、EMCN、FAM124B、KDR、MMRN2、MYCT1、PALMD、ROBO4、SHE、TEK、及びTIE1;
(f)B2M、TAP1、TAP2、TAPBP、HLA-A、HLA-B、及びHLA-C;
(g)HLA-DRB5、HLA-DPA1、HLA-DPB1、HLA-DQB1、HLA-DRA、HLA-DRB1、HLA-DMA、及びHLA-DOA;
(h)STAT1、CXCL9、CXCL10、及びCXCL11;
(i)GZMA、GZMB、GZMH、PRF1、及びGNLY;
(j)PSMB8、PSMB9、及びPSMB10;
(k)AXIN1、BAD、BAX、BBC3、及びBCL2L1;
(l)CCL2、CCL3、CCL4、CCL7、及びCCL8;
(m)BNIP3、SLC2A1、PGK1、BNIP3L、P4HA1、ADM、PDK1、ALDOC、PLOD2、P4HA2、及びMXI1;
(n)MAGEA3、MAGEA6、MAGEA1、MAGEA12、MAGEA4、MAGEB2、MAGEC2、及びMAGEC1;
(o)AKT1、HIF1A、SLC2A1、HK2、TPI1、ENO1、LDHA、PFKFB3、PFKM、GOT1、GOT2、GLUD1、及びHK1;
(p)IFI16、IFI27、IFI35、IFIH1、IFIT1、IFIT2、IFITM1、IFITM2、IRF1、APOL6、TMEM140、PARP9、TRIM21、GBP1、DTX3L、PSMB9、OAS1、OAS2、ISG15、MX1、IFI6、IFIT3、IRF9、及びSTAT2;
(q)CXCL1、CXCL3、CXCL2、CCL20、AREG、FOSL1、CSF3、PTGS2、IER3、及びIL6;
ここで、遺伝子シグネチャー(a)~(q)の少なくとも1つにおける1種以上の遺伝子の発現レベルの変化は、治療による処置に応答する可能性が高い患者を特定する。別の態様において、この方法は、治療による処置に応答する可能性が高い癌を有する被験体を特定する方法を含み、患者から得られた生物学的試料中のシグネチャー(a)~(q)で記載された、1種以上の遺伝子、又は遺伝子の群、又は遺伝子若しくは遺伝子の群の組み合わせの発現レベルを決定することを含み、ここで、遺伝子シグネチャー(a)~(q)中の、1種以上の遺伝子、又は遺伝子の群、又は遺伝子若しくは遺伝子の群の組み合わせの発現レベルの変化は、治療による処置に応答する可能性が高い患者を特定する。
【0011】
関連する態様において、本発明は、以下を含む、被験体における癌処置の薬力学的活性をモニタリングするための方法に関する:
(i)治療で処置されている被験体から得られた生物学的試料中のシグネチャー(a)~(q)の少なくとも1つにおける1種以上の遺伝子の発現レベルを測定すること:
(a)MKI67、CEP55、KIF2C、MELK、CENPF、EXO1、ANLN、RRM2、UBE2C、CCNB1、及びCDC20;
(b)FAP、COL6A3、ADAM12、OLFML2B、PDGFRB、及びLRRC32;
(c)CXCL10、CXCR3、CX3CL1、PRF1、GZMK、GZMB、CD27、IL2RG、KLRK1、CTLA4、GZMH、CD3D、KLRB1、KLRD1、LCK、CD5、IRF4、CD8A、CD38、EOMES、GZMM、GNLY、IFITM1、IDO1、MS4A1、GZMA、CD2、CD3E、CD3G、CD40LG、CD6、CD7、CD79A、CD8B、CXCL11、CXCL13、CXCL9、HLA-DOB、IFNG、LAG3、LY9、PDCD1、TBX21、TIGIT、ZAP70、SLAMF7、CD96、PVR、STAT1、JAK1、JAK2、STAT2、IRF9、IGF2R、CD48、及びICOS;
(d)ITGAM、TLR4、IL1B、CSF1R、CSF3R、TLR2、TLR1、ITGAX、HCK、TLR8、SLC11A1、CD47、CD14、CLEC4E、CLEC7A、FCAR、FCN1、LILRA5、LILRB2、LYZ、NFAM1、P2RY13、S100A8、S100A9、SERPINA1、SIRPA、SIRPB2、TREM1、CLEC5A、CSF1、CYBB、FCGR1A、MARCO、NLRP3、FPR1、FPR3、CCL3、DAB2、OLR1、C5AR1、TREM2、MRC1、及びCEBPB;
(e)BCL6B、CDH5、CLEC14A、CXorf36、EMCN、FAM124B、KDR、MMRN2、MYCT1、PALMD、ROBO4、SHE、TEK、及びTIE1;
(f)B2M、TAP1、TAP2、TAPBP、HLA-A、HLA-B、及びHLA-C;
(g)HLA-DRB5、HLA-DPA1、HLA-DPB1、HLA-DQB1、HLA-DRA、HLA-DRB1、HLA-DMA、及びHLA-DOA;
(h)STAT1、CXCL9、CXCL10、及びCXCL11;
(i)GZMA、GZMB、GZMH、PRF1、及びGNLY;
(j)PSMB8、PSMB9、及びPSMB10;
(k)AXIN1、BAD、BAX、BBC3、及びBCL2L1;
(l)CCL2、CCL3、CCL4、CCL7、及びCCL8;
(m)BNIP3、SLC2A1、PGK1、BNIP3L、P4HA1、ADM、PDK1、ALDOC、PLOD2、P4HA2、及びMXI1;
(n)MAGEA3、MAGEA6、MAGEA1、MAGEA12、MAGEA4、MAGEB2、MAGEC2、及びMAGEC1;
(o)AKT1、HIF1A、SLC2A1、HK2、TPI1、ENO1、LDHA、PFKFB3、PFKM、GOT1、GOT2、GLUD1、及びHK1;
(p)IFI16、IFI27、IFI35、IFIH1、IFIT1、IFIT2、IFITM1、IFITM2、IRF1、APOL6、TMEM140、PARP9、TRIM21、GBP1、DTX3L、PSMB9、OAS1、OAS2、ISG15、MX1、IFI6、IFIT3、IRF9、及びSTAT2;
(q)CXCL1、CXCL3、CXCL2、CCL20、AREG、FOSL1、CSF3、PTGS2、IER3、及びIL6;そして
【0012】
(ii)被験体から得られた試料中の1種以上の遺伝子の発現レベルに基づいて、薬力学的活性を示すものとして処置を決定することであって、ここで、被験体から得られた試料中の1種以上の遺伝子の発現レベルの上昇又は低下は、治療の薬力学的活性を示す。別の態様において、本発明は、以下を含む、被験体における癌処置の薬力学的活性をモニタリングするための方法に関する:
(i)被験体から得られた生物学的試料中のシグネチャー(a)~(q)の、1種以上の遺伝子、又は遺伝子の群、又は遺伝子若しくは遺伝子の群の組み合わせの発現レベルを測定することであって、ここで、被験体は治療で処置されており、そして
(ii)被験体から得られた試料中の1種以上の遺伝子、又は遺伝子の群、又は遺伝子若しくは遺伝子の群の組み合わせの発現レベルに基づいて、薬力学的活性を示すものとして処置を決定することであって、ここで、被験体から得られた試料中の1種以上の遺伝子、又は遺伝子の群、又は遺伝子若しくは遺伝子の群の組み合わせの発現レベルの上昇又は低下は、治療の薬力学的活性を示す。
【0013】
別の関連する態様において、本発明は、治療による処置のための癌を有する患者を選択する方法を特徴とし、この方法は、患者から得られた生物学的試料中の細胞遺伝子シグネチャーの発現レベルを決定することを含み、細胞遺伝子シグネチャーは以下の遺伝子の1つ以上を含む(例えば、表1の遺伝子シグネチャーから選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、又はそれ以上の遺伝子)。
【0014】
1つの実施態様において、本明細書に提供される方法は、表1に記載の遺伝子の任意の組み合わせ又は遺伝子シグネチャーの任意の組み合わせを使用して行われる。別の実施態様において、本明細書に提供される方法は、表1に記載の17の遺伝子シグネチャーの任意の1つ以上の任意の組み合わせ又は並べ替え(任意の順序で)を使用して行われる。いくつかの実施態様において、本発明は、治療による処置のための癌を有する患者を選択する方法を特徴とし、この方法は、患者から得られた生物学的試料中の細胞遺伝子シグネチャーの発現レベルを決定することを含み、細胞遺伝子シグネチャーは、本明細書の表1に記載された少なくとも1つのシグネチャーにおける1種以上の遺伝子を含み、ここで、中央値レベルに対する、細胞遺伝子シグネチャーにおける1種以上の遺伝子の発現レベルの変化は、治療による処置のための患者を特定する。
【0015】
いくつかの実施態様において、本発明は、免疫療法による処置のための癌を有する患者を選択する方法を特徴とし、この方法は、患者から得られた生物学的試料中の細胞遺伝子シグネチャーの発現レベルを決定することを含み、細胞遺伝子シグネチャーは、本明細書の表1に記載された少なくとも1つのシグネチャー中の1種以上の遺伝子を含み、ここで、中央値レベルに対する細胞遺伝子シグネチャー中の1種以上の遺伝子の発現レベルの変化は、免疫療法による処置のための患者を特定する。
【0016】
1つの実施態様において、本発明の方法は、患者が治療に応答する可能性が高いことを患者に通知する工程をさらに含む。別の実施態様において、この方法は、特定の治療について患者に推奨を提供する工程をさらに含む。いくつかの実施態様において、この方法は、患者が治療から利益を得る可能性があると判断された場合に、標的治療を患者に施す工程をさらに含む。
【0017】
いくつかの実施態様において、本方法は、免疫療法に応答する可能性が高いことを患者に通知する工程をさらに含む。他の実施態様において、この方法は、特定の免疫療法について患者に推奨を提供する工程をさらに含む。いくつかの実施態様において、この方法は、患者が免疫療法から利益を得る可能性があると判断された場合に、患者に免疫療法を施す工程をさらに含む。他の実施態様において、免疫療法は、活性化免疫療法又は抑制免疫療法である。
【0018】
1つの実施態様において、表1に記載された1種以上の遺伝子の発現レベルの上昇は、患者が活性化免疫療法から利益を得る可能性が高いことを示す。いくつかの実施態様において、活性化免疫療法は、表1に記載された1種以上の遺伝子シグネチャーからの少なくとも1種以上の遺伝子のアゴニストを含む。いくつかの実施態様において、患者が抑制免疫療法から利益を得る可能性が高い場合、抑制免疫療法は、表1に列挙された少なくとも1種以上の遺伝子シグネチャーからの少なくとも1種以上の遺伝子のアンタゴニストを含む。1つの実施態様において、活性化免疫療法又は抑制免疫療法は、表1の遺伝子シグネチャーの、増殖、リンパ系、細胞障害性、骨髄系、骨髄性炎症、インターフェロンガンマ、インターフェロン下流、MHC2、又はこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つ以上の遺伝子のアゴニスト又はアンタゴニストを含む。
【0019】
1つの実施態様において、表1に記載された1種以上の遺伝子の発現レベルは、癌又は状態又は疾患などの本明細書に記載された生物学的プロセスに関連している。いくつかの実施態様において、表1に記載された少なくともリンパ系細胞遺伝子シグネチャーに列挙された1種以上の遺伝子の発現レベルは、腫瘍又は腫瘍微小環境におけるリンパ系細胞の存在と相関している。いくつかの実施態様において、表1に記載された少なくとも骨髄系細胞遺伝子シグネチャーに列挙された1種以上の遺伝子の発現レベルは、腫瘍又は腫瘍微小環境における骨髄系細胞の存在と相関している。いくつかの実施態様において、表1に記載された少なくとも細胞増殖遺伝子シグネチャーに列挙された1種以上の遺伝子の発現レベルは、細胞増殖と相関している。いくつかの実施態様において、表1に記載された少なくともリンパ系細胞遺伝子シグネチャーに列挙された1種以上の遺伝子の発現レベルは、腫瘍微小環境におけるB細胞の存在と相関している。いくつかの実施態様において、表1に記載された少なくともリンパ系細胞遺伝子シグネチャーに列挙された1種以上の遺伝子の発現レベルは、腫瘍微小環境におけるナチュラルキラー細胞の存在と相関している。いくつかの実施態様において、表1に記載された少なくともリンパ系細胞遺伝子シグネチャーに列挙された1種以上の遺伝子の発現レベルは、腫瘍微小環境における同時刺激リガンドの存在と相関している。いくつかの実施態様において、表1に記載された少なくともリンパ系細胞遺伝子シグネチャーに列挙された1種以上の遺伝子の発現レベルは、腫瘍微小環境における同時刺激受容体の存在と相関している。いくつかの実施態様において、表1に記載された少なくともリンパ系細胞遺伝子シグネチャーに列挙された1種以上の遺伝子の発現レベルは、腫瘍微小環境におけるT細胞の存在と相関している。いくつかの実施態様において、表1に記載された少なくとも骨髄系細胞遺伝子シグネチャーに列挙された1種以上の遺伝子の発現レベルは、腫瘍微小環境におけるマクロファージ細胞の存在と相関している。
【0020】
いくつかの実施態様において、表1に記載された少なくとも骨髄系細胞遺伝子シグネチャーに列挙された1種以上の遺伝子の発現レベルは、腫瘍微小環境におけるM2マクロファージ細胞の存在と相関している。いくつかの実施態様において、表1に記載された少なくとも骨髄系細胞遺伝子シグネチャー、骨髄系炎症遺伝子シグネチャー、又は炎症性ケモカイン遺伝子シグネチャーに列挙された1種以上の遺伝子の発現レベルは、腫瘍微小環境における炎症性細胞の存在と相関している。いくつかの実施態様において、表1に記載された少なくとも骨髄系細胞遺伝子シグネチャー又はリンパ系細胞遺伝子シグネチャーに列挙された1種以上の遺伝子の発現レベルは、腫瘍微小環境におけるT細胞免疫遮断薬の存在と相関している。いくつかの実施態様において、表1に記載された少なくとも骨髄系細胞遺伝子シグネチャー又はリンパ系細胞遺伝子シグネチャーに列挙された1種以上の遺伝子の発現レベルは、腫瘍微小環境における抗原提示細胞(APC)免疫遮断薬の存在と相関している。いくつかの実施態様において、表1に記載された少なくともインターフェロンガンマ遺伝子シグネチャー又はリンパ系細胞遺伝子シグネチャーに列挙された1種以上の遺伝子の発現レベルは、T細胞走化性と相関している。いくつかの実施態様において、表1に記載された少なくとも抗原プロセシング機構(APM)細胞又は免疫プロテオソーム遺伝子シグネチャーに列挙された1種以上の遺伝子の発現レベルは、腫瘍微小環境における抗原プロセシングの存在と相関している。いくつかの実施態様において、表1に記載された少なくとも細胞障害性細胞遺伝子シグネチャーに列挙された1種以上の遺伝子の発現レベルは、腫瘍微小環境における細胞溶解活性及び/又は細胞溶解細胞の存在と相関している。いくつかの実施態様において、表1に記載された少なくとも間質細胞遺伝子シグネチャーに列挙された1種以上の遺伝子の発現レベルは、腫瘍微小環境における活性線維芽細胞の存在と相関している。いくつかの実施態様において、表1に記載された少なくともMAGE遺伝子シグネチャーに列挙された1種以上の遺伝子の発現レベルは、腫瘍表面上のMAGEクラス抗原の存在と相関している。いくつかの実施態様において、少なくともインターフェロンガンマ遺伝子シグネチャーに列挙された1種以上の遺伝子の発現レベルは、T細胞走化性と相関している。
【0021】
いくつかの実施態様において、表1に記載された少なくともアポトーシス遺伝子シグネチャーに列挙された1種以上の遺伝子の発現レベルは、腫瘍又は腫瘍微小環境においてアポトーシスを受けている細胞の存在と相関している。いくつかの実施態様において、表1に記載された少なくとも低酸素遺伝子シグネチャーに列挙された1種以上の遺伝子の発現レベルは、血管新生を開始し細胞代謝を調節して低酸素を克服する細胞の存在量と相関している。いくつかの実施態様において、表1に記載された解糖活性遺伝子シグネチャーに列挙された1種以上の遺伝子の発現レベルは、腫瘍における解糖の量と相関している。いくつかの実施態様において、表1に記載された少なくともインターフェロン下流遺伝子シグネチャーに列挙された1種以上の遺伝子の発現レベルは、インターフェロンへの曝露によって誘導される腫瘍のシグナル伝達経路活性の量と相関している。
【0022】
上記方法のいずれかの他の実施態様において、表1に記載された遺伝子シグネチャーに列挙された1種以上の遺伝子の発現レベルが決定される。
【0023】
上記方法のいずれかのいくつかの実施態様において、この方法は、表1に記載された少なくとも1種の遺伝子シグネチャーに列挙された1種以上の遺伝子の発現レベルと中央値レベルとの比率を決定することをさらに含む。
【0024】
上記方法のいずれかのいくつかの実施態様において、この方法は、患者に応答について投与前の予後を提供するために、標的治療を施す前に行われる。上記方法のいずれかのいくつかの実施態様において、この方法は、患者に応答について投与前の予後を提供するために、治療を施す前に行われる。
【0025】
上記方法のいずれかのいくつかの実施態様において、癌は、副腎皮質癌、膀胱尿路上皮癌、乳房浸潤癌、頸部扁平上皮癌、子宮頸部腺癌、胆管癌、結腸腺癌、リンパ系新生物びまん性大型B細胞リンパ腫、食道癌、多形性神経膠芽細胞腫、頭頸部扁平上皮癌、嫌色素性腎癌、腎明細胞癌、腎乳頭細胞癌、急性骨髄性白血病、脳低悪性度神経膠腫、肝細胞癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、中皮腫、卵巣漿液性嚢胞腺癌、膵臓腺癌、クロム親和性細胞腫、傍神経節腫、前立腺腺癌、直腸腺癌、肉腫、皮膚黒色腫、胃腺癌、精巣生殖細胞腫瘍、甲状腺癌、胸腺腫、子宮癌肉腫、ぶどう膜黒色腫、乳癌、肺癌、リンパ腫、黒色腫、肝臓癌、結腸直腸癌、卵巣癌、膀胱癌、腎癌、又は胃癌、神経内分泌癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞肺癌、甲状腺癌、子宮内膜癌、胆道癌、食道癌、肛門癌、唾液腺癌、外陰癌、又は子宮頸癌である。
【0026】
上記方法のいずれかのいくつかの実施態様において、患者から得られた生物学的試料中の細胞遺伝子シグネチャーの発現は、mRNAを測定することによって検出される。
【0027】
上記方法のいずれかのいくつかの実施態様において、患者から得られた生物学的試料中の細胞遺伝子シグネチャーの発現は、タンパク質レベルを測定することによって検出される。
【0028】
本開示の方法は、被験体に少なくとも1つの治療有効量の少なくとも1つの処置を施すことをさらに含むことができる。少なくとも1つの処置は抗癌療法を含み得る。少なくとも1つの処置は免疫療法を含み得る。免疫療法は、活性化免疫療法、免抑制疫療法、又は活性化免疫療法と抑制免疫療法の組み合わせを含むことができる。免疫療法は、少なくとも1つの治療有効量の少なくとも1種のチェックポイント阻害剤、少なくとも1つの治療有効量の少なくとも1種のキメラ抗原受容体T細胞療法、少なくとも1つの治療有効量の少なくとも1種の腫瘍溶解性ワクチン、少なくとも1つの治療有効量の少なくとも1種のサイトカインアゴニスト、少なくとも1つの治療有効量の少なくとも1種のサイトカインアンタゴニスト、又はこれらの任意の組み合わせを含むことができる。
【0029】
上記の態様のいずれも、他の任意の態様と組み合わせることができる。
【0030】
特に他に定義しない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書において、文脈で特に他に明記しない限り、単数形には複数形も含まれる。例として「a」、「an」、及び「the」という用語は、単数形又は複数形であると理解され、「又は」という用語は、包括的であると理解される。例として「要素」は、1つ以上の要素を意味する。本明細書全体を通して、「含む(comprising)」という単語、又は「含む(comprises)」若しくは「含む(comprising)」などの変形は、記載された要素、整数、若しくは工程、又は要素、整数、若しくは工程の群を含むことを意味すると理解されるが、他の要素、整数、若しくは工程、又は要素の群、整数、若しくは工程の群を除外しない。約とは、記載された値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、又は0.01%以内であると理解することができる。文脈から特に明確でない限り、本明細書に提供されるすべての数値は「約」という用語によって修飾される。
【0031】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明、例、及び図から明らかになるであろう。しかしながら、本発明の詳細な説明から、当業者には本発明の精神及び範囲内の様々な変更及び修正が当業者に明らかになるため、本明細書の詳細な説明及び具体例は、本発明の実施態様を示すが、例示としてのみ与えられることを理解されたい
【0032】
上記の態様及び実施態様のいずれも、本明細書の要約及び/又は詳細な説明の欄に開示されているように、他の任意の態様又は実施態様と組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1は、各シグネチャーの遺伝子セットにおける同時発現の強さを示す。
【0034】
【
図2】
図2は、8個のレスポンダーと34個のノンレスポンダーを用いた免疫療法データセットにおける、単一遺伝子と我々のシグネチャーを使用した予測子トレーニングの有効性を示す。
【0035】
【
図3】
図3は、免疫シグネチャーと抗PD1免疫療法への応答との間の関連を示す。四角は、レスポンダーとノンレスポンダーの間の平均log
2倍の変化を示す。バーは95%信頼区間を示す。
【0036】
【
図4】
図4は、シグネチャーのペアからの応答を予測するモデルの結果を示す。色は-log
10のp値を示す。p値が0.05を超えるシグネチャーペアは白である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
(発明の詳細な説明)
多くの場合、生物学的に妥当な遺伝子のコレクションを単に平均化する遺伝子シグネチャーは、意図された生物学的プロセスをうまく測定するであろう。ただし、多くの生物学的プロセスは、mRNAの存在量の調節ではなく、タンパク質の存在量、結合、又は位置を調節することによって支配されているため、遺伝子発現でこれらのプロセスを測定しようとすると誤解を招く結果が生じる。従って、生物学的知識だけでは遺伝子シグネチャーには不適切な基礎となる。本発明は、免疫腫瘍学における遺伝子発現から生物学的解釈への架け橋を提供し、その発現が特定の生物学的プロセスをモニタリングする遺伝子を同定し、これらの遺伝子を、免疫腫瘍学の主要な生物学を測定するシグネチャーに組み込むものである。
【0038】
従って本発明は、1種以上の細胞遺伝子シグネチャーの発現レベルを決定し、この発現レベルを1種以上の細胞遺伝子シグネチャーの発現レベルの中央値と比較することにより、免疫療法による処置のための癌(例えば、膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、肝臓癌、黒色腫、肺癌(例えば非小細胞肺癌)、卵巣癌、又は腎細胞癌)を有する患者を選択するための方法を提供する。中央値レベルと比較した1種以上の細胞遺伝子シグネチャーの発現の上昇(すなわち、癌タイプの中央値レベルと比較して1種以上の細胞遺伝子シグネチャーのより高い発現)の検出は、免疫療法による処置のための患者を特定する。本発明はまた、癌(例えば、膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、肝臓癌、黒色腫、肺癌(例えば非小細胞肺癌)、卵巣癌、又は腎細胞癌)を有し、本明細書に記載の治療から利益を得る可能性のある患者を処置するための方法も提供する。本明細書に記載の治療の例は、患者における1種以上の細胞遺伝子シグネチャーの発現レベルを決定することにより、活性化免疫療法又は抑制免疫療法を単独で、又は化学療法レジメン及び/又は他の抗癌療法レジメンと組み合わせて施すことであり得る。
【0039】
定義
【0040】
特に他に定義しない限り、本明細書で使用される技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。Singleton et al., Dictionary of Microbiology and Molecular Biology 2nd ed., J. Wiley & Sons (New York, N.Y. 1994), 及び March, Advanced Organic Chemistry Reactions, Mechanisms and Structure 4th ed., John Wiley & Sons (New York, N.Y. 1992)は、当業者に、本出願で使用される多くの用語の一般的な指針を提供する。
【0041】
本明細書を解釈する目的で、以下の定義が適用され、該当する場合はいつでも、単数形で使用される用語は複数形も含み、逆もまた同様である。以下に記載されている定義が、参照により本書に組み込まれている文書と矛盾する場合は、以下に記載されている定義が優先するものとする。
【0042】
「アンタゴニスト」という用語は、最も広い意味で使用され、本明細書に開示される天然のポリペプチド(例えば、CTLA-4、PD-1、TIM-3、BTLA、VISTA、LAG-3、B7H4、CD96、TIGIT、又はCD226などの免疫細胞受容体又はリガンド)の正常な生物活性を、天然のポリペプチドをコードする核酸の転写又は翻訳を低下させることによって、又は天然のポリペプチド活性を阻害又は遮断することによって、あるいはその両方によって、部分的に又は完全に遮断、阻害、妨害、又は中和する任意の分子を含む。場合によっては、アンタゴニストが、天然のポリペプチドの別の活性に影響を与えることなく、その天然のポリペプチドのある活性に拮抗し得ることは、当業者によって理解されるであろう。また場合によっては、アンタゴニストは、それが結合、相互作用、又は関係する天然のポリペプチドに応じて、活性化免疫療法又は抑制免疫療法と見なされる治療薬であり得ることも、当業者によって理解されるであろう。アンタゴニストの例には、特に限定されるものではないが、アンチセンスポリペプチド、干渉RNA、触媒性RNA、RNA-DNAキメラ、天然のポリペプチド特異的アプタマー、抗体、抗体の抗原結合断片、天然のポリペプチド結合小分子、天然のポリペプチド結合ペプチド、及び天然のポリペプチドに特異的に結合する他のペプチド(特に限定されるものではないが、任意選択的に1つ以上の追加ドメインに融合された1種以上の天然のポリペプチドリガンドの天然のポリペプチド結合断片を含む)を含み、その結果、アンタゴニストと天然のポリペプチドとの相互作用は、天然のポリペプチドの活性又は発現の低下又は停止をもたらす。
【0043】
同様に、「アゴニスト」という用語は、最も広い意味で使用され、本明細書に開示される天然のポリペプチド(例えば、GITR、OX40、TIM3、LAG3、KIR、CD28、CD137、CD27、CD40、CD70、CD276、ICOS、HVEM、NKG2D、NKG2A、MICA、2B4、又は41BBアゴニスト、又はこれらの組み合わせなどの免疫細胞受容体又はリガンド)の正常な生物活性を、天然のポリペプチドをコードする核酸の転写又は翻訳を上昇させることによって、及び/又は天然のポリペプチドの発現又は活性を阻害する分子の活性を阻害又は遮断することによって、及び/又は正常な天然のポリペプチド活性を増強する(特に限定されるものではないが、天然のポリペプチドの安定性を増強すること、又は1種以上の標的リガンドへの天然のポリペプチドの結合を増強することを含む)ことによって、模倣、促進、刺激、又は増強する任意の分子を含む。場合によっては、アゴニストは、天然のポリペプチドの別の活性に影響を与えることなく、天然のポリペプチドのある活性にアゴニスト作用し得ることは当業者によって理解されるであろう。場合によっては、アゴニストは、それが結合、相互作用、又は関連する天然のポリペプチドに応じて、活性化免疫療法又は抑制免疫療法と見なされる治療薬であり得ることも当業者によって理解されるであろう。アゴニストは、抗体、抗原結合断片、アプタマー、干渉RNA、小分子、ペプチド、アンチセンス分子、及び別の結合ポリペプチドから選択することができる。別の例では、アゴニストは、天然のポリペプチド阻害分子の転写及び/又は翻訳を妨害するアプタマー、干渉RNA、又はアンチセンス分子から選択されるポリヌクレオチドであり得る。
【0044】
ポリペプチドのアゴニスト又はアンタゴニストを同定するための方法は、ポリペプチドを候補アゴニスト又はアンタゴニスト分子と接触させ、ポリペプチドに通常関連する1つ以上の生物活性の検出可能な変化を測定することを含み得る。
【0045】
「活性化免疫療法」という用語は、例えばT細胞応答を含む免疫応答を誘導、増強、又は促進する治療薬の使用を指す。「抑制免疫療法」という用語は、例えばT細胞応答を含む免疫応答を妨害、抑制、又は阻害する治療薬の使用を指す。
【0046】
「ヒトエフェクター細胞」は、1つ以上のFcRを発現し、エフェクター機能を実行する白血球を指す。特定の実施態様において、細胞は、少なくともFcyRIIIを発現し、ADCCエフェクター機能を実行する。ADCCを媒介するヒト白血球の例には、末梢血単核細胞(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、細胞傷害性T細胞、及び好中球が含まれる。エフェクター細胞は、天然の供給源、例えば血液から単離することができる。
【0047】
「制御性T細胞(Treg)」は、自己反応性免疫応答の阻害において役割を果たすヘルパーT細胞のサブセットを指し、しばしば腫瘍組織などの慢性炎症の部位に見出される。特定の実施態様において、Tregは、CD25、CLTA4、GITR、及びニューロピリン-1の高い細胞表面発現によって表現型で定義され、転写因子FOXP3の制御下にある。他の実施態様において、Tregは、接触依存性メカニズム及びサイトカイン産生を介して、活性化されたT細胞に対してその抑制機能を実行する。いくつかの実施態様において、Tregはまた、樹状細胞(DC)上のリガンドとの直接相互作用、例えばインドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)の誘導を誘発するDC上のB7分子とのCTLA4相互作用によって、免疫応答を調節する。
【0048】
本明細書における「抗体」という用語は、最も広い意味で使用され、特に限定されるものではないが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば二重特異性抗体)、及び所望の抗原結合活性を示す限り抗体断片を含む、様々な抗体構造を包含する。標的に結合する抗体は、十分な親和性で標的に結合することができる抗体を指し、従って、抗体は、標的を標的化する際の診断薬及び/又は治療薬として有用である。1つの実施態様において、関連のない非標的タンパク質への抗標的抗体の結合の程度は、例えば放射免疫定量法(RIA)又はビアコアアッセイによって測定される場合、標的への抗体の結合の約10%未満である。特定の実施態様において、標的に結合する抗体の解離定数(Kd)は、<1μM、<100nM、<10nM、<1nM、<0.1nM、<0.01nM、又は<0.001nM(例えば、108M以下、例えば108M~1013M、例えば109M~1013M)である。特定の実施態様において、抗標的抗体は、異なる種間で保存されている標的のエピトープに結合する。
【0049】
「遮断抗体」又は「アンタゴニスト抗体」は、それが結合する抗原の正常な生物活性を、部分的に又は完全に遮断、阻害、妨害、又は中和するものである。例えば、アンタゴニスト抗体は、免疫細胞受容体(例えばT細胞受容体)を介するシグナル伝達を遮断して、機能不全状態から抗原刺激への、T細胞による機能的応答(例えば、増殖、サイトカイン産生、標的細胞死滅)を回復させ得る。
【0050】
「アゴニスト抗体」又は「活性化抗体」は、それが結合する抗原の正常な生物活性を模倣、促進、刺激、又は増強するものである。アゴニスト抗体はまた、それが結合する抗原によるシグナル伝達を増強又は開始することができる。いくつかの実施態様において、アゴニスト抗体は、天然のリガンドの存在なしに、シグナル伝達を引き起こすか又は活性化する。例えばアゴニスト抗体は、メモリーT細胞増殖を増加させ、メモリーT細胞によるサイトカイン産生を増加させ、及び/又はエフェクターT細胞増殖及び/又はサイトカイン産生などのエフェクターT細胞機能の調節性T細胞抑制を阻害し得る。
【0051】
「抗体断片」は、未変性抗体が結合する抗原に結合する未変性抗体の一部を含む、未変性抗体以外の分子を指す。抗体断片の例には、特に限定されるものではないが、Fv、Fab、Fab'、Fab'-SH、F(ab')2;ダイアボディ;線状抗体;一本鎖抗体分子(例えばscFv);抗体断片から形成された多重特異性抗体が含まれる。
【0052】
「利益」という用語は、最も広い意味で使用され、任意の望ましい効果を指し、具体的には、本明細書で定義されるような臨床的利益を含む。臨床的利益は、ある程度まで、疾患進行のさまざまなエンドポイント(例えば疾患進行のある程度までの、遅延及び完全な停止を含む、抑制);疾患発症及び/又は症状の数の減少;病変サイズの縮小;隣接する末梢臓器及び/又は組織への疾患細胞浸潤の抑制(すなわち、減少、減速、又は完全な停止);疾患の蔓延の抑制(すなわち、減少、減速、又は完全な停止);自己免疫反応の減少、これは、疾患病変の退行又は切除をもたらす可能性があるが必ずしもその必要はない;障害に関連する1つ以上の症状のある程度の軽減;処置後の無症状期間の長さ、例えば無増悪生存期間の延長;生存期間全体の延長;より高い応答率;及び/又は処置後の特定の時点での死亡率の低下、を評価することによって測定することができる。
【0053】
本明細書で使用される「結合する」、「に特異的に結合する」、又は「に特異的」という用語は、標的と抗体との結合などの測定可能かつ再現可能な相互作用を指し、これは、生体分子を含む分子の不均一な集団の存在下での標的の存在を決定する。例えば、標的(エピトープであり得る)に特異的に結合する抗体は、他の標的に結合するよりも高い親和性で、結合力で、より容易に、及び/又はより長い持続時間、この標的に結合する抗体である。1つの実施態様において、無関係の標的への抗体の結合の程度は、例えば放射免疫定量法(RIA)によって測定した場合、標的への抗体の結合の約10%未満である。特定の実施態様において、標的に特異的に結合する抗体は、<1μM、<100nM、<10nM、<1nM、又は<0.1nMの解離定数(Kd)を有する。特定の実施態様において、抗体は、異なる種からのタンパク質間で保存されているタンパク質上のエピトープに特異的に結合する。別の実施態様において、特異的結合は、排他的結合を含むことができるが、これは必須ではない。
【0054】
本明細書で使用される「生物学的試料」又は「試料」という用語は、特に限定されるものではないが、血液、血清、血漿、喀痰、生検組織、腫瘍組織、及び鼻試料(鼻スワブ又は鼻ポリープを含む)を含む。1つの実施態様において生物学的試料は、本明細書に記載の治療又は治療薬が被験体に施される前に被験体から得られる。別の実施態様において生物学的試料は、本明細書に記載の治療又は治療薬が被験体に投与された後に被験体から得られる。1つの具体的な実施態様において、生物学的試料は腫瘍組織である。別の具体的な実施態様において、生物学的試料は血液である。他の実施態様において、試料は、血漿、脳脊髄液(CSF)、唾液、又は任意の体液である。
【0055】
「癌」及び「癌性」という用語は、典型的には無秩序な細胞増殖を特徴とする哺乳動物の生理的状態を指すか又は説明する。この定義には、良性及び悪性の癌が含まれる。癌の例には、特に限定されるものではないが、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病が含まれる。そのような癌のより具体的な例には、副腎皮質癌、膀胱尿路上皮癌、乳房浸潤癌、頸部扁平上皮癌、子宮頸部腺癌、胆管癌、結腸腺癌、リンパ系新生物びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、食道癌、多形性神経膠芽細胞腫、頭頸部扁平上皮癌、嫌色素性腎癌、腎明細胞癌、腎乳頭細胞癌、急性骨髄性白血病、脳低悪性度神経膠腫、肝細胞癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、中皮腫、卵巣漿液性嚢胞腺癌、膵臓腺癌、クロム親和性細胞腫、傍神経節腫、前立腺腺癌、直腸腺癌、肉腫、皮膚黒色腫、胃腺癌、精巣生殖細胞腫瘍、甲状腺癌、胸腺腫、子宮癌肉腫、ぶどう膜黒色腫が含まれる、他の例には、乳癌、肺癌、リンパ腫、黒色腫、肝臓癌、結腸直腸癌、卵巣癌、膀胱癌、腎癌、又は胃癌が含まれる。癌のさらなる例には、神経内分泌癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞肺癌、甲状腺癌、子宮内膜癌、胆道癌、食道癌、肛門癌、唾液腺癌、外陰癌、又は子宮頸癌が含まれる。
【0056】
「進行した」癌は、局所浸潤又は転移のいずれかによって、起源の部位又は臓器の外側に広がった癌である。
【0057】
「難治性」癌は、化学療法剤などの抗腫瘍剤が癌患者に投与されているにもかかわらず進行する癌である。難治性の癌の例は白金難治性のものである。
【0058】
「再発性」癌は、初期治療への応答後、初期部位又は遠隔部位のいずれかで再成長した癌である。
【0059】
「白金抵抗性」癌とは、患者が白金ベースの化学療法を受けている間に進行した患者の癌、又は白金ベースの化学療法の終了後、例えば12ヶ月以内(例えば6ヶ月以内)に進行した患者の癌を意味する。そのような癌は「白金抵抗性」を持っているか又は示していると言える。
【0060】
「化学療法抵抗性」癌とは、患者が化学療法レジメンを受けている間に進行した患者の癌、又は、例えば、化学療法レジメンの終了後、12ヶ月以内(例えば6ヶ月以内)に進行した患者の癌を意味する。そのような癌は「化学療法抵抗性」を持っているか又は示していると言える。
【0061】
「腫瘍」という用語は、悪性であっても又は良性であっても、すべての新生物性細胞の成長及び増殖、並びにすべての前癌性及び癌性の細胞及び組織を指す。「癌」、「癌性」、「細胞増殖性障害」、「増殖性障害」、及び「腫瘍」という用語は、本明細書で言及されるように相互に排他的ではない。
【0062】
本明細書で使用される「転移」は、その原発部位から体内の他の場所への癌の広がりを意味する。癌細胞は原発腫瘍から離れ、リンパ管や血管に浸透し、血流を循環し、体の他の場所の正常組織中の離れた病巣で成長(転移)することができる。転移は局所的又は遠隔的であり得る。転移は、腫瘍細胞が原発腫瘍から分裂し、血流を通って移動し、離れた部位で停止することを条件とする一連のプロセスである。新しい場所では、細胞が血液供給を確立し、成長して生命を脅かす塊を形成することができる。腫瘍細胞内の刺激性及び阻害性分子経路の両方がこの挙動を調節し、遠隔部位の腫瘍細胞と宿主細胞との間の相互作用も重要である。「キメラ」抗体という用語は、重鎖及び/又は軽鎖の一部が特定の供給源又は種に由来し、一方、重鎖及び/又は軽鎖の残りが異なる供給源又は種に由来する抗体を指す。
【0063】
抗体の「クラス」は、その重鎖が保有する定常ドメイン又は定常領域のタイプを指す。抗体には5つの主要なクラス(IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgM)があり、これらのいくつかはさらにサブクラス(アイソタイプ)(例えば、IgGI、lgG2、lgG3、lgG4、IgAI、及びlgA2)に分類できる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれα、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。
【0064】
「化学療法剤」は、癌の処置に有用な化合物を含む。化学療法剤の例には以下が挙げられる:エルロチニブ(TARCEVA(登録商標)、Genentech/OSI Pharm.)、ボルテゾミブ(VELCADE(登録商標)、Millennium Pharm.)、ジスルフィラム、没食子酸エピガロカテキン、サリノスポラミドA、カルフィルゾミブ、17-AAG(ゲルダナマイシン)、ラジシコール、乳酸デヒドロゲナーゼA(LDH-A)、フルベストラント(FASLODEX(登録商標)、AstraZeneca)、スニチブ(SUTENT(登録商標)、Pfizer/Sugen)、レトロゾール(FEMARA(登録商標)、Novartis)、メシル酸イマチニブ(GLEEVEC(登録商標)、Novartis)、フィナスネート(VATALANIB(登録商標)、Novartis)、オキサリプラチン(ELOXATIN(登録商標)、Sanofi)、5-FU(5-フルオロウラシル)、ロイコボリン、ラパマイシン(シロリムス、RAPAMUNE(登録商標)、Wyeth)、ラパチニブ(TYKERB(登録商標)、GSK572016、Glaxo Smith Kline)、ロナファミブ(SCH 66336)、ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標)、Bayer Labs)、ゲフィチニブ(IRESSA(登録商標)、AstraZeneca)、AG1478、チオテパやCYTOXAN(登録商標)シクロホスファミドなどのアルキル化剤;スルホン酸アルキル、例えばブスルファン、インプロスルファン、及びピポスルファン;アジリジン、例えばベンゾドーパ、カルボクオン、メツレドーパ、ウレド-パ;エチレンイミン及びメチルアメラミン、例えばアルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド、及びトリメチロメラミン;アセトゲニン(特にブラタシンとブラタシノン);カンプトテシン(トポテカン及びイリノテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(例えば、そのアドゼレシン、カルゼレシン、及びビゼレシン合成類似体);クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);副腎皮質ステロイド(プレドニゾン及びプレドニゾロンを含む);酢酸シプロテロン;5a-還元酵素、例えばフィナステリド及びデュタステリド);ボリノスタット、ロミデプシン、パノビノスタット、バルプロ酸、モセチノスタットドラスタチン;アルデスロイキン、タルクデュオカルマイシン(合成類似体、KW-2189及びCB1-TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコディクチン;スポンジスタチン;ナイトロジェンマスタード、例えばクロラムブシル、クロマファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、塩酸メクロレタミンオキシド、メルファラン、ノベムビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマストドニトロソウレア、例えばカルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びラニムスチン;抗生物質、例えばエネジイン抗生物質(例えば、カリチマイシン、特にカリケアマイシンγ11及びカリケアマイシンω11(Angew Chem. Intl. Ed. Engl. 1994 33:183-186);ダイネマイシンAを含むダイネマイシン;ビスホスホネート、例えばクロドロネート;エスペラマイシン;並びにネオカルジノスタチンクロモフォア、及び関連するクロモプロテインであるエネジイン抗生物質クロモフォア)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オートラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ADRIAMYCIN(登録商標)(ドキソルビシン)、モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン、及びデオキシドキソルビシン)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンCなどのマイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン、プロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗剤、例えばメトトレキセート及び5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸類似体、例えばデノプテリン、メトトレキセート、プテロプテリン、トリメトレキセート;プリン類似体、例えばフルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジン類似体、例えばアンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフ-ル、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン;アンドロゲン、例えばカルステロン、プロピオン酸ドロスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗副腎剤、例えばアミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充剤、例えばフロリン酸;アセグラトン;アルドホスファミド配糖体;アミノレブリン酸;エニルラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキセート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジクオン;エルフォミチン;酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダイニン;メイタンシノイド、例えばメイタンシン及びアンサミトシン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダムノール;ニトラエリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖複合体(JHS Natural Products, Eugene, Oreg.);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2',2"-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特にT-2毒素、ベラクリンA、ロリジンA、及びアンギジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(”Ara-C”);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えばTAXOL(パクリタキセル;Bristol-Myers Squibb Oncology, Princeton, N.J.)、ABRAXANE(登録商標)(クレモフォアフリー)、パクリタキセルのアルブミン作成ナノ粒子製剤(American Pharmaceutical Partners, Schaumberg, III.)、及びTAXOTERE(登録商標)(ドセタキセル、ドキセタキセル;Sanofi-Aventis);クロランブシル;GEMZAR(登録商標)(ゲムシタビン);6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;白金類似体、例えばシスプラチン及びカルボプラチン;ビンブラスチン;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;NAVELBINE(登録商標)(ビノレルビン);ノバントロン;テニポシド;エダトレキセート;ダウノマイシン;アミノプテリン;カペシタビン(XELODA(登録商標));イバンドロネート;CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイド、例えばレチノイン酸;及び上記のいずれかの医薬的に許容し得る塩、酸、及び誘導体。
【0065】
また化学療法剤には、以下が含まれる:(i)抗エストロゲン及び選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)などの腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するように作用する抗ホルモン剤、例えば、タモキシフェン(NOLVADEX(登録商標);クエン酸タモキシフェンを含む)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、ヨードキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY1 17018、オナプリストン、及びFARESTON(登録商標)(クエン酸トレミフェン);(ii)副腎におけるエストロゲン産生を調節する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤、例えば、4(5)-イミダゾール、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)(酢酸メゲストロール)、AROMASIN(登録商標)(エキセメスタン;Pfizer)、フォルメスタニー、ファドロゾール、RIVISOR(登録商標)(ボロゾール)、FEMARA(登録商標)(レトロゾール;Novartis)、及びARIMIDEX(登録商標)(アナストロゾール;AstraZeneca);(iii)抗アンドロゲン、例えばフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、リュープロリド、及びゴセレリンン;ブセレリン、トリプテレリン、酢酸メドロキシプロゲステロン、ジエチルスチルベストロール、プレマリン、フルオキシメステロン、すべてのトランスレチノイン酸、フェンレチニド、並びにトロキサシタビン(1,3-ジオキソランヌクレオシドシトシン類似体);(iv)プロテインキナーゼ阻害剤;(v)脂質キナーゼ阻害剤;(vi)アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に、異常な細胞増殖に関与するシグナル伝達経路における遺伝子の発現を阻害するもの、例えばPKC-アルファ、Ralf、及びH-Ras;(vii)リボザイム、例えばVEGF発現阻害剤(例えばANGIOZYME(登録商標))及びHER2発現阻害剤;(viii)遺伝子治療ワクチンなどのワクチン、例えば、ALLOVECTIN(登録商標)、LEUVECTIN(登録商標)、及びVAXID(登録商標);PROLEUKIN(登録商標)、rlL-2;トポイソメラーゼ1阻害剤、例えばLURTOTECAN(登録商標);ABARELIX(登録商標)rmRH;及び(ix)上記のいずれかの医薬的に許容し得る塩、酸、及び誘導体。
【0066】
化学療法剤はまた、抗体、例えばアレムツズマブ(Campath)、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標)、Genentech)、セツキシマブ(ERBITUX(登録商標)、Imclone);パニツムマブ(VECTIBIX(登録商標)、Amgen)、リツキシマブ(RITUXAN(登録商標)、Genentech/Biogen Idee)、ペルツズマブ(OMNITARG(登録商標)、2C4、Genentech)、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標)、Genentech)、トシツモマブ(Bexxar、Corixia)、及び抗体薬物結合体、ゲムツズマブオゾガマイシン(MYLOTARG(登録商標), Wyeth)を含む。本発明の化合物と組み合わせた薬剤としての治療可能性を有する追加のヒト化モノクローナル抗体には、以下が含まれる:アポリズマブ、アセリズマブ、アトリズマブ、バピニューズマブ、ビバツズマブメルタンシン、カンツズマブメルタンシン、セデリズマブ、セルトリズマブペゴール、シドフシツズマブ、シドツズマブ、ダクリズマブ、エクリズマブ、エファリズマブ、エプラツズマブ、エルリズマブ、フェルビズマブ、フォントリズマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン、イノツズマブオゾガマイシン、イピリムマブ、ラベツズマブ、リンツズマブ、マツズマブ、メポリズマブ、モタビズマブ、モトビズマブ、ナタリズマブ、ニモツズマブ、ノロビズマブ、ヌマビズマブ、オクレリズマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パスコリズマブ、ペクフシツズマブ、ペクツズマブ、ペキセリズマブ、ラリズマブ、ラニビズマブ、レスリビズマブ、レスリズマブ、レシビズマブ、ロベリズマブ、ルプリズマブ、シブロツズマブ、シプリズマブ、ソンツズマブ、タカツズマブテトラキセタン、タドシズマブ、タリズマブ、テフィバズマブ、トシリズマブ、トラリズマブ、ツコツズマブセルモロイキン、ツクシツズマブ、ウマビズマブ、ウルトキサズマブ、ウステキヌマブ、ビジリズマブ、及び抗インターロイキン12(ABT-874/J695、Wyeth Research and Abbott Laboratories)、これは、インターロイキン-12のp40タンパク質を認識するように遺伝子改変された組換え型の完全ヒト配列の完全長lgG1λ抗体である。
【0067】
化学療法剤はまた「EGFR阻害剤」も含み、これはEGFRに結合するか又はEGFRと直接相互作用し、そのシグナル伝達活性を妨害又は低減する化合物を指し、代替的に「EGFRアンタゴニスト」と呼ばれる。そのような薬剤の例には、EGFRに結合する抗体及び小分子が含まれる。EGFRに結合する抗体の例には、MAb579(ATCC CRL HB8506)、MAb455(ATCC CRL HB8507)、MAb225(ATCC CRL 8508)、MAb528(ATCC CRL 8509)(米国特許第4,943、533号、Mendelsohn et al.を参照)及びその変種、例えばキメラ化225(C225又はセツキシマブ;ERBUTIX(登録商標))及び再形成されたヒト225(H225)(WO96/40210、Imclone Systems Inc.を参照);IMC-11 F8、完全ヒトEGFR標的化抗体(Imclone);II型変異体EGFRに結合する抗体(米国特許第5,212,290号);米国特許第5,891,996号に記載されているEGFRに結合するヒト化及びキメラ抗体;及び、EGFRに結合するヒト抗体、例えばABX-EGF又はパニツムマブ(WO98/50433、Abgenix/Amgenを参照);EMD55900(Stragliotto et al. Eur. J. Cancer 32A:636-640 (1996));EMD7200(マツズマブ)、EGFR結合についてEGFとTGF-アルファの両方と競合するEGFRに対するヒト化EGFR抗体(EMD/Merck);ヒトEGFR抗体、HuMax-EGFR(GenMab);E1.1、E2.4、E2.5、E6.2、E6.4、E2.11、E6.3、及びE7.6.3として知られており、US6,235,883に記載されている完全ヒト抗体;MDX-447(Medarex Inc);及びmAb806又はヒト化mAb806(Johns et al., J. Biol. Chem. 279(29):30375-30384 (2004))が含まれる。抗EGFR抗体は、細胞障害剤と結合され得、従って免疫結合体を生成し得る(例えば、EP659,439A2、Merck Patent GmbHを参照のこと)。EGFRアンタゴニストには、小分子、例えば米国特許第5,616,582号、5,457,105号;5,475,001号;5,654,307号;5,679,683号;6,084,095号;6,265,410号;6,455,534号;6,521,620号;6,596,726号;6,713,484号;5,770,599号;6,140,332号;5,866,572号;6,399,602号;6,344,459号;6,602,863号;6,391,874号;6,344,455号;5,760,041号;6,002,008号;及び5,747,498号、並びに次のPCT刊行物:W098/14451、WO98/50038、WO99/0906、及びWO99/24037に記載されている化合物が含まれる。具体的な小分子EGFRアンタゴニストには、OSI-774(CP-358774、エルロチニブ、TARCEVA(登録商標)Genentech/OSI Pharmaceuticals);PD183805(CI1033、2-プロペンアミド、N-[4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-7-[3-(4-モルホリニル)プロポキシ]-6-キナゾリニル]-二塩酸塩、Pfizer Inc.);ZD1839、ゲフィチニブ(IRESSA(登録商標))4-(3'-クロロ-4'-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-(3-モルホリノプロポキシ)キナゾリン、AstraZeneca);ZM105180((6-アミノ-4-(3-メチルフェニル-アミノ)-キナゾリン、Zeneca);BIBX-1382(N8-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-N2-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ピリミド[5,4-d]ピリミジン-2,8-ジアミン、Boehringer Ingelheim);PKI-166((R)-4-[4-[(1-フェニルエチル)アミノ]-1H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-イル]-フェノール);(R)-6-(4-ヒドロキシフェニル)-4-[(1-フェニルエチル)アミノ]-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン);CL-387785(N-[4-[(3-ブロモフェニル)アミノ]-6-キナゾリニル]-2-ブチンアミド);EKB-569(N-[4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-3-シアノ-7-エトキシ-6-キノリニル]-4-(ジメチルアミノ)-2-ブテンアミド)(Wyeth);AG1478(Pfizer);AG1571(SU5271;Pfizer);2重EGFR/HER2チロシンキナーゼ阻害剤、例えばラパチニブ(TYKERB(登録商標)、GSK572016又はN-[3-クロロ-4-[(3-フルオロフェニル)メトキシ]フェニル]-6-[5-[[[2-メチルスルホニル)エチル]アミノ]メチル]-2-フラニル]-4-キナゾリンアミン)が含まれる。
【0068】
化学療法剤はまた、前の段落に記載されたEGFR標的薬を含む「チロシンキナーゼ阻害剤」;Takedaから入手可能なTAK165などの小分子HER2チロシンキナーゼ阻害剤;CP-724,714、ErbB2受容体チロシンキナーゼの経口選択的阻害剤(Pfizer及びOSI);EGFRに優先的に結合するがHER2及びEGFR過剰発現細胞の両方を阻害する、EKB-569(Wyethから入手可能)などの2重HER阻害剤;ラパチニブ(GSK572016;Glaxo-SmithKlineから入手可能)、経口HER2及びEGFRチロシンキナーゼ阻害剤;PKI-166(Novartisから入手可能);カネルチニブ(CI-1033;Pharmacia)などの汎HER阻害剤;Raf-1阻害剤、例えばRaf-1シグナル伝達を阻害するISIS Pharmaceuticalsから入手可能なアンチセンス剤ISIS-5132;非HER標的TK阻害剤、例えばメシル酸イマチニブ(GLEEVEC(登録商標)、Glaxo SmithKlineから入手可能);マルチターゲットチロシンキナーゼ阻害剤、例えばスニチニブ(SUTENT(登録商標)、Pfizerから入手可能);VEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤、例えばヴァタラニブ(PTK787/ZK222584、Novartis/Schering AGから入手可能);MAPK細胞外調節キナーゼI阻害剤CI-1040(Pharmaciaから入手可能);キナゾリン、例えばPD153035、4-(3-クロロアニリノ)キナゾリン;ピリドピリミジン;ピリミドピリミジン;ピロロピリミジン、例えばCGP59326、CGP60261、CGP62706;ピラゾロピリミジン、4-(フェニルアミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン;クルクミン(ジフェルロイルメタン、4,5-ビス(4-フルオロアニリノ)フタルイミド);ニトロチオフェン部分を含むチルホスチン;PD-0183805(Warner-Lamber);アンチセンス分子(例えば、HERをコードする核酸に結合する分子);キノキサリン(米国特許第5,804,396号);トリホスチン(米国特許第5,804,396号);ZD6474(AstraZeneca);PTK-787(Novartis/Schering AG);汎HER阻害剤、例えばCl-1033(Pfizer);アフィニタック(ISIS3521;Isis/Lilly);メシル酸イマチニブ(GLEEVEC(登録商標));PKI166(Novartis);GW2016(Glaxo SmithKline);CI-1033(Pfizer);EKB-569(Wyeth);セマキシニブ(Pfizer);ZD6474(AstraZeneca);PTK-787(Novartis/Schering AG);INC-1 C11(Imclone)、ラパマイシン(シロリムス、RAPAMUNE(登録商標));又は、以下の特許刊行物のいずれかに記載されているもの:米国特許第5,804,396号;WO1999/09016(American Cyanamid);WO1998/43960(American Cyanamid);WO1997/38983(Warner Lambert);WO1999/06378(Warner Lambert);WO1999/06396(Warner Lambert);WO1996/30347(Pfizer, Inc);WO1996/33978(Zeneca);WO1996/3397(Zeneca)、及びWO1996/33980(Zeneca)。
【0069】
化学療法剤には、デキサメタゾン、インターフェロン、コルヒチン、メトプリン、シクロスポリン、アンホテリシン、メトロニダゾール、アレムツズマブ、アリトレチノイン、アロプリノール、アミフォスチン、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、生BCG、ベバクジマブ、ベキサロテン、クラドリビン、クロファラビン、ダルベポエチンアルファ、デニロイキン、デクスラゾキサン、エポエチンアルファ、エロチニブ、フィルグラスチム、酢酸ヒストレリン、イブリツモマブ、インターフェロンアルファ-2a、インターフェロンアルファ-2b、レナリドミド、レバミゾール、メスナ、メトクスサレン、ナンドロロン、ネララビン、ノフェツモマブ、オプレルベキン、パリフェルミン、パミドロネート、ペガデマーゼ、ペガスパルガーゼ、ペグリルグラスチム、ペメトレキセド二ナトリウム、プリカマイシン、ポルフィマーナトリウム、キナクリン、ラスブリカーゼ、サルグラモスティム、テモゾロミド、VM-26、6-TG、トレミフェン、トレチノイン、ATRA、バルビシン、ゾレドロネート、ゾレドロン酸、及びこれらの医薬的に許容し得る塩が含まれる。
【0070】
「白金ベースの化学療法剤」又は「プラチン」とは、白金の配位錯体である抗新生物薬を意味する。白金ベースの化学療法剤の例には、カルボプラチン、シスプラチン、サトラプラチン、ピコプラチン、ネダプラチン、トリプラチン、リポプラチン、及びオキサリプラチンが含まれる。
【0071】
「白金ベースの化学療法」とは、任意選択的に1種以上の他の化学療法剤と組み合わせた、1種以上の白金ベースの化学療法剤を用いる治療を意味する。
【0072】
「相関する」又は「相関」又は文法上の同等語は、何らかの方法で、第1の分析又はプロトコールの成績及び/又は結果を、第2の分析又はプロトコールの成績及び/又は結果と比較することを意味する。例えば、第1の分析又はプロトコールの結果を使用して、第2の分析又はプロトコールの成果又は結果を決定することができる。又は、第1の分析又はプロトコールの結果を使用して、第2の分析又はプロトコールを実行する必要があるかどうかを判定することもできる。例えば、遺伝子発現分析又はプロトコールの実施態様に関して、遺伝子発現分析又はプロトコールの結果を使用して、特定の免疫細胞タイプ又はサブセットが存在するかどうかを判定することができる。
【0073】
「エフェクター機能」は、抗体のFc領域に起因する生物活性を指し、抗体のアイソタイプによって異なる。抗体エフェクター機能の例には、以下が含まれる:Clq結合及び補体依存性細胞障害性(CDC);Fc受容体結合;抗体依存性細胞障害(ADCC);食作用;細胞表面受容体(例えばB細胞受容体)のダウンレギュレーション;及びB細胞の活性化。
【0074】
「T細胞機能の増強」は、エフェクター又はメモリーT細胞を誘導、誘発、又は刺激して、更新された、持続された、又は増幅された生物学的機能を有することを意味する。T細胞機能の増強の例には、以下が含まれる:介入前のレベルと比較して、CD8エフェクターT細胞からのγ-インターフェロンの分泌の増加、CD4+メモリー及び/又はエフェクターT細胞からのγ-インターフェロンの分泌の増加、CD4+エフェクター及び/又はメモリーT細胞の増殖の増加、CD8エフェクターT細胞の増殖の増加、抗原応答性(例えばクリアランス)の増加。1つの実施態様において、増強のレベルは、少なくとも50%、あるいは60%、70%、80%、90%、100%、120%、150%、200%である。この増強を測定する方法は、当業者に知られている。
【0075】
発現の中央値レベル(又は「癌タイプ」が、癌細胞(例えば腫瘍細胞、腫瘍組織)並びに癌/腫瘍環境を取り巻く非癌細胞(例えば間質細胞、間質組織)を含むことを意味する癌タイプ)における1種以上の細胞遺伝子シグネチャーの1種以上の発現の中央値レベル)と比較して、上昇した発現レベルで1種以上の細胞遺伝子シグネチャーを「発現する」試料、細胞、腫瘍、又は癌は、1種以上の細胞遺伝子シグネチャーの発現レベルが、そのタイプの癌の熟練者にとって「高細胞遺伝子シグネチャー発現レベル」であると見なされるレベルであるものである。一般に、そのようなレベルは、同じ癌タイプの試料、細胞、腫瘍、又は癌の母集団における細胞遺伝子シグネチャーレベルと比較して約50%~約100%以上の範囲(例えば、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、又はそれ以上)である。例えば、発現レベルの中央値に到達するのに使用される母集団は、一般に、特定の癌試料(例えば、副腎皮質癌、膀胱尿路上皮癌、乳房浸潤癌、頸部扁平上皮癌、子宮頸部腺癌、胆管癌、結腸腺癌、リンパ系新生物びまん性大型B細胞リンパ腫、食道癌、多形性神経膠芽細胞腫、頭頸部扁平上皮癌、嫌色素性腎癌、腎明細胞癌、腎乳頭細胞癌、急性骨髄性白血病、脳低悪性度神経膠腫、肝細胞癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、中皮腫、卵巣漿液性嚢胞腺癌、膵臓腺癌、クロム親和性細胞腫、傍神経節腫、前立腺腺癌、直腸腺癌、肉腫、皮膚黒色腫、胃腺癌、精巣生殖細胞腫瘍、甲状腺癌、胸腺腫、子宮癌肉腫、ぶどう膜黒色腫。他の例には、乳癌、肺癌、リンパ腫、黒色腫、肝臓癌、結腸直腸癌、卵巣癌、膀胱癌、腎癌、又は胃癌が含まれる。癌のさらなる例には、神経内分泌癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞肺癌、甲状腺癌、子宮内膜癌、胆道癌、食道癌、肛門癌、唾液腺癌、外陰癌、又は子宮頸癌が含まれる)、又はこれらのサブグループ、例えば化学療法抵抗性癌、白金抵抗性癌、並びに進行性、難治性、又は再発性の癌試料であり得る。
【0076】
特定のバイオマーカー(例えば、細胞遺伝子シグネチャーからの1種以上の遺伝子)に関して使用される「発現レベルを決定する」とは、癌関連生物学的環境(例えば、腫瘍細胞におけるバイオマーカーの発現)、腫瘍関連細胞(例えば、腫瘍関連間質細胞)における、診断試験、本明細書に記載の方法、又は同様の方法を使用して決定される、バイオマーカー(例えば、細胞遺伝子からの1種以上の遺伝子)の発現を意味する。1つの実施態様において、患者からの生物学的試料中の1種以上の遺伝子の発現は、mRNAを測定することによって決定される。他の実施態様において、患者からの生物学的試料中の1種以上の遺伝子の発現は、血漿中のmRNAの測定、組織中のmRNAの測定、FFPE組織中のmRNAの測定、タンパク質レベルの測定、血漿中のタンパク質レベルの測定、組織中のタンパク質レベルの測定、FFPE組織中のタンパク質レベルの測定、又はこれらの組み合わせにより決定される。
【0077】
本明細書における「Fc領域」という用語は、定常領域の少なくとも一部を含む免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。この用語には、天然の配列のFc領域と変種Fc領域が含まれる。1つの実施態様において、ヒトIgG重鎖Fc領域は、Cys226から又はPro230から、重鎖のカルボキシル末端まで延びる。ただし、Fc領域のC末端リジン(Lys447)は、存在する場合と存在しない場合がある。ここで特に指定されていない限り、Fc領域又は定常領域中のアミノ酸残基の番号付けは、Kabat et al, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD, 1991 に記載されているように、EU指数とも呼ばれるEU番号付けシステムに従う。
【0078】
「フレームワーク」又は「FR」は、超可変領域(HVR)残基以外の可変ドメイン残基を指す。可変ドメインのFRは、通常、FR1、FR2、FR3、及びFR4の4つのFRドメインで構成される。従って、HVR及びFR配列は、一般に、VH(又はVL)において次の順序で現れる:FR1-H1(L1)-FR2-H2(L2)-FR3-H3(L3)-FR4。いくつかの実施態様において、本明細書で使用される抗体は、ヒトコンセンサスフレームワークを含む。
【0079】
「完全長抗体」、「無傷の抗体」、及び「全抗体」という用語は、本明細書では互換的に使用され、天然の抗体構造に実質的に類似した構造を有するか、又は本明細書で定義されるFc領域を含む重鎖を有する抗体を指す。
【0080】
「ヒト抗体」は、ヒト又はヒト細胞によって産生される抗体のアミノ酸配列か、又はヒト抗体レパートリー又は他のヒト抗体コード配列を利用する非ヒト供給源に由来する抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有するものである。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を特異的に除外する。
【0081】
「ヒトコンセンサスフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンVL又はVHフレームワーク配列の選択において、最も一般的に存在するアミノ酸残基を表すフレームワークである。一般に、ヒト免疫グロブリンVL又はVH配列の選択は、可変ドメイン配列のサブグループから行われる。一般に、配列のサブグループは、Kabat et al, Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, NIH Publication 91 -3242, Bethesda MD (1991 ), vols. 1 -3中のサブグループのようなものである。1つの実施態様において、VLの場合、サブグループは、上記のKabatらのようなサブグループカッパIである。1つの実施態様において、VHの場合、サブグループは、上記のKabatらのようなサブグループIIIである。「ヒト化」抗体は、非ヒトHVRからのアミノ酸残基とヒトFRからのアミノ酸残基とを含むキメラ抗体を指す。特定の実施態様において、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的にすべてを含み、ここでHVR(例えばCDR)のすべて又は実質的にすべては非ヒト抗体のものに対応し、すべて又は実質的にすべてのFRはヒト抗体のFRに対応する。ヒト化抗体は、任意選択的にヒト抗体に由来する抗体定常領域の少なくとも一部を含み得る。抗体の「ヒト化形態」、例えば非ヒト抗体は、ヒト化を受けた抗体を指す。
【0082】
本明細書で使用される「超可変領域」又は「HVR」という用語は、配列が超可変であり、及び/又は構造的に定義されたループ(「超可変ループ」)を形成する抗体可変ドメインの各領域を指す。一般に、天然の4本鎖抗体は6つのHVRで構成され、VHに3つ(HI、H2、H3)、VLに3つ(LI、L2、L3)存在する。HVRは一般に、超可変ループ及び/又は「相補性決定領域」(CDR)からのアミノ酸残基を含み、後者は通常、最も高い配列変動性であり、及び/又は抗原認識に関与する。本明細書で使用されるHVR領域は、位置24~36(HVRL1の場合)、46~56(HVRL2の場合)、89~97(HVRL3の場合)、26~35B(HVRH1の場合)、47~65(HVRH2の場合)、及び93~102(HVRH3の場合)内に位置する任意の数の残基を含む。
【0083】
「腫瘍免疫」は、腫瘍が免疫認識及びクリアランスを回避するプロセスを指す。従って治療の概念として、腫瘍免疫はそのような回避が弱められるときに「治療」され、腫瘍は免疫系によって認識され攻撃される。腫瘍認識の例には、腫瘍結合、腫瘍縮小、及び腫瘍クリアランスが含まれる。「免疫原性」とは、具体的な物質が免疫反応を引き起こす能力を指す。腫瘍は免疫原性であり、腫瘍の免疫原性を高めることは、免疫応答による腫瘍細胞のクリアランスを助ける。腫瘍免疫原性の増強の例には、特に限定されるものではないが、CD28、OX40、GITR、CD137、CD27、ICOS、HVEM、NKG2D、MICA、又は2B4アゴニストによる処置、又はCTLA-4、PD-1軸、TIM-3、BTLA、VISTA、LAG-3、B7H4、CD96、TIGIT、又はCD226アンタゴニストによる処置が含まれる。
【0084】
「免疫複合体」は、特に限定されるものではないが、細胞障害剤を含む1つ以上の異種分子に結合体化された抗体である。
【0085】
「個体」又は「被験体」は哺乳動物である。哺乳動物には、特に限定されるものではないが、家畜動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ、及びウマ)、霊長類(例えば、ヒト及び非ヒト霊長類、例えばサル)、ウサギ、及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)が含まれる。特定の実施態様において、個体又は被験体はヒトである。
【0086】
「単離された」抗体は、その自然環境の成分から分離されたものである。いくつかの実施態様において、抗体は、例えば電気泳動(例えば、SDS-PAGE、等電点電気泳動(IEF)、キャピラリー電気泳動)又はクロマトグラフィー(例えば、イオン交換又は逆相HPLC)によって測定した場合、95%又は99%を超える純度に精製される。抗体純度を評価するための方法の総説については、例えば、Flatman et al, J. Chromatogr. B 848:79-87 (2007)を参照されたい。
【0087】
「単離された」核酸は、その自然環境の成分から分離された核酸分子を指す。単離された核酸は、通常は核酸分子を含む細胞に含まれる核酸分子を含むが、核酸分子は、染色体外に、又はその天然の染色体位置とは異なる染色体位置に存在する。「抗標的抗体をコードする単離された核酸」は、単一のベクター又は別個のベクター中のそのような核酸分子、及び宿主細胞の1つ以上の場所に存在するそのような核酸分子を含む、抗体の重鎖及び軽鎖(又はその断片)をコードする1つ以上の核酸分子を指す。
【0088】
本明細書における「負荷」投与は、一般に患者に投与される治療薬の初期投与を含み、その後にその1回以上の維持投与が続く。一般に単一の負荷投与が行われるが、本明細書では複数の負荷投与が企図される。通常、投与される負荷投与の量は投与される維持投与の量を超え、及び/又は負荷投与は、維持投与で達成できるよりも早く治療薬の所望の定常状態濃度を達成するために、維持投与よりも頻繁に行われる。
【0089】
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、集団を構成する個々の抗体は、天然に存在する変異を含むか又はモノクローナル抗体調製物の製造中に生じる可能な変種抗体を除いて、同一であり及び/又は同じエピトープに結合し、そのような変種は一般に少量で存在する。通常、異なる決定基(エピトープ)に対して向けられた異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対して向けられている。従って、修飾語「モノクローナル」は、抗体の実質的に均一な集団から得られるものとしての抗体の特徴を示し、特定の方法による抗体の産生を必要とすると解釈するべきではない。例えば、本明細書に提供される方法に従って使用されるモノクローナル抗体は、特に限定されるものではないが、ハイブリドーマ法、組換えDNA法、ファージディスプレイ法、及びヒト免疫グロブリン遺伝子座のすべて若しくは一部を含むトランスジェニック動物を利用する方法を含む様々な技術によって作製することができ、そのような方法及びモノクローナル抗体を作製するためのも他の例示的な方法は本明細書に記載されている。
【0090】
「裸の抗体」は、異種の部分(例えば、細胞傷害性部分)又は放射能標識物に結合していない抗体を指す。裸の抗体は、医薬製剤中に存在してもよい。
【0091】
「天然の抗体」は、様々な構造を有する天然に存在する免疫グロブリン分子を指す。例えば、天然のIgG抗体は約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質であり、ジスルフィド結合した2つの同一の軽鎖と2つの同一の重鎖で構成されている。N末端からC末端まで、各重鎖は可変重鎖ドメイン又は重鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VH)を有し、その後に3つの定常ドメイン(CH1、CH2、及びCH3)が続く。同様に、N末端からC末端まで、各軽鎖は可変軽鎖ドメイン又は軽鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VL)があり、その後に定常軽鎖(CL)ドメインが続く。抗体の軽鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる2つのタイプのいずれかに割り当てられる。
【0092】
「患者の応答」又は「応答」(及びその文法的変形体)は、患者への利益を示す任意のエンドポイントを使用して評価することができ、そのエンドポイントには、特に限定されるものではないが、以下が含まれる:(1)減速及び完全な停止を含む、疾患進行のある程度の抑制;(2)病気の発症及び/又は症状の数の減少;(3)病変サイズの縮小;(4)隣接する末梢臓器及び/又は組織への疾患細胞浸潤の抑制(すなわち、減少、減速、又は完全な停止);(5)疾患の蔓延の抑制(すなわち、減少、減速、又は完全な停止);(6)疾患病変の退行又は切除をもたらす可能性があるが、必ずしもその必要がない、自己免疫応答の低下;(7)障害に関連する1つ以上の症状のある程度の軽減;(8)処置後の無病状態の期間の延長;及び/又は(9)処置後の特定の時点での死亡率の低下。
【0093】
「放射線療法」又は「放射線」とは、細胞が正常に機能する能力を制限するか又は細胞を完全に破壊するために、指向性ガンマ線又はベータ線を使用して細胞に十分な損傷を誘発することを意味する。処置の用量及び期間を決定するための多くの方法が当技術分野で知られていることは理解されるであろう。典型的な処置は1回の投与として行われ、典型的な用量は1日あたり10~200単位(グレイ)の範囲である。
【0094】
「小分子」という用語は、50ダルトン~2500ダルトンの間の分子量を有する有機分子を指す。
【0095】
「細胞遺伝子シグネチャー」という用語は、表1に示される遺伝子の任意の1つ又は組み合わせ又は部分的組合せを指す。これらの遺伝子のそのような部分的組合せは「遺伝子セット」と呼ばれ、「遺伝子セット」の例は表2~17に示される。「免疫細胞シグネチャー」という用語は、免疫細胞サブタイプ(例えば、Tエフェクター細胞、T調節細胞、B細胞、NK細胞、骨髄細胞、Th17細胞、炎症細胞、T細胞免疫遮断薬、及び抗原提示細胞(APC)免疫遮断薬)の存在と相関する、患者における細胞遺伝子シグネチャーの遺伝子発現パターンを指す。個々の遺伝子又は細胞遺伝子シグネチャーのメンバーは、「細胞シグネチャー遺伝子」である。さらに、免疫細胞遺伝子シグネチャーの個々の遺伝子又はメンバーはそれぞれ「免疫細胞シグネチャー遺伝子」である。これらの遺伝子には、特に限定されるものではないが、表1に示されているリンパ系遺伝子シグネチャーの遺伝子:CXCL10、CXCR3、CX3CL1、PRF1、GZMK、GZMB、CD27、IL2RG、KLRK1、CTLA4、GZMH、CD3D、KLRB1、KLRD1、LCK、CD5、IRF4、CD8A、CD38、EOMES、GZMM、GNLY、IFITM1、IDO1、MS4A1、GZMA、CD2、CD3E、CD3G、CD40LG、CD6、CD7、CD79A、CD8B、CXCL11、CXCL13、CXCL9、HLA-DOB、IFNG、LAG3、LY9、PDCD1、TBX21、TIGIT、ZAP70、SLAMF7、CD96、PVR、STAT1、JAK1、JAK2、STAT2、IRF9、IGF2R、CD48、及びICOS、又は表1に示されている骨髄系遺伝子シグネチャーの遺伝子:ITGAM、TLR4、IL1B、CSF1R、CSF3R、TLR2、TLR1、ITGAX、HCK、TLR8、SLC11A1、CD47、CD14、CLEC4E、CLEC7A、FCAR、FCN1、LILRA5、LILRB2、LYZ、NFAM1、P2RY13、S100A8、S100A9、SERPINA1、SIRPA、SIRPB2、TREM1、CLEC5A、CSF1、CYBB、FCGR1A、MARCO、NLRP3、FPR1、FPR3、CCL3、DAB2、OLR1、C5AR1、TREM2、MRC1、及びCEBPB、が含まれる。
【0096】
「PD1軸アンタゴニスト」という用語は、PD-1軸結合パートナーとその結合パートナーの1つ又はそれ以上との相互作用を阻害して、PDのシグナル伝達軸上のシグナル伝達に起因するT細胞機能不全を除去し、その結果、T細胞機能(例えば、増殖、サイトカイン産生、標的細胞死滅)を回復又は増強する分子を指す。本明細書で使用されるPD-1軸アンタゴニストは、PD-1結合アンタゴニスト、PD-L1結合アンタゴニスト、及びPD-L2結合アンタゴニストを含む。
【0097】
「生存」は、生きている患者を指し、全生存期間並びに無増悪生存期間を含む。
【0098】
「全生存」とは、診断又は治療の時点から1年、5年などの定義された期間生きている患者を指す。
【0099】
本発明の文脈における「無増悪生存期間」という用語は、治療中及び治療後の時間の長さを指し、この期間中、治療医師又は研究者の評価に従って、患者の疾患が悪化しないこと、すなわち進行しないことを指す。当業者が理解するように、患者が、同様の状況にある患者対照群の平均無増悪生存期間と比較して、疾患が進行しない期間をより長く経験する場合、患者の無増悪生存期間は改善又は増強されている。
【0100】
本明細書における「標準治療」とは、特定の形態の癌、状態、又は疾患を治療するために日常的に使用される抗腫瘍/抗癌、抗症状、又は抗疾患剤を意図する。
【0101】
「治療有効量」又は「有効量」という用語は、患者の癌、状態、又は疾患を治療するのに有効な薬物の量を指す。例えば癌に関して、薬物の有効量は癌細胞の数を減らし、腫瘍のサイズを縮小し、末梢臓器への癌細胞の浸潤を阻害し(すなわち、ある程度遅くし、好ましくは停止させる)、腫瘍転移を抑制し(すなわち、ある程度遅くし、好ましくは停止させる)、腫瘍の増殖をある程度抑制し、及び/又は、癌に関連する症状の1つ以上をある程度緩和することができる。薬物が増殖を防止し及び/又は既存の癌細胞を死滅させることができる程度に、薬物は細胞増殖抑制性及び/又は細胞障害性であり得る。有効量は、無増悪生存期間(例えば、固形腫瘍の応答評価基準(Response Evaluation Criteria for Solid Tumors)(RECIST)、又はCA-125の変化によって測定)を延長し、客観的な応答(部分応答PR、又は完全応答CRを含む)をもたらし、生存期間(全生存期間及び無増悪生存期間を含む)を改善し、及び/又は癌の1つ以上の症状(例えばFOSIによって評価される)を改善し得る。最も好ましくは薬物の治療有効量は、無増悪生存期間(PFS)及び/又は全生存期間(OS)を改善するのに有効である。
【0102】
本明細書で使用される「処置」は、治療される個体又は細胞の自然経過を変える試みにおける臨床的介入を指し、予防のために又は臨床病理の過程のいずれかで実施することができる。処置の望ましい効果には、疾患の発生又は再発の予防、症状の緩和、疾患の直接的又は間接的な病理的結果の減少、疾患の進行速度の低下、病状の改善又は緩和、及び寛解又は予後の改善が含まれる。いくつかの実施態様において、本発明の方法及び組成物は、疾患又は障害の発症を遅らせる試みにおいて有用である。
【0103】
「可変領域」又は「可変ドメイン」という用語は、抗体の抗原への結合に関与する抗体の重鎖又は軽鎖のドメインを指す。天然の抗体の重鎖及び軽鎖(それぞれVH及びVL)の可変ドメインは一般に類似の構造を有し、各ドメインは4つの保存されたフレームワーク領域(FR)及び3つの超可変領域(HVR)を含む(例えば、Kindt et al. Kuby Immunology, 6th ed., W.H. Freeman and Co., page 91 (2007)を参照)。単一のVH又はVLドメインが、抗原結合特異性を付与するのに十分な場合がある。さらに特定の抗原に結合する抗体は、抗原に結合する抗体からVH又はVLドメインを使用して単離して、それぞれ相補的なVL又はVHドメインのライブラリーをスクリーニングすることができる。例えば、Portolano et al, J. Immunol. 1 50:880-887 (1993); Clarkson et al, Nature 352:624-628 (1991)を参照されたい。
【0104】
予後及び検出の方法
【0105】
本発明は、免疫細胞サブタイプ(例えば、Tエフェクター細胞、T調節細胞、B細胞、NK細胞、骨髄細胞、炎症性細胞、T細胞免疫遮断薬、抗原提示細胞(APC)免疫遮断薬、抗原提示細胞(APC)免疫遮断薬)と相関している癌(例えば、副腎皮質癌、膀胱尿路上皮癌、乳房浸潤癌、頸部扁平上皮癌、子宮頸部腺癌、胆管癌、結腸腺癌、リンパ系新生物びまん性大型B細胞リンパ腫、食道癌、多形性神経膠芽細胞腫、頭頸部扁平上皮癌、嫌色素性腎癌、腎明細胞癌、腎乳頭細胞癌、急性骨髄性白血病、脳低悪性度神経膠腫、肝細胞癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、中皮腫、卵巣漿液性嚢胞腺癌、膵臓腺癌、クロム親和性細胞腫、傍神経節腫、前立腺腺癌、直腸腺癌、肉腫、皮膚黒色腫、胃腺癌、精巣生殖細胞腫瘍、甲状腺癌、胸腺腫、子宮癌肉腫、ぶどう膜黒色腫、乳癌、肺癌、リンパ腫、黒色腫、肝臓癌、結腸直腸癌、卵巣癌、膀胱癌、腎癌、又は胃癌、神経内分泌癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞肺癌、甲状腺癌、子宮内膜癌、胆道癌、食道癌、肛門癌、唾液腺癌、外陰癌、又は子宮頸癌)のバイオマーカーの同定、選択、及び使用に関する。この点で、本発明は、腫瘍免疫に関与する癌の患者からの試料における発現プロフィールの分析、及び免疫療法による処置のための患者を選択する際のこれらのバイオマーカーの使用に関する。本発明のバイオマーカーは、本明細書の、例えば表1.遺伝子シグネチャーセットに記載される。
【0106】
【0107】
本発明は、1種以上の細胞遺伝子シグネチャー(例えば、表1に列挙された1種以上の遺伝子又はそれらの組み合わせ、例えば表2~17に記載されたもの)の発現レベルを決定し、そして前記細胞遺伝子シグネチャーの発現レベルを細胞遺伝子シグネチャーの発現の中央値レベル(例えば、癌タイプにおける細胞遺伝子シグネチャーの発現の中央値レベル)と比較することによって、免疫療法による処置のための患者を選択する方法を提供し、ここで、細胞遺伝子シグネチャーの発現レベルは、治療による処置のための患者を特定する。いくつかの実施態様において、細胞遺伝子シグネチャーは免疫細胞遺伝子シグネチャーであり、別の実施態様において、治療は免疫療法である。任意選択的に、本方法は、治療に応答する可能性が高いことを患者に通知する工程、及び/又は1種以上の細胞遺伝子シグネチャー(例えば、表1に列挙された1種以上の遺伝子又はそれらの組み合わせ、例えば表2~17に記載されたもの)の発現レベルに基づいて、特定の治療について患者に推奨を提供する工程を含む。
【0108】
本発明の1つの具体的な実施態様において、処置を必要とする癌患者から得られた生物学的試料中のシグネチャー(a)~(q)の少なくとも1つにおける1種以上の遺伝子の発現レベルを決定することを含む、前記患者の処置を選択する方法が提供される:
(a)MKI67、CEP55、KIF2C、MELK、CENPF、EXO1、ANLN、RRM2、UBE2C、CCNB1、及びCDC20;
(b)FAP、COL6A3、ADAM12、OLFML2B、PDGFRB、及びLRRC32;
(c)CXCL10、CXCR3、CX3CL1、PRF1、GZMK、GZMB、CD27、IL2RG、KLRK1、CTLA4、GZMH、CD3D、KLRB1、KLRD1、LCK、CD5、IRF4、CD8A、CD38、EOMES、GZMM、GNLY、IFITM1、IDO1、MS4A1、GZMA、CD2、CD3E、CD3G、CD40LG、CD6、CD7、CD79A、CD8B、CXCL11、CXCL13、CXCL9、HLA-DOB、IFNG、LAG3、LY9、PDCD1、TBX21、TIGIT、ZAP70、SLAMF7、CD96、PVR、STAT1、JAK1、JAK2、STAT2、IRF9、IGF2R、CD48、及びICOS;
(d)ITGAM、TLR4、IL1B、CSF1R、CSF3R、TLR2、TLR1、ITGAX、HCK、TLR8、SLC11A1、CD47、CD14、CLEC4E、CLEC7A、FCAR、FCN1、LILRA5、LILRB2、LYZ、NFAM1、P2RY13、S100A8、S100A9、SERPINA1、SIRPA、SIRPB2、TREM1、CLEC5A、CSF1、CYBB、FCGR1A、MARCO、NLRP3、FPR1、FPR3、CCL3、DAB2、OLR1、C5AR1、TREM2、MRC1、及びCEBPB;
(e)BCL6B、CDH5、CLEC14A、CXorf36、EMCN、FAM124B、KDR、MMRN2、MYCT1、PALMD、ROBO4、SHE、TEK、及びTIE1;
(f)B2M、TAP1、TAP2、TAPBP、HLA-A、HLA-B、及びHLA-C;
(g)HLA-DRB5、HLA-DPA1、HLA-DPB1、HLA-DQB1、HLA-DRA、HLA-DRB1、HLA-DMA、及びHLA-DOA;
(h)STAT1、CXCL9、CXCL10、及びCXCL11;
(i)GZMA、GZMB、GZMH、PRF1、及びGNLY;
(j)PSMB8、PSMB9、及びPSMB10;
(k)AXIN1、BAD、BAX、BBC3、及びBCL2L1;
(l)CCL2、CCL3、CCL4、CCL7、及びCCL8;
(m)BNIP3、SLC2A1、PGK1、BNIP3L、P4HA1、ADM、PDK1、ALDOC、PLOD2、P4HA2、及びMXI1;
(n)MAGEA3、MAGEA6、MAGEA1、MAGEA12、MAGEA4、MAGEB2、MAGEC2、及びMAGEC1;
(o)AKT1、HIF1A、SLC2A1、HK2、TPI1、ENO1、LDHA、PFKFB3、PFKM、GOT1、GOT2、GLUD1、及びHK1;
(p)IFI16、IFI27、IFI35、IFIH1、IFIT1、IFIT2、IFITM1、IFITM2、IRF1、APOL6、TMEM140、PARP9、TRIM21、GBP1、DTX3L、PSMB9、OAS1、OAS2、ISG15、MX1、IFI6、IFIT3、IRF9、及びSTAT2;
(q)CXCL1、CXCL3、CXCL2、CCL20、AREG、FOSL1、CSF3、PTGS2、IER3、及びIL6;
ここで、少なくとも1種の遺伝子シグネチャー中の1種以上の遺伝子の発現レベルの変化は、処置のための患者を特定する。
【0109】
本発明の別の具体的な実施態様において、治療による処置のための癌を有する被験体から得られた生物学的試料中のシグネチャー(a)~(q)の少なくとも1つにおける1種以上の遺伝子の発現レベルを決定することを含む、前記被験体を選択する方法が提供される:
(a)MKI67、CEP55、KIF2C、MELK、CENPF、EXO1、ANLN、RRM2、UBE2C、CCNB1、及びCDC20;
(b)FAP、COL6A3、ADAM12、OLFML2B、PDGFRB、及びLRRC32;
(c)CXCL10、CXCR3、CX3CL1、PRF1、GZMK、GZMB、CD27、IL2RG、KLRK1、CTLA4、GZMH、CD3D、KLRB1、KLRD1、LCK、CD5、IRF4、CD8A、CD38、EOMES、GZMM、GNLY、IFITM1、IDO1、MS4A1、GZMA、CD2、CD3E、CD3G、CD40LG、CD6、CD7、CD79A、CD8B、CXCL11、CXCL13、CXCL9、HLA-DOB、IFNG、LAG3、LY9、PDCD1、TBX21、TIGIT、ZAP70、SLAMF7、CD96、PVR、STAT1、JAK1、JAK2、STAT2、IRF9、IGF2R、CD48、及びICOS;
(d)ITGAM、TLR4、IL1B、CSF1R、CSF3R、TLR2、TLR1、ITGAX、HCK、TLR8、SLC11A1、CD47、CD14、CLEC4E、CLEC7A、FCAR、FCN1、LILRA5、LILRB2、LYZ、NFAM1、P2RY13、S100A8、S100A9、SERPINA1、SIRPA、SIRPB2、TREM1、CLEC5A、CSF1、CYBB、FCGR1A、MARCO、NLRP3、FPR1、FPR3、CCL3、DAB2、OLR1、C5AR1、TREM2、MRC1、及びCEBPB;
(e)BCL6B、CDH5、CLEC14A、CXorf36、EMCN、FAM124B、KDR、MMRN2、MYCT1、PALMD、ROBO4、SHE、TEK、及びTIE1;
(f)B2M、TAP1、TAP2、TAPBP、HLA-A、HLA-B、及びHLA-C;
(g)HLA-DRB5、HLA-DPA1、HLA-DPB1、HLA-DQB1、HLA-DRA、HLA-DRB1、HLA-DMA、及びHLA-DOA;
(h)STAT1、CXCL9、CXCL10、及びCXCL11;
(i)GZMA、GZMB、GZMH、PRF1、及びGNLY;
(j)PSMB8、PSMB9、及びPSMB10;
(k)AXIN1、BAD、BAX、BBC3、及びBCL2L1;
(l)CCL2、CCL3、CCL4、CCL7、及びCCL8;
(m)BNIP3、SLC2A1、PGK1、BNIP3L、P4HA1、ADM、PDK1、ALDOC、PLOD2、P4HA2、及びMXI1;
(n)MAGEA3、MAGEA6、MAGEA1、MAGEA12、MAGEA4、MAGEB2、MAGEC2、及びMAGEC1;
(o)AKT1、HIF1A、SLC2A1、HK2、TPI1、ENO1、LDHA、PFKFB3、PFKM、GOT1、GOT2、GLUD1、及びHK1;
(p)IFI16、IFI27、IFI35、IFIH1、IFIT1、IFIT2、IFITM1、IFITM2、IRF1、APOL6、TMEM140、PARP9、TRIM21、GBP1、DTX3L、PSMB9、OAS1、OAS2、ISG15、MX1、IFI6、IFIT3、IRF9、及びSTAT2;
(q)CXCL1、CXCL3、CXCL2、CCL20、AREG、FOSL1、CSF3、PTGS2、IER3、及びIL6;
ここで、遺伝子シグネチャー(a)~(q)の少なくとも1つにおける1種以上の遺伝子の発現レベルの変化は、治療による処置のための被験体を特定する。
【0110】
本発明の別の具体的な実施態様において、治療による処置に応答する可能性が高い癌を有する被験体から得られた生物学的試料中のシグネチャー(a)~(q)の少なくとも1つにおける1種以上の遺伝子の発現レベルを決定することを含む、前記被験体を選択する方法が提供される:
(a)MKI67、CEP55、KIF2C、MELK、CENPF、EXO1、ANLN、RRM2、UBE2C、CCNB1、及びCDC20;
(b)FAP、COL6A3、ADAM12、OLFML2B、PDGFRB、及びLRRC32;
(c)CXCL10、CXCR3、CX3CL1、PRF1、GZMK、GZMB、CD27、IL2RG、KLRK1、CTLA4、GZMH、CD3D、KLRB1、KLRD1、LCK、CD5、IRF4、CD8A、CD38、EOMES、GZMM、GNLY、IFITM1、IDO1、MS4A1、GZMA、CD2、CD3E、CD3G、CD40LG、CD6、CD7、CD79A、CD8B、CXCL11、CXCL13、CXCL9、HLA-DOB、IFNG、LAG3、LY9、PDCD1、TBX21、TIGIT、ZAP70、SLAMF7、CD96、PVR、STAT1、JAK1、JAK2、STAT2、IRF9、IGF2R、CD48、及びICOS;
(d)ITGAM、TLR4、IL1B、CSF1R、CSF3R、TLR2、TLR1、ITGAX、HCK、TLR8、SLC11A1、CD47、CD14、CLEC4E、CLEC7A、FCAR、FCN1、LILRA5、LILRB2、LYZ、NFAM1、P2RY13、S100A8、S100A9、SERPINA1、SIRPA、SIRPB2、TREM1、CLEC5A、CSF1、CYBB、FCGR1A、MARCO、NLRP3、FPR1、FPR3、CCL3、DAB2、OLR1、C5AR1、TREM2、MRC1、及びCEBPB;
(e)BCL6B、CDH5、CLEC14A、CXorf36、EMCN、FAM124B、KDR、MMRN2、MYCT1、PALMD、ROBO4、SHE、TEK、及びTIE1;
(f)B2M、TAP1、TAP2、TAPBP、HLA-A、HLA-B、及びHLA-C;
(g)HLA-DRB5、HLA-DPA1、HLA-DPB1、HLA-DQB1、HLA-DRA、HLA-DRB1、HLA-DMA、及びHLA-DOA;
(h)STAT1、CXCL9、CXCL10、及びCXCL11;
(i)GZMA、GZMB、GZMH、PRF1、及びGNLY;
(j)PSMB8、PSMB9、及びPSMB10;
(k)AXIN1、BAD、BAX、BBC3、及びBCL2L1;
(l)CCL2、CCL3、CCL4、CCL7、及びCCL8;
(m)BNIP3、SLC2A1、PGK1、BNIP3L、P4HA1、ADM、PDK1、ALDOC、PLOD2、P4HA2、及びMXI1;
(n)MAGEA3、MAGEA6、MAGEA1、MAGEA12、MAGEA4、MAGEB2、MAGEC2、及びMAGEC1;
(o)AKT1、HIF1A、SLC2A1、HK2、TPI1、ENO1、LDHA、PFKFB3、PFKM、GOT1、GOT2、GLUD1、及びHK1;
(p)IFI16、IFI27、IFI35、IFIH1、IFIT1、IFIT2、IFITM1、IFITM2、IRF1、APOL6、TMEM140、PARP9、TRIM21、GBP1、DTX3L、PSMB9、OAS1、OAS2、ISG15、MX1、IFI6、IFIT3、IRF9、及びSTAT2;
(q)CXCL1、CXCL3、CXCL2、CCL20、AREG、FOSL1、CSF3、PTGS2、IER3、及びIL6;
ここで、遺伝子シグネチャー(a)~(q)の少なくとも1つにおける1種以上の遺伝子の発現レベルの変化は、治療による処置に応答する可能性が高い患者を特定する。
【0111】
いくつかの実施態様において、患者は、活性化免疫療法などの治療による処置のために特定されるか、又は増殖遺伝子シグネチャーセット(すなわち、MKI67、CEP55、KIF2C、MELK、CENPF、EXO1、ANLN、RRM2、UBE2C、CCNB1、又はCDC20の1つ以上)中の1種以上の細胞遺伝子シグネチャーの発現レベルの上昇がある場合に、活性化免疫療法レジメンから利益を得る可能性があるとして選択される。他の実施態様において、患者は、抑制免疫療法による処置のために特定されるか、又は細胞障害性遺伝子シグネチャーセット(すなわち、GZMA、GZMB、GZMH、PRF1、又はGNLYの1つ以上)中の1種以上の細胞遺伝子シグネチャーの発現レベルの減少がある場合に、抑制免疫療法から利益を得る可能性があるとして選択される。他の実施態様において、増殖及び細胞障害活性遺伝子セット中の1種以上の細胞遺伝子シグネチャーの発現レベルを決定することに加えて、表2~17に記載されるような遺伝子セットのいずれか1つの組み合わせにおける1種以上の細胞遺伝子シグネチャーの発現レベルを決定して、特定の免疫療法レジメン(例えば、活性化免疫療法レジメン又は抑制免疫療法レジメン)のための患者を特定することができる。任意選択的に、これらの方法は免疫療法レジメンを施す前に行われて、免疫療法への応答について投与前の予後を患者に提供する。
【0112】
本発明の別の実施態様において、以下を含む、被験体における癌処置の薬力学的活性をモニタリングするための方法が提供される:
(i)治療で処置されている被験体から得られた生物学的試料中のシグネチャー(a)~(q)の少なくとも1つにおける1種以上の遺伝子の発現レベルを測定すること:
(a)MKI67、CEP55、KIF2C、MELK、CENPF、EXO1、ANLN、RRM2、UBE2C、CCNB1、及びCDC20;
(b)FAP、COL6A3、ADAM12、OLFML2B、PDGFRB、及びLRRC32;
(c)CXCL10、CXCR3、CX3CL1、PRF1、GZMK、GZMB、CD27、IL2RG、KLRK1、CTLA4、GZMH、CD3D、KLRB1、KLRD1、LCK、CD5、IRF4、CD8A、CD38、EOMES、GZMM、GNLY、IFITM1、IDO1、MS4A1、GZMA、CD2、CD3E、CD3G、CD40LG、CD6、CD7、CD79A、CD8B、CXCL11、CXCL13、CXCL9、HLA-DOB、IFNG、LAG3、LY9、PDCD1、TBX21、TIGIT、ZAP70、SLAMF7、CD96、PVR、STAT1、JAK1、JAK2、STAT2、IRF9、IGF2R、CD48、及びICOS;
(d)ITGAM、TLR4、IL1B、CSF1R、CSF3R、TLR2、TLR1、ITGAX、HCK、TLR8、SLC11A1、CD47、CD14、CLEC4E、CLEC7A、FCAR、FCN1、LILRA5、LILRB2、LYZ、NFAM1、P2RY13、S100A8、S100A9、SERPINA1、SIRPA、SIRPB2、TREM1、CLEC5A、CSF1、CYBB、FCGR1A、MARCO、NLRP3、FPR1、FPR3、CCL3、DAB2、OLR1、C5AR1、TREM2、MRC1、及びCEBPB;
(e)BCL6B、CDH5、CLEC14A、CXorf36、EMCN、FAM124B、KDR、MMRN2、MYCT1、PALMD、ROBO4、SHE、TEK、及びTIE1;
(f)B2M、TAP1、TAP2、TAPBP、HLA-A、HLA-B、及びHLA-C;
(g)HLA-DRB5、HLA-DPA1、HLA-DPB1、HLA-DQB1、HLA-DRA、HLA-DRB1、HLA-DMA、及びHLA-DOA;
(h)STAT1、CXCL9、CXCL10、及びCXCL11;
(i)GZMA、GZMB、GZMH、PRF1、及びGNLY;
(j)PSMB8、PSMB9、及びPSMB10;
(k)AXIN1、BAD、BAX、BBC3、及びBCL2L1;
(l)CCL2、CCL3、CCL4、CCL7、及びCCL8;
(m)BNIP3、SLC2A1、PGK1、BNIP3L、P4HA1、ADM、PDK1、ALDOC、PLOD2、P4HA2、及びMXI1;
(n)MAGEA3、MAGEA6、MAGEA1、MAGEA12、MAGEA4、MAGEB2、MAGEC2、及びMAGEC1;
(o)AKT1、HIF1A、SLC2A1、HK2、TPI1、ENO1、LDHA、PFKFB3、PFKM、GOT1、GOT2、GLUD1、及びHK1;
(p)IFI16、IFI27、IFI35、IFIH1、IFIT1、IFIT2、IFITM1、IFITM2、IRF1、APOL6、TMEM140、PARP9、TRIM21、GBP1、DTX3L、PSMB9、OAS1、OAS2、ISG15、MX1、IFI6、IFIT3、IRF9、及びSTAT2;
(q)CXCL1、CXCL3、CXCL2、CCL20、AREG、FOSL1、CSF3、PTGS2、IER3及びIL6;そして
(ii)被験体から得られた試料中の1種以上の遺伝子の発現レベルに基づいて薬力学的活性を示すものとして処置を決定すること;
ここで、被験体から得られた試料中の1種以上の遺伝子の発現レベルの上昇又は低下は、治療の薬力学的活性を示す。
【0113】
いくつかの実施態様において、患者は、モニタリングを実施する臨床医又は技術者によって確立された所定の期間にわたってモニタリングされる。他の実施態様において、患者は、標準治療に従って所定の期間モニタリングされる。
【0114】
特定の実施態様において、表1からの任意の1つの特定の遺伝子シグネチャーセットにおける細胞遺伝子シグネチャー中の1種以上の遺伝子の発現レベルが決定される。別の実施態様において、表1からの2つの特定の遺伝子シグネチャーセットにおける細胞遺伝子シグネチャー中の1種以上の遺伝子の発現レベルが決定される。いくつかの実施態様において、2つの特定の遺伝子シグネチャーセットの組み合わせは、表1に列挙された任意の2つの遺伝子シグネチャーセットの1種以上の遺伝子を含む組み合わせを含むか、又はそれからなる。いくつかの実施態様において、2つの特定の遺伝子シグネチャーセットの組み合わせは、表1に列挙された任意の2つの遺伝子シグネチャーセットのすべての遺伝子を含む組み合わせを含むか、又はそれからなる。
【0115】
別の実施態様において、3つの特定の遺伝子シグネチャーセットにおける細胞遺伝子シグネチャー中の1種以上の遺伝子の発現レベルが決定される。いくつかの実施態様において、3つの特定の遺伝子シグネチャーセットの組み合わせは、表1に列挙された任意の3つの遺伝子シグネチャーセットの1種以上の遺伝子を含む組み合わせを含むか、又はそれからなる。いくつかの実施態様において、3つの特定の遺伝子シグネチャーセットの組み合わせは、表1に列挙された任意の3つの遺伝子シグネチャーセットのすべての遺伝子を含む組み合わせを含むか、又はそれからなる。
【0116】
別の実施態様において、4つの特定の遺伝子シグネチャーセットにおける細胞遺伝子シグネチャー中の1種以上の遺伝子の発現レベルが決定される。いくつかの実施態様において、4つの特定の遺伝子シグネチャーセットの組み合わせは、表1に列挙された任意の4つの遺伝子シグネチャーセットの1種以上の遺伝子を含む組み合わせを含むか、又はそれからなる。いくつかの実施態様において、4つの特定の遺伝子シグネチャーセットの組み合わせは、表1に列挙された任意の4つの遺伝子シグネチャーセットのすべての遺伝子を含む組み合わせを含むか、又はそれからなる。
【0117】
別の実施態様において、5つの特定の遺伝子シグネチャーセットにおける細胞遺伝子シグネチャー中の1種以上の遺伝子の発現レベルが決定される。いくつかの実施態様において、5つの特定の遺伝子シグネチャーセットの組み合わせは、表1に列挙された5つの遺伝子シグネチャーセットの1種以上の遺伝子を含む組み合わせを含むか、又はそれからなる。いくつかの実施態様において、5つの特定の遺伝子シグネチャーセットの組み合わせは、表1に列挙された任意の5つの遺伝子シグネチャーセットのすべての遺伝子を含む組み合わせを含むか、又はそれからなる。
【0118】
別の実施態様において、6つの特定の遺伝子シグネチャーセットにおける細胞遺伝子シグネチャー中の1種以上の遺伝子の発現レベルが決定される。いくつかの実施態様において、6つの特定の遺伝子シグネチャーセットの組み合わせは、表1に列挙された任意の6つの遺伝子シグネチャーセットの1種以上の遺伝子を含む組み合わせを含むか、又はそれからなる。いくつかの実施態様において、6つの特定の遺伝子シグネチャーセットの組み合わせは、表1に列挙された任意の6つの遺伝子シグネチャーセットのすべての遺伝子を含む組み合わせを含むか、又はそれからなる。
【0119】
別の実施態様において、7つの特定の遺伝子シグネチャーセットにおける細胞遺伝子シグネチャー中の1種以上の遺伝子の発現レベルが決定される。いくつかの実施態様において、7つの特定の遺伝子シグネチャーセットの組み合わせは、表1に列挙された任意の7つの遺伝子シグネチャーセットの1種以上の遺伝子を含む組み合わせを含むか、又はそれからなる。いくつかの実施態様において、7つの特定の遺伝子シグネチャーセットの組み合わせは、表1に列挙された任意の7つの遺伝子シグネチャーセットのすべての遺伝子を含む組み合わせを含むか、又はそれからなる。
【0120】
別の実施態様において、8つの特定の遺伝子シグネチャーセットにおける細胞遺伝子シグネチャー中の1種以上の遺伝子の発現レベルが決定される。いくつかの実施態様において、8つの特定の遺伝子シグネチャーセットの組み合わせは、表1に列挙された任意の8つの遺伝子シグネチャーセットの1種以上の遺伝子を含む組み合わせを含むか、又はそれからなる。いくつかの実施態様において、8つの特定の遺伝子シグネチャーセットの組み合わせは、表1に列挙された任意の8つの遺伝子シグネチャーセットのすべての遺伝子を含む組み合わせを含むか、又はそれからなる。
【0121】
別の実施態様において、9つの特定の遺伝子シグネチャーセットにおける細胞遺伝子シグネチャー中の1種以上の遺伝子の発現レベルが決定される。いくつかの実施態様において、9つの特定の遺伝子シグネチャーセットの組み合わせは、表1に列挙された任意の9つの遺伝子シグネチャーセットの1種以上の遺伝子を含む組み合わせを含むか、又はそれからなる。いくつかの実施態様において、9つの特定の遺伝子シグネチャーセットの組み合わせは、表1に列挙された任意の9つの遺伝子シグネチャーセットのすべての遺伝子を含む組み合わせを含むか、又はそれからなる。
【0122】
別の実施態様において、10個の特定の遺伝子シグネチャーセットにおける細胞遺伝子シグネチャー中の1種以上の遺伝子の発現レベルが決定される。いくつかの実施態様において、10個の特定の遺伝子シグネチャーセットの組み合わせは、表1に列挙された任意の10個の遺伝子シグネチャーセットの1種以上の遺伝子を含む組み合わせを含むか、又はそれからなる。いくつかの実施態様において、10個の特定の遺伝子シグネチャーセットの組み合わせは、表1に列挙された任意の10個の遺伝子シグネチャーセットのすべての遺伝子を含む組み合わせを含むか、又はそれからなる。
【0123】
別の実施態様において、11個の特定の遺伝子シグネチャーセットにおける細胞遺伝子シグネチャー中の1種以上の遺伝子の発現レベルが決定される。いくつかの実施態様において、11個の特定の遺伝子シグネチャーセットの組み合わせは、表1に列挙された任意の11個の遺伝子シグネチャーセットの1種以上の遺伝子を含む組み合わせを含むか、又はそれからなる。いくつかの実施態様において、11個の特定の遺伝子シグネチャーセットの組み合わせは、表1に列挙された任意の11個の遺伝子シグネチャーセットのすべての遺伝子を含む組み合わせを含むか、又はそれからなる。
【0124】
別の実施態様において、12個の特定の遺伝子シグネチャーセットにおける細胞遺伝子シグネチャー中の1種以上の遺伝子の発現レベルが決定される。いくつかの実施態様において、12個の特定の遺伝子シグネチャーセットの組み合わせは、表1に列挙された任意の12個の遺伝子シグネチャーセットの1種以上の遺伝子を含む組み合わせを含むか、又はそれからなる。いくつかの実施態様において、12個の特定の遺伝子シグネチャーセットの組み合わせは、表1に列挙された任意の12個の遺伝子シグネチャーセットのすべての遺伝子を含む組み合わせを含むか、又はそれからなる。
【0125】
別の実施態様において、13個の特定の遺伝子シグネチャーセットにおける細胞遺伝子シグネチャー中の1種以上の遺伝子の発現レベルが決定される。いくつかの実施態様において、13個の特定の遺伝子シグネチャーセットの組み合わせは、表1に列挙された任意の13個の遺伝子シグネチャーセットの1種以上の遺伝子を含む組み合わせを含むか、又はそれからなる。いくつかの実施態様において、13個の特定の遺伝子シグネチャーセットの組み合わせは、表1に列挙された任意の13個の遺伝子シグネチャーセットのすべての遺伝子を含む組み合わせを含むか、又はそれからなる。
【0126】
別の実施態様において、14個の特定の遺伝子シグネチャーセットにおける細胞遺伝子シグネチャー中の1種以上の遺伝子の発現レベルが決定される。いくつかの実施態様において、14個の特定の遺伝子シグネチャーセットの組み合わせは、表1に列挙された任意の14個の遺伝子シグネチャーセットの1種以上の遺伝子を含む組み合わせを含むか、又はそれからなる。いくつかの実施態様において、14個の特定の遺伝子シグネチャーセットの組み合わせは、表1に列挙された任意の14個の遺伝子シグネチャーセットのすべての遺伝子を含む組み合わせを含むか、又はそれからなる。
【0127】
別の実施態様において、15個の特定の遺伝子シグネチャーセットにおける細胞遺伝子シグネチャー中の1種以上の遺伝子の発現レベルが決定される。いくつかの実施態様において、15個の特定の遺伝子シグネチャーセットの組み合わせは、表1に列挙された任意の15個の遺伝子シグネチャーセットの1種以上の遺伝子を含む組み合わせを含むか、又はそれからなる。いくつかの実施態様において、15個の特定の遺伝子シグネチャーセットの組み合わせは、表1に列挙された任意の15個の遺伝子シグネチャーセットのすべての遺伝子を含む組み合わせを含むか、又はそれからなる。
【0128】
別の実施態様において、16個の特定の遺伝子シグネチャーセットにおける細胞遺伝子シグネチャー中の1種以上の遺伝子の発現レベルが決定される。いくつかの実施態様において、16個の特定の遺伝子シグネチャーセットの組み合わせは、表1に列挙された任意の16個の遺伝子シグネチャーセットの1種以上の遺伝子を含む組み合わせを含むか、又はそれからなる。いくつかの実施態様において、16個の特定の遺伝子シグネチャーセットの組み合わせは、表1に列挙された任意の16個の遺伝子シグネチャーセットのすべての遺伝子を含む組み合わせを含むか、又はそれからなる。
【0129】
別の実施態様において、17個の特定の遺伝子シグネチャーセットにおける細胞遺伝子シグネチャー中の1種以上の遺伝子の発現レベルが決定される。いくつかの実施態様において、17個の特定の遺伝子シグネチャーセットの組み合わせは、表1に列挙された任意の17個の遺伝子シグネチャーセットの1種以上の遺伝子を含む組み合わせを含むか、又はそれからなる。いくつかの実施態様において、17個の特定の遺伝子シグネチャーセットの組み合わせは、表1に列挙された任意の17個の遺伝子シグネチャーセットのすべての遺伝子を含む組み合わせを含むか、又はそれからなる。
【0130】
1つの実施態様において、本明細書に提供される方法は、表1に記載の遺伝子の任意の組み合わせ又は遺伝子シグネチャーの任意の組み合わせを使用して行われる。別の実施態様において、本明細書に提供される方法は、表1に記載の17個の遺伝子シグネチャーの任意の1つ以上の任意の組み合わせ又は並べ替え(任意の順序で)を使用して行われる。別の実施態様において、本明細書に提供される方法は、表1に記載の17個の遺伝子シグネチャーの任意の組み合わせ又は並べ替え(任意の順序で)を使用して行われる。別の実施態様において、本明細書に提供される方法は、表1に記載の17個の遺伝子シグネチャーの任意の1種以上の遺伝子の任意の組み合わせ又は並べ替え(任意の順序で)を使用して行われる。別の実施態様において、本明細書に提供される方法は、表1に記載の17個の遺伝子シグネチャーの任意の1種以上の任意の1種以上の遺伝子の任意の組み合わせ又は並べ替え(任意の順序で)を使用して行われる。別の実施態様において、本明細書に提供される方法は、表1に記載の17個の遺伝子シグネチャーの任意の1種以上におけるすべての遺伝子の任意の組み合わせ又は並べ替え(任意の順序で)を使用して行われる。別の実施態様において、本明細書に提供される方法は、表1に記載の17個の遺伝子シグネチャーすべてにおけるすべての遺伝子の任意の組み合わせ又は並べ替え(任意の順序で)を使用して行われる。
【0131】
1つの具体的な実施態様において、本明細書に開示されるシグネチャー(a)~(q)の少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、又は少なくとも17個における少なくとも1種の遺伝子の発現レベルが、患者から得られた生物学的試料において決定される。典型的な実施態様において、本明細書に開示されるシグネチャー(a)~(q)の少なくとも1個における少なくとも2種の遺伝子の発現レベルが、患者から得られた生物学的試料において決定される。別の実施態様において、本明細書に開示されるシグネチャー(a)~(q)の少なくとも1つにおける少なくとも3つの遺伝子の発現レベルが、患者から得られた生物学的試料において決定される。別の実施態様において、本明細書に開示されるシグネチャー(a)~(q)の少なくとも1個における各遺伝子の発現レベルが、患者から得られた生物学的試料において決定される。別の実施態様において、本明細書に開示されるシグネチャー(a)~(q)の少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、又は少なくとも17個における少なくとも1種の遺伝子の発現レベルが、患者から得られた生物学的試料において決定される。別の実施態様において、本明細書に開示されるシグネチャー(a)~(q)のそれぞれにおける少なくとも1種の遺伝子の発現レベルが、患者から得られた生物学的試料において決定される。
【0132】
1つの実施態様において、本明細書に開示されるシグネチャー(a)~(q)のそれぞれにおける各遺伝子の発現レベルが、患者から得られた生物学的試料において決定される。1つの実施態様において、本明細書に開示されるシグネチャー(a)~(q)のそれぞれにおける少なくとも1種の遺伝子の発現レベルが、患者から得られた生物学的試料において決定される。他の実施態様において、MKI67、CEP55、KIF2C、MELK、CENPF、EXO1、ANLN、RRM2、UBE2C、CCNB1、又はCDC20の1種以上の発現レベルが、患者から得られた生物学的試料において決定される。いくつかの実施態様において、FAP、COL6A3、ADAM12、OLFML2B、PDGFRB、又はLRRC32の1種以上の発現レベルが、患者から得られた生物学的試料において決定される。いくつかの実施態様において、CXCL10、CXCR3、CX3CL1、PRF1、GZMK、GZMB、CD27、IL2RG、KLRK1、CTLA4、GZMH、CD3D、KLRB1、KLRD1、LCK、CD5、IRF4、CD8A、CD38、EOMES、GZMM、GNLY、IFITM1、IDO1、MS4A1、GZMA、CD2、CD3E、CD3G、CD40LG、CD6、CD7、CD79A、CD8B、CXCL11、CXCL13、CXCL9、HLA-DOB、IFNG、LAG3、LY9、PDCD1、TBX21、TIGIT、ZAP70、SLAMF7、CD96、PVR、STAT1、JAK1、JAK2、STAT2、IRF9、IGF2R、CD48、又はICOSの1種以上の発現レベルが、患者から得られた生物学的試料で決定される。いくつかの実施態様において、ITGAM、TLR4、IL1B、CSF1R、CSF3R、TLR2、TLR1、ITGAX、HCK、TLR8、SLC11A1、CD47、CD14、CLEC4E、CLEC7A、FCAR、FCN1、LILRA5、LILRB2、LYZ、NFAM1、P2RY13、S100A8、S100A9、SERPINA1、SIRPA、SIRPB2、TREM1、CLEC5A、CSF1、CYBB、FCGR1A、MARCO、NLRP3、FPR1、FPR3、CCL3、DAB2、OLR1、C5AR1、TREM2、MRC1、又はCEBPの1種以上の発現レベルが、患者から得られた生物学的試料で決定される。いくつかの実施態様において、BCL6B、CDH5、CLEC14A、CXorf36、EMCN、FAM124B、KDR、MMRN2、MYCT1、PALMD、ROBO4、SHE、TEK、又はTIE1の1種以上の発現レベルが、患者から得られた生物学的試料において決定される。いくつかの実施態様において、B2M、TAP1、TAP2、TAPBP、HLA-A、HLA-B、又はHLA-Cの1種以上の発現レベルが、患者から得られた生物学的試料において決定される。いくつかの実施態様において、HLA-DRB5、HLA-DPA1、HLA-DPB1、HLA-DQB1、HLA-DRA、HLA-DRB1、HLA-DMA、又はHLA-DOAの1種以上の発現レベルが、患者から得られた生物学的試料において決定される。いくつかの実施態様において、STAT1、CXCL9、CXCL10、又はCXCL11の1種以上の発現レベルが、患者から得られた生物学的試料において決定される。いくつかの実施態様において、GZMA、GZMB、GZMH、PRF1、又はGNLYの1種以上の発現レベルが、患者から得られた生物学的試料において決定される。いくつかの実施態様において、PSMB8、PSMB9、又はPSMB10の1種以上の発現レベルが、患者から得られた生物学的試料において決定される。いくつかの実施態様において、AXIN1、BAD、BAX、BBC3、又はBCL2L1の1種以上の発現レベルが、患者から得られた生物学的試料において決定される。いくつかの実施態様において、CCL2、CCL3、CCL4、CCL7、又はCCL8の1種以上の発現レベルが、患者から得られた生物学的試料において決定される。いくつかの実施態様において、BNIP3、SLC2A1、PGK1、BNIP3L、P4HA1、ADM、PDK1、ALDOC、PLOD2、P4HA2、又はMXI1の1種以上の発現レベルが、患者から得られた生物学的試料において決定される。いくつかの実施態様において、MAGEA3、MAGEA6、MAGEA1、MAGEA12、MAGEA4、MAGEB2、MAGEC2、又はMAGEC1の1種以上の発現レベルが、患者から得られた生物学的試料において決定される。いくつかの実施態様において、AKT1、HIF1A、SLC2A1、HK2、TPI1、ENO1、LDHA、PFKFB3、PFKM、GOT1、GOT2、GLUD1、又はHK1の1種以上の発現レベルが、患者から得られた生物学的試料において決定される。いくつかの実施態様において、IFI16、IFI27、IFI35、IFIH1、IFIT1、IFIT2、IFITM1、IFITM2、IRF1、APOL6、TMEM140、PARP9、TRIM21、GBP1、DTX3L、PSMB9、OAS1、OAS2、ISG15、MX1、IFI6、IFIT3、IRF9、又はSTAT2の1種以上の発現レベルが、患者から得られた生物学的試料で決定される。いくつかの実施態様において、CXCL1、CXCL3、CXCL2、CCL20、AREG、FOSL1、CSF3、PTGS2、IER3、又はIL6の1種以上の発現レベルが、患者から得られた生物学的試料において決定される。
【0133】
1つの実施態様において、表1に記載された1種以上の遺伝子の発現レベルは、癌又は状態又は疾患などの本明細書に記載の生物学的プロセスに関連している。別の実施態様において、表1に記載された細胞遺伝子シグネチャーの少なくとも1つにおける1種以上の遺伝子の発現レベルは、生物学的試料が得られた患者の生物学的プロセスと相関している。いくつかの実施態様において、表1に記載された少なくともリンパ系細胞遺伝子シグネチャーに列挙された1種以上の遺伝子の発現レベルは、生物学的試料中のリンパ系細胞の存在又は存在量と相関している。いくつかの実施態様において、表1に記載された少なくとも骨髄系細胞遺伝子シグネチャーに列挙された1種以上の遺伝子の発現レベルは、生物学的試料中の骨髄系細胞の存在又は存在量と相関している。いくつかの実施態様において、表1に記載された少なくとも細胞増殖遺伝子シグネチャーに列挙された1種以上の遺伝子の発現レベルは、細胞増殖と相関している。いくつかの実施態様において、表1に記載された少なくともリンパ系細胞遺伝子シグネチャーに列挙された1種以上の遺伝子の発現レベルは、生物学的試料中のB細胞の存在又は存在量と相関している。いくつかの実施態様において、表1に記載された少なくともリンパ系細胞遺伝子シグネチャーに列挙された1種以上の遺伝子の発現レベルは、生物学的試料中のナチュラルキラー細胞の存在又は存在量と相関している。いくつかの実施態様において、表1に記載された少なくともリンパ系細胞遺伝子シグネチャーに列挙された1種以上の遺伝子の発現レベルは、生物学的試料中の同時刺激リガンドの存在又は存在量と相関している。いくつかの実施態様において、表1に記載された少なくともリンパ系細胞遺伝子シグネチャーに列挙された1種以上の遺伝子の発現レベルは、生物学的試料中の同時刺激受容体の存在又は存在量と相関している。いくつかの実施態様において、表1に記載された少なくともリンパ系細胞遺伝子シグネチャーに列挙された1種以上の遺伝子の発現レベルは、生物学的試料中のT細胞の存在又は存在量と相関している。いくつかの実施態様において、表1に記載された少なくとも骨髄系細胞遺伝子シグネチャーに列挙された1種以上の遺伝子の発現レベルは、生物学的試料中のマクロファージ細胞の存在又は存在量と相関している。
【0134】
いくつかの実施態様において、表1に記載された少なくとも骨髄系細胞遺伝子シグネチャーに列挙された1種以上の遺伝子の発現レベルは、生物学的試料中のM2マクロファージ細胞の存在又は存在量と相関している。いくつかの実施態様において、表1に記載された少なくとも骨髄系細胞遺伝子シグネチャー、骨髄系炎症遺伝子シグネチャー、又は炎症性ケモカイン遺伝子シグネチャーに列挙された1種以上の遺伝子の発現レベルは、生物学的試料中の炎症性細胞の存在又は存在量と相関している。いくつかの実施態様において、表1に記載された少なくとも骨髄系細胞遺伝子シグネチャー又はリンパ球系細胞遺伝子シグネチャーに列挙された1種以上の遺伝子の発現レベルは、生物学的試料中のT細胞免疫遮断薬の存在と相関している。いくつかの実施態様において、表1に記載された少なくとも骨髄系細胞遺伝子シグネチャー又はリンパ系細胞遺伝子シグネチャーに列挙された1種以上の遺伝子の発現レベルは、生物学的試料中の抗原提示細胞(APC)免疫遮断薬の存在と相関している。いくつかの実施態様において、表1に記載された少なくともインターフェロンガンマ遺伝子シグネチャー又はリンパ系細胞遺伝子シグネチャーに列挙された1種以上の遺伝子の発現レベルは、T細胞走化性と相関している。いくつかの実施態様において、表1に記載された少なくとも抗原プロセシング機構(APM)細胞又は免疫プロテオソーム遺伝子シグネチャーに列挙された1種以上の遺伝子の発現レベルは、生物学的試料中の抗原プロセシングの存在と相関している。いくつかの実施態様において、表1に記載された少なくとも細胞障害性細胞遺伝子シグネチャーに列挙された1種以上の遺伝子の発現レベルは、生物学的試料中の細胞溶解細胞の細胞溶解活性及び/又は存在又は存在量と相関している。いくつかの実施態様において、表1に記載された少なくとも間質細胞遺伝子シグネチャーに列挙された1種以上の遺伝子の発現レベルは、生物学的試料中の活性線維芽細胞の存在又は存在量と相関している。いくつかの実施態様において、表1に記載された少なくともMAGE遺伝子シグネチャーに列挙された1種以上の遺伝子の発現レベルは、生物学的試料中の腫瘍進行の存在又は存在量と相関している。いくつかの実施態様において、少なくともインターフェロンガンマ遺伝子シグネチャーに列挙された1種以上の遺伝子の発現レベルは、T細胞走化性と相関している。いくつかの実施態様において、表1に記載された少なくともアポトーシス遺伝子シグネチャーに列挙された1種以上の遺伝子の発現レベルは、生物学的試料中のアポトーシスを受けている細胞の存在又は存在量と相関している。いくつかの実施態様において、表1に記載された少なくとも低酸素又は解糖活性遺伝子シグネチャーに列挙された1種以上の遺伝子の発現レベルは、血管新生を開始し細胞代謝を調節して生物学的試料中の低酸素を克服する細胞の存在又は存在量と相関する。いくつかの実施態様において、表1に記載された少なくともインターフェロン下流遺伝子シグネチャーに列挙された1種以上の遺伝子の発現レベルは、生物学的試料中のインターフェロンを分泌する細胞の存在又は存在量と相関している。
【0135】
本明細書に開示される方法による、癌、状態、又は疾患に対する生物学的試料中の測定された相関は、生物学的試料が患者において得られた供給源に直接適用可能であることを理解されたい。例えば、少なくとも1種以上の遺伝子シグネチャー(表1から)からの1種以上の遺伝子又はバイオマーカーの発現が、腫瘍又は腫瘍微小環境から得られた生物学的試料において明確に同定された場合、生物学的試料が得られた腫瘍又は腫瘍微小環境における少なくとも1種以上の遺伝子シグネチャーからの1種以上の遺伝子又はバイオマーカーの発現に関して、同じ相関関係を作ることができる。
【0136】
1つの実施態様において、MKI67、CEP55、KIF2C、MELK、CENPF、EXO1、ANLN、RRM2、UBE2C、CCNB1、又はCDC20の1種以上の発現レベルは、腫瘍増殖と相関している。別の実施態様において、FAP、COL6A3、ADAM12、OLFML2B、PDGFRB、又はLRRC32の1種以上の発現レベルは、生物学的試料の間質成分と相関している。別の実施態様において、CXCL10、CXCR3、CX3CL1、PRF1、GZMK、GZMB、CD27、IL2RG、KLRK1、CTLA4、GZMH、CD3D、KLRB1、KLRD1、LCK、CD5、IRF4、CD8A、CD38、EOMES、GZMM、GNLY、IFITM1、IDO1、MS4A1、GZMA、CD2、CD3E、CD3G、CD40LG、CD6、CD7、CD79A、CD8B、CXCL11、CXCL13、CXCL9、HLA-DOB、IFNG、LAG3、LY9、PDCD1、TBX21、TIGIT、ZAP70、SLAMF7、CD96、PVR、STAT1、JAK1、JAK2、STAT2、IRF9、IGF2R、CD48、又はICOSの1種以上の発現レベルは、生物学的試料中のリンパ系の存在量及び活性と相関している。別の実施態様において、ITGAM、TLR4、IL1B、CSF1R、CSF3R、TLR2、TLR1、ITGAX、HCK、TLR8、SLC11A1、CD47、CD14、CLEC4E、CLEC7A、FCAR、FCN1、LILRA5、LILRB2、LYZ、NFAM1、P2RY13、S100A8、S100A9、SERPINA1、SIRPA、SIRPB2、TREM1、CLEC5A、CSF1、CYBB、FCGR1A、MARCO、NLRP3、FPR1、FPR3、CCL3、DAB2、OLR1、C5AR1、TREM2、MRC1、又はCEBPの1種以上の発現レベルは、生物学的試料中の骨髄系の存在量及び活性と相関している。別の実施態様において、BCL6B、CDH5、CLEC14A、CXorf36、EMCN、FAM124B、KDR、MMRN2、MYCT1、PALMD、ROBO4、SHE、TEK、又はTIE1の1種以上の発現レベルは、生物学的試料中の内皮細胞の存在量と相関している。別の実施態様において、B2M、TAP1、TAP2、TAPBP、HLA-A、HLA-B、又はHLA-Cの1種以上の発現レベルは、腫瘍中の抗原提示及び/又はプロセシングと相関している。別の実施態様において、HLA-DRB5、HLA-DPA1、HLA-DPB1、HLA-DQB1、HLA-DRA、HLA-DRB1、HLA-DMA、又はHLA-DOAの1種以上の発現レベルは、生物学的試料中のクラスII抗原提示の量と相関している。別の実施態様において、STAT1、CXCL9、CXCL10、又はCXCL11の1種以上の発現レベルは、生物学的試料中のインターフェロンガンマのシグナル伝達と相関している。別の実施態様において、GZMA、GZMB、GZMH、PRF1、又はGNLYの1種以上の発現レベルは、生物学的試料中の細胞障害活性の量と相関している。別の実施態様において、PSMB8、PSMB9、又はPSMB10の1種以上の発現レベルは、生物学的試料中のプロテアソーム活性と相関している。別の実施態様において、AXIN1、BAD、BAX、BBC3、又はBCL2L1の1種以上の発現レベルは、生物学的試料中のアポトーシスと相関している。別の実施態様において、CCL2、CCL3、CCL4、CCL7、又はCCL8の1種以上の発現レベルは、骨髄系及びリンパ系細胞を生物学的試料に動員するシグナル伝達と相関している。別の実施態様において、BNIP3、SLC2A1、PGK1、BNIP3L、P4HA1、ADM、PDK1、ALDOC、PLOD2、P4HA2、又はMXI1の1種以上の発現レベルは、生物学的試料中の低酸素と相関している。別の実施態様において、MAGEA3、MAGEA6、MAGEA1、MAGEA12、MAGEA4、MAGEB2、MAGEC2、又はMAGEC1の1種以上の発現レベルは、生物学的試料中の黒色腫関連抗原の存在と相関している。別の実施態様において、AKT1、HIF1A、SLC2A1、HK2、TPI1、ENO1、LDHA、PFKFB3、PFKM、GOT1、GOT2、GLUD1、又はHK1の1種以上の発現レベルは、生物学的試料中の解糖と相関している。別の実施態様において、IFI16、IFI27、IFI35、IFIH1、IFIT1、IFIT2、IFITM1、IFITM2、IRF1、APOL6、TMEM140、PARP9、TRIM21、GBP1、DTX3L、PSMB9、OAS1、OAS2、ISG15、MX1、IFI6、IFIT3、IRF9、又はSTAT2の1種以上の発現レベルは、生体試料中のインターフェロンへの応答と相関している。別の実施態様において、CXCL1、CXCL3、CXCL2、CCL20、AREG、FOSL1、CSF3、PTGS2、IER3、又はIL6の1種以上の発現レベルは、生物学的試料中の骨髄由来サイトカイン及びケモカインの存在と相関している。
【0137】
任意選択的に、本方法は、遺伝子セット間の1種以上の細胞遺伝子シグネチャーの発現レベルの比を決定して、免疫療法による処置のための癌患者を、又は特定の免疫療法から利益を得る可能性がある癌患者をさらに同定することを含む。例えば、細胞障害活性遺伝子セット中の1種以上の細胞遺伝子シグネチャー(例えば、GZMA、GZMB、GZMH、PRF1、又はGNLYの1つ以上)の発現レベルの比を、任意の腫瘍増殖セット中の1種以上の細胞遺伝子シグネチャー(例えば、MKI67、CEP55、KIF2C、MELK、CENPF、EXO1、ANLN、RRM2、UBE2C、CCNB1、又はCDC20の1つ以上)の発現レベルと比較して、患者を免疫療法で治療する必要があるかどうか、又は特定の免疫療法から利益を得る可能性があるかどうかを決定することができる。他の実施態様において、本方法は、癌患者(例えば、副腎皮質癌、膀胱尿路上皮癌、乳房浸潤癌、頸部扁平上皮癌、子宮頸部腺癌、胆管癌、結腸腺癌、リンパ系新生物びまん性大型B細胞リンパ腫、食道癌、多形性神経膠芽細胞腫、頭頸部扁平上皮癌、嫌色素性腎癌、腎明細胞癌、腎乳頭細胞癌、急性骨髄性白血病、脳低悪性度神経膠腫、肝細胞癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、中皮腫、卵巣漿液性嚢胞腺癌、膵臓腺癌、クロム親和性細胞腫、傍神経節腫、前立腺腺癌、直腸腺癌、肉腫、皮膚黒色腫、胃腺癌、精巣生殖細胞腫瘍、甲状腺癌、胸腺腫、子宮癌肉腫、ぶどう膜黒色腫、乳癌、肺癌、リンパ腫、黒色腫、肝臓癌、結腸直腸癌、卵巣癌、膀胱癌、腎癌、又は胃癌、神経内分泌癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞肺癌、甲状腺癌、子宮内膜癌、胆道癌、食道癌、肛門癌、唾液腺癌、外陰癌、又は子宮頸癌)からの試料中の、免疫細胞サブタイプの存在の比率(例えば、Teff対Treg、Teff対B細胞、Teff対NK細胞、Teff対IB T細胞、Teff対免疫遮断APC、Teff対炎症性細胞)を決定することを含む。
【0138】
細胞遺伝子シグネチャーの発現レベルは、免疫細胞遺伝子シグネチャー(例えば、表1のリンパ系、細胞障害性、MHC2、又はインターフェロンガンマ遺伝子シグネチャー)に特異的な抗体を使用する免疫組織化学的(「IHC」)方法を含む、患者試料中の特定のタンパク質レベルの測定に適した当技術分野で知られている任意の方法によって評価することができ。そのような方法は周知であり、当技術分野で日常的に行われており、対応する市販の抗体及び/又はキットが容易に入手可能である。1つの実施態様において、本発明のマーカー/指標タンパク質の発現レベルは、抗体又はキット製造業者の試薬及び/又はプロトコール推奨を使用して評価される。当業者はまた、IHC法によって本明細書に開示される細胞遺伝子シグネチャーの発現レベルを決定するためのさらなる手段を知っているであろう。
【0139】
1つの実施態様において、細胞遺伝子シグネチャーの発現レベルは、NanoString Technologies(登録商標)からのnCounter(登録商標)システム及び方法(US2003/0013091、US2007/0166708、US2010/0015607、US2010/0261026、US2010/0262374、US2010/0112710、US2010/0047924、US2014/0371088、US2011/0086774、及びWO2017/015099に記載されている)を、標的タンパク質及び/又は標的核酸を同定するための好ましい手段として使用することによって評価され得る。NanoString Technologies(登録商標)からのnCounterカウンタ(登録商標)システム及び方法により、複数(800以上)の異なる標的タンパク質及び/又は標的核酸の同時多重同定が可能になる。
【0140】
一緒に、第1の目的の領域(例えば、組織タイプ、細胞タイプ(正常及び異常細胞を含む)、及び細胞内の部分細胞構造)に存在する標的タンパク質及び/又は標的核酸の本体と存在量、及び第2の目的の領域又はより多くの目的の領域に存在する標的タンパク質及び/又は標的核酸の本体と存在量の比較を行うことができる。
【0141】
nCounter(登録商標)デジタル多重免疫組織化学(IHC)アッセイ(WO2017/015099を参照)は、集束されたスルーオブジェクティブUV(例えば、約365nm)露光を使用して組織の個別の領域から放出される光切断可能なオリゴヌクレオチドタグに結合された抗体に、依存する。切断されたタグはnCounter(登録商標)アッセイで定量され、カウントは組織の位置に返されて、タンパク質の存在量の空間的に分解されたデジタルプロフィールが得られる。タンパク質検出は、光切断可能なオリゴヌクレオチドタグを含む核酸プローブを使用する核酸検出アッセイと一緒に、又はそれとは別に行うことができる。従って、このアッセイは、タンパク質の存在量の空間的に分解されたデジタルプロフィール、タンパク質及び核酸の存在量の空間的に分解されたデジタルプロフィール、又は核酸の存在量の空間的に分解されたデジタルプロフィールを提供することができる。
【0142】
このアッセイの利点には、特に限定されるものではないが、高感度(例えば、約1~4個の細胞)、広いダイナミックレンジ(>105)を備えたすべてのデジタルカウント、高度に多重化された(例えば、30個の標的から、機器の変更なしで、800個の標的までスケールアップ可能)、シンプルなワークフロー、FFPEとの互換性、2次抗体(タンパク質検出用)や増幅試薬なし、及び臨床アッセイの可能性が含まれる。
【0143】
従って、本発明の1種以上のバイオマーカー/指標の発現レベルは、過度の負担なしに当業者によって日常的かつ再現可能に決定することができる。しかしながら、正確で再現性のある結果を確実にするために、本発明はまた、試験手順の検証を確実にすることができる専用の実験室での患者試料の試験も包含する。
【0144】
さらに、本発明の1種以上のバイオマーカー/指標の発現レベルは、任意の賢明な方法を使用して標準化することができる。例えば、表1の遺伝子シグネチャーのいずれかにおける遺伝子の発現レベルは、ハウスキーピング遺伝子に対して標準化され得る。有用なハウスキーピング遺伝子には、そのABCF1、NRDE2、G6PD、OAZ1、POLR2A、SDHA、STK11IP、TBC1D10B、TBP、UBB、及びZBTB34サブセットの組み合わせが含まれる。表1の遺伝子シグネチャーのいずれかの遺伝子の発現レベルを標準化できるハウスキーピング遺伝子の有用なサブセットは、ABCF1、NRDE2、G6PD、OAZ1、POLR2A、SDHA、STK11IP、TBC1D10B、TBP、及びUBBである。
【0145】
好ましくは、細胞遺伝子シグネチャーの発現レベルは、癌細胞を含むか又は含むことが疑われる生物学的試料において評価される。試料は、例えば、癌(例えば、膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、肝臓癌、黒色腫、肺癌(例えば非小細胞肺癌)、卵巣癌、又は腎細胞癌))に罹患しているか、罹患している疑いがあるか、又は罹患していると診断された患者から得られた組織切除物、組織生検、又は転移性病変であり得る。好ましくは、試料は、組織の試料、腫瘍の切除物又は生検試料、既知の又は疑われる転移性癌病変又は切片、又は循環性癌細胞を含むことが知られているか又は疑われる血液試料、例えば末梢血試料である。試料は、癌細胞(すなわち腫瘍細胞)と非癌性細胞の両方を含むことができ、特定の実施態様において、癌性細胞と非癌性細胞の両方を含む。間質成分中の遺伝子発現の決定を含む本発明の実施態様において、試料は、癌/腫瘍細胞、及び例えば癌/腫瘍細胞に関連する非癌性細胞(例えば、腫瘍関連線維芽細胞、内皮細胞、ペリサイト、細胞外マトリックス、及び/又はさまざまなクラスの白血球)の両方を含む。他の実施態様において、当業者、例えば病理医は、癌細胞を非癌性細胞(例えば間質細胞、内皮細胞)から容易に識別することができる。組織切除物、生検、及び体液を含む生物学的試料、例えば癌/腫瘍細胞を含む血液試料を取得する方法は、当技術分野でよく知られている。いくつかの実施態様において、患者から得られた試料は採取後、免疫療法又は他の処置レジメン若しくは治療法、例えば癌の治療又はその症状の管理若しくは改善のための化学療法又は放射線療法が開始される。従っていくつかの実施態様において、試料は採取後、免疫療法剤又は他の薬剤の投与、又は免疫療法又は他の処置レジメンが開始される。
【0146】
ウエスタンブロッティング及びELISAベースの検出などの、1種以上の細胞遺伝子シグネチャーの発現レベルを評価するための免疫組織化学的方法もまた、本発明の方法において使用され得る。当技術分野で理解されているように、本発明のバイオマーカー/指標タンパク質の発現レベルはまた、mRNAレベルで、当技術分野で知られている任意の適切な方法、例えばノーザンブロッティング、リアルタイムPCR、及びRTPCRによって評価され得る。免疫組織化学的及びmRNAベースの検出方法及びシステムは当技術分野でよく知られており、Lottspeich (Bioanalytik, Spektrum Akademisher Verlag, 1998) 又は Sambrook and Russell (Molecular Cloning: A Laboratory Manual, CSH Press, Cold Spring Harbor, N.Y., U.S.A., 2001)などの標準的な教科書から推測することができる。記載された方法は、癌の進行期であると診断された集団で確立された対照レベルと比較して、患者又は患者の群における細胞遺伝子シグネチャーの発現レベルを決定するために、特に有用である。本明細書に記載の検出方法で使用するために、当業者は、本発明に含まれるポリペプチド又はオリゴヌクレオチドを標識する能力を有する。当技術分野で日常的に行われているように、mRNAレベルの検出に使用するためのハイブリダイゼーションプローブ及び/又はIHC法で使用するための抗体又は抗体断片は、当技術分野で知られている標準的な方法に従って標識及び視覚化することができる。一般的に使用されるシステムの非限定的な例には、放射性標識物、酵素標識物、蛍光タグ、ビオチン-アビジン複合体、化学発光などの使用が含まれる。
【0147】
表1に列挙された1種以上の細胞遺伝子シグネチャーの発現レベルはまた、免疫凝集、免疫沈降(例えば免疫拡散、免疫電気泳動、免疫固定)、ウエスタンブロッティング法(例えば、インサイチュ免疫組織化学、インサイチュ免疫細胞化学、親和性クロマトグラフィー、酵素イムノアッセイ)などを利用することによって、タンパク質レベルで決定することができる。精製されたポリペプチドの量はまた、物理的方法、例えば測光法によって決定することができる。混合物中の特定のポリペプチドを定量する方法は通常、例えば抗体の特異的結合に依存している。
【0148】
上記のように、本発明によるバイオマーカー/指標タンパク質の発現レベルはまた、細胞遺伝子シグネチャーをコードする対応する遺伝子の発現の上昇又は低下に反映され得る。従って、対応する遺伝子の発現を評価するために、翻訳前の遺伝子産物(例えば、スプライシングされた、スプライシングされていない、又は部分的にスプライシングされたmRNA)の定量的評価を行うことができる。当業者は、この文脈で使用される標準的な方法を知っているか、又は標準的な教科書(例えば、Sambrook, 2001)から、これらの方法を推測することができる。例えば、本明細書に記載の1種以上の細胞遺伝子シグネチャーをコードするmRNAのそれぞれの濃度/量に関する定量的データは、ノーザンブロット、リアルタイムPCRなどによって得ることができる。
【0149】
治療方法
【0150】
本発明は、癌、状態、又は疾患を有する患者に標的療法を施すための方法を提供し、ここで標的療法は、免疫療法、化学療法、細胞ベースの療法(例えばCAR-T細胞)、放射線、又は他のタイプの治療、又は当技術分野で利用可能なこれらの組み合わせであり得る。
【0151】
本発明はさらに、癌(例えば、副腎皮質癌、膀胱尿路上皮癌、乳房浸潤癌、頸部扁平上皮癌、子宮頸部腺癌、胆管癌、結腸腺癌、リンパ系新生物びまん性大型B細胞リンパ腫、食道癌、多形性神経膠芽細胞腫、頭頸部扁平上皮癌、嫌色素性腎癌、腎明細胞癌、腎乳頭細胞癌、急性骨髄性白血病、脳低悪性度神経膠腫、肝細胞癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、中皮腫、卵巣漿液性嚢胞腺癌、膵臓腺癌、クロム親和性細胞腫、傍神経節腫、前立腺腺癌、直腸腺癌、肉腫、皮膚黒色腫、胃腺癌、精巣生殖細胞腫瘍、甲状腺癌、胸腺腫、子宮癌肉腫、ぶどう膜黒色腫、乳癌、肺癌、リンパ腫、黒色腫、肝臓癌、結腸直腸癌、卵巣癌、膀胱癌、腎癌、又は胃癌、神経内分泌癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞肺癌、甲状腺癌、子宮内膜癌、胆道癌、食道癌、肛門癌、唾液腺癌、外陰癌、又は子宮頸癌)を有する患者が、本明細書に開示されるいずれかの遺伝子セットの1種以上の細胞遺伝子シグネチャーの発現レベルに変化があると判断された場合に、患者に活性化又は抑制免疫療法を施すための方法を提供する。1つの実施態様において、本発明の方法は、患者が治療に応答する可能性が高いことを患者に通知する工程を含む。別の実施態様において、本発明の方法は、特定の治療的処置を患者に推奨する工程を含む。他の実施態様において、本発明の方法は、患者が治療から利益を得ることができると判断された場合に、患者に治療を施す工程をさらに含む。
【0152】
1つの実施態様において、細胞障害性遺伝子セットにおける1種以上の細胞遺伝子シグネチャー(すなわち、GZMA、GZMB、GZMH、PRF1、GNLYの1種以上)の発現レベルの上昇がある場合、患者に活性化免疫療法が施される。他の実施態様において、細胞障害性遺伝子セットにおける1種以上の細胞遺伝子シグネチャー(すなわち、GZMA、GZMB、GZMH、PRF1、GNLYの1種以上)の発現レベルの減少がある場合、患者は抑制免疫療法を施される。他の実施態様において、リンパ系及び/又は細胞障害性遺伝子セットにおける1種以上の細胞遺伝子シグネチャーの発現レベルを決定することに加えて、表2~17に記載された遺伝子セットのいずれか1つの組み合わせにおける1種以上の細胞遺伝子シグネチャーの発現レベルは、特定の免疫療法レジメン(例えば、活性化免疫療法レジメン又は抑制免疫療法レジメン)を患者に施す前に、決定することができる。
【0153】
いくつかの実施態様において、活性化免疫療法は、GITR、OX40、TIM3、LAG3、KIR、CD28、CD137、CD27、CD40、CD70、CD276、ICOS、HVEM、NKG2D、NKG2A、MICA、2B4、又は41BBアゴニスト、又はこれらの組み合わせを含む。具体的な実施態様においてアゴニストは、癌を有する患者の免疫応答又は機能を増加、増強、又は刺激する。いくつかの実施態様においてアゴニストは、リガンド(例えば、T細胞受容体リガンド)の発現及び/又は活性を調節し、及び/又はリガンドとその免疫受容体との相互作用を増加又は刺激し、及び/又は免疫受容体へのリガンド結合によって媒介される細胞内シグナル伝達を増加又は刺激する。他の実施態様において、抑制免疫療法は、CTLA4、PD-1軸、TIM3、BTLA、VISTA、LAG3、B7H4、CD96、TIGIT、又はCD226アンタゴニスト、あるいはこれらの組み合わせを含む。具体的な実施態様においてアンタゴニストは、リガンド(例えばT細胞受容体リガンド)とその免疫受容体との相互作用を阻害及び/又は遮断する薬剤であるか、又はリガンド及び/又は受容体の発現及び/又は活性のアンタゴニストであるか、又はその免疫受容体を有するリガンド(例えばT細胞受容体リガンド)によって媒介される細胞内シグナル伝達を遮断する薬剤である。
【0154】
いくつかの実施態様において、本発明の方法は、活性化免疫療法(例えば、GITR、OX40、TIM3、LAG3、KIR、CD28、CD137、CD27、CD40、CD70、CD276、ICOS、HVEM、NKG2D、NKG2A、MICA、2B4、又は41BBアゴニスト、又はこれらの組み合わせ)、又は抑制免疫療法(例えば、CTLA-4、PD-1軸、TIM-3、BTLA、VISTA、LAG-3、B7H4、CD96、TIGIT、又はCD226アンタゴニスト、又はその組み合わせ)を、追加の治療とともに施すことをさらに含む。追加の治療は、放射線療法、外科手術、化学療法、遺伝子治療、DNA療法、ウイルス療法、RNA療法、骨髄移植、ナノ療法、モノクローナル抗体療法、又はこれらの組み合わせであり得る。追加の治療は、アジュバント療法又はネオアジュバント療法の形態であり得る。いくつかの実施態様において、追加の治療は、副作用制限剤(例えば、処置の副作用の発生及び/又は重症度を軽減することを目的とする薬剤、例えば抗悪心剤)の投与である。いくつかの実施態様において、追加の治療は放射線療法である。いくつかの実施態様において、追加の治療は外科手術である。いくつかの実施態様において、追加の治療は、上記に記載された化学療法剤の1種以上であり得る。例えば、これらの方法は、活性化免疫療法(例えば、GITR、OX40、TIM3、LAG3、KIR、CD28、CD137、CD27、CD40、CD70、CD276、ICOS、HVEM、NKG2D、NKG2A、MICA、2B4、又は41BBアゴニスト、又はこれらの組み合わせ)、又は抑制免疫療法(例えば、CTLA-4、PD-1軸、TIM-3、BTLA、VISTA、LAG-3、B7H4、CD96、TIGIT、又はCD226アンタゴニスト、又はこれらの組み合わせ)を、以下でさらに説明するように、1種以上の追加の化学療法剤(例えば、カルボプラチン及び/又はパクリタキセル)とともに施すことを含む。場合により1種以上の化学療法剤(例えば、カルボプラチン及び/又はパクリタキセル)と組み合わせた免疫療法は、好ましくは、無増悪生存期間(PFS)及び/又は全生存期間(OS)を含む生存期間を延長及び/又は改善する。1つの実施態様において、免疫療法は、処置されている癌に対して承認された抗腫瘍剤又は標準治療を施すことによって達成される生存よりも、少なくとも約20%長く生存を延長する。
【0155】
1つの追加の実施態様において、免疫療法は、チェックポイント阻害剤、キメラ抗原受容体T細胞療法、腫瘍溶解性ワクチン、サイトカインアゴニスト又はサイトカインアンタゴニスト、又はこれらの組み合わせ、又は当技術分野で利用可能な任意の他の免疫療法を含む。
【0156】
腫瘍溶解性ウイルス療法は、癌細胞に選択的に感染して死滅させる溶解性ウイルスの使用に関する。腫瘍溶解性ウイルスは、任意の腫瘍溶解性ウイルスであり得る。好ましくは、それは複製能力のあるウイルスであり、少なくとも標的腫瘍細胞において複製能力を有する。いくつかの実施態様において、腫瘍溶解性ウイルスは、腫瘍溶解性単純ヘルペスウイルス、腫瘍溶解性レオウイルス、腫瘍溶解性ワクシニアウイルス、腫瘍溶解性アデノウイルス、腫瘍溶解性ニューカッスル病ウイルス、腫瘍溶解性コクサッキーウイルス、腫瘍溶解性麻疹ウイルスの1つから選択される。腫瘍溶解性ウイルスは、好ましくは選択的な方法で癌細胞を溶解する(腫瘍溶解性)ウイルスである。非分裂細胞よりも分裂細胞で選択的に複製するウイルスは、しばしば腫瘍溶解性である。腫瘍溶解性ウイルスは当技術分野でよく知られており、Molecular Therapy Vol.18 No.2 Feb 2010 pg. 233-234の総説があり、WO2014/053852にも記載されている。
【0157】
活性化免疫療法は、チェックポイント阻害剤の使用をさらに含み得る。チェックポイント阻害剤は当技術分野で容易に入手可能であり、特に限定されるものではないが、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、PD-L2阻害剤、又はこれらの組み合わせが含まれる。
【0158】
さらに、本発明の方法に従って、それを必要とする患者に提供される免疫療法は、サイトカインアゴニスト又はサイトカインアンタゴニスト、すなわちインターフェロン、IL-2、GMCSF、IL-17E、IL-6、IL-1a、IL-12、TFGB2、IL-15、IL-3、IL-13、IL-2R、IL-21、IL-4R、IL-7、M-CSF、MIF、ミオスタチン、Il-10、Il-24、CEA、IL-11、IL-9、IL-15、IL-2Ra、TNF、又はこれらの組み合わせのアゴニスト又はアンタゴニストである、サイトカインアゴニスト又はアンタゴニストを提供することを含む。
【0159】
癌(例えば、本明細書に開示される癌)の予防又は治療のために、本明細書に開示されるアゴニスト(例えば、GITR、OX40、TIM3、LAG3、KIR、CD28、CD137、CD27、CD40、CD70、CD276、ICOS、HVEM、NKG2D、NKG2A、MICA、2B4、又は41BBアゴニスト、又はこれらの組み合わせ)、又はアンタゴニスト(例えば、CTLA-4、PD-1軸、TIM-3、BTLA、VISTA、LAG-3、B7H4、CD96、TIGIT、又はCD226アンタゴニスト、又はこれらの組み合わせ))の用量は、上記で定義されたように、治療される癌のタイプ、癌の重症度及び経過、抗体が予防目的又は治療目的で投与されるかどうか、以前の治療、患者の病歴と薬剤に対する応答、及び主治医の裁量に依存する。
【0160】
1つの実施態様において、固定用量のアゴニスト(例えば、GITR、OX40、TIM3、LAG3、KIR、CD28、CD137、CD27、CD40、CD70、CD276、ICOS、HVEM、NKG2D、NKG2A、MICA、2B4、又は41BBアゴニスト、又はこれらの組み合わせ)又はアンタゴニスト(例えば、CTLA-4、PD-1軸、TIM-3、BTLA、VISTA、LAG-3、B7H4、CD96、TIGIT、又はCD226アンタゴニスト、又はこれらの組み合わせ)が投与される。固定用量は、患者に、一度に又は一連の処置にわたって適切に投与され得る。固定用量が投与される場合、好ましくはそれは約20mg~約2000mgの範囲である。例えば固定用量は、約420mg、約525mg、約840mg、又は約1050mgのアゴニスト(例えば、CD28、OX40、GITR、CD137、CD27、ICOS、HVEM、NKG2D、MICA、又は2B4アゴニスト、又はこれらの組み合わせ)又はアンタゴニスト(例えば、CTLA-4、PD-1軸、TIM-3、BTLA、VISTA、LAG-3、B7H4、CD96、TIGIT、又はCD226アンタゴニスト、又はこれらの組み合わせ)でもよい。一連の用量が投与される場合、これらは、例えばほぼ毎週、約2週間ごと、約3週間ごと、又は約4週間ごとごとに投与され得るが、好ましくは約3週間ごとに投与される。固定用量は、例えば、疾患の進行、有害事象、又は医師によって決定される他の時間まで、投与され続けることができる。例えば、約2、3、又は4から、最大約17回以上、固定用量を投与することができる。
【0161】
1つの実施態様において、1つ以上の負荷用量のアゴニスト(例えば、GITR、OX40、TIM3、LAG3、KIR、CD28、CD137、CD27、CD40、CD70、CD276、ICOS、HVEM、NKG2D、NKG2A、MICA、2B4、又は41BBアゴニスト又はこれらの組み合わせ)又はアンタゴニスト(例えば、CTLA-4、PD-1軸、TIM-3、BTLA、VISTA、LAG-3、B7H4、CD96、TIGIT、又はCD226アンタゴニスト、又はこれらの組み合わせ)が投与され、続いて1つ以上の維持用量が投与される。別の実施態様において、複数回の同じ用量が患者に投与される。
【0162】
アゴニスト(例えば、GITR、OX40、TIM3、LAG3、KIR、CD28、CD137、CD27、CD40、CD70、CD276、ICOS、HVEM、NKG2D、NKG2A、MICA、2B4、又は41BBアゴニスト、又はこれらの組み合わせ)又はアンタゴニスト(例えば、CTLA-4、PD-1軸、TIM-3、BTLA、VISTA、LAG-3、B7H4、CD96、TIGIT、又はCD226アンタゴニスト、又はこれらの組み合わせ)は、単一の抗腫瘍剤として投与され得るが、患者は任意選択的に、アゴニスト(例えば、GITR、OX40、TIM3、LAG3、KIR、CD28、CD137、CD27、CD40、CD70、CD276、ICOS、HVEM、NKG2D、NKG2A、MICA、2B4、又は41BBアゴニスト、又はこれらの組み合わせ)又はアンタゴニスト(例えば、CTLA-4、PD-1軸、TIM-3、BTLA、VISTA、LAG-3、B7H4、CD96、TIGIT、又はCD226アンタゴニスト、又はこれらの組み合わせ)と、1つ以上の(追加の)化学療法剤との組合せで処置される。本明細書における例示的な化学療法剤には、ゲムシタビン、カルボプラチン、オキサリプラチン、イリノテカン、フルオロピリミジン(例えば5-FU)、パクリタキセル(例えばnab-パクリタキセル)、ドセタキセル、トポテカン、カペシタビン、テモゾロミド、インターフェロンアルファ、及び/又はリポソームドキソルビシン(例えばペグ化リポソームドキソルビシン)が含まれる。併用投与には、別々の製剤又は単一の医薬製剤を使用する同時投与又は共同投与、及びいずれかの順序での連続投与が含まれ、ここで好ましくは、両方(又はすべて)の活性剤が同時にそれらの生物活性を発揮する期間がある。従って化学療法剤は、アゴニスト(例えば、GITR、OX40、TIM3、LAG3、KIR、CD28、CD137、CD27、CD40、CD70、CD276、ICOS、HVEM、NKG2D、NKG2A、MICA、2B4、又は41BBアゴニスト、又はこれらの組み合わせ)又はアンタゴニスト(例えば、CTLA-4、PD-1軸、TIM-3、BTLA、VISTA、LAG-3、B7H4、CD96、TIGIT、又はCD226アンタゴニスト、又はこれらの組み合わせ)の投与の前又は後に、投与することができる。この実施態様において、化学療法剤の少なくとも1回の投与と、アゴニスト(例えば、GITR、OX40、TIM3、LAG3、KIR、CD28、CD137、CD27、CD40、CD70、CD276、ICOS、HVEM、NKG2D、NKG2A、MICA、2B4、又は41BBアゴニスト、又はこれらの組み合わせ)又はアンタゴニスト(例えば、CTLA-4、PD-1軸、TIM-3、BTLA、VISTA、LAG-3、B7H4、CD96、TIGIT、又はCD226アンタゴニスト、又はこれらの組み合わせ)の少なくとも1回の投与の間のタイミングは、好ましくは約1ヶ月以下(3週間、2週間、1週間、6日、5日、4日、3日、2日、1日)である。あるいは、化学療法剤と、アゴニスト(例えば、GITR、OX40、TIM3、LAG3、KIR、CD28、CD137、CD27、CD40、CD70、CD276、ICOS、HVEM、NKG2D、NKG2A、MICA、2B4、又は41BBアゴニスト、又はこれらの組み合わせ)又はアンタゴニスト(例えば、CTLA-4、PD-1軸、TIM-3、BTLA、VISTA、LAG-3、B7H4、CD96、TIGIT、又はCD226アンタゴニスト、又はこれらの組み合わせ)は、単一の製剤又は別々の製剤で、患者に同時に投与される。化学療法剤(例えば、カルボプラチン及び/又はパクリタキセル)と、アゴニスト(例えば、GITR、OX40、TIM3、LAG3、KIR、CD28、CD137、CD27、CD40、CD70、CD276、ICOS、HVEM、NKG2D、NKG2A、MICA、2B4、又は41BBアゴニスト、又はこれらの組み合わせ)又はアンタゴニスト(例えば、CTLA-4、PD-1軸、TIM-3、BTLA、VISTA、LAG-3、B7H4、CD96、TIGIT、又はCD226アンタゴニスト、又はこれらの組み合わせ)の組合せを用いる処置は、相乗的な、又は相加的よりも大きな治療的利益を、患者にもたらし得る。
【0163】
例えば卵巣癌の治療に、アゴニスト(例えば、GITR、OX40、TIM3、LAG3、KIR、CD28、CD137、CD27、CD40、CD70、CD276、ICOS、HVEM、NKG2D、NKG2A、MICA、2B4、又は41BBアゴニスト、又はこれらの組み合わせ)又はアンタゴニスト(例えば、CTLA-4、PD-1軸、TIM-3、BTLA、VISTA、LAG-3、B7H4、CD96、TIGIT、又はCD226アンタゴニスト、又はこれらの組み合わせ)と組み合わせるための特に望ましい化学療法剤には、白金化合物(例えばカルボプラチン)、タキソール、例えばパクリタキセル又はドセタキセル、トポテカン、又はリポソームドキソルビシンなどの化学療法剤が含まれる。
【0164】
例えば乳癌の治療に、アゴニスト(例えば、GITR、OX40、TIM3、LAG3、KIR、CD28、CD137、CD27、CD40、CD70、CD276、ICOS、HVEM、NKG2D、NKG2A、MICA、2B4、又は41BBアゴニスト、又はこれらの組み合わせ)又はアンタゴニスト(例えば、CTLA-4、PD-1軸、TIM-3、BTLA、VISTA、LAG-3、B7H4、CD96、TIGIT、又はCD226アンタゴニスト、又はこれらの組み合わせ)と組み合わせるための特に望ましい化学療法剤には、カペシタビン、及びタキソール、例えばパクリタキセル(例えばnab-パクリタキセル)又はドセタキセルなどの化学療法剤が含まれる。
【0165】
例えば結腸直腸癌の治療に、アゴニスト(例えば、GITR、OX40、TIM3、LAG3、KIR、CD28、CD137、CD27、CD40、CD70、CD276、ICOS、HVEM、NKG2D、NKG2A、MICA、2B4、又は41BBアゴニスト、又はこれらの組み合わせ)又はアンタゴニスト(例えば、CTLA-4、PD-1軸、TIM-3、BTLA、VISTA、LAG-3、B7H4、CD96、TIGIT、又はCD226アンタゴニスト、又はこれらの組み合わせ)と組み合わせるための特に望ましい化学療法剤には、フルオロピリミジン(例えば5-FU)、パクリタキセル、シスプラチン、トポテカン、イリノテカン、フルオロピリミジン-オキサリプラチン、フルオロピリミジン-イリノテカン、FOLFOX4(5-FU、レコボリン、オキサリプラチン)及びIFL(イリノテカン、5-FU、ロイコボリン)などの化学療法剤が含まれる。
【0166】
例えば腎細胞癌の治療に、アゴニスト(例えば、GITR、OX40、TIM3、LAG3、KIR、CD28、CD137、CD27、CD40、CD70、CD276、ICOS、HVEM、NKG2D、NKG2A、MICA、2B4、又は41BBアゴニスト、又はこれらの組み合わせ)又はアンタゴニスト(例えば、CTLA-4、PD-1軸、TIM-3、BTLA、VISTA、LAG-3、B7H4、CD96、TIGIT、又はCD226アンタゴニスト、又はこれらの組み合わせ)と組み合わせるための特に望ましい化学療法剤には、インターフェロン-アルファ2aなどの化学療法剤が含まれる。
【0167】
化学療法剤は、投与される場合、通常そのために知られている用量で投与されるか、又は、薬物の併用作用又は化学療法剤の投与に起因する負の副作用のために任意選択的に低下される。そのような化学療法剤の調製及び投与スケジュールは、製造業者の説明書に従って、又は熟練した医師によって経験的に決めらているように、使用することができる。化学療法剤がパクリタキセルである場合、それは、好ましくは約130mg/m2~200mg/m2(例えば約175mg/m2)の用量で、例えば3時間にわたって、3週間に1回投与される。化学療法剤がカルボプラチンである場合、それは好ましくは、患者の既存の腎機能又は腎機能と所望の血小板最低値に基づいてカルバート(Calvert)式を使用して、カルボプラチンの用量を計算することによって投与される。腎排泄は、カルボプラチンの主要な排泄経路である。体表面積に基づく経験的用量計算と比較して、この投与式の使用は、そうでなければ過少投与(平均以上の腎機能を有する患者において)又は過剰投与(腎機能障害を有する患者において)のいずれかをもたらす可能性のある治療前腎機能における患者の変動の補償を可能にする。単剤カルボプラチンを使用する4~6mg/mL/分の目標AUCは、以前治療を受けた患者に最も適切な用量範囲を提供するようである。アゴニスト(例えば、GITR、OX40、TIM3、LAG3、KIR、CD28、CD137、CD27、CD40、CD70、CD276、ICOS、HVEM、NKG2D、NKG2A、MICA、2B4、又は41BBアゴニスト、又はこれらの組み合わせ)又はアンタゴニスト(例えば、CTLA-4、PD-1軸、TIM-3、BTLA、VISTA、LAG-3、B7H4、CD96、TIGIT、又はCD226アンタゴニスト、又はこれらの組み合わせ)と化学療法剤とは別に、他の治療レジメンを組み合わせることができる。例えば、第2(第3、第4など)の化学療法剤を投与してもよく、ここで第2の化学療法剤は、代謝拮抗剤化学療法剤、又は代謝拮抗剤ではない化学療法剤である。例えば、第2の化学療法剤は、タキサン(パクリタキセル又はドセタキセルなど)、カペシタビン、又は白金ベースの化学療法剤(カルボプラチン、シスプラチン、又はオキサリプラチンなど)、アントラサイクリン(リポソームドキソルビシンを含むドキソルビシンなど)、トポテカン、ペメトレキセド、ビンカアルカロイド(ビノレルビンなど)、及びTLK286であり得る。
【0168】
異なる化学療法剤の「カクテル」を投与することができる。
【0169】
アゴニスト(例えば、GITR、OX40、TIM3、LAG3、KIR、CD28、CD137、CD27、CD40、CD70、CD276、ICOS、HVEM、NKG2D、NKG2A、MICA、2B4、又は41BBアゴニスト、又はこれらの組み合わせ)又はアンタゴニスト(例えば、CTLA-4、PD-1軸、TIM-3、BTLA、VISTA、LAG-3、B7H4、CD96、TIGIT、又はCD226アンタゴニスト、又はこれらの組み合わせ)、及び/又は化学療法剤と組合せることができる他の治療薬には、以下の任意の1種以上が含まれる:HER阻害剤、HER二量体化阻害剤(例えば、トラスツズマブなどの増殖阻害性HER2抗体、又は7C2、7F3などのHER2過剰発現細胞のアポトーシスを誘導するHER2抗体、又はそのヒト化変種);異なる腫瘍関連抗原に対する抗体、例えばEGFR、HER3、HER4;抗ホルモン化合物、例えばタモキシフェンなどの抗エストロゲン化合物、又はアロマターゼ阻害剤;心臓保護剤(治療に関連する心筋機能障害を予防又は軽減するため);サイトカイン;EGFRを標的とした薬剤(例えばTARCEVA(登録商標)、IRESSA(登録商標)、又はセツキシマブ);チロシンキナーゼ阻害剤;COX阻害剤(例えば、COX-1又はCOX-2阻害剤);非ステロイド性抗炎症薬、セレコキシブ(CELEBREX(登録商標));ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤(例えば、Johnson andJohnsonから入手可能なチピファルニブ/ZARNESTRA(登録商標)R115777、又はSchering-Ploughから入手可能なロナファルニブSCH66336);癌胎児性タンパク質CA125に結合する抗体、例えばオレゴボマブ(MoAb B43.13);HER2ワクチン(PharmexiaのHER2AutoVacワクチン、又はDendreonのAPC8024タンパク質ワクチン、又はGSK/CorixaのHER2ペプチドワクチン);別のHER標的療法(例えばトラスツズマブ、セツキシマブ、ABX-EGF、EMD7200、ゲフィチニブ、エルロチニブ、CP724714、CM033、GW572016、IMC-1 1 F8、TAK165など);Raf及び/又はras阻害剤(例えば、WO2003/86467を参照);ドキソルビシンHCIリポソーム注射(DOXIL(登録商標));トポテカンなどのトポイソメラーゼ1阻害剤;タキサン;ラパチニブ/GW572016などのHER2及びEGFR2重チロシンキナーゼ阻害剤;TLK286(TELCYTA(登録商標));EMD-7200;セロトニン拮抗薬、ステロイド、ベンゾジアゼピンなどの吐き気を治療する薬剤;局所又は経口抗生物質を含む、皮膚の発疹を予防又は治療する薬剤又は標準的なニキビ療法;下痢を治療又は予防する薬剤;体温低下薬、例えばアセトアミノフェン、ジフェンヒドラミン、又はメペリジン;造血成長因子など。
【0170】
上記の同時投与された薬剤のいずれかに適切な投与量は、現在使用されているものであり、薬剤と、アゴニスト(例えば、GITR、OX40、TIM3、LAG3、KIR、CD28、CD137、CD27、CD40、CD70、CD276、ICOS、HVEM、NKG2D、NKG2A、MICA、2B4、又は41BBアゴニスト、又はこれらの組み合わせ)又はアンタゴニスト(例えば、CTLA-4、PD-1軸、TIM-3、BTLA、VISTA、LAG-3、B7H4、CD96、TIGIT、又はCD226アンタゴニスト、又はこれらの組み合わせ)との併用作用(相乗作用)のために低下させることができる。上記の治療計画に加えて、患者は、腫瘍及び/又は癌細胞の外科的除去及び/又は放射線療法を受けることができる。
【0171】
アゴニスト(例えば、GITR、OX40、TIM3、LAG3、KIR、CD28、CD137、CD27、CD40、CD70、CD276、ICOS、HVEM、NKG2D、NKG2A、MICA、2B4、又は41BBアゴニスト、又はこれらの組み合わせ)又はアンタゴニスト(例えば、CTLA-4、PD-1軸、TIM-3、BTLA、VISTA、LAG-3、B7H4、CD96、TIGIT、又はCD226アンタゴニスト、又はこれらの組み合わせ)が抗体である場合、投与される抗体は好ましくは裸の抗体である。投与されるアゴニスト(例えば、GITR、OX40、TIM3、LAG3、KIR、CD28、CD137、CD27、CD40、CD70、CD276、ICOS、HVEM、NKG2D、NKG2A、MICA、2B4、又は41BBアゴニスト、又はこれらの組み合わせ)又はアンタゴニスト(例えば、CTLA-4、PD-1軸、TIM-3、BTLA、VISTA、LAG-3、B7H4、CD96、TIGIT、又はCD226アンタゴニスト、又はこれらの組み合わせ)は、細胞障害剤と結合され得る。好ましくは、結合体及び/又はそれが結合する抗原は細胞によって内在化され、それが結合する癌細胞を死滅させる際の結合体の治療効果の上昇をもたらす。好ましい実施態様において、細胞障害剤は、癌細胞内の核酸を標的とするか又は妨害する。そのような細胞障害剤の例には、メイタンシノイド、カリケアマイシン、リボヌクレアーゼ、及びDNAエンドヌクレアーゼが含まれる。
【0172】
アゴニスト(例えば、GITR、OX40、TIM3、LAG3、KIR、CD28、CD137、CD27、CD40、CD70、CD276、ICOS、HVEM、NKG2D、NKG2A、MICA、2B4、又は41BBアゴニスト、又はこれらの組み合わせ)又はアンタゴニスト(例えば、CTLA-4、PD-1軸、TIM-3、BTLA、VISTA、LAG-3、B7H4、CD96、TIGIT、又はCD226アンタゴニスト、又はこれらの組み合わせ)を、遺伝子治療によって投与することができる。例えば、細胞内抗体を生成するための遺伝子治療の使用に関して、1996年3月14日に公開されたWO96/07321を参照されたい。核酸(任意選択的にベクターに含まれる)を患者の細胞に取り込むには、インビボ及びエクスビボの2つの主要なアプローチがある。インビボ送達の場合、核酸は通常、抗体が必要とされる部位で、患者に直接注射される。エクスビボ処置の場合、患者の細胞が取り出され、これらの単離された細胞に核酸が導入され、修飾された細胞が、直接又は例えば患者に移植される多孔質膜内にカプセル化されて、患者に投与される(例えば、米国特許第4,892,538号及び第5,283,187号参照)。核酸を生細胞に導入するために利用できるさまざまな技術がある。その技術は、核酸がインビトロで培養細胞に移されるか、又は意図された宿主の細胞においてインビボで移されるかによって異なる。インビトロでの哺乳動物細胞への核酸の移入に適した技術には、リポソームの使用、電気穿孔法、微量注入法、細胞融合、DEAE-デキストラン、リン酸カルシウム沈殿法などが含まれる。遺伝子のエクスビボ送達に一般的に使用されるベクターは、レトロウイルスである。現在好ましいインビボ核酸導入技術には、ウイルスベクター(例えば、アデノウイルス、単純ヘルペスIウイルス、又はアデノ随伴ウイルス)及び脂質ベースのシステム(脂質を介した遺伝子の導入に有用な脂質は例えばDOTMA、DOPE、及びDC-Choiである)によるトランスフェクションが含まれる。状況によっては、標的細胞を標的とする薬剤、例えば細胞表面膜タンパク質又は標的細胞に特異的な抗体、標的細胞上の受容体のリガンドなどを、核酸源に提供することが望ましい。リポソームが使用される場合、標的化及び/又は取り込みの促進のために、エンドサイトーシスに関連する細胞表面膜タンパク質に結合するタンパク質、例えば、特定の細胞タイプに対して向性のキャプシドタンパク質又はその断片、サイクリング中に内在化を受けるタンパク質に対する抗体、及び細胞内局在を標的とし細胞内半減期を増強するタンパク質を、使用することができる。受容体媒介エンドサイトーシスの技術は、例えば、Wu et al., J. Biol. Chem. 262:44294432 (1 987); 及び Wagner et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:3410-3414 (1990)に記載されている。現在知られている遺伝子マーキング及び遺伝子治療プロトコールの総説については、Anderson et al., Science 256:808-813 (1992).またWO93/25673及びそこに引用されている参考文献も参照されたい。
【0173】
標的治療がそれを必要とする被験体に施される、アゴニスト又はアンタゴニストなどの本明細書に開示される標的治療である標的治療薬は、医薬的に許容し得る担体又は希釈剤を含む。標的治療薬は、経口又は非経口的に、例えば経皮的(例えばパッチ)、静脈内(注射)、腹腔内(注射)、皮下、及び局所的(注射)に投与することができる。
【0174】
キット
【0175】
本開示はキットを包含し、このキットは、各細胞遺伝子シグネチャーセットから生じる遺伝子又はタンパク質の発現レベルを決定するための、特に限定されるものではないが、アッセイ、プローブ、及び指示書(これらの使用に関する書面による指示)を含む。上記の成分は、実施される特定の試験に合わせて調整できる。キットは、必要なアッセイを実施するための、当技術分野で知られている適切な緩衝液及び試薬をさらに含むことができる。
【0176】
上記の態様及び実施態様のいずれも、本明細書の要約及び/又は詳細な説明のセクションに開示されているように、他の任意の態様又は実施態様と組み合わせることができる。
【0177】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施態様をより完全に説明するために提示されている。しかしながら、それらは決して本発明の広い範囲を制限するものとして解釈されるべきではない。
【0178】
実施例
【0179】
実施例1
免疫腫瘍学の本質的生物学の単一シグネチャーであるかどうかのトレーニング
【0180】
所定の生物学的プロセスを測定するシグネチャーを得るために、ドメインの知識及び文献検索を使用して、その発現がプロセスを追跡する可能性が高い候補遺伝子を特定する。各シグネチャーが強力な生物学的妥当性を保持することを保証するために、生物学的プロセスに相関していることが既に報告されている遺伝子だけでなく、生物学的プロセスに積極的に関与することが知られている遺伝子を探索する。例えばこれらには、細胞障害性顆粒によって送達されるタンパク質をコードする細胞障害性候補遺伝子、及び腫瘍内で抗原を輸送し、それらを細胞表面に表示するために使用される分子をコードする抗原プロセシング候補遺伝子が含まれた。
【0181】
意図された生物学的プロセスを測定できない遺伝子をスクリーニングするために、その発現が問題の生物学的プロセスに関連している遺伝子から予測される同時発現パターンについて、候補遺伝子を試験する。すなわち遺伝子のコレクションがプロセスを測定するなら、これらの遺伝子はすべて、プロセスと同じように上下し、これらは相関しているであろう。詳細には、候補遺伝子が相関しているだけでなく、これらの相関が他の生物学的変数によっては説明できないことも必要である。例えば、CD8及びNK細胞中で発現される細胞傷害性遺伝子の場合、CD8及びNK細胞の存在量の変動を示唆することは、細胞傷害活性がない場合でも、これらの遺伝子間の相関を誘発する可能性がある。従って、候補細胞傷害性遺伝子が、CD8及びNK細胞の存在量だけでなく細胞傷害性を測定していると信じるためには、細胞傷害性シグネチャー遺伝子が、CD8及びNK細胞の存在量によって説明できる以上の同時発現を示す必要がある。
【0182】
所定のセットの候補遺伝子について、性能の悪い遺伝子を除去するための手順は以下の通りである:
1.生物学的知識を使用して、潜在的な交絡シグネチャー(候補遺伝子の同時発現をもっともらしく説明できる任意のシグネチャー)を特定する。
2.各癌ゲノムアトラス(Cancer Genome Atlas)(TCGA)データセット内で、交絡シグネチャー上の各候補遺伝子を捨てて、残りを保存する。
3.各TCGAデータセット内で、シグネチャー遺伝子の残りの相関行列を計算し、遺伝子の類似性行列を、これらのデータセットに特異的な相関行列の平均として定義する。
4.まず、「活性」遺伝子セットを、セット内のすべての候補遺伝子として定義する。
5.連続する繰り返しで、活性遺伝子セット内の他の遺伝子との平均類似性が最も低い遺伝子を特定し、それを活性遺伝子セットから取り出す。各繰り返しで活性遺伝子間の平均類似性を保存する。
6.並べ替え試験:1000個のランダムな遺伝子セットについて、工程2~5を繰り返す。各繰り返しのp値は、その繰り返しで活性遺伝子がより高い平均類似性を達成する、並べ替えられた遺伝子セットの比率である。
7.並べ替えp値が<0.01で、他の活性遺伝子との最小活性遺伝子の類似性が>0.2である最初の繰り返しを選択する。
【0183】
重みの最適化
【0184】
p個のシグネチャー遺伝子のセットが与えられたとき、単一データセットからの最適化された重みをトレーニングするためのプロセスは以下の通りである:
【0185】
ypX1を、ランダムな患者におけるp個の選択された遺伝子のlog2発現値のランダムベクトルとする。
【0186】
xkX1を、問題のプロセス及びk-1交絡プロセスのlog2活性レベルのランダムベクトルとする。このベクトルの最初の要素が問題のプロセスの活性レベルを表すものとし、x1と表す。
【0187】
Σxをxの共分散とする。
【0188】
βpXkを、各プロセスと各遺伝子との間の線形関連の行列とし、従ってβ1,2は、x中の第2プロセスの単位増加に関連する遺伝子1中のlog2発現の上昇率とする。
【0189】
シグネチャー遺伝子の発現は、以下のようにモデル化される:
Y=βx+ε、
【0190】
ここで、εpX1は誤差のベクトルであり、ここで、var(εi)=σi
2である。そして、εの共分散行列をΣε=diag(σ1
2、…、σp
2)と書く。
【0191】
最後に、シグネチャー重みをwpX1とし、ここでシグネチャースコアはwTyとして計算される。シグネチャースコアと問題のプロセスの真の活性レベルとの差の分散であるvar(wTy-x1)を最小にするwが、求められているものである(x1の測定単位は定義できないため、平均差は関係がない)。さらに、wの各要素が正であり、各シグネチャーがその発現遺伝子の単純な加重平均になることが必要である。また、wの合計が1になり、各シグネチャーをlog2スケールに配置して、単位増加がシグネチャー遺伝子発現の約2倍に対応するようにすることが必要である。
【0192】
正式には、次のように計算される:
【化2】
ただし、
【化3】
である。すると
【化4】
であり、ここで、h = (1,0,…,0)
T であり、従ってh
Tx = x
1 となる。従って、
【化5】
となる。
【0193】
最後の項は一定であるため、
【化6】
は次のように計算される:
【化7】
ただし、
【化8】
である。これは標準的な二次最適化問題であり、Rライブラリquadprogを使用して解くことができる。
【0194】
最適化の前に、最適化関数中の定数を推定する必要がある:Σx、β、及びσ1
2、…、σp
2。これらすべての量の推定値は、問題のシグネチャーのスコアとトレーニングデータセット内の交絡シグネチャーを知ることに依存する。問題の生物学的プロセスの未知の真のレベルの代用として、選択された遺伝子の平均が決定され、既に計算されたスコアが交絡シグネチャーとして使用される。次にΣxは、これらのシグネチャースコアの経験的共分散行列として計算することができる。
【0195】
βの各行は、単一の遺伝子と検討中の生物学的プロセスとの関連に対応する。次に、特定の遺伝子に対応するβの行を推定するために、遺伝子のlog2式が、問題のプロセス及び交絡シグネチャーのシグネチャースコアに対して回帰される。このモデルの偏りを避けるために、スコアは、すべての遺伝子の平均としてではなく、残っている遺伝子のlog2式の平均として、問題のプロセスについて再計算される。
【0196】
最後に、遺伝子の残りの分散σj
2を得るために、残りの分散がこの回帰モデルから決定される。これらの定数が定義されると、二次最適化問題が計算され、最適な重みベクトルが計算される。
【0197】
上記のセクションでは、単一のデータセットから最適な重みベクトルを推定するプロセスが詳述された。我々の最終的な重みベクトルを得るために、上記のプロセスが各TCGAデータセットに別個に適用され、得られる重みベクトルの平均が決定される。
【0198】
以下の表2は、本発明の遺伝子シグネチャーのシグネチャースコアを計算する際に使用するための、上記したプロセスを介して生成された加重係数の例示的なセットを示す。
【0199】
【化9-1】
【化9-2】
【化9-3】
【化9-4】
【化9-5】
【化9-6】
【0200】
全ての遺伝子のトレーニング
最初の工程は、多数の遺伝子に影響を与える可能性が高いが、検討中の他のシグネチャー(間質の存在量及び腫瘍増殖)によって駆動される可能性が低い高レベルの生物学のシグネチャーをトレーニングすることであった。バッチ効果又はサブタイプのような強い生物学的効果によって誘発される偽の同時発現を回避するために、各TCGAデータセットの免疫関連遺伝子の主成分中のすべての我々の初期候補遺伝子の最初の3つの主成分を条件として、これらのシグネチャー遺伝子が評価される。トランスクリプトーム全体ではなく、1699個の候補遺伝子のみに対して主成分分析(PCA)を実行するという選択は恣意的であったが、免疫腫瘍学に関連する遺伝子の主成分は、より遠位の生物学に適合する主成分よりも、免疫腫瘍学遺伝子クラスターの分散を説明できる可能性が高いため、この選択は保存的である可能性があった。間質、増殖、及びこれらの交絡変数中のデータの最初の3つの主成分を含む、他のすべてのシグネチャーがトレーニングされる。
【0201】
次の工程は、最も広範囲の免疫シグネチャー、すなわちリンパ系及び骨髄系細胞活性のシグネチャーをトレーニングすることであった。このシグネチャーのペアは、我々のシグネチャーの依存関係の階層で唯一のサイクルを形成し、それぞれが、他方の交絡シグネチャーとして含まれている。これら2つのシグネチャーの相互依存性を調整するために、リンパ系及び骨髄性シグネチャーの初期バージョンは、すべての候補遺伝子のlog2式の単純平均として計算され、これらの初期シグネチャーは、最終的な骨髄系及びリンパ系シグネチャーをトレーニングするときに交絡因子として含まれる。残りのすべてのシグネチャーには、交絡因子内にリンパ系及び骨髄系シグネチャーが含まれる。残りのシグネチャーは、免疫細胞タイプの存在量のシグネチャーへの及び互いへの多様な追加の依存関係がある。表3は、シグネチャー間の完全な条件付け関係を記録したものである。
【0202】
【0203】
結果
【0204】
免疫療法のための予測アルゴリズムのシグネチャートレーニングと改善されたトレーニング
【0205】
計画された方法は、31個の候補遺伝子リストのうち12個は完全に不合格であった。平均合格シグネチャーでは、候補遺伝子の24%が不合格であった。表1は、トレーニングされたシグネチャーを示し、
図1は、各シグネチャーの遺伝子セットにおける同時発現の強さを示す。その同時発現が標的生物学の測定と一致しなかった注目すべき候補遺伝子リストには、CD8枯渇、同時刺激及び同時抑制シグナル伝達、MDSC活性、及びベータカテニンシグナル伝達が含まれる。
【0206】
初期段階の臨床試験の限界に典型的な小さな試料サイズは、大きな遺伝子セットを使用する予測因子トレーニング演習を強化するには不十分であり、試験プロトコールへの予測バイオマーカーの組み込みを遅らせる。厳選されたシグネチャーの小さなセットに基づくアルゴリズムトレーニングは、次元を制御し、薬物応答に最も妥当に関連している生物学の領域にトレーニングの取り組みを集中させ、単一の遺伝子に見られる測定誤差を減らすことにより、統計的検出力を向上させることができる。
【0207】
【0208】
予測因子トレーニングの有効性は、8個のレスポンダーと34個のノンレスポンダーを含む免疫療法データセットにおいて、単一遺伝子と我々のシグネチャーを使用して評価された。予測因子トレーニングの有効性は、8個のレスポンダーと34個のノンレスポンダーを有する、イピリムマブによる処置前に生検された黒色腫のデータセットにおいて、単一遺伝子と我々のシグネチャーを使用して評価された。試料は、さらに30個の遺伝子がスパイクされた770遺伝子のNanoString PanCancer Immuneパネルを使用してプロフィール化された。データは1000個のトレーニング試験分画に区分けされ、各トレーニングセットで、エラスティックネットを使用して、遺伝子のみからの、シグネチャーのみからの、そして遺伝子とシグネチャーの両方からの応答の予測因子をトレーニングする。すべてのモデルで、交差検定を使用して調整パラメーターを選択する。遺伝子とシグネチャーの両方を有するモデルで、交差検定を使用して追加の調整パラメーター(0.1~1の間の定数因子)を選択する:これにより、シグネチャーに適用されるペナルティが軽減され、こうして、得られるモデル中のこれらの重みが増加する。各アルゴリズムの成績は、一致する試験セット中のROC曲線下の面積(AUC)で測定される。
【0209】
実施例2
免疫療法剤に対する応答の予測
【0210】
ここでは、免疫療法剤に対する応答を予測するための、これらのシグネチャーの使用を示す。Pratt et al(2017)は、抗PD1免疫療法で処置されたさまざまな腫瘍からの遺伝子発現プロフィールを収集した。この論文の公開されている補足データを使用して、我々は、この特許出願で参照されている免疫シグネチャーを計算し、それらをレスポンダー/ノンレスポンダー状態と比較した。
【0211】
方法
【0212】
シグネチャースコアは、データ中の利用可能な遺伝子と実施例1に記載の重み誘導方法を使用して計算された。表4は、遺伝子リストを提供する。進行性疾患と安定な疾患の間の応答は、部分的応答と完全応答に二分された。t検定を使用して、レスポンダー対ノンレスポンダーで、各シグネチャーの平均値を比較した。シグネチャーのペアが予測的であるかどうかを評価するために、シグネチャーのペアからの応答を予測するロジスティック回帰を尤度比検定とともに実施して、両方のシグネチャーを有するモデルが、帰無仮説の切片のみのモードよりも良く、応答を予測するかどうかを判定した。
【0213】
【0214】
結果
【0215】
免疫遺伝子シグネチャーの多くは応答に関連しており(
図3)、これらのシグネチャーが、免疫療法応答を臨床的に明らかになる前に予測する能力を示している。
【0216】
免疫シグネチャーの多くのペアもまた、このデータにおいて抗PD1応答と関連していた(
図4)。
【0217】
結論
【0218】
本明細書に記載の免疫シグネチャーは、免疫療法応答を予測するために、個別に又は組み合わせて使用することができる。
【0219】
添付の図面を参照して本発明の好ましい実施態様を説明してきたが、本発明は正確な実施態様に限定されるものではなく、当業者は、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、様々な変更及び修正が行われ得ることを理解されたい。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
必要とする癌患者のための処置を選択する方法であって、
該方法は、患者から得られた生物学的試料中の遺伝子シグネチャーの遺伝子のそれぞれの発現レベルを決定することを含み、
遺伝子シグネチャーは、GZMA、GZMB、GZMH、PRF1及びGNLYを含み、
遺伝子シグネチャーの遺伝子の発現レベルの変化が処置に対する患者を特定するものであって、
遺伝子シグネチャーの遺伝子の発現レベルの上昇がある場合、前記癌患者がPD-1阻害剤を用いる処置のために特定される、方法。
【請求項2】
治療薬を用いる処置に応答する可能性が高いとして癌を有する被験体を特定する方法であって、
前記治療薬はPD-1阻害剤であって、
前記方法は、患者から得られた生物学的試料中の遺伝子シグネチャーの遺伝子のそれぞれの発現レベルを決定することを含み、
遺伝子シグネチャーは、GZMA、GZMB、GZMH、PRF1及びGNLYを含み、
遺伝子シグネチャーの遺伝子の発現レベルの変化が、治療薬を用いる処置に応答する可能性が高いとして患者を特定するものであって、
前記遺伝子シグネチャーの遺伝子の発現レベルの上昇がある場合、前記被験体はPD-1阻害剤を用いる処置に応答する可能性が高いとして特定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(a)前記患者にそれらが療法に対する応答の可能性が高いことを通知すること;又は
(b)前記患者に特定の治療的処置を推奨すること;
をさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記癌が、副腎皮質癌、膀胱尿路上皮癌、乳房浸潤癌、頸部扁平上皮癌、子宮頸部腺癌、胆管癌、結腸腺癌、リンパ系新生物びまん性大型B細胞リンパ腫、食道癌、多形性神経膠芽細胞腫、頭頸部扁平上皮癌、嫌色素性腎癌、腎明細胞癌、腎乳頭細胞癌、急性骨髄性白血病、脳低悪性度神経膠腫、肝細胞癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、中皮腫、卵巣漿液性嚢胞腺癌、膵臓腺癌、クロム親和性細胞腫、傍神経節腫、前立腺腺癌、直腸腺癌、肉腫、皮膚黒色腫、胃腺癌、精巣生殖細胞腫瘍、甲状腺癌、胸腺腫、子宮癌肉腫、又はぶどう膜黒色腫腫である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記癌が、乳癌、肺癌、リンパ腫、黒色腫、肝臓癌、結腸直腸癌、卵巣癌、膀胱癌、腎臓癌、又は胃癌である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記癌が、神経内分泌癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞肺癌、甲状腺癌、子宮内膜癌、胆道癌、食道癌、肛門癌、唾液腺癌、外陰癌、又は子宮頚癌である、請求項1~3のいずれか1に記載の方法。
【請求項7】
前記患者又は被験体からの生物学的試料中の遺伝子の発現が、mRNAを測定することによって決定される、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記患者又は被験体からの生物学的試料中の遺伝子の発現が、
(a)血漿;
(b)組織;又は
(c)FFPE組織
におけるmRNAを測定することによって決定される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記生物学的試料が
(a)腫瘍組織又は
(b)血液
である、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。